JP2017047341A - 吸水シート - Google Patents

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Abstract

【課題】消臭効果の持続性に優れ、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質のみならず、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質をも消臭する機能を備えた吸水シートを提供する。【解決手段】本発明の吸水シートは、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなるガラス質消臭剤3を、吸水層を備えたシート本体2に保持させたものである。ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有する。例えばトレー1の底に敷き、鮮魚類や肉類から出る水分を吸収するに適している。【選択図】図1

Description

本発明は、鮮魚類や肉類から出る水分を吸収したり、野菜の水分を取り除いたりすることができる吸水シートに関するものである。
鮮魚類や肉類から出る水分を吸収して鮮度を維持するために、従来から吸水シートが使用されている。吸水シートは鮮魚類、肉類の販売用トレーの底に敷いて用いられるほか、水分を含む果物や野菜類のトレーにも使用されている。このような吸水シートは、吸水性ポリマーや多孔質樹脂を吸水層とするものである。
しかし鮮魚類や肉類から滲出する水分中には微生物が繁殖し易いので、吸水効果のほかに抗菌効果を付与した吸水シートが、従来から提案されている。例えば特許文献1には、銀イオンを放出できる溶解性ガラスの粉末を含有させた抗菌性吸水シートが開示されている。また特許文献2には、水酸化カルシウムのようなアルカリ性の抗菌剤を含有させた抗菌性吸水シートが開示されている。しかしこれらは微生物の繁殖抑制を主目的としたものであり、それによって腐敗臭を防止できる効果を多少は期待できるものの、優れた消臭効果を備えたものではない。
なお特許文献1の溶解性ガラスは、放出された銀イオンが悪臭成分を化学吸着することによって、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質に対する消臭効果を期待できるものである。しかし、フィルム中に保持されたガラス質消臭剤は粒径がD96=40μm以下の微細な粉体であるから銀の総含有量も小さく、しかもその効果は表面露出量に依存する。このため、特許文献1の吸水シートは、銀イオンの放出が進行すると次第に消臭効果が低下することが避けられない。また低級脂肪酸等の悪臭物質に対する消臭効果はない。
特許文献2のアルカリ性の抗菌剤も、悪臭成分との中和反応等によって悪臭を防止できる可能性はあるが、やはりアルカリ成分の放出が進行すると、次第に消臭効果が低下することが避けられない。
特許第3105290号公報 特開2012−241296号公報
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、消臭効果の持続性に優れ、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質のみならず、低級脂肪酸等の悪臭物質をも消臭する機能を備えた吸水シートを提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本発明は、吸水層を備えたシート本体にガラス質消臭剤を保持させた吸水シートであって、このガラス質消臭剤は銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有することを特徴とするものである。
なお請求項2のように、ガラス質消臭剤の含有量を1〜100g/mとすることが好ましく、また請求項3のように、ガラス質消臭剤が、D96=100μm以下の粉体であることが好ましい。
さらに請求項4のように、吸水層が、吸水性ポリマーを含有するものであることが好ましい。
本発明の吸水シートは、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなるガラス質消臭剤を、吸水層を備えたシート本体に保持させたものであり、ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する。
溶解性ガラスを用いた消臭剤は各種開発されていたのに対し、従来、「触媒作用による消臭効果を示すガラス剤」は知られていなかった。本発明者らは、長年による研究の結果、上記組成のガラス中に含有させた銅成分が触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏する」という新たな知見を見出した。
本発明では、このように、ガラス中に含まれる銅成分を触媒として硫黄系悪臭物質の分解反応を促進するメカニズムを有するものであるため、化学吸着、物理吸着を利用した従来技術に比べて、消臭容量を増大させることができ、消臭効果を長期間に亘って安定して発揮することができる。すなわち、従来の化学吸着、物理吸着は何れも吸着剤の表面露出量に依存し、露出量によって消臭限界が決定されるのであるが、本発明では触媒反応を利用するため、露出量が少量であっても大きい消臭総量を得ることができる。このため消臭量のみに着目すればガラス質消臭剤の添加量は少量添加でもよいが、消臭スピードを加えるためには前記したように1〜100g/mを含有させることが好ましい。
本発明で用いたガラス質消臭剤は、特にメチルメルカプタンに対し、優れたな消臭効果を発揮することができる。すなわちこのガラス質消臭剤は、メチルメルカプタンを触媒的に酸化分解し、二量体のジメチルジスルフィドを生成する。このときラジカルが発生し、酸化分解される。同様に、他のガスに対しても同様の酸化分解が可能である。なお、この点については後記する実施例においても言及する。しかし、消臭可能な悪臭は硫黄系悪臭物質に限られるものではない。具体的には、低級脂肪酸や、体臭(汗、足臭)として知られる酢酸、イソ吉草酸を始め、悪臭防止法で定められるプロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸や、中鎖脂肪酸のカプロン酸、エナント酸や、加齢臭として知られるトランス−2−ノネナールも消臭可能である。一般的に、炭素数2〜4個のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)というが、本明細書においては炭素数1個の酢酸、5個の吉草酸も低級脂肪酸として取り扱う。
なお、本発明の消臭機能を持つ吸水紙は、前記したように鮮魚類、肉類の販売用トレーの底に敷いて用いたり、果物や野菜類のトレーに使用するに適したものであるが、食品用袋、ゴミ袋、おむつ用袋などの消臭効果が望まれる用途にも利用できる。おむつ臭の主成分は硫化水素、メチルメルカプタン、低級脂肪酸であり、介護分野においては低級脂肪酸の消臭効果が求められている。また生ゴミ臭の主成分も、硫化水素、メチルメルカプタン、低級脂肪酸の一種であるプロピオン酸であり、本発明の消臭機能を持つ吸水紙は、これらの用途にも好適である。
実施形態の吸水シートの使用状態を示す模式的な断面図である。 実施例Eの結果を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を説明する。
本発明の吸水シートは、吸水層を備えたシート本体にガラス質消臭剤を保持させたものである。このガラス質消臭剤は、後記する実施例Fに示すように、安全性に優れた物質である。
吸水層の材質としては、ポリアクリル酸・ポリアクリル酸ナトリウム共重合体、デンプン・アクリル酸共重合体、セルロース・アクリル酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール・アクリル酸共重合体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体が代表的であるが、合成ポリマー系では、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、天然物由来系では、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系などを挙げることができる。このほか、吸水スポンジとして用いられるポリビニルアルコール、ウレタンでもよい。
ガラス質消臭剤は、吸水層部分に担持(分散、あるいは不織布100%の場合は添着)させてもよく、吸水層部分を覆う不織布に添着してもよい。あるいは、水漏れを防止するシート部に配合または添着してもよい。なお、必ずしも上記構造体全てを兼ね備えたシートでなくても、吸収層だけのシートであってもよいことは勿論である。パルプ紙をシート本体としてあるものについては、パルプ紙にガラス質消臭剤を添着してもよい。なお、吸収剤として知られているゼオライトや活性炭をガラス質消臭剤とともに用いることもできる。
ガラス質消臭剤は、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、D96=100μm以下の粉体であることが望ましい。ここでD96は粒度分布測定を行い、累積分布させたときの積分値が96%に当たる粒径を意味する。より好ましい粒径はD96=40μm以下である。D96が100μmを超えるとガラス質消臭剤の比表面積が低下して触媒効果が低減する。粒径が1μm未満になるとガラスの粉砕や分級の効率が極端に低下するので、製造上好ましくない。1〜25μm程度の粒径が実用的であるが、不織布に添着する場合には40μm程度が扱いやすい。このようなガラス質消臭剤は、調合原料を溶融したうえ急冷してプレ成形体を得た後、粉砕を行なう方法で製造することができる。粉砕には一般的に知られる粉砕機(例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、CFミル等)を用いることができ、乾式でも湿式でも構わない。
ガラス質消臭剤の量は、1〜100g/m程度が好ましい。これより少量であると消臭効果が不十分となり、これより多量としてもコストの増加に見合う消臭効果の増加が認められないからである。
図1に示すように、本発明の吸水シートは、例えばトレー1の底に敷いて用いることができる。吸水シートのシート本体2の内部または表面に、ガラス質消臭剤3が保持されている。しかし前記したように、本発明の吸水シートは様々な用途に使用することができる。以下に、ガラス質消臭剤の組成について詳細に説明する。
(アルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラス)
上記した銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスは、SiO:46〜70モル%、B+RO(R:アルカリ金属):15〜50モル%、R´O(R´:アルカリ土類金属):0〜10モル%、Al:0〜6%、CuO:0.01〜23モル%含有するガラスである。ここで、B:5〜20モル%、RO:10〜30モル%とすることができる。
このガラス質消臭剤3の好ましい組成は、SiO:51〜63モル%、B+RO:21〜39モル%、R´O:2〜7モル%、Al:0〜5.5%、CuO:1〜13モル%である。ここで、B:8〜17モル%、RO:13〜22モル%とすることができる。
またこのガラス質消臭剤3の最も好ましい組成は、SiO:53〜62モル%、B:10〜17モル%、RO:13〜19モル%、R´O:3〜6モル%、Al:0〜4.5%、CuO:4〜13モル%である。以下に、各ガラス組成について詳細に説明する。
(SiO
SiOは、ガラスの構造骨格を形成する主成分であり、その含有量は46〜70モル%、好ましくは、51〜63モル%、更に好ましくは53〜62モル%とする。46モル%未満の場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となり、またガラスが失透しやすくなり好ましくない。更に、46モル%未満の場合、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。70モル%を超える場合、融点が上昇することにより、ガラスの溶融性が困難となる他、粘度上昇も起こるため好ましくない。
(B
は、ガラスの溶解性、清澄性を向上させる成分であり、特定の組成においてはガラスの構造骨格を形成する成分ともなる。Bは、その含有量によって、ガラスの安定性を大きく左右するものであり、本願発明ではガラスの融剤としての意味合いが大きい。その含有量は、Bの揮発量を勘案して、5〜20モル%、好ましくは8〜17モル%、さらに好ましくは10〜17モル%とする。20モル%を超える場合、Bは溶融過程において揮発しやすく、組成制御が困難となるため好ましくない。
(RO)
O(R=Li、Na、K)は、ガラスの構造骨格におけるSiとOの結合を切断して非架橋酸素を形成し、その結果、ガラスの粘性を低下させ、成形性や溶解性を向上させる成分であり、B同様の融剤である。その含有量は、ROの一種もしくは二種以上を、多成分との含有比も考慮しつつ、合計10〜30モル%、好ましくは13〜22モル%、更に好ましくは13〜19モル%とする。30モル%を超える場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となる。具体的には、ガラス剤と大気中の水分が反応してブルームと称される白化現象が引き起こされる。ブルームが発生することにより、悪臭ガスとの接触面積が減少するため望ましくない。
(B+RO)
前記のように、BとROは、共に、融剤として使用される。BとROの合計含有量が、15〜50モル%、好ましくは21〜39モル%の範囲が、安全に消臭効果を示す領域となる。15モル%未満の場合、ガラスの溶融性が不十分となり、成形の際に失透が発生しやすくなるため好ましくない。50モル%を超えると、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。また、50モル%を超えると、溶融の際に分相を起こしやすく、それに伴いガラス剤の消臭効果が不十分となるため好ましくない。
(R´O)
R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)は、ガラスの化学的耐久性を向上させる成分である。その含有量は、R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)の一種もしくは二種以上を、合計0〜10モル%、好ましくは2〜7モル%、更に好ましくは3〜6モル%とする。10モル%を超えると溶融時の粘性が高くなるとともに、ガラスが失透しやすくなるため好ましくない。なおR´Oは発明の消臭剤において必須成分ではなく、その含有量は0モル%でもよいが、2モル%以上とすることが好ましい。
(Al
Alは、ガラスの化学的耐久性を向上させ、結晶構造安定性に影響を与える成分である。また、Alは、ガラスの分相を抑制しガラス剤の均質性を高める働きをする。粘性を上げること、添加によってガラス中の銅イオンの酸化還元状態に影響を与える可能性があることから、その含有量は、6モル%以下、好ましくは5.5モル%以下、最も好ましくは4.5モル%以下とする。
(CuO)
CuOは、触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏するものである。その含有量は、0.01〜23モル%、好ましくは1〜13モル%、さらに好ましくは4〜13モル%とする。23モル%を超えると未溶解物が残留しやすくなる他、急冷の際や加工時に金属銅が析出しやすくなるため好ましくない。金属銅の析出に伴いガラスに変色を生じるため、ガラスの変色が問題となる用途には適さない。また、金属銅として析出した場合、被毒が進行してしまう。これに対し、CuOをガラス成分として含ませれば被毒が進行し難く、触媒機能を長期間に亘って安定して発揮することができる。
(その他の微量成分)
上記成分以外にも、微量成分として、ZnO、SrO、BaO、TiO、ZrO、Nb、P、CsO、RbO、TeO、BeO、GeO、Bi、La、Y、WO、MoO、またはFe等も含めることができる。さらに、F、Cl、SO、Sb、SnO、あるいはCe等を清澄剤として添加してもよい。
(アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラス)
また本発明ではガラス質消臭剤3として、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスを用いることもできる。このガラスは、SiO:50〜70モル%、RO:10〜33モル%、R´O:0〜15モル%、Al:0〜6%、CuO:0.01〜23モル%含有するガラスである。
このガラス質消臭剤3の好ましい組成は、SiO:55〜70モル%、RO:12〜24モル%、R´O:2〜10モル%、Al:0〜5.5%、CuO:1〜20モル%である。またこのガラス質消臭剤3の最も好ましい組成は、SiO:55〜65モル%、RO:12〜20モル%、R´O:3〜7モル%、Al:0〜5%、CuO:4〜13モル%である。
アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスは、上記したアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスとは異なりBを含有しないため組成の数値範囲が多少変化しているが、数値限定の理由はアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスと同様である。
吸水シート中のガラス質消臭剤3の含有率は0.1〜15質量%とすることが好ましい。この範囲より少ないと消臭効果が不足し、逆に15質量%を超えるコスト高となる。好ましい含有率は0.1〜10質量%である。本発明において、ガラス質消臭剤は触媒効果によって消臭機能を発揮するため、消臭量がガラス質消臭剤の露出量に依存しない。このため長期的には、少量が表面に露出していればよく、15%を超えて含有させても消臭量の増加を見込むことができない。
本発明の吸水シートは、ガラス質消臭剤のガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有するものである。溶解性ガラスとは異なり、銅成分はガラス中に保持されたままで触媒作用により悪臭成分を分解するため、長期間にわたり消臭効果が維持され、持続性に優れる。また、溶解性ガラスは酸性ガラスであるため酸性悪臭である低級脂肪酸に対する消臭効果はないが、本発明におけるガラス質消臭剤は、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質に対する消臭効果を持つ。
なお、上記した実施形態ではガラス質消臭剤を単独で使用したが、汎用のシリカゲル、ゼオライト、活性炭、粘土鉱物、光触媒(二酸化チタン)等の無機系消臭剤と複合使用することもできる。また特許文献1に記載の銀を含有するリン酸ガラスとともに使用することもできる。このような複合使用により、消臭速度のスピードアップや対象ガス拡大、コストダウン等の効果を狙うことが可能となる。
本発明の吸水シートは、ドリップシート、鮮度保持シート、水分調整シート、機能性吸水シートなどと称されるどの目的にも使用可能である。その他用途として、野菜や漬物保管向けの中敷きとして適している。玉ねぎや漬物などは硫黄臭を発生するためである。この場合、冷蔵庫で数日間保管するため、消臭効果の持続性も要求されることとなり、本発明の吸水シートの利点が発揮される。このほか、生理用品、紙おむつ、ペットシート、水分分離シート、結露防止シート等にも使用でき、室内の消臭にも効果がある。
以下に本発明の実施例を示す。なお、表中のn.d.は未検出を意味する。
表1に示す組成となるようにガラス原料を調合し、溶融急冷法により溶融、成形、粉砕してガラス質消臭剤を製造した。得られたガラス質消臭剤を表2に示す条件で吸水シートに保持させた。この吸水シートを用い、消臭効果の確認試験を行った。
吸水シートは、吸水層が粒状ポリアクリル酸塩系の高吸水性ポリマーとし、通水層がレーヨン不織布、非通水層はポリエチレンフィルムとして、吸水部が10cm×10cmとなるように、端部を封止した。吸水層への分散、通水層には担持を検討した。また、吸水層の上下に綿パルプ層を介在させた吸水シートも作製し、パルプ層には担持を検討した。通水層、パルプ層への担持は、ウレタンエマルジョンバインダーでスプレーして添着した。
(実施例A:消臭効果の確認)
表2の実験例1〜21の吸水シートを1Lのテドラーバッグに悪臭成分とともに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内の悪臭濃度を測定した。硫化水素、メチルメルカプタンはガスクロマトグラフで、酢酸、プロピオン酸はガス検知管で測定した。比較として、表3に示す溶解性ガラス1〜3からなるガラス質消臭剤を製造し、D96=25μm以下まで粉砕し、実験例と同様に吸水層に1g/mの含有量となるように分散した。なお、銅成分を含まないガラスを用いた実験例3がブランクに該当する。その結果、表4に示すように、ブランクを除いて、いずれの悪臭にも消臭効果を示すことが確認された。また、溶解性ガラスは、低級脂肪酸に対して消臭効果がないことが確認された。
(実施例B:溶解性ガラスに対する持続性)
表2の実験例1、2、5、6の吸水シートを1Lのテドラーバッグに悪臭成分とともに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内の悪臭濃度をガスクロマトグラフで測定した。比較として、表3に示す溶解性ガラス2〜4からなるガラス質消臭剤を製造し、D96=25μm以下まで粉砕し、実験例と同様に吸水層に1g/mの含有量となるように分散した。その結果、表5に示すように、溶解性ガラスを含有する吸水シートは化学吸着反応のため消臭スピードは速いものの、消臭限界に達したことが確認されたのに対し、本発明の吸水シートでは持続的に触媒作用による消臭効果を示し、消臭総量に優れることが確認された。しかし、ガラスは組成によって連続的に変化し、その効果も触媒反応から溶解性ガラスの吸着反応まで連続的に変化する。実験例5は耐久性が低下した組成のため(溶解性ガラスに近づいた組成のため)、溶解性ガラス同様の吸着反応の傾向が強くなり、消臭限界に達したことが確認された。
なお、サンプルは調整後、光を遮断して保管し、蒸留水を1ml含有させた状態で上記の消臭試験を実施した。これによって、水分存在下でも消臭効果を示すこと、光がなくとも触媒効果を示すことが確認された。
(実施例C:ガラス質消臭剤の基本特性・分解作用)
50=4.2μmまで粉砕した表1の組成番号6からなるガラス1gとメチルメルカプタンを5Lのテドラーバッグに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内のメチルメルカプタン、ジメチルジスルフィドをガスクロマトグラフで測定した。またブランクとして、ガラス質消臭剤なしで同様の操作を行った。なお、事前にガスクロマトグラフ質量分析計にて、袋内に存在するガス成分がこの二成分のみであることを確認していた。その結果、図2に示すように、本発明のガラス質消臭剤がメチルメルカプタンを分解し、ジメチルジスルフィドを生成する作用を示すことを確認した。ガラス質消臭剤の基本特性は、フィルム等に練りこんでも、当然保持される。
(実施例D:ガラス質消臭剤の基本特性・ラジカル発生)
50=5.0μmまで粉砕した表1の組成番号6、9、表3の溶解性ガラス1からなるガラス200mgに対し、pH=7.4の0.1mоl・L−1のリン酸緩衝溶液200μLを添加した。そこに9.2mоl・L−1のDMPO(LABOTEC.製、LM−2110)10μLを添加し、シェイクした。DMPO添加時点から10秒後、1分後、5分後にシェイクをやめ、溶液のみをヘマトクリット管で採取し、ESR(日本電子株式会社製、FR−30、Xバンド)測定を実施した。また、ガラスを除いたものをブランクとした。全て、室温、蛍光灯下で実施した。当手法は、ラジカル測定の一般的手法であるスピントラップ法に該当し、DMPOがラジカルを補足するとスピンアダクトが生成する。この生成物(DMPO−OH)をESRで検出した。なお、検出値の単位は、基準物質Mn2+に対するピーク面積値比率(エリアシングル/エリアマンガン、S/M)である。その結果を表6に示す。組成番号6のガラスはDMPO−OHの生成が確認されたのに対し、組成番号9、溶解性ガラス1はブランクと同様にバックグラウンドの値を示しただけであった。本発明のガラス質消臭剤がラジカルを発生する可能性が高いことが確認された。
(実施例E:ガラス質消臭剤の基本特性・触媒劣化の抑制)
50=4.2μmまで粉砕した表2の組成番号6からなるガラス0.1gとCuO試薬(平均粒径4μm)0.1gのそれぞれを1Lのテドラーバッグに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内のメチルメルカプタン濃度をガスクロマトグラフで測定した。メチルメルカプタンの初期濃度は55ppmとし、繰返し10回まで実施した。また、ブランクとしてガラスなしで同様の操作を行った。その結果、表7に示すように、CuO試薬は、繰返しに伴い消臭効果が低減している。これは、一般的に知られるCuOの触媒劣化(硫黄吸着)である。それに対し、ガラスは消臭効果を維持しており、持続性が高いことが確認された。このメカニズム解明は課題が残るが、ガラス化することで触媒劣化が抑制されることが確認された。このときのガラス表面をXPS(アルバックファイ(株)製、PHI 5000 VersaProbe)で解析したところ、表8に示すように、確かに消臭後に硫黄の吸着がないことが確認された。ガラス質消臭剤の基本特性は、フィルム等に練りこんでも、当然保持される。
(実施例F:ガラス質消臭剤の安全性)
蒸留水100mlに対し、D50=4.2μmまで粉砕した表1の組成番号6からなるガラスを0.1g浸漬し、室温・24時間後の溶出量をICP発光分光分析装置で測定したところ、その溶出量は定量下限値0.1ppm以下であった。また、浸漬前後のガラスの重量を確認したところ、溶解量は0.0%であった。銅そのものの安全性は公知であり、栄養機能食品として厚生労働省に認定されている。1日あたり0.5〜5mgの接種が適量とされている。水道水の水質基準は1ppmであるが、1ppmの水道水を5L飲むと、5mgの摂取に相当する。以上の通り、ガラスからの銅成分の溶出や適量接種等勘案すると、十分安全であることがわかる。なお、本発明で用いるガラス質消臭剤は、通常の使用方法においては溶出することなく消臭効果を発揮する非溶出系の消臭剤であるから、銅の溶出規制の厳しい国においても、使用可能である。
1 トレー
2 シート本体
3 ガラス質消臭剤

Claims (4)

  1. 吸水層を備えたシート本体にガラス質消臭剤を保持させた吸水シートであって、
    このガラス質消臭剤は銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、
    ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有することを特徴とする吸水シート。
  2. ガラス質消臭剤の含有量を1〜100g/mとしたことを特徴とする請求項1記載の吸水シート。
  3. ガラス質消臭剤が、D96=100μm以下の粉体であることを特徴とする請求項1または2記載の吸水シート。
  4. 吸水層が、吸水性ポリマーを含有するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の吸水シート。
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