JP2017046707A - 造血幹細胞の生着を増進させるための方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】骨髄移植を受けている被験体の骨髄ニッチへの単離HSCのホーミング、生着および保持を増加させるため、HSCを刺激する方法および組成物を提供する。
【解決手段】ex vivo前処理によって、造血幹細胞の生着を増進させるための新規方法であって、造血幹細胞を含有する試料を得て、そしてプロスタサイクリン類似体と混合して混合物を得て、前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションして、そして場合によって前記の刺激された細胞を単離する工程を含む、方法。更に、造血幹細胞移植を受けている個体の治療において使用するためのプロスタサイクリン類似体を含む組成物。前記トレプロスチニル類似体がトレプロスチニル、イロプロスト、シカプロスト及びベラプロスト又はその薬学的に許容される塩であることが好ましく、より好ましいのはトレプロスチニルである、方法。
【選択図】なし
【解決手段】ex vivo前処理によって、造血幹細胞の生着を増進させるための新規方法であって、造血幹細胞を含有する試料を得て、そしてプロスタサイクリン類似体と混合して混合物を得て、前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションして、そして場合によって前記の刺激された細胞を単離する工程を含む、方法。更に、造血幹細胞移植を受けている個体の治療において使用するためのプロスタサイクリン類似体を含む組成物。前記トレプロスチニル類似体がトレプロスチニル、イロプロスト、シカプロスト及びベラプロスト又はその薬学的に許容される塩であることが好ましく、より好ましいのはトレプロスチニルである、方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ex vivo前処理によって、造血幹細胞の生着を増進させるための新規方法であって、造血幹細胞を含有する試料を得て、そしてプロスタサイクリン類似体と混合して混合物を得て、前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションし、そして場合によって前記の刺激された細胞を単離する工程を含む、前記方法を提供する。
さらに、造血幹細胞移植を受けている個体の治療において使用するためのトレプロスチニルを含む組成物を提供する。
造血幹細胞(HSC)は、個体の生涯に渡ってすべての血液産物を再生可能な原始的細胞であり、自己再生と子孫分化のバランスを取っている。HSCは、発生の間は場所を変え、哺乳動物の中で生涯に渡って循環し、血流に入り、そして血流から出て、ホーミング、生着および保持の連続段階で、骨髄ニッチと関与する。ホーミングは、ドナー幹細胞が骨髄への道を見出すプロセスであり、幹細胞の生着は、骨髄における該細胞の増殖を意味する。
造血幹細胞は、移植レシピエントにおいて、血液および免疫細胞を回復する能力の結果として、療法的潜在能力を有する。さらに、HSCは、脳、筋肉および肝臓などの他の組織のための細胞を生成する潜在能力を有する。ヒト自己および同種骨髄移植法は、現在、白血病、リンパ腫、および生命を脅かす他の疾患などの疾患のための療法として用いられている。これらの方法のためには、多量のドナー骨髄を単離して、生着のためのHSCが十分であることを確実にしなければならない。
造血幹細胞は、in vivoで骨髄ニッチに定植するために、Gαs伝達シグナルを必要とする(1)。これらの最近の発見は、Gαsの活性化が、造血幹細胞の生存および分化を促進することを示した、先のin vitro実験を確証している(2、3)。Gαsは、ヘテロ三量体Gタンパク質のグアニンヌクレオチド結合性αサブユニットであり、膜結合型哺乳動物アデニリルシクラーゼの9つのアイソフォームすべてを刺激する。Gαsは、コレラ毒素で細胞を処理することによって、ex vivo/in vitroで恒常的に活性化可能であり、これは、コレラ毒素が触媒性アルギニン残基(R186/187/201/202、アルギニンの正確な数字は、Gαsのスプライス変異体に応じる)をAPD−リボシル化するためであり;損なわれていない(intact)アルギニン残基はGTP加水分解およびその結果生じるGαsの脱活性化に必要である(4)。生着増進は、実際、コレラ毒素での造血幹細胞の前処理後に観察されうる:幹細胞調製物をコレラ毒素で前処理すると、骨髄中、約2倍多い(Lin−)前駆体細胞が存在した(1)。
しかし、骨髄移植を受けている患者のための幹細胞調製物に関しては、コレラ毒素は非常に不都合であろう。コレラ毒素(CT)、特にその非毒性Bサブユニット五量体部分(CTB)は、in vivoおよびin vitroの両方で強い免疫調節特性を有する粘膜アジュバントであり、そして最も強力な粘膜免疫原の1つである。コレラ毒素およびCTBは、強い腸IgA抗体反応および長期に渡って持続する免疫学的記憶を刺激する。これに基づいて、CTBは、コレラおよび毒素原性大腸菌(E. coli)によって引き起こされる下痢に対して、近年開発された経口ワクチンにおける重要な構成要素となってきている。CTおよびCTBの強い免疫原性は、かなりの程度まで、腸粘膜表面上の受
容体に結合する能力によって説明可能である。
容体に結合する能力によって説明可能である。
さらに、天然感染経過中、毒素分子の五量体部分Bが腸上皮細胞表面に結合し、そしてAサブユニットとともに迅速にエンドサイトーシスされる。ひとたびエンドサイトーシスされると、触媒活性Aサブユニットは、五量体部分Bから離れ、そしてBサブユニットによって形成された孔を通じて細胞に進入する。ひとたび細胞内部に入ると、該サブユニットは、ヘテロ三量体Gタンパク質のGsアルファサブユニットを永続的にリボシル化し、恒常的cAMP産生を生じる。これは次に、小腸ルーメン内へのH2O、Na+、K+、Cl−、およびHCO3 −の分泌を導き、急激な脱水症、およびコレラに関連する他の要因を生じる。静脈内注射されると、コレラ毒素は、大部分の細胞に取り込まれる(血液脳関門などのごくわずかな細胞は特定のバリアによってシールドされる)。したがって、これは、体の細胞の大部分でcAMPを上昇させ、そして広い範囲の副作用を引き起こす(頻脈から血管拡張、筋振戦、高血糖症などの範囲)。
したがって、これらの影響のため、造血幹細胞の刺激に関して、コレラ毒素はヒト使用には不適切である。
しかし、幹細胞を刺激する療法的な関連性は、異種骨髄移植(すなわち免疫適合ドナーから採取された造血幹細胞)を受けている際には重要であり、そして白血病を患う人々の治療、血球区画に遺伝的欠陥を持つ人々(例えばサラセミアなどの異常ヘモグロビン症;好中球顆粒球機能の欠陥など)の治療に用いられる標準的な方法である。
しかし、幹細胞を刺激する療法的な関連性は、異種骨髄移植(すなわち免疫適合ドナーから採取された造血幹細胞)を受けている際には重要であり、そして白血病を患う人々の治療、血球区画に遺伝的欠陥を持つ人々(例えばサラセミアなどの異常ヘモグロビン症;好中球顆粒球機能の欠陥など)の治療に用いられる標準的な方法である。
これはまた、細胞毒性薬剤の療法ウィンドウ(therapeutic window)を増加させるため、そしてしたがって高用量強度化学療法を可能にするために用いられる自己骨髄移植が標準的な方法であるため、重要である(5、6)。
造血幹細胞は、4つのプロスタグランジンE受容体(EP1〜4)をすべて発現する。造血幹細胞を(ジメチル化)プロスタグランジンE2で前処理すると、生着が増進される(7、8)。この効果は、プロテインキナーゼA(PKA)のcAMP誘導性活性化が、Wnt依存性シグナルと協同でβ−カテニンを安定化するため、標準的Gαs依存性シグナル伝達によって仲介される(9)。
自己骨髄(BM)単核細胞(MNC)の移植は、Otsukaらによれば、ウサギモデルにおいて、ベラプロスト・ナトリウムによって増進されうる。この研究の目的は、末梢および心筋虚血において、動脈の発生を支持することであった。しかし、造血幹細胞は、骨髄細胞内の特定の種類の細胞である(16)。
幹細胞療法および薬理学的治療の組み合わせが、Madonnaらによって記載され、ここで、冠内投与後、ADSC心筋生着においてプロスタサイクリンが試験されている(17)。
Ishii M.らは、プロスタサイクリンの持続放出が、虚血組織における間葉系幹細胞の血管新生促進機能および筋細胞増殖を増進することを開示する(18)。
WO2006/017169は、とりわけ、プロスタサイクリン類似体を含有可能な、組織増殖を調節するための生体適合性コーティングを含む移植可能(implatable)センサーを記載する。
WO2006/017169は、とりわけ、プロスタサイクリン類似体を含有可能な、組織増殖を調節するための生体適合性コーティングを含む移植可能(implatable)センサーを記載する。
ヒトTHP1細胞における組織因子、腫瘍壊死因子およびインターロイキン1β合成に対するシカプロストまたはイロプロストの阻害効果がCrutchley D.らによって記載される(19)。
移植後の幹細胞の局在は、移植成功の重要な決定要因である。現在、幹細胞が骨髄に成功裡に生着せず、そして成熟血球の減少を導く長期の骨髄形成不全があるため、移植には多数の幹細胞が必要である。
したがって、骨髄移植を受けている被験体の骨髄ニッチへの単離HSCのホーミング、生着および保持を増加させるため、HSCを刺激する方法および組成物を提供する、満たされていない必要性がなおある。
この問題は、本発明の態様によって解決される。
驚くべきことに、例えばトレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストおよびシカプロストのような合成プロスタサイクリンI2(PGI2)類似体が、造血幹細胞においてcAMPレベルを増加させることが可能であり、これが骨髄における幹細胞の生着増加を導くことが示されてきた。
トレプロスチニルのようなプロスタサイクリン類似体は、プロスタグランジンE2に勝るいくつかの利点を提供する:
(i)該プロスタサイクリン類似体は、プロスタサイクリン/PGI2の安定類似体であり、これはまた、EP2−およびEP4受容体も刺激する(10)。したがって、該類似体は、多数のGs共役型受容体を刺激する潜在能力を有しつつ、cAMP集積を阻害する阻害性(すなわちGi共役型)EP3受容体と関与しない。後者に関しては、ジメチル−PGE2は完全アゴニストである(1)。対照的に、トレプロスチニルは、EP3受容体では低アフィニティアゴニストでしかない。
(i)該プロスタサイクリン類似体は、プロスタサイクリン/PGI2の安定類似体であり、これはまた、EP2−およびEP4受容体も刺激する(10)。したがって、該類似体は、多数のGs共役型受容体を刺激する潜在能力を有しつつ、cAMP集積を阻害する阻害性(すなわちGi共役型)EP3受容体と関与しない。後者に関しては、ジメチル−PGE2は完全アゴニストである(1)。対照的に、トレプロスチニルは、EP3受容体では低アフィニティアゴニストでしかない。
(ii)該類似体は、天然プロスタサイクリンよりも代謝的により安定であるため、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストおよびシカプロストは、in vivoで適用された際、より長い持続効果を誘発し、そしてしたがって、より効率的な骨髄生着を支持することも可能である。
(iii)プロスタサイクリン類似体の、特にトレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストおよびシカプロストの持続/反復投与はよく許容される。
本発明は、ex vivo前処理によって、造血幹細胞の生着を増進させるための新規方法であって:
a.造血幹細胞を含有する試料を得て、そして
b.少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体と混合して、混合物を得て、
c.前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションして、そして場合によって
d.前記の刺激された細胞を単離し、そして場合によって精製する
工程を含む、前記方法を提供する。
本発明は、ex vivo前処理によって、造血幹細胞の生着を増進させるための新規方法であって:
a.造血幹細胞を含有する試料を得て、そして
b.少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体と混合して、混合物を得て、
c.前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションして、そして場合によって
d.前記の刺激された細胞を単離し、そして場合によって精製する
工程を含む、前記方法を提供する。
本発明の態様にしたがって、プロスタサイクリン類似体は、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよびベラプロストまたはその薬学的に許容されうる塩の群より選択される。
本発明の方法にしたがって、刺激された幹細胞および未刺激の幹細胞の混合物もまた提供可能である。
特に、試料は骨髄である。幹細胞は、一般的に、既知のいかなる供給源のものであってもよく、特に、これらは、末梢血、臍帯血または骨髄から単離されたHSCであってもよい。
特に、試料は骨髄である。幹細胞は、一般的に、既知のいかなる供給源のものであってもよく、特に、これらは、末梢血、臍帯血または骨髄から単離されたHSCであってもよい。
本発明にしたがって、トレプロスチニルは、酸誘導体、プロドラッグ、多形または異性体の群より選択される誘導体であってもよい。
同様に、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストは、その酸誘導体、プロドラッグ、多形または異性体の群より選択される誘導体であってもよい。
同様に、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストは、その酸誘導体、プロドラッグ、多形または異性体の群より選択される誘導体であってもよい。
本発明の別の態様にしたがって、試料を少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体と、好ましくはコレラ毒素およびフォルスコリンより選択される、非特異的cAMP活性化剤と一緒に混合してもよい。
本発明の特定の態様にしたがって、プロスタサイクリン類似体を含む組成物を、造血幹細胞移植を受ける可能性がある骨髄疾患を患う個体の治療において使用するために提供する。
本発明の特定の態様にしたがって、組成物のプロスタサイクリン類似体は、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストあるいはその薬学的に許容されうる塩の群より選択される。
好ましい態様にしたがって、組成物はトレプロスチニルを含む。
具体的には、個体は、白血病、血球区画の欠陥、化学療法または放射線照射後の骨髄移植を患う。
具体的には、個体は、白血病、血球区画の欠陥、化学療法または放射線照射後の骨髄移植を患う。
本発明のさらなる態様にしたがって、血球区画の欠陥は、ヘモグロビン症または好中球顆粒球機能の欠陥である。
本発明の組成物はまた、プロスタサイクリン類似体を、骨髄移植後、少なくとも7日間、投与することによって、骨髄疾患を患い、造血幹細胞移植を受けている個体を治療するために、使用可能である。具体的には、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよびベラプロストの群より選択されるプロスタサイクリン類似体、より具体的にはトレプロスチニルを使用する。
本発明の組成物はまた、プロスタサイクリン類似体を、骨髄移植後、少なくとも7日間、投与することによって、骨髄疾患を患い、造血幹細胞移植を受けている個体を治療するために、使用可能である。具体的には、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよびベラプロストの群より選択されるプロスタサイクリン類似体、より具体的にはトレプロスチニルを使用する。
さらなる態様にしたがって、プロスタサイクリン類似体および刺激された造血幹細胞を含む、組成物を提供する。
さらなる態様にしたがって、トレプロスチニルまたはその薬学的に許容されうる塩および刺激された造血幹細胞を含む、組成物を提供する。
さらなる態様にしたがって、トレプロスチニルまたはその薬学的に許容されうる塩および刺激された造血幹細胞を含む、組成物を提供する。
特に、動物または動物研究において使用するため、本発明の組成物は、フォルスコリンまたはコレラ毒素をさらに含んでもよい。
本発明の組成物は、薬学的組成物であってもよい。
本発明の組成物は、薬学的組成物であってもよい。
本発明の組成物は、当該技術分野において公知のすべての経路によって投与可能であり、具体的には、静脈内または皮下投与のために調製される。
プロスタサイクリン類似体は、持続放出型、錠剤またはカプセルの群より選択される経口的に利用可能な型で提供されてもよい。
プロスタサイクリン類似体は、持続放出型、錠剤またはカプセルの群より選択される経口的に利用可能な型で提供されてもよい。
プロスタサイクリン類似体の量は、療法適用または刺激されたHSCを調製するための方法に応じる。非常に具体的には、療法適用のため、トレプロスチニルの有効量は、少なくとも1.0ng/kg体重である。
骨髄環境へのHSCのホーミングおよび生着を増加させる方法および手段を提供することは、強い生物学的および医学的意味を有する。現在では臨床的移植において莫大な数の幹細胞が必要とされ、それゆえに、多量のドナー細胞の必要性に通じているように、移植後の幹細胞の局在は、臨床的処置のために非常に重要である。こうした方法はまた、かなりの数の自己ドナー移植物が、不十分な数の幹細胞、またはHSCしか含有していないため、非常に有用である。さらに、多くの場合、患者は組織適合性のドナーを見出すことができず、このことは、移植の成功に求められるHSCの数を減少させるための方法および組成物に対する必要性を強調している。in vitroまたはex vivoのHSCのホーミングおよび生着を改善可能であれば、ドナーから、より少ない細胞を収集し、それによって骨髄/末梢幹細胞採取に関連する時間および不快感を減少させ、そして協力的
なHSCドナーのプールを増加させることが可能になる。
なHSCドナーのプールを増加させることが可能になる。
本発明はしたがって、HSCのex vivo前処理によって、HSCの生着を増進させるための新規方法であって、a)造血幹細胞を含有する試料を得て、そしてb)少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体を混合して、混合物を得て、c)前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションして、そしてd)場合によって、さらなる使用のために、例えば治療または移植のために、前記の刺激された細胞を単離するか、または前記の刺激された細胞を含有する前記混合物を用いる工程を含む、前記方法を提供する。
具体的には、プロスタサイクリン類似体は、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストおよびシカプロストまたはその薬学的に許容されうる塩の群より選択される。
トレプロスチニルは、プロスタサイクリンの合成類似体である。トレプロスチニルは、リモジュリンTMとして市販されている。トレプロスチニルは、(1R,2R,3aS,9aS)−[[2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(3S)−3−ヒドロキシオクチル]−1H−ベンズ[f]インデン−5−イル]オキシ]酢酸一ナトリウム塩である。
トレプロスチニルは、プロスタサイクリンの合成類似体である。トレプロスチニルは、リモジュリンTMとして市販されている。トレプロスチニルは、(1R,2R,3aS,9aS)−[[2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(3S)−3−ヒドロキシオクチル]−1H−ベンズ[f]インデン−5−イル]オキシ]酢酸一ナトリウム塩である。
イロプロストは、「イロメジン」として市販され、そして5−{(E)−(1S,5S,6R,7R)−7−ヒドロキシ−6[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−ビ−シクロ[3.3.0]オクタン−3−イリデン}ペンタン酸である。
ベラプロストは、2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−(3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル)−1H−シクロペンタ(b)ベンゾフラン−5−ブタン酸である。
シカプロストは、2−[(2E)−2−[(3aS,4S,5R,6aS)−5−ヒドロキシ−4−[(3S,4S)−3−ヒドロキシ−4−メチルノナ−1,6−ジイニル]−3,3a,4,5,6,6a−ヘキサヒドロ−1H−ペンタレン−2−イリデン]エトキシ]酢酸である。
本発明の態様にしたがって、少なくとも2つ、特に少なくとも3つの異なるプロスタサイクリン類似体を、前記方法に使用することができる。あるいは、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つまたはさらにより多くの異なるプロスタサイクリン類似体を、前記方法に使用することができる。
この方法は、好適に、個体に直接投与可能であり、そして多量の非選択性cAMP活性化剤によるいかなる望ましくない副作用も示さない、刺激された幹細胞を提供する。
本発明のさらなる態様にしたがって、ex vivo前処理によって、造血幹細胞の生着を増進させるための方法であって、以下の工程:
a.造血幹細胞を含有する試料を得て、そして
b.プロスタサイクリン類似体およびフォルスコリンを混合して、混合物を得て、
c.前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションして、そして場合によって
d.前記の刺激された細胞を単離して、そして場合によって
e.前記の刺激された細胞を精製するおよび/または濃縮する
工程を含む、前記方法を提供する。
本発明のさらなる態様にしたがって、ex vivo前処理によって、造血幹細胞の生着を増進させるための方法であって、以下の工程:
a.造血幹細胞を含有する試料を得て、そして
b.プロスタサイクリン類似体およびフォルスコリンを混合して、混合物を得て、
c.前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションして、そして場合によって
d.前記の刺激された細胞を単離して、そして場合によって
e.前記の刺激された細胞を精製するおよび/または濃縮する
工程を含む、前記方法を提供する。
本発明の特定の態様にしたがって、プロスタサイクリン類似体およびフォルスコリンの比は、約1:3であることも可能である。フォルスコリンおよびプロスタサイクリン類似体で処理したHSCを、再移植する前に精製してもよいが、少量のフォルスコリンが存在する可能性はあるがいかなる負の副作用も引き起こさない可能性もあるため、これらのHSCをまた、さらなる精製工程を伴わずに再移植してもよい。
あるいは、トレプロスチニルと、イロプロスト、ベラプロストまたはシカプロストの1つとの組み合わせを、幹細胞に添加してもよい。あるいは、トレプロスチニルを1つより多い、例えば2つ、3つ、4つ、または5つの他のプロスタサイクリン類似体、例えば限定されるわけではないが、イロプロスト、ベラプロストまたはシカプロストあるいはその生理学的に許容されうる塩と組み合わせて混合してもよい。
動物研究または動物治療において使用するための特定の態様にしたがって、インキュベーション前に、フォルスコリンおよび/またはコレラ毒素のようなcAMP増進剤を、HSC、あるいはHSC/トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロスト混合物とさらに混合してもよい。
前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに必要な期間を、例えば多くのバリエーションがあるcAMP測定:RIA、EPAC(epac1)を伴う蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)(Ponsiouen B.ら, EMBO reports, 5, 12, 1176−1180(2004))、放射化学法等を用いることによって、測定してもよい。Gアルファsシグナル伝達が起こっている刺激された細胞は、FRETに基づくcAMPレポーターのような、当該技術分野において公知の方法によって、未刺激細胞から選択されるか、または区別されるか、または単離されることも可能である。
本発明の態様にしたがって、インキュベーション時間は約1〜60分間、好ましくは約2〜30分間である。
cAMP依存性経路は、造血幹細胞の生着を促進するために必須の経路である。本発明者らによって、プロスタサイクリン類似体が、造血幹細胞におけるcAMP上昇を誘発可能であることが示されてきている。該類似体は、多数の受容体、すなわちIPおよびEP受容体を活性化し、こうしてGアルファsシグナル伝達増加を導くことによってこれを行う。したがって、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストのようなプロスタサイクリン類似体は、cAMPレベルをより効率的に上昇させる。
cAMP依存性経路は、造血幹細胞の生着を促進するために必須の経路である。本発明者らによって、プロスタサイクリン類似体が、造血幹細胞におけるcAMP上昇を誘発可能であることが示されてきている。該類似体は、多数の受容体、すなわちIPおよびEP受容体を活性化し、こうしてGアルファsシグナル伝達増加を導くことによってこれを行う。したがって、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストのようなプロスタサイクリン類似体は、cAMPレベルをより効率的に上昇させる。
非常に特定の態様にしたがって、トレプロスチニルは、本発明の方法にしたがって用いられる、好ましいプロスタサイクリン類似体である。
あるいは、本発明の特定の方法および組成物において、サイクリックAMP(cAMP)増進剤またはプロスタグランジンEP受容体に対するリガンドより選択される少なくとも1つの剤もまた添加されてもよい。cAMP増進剤の例には、限定されるわけではないが、当該技術分野において公知のものの中でも、幹細胞または幹細胞/トレプロスチニルまたは幹細胞/トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよび/またはベラプロスト混合物に、インキュベーション前に添加してもよい、ジブチリルcAMP(DBcAMP)、ホルボールエステル、フォルスコリン、スクラレリン(sclareline)、8−ブロモ−cAMP、コレラ毒素(CT)、アミノフィリン、2,4ジニトロフェノール(DNP)、ノルエピネフリン、エピネフリン、イソプロテレノール、イソブチルメチル−キサンチン(IBMX)、カフェイン、テオフィリン(ジメチルキサンチン)、ドーパミン、ロリプラム、プロスタグランジンE1、プロスタグランジンE2、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、および血管作用性腸管ポリペプチド(VIP)が含まれる。cAMP増進剤の例にはまた、とりわけcAMPおよびcAMP類似体、例えばsp−5,6−DCl−BIMPS(BIMPS)が含まれる。
あるいは、本発明の特定の方法および組成物において、サイクリックAMP(cAMP)増進剤またはプロスタグランジンEP受容体に対するリガンドより選択される少なくとも1つの剤もまた添加されてもよい。cAMP増進剤の例には、限定されるわけではないが、当該技術分野において公知のものの中でも、幹細胞または幹細胞/トレプロスチニルまたは幹細胞/トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよび/またはベラプロスト混合物に、インキュベーション前に添加してもよい、ジブチリルcAMP(DBcAMP)、ホルボールエステル、フォルスコリン、スクラレリン(sclareline)、8−ブロモ−cAMP、コレラ毒素(CT)、アミノフィリン、2,4ジニトロフェノール(DNP)、ノルエピネフリン、エピネフリン、イソプロテレノール、イソブチルメチル−キサンチン(IBMX)、カフェイン、テオフィリン(ジメチルキサンチン)、ドーパミン、ロリプラム、プロスタグランジンE1、プロスタグランジンE2、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、および血管作用性腸管ポリペプチド(VIP)が含まれる。cAMP増進剤の例にはまた、とりわけcAMPおよびcAMP類似体、例えばsp−5,6−DCl−BIMPS(BIMPS)が含まれる。
本発明の特定の態様にしたがって、フォルスコリンおよび/またはコレラ毒素またはコレラ毒素のAサブユニットを、インキュベーション前に、さらに幹細胞または幹細胞/トレプロスチニル混合物と混合する。
特定の態様において、前記cAMP増進剤は、幹細胞の生着を考慮して、動物細胞の幹細胞処理を実行するために、または幹細胞生着に関する動物研究を実行するために、用いられる。
プロスタサイクリン類似体に関して、本発明にしたがって、用語「プロスタサイクリン類似体」にはまた、前記物質の誘導体および類似体も含まれる。
用語「類似体」または「誘導体」は、構造および機能において、別の化学物質と類似である化学分子であって、しばしば単一の要素または基が構造的に異なり、親化学物質と同じ機能を保持するならば、1つより多い基(例えば2つ、3つ、または4つの基)の修飾によって異なってもよい、前記化学分子に関する。こうした修飾は、当業者にはルーチンであり、そしてこれには、例えば、さらなる化学部分または置換された化学部分(例えば酸のエステルまたはアミド)、保護基(例えばアルコールまたはチオールに関してはベンジル基、およびアミンに関してはtert−ブトキシルカルボニル基)が含まれる。やはり含まれるのは、アルキル側鎖に対する修飾であり、例えばアルキル置換(例えばメチル、ジメチル、エチル等)、側鎖の飽和または不飽和レベルに対する修飾、ならびに置換フェニルおよびフェノキシなどの修飾基の付加である。誘導体にはまた、コンジュゲート(例えばビオチンまたはアビジン部分)、酵素(例えば西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ等)、および放射標識、生物発光、化学発光、または蛍光部分も含まれてもよい。さらに、本明細書記載の剤に部分を付加して、薬理学的特性を改変し、他の望ましい特性の中でも、例えばin vivoまたはex vivoでの半減期を増加させるか、あるいはその細胞浸透特性を増加させてもよい。やはり含まれるのは、薬剤の多くの望ましい特性(例えば可溶性、生物学的利用能、製造等)を増進させることが知られるプロドラッグである。
用語「類似体」または「誘導体」は、構造および機能において、別の化学物質と類似である化学分子であって、しばしば単一の要素または基が構造的に異なり、親化学物質と同じ機能を保持するならば、1つより多い基(例えば2つ、3つ、または4つの基)の修飾によって異なってもよい、前記化学分子に関する。こうした修飾は、当業者にはルーチンであり、そしてこれには、例えば、さらなる化学部分または置換された化学部分(例えば酸のエステルまたはアミド)、保護基(例えばアルコールまたはチオールに関してはベンジル基、およびアミンに関してはtert−ブトキシルカルボニル基)が含まれる。やはり含まれるのは、アルキル側鎖に対する修飾であり、例えばアルキル置換(例えばメチル、ジメチル、エチル等)、側鎖の飽和または不飽和レベルに対する修飾、ならびに置換フェニルおよびフェノキシなどの修飾基の付加である。誘導体にはまた、コンジュゲート(例えばビオチンまたはアビジン部分)、酵素(例えば西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ等)、および放射標識、生物発光、化学発光、または蛍光部分も含まれてもよい。さらに、本明細書記載の剤に部分を付加して、薬理学的特性を改変し、他の望ましい特性の中でも、例えばin vivoまたはex vivoでの半減期を増加させるか、あるいはその細胞浸透特性を増加させてもよい。やはり含まれるのは、薬剤の多くの望ましい特性(例えば可溶性、生物学的利用能、製造等)を増進させることが知られるプロドラッグである。
用語「誘導体」にはまた、その範囲内に、機能的に同等なまたは機能的に改善された分子を提供する、付加、欠失、および/または置換を含む、親配列に対して行われた改変も含まれる。
本発明の特定の態様にしたがって、トレプロスチニル誘導体は、トレプロスチニルの酸誘導体、トレプロスチニルのプロドラッグ、トレプロスチニルの多形またはトレプロスチニルの異性体の群より選択される。
同様に、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストは、これらの酸誘導体、プロドラッグ、多形または異性体の群に由来する誘導体であってもよい。
用語「造血幹細胞」(HSC)またはより一般的な用語「幹細胞」は、本発明の説明において、同等の用語と理解され、そして一般的に、骨髄(例えば単球およびマクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板、樹状細胞)、およびリンパ系譜(例えばT細胞、B細胞、NK細胞)および当該技術分野において公知の他のものを含む血球タイプを生じさせる多能性「幹細胞」または多分化能「幹細胞」のいずれかに関する。「幹細胞」は、通常、多数の細胞タイプを形成する能力(すなわち多分化能があること)および自己再生する能力によって特徴付けられる。しかし、少分化能(oligopotent)前駆体および単一分化能(unipotent)前駆体もまた、含まれてもよい。「造血」は、一般的に、HSCからの細胞分化または特殊化血球形成のプロセスを指す。発生中、造血は、胎児肝臓から骨髄へと転位置し、次いで、骨髄は、成人期の間、造血部位であり続ける。骨髄においてひとたび確立されると、HSCは、骨空洞全体にランダムに分布はしない。むしろ、HSCは、典型的には、骨内膜表面にごく近接して見られる。骨表面からの距離が増加するにつれて、より成熟した幹細胞の数が増加していく。
用語「造血幹細胞」(HSC)またはより一般的な用語「幹細胞」は、本発明の説明において、同等の用語と理解され、そして一般的に、骨髄(例えば単球およびマクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板、樹状細胞)、およびリンパ系譜(例えばT細胞、B細胞、NK細胞)および当該技術分野において公知の他のものを含む血球タイプを生じさせる多能性「幹細胞」または多分化能「幹細胞」のいずれかに関する。「幹細胞」は、通常、多数の細胞タイプを形成する能力(すなわち多分化能があること)および自己再生する能力によって特徴付けられる。しかし、少分化能(oligopotent)前駆体および単一分化能(unipotent)前駆体もまた、含まれてもよい。「造血」は、一般的に、HSCからの細胞分化または特殊化血球形成のプロセスを指す。発生中、造血は、胎児肝臓から骨髄へと転位置し、次いで、骨髄は、成人期の間、造血部位であり続ける。骨髄においてひとたび確立されると、HSCは、骨空洞全体にランダムに分布はしない。むしろ、HSCは、典型的には、骨内膜表面にごく近接して見られる。骨表面からの距離が増加するにつれて、より成熟した幹細胞の数が増加していく。
造血組織は、長期再生能および短期再生能を持つ細胞、ならびに拘束された多分化能前駆体、少分化能前駆体および単一分化能前駆体を含有する。
HSCを含有する試料は、具体的には骨髄であってもよい。
HSCを含有する試料は、具体的には骨髄であってもよい。
HSCは、HSCを含有することが知られる任意の供給源から、特に末梢血、臍帯または臍帯血、胎盤および骨髄から、既知の技術によって得られうる。あるいは、動物の胎児肝臓、胎児脾臓、および大動脈−性腺−中腎のような供給源が可能である。本発明の方法および組成物に関しては、ヒト起源由来のHSCが好ましい。
例えば、HSCは、大腿、臀部、肋骨、胸骨、および他の骨を含む、成人骨髄に見出されうる。HSCは、しばしば、骨髄区画から細胞が放出されるのを誘導する、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などのサイトカインでの前処理後、針およびシリンジを用いて臀部からの除去によって直接、あるいは血液から得られうる。
特定の表現型または遺伝子型マーカーにしたがって、HSCを同定してもよい。例えば、HSCは、その小さいサイズ、系譜(lin)マーカーの欠如、生体染色、例えばローダミン123(rho10)またはヘキスト33342での染色が低いこと(サイドポピュレーション)、およびその多くが分化シリーズクラスターに属する表面上の多様な抗原性マーカー(例えば、CD5、CD11b、CD34、CD38、CD90、CD133、CD105、CD45、GR−1(=Ly−6G/C)、7−4、Ter−119およびc−kit)の存在によって同定可能である。HSCは、主に、分化系列決定(lineage commitment)を検出するために典型的に用いられるマーカーに関しては陰性であり、そしてしたがって、多くの場合、lin(−)細胞と称される。大部分のヒトHSCは、CD5+、CD45R(B220)+、CD11+、GR−1+、CD34+、CD59+、Thyl/CD90+,CD38lo/〜、C−kit/CD117+、およびlin(−)として特徴付けられうる。しかし、特定のHSCは、CD347+およびCD38+であるため、すべての幹細胞がこれらの組み合わせによって含まれるわけではない。また、いくつかの研究によって、最も早期の幹細胞は、細胞表面上にc−kitを欠く可能性があることが示唆されている。
フローサイトメトリーまたはFACSによるlin(−)HSCの精製のため、当該技術分野において公知の他のものの中でも、CD3イプシロン、CD5、CD45R、CD11b、CD16、GR−1、7−4およびTer−119、CD13、CD32および
CD33、CD71、CD 19、CD61、Mac−1(CDl lb/CD18)、Gr−I、117Ra、CD3、CD4、CD5、およびCD8に対する抗体を含む、多くの成熟血液系譜マーカー抗体を用いて、lin(+)細胞または後期多分化能前駆体(MPP)を枯渇させることも可能である。さらなる精製法が当該技術分野において公知であり、例えば、細胞表面分子の「シグナル伝達リンパ球活性化分子」(SLAM)ファミリーの特定のサインを用いる方法がある。
CD33、CD71、CD 19、CD61、Mac−1(CDl lb/CD18)、Gr−I、117Ra、CD3、CD4、CD5、およびCD8に対する抗体を含む、多くの成熟血液系譜マーカー抗体を用いて、lin(+)細胞または後期多分化能前駆体(MPP)を枯渇させることも可能である。さらなる精製法が当該技術分野において公知であり、例えば、細胞表面分子の「シグナル伝達リンパ球活性化分子」(SLAM)ファミリーの特定のサインを用いる方法がある。
HSCは、臍帯血由来、骨髄由来、末梢血由来、または他の供給源由来のいずれであっても、任意の適切な、商業的に入手可能な培地または顧客に合わせて規定された培地で、血清を含むものまたは含まないものの中で増殖または拡大可能である。ヒト供給源由来のHSCが、本発明の好ましい態様である。例えば、特定の態様において、血清不含培地は、アルブミンおよび/またはトランスフェリンを利用可能である。さらに、サイトカイン、例えばとりわけ、Flt−3リガンド、幹細胞因子(SCF)、およびトロンボポエチン(TPO)が含まれてもよい。HSCはまた、バイオリアクターなどの容器中でも増殖可能である。HSCのex vivo拡大に適した培地はまた、HSCを支持する細胞、例えばリンパ組織の脱凝集から得られる可能性があり、そしてHSCならびにその子孫のin vitro、ex vivo、およびin vivoでの維持、増殖、および分化を支持することが示されている、間質細胞(例えばリンパ細網間質細胞)も含んでもよい。
「臍帯血」(「cord blood」または「umbilical cord blood」)は、一般的に、新生児循環に戻っていく、新生児由来の相対的に少量の血液(最大約180ml)に関する。臍帯血にはHSCが豊富であり、そして臍帯血は、当該技術分野において公知の技術にしたがって採取し、そして後の使用のために保存することも可能である。
用語「ex vivo」または「in vitro」は、生物の外で行われる活動であり、例えば生物外部の人工的な環境で、生存組織において、または生存組織に対して、好ましくは、天然条件の最小限の改変しか伴わずに、行われる実験または測定を指す。特定の態様において、こうした組織または細胞を、ex vivo処理のため、収集し、そして凍結し、そして後に融解することも可能である。生存細胞または組織を用いる、数日より長く続く組織培養実験または方法は、典型的には、「in vitro」と見なされるが、この用語はex vivoと交換可能に使用可能である。「ex vivo投与」、「ex vivo処置」、または「ex vivo療法的使用」は、一般的に、1つまたはそれより多い臓器、細胞、または組織を、生存または最近死亡した被験体から得て、場合によって精製/濃縮し、幹細胞を取り扱う処置または方法(例えば、細胞と本発明の組成物とをインキュベーションしてHSCの生着能を増進させることを含むex vivo投与工程)に曝露し、そして次いで、随意的な処置または方法の後に、同じ生存被験体または異なる生存被験体に投与する医学的方法に関する。
こうしたex vivo療法適用にはまた、例えば本発明の組成物を1回またはそれより多く、臓器、細胞、または組織の投与後に、生存被験体に投与することによる、任意的なin vivo処置または方法の工程が含まれてもよい。当該技術分野に周知の技術にしたがって、局所および全身投与の両方が、これらの態様に意図される。場合によって被験体に投与されるさらなる剤とともに、トレプロスチニルの量、またはトレプロスチニルおよび刺激された幹細胞を含有する混合物の量は、被験体の特性、例えば全身健康状態、年齢、性別、体重、および薬剤に対する耐性、ならびにトレプロスチニルおよび/または細胞移植に対する反応の度合い、重症度、およびタイプに応じる。
本発明の特定の態様にしたがって、造血幹細胞移植を受けている個体の治療において使
用するためのプロスタサイクリン類似体を含む組成物を提供する。
好ましい態様にしたがって、組成物は、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよびベラプロストまたはその薬学的に許容されうる塩の群より選択されるプロスタサイクリン類似体を含み、より具体的には、トレプロスチニルを含む。
用するためのプロスタサイクリン類似体を含む組成物を提供する。
好ましい態様にしたがって、組成物は、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよびベラプロストまたはその薬学的に許容されうる塩の群より選択されるプロスタサイクリン類似体を含み、より具体的には、トレプロスチニルを含む。
本発明の組成物はまた、トレプロスチニルとともに、1またはそれより多いイロプロスト、シカプロストまたはベラプロストも含んでもよい。あるいは、組成物は、イロプロストと組み合わせて、1またはそれより多い、トレプロスチニル、シカプロストまたはベラプロストあるいはその薬学的に許容されうる塩を含んでもよい。あるいは、組成物は、ベラプロストと組み合わせて、1またはそれより多い、トレプロスチニル、シカプロストまたはイロプロストあるいはその薬学的に許容されうる塩を含んでもよい。あるいは、組成物は、シカプロストと組み合わせて、1またはそれより多い、トレプロスチニル、ベラプロストまたはイロプロストあるいはその薬学的に許容されうる塩を含んでもよい。
前記被験体は、任意の骨髄疾患、すなわち正常骨髄構造が、悪性疾患、再生不良性貧血、または感染によって置換され、血球および血小板産生減少を導く疾患を患うことも可能である。前記骨髄疾患は、例えば、白血病、血球区画(blood cell compartment)の欠陥あるいは化学療法または放射線照射治療後の骨髄移植に関する必要性であることも可能である。
より具体的には、血球区画の欠陥は、サラセミアのような異常ヘモグロビン症または好中球顆粒球機能の複数の欠陥または好中球顆粒球機能の単数の欠陥であることも可能である。
骨髄移植後の限定された期間に渡って、例えば化学療法または放射線照射により骨髄疾患を患い、そのため造血幹細胞移植を受けている個体の治療のための使用であって、少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体を投与することによる使用もまた、本発明に含まれる。
少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体、少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体とともに1つまたはそれより多い、具体的には2つの、より具体的には3つのcAMP増進剤、あるいは少なくとも1つの、具体的には2つの、より具体的には3つのプロスタサイクリン類似体および刺激された幹細胞と、場合によって1つまたはそれより多いcAMP増進剤のようなさらなる剤とを一緒に含む混合物を用いた、骨髄移植を受けている被験体の治療もまた、本発明によって含まれる。
より具体的には、cAMP増進剤はフォルスコリンであってもよい。
骨髄移植中、またはHSCを用いることによる骨髄の再構築の際、ヒトHSCの生着を増進させるため、少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体を用いてもよい。生着を加速させることによって、被験体が潜在的に致死性の感染、出血および他の深刻な合併症に感受性である期間が短くなる。したがって、プロスタサイクリン類似体は、ドナー骨髄を前処理して、骨髄生着を増進させる、有用な療法的オプションとなるはずである(すなわち必要な細胞数を減少させ、そして骨髄無形成期間を短くすることによって)。
骨髄移植中、またはHSCを用いることによる骨髄の再構築の際、ヒトHSCの生着を増進させるため、少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体を用いてもよい。生着を加速させることによって、被験体が潜在的に致死性の感染、出血および他の深刻な合併症に感受性である期間が短くなる。したがって、プロスタサイクリン類似体は、ドナー骨髄を前処理して、骨髄生着を増進させる、有用な療法的オプションとなるはずである(すなわち必要な細胞数を減少させ、そして骨髄無形成期間を短くすることによって)。
具体的には、プロスタサイクリン類似体は、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストあるいはその薬学的に許容されうる塩の群より選択される。より具体的には、トレプロスチニルは、用いるべき好ましいプロスタサイクリン類似体である。
骨髄移植後、数日間、プロスタサイクリン類似体で被験体を連続治療すると、生着が改
善されることによって(すなわち必要な細胞数を減少させ、そして骨髄無形成期間を短くすることによって)、臨床転帰の改善がもたらされるはずである。
善されることによって(すなわち必要な細胞数を減少させ、そして骨髄無形成期間を短くすることによって)、臨床転帰の改善がもたらされるはずである。
したがって、特定の態様にしたがって、移植後少なくとも5日間、より具体的には移植後少なくとも10日間、より具体的には少なくとも14日間、治療を行う。
本発明の別の態様にしたがって、1つのまたは1つより多いプロスタサイクリン類似体および刺激された造血幹細胞を含む組成物が含まれる。
本発明の別の態様にしたがって、1つのまたは1つより多いプロスタサイクリン類似体および刺激された造血幹細胞を含む組成物が含まれる。
あるいは、特定の態様において、サイクリックAMP(cAMP)増進剤またはプロスタグランジンEP受容体に対するリガンドより選択される剤を、組成物に添加してもよい。特定の態様にしたがって、本発明の組成物はまた、フォルスコリンも含んでもよい。
具体的には、本発明の組成物は、薬学的組成物である。当該技術分野において公知であるようなさらなる薬学的に許容されうる賦形剤が、前記組成物中に含有されてもよい。
プロスタサイクリン類似体の量は、刺激されたHSCを調製するための療法または方法に応じる。非常に具体的には、療法適用のため、有効量のトレプロスチニルは、少なくとも1.0ng/kg体重である。
プロスタサイクリン類似体の量は、刺激されたHSCを調製するための療法または方法に応じる。非常に具体的には、療法適用のため、有効量のトレプロスチニルは、少なくとも1.0ng/kg体重である。
適用可能なそして当該技術分野において公知の任意の様式によって、本発明の組成物を被験体に投与してもよい。より具体的には、静脈内または皮下投与を提供する。
前記組成物は、持続放出型、錠剤またはカプセルの群より選択される、経口的に利用可能な型であってもよい。
前記組成物は、持続放出型、錠剤またはカプセルの群より選択される、経口的に利用可能な型であってもよい。
前述の説明は、以下の実施例を参照すると、より完全に理解されるであろう。こうした例は、しかし、本発明の1つまたはそれより多い態様を実施する方法の単なる代表であり、そして本発明の範囲を限定するように読むべきではない。
実施例1
材料および方法
骨髄幹細胞の単離
10匹のマウス(C57BL/6)を頸椎脱臼によって屠殺した。後肢の長骨(すなわち大腿骨および脛骨)を筋肉および結合組織からはずし、そしてシリンジおよび27 1/2G針を用いて、RPMI培地でフラッシュした。細胞懸濁物を可視結合組織からはずし、収集し、そして遠心管に移した。遠心分離(1,200rpm/〜100g、5分間)によって細胞を採取し、そして3mL赤血球溶解緩衝液(0.15M NH4Cl、10mM KHCO3、0.1mM EDTA、pHを7.2〜7.4に調整)中に再懸濁した。細胞懸濁物を20℃で2分間、その後、氷上で4分間インキュベーションした。その後、RPMI(10mL)を添加し、そして遠心分離によって細胞を採取し、そして計数した。細胞の典型的な収量は3*107/マウスであった。
材料および方法
骨髄幹細胞の単離
10匹のマウス(C57BL/6)を頸椎脱臼によって屠殺した。後肢の長骨(すなわち大腿骨および脛骨)を筋肉および結合組織からはずし、そしてシリンジおよび27 1/2G針を用いて、RPMI培地でフラッシュした。細胞懸濁物を可視結合組織からはずし、収集し、そして遠心管に移した。遠心分離(1,200rpm/〜100g、5分間)によって細胞を採取し、そして3mL赤血球溶解緩衝液(0.15M NH4Cl、10mM KHCO3、0.1mM EDTA、pHを7.2〜7.4に調整)中に再懸濁した。細胞懸濁物を20℃で2分間、その後、氷上で4分間インキュベーションした。その後、RPMI(10mL)を添加し、そして遠心分離によって細胞を採取し、そして計数した。細胞の典型的な収量は3*107/マウスであった。
2%FCS(ウシ胎児血清)を含有する氷冷PBS(リン酸緩衝生理食塩水)中に、2.5*108細胞/mLの細胞密度で細胞を再懸濁し、これに、108細胞あたり0.1mL抗体溶液の比で、CD5、CD45R(B220)、CD11b、GR−1(=Ly−6G/C)、7−4、およびTer−119に対して向けられる系譜特異的抗体を含有するビオチン化抗体カクテル(Miltenyi Biotecの「系譜細胞枯渇キット」)を添加した。細胞を、抗体と氷上で20分間インキュベーションし、そして遠心分離によってペレットにした。再懸濁(3.3*108細胞/mL)後、二次抗ビオチンコーティングマイクロビーズ(0.2mL/108細胞、Miltenyi Biotecの「系譜細胞枯渇キット」とともに提供される)を細胞懸濁物に添加し、そして混合物を氷
上で15分間インキュベーションした。その後、試料をMACS−緩衝液(30mL)中で希釈し、細胞を遠心分離によって収集し、そして6mLのMACS−緩衝液中に再懸濁した。細胞適合性プラスチック材料でコーティングされた強磁性ビーズを含有するプレパックLSカラム上にこの懸濁物を装填した。典型的には、(2mL細胞懸濁物/カラム)に関して3つのカラムを使用した。フロースルーは系譜マーカー陰性細胞(Lin−細胞)を含有し、一方、系譜拘束細胞は、カラム上に保持された。遠心分離によって細胞をペレットにし、そしてmL PBS中に再懸濁した。
上で15分間インキュベーションした。その後、試料をMACS−緩衝液(30mL)中で希釈し、細胞を遠心分離によって収集し、そして6mLのMACS−緩衝液中に再懸濁した。細胞適合性プラスチック材料でコーティングされた強磁性ビーズを含有するプレパックLSカラム上にこの懸濁物を装填した。典型的には、(2mL細胞懸濁物/カラム)に関して3つのカラムを使用した。フロースルーは系譜マーカー陰性細胞(Lin−細胞)を含有し、一方、系譜拘束細胞は、カラム上に保持された。遠心分離によって細胞をペレットにし、そしてmL PBS中に再懸濁した。
典型的な収量は7*105 Lin−細胞/マウスであった。
蛍光活性化細胞分取(FACS)分析
細胞表面マーカーの染色のために使用した抗体は、以下の供給源由来であった:マウス系譜パネル抗体は、Becton Dickinson Biosciences由来であり(BD 559971、抗CD3ε、抗CD11b、抗CD45R、抗Ly−6G/Ly−6c、抗Ter−119のビオチン化型を含有する)、アフィニティ精製ラット抗マウスCD16/CD32(マウスFcγII/IIIブロック、BD553142)および蛍光色素ストレプトアビジン−アロフィコシアニン−Cy7(ストレプトアビジンAPC−Cy7、BD554063)もまた、Becton Dickinson Biosciences由来であった。フィコエリトリン(PE)−Cy7標識抗マウスLy6A/E(=幹細胞抗原−1=Sca1)PE−Cy7(カタログ番号25−5981−82)およびPE−Cy5抗マウスCD117(c−Kit)(カタログ番号15−1171−81)はeBiosciences由来であった。
蛍光活性化細胞分取(FACS)分析
細胞表面マーカーの染色のために使用した抗体は、以下の供給源由来であった:マウス系譜パネル抗体は、Becton Dickinson Biosciences由来であり(BD 559971、抗CD3ε、抗CD11b、抗CD45R、抗Ly−6G/Ly−6c、抗Ter−119のビオチン化型を含有する)、アフィニティ精製ラット抗マウスCD16/CD32(マウスFcγII/IIIブロック、BD553142)および蛍光色素ストレプトアビジン−アロフィコシアニン−Cy7(ストレプトアビジンAPC−Cy7、BD554063)もまた、Becton Dickinson Biosciences由来であった。フィコエリトリン(PE)−Cy7標識抗マウスLy6A/E(=幹細胞抗原−1=Sca1)PE−Cy7(カタログ番号25−5981−82)およびPE−Cy5抗マウスCD117(c−Kit)(カタログ番号15−1171−81)はeBiosciences由来であった。
MACS直後、1*106系譜陽性(Lin+)および陰性(Lin−)細胞を、FACS試験管に移し、そして50μL PBS中、氷上で保存した。その間、以下のFACS抗体を希釈し(1:50)、そしてPBS中で混合した:抗CD16/CD32精製(Fc受容体をブロッキングするため)、ビオチン化抗CD3ε、ビオチン化抗CD11b、ビオチン化抗CD45R、ビオチン化抗Ly−6G/Ly−6C、およびビオチン化抗Ter−119、ストレプトアビジン標識APC−Cy7、PE−Cy7標識抗Sca−1、PE−Cy5標識抗c−kit。このマスター混合物(50μL)を各試料に添加し、次いでこれを穏やかなボルテックスによって混合し、そして暗所で15分間、4℃でインキュベーションした。その後、遠心分離によって細胞を採取し、2mL PBS中で洗浄し、そしてPBS中に再懸濁した。FACS Canto II(Becton Dickinson)中で試料を分析した。ゲート化法は以下の通りとした:前方および側方散乱を記録することによって、生存細胞に関するゲートを設定した。系譜マーカー(すなわちCD11b、CD45R、Ly−6G/Ly−6C、Ter−119)の発現に基づいて、生存細胞をさらに区別した。これによって、Lin−細胞に関するゲートを定義することが可能になり、Sca−1およびc−Kitの発現に関して、これをさらに分析した。
[3H]cAMP集積アッセイ
各0.5mg/Lのベンジルペニシリンおよびストレプトマイシン、各50ng/mLのネズミ幹細胞因子(mSCF)、ヒトFlt−3、hIL−11 50ng/mL、m−IL3(10ng/mL)(すべてPreProTech)、10μg/mLアデノシンデアミナーゼ(Roche)および[3H]アデニン(Perkin Elmer、1μCi/mL)を含有する1mLの幹細胞培地(Stem Spam SFEM、Stem Cell Tech #09650)中で、Lin−/Sca1+細胞をインキュベーションした。プレインキュベーションを37℃で4時間続けた。次いで、細胞を化合物(フォルスコリン、トレプロスチニルおよび他のプロスタノイド;コレラ毒素)で1時間刺激した。次いで、細胞をペレットにし(100g、5分間)、培地を除去し、そして0.1mM cAMPを含有する氷冷2.5%過塩素酸(0.9mL)中にペレットを溶解
し、氷上で1時間保持し、そして4.2M KOH(0.1mL)で中和した。系譜マーカー陽性細胞を類似の方式で、しかし血清不含幹細胞培地の代わりにRMPIを含有する培地でプレインキュベーションした。Dowex AG50−X8および中性アルミナを含有するカラム上の連続クロマトグラフィーによって、ATPおよびcAMPを分離した(12)。
各0.5mg/Lのベンジルペニシリンおよびストレプトマイシン、各50ng/mLのネズミ幹細胞因子(mSCF)、ヒトFlt−3、hIL−11 50ng/mL、m−IL3(10ng/mL)(すべてPreProTech)、10μg/mLアデノシンデアミナーゼ(Roche)および[3H]アデニン(Perkin Elmer、1μCi/mL)を含有する1mLの幹細胞培地(Stem Spam SFEM、Stem Cell Tech #09650)中で、Lin−/Sca1+細胞をインキュベーションした。プレインキュベーションを37℃で4時間続けた。次いで、細胞を化合物(フォルスコリン、トレプロスチニルおよび他のプロスタノイド;コレラ毒素)で1時間刺激した。次いで、細胞をペレットにし(100g、5分間)、培地を除去し、そして0.1mM cAMPを含有する氷冷2.5%過塩素酸(0.9mL)中にペレットを溶解
し、氷上で1時間保持し、そして4.2M KOH(0.1mL)で中和した。系譜マーカー陽性細胞を類似の方式で、しかし血清不含幹細胞培地の代わりにRMPIを含有する培地でプレインキュベーションした。Dowex AG50−X8および中性アルミナを含有するカラム上の連続クロマトグラフィーによって、ATPおよびcAMPを分離した(12)。
相違が、フォルスコリンの存在下でのみ見られうるという事実は、技術的な問題である−シグナルは、フォルスコリン感作の非存在下では、異なる化合物、すなわちイロプロスト、ベラプロストおよびトレプロスチニルの間のいかなる相違も示すには低すぎる。感作は、これらの細胞が極端に低いcAMPを含有するため、受容体反応に関して感作されることを意味する。
トレポスチニルに関する濃度反応曲線(図5)にしたがって、cAMPの増加がフォルスコリンの添加を伴わずに有意であることが明らかに示されうる。
骨髄移植:
同質遺伝子レシピエントマウスを致死性放射線照射に供した。造血幹細胞の静脈内投与によってレスキューされない場合、これらのマウスは最初の2週間で死んだ。Lin−(Sca1+およびc−Kit+)造血幹細胞を上に概略するように調製し、そして10μMトレプロスチニルの非存在下および存在下、トレプロスチニル+30μMフォルスコリン(FSK)の組み合わせの非存在下および存在下、10μg/mLコレラ毒素の非存在下および存在下で、ex vivoで、37℃で1時間前処理した。その後、細胞(3x105/マウス)に、尾静脈を通じて注射した。FACSによって白血球数を決定した。白血球数を第9日(血球数が〜1G/Lの時点)から始めて5日ごとに決定した。
骨髄移植:
同質遺伝子レシピエントマウスを致死性放射線照射に供した。造血幹細胞の静脈内投与によってレスキューされない場合、これらのマウスは最初の2週間で死んだ。Lin−(Sca1+およびc−Kit+)造血幹細胞を上に概略するように調製し、そして10μMトレプロスチニルの非存在下および存在下、トレプロスチニル+30μMフォルスコリン(FSK)の組み合わせの非存在下および存在下、10μg/mLコレラ毒素の非存在下および存在下で、ex vivoで、37℃で1時間前処理した。その後、細胞(3x105/マウス)に、尾静脈を通じて注射した。FACSによって白血球数を決定した。白血球数を第9日(血球数が〜1G/Lの時点)から始めて5日ごとに決定した。
結果
造血幹細胞の精製:
MACSに基づく方法は、磁気ビーズ上に系譜マーカー陽性(Lin+)細胞を保持し、そして系譜マーカー陰性細胞(Lin−)の回収を可能にする:細胞集団の性質をFACSによって特徴付けた。MACS保持細胞集団では、実際、系譜特異的マーカーに関して染色された細胞が濃縮されており、そして幹細胞受容体c−Kit/CD117を欠いていた(図1)。
造血幹細胞の精製:
MACSに基づく方法は、磁気ビーズ上に系譜マーカー陽性(Lin+)細胞を保持し、そして系譜マーカー陰性細胞(Lin−)の回収を可能にする:細胞集団の性質をFACSによって特徴付けた。MACS保持細胞集団では、実際、系譜特異的マーカーに関して染色された細胞が濃縮されており、そして幹細胞受容体c−Kit/CD117を欠いていた(図1)。
対照的に、カラムフロースルーから回収された細胞は、主に、上部左象限に見られ、すなわち、これらは高いc−Kitレベルを示し、そしてAPC−Cy7−A蛍光を欠いており、これは系譜マーカーの枯渇を示した(図2)。
c−KitおよびSca−1(幹細胞抗原−1)の両方に関して染色することによって、細胞集団をさらに評価した:系譜陽性細胞は、これらの2つのマーカーを欠き(図3A)、一方、系譜陰性分画は、高レベルのc−Kitまたはc−KitおよびSca−1の組み合わせを発現した(図3B)。
c−Kit+およびSca1+細胞におけるサイクリックAMP集積
造血幹細胞のアデニンヌクレオチドプール(c−Kit+およびSca−1+集団、図3Bを参照されたい)を、[3H]アデニンで代謝的に標識し、そしてトレプロスチニルおよび他のプロスタグランジン受容体アゴニストに対するその反応を調べた。これらの細胞は、非常に穏やかなcAMP反応を有するため、フォルスコリンを用いることによって、酵素を感作した。このジテルペンは、アデニリルシクラーゼの触媒性C1およびC2ドメインの間の偽基質間隙において結合し、そして酵素の多様なアイソフォームを刺激性Gタンパク質Gαsに対してより反応性を高める(13〜15)。図4からわかるように、トレプロスチニル、ベラプロストおよびイロプロストは、それ自体、cAMPの穏やかな
集積を引き起こし、これは30μMフォルスコリンによって誘発される度合いと同程度であった。しかし、フォルスコリンと組み合わせた際、トレプロスチニルは、IP(Iプロスタノイド)受容体特異的化合物イロプロストおよびベラプロストによって引き起こされるものを超えるcAMPレベルの増加を引き起こした。これは、EP(Eプロスタノイド)受容体に対するトレプロスチニルの作用を考慮に入れると合理的でありうる(10)。トレプロスチニルは、0.1〜10μMの範囲でcAMPの濃度依存性集積を引き起こした(図5)。概算されるEC50は、0.3μMの範囲であった。トレプロスチニルは、Lin+造血細胞分画において、cAMPレベルを増加させることができなかった(データ未提示)。
造血幹細胞のアデニンヌクレオチドプール(c−Kit+およびSca−1+集団、図3Bを参照されたい)を、[3H]アデニンで代謝的に標識し、そしてトレプロスチニルおよび他のプロスタグランジン受容体アゴニストに対するその反応を調べた。これらの細胞は、非常に穏やかなcAMP反応を有するため、フォルスコリンを用いることによって、酵素を感作した。このジテルペンは、アデニリルシクラーゼの触媒性C1およびC2ドメインの間の偽基質間隙において結合し、そして酵素の多様なアイソフォームを刺激性Gタンパク質Gαsに対してより反応性を高める(13〜15)。図4からわかるように、トレプロスチニル、ベラプロストおよびイロプロストは、それ自体、cAMPの穏やかな
集積を引き起こし、これは30μMフォルスコリンによって誘発される度合いと同程度であった。しかし、フォルスコリンと組み合わせた際、トレプロスチニルは、IP(Iプロスタノイド)受容体特異的化合物イロプロストおよびベラプロストによって引き起こされるものを超えるcAMPレベルの増加を引き起こした。これは、EP(Eプロスタノイド)受容体に対するトレプロスチニルの作用を考慮に入れると合理的でありうる(10)。トレプロスチニルは、0.1〜10μMの範囲でcAMPの濃度依存性集積を引き起こした(図5)。概算されるEC50は、0.3μMの範囲であった。トレプロスチニルは、Lin+造血細胞分画において、cAMPレベルを増加させることができなかった(データ未提示)。
(Lin−、c−Kit+、Sca1+)造血幹細胞による骨髄の再構成
致死性に放射線照射されたマウスを、3*105Lin−、c−Kit+、Sca1+細胞の静脈内注射によってレスキューした。白血球数は、第9日、最下点から増加し始め、そして次の数週間に渡ってゆっくりと増加した。60日後、循環白血球は生着した造血幹細胞から産生されたもののみであり得たため、造血幹細胞注射60日後の白血球レベルを適切な終点として選択した。図6からわかるように、トレプロスチニル前処理造血幹細胞を注射されたマウスは、ビヒクル処理造血幹細胞を受けたものよりも有意により高いレベルの循環白血球を有した(p<0.05、独立データに関するt−検定)。
致死性に放射線照射されたマウスを、3*105Lin−、c−Kit+、Sca1+細胞の静脈内注射によってレスキューした。白血球数は、第9日、最下点から増加し始め、そして次の数週間に渡ってゆっくりと増加した。60日後、循環白血球は生着した造血幹細胞から産生されたもののみであり得たため、造血幹細胞注射60日後の白血球レベルを適切な終点として選択した。図6からわかるように、トレプロスチニル前処理造血幹細胞を注射されたマウスは、ビヒクル処理造血幹細胞を受けたものよりも有意により高いレベルの循環白血球を有した(p<0.05、独立データに関するt−検定)。
さらなる対照として、動物に
(i)コレラ毒素は最も有効でそして持続性のGαs活性剤であるため、コレラ毒素で処理した細胞、
(ii)上述のように、フォルスコリンはアデニリルシクラーゼアイソフォームを直接活性化するため、フォルスコリン
(iii)フォルスコリンおよびトレプロスチニルの組み合わせ
を注射した。
(i)コレラ毒素は最も有効でそして持続性のGαs活性剤であるため、コレラ毒素で処理した細胞、
(ii)上述のように、フォルスコリンはアデニリルシクラーゼアイソフォームを直接活性化するため、フォルスコリン
(iii)フォルスコリンおよびトレプロスチニルの組み合わせ
を注射した。
トレプロスチニルは、有効なex vivo操作として確立された陽性対照コレラ毒素(1、2)と同程度に有効であったことが明らかである。
実施例2
骨髄幹細胞の単離
C57BL/6およびB6SJLマウスを屠殺し、そして骨髄幹細胞を実施例1に記載するように単離した。
実施例2
骨髄幹細胞の単離
C57BL/6およびB6SJLマウスを屠殺し、そして骨髄幹細胞を実施例1に記載するように単離した。
単離幹細胞のin vitro前処理
C57BL/6またはC6SJLマウス由来の骨髄幹細胞をin vitroでコレラ毒素(CTX)またはトレプロスチニル+フォルスコリン(FSK)で前処理し、そして幹細胞をLy5.2またはLy5.1でマーキングする。
C57BL/6またはC6SJLマウス由来の骨髄幹細胞をin vitroでコレラ毒素(CTX)またはトレプロスチニル+フォルスコリン(FSK)で前処理し、そして幹細胞をLy5.2またはLy5.1でマーキングする。
最初の実験において、C57BL/6マウス由来の骨髄幹細胞を、前処理なしに用い、そして幹細胞をLy5.2でマーキングした。C6JL由来の骨髄幹細胞をin vitroでコレラ毒素またはトレプロスチニル+フォルスコリンで前処理し、そして幹細胞をLy5.1でマーキングした。
比較研究のため、Ly5.1+細胞およびLy5.2+細胞の1:1混合物を、骨髄移植によってマウスに導入し、そしてLy5.2陽性血球およびLy5.1陽性血球の比を最初に測定した。次いで、骨髄移植の16週後、血球増殖を測定した。結果を図7に示し、ここで、トレプロスチニル/FSK前処理細胞(Ly5.1+)は、未処理細胞およびCTで前処理した細胞と比較して、有意に増加した増殖を示すことが明らかに示される。
第二の実験において、C57BL/6由来の骨髄幹細胞をin vitroでコレラ毒素またはトレプロスチニル+フォルスコリンで前処理し、そして幹細胞をLy5.2でマーキングした。Ly5.1でマーキングされたC6JLマウス由来の骨髄幹細胞を、いかなる前処理も伴わずに用いた。
再び、比較研究のため、Ly5.1+細胞およびLy5.2+細胞の1:1混合物を骨髄移植によってマウス内に導入し、そしてLy5.2陽性血球およびLy5.1陽性血球の比を最初に測定した。次いで、骨髄移植16週後、血球増殖を測定した。結果を図8に示し、ここで再び、明らかにトレプロスチニル/FSK前処理細胞(Ly5.2+)は、未処理細胞およびCTで前処理した細胞と比較して、有意に増加した増殖を示すことが立証される。したがって、トレプロスチニルおよびフォルスコリンの影響は、骨髄細胞の起源には依存しないことが示されうる。
トレプロスチニルおよびフォルスコリンの組み合わせは、したがって、造血幹細胞の生着を増加させ、そしてコレラ毒素での前処理と同程度にまたはそれよりも有効である。
参考文献
参考文献
Claims (17)
- 造血幹細胞(HSC)のex vivo前処理によって、HSCの生着を増進させるための方法であって:
a.造血幹細胞を含有する試料を得て、
b.前記試料に少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体を混合して、混合物を得て、
c.前記細胞においてGアルファsシグナル伝達を刺激するのに十分な期間、前記混合物をインキュベーションして、そして場合によって
d.前記の刺激された細胞を単離する
工程を含む、前記方法。 - 前記プロスタサイクリン類似体が、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよびベラプロストまたはその薬学的に許容されうる塩の群より選択される、請求項1記載の方法。
- 前記プロスタサイクリン類似体がトレプロスチニルである、請求項1または2記載の方法。
- 前記トレプロスチニルが、トレプロスチニルの酸誘導体、トレプロスチニルのプロドラッグ、トレプロスチニルの多形およびトレプロスチニルの異性体の群より選択されるトレプロスチニル誘導体である、請求項3記載の方法。
- 前記試料が骨髄である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
- 試料を少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体と、好ましくはコレラ毒素およびフォルスコリンより選択される非特異的cAMP活性化剤と一緒に混合する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- 少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体を含む、骨髄疾患を患う個体の治療において使用するための組成物。
- 前記プロスタサイクリン類似体が、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストおよびベラプロストまたはその薬学的に許容されうる塩の群より選択される、請求項7記載の組成物。
- 前記プロスタサイクリン類似体が、トレプロスチニル、好ましくは、トレプロスチニルの酸誘導体、トレプロスチニルのプロドラッグ、トレプロスチニルの多形およびトレプロスチニルの異性体の群より選択されるトレプロスチニル誘導体である、請求項7または8記載の組成物。
- 骨髄疾患が、白血病、血球区画の欠陥、化学療法または放射線照射によって引き起こされる骨髄疾患である、請求項7〜9のいずれか一項記載の組成物。
- 血球区画の前記欠陥が、ヘモグロビン症または好中球顆粒球機能の欠陥である、請求項10記載の組成物。
- プロスタサイクリン類似体を、骨髄移植後、少なくとも7日間、好ましくは少なくとも10日間、好ましくは少なくとも14日間、投与することによって、骨髄疾患を患う被験体の治療において使用するための、請求項7〜11のいずれか一項記載の組成物。
- 少なくとも1つのプロスタサイクリン類似体および刺激された造血幹細胞を含む、組成物。
- 薬学的組成物である、請求項7〜13のいずれか一項記載の組成物。
- フォルスコリンをさらに含む、請求項7〜14のいずれか一項記載の組成物。
- 静脈内または皮下投与のための、あるいは持続放出型、錠剤およびカプセルの群より選択される経口的に利用可能な型である、請求項7〜15のいずれか一項記載の組成物。
- 前記幹細胞が、臍帯血、ドナー骨髄または胎盤由来である、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法、または請求項7〜16のいずれか一項記載の組成物。
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