〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明すると以下の通りである。以下の各実施形態では、本発明の通信装置を電話機に適用した場合について説明する。なお、本明細書において「デモ機能」または「模擬機能」とは、電話機が備えた各種機能を模擬して、ユーザからの入力操作に応じた挙動をユーザに提示する機能を意味する。本発明に係る通信装置は、デモ機能によって、通信装置の機能をユーザに疑似体験させることができる。ここでは、「デモモード」は、上記電話機が上記デモ機能を実行している状態を意味する。これに対し、「非デモモード」は、デモモードではない状態を意味する。
(電話機1の外観)
図2は、本実施形態に係る電話機1の外観の一例を示す図である。図2に示すように、電話機1は、操作部2、受話器4、第2音声出力部6および表示部7を備えている。電話機1のユーザは、電話回線網を介して、他の電話機等と通話をすることができる(電話機1の通話機能)。なお、電話機1は、通話機能に加えて、ファクシミリ機能等、他の機能をさらに備えていてもよい。
操作部2は、電話機1を操作するためのものであり、例えば、ハードウェアキーで構成される。具体的には、操作部2は、例えば、通信相手のダイヤル番号を入力するためのテンキー、ならびに、シャープ(#)キーおよびアスタリスク(*)キーなどを含むキー群B0を含む。また、表示部7に登録電話番号を表示させるための電話帳ボタンB1、受話音量を変更するための音量大ボタンB2、電話機1が実行している機能を停止するための停止ボタンB3、および、お名前確認機能等の各種機能(後述)を実行させるための機能実行ボタンB4などを含む。機能実行ボタンB4は、各種機能および当該機能のデモ機能を呼び出す際に用いられる。電話機1が備える機能の具体例については、詳細を後述する。また、電話機1は、着信があったときに点灯または点滅するLED9(図1)をさらに備えている。
受話器4は、ユーザが音声を電話機に入力したり、電話機が出力する音声を聴取したりするためのものであり、図示していない音声入力部、および、音声を出力するための後述する第1音声出力部41(図1)を備えている。音声入力部は、該音声入力部付近の音を集音して、集音した音を電気信号に変換して制御部3に出力するものであり、例えばマイクである。また、第1音声出力部41は、制御部3が出力した電気信号を音に変換して出力するものであり、例えば、スピーカである。第1音声出力部41は、受話器4を耳に当てて使用しているユーザの耳に音声を届けるのに使用される。なお、図2では、受話器4がコードレスである例を示している。受話器4は、いわゆる受話子機である。無論、受話器4は電話機1の本体とコードで接続されていてもよい。また、電話機1は、1または複数の受話子機を設けることが可能となっていてもよく、受話子機を操作することによっても、デモを体験できるようにしてもよい。
第2音声出力部6は、第1音声出力部41と同様、制御部3から出力された電気信号を音として外部に出力するものであり、例えばスピーカであってもよい。第2音声出力部6は、例えば、お名前確認機能(後述)またはそのデモ機能が実行される場合、音声を出力する。図2において、第2音声出力部6は受話器4に設けられているが、電話機1の任意の位置に配置されてもよい。すなわち、第2音声出力部6の配置は特に限定されない。
表示部7は、制御部3の制御に従って画像を表示するものである。特に、表示部7は、電話機1がデモ機能を実行している場合、ユーザが選択可能な操作内容を表示したり、当該デモモードにおいて現在実行されている工程を表示したりする。その他、表示部7は、例えば、着信相手の電話番号、入力した電話番号等、他の電話機との通話に関わる情報、および、各種機能の実行操作をガイドするためのメニュー画面等、ユーザが電話機1を操作するために参照する情報などを表示してもよい。表示部7としては、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイなどを適用することが可能である。
〔電話機1の構成〕
図1は、電話機1の要部構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、電話機1は、操作部2、制御部3、受話器4、記憶部5、第2音声出力部6、表示部7、フック8およびLED9を備えている。
フック8は、受話器4の状態、具体的には、受話器4が外れているか否かを検出して、その検出信号を制御部3に出力する。
LED(バックライトLED)9は、発光素子であり、操作部2の各種ボタンの背面等に設けられている。制御部3の指示に従い点灯または点滅する。LED9の点滅の間隔、発光色についても制御部3が制御してもよい。
記憶部5は、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成され、特に、電話機1が本発明の通信装置として機能するために必要なプログラムを格納する。また、記憶部5は、電話機能記憶部51およびデモ実行情報記憶部52を含む。
電話機能記憶部51は、電話機1の電話機能実行部33が参照する情報を格納するものである。具体的には、電話機能記憶部51には、ユーザが登録した電話番号(登録番号)が記載された登録番号リスト511が格納される。登録番号リスト511に記載された電話番号は、ユーザが応答を拒否することを希望する「お断り番号」と、ユーザが応答を拒否することを希望しない「安心番号」(例えば、電話帳に登録された電話番号を含む)とに分類される。電話機能記憶部51には、さらに、電話機1の各種機能が実行されるときに使用される図示しない音声データ、および、表示データなどが格納される。
デモ実行情報記憶部52は、電話機1の電話機能模擬部(模擬機能実行手段)34が参照する情報を格納するものである。具体的には、デモ実行情報記憶部52には、実行パターン情報521、音声データ522、表示データ523、および擬似登録番号リスト524が格納されている。
実行パターン情報521は、ユーザ操作に応じた電話機能模擬部34の挙動内容を示す情報である。電話機能模擬部34は、実行パターン情報521に従った挙動を実行することにより、電話機能実行部33の機能を模擬する。
音声データ522は、電話機能模擬部34が、電話機能実行部33の機能を模擬する際に使用する音声データである。上記音声データに基づいて、第2音声出力部6(または第1音声出力部41)からの音声出力が行われる。表示データ523は、電話機能模擬部34が、電話機能実行部33の機能を模擬する際に使用する表示データである。上記表示データに基づいて表示部7への表示が行われる。
擬似登録番号リスト524は、(使用されていない)電話番号が記載された擬似的な登録番号のリストである。擬似登録番号リスト524は、擬似的な「お断り番号」と、擬似的な「安心番号」とに分類されている。なお、擬似登録番号リスト524は、デモ機能が実行される前に、ユーザまたは店員によって入力されてもよい。
制御部3は、記憶部5から一時記憶部(不図示)に読み出されたプログラムを実行することにより、各種の演算を行うと共に、電話機1が備える各部を統括的に制御するものである。
本実施形態では、制御部3は、機能ブロックとして、操作入力取得部31、モード切替部32、電話機能実行部33、電話機能模擬部34、音声制御部35および表示制御部36を備える構成である。これらの制御部3の各機能ブロック(31〜36)は、CPU(central processing unit)が、ROM(read only memory)等で実現された記憶装置(記憶部5)に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等で実現された一時記憶部に読み出して実行することで実現できる。
操作入力取得部31は、ユーザが電話機1を操作することによって、操作部2またはフック8から出力される信号を取得するものである。具体的には、操作入力取得部31は、操作部2から出力された信号に応じて、操作部2のいずれのキーが押下されたのかを示すキー情報をモード切替部32に送信する。また、フック8から出力された信号に応じて、受話器4が外れているか否か(オンフックまたはオフフック)を示す受話器状態情報をモード切替部32に送信する。
モード切替部32は、電話機1のモードの切り替えを行うものである。具体的には、モード切替部32は、電話機1の現在のモードと、そのモードのときに入力されたキー情報に基づいて、電話機1のモードを、非デモモードまたはデモモードに切り替える。
そして、モード切替部32は、電話機1のモードをデモモードに切り替えた場合、デモモードの開始を電話機能模擬部34に指示する。また、デモモードの間、モード切替部32は、操作入力取得部31から受信したキー情報または受話器状態情報を電話機能模擬部34に供給する。
一方、モード切替部32は、電話機1のモードを非デモモードに切り替えた場合、非デモモードの開始を電話機能実行部33に指示する。また、非デモモードの間、モード切替部32は、操作入力取得部31から受信したキー情報または受話器状態情報を電話機能実行部33に供給する。
電話機能実行部33は、電話機1の各部を制御することにより、電話機1が備える機能を実行するものである。電話機能実行部33が実行する機能には、着番号表示機能、お名前確認機能、および着番号登録機能が含まれる。なお、電話機能実行部33は、音声制御部35、音声制御部35、およびLED制御部37などを制御して、ユーザに対して各種情報を提供することもできる。
ここで、着番号表示機能とは、電話機1に着信があった場合に、着番号(着信電話番号。すなわち発信元の電話番号)を表示部7に表示するとともに、着信音を鳴動させる機能である。また、お名前確認機能とは、電話機1に着信があった場合において、着番号が記憶部5の電話帳(または「安心番号」)に登録されていない未登録番号である場合、受話器4がオフフックされる前に、先方(すなわち、発信元の人物)の名前を確認する機能である。また、着番号登録機能とは、着番号が未登録番号である場合に、その着番号を「お断り番号」または「安心番号」に登録することをユーザに選択させる機能である。
「お断り番号」とは、ユーザが着信を拒否したい迷惑電話などの発信元の電話番号である。電話機1が「お断り番号」から着信を受けた場合、電話機能実行部33は、自動的に応答を拒否する。「安心番号」とは、ユーザが着信を拒否しない電話番号である。あるいは、「お断り番号」に登録されている電話番号から着信があった場合、電話機能実行部33は、LED9を赤色で発光させる。一方、「安心番号」に登録されている電話番号から着信があった場合、電話機能実行部33は、LED9を緑色で発光させる。
なお、記憶部5の電話帳に記録されている電話番号は、「お断り番号」および「安心番号」を含んでいてもよいし、「お断り番号」および「安心番号」とは無関係であってもよい。後者の構成では、「お断り番号」および「安心番号」は、電話帳に記録されている電話番号とは分けて、記憶部5に記録される。
さらに、電話機能実行部33は、販促機能実行部(図示せず)を備えていてもよい。販促機能実行部は、電話機1をプレゼンモードへ遷移させる。また、電話機1がプレゼンモードであるとき、電話機1の各部を制御することによりプレゼンテーション機能を実行する。ここで、プレゼンモードは、主に店頭などで、電話機1が電話回線網に接続されていない場合に適用されることを想定したモードである。プレゼンモードは、電話機1が通信回線に接続された後には適用の必要がなくなる。つまり、プレゼンモードは、通常、電話機1が通信不可能な状態で使用されるモードであると言える。このため、販促機能実行部は、電話機1の電源がONとなって所定時間が経過しても通信回線に接続されたことが確認されない場合に、電話機1をプレゼンモードに遷移させてもよい。これにより、容易にプレゼンテーション機能を実行させることができる。
なお、電話機能実行部33が実行する上述の各機能は、例えば、電話機能記憶部51に格納されているプログラムを実行することによって実現されてもよい。無論、プログラムの格納場所は任意であってこの例に限られない。
電話機能模擬部34は、デモモード下で電話機能実行部33を制御することにより、お名前確認デモ機能等のデモ機能を実行するものである。具体的には、電話機能模擬部34は、擬似着番号設定部34A(擬似着番号取得部)と、着番号表示デモ実行部340と、お名前確認デモ実行部341と、着番号登録デモ実行部342とを含む。着番号表示デモ実行部340、お名前確認デモ実行部341、および着番号登録デモ実行部342は、本発明の模擬機能実行部である。
擬似着番号設定部34Aは、電話機1が着信を受けていない状況において、擬似的な着番号を設定する。例えば、擬似着番号設定部34Aは、ユーザが擬似的な着番号を入力する操作を受け付けてもよいし、予め記憶部5のデモ実行情報記憶部52に登録されている擬似的な着番号を設定してもよい。
また、着番号表示デモ実行部340は、後述する着番号表示デモ(図3参照)を実行する。お名前確認デモ実行部341は、実施形態2で説明するお名前確認デモ(図4参照)を実行する。また、着番号登録デモ実行部342は、実施形態3で説明する着番号登録デモを実行する。なお、電話機能模擬部34は、少なくとも着番号表示デモ実行部340を備えていればよく、お名前確認デモ実行部341および着番号登録デモ実行部342の一方または両方を備えていなくてもよい。
音声制御部35は、音声データを生成し、第1音声出力部41または第2音声出力部6に出力する。具体的には、音声制御部35は、電話機能実行部33または電話機能模擬部34によって指定された、電話機能記憶部51に格納されている音声データ(図示せず)またはデモ実行情報記憶部52に格納されている音声データ522を読み出し、音声データを生成する。そして、生成した音声データを第1音声出力部41または第2音声出力部6に出力させる。
表示制御部36は、表示データを生成し、表示部7に表示する。具体的には、表示制御部36は、電話機能実行部33または電話機能模擬部34によって指定された、電話機能記憶部51に格納されている表示データ(図示せず)またはデモ実行情報記憶部52に格納されている表示データ523を読み出し、これを表示可能な形式に変換したデータを生成する。そして、生成したデータを表示部7に出力させる。
LED制御部37は、操作部2の各キーに設けられたLED9の発光を制御する。具体的には、LED制御部37は、電話機能実行部33または電話機能模擬部34からの指示にしたがって、指定されたキーのLED9の点灯、点滅および消灯を制御する。
(着番号表示デモ)
図3を用いて、電話機能模擬部34の着番号表示デモ実行部340が、電話機能実行部33を制御することによって実行する着番号表示デモの流れを説明する。着番号表示デモにおいて、着番号表示デモ実行部340は、交換機と通信する(制御部3が備えた図示しない)信号処理部の動作を模擬することによって、電話機能実行部33に擬似的な着番号表示機能を実行させる。
図3は、着番号表示デモの流れを示すフローチャートである。図3に示すように、着番号表示デモは、概略的に、擬似的な着番号を表示部7に表示する擬似着番号表示処理S1と、着信音を一定時間ごとに繰り返し鳴動させる擬似着信処理S2とに分けられる。
擬似着番号表示処理S1では、着番号表示デモ実行部340は、まず、情報受信端末としての電話機1を起動させる情報受信端末起動信号(CAR)を信号処理部が交換機から受信した場合に発行するイベント情報を模擬した模擬イベント情報を、電話機能実行部33に送信する(S10)。
電話機能実行部33は、着番号表示デモ実行部340から、信号処理部が交換機から情報受信端末起動信号(CAR)を受信した場合に発行するイベント情報を模擬した擬似イベント情報を受信する(S11)。そして、電話機能実行部33は、擬似イベント情報を受信した時点から120msが経過するまで待機した後(S12)、電話回線を閉結する(すなわち、電話回線を閉にする)とともに、一次応答信号を信号処理部に送信する(S13)。また、電話機能実行部33は、着番号表示デモ実行部340に対して、電話回線を閉結した場合に発行して信号処理部に送信する終了イベント情報を通知する。ここで、S12における待機時間は、交換機側が定める基準にしたがう時間であれば、特に限定されない。なお、電話機1が実際に着信を受けた場合、一次応答信号を受信した信号処理部は、その一次応答信号を交換機に転送するが、着番号表示デモにおいては、信号処理部は、一次応答信号を交換機に送信しない。
終了イベント情報の通知を受けた着番号表示デモ実行部340は、200msのタイマーを起動させる。また、擬似着番号設定部34Aが、予めデモ実行情報記憶部52の擬似登録番号リスト524に記載されている擬似的な着番号の情報を、擬似着番号設定部34Aのバッファに格納する(S14、擬似着番号取得ステップ)。あるいは、擬似着番号設定部34Aは、電話機能記憶部51に登録されている登録番号を、擬似的な着番号として使用してもよいし、ユーザまたは店員が入力した電話番号を、擬似的な着番号として使用してもよい。
その後、着番号表示デモ実行部340は、終了イベント情報の通知を受けた時点から200msが経過した後、バッファに着番号が格納された場合に信号処理部が発行するイベント情報を模擬した擬似イベント情報を、電話機能実行部33に通知する。ここで、タイマーによる待機時間200msは、一次応答信号を受信した交換機が着番号の情報を送信するまでに要する時間(例えば、100ms〜3sec)の範囲内から選択される。
擬似イベント情報の通知を受けた電話機能実行部33は、バッファに格納されている擬似的な着番号の情報を取得して、(表示制御部36を制御することによって)表示部7に着番号を表示する(S15、模擬機能実行ステップ)。また、擬似的な着番号が電話機能記憶部51に「お断り番号」として登録されている場合、電話機能実行部33は、応答を自動的に拒否する(迷惑電話拒否機能)。以下では、擬似的な着番号は「お断り番号」ではないとする。
次に、電話機能実行部33は、300msが経過するまで待機する(S16)。その後、電話機能実行部33は、電話回線を開放するとともに、CARの受信を完了した旨を交換機に通知するための受信完了信号を、信号処理部に送信する(S17)。ここで、S16における待機時間は、交換機側が定める基準にしたがう時間であれば、特に限定されない。なお、電話機1が実際に着信を受けた場合、信号処理部は、受信完了信号を交換機に転送するが、着番号表示デモにおいては、信号処理部は、受信完了信号を交換機に送信しない。
また、電話機能実行部33は、着番号の受信を完了した場合に発行して信号処理部に送信する終了イベント情報を、着番号表示デモ実行部340に通知する。なお、電話機能実行部33が表示部7に着番号を表示した後、電話機能模擬部34のお名前確認デモ実行部341は、後述するお名前確認デモ(図4参照)を開始してよい。
終了イベント情報の通知を受けた着番号表示デモ実行部340は、300msのタイマーを起動させる(S18)。その後、着番号表示デモ実行部340は、終了イベント情報の通知を受けてから300msが経過した後、信号処理部が交換機から呼出信号(IR)を受信した場合に発行されるイベント情報を模擬した擬似イベント情報を、電話機能実行部33に通知する。
続いて、着番号表示デモ実行部340は擬似着信処理S2を実行する。なお、擬似着信処理S2が開始されるとともに、電話機能模擬部34のお名前確認デモ実行部341は、後述するお名前確認デモ(図4参照)を開始してもよい。
図3に示すように、擬似着信処理S2では、擬似イベント情報の通知を受けた電話機能実行部33は、音声制御部35を制御することによって、第2音声出力部6から着信音を出力させる。また、LED制御部37を制御することによって、LED9を発光(点滅または点灯)させる(着信音鳴動処理S20)。
着番号表示デモ実行部340は、電話機能実行部33が着信音鳴動処理S20を開始した時点から、1000msのタイマーを起動させる。そして、電話機能実行部33が着信音鳴動処理S20を開始した時点から1000msが経過した後、着番号表示デモ実行部340は、信号処理部が交換機から信号を受信したときに信号処理部が発行するイベント情報を模擬した擬似イベント情報を、電話機能実行部33に通知する(S21)。なお、電話機1が実際に着信を受けた場合、信号処理部は、上記信号を交換機から受信したとき、着信音の鳴動を停止させる。
擬似イベント情報を受信した電話機能実行部33は、交換機からの上記信号を受信した場合と同様に、着信音の鳴動を停止させる(着信音停止処理S22)。
着番号表示デモ実行部340は、電話機能実行部33が着信音停止処理S22を開始した時点から、2000msのタイマーを起動させる。そして、電話機能実行部33が着信音停止処理S22を開始した時点から2000msが経過した後、着番号表示デモ実行部340は、信号処理部が交換機から信号を受信したときに信号処理部が発行するイベント情報を模擬した擬似イベント情報を、電話機能実行部33に通知する(S23)。なお、電話機1が実際に着信を受けた場合、信号処理部は、上記信号を交換機から受信したとき、着信音の鳴動を再開させる。以後、擬似着信処理S2は、ユーザが通話を開始するか、外線自動応答が開始されるか、あるいは電話回線が開放される(すなわち、電話回線が開になる)まで繰り返し実行される。
ユーザが通話を開始するか、外線自動応答が開始されるか、あるいは電話回線が開放された場合、擬似着信処理S2は終了する。なお、擬似着信処理S2が開始された後、電話機能模擬部34のお名前確認デモ実行部341は、実施形態2で説明するお名前確認デモ(図4参照)を実行してもよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、前記実施形態1で説明した着番号表示デモ(図3参照)の擬似着信処理S2が開始された後、電話機能模擬部34のお名前確認デモ実行部341がお名前確認デモを実行する構成を説明する。あるいは、お名前確認デモは、お名前確認デモと組み合わされず、単独で実行されてもよい。なお、お名前確認デモが単独で実行される場合、電話機1が所定の操作を受けた場合(例えば、機能実行ボタンB4および特定の数字のボタンが押下された場合)に、お名前確認デモ実行部341がお名前確認デモを実行してよい。
ここで、前記実施形態1で説明したように、お名前確認デモは、記憶部5の電話帳に登録されていない着番号から着信があった場合において、ユーザが通話を開始する前に先方の名前を尋ねるお名前確認機能を模擬する。
(お名前確認デモ)
図4を用いて、電話機能模擬部34のお名前確認デモ実行部341が実行するお名前確認デモの流れを説明する。図4はお名前確認デモの流れを示す図である。以下では、お名前確認デモは、前記実施形態1で説明した着番号表示デモの擬似着信処理S2が開始された後、実行されるとする。また、擬似的な着番号の情報が、バッファに予め格納されているとする。なお、お名前確認デモが単独で実行される場合、擬似着番号設定部34Aは、予め、擬似的な着番号をバッファに格納する。
図4に示すように、お名前確認デモ実行部341は、まず、擬似的な着番号の情報をバッファから取得して、取得した着番号が記憶部5の電話帳または「安心番号」に登録されている電話番号(登録番号)であるか否かを判定する(S101)。
着番号が登録番号である場合、お名前確認デモ実行部341は、先方の名前を確認しないことを決定する。この場合において、ユーザが着信に応答した場合、着番号表示デモ実行部340は、着信音の鳴動を停止させるとともに、表示部7に通話時間を表示する。その後、ユーザが終話した場合(S102)、着番号表示デモ実行部340は、電話機1を起動状態から待機状態に遷移させる。ここで、待機状態は、操作に対する応答が遅い一方、消費電力が低い電話機1の状態であってよい。
ユーザが着信に応答しなかった場合、お名前確認デモ実行部341は、「電話機1のユーザは不在である」旨の音声メッセージを再生する(S105)。
一方、着番号が電話帳に登録されていない未登録番号である場合、お名前確認デモ実行部341は、お名前確認デモを実行する。
まず、お名前確認デモ実行部341は、表示部7に「先方の名前を確認中である」旨のメッセージを表示するとともに、先方に名前を尋ねるための音声メッセージを再生する(S103)。お名前確認デモ実行部341は、電話機1の第1音声出力部41または第2音声出力部6から、この音声メッセージを出力する。しかしながら、お名前確認デモ実行部341は、擬似的な着番号に対して、この音声メッセージを実際に送信するわけではない。
次に、お名前確認デモ実行部341は、「先方の名前を確認中である」等のメッセージと、応答を拒否するための操作方法とを、交互に繰り返し表示する(S104)。図示しないが、応答を拒否するための操作が行われた場合(図4では、“1”ボタンが押下された場合)、お名前確認デモ実行部341は、「電話機1のユーザは応答しない」旨の音声メッセージを再生してもよい。ただし、擬似的な着番号に対して、この音声メッセージが実際に送信されるわけではない。
S104の後、所定時間が経過するまでに、ユーザが応答するための操作を行わなかった場合、お名前確認デモ実行部341は、「電話機1のユーザは不在である」旨の音声メッセージを再生する(S105)。この音声メッセージも、擬似的な着番号には送信されない。その後、お名前確認デモ実行部341は、電話回線を開放する。一方、ユーザが、着信に応答した場合、ユーザが終話した後、お名前確認デモ実行部341は、起動状態から待機状態に遷移する。
以上で、お名前確認デモは終了する。なお、お名前確認デモのS106が行われた後、電話機能模擬部34の着番号登録デモ実行部342は、実施形態3で説明する着番号登録デモ(図5参照)を続けて実行してもよい。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、前記実施形態2で説明したお名前確認デモ(図4参照)のS106が行われた後、電話機能模擬部34の着番号登録デモ実行部342が着番号登録デモを実行する構成を説明する。なお、着番号登録デモは、お名前確認デモと組み合わされず、単独で実行されてもよい。なお、着番号登録デモが単独で実行される場合、電話機1が所定の操作を受けた場合(例えば、機能実行ボタンB4および特定の数字のボタンが押下された場合)に、着番号登録デモ実行部342が着番号登録デモを実行してよい。
着番号登録デモとは、記憶部5の電話帳に登録されていない着番号を「お断り番号」または「安心番号」として電話機1に登録する着番号登録機能を模擬する機能である。着番号登録機能は、電話帳または「安心番号」に登録されていない電話番号から着信があった場合に、電話機能実行部33によって実行される。なお、以下で説明するように、着番号登録デモでは、擬似的な着番号を「お断り番号」または「安心番号」を登録する操作が行われた場合であっても、電話機能記憶部51には、「お断り番号」または「安心番号」は登録されない。電話機1は、実際には、擬似的な着番号から着信を受けていないからである。その代わりに、擬似的な着番号は、擬似的な「お断り番号」または擬似的な「安心番号」として、デモ実行情報記憶部52に登録されてもよい。デモ実行情報記憶部52に登録されている擬似登録番号リスト524は、電話機1が実際に着信を受けたとき、電話機能実行部33によって参照されることはないからである。
(着番号登録デモ)
図5を用いて、電話機能模擬部34の着番号登録デモ実行部342が実行する着番号登録デモの流れを説明する。図5は着番号登録デモの流れを示す図である。以下では、擬似的な着番号の情報が、バッファに予め格納されているとする。また、その擬似的な着番号は、記憶部5の電話帳にも「安心番号」にも登録されていないとする。
図5に示すように、着番号登録デモでは、着番号登録デモ実行部342は、まず、擬似的な着番号を「お断り番号」または「安心番号」のどちらとして登録するか、ユーザに選択させる(S201)。加えて、ユーザは、着番号を「お断り番号」および「安心番号」のどちらにも登録しないことを選択する(図5では停止ボタンを押下する)ことができてもよい。
ユーザが擬似的な着番号を「安心番号」として登録することを選択した場合(図5では、“1”ボタンを押下した場合)、着番号登録デモ実行部342は、その擬似的な着番号を「安心番号」として登録してよいか、ユーザに確認する(S202)。ユーザが確認の操作をする(図5では、決定ボタンを押下する)ことによって、擬似的な着番号は「安心番号」に登録される(S203)。
一方、ユーザが擬似的な着番号を「お断り番号」として登録することを選択した場合(図5では、“0”ボタンが押下された場合)、着番号登録デモ実行部342は、擬似的な着番号を「お断り番号」として登録してよいか、ユーザに確認する(S204)。ユーザが確認の操作をする(図5では、決定ボタンが押下される)ことによって、擬似的な着番号は「お断り番号」に登録される(S205)。
その後、着番号登録デモ実行部342は、「お断り番号」または「安心番号」に登録された擬似的な着番号を削除する。着番号登録デモでは、電話機1は、擬似的な着番号から、実際には着信を受けていないからである。
S203またはS205の後、着番号登録デモ実行部342は、電話機1を起動状態から待機状態に遷移させる。以上で、着番号登録デモは終了する。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、電話機能模擬部34の着番号表示デモ実行部340は、着番号表示デモの擬似着信処理S2(図3参照)において、擬似的な着番号が「安心番号」であるか「お断り番号」であるかに応じて、互いに異なる様態で、LED9を発光させる。ここで、LED9の発光の様態には、色、点滅のパターン、およびその組む合わせが含まれる。
以下で、着番号表示デモ実行部340が、擬似的な着番号が「安心番号」であるか「お断り番号」であるかに応じて、互いに異なる様態でLED9を発光させるいくつかの着番号表示デモの実施例を説明する。
(実施例1)
実施例1では、着番号表示デモ実行部340は、まず、(擬似的な着番号を参照せずに)「安心番号」から着信があった場合のように、LED9を緑色で発光させる。次に、(擬似的な着番号を参照せずに)「お断り番号」から着信があった場合のように、LED9を赤色で発光させる。
本実施例によれば、着番号表示デモ実行部340は、擬似的な着番号を参照しない。したがって、擬似着番号設定部34Aは、予め、擬似的な着番号を設定する必要がない。
(実施例2)
実施例2では、着番号表示デモ実行部340は、記憶部5の電話帳をクリアした後、一つ以上の電話番号を、「安心番号」として、その電話帳に登録する。擬似着番号設定部34Aは、まず、登録された「安心番号」の情報を、擬似的な着番号として、バッファに格納する。着番号表示デモ実行部340は、バッファに格納された「安心番号」を参照して、その「安心番号」から着信があった場合のように、LED9を特定の様態で発光させる。次に、擬似着番号設定部34Aは、登録された「安心番号」以外の電話番号の情報を、擬似的な着番号として、バッファに格納する。着番号表示デモ実行部340は、登録された「安心番号」以外の電話番号から着信があった場合のように、LED9を他の様態で発光させる。その後、着番号表示デモ実行部340は、電話帳に登録した擬似的な着番号を消去する。
本実施例によれば、電話帳に登録された「安心番号」から着信があった場合、および、その「安心番号」以外の電話番号から着信があった場合において、それぞれ、LED9がどのように発光するのかを、ユーザに疑似体験させることができる。
(実施例3)
本実施例は、前記実施例2の一変形例である。前記実施例2では、着番号表示デモ実行部340が、電話帳に「安心番号」を登録した。一方、本実施例では、着番号表示デモ実行部340は、ユーザ(または販売員等)から、電話帳に「安心番号」を登録する操作を受け付ける。
実施例3では、着番号表示デモ実行部340は、ユーザ(または販売員)から、一つ以上の電話番号を、「安心番号」として、その電話帳に登録することを受け付ける。前述したように、擬似着番号設定部34Aは、まず、登録された「安心番号」の情報を、擬似的な着番号として、バッファに格納する。次に、擬似着番号設定部34Aは、登録された「安心番号」以外の情報をバッファに格納する。着番号表示デモ実行部340は、バッファに格納された擬似的な着番号から着信があった場合のように、LED9を特定の様態で発光させる。その後、着番号表示デモ実行部340は、電話帳に登録した擬似的な着番号を消去する。
〔ソフトウェアによる実現例〕
電話機1の制御ブロック(特に電話機能実行部33および電話機能模擬部34)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、電話機1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電話機(1)は、着信電話番号に応じた機能を実行する電話機であって、擬似的な着信電話番号を取得する擬似着番号取得部(擬似着番号設定部34A)と、着信を受けていない状態において、上記擬似着番号取得部が取得した上記擬似的な着信電話番号を用いて、上記機能を模擬的に実行する模擬機能実行部(着番号表示デモ実行部340、お名前確認デモ実行部341、着番号登録デモ実行部342)と、を備えている。
上記の構成によれば、電話機が着信を受けていない状態であるとき、擬似的な着信電話番号に応じた機能を模擬した模擬的な機能が実行される。そのため、電話機が着信を受けていない状態であるとき、例えば、電話機が店頭に展示されている場合、あるいは電話機が通信回線に接続される前に、ユーザは、着信電話番号に応じた機能を擬似体験することができる。
本発明の態様2に係る電話機は、上記態様1において、上記機能は、着信を受けたときに当該着信に係る上記着信電話番号を表示する機能であり、上記模擬機能実行部は、上記着信に係る着信電話番号として、上記擬似的な着信電話番号を表示してもよい。
上記の構成によれば、電話機が着信を受けてないために、着信電話番号を表示する機能が実行されない状態であるときでも、擬似的な着信電話番号が表示されるので、ユーザは、上記機能を模擬体験することができる。
本発明の態様3に係る電話機は、上記態様1において、上記着信電話番号は予め分類されており、上記機能は上記着信電話番号に対応する分類に応じて異なる動作を行う機能であり、上記模擬機能実行部は、上記擬似的な着信電話番号の種類に応じて、上記機能を模擬的に実行してもよい。
上記の構成によれば、電話機が着信を受けていない状況において、ユーザは、擬似的な着信電話番号の種類に応じた機能を模擬体験することができる。
本発明の態様4に係る電話機は、上記態様1から3のいずれかにおいて、上記擬似着番号取得部は、予め記憶部に登録された一つ以上の電話番号を、順番に、上記擬似的な着信電話番号として取得してもよい。
上記の構成によれば、一つ以上の電話番号が、順番に、擬似的な着信電話番号として取得される。そのため、ユーザは、設定された擬似的な着信電話番号ごとに、その擬似的な着信電話番号に応じた機能を模擬体験することができる。
本発明の態様5に係る電話機は、上記態様1から3のいずれかにおいて、上記擬似着番号取得部は、ユーザ操作によって入力された電話番号を、上記擬似的な着信電話番号として取得してもよい。
上記の構成によれば、ユーザは、自らが入力した着信電話番号を使って、その模擬的な着信電話番号から電話機が着信を受けた場合に実行される機能を模擬体験することができる。
本発明の態様6に係る電話機は、上記態様1から5のいずれかにおいて、上記模擬機能実行部は、着信を受けていない状態において、所定の操作が行われた場合に、上記機能を模擬的に実行してもよい。
上記の構成によれば、電話機が着信を受けていない状況において、ユーザは、電話機に模擬機能を実行させるための所定の操作を実行することによって、擬似的な着信電話番号に応じた機能を模擬体験することができる。
本発明の態様7に係る通信装置の制御方法は、着信電話番号に応じた機能を実行する電話機の制御方法であって、擬似的な着信電話番号を取得する擬似着番号取得ステップと、着信を受けていない状態において、上記擬似着番号取得ステップにおいて取得した上記擬似的な着信電話番号を用いて、上記機能を模擬的に実行する模擬機能実行ステップと、を含む。上記の構成によれば、上記態様1に係る電話機と同様の効果を奏する。
本発明の各態様に係る電話機は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記電話機が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記電話機をコンピュータにて実現させる電話機の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。