JP2017045889A - 正孔輸送性ポリマー、インク組成物、及び有機エレクトロニクス素子 - Google Patents

正孔輸送性ポリマー、インク組成物、及び有機エレクトロニクス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】湿式プロセスを用いた有機層の多層化を容易になし得るポリマーを提供すること。
【解決手段】分岐構造を有し、かつ、有機溶剤に対する溶解度が変化する脱離基を有する正孔輸送性ポリマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、正孔輸送性ポリマー、インク組成物、有機層、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性等の特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の一例としては、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。
有機エレクトロニクス素子の中でも有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
有機EL素子は、使用される有機材料から、低分子型有機EL素子及び高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子では、有機材料として高分子材料が用いられ、低分子型有機EL素子では、低分子材料が用いられる。高分子型有機EL素子は、主に真空系で成膜が行われる低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの湿式プロセスによる簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子として期待されている。
一方、有機EL素子では、寿命、発光効率等の素子特性を向上させるため、素子を構成する有機層の多層化が行われている。蒸着法では、用いる化合物を順次変更しながら蒸着を行うことで、容易に多層化が達成できる。しかし、湿式プロセスを用いて有機層を多層化するためには、下層を、上層を形成する際に溶解させない方法が求められる。そこで、下層を形成するための材料として、例えば、重合性基を有する化合物が検討されている(特許文献1参照)。
特開2006−279007号公報
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、その目的は、湿式プロセスを用いた有機層の多層化を容易になし得る正孔輸送性ポリマー及びインク組成物、並びに、これらを用いた有機層を提供することである。また、本発明の他の目的は、塗布法により形成された有機層を含む有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子、並びに、これらを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、有機溶剤に対する溶解度が変化する脱離基を有するポリマーにより、有機層の耐溶剤性を向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の実施形態は、有機溶剤に対する溶解度が変化する脱離基を有する正孔輸送性ポリマーに関する。
一実施形態において、前記正孔輸送性ポリマーは、分岐構造を有する。
好ましくは、前記正孔輸送性ポリマーは正孔輸送性を有する構造単位を有し、より好ましくは、前記正孔輸送性を有する構造単位は、芳香族アミン構造及びカルバゾール構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
また、前記有機溶剤は、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、脂肪族エステル、芳香族エステル、アミド、スルホキシド、ケトン、及び有機ハロゲン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
前記脱離基は、例えば、アセタール系保護基、シリルエーテル系保護基、カルボン酸無水物系保護基、及びカルバメート系保護基からなる群より選択される少なくとも1種を含む。また、前記脱離基は、例えば、脱離により、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を生じる。
前記正孔輸送性ポリマーは、好ましくは、前記脱離基を、少なくとも1つ以上の末端に有する。
また、本発明の他の実施形態は、前記いずれかの正孔輸送性ポリマーと溶媒とを含有する、インク組成物に関する。
また、本発明の他の実施形態は、前記インク組成物を塗布し、加熱することにより形成された有機層に関する。
本発明の他の実施形態は、前記有機層を有する有機エレクトロルミネセンス素子、又は、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
前記有機エレクトロルミネセンス素子は、好ましくは、フレキシブル基板又は樹脂フィルム基板を更に有する。
さらに、本発明の他の実施形態は、前記いずれかの有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子、照明装置、及び、前記照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置に関する。
本発明によれば、湿式プロセスを用いた有機層の多層化を容易になし得る正孔輸送性ポリマー及びインク組成物、並びに、これらを用いた有機層を提供できる。また、本発明によれば、塗布法により形成された有機層を含む有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子、並びに、これらを用いた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供できる。
本発明の実施形態である有機EL素子の一例を示す断面模式図である。
本発明の実施形態について、以下に説明する。
<正孔輸送性ポリマー>
本発明の実施形態である正孔輸送性ポリマーは、有機溶剤に対する溶解度が変化する脱離基を有する。脱離基の溶解度が変化することによって、有機溶剤に対する正孔輸送性ポリマーの溶解度も変化する。
[有機溶剤に対する溶解度が変化する脱離基]
(有機溶剤)
有機溶剤は特に限定されず、例えば、正孔輸送性ポリマーを塗布する際に一般的に用いられる溶剤が挙げられる。例えば、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、脂肪族エステル、芳香族エステル、アミド、スルホキシド、ケトン、有機ハロゲン化合物等が挙げられる。好ましくは、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、脂肪族エステル、芳香族エステル、アミド、スルホキシド、ケトン、有機ハロゲン化合物等である。
アルコールとしては、好ましくは、炭素数1〜6のアルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール等が挙げられる。また、好ましくは、炭素数7〜14の芳香族アルコールであり、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、好ましくは、炭素数5〜10のアルカン、又は、炭素数5〜10のシクロアルカンであり、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、好ましくは、炭素数6〜13の芳香族炭化水素であり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等が挙げられる。
脂肪族エーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等が挙げられる。
芳香族エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等が挙げられる。
脂肪族エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等が挙げられる。
芳香族エステルとしては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等が挙げられる。
アミドとしては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
スルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等が挙げられる。
ケトンとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン等が挙げられる。
有機ハロゲン化合物としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
(脱離基)
脱離基は、有機溶剤に対する溶解度が変化する基である。脱離基について、「有機溶剤に対する溶解度が変化する」とは、脱離の前後で、有機溶剤に対する親和性が変化することを意味する。溶解度の変化は、脱離基の一部が脱離することにより生じる(以下、脱離する一部を「原子団(A)」という場合ある。)
例えば、脱離基が、変化の基準となる有機溶剤に対して親和性が高い原子団(A)を有する場合、正孔輸送性ポリマーは当該有機溶剤に対する溶解度が高い状態にある。脱離基から原子団(A)が脱離し、脱離基の有機溶剤に対して親和性が低下すると、正孔輸送性ポリマーの有機溶剤に対する溶解度は低い状態に変化する。
この変化を利用することにより、正孔輸送性ポリマーを、例えば、有機エレクトロニクス材料として好ましく用いることができる。具体的には、脱離基を有する正孔輸送性ポリマーを有機溶剤に溶解させ、塗布法により塗布層を形成する。その後、正孔輸送性ポリマーから原子団(A)を脱離させ、正孔輸送性ポリマーの有機溶剤に対する溶解度を低下させる。これにより、有機溶剤に対する溶解度の低い正孔輸送性ポリマーを含む有機層が得られる。得られた有機層を下層とし、塗布用によって上層を形成する場合、有機溶剤に対する下層の溶解を抑え、上層を良好に形成できる。脱離基を有する正孔輸送性ポリマーを用いることにより、湿式プロセスによる有機層の多層化が容易となる。
脱離基は、一部が脱離した後に、脱離前とは異なる基を生じる(脱離基から一部が脱離した後に生じる基を「原子団(B)」という場合がある。)。原子団(B)は、変化の基準となる有機溶剤に対して親和性の低い基であることが好ましい。一実施形態において、非極性有機溶剤に対する原子団(A)と原子団(B)との組合せとして、極性の低い基(原子団(A))と、極性の高い基(原子団(B))との組み合わせが挙げられる。
原子団(A)として、例えば、直鎖、分岐又は環状のアルキル部位、アリール部位等を含む基が挙げられる。具体的には、テトラヒドロピラニル基、1−エトキシエチル基、1−メトキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチル基、1−ベンジルオキシエチル基等のR−O−R’−で表される基;ターシャリーブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等のR−O−(CO)−で表される基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ターシャリーブチルジメチルシリル基、ターシャリーブチルジフェニルシリル基等のRR’R”Si−で表される基;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、ターシャリーブチルカルボニル基等のR−(CO)−で表される基などが挙げられる。R、R’及びR”は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又はアリール基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。原子団(A)は、有機エレクトロニクス素子の寿命向上の観点から、好ましくはR−O−R’−で表される基であり、より好ましくはテトラヒドロピラニル基である。
原子団(B)として、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられる。原子団(B)は、有機エレクトロニクス素子の寿命向上の観点から、好ましくはヒドロキシ基である。
好ましい実施形態において、脱離前の脱離基は、少なくとも原子団(B)を生じる2価の基とそれに結合する原子団(A)とを含む。脱離基は、アルキレン基、アリーレン基等の連結基を更に含み、当該連結基に原子団(B)を生じる2価の基が結合したものであってもよい。
脱離基として、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、アミノ基等に対するいわゆる保護基として知られている基が挙げられる。例えば、ヒドロキシ基に対するアセタール系保護基、シリルエーテル系保護基、エステル系保護基等;チオール基に対するシリルチオエーテル系保護基等;カルボキシ基に対するエステル系保護基、カルボン酸無水物系保護基等;アミノ基に対するカルバメート系保護基、アミド系保護基等などが挙げられる。脱離基は、有機エレクトロニクス素子の寿命向上の観点から、好ましくはアセタール系保護基、シリルエーテル系保護基、カルボン酸無水物系保護基、及びカルバメート系保護基であり、より好ましくはアセタール系保護基である。
脱離基は、有機溶剤と相互作用し溶解度の変化に寄与しやすくするため、少なくとも、正孔輸送性ポリマーの1つ以上の末端に導入されていることが好ましい。
正孔輸送性ポリマー1分子に含まれる脱離基数は特に限定されない。溶解度を変化させるためには2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、十分な正孔輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
正孔輸送性ポリマー中の脱離基の割合は、正孔輸送性ポリマーの溶解度を変化させるという観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、正孔輸送性ポリマー中の脱離基の割合は、膜厚の減少を小さくするという観点から、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「脱離基の割合」とは、脱離基を有する構造単位の割合をいう。
[正孔輸送性ポリマーの構造]
正孔輸送性ポリマーは、直鎖状であっても、又は、分岐構造を有していてもよい。直鎖状の正孔輸送性ポリマーは、2個の末端を有し、分岐構造を有する正孔輸送性ポリマーは、3個以上の末端を有する。末端とは、ポリマー鎖の端をいう。正孔輸送性ポリマーの溶解度を効率よく変化させる観点、また、有機エレクトロニクス素子の寿命向上の観点から、正孔輸送性ポリマーは分岐構造を有していることが好ましい。
正孔輸送性ポリマーは、好ましくは、正孔を輸送する能力を有する構造単位(「正孔輸送性を有する構造単位」という場合がある。)を含む。正孔輸送性ポリマーは、1種の構造単位を有する単独重合体であっても、又は、2種以上の構造単位を有する共重合体であってもよい。正孔輸送性ポリマーが共重合体である場合、共重合体は、交互、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する共重合体、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。一実施形態において、構造単位は単量体単位を意味する。
例えば、正孔輸送性ポリマーは、少なくとも正孔輸送性を有する2価の構造単位Lと末端部を構成する1価の構造単位Tとを含み、更に分岐部を構成する3価以上の構造単位Bを含んでもよい。すなわち、正孔輸送性ポリマーは、「正孔輸送性を有する構造単位」として少なくとも構造単位Lを有し、更に、構造単位T及び/又は構造単位Bが正孔輸送性を有する構造単位であってもよい。また、例えば、正孔輸送性ポリマーは、少なくとも正孔輸送性を有する3価の構造単位Bと末端部を構成する1価の構造単位Tとを含み、更に任意の2価の構造単位Lを含んでもよい。すなわち、正孔輸送性ポリマーは、「正孔輸送性を有する構造単位」として少なくとも構造単位Bを有し、更に、構造単位T及び/又は構造単位Lが正孔輸送性を有する構造単位であってもよい。正孔輸送性ポリマーは、各構造単位を、それぞれ1種のみ含んでいても、又は、それぞれ複数種含んでいてもよい。正孔輸送性ポリマーにおいて、各構造単位は、「1価」〜「3価以上」の結合部位において互いに結合している。
(構造)
正孔輸送性ポリマーに含まれる部分構造の例として、以下が挙げられる。正孔輸送性ポリマーは以下の部分構造を有するものに限定されない。部分構造中、「L」は構造単位Lを、「T」は構造単位Tを、「B」は構造単位Bを表す。「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のLは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。T及びBについても、同様である。
直鎖状の正孔輸送性ポリマー
Figure 2017045889
分岐構造を有する正孔輸送性ポリマー
Figure 2017045889
(構造単位L)
構造単位Lは、好ましくは、正孔輸送性を有する2価の構造単位である。好ましい構造単位Lは、正孔を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位Lは、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。
一実施形態において、構造単位Lは、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましく、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。
構造単位Lの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Lは、以下に限定されない。
Figure 2017045889
Figure 2017045889
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、ハロゲン原子、及び、上述の脱離基からなる群から選択される。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。アルキル基は、更に、炭素数2〜20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。Arは、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。アリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団である。ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から水素原子2個を除いた原子団である。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
本明細書において、芳香族炭化水素としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。芳香族複素環としては、単環、縮合環、又は、単環及び縮合環から選択される2個以上が単結合を介して結合した多環が挙げられる。
(構造単位T)
構造単位Tは、正孔輸送性ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である。構造単位Tは、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。構造単位Tが構造単位Lと同じ構造を有していてもよい。一実施形態において、構造単位Tは、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造であることがより好ましい。
構造単位Tの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Tは、以下に限定されない。
Figure 2017045889
Rは、構造単位LにおけるRと同様である。正孔輸送性ポリマーが末端部に脱離基を有する場合、好ましくは、Rのいずれか少なくとも1つが、脱離基である。
(構造単位B)
構造単位Bは、正孔輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合に、分岐部を構成する3価以上の構造単位である。構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。構造単位Bは、正孔輸送性を有する単位であることが好ましい。例えば、構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、縮合多環式芳香族炭化水素構造、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。
構造単位Bの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Bは、以下に限定されない。
Figure 2017045889
Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。アレーントリイル基は、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団である。ヘテロアレーントリイル基は、芳香族複素環から水素原子3個を除いた原子団である。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位LにおけるR(ただし、脱離基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、構造単位LにおけるRが挙げられる。
(数平均分子量)
正孔輸送性ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、正孔輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
(重量平均分子量)
正孔輸送性ポリマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、正孔輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましい。
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
(構造単位の割合)
正孔輸送性ポリマーに含まれる構造単位Lの割合は、十分な正孔輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Lの割合は、構造単位T及び必要に応じて導入される構造単位Bを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。
正孔輸送性ポリマーに含まれる構造単位Tの割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、正孔輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、十分な正孔輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。
正孔輸送性ポリマーが末端に脱離基を有する場合、正孔輸送性ポリマーの全末端における脱離基を有する構造単位の割合は、溶解度を十分に変化させるという観点から、全末端数を基準として25モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは35モル%以上である。上限は特に限定されず、100モル%以下である。
正孔輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位Bの割合は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、全構造単位を基準として、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Bの割合は、粘度の上昇を抑え、正孔輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な正孔輸送性を得る観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
正孔輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、構造単位L及び構造単位Tの割合(モル比)は、例えば、L:T=99〜95:1〜5、95〜90:5〜10、90〜80:10〜20等とすることができる。また、正孔輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位L、構造単位T、及び構造単位Bの割合(モル比)は、L:T:B=100:10〜200:10〜100が好ましく、100:20〜180:20〜90がより好ましく、100:40〜160:30〜80が更に好ましい。
構造単位の割合は、正孔輸送性ポリマーを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることができる。また、構造単位の割合は、正孔輸送性ポリマーのH NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
[正孔輸送性ポリマーの製造方法]
正孔輸送性ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根岸カップリング、園頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、正孔輸送性ポリマーを簡便に製造できる。
カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。正孔輸送性ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
[溶解度を変化させる方法]
脱離基の脱離反応は、加熱、光照射等により行うことができ、プロセスが簡便である観点から加熱が好ましい。加熱温度及び時間は、脱離反応を十分に進行させることができればよく、特に制限はない。
加熱には、ホットプレート、オーブン等の加熱器を用いることができる。温度については、種々の基板を適用する観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。また、脱離反応を早める観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上である。時間は、生産性を上げる観点から、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは30分以下である。また、脱離反応を完全に進行させる観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上である。
光照射には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、太陽光等の光源を用いることができる。
<有機エレクトロニクス材料>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス材料は、少なくとも前記実施形態の正孔輸送性ポリマーを少なくとも含有する。
[ドーパント]
有機エレクトロニクス材料は、ドーパントを更に含有してもよい。ドーパントは、正孔輸送性ポリマーに添加することでドーピング効果を発現させ、正孔の輸送性を向上させ得る化合物であればよく、特に制限はない。ドーパントは、1種を単独で、複数種を混合して使用できる。
正孔輸送性ポリマーに用いられるドーパントは、好ましくは電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO、HSO、HClO等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、AlCl、NbCl、TaCl、MoF;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF (ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF (テトラフルオロホウ酸イオン)、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして前記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。
[他の任意成分]
有機エレクトロニクス材料は、電荷輸送性低分子化合物、他の電荷輸送性ポリマー等を更に含有してもよい。
[含有量]
正孔輸送性ポリマーの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。100質量%とすることも可能である。
ドーパントを含有する場合、その含有量は、正孔輸送性を向上させる観点から、正孔輸送性ポリマーに対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、正孔輸送性ポリマーに対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
<インク組成物>
本発明の実施形態であるインク組成物は、前記実施形態の正孔輸送性ポリマーと該ポリマーを溶解又は分散し得る有機溶剤とを含有する。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって有機層を容易に形成できる。
有機溶剤は、正孔輸送性ポリマーを溶解又は分散できれば特に限定されず、例えば前述の有機溶剤を使用でき、好ましくは、溶解度の変化の基準とした有機溶剤を使用できる。例えば、正孔輸送性ポリマーが非極性溶剤に対する溶解度が変化する脱離基を有している場合、当該非極性溶剤を用いることが可能である。
[含有量]
インク組成物における有機溶剤の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、有機溶剤の含有量は、有機溶剤に対し正孔輸送性ポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、有機溶剤の含有量は、有機溶剤に対し正孔輸送性ポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
<有機層>
本発明の実施形態である有機層は、前記実施形態の正孔輸送性ポリマー又はインク組成物を用いて形成された層である。インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
塗布後の有機層(塗布層)に加熱、光照射等の処理を行うことにより、正孔輸送性ポリマーから脱離基を脱離させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層上に上層となる有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。
上層の形成には、好ましくは、有機溶剤を含むインク組成物が用いられる。有機溶剤としては、例えば前述の有機溶剤を使用でき、溶解度の変化の基準とした有機溶剤を使用することも可能である。例えば、下層に含まれる正孔輸送性ポリマーが非極性溶剤に対する溶解度が変化する脱離基を有していた場合、当該非極性溶剤を用いることが可能である。
溶解度を変化させた後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
<有機エレクトロニクス素子>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、少なくとも前記実施形態の有機層を有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
[有機EL素子]
本発明の実施形態である有機EL素子は、少なくとも前記実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、前記実施形態の有機層からなる正孔注入層3及び/又は正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)(ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C〕イリジウム(アセチル−アセトネート))、Ir(piq)(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ)等が挙げられる。
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料も使用できる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。陽極材料がITOであり、前記実施形態の有機層を正孔注入層として有する場合に、有機EL素子の寿命が大幅に向上する傾向がある。脱離基として適切な基を選択することにより、陽極と正孔注入層の親和性が向上することがその理由の一つであると考えられる。
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有することが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有する組み合わせが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の実施形態である表示素子は、前記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
また、本発明の実施形態である照明装置は、本発明の実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、本発明の実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして本発明の実施形態である照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とできる。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<Pd触媒の調製>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15ml)を加え、30分間撹拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5mL)を加え、5分間撹拌した。これらの溶液を混合し、室温で30分間撹拌し、触媒とした。全ての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。
<比較例1:末端に重合性置換基を含む正孔輸送性ポリマー1の合成>
三口丸底フラスコに、下記モノマーL(5.0mmol)、下記モノマーB(2.0mmol)、下記モノマーT1(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20mL)を加えた。すべての溶媒は30分以上、窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間、加熱還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
Figure 2017045889
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過により回収し、トルエンに溶解し、金属吸着剤(Strem Chemicals社製「Triphenylphosphine, polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer」、沈殿物100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物をろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、正孔輸送性ポリマー1を得た。得られた正孔輸送性ポリマー1の数平均分子量は7,800、重量平均分子量は31,000であった。
数平均分子量及び重量平均分子量は、溶離液にテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ :L−6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV−Vis検出器:L−3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack(登録商標) GL−A160S/GL−A150S 日立化成(株)
溶離液 :THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株)
流速 :1mL/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質 :標準ポリスチレン
<比較例2:末端にアルキル基を含む正孔輸送性ポリマー2の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーL(5.0mmol)、前記モノマーB(2.0mmol)、下記モノマーT2(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー2を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー2の数平均分子量は22,900、重量平均分子量は169,000であった。
Figure 2017045889
<実施例1:末端に脱離基を含む正孔輸送性ポリマー3の合成>
三口丸底フラスコに前記モノマーL(5.0mmol)、前記モノマーB(2.0mmol)、下記モノマーT3(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー3を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー3の数平均分子量は11,100、重量平均分子量は86,400であった。また、仕込み量から求めた脱離基の割合(脱離基を有する構造単位の割合)は、36.4モル%であった。
Figure 2017045889
<実施例2:末端に脱離基を含む正孔輸送性ポリマー4の合成>
三口丸底フラスコに前記モノマーL(5.0mmol)、前記モノマーB(2.0mmol)、前記モノマーT2(2.0mmol)、前記モノマーT3(2.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー4を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー4の数平均分子量は13,400、重量平均分子量は100,600であった。また、仕込み量から求めた脱離基の割合(脱離基を有する構造単位の割合)は、18.2モル%であった。
<正孔輸送性ポリマーの溶解度変化の評価>
実施例1及び2並びに比較例1及び2で得た正孔輸送性ポリマーの溶解度変化を、有機薄膜の残膜率を求めることにより評価した。
正孔輸送性ポリマー1 4.5mgをトルエン400μLに溶解し、ポリマー溶液を得た。また、下記イオン化合物0.45mgをトルエン100μLに溶解し、イオン化合物溶液を得た。得られたポリマー溶液とイオン化合物溶液とを混合し、塗布溶液(インク組成物)を調整した。塗布溶液を、室温(25℃)で回転数3,000min−1で石英ガラス板上にスピンコートし、有機薄膜を形成した。次いで、石英ガラス板をホットプレート上で、210℃、10分間の条件で加熱した。その後、石英ガラス板をピンセットで掴んで、トルエン(25℃)を満たした200mLビーカーに浸漬し、石英ガラス板を、石英ガラス板の厚み方向に10秒間に10往復振動させた。浸漬前後の有機薄膜のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比から、以下の式により有機薄膜の残膜率を求めた。正孔輸送性ポリマー2〜4についても、同様に残膜率を測定した。結果を表1に示す。

残膜率(%)=浸漬後の有機薄膜のAbs/浸漬前の有機薄膜のAbs×100
吸光度の測定条件には、分光光度計((株)日立製作所製 U−3310)を用い、有機薄膜について300〜500nmの波長範囲での極大吸収波長における吸光度を測定した。
Figure 2017045889
Figure 2017045889
脱離基を有する正孔輸送性ポリマーを加熱することによって、正孔輸送性ポリマーの溶解度が変化した。実施例1及び2の正孔輸送性ポリマーにより、比較例1の重合性官能基を有する正孔輸送性ポリマーと同等の残膜率が得られた。
実施例1及び2では、加熱によって正孔輸送性ポリマーのテトラヒドロピラニル基がヒドロキシ基に変化し、脱離基の溶解度が変化したことで、正孔輸送性ポリマーの有機溶剤に対する溶解度の変化、すなわち溶解度の低下が起こり、ひいては有機薄膜の残膜率が向上したものと考えられる。
<有機薄膜の耐溶剤性の評価>
有機溶剤の種類を変更し、有機薄膜の耐溶剤性を評価した。
石英ガラス板を表2に示す有機溶剤に浸漬した以外は上記と同様に、有機薄膜の残膜率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2017045889
脱離基を有する正孔輸送性ポリマーを用いて形成された有機薄膜は、様々な有機溶剤に対して耐溶剤性を示すことが確認された。実施例3及び4においては残膜率が97%以上という優れた結果が得られた。また、比較例3においては、正孔輸送性ポリマーを重合硬化させているため、残膜率が98%以上となったが、比較例4においては、高い残膜率が得られなかった。脱離基を有する正孔輸送性ポリマーを使用することにより、上層を様々な有機溶剤を用いた塗布法で形成することが可能であり、有機エレクトロニクス素子の塗布法による多層化が可能となることがわかる。
<有機EL素子の作製>
[実施例5]
正孔輸送性ポリマー3(10.0mg)、前記イオン化合物(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物1を調製した。窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、インク組成物1を回転数3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で210℃、10分間加熱し、正孔注入層(30nm)を形成した。
次に、正孔輸送性ポリマー2(20mg)及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物2を調製した。上記正孔注入層の上に、インク組成物2を回転数3000min−1でスピンコートし、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して乾燥させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。正孔注入層を溶解させることなく、正孔輸送層を形成することができた。
その後、ガラス基板を、真空蒸着機中に移し、正孔輸送層上にCBP:Ir(ppy)(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.8nm)、及びAl(100nm)の順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って有機EL素子を作製した。
[実施例6]
正孔輸送性ポリマー3を正孔輸送性ポリマー4に代えた以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
[比較例5]
正孔輸送性ポリマー3を正孔輸送性ポリマー1に代えた以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例5、実施例6、及び比較例5で得た有機EL素子に電圧を印加したところ緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1,000cd/m時の駆動電圧及び発光効率、並びに、初期輝度3,000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2017045889
実施例5及び6の有機EL素子は、比較例5の有機EL素子よりも長い発光寿命を示した。以下に限定されないが、実施例5及び6の有機EL素子は、正孔注入層に含まれる正孔輸送性ポリマーに、脱離によりヒドロキシ基が生じているため、ITOと正孔注入層との親和性が向上し、その結果、長い発光寿命が得られたと考えられる。
以上に実施例により本発明の効果が示された。また、実施例において用いた正孔輸送性ポリマー以外にも、上記で説明した正孔輸送性ポリマーにより有機エレクトロニクス素子の多層化が可能であり、得られた有機エレクトロニクス素子は、同様に優れた効果を示すものである。
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

Claims (16)

  1. 分岐構造を有し、かつ、有機溶剤に対する溶解度が変化する脱離基を有する正孔輸送性ポリマー。
  2. 正孔輸送性を有する構造単位を有する、請求項1に記載の正孔輸送性ポリマー。
  3. 前記正孔輸送性を有する構造単位が、芳香族アミン構造及びカルバゾール構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の正孔輸送性ポリマー。
  4. 前記有機溶剤が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、脂肪族エステル、芳香族エステル、アミド、スルホキシド、ケトン、及び有機ハロゲン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の正孔輸送性ポリマー。
  5. 前記脱離基が、アセタール系保護基、シリルエーテル系保護基、カルボン酸無水物系保護基、及びカルバメート系保護基からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項項1〜4のいずれか1項に記載の正孔輸送性ポリマー。
  6. 前記脱離基が、脱離により、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を生じる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の正孔輸送性ポリマー。
  7. 前記脱離基を、少なくとも1つ以上の末端に有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の正孔輸送性ポリマー。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の正孔輸送性ポリマーと溶媒とを含有する、インク組成物。
  9. 請求項8に記載のインク組成物を塗布し、光照射又は加熱することにより形成された有機層。
  10. 請求項9に記載の有機層を有する、有機エレクトロニクス素子。
  11. 請求項9に記載の有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
  12. フレキシブル基板を更に有する、請求項11に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  13. 樹脂フィルム基板を更に有する、請求項11に記載に有機エレクトロルミネセンス素子。
  14. 請求項11〜13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、表示素子。
  15. 請求項11〜13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、照明装置。
  16. 請求項15に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた、表示装置。
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