JP2017043756A - 光学フィルム製造用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、生産性が高く、幅方向の物性が均一な光学フィルムの製造を実現するための基材として用いることができる光学フィルム製造用ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】150℃におけるフィルムMD方向の熱収縮率が3.0%以下でありTD方向の熱収縮率が1.5%以下でありかつ式(I)を満たす光学フィルム製造用ポリエステルフィルムを本旨とする。
0.020≦|1−(NA+NB)/(NC×2)| ≦0.300 ・・・(I)
但し、NA:フィルムのTD方向の中心から、TD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における面配向度
NB:フィルムのTD方向の中心から、TD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mm位置における面配向度
NC:フィルムのTD方向の中心における面配向度
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム製造用ポリエステルフィルムに関するものである。
携帯電話やパソコン、液晶テレビ等の種々の画面表示装置には、複屈折性を利用した高コントラストな液晶表示装置(LCD)が使用されている。LCD内部には、液晶画面の輝度向上や、コントラスト向上などを目的に、様々な光学フィルムが使用されている。近年、LCDは高精細化が進み、用途も多岐にわたり、視野角の拡大などの光学補償性能の向上が求められている。視野角特性を改善するために、LCDには光学フィルムとして各種の位相差フィルムが用いられている。しかしながら、従来の位相差フィルムを用いた液晶表示装置は、斜め方向で、コントラスト比が低下したり、見る角度に伴って変化する画像の色づきが生じたりして、液晶パネルの画面全体で、表示が不均一となることが問題となっていた。
視野角特性を改善するために、可視光線領域において長波長ほど高い位相差を有する光学フィルムが位相差フィルムとして使用される。このような光学フィルムの製造方法として、ポリマーの水溶液を基材の上に塗工し、乾燥工程を経てフィルムを形成させる方法が提案されている。(特許文献1、特許文献2)
特開2011−227429号公報 特開2007−106848号公報
特許文献1では基材に塗膜の積層体を形成させるものの、製造はカットシートサイズでのバッチ処理であり、生産性の悪いものであった。また、特許文献2のように連続製造した場合、基材の収縮や塗膜粘着力の不均一性や剥がれによって配向不良が生じ、光学フィルムの品質が低下する。
本発明は、生産性が高く、幅方向の物性が均一な光学フィルムの製造を実現するための基材として用いることができる光学フィルム製造用ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は150℃におけるフィルムMD方向の熱収縮率が3.0%以下でありTD方向の熱収縮率が1.5%以下でありかつ式(I)を満たす光学フィルム製造用ポリエステルフィルムを本旨とする。
0.020≦|1−(NA+NB)/(NC×2)| ≦0.300 ・・・(I)
但し、NA:フィルムのTD方向の中心から、TD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における面配向度
NB:フィルムのTD方向の中心から、TD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mm位置における面配向度
NC:フィルムのTD方向の中心における面配向度
本発明により、生産性が高く、幅方向の物性が均一な光学フィルムを製造するための基材として用いることができる光学フィルム製造用ポリエステルフィルムを提供することができる。特に、本発明によるポリエステルフィルムは、位相差フィルム製造時に好適に使用することができる。
本発明において光学フィルム製造用ポリエステルフィルムとは、光学フィルム用樹脂組成物を溶解した溶液を、基材の表面に塗布して乾燥して光学フィルム用樹脂組成物と基材との積層体とした後、この積層体を少なくとも一軸方向に延伸し、最後に積層体から基材を剥離することで光学フィルムを得る光学フィルム製造工程において、基材として用いられるポリエステルフィルムである。本発明の光学フィルム製造用ポリエステルフィルムは、特に、位相差フィルム製造工程において、基材として好適に用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムとは、主鎖における主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称である。そして、ポリエステル樹脂は、通常ジカルボン酸あるいはその誘導体とグリコールあるいはその誘導体を重縮合反応させることによって得ることができる。
本発明では、成型性、外観、耐熱性、寸法安定性、経済性の点から、ポリエステルを構成するグリコール単位の60モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、ジカルボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。なお、ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分が除かれた2価の有機基を意味し、要すれば、以下の一般式で表される。
ジカルボン酸単位(構造単位): −CO−R−CO−
ジオール単位(構造単位): −O−R’−O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体が含まれる場合は、3価以上のカルボン酸あるいはアルコール単位(構造単位)についても、同様に、重縮合によって除去される部分が除かれた3価以上の有機基を意味する。
本発明に用いるポリエステルを与える、グリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコール以外に、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸以外には、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および、それらのエステル化物が好ましく用いられる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、150℃におけるフィルムMD方向の熱収縮率が3.0%以下でありTD方向の熱収縮率が1.5%以下であることが好ましい。150℃におけるフィルムMD方向の熱収縮率が3.0%以下でありTD方向の熱収縮率が1.5%以下であると、光学フィルム用樹脂組成物を溶解した溶液を塗布して乾燥する工程や、乾燥工程において基材フィルムの寸法安定性が確保でき、基材フィルムの収縮による光学フィルムの機能低下を抑制することができる。150℃におけるフィルムMD方向の熱収縮率を3.0%以下とし、TD方向の熱収縮率を1.5%以下とする方法としては、例えば、二軸延伸後のフィルムの熱処理条件を調整する方法が挙げられる。処理温度は高温とすることで、配向緩和がおこり、熱収縮率は低減される傾向になるが、寸法安定性、フィルムの品位の観点から二軸延伸後の熱処理温度は200℃〜240℃であれば好ましく、210℃〜235℃であればさらに好ましく、215℃〜230℃であれば最も好ましい。なお、本発明のポリエステルフィルムの熱処理温度は、示差走査型熱量計(DSC)において窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度で測定したときのDSC曲線に熱履歴に起因する微小吸熱ピークから微小吸熱ピーク温度(Tmeta)を測定することで求めることができる。 また、好ましい熱処理時間としては、5〜60秒間で任意に設定することができるが、成型性、寸法安定性、色調、生産性の観点から、10〜40秒とすることが好ましく、15〜30秒とすることが好ましい。また、熱処理は、長手方向及び/又は幅方向に弛緩させながら行うことで、熱収縮率を低減させることができる。熱処理時に弛緩させる際の弛緩率(リラックス率)は、1%以上が好ましく、寸法安定性、生産性の観点からは、1%以上10%以下であれば好ましく、1%以上5%以下であれば最も好ましい。さらに、熱処理時の弛緩を、段階的に行うことが好ましく用いられ、例えば、第一熱処理を230℃、第二熱処理を弛緩率3%で200℃、第三熱処理を弛緩率2%で180℃といった方法である。
本発明のポリエステルフィルムは、光学フィルム用樹脂組成物を溶解した溶液を塗布して乾燥する工程やその後の剥離工程において、乾燥時の収縮ムラに起因する光学フィルムの幅方向での機能均一性の低下や、剥離時の剥離応力ムラに起因する光学フィルムの幅方向での機能均一性の低下を抑制する観点から、下記(I)式を満たすことが必要である。
0.020≦|1−(NA+NB)/(NC×2)| ≦0.300 ・・・(I)
但し、NA:フィルムのTD方向の中心から、TD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における面配向度
NB:フィルムのTD方向の中心から、TD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mm位置における面配向度
NC:フィルムのTD方向の中心における面配向度
ここで、NA、NB、NCは、フィルムのTD方向の中心、中心からTD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置、中心からTD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mmの位置の3点についてそれぞれ広角X線で測定した(−105)面回折ピークの面積をDSCで測定した結晶化度で割った値である。(I)式を満たすということは、フィルムのTD方向中心位置における面配向度と、TD方向中心からTD方向に500mmの位置における面配向度の比が小さいことを意味する。すなわち、フィルムは幅方向で均一な結晶面配向を有している。これにより、フィルムに溶液を塗布して乾燥する工程、その後の剥離工程においてフィルムに加わる乾燥時の収縮応力、剥離時の剥離応力が幅方向で均一になるため、光学フィルムの幅方向における機能の均一性を向上させることが可能となる。TD方向物性均一性の観点から、(I)’式を満たすことがさらに好ましい。
0.020≦|1−(NA+NB)/(NC×2)| ≦0.200 ・・・(I)’
本発明のポリエステルフィルムが、(I)式を満たす方法は特に限定されないが、例えば、2軸延伸後に熱固定処理を実施し、その熱固定処理において幅方向に9%以上30%以下微延伸する方法が挙げられる。熱処理において9%以上幅方向に応力をかけることでフィルムの緩和による構造変化を抑制し、幅方向に均一な結晶面配向構造を形成することが可能である。また9%未満では構造変化の抑制効果が十分ではなく、30%より大きく微延伸を実施するとフィルムの破れが発生し、生産性が低下する。好ましくは12%以上25%以下である。その他にも工程同士あるいは工程間の温度差が60℃以内となるようにすることで、フィルム内部の過度な構造変化を防止することができ、面配向度を好ましい範囲とすることが可能である。上記製造上の温度要件について具体的に示すと、例えば横延伸前半の温度を120℃、横延伸後半の温度を150℃とし、熱固定処理前半の温度を220℃、熱固定処理中盤の温度を230℃としたり、120℃での横延伸と220℃の熱固定処理前半の間に150℃の緩衝区間を設けるなどして、工程間の温度変化を80℃以内とし、かつ高温での熱処理が実現される。
また、本発明のポリエステルフィルムは、光学フィルム用樹脂組成物を溶解した溶液を塗布して乾燥する工程やその後の剥離工程において、乾燥時の収縮ムラに起因する光学フィルムの幅方向での機能均一性の低下や、剥離時の剥離応力ムラに起因する光学フィルムの幅方向での機能均一性の低下を抑制する観点から、下記(II)式を満たすことが好ましい。
0.005≦|1−(GA+GB)/(GC×2)| ≦0.060 ・・・(II)
但し、GA:フィルムのTD方向の中心から、TD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における剛直非晶量
GB:フィルムのTD方向の中心から、TD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mm位置における剛直非晶量
GC:フィルムのTD方向の中心における剛直非晶量
ここで、GA、GB、GCは、フィルムのTD方向の中心、中心からTD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置、中心からTD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mmの位置の3点について、それぞれの位置から採取した3個のサンプルについて測定した値の平均値である。(II)式を満たすということは、フィルムのTD方向中心位置における剛直非晶量と、TD方向中心からTD方向に500mmの位置における剛直非晶量の比が小さいことを意味する。すなわち、フィルムは幅方向で均一な剛直非晶量を有している。これにより、フィルムに溶液を塗布して乾燥する工程、その後の剥離工程においてフィルムに加わる乾燥時の収縮応力、剥離時の剥離応力が幅方向で均一になるため、光学フィルムの幅方向における機能の均一性を向上させることが可能となる。TD方向物性均一性の観点から、(II)’式を満たすことがさらに好ましい。
0.005≦|1−(GA+GB)/(GC×2)| ≦0.040 ・・・(II)’
本発明のポリエステルフィルムが、(II)式を満たす方法は特に限定されないが、例えば、フィルム製膜中のボーイングを低減させる方法が挙げられる。具体的には、幅方向延伸後に一旦ポリエステルのガラス転移温度以下に冷却した後熱処理する方法、幅方向延伸後にニップロールを設ける方法、幅方向の延伸を複数ゾーンに分けて段階的に昇温する方法、熱処理を複数のゾーンに分けて段階的に昇温・降温する方法、幅方向に温度分布を設けて熱処理ゾーンに導く方法、熱処理室でも幅方向に微延伸する方法などがある。
また、本発明のポリエステルフィルムは、光学フィルム用樹脂組成物を溶解した溶液を塗布して乾燥した後の剥離工程において、剥離時の剥離応力に起因するポリエステルフィルムの変形に伴う光学フィルムの幅方向での機能均一性の低下を抑制する観点から、(III)〜(V)式を満たすことが好ましい。
XcA≧25.0%・・・(III)
XcB≧25.0%・・・(IV)
XcC≧25.0%・・・(V)
但し、XcA:フィルムのTD方向の中心から、TD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における結晶化度
XcB:フィルムのTD方向の中心から、TD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mm位置における結晶化度
XcC:フィルムのTD方向の中心における結晶化度ここで、XcA、XcB、XcCは、フィルムのTD方向の中心、中心からTD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置、中心からTD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mmの位置の3点について、それぞれの位置から採取した3個のサンプルについてDSCで測定したときの結晶化度の平均値である。(III)〜(V)式を満たすということは、フィルムのTD方向中心位置、及びTD方向中心からTD方向に500mmの位置における結晶化度が大きいことを意味する。つまりフィルムを構成する分子同士の絡み合いが大きくフィルムの剛性が強いことを意味する。これにより、フィルムに溶液を塗布して乾燥した後の剥離工程において、剥離時の剥離応力に起因するポリエステルフィルムの変形を抑制することができ、光学フィルムの幅方向における機能の均一性を向上させることが可能となる。剛性向上の観点から(III)’〜(IV)’式を満たすことがさらに好ましい。
XcA≧30.0%・・・(III)’
XcB≧30.0%・・・(IV)’
XcC≧30.0%・・・(V)’
本発明のポリエステルフィルムが、(III)〜(IV)式を満たす方法は特に限定されないが、例えば、ポリエステルを構成するグリコール成分においてエチレングリコールがフィルム全体のグリコール成分に対して80wt%以上含有する方法がある。ポリエステルを構成するグリコール成分においてエチレングリコールがフィルム全体のグリコール成分に対して80wt%以上含有させることでポリエステルフィルムを構成する分子の運動性を抑制し、結晶化度を促進させることができる。好ましくはエチレングリコールがフィルム全体のグリコール成分に対して88wt%以上である。
本発明のポリエステルフィルムは、150℃におけるフィルムMD方向の熱収縮率が3.0%以下でありTD方向の熱収縮率が1.5%以下であり、面配向度が(I)式範囲内にあるといった物性を同時に満足することが非常に重要である。
上記の様な構成を満たすために本発明のポリエステルフィルムは、好ましくはポリエステルA層とポリエステルB層とを有する積層フィルム構成とし、ポリエステルA層(ポリエステルB層よりも融点が高い)が、少なくとも一方の最外層に位置する構成であることが好ましい。なお、本発明において、ポリエステルA層と、ポリエステルB層とを有する積層フィルムの場合、融点の高い方の層をポリエステルA層とする。
本発明のポリエステルフィルムは、融点の高いA層と融点がA層よりも低いB層とを有することにより、A層が剛直な層として、幅方向の物性均一性を満たすことを容易にし、さらには光学フィルム用樹脂組成物を溶解した溶液に対する耐薬品性の向上に寄与する。
また、フィルムのカール抑制の観点から、本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルA層とポリエステルB層とを有する積層ポリエステルフィルムの場合、A層/B層/A層の3層構成であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルA層とポリエステルB層とを有する積層フィルムの場合、150℃におけるフィルムMD方向の熱収縮率が3.0%以下でありTD方向の熱収縮率が1.5%以下であり、及び(I)式を同時に満足するためのポリエステルA層、ポリエステルB層の好ましい態様としては、下記のような構成が挙げられる。
ポリエステルA層のグリコール成分として、エチレングリコール成分を90モル%以上99モル%未満含有し、ジエチレングリコール成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、ネオペンチルグリコールの少なくとも1種類以上を1モル%以上10モル%未満含有し、ジカルボン酸成分として、90モル%以上がテレフタル酸であることが好ましい。さらに好ましくは、グリコール成分として、エチレングリコール成分を95モル%以上99モル%未満含有し、ジエチレングリコール成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、ネオペンチルグリコール成分の少なくとも1種類以上を1モル%以上5モル%未満含有し、ジカルボン酸成分として、95モル%以上がテレフタル酸成分、さらに好ましくは、上記グリコール成分に、ジカルボン酸成分の98モル%以上がテレフタル酸成分であることが好ましい。
ポリエステルB層のグリコール成分として、エチレングリコール成分を80モル%以上95モル%未満含有し、ジエチレングリコール成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、ネオペンチルグリコール成分の少なくとも1種類以上を5モル%以上20モル%未満含有し、ジカルボン酸成分として、90モル%以上がテレフタル酸成分であることが好ましい。さらに好ましくは、グリコール成分として、エチレングリコール成分を85モル%以上95モル%未満含有し、ジエチレングリコール成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、ネオペンチルグリコール成分の少なくとも1種類以上を5モル%以上15モル%未満含有し、ジカルボン酸成分として、95モル%以上がテレフタル酸成分、さらに好ましくは、上記グリコール成分に、ジカルボン酸成分の98モル%以上がテレフタル酸成分であることが好ましい。
次に本発明のポリエステルフィルムの具体的な製造方法の例について記載するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
ポリエステルA層とポリエステルB層とを有する積層ポリエステルフィルムを例にとると、まず、ポリエステルA層に使用するポリエステルAとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a)と1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(b)を所定の割合で計量する。また、ポリエステルB層に使用するポリエステルBとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(c)と1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(d)を所定の割合で計量する。
そして、混合したポリエステル樹脂をベント式二軸押出機に供給し溶融押出する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明のポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが好ましい。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向次いで幅方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率とは、長手方向に、好ましくは2.8倍以上3.8倍以下、さらに好ましくは3.1倍以上3.5倍以下が採用される。また、延伸速度は1000%/分以上200000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、70℃以上90℃以下とすることが好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは3.1倍以上4.5倍以下、さらに好ましくは3.5倍以上4.2倍以下が採用される。また、面配向度(I)式を満足するために、幅方向の延伸は複数ゾーンに分けて段階的に昇温しながら延伸する方法が好ましく、例えば延伸温度前半を90℃以上120℃以下、延伸中盤温度を100℃以上130℃以下、さらに延伸後半温度を110℃以上150℃以下で、延伸前半温度、延伸中盤温度、延伸後半温度の順に温度を高くしていく方法が挙げられる。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの結晶融解ピーク温度以下の温度で行われるが、好ましくは200℃以上240℃以下であり、210℃以上235℃以下であればさらに好ましく、215℃以上230℃以下であれば最も好ましい。ここで好ましい熱処理温度とは、二軸延伸後に行う熱処理温度の中で最も高温となる温度を示す。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。また面配向度(I)式を満足するために、熱処理を複数のゾーンに分けて段階的に昇温・降温する方法や、熱処理工程で幅方向に微延伸する方法が好ましく採用される。例えば、熱処理前半温度を180℃以上210℃以下で幅方向に6%以上15%以下、好ましくは7%以上10%以下微延伸し、熱処理中盤温度を200℃以上240℃以下で幅方向に3%以上15%以下、好ましくは5%以上10%以下微延伸し、熱処理後半温度を150℃以上200℃未満とする方法が挙げられる。熱処理後半温度は熱収縮率を低くするために1%以上10%以下弛緩しながら実施することも好ましい。さらに、熱処理工程後に、80℃以上120℃以下で、0.2%以上3.0%以下弛緩する冷却工程を含むことが好ましい。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび12C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの固有粘度は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の固有粘度を評価することができる。
(3)フィルム厚み、層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みおよびポリエステル層の厚みを求めた。
(4)融点
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および、解析を行った。ポリエステルフィルムを5mg、サンプルに用い、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のDSC曲線より得られた吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。なお、積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の融点を測定することができる。本発明において、ポリエステルA層とポリエステルB層とを有する積層ポリエステルフィルムの場合は、各層の融点を測定し、融点の高い層をポリエステルA層、低い方の層をポリエステルB層とした。
(5)結晶融解前の微小吸熱ピーク温度(Tmeta)
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および、解析を行った。ポリエステルフィルムを5mg、サンプルに用い、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際の結晶融解ピークの前に現れる微小の吸熱ピーク温度をTmetaとして読み取った。
(6)フィルムの主配向軸(TD)
フィルムの任意の点において100mm×100mmの寸法でサンプルを切り出し、KSシステムズ製(現王子計測機器)のマイクロ波分子配向計MOA−2001A(周波数4GHz)を用い、ポリエステルフィルムの面内の主配向軸を求め、TD方向とした。
(7)熱収縮率(150℃)
フィルムをMD方向およびTD方向にそれぞれ長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに100mmの間隔(中央部から両端に50mmの位置)で標線を描き、3gの錘を吊るして150度に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式により熱収縮率を算出した。なお、評価は、フィルムの任意の位置における主配向軸方向をTD方向とし、該位置を中心(TD方向中心)として、TD方向に沿って2方向それぞれ500mm幅を採取し、1100mm幅としたTD方向の中心、中心からTD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置、中心からTD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mmの位置の3点についてそれぞれ5回ずつ行い、その15個の値の平均値を150度におけるフィルムMD方向およびTD方向の熱収縮率とした。
熱収縮率(%)={(加熱処理前の標線間距離)−(加熱処理後の標線間距離)}/(加熱処理前の標線間距離)×100
(8)広角X線測定
PETフィルムの(−105)面回折ピークの面積をX線回折装置(RIgaku社製 SmartLab)を用いて下記の条件で広角X線回折法により測定した。
X線回折装置 :Rigaku社製 SmartLab
X線源 :CuKα線(Niフィルター使用)
出力 :40kV 50mA
スリット :IS=2.0mmh−2.2mmw
:RS1=5mm、RS2=5mm
検出器 :D/teX(0次元モード)
スキャン方法 :連続スキャン
測定角度 :2θ=42.8°((−105)面)
測定範囲 :β=−90〜270°
ステップ :0.5°
スキャン速度 :40°/分
測定試料は、フィルムをMD長手になるように3cm×1mmに切り出して、厚さ1mmになるように重ねて調製した。2θ=42.8°、ω=21.4°になるようにX線源および検出器を固定し、試料を面内回転させることで円周方向のプロファイルを得た(βスキャン)。βスキャンで得られたピーク以下の強度面積を求めた。なお、測定は(7)と同様にして、1100mm幅フィルムのTD方向の中心の強度面積(βC)、1100mm幅フィルムのTD方向の中心からTD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における強度面積(βA)、1100mm幅フィルムのTD方向の中心からTD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mmの位置における強度面積(βB)の測定を行った。
(9)剛直非晶量
1100mm幅フィルムのTD方向の中心から(8)のA方向と同じ方向の500mmの位置において、下記条件にて、融解熱量と冷結晶化熱量の差(△HmA−△HcA)、比熱差(△CpA)を測定し、式(IV)より結晶化度(XcA)と可動非晶量(XmaA)を算出しさらに式(V)から剛直非晶量(GA)を算出した。
[融解熱量と冷結晶化熱量の差]
・測定手法 :通常DSC法
・測定装置 :TA Instruments社製Q1000
・データ処理:TA Instruments社製 ”Universal Analysis2000”
・雰囲気 :窒素流(50mL/min)
・温度,熱量校正:高純度インジウム(Tm=156.61℃,△Hm=28.70g/J)
・温度範囲 :0〜300℃
・昇温速度 :10℃/min
・試料量 :10mg
・試料容器 :アルミニウム製標準容器
・測定回数 :3回。
[比熱差]
・測定手法 :温度変調DSC法
・測定装置 :TA Instruments社製Q1000
・データ処理:TA Instruments社製 ”Universal Analysis2000”
・雰囲気 :窒素流(50mL/min)
・温度,熱量校正:高純度インジウム(Tm=156.61℃,△Hm=28.70g/J)
・比熱校正 :サファイア
・温度範囲 :0〜200℃
・昇温速度 :2℃/min
・試料量 :5mg
・試料容器 :アルミニウム製標準容器
・測定回数 :3回。
[剛直非晶量]
・結晶化度(XcA)[%]=((△HmA−△HcA)/PETの完全結晶融解熱量)×100…(VI)
△HmA:1100mm幅フィルムのTD方向の中心から(8)のA方向と同じ方向の500mmの位置における融解熱量[J/g]
△HcA:1100mm幅フィルムのTD方向の中心から(8)のA方向と同じ方向の500mmの位置における冷結晶化熱量[J/g]
PETの完全結晶融解熱量:140.10[J/g]
・可動非晶量(XmaA)[%]=(△CpA/PETの完全非晶比熱差)×100…(VII)
△CpA:1100mm幅フィルムのTD方向の中心から(8)のA方向と同じ方向の500mmの位置におけるTg前後での比熱差
PETの完全非晶比熱差:0.4052J/g℃
・剛直非晶量(GA)[%]=100−(XcA+XmaA)…(VIII)
1100mm幅フィルムのTD方向の中心から(8)のA方向と同じ方向の500mmの位置における剛直非晶量(GA)の測定と同様の手順で、1100mm幅フィルムのTD方向の中心の剛直非晶量(GC)及び1100mm幅フィルムのTD方向の中心からTD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mmの位置における剛直非晶量(GB)の測定を行い、下の式(IX)にて幅方向の剛直非晶量のバラツキを求めた。
|1−(GA+GB)/(GC×2)|…(IX)
(10)面配向度
(8)で得られたβスキャンで得られたピーク以下の強度面積βAと(9)で得られた結晶化度XcAを用いて、下式(X)にて求めた
βA÷XcA=NA…(X)
面配向度(NA)と同様の手順で1100mm幅フィルムのTD方向の中心の面配向度(NC)及び1100mm幅フィルムのTD方向の中心からTD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mmの位置における面配向度(NB)を求め、下の式(XI)にて幅方向の面配向度のバラツキを求めた。
|1−(NA+NB)/(NC×2)|…(XI)
(11)光学フィルムの幅方向均一性
フィルム表面に、ポリアリレート/MEK分散体をダイコーターにて塗工・乾燥を行った。(乾燥温度:150℃、乾燥時間:1分、巻出張力:200N/m、巻取張力:100N/m、乾燥後のポリアリレート厚みは25μm)。得られたポリアリレート塗布ポリエステルフィルムから、ポリアリレート層を剥離し、幅方向の中心、中心から幅方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置、中心から幅方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mmの位置の3点について、面内レタデーションを測定し、下記の基準で評価を行った。なお、レタデーションは、新王子計測器製自動複屈折計(KOBRA−21ADH)を用いて測定を行った。B以上を合格とした。
A:3点測定したレタデーションの最大値と最小値の差が10nm未満であった。
B:3点測定したレタデーションの最大値と最小値の差が10nm以上20nm未満であった。
C:3点測定したレタデーションの最大値と最小値の差が20nm以上であった。
(12)生産性
本ポリエステルフィルムを生産するにあたって、製品化をはじめてからフィルム破れにより製品採りが中断するまでの製膜継続時間から生産性を評価した。B以上を合格とした。
A:6時間製膜してフィルム破れは発生しなかった
B:6時間 製膜してフィルムやぶれが1回だけ発生した
C:6時間 製膜してフィルムやぶれが2回以上発生した
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対し33モル%共重合された共重合ポリエステル(イーストマン・ケミカル社製 GN001)を、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステルとして使用した(固有粘度0.75)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が70モル%、ネオペンチルグリコール成分が30モル%であるネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が85モル%、ジエチレングリコール成分が15モル%であるジエチレングリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルE)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が82.5モル%、イソフタル酸成分が17.5モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.70)。
(粒子マスター)
ポリエステルA中に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(実施例1)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度を0.2体積%とした別々のベント同方向二軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を270℃、B層押出機シリンダー温度を277℃で溶融し、A層とB層合流後の短管温度を277℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させA層/B層/A層からなる3層未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、延伸温度85℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に制御した金属ロールで冷却した。
次いでテンター式横延伸機にて延伸前半温度95℃、延伸中盤温度105℃、延伸後半温度140℃で幅方向に3.8倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理前半温度200℃、熱処理中盤温度225℃で熱処理を行った。このとき、熱処理前半で幅方向に8%微延伸を行い、さらに熱処理中盤で幅方向に6%微延伸を行いながら熱処理を施した。その後、熱処理後半温度180℃で、幅方向に3%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2)
熱処理前半で幅方向に15.0%微延伸を行い、熱処理中盤で幅方向に10.0%微延伸を行った以外は、実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例3)
熱処理前半で幅方向に6.0%微延伸を行い、熱処理中盤で幅方向に3.0%微延伸を行った以外は、実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
厚みを75μmに変更し、熱処理中盤温度215℃で熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例5)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルを得た。
(実施例6)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルを得た。
(実施例7)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例8)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1)
熱処理前半で幅方向に5.0%微延伸を行い、熱処理中盤で幅方向に3.0%微延伸を行った以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例2)
熱処理前半で幅方向に20.0%微延伸を行い、熱処理中盤で幅方向に15.0%微延伸を行った以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。製膜破れが頻発し、製品採りができなかったため、破れ直前に採取したサンプルから物性を測定した。
(比較例3)
熱処理前半で幅方向に5.0%微延伸を行い、熱処理中盤で幅方向に3.0%微延伸を行い、組成を表の通りにした以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例4)
組成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2017043756
Figure 2017043756
表中の略語の意味は以下の通りである。
EG:エチレングリコール
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
DEG:ジエチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
本発明により、光学フィルム用樹脂組成物と基材との積層体をロール状のまま延伸することが可能で、異物巻き込みやキズの発生が少ない生産性の高い光学フィルムの製造を実現するための基材として用いることができる光学フィルム製造用ポリエステルフィルムを提供することができる。

Claims (5)

  1. 150℃におけるフィルムMD方向の熱収縮率が3.0%以下でありTD方向の熱収縮率が1.5%以下でありかつ式(I)を満たす光学フィルム製造用ポリエステルフィルム。
    0.02≦|1−(NA+NB)/(NC×2)| ≦0.30 ・・・(I)
    但し、NA:フィルムのTD方向の中心から、TD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における面配向度
    NB:フィルムのTD方向の中心から、TD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mm位置における面配向度
    NC:フィルムのTD方向の中心における面配向度
  2. 式(II)を満たす請求項1に記載の光学フィルム製造用ポリエステルフィルム。
    0.005≦|1− (GA+GB)/(GC×2) | ≦0.060 ・・・(II)
    但し、GA:フィルムのTD方向の中心から、TD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における剛直非晶量
    GB:フィルムのTD方向の中心から、TD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mm位置における剛直非晶量
    GC:フィルムのTD方向の中心における剛直非晶量
  3. 式(III)〜(IV)を満たす請求項1または2に記載の光学フィルム製造用ポリエステルフィルム。
    XcA≧25.0%・・・(III)
    XcB≧25.0%・・・(IV)
    XcC≧25.0%・・・(V)
    但し、XcA:フィルムのTD方向の中心から、TD方向の任意の一方向(A方向)の500mmの位置における結晶化度
    XcB:フィルムのTD方向の中心から、TD方向のA方向と反対の方向(B方向)の500mm位置における結晶化度
    XcC:フィルムのTD方向の中心における結晶化度
  4. ポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層とを有する積層ポリエステルであって、ポリエステルA層が少なくとも一方の最外層に位置する請求項1から3に記載の光学フィルム製造用ポリエステルフィルム。
  5. ポリエステルA層の融点とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層の融点の差が3℃以上13℃以下である請求項1から4に記載の光学フィルム製造用ポリエステルフィルム。
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