以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置10の要部の構成を示している。画像形成装置10は、電子写真方式を適用して記録用紙などの記録媒体12に画像を形成する。
画像形成装置10には、記録媒体12に形成する画像の画像データが入力される。画像データは、例えば、画像形成装置10が接続される専用又は公衆ネットワーク回線等の通信回線を介して入力されても良い。また、画像形成装置10は、原稿に記録された画像を読み取る画像読取装置に接続され、画像読取装置が原稿に記録された画像を読み取って出力する画像データを取得する構成であっても良い。更に、画像形成装置10は、可搬型記憶媒体に記憶されたデータを読み取る記憶媒体読取装置に接続され、記憶媒体読取装置により可搬型記憶媒体に記憶された画像データを読み込んでも良い。
画像形成装置10は、記録媒体12が収容された収容部14、トナー像を記録媒体12に形成する画像形成部16、及びトナー像を記録媒体12に定着させる定着部18を備える。収容部14は、複数枚の記録媒体12を積み重ねて収容し、収容している記録媒体12を上層から順に取り出す。
画像形成装置10は、例えば複数対の搬送ロール20、及び搬送ベルト22により、収容部14から画像形成部16の二次転写位置及び定着部18を経て図示しない排出部に至る搬送路24が形成されている。画像形成装置10は、搬送ロール20及び搬送ベルト22が図示しない駆動源の駆動力により回転され、収容部14から取り出された記録媒体12が搬送路24に沿って搬送される。
画像形成部16は、中間転写ベルト26、及び複数の画像形成ユニット30を備える。画像形成部16は、複数の画像形成ユニット30の各々によりトナー像を形成して中間転写ベルト26に重ねて転写する。また、画像形成部16は、中間転写ベルト26上のトナー像を二次転写位置に設けたれた二次転写器48において記録媒体12に転写する。本実施の形態において、中間転写ベルト26は、中間転写体の一例として機能し、画像形成ユニット30は、像形成部の一例として機能する。
中間転写ベルト26は、無端状とされて、例えば、下方側(図2の紙面下方側)が一つの角とされた三角形状を成すように複数のロール28に巻き掛けられている。中間転写ベルト26は、図示しない駆動源の駆動力がロール28に伝達されることで、図2矢印A方向へ予め定められた速度で周回移動される。
画像形成部16は、画像形成ユニット30として、Y、M、C、Kの各色(プロセスカラー)のトナー(顔料)を用いる画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kを備える。C、M、Y、Kのトナーとしては、一般的プロセスカラーのトナーが用いられる。また、画像形成装置10に用いるトナーは、シリカ(Si)やステアリン酸亜鉛(ZnSt)などの外添剤が添加されていても良い。
また、画像形成部16は、プロセスカラーと異なる色のトナーを用いる画像形成ユニット30を備える。プロセスカラーと異なる色のトナーとしては、プロセスカラーと異なる所謂特色トナー、プロセスカラーと彩度の異なるトナー、画像の光沢を向上させる透明トナー、点字用の発泡トナー、蛍光色のトナー、及び金属色のトナー等が挙げられる。画像形成部16は、プロセスカラーと異なる色のトナーの一例としての金属色のトナー(金属顔料を含むトナー)を適用し、金属色のトナーを用いる画像形成ユニット30として、金色のトナーを用いる画像形成ユニット30V、及び銀色のトナーを用いる画像形成ユニット30Wを備える。
金属顔料は、金属色の再現性を向上させる。金属顔料は、粒子状(球状)であっても良く、粒子状よりも高い光沢感が得られる扁平形状の顔料(扁平顔料)であっても良い。金色及び銀色などの金属顔料(金属色のトナー)は、例えば、スチレンやアクリル等の合成樹脂や、着色剤、及び配合剤に加えて、金属アルミニウム粉などのような顔料(粉体)が配合されて、鱗片状(円盤状)の扁平形状や球形状に形成される。なお、金属色のトナーとしては、金属アルミニウム粉等を配合させたものに限らず、例えば、薄片状無機結晶質基質上に二酸化チタンからなる薄膜を被覆させた扁平状顔料(鱗片状顔料)を着色剤に配合したトナーを用いても良い。また、金属色のトナーとしては、金属自体を扁平状薄片にして配合したトナーなどを用いても良い。
画像形成部16は、複数の画像形成ユニット30が、三角形状とされた中間転写ベルト26の一辺(図2の紙面上方側の辺)に沿って配列されている。本実施の形態では、一例として、中間転写ベルト26の周回方向の上流側から画像形成ユニット30W、30V、30Y、30M、30C、30Kの順に配置されている。なお、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30K、30V、30Wは、使用するトナーが異なるが基本的構成は同様であり、以下の説明においては、使用するトナーを区別する場合に、Y、M、C、K、V、Wの符号を付与し、トナーを区別しない場合は、符号の付与を省略する。
図3は、画像形成ユニット30の一例を示す。画像形成ユニット30は、感光体ドラム32を備える。本実施の形態において感光体ドラム32は、感光体の一例として機能する。感光体ドラム32は、一例として円筒状に形成され、外周面に静電潜像を保持する。画像形成ユニット30は、感光体ドラム32が中間転写ベルト26に接するように配置されている。また、画像形成ユニット30は、感光体ドラム32が、図示しない駆動源の駆動力により、中間転写ベルト26の周回方向に応じた方向(図3の矢印R方向)へ、予め定められた回転速度(中間転写ベルト26の周回速度に応じた速度)で回転される。
画像形成ユニット30は、一例として、感光体ドラム32の周囲に、帯電器34、露光器36、現像器38、清掃器40、及び除電器42が、感光体ドラム32の回転方向に沿って順に配置され、各々が感光体ドラム32の外周面に対向されている。また、感光体ドラム32は、現像器38の下流側(清掃器40の上流側)で中間転写ベルト26に接している。画像形成部16は、画像形成ユニット30の感光体ドラム32が中間転写ベルト26に接している位置が一次転写位置となっている。
帯電器34は、例えば、コロトロン又はスコロトロンなどが用いられ、予め定められた帯電電圧が印加されることで、対向する感光体ドラム32の外周面を帯電させる。露光器36は、帯電された感光体ドラム32の外周面に、例えば光ビームを照射して露光する。画像形成装置10は、画像データに対して予め定めた画像処理を行い、画像処理された画像データに対して色分解を行うことで、記録媒体12ごとの露光データとして、例えば、各色のラスタデータ(ビットマップデータ)を生成する。露光器36は、露光データに応じた光ビームを感光体ドラム32の外周面に走査しながら照射し、感光体ドラム32の外周面に、露光データに応じた静電潜像を形成する。
トナーは、例えば、磁性キャリア等と混合されて現像剤に含まれる。現像器38は、例えば、現像剤を撹拌することでトナー及び磁性キャリアを帯電させて、感光体ドラム32の外周面にトナーを供給する。これにより、感光体ドラム32は、現像器38から供給されるトナーにより静電潜像が現像されて、静電潜像に応じたトナー像が形成される。画像形成部16は、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30K、30V、30Wを用いることで、Y、M、C、K、金、銀の各色のトナー像を形成する。
図2及び図3に示すように、画像形成部16には、画像形成ユニット30の各々の一次転写位置に、感光体ドラム32に対向して一次転写ロール44が配置されている。中間転写ベルト26は、一次転写位置の各々で感光体ドラム32と一次転写ロール44とに挟まれる。画像形成ユニット30は、中間転写ベルト26を挟む感光体ドラム32と一次転写ロール44との間に、予め定められた極性及び大きさの一次転写電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト26には、感光体ドラム32のトナー像が転写される。
画像形成部16は、Y、M、C、Kの各色のトナー像を、中間転写ベルト26に重ねて転写することで、中間転写ベルト26の表面(外周面)にフルカラーのトナー像を形成する。また、画像形成部16は、銀、金、Y、M、C、Kの各色のトナー像を中間転写ベルト26の表面に転写することで、中間転写ベルト26に、金、銀を含むカラーのトナー像を形成する。
図3に示すように、清掃器40は、例えば、先端が感光体ドラム32の外周面に接するブレード46を備える。清掃器40は、一次転写位置を通過した感光体ドラム32の表面がブレード46に接することで、感光体ドラム32に残っているトナーを掻き取って除去する。また、除電器42は、例えば、感光体ドラム32の外周面に光を照射して、感光体ドラム32の外周面の帯電履歴を消去し、帯電器34により帯電された際に、感光体ドラム32に帯電ムラが生じてしまうのを抑制する。
画像形成ユニット30は、感光体ドラム32の周囲に、帯電器34、露光器36、現像器38、清掃器40、及び除電器42が順に配置されることで、感光体ドラム32に対して、帯電、露光、現像、転写、清掃、及び除電の各処理が並行して実行される。
図2に示すように、画像形成部16は、中間転写ベルト26が形成する三角形状の下端部(下方側の角部分)に二次転写器48が配置されている。また、画像形成部16は、二次転写器48よりも中間転写ベルト26の移動方向の下流側に、中間転写ベルト26に対向して清掃器54が配置されている。
二次転写器48は、中間転写ベルト26が巻き掛けられたバックアップロール50、及びバックアップロール50との間で中間転写ベルト26を挟む二次転写ロール52とを備える。画像形成部16は、バックアップロール50と二次転写ロール52との間が二次転写位置となっている。
画像形成部16は、中間転写ベルト26に転写されたトナー像が二次転写位置に達するタイミングに合わせて、搬送路24を搬送される記録媒体12が二次転写位置に送り込まれる。二次転写器48は、予め定めた極性で、予め定めた大きさの二次転写電圧がバックアップロール50と二次転写ロール52との間に印加されことで、中間転写ベルト26上のトナー像を記録媒体12に転写させる。これにより、記録媒体12には、画像データに応じたトナー像が転写される。
また、二次転写器48は、二次転写電圧と逆極性の電圧(逆バイアス電圧)がバックアップロール50と二次転写ロール52との間に印加される。中間転写ベルト26上のトナー像は、二次転写器48に逆バイアス電圧が印加されると、中間転写ベルト26に保持された状態で二次転写位置を通過して清掃器54に至る。清掃器54は、例えば、先端が中間転写ベルト26の表面(外周面)に接するブレード54Aを備え、二次転写位置を通過した中間転写ベルト26に残っているトナーを、ブレード54Aにより掻き取って除去する。
定着部18は、例えば、外周面が予め定められた温度(定着温度)に加熱された加熱ロール56、及び加熱ロール56に対向されて配置され、予め定められた圧力(定着圧力)を付与する加圧ロール58を備える。二次転写位置を通過した記録媒体12は、定着部18の加熱ロール56と加圧ロール58との間へ送り込まれる。定着部18は、記録媒体12を加熱ロール56と加圧ロール58との間で挟むことで、記録媒体12上のトナー像を加熱及び加圧して、記録媒体12に溶融定着させる。画像形成装置10は、定着部18でトナー像を溶融定着させることで、記録媒体12にトナーによる画像を形成する。
なお、画像形成装置10は、定着部18を通過した記録媒体12を、二次転写位置よりも収容部14側の搬送路24上に戻す中間搬送路(図示省略)が設けられても良い。画像形成装置10は、中間搬送路が設けられることで、例えば、記録媒体12に金色及び銀色のトナーを用いた画像を形成した後、Y、M、C、Kのトナーを用いた画像形成が行われても良い。また、中間搬送路は、記録媒体12の表裏を判定する反転機構を備えても良く、これにより、画像形成装置10は、記録媒体12の表裏両面に画像を形成する所謂両面印刷が行われる。
図4には、画像形成装置10において画像形成を制御する装置制御部60の一例を示している。装置制御部60は、コントローラ62を備える。装置制御部60は、コントローラ62に、収容部14、画像形成ユニット30の各々、二次転写器48、定着部18、及び駆動部64等が接続されている。コントローラ62は、CPU、ROM、RAM、及びHDD等の不揮発性メモリがバスによって接続された一般的構成のマイクロコンピュータ(図示省略)を備える。コントローラ62は、CPUがROM及びHDD等に記憶されたプログラムを実行することで、収容部14、画像形成ユニット30の各々、二次転写器48、定着部18、及び駆動部64等の作動を制御する。例えば、コントローラ62は、収容部14に収容されている記録媒体12の取り出しを制御する。
また、コントローラ62は、CPUが画像形成プログラムを実行することで、画像形成ユニット30の各々における帯電、露光、現像、転写、清掃及び除電を制御し、二次転写器48における二次転写を制御し、定着部18におけるトナー像の定着を制御する。本実施の形態においてコントローラ62は、制御部の一例として機能する。CPUが実行する画像制御プログラムは、ROM及びHDD等に予め記憶されていても良く、これに限らず、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の可搬型記憶媒体に格納されて提供される形態、又はネットワークを介して提供される形態であっても良い。
駆動部64は、記録媒体12の搬送、中間転写ベルト26の周回移動、及び画像形成ユニット30の各々の感光体ドラム32の回転等の駆動源(図示省略)を備える。コントローラ62は、駆動部64の作動を制御することで、予め定められた速度となるように記録媒体12の搬送、中間転写ベルト26の周回移動、及び画像形成ユニット30の各々の感光体ドラム32の回転を制御する。
また、コントローラ62は、画像処理部66を備える。画像処理部66は、画像形成装置10に入力された画像データを読み込むと、画像データに対して、例えばシェーディング補正、位置ずれ補正、明度補正、色空間変換、ガンマ補正、及び枠消し等の予め定められた画像処理や編集処理等を実行する。また、画像処理部66は、例えば、画像データに対して、色分解処理を行うことで、C、M、Y、K又はC、M、Y、K、金、銀の各々の露光データを生成する。
コントローラ62は、画像処理部66により生成された各色の露光データに基づいて、画像形成ユニット30の各々の露光器36を制御することで、感光体ドラム32に露光データに応じた静電潜像を形成する。画像形成ユニット30は、感光体ドラム32の静電潜像をトナーにより現像することで、露光データに応じたトナー像が形成される。
コントローラ62には、作成判定部68及びパターン設定部70が設けられている。画像形成装置10は、予め定めたタイミングで、画像形成ユニット30の現像器38からトナーを吐き出す。画像形成装置10は、現像器38からトナーが吐き出されることで、画像形成に用いるトナーの劣化、及び感光体ドラム32に供給するトナーにムラが生じるのが抑制される。
現像器38からのトナーの吐き出しは、記録媒体12に転写しないトナー像を形成することで行われる。また、現像器38からのトナーの吐き出しは、感光体ドラム32の軸線方向に沿う全域について、予め定めた量のトナーが吐き出されるように行われる。コントローラ62は、各現像器38からトナーを吐き出すために、予め定めた画像密度のトナー像が得られる静電潜像を感光体ドラム32に形成する。また、感光体ドラム32に形成される静電潜像は、感光体ドラム32の軸方向の全域について、トナー量が予め定めた量となるように形成される。なお、感光体ドラム32の軸方向の全域は、感光体ドラム32に軸方向におけるトナー像の形成範囲の全域を示す。
現像器38から吐き出されたトナーにより感光体ドラム32に形成されたトナー像は、一次転写位置において中間転写ベルト26に転写される。これにより、中間転写ベルト26には、現像器38から吐き出されたトナーによるトナー像が形成される。以下の説明においては、現像器38からトナーを吐き出すことにより中間転写ベルト26に形成されるトナー像をトナーバンドと言う。トナーバンドは、一例として現像器38からトナーを吐く出すために作成される。
なお、トナーバンドを形成するトナーは、一部が転写されずに感光体ドラム32に残り、残ったトナーが清掃器40のブレード46により除去される。トナーにシリカ及びステアリン酸亜鉛が外添剤として添加されている場合は、ブレード46に達したトナーに添加されているシリカ(Si)が感光体ドラム32の外周面の摩耗を促進し、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)が摩耗を抑制するように作用する。これにより、感光体ドラム32は、外周面の摩耗が制御される共に、ブレード46の捲れや欠け等が防止される。
画像形成装置10は、予め定められたタイミングでトナーバンドを作成する。作成判定部68は、トナーバンドを作成するタイミングとなったか否かを判定する。トナーバンドを作成するタイミングとしては、電源が投入されて画像形成装置10が立ち上がる時、画像形成装置10の稼働時間が予め定めた時間に達するごと、予め定められた枚数の記録媒体12に画像を形成するごと、及び記録媒体12に形成した画像の平均濃度が予め定めたしきい値に満たないとき等などが適用される。パターン設定部70は、予め定められたトナーバンドのパターンが記憶されている。トナーバンドのパターンは、トナー像の配列を示し、例えば、トナーバンドの画像データ又は露光データとして記憶される。
パターン設定部70に記憶されたトナーバンドのパターンは、感光体ドラム32の軸方向に沿うトナー量が、予め定められた量以下ずつ増加するように定められている。これにより、中間転写ベルト26には、中間転写ベルト26の幅方向に沿うトナー量が、中間転写ベルト26の下流側から上流側へ向けて、予め定められた量ずつ増加されたトナーバンドが形成される。
また、トナーバンドは、感光体ドラム32の軸線方向の全域について、周方向に沿うトナー量が予め設定された量となるように定められる。作成判定部68は、トナーバンドを作成するタイミングに達したと判定すると、パターン設定部70に記録されたトナーバンドのパターンを読み出して、読み出したパターンに基づいてトナーバンドが形成されるように設定する。
画像処理部66は、作成判定部68において設定されたトナーバンドに基づいて露光データを生成する。コントローラ62は、記録媒体12に転写するトナー像(画像データに基づいたトナー像)を形成するのとは異なるタイミングでトナーバンドを形成する。即ち、コントローラ62は、中間転写ベルト26上で、記録媒体12に対応する画像形成領域を外れた領域である画像形成領域外にトナーバンドが形成されるように画像形成ユニット30を制御する。
コントローラ62は、中間転写ベルト26にトナーバンドを形成すると、形成したトナーバンドが二次転写位置に達するタイミングで、二次転写器48に逆バイアス電圧を印加する。これにより、中間転写ベルト26上のトナーバンドは、記録媒体12に転写されることなく中間転写ベルト26に保持され、清掃器54により中間転写ベルト26から除去される。なお、清掃器54が中間転写ベルト26から除去するトナーの除去能力に制限がある場合、コントローラ62は、清掃器54の除去能力を超えないトナー量のトナーバンドを作成する。
図5には、複数枚の記録媒体12に順に画像を形成する場合の中間転写ベルト26の要部を示している。なお、以下の説明では、矢印Xにより中間転写ベルト26の幅方向を示し、矢印Yにより中間転写ベルト26の移動方向の上流側を示す。本実施の形態において、矢印X方向は、感光体ドラム32の軸線方向に対応し、矢印Y方向は、感光体ドラム32の周方向に対応している。
画像形成装置10は、記録媒体12に画像を形成する場合、二次転写位置で記録媒体12が重ねられる中間転写ベルト26上の領域に、記録媒体12に転写するトナー像が形成される。本実施の形態では、記録媒体12が重ねられる中間転写ベルト26上の領域をイメージ領域72とする。本実施の形態においてイメージ領域72は、画像形成領域の一例として機能する。
コントローラ62は、中間転写ベルト26上で、イメージ領域72を外れた領域に、1色分又は複数色分のトナーバンドを形成する。以下の説明では、イメージ領域72を外れた領域をインターバル領域74とする。本実施の形態では、インターバル領域74にトナーバンドを形成する。本実施の形態においてインターバル領域74は、画像形成領域外の一例として機能する。
図1(A)は、本実施の形態に係るトナーバンド76を示し、図1(B)は、横軸を中間転写ベルト26上で移動方向に沿う位置とし、縦軸をトナー量の積算値TDyとして、トナーバンド76のトナー量Tの積算値TDy及び積算値TDyの変化線Q1を実線で示している。
本実施の形態では、一例として、複数の画像形成ユニット30のうち、中間転写ベルト26の上流側で、且つ金属色のトナーを用いる画像形成ユニット30W、30Vにより形成するトナーバンドとして、トナーバンド76を適用する。本実施の形態においてトナーバンド76は、画像形成領域外に形成されるトナー像の一例として機能し、トナー量が、中間転写ベルト26の移動方向上流側に向かうにつれて予め定めた量以下ずつ増加するトナー像の一例として機能する。なお、画像形成ユニット30W、30Vより下流側の画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kにより形成するトナーバンドは、トナーバンド76を適用しても良く、また、後述する一般的構成のトナーバンドを適用しても良い。
以下においては、説明を簡略化するために、中間転写ベルト26上のインターバル領域74を幅方向に沿って複数に分割すると共に、中間転写ベルト26の移動方向に沿って下流側から上流側へ向けて予め定めた長さごとに分割して矩形形状の複数の領域78を定めている。図1(A)に示すように、本実施の形態では、一例として、中間転写ベルト26の幅方向に沿って11分割(列A〜K)している。また、本実施の形態では、中間転写ベルト26の移動方向に沿う位置(例えば、領域78の中心位置)Dyを、移動方向の下流側から順に位置D1、D2、・・として定めている。また、位置D0は、トナーバンド76の先端よりも中間転写ベルト26の下流側で予め定めた位置としている。なお、分割により形成される領域78のサイズは、任意のサイズを適用することができ、例えば、最小サイズとしては、画素単位等を適用することができる。また、インターバル領域74の分割は、これに限らず、任意の分割数を適用することができ、例えば、領域78のサイズに基づいて定めても良く、また、中間転写ベルト26の幅方向に沿う分割数は、奇数に限らず偶数であっても良い。
トナーバンド76は、予め定めた位置の領域78に予め定められたトナー濃度のトナー像が形成される。以下、領域78に形成したトナー像をトナーブロック80と言う。トナーバンド76は、一例として、複数のトナーブロック80が予め定められたパターンで配列されて形成される。本実施の形態においてトナーブロック80は、トナーブロックの一例として機能する。なお、トナーブロック80(トナー像が形成される領域78)は、任意のサイズが適用される。また、本実施の形態では、一例として、矩形形状のトナーブロック80を例に説明するが、トナーブロックは、矩形形状に限らず円形状などの予め定められた各種の形状が適用される。
トナー像のトナー量は、トナー像のトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高い場合、トナー濃度が低い場合よりもトナー量が多くなる。本実施の形態では、トナー量の指標の一例としてトナー濃度を適用する。トナーブロック80のトナー量Tは、一例として、トナー濃度100%の場合、トナー量T=100、トナー濃度50%の場合、トナー量T=50、トナー濃度0%(トナー無し)の場合、トナー量T=0とする。
トナーバンド76は、中間転写ベルト26の幅方向に沿う全域(列A〜Kの各々)について、予め定めたトナー量が吐き出されるようにトナーブロック80のトナー濃度(トナー量T)が定められる。
感光体ドラム32の軸線方向のトナー量は、中間転写ベルト26の位置Dyにおけるトナーブロック80のトナー量Tの積算値TDyを適用している。また、トナーバンド76等における感光体ドラム32の軸線方向の全域におけるトナー量は、列A〜Kの各々における中間転写ベルト26の移動方向に沿うトナーブロック80のトナー量Tの積算値TS(TSA〜TSK)を適用している。本実施の形態において、トナー量の積算値TDyは、感光体の軸線方向に沿うトナー量の一例として機能し、トナー量の積算値TSは、感光体ドラム32の周方向に沿うトナー量の一例として機能している。
図1(A)に示すように、トナーバンド76は、中間転写ベルト26の移動方向下流側の端部となる位置D1において、幅方向の中央部(列F)に一つのトナーブロック80が配置され、次の位置D2において、3つのトナーブロック80(列E、F、G)が配置される。また、トナーバンド76は、位置D3において、トナー像(トナーブロック80)を形成しない一つの領域78(列F)を挟んで2ずつのトナーブロック80(列D、E、G、H)が配置される。さらに、トナーバンド76は、位置D4以降において、2つずつのトナーブロック80が配置され、2つずつのトナーブロック80の間にトナーブロック80が形成されない領域78の数が順に増やされている。これにより、トナーバンド76は、先端が中間転写ベルト26の移動方向の下流側に向き、且つ「柄」が省かれた矢印形状が形成されるようにトナーブロック80が配列される。
トナーバンド76は、列A〜Kの各々における中間転写ベルト26の移動方向に沿うトナーブロック80のトナー量Tの積算値TSA〜TSKが予め定めたトナー量となるように形成される。トナーバンド76では、一例として、各トナーブロック80のトナー量Tが50(T=50)とされ、積算値TSA〜TSKの各々が100(TSA〜TSK=100)となっている。
図1(B)に示すように、トナーバンド76は、位置D1の積算値TD1=50、位置TD2の積算値TD2=150、位置TD3の積算値TD3=200となっている。従って、トナーバンド76は、感光体ドラム32に軸線方向に沿うトナー量が、感光体ドラム32の周方向に対応する中間転写ベルト26の移動方向に沿って徐々に増加されている。
変化線Q1は、例えば、位置D0から位置D1における傾きが、中間転写ベルト26の移動方向に沿う長さに対する積算値TDyの変化量(TD1−TD0)の比で示される。即ち、変化線Q1は、中間転写ベルト26の移動方向に沿う単位長さ当たりのトナー量の積算値TDyの変化量(変化の度合い)により傾きが定まる。
トナーバンド76は、変化線Q1の傾きが大きくなるほどトナー量の積算値TDyの変化量が大きくなる。トナーバンド76は、トナー量の積算値TDyの変化線Q1の傾きが、予め定められた傾きよりも小さくなるようにトナーブロック80が配列されることで、トナー量が予め定めた量以下ずつ増加するように形成される。
以下に、本実施の形態の作用として、画像形成装置10においてトナーバンドを形成するバンド作成処理を説明する。なお、バンド作成処理は、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30K、30V、30Wの各々について個別に行われても良く、一括して行われても良い。また、複数の画像形成ユニット30でトナーバンドを形成する際、一つのインターバル領域74に収まらなければ、例えば、複数のインターバル領域74に分けてトナーバンドを形成しても良い。また、画像形成装置10は、一例として、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30K、30V、30Wのうちで、中間転写ベルト26の移動方向の上流側で且つ金属粒子を含むトナーが用いられる画像形成ユニット30V、30Wにより形成するトナーバンドにトナーバンド76を適用する。なお、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kで形成するトナーバンドは、トナーバンド76のパターンが用いられても良く、一般的パターンが用いられても良い。
図6には、バンド作成処理の一例を示している。このフローチャートは、画像形成装置10の稼働中に実行され、最初のステップ100では、トナーバンドを形成する条件が満たされたか否かを確認する。即ち、トナーバンドを作成するタイミングとなったか否かを確認する。
画像処理部66は、各色について露光データを生成しており、各色の露光データから記録媒体12ごとの平均濃度が得られる。例えば、画像形成装置10では、1枚又は複数枚の記録媒体12における平均濃度が予め定めているしきい値に満たない場合、現像器38から感光体ドラム32に供給されるトナーの量が少ないため濃度ムラが生じることがある。また、画像形成ユニット30では、現像器38から感光体ドラム32に供給するトナーの量が少ない状態が継続すると、一部のトナーが長時間に渡って現像器38に滞留して劣化してしまうことがある。
コントローラ62は、例えば、記録媒体12に形成した画像の平均濃度がしきい値に達してないか又は平均濃度がしきい値に達していない画像が連続すると、トナーバンドを作成する必要があるとして、ステップ100で肯定判定してステップ102へ移行する。ステップ102では、作成するトナーバンドを設定する。
コントローラ62は、画像形成ユニット30V、30Wについて、パターン設定部70に記憶されたパターンを用いて、トナーバンド76を作成するように設定する。また、トナーバンドは、現像器38から吐き出すトナー量に基づいてトナー濃度が設定される。トナー濃度は、予め定められているトナー濃度が適用されても良い。また、例えば、記録媒体12に形成した画像の平均トナー濃度が予め定めているしきい値に満たない場合、トナーバンドを含めた平均トナー濃度がしきい値を超える濃度を設定しても良い。
トナーバンドが設定されると、ステップ104では、中間転写ベルト26上でイメージ領域72外となるインターバル領域74にトナーバンドを形成するように各画像形成ユニット30の作動を制御する。即ち、コントローラ62は、記録媒体12に転写するトナー像を形成しないタイミングで、中間転写ベルト26にトナーバンドを形成するように各画像形成ユニット30の作動を制御する。これにより、中間転写ベルト26は、インターバル領域74にトナーバンドが形成される。なお、コントローラ62は、中間転写ベルト26に形成したトナーバンドが二次転写器48を通過するタイミングで二次転写電圧と逆極性の逆バイアス電圧を印加するように制御し、トナーバンドを清掃器54により中間転写ベルト26から除去する。
ところで、感光体ドラム32と中間転写ベルト26との間の摩擦係数は、トナーが介在することで小さくなり、感光体ドラム32が接触しているトナー量(感光体ドラム32の軸線方向に沿うトナー量。本実施の形態では、トナー量の積算値TDy)が多くなるほど、摩擦係数は小さくなる。また、金属色のトナーは、金属粒子を含むことで、金属粒子を含まないトナー(例えば、プロセスカラーのトナー)と比較して、感光体ドラム32と中間転写ベルト26との間の摩擦係数が小さくなる。
図7(A)は、中間転写ベルト26のトナーバンド及び感光体ドラム32を示し、図7(B)は、一般的なトナーバンドの一例とするトナーバンド82を示している。
図7(A)に示すように、上流側の画像形成ユニット30により中間転写ベルト26に形成されたトナーバンド(例えば、トナーバンド76、82)は、中間転写ベルト26の移動に伴って下流側の画像形成ユニット30の感光体ドラム32に接触する。感光体ドラム32は、接触するトナーバンドのトナー量が減少する方向へ変化すると摩擦係数が大きくなり、摩擦係数が大きくなるのに伴って摩擦力が大きくなる。感光体ドラム32は、摩擦力が大きくなる方向へ変化すると速度変動が生じ難くなる。
しかし、感光体ドラム32は、接触するトナーバンドのトナー量が増加すると摩擦係数が小さくなる。感光体ドラム32は、摩擦係数が小さくなる方向へ変化すると、摩擦力が低下して滑りが生じる。
図7(B)に示すように、トナーバンド82は、中間転写ベルト26の幅方向の全域が予め設定されたトナー量で、且つ中間転写ベルト26の移動方向に沿うトナー量が予め定められた量となるように形成される。トナーバンド82は、一例として、感光体ドラム32の軸方向に沿う列A〜Kの各々のトナー量の積算値TSA〜TSKが100(TSA〜TSK=100)となっている。また、トナーバンド82は、位置D1、D2の各々におけるトナー量の積算値TD1、TD2が550となる(TD1、TD2=550)。従って、図1(B)に破線で示すように、中間転写ベルト26にトナーバンド82を形成した場合、形成したトナーバンド82の先端部では、中間転写ベルト26上のトナー量の積算値TDyが、0から550に増加し、変化線Q0の傾きが比較的大きくなっている。
また、トナーは、金属粒子を含むことで、金属粒子を含まない場合よりも摩擦係数が小さくなる。感光体ドラム32は、トナーバンド82が、金属粒子を含まないトナーにより形成されている場合には問題なくとも、金属粒子を含むトナー(例えば、金色又は銀色のトナー)により形成されていると、トナーバンド82に接触することで、さらに摩擦力が低下する。感光体ドラム32は、摩擦力が大きく低下すると、滑りによる速度変動が生じる。画像形成ユニット30は、感光体ドラム32に対して、帯電、露光、現像、転写、清掃及び除電が並行して行われており、感光体ドラム32の速度変動が、感光体ドラム32に対する帯電、露光、及び現像等に影響を与える。
本実施の形態に適用したトナーバンド76は、中間転写ベルト26の幅方向に沿うトナー量が、中間転写ベルト26の移動方向に沿って予め定めた量以下ずつ増加する。画像形成装置10は、金属粒子を含むトナーを用いる画像形成ユニット30V、30Wにより中間転写ベルト26に形成するトナーバンドとして、トナーバンド76を適用する。
感光体ドラム32に速度変動が生じるトナー量の積算値TDyの変化量は、感光体ドラム32の慣性力、感光体ドラム32と中間転写ベルト26の表面状態、及び感光体ドラム32に対するトナーの摩擦特性などの因子に応じて影響する。従って、これらの因子から、感光体ドラム32に速度変動を生じさせないトナー量の積算値TDyの変化量(変化量の上限)が定まる。トナーバンド76は、感光体ドラム32に速度変動を生じさせないトナー量の積算値TDyを予め定めた量(以下、予め定めた量ΔTDという)として、トナー量が増加する場合、トナー量が予め定めた量ΔTD以下ずつ増加するよう、トナーブロック80のトナー量T(トナー濃度)及びトナーブロック80の配列が定められている。
これにより、図1(B)に示すトナーバンド76の変化線Q1の傾きは、感光体ドラム32に速度変動を生じさせないトナー量の積算値TDyの変化量(予め定めたトナー量)ずつ増加させるようにした場合(図示省略)よりも緩やかとなる。また、トナーバンド76は、変化線Q1の傾きが、トナーバンド82の変化線Q0の傾きと比較して小さく、中間転写ベルト26の移動方向の下流側から上流側へ向けてトナー量の積算値TDyが徐々に増加するように形成される。従って、画像形成装置10は、画像形成ユニット30Wにより形成されたトナーバンド76に、下流側の画像形成ユニット30V、30Y、30M、30C、30Kの感光体ドラム32が接触しても、感光体ドラム32に速度変動の発生が低減される。また、画像形成装置10は、画像形成ユニット30Vによりトナーバンド76が形成されることで、画像形成ユニット30Vの下流側の画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kの感光体ドラム32に速度変動の生じるのが防止される。
また、図1(A)に示すように、トナーバンド76は、中間転写ベルト26の幅方向の中央部から外方の両側へ向けて広がるようにトナーブロック80が配列された形状となっている。即ち、トナーバンド76は、対称線CLを軸とする線対称と言える形状にトナーブロック80が配列され、且つ、対称線CLが中間転写ベルト26の移動方向に沿うように形成されている。これにより、感光体ドラム32は、トナーバンド76に接触したときに、軸線方向に沿う摩擦力が左右対称に変化し、感光体ドラム32に軸線方向に沿う摩擦力の変化が相殺される。
一方、一つのインターバル領域74内に画像形成ユニット30V、30Wの各々でトナーバンド76を形成する場合、2つのトナーバンド76によるトナー量の積算値TDyが予め定めた量ΔTD以下ずつ増加するようにすれば良い。図8(A)には、中間転写ベルト26のインターバル領域74に、画像形成ユニット30Vによりより形成したトナーバンド76V、及び画像形成ユニット30Wにより形成したトナーバンド76Wの配列の一例を示している。また、図8(B)には、図8(A)におけるトナー量の積算値TDyの変化を示している。
図8(A)に示すように、トナーバンド76Wは、一例としてトナー量T=50のトナーブロック80Wが配列され、トナーバンド76Vは、トナー量T=50のトナーブロック80Vが配列される。2つのトナーバンド76V、76Wをインターバル領域74に形成する場合、中間転写ベルト26の移動方向に沿ってトナーバンド76Vとトナーバンド76Wとを連続させるか、又は予め定めた間隔を空ければ良い。図8(A)では、一例として、トナーバンド76Wの次に、領域72の一つ分の間隔を空けてトナーバンド76Vを形成した例を示している。
図8(B)に示すように、トナーバンド76V、76Wは、トナー量の積算値TDyが増加する領域において、変化線Q2の傾きが、トナーバンド82の傾きQ0に比べて緩やかとなっており、且つ予め定めた量ΔTDずつ増加させたときの傾きよりも緩やかとなっている。従って、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kの感光体ドラム32は、中間転写ベルト26上に形成されたトナーバンド76V、76Wに接触しても、速度変動の発生が低減される。
以上の説明では、矢印形状となるようにトナーブロック80が配列されたトナーバンド76を例に説明したが、トナーバンドは、トナー量の積算値TDyの変化が予め定めた量ΔTD以下ずつ増加するようにトナーブロックを配列したものであれば、任意の形状(配列パターン)が適用される。以下に変形例とするトナーバンドを説明する。以下に説明するトナーバンドは、トナー量の積算値TDyの変化線の傾きが、トナー量の積算値TDyを予め定めた量ΔTDずつ増加させたときの傾きよりも緩やかとなっている。
〔変形例1〕
図9(A)は、変形例1に係るトナーバンド86を示し、図9(B)は、横軸を中間転写ベルト26上の位置とし、縦軸をトナー量の積算値TDyとして、トナーバンド86のトナー量の積算値TDy及び変化線Q3を示している。なお、以下の変形例の説明において、トナー量の積算値TDy及び変化線を示す線図は、横軸を中間転写ベルト26の移動方向に沿う位置とし、縦軸をトナー量の積算値TDyとしている。
図9(A)に示すトナーバンド86は、中間転写ベルト26の幅方向両端部から幅方向の中央部に向けて斜めにトナーブロック80が配列され、トナーバンド76の矢印形状を逆方向へ向けた形状となっている。即ち、トナーバンド86は、位置D1において中間転写ベルト26の幅方向の両端部にトナーブロック80が配列され、位置D2において中間転写ベルト26の幅方向の両端部に2つずつのトナーブロック80が配列されている。また。トナーバンド86は、位置D3、D4、D5と変化するにしたがって2つずつのトナーブロック80の間のトナー像の形成されない空きの領域78の数が減らされている。さらに、トナーバンド86は、位置D6において中間転写ベルト26の幅方向の中央部に3つのトナーブロック80が連続して配列され、後端の位置D7において幅方向の中央部に一つのトナーブロック80が配置されている。
図9(B)に示すように、トナーバンド86は、中間転写ベルト26の移動方向下流側で、トナー量の積算値TDyが予め定めた量ΔTD以下ずつ徐々に増加する。これにより、トナーバンド86は、変化線Q3の傾きが、トナーバンド82の変化線Q0の傾きに比較して緩やかとなっている。
従って、画像形成ユニット30V、30Wにより形成されたトナーバンド86は、画像形成ユニット30V、30Y、30M、30C、30Kの感光体ドラム32に速度変動の発生が低減される。
また、トナーバンド86は、対称線CLを軸とする線対称と言える形状にトナーブロック80が配列され、且つ、対称線CLが中間転写ベルト26の移動方向に沿うように形成されている。これにより、感光体ドラム32は、トナーバンド86に接触しても、軸線方向に沿う摩擦力の変化が相殺される。
〔変形例2〕
図10(A)は、変形例2に係るトナーバンド88を示し、図10(B)は、トナーバンド88のトナー量の積算値TDy及び変化線Q4を示している。図10(A)に示すように、トナーバンド88は、先端が中間転写ベルト26の移動方向の下流側に向けられた三角形状となるようにトナーブロック80が配列されている。即ち、トナーバンド88は、位置D1において中間転写ベルト26の幅方向の中央部に一つのトナーブロック80が配置され、位置Dyが中間転写ベルト26の移動方向の上流側へ向けて変化するのに伴ってトナーブロック80の数が増やされている。
図10(B)に示すように、トナーバンド88は、中間転写ベルト26の移動方向下流側で、トナー量の積算値TDyが予め定めた量ΔTD以下ずつ徐々に増加する。これにより、トナーバンド88は、変化線Q4の傾きが、トナーバンド82の変化線Q0(図10(B)に破線で示す)の傾きに比較して緩やかとなっている。従って、感光体ドラム32は、中間転写ベルト26に形成されたトナーバンド88に接触しても速度変動の発生が低減される。また、トナーバンド88は、対称線CLを軸とする線対称と言える形状にトナーブロック80が配列され、対称線CLが中間転写ベルト26の移動方向に沿うように形成されている。これにより、感光体ドラム32は、トナーバンド88に接触しても、軸線方向に沿う摩擦力の変化が相殺される。
図11(A)には、画像形成ユニット30Wによりトナーバンド88を形成し、画像形成ユニット30Vによりトナーバンド82のパターンを適用したトナーバンド82Vを、中間転写ベルト26の移動方向に沿って連続させて形成した場合を示し、図10(B)には、図11(A)におけるトナー量の積算値TDy及び変化線Q5を示している。
図11(A)に示すように、トナーバンド88は、中間転写ベルト26の移動方向の上流側のトナー量の積算値TDyが大きくなっている。これにより、画像形成ユニット30Wによりトナーバンド88を形成し、画像形成ユニット30Vによりトナーバンド82のパターンを適用したトナーバンド88Vを形成するようにしても、トナー量の積算値TDyの増加量が抑えられる。なお、トナーバンド82Vは、一例として銀色のトナーを用いて、トナー量Tが50(T=50)のトナーブロック80Bを配列している。
図11(B)に示すように、トナーバンド88及びトナーバンド82Vを連続して形成した場合、トナー量の積算値TDyは、トナーバンド88に連続させてトナーバンド82Vを形成しても、トナー量の積算値TDyの変化が予め定めた量ΔTD以下となる。従って、変化線Q5は、トナーバンド82Vが含まれていても、傾きが抑えられ、感光体ドラム32は、トナーバンド88及びトナーバンド82Vが連続して接触しても、速度変動の発生が低減される。
図12(A)は、トナーバンド88の形状を用いたトナーバンド88Aを示し、図12(B)は、トナーバンド88Aのトナー量の積算値TDy及び変化線Q6を示している。なお、図12(B)では、トナーバンド88の変化線Q4を二点鎖線で示している。
図10(A)に示すトナーバンド88は、予め定めたトナー量T(トナー濃度)のトナーブロック80が配列されているため、中間転写ベルト26の幅方向の中央部の積算値TS(例えば積算値TSD〜TSH)が、両端部のトナー量の積算値TS(例えば、積算値TSA、TSK)よりも多くなっている。
これに対して、図12(A)に示すトナーバンド88Aは、一例として、トナーブロック80の一部を、トナー量Tがトナーブロック80よりも少ない(トナー濃度が低い)トナーブロック80Aに替えている。トナーバンド88Aは、一例として、トナー量T=50のトナーブロック80及びトナー量T=25のトナーブロック80Aを用い、トナーバンド88の内部で三角形状に配置されたトナーブロック80をトナーブロック80Aに置き換えている。
図12(B)に示すように、トナーバンド88Aは、変化線Q6の傾きが、トナーバンド88の変化線Q4の傾きよりもさらに緩やかとなっており、トナーバンド88と比較してトナー量の積算値TDyの変化が更に抑えられる。
また、図12(A)に示すように、トナーバンド88Aは、トナーブロック80よりもトナー量Tの少ないトナーブロック80Aが用いられることで、中間転写ベルト26の幅方向の中央部の積算値TS(例えば、積算値TSD〜TSH)が抑えられる。従って、図10(A)及び図12(A)に示すように、トナーバンド88Aは、トナーバンド88に比べて、中間転写ベルト26の幅方向の中央部の積算値TS(例えば、積算値TSD〜TSH)幅方向の両端部の積算値TS(例えば積算値TSA、TSK)との差が小さくなり、トナーバンド88を用いる場合に比べてトナーの消費が抑えられる。
〔変形例3〕
図13(A)は、変形例3に係るトナーバンド90を示し、図13(B)は、トナーバンド90のトナー量の積算値TDy及び変化線Q7を示している。図13(A)に示すトナーバンド90は、トナーブロック80を網点状に配列する際、トナーブロック80の数が、中間転写ベルト26の移動方向の下流側で減らされ、上流側の数で増やされている。なお、トナーバンド90は一例として、位置D1において4つずつの領域78を空けて、中間転写ベルト26の幅方向の中央部及び両端部にトナーブロック80が配列され、位置D2において一つずつの領域78を空けて5つのトナーブロック80が配列されている。また、トナーバンド80は、2つずつのトナーブロック80の間に、一つずつの領域78を空けて2つのトナーブロック80が配列されている。また、トナーバンド90は、位置D4において、一つの領域78を空けて3つずつのトナーブロック80が配列され、更に一つの領域78を空けて一つずつのトナーブロック80が配列され、位置D5において11のトナーブロック80が連続して配列されている。
さらに、トナーバンド90は、一例として、トナーブロック80の配列が、中間転写ベルト26の幅方向の中心を対称線とする線対称となっている。即ち、トナーバンド90は、対称線CLを軸とする線対称と言える形状にトナーブロック80が配列され、且つ、対称線CLが中間転写ベルト26の移動方向に沿うように形成されている。
これにより、図13(B)に示すように、トナーバンド90は、中間転写ベルト26の移動方向の下流側から上流側へ向けてトナー量の積算値TDyが予め定めた量ΔTD以下ずつで徐々に増加されている。また、トナーバンド90は、変化線Q7の傾きが、トナーバンド82の変化線Q0の傾きよりも緩やかとなっている。従って、感光体ドラム32は、トナーバンド90に接触しても、速度変動の発生が低減される。
〔変形例4〕
図14(A)は、変形例4に係るトナーバンド92を示し、図14(B)は、トナーバンド90のトナー量の積算値TDy及び変化線Q8を示している。図14(A)に示すように、トナーバンド92は、中間転写ベルト26の幅方向に沿って一端側から他端側へ向けて連続するようにトナーブロック80、及びトナーブロック80よりもトナー濃度の低いトナーブロック80Aが配列されている。この際、トナーバンド92は、列A〜Kの各々に配置するトナーブロック80、又はトナーブロック80、80Aの位置を、中間転写ベルト26の移動方向に沿って順にずらすことで、中間転写ベルト26の幅方向に対して中間転写ベルト26の移動方向の上流側へ向けて傾斜された帯状形状とされている。
即ち、トナーバンド92は、位置D1において中間転写ベルト26の幅方向の一端側に一つずつのトナーブロック80、80Aが配列され、次の位置D2において、3つのトナーブロック80と一つのトナーブロック80Aが配列されている。また、トナーバンド92は、位置D3から位置D5に3つのトナーブロック80の両側に一つずつのトナーブロック80Aが、中間転写ベルト26の幅方向に順にずらされて配列されている。さらに、トナーバンド92は、位置D6において3つのトナーブロック80及び一つのトナーブロック80Aが、位置D7において一つずつのトナーブロック80、80Aが、各々中間転写ベルト26の幅方向の他端側に並べられて配列されている。
これにより、図14(B)に示すように、トナーバンド92は、中間転写ベルト26の移動方向下流側から上流側へ向けて、トナー量の積算値TDyが予め定めた量ΔTD以下ずつ増加し、変化線Q8の傾きが、トナーバンド82の変化線Q0の傾きよりも緩やかとなっている。従って、感光体ドラム32は、トナーバンド92が接触しても速度変動の発生が低減される。
〔変形例5〕
図15(A)は、変形例5に係るトナーバンド94を示し、図15(B)は、トナーバンド94のトナー量の積算値TDy及び変化線Q9を示している。
感光体ドラム32に速度変動の発生を低減するためには、トナーブロック80等が設けられる(トナー像が形成される)領域78の配列に限らず、各領域78に形成するトナー像のトナー量(トナー濃度)を段階的又は連続的に変化させても良い。即ち、中間転写ベルト26の移動方向に沿うトナー量の積算値TDyが予め定めた量ΔTD以下ずつ増加させることで、徐々に増加するようにトナー量T(トナー濃度)を変化させるようにしても良い。
図15(A)に示すトナーバンド94は、領域78に形成するトナー像のトナー量Tを中間転写ベルト26の移動方向の下流側から上流側へ向けて徐々に増加するように変化させている。即ち、トナーバンド94は、トナー濃度を中間転写ベルト26の下流側から上流側へ向けて徐々に濃くなるようにしている。トナーバンド94は、一例として、位置D1、D2、D3、D4、D5に、トナー量T1のトナーブロック96A、トナー量T2のトナーブロック96B、トナー量T3のトナーブロック96C、トナー量T4のトナーブロック96D、及びトナー量T5のトナーブロック96Eが、中間転写ベルト26の幅方向の全域に配列されている。この際、トナーバンド94は、T1<T2<T3<T4<T5となるように、T1=10、T2=20、T3=30、T4=40、及びT5=50とされている。
これにより、図15(B)に示すように、トナーバンド94は、中間転写ベルト26の移動方向下流側から上流側へ向けて、トナー量の積算値TDyが予め定めた量ΔTD以下ずつ増加されている。また、トナーバンド94は、変化線Q8の傾きが、トナーバンド82の変化線Q0の傾きよりも緩やかになっている。従って、感光体ドラム32は、トナーバンド94に接触しても速度変動の発生が低減される。
また、トナーバンド94は、トナーブロック96A、96B、96C、96D、96Eの各々が、中間転写ベルト26の幅方向に沿う中央部の中心線を対称線CLとする線対称となるように配列されている。従って、感光体ドラム32は、トナーバンド94に接触しても、軸線方向に沿う摩擦力の変化が相殺される。このように、トナーバンドは、トナーブロックの配列の及びトナーブロックのトナー量(トナー濃度)の少なくとも一方を、中間転写ベルト26の移動方向に沿って変化させることで、トナー量の積算値TDyが、予め定めた量ΔTD以下ずつ増加するようにしても良い。
以上説明したように、本実施の形態に適用した画像形成装置10は、画像形成ユニット30V、30Wによりインターバル領域74に、感光体ドラム32の周方向に沿ってトナー量の積算値TDYが徐々に増加するトナーバンド76等が形成される。従って、画像形成装置10は、画像形成ユニット30V、30Wにより形成された中間転写ベルト26のトナーバンド76等に感光体ドラム32が接触しても、感光体ドラム32に帯電ムラ、現像ムラ、或いは感光体ドラム32に形成される静電潜像の乱れが防止される。
感光体ドラム32の速度変動を抑制する手法としては、感光体ドラム32にフライホイールを取り付けたり、フライホイールの質量を増加させたりするなどして慣性力を大きくする手法がある。フライホイールを用いて感光体ドラム32の速度変動を抑制する手法は、部品重量の増加や画像形成ユニット30及び画像形成装置10のコスト上昇などを生じさせる。
これに対して、画像形成装置10は、中間転写ベルト26の移動方向に沿う対称線を軸に線対称となるトナーバンド76等を用いることで、感光体ドラム32にフライホイールを用いること無く、感光体ドラム32に速度変動の発生が低減される。従って、画像形成装置10は、感光体ドラム32の速度変動を防止するために、部品重量の増加やコスト上昇が生じることがない。
なお、本実施形態では、金属粒子を含むトナーを用いる画像形成ユニット30V、30Wによりインターバル領域74に形成するトナー像としてトナーバンド76等を用いたが、これに限らず、トナーバンド76等は、最下流の画像形成ユニット30Kを除く画像形成ユニット30Y、30M、30Cによりインターバル領域74に形成するトナー像に適用しても良い。
また、本実施の形態では、一例としてインターバル領域74において中間転写ベルト26の幅方向の全域とトナーバンドを形成するように説明したが、これに限らず、幅方向の一部に形成するトナー像に適用しても良い。