JP2017036230A - 義歯洗浄剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は硬度が高く、キャッピングやラミネーション等の打錠障害を抑制できる錠剤状の義歯洗浄剤を提供することである。【解決手段】アルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩と、ケイ酸の金属塩とを組み合わせて配合して錠剤状の義歯洗浄剤を製造することによって、高い硬度を実現でき、キャッピングやラミネーション等の打錠障害を抑制できる。【選択図】なし

Description

本発明は、硬度が高く、キャッピングやラミネーション等の打錠障害を抑制できる錠剤状の義歯洗浄剤に関する。更に、本発明は、当該義歯洗浄剤を用いた義歯洗浄方法に関する。
義歯は、総義歯、部分床義歯の別に関わらず、細菌、バイオフィルム、その他沈着物等が付着しやすく、洗浄せずに放置しておくと、口臭の原因になるだけでなく、歯周病等の口腔内疾患を誘発する一因になることがある。そのため、口腔ケアの一環として、義歯を洗浄し清潔に保つことが不可欠である。義歯に付着した細菌や汚れは、ブラシによる清掃では十分に除去できないため、義歯洗浄剤による洗浄が重要である。
義歯洗浄剤による義歯の洗浄は、一般に、義歯洗浄剤を水に投入して調製された義歯洗浄水に義歯を浸漬放置する方法で行われている。従来、義歯洗浄剤には界面活性剤及び発泡剤が配合されており、水に投入した際に界面活性化作用による化学的洗浄力と発泡作用による物理的洗浄力を発揮させ、洗浄効果が高まるように設計されている。
また、従来、義歯洗浄剤は、錠剤、顆粒剤、粉末剤等の様々な形態に製剤化して提供されているが、これらの製剤形態の中でも、錠剤は、取扱いが容易であり、消費者に広く受け入れられている。これまでに、錠剤状の義歯洗浄剤について、洗浄力の向上や崩壊性の向上を図るための製剤技術について種々報告されている(例えば、特許文献1及び2等参照)。
一方、錠剤状の義歯洗浄剤では、界面活性剤、発泡剤、香料等が配合されているため、打錠成型性が劣るという特性があり、錠剤が層状に剥離するラミネーション、錠剤上部が皿状に剥離するキャッピング等の打錠障害が生じやすいという欠点がある。このような打錠障害があると、包装時や輸送時に割れ・欠け等が生じ易くなり、生産性や製品安定性の低下をきたすことになる。
錠剤状の義歯洗浄剤の打錠障害を抑制するためには、錠剤の硬度を高めることが有効であり、従来、打錠時の圧力を調製したり、配合する賦形剤の種類を調整したりする等の条件設定によって、硬度を高めて打錠障害を抑制する手法が採用されている。しかしながら、従来の手法では、依然として打錠障害を十分に抑制できていないのが現状である。
特表2001−505195号公報 特開2005−112640号公報
本発明の目的は、硬度が高く、キャッピングやラミネーション等の打錠障害を抑制できる錠剤状の義歯洗浄剤を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、アルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩と、ケイ酸の金属塩とを組み合わせて配合して錠剤状の義歯洗浄剤を製造することによって、高い硬度を実現でき、キャッピングやラミネーション等の打錠障害を抑制できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより、完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)アルケニルスルホン酸塩及び水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに(B)ケイ酸の金属塩を含有し、錠剤状であることを特徴とする、義歯洗浄剤。
項2.
前記(A)成分として、以下の一般式(1)に示す化合物、及び以下の一般式(2)に示す化合物を含む、項1に記載の義歯洗浄剤。
Figure 2017036230
[一般式(1)中、R1は直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18のアルキル基或は水素原子を示し、nは0〜18の整数を示し、Xはアルカリ金属原子を示す。]
Figure 2017036230
[一般式(2)中、R2は直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18のアルキル基或は水素原子を示し、R3は水酸基又は水素原子を示し、mは0〜18の整数を示し、Xはアルカリ金属原子を示す。]
項3. 前記(A)成分の含有量が0.5〜6重量%である、項1又は2に記載の義歯洗浄剤。
項4. 更に、(C)二酸化ケイ素を含む、項1〜3のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
項5. 前記(B)成分の含有量が0.5〜5重量%である、項1〜4のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
項6. 更に、発泡剤を含む、項1〜5のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
項7. 項1〜6のいずれかに記載の義歯洗浄剤を入れた水に、義歯を浸漬することを特徴とする、義歯の洗浄方法。
本発明の義歯洗浄剤は、高い硬度を有する錠剤であり、キャッピングやラミネーション等の打錠障害を抑制できるので、包装時や輸送時に割れ・欠け等が生じるのを抑制でき、高い生産性や製品安定性を備えることができる。また、本発明の義歯洗浄剤の好適な一形態では、使用時に水に投入すると、投入後に水面上に積み重なる泡を細かくすることが可能になっており、使用者に対して良好な使用実感および洗浄効果感を与えることもできる。
1.義歯洗浄剤
本発明の義歯洗浄剤は、アルケニルスルホン酸塩及び水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、(A)成分と表記することもある)、並びにケイ酸の金属塩(以下、(B)成分と表記することもある)を含有し、錠剤状であることを特徴とする。以下、本発明の義歯洗浄剤について詳述する。
(A)アルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩
本発明の義歯洗浄剤は、(A)成分として、アルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩を含有する。当該(A)成分は、後述する(B)成分と共に、硬度の向上と打錠障害の抑制に寄与すると共に、界面活性剤として洗浄力を付与する役割も果たす。
前記アルケニルスルホン酸塩において、アルケニル基の炭素数については、通常10〜20が挙げられる。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、アルケニルスルホン酸塩におけるアルケニル基の炭素数として、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18が挙げられる。
前記アルケニルスルホン酸塩において、アルケニル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖状である。
また、前記アルケニルスルホン酸塩において、アルケニル基は、シス型又はトランス型のいずれであってもよい。更に、前記アルケニルスルホン酸塩において、二重結合の位置については、特に制限されず、スルホ基側の末端部分、スルホ基とは反対側の末端部分、又は非末端部分のいずれに位置していてもよい。
前記アルケニルスルホン酸塩において、塩の形態については、特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
前記アルケニルスルホン酸塩の好適な具体例として、以下の一般式(1)に示す化合物が挙げられる。
Figure 2017036230
一般式(1)中、R1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18のアルキル基、或は水素原子を示す。R1として、好ましくは直鎖状又は分岐状の炭素数5〜18のアルキル基、より好ましくは直鎖状の炭素数10〜16のアルキル基、更に好ましくは直鎖状の炭素数11〜16、特に好ましくは14〜16のアルキル基が挙げられる。
一般式(1)中、nは0〜18の整数を示す。nとして、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数、更に好ましくは0又は1、特に好ましくは0が挙げられる。
一般式(1)に示す化合物の全炭素数は、通常10〜20、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18が挙げられる。
一般式(1)中、Xは、アルカリ金属原子、具体的にはナトリウム原子又はカリウム原子を示す。
本発明において、前記アルケニルスルホン酸塩として、同一の構造のものを1種単独で使用してもよく、また、2種以上の異なる構造のものを組み合わせて使用してもよい。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、少なくとも、一般式(1)においてnが0である化合物(即ち、α−オレフィンスルホン酸塩)を含んでいることが望ましい。
また、前記アルキルスルホン酸塩において、アルキル基の炭素数については、通常10〜20が挙げられる。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、アルキルスルホン酸塩におけるアルキル基の炭素数として、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18が挙げられる。
前記アルキルスルホン酸塩において、アルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖状である。
また、前記アルキルスルホン酸塩は、水酸基を含んでいてもよい。水酸基を含む場合、その水酸基の数については、特に制限されないが、例えば1〜3、好ましくは1又は2、より好ましくは1が挙げられる。
前記アルキルスルホン酸塩において、塩の形態については、特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
前記アルキルスルホン酸塩の好適な具体例として、以下の一般式(2)に示す化合物が挙げられる。
Figure 2017036230
一般式(2)中、R2は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18のアルキル基、或は水素原子を示す。R2として、好ましくは直鎖状又は分岐状の炭素数5〜18のアルキル基、より好ましくは直鎖状の炭素数10〜16のアルキル基、更に好ましくは直鎖状の炭素数11〜16、特に好ましくは14〜16のアルキル基が挙げられる。
また、一般式(2)中、R3は、水酸基又は水素原子を示す。R3として、好ましくは水酸基が挙げられる。
一般式(2)中、mは0〜18の整数を示す。mとして、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数、更に好ましくは0又は1が挙げられる。
また、一般式(2)に示す化合物の全炭素数は、通常10〜20、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18が挙げられる。
一般式(2)中、Xは、アルカリ金属原子、具体的にはナトリウム原子又はカリウム原子を示す。
本発明において、前記アルキルスルホン酸塩として、同一の構造のものを1種単独で使用してもよく、また、2種以上の異なる構造のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明の義歯洗浄剤では、(A)成分として、アルケニルスルホン酸塩、及び水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩の中から、1種の化合物を単独で使用してもよく、2種以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、アルケニルスルホン酸塩と水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩とを組み合わせて使用することが好ましく、前記一般式(1)に示す化合物と前記一般式(2)に示す化合物を組み合わせて使用することがより好ましい。特に、(A)成分として、前記一般式(1)に示す化合物と前記一般式(2)に示す化合物を組み合わせて使用する場合には、前記一般式(1)に示す化合物として、少なくとも一般式(1)においてnが0である化合物(即ち、α−オレフィンスルホン酸塩)が含まれていることが望ましい。
(A)成分として、アルケニルスルホン酸塩と水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩とを組み合わせて使用する場合、これらの比率については、特に制限されないが、例えばアルケニルスルホン酸塩100重量部に対して、水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩が10〜200重量部、好ましくは20〜90重量部、より好ましくは30〜80重量部、さらに好ましくは45〜70重量部が挙げられる。
このような前記一般式(1)に示す化合物と前記一般式(2)に示す化合物の混合物については、商品名「ネオゲンAO9」(第一工業製薬株式会社製)、商品名「ASCO90」(AK ChemTech Co., Ltd.製)等として市販されており、本発明では(A)成分としてこれらの市販品を使用してもよい。
(A)成分として、前記一般式(1)に示す化合物と前記一般式(2)に示す化合物を組み合わせて使用する場合、これらの比率については、特に制限されないが、例えば、前記一般式(1)に示す化合物100重量部当たり、前記一般式(2)に示す化合物が20〜90重量部、好ましくは30〜80重量部、より好ましくは45〜70重量部が挙げられる。
本発明の義歯洗浄剤における(A)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば0.5〜6重量%が挙げられる。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、(A)成分の含有量として、好ましくは0.8〜6重量%、より好ましくは1〜3重量%が挙げられる。また、本発明の義歯洗浄剤における(A)成分の含有量が0.8〜6重量%、特に1〜3重量%である場合には、本発明の義歯洗浄剤を水に添加した際に、細かな泡を発生させることも可能になる。
(B)ケイ酸の金属塩
本発明の義歯洗浄剤は、(B)成分として、ケイ酸の金属塩を含有する。当該(B)成分を前述する(A)成分と併用することによって、硬度の向上と打錠障害の抑制を図ることが可能になる。
ケイ酸の金属塩としては、特に制限されないが、例えば、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。
これらのケイ酸の金属塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのケイ酸の金属塩の中でも、硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、好ましくはケイ酸アルミニウムが挙げられる。
本発明の義歯洗浄剤において、(A)成分と(B)成分の比率については、特に制限されないが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(B)成分が8.3〜1000重量部が挙げられる。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、(A)成分と(B)成分の比率として、(A)成分100重量部当たり、(B)成分が好ましくは8.3〜600重量部、より好ましくは16.6〜384.6重量部が挙げられる。
本発明の義歯洗浄剤における(B)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば0.5〜5重量%が挙げられる。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、(B)成分の含有量として、好ましくは0.8〜5重量%、より好ましくは0.8〜3重量%、更に好ましくは1〜3重量%が挙げられる。
(C)二酸化ケイ素
本発明の義歯洗浄剤は、必要に応じて、二酸化ケイ素(以下、(C)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。本発明の義歯洗浄剤において、前述する成分と共に、ケイ酸を含有している場合には、硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図ることが可能になる。
本発明で使用される二酸化ケイ素の種類については、特に制限されず、無水ケイ酸(シリカ)又は含水二酸化ケイ素のいずれであってもよい。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、二酸化ケイ素の中でも、好ましくは無水ケイ酸(シリカ)が挙げられる。
本発明の義歯洗浄剤において、(C)成分を含有させる場合、(A)成分と(C)成分の比率については、特に制限されないが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(C)成分が1.6〜1200重量部が挙げられる。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、(A)成分と(C)成分の比率として、(A)成分100重量部当たり、(B)成分が好ましくは1.6〜600重量部、より好ましくは1.7〜375重量部、更に好ましくは3.3〜300重量部が挙げられる。
本発明の義歯洗浄剤において(C)成分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば0.1〜6重量%が挙げられる。硬度の向上及び打錠障害の抑制をより一層効果的に図るという観点から、(C)成分の含有量として、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3.5重量%が挙げられる。
(D)発泡剤
本発明の義歯洗浄剤は、必要に応じて、発泡剤(以下、(D)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。本発明の義歯洗浄剤において、発泡剤を含有している場合には、使用時に発泡性を付与し、洗浄力を向上させることが可能になる。また、従来の錠剤状の義歯洗浄剤では、発泡剤が吸湿性を有しているため、その添加は、硬度の低下や打錠障害の発生の一因になっていたが、本発明の義歯洗浄剤では、発泡剤を含有していても、硬度の向上及び打錠障害の抑制を図ることができる。
本発明で使用される発泡剤の種類については、無毒性で生理学上許容されるものであれば特に制限はされず、義歯洗浄剤で通常使用されるもの(即ち、水中で二酸化炭素を発生できるもの)を広く用いることができる。
発泡剤として、例えば、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩の少なくとも1種(以下、炭酸化合物と表記することもある)と、酸との組み合わせが例示される。炭酸塩としては、特に制限されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸のアルカリ金属塩が挙げられる。炭酸水素塩としては、特に制限されないが、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素のアルカリ金属塩が挙げられる。炭酸塩と炭酸水素塩の複塩としては、特に制限されないが、例えば、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられる。これらの炭酸化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、酸としては、特に制限されないが、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、グルコン酸、コハク酸、サリチル酸等の有機酸;リン酸、スルファミン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
発泡剤を構成する炭酸化合物として、好ましくは炭酸水素のアルカリ金属塩、更に好ましくは炭酸水素ナトリウムが挙げられる。また、発泡剤を構成する酸として、好ましくは有機酸が挙げられる。
発泡剤において、炭酸化合物と酸の比率については、水中で両者が反応して二酸化炭素を発生できることを限度として特に制限されないが、例えば、炭酸化合物100重量部当たり、酸が通常50〜100重量部、好ましくは60〜90重量部、更に好ましくは70〜85重量部が挙げられる。
本発明の義歯洗浄剤において(D)成分を含有させる場合、その含有量(炭酸化合物と酸の合計量)については、義歯の洗浄時に発泡作用を発揮させ得る限り、特に制限されないが、例えば10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%が挙げられる。
(E)漂白剤
本発明の洗浄剤は、必要に応じて、漂白剤(以下、(E)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。本発明の義歯洗浄剤において、漂白剤を含有している場合には、漂白作用を付与し、洗浄力を向上させることが可能になる。
本発明で使用される漂白剤の種類については、無毒性で生理学上許容されるものであれば特に制限はされず、義歯洗浄剤で通常使用されるものを広く用いることができる。
漂白剤としては、例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩、モノ過硫酸水素塩等が挙げられる。
過炭酸塩としては、具体的には、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等の過炭酸のアルカリ金属塩、過炭酸アンモニウム、これらの水和物等が挙げられる。過ホウ酸塩としては、具体的には、ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム等の過ホウ酸のアルカリ金属塩、過ホウ酸アンモニウム、これらの水和物等が挙げられる。過硫酸塩としては、具体的には、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸のアルカリ金属塩、過硫酸アンモニウム、これらの水和物等が挙げられる。モノ過硫酸水素塩としては、具体的には、モノ過硫酸水素ナトリウム、モノ過硫酸水素カリウム等のモノ過硫酸水素のアルカリ金属塩、モノ過硫酸水素アンモニウム、これらの水和物等が挙げられる。
これらの漂白剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の義歯洗浄剤において(E)成分を含有させる場合、その含有量については、所望の漂白作用を発揮できる範囲で適宜設定すればよいが、例えば10〜40重量%、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜30重量%が挙げられる。
(F)香料
本発明の義歯洗浄剤は、必要に応じて、香料(以下、(F)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。本発明の義歯洗浄剤が香料を含有している場合には、洗浄液及び洗浄後の義歯に香気を付与することが可能になる。また、従来の錠剤状の義歯洗浄剤では、香料の添加は、硬度の低下や打錠障害の発生の一因となっており、特に香料がテルペノイドや精油等の液状油である場合、このような問題は顕著であったが、本発明の義歯洗浄剤では、香料を含有していても、硬度の向上及び打錠障害の抑制を図ることができる。
本発明で使用される香料については、単品香料、調合香料、天然香料等のいずれであってもよく、付与すべき香気に応じて適宜選択して使用すればよい。
本発明で使用される香料として、具体的には、メントール、カンフル、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、チモール、スピラントール、ピネン、リモネン等のテルペノイド;スペアミント油、ペパーミント油、ハッカ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ユーカリ油、ローズマリー油、タイム油、ジャスミン油、スペアミント油、ローズ油、ライム油、シダーウッド油、シソ油、マジョラム油、メリッサ油、ゼラニウム油、アニス油、ウイキョウ油、オレンジ油等の精油等が挙げられる。これらの香料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の義歯洗浄剤において(F)成分を含有させる場合、その含有量については、所望の香気又は香味を獲得できる範囲で適宜設定すればよいが、例えば0.1〜2重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明の義歯洗浄剤には、前述する成分に加えて、洗浄力の増強、崩壊性の付与、成型性の付与等を目的として、必要に応じて、他の添加剤が含まれていてもよい。
本発明の義歯洗浄剤に配合可能な他の添加剤としては、防錆剤、(A)成分以外の界面活性剤、キレート剤、pH調整剤、酵素、着色料、甘味料、発泡安定化剤、保存剤、抗菌・殺菌剤、防腐剤、滑沢剤、結合剤、滑沢剤、増量剤、賦形剤、崩壊剤等が挙げられる。
製剤形態
本発明の義歯洗浄剤は、錠剤状である。錠剤状への製剤化は、一般的に採用されている打錠成型法によって行うことができる。
また、本発明の義歯洗浄剤において、1錠当たりの重量については、1回の義歯洗浄に要する義歯洗浄剤量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば1〜4g、好ましくは2〜3gが挙げられる。
製剤物性
本発明の義歯洗浄剤は、硬度が高く、キャッピングやラミネーション等の打錠障害を抑制できる特性を備えている。本発明の義歯洗浄剤の硬度としては、具体的には、59N以上、好ましくは59〜105N、より好ましくは63〜105N、更に好ましくは66〜105Nが挙げられる。発明において、義歯洗浄剤の硬度は、シュロインゲル硬度計によって測定される値を指す。
使用方法
本発明の義歯洗浄剤は、水に加えた状態で洗浄対象となる義歯を共存させることによって、義歯を洗浄することができる。また、本発明の義歯洗浄剤に発泡剤が含まれている場合には、水中で発泡剤による発泡が生じ、義歯に物理的な刺激と前記(A)成分による界面活性作用によって義歯を効果的に洗浄することができる。
本発明の義歯洗浄剤を用いて義歯を洗浄する際に使用される水としては、特に制限されないが、水道水、精製水、生理食塩水等が挙げられる。
本発明の義歯洗浄剤を用いて義歯を洗浄する際には、水に義歯を浸漬した後に本発明の義歯洗浄剤を加えてもよく、また水に本発明の義歯洗浄剤を加えた後に義歯を浸漬させてもよい。
また、義歯の洗浄において、本発明の義歯洗浄剤と水との比率は、本発明の義歯洗浄剤の組成、洗浄対象となる義歯の汚れの程度等に応じて適宜設定されるが、例えば、水100重量部に対して、義歯洗浄剤を通常1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度とすればよい。より具体的には、1回の義歯の洗浄において、水100〜200mlを準備し、これに本発明の義歯洗浄剤1〜20g、好ましくは1〜10gを加えればよい。
義歯洗浄時の水温は5〜30℃程度とすればよい。また、本発明の義歯洗浄剤を加えた水に義歯を浸漬する時間は、通常5分〜12時間程度、好ましくは30分〜8時間程度が挙げられる。
2.義歯洗浄方法
本発明の義歯洗浄方法は、前記義歯洗浄剤を用いて義歯を洗浄する方法である。即ち、本発明の義歯洗浄方法は、前記義歯洗浄剤を入れた水に、義歯を浸漬して義歯を洗浄する方法である。本発明の義歯洗浄方法の具体的実施態様については、前記「1.義歯洗浄剤」の欄に記載の通りである。
以下に、実施例、比較例、及び処方例を示し、本発明を具体的に説明する。但し、本発明は、以下に示す実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例、及び処方例で使用した主な成分の商品名、組成、入手元等は、以下の通りである。
アルケニルスルホン酸塩及び水酸基含有アルキルスルホン酸塩の混合物:商品名「ASCO 90」(AK ChemTech Co., Ltd.製);アルケニルスルホン酸塩として、前記一般式(1)において、R1が炭素数2〜15の直鎖状アルキル基、nが0〜14、Xがナトリウム原子、全炭素数が14〜18である化合物を含む。水酸基を含むアルキルスルホン酸塩として、前記一般式(2)において、R2が炭素数7〜13の直鎖状アルキル基、R3が水酸基、mが1〜3、Xがナトリウム原子、全炭素数が14〜18である化合物を含む。アルケニルスルホン酸塩の含有量は30〜40重量%であり、水酸基含有アルキルスルホン酸塩の含有量は60〜65重量%である。
ケイ酸アルミニウム:商品名「キョーワド700PEL(合成ケイ酸AL)」(協和化学株式会社製);合成ケイ酸アルミニウム
二酸化ケイ素:商品名「サイリシア350」(富士シリシア化学社株式会社製);軽質無水ケイ酸(シリカ)
ラウリル硫酸ナトリウム:商品名「エマール10PHD」(花王株式会社製)
硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、及び過硫酸水素カリウムの混合物:商品名「オキソン」(デュポン株式会社製);硫酸カリウム32重量%、硫酸水素カリウム23重量%、過硫酸水素カリウム43重量%、及び炭酸マグネシウム2重量%含有。
炭酸ナトリウムA:商品名「ソーダ灰(ライト)(工業用)」(株式会社トクヤマ製);炭酸ナトリウム
炭酸ナトリウムB:商品名「ソーダ灰(デンス)(工業用)」(株式会社トクヤマ製);炭酸ナトリウム
試験例1
表1に示す組成の錠剤状の義歯洗浄剤を調製した。具体的には、表1及び2に示す成分を混合した組成物を、径25φの金型を用いて7MPaで打錠成型することにより、1個当たり2.65gの錠剤状の義歯洗浄剤を調製した。
得られた義歯洗浄剤について、以下の方法で、硬度、打錠障害の程度、泡の細かさについて評価した。
<硬度>
義歯洗浄剤3錠をシュロインゲル硬度計(錠剤硬度計6D:DR.SCHLEUNIGER PHARMATRON社製)にて硬度を測定し、平均値を算出した。
<打錠障害の程度>
義歯洗浄剤の外観を観察し、キャッピング及びラミネーションの発生の程度を評価した。
<泡の細かさ>
200ml容ビーカーに40℃の水を180ml入れた後に、義歯洗浄剤1錠(2.65g)を投入し、その3分後に液面上部の泡の性状を目視にて観察し、泡の細かさを以下の判定基準に従って評価した。
◎:液面上部に、1mm以下の細かい泡が蓄積しており、1mm超の泡が認められない。
○:液面上部に、主に1mm以下の細かい泡が蓄積しているが、1mm超2mm以下の泡も1割程度認められる。
△:液面上部に、1mm以下の細かい泡が蓄積しているが、1mm超2mm以下の泡も2〜3割程度認められる。
×:液面上部に、1mm以下の細かい泡が蓄積しているが、1mm超2mm以下の泡も4〜6割程度認められる。
得られた結果を表1及び2に示す。この結果、アルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基含有アルキルスルホン酸塩と共にケイ酸の金属塩を含む義歯洗浄剤では、硬度がいずれも59N以上と高く、打錠障害(キャッピング及びラミネーション)の発生を抑制できていた(実施例1〜14)。また、硬度が63N以上である実施例1、3〜7及び9〜14の義歯洗浄剤では、打錠障害の発生をより一層効果的に抑制できており、硬度が66N以上である1、3〜7及び10〜14の義歯洗浄剤では、打錠障害の発生抑制効果が格段顕著に認められた。また、実施例1と実施例2又は3との対比から、アルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基含有アルキルスルホン酸塩とケイ酸の金属塩に加えて、ケイ酸を含む場合には、より高い硬度を備え得ることも明らかになった。更に、アルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基含有アルキルスルホン酸塩の含有量が、0.8〜6重量%の場合(実施例1〜7、9〜14)には、細かな泡を蓄積させることもできていた。
一方、アルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基含有アルキルスルホン酸塩を含み、且つケイ酸の金属塩を含まない場合(比較例1)、並びにケイ酸の金属塩を含み、且つアルケニルスルホン酸塩及び/又は水酸基含有アルキルスルホン酸塩を含まない場合(比較例2)では、十分な硬度を備えさせることができず、打錠障害の発生も認められた。
Figure 2017036230
Figure 2017036230
処方例1〜12
表3に示す処方例に従い、試験例1と同様の方法で錠剤状の義歯洗浄剤(1個当たり2.65g)を調製した。いずれの義歯洗浄剤でも、前記実施例と同様に、高い硬度が認められ、打錠障害が抑制されていた。
Figure 2017036230

Claims (7)

  1. (A)アルケニルスルホン酸塩及び水酸基を有していてもよいアルキルスルホン酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに(B)ケイ酸の金属塩を含有し、錠剤状であることを特徴とする、義歯洗浄剤。
  2. 前記(A)成分として、以下の一般式(1)に示す化合物、及び以下の一般式(2)に示す化合物を含む、請求項1に記載の義歯洗浄剤。
    Figure 2017036230
    [一般式(1)中、R1は直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18のアルキル基或は水素原子を示し、nは0〜18の整数を示し、Xはアルカリ金属原子を示す。]
    Figure 2017036230
    [一般式(2)中、R2は直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18のアルキル基或は水素原子を示し、R3は水酸基又は水素原子を示し、mは0〜18の整数を示し、Xはアルカリ金属原子を示す。]
  3. 前記(A)成分の含有量が0.5〜6重量%である、請求項1又は2に記載の義歯洗浄剤。
  4. 更に、(C)二酸化ケイ素を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
  5. 前記(B)成分の含有量が0.5〜5重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
  6. 更に、発泡剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の義歯洗浄剤を入れた水に、義歯を浸漬することを特徴とする、義歯の洗浄方法。
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