JP2017034762A - 回転電機の制御装置および回転電機の制御方法 - Google Patents

回転電機の制御装置および回転電機の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】位置センサに異常が発生したときであれ、より広い速度範囲で安定して運転することができる回転電機の制御装置および回転電機の制御方法を提供する。【解決手段】位置センサの異常が検出される場合、モータの回転数Nが低速域の回転数Nsであるとき、突極性を利用する第2の位置センサレス制御の実行を通じてモータが駆動される。位置センサの異常が検出される場合、モータの回転数Nが中高速域の回転数Nhであるとき、モータの誘起電圧を利用する第1の位置センサレス制御の実行を通じてモータが駆動される。このように、第1の位置センサレス制御および第2の位置センサレス制御をモータの回転速度域に応じて使い分ける。第1の位置センサレス制御では、系統A,Bの両方が使用されてモータが駆動される。第2の位置センサレス制御では、系統Aがロータ位置検出用として使用され、系統Bがモータ駆動用として使用される。【選択図】図3

Description

本発明は、回転電機の制御装置および回転電機の制御方法に関する。
従来、位置センサを通じて検出されるロータの回転位置に基づきモータコイルへの給電を制御する制御装置が存在する。位置センサに何らかの異常が発生したとき、制御装置はロータの回転位置を検出することが困難となるため、モータを継続して駆動させることができない。モータの用途によっては、位置センサに異常が発生したときであれ、モータを継続して駆動させることが要求されることもある。
そこで従来、位置センサを使用することなくモータを駆動させる、いわゆる位置センサレス制御技術が提案されている。たとえば特許文献1には、突極型永久磁石モータの突極性(ロータ位置による磁気抵抗の変化)を利用してロータの回転角を推定することが記載されている。また、特許文献2には、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することにより磁極の位相(ロータの電気角)を推定することが記載されている。これら推定されるロータの回転角に基づきモータへの通電が継続される。
特開2010−11542号公報 特開2004−7924号公報
前述した2つの位置センサレス制御方式には、それぞれつぎのようことが懸念される。まず、突極性により生じるインダクタンスの位置依存性を利用する方法は、ステータに高周波の信号電圧を印加して、その応答として得られる電流を検出する方式である。このため、ステータに信号電圧を印加することに起因するトルクリップルが生じるおそれがある。つぎに、永久磁石の回転により生じる誘起電圧の位相情報を利用する方法については、誘起電圧を使用するため、低速域(特に、モータの始動時)におけるロータの位置推定が困難である。
本発明の目的は、位置センサに異常が発生したときであれ、より広い速度範囲で安定して運転することができる回転電機の制御装置および回転電機の制御方法を提供することにある。
上記目的を達成し得る回転電機の制御装置は、環状に並ぶ複数のコイルを有する筒状のステータと、前記ステータに対して同心をなして相対回転する埋込磁石型のロータと、前記ロータの回転位置を検出する位置センサと、を有する回転電機の制御装置を前提としている。当該制御装置は、前記複数のコイルに三相交流電力を供給する駆動回路と、前記位置センサを通じて検出されるロータの回転位置に基づき前記駆動回路を通じて前記複数のコイルに対する給電を制御する制御回路と、を備えている。そして前記制御回路は、前記位置センサに異常が発生した場合、前記ロータの回転速度がしきい値以下である低速域の回転速度であるときには前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定する一方、前記ロータの回転速度がしきい値を超える中高速域の回転速度であるときには前記回転電機の誘起電圧を利用して前記ロータの回転位置を推定し、当該推定される回転位置に基づき前記複数のコイルに対する給電を制御する。
この構成によれば、位置センサに異常が発生したとき、回転電機の回転速度域に応じて、回転電機の誘起電圧を利用してロータの回転位置を推定する第1の方法と、ロータの突極性を利用してロータの回転位置を推定する第2の方法とを使い分けることにより、位置センサに異常が発生した場合であれ、低速域および中高速域を含む広い回転速度範囲で回転電機を安定して運転することが可能となる。
すなわち、誘起電圧を利用する第1の方法では、回転電機の誘起電圧を使用するため低速域での位置推定が困難である。突極性を利用する第2の方法は、ステータに高周波の信号電圧を印加してその応答として得られる信号電流を検出する方法である。このため、第2の方法では、信号電流に起因するトルクリップルが生じるおそれがある。したがって、第2の方法は第1の方法ではロータの回転位置の推定が困難となる低速域において限定的に使用するに留め、中高速域では第1の方法を使用する。これにより、より広い回転速度範囲で回転電機を安定して運転することができる。
上記の回転電機の制御装置において、前記複数のコイルは複数のコイルを1つのグループとする複数のグループに分けられていること、および前記駆動回路は前記グループと同数だけ設けられて各駆動回路は前記複数のグループごとに別系統で三相交流電力を各グループのコイルに供給するものであること、を前提としてもよい。この場合、前記制御回路は、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記複数のグループにおける一のグループには前記ロータの回転位置を検出するための電力を供給する一方、残りのグループには前記回転電機を駆動させるための電力を供給することが好ましい。
この構成によるように、ロータ位置検出用のコイルグループと、回転電機駆動用のコイルグループとを分離することにより、ロータの回転位置を得るための電力に起因するトルクリップルの発生を抑制することができる。
上記の回転電機の制御装置において、前記制御回路は、前記回転電機の誘起電圧を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記各駆動回路を通じて前記回転電機を駆動させるための電力を前記複数のグループにそれぞれ供給することが好ましい。
この構成によれば、位置センサに異常が発生した場合、すべてコイルグループを使用して回転電機が駆動される。このため、位置センサに異常が発生した場合であれ、通常時により近い状態で回転電機を運転することができる。
上記目的を達成し得る回転電機の制御装置は、環状に並ぶ複数のコイルを有し各コイルが複数のコイルを1つのグループとする複数のグループに分けられてなる筒状のステータと、前記ステータに対して同心をなして相対回転する埋込磁石型のロータと、前記ロータの回転位置を検出する位置センサと、を備えてなる回転電機の制御装置を前提としている。当該制御装置は、前記複数のグループごとに別系統で三相交流電力を各グループのコイルに供給するグループ数と同数の駆動回路と、前記位置センサを通じて検出されるロータの回転位置に基づき各駆動回路を通じて各グループのコイルに対する給電を制御する制御回路と、を有している。また、前記制御回路は、前記位置センサに異常が発生した場合、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定し、当該推定される回転位置に基づき前記複数のコイルに対する給電を制御する。そのうえで、前記制御回路は、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記複数のグループにおける一のグループには前記ロータの回転位置を検出するための電力を供給する一方、残りのグループには前記回転電機を駆動させるための電力を供給する。
この構成によれば、位置センサに異常が発生したとき、複数のグループにおける一のグループに対するロータ位置検出用の電力を供給することによりロータの回転位置が推定される。そして当該推定されるロータの回転位置に基づき残りのグループに対する回転電機駆動用の電力が供給される。このように、ロータ位置検出用のコイルグループと、回転電機駆動用のコイルグループとを分離することにより、ロータの回転位置を得るための電力に起因するトルクリップルの発生を抑制することができる。また、位置センサに異常が発生した場合であれ、低速域および中高速域を含む広い回転速度範囲で回転電機を安定して運転することが可能となる。
上記の回転電機の制御装置において、前記制御回路は、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記複数のグループにおける前記一のグループに供給される前記ロータの位置検出用の電力を打ち消すように、前記残りのグループに対する給電を制御することが好ましい。
この構成によれば、一のグループのコイル群に供給されるロータ位置検出用の電力に起因して発生する回転電機トルクがトルクリップルとして現れることを抑制することが可能である。トータルとして、残りのグループのコイル群に対して減衰部分を有さない本来の電流波形を呈するかたちで給電されたときと同等の回転電機トルクが発生する。このため、位置センサに異常が発生した場合、回転電機をより安定して運転することができる。
上記目的を達成し得る回転電機の制御方法は、環状に並ぶ複数のコイルを有し各コイルが複数のコイルを1つのグループとする複数のグループに分けられてなる筒状のステータと、前記ステータに対して同心をなして相対回転する埋込磁石型のロータと、前記ロータの回転位置を検出する位置センサと、を有する回転電機の制御方法を前提としている。当該制御方法では、前記位置センサに異常が発生していない場合、前記位置センサを通じて検出される前記ロータの回転位置に基づき前記回転電機を駆動させるための電力を前記複数のグループごとに別系統で各グループのコイルに供給する。また、当該制御方法では、前記位置センサに異常が発生した場合、前記ロータの回転速度がしきい値以下である低速域の回転速度であるときには前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定する。また当該制御方法では、前記位置センサに異常が発生した場合、前記ロータの回転速度がしきい値を超える中高速域の回転速度であるときには前記回転電機の誘起電圧を利用して前記ロータの回転位置を推定する。そして当該制御方法では、当該推定される前記ロータの回転位置に基づき前記回転電機を駆動させるための電力を前記複数のグループごとに別系統で各グループのコイルに供給する。さらに当該制御方法では、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記複数のグループにおける一のグループには前記ロータの位置を検出するための電力を供給する一方、残りのグループには前記回転電機を駆動させるための電力を供給する。
この制御方法によれば、位置センサに異常が発生したとき、回転電機の誘起電圧を利用してロータの回転位置を推定する第1の方法と、ロータの突極性を利用してロータの回転位置を推定する第2の方法とを、回転電機の回転速度域に応じて使い分ける。これにより、位置センサに異常が発生した場合であれ、低速域および中高速域を含む広い回転速度範囲で回転電機を安定して運転することが可能となる。また、ロータ位置検出用のグループと、回転電機駆動用のコイル群グループとを分離することにより、ロータの回転位置を得るための電力に起因するトルクリップルの発生を抑制することができる。
本発明に係る回転電機の制御装置および回転電機の制御方法によれば、位置センサに異常が発生したときであれ、より広い速度範囲で安定して運転することができる。
第1の実施の形態におけるモータの横断面図。 第1の実施の形態におけるモータおよびその制御装置の回路ブロック図。 第1の実施の形態における位置センサに異常が発生した場合において、第1の位置センサレス制御と第2の位置センサレス制御とを切り替えるタイミングを説明するためのモータの回転数(回転速度)とモータトルクとの関係を示すグラフ。 第1の実施の形態におけるMPUの構成を示すブロック図。 第1の実施の形態におけるd軸方向の演算処理手順を示すフローチャート。 第1の実施の形態におけるインダクタンス軌跡とd軸方向との関係を示すグラフ。 (a)は第2の実施の形態における第1のコイル群(系統A)に供給されるセンシング信号に基づく電流の波形を示すグラフ、(b)は同じく第2のコイル群(系統B)に供給されるモータ駆動用のq軸電流の波形を示すグラフ、(c)は同じくモータトルクの経時的変化を示すグラフ。
<第1の実施の形態>
以下、回転電機の制御装置の第1の実施の形態を説明する。制御対象である回転電機は、たとえば電動パワーステアリング装置における操舵アシスト力の発生源であるモータである。
<モータの構成>
まず、制御装置の制御対象であるモータの構成を説明する。
図1に示すように、モータ11は、いわゆるIPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)である。モータ11は、ケース12の内周面に固定される円筒状のステータ13、およびステータ13に挿通された円柱状のロータ14を備えている。
ステータ13は、円筒状のステータコア15、およびステータコア15に巻回された複数のコイル16を有している。ステータ13の軸方向からみて、ステータコア15は、12個の分割コア21がケース12の内周面に沿って隙間なく並べられてなる。ここでは、図1に丸数字で示されるように、各分割コア21は、1番〜12番の番号を付すことにより区別する。12個の分割コア21は、ステータコア15の半径方向へ延びる直線PLを境として、系統A,Bの2つのグループに分けられている。系統Aのクループは同一円周上に設けられた12個の分割コア21のうちの半周分の6個の分割コア21(1番〜6番)を、系統Bのグループは残る半周分の6個の分割コア21(7番〜12番)を含む。各分割コア21には、コイル16が巻回されている。各コイル16は、これらが設けられる分割コア21の番号(1番〜12番)を付して区別する。また、系統Aに属する1番〜6番のコイル16を第1のコイル群16A、系統Bに属する7番〜12番のコイル16を第2のコイル群16Bと総称する。
ロータ14は、ケース12に回転可能に軸支される円柱状のロータコア31、およびロータコア31の内部に埋め込まれた10個の永久磁石32を有している。ロータコア31には10個の磁石挿入孔33が設けられている。各磁石挿入孔33はロータコア31の軸方向に沿って貫通している。また、ロータコア31の軸方向からみて、各磁石挿入孔33はロータコア31の円周方向に沿って一定の間隔で設けられている。各磁石挿入孔33には直方体状の永久磁石32が挿入されている。各永久磁石32は、ロータコア31の半径方向に沿って着磁されるとともに、ロータコア31の円周方向において互いに隣り合う2つの永久磁石32,32の着磁の向きが互いに反対になるように設けられる。
<制御装置の構成>
つぎに、モータ11の駆動を制御する制御装置の構成を説明する。
図2に示すように、制御装置40は、第1の駆動回路41、第2の駆動回路42およびMPU(micro processing unit)43を備えている。また、制御装置40は、第1の電圧センサ51、第2の電圧センサ52、第1の電流センサ61、および第2の電流センサ62を有している。
第1の駆動回路41は、三相(U相、V相、W相)のインバータ回路を有してなる。第1の駆動回路41は、MPU43により生成される制御信号(PWM信号)に基づいて、バッテリなどの直流電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。第1の駆動回路41は、直列に接続された2つのFET(field-effect transistor)を1組とする3組のアーム(単相ハーフブリッジ)が、それぞれ直流電源の+端子と−端子との間に並列に接続されてなる。第2の駆動回路42は、第1の駆動回路41と同一の構成である。第1の駆動回路41および第2の駆動回路42の各FETが、MPU43により生成される制御信号に基づきスイッチングすることにより直流電力が三相の交流電力に変換される。
第1の電圧センサ51は、第1の駆動回路41と第1のコイル群16Aにおける各相のコイル16との間の給電経路に生じる各相の電圧Vu1,Vv1,Vw1を検出する。第2の電圧センサ52は、第2の駆動回路42と第2のコイル群16Bにおける各相のコイル16との間の給電経路に生じる各相の電圧Vu2,Vv2,Vw2を検出する。
第1の電流センサ61は、第1の駆動回路41と第1のコイル群16Aにおける各相のコイル16との間の給電経路に生じる各相の電流Iu1,Iv1,Iw1を検出する。第2の電流センサ62は、第2の駆動回路42と第2のコイル群16Bにおける各相のコイル16との間の給電経路に生じる各相の電流Iu2,Iv2,Iw2を検出する。
MPU43は、第1の駆動回路41の制御を通じて第1のコイル群16A(系統A)への給電を制御する。またMPU43は、第2の駆動回路42の制御を通じて第2のコイル群16B(系統B)への給電を制御する。具体的には、MPU43は、モータ11に設けられた位置センサ(回転角センサ)44を通じて検出されるロータ14の回転角θ(回転位置)に基づき第1の駆動回路41および第2の駆動回路42に対する制御信号をそれぞれ生成する。位置センサ44としては、たとえばホールセンサまたはレゾルバなどが採用される。通常、MPU43は、第1の駆動回路41および第2の駆動回路42の制御を通じて第1のコイル群16Aおよび第2のコイル群16Bにそれぞれ電力を供給することによりモータ11を駆動する。
なお、モータ11が電動パワーステアリング装置における操舵アシスト力の発生源として使用される場合、MPU43は車両に設けられる各種のセンサの検出結果を運転者の要求あるいは走行状態を示す情報として取得し、これら取得される各種の情報に応じてモータ11を制御する。各種のセンサとしては、たとえば先の位置センサ44に加えてトルクセンサ45および車速センサ46が含まれる。トルクセンサ45はたとえばステアリングシャフトに設けられて、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクTを検出する。車速センサ46は車両の走行速度である車速vを検出する。MPU43は操舵トルクTおよび車速vに基づき目標アシスト力を演算し、当該目標アシスト力を発生させるための駆動電力をモータ11の回転角θに対応する各相のコイル16に供給する。
このように、MPU43はロータ14の回転角θに基づきステータ13(第1のコイル群16Aおよび第2のコイル群16B)へ供給する電流の制御を行う。このため、位置センサ44に何らかの異常が発生したとき、MPU43はモータ11の円滑な制御を実行することが困難となる。
しかし、モータ11を電動パワーステアリング装置の駆動源として使用する場合など、モータ11の使用先によっては、モータ11を停止させずになるべく継続して駆動させることが要求されることもある。
そこで、MPU43は、位置センサ44の異常が検出されるとき、いわゆる位置センサレス制御の実行を通じてモータ11の駆動を制御する。位置センサレス制御とは、位置センサ44を使わずにモータ11を駆動させるための制御をいう。位置センサレス制御では、ロータ14の位置情報(回転角)を演算により推定し、当該推定される位置情報に基づきステータ13への給電を制御する。近年では、種々の位置センサレス制御方法が提案されているところ、モータの磁極推定方法によって、大きくつぎの2種類に分けられる。
a.モータの誘起電圧を利用してロータの回転位置を推定する第1の位置センサレス制御方法。
b.ロータの突極性(インダクタンスの磁極位置依存性)を利用してロータの回転位置を推定する第2の位置センサレス制御方法。IPMモータのロータは突極性を有する。
ここで、モータ11の誘起電圧を利用する第1の位置センサレス制御方法では、誘起電圧の振幅が小さくなる低速域において磁極位置を推定することが難しい。誘起電圧の大きさはモータの回転速度に比例するため、中速域および高速域において有効である。
ロータ14の突極性を利用する第2の位置センサレス制御方法では、ロータの突極性によりステータコイルのインダクタンスが磁極位置によって変化する特徴を利用することにより、モータの回転速度にかかわらず位置情報を検出することができる。ただし、当該方法では、たとえば高周波の交番信号をステータに一定周期で印加し、その応答として得られる電流を検出するところ、当該ステータに交番信号を印加することに起因するトルクリップルが生じるおそれがある。また、特に高速域では位置情報を有する高周波とモータを駆動するための基本波とを分離することが困難である。
このように、第1および第2の位置センサレス制御方法には、それぞれロータの位置情報を正確に検出することができる速度域と正確に検出することができない速度域が存在する。そこで本例では、MPU43は、位置センサ44の異常が検出されるとき、モータ11の回転速度(低速域/中高速域)に応じて、第1および第2の位置センサレス制御方法を使い分ける。
<MPUの構成>
つぎに、MPU43の構成を説明する。MPU43は、系統Aの給電制御に係る第1の演算部43a、および系統Bの給電制御に係る第2の演算部43bを有している。第1の演算部43aと第2の演算部43bとは基本的には同じ構成である。このため、ここでは主に第1の演算部43aについて詳細に説明する。第2の演算部43bについては、その存在を示すに留める。
図4に示すように、第1の演算部43aは、電流指令値演算部71、角度演算部72、減算器73、フィードバック制御部74、モータ制御信号生成部75を有している。
電流指令値演算部71は、トルクセンサ45を通じて検出される操舵トルクTおよび車速センサ46を通じて検出される車速vに基づき電流指令値I*を演算する。電流指令値I*はモータ11に供給するべき電流を示す指令値である。正確には、電流指令値I*は、d/q座標系におけるq軸電流指令値およびd軸電流指令値を含む。d/q座標系は、モータ11の回転角θに従う回転座標である。電流指令値演算部71は、操舵トルクTの値が大きいほど、かつ車速vが遅いほど、より大きな絶対値の電流指令値I*を演算する。
角度演算部72は、位置センサ44により生成される電気信号に基づきロータ14の回転角(回転位置)θを演算する。
減算器73は、電流指令値I*と第1の電流センサ61を通じて検出されるモータ11の実際の電流の値との差を演算する。正確には、第1の演算部43aはd/q変換部(図示略)を有している。d/q変換部は、ロータ14の回転角θに基づき各相の電流Iu1,Iv1,Iw1の値をd/q座標上に写像することにより、d/q座標系におけるモータ11の実電流値であるd軸電流値およびq軸電流値をそれぞれ演算する。減算器73は、d軸電流指令値とd軸電流値との差(d軸電流偏差)、ならびにq軸電流指令値とq軸電流値との差(q軸電流偏差)をそれぞれ演算する。
フィードバック制御部74は、d軸電流値をd軸電流指令値に追従させるべくd軸電流偏差に基づく電流フィードバック制御を行うことによりd軸電圧指令値を演算する。また、フィードバック制御部74は、q軸電流値をq軸電流指令値に追従させるべくq軸電流偏差に基づく電流フィードバック制御を行うことによりq軸電圧指令値を演算する。また、フィードバック制御部74は、角度演算部72により演算されるロータ14の回転角θに基づきd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値をそれぞれ三相の交流座標系上に写像することにより、三相の交流座標系における各相の電圧指令値V*を演算する(d/q逆変換機能)。
モータ制御信号生成部75は、フィードバック制御部74により生成される各相の電圧指令値V*をPWM変換することによりモータ制御信号を生成する。第1の駆動回路41(正確には、各FET)がモータ制御信号のデューティ比に応じてスイッチングすることにより、第1のコイル群16Aにおける各相のコイル16には各相の電圧指令値V*に応じた電圧が印加される。
また、第1の演算部43aは、第1の位置センサレス制御および第2の位置センサレス制御をそれぞれ実行するための構成として、異常検出部81、センシング信号生成部82、加算器83、フィルタ84、角度推定部85、および選択部86を有している。
異常検出部81は、位置センサ44の異常を検出する。異常検出部81は、たとえば位置センサ44と第1の演算部43aとの間を接続する信号線に生じる信号を監視することにより位置センサ44の異常、および当該信号線の断線などの異常を検出する。異常検出部81は、位置センサ44の異常あるいは信号線の異常が検出されるとき、その旨を示す異常検出信号Seを生成する。
センシング信号生成部82は、異常検出部81により位置センサ44の異常が検出されるとき、センシング信号(探査信号)Vhを生成する。センシング信号Vhは、たとえばモータ11の定格周波数と比較して十分に高い周波数である高周波電圧を第1のコイル群16Aにおける各相のコイル16に印加するための各相に対応する電圧指令値である。センシング信号Vhは、ロータ14が停止しているとき、およびロータ14が低速域で回転しているとき、ロータ14の回転角(回転位置)θを推定するために使用される。
加算器83は、センシング信号生成部82により生成されるセンシング信号Vhをフィードバック制御部74により演算される各相の電圧指令値V*に加算する。
フィルタ84は、センシング信号生成82部により生成されるセンシング信号Vh、第1の電流センサ61を通じて検出される各相の電流Iu1,Iv1,Iw1、および第1の電圧センサ51を通じて検出される各相の電圧Vu1,Vv1,Vw1もそれぞれ取り込む。フィルタ84は、これら取り込まれるセンシング信号Vh、各相の電流Iu1,Iv1,Iw1、および各相の電圧Vu1,Vv1,Vw1に含まれるノイズ成分をそれぞれ除去する。
角度推定部85は、フィルタ84による処理を経た後の各相の電流Iu1,Iv1,Iw1の値に基づきロータ14の回転角θを推定演算する。また、角度推定部85は、フィルタ84による処理を経た後の各相の電圧Vu1,Vv1,Vw1の値に基づきロータ14の回転角θを推定演算する。
選択部86は、異常検出部81により生成される異常検出信号Se、角度演算部72により演算されるロータ14の回転角θ、および角度推定部85により推定演算されるロータ14の推定回転角θeをそれぞれ取り込む。選択部86は、異常検出信号Seが取り込まれないときには回転角θを選択する一方、異常検出信号Seが取り込まれるときには推定回転角θeを選択する。
<角度推定部の角度推定機能>
つぎに、角度推定部85の角度推定機能について詳細に説明する。角度推定部85は2つの角度推定機能を有している。第1の角度推定機能は、ロータ14が回転することによって発生する誘起電圧の変化に基づきロータ14の回転位置を検出する機能である。第2の角度推定機能は、ロータ14の突極性を利用してロータ14の回転位置を推定する機能である。
<第1の角度推定機能>
まず、角度推定部85の第1の角度推定機能について説明する。
角度推定部85は、第1の電圧センサ51を通じて検出される各相の電圧(端子電圧)Vu1,Vv1,Vw1に基づきモータ11の誘起電圧を演算し、当該演算される誘起電圧の値に基づきモータ11の回転速度(回転数)を推定演算する(回転速度演算機能)。角度推定部85は、当該演算される推定回転速度と演算周期とに基づき一演算周期当たりの回転角変化量を演算する。角度推定部85は、当該演算される回転角変化量を一演算周期前の推定モータ回転角の値に積算することにより現在の推定モータ回転角を演算する。第1の演算部43aは、当該演算される推定モータ回転角(ロータ14の回転位置)に基づき第1のコイル群16Aに対する給電を制御する。
<第2の角度推定機能>
つぎに、角度推定部85の第2の角度推定機能について説明する。
図5のフローチャートに示すように、角度推定部85はモータ11の回転角θを0°に設定する(ステップS101)。
つぎに、角度推定部85はステップS101で設定した回転角θ(=0度)を基準としてν/δ軸を設定する(ステップS102)。ここでは、図6に示されるように、ν軸を0°としたとき、ν軸は本来のd軸に対して位置誤差(位相角)Δθを有する。
つぎに、角度推定部85はセンシング信号生成部82により生成される高周波の交番電圧であるセンシング信号Vhをν/δ軸(正確には、ν軸方向)に印加する(ステップS103)。
つぎに、角度推定部85は第1の電流センサ61を通じて検出される電流Iu1,Iv1,Iw1(正確には、フィルタ84による処理を経たもの)を取り込む(ステップS104)。
つぎに、角度推定部はステップS104で取り込んだ電流Iu1,Iv1,Iw1の値に基づきインダクタンスを演算する(ステップS105)。
つぎに、角度推定部85は、次式(1)で示されるように、回転角θに微小角度αを加算する(ステップS106)。
θ=θ+α・・・(1)
つぎに、角度推定部85は、回転角θの値が360°を超えているかどうかを判断する(ステップS107)。
角度推定部85は、回転角θの値が360°を超えていない旨判断されるとき(ステップS107でNO)、ステップS103へ処理を移行する。
角度推定部85は、回転角θの値が360°を超えている旨判断されるとき(ステップS107でYES)、インダクタンスが最小となる角度(位置誤差Δθ)をd軸の方向とする(ステップS108)。
ちなみに、ステップS103〜ステップS107の処理を繰り返すことにより、図6に実線で示されるような楕円状のインダクタンス軌跡Ltが得られる。このインダクタンス軌跡Ltの2つの長軸半径Ra1,Ra2は互いに同じ長さであるものの、2つの短軸半径Rb1,Rb2の長さは異なる。このようにインダクタンスが偏差を有するのは、d軸磁路にエアギャップと同じ磁気抵抗を有する永久磁石32が存在することに起因してd軸の磁気抵抗がq軸の磁気抵抗に対して小さくなるためである。
角度推定部85は、このようなインダクタンス特性を利用してロータ14の回転位置を示すd/q軸の方向を推定することにより、ロータ14の回転位置(磁極位置)を推定する。
<モータの動作>
つぎに、前述のように構成したモータの駆動方法を説明する。
<位置センサの正常時>
まず、位置センサ44の異常が検出されない通常運転時、MPU43は位置センサ44を通じて検出される回転角θに基づき2つの系統A,Bを使用してモータ11を駆動する。すなわち、MPU43は、第1の駆動回路41を通じて第1のコイル群16Aに三相の交流電力を供給するとともに、第2の駆動回路42を通じて第2のコイル群16Bを通じて第2のコイル群16Bに三相の交流電力を供給する。第1のコイル群16Aおよび第2のコイル群16Bには、各相コイルの巻数に応じた誘起電圧が発生する。
<位置センサの異常時>
つぎに、位置センサ44の異常が検出されるとき、MPU43はモータ11の回転速度(回転数)に応じて、第1の位置センサレス制御と第2の位置センサレス制御とを切り替える。具体的には、図3のグラフに示される通りである。図3のグラフにおいて、横軸はモータ11の回転数N、縦軸はモータ11が発生するモータトルクτである。また、本例では回転数しきい値Nth以下の回転数領域を低速域、回転数しきい値Nthを超える回転数領域を中高速域とする。回転数しきい値Nthは、たとえばモータ11の定格回転数Nrの10%程度の値に設定される。
<低速域>
図3のグラフに示されるように、MPU43は、モータ11の回転数Nが低速域の回転数Nsであるとき、モータ11の突極性を利用する第2の位置センサレス制御の実行を通じてモータ11を制御する。このとき、MPU43は2つの系統A,Bのいずれか一方を使用してモータ11を駆動するとともに、2つの系統A,Bのいずれか他方を使用してロータ14の回転位置を推定する。ここでは、ロータ14の回転位置を検出するための系統として系統Aを使用し、モータ11を駆動させるための系統として系統Bを使用する。
すなわち、MPU43は系統Aを利用して推定される推定回転角θeを使用して第2のコイル群16Bに対する給電を制御する。このとき系統Aにおける第1のコイル群16Aにはモータ11を駆動するための電力は供給されない。このため、モータ11が発生するモータトルクτ1は、第1および第2のコイル群16A,16Bの両方を使用する場合に発生するモータトルクτ2の半分程度の値(図3のグラフでは、半分よりも若干小さい値)となる。なお、図3のグラフに示される例では、低速域ではモータ11の回転数Nにかかわらず、モータ11が発生するモータトルクτは、モータトルクτ1でほぼ一定となる。
<中高速域>
図3のグラフに示されるように、MPU43は、モータ11の回転数Nが中高速域の回転数Nhであるとき、誘起電圧を利用する第1の位置センサレス制御の実行を通じてモータ11を制御する。このとき、MPU43は2つの系統A,Bを使用してモータ11を駆動するとともに、系統Aおよび系統Bの少なくとも一方を利用してロータ14の回転位置を推定する。ここでは、ロータ14の回転位置を検出するための系統として系統Aを使用する。
すなわち、MPU43は系統Aを利用して推定される推定回転角θeを使用して第1のコイル群16Aおよび第2のコイル群16Bに対する給電をそれぞれ制御する。このときモータ11が発生するモータトルクτ2は、第1のコイル群16Aのみ、または第2のコイル群16Bのみを使用する場合に発生するモータトルクτの2倍程度の値(図3のグラフでは、2倍よりも若干大きな値)となる。また、モータ11の回転数Nが回転数しきい値Nthを超えてから第1の回転数N1に達するまでの間、モータ11が発生するモータトルクτは回転数Nにかかわらずモータトルクτ2でほぼ一定となる。また、回転数Nが第1の回転数N1を超えた以降、モータトルクτは回転数Nの増加に伴い徐々に減少する。なお、図3のグラフに示される例では、回転数Nが第2の回転数N2(>N1)および第3の回転数N3(>N2)を境として、回転数Nの増加に伴うモータトルクτの減少割合(傾き)が小さくなる。
<実施の形態の効果>
したがって、第1の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)位置センサ44の異常が検出される場合、モータ11の回転数N(推定)が低速域の回転数Nsであるとき、MPU43は突極性を利用する第2の位置センサレス制御の実行を通じてモータ11を駆動する。また、位置センサ44の異常が検出される場合、モータ11の回転数N(推定)が中高速域の回転数Nhであるとき、MPU43は誘起電圧を利用する第1の位置センサレス制御の実行を通じてモータ11を駆動する。このように、誘起電圧を利用する第1の位置センサレス制御および突極性を利用する第2の位置センサレス制御をモータ11の速度域に応じて使い分けることにより、位置センサ44に異常が発生した場合であれ、低速域および中高速域を含む広い速度範囲でモータ11を安定して運転することが可能となる。
(2)位置センサ44の異常が検出される場合、モータ11の回転数N(推定)が低速域の回転数Nsであるとき、2つの系統A,Bの一方系統を位置検出用として使用し、他方系統をモータ11の駆動用として使用する。このため、ロータ14の位置情報を得るためのセンシング信号Vhに起因してコイル16に生じる電流によるトルクリップルの発生が抑制される。トルクリップルに起因する異音なども低減される。また、系統を分離することにより、センシング信号Vhに起因して生じるロータ14の回転位置情報を有する高周波と、モータ11を駆動するための基本波とを分離する必要がない。このため、より高い精度でロータ14の回転位置情報が得られる。
(3)誘起電圧を利用する第1の位置センサレス制御では、2つの系統A,Bを使用してモータ11が駆動される。このため、位置センサ44に異常が発生した場合であれ、より通常時に近い状態でモータ11を運転することができる。
(4)制御装置40は、モータ11への給電系統として2つの系統A,Bを有する。また、制御装置40は、単一の位置センサ44に異常が発生した場合、第1および第2の位置センサレス制御の実行を通じてモータ11を継続して駆動させる。このため、複数の位置センサを設けることなくモータ11および制御装置40の異常に対する冗長性が確保される。モータ11および制御装置40、ひいてはこれらを含むシステムの製品寿命を延ばすことも可能である。また、当該システムの安全性もより高められる。
<第2の実施の形態>
つぎに、回転電機の制御装置の第2の実施の形態を説明する。本例は基本的には第1の実施の形態と同様の構成を有している。ここでは、突極性を利用する第2の位置センサレス制御が実行される場合、系統Aがロータ14の回転位置を検出するための系統として、系統Bはモータ11を駆動させるための系統としてそれぞれ使用される。
図7(a)の波形図に示されるように、第2の位置センサレス制御の実行時、系統Aにおける第1のコイル群16Aにはセンシング信号Vh(交番電圧)に基づく電流Ihが生じるところ、この電流Ihに起因して、わずかながらにもモータトルクが発生するおそれがある。そして図7(c)に二点鎖線で示されるように、電流Ihに起因して発生するモータトルクτaが、モータ11を駆動させるために使用される第2のコイル群16Bにより発生されるモータトルクτaに上乗せされるかたちで、わずかながらにもトルクリップルとして現れるおそれがある。
そこで本例では、MPU43(正確には、第2の演算部43b)は第2のコイル群16Bへの給電をつぎのように制御する。
図7(b)の波形図に示されるように、MPU43は、第1のコイル群16Aに生じる電流Ihを打ち消すかたちで減衰された減衰部分−Ihを有する電流波形が得られるように、第2のコイル群16Bに対する給電を制御する。
これにより、第1のコイル群16Aに生じる電流Ihに起因して発生するモータトルクτaの分だけ、第2のコイル群16Bにより発生されるモータトルクτbがモータトルクτaの発生タイミングに合わせて減少する。すなわち、第2のコイル群16Bにより発生されるモータトルクτbの部分的な減少が、第1のコイル群16Aにより発生されるモータトルクτaにより補われる。
その結果、図7(c)に実線で示されるように、第1のコイル群16Aに生じる電流Ihに起因して発生するモータトルクτaがトルクリップルとして現れることが抑制される。トータルとして、第2のコイル群16Bに対して減衰部分−Ihを有さない本来の電流波形を呈するかたちで給電されたときと同等のモータトルクτbが発生する。
このように、本実施の形態によれば、センシング信号Vhに起因するトルクリップルの発生が、よりいっそう低減される。位置センサ44に異常が発生した場合におけるモータ11をより安定して運転することができる。
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・MPU43における第1の演算部43aおよび第2の演算部43bは、それぞれ第1のMPUおよび第2のMPUとして分けて構成してもよい。第1のMPUは系統Aに、第2のMPUは系統Bに対応させる。
・本例では直方体状の永久磁石32を使用したが、永久磁石32の形状は適宜変更してもよい。たとえば断面形状がV字状あるいはU字状を呈する永久磁石32を採用してもよい。
・本例では、複数の分割コア21からなるステータコア15を採用したが、たとえば複数の電磁綱板が積層されてなる単一のコアを採用してもよい。この場合であれ、各コイル16を系統A,Bの2つのグループに分けることができる。
・本例では、いわゆる10極12コイルのブラシレスモータを一例として挙げたが、コイル16の個数および永久磁石32の個数(磁極数)は適宜変更してもよい。この場合、コイル16の個数は「6」の自然数倍に設定することが好ましい。
・本例では、インナーロータ型のブラシレスモータを一例に挙げたが、アウターロータ型のブラシレスモータとしてもよい。アウターロータ型のモータでは、円筒状のロータの内部にステータが設けられる。
・本例では、同一円周上に設けられた12個のコイル16のうちの半周分の6個(1番〜6番)を系統A、残る半周分の6個(7番〜12番)を系統Bとして分割したが、ステータコア15の円周方向において連続する複数個を1グループとしなくてもよい。たとえば、奇数番のコイル16をA系統、偶数番のコイル16をB系統として分割してもよい。
・本例では、位置センサ44に異常が発生したとき、MPU43はたとえば一方の系統Aをロータ位置検出用として使用し、他方の系統Bをモータ11の駆動用として使用するようにしたが、系統A,Bの両方を使用してモータ11を駆動させるようにしてもよい。なお、位置センサ44の異常時には、系統A,Bの少なくとも一方のフィードバック制御部74により生成される電圧指令値V*にセンシング信号Vhを重畳させればよい。ただしこの場合、ロータ14の回転位置を推定するためには、センシング信号Vhに起因して生じるロータ14の回転位置情報を有する高周波と、モータ11を駆動するための基本波とを分離する必要がある。
・本例では、位置センサ44に異常が発生したとき、MPU43は低速域では突極性を利用する第2の位置センサレス制御を実行し、中高速域では誘起電圧を利用する第1の位置センサレス制御を実行するようにしたが、全速度域で突極性を利用する第2の位置センサレス制御を実行するようにしてもよい。ただしこの場合、系統A,Bのうち一方系統をロータ位置検出用、他方系統をモータ駆動用として使用することが好ましい。系統を分離することにより、センシング信号Vhに起因して生じるロータ14の回転位置情報を有する高周波と、モータ11を駆動するための基本波とを分離する必要がない。このため、より高い精度でロータ14の回転位置情報が得られる。
・本例では、モータ11に対する給電系統を系統A,Bの2系統としたが、3系統、4系統あるいはそれ以上としてもよい。この場合、モータ11に対する給電系統の数と同数の駆動回路を設ける。位置センサ44に異常が発生したとき、MPU43は一の系統をロータ14の位置検出用として使用し、残りの系統をモータ駆動用として使用する。
・また、モータ11に対する給電系統を1系統としてもよい。このようにした場合であれ、単一の位置センサ44に異常が発生したとき、MPU43は第1の位置センサレス制御および第2の位置センサレス制御をロータ14の回転速度に応じて使い分けることにより、モータ11をより安定して運転することが可能となる。
・本例ではモータ11を電動パワーステアリング装置の駆動源として使用する例を挙げたが、電動ポンプ、あるいは自動車のギヤ比可変ステアリング(VGRS)などの他の電動装置の駆動源として本例のモータ11を採用してもよい。VGRSは、車速および舵角に応じてステアリングのギヤ比を無段階に変化させる装置である。また、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、およびモータアシスト式の四輪駆動車両(4WD車両)の主機モータとして採用してもよい。ちなみに、モータアシスト式の4WD車両とは、前輪をエンジン、後輪をモータにより駆動させるタイプの車両をいう。
11…モータ(回転電機)、13…ステータ、14…ロータ、16…コイル、16A…第1のコイル群、16B…第2のコイル群、40…制御装置、41…第1の駆動回路、42…第2の駆動回路、43…MPU(制御回路)、44…位置センサ、51…第1の電圧センサ、52…第2の電圧センサ、61…第1の電流センサ、62…第2の電流センサ、85…角度推定部、86…選択部。

Claims (6)

  1. 環状に並ぶ複数のコイルを有する筒状のステータと、前記ステータに対して同心をなして相対回転する埋込磁石型のロータと、前記ロータの回転位置を検出する位置センサと、を有する回転電機の制御装置において、
    前記複数のコイルに三相交流電力を供給する駆動回路と、
    前記位置センサを通じて検出されるロータの回転位置に基づき前記駆動回路を通じて前記複数のコイルに対する給電を制御する制御回路と、を備え、
    前記制御回路は、前記位置センサに異常が発生した場合、前記ロータの回転速度がしきい値以下である低速域の回転速度であるときには前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定する一方、前記ロータの回転速度がしきい値を超える中高速域の回転速度であるときには前記回転電機の誘起電圧を利用して前記ロータの回転位置を推定し、当該推定される回転位置に基づき前記複数のコイルに対する給電を制御する回転電機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の回転電機の制御装置において、
    前記複数のコイルは複数のコイルを1つのグループとする複数のグループに分けられていること、および前記駆動回路は前記グループと同数だけ設けられて各駆動回路は前記複数のグループごとに別系統で三相交流電力を各グループのコイルに供給するものであること、を前提とし、
    前記制御回路は、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記複数のグループにおける一のグループには前記ロータの回転位置を検出するための電力を供給する一方、残りのグループには前記回転電機を駆動させるための電力を供給する回転電機の制御装置。
  3. 請求項2に記載の回転電機の制御装置において、
    前記制御回路は、前記回転電機の誘起電圧を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記各駆動回路を通じて前記回転電機を駆動させるための電力を前記複数のグループにそれぞれ供給する回転電機の制御装置。
  4. 環状に並ぶ複数のコイルを有し各コイルが複数のコイルを1つのグループとする複数のグループに分けられてなる筒状のステータと、前記ステータに対して同心をなして相対回転する埋込磁石型のロータと、前記ロータの回転位置を検出する位置センサと、を備えてなる回転電機の制御装置において、
    前記複数のグループごとに別系統で三相交流電力を各グループのコイルに供給するグループ数と同数の駆動回路と、
    前記位置センサを通じて検出されるロータの回転位置に基づき各駆動回路を通じて各グループのコイルに対する給電を制御する制御回路と、を有し、
    前記制御回路は、前記位置センサに異常が発生した場合、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定し、当該推定される回転位置に基づき前記複数のコイルに対する給電を制御し、
    前記制御回路は、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記複数のグループにおける一のグループには前記ロータの回転位置を検出するための電力を供給する一方、残りのグループには前記回転電機を駆動させるための電力を供給する回転電機の制御装置。
  5. 請求項2〜請求項4のうちいずれか一項に記載の回転電機の制御装置において、
    前記制御回路は、前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記複数のグループにおける前記一のグループに供給される前記ロータの位置検出用の電力を打ち消すように、前記残りのグループに対する給電を制御する回転電機の制御装置。
  6. 環状に並ぶ複数のコイルを有し各コイルが複数のコイルを1つのグループとする複数のグループに分けられてなる筒状のステータと、前記ステータに対して同心をなして相対回転する埋込磁石型のロータと、前記ロータの回転位置を検出する位置センサと、を有する回転電機の制御方法において、
    前記位置センサに異常が発生していない場合、前記位置センサを通じて検出される前記ロータの回転位置に基づき前記回転電機を駆動させるための電力を前記複数のグループごとに別系統で各グループのコイルに供給し、
    前記位置センサに異常が発生した場合、前記ロータの回転速度がしきい値以下である低速域の回転速度であるときには前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定する一方、前記ロータの回転速度がしきい値を超える中高速域の回転速度であるときには前記回転電機の誘起電圧を利用して前記ロータの回転位置を推定し、当該推定される前記ロータの回転位置に基づき前記回転電機を駆動させるための電力を前記複数のグループごとに別系統で各グループのコイルに供給し、
    前記ロータの突極性を利用して前記ロータの回転位置を推定するとき、前記複数のグループにおける一のグループには前記ロータの位置を検出するための電力を供給する一方、残りのグループには前記回転電機を駆動させるための電力を供給する回転電機の制御方法。
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