JP2017032198A - 熱交換システム - Google Patents

熱交換システム Download PDF

Info

Publication number
JP2017032198A
JP2017032198A JP2015152082A JP2015152082A JP2017032198A JP 2017032198 A JP2017032198 A JP 2017032198A JP 2015152082 A JP2015152082 A JP 2015152082A JP 2015152082 A JP2015152082 A JP 2015152082A JP 2017032198 A JP2017032198 A JP 2017032198A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
refrigerant
aluminum
heat exchange
fin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015152082A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6372439B2 (ja
Inventor
吉田 育弘
Yasuhiro Yoshida
育弘 吉田
寿守務 吉村
Susumu Yoshimura
寿守務 吉村
皓亮 宮脇
Hiroaki Miyawaki
皓亮 宮脇
松本 崇
Takashi Matsumoto
崇 松本
洋次 尾中
Yoji Onaka
洋次 尾中
一普 宮
Kazuhiro Miya
一普 宮
典宏 米田
Norihiro Yoneda
典宏 米田
貴博 堀
Takahiro Hori
貴博 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2015152082A priority Critical patent/JP6372439B2/ja
Publication of JP2017032198A publication Critical patent/JP2017032198A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6372439B2 publication Critical patent/JP6372439B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Heat-Exchange Devices With Radiators And Conduit Assemblies (AREA)

Abstract

【課題】 冷媒の流路にアルミニウムを用いる熱交換器を備えた熱交換システムにおいて、水を含む冷媒を使用する場合、アルミニウムの腐食に伴う冷媒漏れを防止する。
【解決手段】 熱交換器の冷媒流路内壁を被覆する樹脂膜を備えており、当該冷媒は、水を主成分として、その中に分散して存在する樹脂粒子を含み、樹脂粒子は、界面活性剤や両親媒性の高分子による表面修飾されたもの、または親水性基を有する樹脂成分からなるものを用いる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、主に温水や冷水で室内の温度を調節する空調機などに用いられる、水と空気との間で熱交換を行う熱交換システムに関するものである。
空調機に用いられる熱交換器には、アルミニウム製のフィンと、銅管の冷媒流路が組み合わされた構造のものが多く用いられている。こうした熱交換器では、多数枚のフィンを介して、銅管中を流れる冷媒と、フィン間を通過した外部の空気との間で熱交換を行うことが一般的である。冷媒流路においても、比重の重い銅に換えてアルミニウムを使用することで、熱交換器の軽量化や構造の簡略化が可能となるため、近年、アルミニウム管を用いる熱交換器の実用化に向けた取り組みが進められている。なお、ここでアルミニウムと称しているのは、アルミニウムを主成分とする実用的な各種合金を含んでそれらを総称するものである。
冷媒の流路にアルミニウムを用いる熱交換器において、水を含む冷媒を使用する場合、アルミニウムの腐食に伴う冷媒漏れの問題がある。例えば、フィンに開口突出部を形成し、各フィンの開口突出部を重ねて嵌合することにより形成した熱交換器の冷媒流路も可能であるが、このような熱交換器ではフィン間からの冷媒漏れが起こり易い。
この問題に対応する技術として、冷媒流路の内壁に樹脂被膜を形成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、アルミニウムの腐食に対しては、冷媒となる冷却水にアルミニウムの腐食を抑制する成分である、インヒビターを添加する方法が採られている(例えば、特許文献2参照)。
特公昭61-15359号公報 特開2010-16045号公報
アルミニウム管の内部に樹脂被膜を形成する方法においては、樹脂被膜が健全であれば高い防食作用が得られる。しかしながら、樹脂被膜に亀裂や剥離などの欠陥が生じた場合には、被覆されていたアルミニウム表面が冷却水に対して露出することになり、アルミニウム管の腐食が発生する。腐食の進展に伴い、樹脂被膜の剥離面積が拡大し、さらに腐食が進行してアルミニウム管の貫通腐食に至ると、冷却水漏れが起こるという問題があった。
また、冷却水に各種のインヒビターを加えることで腐食を抑制することは可能であるものの、管内を被覆している樹脂の剥離を抑制する効果はない。インヒビターによる防食作用は、金属表面とインヒビターとの反応によるものであるが、剥離しつつある樹脂被膜と金属表面の界面ではその効果が十分ではなく、また、水分による樹脂の劣化や膨潤抑制には効果が無いため、徐々に樹脂の剥離が進行してしまうと考えられる。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、アルミニウム製の冷媒流路を用いる熱交換器に、水を主成分とした冷媒を流す場合においても、アルミニウムの腐食を抑制し、長期間にわたり水漏れを確実に防ぐことができる熱交換システムを得ることを目的とする。
この発明に係る熱交換システムにおいては、熱交換器を備えられた冷媒が流れる流路は、アルミニウムを主成分とする金属製であって、さらに流路の内壁を被覆する樹脂膜を備えており、当該冷媒は、水を主成分として、その中に分散して存在する樹脂粒子を含むものである。すなわち、流路内を樹脂粒子が自由に流動する状態で運転される熱交換システムとなっている。
本発明に係る熱交換システムにおいては、樹脂粒子を分散させた冷媒を使用していることから、腐食が進行し始めた流路内壁の表面近傍に溶出した金属イオンが存在する場合、金属イオンにより樹脂粒子の水に対する親和性が失われて、樹脂粒子はその場に固着する。形成されていた樹脂被膜に損傷が生じた場合は、損傷により露出した金属部分に樹脂粒子が付着することで、新たな樹脂膜が形成される。この樹脂膜は樹脂粒子から形成されるものであるため、インヒビターで生成する薄膜の防食被膜と異なり、相当の厚みを有する被膜となる。そのため、防食効果を発揮するだけでなく、もとの樹脂被膜を修復することになり、熱交換器の腐食を最小限に抑制して冷却水の漏れを防ぐ効果が得られる。
この発明の熱交換システムの全体構成の例を示す冷媒回路図である。 この発明の熱交換システムにおける熱交換器の例を示す模式図である。 アルミニウムフィンの積層構造を示す模式図である。 この発明の実施の形態1のアルミニウムフィンを示す断面模式図である。 この発明の実施の形態1のアルミニウムフィンの製造方法を示す断面模式図である。 この発明の実施の形態1のアルミニウムフィンの製造方法を示すフロー図である。 アルミニウムフィンの樹脂被膜が欠損した状態示す断面模式図である。 アルミニウムフィンの樹脂被膜が修復された状態示す断面模式図である。 この発明の実施の形態1に係る熱交換システムの構成の他の例を示す冷媒回路図である。 この発明の実施の形態1の変形例を示すアルミニウムフィンの断面模式図である。 この発明の実施の形態2を示すアルミニウムフィンの断面模式図である。 この発明の実施の形態3を示すアルミニウムフィンの断面模式図である。
図13は、この発明の全ての実施の形態に共通する熱交換システム100の、全体構成の例を示す冷媒回路図である。配管T1は、熱交換器HE1と熱交換器HE2とを接続する配管であり、配管T1内の冷媒をポンプPで加圧することにより冷媒を循環させる系を構成している。熱交換器HE1は、ファンF1によって室内の空気を熱交換器HE1に送ることにより、冷媒と空気の間で熱交換を行うものである。本発明においては、配管T1内に流れる冷媒は水を主成分とする流体である。ここでは、この水を主成分とする冷媒を冷媒Wと呼ぶことにする。
熱交換器HE2は、圧縮装置C、減圧装置R、熱交換器HE3、ファンF2、および配管T2からなるヒートポンプ系において、配管T2中を流れる冷媒Nと、上述の冷媒Wの間の熱交換を行うものである。熱交換器HE3、ファンF2は、例えば外気と冷媒Nの間で熱交換を行う室外機を構成し、順に冷媒N、熱交換器HE2、冷媒W、熱交換器HE1を介して屋内の空調を行う空調システムを構成する。なお、図1の冷媒回路図は基本原理を示すためのものであり、実際のシステムにおいては、目的に応じた適切な構成を用いればよい。
図2は、この発明の熱交換システムにおける熱交換器HE1の例を示す模式図である。多数の薄い金属板からなるフィン1を貫通して、流路FPが形成されている。流路FPは開口K1を備えるヘッダーH1、開口K2を備えるヘッダーH2に接続されており、それぞれが冷媒の入口または出口として機能する。図2では、流路FPが2本描かれているが、流路FPの本数は、適宜、決定すればよい。
図14は、この発明の実施の形態に関する熱交換器HE1のフィンの積層構造を示す模式図である。図3(a)は上面図、図3(b)はA−A断面における断面図であり、同じ形状を持つフィン1が多数積層した状態を示している。図中の矢印は、1枚のフィン1を順番に積層する方向を示している。
アルミニウムまたはアルミニウム合金の薄板からなるフィン1は、複数の箇所に突起状に開口部3が成形されたフィンカラー2を備えている。図3から明らかなように、フィンカラー2は、開口部3を取り巻くようにアルミニウム薄板が一方向に立ちあがった構造物である。機械加工により作製しやすいという観点では、フィンカラー2の開口部3の形状は、円形や楕円形等の略円形が好ましい。また、開口部3の形状として、六角形や四角形等の多角形、および、これらの形状の外周に凸部や凹部を有するものを用いることにより、嵌合部の強度を向上する効果を得ることも可能である。図3(b)に示すように、この様なフィン1を多数枚、フィンカラー2同士が嵌合するように重ね合わせることにより、熱交換器として機能する際に冷媒が通過するための冷媒通路4が形成される。フィンカラー2aは、積層後の嵌合した状態を示す。図3(b)の形態において、フィンカラー2aは図2における流路FPに相当する。
一般的なフィンパイプ型の熱交換器においては、図2における流路FPには金属管が用いられることが多く、フィンに金属管が挿入された構造となっている。図3に示す冷媒通路4は、金属管を必要としないため、省資源化、軽量化を図ることができるとともに、熱交換効率の向上を期待することができる。
前述のように、図3に示す積層されたフィンカラー2aは、そのまま用いると冷媒がアルミニウムに接するため、水を主成分とする冷媒Wを用いる場合にアルミニウムの腐食が問題となる。また、嵌合箇所の隙間からの冷媒漏れも起こり易い。これに対処するため、本発明の熱交換器においては、冷媒通路の内面に樹脂被膜5を設けている。
実施の形態1.
(冷媒流路の構成)
図4は、この発明の実施の形態1を示すアルミニウムフィンの断面模式図であり、樹脂被膜5が、冷媒Wに接するアルミニウムの面、すなわちフィンカラー2aの内側面を全て覆うように設けられている。このことにより、冷媒Wとアルミニウム面の接触が遮断され、冷媒Wによるアルミニウムの腐食が抑制される。樹脂被膜5の樹脂は、嵌合面のフィンカラー2aの外側にはみ出して、フィンカラーの外側面や、嵌合面周辺のアルミフィン平坦面に付着していても良い。この様な構造とすることで、嵌合部の強度を向上できるとともに、冷媒の漏れを確実に防止する効果が得られる。積層後のフィン1aは概ね平坦な面であり、この面に付着する樹脂は、嵌合部から3mm以内の距離にすることが好ましい。これ以上としても、前記の効果が向上することは無く、熱交換の効率を低下させる悪影響があるためである。
(樹脂被膜)
次に、本発明に用いる熱交換器について、樹脂被膜5の製造方法を説明する。本発明における樹脂被膜5の材質は、水に溶解しない樹脂であればよいため、一般的な各種の樹脂が使用できる。特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、シリコーン、アクリルシリコーン、酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂、あるいはこれらの共重合体、混合物が好ましい。これらの熱可塑性樹脂を利用することで、熱交換器の熱や外力による変形が起こった場合にも樹脂被膜5に亀裂等の欠陥が起こりにくい性質を得ることができる。
樹脂被膜5の形成方法は、フィン1の積層により冷媒通路4を形成した後、円筒状に成型した上記の樹脂(管状樹脂)を挿入する方法がある。図5は、この発明のアルミニウムフィンの製造方法を示す断面模式図であり、二つ描かれている管状樹脂6の左側のものは挿入前の状態で矢印は挿入方向、右側のものは冷媒通路4の途中まで挿入した状態を示す。管状樹脂6を挿入後に加熱することで、冷媒流路となる冷媒通路4の内面に管状樹脂6を密着することができる。さらに、管状樹脂6の管内に空気や水等の媒体を通して圧力を加え、冷媒通路4の内壁面に密着させることにより、樹脂被膜5の接着を確実に行うことができる。この場合、加圧時、あるいは加圧後に管状樹脂6を加熱することで密着性をさらに確実にできる。最適な加熱条件は管状樹脂6として用いる熱可塑性樹脂の種類によって異なるが、一般的には、アルミニウムのフィンカラー2aの温度を60℃以上、300℃以下とすることが好ましく、80℃以上、250℃以下とすることがさらに好ましい。60℃以下では加熱の効果が無いだけでなく、使用時の昇温により形成された樹脂被膜が変形する余地を残すことになるためである。300℃を超える様な温度では、熱により樹脂が劣化してしまう恐れがある。
樹脂被膜5の他の形成方法として、塗料化した樹脂を塗布する方法も好ましい。塗布用の塗液としては、樹脂が有機溶剤に溶解したものや、樹脂をエマルジョン化したものが利用可能である。また、電着塗装を利用することも可能であり、その場合は、ピンホール等の発生が抑制できるため、品質の高い被膜を得ることができる。これらの方法においても、管状の樹脂を挿入する方法と同様に、膜形成のために加熱をすることが好ましい。さらに、樹脂の粉体をフィンカラー2a内壁に付着させた後、加熱溶融して固着させる粉体塗装を用いてもよい。
また、樹脂被膜の形成方法については、上述の方法と樹脂を塗布する順番を変えて、フィン1の積層前に、あらかじめ個別の樹脂被膜を形成しておく方法を用いてもよい。この場合は、フィン1のフィンカラー2となっている部分に樹脂を付着させておき、フィン1を積層した後に加熱することで、樹脂を流動化させて樹脂被膜5を形成することができる。フィン1への樹脂の付着方法は、フィンカラー2部分に上記の塗料化した樹脂を塗布する方法、加熱したフィン1を樹脂に接触させるなどして、溶融した樹脂を付着させる方法を用いることができる。フィン積層時の加熱温度は、上記管状の樹脂による被膜形成時と同様の条件でよい。さらに、本方法の場合においては、加熱時に樹脂の流動化によりアルミフィンの積層間隔が縮まる場合があるため、アルミニウムのフィン1を積層する向きの押圧を制御しながら加熱することが好ましい。このとき、フィン1間のスペースを規定するスペーサを用いてもよい。
本発明の目的である、冷媒Wに対する耐蝕性のさらなる向上を図るため、上記の樹脂被膜5の形成前のフィン1に対して、防食性を向上させる表面処理をしておくことも好ましい。この処理としては、クロメートやノンクロメート法、リン酸法、ベーマイト法等の化成処理、陽極酸化法、めっき法を利用可能である。事前に処理したアルミニウムのフィン1を用いた場合でも、嵌合時に傷が生じると、傷の生じた部分の防食効果が失われる。しかし、あらかじめ個別の樹脂被膜を形成する方法を用いることによって、防食被膜の損傷を抑えることが可能になり、アルミニウムの腐食をより確実に抑制でき、冷媒漏れ等のリスクを減らすことが可能になる。
図6は、この方法によるアルミニウムフィンの製造方法を示すフロー図である。フィン1のフィンカラー2を形成する工程S1の後に防食処理の工程S2を行い、さらにフィンカラー2の内面に樹脂被膜を形成する工程S3を行う。樹脂被膜の形成された状態でフィン1を積層する工程S4を行ってから、加熱処理による樹脂被膜の一体化工程S5を経て、最終的な樹脂被膜5を得る。
また、積層前のフィン1を個別に処理するのではなく、積層されたフィン1aに上記の防食処理を行うことにより、積層時のダメージのリスクを回避することもできる。以上のように、この防食処理はいずれの樹脂被膜5の形成方法においても共通して利用することが可能である。
(欠陥の修復作用)
本発明における熱交換システムは、冷媒Wとして水中に樹脂粒子8が分散したもの用いることに特徴がある。樹脂粒子8の材料としては、上述の樹脂被膜に用いることが出来る樹脂として列挙したものが適用できる。樹脂粒子8は、冷媒Wの一部として冷媒通路内を自由に流動するものであり、微細な粒子として安定して冷媒W中に分散していることが必要である。上記の樹脂粒子8は、各種の界面活性剤や両親媒性の高分子による表面修飾されたものや、親水性基を有する樹脂成分からなるものを用いることで、冷媒中での分散を安定化することが出来る。
次に、本発明における樹脂粒子8による樹脂被膜5の欠陥部の修復の原理を、模式図を用いて説明する。図15は、アルミニウムフィンの樹脂被膜5が欠損した状態を示す断面模式図である。フィンカラー2aの内面に形成された樹脂被膜5が欠損領域7の部分の冷媒通路4側で剥がれ落ちており、アルミニウムのイオン9がフィンカラー2aの内表面から冷媒中に溶出している。一方、樹脂粒子8は、図示を省略している冷媒W中に分散している。
図8は、アルミニウムフィンの樹脂被膜が修復された状態示す断面模式図である。本発明の樹脂粒子8は、その表面にカルボキシル基やカルボニル基、水酸基、エーテル基、アミノ基等の親水基を有することで、冷媒である水との親和性を高め、冷媒中で粒子同士が付着することなく安定に分散した状態となっている。また一方で、このような樹脂粒子8は樹脂被膜の欠損部分、または欠陥部分の金属露出部において不安定化する性質を持っている。上述のように、欠損領域7でアルミニウムが露出し、腐食が始まった場合、アルミニウムが酸化し、冷媒中にアルミニウムの一部がイオン9としてわずかに拡散する。イオン9は水酸化アルミニウムの水和物などの形態が想定されるが、いずれにしても多価の電荷を有したものとなる。この様なイオン9は、カルボキシル基等の親水基に結合する性質を持つ。このため、欠損領域7の腐食表面に近づいた樹脂粒子8は水との親和性を失い、金属表面や隣接する樹脂粒子と結合した状態となる。これが、フィンカラー2の欠損領域7に付着した樹脂粒子10である。樹脂粒子10の付着作用により、欠損領域7の腐食表面が完全に被覆されてアルミニウムイオン9の流出が無くなるまで、この作用が繰り返されることになり、腐食の進行が確実に抑制される効果が得られる。
冷媒通路の配管がアルミニウム製であると、腐食が始まった場合に水酸化アルミニウムの膜が表面に形成されるため、上記のような欠損部の修復が可能になると考えられる。他の金属では、このような効果は十分に得られない。腐食しやすい金属の場合、例えば鉄の場合では、腐食により酸化鉄が形成されるが、樹脂粒子が付着しても厚膜や塊状となって、適切な修復作用は得られない。腐食しにくい金属の場合、例えば銅の場合では、酸化銅薄膜が形成され腐食は進行しにくいが、イオン成分の溶け出しが少ないため樹脂粒子の付着も少なく、修復は進まない。また、微量の銅イオンは樹脂の劣化を促進してしまう副作用もある。
一般的なインヒビターを用いる場合においては、アルミニウム表面にインヒビターが反応し、腐食を抑制する効果が得られるものの、反応層は非常に薄いものであり、樹脂被膜との相互作用も無い。そのため、露出した金属表面に接する樹脂被膜の剥離等を抑制することができず、時間の経過と共に樹脂被膜の剥離が進んでしまうことが多い。
上述のように、本発明は樹脂粒子8の不安定化に伴う付着作用により、付着した樹脂粒子10による被膜を形成して樹脂被膜5の補修を行う方法である。樹脂粒子8を含むことにより、アルミニウムの配管系において高い防食効果が得られるとともに、厚膜の樹脂膜を形成して周辺の樹脂被膜端面とも融着するため、樹脂被膜の欠陥を樹脂膜で修復した形となり確実な防食作用が得られる。そのため、樹脂被膜5が薄くても長期にわたる信頼性を維持できることから、樹脂被膜5における熱伝達率の高い、熱交換効率の高いシステムを実現することができる。
(冷媒中の樹脂粒子)
分散した樹脂粒子8を含む冷媒Wが、アルミニウムの腐食部分を確実に封鎖する作用を持つためには、樹脂粒子8としていくつかの物性を満たす必要がある。樹脂粒子8がエマルジョンとして添加されている場合には、エマルジョンの最低造膜温度が20℃以下であることが好ましい。ここでの最低造膜温度は、樹脂粒子を塗布乾燥した場合、粒子同士が融着し緻密な膜となる温度を指している。最低造膜温度が十分低いものを利用することで、樹脂粒子8同士の融着、及び、樹脂粒子8と金属表面との密着が起こり易く、樹脂被膜5の欠損部分に緻密な樹脂膜を形成することができる。最低造膜温度が20℃を超えるようなエマルジョンを用いた場合には、冷媒中で熱交換器の稼働による昇温があった際に樹脂粒子の融着が生じてしまうことから、緻密な樹脂膜が形成されにくいため好ましくない。上記のエマルジョンは、一般的に、樹脂の他、溶剤成分も含んだ粒子として形成されている。
また、溶剤等を含まない形態の樹脂粒子も利用可能である。この場合の樹脂粒子8を構成する樹脂としては、ガラス転移点が50℃以下のものを用いることが好ましい。ガラス転移点以上の温度では、樹脂は流動性を生じ、表面への密着や粒子同士の融着が進み、付着した樹脂粒子10による樹脂被膜5の補修が起こり易い。ガラス転移点が50℃を超える様な樹脂粒子を用いた場合、熱交換器が稼働し昇温した場合にも樹脂の流動性が得られない場合が多い。
冷媒中の樹脂粒子8は、その粒径が0.02μm以上、3.0μm以下であることが好ましい。樹脂粒子が0.02μmに満たない大きさの場合には、形成される付着した樹脂被膜10が非常に薄くなり、樹脂被膜5の補修という効果が得られにくい。樹脂粒子8が3.0μm以上の場合には、金属表面に向かって適切に拡散できず、緻密な樹脂被膜を形成できなかったり、冷媒中での分散安定性が低く分離してしまったりするため好ましくない。ここでの粒径は、レーザ回折式の粒度分布測定装置を用いた平均粒径を用いることができる。
冷媒W中の樹脂粒子8は、その存在量が0.05質量%以上、5.0質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上、3.0質量%以下が好ましい。存在量が0.05質量%未満の場合には、樹脂粒子が少なすぎることから、十分な速度で欠損部分を補修できず、腐食や欠陥の拡大が進んでしまう場合がある。5.0質量%を超えるような濃度では、冷媒の粘度が上昇するため、熱交換効率に悪影響を与える可能性があり、また、冷媒の循環中に樹脂粒子の凝集等により分離したりする恐れがあり、好ましくない。
(冷媒)
上述の通り、本発明に用いる冷媒は、水を主体とするものを前提としている。本発明の構成要素である樹脂粒子8の他、冷媒通路内面に対する冷媒のなじみを良くするための界面活性剤、雑菌等の繁殖を抑制する殺菌剤、防食性を補強するインヒビターや酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤については、樹脂被膜5や樹脂粒子8の劣化を抑制する効果も付与することができる。例えば、アクリジン、ヘキサメチレンテトラミン等のアルキルアミン類を用いることが好適である。冷媒に酸素が含まれると、長期間の使用により樹脂被膜5あるいは樹脂粒子8やこれらの表面に存在する界面活性剤等が酸化劣化する。樹脂の劣化により樹脂被膜5が硬化し、剥離やクラックが起こり易くなる。また表面の劣化では、樹脂粒子の凝集や沈澱が起こり易くなる。酸化防止剤を共存させることでこれらを抑制することができる。
変形例1
冷媒中の不純物として、Ca、Mg、Al等の2価以上のイオン成分はできるだけ少ない状態とする必要がある。これらのイオン成分が5.0mmol/L以下が好ましく、3.0mmol/Lがさらに好ましい。5.0mmol/Lを超えるような濃度になると、樹脂粒子8の凝集や沈殿が起こり易くなる。キレート剤を用いてこれらのイオンの影響を抑制することも可能であるが、キレート剤は腐食発生部分での樹脂粒子8による腐食抑制を阻害したり、腐食そのものを促進したりする恐れもあるので、添加は最小限にする必要がある。そのため、キレート剤を添加するのではなく、冷媒に溶解しないキレート樹脂やイオン交換樹脂等を冷媒の流路や冷媒が貯留される部分に冷媒と接するように設置するなどしてイオン成分を除去する方法も好ましい。
図9は、この発明の熱交換システムの構成の例を示す冷媒回路図で、配管T1の経路において、ポンプPに隣接してイオン交換樹脂またはキレート樹脂を内部に配置したフィルターIEを備えているものである。ポンプPによって配管T1を流れる冷媒中のイオンが除去されることにより、樹脂粒子8の分散状態が安定に保たれるため、信頼性の優れた熱交換システムを得ることができる。
変形例2
上記の実施の形態では、積層されたフィンカラー2aを流路FPとして用いているが、アルミニウム合金製の円筒管をフィンカラーに通してもよい。図10は、実施の形態1の変形例を示すアルミニウムフィンの断面模式図であり、フィン11にフィンカラー12を形成した後、円筒管20をフィンカラー12に通して熱交換器を構成しているものである。アルミニウム合金製の円筒管20とフィンカラー12の接合には、ろう材を用いることができる。円筒管20の内面は、樹脂被膜15で覆われており、耐蝕被膜として機能している。
このような構成であっても、冷媒中の樹脂粒子8の存在により、樹脂被膜15に欠損領域が生じたとしても、樹脂粒子10が腐食表面に接近して完全に被覆され、アルミニウムのイオン9の流出が無くなることで、腐食の進行が抑制される。
実施の形態2.
(多層樹脂被膜)
図11は、実施の形態2におけるアルミニウムフィンの断面模式図である。実施の形態1における樹脂被膜5は熱可塑性樹脂が単独で形成されていたが、実施の形態2においては、樹脂被膜25が多層化している点が異なっている。その製造方法は、まず冷媒流路24の内面を疎水性の樹脂被膜25aで覆い、その上に親水性の樹脂被膜25bで覆う手順となり、樹脂被膜25の構成は、疎水性の樹脂被膜25aと親水性の樹脂被膜25bの二層膜になっている。
樹脂被膜25aに用いる疎水性樹脂としては、前述の熱可能性樹脂のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、シリコーン、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等が適切である。これらの樹脂は、疎水性が強いほか、耐水性に優れ、変形によってもクラック等を発生しにくいという特性がある。そのため、フィンカラー22に直接接するように被膜を形成すると、水による劣化や液漏れを起こしにくい。しかし、表面で水を弾く性質があるため、冷媒流路24内表面に気泡が付着したり、冷媒Wがなじまずに冷媒Wと管面との熱交換効率が低下したり、冷媒Wの流動抵抗が増したりする恐れがある。これらの課題を解決するため、冷媒Wに接触する面に親水性の樹脂被膜25bを重ねて形成することが有効であり、気泡付着、熱交換効率、流動抵抗を改善することができる。樹脂被膜25bに用いる親水性の被膜は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、メラミン等の親水性樹脂を用いることが適切である。
また、熱交換システムは長期間使用されることから、親水性樹脂が冷媒に長期間暴露されることによる劣化に伴い、親水性樹脂の分解物が冷媒に溶出する可能性もある。そのため、樹脂被膜25bに用いる親水性樹脂には、適切な架橋剤を利用することで水溶性を抑制することが望ましい。架橋剤としては一般的なものが利用できるが、有機系の架橋剤としてはカルボジイミド等が本用途での耐水性を維持するうえで好ましい、あるいは、塩化ジルコニル等の金属系の架橋剤を用いることが、変形による剥離やクラック発生を抑制しやすく好ましい。
上記の二層膜からなる樹脂被膜25が損傷した場合においても、冷媒中に分散している樹脂粒子8の付着による樹脂被膜の補修作用によって確実な防食作用が得られる。
実施の形態3.
(親水性無機粒子膜)
前述の分解物の溶出を避けるために、親水性の樹脂被膜25bに換えて、シリカやアルミナ等の親水性無機粒子からなる層を使用することもできる。図12は、この実施の形態3を示すアルミニウムフィンの断面模式図である。疎水性の樹脂被膜35aの流路表面に、親水性の無機微粒子からなる親水層35bが形成され、実質的に疎水性の被膜と親水性の被膜の二重構造となっている。表面に親水性の無機微粒子の親水層35bを備えた樹脂被膜35を形成するには、樹脂を含まない状態で親水性の無機微粒子の粉体やスラリーを樹脂被膜35a上に塗布し、加熱することにより樹脂被膜35aに融着させる方法がある。このような場合の加熱は、前述の樹脂被膜5の加熱と同条件として問題はなく、樹脂被膜35aの加熱安定化と表面への親水性粒子の融着を同時に行うことができる。この方法により、親水性樹脂からの分解物の溶出の問題を生ずることなく、良好な熱交換効率を有しながら、熱交換器の腐食を最小限に抑制して冷却水の漏れを防ぐことができる。
また、疎水性の熱可塑性樹脂のエマルジョンや粉体に、親水性の無機微粒子を混合した塗布液を樹脂被膜35aに塗布することも可能である。流路内表面において、一部、疎水性の熱可塑性樹脂が露出するものの、主に無機微粒子からなる親水層35bを形成することができる。熱可塑性樹脂に対する親水性無機微粒子の混合量は、10質量%以上が望ましい。10質量%以下では、親水化の効果は十分ではない。一方、樹脂成分が微量であっても、最表面に親水性無機粒子が付着しておれば、樹脂被膜の親水化は達成できる。
親水層35bの厚さは2μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましい。この時の親水性被膜の厚さは、フィンカラー2a内面の平坦部において、被膜が湿潤した状態での平均厚さである。2μmを超えるような厚さの親水性被膜が存在すると、冷媒とアルミニウムフィン間の熱伝達の効率が悪くなるためである。また、親水層35bの膨潤や破壊が起こり易く、剥離や分解した成分が冷媒を汚染するリスクも高くなる。
上記の親水層35bを含む二層膜が損傷した場合においても、冷媒中に分散している樹脂粒子8の付着により、樹脂被膜35aの補修がなされることによって確実な防食作用が得られる。
以下に、実施例により本発明で得られる具体的な効果を示す。なお本発明は、これらの実施例に限定されるわけではない。フィンカラーでなくとも、アルミニウムが冷媒に接触する部位があれば、本願の作用、効果が得られることは言うまでも無い。
実施例1
厚さ0.3mmのアルミ板からなり、直径10mmの開口部、高さ2.5mmのフィンカラーを有するフィンを、200枚積層して圧着させることで、冷媒通路を有するアルミフィン積層体を形成した。圧着時の力がフィンカラー1個あたり2.5kgfの時、フィン間のピッチは1.8mmとなった。フィンカラーの割れや隙間は認められなかった。
変性ポリオレフィンの粉体(東京インキ株式会社製 A100)を2プロパノールの20質量%の分散液として冷却流路に流して流路内面に塗布し、乾燥した後、フィン積層体を200℃で20分加熱した。加熱後、冷媒流路の内面の平坦部には、約2μm程度の厚みの樹脂被膜が形成された。フィンカラー同士が重なる部分は樹脂が充填された状態となり、アルミフィン積層体は強固に固定された状態となった。
作製した熱交換器の耐蝕性を評価するため、冷媒流路内面を曲げた針金で擦ることで樹脂被膜に傷をつけた。この冷媒流路の両端に、接着剤を用いて塩化ビニルチューブを固定し、ポンプおよび水槽と接続することで水を循環できるようにした。水槽に、樹脂粒子としてエチレン−塩化ビニル共重合樹脂エマルジョン(住化ケムテックス製 SE−1010、最低造膜温度2℃、ガラス転移点0℃)を固形分0.5質量%添加した水を満たし、水温20℃で前記冷媒通路を循環させた。
7日間の循環の後、フィン積層体を切断して冷媒通路を観察したところ、針金で付けた傷部分は茶色への変色が認められたが、その箇所には樹脂が付着しており、腐食が拡がる状態は観察されなかった。
比較例1
実施例1における循環水に樹脂粒子を添加せず、代わりに水溶性のアルミニウム防食剤(キレスト株式会社製 キレスライトAL-2)を2.5質量%添加し、同様の評価を行った。傷部分は変色も無く、腐食は抑制されていたが、樹脂被膜の剥離が進行した。一部の剥離は、フィンカラー同士の接触部分に達し、わずかな水漏れの形跡が認められた。一般的な防食剤においては、腐食は抑制できるものの本発明の樹脂被膜の劣化は抑制できないことが判明した。
実施例2
実施例1のアルミニウムフィン積層体を用い、変性ポリオレフィンエマルジョン(ユニチカ SD1010)を冷媒流路に通して内面に塗布し、150℃で20分加熱した。冷媒流路の内面の平坦部には、約3μm程度の厚みの樹脂被膜が形成された。フィンカラー同士が重なる部分には、樹脂が充填された状態となり、アルミフィン積層体は強固に固定された状態となった。
実施例1と同様に冷媒通路の内壁面に傷を付け、水の循環装置を設定して水循環を行った。循環水には、ポリオレフィンのエマルジョン(住友精化株式会社製ザイクセン、ガラス転移点0℃以下)の固形分1.0質量%の水分散液を使用した。
7日間の循環の後、アルミフィン積層体を切断して冷媒流路を観察した。傷部分は茶色への変色が認められたが、傷部分に樹脂が付着しており腐食が拡がった様子は無かった。
比較例2
実施例2での水の循環において、樹脂粒子として塩化ビニルのエマルジョン(日信化学工業株式会社ビニブラン700、ガラス転移点70℃)を2.5質量%添加し、同様の評価を行った。傷部分には、少量の樹脂粒子が付着しているように見えたが、赤褐色に変色しており、樹脂被膜の剥離が進行していた。樹脂粒子は腐食部分に付着するが、相互に融着することが無く、樹脂膜を形成できないため樹脂被膜の劣化は抑制できないことが確認された。
実施例3
実施例2のアルミフィン積層体に変性ポリオレフィンからなる樹脂被膜を形成したものに、同じ変性ポリオレフィンエマルジョンとコロイダルシリカ(日産化学株式会社製 ST-50、平均粒子径 20nm)の混合物を塗布した。具体的には、変性ポリオレフィン0.5質量%、コロイダルシリカ1.5質量%の液を樹脂被膜上に塗布し、120℃で20分間乾燥した。断面の観察を行ったところ、コロイダルシリカを含む親水性被膜は約0.5μmの厚さであった。
実施例2の変性ポリオレフィンのみからなる樹脂被膜の冷媒通路に水を注いで排出した場合、樹脂被膜中には、水滴が付着する。一方、コロイダルシリカ混合物を塗布した冷媒通路に水を注いで排出した場合には、水滴は全く残留しなかった。親水性の被膜を形成することで、水の流れが良くなっていることを示しており、このことは熱交換器としての性能も向上することを示している。
実施例1と同様に冷媒通路に傷を付け、水の循環装置を設定して水循環を行った。循環水には、ポリオレフィンのエマルジョン(住友精化株式会社製 ザイクセン、ガラス転移点 0℃以下)の固形分1.0質量%の水分散液を使用した。
7日間の循環の後、フィン積層体を切断して冷媒通路を観察した。傷部分は、茶色への変色が認められたが、傷部分には樹脂が付着しており腐食が拡がった様子は見られなかった。また、水の流れについても変化は見られなかった。
比較例3
実施例3のアルミニウムフィン積層体へ形成する変性ポリオレフィンからなる樹脂被膜を省略し、同じ変性ポリオレフィンエマルジョンとコロイダルシリカ(日産化学株式会社製 ST−50、平均粒子径 20nm)の混合物のみを、実施例3と同様、直接にフィン積層体に塗布した。断面の観察から、コロイダルシリカを含む親水性被膜は、約0.6μmの厚さであった。
実施例3と同様に冷媒通路への傷付け、ポリオレフィンのエマルジョン(住友精化株式会社製 ザイクセン、ガラス転移点0℃以下)の固形分1.0質量%の水分散液を、循環水として使用した水循環を行った。
7日間の循環の後、アルミフィン積層体を切断し冷媒通路を観察したところ、傷部分には樹脂が付着していたが、樹脂被膜の剥離が、傷の周辺の他、樹脂被膜の各所に認められた。剥離部分ではアルミフィン表面が茶色く変色し、一部は錆が盛り上がっていた。親水性の高い樹脂だけを用いたため、水循環において樹脂被膜が剥離しやすく、十分な防食性が得られなかったと考えられる。樹脂被膜が剥離する部分では、アルミフィンと剥離した樹脂被膜の隙間に水が浸入することになるため、アルミニウム表面へ樹脂粒子が十分に拡散できず、樹脂粒子による防食作用が機能せず腐食が進んだと解釈することができる。
表1は、上記の実施例と比較例の条件を一覧表にしたものである。ここで、「流路被膜」は、二層の樹脂被膜や、無機層を備えた樹脂被膜などを総称するものである。
1 フィン
2 フィンカラー
2a フィンカラー(積層後)
3 開口部
4 冷媒通路
5, 25, 35 樹脂被膜
6 管状樹脂
7 欠損領域
8 樹脂粒子
9 イオン
10 付着した樹脂粒子
HE1, HE2, HE3 熱交換器
T1, T2 配管
P ポンプ
IE フィルター
100 熱交換システム

Claims (7)

  1. 熱交換器と前記熱交換器に接続された配管とを備え、
    冷媒が前記熱交換器および前記配管の中を流れて熱交換を行う熱交換システムであって、
    前記熱交換器は、
    複数のフィンと、
    アルミニウムを主成分とする金属製の冷媒流路と、
    前記冷媒流路の内壁を被覆する樹脂被膜と、
    を備え、
    前記冷媒は、水を主成分として、分散した樹脂粒子を含むものである、熱交換システム。
  2. 前記樹脂粒子はエマルジョンとして添加されている、請求項1に記載の熱交換システム。
  3. 前記樹脂粒子の粒径が0.02μm以上、3.0μm以下である、請求項1または2に記載の熱交換システム。
  4. 前記冷媒は酸化防止剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換システム。
  5. 前記配管において、冷媒に溶解しないキレート樹脂、イオン交換樹脂の少なくともいずれかを含むフィルターを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換システム。
  6. 前記樹脂被膜は親水性の被膜と疎水性の被膜とが積層されており、前記親水性の被膜が前記冷媒と接している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱交換システム。
  7. 前記複数のフィンはフィンカラーを有し、
    前記冷媒流路は前記フィンカラーを積層して形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱交換システム。
JP2015152082A 2015-07-31 2015-07-31 熱交換システム Active JP6372439B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015152082A JP6372439B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 熱交換システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015152082A JP6372439B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 熱交換システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017032198A true JP2017032198A (ja) 2017-02-09
JP6372439B2 JP6372439B2 (ja) 2018-08-15

Family

ID=57985850

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015152082A Active JP6372439B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 熱交換システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6372439B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108686394A (zh) * 2018-08-21 2018-10-23 河南卓立膜材料股份有限公司 一种废油墨处理装置
WO2021044760A1 (ja) * 2019-09-04 2021-03-11 東芝キヤリア株式会社 水熱交換器、水熱交換器の製造方法、および冷凍サイクル装置
JP2022057664A (ja) * 2020-09-30 2022-04-11 ダイキン工業株式会社 吸着熱交換器

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5891174A (ja) * 1981-11-21 1983-05-31 Seiwa Kogyo Kk 無機塩類ブライン用防食剤
JPS6115359B2 (ja) * 1978-02-28 1986-04-23 Nihon Radiator Co
JP2004085108A (ja) * 2002-08-28 2004-03-18 Keisuke Kasahara 熱媒の熱伝導促進方法とその熱媒製品
JP2010186647A (ja) * 2009-02-12 2010-08-26 Toyota Motor Corp 燃料電池の調温システム
JP2013139937A (ja) * 2011-12-28 2013-07-18 Daikin Industries Ltd 熱交換器
JP2013181578A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 樹脂被覆層及び配管の延命化処理方法
JP2014185838A (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Toyota Central R&D Labs Inc 冷却システム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6115359B2 (ja) * 1978-02-28 1986-04-23 Nihon Radiator Co
JPS5891174A (ja) * 1981-11-21 1983-05-31 Seiwa Kogyo Kk 無機塩類ブライン用防食剤
JP2004085108A (ja) * 2002-08-28 2004-03-18 Keisuke Kasahara 熱媒の熱伝導促進方法とその熱媒製品
JP2010186647A (ja) * 2009-02-12 2010-08-26 Toyota Motor Corp 燃料電池の調温システム
JP2013139937A (ja) * 2011-12-28 2013-07-18 Daikin Industries Ltd 熱交換器
JP2013181578A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 樹脂被覆層及び配管の延命化処理方法
JP2014185838A (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Toyota Central R&D Labs Inc 冷却システム

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108686394A (zh) * 2018-08-21 2018-10-23 河南卓立膜材料股份有限公司 一种废油墨处理装置
WO2021044760A1 (ja) * 2019-09-04 2021-03-11 東芝キヤリア株式会社 水熱交換器、水熱交換器の製造方法、および冷凍サイクル装置
JPWO2021044760A1 (ja) * 2019-09-04 2021-03-11
CN114144625A (zh) * 2019-09-04 2022-03-04 东芝开利株式会社 水热交换器、水热交换器的制造方法以及制冷循环装置
JP7280958B2 (ja) 2019-09-04 2023-05-24 東芝キヤリア株式会社 水熱交換器、水熱交換器の製造方法、および冷凍サイクル装置
JP2022057664A (ja) * 2020-09-30 2022-04-11 ダイキン工業株式会社 吸着熱交換器
JP7208540B2 (ja) 2020-09-30 2023-01-19 ダイキン工業株式会社 吸着熱交換器

Also Published As

Publication number Publication date
JP6372439B2 (ja) 2018-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101676667B (zh) 铝合金制热交换器及其制造方法
JP6114327B2 (ja) フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管及びフィン、並びにそれらを用いたフィン・アンド・チューブ型熱交換器
JP6372439B2 (ja) 熱交換システム
CN107003095B (zh) 换热器,铝合金和铝带的应用以及铝带的生产方法
JP7281866B2 (ja) フィンアンドチューブ型熱交換器及びその製造方法
JP5710946B2 (ja) 熱交換器用偏平管および熱交換器
JP2001167782A (ja) 燃料電池用循環水熱交換器の製造方法
JP5753355B2 (ja) フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管及びそれを用いたフィン・アンド・チューブ型熱交換器並びにその製造方法
JP6106530B2 (ja) アルミニウム押出形材製熱交換管外面の防食処理方法および熱交換器の製造方法
WO2000017409A1 (fr) Alliage d'aluminium sacrificiel de protection contre la corrosion pour echangeur de chaleur et materiau composite comportant cet alliage d'aluminium hautement resistant a la corrosion pour echangeur de chaleur, ainsi qu'echangeur de chaleur dote dudit materiau composite
KR20160130289A (ko) 다겹 클래드 브레이징 금속 시트
JP5129464B2 (ja) 冷蔵庫用熱交換器及びその製造方法
JP2017002341A (ja) クラッド材、パイプの製造方法、パイプおよびパイプを用いた熱交換器
JP2008284565A (ja) 耐塗膜剥離性に優れるアルミニウム合金ろう付用塗料、ろう付用アルミニウム合金板及びそれを用いた自動車熱交換器用アルミニウム合金部材、並びに自動車熱交換器
WO2017141943A1 (ja) 熱交換器
JP2015140457A (ja) 熱交換器
JP2015117876A (ja) フィン・アンド・チューブ型熱交換器
JP3383914B2 (ja) 熱交換器用アルミニウムフィン材
JPS583987A (ja) アルミニウム製熱交換器コアの製造方法
US10627127B2 (en) Air conditioner in which a flammable refrigerant flows
JP2019015492A (ja) 熱交換器
EP3438593A1 (en) Fin material for heat exchanger, and heat exchanger
JP4736847B2 (ja) 熱交換器およびその製造方法
JPH11325792A (ja) 熱交換器
JPH11304395A (ja) 熱交換器用部材、およびそれを用いた熱交換器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170928

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180613

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180702

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6372439

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250