JP2017031916A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小作用角時のバルブのリフト量を増大する。
【解決手段】吸気プライマリカムは、入力アームの揺動角速度が増大するクランク角領域(E12〜A1a)内に、第1区間S1及び第2区間S2をこの順に有し、第1区間S1と第2区間S2との境界に、境界点C1aを有する。入力アームの揺動角加速度αaは、第1区間S1における境界点C1aの直前の部分よりも、第2区間S2の境界点C1aの直後の部分の方が大きい。小作用角時には、境界点C1aが入力アームに作用するタイミングt3と、セカンダリカムが吸気バルブの正の加速度でのリフトを開始するリフト開始点C2が吸気バルブに作用するタイミングt3とが、略一致している。
【選択図】図21

Description

本発明は内燃機関の可変動弁装置に関し、特に、バルブの作用角を調整する機能を有する装置に関する。
内燃機関の運転状態に応じて、吸気バルブや排気バルブにおける作用角(すなわち、バルブが開いているクランク角の範囲)を可変とする可変動弁機構が知られている。例えば、特許文献1が開示する装置では、プライマリカムとロッカーアームとの間に仲介アセンブリを有し、仲介アセンブリは入力アームと出力アームとを有する。出力アームには、セカンダリカムが設けられている。コントロールシャフトを軸方向に移動させると、仲介アセンブリにおける入力アームと出力アームとの相対位置すなわち位相差が変化し、これによって、プライマリカムによるバルブリフトの開始位置が変化する。この位相差が大きければ、バルブリフトの開始位置が前進し、作用角が大きくなる。
このような仲介アセンブリを有する可変動弁機構では、作用角が小さいほど、プライマリカムによるバルブリフト開始位置が後退し、リフト量が小さくなる。
特開2007−231909号公報 特開2004−169575号公報
特許文献1に開示された装置では、コントロールシャフトとプライマリカムとを同時に軸方向に移動させられる機構を設けると共に、プライマリカムのカムプロフィールを、その軸方向に関して変化させている。この装置では、小作用角時の開弁タイミングを進角することができる。さらに、小作用角時の閉弁タイミングを進角する目的で、プライマリカムのベース円の径を軸方向に関して変化させ、小作用角時にベース円の径が縮小する構成も提案されている(特許文献1の図17)。しかしながら、装置の構造が複雑である。また、小作用角時にリフト量を増大させるための手段は提供されていない。
特許文献2の中で実施の形態2として開示された装置は、吸気カムのカムプロフィールのうち、大作用角時にのみバルブに作用する先行領域と、小作用角時にバルブに作用するノーズ近傍領域とで、傾斜角を異ならせ、先行領域よりもノーズ近傍領域の傾斜角が大きくされている。大作用角時には、仲介アセンブリにおける入力アームとセカンダリカムとの位相差が大きくされる結果、先行領域とノーズ近傍領域との両者がバルブに作用する。小作用角時には、仲介アセンブリにおける入力アームとセカンダリカムとの位相差が小さくされる結果、ノーズ近傍領域のみがバルブに作用する。
この構成によれば、小作用角時にバルブの開度が急峻に上昇させられるので、吸気カムのカムプロフィールの傾斜角が先行領域とノーズ近傍領域とで共通にされている構成、あるいは前者よりも後者が小さくされている構成に比較して、小作用角時のリフト量を大きくすることができる。しかしながら、大作用角領域と小作用角領域との境界が入力アームに作用するタイミングと、セカンダリカムがバルブに作用するタイミングとの関係は考慮されておらず、小作用角時のリフト量の増大に、なお改良の余地が残されている。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、吸気カムのカムプロフィールのうち先行領域とノーズ近傍領域とで傾斜角を異ならせている場合において、小作用角時のバルブのリフト量を更に増大することを目的とする。
本発明の第一の態様は、
カムシャフトに設けられたプライマリカムと、
前記プライマリカムの運動をバルブに伝達するように構成された仲介アセンブリと、を備えた内燃機関の可変動弁装置であって、
前記仲介アセンブリは、
前記プライマリカムに押されて揺動する入力アームと、
前記入力アームの揺動に基づき揺動する出力アームであって、バルブをリフトさせるセカンダリカムを備えた出力アームと、
前記入力アームと前記出力アームとの相対位置を、前記バルブの第1の作用角を提供する第1の相対位置と、当該第1の作用角よりも小さい第2の作用角を提供する第2の相対位置との間で調整するように構成された調整機構と、
を備え、
前記プライマリカムは、前記入力アームの揺動角速度が増大するクランク角領域内に、第1区間及び第2区間をこの順に有し、第1区間と第2区間との境界に境界点(C1a)を有し、前記入力アームの揺動角加速度は、前記第1区間における前記境界点(C1a)の直前の部分よりも、前記第2区間の前記境界点(C1a)の直後の部分の方が大きくなるように形成され、
前記相対位置が前記第2の相対位置にあるときには、前記プライマリカムの前記境界点(C1a)が前記入力アームに作用するタイミングと、前記セカンダリカムが前記バルブの正の加速度でのリフトを開始するリフト開始点(C2)が前記バルブに作用するタイミングとが、略一致していることを特徴とする。
この態様では、プライマリカムは、入力アームの揺動角速度が増大するクランク角領域内に、第1区間及び第2区間をこの順に有し、第1区間と第2区間との境界に境界点(C1a)を有する。入力アームの揺動角加速度は、第1区間における境界点(C1a)の直前の部分よりも、第2区間の境界点(C1a)の直後の部分の方が大きい。したがって、小作用角時にバルブの開度が急峻に上昇させられ、小作用角時のリフト量を増大することができる。
更に、この態様では、入力アームと出力アームとの相対位置が、第2の相対位置にあるとき(すなわち、小作用角時)には、プライマリカムの境界点(C1a)が入力アームに作用するタイミングと、セカンダリカムがバルブの正の加速度でのリフトを開始するリフト開始点(C2)が前記バルブに作用するタイミングとが、略一致している。したがって、前者のタイミングが後者のタイミングよりも早くされた構成に比して、バルブの加速度βa2のグラフ(図21)における当該タイミング以降の負の領域の面積βnを大きくできる。バルブの加速度βa2のグラフにおける負の領域の面積βnは、バルブの加速度βa2のグラフにおける正の部分の面積に常に等しい。したがって、負の領域の面積βnを大きくできることにより、小作用角時におけるバルブのリフト量を更に増大することができる。なお、この態様における「略一致」とは、一致している場合のほか、当該効果が実質的に達成される程度に両タイミングが一致点の近傍にある場合を含む。
本発明の別の態様は、
前記プライマリカムは、前記入力アームの揺動角速度のピーク点を実現する最大傾斜点(A1a)を有し、
前記セカンダリカムは、前記バルブを正の加速度でリフトさせる正加速度区間の後に、負の加速度でリフトさせる負加速度区間を有し、
前記相対位置が前記第1の相対位置にある場合及び前記第2の相対位置にある場合のいずれにおいても、前記プライマリカムの前記最大傾斜点(A1a)が前記入力アームに作用するタイミングと、前記セカンダリカムの前記正加速度区間の終端(A2)が前記バルブに作用するタイミングとが、略一致していることを特徴とする。
この態様では、入力アームと出力アームとの相対位置が、第1の相対位置にある場合(すなわち、大作用角時)及び前記第2の相対位置にある場合(すなわち、小作用角時)のいずれにおいても、プライマリカムの最大傾斜点(A1a)が入力アームに作用するタイミングと、セカンダリカムの正加速度区間の終端(A2)がバルブに作用するタイミングとが、略一致している。したがって、バルブの加速度のグラフ(図21)における当該タイミング以降の負の領域(βn)の面積を、小作用角時につき大作用角時と同様の面積まで大きくでき、その結果、小作用角時におけるバルブのリフト量を更に増大することができる。なお、この態様における「略一致」とは、一致している場合のほか、当該効果が実質的に達成される程度に両タイミングが一致点の近傍にある場合を含む。
本発明の実施形態の可変動弁装置が適用されるエンジンのシリンダヘッド周りの構造を示す拡大断面図である。 仲介アセンブリの内部構造を示す破断斜視図である。 入力アーム及び出力アームの内部構造を示す破断斜視図である。 仲介アセンブリの内部構造を示す断面図である。 カムシャフト及び仲介アセンブリの構造及び制御系を示す略図である。 実施形態における吸気プライマリカムを示す略図である。 実施形態における出力アーム及びセカンダリカムを示す略図である。 大作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムが入力アームをリフトしていない状態を示す略図である。 大作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムが入力アームのリフトを開始するときの状態を示す略図である。 大作用角時における可変動弁機構の動作のうち、セカンダリカムがロッカーアーム及び吸気バルブのリフトを開始するときの状態を示す略図である。 大作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムの最大傾斜点が、入力アームに作用するときの状態を示す略図である。 大作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムのノーズのピーク点が、入力アームに作用するときの状態を示す略図である。 大作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムの最大傾斜点が、入力アームに作用するときの状態を示す略図である。 小作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムが入力アームをリフトしていない状態を示す略図である。 小作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムが入力アームのリフトを開始するときの状態を示す略図である。 小作用角時における可変動弁機構の動作のうち、セカンダリカムがロッカーアーム及び吸気バルブのリフトを開始するときの状態を示す略図である。 小作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムの最大傾斜点が、入力アームに作用するときの状態を示す略図である。 小作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムのノーズのピーク点が、入力アームに作用するときの状態を示す略図である。 小作用角時における可変動弁機構の動作のうち、吸気プライマリカムの最大傾斜点が、入力アームに作用するときの状態を示す略図である。 小作用角時における可変動弁機構の動作のうち、セカンダリカムがロッカーアーム及び吸気バルブのリフトを終了するときの状態を示す略図である。 本発明の実施形態及び比較例についての、クランク角の変化に対する入力アーム及び吸気バルブの挙動を示すタイミングチャートである。 比較例における吸気プライマリカムを示す略図である。 比較例における出力アーム及びセカンダリカムを示す略図である。
本発明を車両用エンジンに適用した一実施形態につき、図面に従って説明する。
図1は、エンジン1におけるシリンダヘッド2周りの構造を示す拡大断面図である。エンジン1はガソリンを燃料とする内燃機関である。エンジン1においては、シリンダヘッド2、シリンダブロック3、及びピストン5によって、燃焼室6が画成されている。燃焼室6には、吸気通路7及び排気通路8が、各々二つに分岐した状態で接続されている(図1には一方のみ図示)。吸気通路7と燃焼室6との間は、吸気バルブ9の開閉動作によって連通及び遮断される。排気通路8と燃焼室6との間は、排気バルブ10の開閉動作によって連通及び遮断される。これら吸気バルブ9及び排気バルブ10は、それぞれ各気筒毎に二つずつ設けられている。
シリンダヘッド2には、吸気バルブ9及び排気バルブ10を駆動するための吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12が設けられている。これら吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12は、エンジン1のクランクシャフトからの回転伝達によって回転する。吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12には、それぞれ吸気プライマリカム11a及び排気プライマリカム12aが設けられている。これら吸気プライマリカム11a及び排気プライマリカム12aの回転によって、吸気バルブ9及び排気バルブ10が開閉動作する。
エンジン1には、吸気プライマリカム11aの運動を吸気バルブ9に伝達する仲介アセンブリ14が設けられている。この仲介アセンブリ14は、吸気バルブ9の作用角を可変とするものである。
仲介アセンブリ14は、入力アーム17と、出力アーム18とを備えている。入力アーム17は、回転する吸気プライマリカム11aにより押されて、吸気カムシャフト11と平行に延びるロッカーシャフト15及びコントロールシャフト16の軸線を中心に揺動する。出力アーム18は、入力アーム17の揺動に基づき、ロッカーシャフト15及びコントロールシャフト16の軸線を中心に揺動する。入力アーム17には、ロッカーシャフト15及びコントロールシャフト16と平行な軸線を有するローラ19が、回転可能に取り付けられている。出力アーム18は、ロッカーアーム21に作用するセカンダリカム18aを備えている。
ローラ19が吸気プライマリカム11aに押しつけられるように、入力アーム17がロストモーションダンパ20によって吸気プライマリカム11a側に付勢されている。出力アーム18のセカンダリカム18aは、その揺動時にロッカーアーム21に押しつけられ、ロッカーアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせる。
ロッカーアーム21の基端部は、ラッシュアジャスタ22によって支持され、ロッカーアーム21の先端部は、吸気バルブ9に接触している。ラッシュアジャスタ22は、例えば油圧により駆動される。ロッカーアーム21は、吸気バルブ9のバルブスプリング24によって出力アーム18側に付勢され、これにより、ロッカーアーム21の基端部と先端部との間に回転可能に支持されたローラ23が、出力アーム18に押しつけられている。したがって、吸気プライマリカム11aの回転に基づき入力アーム17及び出力アーム18が揺動すると、出力アーム18がロッカーアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせ、吸気バルブ9の開閉動作が行われる。
次に、仲介アセンブリ14における吸気バルブ9の作用角を可変とする構造について、図2〜図4を参照して説明する。
図2は、仲介アセンブリ14における入力アーム17及び出力アーム18の内部構造を示す破断斜視図である。仲介アセンブリ14は、入力アーム17及び出力アーム18の内側に配設された円筒状のスライダ26を備えている。このスライダ26の内部には、筒状に形成されたロッカーシャフト15が挿入されている。ロッカーシャフト15の内部には、コントロールシャフト16が挿入されている。
コントロールシャフト16が軸線方向に移動すると、コントロールシャフト16に対しピン51(図4参照)によって一体移動可能に繋がれたスライダ26が、ロッカーシャフト15の軸線方向に変位する。スライダ26の外壁において、長手方向中央部にはヘリカルスプライン27を有する入力ギヤ27aが固定され、長手方向両端部にはヘリカルスプライン29を有する出力ギヤ29aが固定されている。
他方、図3に示されるように、入力アーム17の内壁には、ヘリカルスプライン28を有する円環状の内歯ギヤ28aが形成されている。出力アーム18の内壁には、ヘリカルスプライン30を有する円環状の内歯ギヤ30aが形成されている。入力アーム17の内歯ギヤ28aは、スライダ26の入力ギヤ27a(図2)と噛み合わされている。出力アーム18の内歯ギヤ30aは、スライダ26の出力ギヤ29a(図2)と噛み合わされている。ヘリカルスプライン27,28とヘリカルスプライン29,30とは、互いに傾斜角が異なっており、例えば互いに歯すじの傾斜方向が逆となっている。
したがって、コントロールシャフト16の軸線方向への移動に基づき、スライダ26がロッカーシャフト15の軸線方向に変位すると、ヘリカルスプライン27,29とヘリカルスプライン28,30との噛み合いにより、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が変更される。このように、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が変更されることにより、吸気プライマリカム11aの回転によって入力アーム17及び出力アーム18が揺動したときの、吸気バルブ9の作用角が可変とされる。
具体的には、スライダ26を図2の矢印L方向に変位させるほど、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに接近する(すなわち、位相差が減少する)ように変更され、吸気バルブ9の作用角が小とされる。逆に、コントロールシャフト16を矢印H方向に変位させるほど、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに離間する(すなわち、位相差が増大する)ように変更され、吸気バルブ9の作用角が大とされる。
図4は、入力アーム17、出力アーム18、スライダ26及びロッカーシャフト15等の内部構造を示す断面図である。図に示されるように、仲介アセンブリ14の入力アーム17及び出力アーム18は、シリンダヘッド2に設けられた複数の立壁部45に挟まれている。仲介アセンブリ14のロッカーシャフト15及びコントロールシャフト16は、各立壁部45を貫通するとともに、入力アーム17及び出力アーム18をも貫通している。これら入力アーム17及び出力アーム18におけるロッカーシャフト15及びコントロールシャフト16の軸線方向についての変位は、上記立壁部45によって規制されている。
コントロールシャフト16には、コントロールシャフト16とスライダ26とを一体移動可能に繋ぐためのピン51が、径方向に挿入されている。ロッカーシャフト15におけるピン51に対応する位置には、軸線方向に延びるとともにピン51をロッカーシャフト15の内周面側から外周面側に貫通させるための長穴33が形成されている。この長穴33とピン51とは、上記軸線方向(図中の左右方向)についての相対移動のみ可能となっており、ロッカーシャフト15の周方向についての相対移動は不能となっている。
スライダ26の内周面におけるピン51に対応する位置には、周方向に延びてピン51の先端が挿入される溝34が形成されている。溝34内には、ブッシュ35が設けられ、ブッシュ35にはピン51の先端部分が挿入される挿入孔36が形成されている。ピン51の先端部分をブッシュ35の挿入孔36に挿入することで、スライダ26がピン51及びブッシュ35によって、コントロールシャフト16と一体移動可能に繋がれる。
したがって、コントロールシャフト16が軸線方向に移動すると、それに伴いピン51がロッカーシャフト15の長穴33に沿って移動する。その結果、ピン51がブッシュ35の外側面を介して溝34の内側面に押しつけられ、スライダ26がコントロールシャフト16の軸線方向に変位する。このスライダ26の変位を通じて、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が可変とされ、吸気プライマリカム11a(図1)の回転により入力アーム17及び出力アーム18が揺動したときの吸気バルブ9の作用角が可変とされる。
図5に示されるように、コントロールシャフト16は、直動アクチュエータ72に接続されている。コントロールシャフト16は、電子制御装置71による直動アクチュエータ72の駆動制御を通じて、その軸線方向に移動する。コントロールシャフト16、スライダ26、ヘリカルスプライン27,28,29,30、ピン51、及び直動アクチュエータ72は、入力アーム17と出力アーム18との相対位置を調整するための調整機構を構成する。電子制御装置71は、図示しないCPU、ROM、RAM、及びA/D変換器などを含んで構成される。電子制御装置71には、各種センサが接続されている。そのようなセンサは、エンジン1の回転速度を検出する回転速度センサ73や、エンジン1への出力要求を表すアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサ74を含む。電子制御装置71は、各種センサからの検出信号に基づき把握されるエンジン1の運転状態に基づき、吸気バルブ9の作用角を可変とするための直動アクチュエータ72の駆動制御を行う。例えば、吸気バルブ9の作用角を大きくすることにより、高負荷運転時の吸入空気量に関する要求を満たすことができる。また、吸気バルブ9の作用角を小さくすることにより、低負荷運転時(例えばアイドル運転時)のポンピングロスを低減することができる。
図6に示されるとおり、吸気プライマリカム11aは、カムシャフト11が定速度で回転した場合に入力アーム17の揺動角速度のピーク点を実現する最大傾斜点A1aを有する。
また、吸気プライマリカム11aは、入力アーム17の揺動角速度が増大するクランク角領域内(すなわち、入力アーム17をリフトしないベース円区間E1の終端E12から、最大傾斜点A1aまでの領域内)に、第1区間S1及び第2区間S2をこの順に有する。第1区間S1と第2区間S2との境界には、境界点C1aが設けられている。
吸気プライマリカム11aは、更に、入力アーム17の揺動角度が減少する領域に、最大傾斜点A1b、及び境界点C1bを有する。
図21に従って後述するとおり、吸気プライマリカム11aによってリフトされる入力アーム17の揺動角加速度αaは、第1区間S1における境界点C1aの直前の部分よりも、第2区間S2における境界点C1aの直後の部分の方が大きい。これによって、入力アーム17の揺動角速度αvは、境界点C1aの前と後とで明瞭に変化し、第2区間S2における境界点C1aの直後の部分で急増する。境界点C1a,C1bは、いずれもその前と後との間で揺動角加速度αa及び揺動角速度αvが変化するものであれば良く、カム動作の円滑性や耐久性を考慮した設計上の丸みを有していても良い。
図7に示されるとおり、出力アーム18のセカンダリカム18aは、ベース円区間E2と、正加速度区間S3と、負加速度区間S4とを、この順に有する。出力アーム18が定速度で回転した場合に、ベース円区間E2はロッカーアーム21をリフトせず、正加速度区間S3は吸気バルブ9を正の加速度でリフトさせ、負加速度区間S4は吸気バルブ9を負の加速度でリフトさせる。正加速度区間S3は、その始端であるリフト開始点C2と、その終端である終端A2とを有する。正加速度区間S3は、終端A2において、負加速度区間S4に接続している。
以上のとおり構成された実施形態の動作について説明する。本明細書では、理解を容易にするために、「大作用角」及び「小作用角」の表現を用いる。「大作用角」及び「小作用角」の表現はいずれも相対的なものであり、本発明における「小作用角」は「大作用角」よりも小さい作用角を意味するにすぎない。しかしながら、「小作用角」及び「大作用角」のうち少なくとも一方が、ある可変動弁装置で実現し得る最小あるいは最大の作用角を示すものであっても良い。
図8ないし図13は、大作用角時の可変動弁機構の動作を示す。図8は、吸気プライマリカム11aが入力アーム17をリフトしていない状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、吸気プライマリカム11aのベース円区間E1内にある。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、セカンダリカム18aのベース円区間E2内にある。吸気プライマリカム11aは図8中時計方向に回転して、図9の状態に移行する。
図9は、吸気プライマリカム11aが入力アーム17のリフトを開始するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、ベース円区間E1の終端E12と一致している。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、依然としてセカンダリカム18aのベース円区間E2内にある。したがって、ロッカーアーム21及び吸気バルブ9はリフトされない。吸気プライマリカム11aは更に回転して、図10の状態に移行する。
図10は、セカンダリカム18aがロッカーアーム21及び吸気バルブ9のリフトを開始するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、ベース円区間E1の終端E12と境界点C1aとの間にある。吸気プライマリカム11aによる入力アーム17のリフトによって、入力アーム17及び出力アーム18が図中時計回りに揺動する。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、ベース円区間E2の終端部、すなわちリフト開始点C2と一致している。したがって、ロッカーアーム21及び吸気バルブ9はリフトを開始する。吸気プライマリカム11aは更に回転して、図11の状態に移行する。
図11は、吸気プライマリカム11aの最大傾斜点A1aが、入力アーム17に作用するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、最大傾斜点A1aと一致している。最大傾斜点A1aは、入力アーム17の揺動角速度のピーク点を実現する。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、正加速度区間S3の終端A2と一致している。したがって、ロッカーアーム21及び吸気バルブ9のリフトは続いているが、それらの加速度はゼロとなっている。吸気プライマリカム11aは更に回転して、図12の状態に移行する。
図12は、吸気プライマリカム11aのノーズのピーク点が、入力アーム17に作用するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、吸気プライマリカム11aのノーズのピーク点と一致している。したがって、このときに吸気バルブ9のリフト量が最大となる。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、負加速度区間S4の途中にある。吸気プライマリカム11aは更に回転して、図13の状態に移行する。
図13は、吸気プライマリカム11aの最大傾斜点A1bが、入力アーム17に作用するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、最大傾斜点A1bと一致している。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、正加速度区間S3の終端A2と一致している。なお、バルブリフトが終了するとき(すなわち、セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32が、リフト開始点C2と一致するとき)には、吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、ベース円区間E1の始端E12の近傍に位置することになる。
図14ないし図20は、小作用角時の動作を示す。図14は、吸気プライマリカム11aが入力アーム17をリフトしていない状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、吸気プライマリカム11aのベース円区間E1内にある。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、セカンダリカム18aのベース円区間E2内にある。吸気プライマリカム11aは図14中時計方向に回転して、図15の状態に移行する。
図15は、吸気プライマリカム11aが入力アーム17のリフトを開始するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、ベース円区間E1の終端E12と一致している。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、依然としてセカンダリカム18aのベース円区間E2内にある。したがって、ロッカーアーム21及び吸気バルブ9はリフトされない。吸気プライマリカム11aは更に回転して、図16の状態に移行する。
図16は、セカンダリカム18aがロッカーアーム21及び吸気バルブ9のリフトを開始するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、境界点C1aと一致している。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、ベース円区間E2の終端部、すなわちリフト開始点C2と一致している。したがって、ロッカーアーム21及び吸気バルブ9はリフトを開始する。このように、小作用角時には、吸気プライマリカム11aの境界点C1aが入力アーム17に作用するタイミングt3と、セカンダリカム18aが吸気バルブ9の正の加速度でのリフトを開始するリフト開始点C2が吸気バルブ9に作用するタイミングt3とが、一致している。この点が大作用角時(図10)との顕著な相違である。吸気プライマリカム11aは更に回転して、図17の状態に移行する。
図17は、吸気プライマリカム11aの最大傾斜点A1aが、入力アーム17に作用するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、最大傾斜点A1aと一致している。最大傾斜点A1aは、入力アーム17の揺動角速度のピーク点を実現する。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、正加速度区間S3の終端A2と一致している。この点は、大作用角時(図11)と同様である。吸気プライマリカム11aは更に回転して、図18の状態に移行する。
図18は、吸気プライマリカム11aのノーズのピーク点が、入力アーム17に作用するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、吸気プライマリカム11aのノーズのピーク点と一致している。したがって、このときに吸気バルブ9のリフト量が最大となる。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、負加速度区間S4の途中にある。吸気プライマリカム11aは更に回転して、図19の状態に移行する。
図19は、吸気プライマリカム11aの最大傾斜点A1bが、入力アーム17に作用するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、最大傾斜点A1bと一致している。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、正加速度区間S3の終端A2と一致している。この点は、大作用角時(図13)と同様である。
図20は、吸気プライマリカム11aの境界点C1bが、入力アーム17に作用するときの状態を示す。吸気プライマリカム11aと入力アーム17との接点31は、境界点C1bと一致している。セカンダリカム18aとロッカーアーム21との接点32は、ベース円区間E2の終端部、すなわちリフト開始点C20と一致している。したがって、この時点で、セカンダリカム18aがロッカーアーム21及び吸気バルブ9のリフトを終了する。このように、小作用角時には、吸気プライマリカム11aの境界点C1bが入力アーム17に作用するタイミングと、セカンダリカム18aが吸気バルブ9のリフトを終了するリフト開始点C2が吸気バルブ9に作用するタイミングとが、一致することになる。
図21は、クランク角の変化に対する入力アーム17及び吸気バルブ9の挙動を示すタイミングチャートである。図21のタイミングチャートのうち「入力アーム揺動」は、入力アーム17の挙動、特に揺動の角度α、角速度αv、及び角加速度αaを示している。横軸はクランク角である。図に示されるように、吸気カムシャフト11が定速度で回転すると、入力アーム17の揺動角度αは、吸気バルブ9のリフト量が最大となる時点tmaxにおいて最大となる。入力アーム17の揺動角速度αvは、最大傾斜点A1aが入力アームに作用する時点t4で最大となる(このときの状態は大作用角時につき図11、小作用角時につき図17に示されている)。
他方、入力アーム17の揺動角速度αvは、境界点C1aの前と後とで明瞭に変化し、第2区間S2における境界点C1aの直後の部分で急増する。入力アーム17の揺動角加速度αaは、第1区間S1における境界点C1aの直前の部分よりも、第2区間S2における境界点C1aの直後の部分の方が大きい。境界点C1aが入力アーム17に作用する時点t3より前では、入力アーム17の揺動角加速度αaは平坦すなわち安定である(すなわち、時点t1〜t3にわたり一定の値a1で推移する)。これとは対照的に、境界点C1aが入力アーム17に作用する時点t3より後では、入力アーム17の揺動角加速度αaは、a1よりも大きい値へと急峻に増大する。
図21のタイミングチャートのうち「バルブ加速度」は、吸気バルブ9の挙動、特に、吸気バルブ9の大作用角時の加速度βa1、及び小作用角時の加速度βa2を示している。横軸はクランク角である。図に示されるように、大作用角時の加速度βa1は、その立ち上がり点t2から正の値をとり、次に時点t4でゼロとなり、その後、吸気バルブ9のリフト量が最大となる時点tmaxに至るまで、負の値をとり続ける。大作用角時の加速度βa1がゼロとなる時点t4は、最大傾斜点A1aが入力アーム17に作用する時点t4と等しくされている。
小作用角時の加速度βa2は、立ち上がり点t3から正の値をとり、次に時点t4でゼロとなり、その後、吸気バルブ9のリフト量が最大となる時点tmaxに至るまで、負の値をとり続ける。小作用角時の加速度βa2の立ち上がり点t3は、正加速度区間S3の始端であるリフト開始点C2が吸気バルブ9に作用するタイミングである(図16)。立ち上がり点t3は、上述した境界点C1aが入力アーム17に作用する時点t3と等しくされている。
小作用角時の加速度βa2がゼロとなる時点t4は、正加速度区間S3の終端A2が吸気バルブ9に作用するタイミングである(図17)。この時点t4は、最大傾斜点A1aが入力アーム17に作用する時点t4と等しくされている。
以上のとおり構成された本実施形態では、吸気プライマリカム11aは、入力アーム17の揺動角速度が増大するクランク角領域(E12〜A1a)内に、第1区間S1及び第2区間S2をこの順に有し、第1区間S1と第2区間S2との境界に、境界点C1aを有する。吸気プライマリカム11aは、入力アーム17の揺動角加速度αaが、第1区間S1における境界点C1aの直前の部分よりも、第2区間S2における境界点C1aの直後の部分の方が大きくなるように形成されている。その結果、小作用角時の加速度βa2のピーク点は、大作用角時の加速度βa1のピーク点よりも、顕著に大きくなる(βdif1)。したがって、小作用角時に吸気バルブ9の開度が急峻に上昇させられ、小作用角時のリフト量を増大することができる。
更に、本実施形態では、入力アーム17と出力アーム18との相対位置すなわち位相差が、第2の相対位置にあるとき(すなわち、小作用角時)には、吸気プライマリカム11aの境界点C1aが入力アーム17に作用するタイミングt3と、セカンダリカム18aが吸気バルブ9の正の加速度でのリフトを開始するリフト開始点C2が吸気バルブ9に作用するタイミングt3とが、一致している。したがって、前者のタイミングが後者のタイミングよりも早くされた構成に比して、吸気バルブ9の加速度βa2のグラフ(図21)における当該タイミング以降の負の領域βnの面積を大きくできる。加速度βa2のグラフにおける負の領域βnの面積は、吸気バルブ9の加速度βa2のグラフにおける正の部分の面積に常に等しい。吸気バルブ9の加速度βa2を2階積分したものが、吸気バルブ9のリフト量に相当する。したがって、負の領域βnの面積を大きくできることにより、小作用角時における吸気バルブ9のリフト量を更に増大することができる。図21の「リフト量」のグラフに示されるように、本実施形態における大作用角時のリフト量はL1、小作用角時のリフト量はL2である。
なお、本発明では、小作用角時において、吸気プライマリカム11aの境界点C1aが入力アーム17に作用するタイミングt3と、セカンダリカム18aが吸気バルブ9の正の加速度でのリフトを開始するリフト開始点C2が吸気バルブ9に作用するタイミングt3とが、「略一致」、すなわち、当該効果が実質的に達成される程度に両タイミングが一致点の近傍にあっても良く、その限りにおいて当該効果を実現することができる。
更に、本実施形態では、入力アーム17と出力アーム18との相対位置が、第1の相対位置にある場合(すなわち、大作用角時)及び前記第2の相対位置にある場合(すなわち、小作用角時)のいずれにおいても、プライマリカムの最大傾斜点(A1a)が入力アームに作用するタイミングと、セカンダリカムの正加速度区間の終端(A2)がバルブに作用するタイミングとが、一致している。したがって、吸気バルブ9の加速度のグラフ(図21)における当該タイミング以降の負の領域(βn)の面積を、小作用角時につき大作用角時と同様の面積まで大きくでき、その結果、小作用角時におけるバルブのリフト量を更に増大することができる。
なお、本発明では、プライマリカムの最大傾斜点(A1a)が入力アームに作用するタイミングと、セカンダリカムの正加速度区間の終端(A2)がバルブに作用するタイミングとが、「略一致」、すなわち、当該効果が実質的に達成される程度に両タイミングが一致点の近傍にあっても良く、その限りにおいて当該効果を実現することができる。
図22及び図23は、比較例の可変動弁機構における吸気プライマリカム61a及び出力アーム68を示す。ここにいう「比較例」は、それが公知であることを意味しない。図22に示される比較例の吸気プライマリカム61aは、入力アーム17の揺動角速度のピーク点を実現する最大傾斜点A3aを有する。吸気プライマリカム61aは、入力アーム17をリフトしないベース円区間E3を有する。ベース円区間E3の終端E32から、最大傾斜点A3aまでの領域、すなわち、入力アーム17の揺動角速度が増大するクランク角領域内には、揺動角加速度αaが上昇する領域が1つのみ存在する。すなわち、比較例の吸気プライマリカム61aは、境界点C1aを有せず、終端E32から最大傾斜点A3aまでの領域において、入力アーム17の揺動角速度は単調に増加する。
図23に示される比較例の出力アーム68は、セカンダリカム68aを有する。セカンダリカム68aは、ベース円区間E4と、正加速度区間S5と、負加速度区間S6とを、この順に有する。出力アーム68が定速度で回転した場合に、ベース円区間E4は、ロッカーアーム21をリフトせず、正加速度区間S5は吸気バルブ9を正の加速度でリフトさせ、負加速度区間S6は吸気バルブ9を負の加速度でリフトさせる。正加速度区間S5は、その始端であるリフト開始点C4と、その終端である終端A4とを有する。正加速度区間S5は、終端A4において、負加速度区間S6に接続している。
図21における右半分の領域は、この比較例における入力アーム17と吸気バルブ9との挙動を示す。図に示されるように、吸気カムシャフト11が定速度で回転すると、入力アーム17の揺動角度αは、吸気バルブ9のリフト量が最大となる時点tmaxにおいて最大となる。入力アーム17の揺動角速度αvは、最大傾斜点A1aが入力アームに作用する時点t14で最大となる。
他方、入力アーム17の揺動角速度αvは、ベース円区間E3の終端E32に対応する立ち上がり点t10から、最大傾斜点A3aに対応するピーク点までの領域において、単調に増加する。入力アーム17の揺動角加速度αaは、最大傾斜点A3aが入力アーム17に作用する時点t14で0となり、その後は負の領域をとる。
図21では更に、「バルブ加速度」のグラフにおいて、比較例における吸気バルブ9の大作用角時の加速度βa3、及び小作用角時の加速度βa4を示している。大作用角時の加速度βa3は、その立ち上がり点t12から正の値をとり、次に時点t14でゼロとなり、その後、吸気バルブ9のリフト量が最大となる時点tmaxに至るまで、負の値をとり続ける。大作用角時の加速度βa1がゼロとなる時点t4は、最大傾斜点A3aが入力アームに作用する時点t14と等しくされている。
小作用角時の加速度βa4の立ち上がり点t13は、正加速度区間S5の始端であるリフト開始点C4(図23)が吸気バルブ9に作用するタイミングである。小作用角時の加速度βa4は、立ち上がり点t13から正の値をとり、次に、時点t14よりも遅い時点t15でゼロとなり、その後、吸気バルブ9のリフト量が最大となる時点tmaxに至るまで、負の値をとり続ける。
この比較例の可変動弁機構では、吸気プライマリカム61aに、境界点C1aが設けられておらず、小作用角時の吸気バルブ9の開度の急峻な上昇は行われない。その結果、小作用角時の加速度βa2のピーク点は、大作用角時の加速度βa1のピーク点と、ほとんど相違しない(βdif2)。
そして、比較例の可変動弁機構では、小作用角時の加速度βa4が、大作用角時の加速度βa3と同時(時点t14)ではなく、それよりも遅い時点t15でゼロとなる。この点において、比較例は上記本発明の実施形態と顕著に相違する。その結果、比較例の可変動弁機構では、吸気バルブ9の加速度βa4のグラフ(図21)における当該時点t15以降の負の領域βn0の面積が、大作用角時の時点t14以降の負の領域の面積よりも、顕著に小さくなる。加速度βa4のグラフにおける当該負の領域βn0の面積は、吸気バルブ9の加速度βa4のグラフにおける正の部分の面積に常に等しい。吸気バルブ9の加速度βa4を2階積分したものが、吸気バルブ9のリフト量に相当する。したがって、負の領域βn0の面積が小さいことにより、小作用角時における吸気バルブ9のリフト量は、本発明の実施形態よりも小さくなる。
図21の「リフト量」のグラフに示されるように、比較例における大作用角時のリフト量はL3、小作用角時のリフト量はL4である。本発明の実施形態におけるリフト量L1,L2との対比から明らかなとおり、比較例の大作用角時のリフト量L3は本発明の実施形態における大作用角時のリフト量L1と等しいが、比較例の小作用角時のリフト量L4は、本発明の実施形態における小作用角時のリフト量L2よりも顕著に小さい。すなわち、本発明の実施形態では、小作用角時のリフト量L2を、比較例に比べて顕著に大きくすることができる(Ldif)。
圧縮比よりも膨張比を高くすることによって熱効率を向上し燃費を改善するアトキンソンサイクルを実現するために、吸気バルブの閉じるタイミングを下死点よりも遅らせるミラーサイクル機関が実用化されている。ミラーサイクル機関において、吸気バルブの遅閉じを実現するために、大作用角を利用することができる。しかし、このような目的で大作用角を利用する際に、吸気バルブのリフト量が大きくなることは、バルブスプリング反力に由来する機械損失が増大することから好ましくない。他方、大作用角時の吸気バルブのリフト量を抑制すると、小作用角時のリフト量が不足し、小作用角時の性能を確保できない。また、小作用角時の性能を確保するためには、大作用角時のリフト量が過大となって、燃焼室周りの設計(例えば、吸気バルブとの干渉を防ぐためのピストン頂面のバルブリセスの寸法)を大型化することが必要になってしまう。これに対し、上記実施形態では、小作用角時のリフト量L2を顕著に大きくできるので、小作用角時の性能を確保しながら、エンジンの大型化を抑制することができる。
本発明は上述した態様のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。したがって本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
例えば、上記実施形態では、境界点C1aが入力アーム17に作用する時点t3(図21参照)より前では、入力アーム17の揺動角加速度αaは平坦すなわち安定である(すなわち、時点t1〜t3にわたり一定の値a1で推移する)。しかしながら、本発明では、境界点C1aは、その前よりも後のほうが揺動角加速度αa及び揺動角速度αvが大となるものであれば良い。例えば、境界点C1aが入力アーム17に作用する時点t3(図21参照)より前において、入力アーム17の揺動角加速度αaが減少していても良く、また増大していても良い。
可変動弁装置は、上記実施形態におけるカムシャフト11の位相を変化させるためのバルブタイミング可変機構を更に備えても良い。そのようなバルブタイミング可変機構は、例えば、ドリブンギヤに固定された油圧室と、カムシャフトの端部に固定されたベーン部とを有し、ベーン部を油圧室中に回転可能に保持したものである。ベーン部によって形成された進角室および遅角室に油圧を選択的に作用させることで、ベーン部を回転させて、カムシャフトの位相を連続的に可変させることができる。このようなバルブタイミング可変機構は周知であり、その詳細な構成は、例えば特開2010−203372号公報に開示されているものと同様とすることができる。
本発明に係る可変動弁装置を排気バルブにつき用いても良い。上記実施形態では本発明をガソリン内燃機関に適用したが、本発明はディーゼルエンジンや気体燃料エンジンなど、ガソリン以外の燃料を用いる内燃機関について適用することも可能であって、かかる構成も本発明の範疇に属するものである。
9 吸気バルブ
10 排気バルブ
11 吸気カムシャフト
11a 吸気プライマリカム
14 仲介アセンブリ
15 ロッカーシャフト
16 コントロールシャフト
17 入力アーム
18 セカンダリカム
21 ロッカーアーム
71 電子制御装置
72 直動アクチュエータ

Claims (2)

  1. カムシャフトに設けられたプライマリカムと、
    前記プライマリカムの運動をバルブに伝達するように構成された仲介アセンブリと、を備えた内燃機関の可変動弁装置であって、
    前記仲介アセンブリは、
    前記プライマリカムに押されて揺動する入力アームと、
    前記入力アームの揺動に基づき揺動する出力アームであって、バルブをリフトさせるセカンダリカムを備えた出力アームと、
    前記入力アームと前記出力アームとの相対位置を、前記バルブの第1の作用角を提供する第1の相対位置と、当該第1の作用角よりも小さい第2の作用角を提供する第2の相対位置との間で調整するように構成された調整機構と、
    を備え、
    前記プライマリカムは、前記入力アームの揺動角速度が増大するクランク角領域内に、第1区間及び第2区間をこの順に有し、第1区間と第2区間との境界に境界点(C1a)を有し、前記入力アームの揺動角加速度は、前記第1区間における前記境界点(C1a)の直前の部分よりも、前記第2区間の前記境界点(C1a)の直後の部分の方が大きくなるように形成され、
    前記相対位置が前記第2の相対位置にあるときには、前記プライマリカムの前記境界点(C1a)が前記入力アームに作用するタイミングと、前記セカンダリカムが前記バルブの正の加速度でのリフトを開始するリフト開始点(C2)が前記バルブに作用するタイミングとが、略一致していることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
    前記プライマリカムは、前記入力アームの揺動角速度のピーク点を実現する最大傾斜点(A1a)を有し、
    前記セカンダリカムは、前記バルブを正の加速度でリフトさせる正加速度区間の後に、負の加速度でリフトさせる負加速度区間を有し、
    前記相対位置が前記第1の相対位置にある場合及び前記第2の相対位置にある場合のいずれにおいても、前記プライマリカムの前記最大傾斜点(A1a)が前記入力アームに作用するタイミングと、前記セカンダリカムの前記正加速度区間の終端(A2)が前記バルブに作用するタイミングとが、略一致していることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
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