以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<<1.第1の実施の形態>>
<1−1.内燃機関の構成>
まず、第1の実施の形態にかかる内燃機関のノック検出装置が適用される内燃機関の全体構成の一例について説明する。図1及び図2は、内燃機関100の構成例を概略的に示す模式図である。図1は、水平対向型の内燃機関100の構成を示す説明図である。図1に示す内燃機関100において、気筒♯1,♯2が車両の前方に位置する。図2は、気筒♯1の構成を示す説明図であって、図1に示された気筒♯1を模式的に示した断面図である。本実施形態で例示する内燃機関100は、クランクシャフト115の回転に伴ってクランクアングルが180度ごとに等間隔で順次に燃焼を生じる4気筒の内燃機関100である。
なお、本明細書において、「等間隔で燃焼を生じる」という場合、1度のずれもなく所定のクランクアングルごとに燃焼を生じることのみを意味するのではなく、進角制御等によって、吸気タイミングあるいは排気タイミングが調節され、燃焼タイミングが制御される場合も含む。
かかる内燃機関100は、シリンダブロック101a、シリンダヘッド101bR,101bL、ピストン104、コネクティングロッド106、点火プラグ108、吸気弁110a、排気弁110b、カム機構111及びクランクシャフト115を備える。シリンダブロック101aには、複数の気筒♯1,♯2,♯3,♯4が設けられる。図1の例では、4つの気筒♯1,♯2,♯3,♯4がシリンダブロック101aに設けられている。このうち、2つの気筒♯1,♯3が右バンクbk_Rの気筒群を構成し、残りの2つの気筒♯2,♯4が左バンクbk_Lの気筒群を構成する。
シリンダヘッド101bR,101bLは、右バンクbk_R及び左バンクbk_Lそれぞれにおいて、気筒♯1,♯3(♯2,♯4)の軸方向の両端部のうち、クランクシャフト115側とは反対側の端部を閉じるように設けられる。各気筒♯1,♯2,♯3,♯4にはそれぞれピストン104が進退移動可能に保持されている。シリンダヘッド101bR,101bL、気筒♯1,♯2,♯3,♯4及びピストン104によって燃焼室Cが画成される。ピストン104は、燃焼室C内での燃料の燃焼によって直線往復運動を行う。当該直線往復運動は、コネクティングロッド106を介してクランクシャフト115に回転運動として伝達される。
シリンダヘッド101bR,101bLには、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4ごとに、吸気弁110a及び排気弁110bが備えられる。吸気弁110a及び排気弁110bは、カム機構111によって開閉動作が行われる。吸気弁110aは、吸気通路130と燃焼室Cとの間の吸気ポート132を開閉する。吸気弁110aの開弁によって、吸気ポート132を介して各燃焼室Cに外部の新気が取り込まれる。排気弁110bは、排気通路140と燃焼室Cとの間の排気ポート142を開閉する。排気弁110bの開弁によって、排気ポート142を介して燃焼後のガスが各燃焼室Cから排出される。
カム機構111は、カムシャフト112と、当該カムシャフト112に固定されるカム114とを備える。カムシャフト112は、内燃機関のクランクシャフト115に図示しないギヤを介して連結され、クランクシャフト115の回転に伴って回転する。吸気弁110a及び排気弁110bは、図示しない復帰用バネを備える。カムシャフト112の回転に伴ってカム114が回転し、カム114のカム山が直接的又は間接的に吸気弁110a及び排気弁110bを押し込むことによって吸気弁110a及び排気弁110bが開かれる。
図1に示した内燃機関100では、カム114と吸気弁110a及び排気弁110bとの間にロッカーアーム30が備えられ、吸気弁110a及び排気弁110bはロッカーアーム30を介してカム114によって押し込まれる。また、吸気弁110a及び排気弁110bは、カム114による吸気弁110a及び排気弁110bの押し込みから解放されると、復帰用バネによって元の位置に戻される。
各気筒♯1,♯2,♯3,♯4に備えられる吸気弁110a及び排気弁110bの数は適宜設定することができる。本実施形態では、気筒♯1,♯2,♯3,♯4ごとに、吸気弁110a及び排気弁110bが2つずつ備えられており、それぞれの吸気弁110a及び排気弁110bが吸気ポート132あるいは排気ポート142を開閉する。図1中、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4には、吸気弁110a又は排気弁110bの組が示されている。また、図2では、吸気弁110a及び排気弁110bがそれぞれ1つ示されているが、吸気弁110a及び排気弁110bはそれぞれ紙面の手前側あるいは奥側にさらに1つずつ備えられている。
なお、本明細書において、吸気弁110a(排気弁110b)側のシリンダブロック101aと言う場合、図2に示すように、シリンダブロック101aにおける、吸気弁110a(排気弁110b)が設けられている側の部分を意味する。
各気筒♯1,♯2,♯3,♯4には、燃焼室Cに臨むように燃料噴射弁150が備えられる。燃料噴射弁150は、シリンダブロック101aの壁面に固定される。かかる燃料噴射弁150は、制御装置200によって駆動制御され、主として吸気行程において燃焼室C内に燃料を噴射する。これにより、燃焼室C内に吸気と燃料との混合気が形成される。なお、燃料噴射弁150は、燃焼室C内に燃料を直接噴射する形式のものに限られない。燃料噴射弁150が吸気通路130に備えられ、あらかじめ形成された混合気が吸気ポート132から燃焼室Cに導入されてもよい。
シリンダヘッド101bR,101bLには、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4の燃焼室Cに臨むように、点火プラグ108が設けられている。点火プラグ108は、制御装置200によって駆動制御され、各燃焼室C内に形成された混合気に点火する。これにより、燃焼室C内で燃焼を生じ、ピストン104が押し下げられて、クランクシャフト115が回転する。なお、本明細書において、ピストン104の上昇とは、ピストン104が燃焼室C側に移動することをいい、ピストン104の下降とは、ピストン104がクランクシャフト115側に移動することをいう。
クランクシャフト115は、クランクピン116、クランクジャーナル118及びこれらと連結されるクランクアーム120を備える。クランクピン116はコネクティングロッド106と連結される。ピストン104の直線往復運動によってクランクアーム120が回転し、クランクアーム120の回転によってクランクジャーナル118が回転する。クランクシャフト115は、図示しない駆動伝達装置に連結され、内燃機関100の出力トルクが駆動伝達装置に伝達される。
内燃機関100は、クランクシャフト115の回転位相(クランクアングル)を検出する図示しないクランク角センサを備える。クランク角センサのセンサ信号は、制御装置200に送信される。また、図2に示した気筒♯1には、第1のノックセンサ10Rが備えられている。第1のノックセンサ10Rのセンサ信号は、制御装置200に送信される。ノックセンサの設置位置については、後で詳しく説明する。
<1−2.ノック検出装置の概略>
次に、内燃機関100のノック検出装置の構成の概略について説明する。図3は、ノック検出装置250の一例を機能的なブロック構成で示した図である。ノック検出装置250は、第1のノックセンサ10Rと、第2のノックセンサ10Lと、第1のノックセンサ10R及び第2のノックセンサ10Lのセンサ信号を読み取って、ノッキングの有無の判定を行う制御装置200とを備える。本実施形態では、内燃機関100の制御装置200が、請求項に記載のノック判定装置に相当する。
第1のノックセンサ10Rは、右バンクbk_Rの気筒群を成す気筒♯1,♯3のノッキングを検出するために用いられ、シリンダブロック101aのうち、2つの気筒♯1,♯3のいずれかの位置に設置される。また、第2のノックセンサ10Lは、左バンクbk_Lの気筒群を成す気筒♯2,♯4のノッキングを検出するために用いられ、シリンダブロック101aのうち、2つの気筒♯2,♯4のいずれかの位置に設置される。
制御装置200は、第1のバンドパスフィルタ201a及び第2のバンドパスフィルタ201bと、積算部210と、判定部220と、記憶部230とを備える。第1及び第2のバンドパスフィルタ201a,201bは、例えば、フィルタ回路により構成される。記憶部230は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の記憶素子によって構成される。積算部210及び判定部220は、例えば、マイクロプロセッサによるソフトウェアプログラムの実行により実現される機能とし得る。
第1及び第2のバンドパスフィルタ201a,201bは、それぞれ第1及び第2のノックセンサ10R,10Lのセンサ信号のうち、特定の周波数の信号を減衰させる。積算部210は、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4の燃焼行程中において、ノックゲート区間KGのセンサ信号の振幅を積算する。例えば、積算部210は、クランク角センサの検出信号に基づいて特定される、ノックゲート区間にある気筒に応じて、第1のノックセンサ10R又は第2のノックセンサ10Lのうちのいずれかのセンサ信号の振幅を積算し、当該気筒に関連づけて記憶する。積算部210は、ノッキングが生じていないと推定される状態では、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4のノックゲート区間KGで算出された積算値を、判定基準値として記憶部230に記憶する。
判定部220は、内燃機関100の運転中において、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4のノックゲート区間KGにおいて算出された積算値を、対応する判定基準値と比較することにより、ノッキングの有無を判定する。例えば、判定部220は、判定基準値に対する積算値の比が所定値以上であった場合に、ノッキングが発生していると判定してもよい。あるいは、判定部220は、積算値から判定基準値を減算した差分が所定値以上であった場合に、ノッキングが発生していると判定してもよい。
なお、ノッキングの判定処理の方法は、上述した例に限られず、従来公知の種々の判定方法を採用し得る。
<1−3.ノックセンサの設置位置>
次に、本実施形態のノック検出装置250において、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4におけるノッキングの有無を精度よく検出できるようにするための第1及び第2のノックセンサ10R,10Lの設置位置について説明する。第1及び第2のノックセンサ10R,10Lの設置位置は、ノックゲート区間KGにある気筒と、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4における吸気弁110a及び排気弁110bの着座時期との関係が重要である。
図4は、180度等間隔燃焼の4気筒の内燃機関における各気筒のノックゲート区間KGと、吸気弁110a及び排気弁110bの着座時期との関係を示す説明図である。図4において、左に示す燃焼順1,2,3,4は、気筒♯1,♯2,♯3,♯4を示すものではない点に注意されたい。180度等間隔燃焼の4気筒の内燃機関の場合、それぞれの気筒は、クランクシャフトが2回転する度に、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、排気行程の4行程を繰り返す。吸気行程及び燃焼行程ではピストン104が下降し、圧縮行程及び排気行程ではピストン104が上昇する。
4つの気筒の各行程は、1行程ずつずらされている。例えば、燃焼順で1番目の気筒が燃焼行程にある期間Aでは、燃焼順で2番目の気筒が圧縮行程にあり、燃焼順で3番目の気筒が吸気行程にあり、燃焼順で4番目の気筒が排気行程にある。つまり、ある気筒が燃焼行程にある場合、次の燃焼順の気筒が圧縮行程にあり、さらに次の燃焼順の気筒が吸気行程にあり、さらに次の燃焼順の気筒が排気行程にある。換言すれば、4気筒の内燃機関では、クランクシャフト115が2回転する間に4つの気筒において順次燃焼が生じるので、燃焼はクランクアングルが180度ごとに等間隔で生じる。
図4中の燃焼順が3番目の気筒を例に採って説明すると、期間Aは主に吸気行程であり、期間Bは主に圧縮行程であり、期間Cは主に燃焼行程であり、期間Dは主に排気行程である。吸気弁110aは、期間Aの少し前(前回の期間D)に開かれ、期間Bにおいて閉じられる。これにより、燃焼室C内に混合気が形成される。期間Bでは、吸気弁110aが閉じられた後、混合気が圧縮される。期間Bが終了する直前に、点火プラグ108によって混合気が点火され、期間Cにおいて混合気が燃焼する。この燃焼期間中にノックゲート区間KGが設定される。排気弁110bは、期間Cにおいて混合気の燃焼が終了した後に開かれ、期間Dの少し後(次の期間A)において閉じられる。
なお、吸気弁110a又は排気弁110bの開閉時期や、混合気への点火時期は、形成する所望の燃焼状態に応じて適宜設定され得る。
クランクアンクルが180度ごとに燃焼を生じる内燃機関100では、ある気筒のノックゲート区間KGに、1つ後の燃焼順の気筒の吸気弁110aの着座時期が重なり得るとともに、2つ後の燃焼順の気筒の排気弁110bの着座時期が重なり得る。吸気弁110a又は排気弁110bの着座時には、シリンダヘッド101bR,101bLからシリンダブロック101aを経て、吸気弁110a又は排気弁110bの着座による振動が第1及び第2のノックセンサ10R,10Lに伝わるおそれがある。
例えば、燃焼順が1番目と2番目の気筒におけるノッキングの有無を、燃焼順が2番目の気筒に設置されたノックセンサによって検出する場合を考える。この場合、燃焼順が1番目の気筒のノックゲート区間KG1に、ノックセンサが設置されている気筒の吸気弁の着座時期が重なり得る。したがって、ノックゲート区間KG1におけるノックセンサの検出信号には、燃焼順が2番目の気筒の吸気弁110aの着座ノイズが含まれやすい。その結果、ノッキングの有無の判定精度が低下する。
本実施形態にかかるノック検出装置250では、ノッキングの有無を判定する際に、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズの影響が極力小さくなるように、第1及び第2のノックセンサ10R,10Lの設置位置が決められる。以下、内燃機関100の気筒♯1,♯2,♯3,♯4の燃焼順のパターンに分けて、第1及び第2のノックセンサ10R,10Lの設置位置について説明する。
(1−3−1.第1の例)
図5は、本実施形態にかかる内燃機関100の第1の例による燃焼順を示している。図5は、図1に示す4気筒水平対向型の内燃機関100を簡略的に示している。第1の例では、気筒♯1、気筒♯3、気筒♯2、気筒♯4の順に等間隔で燃焼が繰り返される。すなわち、図4における燃焼順1の気筒が気筒♯1に相当し、燃焼順2の気筒が気筒♯3に相当し、燃焼順3の気筒が気筒♯2に相当し、燃焼順4の気筒が気筒♯4に相当する。
第1及び第2のノックセンサ10R,10Lは、燃焼順が連続する、隣り合う気筒♯1,♯3(♯2,♯4)からなる気筒群ごとに一つずつ設けられる。第1の例では、第1のノックセンサ10Rが、右バンクbk_Rのシリンダブロック101aのいずれかの位置に設置され、第2のノックセンサ10Lが、左バンクbk_Lのシリンダブロック101aのいずれかの位置に設置される。
図6は、左バンクbk_Lに設置される第2のノックセンサ10Lが、気筒♯4の吸気弁110a側のシリンダブロック101aに設置された場合のセンサ出力値の例を示している。かかる第2のノックセンサ10Lは、気筒♯2及び気筒♯4におけるノッキングの有無を検出するために備えられる。
すでに図4に示したように、燃焼順が4番目の気筒♯4のノックゲート区間KG4には、左バンクbk_Lの気筒♯2,♯4の吸気弁110a及び排気弁110bのいずれの着座時期とも重なっていない。かかる気筒♯4のノックゲート区間KG4には、逆バンクである右バンクbk_Rの気筒♯1の吸気弁110aの着座時期及び気筒♯3の排気弁110bの着座時期が重なっている。そのため、図6に示すように、ノックゲート区間KG4で検出される第2のノックセンサ10Lのセンサ出力値には、着座ノイズが現れておらず、気筒♯4での燃焼による振動のみが現れている。
一方、図4に示したように、燃焼順が3番目の気筒♯2のノックゲート区間KG3は、第2のノックセンサ10Lが設置されている気筒♯4の吸気弁110aの着座時期が重なっている。そのため、図6に示すように、ノックゲート区間KG3で検出される第2のノックセンサ10Lのセンサ出力値には、気筒♯4の吸気弁110aの着座による振動(着座ノイズ)が現れている。
このような着座ノイズが含まれた状態では、ノッキングの有無の判定に用いる基準値が大きくなったり、あるいは、内燃機関100の現在の運転状態における振動数が大きくなったりして、ノッキングの有無の判定を精度よく行うことが困難になる。したがって、左バンクbk_Lの気筒♯2,♯4におけるノッキングの有無を検出するには、気筒♯4に第2のノックセンサ10Lを設置することは望ましくないことが分かる。
図7は、図5に示した第1の例による内燃機関100において、第1のノックセンサ10R及び第2のノックセンサ10Lの設置位置の決定方法を示す説明図である。
まず、右バンクbk_Rに設置される第1のノックセンサ10Rの設置位置について説明する。第1のノックセンサ10Rは、右バンクbk_Rの気筒♯1,♯3におけるノッキングの有無を検出するために用いられる。図4にも示したように、燃焼順が1番目の気筒♯1のノックゲート区間KG1には気筒♯3の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯3は、気筒♯1と同バンクの1気筒隣りに配置されている。また、燃焼順が1番目の気筒♯1のノックゲート区間KG1には気筒♯2の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯2は、気筒♯1と逆バンクに配置されている。
同様に、燃焼順が2番目の気筒♯3のノックゲート区間KG2には気筒♯2の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯2は、気筒♯3と逆バンクに配置されている。また、燃焼順が2番目の気筒♯3のノックゲート区間KG2には気筒♯4の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯4は、気筒♯3と逆バンクに配置されている。
ノックセンサは、逆バンクの気筒よりも、同バンクの気筒から、吸気弁110a又は排気弁110bの着座ノイズを受けやすい。また、言うまでもなく、ノックセンサは、ノックセンサが設置された気筒の吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズを受けやすい。すなわち、第1の例では、気筒♯3に第1のノックセンサ10Rを設置した場合には、気筒♯1のノックゲート区間KG1において、気筒♯3の吸気弁110aの着座ノイズが現れてしまうことになる。
したがって、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズが右バンクbk_Rの気筒♯1,♯3のノックゲート区間KG1,KG2に現れないようにするには、第1のノックセンサ10Rを、燃焼順が先の気筒♯1に設置すると良いことが分かる。このとき、第1のノックセンサ10Rを、気筒♯1の排気弁110b側のシリンダブロック101aに設置することが好ましい。これにより、気筒♯1のノックゲート区間KG1と着座時期が気筒♯3の吸気弁110aの着座ノイズの影響をより低減することができる。
また、左バンクbk_Lに設置される第2のノックセンサ10Lの設置位置は以下のように決定される。第2のノックセンサ10Lは、左バンクbk_Lの気筒♯2,♯4におけるノッキングの有無を検出するために用いられる。図4にも示したように、燃焼順が3番目の気筒♯2のノックゲート区間KG3には気筒♯4の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯4は、気筒♯2と同バンクの1気筒隣りに配置されている。また、燃焼順が3番目の気筒♯2のノックゲート区間KG3には気筒♯1の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯1は、気筒♯2と逆バンクに配置されている。
同様に、燃焼順が4番目の気筒♯4のノックゲート区間KG4には気筒♯1の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯1は、気筒♯4と逆バンクに配置されている。また、燃焼順が4番目の気筒♯4のノックゲート区間KG4には気筒♯3の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯3は、気筒♯4と逆バンクに配置されている。
第1の例では、気筒♯4に第2のノックセンサ10Lを設置した場合には、気筒♯2のノックゲート区間KG3において、気筒♯4の吸気弁110aの着座ノイズが現れてしまうことになる。したがって、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズが左バンクbk_Lの気筒♯2,♯4のノックゲート区間KG3,KG4に現れないようにするには、第2のノックセンサ10Lを、燃焼順が先の気筒♯2に設置すると良いことが分かる。このとき、第2のノックセンサ10Lを、気筒♯2の排気弁110b側のシリンダブロック101aに設置することが好ましい。これにより、気筒♯2のノックゲート区間KG3と着座時期が重なり得る気筒♯4の吸気弁110aの着座ノイズの影響をより低減することができる。
(1−3−2.第2の例)
図8は、本実施形態にかかる内燃機関100の第2の例による燃焼順を示している。第2の例では、気筒♯3、気筒♯1、気筒♯4、気筒♯2の順に等間隔で燃焼が繰り返される。すなわち、図4における燃焼順1の気筒が気筒♯3に相当し、燃焼順2の気筒が気筒♯1に相当し、燃焼順3の気筒が気筒♯4に相当し、燃焼順4の気筒が気筒♯2に相当する。
図9は、図8に示した第2の例による内燃機関100において、第1のノックセンサ10R及び第2のノックセンサ10Lの設置位置の決定方法を示す説明図である。
まず、右バンクbk_Rに設置される第1のノックセンサ10Rの設置位置について説明する。第1のノックセンサ10Rは、右バンクbk_Rの気筒♯1,♯3におけるノッキングの有無を検出するために用いられる。図4にも示したように、燃焼順が1番目の気筒♯3のノックゲート区間KG1には気筒♯1の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯1は、気筒♯3と同バンクの1気筒隣りに配置されている。また、燃焼順が1番目の気筒♯3のノックゲート区間KG1には気筒♯4の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯4は、気筒♯3と逆バンクに配置されている。
同様に、燃焼順が2番目の気筒♯1のノックゲート区間KG2には気筒♯4の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯4は、気筒♯1と逆バンクに配置されている。また、燃焼順が2番目の気筒♯1のノックゲート区間KG2には気筒♯2の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯2は、気筒♯1と逆バンクに配置されている。
かかる第2の例では、気筒♯1に第1のノックセンサ10Rを設置した場合には、気筒♯3のノックゲート区間KG1において、気筒♯1の吸気弁110aの着座ノイズが現れてしまうことになる。したがって、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズが右バンクbk_Rの気筒♯1,♯3のノックゲート区間KG2,KG1に現れないようにするには、第1のノックセンサ10Rを、燃焼順が先の気筒♯3に設置すると良いことが分かる。このとき、第1のノックセンサ10Rを、気筒♯3の排気弁110b側のシリンダブロック101aに設置することが好ましい。これにより、気筒♯3のノックゲート区間KG1と着座時期が重なり得る気筒♯1の吸気弁110aの着座ノイズの影響をより低減することができる。
また、左バンクbk_Lに設置される第2のノックセンサ10Lの設置位置は以下のように決定される。第2のノックセンサ10Lは、左バンクbk_Lの気筒♯2,♯4におけるノッキングの有無を検出するために用いられる。図4にも示したように、燃焼順が3番目の気筒♯4のノックゲート区間KG3には気筒♯2の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯2は、気筒♯4と同バンクの1気筒隣りに配置されている。また、燃焼順が3番目の気筒♯4のノックゲート区間KG3には気筒♯3の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯3は、気筒♯4と逆バンクに配置されている。
同様に、燃焼順が4番目の気筒♯2のノックゲート区間KG4には気筒♯3の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯3は、気筒♯2と逆バンクに配置されている。また、燃焼順が4番目の気筒♯2のノックゲート区間KG4には気筒♯1の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯1は、気筒♯2と逆バンクに配置されている。
第2の例では、気筒♯2に第2のノックセンサ10Lを設置した場合には、気筒♯4のノックゲート区間KG3において、気筒♯2の吸気弁110aの着座ノイズが現れてしまうことになる。したがって、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズが左バンクbk_Lの気筒♯2,♯4のノックゲート区間KG4,KG3に現れないようにするには、第2のノックセンサ10Lを、燃焼順が先の気筒♯4に設置すると良いことが分かる。このとき、第2のノックセンサ10Lを、気筒♯4の排気弁110b側のシリンダブロック101aに設置することが好ましい。これにより、気筒♯4のノックゲート区間KG3と着座時期が重なり得る気筒♯2の吸気弁110aの着座ノイズの影響をより低減することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、クランクアングルが180度ごとに燃焼を生じる内燃機関100の右バンクbk_R及び左バンクbk_Lそれぞれに設置される第1及び第2のノックセンサ10R,10Lが、燃焼順が先の気筒に備えられる。これにより、同バンクの2つの気筒のノックゲート区間に、ノックセンサが設置された気筒の吸気弁110a及び排気弁110bの着座時期が重なり得ることを防ぐことができる。したがって、第1及び第2のノックセンサ10R,10Lのセンサ信号に基づいて、ノッキングの有無を精度よく検出することができる。
また、第1及び第2のノックセンサ10R,10Lを、燃焼順が先の気筒の排気弁110b側のシリンダブロック101aに設置することにより、同バンクの気筒のノックゲート区間KGに重なり得る、同バンクの気筒の吸気弁110aの着座による着座ノイズをより低減することができる。
<<2.第2の実施の形態>>
次に、第2の実施の形態にかかる内燃機関のノック検出装置として、第1の実施の形態で示した水平対向型の内燃機関ではなく、直列型の内燃機関に適用されるノック検出装置の例について説明する。直列型の内燃機関は、気筒が所定の方向に沿って一列に配置された内燃機関である。各気筒、及び、ノッキングの有無の判定を実施する制御装置(ノック判定装置)は、基本的に第1の実施の形態にかかる内燃機関100及び制御装置200と同一の構成とすることができる。以下、180度等間隔燃焼の4気筒直列型の内燃機関を例に採って、ノックセンサの設置位置について説明する。
<2−1.ノックセンサの設置位置>
(2−1−1.第1の例)
図10は、本実施形態にかかる180度等間隔燃焼の4気筒の内燃機関100Aの第1の例による燃焼順を示している。図10は、4気筒直列型の内燃機関100Aを簡略的に示している。内燃機関100Aは、直列に配置された4つの気筒♯1,♯2,♯3,♯4を有する。このうち、配列方向の一方側(例えばフロント側)の気筒♯1,♯2が一つの気筒群G1を構成し、他方側(例えばリア側)の気筒♯3,♯4が他の気筒群G2を構成する。かかる4気筒直列型の内燃機関100Aでは、クランクシャフト115が2回転する間に4つの気筒において順次燃焼が生じるので、燃焼はクランクアングルが180度ごとに生じる。
第1の例では、気筒♯1、気筒♯2、気筒♯4、気筒♯3の順に等間隔で燃焼が繰り返される。すなわち、図4における燃焼順1の気筒が気筒♯1に相当し、燃焼順2の気筒が気筒♯2に相当し、燃焼順3の気筒が気筒♯4に相当し、燃焼順4の気筒が気筒♯3に相当する。
第1及び第2のノックセンサ10Fr,10Rrは、燃焼順が連続する、隣り合う気筒♯1,♯2(♯3,♯4)からなる気筒群ごとに一つずつ設けられる。第1の例では、第1のノックセンサ10Frが、気筒群G1のシリンダブロック101aのいずれかの位置に設置され、第2のノックセンサ10Rrが、気筒群G2のシリンダブロック101aのいずれかの位置に設置される。
図11は、図10に示した第1の例による内燃機関100Aにおいて、第1のノックセンサ10Fr及び第2のノックセンサ10Rrの設置位置の決定方法を示す説明図である。
まず、気筒群G1に設置される第1のノックセンサ10Frの設置位置について説明する。第1のノックセンサ10Frは、気筒群G1の気筒♯1,♯2におけるノッキングの有無を検出するために用いられる。図4にも示したように、燃焼順が1番目の気筒♯1のノックゲート区間KG1には気筒♯2の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯2は、気筒♯1と同じ気筒群G1に含まれ、隣り合って配置されている。また、燃焼順が1番目の気筒♯1のノックゲート区間KG1には気筒♯4の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯4は、気筒♯1から気筒3つ分の間隔を置いて配置されている。
同様に、燃焼順が2番目の気筒♯2のノックゲート区間KG2には気筒♯4の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯4は、気筒♯2から気筒2つ分の間隔を置いて配置されている。また、燃焼順が2番目の気筒♯2のノックゲート区間KG2には気筒♯3の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯3は、気筒♯2に隣り合って配置されている。
ノックセンサは、ノックセンサが設置された気筒の吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズを受けやすい。すなわち、第1の例では、気筒♯2に第1のノックセンサ10Frを設置した場合には、気筒♯1のノックゲート区間KG1において、気筒♯2の吸気弁110aの着座ノイズが現れてしまうことになる。
したがって、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズが気筒群G1の気筒♯1,♯2のノックゲート区間KG1,KG2に現れないようにするには、第1のノックセンサ10Frを、燃焼順が先の気筒♯1に設置すると良いことが分かる。このとき、第1のノックセンサ10Frを、気筒♯1の排気弁110b側のシリンダブロック101aに設置することが好ましい。これにより、気筒♯1のノックゲート区間KG1と着座時期が重なり得る気筒♯2の吸気弁110aの着座ノイズの影響をより低減することができる。
また、気筒群G2に設置される第2のノックセンサ10Rrの設置位置は以下のように決定される。第2のノックセンサ10Rrは、気筒群G2の気筒♯3,♯4におけるノッキングの有無を検出するために用いられる。図4にも示したように、燃焼順が3番目の気筒♯4のノックゲート区間KG3には気筒♯3の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯3は、気筒♯4と同じ気筒群G2に含まれ、隣り合って配置されている。また、燃焼順が3番目の気筒♯4のノックゲート区間KG3には気筒♯1の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯1は、気筒♯4から気筒3つ分の間隔を置いて配置されている。
同様に、燃焼順が4番目の気筒♯3のノックゲート区間KG4には気筒♯1の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯1は、気筒♯3から気筒2つ分の間隔を置いて配置されている。また、燃焼順が4番目の気筒♯3のノックゲート区間KG4には気筒♯2の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯2は、気筒♯3と隣り合って配置されている。
第1の例では、気筒♯3に第2のノックセンサ10Rrを設置した場合には、気筒♯4のノックゲート区間KG3において、気筒♯3の吸気弁110aの着座ノイズが現れてしまうことになる。したがって、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズが気筒群G2の気筒♯2,♯4のノックゲート区間KG2,KG3に現れないようにするには、第2のノックセンサ10Rrを、燃焼順が先の気筒♯4に設置すると良いことが分かる。このとき、第2のノックセンサ10Rrを、気筒♯4の排気弁110b側のシリンダブロック101aに設置することが好ましい。これにより、気筒♯4のノックゲート区間KG3と着座時期が重なり得る気筒♯3の吸気弁110aの着座ノイズの影響をより低減することができる。
(2−1−2.第2の例)
図12は、本実施形態にかかる180度等間隔燃焼の4気筒の内燃機関100Aの第2の例による燃焼順を示している。第2の例では、気筒♯2、気筒♯1、気筒♯3、気筒♯4の順に等間隔で燃焼が繰り返される。すなわち、図4における燃焼順1の気筒が気筒♯2に相当し、燃焼順2の気筒が気筒♯1に相当し、燃焼順3の気筒が気筒♯3に相当し、燃焼順4の気筒が気筒♯4に相当する。
図13は、図12に示した第2の例による内燃機関100において、第1のノックセンサ10Fr及び第2のノックセンサ10Rrの設置位置の決定方法を示す説明図である。
まず、気筒群G1に設置される第1のノックセンサ10Frの設置位置について説明する。第1のノックセンサ10Frは、気筒群G1の気筒♯1,♯2におけるノッキングの有無を検出するために用いられる。図4にも示したように、燃焼順が1番目の気筒♯2のノックゲート区間KG1には気筒♯1の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯1は、気筒♯2と同じ気筒群G1に含まれ、隣り合って配置されている。また、燃焼順が1番目の気筒♯2のノックゲート区間KG1には気筒♯3の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯3は、気筒♯2と隣り合って配置されている。
同様に、燃焼順が2番目の気筒♯1のノックゲート区間KG2には気筒♯3の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯3は、気筒♯1から気筒2つ分の間隔を置いて配置されている。また、燃焼順が2番目の気筒♯1のノックゲート区間KG2には気筒♯4の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯4は、気筒♯1から気筒3つ分の間隔を置いて配置されている。
かかる第2の例では、気筒♯1に第1のノックセンサ10Frを設置した場合には、気筒♯2のノックゲート区間KG1において、気筒♯1の吸気弁110aの着座ノイズが現れてしまうことになる。したがって、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズが気筒群G1の気筒♯1,♯2のノックゲート区間KG2,KG1に現れないようにするには、第1のノックセンサ10Frを、燃焼順が先の気筒♯2に設置すると良いことが分かる。
なお、第1のノックセンサ10Frを、気筒♯2の排気弁110b側のシリンダブロックに設置した場合には、気筒♯2のノックゲート区間KG1に、隣り合う気筒♯1の吸気弁110aの着座時期が重なり得るとともに、隣り合う気筒♯3の排気弁110bの着座時期が重なり得る。一般に、吸気弁110aの着座時の衝撃は、排気弁110bの着座時の衝撃よりも大きいことが知られている。したがって、第1のノックセンサ10Frを設置する気筒♯2のノックゲート区間KG1に、隣り合う気筒♯1の吸気弁110aの着座時期、及び隣り合う気筒♯3の排気弁110bの着座時期が重なり得る場合には、排気弁110b側のシリンダブロックを優先して、第1のノックセンサ10Frを設置することが好ましい。
また、気筒群G2に設置される第2のノックセンサ10Rrの設置位置は以下のように決定される。第2のノックセンサ10Rrは、気筒群G2の気筒♯3,♯4におけるノッキングの有無を検出するために用いられる。図4にも示したように、燃焼順が3番目の気筒♯3のノックゲート区間KG3には気筒♯4の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯4は、気筒♯3と同じ気筒群G2に隣り合って配置されている。また、燃焼順が3番目の気筒♯3のノックゲート区間KG3には気筒♯2の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯2は、気筒♯3に隣り合って配置されている。
同様に、燃焼順が4番目の気筒♯4のノックゲート区間KG4には気筒♯2の吸気弁110aの着座時期が重なり得る。気筒♯2は、気筒♯4から気筒2つ分の間隔を置いて配置されている。また、燃焼順が4番目の気筒♯4のノックゲート区間KG4には気筒♯1の排気弁110bの着座時期が重なり得る。気筒♯1は、気筒♯4から気筒3つ分の間隔を置いて配置されている。
第2の例では、気筒♯4に第2のノックセンサ10Rrを設置した場合には、気筒♯3のノックゲート区間KG3において、気筒♯4の吸気弁110aの着座ノイズが現れてしまうことになる。したがって、吸気弁110a及び排気弁110bの着座ノイズが気筒群G2の気筒♯3,♯4のノックゲート区間KG3,KG4に現れないようにするには、第2のノックセンサ10Rrを、燃焼順が先の気筒♯3に設置すると良いことが分かる。
なお、第2のノックセンサ10Rrを、気筒♯3の排気弁110b側のシリンダブロックに設置した場合には、気筒♯3のノックゲート区間KG3に、隣り合う気筒♯4の吸気弁110aの着座時期が重なり得るとともに、隣り合う気筒♯2の排気弁110bの着座時期が重なり得る。上述のとおり、一般に、吸気弁110aの着座時の衝撃は、排気弁110bの着座時の衝撃よりも大きいことが知られていることから、この場合においても、排気弁110b側のシリンダブロックを優先して、第1のノックセンサ10Frを設置することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態によれば、クランクアングルが180度ごとに燃焼を生じる内燃機関100の気筒群G1及び気筒群G2それぞれに設置される第1及び第2のノックセンサ10Fr,10Rrが、燃焼順が先の気筒に備えられる。これにより、同じ気筒群G1,G2の2つの気筒のノックゲート区間に、ノックセンサが設置された気筒の吸気弁110a及び排気弁110bの着座時期が重なり得ることを防ぐことができる。したがって、第1及び第2のノックセンサ10Fr,10Rrのセンサ信号に基づいて、ノッキングの有無を精度よく検出することができる。
また、第1及び第2のノックセンサ10Fr,10Rrを、燃焼順が先の気筒の排気弁110b側のシリンダブロック101aに設置することにより、同バンクの気筒のノックゲート区間KGに重なり得る、同バンクの気筒の吸気弁110aの着座による着座ノイズをより低減することができる。
なお、本実施形態にかかるノックセンサの設置位置の考え方は、フラットプレーンのクランクシャフトを有する8気筒V型の内燃機関についても適用することができる。この場合、V型の内燃機関における、それぞれ4つの気筒からなる片側のバンクごとに本実施形態を適用すればよい。これにより、各バンクごとにノッキングの有無を精度よく検出することができる。
<<3.第3の実施の形態>>
次に、第3の実施の形態にかかる内燃機関のノック検出装置として、5気筒直列型の内燃機関に適用し得るノック検出装置の例について説明する。ノック検出装置のうち、ノッキングの有無の判定処理を実行する制御装置については、第1の実施の形態にかかるノック検出装置の場合と同様に構成することができる。したがって、以下、本実施形態にかかる内燃機関におけるノックセンサの設置位置について説明する。
図14は、本実施形態にかかる5気筒直列型の内燃機関300を、燃焼順の一例と併せて簡略的に示している。内燃機関300は、直列配置された5つの気筒♯1,♯2,♯3,♯4,♯5を有する。本実施形態の例では、一方側の2つの気筒♯1,♯2が一つの気筒群G1を構成し、他方側の3つの気筒♯3,♯4,♯5が他の気筒群G2を構成する。かかる5気筒直列型の内燃機関300では、クランクシャフトが2回転する間に5つの気筒において順次燃焼が生じるので、燃焼はクランクアングルが144度ごとに等間隔で生じる。図14に示した例では、気筒♯1、気筒♯2、気筒♯4、気筒♯5、気筒♯3の順に等間隔で燃焼が繰り返される。
一方側の気筒群G1は、クランクアングルが144度の間隔を空けて連続して燃焼する隣り合う気筒♯1,♯2により構成される。また、他方側の気筒群G2は、クランクアングルが144度の間隔を空けて連続して燃焼する隣り合う気筒♯4,♯5を含んで構成される。
図15は、本実施形態にかかる内燃機関300における各気筒のノックゲート区間KGと、吸気弁及び排気弁の着座時期との関係を示す説明図である。本実施形態では、それぞれの気筒群G1,G2におけるノックセンサの設置位置が、燃焼順を考慮して設定されている。
一方側の気筒群G1では、気筒♯1のノックゲート区間KG1に、隣り合う気筒♯2の吸気弁の着座時期が重なり得るとともに、気筒♯5の排気弁の着座時期が重なり得る。したがって、等間隔で連続して燃焼を生じる気筒群G1において、ノックセンサが気筒♯2に設置されていると、気筒♯1のノックゲート区間KG1におけるノックセンサの検出信号には、ノックセンサが設置されている気筒♯2の吸気弁の着座時期が重なって、着座ノイズが現れやすくなる。
一方、気筒♯2のノックゲート区間KG2には、気筒♯4の吸気弁の着座時期と、気筒♯3の排気弁の着座時期とが重なり得る。つまり、ノックセンサが気筒♯1に設置されていても、気筒♯1,♯2のノックゲート区間KG1,KG2において、気筒♯1の吸気弁及び排気弁の着座時期が重なり得ることがない。したがって、気筒群G1を構成する気筒♯1,♯2におけるノッキングの有無を検出するには、燃焼順が先の気筒♯1にノックセンサを設置するとよいことが分かる。さらに、気筒♯1のノックゲート区間KG1には、気筒♯2の吸気弁の着座時期が重なり得ることから、ノックセンサは、気筒♯1の排気弁側のシリンダブロックに設けることがより好ましい。
また、他方側の気筒群G2においては、クランクアングルが144度の間隔を空けて連続して燃焼する燃焼順が1番先の気筒♯4にノックセンサを設置した場合には、気筒♯4における排気弁の着座時期が、隣り合う気筒♯3のノックゲート区間KG5に重なり得る。また、気筒群G2では、燃焼順が2番目の気筒♯5にノックセンサを設置すると、気筒♯5における吸気弁の着座時期が、隣り合う気筒♯4のノックゲート区間KG3に重なり得る。また、燃焼順が3番目の気筒♯3にノックセンサを設置すると、気筒♯3における吸気弁の着座時期が、気筒群G2の気筒♯5のノックゲート区間KG4に重なり得る。
上述のとおり、気筒群内の燃焼順が後の気筒にノックセンサを設置すると、燃焼順が先の気筒のノックゲート区間に、ノックセンサを設置した気筒の吸気弁の着座時期が重なり、着座ノイズが現れやすくなる。隣り合わない気筒♯3と気筒♯5では、燃焼順が後の気筒♯3にノックセンサがある場合、ノックゲート区間となる気筒♯5からのノック信号が気筒♯4を介して気筒♯3に伝えられる。そのために、ノック信号が減衰しやすく、ノック信号とノイズとの比が小さくなり、より検出性が悪化する。この場合、144度の間隔で燃焼している3つの気筒のうちの燃焼順が1番先の気筒♯4にノックセンサを設置することで、吸気弁の着座ノイズの影響を抑えることができる。なお、気筒♯4にノックセンサを設置した場合、気筒♯4における排気弁の着座時期が、隣り合う気筒♯3のノックゲート区間KG5に重なり得る。したがって、排気弁の着座ノイズの影響を抑えるためには、ノックセンサが吸気弁側に設置されることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態によれば、クランクアングルが144度ごとに燃焼を生じる5気筒直列型の内燃機関300の気筒群G1に設置される第1のノックセンサが、クランクアングルが144度の間隔を空けて連続して燃焼する隣り合う気筒♯1,♯2のうちの燃焼順が先の気筒♯1に備えられる。これにより、一の気筒群G1の2つの気筒のノックゲート区間KG1,KG2に、ノックセンサが設置された気筒の吸気弁及び排気弁の着座時期が重なり得ることを防ぐことができる。したがって、ノックセンサのセンサ信号に基づいて、一の気筒群G1の気筒♯1,♯2のノッキングの有無を精度よく検出することができる。
また、一の気筒群G1のノッキングの有無を検出するためのノックセンサを、燃焼順が先の気筒♯1の排気弁側のシリンダブロックに設置することにより、気筒群G1の気筒♯1,♯2のノックゲート区間KG1、KG2に重なり得る、同バンクの気筒の吸気弁の着座による着座ノイズをより低減することができる。
また、本実施形態によれば、クランクアングルが144度ごとに燃焼を生じる5気筒直列型の内燃機関300の気筒群G2に設置される第2のノックセンサが、クランクアングルが144度の間隔を空けて連続して燃焼する隣り合う気筒♯4,♯5を含む気筒群のうちの燃焼順が先の気筒♯4の吸気弁側に備えられる。これにより、他方の気筒群G2の3つの気筒のノックゲート区間KG3,KG4,KG5に、ノックセンサが設置された気筒♯4の吸気弁の着座時期が重なり得ることを防ぐことができる。したがって、ノックセンサのセンサ信号に基づいて、他方の気筒群G2の気筒♯3,♯4,♯5のノッキングの有無を比較的精度よく検出することができる。
なお、本実施形態の例では、一方側の気筒群G1を気筒♯1,♯2により構成し、他方側の気筒群G2を気筒♯3,♯4,♯5により構成していたが、一方側の気筒群G1を気筒♯1,♯2,♯3により構成し、他方側の気筒群G2を気筒♯4,♯5により構成してもよい。このように構成した場合であっても、同様に、クランクアングルが144度の間隔を空けて連続して燃焼を生じる、隣り合う気筒♯1,♯4にノックセンサを設けることにより、吸気弁及び排気弁の着座ノイズを低減することができる。
<<4.第4の実施の形態>>
次に、第4の実施の形態にかかる内燃機関のノック検出装置として、クロスプレーンのクランクシャフトを有する8気筒V型の内燃機関に適用し得るノック検出装置の例について説明する。ノック検出装置のうち、ノッキングの有無の判定処理を実行する制御装置については、第1の実施の形態にかかるノック検出装置の場合と同様に構成することができる。したがって、以下、本実施形態にかかる内燃機関におけるノックセンサの設置位置について説明する。
図16は、本実施形態にかかる8気筒V型の内燃機関400を、燃焼順の一例と併せて簡略的に示している。内燃機関400は、並列配置された8つの気筒♯1,♯2,♯3,♯4,♯5,♯6,♯7,♯8を有する。このうち、一方のバンク列の4つの気筒♯1,♯3,♯5,♯7が一つの気筒群G1を構成し、他方のバンク列の4つの気筒♯2,♯4,♯6,♯8が他の気筒群G2を構成する。かかる8気筒V型の内燃機関400では、クランクシャフトが2回転する間に8つの気筒において順次燃焼が生じるので、燃焼はクランクアングルが90度ごとに生じる。図16に示した例では、気筒♯1、気筒♯8、気筒♯4、気筒♯3、気筒♯6、気筒♯5、気筒♯7、気筒♯2の順に等間隔で燃焼が繰り返される。
一方側の気筒群G1は、クランクアングルが180度の間隔を空けて燃焼する隣り合う気筒♯3,♯5を含んで構成される。また、他方側の気筒群G2は、クランクアングルが180度の間隔を空けて燃焼する隣り合う気筒♯4,♯6を含んで構成される。かかる内燃機関400において、各気筒群G1,G2の気筒におけるノッキングの有無を検出するノックセンサは、180度の間隔を空けて燃焼を生じる隣り合う気筒♯3,♯5(♯4,♯6)のうちの燃焼順が先の気筒♯3,♯4に設けられる。
具体的に、一の気筒群G1では、気筒♯1の燃焼と気筒♯3の燃焼とは略270度間隔となる。また、気筒♯3の燃焼と気筒♯5の燃焼とは略180度間隔となる。また、気筒♯5の燃焼と気筒♯7の燃焼とは略90度間隔となる。さらに、気筒♯7の燃焼と気筒♯1の燃焼とは略180度間隔となる。一の気筒群G1では、ノックセンサは、略180度の間隔を空けて燃焼する隣り合う気筒♯3,♯5のうちの燃焼順が先の気筒♯3に設けられる。
他の気筒群G2では、気筒♯8の燃焼と気筒♯4の燃焼とは略90度間隔となる。また、気筒♯4の燃焼と気筒♯6の燃焼とは略180度間隔となる。また、気筒♯6の燃焼と気筒♯2の燃焼とは略270度間隔となる。さらに、気筒♯2の燃焼と気筒♯8の燃焼とは略180度間隔となる。他の気筒群G2では、ノックセンサは、略180度の間隔を空けて燃焼する隣り合う気筒♯4,♯6のうちの燃焼順が先の気筒♯4に設けられる。
図17は、本実施形態にかかる内燃機関400における各気筒のノックゲート区間KGと、吸気弁及び排気弁の着座時期との関係を示す説明図である。一の気筒群G1について見ると、気筒♯1のノックゲート区間KG1には、逆バンクの気筒♯4の吸気弁及び逆バンクの気筒♯6の排気弁の着座時期が重なり得る。また、気筒♯3のノックゲート区間KG4には、隣り合う気筒♯5の吸気弁及び逆バンクの気筒♯2の排気弁の着座時期が重なり得る。また、気筒♯5のノックゲート区間KG6には、逆バンクの気筒♯2の吸気弁及び逆バンクの気筒♯8の排気弁の着座時期が重なり得る。さらに、気筒♯7のノックゲート区間KG7には、気筒♯1の吸気弁及び逆バンクの気筒♯4の排気弁の着座時期が重なり得る。
すなわち、気筒群G1の気筒♯1,♯3,♯5,♯7のうち、気筒♯3,♯7にノックセンサを設けても、ノックゲート区間KG1,KG4,Kg6,KG7において、同バンクの気筒での吸気弁及び排気弁の着座ノイズの影響を受けることが無い。ただし、気筒♯7にノックセンサを設けると、気筒♯1との距離が3気筒分になって、検出精度が低下するおそれがある。したがって、気筒群G1の気筒におけるノッキングの有無を検出するためのノックセンサは、180度の間隔を空けて燃焼を生じる隣り合う気筒♯3,♯5のうちの燃焼順が先の気筒♯3に設けるとよいことが分かる。
同様に、他の気筒群G2について見ると、気筒♯8のノックゲート区間KG2には、逆バンクの気筒♯3の吸気弁及び逆バンクの気筒♯5の排気弁の着座時期が重なり得る。また、気筒♯4のノックゲート区間KG3には、隣り合う気筒♯6の吸気弁及び逆バンクの気筒♯7の排気弁の着座時期が重なり得る。また、気筒♯6のノックゲート区間KG5には、逆バンクの気筒♯7の吸気弁及び逆バンクの気筒♯1の排気弁の着座時期が重なり得る。さらに、気筒♯2のノックゲート区間KG8には、気筒♯8の吸気弁及び逆バンクの気筒♯3の排気弁の着座時期が重なり得る。
すなわち、気筒群G2の気筒♯2,♯4,♯6,♯8のうち、気筒♯2,♯4にノックセンサを設けても、ノックゲート区間KG2,KG3,Kg5,KG8において、同バンクの気筒での吸気弁及び排気弁の着座ノイズの影響を受けることが無い。ただし、気筒♯2にノックセンサを設けると、気筒♯8との距離が3気筒分になって、検出精度が低下するおそれがある。したがって、気筒群G2の気筒におけるノッキングの有無を検出するためのノックセンサは、180度の間隔を空けて燃焼を生じる隣り合う気筒♯4,♯6のうちの燃焼順が先の気筒♯4に設けるとよいことが分かる。
以上説明したように、本実施形態によれば、各気筒群G1,G2を構成する気筒♯1,♯3,♯5,♯7(♯2,♯4,♯6,♯8)に含まれる、クランクアングルが180度間隔で燃焼を生じる隣り合う気筒♯3,♯5(♯4,♯6)のうちの燃焼順が先の気筒にノックセンサが備えられる。これにより、各気筒群G1,G2の複数の気筒のノックゲート区間KGに、ノックセンサが設置された気筒の吸気弁及び排気弁の着座時期が重なり得ることを防ぐことができる。したがって、ノックセンサのセンサ信号に基づいて、各気筒群G1,G2の気筒のノッキングの有無を精度よく検出することができる。
また、各気筒群G1,G2のノッキングの有無を検出するためのノックセンサを、検出対象の気筒群の各気筒からの最大距離が小さい気筒♯3,♯4に設けることにより、検出精度の低下を抑制することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施の形態においては、特定の構成の内燃機関を例に採って説明したが、内燃機関の構成は上記の例に限られない。例えば、気筒数や気筒の配列が異なる場合であっても、略140〜190度の範囲で規定される所定のクランクアングルの間隔を空けて燃焼を生じる、隣り合う少なくとも二つの気筒を含む気筒群を含む内燃機関であれば、本発明を適用することができる。