以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。内燃機関(以下「エンジン」という)1は、4気筒を有する4サイクルエンジンである。エンジン1の吸気管2の途中にはスロットル弁3が設けられている。スロットル弁3にはスロットル弁開度THを検出するスロットル弁開度センサ4が連結されており、その検出信号は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)5に供給される。
燃料噴射弁6はエンジン1とスロットル弁3との間かつ吸気管2の図示しない吸気弁の少し上流側に各気筒毎に設けられており、各噴射弁は図示しない燃料ポンプに接続されていると共にECU5に電気的に接続されて当該ECU5からの信号により燃料噴射弁6の開弁時間が制御される。エンジン1の各気筒には、点火プラグ7が設けられており、点火プラグ7はECU5に接続されている。ECU5は、点火プラグ7に点火信号を供給する。
スロットル弁3の下流側には吸気圧PBAを検出する吸気圧センサ8、及び吸気温TAを検出する吸気温センサ9が設けられている。エンジン1の本体には、エンジン冷却水温TWを検出する冷却水温センサ10が装着されている。
さらに図2に示すようにエンジン1本体(シリンダブロック)の#1気筒と#2気筒のほぼ中間位置には、圧電素子を用いた第1力センサ11が装着され、#3気筒と#4気筒のほぼ中間位置には、圧電素子を用いた第2力センサ12が装着されている。すなわち、第1力センサ11は、#1気筒及び#2気筒における燃焼に起因する検出信号値が同程度となる位置に配置され、第2力センサ12は、#3気筒及び#4気筒における燃焼に起因する検出信号値が同程度となる位置に配置されている。第1及び第2力センサ11,12は、装着位置における振動加速度に応じた検出信号を出力する。上記センサ8〜12の検出信号は、ECU5に供給される。
力センサ11,12は、ノッキングを検出するためのノックセンサが取り付けられる位置に取り付けられている。ノックセンサの取り付け位置は,気筒内の燃焼によって生じる振動や力の変化を比較的検知しやすい位置に選定されているため、燃焼状態のモニタに適した位置と考えられる。具体的には、いくつかの候補位置に力センサを取付けてエンジンを運転し、最も信号を良好に検知できる位置を選択する。ここでノックセンサとは,エンジンの異常燃焼(ノッキング)を検知するセンサで,シリンダ内の燃焼現象に起因してシリンダブロックに伝達される高周波数振動(6kHzくらいを基本波として,その整数倍の周波数の振動)を検知するものである。
ECU5には、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出するクランク角度センサ13及びクランク軸の1/2の回転速度で回転するカム軸の回転角度を検出するカム角度センサ14が接続されており、クランク軸及びカム軸の回転角度に応じた信号がECU5に供給される。クランク角度センサ13は、クランク軸が一定クランク角度(例えば6度)回転する毎に1パルス(CRKパルス)を出力する。したがって、CRKパルスは、クランク軸の回転位相を示す。
カム角度センサ14は、後述するように第1〜第4パルス発生部31〜34を有する円板状のパルサ30と、パルサ30に対向して配置され、第1〜第4パルス発生部31〜34に一定角度間隔で設けられた被検出孔40を検出する検出部を構成する第1〜第4光センサ41〜44とを備えており、カム軸が一定カム角度(例えば1度)回転することに1パルス(CAMパルス)を出力する。したがって、CAMパルスはカム軸の回転位相を示す。
クランク角度センサ13及びカム角度センサ14から出力されるCRKパルス及びCAMパルスは、ECU5に供給され、燃料噴射時期、点火時期等の各種タイミング制御、エンジン回転数(エンジン回転速度)NEの検出、及び力センサ11,12の検出信号のサンプリングに使用される。
エンジン1の排気管21と、各気筒の燃焼室に連通する吸気管2との間には、排気還流通路22が設けられており、排気還流通路22には排気還流量を制御するための排気還流制御弁(以下[EGR弁」という)23が設けられている。すなわち、排気還流通路22は、4つの気筒に対応して分岐し、EGR弁23は各分岐通路に配置されている。EGR弁23は、ECU5に接続されており、ECU5からの信号によりその開度(弁リフト量)が制御される。したがって、本実施形態では排気還流量を気筒毎に制御可能である。なお、排気還流量を気筒毎に制御可能な排気還流機構は図1には具体的に示していないが、例えば特許4004656号公報に示されている。
ECU5は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)、該CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路(メモリ)、燃料噴射弁6、点火プラグ7、及びEGR弁23に駆動信号を供給する出力回路等から構成される。
本実施形態では、力センサ11,12の検出信号P1,P2に基づいて、各気筒の図示平均有効圧と高い相関性を有し、各気筒の燃焼状態を示す燃焼状態パラメータEIMEP(i)(i=1〜4)を算出し、燃焼状態パラメータEIMEP(i)の変動率CREIMEP(i)に基づいてEGR弁開度指令値LCMD(i)の補正を行う。
図3は、第1及び第2力センサ11,12の検出信号P1,P2を示すタイムチャートであり、太線L1が信号P1に対応し、細線L2が信号P2に対応する。この図においては、クランク角度−360度から−180度までの期間が#2気筒の圧縮行程(#4気筒の燃焼行程)に相当し、−180度から0度までの期間が#1気筒の圧縮行程(#2気筒の燃焼行程)に相当し、0度から180度までの期間が#1気筒の燃焼行程(#3気筒の圧縮行程)に相当し、180度から360までの期間が#3気筒の燃焼行程(#4気筒の圧縮行程)に相当する。
第1力センサ11の検出信号P1は、クランク角度−270度から−90度までの期間では、#2気筒における圧縮及び燃焼による圧力の上昇を示し、クランク角度−90度から90度までの期間では、#1気筒における圧縮及び燃焼による圧力の上昇を示している。また検出信号P2は、クランク角度90度から270度までの期間では、#3気筒における圧縮及び燃焼による圧力の上昇を示しクランク角度270度から450度(図では−270度で表示している)までの期間では、#4気筒における圧縮及び燃焼による圧力の上昇を示している。
そこで、本実施形態では、第1力センサ11の検出信号P1に応じて#1気筒の燃焼状態パラメータEIMEP(1)及び#2気筒の燃焼状態パラメータEIMEP(2)を算出し、第2力センサ12の検出信号P2に応じて#3気筒の燃焼状態パラメータEIMEP(3)及び#4気筒の燃焼状態パラメータEIMEP(4)を算出する。
具体的には、図3に示すように設定された、各気筒毎のサンプリング期間TSMP#1〜TSMP#4において、カム角度センサ14から出力されるCAMパルスの出力タイミングにおいて検出信号P1,P2のサンプリングを行い、サンプリング値をメモリに格納し、サンプリング終了後直ちに下記式(1)〜(4)を用いて、燃焼状態パラメータEIMEPを算出する。
ここで、mはサンプリング期間中のサンプリングデータ数nの1/2のデータ数、hは本実施形態(4サイクルエンジン)では「0.5」に設定される定数、jは1から(m−1)までの値をとるインデクスパラメータ、xjは(πj/mh)で与えられ、サンプリングが行われたクランク角度[rad]を、算出対象である気筒の燃焼行程開始上死点を基準(「0」)として示す角度パラメータであり、P(xj)は上記検出信号P1またはP2のサンプリング時期における信号値であり、λはエンジン1のコンロッド長sをクランク半径rで除算することにより算出される比率パラメータ(s/r)である。なお、定数hは2サイクルエンジンでは「1」に設定される。
例えばCAMパルスに同期してサンプリングする場合には、クランク角度180度のサンプリング期間中に得られるデータ数nは「90」であるので、データ数mは「45」となる。
上記式(1)〜(4)は、本件発明者らによって記述された非特許文献(機械学会 Dynamics and Design Conference 2006,講演番号235,「図示平均有効圧の動的(過渡)計測について」)により既に発表されているものであり、図示平均有効圧と高い相関性のある燃焼状態パラメータが得られることが確認されている。
次に図4〜6を参照して本実施形態におけるカム角度センサ14の構成を詳細に説明する。
図4は、パルサ30の構成を説明するための図であり、円板状のパルサ30には、円板の中心(以下「パルサ中心」という)PCから延びる4本の破線L11〜L14で90度毎に分割された扇状の領域毎に、複数の被検出孔40からなる第1パルス発生部31、第2パルス発生部32、第3パルス発生部33、及び第4パルス発生部34が設けられている。被検出孔40は、図4では短い実線で示されているが、図5に一部を拡大して示すように実際にはパルサ30に穿孔することによって形成される。なお、図4に示す一点鎖線は、半径方向位置を判り易くするために示したものである。本実施形態では、各パルス発生部の被検出孔40の数は「90」であって、カム軸の回転角度1度毎(クランク角度2度毎)にパルスが出力されるように構成されている。すなわち、被検出孔40は、パルサ30の周方向に所定角度CCA1(=1度)間隔で、第1〜第4パルス発生部31〜34に設けられている。
破線L11及びL12で画成される領域に設けられた第1パルス発生部31は#1気筒に対応し、破線L12及びL13で画成される領域に設けられた第3パルス発生部33は#3気筒に対応し、破線L13及びL14で画成される領域に設けられた第4パルス発生部34は#4気筒に対応し、破線L14及びL11で画成される領域に設けられた第2パルス発生部32は#2気筒に対応する。すなわち、パルサ30が左回りに回転したときの点火順序にしたがって、第1パルス発生部31、第3パルス発生部33、第4パルス発生部34、第2パルス発生部32の順に配置されている。
第1〜第4パルス発生部31〜34は、それぞれパルサ30の半径方向位置が異なるように配置されている。すなわち、第1パルス発生部31は最外周部に配置され、第3パルス発生部33は、第1パルス発生部31の内周側に配置され、第4パルス発生部34は、第3パルス発生部33の内周側に配置され、第2パルス発生部32は、第4パルス発生部34の内周側に、すなわち最内周部に配置されている。
さらに第1〜第4パルス発生部31〜34の中心位置、すなわちパルサ中心PCから延びる実線L21〜L24の位置が、各気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致するように、パルサ30がカム軸に取り付けられている。実線L21と破線L11のなす角度、実線L22と破線L14のなす角度、実線L23と破線L12のなす角度、及び実線L24と破線L13のなす角度は、何れも45度である。
図6は、パルサ30を側面からみた説明図であり、図7は図6の左方向からみた、光センサ41〜44の配置を説明するための図である。パルサ30はカム軸24に取り付けられ、第1〜第4パルス発生部31〜34に対向する位置に、第1〜第4光センサ41〜44が設けられている(これらのセンサ41〜44の支持部材などの図示は省略されている)。第1〜第4光センサ41〜44は、パルサ30の回転によって被検出孔40が各光センサの前を通過する際にパルスを出力し、ECU5に第1〜第4パルス列PLS1〜PLS4を供給する。
第1〜第4光センサ41〜44は、それぞれ第1〜第4パルス発生部31〜34の半径方向中心位置に対向する位置に配置され、かつ図7の垂直方向(パルサ30の半径方向)の一つ直線(図7に示す状態では破線L11)上に位置するように配置される。各光センサ41〜44は、実際にはパルサ30を挟んで配置される発光素子及び受光素子によって構成される公知のセンサであり、図6(及び後述する光センサを示す図)では、発光素子を省略し、受光素子のみを示している。
ECU5は、第1〜第4パルス列PLS1〜PLS4のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1または第2力センサの検出信号P2のサンプリングを行う。すなわち、第1光センサ41から出力される第1パルス列PLS1のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、図3に示すサンプリング期間TSMP#1の太線L1で示すサンプリングデータが自動的に取得され、第3光センサ43から出力される第3パルス列PLS3のパルスに同期して、第2力センサ12の検出信号P2をサンプリングすることによって、図3に示すサンプリング期間TSMP#3の細線L2で示すサンプリングデータが自動的に取得され、第4光センサ44から出力される第4パルス列PLS4のパルスに同期して、第2力センサ12の検出信号P2をサンプリングすることによって、図3に示すサンプリング期間TSMP#4の細線L2で示すサンプリングデータが自動的に取得され、第2光センサ42から出力される第2パルス列PLS2のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、図3に示すサンプリング期間TSMP#2の太線L1で示すサンプリングデータが自動的に取得される。
以上のように本実施形態では、4個の気筒のそれぞれに対応した第1〜第4パルス発生部31〜34の被検出孔40を、光センサ41〜44を用いて検出することによって、4個の気筒のそれぞれに対応したサンプリングパルス(パルス列PLS1〜PLS4)が得られ、しかも各パルス発生部31〜34の角度範囲の中央位置を示す実線L21〜L24が、#1、#3、#4、#2気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致するようにパルサ30がカム軸24に取り付けられるので、サンプリング期間を設定するためのソフトウエア処理を行うことなく、図3に示すサンプリング期間TSMP#1〜TSMP#4において各気筒の燃焼状態を推定するために最適なサンプリングデータを得ることができる。さらに、第1〜第4パルス発生部31〜34は半径方向の位置が異なるように配置されるので、4つのパルス列PLS1〜PLS4を生成するためのパルサ30を一つのディスクで構成することができる。
なお、本実施形態では、第1〜第4パルス発生部31〜34は、それぞれカム角度範囲90度(クランク角度範囲180度)のサンプリング期間においてサンプリングを行うように構成したが、パルスを出力するカム角度範囲を例えば60度程度として、検出対象気筒以外の気筒における吸気弁または排気弁が着座する際の振動の影響を回避するようにしてもよい。
また各パルス発生部の被検出孔40の角度間隔(所定角度CCA1)は、1度に限るものではなく、3度、あるいは6度などに設定してもよい。
[第2の実施形態]
本実施形態は、クランク角度センサ13を、図8に示すパルサ50と、パルサ50に対向して配置される第1及び第2光センサ61,62とによって構成し、第1及び第2光センサ61,62から出力されるパルス列に同期して、力センサ11,12の検出信号P1,P2をサンプリングするようにしたものである。またカム角度センサ14としては、気筒判別が可能な従来のセンサが使用される。以下に説明する点以外は、第1の実施形態と同一である。
円板状のパルサ50には、パルサ中心PCを通る破線L31で分割された2つの半円形領域のそれぞれに、複数の被検出孔40からなる第1パルス発生部51及び第2パルス発生部52が設けられている。本実施形態では、各パルス発生部の被検出孔40の数は「180」であって、クランク軸の回転角度1度毎にパルスが出力されるように構成されている。すなわち、被検出孔40は、パルサ50の周方向に所定角度CCR1(=1度)間隔で、第1及び第2パルス発生部51,52に設けられている。
図8において右側に示される半円形の領域に設けられた第1パルス発生部51は#1気筒及び#4気筒に対応し、図8において左側に示される半円形の領域に設けられた第2パルス発生部52は#3気筒及び#2気筒に対応する。すなわち、パルサ50が左回りに回転したときの点火順序にしたがって、#1気筒または#4気筒に対応するパルス列が生成され、次に#3気筒または#2気筒に対応するパルス列が生成される。#1気筒または#4気筒の何れに対応するか、及び#3気筒または#2気筒の何れに対応するかは、カム角度センサ14の出力から得られる気筒判別情報を用いて判別される。
第1及び第2パルス発生部51,52は、それぞれパルサ50の半径方向位置が異なるように配置されている。すなわち、第1パルス発生部51は最外周部に配置され、第2パルス発生部52は、第1パルス発生部51の内周側に配置されている。
さらに第1パルス発生部51の中心位置、すなわちパルサ中心PCから延びる実線L41の位置が、#1または#4気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致し、第2パルス発生部52の中心位置、すなわち実線L42の位置が#2または#3気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致するように、パルサ50がクランク軸に取り付けられている。実線L41と破線L31のなす角度、及び実線L42と破線L13のなす角度は、何れも90度である。
第1及び第2光センサ61,62の取り付け位置は、図8に太い破線で示されており、第1パルス発生部51に対向する半径方向位置に第1光センサ61が配置され、第2パルス発生部52に対向する半径方向位置に第2光センサ62が配置され、かつ図8の垂直方向(パルサ50の半径方向)の一つ直線(図8に示す状態では破線L13)上に位置するように配置される。第1及び第2光センサ61,62は、パルサ50の回転に伴って被検出孔40を検出することにより、それぞれ第1パルス列PLS11及び第2パルス列PLS12を出力する。
ECU5は、第1及び第2パルス列PLS11,PLS12のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1または第2力センサの検出信号P2のサンプリングを行う。すなわち、気筒判別情報によって#1気筒の圧縮行程〜燃焼行程と判定されるときに、第1光センサ61から出力される第1パルス列PLS11のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、図3に示すサンプリング期間TSMP#1の太線L1で示すサンプリングデータが自動的に取得され、気筒判別情報によって#3気筒の圧縮行程〜燃焼行程と判定されるときに、第2光センサ62から出力される第2パルス列PLS12のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、図3に示すサンプリング期間TSMP#3の細線L2で示すサンプリングデータが自動的に取得され、気筒判別情報によって#4気筒の圧縮行程〜燃焼行程と判定されるときに、第1光センサ61から出力される第1パルス列PLS12のパルスに同期して、第2力センサ12の検出信号P2をサンプリングすることによって、図3に示すサンプリング期間TSMP#4の細線L2で示すサンプリングデータが自動的に取得され、気筒判別情報によって#2気筒の圧縮行程〜燃焼行程と判定されるときに、第2光センサ62から出力される第2パルス列PLS12のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、図3に示すサンプリング期間TSMP#2の太線L1で示すサンプリングデータが自動的に取得される。
以上のように本実施形態では、4個の気筒の中の、2つの気筒の組(#1気筒と#4気筒の組、及び#2気筒と#3気筒の組)にそれぞれに対応した第1及び第2パルス発生部51,52の被検出孔40を検出することによって、2つの気筒の組のそれぞれに対応した第1及び第2パルス列PLS11,PLS12が得られるので、カム角度センサ14によって得られる気筒判別情報と組み合わせることによって、4個の気筒のそれぞれに対応したサンプリングパルスが得られる。しかも第1及び第2パルス発生部51,52の角度範囲の中央位置が、対応する気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致するようにパルサ50がクランク軸に取り付けられるので、サンプリング期間を設定するためのソフトウエア処理負担を低減して、図3に示すサンプリング期間TSMP#1〜TSMP#4において各気筒の燃焼状態を推定するために最適なサンプリングデータを得ることができる。さらに、第1及び第2パルス発生部51,52は半径方向の位置が異なるように配置されるので、2つのパルス列PLS11,PLS12を生成するためのパルサ50を一つのディスクで構成することができる。
なお、本実施形態では、第1及び第2パルス発生部51,52は、それぞれクランク角度範囲180度のサンプリング期間においてサンプリングを行うように構成したが、パルスを出力するクランク度範囲を例えば120度程度として、検出対象気筒以外の気筒における吸気弁または排気弁の着座する際の振動の影響を回避するようにしてもよい。
また各パルス発生部の被検出孔40の角度間隔(所定角度CCR1)は、1度に限るものではなく、3度、あるいは6度などに設定してもよい。
[第3の実施形態]
本実施形態は、第2の実施形態におけるクランク角度センサ13を、図9に示すパルサ70と、パルサ70に対向して配置される第1〜第3光センサ61,62,63とによって構成し、第1〜第3光センサ61〜63から出力されるパルス列に同期して、力センサ11,12の検出信号P1,P2をサンプリングするように変更したものである。以下に説明する点以外は、第2の実施形態と同一である。
図9に示すように、本実施形態では、図の右側の半円領域に第1サブパルス発生部71a及び第2サブパルス発生部71bからなる第1パルス発生部71が設けられ、図の左側の半円領域に第1サブパルス発生部72a及び第2サブパルス発生部72bからなる第2パルス発生部72が設けられている。第1サブパルス発生部71a及び第1サブパルス発生部72aの被検出孔40の角度間隔は所定角度CRA1a(=6度)であり、第2サブパルス発生部71b及び第2サブパルス発生部72bの被検出孔40の角度間隔は所定角度CRA1b(=1度)である。
第2の実施形態と同様に第1及び第2光センサ61,62が設けられ、さらに第3光センサ63が設けられている。第1光センサ61は、第1サブパルス発生部71aの被検出孔40を検出し、第2光センサ62は、第2サブパルス発生部71b及び第1サブパルス発生部72aの被検出孔40を検出し、第3光センサ63は、第2サブパルス発生部72bの被検出孔40を検出する。
ECU5は、力センサの検出信号P1,P2のサンプリング値から演算される燃焼状態パラメータEIMEPの変動率CREIMEPが判定閾値より小さいとき、すなわちエンジン1の運転状態が安定しているときには、第1サブパルス発生部71a,72aの被検出孔40を検出することによって得られる第1及び第2パルス列PLS21,PLS22を用いて、力センサ11,12の検出信号P1,P2のサンプリングを行う一方、変動率CREIMEPが判定閾値以上であって、エンジン1の運転状態が不安定であるときには、第2サブパルス発生部71b,72bの被検出孔40を検出することによって得られる第3及び第4パルス列PLS23,PLS24を用いて検出信号P1,P2のサンプリングを行う。エンジン1の運転状態が安定しているときは、比較的長いサンプリング周期でサンプリングされた検出値を用いても、燃焼状態パラメータEIMEPを比較的高い精度で算出可能であることを考慮したものである。
なお、変動率CREIMEPは、燃焼状態パラメータEIMEPの所定数(例えば100)の最新の算出値から、それらの算出値の標準偏差及び平均値を算出し、標準偏差を平均値で除算することによって算出される。
第1パルス列PLS21は第1光センサ61から出力され、第2パルス列PLS22及び第3パルス列PLS23は、第2光センサ62から出力され、第4パルス列PLS24は、第3光センサ63から出力される。第1パルス列PLS21及び第2パルス列PLS22によるサンプリングと、各気筒に対応するサンプリング期間TSMP#1〜TSMP#4との関係は、第2の実施形態と同様である。また、第3パルス列PLS23及び第4パルス列PLS24によるサンプリングと、各気筒に対応するサンプリング期間TSMP#1〜TSMP#4との関係も同様である。
本実施形態では、第1パルス発生部71が、径方向の位置が異なる第1及び第2サブパルス発生部71a,71bによって構成され、第2パルス発生部72が、径方向の位置が異なる第1及び第2サブパルス発生部72a,72bによって構成される。第1サブパルス発生部71a,72aにおける被検出孔40の角度間隔(CRA1a=6度)が、第2サブパルス発生部71b,72bにおける被検出孔40の角度間隔(CRA1b=1度)より大きくなるように構成され、第1サブパルス発生部71a,72aはエンジン1の運転状態が安定している場合に使用され、第2サブパルス発生部71b,72bはエンジン1の運転状態が不安定である場合に使用される。エンジン1の運転状態が安定している場合には、サンプリング周期が比較的長くても(サンプリングデータ数が少なくても)、燃焼状態パラメータEIMEPを比較的精度良く算出可能であり、第1サブパルス発生部71a,72aを使用することによって演算負荷を軽減できる。またエンジン1の運転状態が不安定である場合には、第2サブパルス発生部71b,72bを使用することによって、不安定である場合における燃焼状態パラメータEIMEPの算出精度を確保することができる。
また第1パルス発生部71の第2サブパルス発生部71bの半径方向位置が、第2パルス発生部72の第1サブパルス発生部72aと半径方向位置と一致するように、第1及び第2パルス発生部71,72が配置されるので、第1パルス発生部71の第2サブパルス発生部71bの被検出孔40を検出する第2光センサ62を、第2パルス発生部72の第1サブパルス発生部72aの被検出孔40の検出にも使用することができる。したがって、すべてのサブパルス発生部71a,71b,72a,72bの半径方向位置が異なるように配置する場合に比べて、光センサの数を減少させてコストを低減することできる。
[変形例]
図9に示すパルサ70では、第2パルス発生部72の第2サブパルス発生部72bは、第1サブパルス発生部72aの内周側に設けるようにしたが、図10に示すパルサ70aのように、第1サブパルス発生部72aの外周側、すなわち第1パルス発生部71の第1サブパルス発生部71aと同一の半径方向位置に設けるようにしてもよい。
この変形例によれば、第3光センサ63は不要となり、第1光センサ61から第4パルス列PLS24が出力される。すなわち、第1パルス発生部71の第2サブパルス発生部71bの半径方向位置が、第2パルス発生部72の第1サブパルス発生部72aと半径方向位置と一致し、かつ第1パルス発生部71の第1サブパルス発生部71aの半径方向位置が、第2パルス発生部72の第2サブパルス発生部72bと半径方向位置と一致するように、第1及び第2パルス発生部71,72が配置されるので、光センサの数をさらに減少させてコストを低減することができる。
なお、第1サブパルス発生部71a,72aにおける被検出孔40の角度間隔(所定角度CRA1a)は、6度に限るものではなく、例えば15度、30度などとしてもよく、その場合には第2サブパルス発生部71b,72bにおける被検出孔40の角度間隔(所定角度CRA1b)は、例えば3度、6度などとする。
[第4の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態におけるカム角度センサ14を、図11に示すパルサ80と、パルサ80に対向して配置される第1〜第4光センサ41〜44とによって構成し、第1〜第4光センサ41〜44から出力されるパルス列に同期して、力センサ11,12の検出信号P1,P2をサンプリングするように変更したものである。以下に説明する点以外は、第1の実施形態と同一である。
図11に示すように、第1パルス発生部81は、第1サブパルス発生部81a及び第2サブパルス発生部81bによって構成され、第2パルス発生部82は、第1サブパルス発生部82a及び第2サブパルス発生部82bによって構成され、第3パルス発生部83は、第1サブパルス発生部83a及び第2サブパルス発生部83bによって構成され、第4パルス発生部84は、第1サブパルス発生部84a及び第2サブパルス発生部84bによって構成される。第1サブパルス発生部81a〜84aの被検出孔40の角度間隔は所定角度CCA1a(=6度)であり、第2サブパルス発生部81b〜84bの被検出孔40の角度間隔は所定角度CCA1b(=1度)である。
エンジン1の運転状態が安定している場合には、各パルス発生部の第1サブパルス発生部81a〜84aの被検出孔40を検出することにより、第1の実施形態と同様に第1〜第4パルス列PLS31〜PLS34が生成され、エンジン1の運転状態が不安定である場合には、各パルス発生部の第2サブパルス発生部81b〜84bの被検出孔40を検出することにより、第5〜第8パルス列PLS35〜PLS38が生成される。すなわち、第1光センサ41が、第1サブパルス発生部81aに対応する第1パルス列PLS31、及び第2サブパルス発生部82bに対応する第6パルス列PLS36を出力し、第2光センサ42が、第1サブパルス発生部82aに対応する第2パルス列PLS32、及び第2サブパルス発生部84bに対応する第8パルス列PLS38を出力し、第3光センサ43が、第1サブパルス発生部83aに対応する第3パルス列PLS33、及び第2サブパルス発生部81bに対応する第5パルス列PLS35を出力し、第4光センサ44が、第1サブパルス発生部84aに対応する第4パルス列PLS34、及び第2サブパルス発生部83bに対応する第7パルス列PLS37を出力する。
本実施形態では、第1パルス発生部81の第2サブパルス発生部71bの半径方向位置が、第3パルス発生部83の第1サブパルス発生部83aと半径方向位置と一致し、第1パルス発生部81の第1サブパルス発生部81aの半径方向位置が、第2パルス発生部82の第2サブパルス発生部82bと半径方向位置と一致し、第3パルス発生部83の第2サブパルス発生部83bの半径方向位置が、第4パルス発生部84の第1サブパルス発生部84aと半径方向位置と一致し、第4パルス発生部84の第2サブパルス発生部84bの半径方向位置が、第2パルス発生部82の第1サブパルス発生部82aと半径方向位置と一致するように、第1〜第4パルス発生部81〜84が配置されるので、第1及び第2サブパルス発生部81a〜84a,81b〜84bを全て異なる半径方向位置に配置する場合に比べて、光センサの数を低減することができ、第1の実施形態と同数の光センサを用いて、発生角度間隔が異なる2種類パルス列を生成することができる。
なお、第1サブパルス発生部81a〜84aにおける被検出孔40の角度間隔(所定角度CCA1a)は、6度に限るものではなく、例えば7.5度、15度などとしてもよく、その場合には第2サブパルス発生部81b〜84bにおける被検出孔40の角度間隔(所定角度CCA1b)は、例えば1.5度、3度などとする。
[第5の実施形態]
本実施形態は、第2の実施形態におけるエンジン1が3気筒のエンジン1aである場合に対応するものであり、力センサ11,12は、例えば図13(a)に示すように配置される。クランク角度センサ13は、図12に示すパルサ90と、パルサ90に対向して配置される第1〜第3光センサ61,62,63とによって構成し、第1〜第3光センサ61〜63から出力されるパルス列に同期して、力センサ11,12の検出信号P1,P2をサンプリングするようにしたものである。図13(a)に示す力センサ11,12の配置によれば、検出信号P1から#1気筒及び#2気筒の燃焼状態パラメータEIMEPが算出され、検出信号P2から#3気筒の燃焼状態パラメータEIMEPが算出される。本実施形態は、以下に説明する点以外は第2の実施形態と同一である。
円板状のパルサ90には、パルサ中心PCを通る破線L51〜L53で分割された3つの扇状の領域のそれぞれに、複数の被検出孔40からなる第1パルス発生部91、第2パルス発生部92、及び第3パルス発生部93が設けられている。本実施形態では、各パルス発生部の被検出孔40の数は「120」であって、クランク軸の回転角度1度毎にパルスが出力されるように構成されている。すなわち、被検出孔40は、パルサ90の周方向に所定角度CCR1(=1度)間隔で、第1〜第3パルス発生部91〜93に設けられている。
破線L51及びL52で画成される領域に設けられた第1パルス発生部91は#1気筒に対応し、破線L52及びL53で画成される領域に設けられた第2パルス発生部92は#2気筒に対応し、破線L53及びL51で画成される領域に設けられた第3パルス発生部93は#3気筒に対応する。3気筒のエンジン1aにおける点火順序は、#1気筒→#3気筒→#2気筒の順であり、燃焼行程開始上死点はクランク角度240度間隔である。したがって、図12に示す第1〜第3パルス発生部91〜93の配置は、240度間隔でみると、パルサ90が左回りに回転したときの点火順序に対応したものとなっている。
第1〜第3パルス発生部91〜93は、それぞれパルサ90の半径方向位置が異なるように配置されている。すなわち、第1パルス発生部91は最外周部に配置され、第2パルス発生部92は、第1パルス発生部91の内周側に配置され、第3パルス発生部93は、第2パルス発生部92の内周側に配置されている。
さらに第1〜第3パルス発生部91〜93の中心位置、すなわちパルサ中心PCから延びる実線L61〜L63の位置が、各気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致するように、パルサ90がクランク軸に取り付けられている。実線L61と破線L51のなす角度、実線L62と破線L52のなす角度、及び実線L63と破線L53のなす角度は、何れも60度である。
第1〜第3光センサ61〜63の取り付け位置は、図12に太い破線で示されており、第1パルス発生部91に対向する半径方向位置に第1光センサ61が配置され、第2パルス発生部92に対向する半径方向位置に第2光センサ62が配置され、第3パルス発生部93に対向する半径方向位置に第3光センサ63が配置され、かつ図12の垂直方向(パルサ90の半径方向)の一つ直線(図12に示す状態では破線L51)上に位置するように配置される。第1〜第3光センサ61〜63は、パルサ90の回転(左回り)に伴って被検出孔40を検出することにより、それぞれ第1パルス列PLS41、第2パルス列PLS42、及び第3パルス列PLS43を出力する。
ECU5は、第1〜第3パルス列PLS41〜PLS43のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1または第2力センサの検出信号P2のサンプリングを行う。すなわち、第1光センサ61から出力される第1パルス列PLS41のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、#1気筒の燃焼行程開始上死点を中心としたクランク角度120度のサンプリング期間におけるサンプリングデータが自動的に取得され、第3光センサ63から出力される第3パルス列PLS43のパルスに同期して、第2力センサ12の検出信号P2をサンプリングすることによって、#3気筒の燃焼行程開始上死点を中心としたクランク角度120度のサンプリング期間におけるサンプリングデータが自動的に取得され、第2光センサ62から出力される第2パルス列PLS42のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、#2気筒の燃焼行程開始上死点を中心としたクランク角度120度のサンプリング期間におけるサンプリングデータが自動的に取得される。以下この順序で、クランク角度240度周期でサンプリングデータの取得が行われる。
以上のように本実施形態では、3個の気筒のそれぞれに対応した第1〜第3パルス発生部91〜93の被検出孔40を、光センサ61〜63を用いて検出することによって、3個の気筒のそれぞれに対応したサンプリングパルス(パルス列PLS41〜PLS43)が得られ、しかも各パルス発生部91〜93の角度範囲の中央位置を示す実線L61〜L63が、#1、#2、#3気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致するようにパルサ90がクランク軸に取り付けられるので、サンプリング期間を設定するためのソフトウエア処理を行うことなく、各気筒の燃焼行程開始上死点を中心とするクランク角度120度のサンプリング期間において各気筒の燃焼状態を推定するために最適なサンプリングデータを得ることができる。さらに、第1〜第3パルス発生部91〜93は半径方向の位置が異なるように配置されるので、3つのパルス列PLS41〜PLS43を生成するためのパルサ90を一つのディスクで構成することができる。
なお、本実施形態では、第1〜第3パルス発生部91〜93の被検出孔40の角度間隔(所定角度CCR1)は1度としたが、これに限るものではなく、3度、あるいは6度などに設定してもよい。また、第1〜第3パルス発生部91〜93の角度範囲は、120度に限るものではなく、より狭い角度範囲に設定してもよい。
[第6の実施形態]
本実施形態は、第2の実施形態におけるエンジン1が5気筒のエンジン1bである場合に対応するものであり、力センサ11,12は、例えば図13(b)に示すように4気筒エンジン1と同様に配置され、さらに力センサ11aが#5気筒に対応して配置される。クランク角度センサ13は、図14に示すパルサ100と、パルサ100に対向して配置される第1〜第5光センサ61〜65とによって構成し、第1〜第5光センサ61〜65から出力されるパルス列に同期して、力センサ11,12,11aの検出信号P1,P2,P3をサンプリングするようにしたものである。図13(b)に示す力センサ11,12,11aの配置によれば、検出信号P1から#1気筒及び#2気筒の燃焼状態パラメータEIMEPが算出され、検出信号P2から#3気筒及び#4気筒の燃焼状態パラメータEIMEPが算出され、検出信号P3から#5気筒の燃焼状態パラメータEIMEPが算出される。本実施形態は、以下に説明する点以外は第2の実施形態と同一である。
円板状のパルサ100には、パルサ中心PCを通る破線L71〜L75で分割された5つの扇状の領域のそれぞれに、複数の被検出孔40からなる第1パルス発生部101、第2パルス発生部102、第3パルス発生部103、第4パルス発生部104、及び第5パルス発生部105が設けられている。本実施形態では、各パルス発生部の被検出孔40の数は「72」であって、クランク軸の回転角度1度毎にパルスが出力されるように構成されている。すなわち、被検出孔40は、パルサ100の周方向に所定角度CCR1(=1度)間隔で、第1〜第5パルス発生部101〜105に設けられている。
破線L71及びL72で画成される領域に設けられた第1パルス発生部101は#1気筒に対応し、破線L72及びL73で画成される領域に設けられた第2パルス発生部102は#2気筒に対応し、破線L73及びL74で画成される領域に設けられた第3パルス発生部103は#3気筒に対応し、破線L74及びL75で画成される領域に設けられた第4パルス発生部104は#4気筒に対応し、破線L75及びL71で画成される領域に設けられた第5パルス発生部105は#5気筒に対応する。5気筒のエンジン1bにおける点火順序は、#1気筒→#3気筒→#5気筒→#2気筒→#4気筒の順であり、燃焼行程開始上死点はクランク角度144度間隔である。したがって、図14に示す第1〜第5パルス発生部101〜105の配置は、144度間隔でみると、パルサ100が左回りに回転したときの点火順序に対応したものとなっている。
第1〜第5パルス発生部101〜105は、それぞれパルサ100の半径方向位置が異なるように配置されている。すなわち、第1パルス発生部101は最外周部に配置され、第2パルス発生部102は、第1パルス発生部101の内周側に配置され、第3パルス発生部103は、第2パルス発生部102の内周側に配置され、第4パルス発生部104は、第3パルス発生部103の内周側に配置され、第5パルス発生部105は、第4パルス発生部104の内周側に配置されている。
さらに第1〜第5パルス発生部101〜105の中心位置、すなわちパルサ中心PCから延びる実線L81〜L85の位置が、各気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致するように、パルサ100がクランク軸に取り付けられている。実線L81と破線L71のなす角度、実線L82と破線L72のなす角度、実線L83と破線L73のなす角度は、実線L84と破線L74のなす角度、実線L85と破線L75のなす角度は、何れも36度である。
第1〜第5光センサ61〜65の取り付け位置は、図14に太い破線で示されており、第1〜第5パルス発生部101〜105のそれぞれに対向する半径方向位置に第1〜第5光センサ61〜65が配置され、かつ図14の垂直方向(パルサ100の半径方向)の一つ直線(図14に示す状態では破線L71)上に位置するように配置される。第1〜第5光センサ61〜65は、パルサ100の回転(左回り)に伴って被検出孔40を検出することにより、それぞれ第1パルス列PLS51、第2パルス列PLS52、第3パルス列PLS53、第4パルス列PLS54、及び第5パルス列PLS55を出力する。
ECU5は、第1〜第5パルス列PLS51〜PLS55のパルスに同期して、以下のように検出信号P1,P2,P3のサンプリングを行う。すなわち、第1光センサ61から出力される第1パルス列PLS51のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、#1気筒の燃焼行程開始上死点を中心としたクランク角度72度のサンプリング期間におけるサンプリングデータが自動的に取得され、第3光センサ63から出力される第3パルス列PLS53のパルスに同期して、第2力センサ12の検出信号P2をサンプリングすることによって、#3気筒の燃焼行程開始上死点を中心としたクランク角度72度のサンプリング期間におけるサンプリングデータが自動的に取得され、第5光センサ65から出力される第5パルス列PLS55のパルスに同期して、第3力センサ11aの検出信号P3をサンプリングすることによって、#5気筒の燃焼行程開始上死点を中心としたクランク角度72度のサンプリング期間におけるサンプリングデータが自動的に取得され、第2光センサ62から出力される第2パルス列PLS52のパルスに同期して、第1力センサ11の検出信号P1をサンプリングすることによって、#2気筒の燃焼行程開始上死点を中心としたクランク角度72度のサンプリング期間におけるサンプリングデータが自動的に取得され、第4光センサ64から出力される第4パルス列PLS54のパルスに同期して、第2力センサ12の検出信号P2をサンプリングすることによって、#4気筒の燃焼行程開始上死点を中心としたクランク角度72度のサンプリング期間におけるサンプリングデータが自動的に取得される。以下この順序で、クランク角度144度周期でサンプリングデータの取得が行われる。
以上のように本実施形態では、5個の気筒のそれぞれに対応した第1〜第5パルス発生部101〜105の被検出孔40を、光センサ61〜65を用いて検出することによって、5個の気筒のそれぞれに対応したサンプリングパルス(パルス列PLS51〜PLS55)が得られ、しかも各パルス発生部101〜105の角度範囲の中央位置を示す実線L81〜L85が、#1〜#5気筒の燃焼行程開始上死点に対応する角度位置と一致するようにパルサ100がクランク軸に取り付けられるので、サンプリング期間を設定するためのソフトウエア処理を行うことなく、各気筒の燃焼行程開始上死点を中心とするクランク角度72度のンプリング期間において各気筒の燃焼状態を推定するために最適なサンプリングデータを得ることができる。さらに、第1〜第5パルス発生部101〜105は半径方向の位置が異なるように配置されるので、5つのパルス列PLS51〜PLS55を生成するためのパルサ100を一つのディスクで構成することができる。
なお、本実施形態では、第1〜第5パルス発生部101〜105の被検出孔40の角度間隔(所定角度CCR1)は1度としたが、これに限るものではなく、3度、あるいは6度などに設定してもよい。また、第1〜第5パルス発生部101〜105の角度範囲は、72度に限るものではなく、より狭い角度範囲に設定してもよい。
[第7の実施形態]
本実施形態は、第5の実施形態におけるクランク角度センサ13を、図15に示すパルサ110と、パルサ110に対向して配置される第1〜第3光センサ61,62,63とによって構成し、第1〜第3光センサ61〜63から出力されるパルス列に同期して、力センサ11,12の検出信号P1,P2をサンプリングするように変更したものである。以下に説明する点以外は、第5の実施形態と同一である。
図15に示すように、本実施形態では、破線L51及びL52で画成される扇形領域に第1サブパルス発生部111a及び第2サブパルス発生部111bからなる第1パルス発生部111が設けられ、破線L52及びL53で画成される扇形領域に第1サブパルス発生部112a及び第2サブパルス発生部112bからなる第2パルス発生部112が設けられ、破線L53及びL51で画成される扇形領域に第1サブパルス発生部113a及び第2サブパルス発生部113bからなる第3パルス発生部113が設けられている。第1サブパルス発生部111a、第1サブパルス発生部112a、及び第1サブパルス発生部113aの被検出孔40の角度間隔は所定角度CRA1a(=6度)であり、第2サブパルス発生部111b、第2サブパルス発生部112b、及び第2サブパルス発生部113bの被検出孔40の角度間隔は所定角度CRA1b(=1度)である。
第5の実施形態と同様に第1〜第3光センサ61〜63が設けられており、第1光センサ61は、第2サブパルス発生部111b及び第1サブパルス発生部113aの被検出孔40を検出し、第2光センサ62は、第1サブパルス発生部111a及び第2サブパルス発生部112bの被検出孔40を検出し、第3光センサ63は、第1サブパルス発生部112a及び第2サブパルス発生部113bの被検出孔40を検出する。
ECU5は、力センサの検出信号P1,P2のサンプリング値から演算される燃焼状態パラメータEIMEPの変動率CREIMEPが判定閾値より小さいとき、すなわちエンジン1の運転状態が安定しているときには、第1サブパルス発生部111a,112a,113aの被検出孔40を検出することによって得られる第1パルス列PLS61,第2パルス列PLS62,第3パルス列PLS63を用いて、力センサ11,12の検出信号P1,P2のサンプリングを行う一方、変動率CREIMEPが判定閾値以上であって、エンジン1の運転状態が不安定であるときには、第2サブパルス発生部111b,112b,113bの被検出孔40を検出することによって得られる第4パルス列PLS64,第5パルス列PLS65,第6パルス列PLS66を用いて検出信号P1,P2のサンプリングを行う。
第1パルス列PLS61及び第5パルス列PLS65は、第2光センサ62から出力され、第2パルス列PLS62及び第6パルス列PLS66は、第3光センサ63から出力され、第3パルス列PLS63及び及び第4パルス列PLS64は、第1光センサ61から出力される。第1〜3パルス列PLS61〜PLS63によるサンプリングと、各気筒に対応するサンプリング期間との関係は、第5の実施形態と同様である。また、第4〜第6パルス列PLS64〜PLS66によるサンプリングと、各気筒に対応するサンプリング期間との関係も同様である。
本実施形態において、第1サブパルス発生部111a,112a,113a、及び第2サブパルス発生部111b,112b,113bの何れかを、燃焼状態パラメータEIMEPの変動率CREIMEPに応じて使用することにより、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
また第1パルス発生部111の第2サブパルス発生部111bの半径方向位置が、第3パルス発生部113の第1サブパルス発生部113aと半径方向位置と一致し、第1パルス発生部111の第1サブパルス発生部111aの半径方向位置が、第2パルス発生部112の第2サブパルス発生部112bと半径方向位置と一致し、第2パルス発生部112の第1サブパルス発生部112aの半径方向位置が、第3パルス発生部113の第2サブパルス発生部113bと半径方向位置と一致するように、第1〜第3パルス発生部111〜113が配置されるので、第5の実施形態と同じ数の光センサを使用して、パルス発生周期の異なる2種類のパルス列を生成することができる。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、被検出部は、上述した実施形態では被検出孔40に相当するが、パルサを磁性材で構成し、被検出孔を被検出溝に代えてもよい。この変形例では、検出部として磁気センサを使用する。
また上述した実施形態では、4気筒エンジンについての例を示したが、第1及び第4の実施形態は、2気筒以上の気筒を有するエンジンに適用可能であり、第2及び第3の実施形態は、2気筒以上の偶数気筒を有するエンジンに適用可能であり、第5〜第7の実施形態は、3気筒以上の奇数気筒を有するエンジンに適用可能である。ただし、気筒数が増加するほど1つの気筒に対応するサンプリング期間が短くなるので、実用可能な最大気筒数は12気筒程度である。なお、気筒数が上述した3,4,5以外の場合の力センサは、例えば偶数気筒の場合には原則として2気筒で構成される気筒対に1つの割合で配置し、奇数気筒の場合には、図13に示したように、気筒対を構成しない1つの気筒に対応して1つの力センサを装着する。またV型6気筒エンジンでは、例えば2つのバンクに1つずつ装着するか、あるいは1つのバンクに3気筒エンジンと同様に2つの力センサを装着する。なお、気筒数にかかわらず全ての気筒に対応して気筒毎に1つの力センサを装着するようにしてもよい。
また第3、第4及び第7の実施形態では、全部のパルス発生部を2つのサブパルス発生部によって構成するようにしたが、一部のパルス発生部のみを2つのサブパルス発生部によって構成するようにしてもよい(例えば第4の実施形態において、第1パルス発生部81及び第4パルス発生部84を2つのサブパルス発生部によって構成し、第2パルス発生部82及び第3パルス発生部83には、角度間隔が第2サブパルス発生部31b,34bにおける角度間隔と同一の被検出孔40のみを設ける)。この場合には、#2気筒及び#3気筒については、エンジン1の運転状態に応じたパルス列の切換は行わない。
また上述した実施形態では振動センサとして最も一般的な圧電型力センサを使用したが、圧電型力センサに代えて、加速度センサ、圧力センサ、またはすきまセンサを使用してもよい。公知の非特許文献(自動車技術学会学術講演会前刷集2006/05「加速度、力、すきまセンサを用いた図示平均有効圧モニタ法」)に示されるように、加速度センサ、圧力センサ、またはすきまセンサにより、圧電型力センサと相関性の高い検出データを得ることができる。