JP2017031247A - 硫黄系酸化防止剤を含有する硬化性樹脂組成物およびエポキシ樹脂組成物とその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い透明性を有しさらに耐熱試験後にも高い透明性を有する硬化物を与える、多価カルボン酸および/または酸無水物と、硫黄系酸化防止剤を含有する硬化性樹脂組成物、およびエポキシ樹脂組成物およびその硬化物を提供する。【解決手段】下記A、B成分を必須成分とする硬化性樹脂組成物。(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物および/または分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(B)下記式(1)で表される、硫黄系酸化防止剤(式(1)中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を、R2、R3は炭素数1〜5のアルキレン基をそれぞれ表す。【選択図】なし

Description

本発明は特に光半導体用途などの高い透明性、低着色性が求められる部分に用いるに好適な、硬化性樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、それを硬化してなる硬化物に関する。
光半導体用途に用いる熱硬化性樹脂として、シリコーン樹脂組成物やエポキシ樹脂組成物が多く用いられている。
光半導体、特にLED(Light Emitting Diode)の中でもSMD(Surface Mount Device)は機材に装着する際に、ハンダリフロー工程として二百数十度といった高温に数十秒曝される。
シリコーン樹脂組成物を熱硬化して得られるシリコーン樹脂は耐熱透明性に優れるものの、ガスバリア性に劣り、外部の腐食性ガスから光半導体に用いられている部材(銀メッキ、金ワイヤーなど)の腐食を防ぎきれない問題があった(特許文献1)。
一方、エポキシ樹脂組成物はガスバリア性に優れるものの、耐熱透明性に劣るために、光半導体装置に用いた場合、その信頼性に劣る問題があった。
そこで、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤を用いて耐熱透明性の改善を行っているが未だ満足できるものは得られていない(特許文献2)。
特許第5678592号公報 特開2015−117325
本発明は、特にSMDタイプのLED封止材などに使用する場合は、硬化物の透明性に優れ、さらに耐熱透明性にも優れる硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物、硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記したような実状に鑑み、鋭意検討した結果、分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物および/または分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物と、硫黄系酸化防止剤を含有する硬化性樹脂組成物およびエポキシ樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(9)に関する。

(1)下記(A)、(B)成分を含有する硬化性樹脂組成物。
(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物および/または分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物
(B)下記式(1)で表される、硫黄系酸化防止剤
Figure 2017031247
(式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を、R、Rは炭素数1〜5のアルキレン基をそれぞれ表す。式中、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。)
(2)(A)分子中に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物が、下記式(2)で表される、(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure 2017031247
(式(2)中、Xは0〜6の酸素原子、窒素原子、リン原子、ケイ素原子を含んでもよい、炭素数2〜100の多価アルコールの残基を、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を、mは平均で1〜6を、nは平均で2〜6をそれぞれ表す。式中、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。)
(3)(A)分子中に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物が、下記(a)の残基及び下記(b)の残基を有し、下記(a)及び(b)の各残基はエステル構造で結合されている末端にカルボキシル基を有する化合物である、(1)又は(2)のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。

(a)分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物の反応残基
(b)分子内に一つ以上のカルボン酸無水物化合物を有する化合物の反応残基

(4)(A)分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物が、下記式(3)〜(5)より選択される一種以上である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure 2017031247
(5)式(1)中の、Rはターシャリーブチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基である、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)の硬化性樹脂組成物に、さらに(C)エポキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(7)(C)エポキシ樹脂がシリコーン変性エポキシ樹脂である(6)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(8)シリコーン変性エポキシ樹脂が下記式(6)で表される(7)に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2017031247
(式(6)中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を、Yはエポキシ基含有の有機基又は炭素数1〜6の炭化水素基を、pは1〜3の整数をそれぞれ表す。式中に複数存在するR、Yはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。ただし、複数存在するY中、2つ以上はエポキシ基含有の有機基である。)
(9)(6)〜(8)のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
本発明によれば、分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物および/または分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物と、硫黄系酸化防止剤を含有する熱硬化性樹脂組成物は、高い透明性および高い耐熱透明性を有する硬化物を与えるため、高い透明性且つ高い耐熱透明性が求められる材料、特に光半導体用樹脂としてきわめて有用である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は下記(A)及び(B)成分を含有する。
(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物および/または分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物
(B)下記式(1)で表される、硫黄系酸化防止剤
Figure 2017031247
(式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を、R、Rは炭素数1〜5のアルキレン基をそれぞれ表す。式中、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。)
まず、(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物について説明する。
(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物の中でも下記式(2)で表される、分子内にエステル構造(好ましくは二つ以上のエステル構造)を有し、末端にカルボキシル基を有する化合物が硫黄系酸化防止剤との相溶性の観点から好ましい。
Figure 2017031247
式(2)中、Xは0〜50(好ましくは0〜6)の酸素原子、窒素原子、リン原子、ケイ素原子を含んでもよい、炭素数2〜100の多価アルコールの残基を、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を、mは平均で1〜6を、nは平均で2〜6をそれぞれ表す。式中、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。
Xは炭素数2〜100の多価アルコールの残基(反応に用いた多価アルコールから水酸基を除いた残基)であるが、分岐鎖状の架橋基、シクロアルキル基もしくはポリシロキサン基が好ましく、特に下記(I)〜(IV)のいずれか一項以上で定義される2〜4価の架橋基であることが好ましい。
(I) 炭素数6〜20の分岐構造を有する鎖状アルキレン鎖であり、該鎖状アルキレン鎖が炭素数3〜12の直鎖の主鎖と、2〜4個の側鎖を有し、かつその側鎖の少なくとも1つが炭素数2〜10である架橋基
(II)シクロ環上にメチル基を有してもよい、トリシクロデカンジメタノール又はペンタシクロペンタデカンジメタノール、から選ばれる少なくとも1種の架橋多環ジオールから、2つの水酸基を取り除いた2価の架橋基
(III)イソシアヌル環、トリアジン環から選ばれる1種以上のヘテロ環を有する2〜3価の架橋基
(IV)両末端カルビノール変性シリコーンオイルから水酸基を除いた2価の架橋基
ここで、(IV)においては、ケイ素原子から伸びる側鎖が、メチル基又はフェニル基であることが好ましい。複数のケイ素原子から伸びる側鎖のメチル基ないしフェニル基は、同一であっても異なっていても良いが、両末端のケイ素原子から伸びる側鎖はメチル基であることが好ましい。
前記(I)〜(IV)の定義で好ましい架橋基構造を、それぞれ式(2−I)〜(2−V)に示す。
Figure 2017031247
式(2−I)〜(2−V)中、*は式(2)中の、Xの隣の酸素原子との結合位置を表し、式(2−IV)および式(2−V)中、qは平均値で1〜25をそれぞれ表す。
(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物は下記(a)、(b)の付加反応によって得られる化合物であることが、相溶性の観点から好ましい。
(a)分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物
(b)分子内に一つ以上のカルボン酸無水物化合物を有する化合物
そして、このようにして得られる化合物は、下記(a)の残基及び下記(b)の残基を有し、下記(a)及び(b)の各残基はエステル構造で結合されている末端にカルボキシル基を有する化合物となる。
(a)分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物の反応残基
(b)分子内に一つ以上のカルボン酸無水物化合物を有する化合物の反応残基
(a);分子内に二つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物としては、分子内に2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1.3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等のジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール等のトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等のテトラオール類、ジペンタエリスリトールなどのヘキサオール等、末端アルコールポリエステル、末端アルコールポリカーボネート、末端アルコールポリエーテル、シロキサン構造を有する多価アルコール等が挙げられる。
特に好ましいアルコール類としては炭素数が5以上のアルコールであり、特に1,6-ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等の化合物が挙げられ、中でも2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,4−ジエチルペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等の化合物等の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類がより好ましい。高い耐硫化性を付与する観点から、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の化合物が特に好ましい。中でも、特に分岐鎖状構造においては、分岐鎖を2つ以上有することが好ましく、特に分岐鎖が異なる炭素原子から伸びていることが好ましい。ここで、当該分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類は炭素数が5〜25であることが好ましく、5〜20であることが特に好ましい。
上記分子内に二つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物(a)の中でも下記式(7)〜(12)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017031247
シロキサン構造を有する多価アルコールは特に限定されないが、例えば下記式(13)で表されるシリコーンオイルが好ましい。
Figure 2017031247
式(13)中、Rはエーテル結合を介しても良い炭素総数1〜10アルキレン基を表し、Rはメチル基又はフェニル基を表す。また、rは繰り返し数であり平均値を意味し、1〜100である。ここで、rは1〜10が好ましい。
式(13)中、Rの具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、イソヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニル基、デシル基、エチルオキシエチレン基、エチルオキシプロピレン基、プロピルオキシエチレン基、プロピルオキシプロピレン基等が挙げられ、その中でも粘度、硬化物の耐熱透明性の観点から、プロピレン基、エチルオキシプロピレン基、プロピルオキシエチレン基が好ましい。
式(13)で表されるシリコーンオイルとしては、以下の製品名を挙げることができる。例えば、信越化学工業社製としては、X-22-160AS、KF−6000、KF−6001、KF−6002、KF−6003、東レダウコーニング社製としては、SF8427、BY16−201、旭化成ワッカーシリコーン社製としては、WACKER IM11、WACKER IM15、JNC社製としては、FM−4411、FM−4421、FM−4425、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製としては、XF42−C5277、XF42−B0970等が挙げられ、いずれも市場から入手できる。これらシリコーンオイルは1種又は2種以上を混合して用いることが出来る。これらの中でもX-22-160AS、KF6001、KF6002、BY16-201、WACKER IM11、FM−4411、XF42-B0970が好ましい。
前記した、(a);分子内に二つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物は単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
得られる硬化性樹脂組成物を液状で使用し、硬化物に高いガスバリア性を付与するため、前述したシロキサン構造を有する多価アルコールと、炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類および/又はイソシアヌル環骨格を有する多価アルコール化合物を混合して用いることが好ましい。
シロキサン構造を有する多価アルコールと炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類および/又はイソシアヌル環骨格を有する多価アルコール化合物を混合して用いる場合、その使用量は質量比として全アルコール化合物中(シロキサン構造を有する多価アルコール)/(炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類および/又はイソシアヌル環骨格を有する多価アルコール化合物)は0.2〜20が好ましく、硬化物の耐熱透明性、硬化性樹脂組成物の適度な粘度の観点から0.3〜15が好ましく、0.4〜10が特に好ましい。
(b);分子内に一つ以上の酸無水物基を含有する化合物としては特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、グルタル酸無水物、2,4−ジエチルグルタル酸無水物、コハク酸無水物等が好ましく、中でもメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、2,4−ジエチルグルタル酸無水物が好ましい。ここで、硬度を上げるためには、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物が好ましく、照度保持率を上げるためにはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸無水物が好ましく、多価カルボン酸樹脂の過度な粘度上昇を抑えるには2,4−ジエチルグルタル酸、グルタル酸が好ましい。
(b);分子内に一つ以上の酸無水物基を含有する化合物としては下記式(14)〜(21)で示される化合物から一種以上使用することが好ましい。
Figure 2017031247
付加反応の条件としては特に指定はないが、具体的な反応条件の1つとしては酸無水物、多価アルコールを無触媒、無溶剤の条件下、40〜150℃で反応させ加熱し、反応終了後、そのまま取り出す。という手法である。ただし、本反応条件に限定されない。
(A)分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物は、分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物であれば良いが、下記式(3)〜(5)で示される化合物から一種以上使用することが好ましい。
Figure 2017031247
(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物と、分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物は、それぞれ単独で用いても良いが併用することもでき、併用する場合、その使用比率が下記範囲であることが好ましい。

W1/(W1+W2)=0.05〜0.70

ただし、W1は多価カルボン酸化合物の配合質量部、W2はカルボン酸無水物基を有する化合物の配合質量部を示す。W1/(W1+W2)の範囲として、より好ましくは、0.05〜0.60、さらに好ましくは0.10〜0.55、特に好ましくは0.15〜0.4である。0.05を下回ると、硬化時にカルボン酸無水物基を有する化合物の揮発が多くなる傾向が強く、好ましくない。0.70を越えると高い粘度となり、取り扱いが難しくなる。酸無水物を含有させない(少量残存する場合は除く)場合、その形状は固形もしくは固形に近い状態、もしくは結晶となるため、問題はない。
分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物と、分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物を併用する場合、多価カルボン酸化合物の製造時に過剰の分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物の中で製造し、分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物と、分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物の混合物を作るという手法も操作の簡便性の面から好ましい。
次に前記式(1)で表される(B)硫黄系酸化防止剤について説明する。
Figure 2017031247
式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を、R、Rは炭素数1〜5のアルキレン基をそれぞれ表す。式中、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。
式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、その具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、中でもメチル基、ターシャリーブチル基が好ましく、特に式(1)中、フェノール性水酸基を挟んだRの内いずれか1つはターシャリーブチル基であることがエポキシ樹脂硬化物の耐熱透明性の観点から好ましい。
式(1)中、RおよびRは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基等が挙げられ、中でも式(1)で表される硫黄系酸化防止剤の相溶性、耐熱透明性の観点からエチレン基であることが好ましい。
式(1)であらわされる(B)硫黄系酸化防止剤の中でも、下記式(22)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2017031247
式(1)で表される硫黄系酸化防止剤は市販品を用いることができ、例えばBASF社製、Irganox1035などが挙げられる。
式(1)で表される硫黄系酸化防止剤は、リン系化合物と併用することが好ましい。リン系化合物としては後述する化合物を使用することができるが、特に併用が好まれるリン系化合物は、下記式(23)で表される。
Figure 2017031247
上記式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基又は置換基を有しても良いフェニル基を表す。式中、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。
式(23)中、Rの炭素数1〜30のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ステアリル基、ミリスチル基等が挙げられ、中でも式(1)で表される硫黄系酸化防止剤との相乗効果により耐熱透明性向上の観点からデシル基、フェニル基であることが好ましい。
また、Rは炭素数8〜25のアルキル基がより好ましい。
式(23)中、Rは置換基を有して良いフェニル基の置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
式(23)であらわされるリン系化合物の中でも、下記式(24)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2017031247
上記式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基又は置換基を有しても良いフェニル基を表す。
式(23)中、Rの炭素数1〜30のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ステアリル基、ミリスチル基等が挙げられ、中でも式(1)で表される硫黄系酸化防止剤との相乗効果により耐熱透明性向上の観点からデシル基であることが好ましい。
また、Rは炭素数8〜25のアルキル基がより好ましい。
(B)硫黄系酸化防止剤、リン系化合物の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物中への添加量は、組成物中、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましく、0.15〜1質量%が特に好ましい。添加量が0.01質量%以上であると耐熱透明性の観点から好ましく、10質量%以下であると硬化物の透明性や硬化性樹脂組成物の硬化性が優れる観点から好ましい。
得られる硬化性樹脂組成物を液状で使用し、硬化物に高い耐熱透過性を付与するため、前述した硫黄系酸化防止剤と、リン系化合物を混合して用いることが好ましい。
硫黄系酸化防止剤とリン系化合物を混合して用いる場合、その使用量は質量比として(リン系化合物)/(硫黄系酸化防止剤)は0.5〜10が好ましく、1〜8が特に好ましい。
また、上記式(23)ないし上記式(24)を上記の比率で用いることでより優れた硬化物に高い耐熱透過性を付与することができる。
(B)硫黄系酸化防止剤、リン系化合物の硬化性樹脂組成物への添加方法は、常温もしくは加温下で均一に混合することにより得られる。例えば、押出機、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて均一になるまで充分に混合し、必要によりSUSメッシュ等によりろ過処理を行うことにより調製される。この際、(B)硫黄系酸化防止剤、リン系化合物が(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物に完全に溶解されていても良いし、溶解されずに分散している状態でも良い。
次に本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、(A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物と(B)硫黄系酸化防止剤と、エポキシ樹脂(C)を含有することを特徴とする。
エポキシ樹脂(C)としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、シリコーン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記フェノール類化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−ヒドロキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4'−ビフェノール、ジメチル−4,4'−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシノール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂等が挙げられる。
前記各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂としては、例えばフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノール類、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
前記脂環式エポキシ樹脂としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環骨格を有する脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
前記脂肪族系エポキシ樹脂としては、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジルエーテル類が挙げられる。
前記複素環式エポキシ樹脂としては、例えばイソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ樹脂が挙げられる。
前記グリシジルエステル系エポキシ樹脂としては、例えばヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のカルボン酸エステル類からなるエポキシ樹脂が挙げられる。
前記グリシジルアミン系エポキシ樹脂としては、例えばアニリン、トルイジン等のアミン類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
前記ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂としては、例えばブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体としては、市場から入手可能な製品ではマープルーフG−0115S、同G−0130S、同G-0250S、同G−1010S、同G−0150M、同G−2050M (日油(株)製)等が挙げられ、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド等が挙げられる。また他の重合性不飽和化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
前記エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物とは、例えばエポキシ基をもつアルコキシシラン化合物とメチル基やフェニル基を持つアルコキシシランとの加水分解縮合物や、エポキシ基をもつアルコキシシラン化合物とシラノール基をもつポリジメチルシロキサン、シラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサン、シラノール基をもつポリフェニルシロキサンとの縮合物、またはそれらを併用し得られた縮合化合物のことである。エポキシ基をもつアルコキシシラン化合物としては、例えば2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。メチル基やフェニル基をもつアルコキシシラン化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が挙げられる。シラノール基をもつポリジメチルシロキサン、シラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサンとしては、例えば市場から入手可能な製品では、X−21−5841、KF−9701(信越化学工業(株)製)BY16−873、PRX413(東レ・ダウコーニング(株)製)XC96−723、YF3804、YF3800、XF3905、YF3057(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)DMS−S12、DMS−S14、DMS−S15、DMS−S21、DMS−S27、DMS−S31、PDS−0338、PDS−1615(Gelest社製)等が挙げられる。
シリコーン変性エポキシ樹脂とは、シリコーン鎖(Si−O鎖)を主骨格とし、一分子中にエポキシ基を2つ以上有する化合物のことである。シリコーン鎖は直鎖状、分岐状、環状、かご型、ラダー型のいずれであっても構わない。得られる硬化物の透明性、機械強度の観点から下記式(6)で表される環状シリコーン変性エポキシ樹脂が特に好ましい例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2017031247
式(6)において、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を、Yはエポキシ基含有の有機基または炭素数1〜6の炭化水素基を、pは1〜3の整数をそれぞれ表す。式中に複数存在するR、Yはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。ただし、複数存在するY中、2つ以上はエポキシ基含有の有機基である。
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基が挙げられるが、硬化物の耐熱透明性の観点から、メチル基、フェニル基が好ましく、製造容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
Yにおける有機基とは、C、H、N、O原子からなる化合物を表し、エポキシ基含有の有機基の具体例としては、2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3―グリシドキシプロピル基が挙げられ、硬化物の耐熱透明性の観点から2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基が好ましい。ここで、有機基における炭素数は1〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましい。また、炭素数1〜5のアルキレン基を介在して2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3―グリシドキシプロピル基が付加している基であることが好ましい。
Yにおける炭素数1〜6の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基が挙げられるが、硬化物の耐熱透明性の観点から、メチル基、フェニル基が好ましく、製造容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
pは化合物の製造容易性から2が好ましい。
式(6)で表される環状シリコーン変性エポキシ樹脂は、環状ハイドロジェンシロキサン化合物と分子内にエポキシ基を有するオレフィン化合物とのハイドロシリレーション反応によって得ることができる。
環状ハイドロジェンシロキサン化合物の具体例としては、トリメチルトリシクロシロキサン、トリフェニルトリシクロシロキサン、テトラメチルテトラシクロシロキサン、テトラフェニルテトラシクロシロキサン、ペンタメチルペンタシクロシロキサン、ペンタフェニルペンタシクロシロキサン等が挙げられ、製造の容易性からテトラメチルテトラシロキサンが好ましい。
分子内にエポキシ基を有するオレフィン化合物としては、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−グリシドキシ−1,2−プロペン等が挙げられ、硬化物の耐熱透明性の観点から4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンが好ましい。
ハイドロシリレーション反応は、その触媒として例えば、ロジウム、パラジウム、白金などの公知の金属錯体を用いることができる。具体的には、トリストリフェニルホスフィンロジウムクロリド、ヘキサクロロ白金酸・6水和物、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金コンプレックス、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン白金コンプレックス、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金コンプレックス、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金コンプレックス等の他、FibreCat4001、FibreCat4003(いずれも和光純薬工業製)等、市販されているポリエチレン等の溶剤不溶性の担持体に固定化された白金触媒が挙げられ、得られる分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)の透明性、硬化物の透明性の観点からヘキサクロロ白金酸・6水和物、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金コンプレックス、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン白金コンプレックス、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金コンプレックス、FibreCat4003が好ましい。
ハイドロシリレーション反応に用いる触媒は、溶媒に溶解して溶液にして用いることが、作業性の観点から好ましい。用いうる溶媒は、触媒を溶解する溶媒であれば用いることができるが、溶解性、作業性の観点から、テトラヒドロフラン、トルエンが好ましい。
溶液として用いる場合、触媒を0.05〜50質量%に調整して反応液に添加する。
ポリエチレン等に固定化された触媒を用いる場合は、そのまま反応液に添加する。
触媒の添加量は、触媒に用いられている金属量として、反応基質の0.1〜1000ppmの範囲で添加する。得られる分子内に2つ以上のエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(A)の透明性、その硬化物の透明性の観点から、1〜100ppmが好ましく、2〜20ppmが特に好ましい。添加量が0.1ppmを下回ると付加反応が遅くなる懸念があり、1000ppmより大きいとシリコーン変性エポキシ樹脂の着色がひどくなる懸念がある。
ハイドロシリレーション反応の後は、水洗、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、吸着(活性炭、各種鉱物)など、公知の方法で精製することができる。
反応および/または精製に用いた溶媒は減圧蒸留等によって除去することができる。
前記式(6)で表される環状シリコーン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量(JIS K7236に記載の方法で測定)は180〜400g/eqが好ましく、190〜250g/eqが特に好ましい。
前記式(6)で表される環状シリコーン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量の25℃における粘度は1500〜10000mPa・sが好ましく、2000〜8000mPa・sがさらに好ましく、3000〜7000mPa・sが特に好ましい。
式(6)で表される環状シリコーン変性エポキシ樹脂は、具体的には下記式(6−1)〜(6−6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017031247
これらエポキシ樹脂(C)は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
前記したエポキシ樹脂(C)の中でも、透明性、耐熱透明性、耐光透明性の観点から、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、シリコーン変性エポキシ樹脂の併用は好ましい。その中でも、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する環状シリコーン変性エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂(C)は、分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物(A)中のカルボキシル基1当量に対し、エポキシ基が0.5〜3.0当量になる範囲で使用することが好ましい。0.5当量以上であれば、硬化物の耐熱透明性が向上するため好ましく、3.0以下であれば硬化物の機械物性が向上するため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらにエポキシ樹脂硬化促進剤(D)を含有することが好ましい。
エポキシ樹脂硬化促進剤(D)としては分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物(A)と、エポキシ樹脂(C)の硬化反応を促進する能力のあるものは何れも使用可能であるが、使用できる硬化促進剤(D)の例としては、アンモニウム塩系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、金属石鹸系硬化促進剤、イミダゾ−ル系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスファイト系硬化促進剤、ルイス酸系硬化促進剤等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においてエポキシ樹脂硬化促進剤(D)の配合比率は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して0.001〜15質量部の硬化促進剤を使用することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、使用できるエポキシ樹脂硬化促進剤(D)の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−エチル,4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、および、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物およびそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニュウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニュウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニュウムブロマイド等のアンモニュウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、オクチル酸スズ等の金属化合物等、およびこれら硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。
これらの中でも、硬化物の透明性の観点から、金属石鹸硬化促進剤が優れ、金属石鹸硬化促進剤の中でもカルボン酸亜鉛化合物が硬化物の透明性の観点から特に好ましい。
金属石鹸系硬化促進剤としては、例えばオクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸銀、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸リチウム、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等が挙げられる。これら触媒は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
透明性、耐硫化性に優れる硬化物を得るために、特にステアリン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等の炭素数10〜30のカルボン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の水酸基を有する炭素数10〜30のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩が好ましく使用できる。これらの中でも特に、ポットライフ、耐硫化性に優れる観点から、ステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の炭素数10〜20のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の水酸基を有する炭素数15〜20のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩が好ましく使用でき、さらに好ましくはステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が使用でき、特に好ましくはステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が使用できる。
アンモニウム塩系硬化促進剤としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等が挙げられる。ホスホニウム塩系硬化促進剤としては、例えばエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、メチルトリブチルホスホニウムジエチルホスフェート等が挙げられる。
その他の汎用用途には、上記アンモニウム塩系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、金属石鹸系硬化促進剤の他、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、複素環化合物系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスファイト系硬化促進剤、ルイス酸系硬化促進剤等が使用できる。
前記したエポキシ樹脂硬化促進剤(D)は、室温(25℃)において固体の化合物でも液体の化合物でも使用することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物を室温(25℃)にて液状であることが必要な用途に使用する場合で室温(25℃)にて固体の化合物を硬化促進剤として使用する場合、予め樹脂に溶解させて使用することもできる。また、室温(25℃)において固体の化合物を樹脂に分散させて使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤を使用することで、組成物の粘度調整、硬化物の硬度を補完することが可能である。
使用できるカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
これらカップリング剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
カップリング剤は、本発明の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物において通常0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部が必要に応じて含有される。
本発明の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてナノオーダーレベルの無機充填材を使用することで、透明性を阻害せずに機械強度などを補完することが可能である。ナノオーダーレベルとしての目安は、平均粒径が500nm以下、特に平均粒径が200nm以下の充填材を使用することが透明性の観点では好ましい。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜95質量%を占める量が用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物に着色防止目的のため、光安定剤としてのアミン化合物又は、酸化防止材としてのリン系化合物および/またはフェノール系化合物を含有することができる。
前記アミン化合物としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−トトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5,1,11,2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ヒンダートアミン系化合物である。
前記光安定材であるアミン化合物として、次に示す市販品を使用することができる。
市販されているアミン系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、TINUVIN765、TINUVIN770DF、TINUVIN144、TINUVIN123、TINUVIN622LD、TINUVIN152、CHIMASSORB944、ADEKA製として、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−77Y、LA−81、LA−82、LA−87などが挙げられる。
前記リン系化合物としては特に限定されず、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられる。
上記リン系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているリン系化合物としては特に限定されず、例えば、ADEKA製として、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010などが挙げられる。
フェノール化合物としては特に限定はされず、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェノール、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−〔2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'−ブチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル等が挙げられる。
上記フェノール系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているフェノール系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製としてIRGANOX1010、IRGANOX1076、IRGANOX1135、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX295、IRGANOX3114、IRGANOX1098、IRGANOX1520L、アデカ製としては、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−90、アデカスタブAO−330、住友化学工業製として、SumilizerGA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、Sumilizer GPなどが挙げられる。
このほか、樹脂の着色防止剤として市販されている添加材を使用することができる。例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、THINUVIN328、THINUVIN234、THINUVIN326、THINUVIN120、THINUVIN477、THINUVIN479、CHIMASSORB2020FDL、CHIMASSORB119FLなどが挙げられる。
上記リン系化合物、アミン化合物、フェノール系化合物の中から少なくとも1種以上を含有することが好ましく、その配合量としては特に限定されないが、本発明のエポキシ樹脂組成物の全質量に対して、0.005〜5.0質量%の範囲である。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてバインダー樹脂を配合することも出来る。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、樹脂成分100質量部に対して通常0.05〜50質量部、好ましくは0.05〜20質量部が必要に応じて用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中において0〜95質量%を占める量が用いられる。更に本発明の硬化性樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物は前記各成分を常温もしくは加温下で均一に混合することにより得られる。例えば、押出機、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて均一になるまで充分に混合し、必要によりSUSメッシュ等によりろ過処理を行うことにより調製される。
本発明の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物は、分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物および/または分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(A)、硫黄系酸化防止剤(B)およびエポキシ樹脂(C)および/又は硬化促進剤(D)、酸化防止剤、光安定剤等の添加物を充分に混合することによりエポキシ樹脂組成物を調製し、封止材として使用できる。混合方法としては、薬匙、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて常温または加温して混合する。
本発明の硬化性樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤に溶解させ、硬化性樹脂組成物ワニスとし、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70質量%、好ましくは15〜70質量%を占める量を用いる。また液状組成物のままRTM方式でカーボン繊維を含有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物をフィルム型組成物の改質剤としても使用できる。具体的にはB−ステージにおけるフレキ性等を向上させる場合に用いることができる。このようなフィルム型の樹脂組成物を得る場合は、本発明のエポキシ樹脂組成物を剥離フィルム上に前記ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤を得る。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することが出来る。
更に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止材の他、封止材、基板用のシアネート樹脂組成物や、レジスト用硬化剤としてアクリル酸エステル系樹脂等、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
本発明で得られる硬化物は光学部品材料をはじめ各種用途に使用できる。光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、以下のようなものが挙げられる。液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またLED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などである。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などである。光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤、フィルムなどである。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材、接着剤などである。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材、接着剤などである。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、LEDのパッケージ材、LEDのリフレクタ材、CCDの封止材、接着剤などである。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤などである。光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料である。自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品である。また、鉄道車輌用の複層ガラスである。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートである。建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料である。農業用では、ハウス被覆用フィルムである。次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤などである。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィル)などを挙げることができる。
光学用材料の他の用途としては、硬化性樹脂組成物Aが使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
高輝度白色LED等の光半導体素子は、一般的にサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO等の基板上に積層させたGaAs、GaP、GaAlAs,GaAsP、AlGa、InP、GaN、InN、AlN、InGaN等の半導体チップを、接着剤(ダイボンド材)を用いてリードフレームや放熱板、パッケージに接着させてなる。電流を流すために金ワイヤー等のワイヤーが接続されているタイプもある。その半導体チップを、熱や湿気から守り、かつレンズ機能の役割を果たすためにエポキシ樹脂等の封止材で封止されている。本発明のエポキシ樹脂組成物はこの封止材に用いることができる。
封止材の成形方式としては、光半導体素子が固定された基板を挿入した型枠内に封止材を注入した後に加熱硬化を行い成形する注入方式、金型上に封止材をあらかじめ注入し、そこに基板上に固定された光半導体素子を浸漬させて加熱硬化をした後に金型から離形する圧縮成形方式等が用いられている。
注入方法としては、ディスペンサー等が挙げられる。
加熱は、熱風循環式、赤外線、高周波等の方法が使用できる。加熱条件は例えば80〜230℃で1分〜24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80〜120℃、30分〜5時間予備硬化させた後に、120〜180℃、30分〜10時間の条件で後硬化させることができる。
本明細書において、比率、パーセント、部などは、特に断りのない限り、質量に基づくものである。本明細書において、「X〜Y」という表現は、XからYまでの範囲を示し、その範囲はX、Yを含む。
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら合成例、実施例に限定されるものではない。なお、合成例、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。ここで、部は特に断りのない限り質量部を表す。
○GPC:GPCは下記条件にて測定した。
GPCの各種条件
メーカー:ウォーターズ
カラム:SHODEX GPC LF−G(ガードカラム)、KF−603、KF−602.5、KF−602、KF−601(2本)
流速:0.4ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
○官能基当量:以下の方法により測定した。
多価カルボン酸組成物を約0.15g秤量し、メタノール(試薬特級)40mlで溶解したのち、20〜28℃で10分間撹拌し、測定サンプルとした。測定サンプルを、京都電子工業製滴定装置AT−610を使用し、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定し、酸価として得られた値を官能基当量として算出した。
○粘度:東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
○エポキシ当量:JIS K7236に記載の方法で測定した。
合成例1;分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物と、分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物の混合物の製造
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール15g、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH)70g、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学(株)製 H−TMAn)15gを加え、40℃で3時間反応後、70℃で1時間加熱撹拌を行った。GPCによりトリシクロデカンジメタノールの1面積%以下を確認し、多価カルボン酸樹脂とカルボン酸無水物化合物の混合物(A−1)が100g得られた。得られた混合物は無色の液状であり、GPCによる純度は多価カルボン酸樹脂(下記式A−1)を42面積%、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物が11面積%、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物が47面積%であった。また、官能基当量は171g/eq.であった。
Figure 2017031247
合成例2;ハイドロシリレーション触媒に、白金固定化触媒であるFibrecat4003(和光純薬工業社製)を用いて、分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物の製造例
ガラス製200ml四つ口フラスコに、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン32.3部、Fibrecat4003(白金含有量3.4〜4.5%)を0.023部、トルエン50部を仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を80℃に保ち、そこに1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン12部を1時間かけて滴下し、そのまま10時間反応させた。反応液のH−NMR測定をしたところ、ハイドロジェンシロキサン由来のプロトンピークが消失していた。
反応液に、活性炭(味の素ファインテクノ社製)を加え、室温(20〜30℃)で3時間撹拌した後に、活性炭とFibrecat4003をろ過により除去し、得られたろ液に窒素ガスを吹き込みながら、60℃で減圧濃縮し、トルエンと過剰の4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンを除去することで、分子内に4つのエポキシ基を有する環状シロキサン化合物(C−1)36.7gを得た。得られた化合物のエポキシ当量は184.3g/eq、粘度は5601mPa・s、外観は無色透明液体であった。
実施例1;
合成例1で得られたA−1、硫黄系酸化防止剤として前記式(1−1)に記載のBASF社製Irganox1035、合成例2で得られたC−1、硬化促進剤としてサンアプロ社製U−CAT5003、リン系酸化防止剤としてADEKA社製アデカスタブ135Aを下記表1に記載の量比でポリエチレン製容器に秤量し、薬さじでよく混合した後、真空撹拌脱泡装置にて2分間撹拌し、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
比較例1;
合成例1で得られたA−1、酸化防止剤として、下記式(25)に記載のADEKA社製AO−60、合成例2で得られたC−1、硬化促進剤としてサンアプロ社製U−CAT5003、リン系酸化防止剤としてADEKA社製アデカスタブ135Aを下記表1に記載の量比でポリエチレン製容器に秤量し、薬さじでよく混合した後、真空撹拌脱泡装置にて2分間撹拌し、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
Figure 2017031247
実施例1、比較例1で得られたエポキシ樹脂組成物の配合比とその粘度、硬化時の質量減少、硬化物透過率、耐熱試験後透過率、ガラス転移温度(Tg)の結果を表1に示す。表1における試験は以下のように行った。
粘度
東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
硬化物透過率
実施例1、比較例1で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作成したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を、ガラス基板から取り出し、下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
<分光光計測定条件>
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
耐熱試験後透過率
(2)硬化物透過率で透過率を測定したサンプルを、180℃オーブンに72時間放置(大気中)した後の試験片を(2)と同じ条件にて400nmの光線透過率を測定した。
ガラス転移温度(Tg)
実施例1、比較例1で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作成したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。
得られた硬化物を幅5mm長さ25mmに成形し、下記条件にてDMA(Dynamic Mechanical Analysis)を測定し、Tg(ガラス転移温度)を読み取った。
<DMA測定条件>
メーカー:セイコーインスツル株式会社
機種:粘弾性スペクトロメータ EXSTAR DMS6100
測定温度:−50℃〜150℃
昇温速度:2℃/min
周波数:10Hz
測定モード:引張振動
DMA法により測定したガラス転移温度(Tg):
DMAを測定した際の、貯蔵弾性率(E´)と損失弾性率(E´´)の商で表される損失係数(tanδ=E´´/E´)の極大点の温度を読み取った。
Figure 2017031247
表1の結果から明らかなように、実施例1のエポキシ樹脂組成物は、LED封止材として用いるには適度な粘度であり、その硬化物の透過率、耐熱試験後の透過率にも優れる。一方、比較例1のエポキシ樹脂組成物は、適度な粘度であり、その硬化物の透過率は優れるものの、耐熱試験後の透過率に劣る。以上の事から、多価カルボン酸と酸無水物化合物と硫黄系酸化防止剤を用いた本発明のエポキシ樹脂組成物は、透明性、耐熱透明性が要求される分野に好適である。

Claims (9)

  1. 下記(A)、(B)成分を含有する硬化性樹脂組成物。
    (A)分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物および/または分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物
    (B)下記式(1)で表される、硫黄系酸化防止剤
    Figure 2017031247
    (式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を、R、Rは炭素数1〜5のアルキレン基をそれぞれ表す。式中、複数存在するR〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。)
  2. (A)分子中に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物が、下記式(2)で表される、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2017031247
    (式(2)中、Xは0〜6の酸素原子、窒素原子、リン原子、ケイ素原子を含んでもよい、炭素数2〜100の多価アルコールの残基を、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を、mは平均で1〜6を、nは平均で2〜6をそれぞれ表す。式中、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。)
  3. (A)分子中に二つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸化合物が、下記(a)の残基及び下記(b)の残基を有し、下記(a)及び(b)の各残基はエステル構造で結合されている末端にカルボキシル基を有する化合物である、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。

    (a)分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物の反応残基
    (b)分子内に一つ以上のカルボン酸無水物化合物を有する化合物の反応残基
  4. (A)分子内に一つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物が、下記式(3)〜(5)より選択される一種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2017031247
  5. 式(1)中の、Rはターシャリーブチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の硬化性樹脂組成物に、さらに(C)エポキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  7. (C)エポキシ樹脂がシリコーン変性エポキシ樹脂である請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. シリコーン変性エポキシ樹脂が下記式(6)で表される請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2017031247
    (式(6)中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を、Yはエポキシ基含有の有機基又は炭素数1〜6の炭化水素基を、pは1〜3の整数をそれぞれ表す。式中に複数存在するR、Yはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。ただし、複数存在するY中、2つ以上はエポキシ基含有の有機基である。)
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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