JP6478808B2 - 多価カルボン酸およびそれを含有する多価カルボン酸組成物、エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

多価カルボン酸およびそれを含有する多価カルボン酸組成物、エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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本発明は特に光半導体封止用などの高い透明性が求められる部分に用いるに好適な多価カルボン酸およびそれを含有する多価カルボン酸組成物、エポキシ樹脂組成物、それを硬化してなる硬化物に関する。
エポキシ樹脂組成物は、耐熱性に優れた樹脂として、建築、土木、自動車、航空機などの分野で使用されている。近年、特に半導体関連材料の分野においてはカメラ付き携帯電話、超薄型の液晶やプラズマTV、軽量ノート型パソコンなど、軽・薄・短・小がキーワードとなるような製品があふれ、これによりエポキシ樹脂に代表されるパッケージ材料にも非常に高い特性が求められてきている。
さらに、近年オプトエレクトロニクス関連分野における利用が注目されており、高度情報化に伴い、膨大な情報を円滑に伝送、処理するために、従来の電気配線による信号伝送に変わり、光信号を生かした技術が開発されていく中で、光導波路、青色LED、および光半導体等の光学部品の分野においては透明性に優れた硬化物を与える樹脂組成物の開発が望まれている。
一般にオプトエレクトロニクス関連分野で用いられるエポキシ樹脂の硬化剤としては酸無水物系の化合物が挙げられる。特に飽和炭化水素で形成された酸無水物は硬化物が耐光性に優れることから、利用されることが多い。これら酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物が一般的であり、中でも常温で液状であるメチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が取扱いの容易さから主に使用されている。
しかしながら上記脂環式酸無水物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合、これらの化合物は蒸気圧が高く、硬化時に一部が蒸発するため、エポキシ樹脂の硬化剤として用いて開放系で熱硬化させる際には、酸無水物自体が大気中に揮発してしまう。この結果、大気への有害物質の放出による環境汚染、人体への悪影響、生産ラインの汚染、硬化物中に所定量のカルボン酸無水物(硬化剤)が存在しないことに起因するエポキシ樹脂組成物の硬化不良が起こるなどの問題が発生する。硬化剤の揮発による硬化条件のバラつきが、硬化物の物性のバラつきとなり、安定して目的とした性能を有する硬化物を得ることが困難となる。
また、揮発の問題は、従来の酸無水物を硬化剤として用いて構成された光半導体封止用硬化性樹脂組成物でLED、特にSMD(Surface Mount Device)を封止した際は顕著であり、使用する樹脂量が少ないため、へこみが発生、ひどい場合には、ワイヤーが露出してしまう。さらには半田リフロー時のクラック、剥離、長期点灯にも耐えることが困難であるという問題が発生する。
一方、本発明の多価カルボン酸と近似するイソシアヌル環を有する多価カルボン酸は、例えば特許文献1などで、エポキシ樹脂の硬化剤として公知である。しかしながら特許文献に記載の多価カルボン酸は酸無水物化合物に溶解することが困難であり、室温(25℃)で、液状で使用することが必要な分野では適応が困難であった。
特許第3765946号
本発明は、硬化時に揮発が少なく硬化性に優れ、その硬化物において優れた透明性、硬さの硬化物を与える多価カルボン酸およびそれを含有する多価カルボン酸組成物、エポキシ樹脂組成物、その硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記したような実状に鑑み、鋭意検討した結果、グリコールウリル骨格を有する多価カルボン酸又はそれを含有する多価カルボン酸組成物、それらのいずれかを含有するエポキシ樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(11)に関する。
(1)下記式(1)で表される多価カルボン酸(A)。
Figure 0006478808
(式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を、Rは水素原子又は炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基をそれぞれ表す。式(1)中、複数存在するR、Rは同一であっても異なっていても構わないが、複数存在するR中、50モル%以上は炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基である。)
(2)(1)に記載の式(1)で表される多価カルボン酸(A)が、下記式(1−1)で表される多価カルボン酸(A)
Figure 0006478808
(式(1−1)中、Rは前記と同じ意味を表し、R2aは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はカルボキシル基をそれぞれ表す。式(1−1)中、複数存在するR、R2aは同一であっても異なっていても構わない。)
(3)(1)に記載の式(1)で表される多価カルボン酸(A)が、下記式(1−2)で表される多価カルボン酸(A)
Figure 0006478808
(式(1−2)中、Rは前記と同じ意味を表し、R2bは炭素数1〜10の直鎖または分岐構造を有するアルキレン基をそれぞれ表す。式(1−2)中、複数存在するR、R2bは同一であっても異なっていても構わない。)
(4)(1)〜(3)のいずれか一項に記載の多価カルボン酸(A)を含有する多価カルボン酸組成物(C)。
(5)(1)〜(3)に記載の式(1)で表される多価カルボン酸(A)と、カルボン酸無水物化合物(B)を含有する多価カルボン酸組成物(C)。
(6)カルボン酸無水物化合物(B)が下記式(2)〜(7)より一種以上選択される、(5)に記載の多価カルボン酸組成物(C)。
Figure 0006478808
(7)(1)〜(6)に記載の、多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)と、エポキシ樹脂(D)を含有するエポキシ樹脂組成物。
(8)さらにエポキシ樹脂硬化促進剤(E)を含有する(7)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(9)エポキシ樹脂硬化促進剤(E)が、金属石鹸系硬化促進剤である(8)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(10)金属石鹸系硬化促進剤が、カルボン酸亜鉛化合物である(9)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(11)(7)〜(10)のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
本発明によれば、グリコールウリル骨格を有する多価カルボン酸又はそれを含有する多価カルボン酸組成物を含有するエポキシ樹脂組成物は、硬化時の揮発が少なく硬化性に優れ、その硬化物は優れた透明性、硬さを有する硬化物を与えるため、高い透明性且つ薄膜の硬化物形成が求められ材料、特に光半導体(LEDなど)の封止用樹脂としてきわめて有用である。
実施例1で得られた多価カルボン酸(A−1)のGPCチャートである。 実施例2で得られた多価カルボン酸(A−2)のGPCチャートである。
本発明の多価カルボン酸(A)は、下記式(1)で表される、グリコールウリル骨格を有する多価カルボン酸であることを特徴とする。
Figure 0006478808
式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を、Rは水素原子又は炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基をそれぞれ表す。
の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、イソヘキシレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられるが、得られる硬化物の耐熱透明性の観点からメチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
は水素原子又は炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基である。ここで、有機基とは、H、C、N、O原子のみからなる基であり、Rは炭素数が1〜15であれば良く、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいても良い。
炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基は、1つ以上のカルボキシル基を含有する。
の中でも、水素原子又はカルボキシル基を含有する有機基が好ましく、多価カルボン酸(A)を含有する多価カルボン酸組成物(C)の室温(25℃)での粘度が上がりすぎない観点と、得られる硬化物の透明性の観点からはR基において水素原子が好ましく、得られる硬化物のガスバリア性、高いガラス転移温度(Tg)、硬さの観点からはRはカルボキシル基を含有する有機基が特に好ましい。
式(1)中、複数存在するR、Rは同一であっても異なっていても構わない。
式(1)中、複数存在するR中、50モル%以上は炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基である。50モル%以上であると硬化物の機械強度が優れるため好ましく、70モル%以上がより好ましい。
のうち炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基として、下記式(8)、(9)で表される有機基が挙げられる。
Figure 0006478808
式(8)中、R2aは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はカルボキシル基を、式(9)中、R2bは炭素数1〜10の直鎖および/または分岐構造を有するアルキレン基を、式(8)、(9)中の*で式(1)中の酸素原子と結合していることをそれぞれ表す。
ここで、硬度を向上させるには上記式(8)で表される有機基が好ましく、粘度を低減させるためには上記式(9)で表される有機基が好ましい。
R2aのうち炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、得られる硬化物の耐熱透明性の観点からメチル基が好ましい。
2aの中でも、メチル基、カルボキシル基が好ましく、多価カルボン酸(A)を含有する多価カルボン酸組成物(C)の室温(25℃)での粘度が上がりすぎない観点と、得られる硬化物の透明性の観点からはメチル基が好ましく、得られる硬化物のガスバリア性、高いガラス転移温度(Tg)、硬さの観点からはカルボキシル基が特に好ましい。
2bの具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニニレン基、デシニレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、イソヘキシレン基、イソヘプチレン基、イソオクチレン基、イソノニニレン基、イソデシニレン基、ジメチルプロピレン基、ジエチルプロピレン基、ジエチルブチレン基、ジエチルペンチレン基、ジエチルヘキシレン基等が挙げられるが、得られる硬化物の耐熱透明性の観点からエチレン基、プロピレン基、ジエチルプロピレン基が好ましく、本発明の多価カルボン酸(A)の軟化点および室温(25℃)での粘度が低粘度であることからプロピレン基が特に好ましい。
また、R2bのアルキレン基は、耐熱性、耐光性、耐硫化性の観点から分岐鎖を有していることが好ましく、特にアルキレン基上の2つ以上の異なる炭素原子から分岐鎖が伸びていることが好ましい。そして、分岐鎖を有する炭素数1〜6(好適には、炭素数1〜3)のアルキレン基が好ましく、アルキレン基上の2つ以上の異なる炭素原子から分岐鎖が伸びている炭素数1〜6(好適には、炭素数1〜3)のアルキレン基がより好ましい。
のうち炭素数1〜10のカルボキシル基を含有する有機基の具体例として、下記式(8−1)〜(8−3)および(9−1)〜(9−3)で表される有機基が挙げられる。
Figure 0006478808
(式中、*は前記と同じ意味を表す。)
式(1)で表される多価カルボン酸(A)は、下記式(10)で表される、テトラヒドロキシアルキルグリコールウリル化合物と、下記式(14)および/又は式(15)で表される、カルボン酸無水物化合物との付加反応により得ることができる。
Figure 0006478808
式(10)中、Rは前記と同じ意味を表す。
式(10)で表される化合物の中でも、下記式(11)〜(13)で表される化合物が、硬化物の透明性、ガスバリア性の観点から好ましい。
Figure 0006478808
Figure 0006478808
式(14)中、R2aは前記と同じ意味を表す。
式(15)中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、mは整数で1〜9をそれぞれ表し、式(15)中、複数存在するRは同一であっても異なっていても構わない。Rの中の炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。mは整数で1〜9を表し、得られる硬化物の耐熱透明性の観点から、1〜5が好ましく、1〜2が特に好ましい。
式(14)で表される化合物のうち、下記(5)〜(7)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0006478808
式(15)で表される化合物の中でも、下記式(2)〜(4)で表される化合物が、硬化物の耐熱透明性、多価カルボン酸(A)の粘度、多価カルボン酸組成物(C)の粘度の観点から好ましい化合物として挙げられる。中でも、下記式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006478808
本発明の多価カルボン酸(A)の製造は、溶媒中でも無溶剤でも行うことができる。溶剤としては、前述の式(10)で表されるテトラヒドロキシアルキルグリコールウリル化合物と式(14)および/又は式(15)で表されるカルボン酸無水物化合物と反応しない溶剤であれば特に制限なく使用できる。使用しうる溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルの様な非プロトン性極性溶媒、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素等が挙げられ、これらの中で、芳香族炭化水素やケトン類が好ましい。
これらの溶剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。溶剤を用いる場合の使用量は、前述の式(10)で表されるテトラヒドロキシアルキルグリコールウリル化合物と式(14)および/又は式(15)で表されるカルボン酸無水物化合物の合計100質量部に対して、0.5〜300質量部が好ましい。
本発明の多価カルボン酸(A)は室温(25℃)にて固体であることが多いため、溶剤中で合成することが作業性の観点から好ましい。
本発明の多価カルボン酸(A)は無触媒でも、触媒を用いても製造する事ができる。触媒を用いる場合、用い得る触媒は、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の酸性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等の複素環式化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラメチル等のオルトチタン酸類、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム等の金属石鹸類が挙げられる。
触媒を用いる場合、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
触媒を用いる場合の使用量は、前述の式(10)で表されるグリコールウリルテトラヒドロキシアルキル化合物と式(14)および/又は式(15)で表されるカルボン酸無水物化合物の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましい。
触媒の添加方法は、直接添加するか、可溶性の溶剤等に溶解させた状態で使用する。この際、メタノール、エタノール等のアルコール性の溶媒や水を用いることは、未反応の、式(14)および/又は式(15)で表されるカルボン酸無水物化合物と反応してしまうため、避けることが好ましい。
本発明においては、得られる多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)の硬化物において、透明性、耐熱透明性を向上させる観点からはオクチル酸亜鉛等のカルボン酸亜鉛を触媒として好ましく使用することができ、得られる多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)の着色を低減させる観点からは無触媒で反応を行うことが好ましい。
中でも、透明性、耐硫化性に優れる硬化物を得るために、特にステアリン酸カルシウム、カルボン酸亜鉛(2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ミスチリン酸亜鉛)やリン酸エステル亜鉛(オクチルリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛等)等の亜鉛化合物が好ましく使用できる。
本発明の多価カルボン酸(A)の製造時の反応温度は、触媒量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは60〜145℃である。又、反応時間の総計は通常1〜20時間、好ましくは3〜18時間である。反応は2段階以上で行なっても良く、例えば20〜100℃で1〜8時間反応させた後に、100〜160℃で1〜12時間などで反応させても良い。これは特に式(14)および/又は式(15)で表されるカルボン酸無水物化合物は揮発性の高いものが多く、そのようなものを用いる場合、あらかじめ20〜100℃で反応させた後に、100〜160℃で反応させることで、揮発を抑えることができる。これにより、大気中への有害物質の拡散を抑制するだけでなく、設計どおりの多価カルボン酸(A)を得ることができる。
触媒を用いて製造を行なった場合は必要に応じてクエンチ、および/又は水洗を行なうことで触媒を除くことができるが、そのまま残存させ、多価カルボン酸(A)および/又は多価カルボン酸組成物(C)を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として利用することもできる。
水洗工程を行なう場合、使用している溶剤の種類によっては水と分離可能な溶剤を加えることが好ましい。好ましい溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素等が例示できる。
反応や水洗に溶剤を用いた場合、減圧濃縮などによって除くことができる。
本発明の多価カルボン酸(A)を製造する際に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC){測定条件;カラム:SHODEX GPC LF−G(ガードカラム)、KF−603、KF−602.5、KF−602、KF−601(2本)、流速:0.4ml/min.カラム温度:40℃、使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)}において、本願式(1)で表される化合物のピークより早いリテンションタイムのピークと遅いリテンションタイムのピークの化合物が混在していることが好ましい。当該早いリテンションタイムのピーク(以下、ピークfと称す。)としては、リテンションタイムが本願式(1)の化合物のピークより1〜3分早い、例えば18〜20分の化合物がある。当該ピークfの化合物のGPCの面積%としては、1〜30面積%であることが機械的強度上昇の観点から好ましく1〜10面積%であることが特に好ましい。また、当該遅いリテンションタイムのピークとしては2〜3つ存在する可能性があり(以下、ピークsと称す。)、リテンションタイムが本願式(1)の化合物のピークより1〜5分遅い、例えば21〜25分の化合物が該当する。当該ピークsの化合物のGPCの面積%としては、1〜10面積%であることが接着性向上の観点から好ましく、1〜5面積%であることがより好ましい。下記式(16)で表される多価カルボン酸の多量体が生成することがある。尚、これらの化合物はピークfの化合物に該当すると考えられる。
Figure 0006478808
式(16)中、Rは前記と同じ意味を表し、Rは前記式R2bと同じ意味又は下記式(17)で表される構造を表し、Rは水素原子又は下記式(18)で表される構造を表す。
Figure 0006478808
式(17)中、R2aは前記と同じ意味を表し、**は式(16)中のRの隣のカルボニル炭素と結合していることを表す。
Figure 0006478808
式(18)中、R、R、Rは前記と同じ意味を表し、***の部位で式(16)中のRが結合している酸素原子と結合していることを表す。
前記式(16)で表される多価カルボン酸の多量体が多価カルボン酸(A)に含まれると、硬化物の機械強度が向上するため好ましいが、含有する場合、多価カルボン酸(A)の粘度が過度に上昇しないために多価カルボン酸(A)100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
また、本発明の多価カルボン酸(A)を製造する際に、下記式(19)で表される三価のカルボン酸が生成することがある。尚、当該化合物はピークsの化合物に該当すると考えられる。ここで、前記製造により得られたものの下記式(19)で表される化合物のGPC面積%は1〜30面積%が好ましく、1〜20面積%がより好ましい。
Figure 0006478808
式(19)中、R、Rは前記と同じ意味を表す。
前記式(19)で表される三価のカルボン酸が多価カルボン酸(A)に含まれると、硬化物の基材への接着性が向上するため好ましいが、含有する場合、硬化物の機械強度が劣ってしまうために多価カルボン酸(A)100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。
また、本発明の多価カルボン酸(A)を製造する際に、下記式(19’)で表される二価のカルボン酸が生成することがある。尚、当該化合物はピークsの化合物に該当すると考えられる。ここで、前記製造により得られたものの下記式(19’)で表される化合物のGPC面積%は1〜10面積%が好ましく、1〜5面積%がより好ましい。
Figure 0006478808
式(19’)中、R、Rは前記と同じ意味を表す。
前記式(19’)で表される二価のカルボン酸が多価カルボン酸(A)に含まれると、硬化物の基材への接着性が向上するため好ましいが、含有する場合、硬化物の機械強度が劣ってしまうために多価カルボン酸(A)100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。
また、本発明の多価カルボン酸(A)を製造する際に、下記式(19’’)で表される一価のカルボン酸が生成することがある。尚、当該化合物はピークsの化合物に該当すると考えられる。ここで、前記製造により得られたものの下記式(19’’)で表される化合物のGPC面積%は1〜10面積%が好ましく、1〜5面積%がより好ましい。
Figure 0006478808
式(19’’)中、R、Rは前記と同じ意味を表す。
前記式(19’’)で表される一価のカルボン酸が多価カルボン酸(A)に含まれると、硬化物の基材への接着性が向上するため好ましいが、含有する場合、硬化物の機械強度が劣ってしまうために多価カルボン酸(A)100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。
他にも、ピークsに該当する化合物としては、アルコールを溶剤に使用した場合は、アルコールと上記式(14)および/又は上記式(15)で表される化合物の反応物や溶剤中や空気中の水分と上記式(14)および/又は上記式(15)で表される化合物の反応物、未反応の酸無水物が挙げられる。ここで、アルコールと上記式(14)および/又は上記式(15)で表される化合物や溶剤中や空気中の水分と上記式(14)および/又は上記式(15)で表される化合物の反応物のGPCの面積%としては、硬化物の機械強度が劣ってしまうために5面積%以下が好ましく、3面積%以下であることがより好ましい。
製造された本発明の多価カルボン酸(A)の酸価(JIS K−2501に記載の方法で測定)は150〜415mgKOH/gのものが好ましく、185〜375mgKOH/gのものがより好ましく、特に200〜320mgKOH/gのものが好ましい。酸価が150mgKOH/g以上であれば硬化物の機械特性が向上するため好ましく、415mgKOH/g以下であれば、その硬化物が硬くなり過ぎず、弾性率が適度なものとなり好ましい。
また、本発明の多価カルボン酸(A)の官能基当量は、135〜312g/eqのものが好ましく、150〜300g/eqのものがより好ましく、特に180〜280g/eqが好ましい。
次に本発明の多価カルボン酸組成物(C)について説明する。
本発明の多価カルボン酸組成物(C)は、多価カルボン酸(A)と、カルボン酸無水物化合物(B)を必須成分とする。
多価カルボン酸組成物(C)は多価カルボン酸(A)と、カルボン酸無水物化合物(B)を混合して得ることができる。
本発明の多価カルボン酸組成物(C)は前記各成分を常温もしくは加温下で均一に混合することにより得られる。例えば、薬匙、押出機、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて均一になるまで充分に混合し、必要によりSUSメッシュ等によりろ過処理を行うことにより調製される。
調整する際、後述するエポキシ樹脂(D)、硬化促進剤(E)、接着助剤、酸化防止剤、光安定剤等を一緒に混合してもよい。
本発明の多価カルボン酸組成物(C)は、必要に応じて溶剤を混合させてワニスやインクとして使用することもできる。溶剤は本発明の多価カルボン酸(A)、カルボン酸無水物化合物(C)、エポキシ樹脂(D)、硬化促進剤(E)、接着助剤、酸化防止剤、光安定剤等に対して高い溶解性を有し、これらと反応しないものであれば使用できる。その具体例としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルの様な非プロトン性極性溶媒、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素等が挙げられ、これらの中で、芳香族炭化水素やケトン類が好ましい。
本発明の多価カルボン酸組成物(C)において、前述の多価カルボン酸(A)の製造の際に式(14)および/又は式(15)で表されるカルボン酸無水物化合物と、多価カルボン酸組成物(C)中のカルボン酸無水物化合物(B)が同じである場合、多価カルボン酸(A)の製造時に式(10)で表されるグリコールウリルテトラヒドロキシアルキル化合物に対して過剰のカルボン酸無水物化合物(B)中で反応を行い、多価カルボン酸(A)の製造が終了した時点で、多価カルボン酸(A)とカルボン酸無水物(B)との混合物として得ることもできる。
この反応の際の両者の仕込み比率としては、その官能基当量で、該酸無水物基1当量に対して、グリコールウリルテトラヒドロキシアルキル化合物の水酸基当量で、0.001〜0.7当量、より好ましくは0.01〜0.5当量の範囲で仕込むのが好ましい。
このようにして得られた多価カルボン酸組成物(C)にカルボン酸無水物(B)を混合することで、多価カルボン酸組成物(C)中の多価カルボン酸(A)の濃度を調整することができる。
多価カルボン酸(A)の製造時に、過剰のカルボン酸無水物化合物(B)を仕込んで反応させた場合、水洗工程時の水によって過剰のカルボン酸無水物化合物(B)が加水分解されてしまう恐れがあるため、前述の水洗工程は避けたほうがよい。
本発明のカルボン酸無水物化合物(B)は、分子内にカルボン酸無水物基を有する化合物であれば特に制限されないが、下記式(2)〜(7)より一種以上選択されるカルボン酸無水物化合物であることが、硬化物の透明性の観点から好ましい。
Figure 0006478808
本発明の多価カルボン酸組成物(C)において、多価カルボン酸(A)とカルボン酸無水物化合物(B)の存在割合は、多価カルボン酸(A)100質量部に対してカルボン酸無水物化合物(B)が1〜1000質量部が好ましく、さらに好ましくは10〜800質量部、特に好ましくは50〜500質量部である。
本発明の多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)は、エポキシ樹脂の硬化剤として機能するものであり、他のエポキシ樹脂硬化剤を含有することもできる。例えば、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、多価カルボン酸樹脂が挙げられ、多価カルボン酸樹脂が好ましい。
多価カルボン酸樹脂は少なくとも2つ以上のカルボキシル基を有し、脂肪族炭化水素基またはシロキサン骨格を主骨格とすることを特徴とする化合物である。本発明においては多価カルボン酸樹脂とは単一の構造を有する多価カルボン酸化合物だけでなく、置換基の位置が異なる、あるいは置換基の異なる複数の化合物の混合体、すなわち多価カルボン酸組成物も含包し、本発明においてはそれらをまとめて多価カルボン酸樹脂と称す。
多価カルボン酸樹脂としては、特に2〜6官能のカルボン酸が好ましく、(a);分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物と(b);分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物との反応により得られた化合物がより好ましい。ここで、上記(a)及び(b)の反応物においては、さらに別のアルコール化合物を反応してもよく、(a)または(b)成分に該当する化合物を2種類以上使用しても良い。
(a);分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物としては、分子内に2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1.3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等のジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール等のトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等のテトラオール類、ジペンタエリスリトールなどのヘキサオール等、末端アルコールポリエステル、末端アルコールポリカーボネート、末端アルコールポリエーテル、シロキサン構造を有する多価アルコール等が挙げられる。
特に好ましいアルコール類としては炭素数が5以上のアルコールであり、特に1,6-ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等の化合物が挙げられ、中でも2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,4−ジエチルペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等の化合物等の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類がより好ましい。高い耐硫化性を付与する観点から、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン等の化合物が特に好ましい。中でも、特に分岐鎖状構造においては、分岐鎖を2つ以上有することが好ましく、特に分岐鎖が異なる炭素原子から伸びていることが好ましい。ここで、当該分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類は炭素数が5〜25であることが好ましく、5〜20であることが特に好ましい。
シロキサン構造を有する多価アルコールは特に限定されないが、例えば下記式で表されるシリコーンオイルを使用することができる。
Figure 0006478808
(式(20)中、Aはエーテル結合を介しても良い炭素総数1〜10アルキレン基を表し、Aはメチル基又はフェニル基を表す。また、sは繰り返し数であり平均値を意味し、1〜100である。)
前記した、(a);分子内に2つ以上の水酸基を含有する多価アルコール化合物は単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
得られる多価カルボン酸樹脂を液状で使用し、高い耐硫化性を付与するため、前述したシロキサン構造を有する多価アルコールと、炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類を混合して用いることが好ましい。
シロキサン構造を有する多価アルコールと炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類を混合して用いる場合、その使用量は全アルコール化合物中(シロキサン構造を有する多価アルコール)/(炭素数が5〜25の分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類)は1〜20が好ましく、硬化物の耐熱透明性、多価カルボン酸樹脂の適度な粘度の観点から5〜15が好ましく、6〜10が特に好ましい。
(b);分子内に1つ以上の酸無水物基を含有する化合物としては特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、グルタル酸無水物、2,4−ジエチルグルタル酸無水物、コハク酸無水物等が好ましく、中でもメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、2,4−ジエチルグルタル酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。ここで、硬度を上げるためには、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物が好ましく、照度保持率を上げるためにはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸無水物が好ましく、多価カルボン酸樹脂の過度な粘度上昇を抑えるには2,4−ジエチルグルタル酸、グルタル酸が好ましい。
付加反応の条件は、前述した本発明の多価カルボン酸(A)の製造と同様の条件で反応できる。
本発明の多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)とその他のエポキシ樹脂硬化剤を併用する場合、全エポキシ樹脂硬化剤中、本発明の多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)の割合が30〜99質量部であることが好ましく、60〜97質量部が特に好ましい。30質量部を下回ると、硬化物の耐熱透明性が劣る恐れがある。
次に本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)と、エポキシ樹脂(D)を含有することを特徴とする。
エポキシ樹脂(D)としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、シリコーン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記フェノール類化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−ヒドロキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4'−ビフェノール、ジメチル−4,4'−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシノール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂等が挙げられる。
前記各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂としては、例えばフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノール類、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
前記脂環式エポキシ樹脂としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環骨格を有する脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
前記脂肪族系エポキシ樹脂としては、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジルエーテル類が挙げられる。
前記複素環式エポキシ樹脂としては、例えばイソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ樹脂が挙げられる。
前記グリシジルエステル系エポキシ樹脂としては、例えばヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のカルボン酸エステル類からなるエポキシ樹脂が挙げられる。
前記グリシジルアミン系エポキシ樹脂としては、例えばアニリン、トルイジン等のアミン類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
前記ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂としては、例えばブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体としては、市場から入手可能な製品ではマープルーフG−0115S、同G−0130S、同G-0250S、同G−1010S、同G−0150M、同G−2050M (日油(株)製)等が挙げられ、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド等が挙げられる。また他の重合性不飽和化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
前記エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物とは、例えばエポキシ基をもつアルコキシシラン化合物とメチル基やフェニル基を持つアルコキシシランとの加水分解縮合物や、エポキシ基をもつアルコキシシラン化合物とシラノール基をもつポリジメチルシロキサン、シラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサン、シラノール基をもつポリフェニルシロキサンとの縮合物、またはそれらを併用し得られた縮合化合物のことである。エポキシ基をもつアルコキシシラン化合物としては、例えば2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。メチル基やフェニル基をもつアルコキシシラン化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が挙げられる。シラノール基をもつポリジメチルシロキサン、シラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサンとしては、例えば市場から入手可能な製品では、X−21−5841、KF−9701(信越化学工業(株)製)BY16−873、PRX413(東レ・ダウコーニング(株)製)XC96−723、YF3804、YF3800、XF3905、YF3057(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)DMS−S12、DMS−S14、DMS−S15、DMS−S21、DMS−S27、DMS−S31、PDS−0338、PDS−1615(Gelest社製)等が挙げられる。
シリコーン変性エポキシ樹脂とは、シリコーン鎖(Si−O鎖)を主骨格とし、一分子中にエポキシ基を2つ以上有する化合物のことである。シリコーン鎖は直鎖状、分岐状、環状、かご型、ラダー型のいずれであっても構わない。得られる硬化物の透明性、機械強度の観点から下記式(21)で表される環状シリコーン変性エポキシ樹脂が特に好ましい例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 0006478808
式(21)において、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を、Xはエポキシ基含有の有機基または炭素数1〜6の炭化水素基を、nは1〜3の整数をそれぞれ表す。式中に複数存在するR、Xはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。ただし、複数存在するX中、2つ以上はエポキシ基含有の有機基である。
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基が挙げられるが、硬化物の耐熱透明性の観点から、メチル基、フェニル基が好ましく、製造容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
Xにおける有機基とは、C、H、N、O原子からなる化合物を表し、エポキシ基含有の有機基の具体例としては、2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3―グリシドキシプロピル基が挙げられ、硬化物の耐熱透明性の観点から2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基が好ましい。ここで、有機基における炭素数は1〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましい。また、炭素数1〜5のアルキレン基を介在して2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3―グリシドキシプロピル基が付加している基であることが好ましい。
Xにおける炭素数1〜6の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基が挙げられるが、硬化物の耐熱透明性の観点から、メチル基、フェニル基が好ましく、製造容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
nは化合物の製造容易性から2が好ましい。
式(21)で表される環状シリコーン変性エポキシ樹脂は、環状ハイドロジェンシロキサン化合物と分子内にエポキシ基を有するオレフィン化合物とのハイドロシリレーション反応によって得ることができる。
環状ハイドロジェンシロキサン化合物の具体例としては、トリメチルトリシクロシロキサン、トリフェニルトリシクロシロキサン、テトラメチルテトラシクロシロキサン、テトラフェニルテトラシクロシロキサン、ペンタメチルペンタシクロシロキサン、ペンタフェニルペンタシクロシロキサン等が挙げられ、製造の容易性からテトラメチルテトラシロキサンが好ましい。
分子内にエポキシ基を有するオレフィン化合物としては、4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−グリシドキシ−1,2−プロペン等が挙げられ、硬化物の耐熱透明性の観点から4−ビニル−1,2−エポキシシクロヘキサンが好ましい。
ハイドロシリレーション反応は、その触媒として例えば、ロジウム、パラジウム、白金などの公知の金属錯体を用いることができる。具体的には、トリストリフェニルホスフィンロジウムクロリド、ヘキサクロロ白金酸・6水和物等が挙げられ、硬化物の透明性の観点からヘキサクロロ白金酸・6水和物が好ましい。
ハイドロシリレーション反応に用いる触媒は、溶媒に溶解して溶液にして用いることが、作業性の観点から好ましい。用いうる溶媒は、触媒を溶解する溶媒であれば用いることができるが、溶解性、作業性の観点から、テトラヒドロフラン、トルエンが好ましい。
溶液として用いる場合、触媒を0.05〜50重量%に調整して反応液に添加する。
式(21)で表される環状シリコーン変性エポキシ樹脂は、具体的には下記式(21−1)〜(21−6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006478808
これらエポキシ樹脂(D)は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
前記したエポキシ樹脂(D)の中でも、透明性、耐熱透明性、耐光透明性の観点から、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、シリコーン変性エポキシ樹脂の併用は好ましい。その中でも、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する環状シリコーン変性エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂(D)は、多価カルボン酸(A)中のカルボン酸基1当量および/又は多価カルボン酸組成物(C)中のカルボン酸無水物化合物(B)のカルボン酸無水物1当量に対し、エポキシ基が0.5〜3.0当量になる範囲で使用することが好ましい。0.5当量以上であれば、硬化物の耐熱透明性が向上するため好ましく、3.0以下であれば硬化物の機械物性が向上するため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらにエポキシ樹脂硬化促進剤(E)を含有することが好ましい。
エポキシ樹脂硬化促進剤(E)としては本発明の多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)と、エポキシ樹脂(D)の硬化反応を促進する能力のあるものは何れも使用可能であるが、使用できる硬化促進剤(E)の例としては、アンモニウム塩系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、金属石鹸系硬化促進剤、イミダゾ−ル系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスファイト系硬化促進剤、ルイス酸系硬化促進剤等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においてエポキシ樹脂硬化促進剤(E)の配合比率は、エポキシ樹脂組成物100重量部に対して0.001〜15重量部の硬化促進剤を使用することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、使用できるエポキシ樹脂硬化促進剤(E)の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−エチル,4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、および、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物およびそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニュウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニュウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニュウムブロマイド等のアンモニュウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、オクチル酸スズ等の金属化合物等、およびこれら硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。
これらの中でも、硬化物の透明性の観点から、金属石鹸硬化促進剤が優れ、金属石鹸硬化促進剤の中でもカルボン酸亜鉛化合物が硬化物の透明性の観点から特に好ましい。
金属石鹸系硬化促進剤としては、例えばオクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸銀、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸リチウム、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等が挙げられる。これら触媒は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
透明性、耐硫化性に優れる硬化物を得るために、特にステアリン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等の炭素数10〜30のカルボン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の水酸基を有する炭素数10〜30のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩が好ましく使用できる。これらの中でも特に、ポットライフ、耐硫化性に優れる観点から、ステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の炭素数10〜20のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の水酸基を有する炭素数15〜20のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩が好ましく使用でき、さらに好ましくはステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が使用でき、特に好ましくはステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が使用できる。
アンモニウム塩系硬化促進剤としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等が挙げられる。ホスホニウム塩系硬化促進剤としては、例えばエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、メチルトリブチルホスホニウムジエチルホスフェート等が挙げられる。
その他の汎用用途には、上記アンモニウム塩系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、金属石鹸系硬化促進剤の他、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、複素環化合物系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスファイト系硬化促進剤、ルイス酸系硬化促進剤等が使用できる。
前記したエポキシ樹脂硬化促進剤(E)は、室温(25℃)において固体の化合物でも液体の化合物でも使用することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物を室温(25℃)にて液状であることが必要な用途に使用する場合で室温(25℃)にて固体の化合物を硬化促進剤として使用する場合、予め樹脂に溶解させて使用することもできる。また、室温(25℃)において固体の化合物を樹脂に分散させて使用することもできる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤を使用することで、組成物の粘度調整、硬化物の硬度を補完することが可能である。
使用できるカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
これらカップリング剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
カップリング剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物において通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部が必要に応じて含有される。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてナノオーダーレベルの無機充填材を使用することで、透明性を阻害せずに機械強度などを補完することが可能である。ナノオーダーレベルとしての目安は、平均粒径が500nm以下、特に平均粒径が200nm以下の充填材を使用することが透明性の観点では好ましい。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜95重量%を占める量が用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に着色防止目的のため、光安定剤としてのアミン化合物又は、酸化防止材としてのリン系化合物およびフェノール系化合物を含有することができる。
前記アミン化合物としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−トトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5,1,11,2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ヒンダートアミン系化合物である。
前記光安定材であるアミン化合物として、次に示す市販品を使用することができる。
市販されているアミン系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、TINUVIN765、TINUVIN770DF、TINUVIN144、TINUVIN123、TINUVIN622LD、TINUVIN152、CHIMASSORB944、ADEKA製として、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−77Y、LA−81、LA−82、LA−87などが挙げられる。
前記リン系化合物としては特に限定されず、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられる。
上記リン系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているリン系化合物としては特に限定されず、例えば、ADEKA製として、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A
フェノール化合物としては特に限定はされず、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェノール、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−〔2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'−ブチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル等が挙げられる。
上記フェノール系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているフェノール系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製としてIRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX295、IRGANOX3114、IRGANOX1098、IRGANOX1520L、アデカ製としては、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−90、アデカスタブAO−330、住友化学工業製として、SumilizerGA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、Sumilizer GPなどが挙げられる。
このほか、樹脂の着色防止剤として市販されている添加材を使用することができる。例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、THINUVIN328、THINUVIN234、THINUVIN326、THINUVIN120、THINUVIN477、THINUVIN479、CHIMASSORB2020FDL、CHIMASSORB119FLなどが挙げられる。
上記リン系化合物、アミン化合物、フェノール系化合物の中から少なくとも1種以上を含有することが好ましく、その配合量としては特に限定されないが、本発明のエポキシ樹脂組成物の全重量に対して、0.005〜5.0重量%の範囲である。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてバインダー樹脂を配合することも出来る。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、樹脂成分100重量部に対して通常0.05〜50重量部、好ましくは0.05〜20重量部が必要に応じて用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中において0〜95重量%を占める量が用いられる。更に本発明の硬化性樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は前記各成分を常温もしくは加温下で均一に混合することにより得られる。例えば、押出機、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて均一になるまで充分に混合し、必要によりSUSメッシュ等によりろ過処理を行うことにより調製される。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)およびエポキシ樹脂(D)および/又は硬化促進剤(E)、酸化防止剤、光安定剤等の添加物を充分に混合することによりエポキシ樹脂組成物を調製し、封止材として使用できる。混合方法としては、薬匙、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて常温または加温して混合する。
本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤に溶解させ、硬化性樹脂組成物ワニスとし、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。また液状組成物のままRTM方式でカーボン繊維を含有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物をフィルム型組成物の改質剤としても使用できる。具体的にはB−ステージにおけるフレキ性等を向上させる場合に用いることができる。このようなフィルム型の樹脂組成物を得る場合は、本発明のエポキシ樹脂組成物を剥離フィルム上に前記ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤を得る。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することが出来る。
更に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止材の他、封止材、基板用のシアネート樹脂組成物や、レジスト用硬化剤としてアクリル酸エステル系樹脂等、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
本発明で得られる硬化物は光学部品材料をはじめ各種用途に使用できる。光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、以下のようなものが挙げられる。液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またLED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などである。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などである。光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤、フィルムなどである。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材、接着剤などである。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材、接着剤などである。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材、接着剤などである。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤などである。光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料である。自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品である。また、鉄道車輌用の複層ガラスである。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートである。建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料である。農業用では、ハウス被覆用フィルムである。次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤などである。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィル)などを挙げることができる。
光学用材料の他の用途としては、硬化性樹脂組成物Aが使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
高輝度白色LED等の光半導体素子は、一般的にサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO等の基板上に積層させたGaAs、GaP、GaAlAs,GaAsP、AlGa、InP、GaN、InN、AlN、InGaN等の半導体チップを、接着剤(ダイボンド材)を用いてリードフレームや放熱板、パッケージに接着させてなる。電流を流すために金ワイヤー等のワイヤーが接続されているタイプもある。その半導体チップを、熱や湿気から守り、かつレンズ機能の役割を果たすためにエポキシ樹脂等の封止材で封止されている。本発明のエポキシ樹脂組成物はこの封止材に用いることができる。
封止材の成形方式としては、光半導体素子が固定された基板を挿入した型枠内に封止材を注入した後に加熱硬化を行い成形する注入方式、金型上に封止材をあらかじめ注入し、そこに基板上に固定された光半導体素子を浸漬させて加熱硬化をした後に金型から離形する圧縮成形方式等が用いられている。
注入方法としては、ディスペンサー等が挙げられる。
加熱は、熱風循環式、赤外線、高周波等の方法が使用できる。加熱条件は例えば80〜230℃で1分〜24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80〜120℃、30分〜5時間予備硬化させた後に、120〜180℃、30分〜10時間の条件で後硬化させることができる。
本明細書において、比率、パーセント、部などは、特に断りのない限り、質量に基づくものである。本明細書において、「X〜Y」という表現は、XからYまでの範囲を示し、その範囲はX、Yを含む。
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら合成例、実施例に限定されるものではない。なお、合成例、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。ここで、部は特に断りのない限り質量部を表す。
○GPC:GPCは下記条件にて測定した。
GPCの各種条件
メーカー:ウォーターズ
カラム:SHODEX GPC LF−G(ガードカラム)、KF−603、KF−602.5、KF−602、KF−601(2本)
流速:0.4ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
○酸価:以下の方法により測定した。
サンプルを約0.15g秤量し、メチルエチルケトン20ml、エタノール20mlで溶解したのち、京都電子工業製滴定装置AT−610を使用し、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定し、酸価を測定した。
○官能基当量:以下の方法により測定した。
多価カルボン酸組成物を約0.15g秤量し、メタノール(試薬特級)40mlで溶解したのち、20〜28℃で10分間撹拌し、測定サンプルとした。測定サンプルを、京都電子工業製滴定装置AT−610を使用し、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定し、酸価として得られた値を官能基当量として算出した。
○DSCを用いた融点:
JIS K7121に記載の方法で測定し、融解ピークの頂点を融点とした。
○粘度:東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
○熱重量減少:島津製作所製TG/DTA6200を用い、30℃から20℃/minで昇温させ、120℃まで加熱し、120℃で60分保持した後の重量減少率を測定した。測定中、200ml/minで空気を流した。
実施例1;多価カルボン酸(A−1)の製造
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、窒素パージを施しながらTH−G(四国化成工業製 テトラヒドロキシエチルグルコールウリル)6.4g、リカシッドMH−T(新日本理化製 4−メチルヘキサヒドロフタル酸)10.1g、トルエン20gを仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を70℃に保ち、そのまま4時間反応させた。
得られた反応液を100℃で減圧濃縮し、トルエンを留去することで、下記式(22)を主成分とする多価カルボン酸(A−1)を16.1g得た。得られた化合物のGPC純度(GPC面積%)は87%、酸価は201.4mgKOH/g、外観は白色の固体であった。また、DSCを用いた融点(ピーク頂点値)は62.9℃、熱重量減少は−1.8%であった。得られた化合物のGPCチャートを図−1に示す。
Figure 0006478808
実施例2;多価カルボン酸(A−2)の製造
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、窒素パージを施しながらTH−G(四国化成工業製 テトラヒドロキシエチルグルコールウリル)6.4g、YH1120(三菱化学製 2,4−ジエチルペンタン二酸無水物)10.2g、トルエン20gを仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を90℃に保ち、そのまま12時間反応させた。
得られた反応液を100℃で減圧濃縮し、トルエンを留去することで、下記式(23)を主成分とする多価カルボン酸(A−2)を16.1g得た。得られた化合物のGPC純度(GPC面積%)は90%、酸価は193.8mgKOH/g、外観は無色透明の高粘稠液体であった。また、熱重量減少は−1.9%であった。得られた化合物のGPCチャートを図−2に示す。
Figure 0006478808
実施例3;多価カルボン酸組成物(C−1)の製造
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、窒素パージを施しながらTH−G(四国化成工業製 テトラヒドロキシエチルグルコールウリル)2.5g、リカシッドMH−T(新日本理化製 4−メチルヘキサヒドロフタル酸)19.4gを仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を70℃に保ち、そのまま6時間反応させた。GPCでテトラヒドロキシエチルグルコールウリルのピーク面積1%以下を確認し、多価カルボン酸とカルボン酸無水物化合物の混合物である多価カルボン酸組成物(C−1)21.7gが得られた。得られた混合物は無色透明の液状であり、GPCによる純度は前記式(22)で表される多価カルボン酸(A−1)が33.8面積%、下記式(24)で表される4−メチルヘキサヒドロフタル酸が0.4面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物が64.3面積%であった。また官能基当量は175g/eq、粘度は1229mPa・s、熱重量減少は−44.2%であった。
Figure 0006478808
実施例4;多価カルボン酸組成物(C−2)の製造
ガラス製50mlビンに、実施例1で得られた多価カルボン酸(A−1)3g、リカシッドMH−T(新日本理化製 4−メチルヘキサヒドロフタル酸)7gを仕込み、150℃に加温したオーブンに入れ加温した。2時間後に取り出し薬匙で良く混合後、さらに2時間加温し多価カルボン酸組成物(C−2)10gを得た。得られた多価カルボン酸組成物(C−2)は無色透明の液状であり、GPCによる純度は多価カルボン酸(前記式(22)で表される(A−1))が33.3面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸(前記式(24))が0.9面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物が64.3面積%であった。また官能基当量は178g/eq、粘度は1034mPa・s、熱重量減少は−55.1%であった。
実施例5;多価カルボン酸組成物(C−3)の製造
ガラス製50mlビンに、実施例2で得られた多価カルボン酸(A−2)5g、リカシッドMH−T(新日本理化製 4−メチルヘキサヒドロフタル酸)5gを仕込み、50℃に加温したオーブンに入れ加温した。2時間後に取り出し薬匙で良く混合後、さらに2時間加温し多価カルボン酸組成物(C−3)10gを得た。得られた多価カルボン酸組成物(C−3)は無色透明の液状であり、GPCによる純度は多価カルボン酸(前記式(23)で表される(A−2))が47.6面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸(前記式(24))が0.7面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物が47.2面積%、下記式(25)で表される2,4−ジエチルペンタン二酸が0.1面積%、2,4−ジエチルペンタン二酸無水物が1.2面積%であった。また官能基当量は201g/eq、粘度は3738mPa・s、熱重量減少は−27.4%であった。
Figure 0006478808
比較例1;イソシアヌル酸骨格を有する多価カルボン酸のカルボン酸無水物化合物への溶解試験
ガラス製50mlビンに、下記式(26)で表されるイソシアヌル酸トリス(3−カルボキシプロピル)3g、リカシッドMH−T(新日本理化製 4−メチルヘキサヒドロフタル酸)7gを仕込み、80℃に加温したオーブンに入れ加温した。2時間後に取り出し薬匙で良く混合後、ガラスビンに回転子を入れ、90℃に加温したマグネチックスターラー上で5時間撹拌しながら加温したが、イソシアヌル酸トリス(3−カルボキシプロピル)はリカシッドMH−Tには溶解しなかった。撹拌を止めて室温(25℃)環境下で15時間後に確認したところ、イソシアヌル酸トリス(3−カルボキシプロピル)が沈殿していた。
Figure 0006478808
(評価試験)
実施例1〜2で得られた多価カルボン酸、実施例3〜5、比較例1で得られた多価カルボン酸組成物、比較例Aとして4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化社製、リカシッドMH−T)の、各成分の含有量、酸価又は官能基当量、粘度、熱重量減少の測定結果を表1にまとめた。
Figure 0006478808
*GPCチャートの面積%のデータであることを表す。
表1の結果から明らかなように、多価カルボン酸(A−1〜A−2)および多価カルボン酸(A−1〜A−2)を含有する多価カルボン酸組成物(C−1〜C−3)は加熱時の重量減少が少ないのに対し、比較例Aの4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物は重量減少が大きい。また比較例1は白濁液体となり、放置することで沈殿が確認されたが、多価カルボン酸組成物(C−1〜C−3)は無色透明液体であるため、特に液状で使用されることが求められる用途での使用に適している。
実施例6;エポキシ樹脂組成物の調整
実施例3で得られた多価カルボン酸組成物(C−1)、エポキシ樹脂として3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート((株)ダイセル製、CEL2021P)、硬化促進剤としてオクチル酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
実施例7;エポキシ樹脂組成物の調整
実施例6の多価カルボン酸組成物(C−1)を、実施例5で得られた多価カルボン酸組成物(C−3)に変更した他は実施例6と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
実施例8;エポキシ樹脂組成物の調整
実施例6のオクチル酸亜鉛を、第4級ホスホニウムブロマイド塩の硬化促進剤U−CAT5003(サンアプロ社製)に変更した他は実施例5と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
実施例9;エポキシ樹脂組成物の調整
実施例6の多価カルボン酸組成物(C−1)を、実施例5で得られた多価カルボン酸組成物(C−3)に変更し、オクチル酸亜鉛を、第4級ホスホニウムブロマイド塩の硬化促進剤U−CAT5003(サンアプロ社製)に変更した他は実施例5と同様に行い、本発明のエポキシ樹脂組成物を得た。
比較例2;エポキシ樹脂組成物の調整
エポキシ樹脂硬化剤としてリカシッドMH−T(新日本理化社製、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)、エポキシ樹脂として3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート((株)ダイセル製、CEL2021P)、硬化促進剤としてオクチル酸亜鉛を、下記表1に記載の量比でポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
比較例3;エポキシ樹脂組成物の調整
比較例2のオクチル酸亜鉛を、第4級ホスホニウムブロマイド塩の硬化促進剤U−CAT5003(サンアプロ社製)に変更した他は比較例2と同様に行い、比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。
実施例6〜9、比較例2、3で得られたエポキシ樹脂組成物の配合比とその粘度、硬化時の重量減少、硬化物透過率、硬化物の硬さ、金ワイヤー露出の有無の結果を表2に示す。表2における試験は以下のように行った。
粘度
東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用い、25℃で測定した。
硬化時の重量減少
実施例6〜9、比較例2、3で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、予め質量を秤量しておいた、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作成したガラス基板上に静かに注型し、注型後の質量を秤量した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、硬化後の質量を秤量し、硬化時の重量減少率を算出した。
硬化物透過率
実施例6〜9、比較例2、3で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作成したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を、ガラス基板から取り出し、下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
<分光光計測定条件>
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
硬化物硬さ
JIS K6253に記載の方法でデュロメータ硬さを測定した。
金ワイヤーの露出
実施例6〜9、比較例2、3で得られたエポキシ樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して発光波長450nmを持つ発光素子を、金ワイヤーを用いてなる表面実装型LED(2.3×0.4mmの開口部、0.4mmの深さを有し、金ワイヤーの最上部は開口部から0.1mmの位置に存在する)に開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。このように封止した後の硬化剤の揮発に伴う、金ワイヤーの露出(金ワイヤーの上端が硬化物最上面よりも上部にあり、完全に封止されていない状態)の有無を目視で評価した。表中、○;金ワイヤーが露出していない、×;金ワイヤーが露出していることを表す。
Figure 0006478808
*硬化物が脆く割れてしまったため、ガラス基板から取り出すことができなかった。
表2の結果から明らかなように実施例6〜9の組成物は、LED封止材として用いるには適度な粘度であり、硬化時の熱重量減少も少なく作業性に優れる。さらに、それらの硬化物は高い硬化物透過率、硬さを有し、それらで封止した表面実装型LEDの金ワイヤーの露出がなかったのに対し、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のみで硬化した比較例2、3は硬化時の重量減少が著しく、金ワイヤーの露出が確認された。以上の事から、本発明の多価カルボン酸組成物を用いたエポキシ樹脂組成物は、特に光半導体封止用硬化性樹脂組成物として好適である。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表される多価カルボン酸(A)。
    Figure 0006478808
    (式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を、Rは水素原子又は炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基をそれぞれ表す。式(1)中、複数存在するR、Rは同一であっても異なっていても構わないが、4つ存在するR中、2つ以上は炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基である。)
  2. 請求項1に記載の式(1)で表される多価カルボン酸(A)が、下記式(1−1)で表される多価カルボン酸(A)
    Figure 0006478808
    (式(1−1)中、Rは前記と同じ意味を表し、R2aは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はカルボキシル基をそれぞれ表す。式(1−1)中、複数存在するR、R2aは同一であっても異なっていても構わない。)
  3. 請求項1に記載の式(1)で表される多価カルボン酸(A)が、下記式(1−2)で表される多価カルボン酸(A)
    Figure 0006478808
    (式(1−2)中、Rは前記と同じ意味を表し、R2bは炭素数1〜10の直鎖または分岐構造を有するアルキレン基をそれぞれ表す。式(1−2)中、複数存在するR、R2bは同一であっても異なっていても構わない。)
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多価カルボン酸(A)を含有する多価カルボン酸組成物(C)。
  5. 請求項1〜3に記載の式(1)で表される多価カルボン酸(A)と、カルボン酸無水物化合物(B)を含有する多価カルボン酸組成物(C)。
  6. カルボン酸無水物化合物(B)が下記式(2)〜(7)より一種以上選択される、請求項5に記載の多価カルボン酸組成物(C)。
    Figure 0006478808
  7. 請求項1〜6に記載の、多価カルボン酸(A)又は多価カルボン酸組成物(C)と、エポキシ樹脂(D)を含有するエポキシ樹脂組成物。
  8. さらにエポキシ樹脂硬化促進剤(E)を含有する請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. エポキシ樹脂硬化促進剤(E)が、金属石鹸系硬化促進剤である請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 金属石鹸系硬化促進剤が、カルボン酸亜鉛化合物である請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 請求項7〜10のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  12. 下記式(10)で表されるテトラヒドロキシアルキルグリコールウリル化合物とカルボン酸無水物(B)の反応で得られる、下記式(1)で表される多価カルボン酸(A)の混合物中、R の50モル%以上が炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基である、多価カルボン酸(A)の混合物。
    Figure 0006478808
    (式(10)中、R は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
    Figure 0006478808
    (式(1)中、R は炭素数1〜6のアルキレン基を、R は水素原子又は炭素数1〜15のカルボキシル基を含有する有機基をそれぞれ表す。式(1)中、複数存在するR 、R は同一であっても異なっていても構わない。)
  13. カルボン酸無水物(B)が下記式(2)〜(7)より一種以上選択される、請求項12に記載の多価カルボン酸(A)の混合物。
    Figure 0006478808
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