JP2017031143A - ジアミン化合物の製造方法 - Google Patents

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Keisuke Kimura
恵輔 木村
大森 潔
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賢和 中河
Yoshikazu Nakagawa
賢和 中河
浩輔 西村
Kosuke Nishimura
浩輔 西村
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Abstract

【課題】本発明の課題は、ジシアノ化合物を水素と反応させる際、得られるジアミン化合物中に含まれる不純物の構造を明らかにし、この不純物含量が低減された、高純度ジアミン化合物を高収率かつ工業的に好適な方法で製造することである。【解決手段】ニッケルを含む触媒及び塩基性化合物存在下で、下記一般式(1)で示されるジシアノ化合物と水素とを反応させる、ジアミン化合物の製造方法において、得られるジアミン化合物中に含まれる下記一般式(3)で示されるアミド化合物の含量がガスクロマトグラフィーによる測定で0.5面積%以下であることを特徴とする、ジアミン化合物の製造方法。NC−Z−CN (1)(Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)(Zは、上記と同義である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ジアミン化合物の製造方法に関する。
ジアミン化合物は、重合体の中間体、界面活性剤、キレート剤等として有用である。例えば、ヘキサメチレンジアミン(Hexamethylenediamine。1,6−Diaminohexaneとも称する)は、アジピン酸やテレフタル酸等と反応させ、ポリアミド樹脂を形成し、自動車部材等の用途で有用であることが知られている(例えば、特許文献1参照)。オクタメチレンジアミン(Octamethylenediamine。1,8−Diaminooctaneとも称する。)についても、同様にジカルボン酸と反応させることで、有用な高分子材料となることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
こうしたジアミン化合物の製造方法として、第VIII族元素を含む触媒存在下で、ジシアノ化合物を水素と接触させる実質的に無溶剤の水素化反応の前又は反応中に、第VIII族元素触媒を改質剤で処理することを特徴とする、ジアミン化合物の製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、コバルト、ニッケル、及び銅からなるグループから選択される1つ以上の元素を含有することを特徴とする触媒存在下で、ニトリル基を有する化合物を水素と反応させることによりアミン化合物を製造する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
1,8−ジアミノオクタン(オクタメチレンジアミン)等の脂肪族アミン化合物の製造方法として、コバルト−マンガン系触媒とニッケル系触媒の混合触媒の存在下で脂肪族系ニトリル化合物を水素添加させることを特徴とする製造方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。
また、水素以外の還元剤を用いた例として、アンモニアを用いた製造方法が知られている。ルテニウム触媒存在下で、脂肪族ニトリル化合物をアンモニアと反応させることにより、第一級アミン化合物が得られることが知られている(例えば、特許文献6参照)。
特開平7−324131号公報 特開2010−222572号公報 国際公開公報2002/096862号公報 国際公開公報2010/089346号公報 特開平4−117348号公報 米国特許第3372195号公報
しかし、特許文献3〜5の製造方法では、1〜5%の不純物が含まれており、この不純物の構造が明らかではなかった。さらに、この不純物を低減するための手段についても具体的に記載されていなかった。
医農薬や機能性材料の中間体として用いる場合、少量の不純物が最終製品全体の品質に大きく影響を及ぼし得るため、高純度な中間体を製造することは、極めて重要である。
一方、特許文献6に記載されている、アンモニアを用いた製造方法の場合、アンモニア特有の臭気や高圧設備の必要性から、反応スケールの小さい製造方法には適用しにくく、製造設備や立地に関する制約も大きいため、工業的に好適な製造方法であるとは言い難かった。
以上より、本発明の課題は、ジシアノ化合物を水素と反応させる際、得られるジアミン化合物中に含まれる不純物の構造を明らかにすることである。さらに、本発明の課題は、この不純物含量が低減された、高純度ジアミン化合物を高収率かつ工業的に好適な方法で製造することである。
本発明は以下の事項に関する。
1.ニッケルを含む触媒及び塩基性化合物存在下で、下記一般式(1)で示されるジシアノ化合物と水素とを反応させる、下記一般式(2)で示されるジアミン化合物の製造方法において、得られるジアミン化合物中に含まれる下記一般式(3)で示されるアミド化合物の含量がガスクロマトグラフィー(GC)による測定で0.5面積%以下であることを特徴とする、ジアミン化合物の製造方法。
NC−Z−CN (1)
(Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)

(Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)

(Zは、直鎖の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)
2.塩基性化合物がアルカリ金属のアルコキシド又はアルカリ土類金属のアルコキシドである、前記1に記載のジアミン化合物の製造方法。
3.ニッケルを含む触媒が、ラネーニッケルである、前記1又は2に記載のジアミン化合物の製造方法。
4.ニッケルを含む触媒、塩基性化合物、溶媒、及びジシアノ化合物を混合した後、反応溶液中の水分量を2.0×10ppm以下とする、前記1〜3のいずれか一つに記載のジアミン化合物の製造方法。
5.アルコール中でジシアノ化合物と水素とを反応させる、前記1〜4のいずれか一つに記載のジアミン化合物の製造方法。
6.ジシアノ化合物と水素とを反応させる際の水素ガスの圧力が0.1MPa〜10MPaであり、反応温度が70℃〜150℃である、前記1〜5のいずれか一つに記載のジアミン化合物の製造方法。
7.一般式(1)中、Zが炭素数6の直鎖状アルキレン基である、下記式(4)の1,6−ジシアノヘキサンから、下記式(5)の1,8−ジアミノオクタンを製造する、前記1〜6のいずれか一つに記載のジアミン化合物の製造方法。
前述のジシアノ化合物は、下記式(I)の通り、水素と反応し、部分還元体を経由して、ジアミン化合物となると考えられる。しかし、本発明者らが検討した結果、この部分還元体やジシアノ化合物が水や塩基性化合物と反応することにより、アミド化合物が生成することが明らかとなった。
さらに、前記一般式(3)で示されるアミド化合物自体は、ジアミン化合物と分離が困難であることから、反応時に生成するアミド化合物自体の生成量を低減する必要がある。そこで、不純物の構造を決定し、塩基性化合物や水分量等を制御することにより、前述の課題を解決できることを見出し、前述の通り、本発明をするに至った。
本発明によれば、ジシアノ化合物を水素と反応させてジアミン化合物を得る際に生成する不純物の構造を明らかにすることができる。さらに、不純物量が低減される、高純度なジアミン化合物を高収率かつ工業的に好適な製造方法で得ることができる。また、水素ガスを用いてジアミン化合物を得ることができるため、比較的簡便な設備でジアミン化合物を製造することができる。
<反応式、基質、及び生成物>
本発明のジアミン化合物の製造方法について述べる。本発明の製造方法は下記式(II)のように表される。
式中、Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示し、好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数3〜10のアルキレン基、より好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数4〜7のアルキレン基、さらに好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数5〜6のアルキレン基、よりさらに好ましくはペンタメチレン基、又はヘキサメチレン基、特に好ましくはヘキサメチレン基を示す。
本発明で用いられる直鎖状ジシアノ化合物としては、例えば、ジシアノメタン(Dicyanomethane。マロノニトリル(Malononitrile)とも称する)、1,2−ジシアノエタン(1,2-Dicyanoethane。スクシノニトリル(Succinonitrile)とも称する)、1,3−ジシアノプロパン(1,3-Dicyanopropane。グルタロニトリル(Glutaronitrile)とも称する)、1,4−ジシアノブタン(1,4-Dicyanobutane。アジポニトリル(Adiponitrile)とも称する)、1,5−ジシアノペンタン(1,5-Dicyanopentane。ピメロニトリル(Pimelonitrile)とも称する)、1,6−ジシアノヘキサン(1,6-Dicyanohexane。スベロニトリル(Suberonitrile)とも称する)、1,7−ジシアノヘプタン(1,7-Dicyanoheptane。アゼラニトリル(Azelonitrile)とも称する)、1,8−ジシアノオクタン(1,8-Dicyanooctane。セバコニトリル(Sebaconitrile)とも称する)、1,9−ジシアノノナン(1,9-Dicyanononane。ウンデカンジニトリル(Undecanedinitrile)とも称する)、1,10−ジシアノデカン(1,10-Dicyanodecane。ドデカンジニトリル(Dodecanedinitrile)とも称する)、1,11−ジシアノウンデカン(1,11-Dicyanoundecane。ウンデカンジニトリル(Undecanedinitrile)とも称する)、1,12−ジシアノドデカン(1,12-Dicyanododecane。ドデカンジニトリル(Dodecanedinitrile)とも称する)、1,13−ジシアノトリデカン(1,13-Dicyanotridecane。トリデカンジニトリル(Tridecanedinitrile)とも称する)、1,14−ジシアノテトラデカン(1,14-Dicyanotetradecane。テトラデカンジニトリル(Tetradecanedinitrile)とも称する)、1,15−ジシアノペンタデカン(1,15-Dicyanopentadecane。ペンタデカンジニトリル(Pentadecanedinitrile)とも称する)、1,16−ジシアノヘキサデカン(1,16-Dicyanohexadecane。ヘキサデカンジニトリル(Hexadecanedinitrile)とも称する)、1,17−ジシアノヘプタデカン(1,17-Dicyanoheptadecane。ヘプタデカンジニトリル(Heptadecanedinitrile)とも称する)、1,18−ジシアノオクタデカン(1,18-Dicyanooctadecane。オクタデカンジニトリル(Octadecandinitrile)とも称する)、1,19−ジシアノノナデカン(1,19-Dicyanononadecane。ノナデカンジニトリル(Nonadecanedinitrile)とも称する)、1,20−ジシアノアイコサン(1,20-Dicyanoeicosane。アイコサンジニトリル(Eicosanedinitrile)とも称する)等が挙げられる。
分岐状ジシアノ化合物としては、前述の直鎖状ジシアノ化合物上の任意の水素原子がアルキル基に置換されたものが挙げられる。また、直鎖状ジシアノ化合物上の任意の水素原子が反応を阻害しない基に置換されていてもよい。反応を阻害しない基として、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基等が挙げられる。
環状ジシアノ化合物としては、例えば、ジシアノイソホロン(Dicyanoisophorone)、1,4−ジシアノシクロヘキサン(1,4-Dicyanocyclohexane)、1,3−ジシアノシクロペンタン(1,3-Dicyanocyclopentane)等が挙げられる。
前述のジシアノ化合物の中で、本発明に用いられるジシアノ化合物としては、好ましくは1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサンが挙げられ、より好ましくは1,6−ジシアノヘキサンである。1,6−ジシアノヘキサンは、下記式(4)で示される化合物である。なお、複数のジシアノ化合物を混合して、本発明の製造方法に用いても構わない。
前述のジシアノ化合物を水素と反応させて得られる、ジアミン化合物は、前記一般式(2)で示される化合物であり、前記一般式(1)中のシアノ基(−CN)がアミノメチル基(−CHNH)となった化合物である。なお、前記式(4)で示される化合物を水素と反応させて得られる、1,8−ジアミノオクタンは、下記式(5)で示される化合物である。
同様に、得られるアミド化合物は、下記一般式(3)で示され、前記一般式(1)中の一方のシアノ基(−CN)がアミノメチル基(−CHNH)となり、もう一方のシアノ基がアミド基(−CONH)となった化合物である。
Zは、前記と同義である。
本発明の製造方法により得られたジアミン化合物中のアミド化合物の含量は、後述の測定条件で、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。ジアミン化合物中のアミド化合物の含量は、ガスクロマトグラフィーによる面積%値の測定で、好ましくは3面積%以下、より好ましくは1面積%以下、さらに好ましくは0.5面積%以下、さらにより好ましくは0.1面積%以下、特に好ましくは0.05面積%以下である。また、本測定方法により、ジアミン化合物中に含まれる、0.01面積%以上のアミド化合物を測定することができる。この範囲ならば、アミド化合物の含量の測定が可能であり、得られるジアミン化合物は最終製品の品質に影響を及ぼさない程度に高純度である。
<使用する溶媒>
ジシアノ化合物が室温又は加温下で液体の場合、本発明においては溶媒を用いずに水素と反応させてもよいが、後述する触媒及び塩基性化合物と効率よく反応させる観点から、溶媒を用いることが好ましい。
用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びtert−ブチルアルコール等のアルコール;ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;塩化メチレン及びジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテルが挙げられる。好ましくはエーテル、又はアルコール、より好ましくはテトラヒドロフラン、メタノール、又はエタノール、さらに好ましくはメタノールが使用される。また、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用してもよい。
前記反応溶媒の使用量は、ジシアノ化合物の質量の合計値1gに対して、好ましくは0.1g〜10g、より好ましくは0.2g〜5g、さらに好ましくは0.3g〜3g使用される。
<塩基性化合物>
本発明において、塩基性化合物は、効率よく反応を進行させ、前述のアミド化合物の生成を抑制するために必要である。
塩基性化合物としては、例えば、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアルコキシド(リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ルビジウムメトキシド、セシウムメトキシド、カルシウムメトキシド、マグネシウムメトキシド等)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のカルボン酸塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム等)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のリン酸塩(リン酸ナトリウム等)、塩基性イオン交換樹脂、又は塩基点を持つゼオライト等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくはアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアルコキシドが使用され、より好ましくはアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアルコキシドが使用され、さらに好ましくはナトリウムメトキシドが使用される。また、これらの塩基性化合物は単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これら塩基性化合物は、単体基準で、ジシアノ化合物1molに対し、好ましくは0.001mol〜1mol、より好ましくは0.005mol〜0.5mol、さらに好ましくは0.005mol〜0.1mol使用できる。この範囲とすることで、副生物の生成を抑制しながら、工業的に好適な反応速度で、ジアミン化合物を製造することができる。
<触媒>
本発明で使用される触媒は、ジニトリルの水素化によってジアミンを生成するのに適した水素化触媒である。好ましい触媒は、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、金、及びアルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む触媒であり、より好ましくは、コバルト、ニッケル、及びパラジウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む触媒であり、さらに好ましくはニッケルを含む触媒である。ニッケルを含む触媒の中でも、ラネーニッケルを用いることが好ましい。これらの金属を触媒として用いることで、ジシアノ化合物と水素とを効率よく反応させることができる。また、これらの金属は、単独で用いても、複数種を混合して用いてもよく、一般的に知られた助触媒等を添加しても構わない。
また、触媒として用いられる金属は、固体に担持し、固体触媒として使用することもできる。担体としては、反応条件や目的に応じて適宜選択されるが、具体的には、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ(アルミノシリケート)、セリア、マグネシア、カルシア、チタニア、シリカチタニア(チタノシリケート)、ジルコニア、活性炭、ゼオライト、メソ孔体(メソポーラス−アルミナ、メソポーラス−シリカ及びメソポーラス−カーボン)等が挙げられる。
これら無機化合物の中では、活性炭、シリカ、アルミナ、メソ孔体が挙げられる。無機化合物は単一種でも、複数種を混合しても用いることができる。触媒として用いられる金属は無機化合物に担持して用いることで、濾過のみで触媒を回収することができる。また、固体触媒の製造方法としては、特に限定されず、例えば、共沈法、析出沈殿法、含浸法、蒸発乾固法、ポアフィリング法、及びイオン交換法などが挙げられる。
これら金属は、金属単体基準で、ジシアノ化合物1molに対し、好ましくは0.001mol〜1mol、より好ましくは0.005mol〜0.5mol、さらに好ましくは0.01mol〜0.2mol使用できる。この範囲とすることで、副生物の生成を抑制しながら、工業的に好適な反応速度で、ジアミン化合物を製造することができる。
<触媒の製造方法>
ニッケルを含む触媒を用いる場合、ラネーニッケルを使用することが好ましい。このラネーニッケルは、公知の方法により製造することができる。公知の方法は、例えば、改訂3版 化学便覧 応用編 日本化学会編 667ページ、又は第4版 実験化学講座26 有機合成VIII 253ページ等に記載されている。
ラネーニッケルとは、酸やアルカリの水溶液に可溶な金属、及びニッケルを含む合金を、酸又はアルカリの水溶液と混合し、ニッケル以外の金属を除去することによって得たニッケル触媒である。このラネーニッケル触媒を製造する際に使用される合金をラネー合金とも称することがある。このラネーニッケルの製造方法は、前述の公知の方法から逸脱するものでなければ特に制限されないが、例えば、ニッケル−アルミニウム合金をアルカリ水溶液と混合し、水等で洗浄しながらアルミニウムを除去することによって多孔質のニッケルが得られる。なお、金属の溶解に伴い発熱することや、水素ガスが発生することがある。
このラネーニッケルの製造において、使用する合金は、酸やアルカリ水溶液に可溶なものならば特に制限されないが、好ましくはアルミニウムが使用される。合金中のニッケルとアルミニウムの重量比は、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20、さらに好ましくは30:70〜70:30、よりさらに好ましくは40:60〜60:40である。この範囲とすることで、本発明の製造方法に好適な、多孔質のニッケルを得ることができる。
ラネーニッケル製造時に、アルミニウム等の金属を除去する際には酸又はアルカリの水溶液が用いられる。ニッケル以外の金属が除去できるものならば特に限定されないが、アルカリ水溶液としては、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液等を使用することができ、二種以上の水溶液を混合して用いることができる。酸性水溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等を用いることができ、二種以上の水溶液を混合して用いてもよい。中でも、好ましくはアルカリ金属の水酸化物を使用することができ、より好ましくは水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。
ラネー合金をアルカリ水溶液と混合した後、室温でニッケル以外の金属が溶解しない場合は、加熱しても構わない。加熱する場合、60℃〜100℃に加熱し、アルミニウム等のニッケル以外の金属が溶解するまで、放置又は撹拌することができる。
アルミニウム等の溶解後、アルカリ水溶液は、デカンテーションにより除去し、ニッケルを含む固体は水で洗浄し、再びデカンテーションにより除去することで、ニッケルを含む固体中のアルカリ成分を除去することが好ましい。アルカリ成分は、反応を阻害しない程度に除去すればよいが、好ましくはpHが7〜10、より好ましくは7〜9になるまで、前述の水による洗浄及びデカンテーションを繰り返すことが好ましい。具体的には、水による洗浄とデカンテーションの操作は、水の使用量に応じて適宜調整されるが、5〜10回程度で、好適なpHまでニッケルを含む固体を洗浄することができる。また、使用する水は、蒸留水、精製水、脱イオン水等を用いることができる。このようにして、ラネーニッケルを製造することができる。
前述のラネーニッケルを製造した後、水溶液を有機溶媒溶液とすることが好ましい。有機溶媒溶液にすることで、ジシアノ化合物と水素とを反応させる際に、ジシアノ化合物やこの部分還元体が水と反応することを抑制し、前記一般式(3)で示されるアミド化合物の生成量を低減することができる。したがって、水溶液から有機溶媒溶液にした後の溶液中の水分量は、アミド化合物の生成を低減するという観点から、好ましくは3.0×10ppm以下、より好ましくは1.0×10ppm以下、さらに好ましくは5.0×10ppm以下、さらにより好ましくは2.0×10ppm以下である。また、溶液中の水分量は、溶液の一部を採取し、電量滴定法カールフィッシャー水分計により測定することができる。なお、本測定方法により、溶液中の1ppm以上の水分量を測定することができる。
ラネーニッケルを製造する際に用いられる有機溶媒は、ジシアノ化合物と水素との反応を阻害しないものならば特に制限されないが、前述の触媒及び塩基性化合物と効率よく反応させる観点から、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びtert−ブチルアルコール等のアルコール;ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;塩化メチレン及びジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテルが挙げられる。好ましくはエーテル、又はアルコール、より好ましくはテトラヒドロフラン、メタノール、又はエタノール、さらに好ましくはメタノールが使用される。また、これらの溶媒は、単独で又は二種以上を混合して使用してもよい。
水溶液から有機溶媒溶液とする方法としては、特に制限されないが、例えば、水とラネーニッケルを含むスラリーと有機溶媒を混合し、十分に撹拌した後、デカンテーションを行うという操作を繰り返すことが挙げられる。また、水とラネーニッケルを含むスラリーと有機溶媒を混合し、減圧濃縮するという操作を繰り返すことにより、水溶液を有機溶媒溶液にすることもできる。
<反応条件・装置>
本発明の反応における反応温度は、使用する溶媒や反応圧力に応じて適宜変更されるが、好ましくは25℃〜200℃、より好ましくは50℃〜180℃、さらに好ましくは70℃〜150℃である。この範囲とすることで、工業的に好適な反応速度を維持しながら、転化率を向上させ、かつ逐次反応物や分解物の増加を抑制することができる。
前述の金属触媒、塩基性化合物、溶媒、及びジシアノ化合物を混合した後、反応溶液中の水分量は、アミド化合物の生成を低減するという観点から、好ましくは1.0×10ppm以下、より好ましくは5.0×10ppm以下、さらに好ましくは2.0×10ppm以下、さらにより好ましくは1.0×10ppm以下である。また、溶液中の水分量は、溶液の一部を採取し、電量滴定法カールフィッシャー水分計により測定することができる。なお、本測定方法により、溶液中の1ppm以上の水分量を測定することができる。
反応時間は、反応温度、反応圧力、基質濃度、触媒の使用量又は反応装置等によって異なるため、特に制限されない。しかしながら、本発明の反応は、転化率を向上させ、かつ逐次反応物や分解物の増加を抑制する観点から、好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは1〜10時間で行う。
本発明の反応における水素圧力は、使用する溶媒や反応温度に応じて適宜変更されるが、好ましくは大気圧〜20MPa、より好ましくは大気圧〜10MPa、さらに好ましくは大気圧〜7MPaである。この範囲とすることで、工業的に好適な反応速度を維持しながら、収率よくジアミン化合物を製造することができる。
水素は、一般に工業レベルの純度で使用される。また、水素は、例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン又は二酸化炭素との混合物の形で使用することもできる。水素含有量は、好ましくは、90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上であり、この範囲の水素を用いることで、ジシアノ化合物と効率よく反応させることができる。
本発明の反応は、連続式又は回分式(バッチ式)のいずれの方式で行ってもよいが、バッチ式で行うことが好ましい。また、反応形式(反応態様)は、液相懸濁反応又は固定床流通反応のいずれの反応形式でも行うことができる。
反応器は、撹拌タンク反応器でも管型反応器であってもよい。反応器は、例えば、高圧撹拌タンク反応器、オートクレーブ、固定床反応器、流動床反応器、移動床、循環型流動床、連続的撹拌タンク、バブル反応器、循環反応器(例えば、ジェットループ型反応器など)であり、所望の反応条件(例えば、温度、圧力及び滞留時間)に適切な反応器が、それぞれ使用される。反応器は、単一の反応器(シングルリアクター)として、単一の反応器の連続として及び/又は2つ以上の平行反応器の形で使用することができる。
<精製方法>
本実施形態の反応によって得られるジアミン化合物は、反応終了後、例えば、濾過、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって単離・精製できる。精製方法は使用する溶媒や基質等により適宜調節されるが、例えば、抽出洗浄、及び蒸留により精製することができる。
前述の反応によって得られるジアミン化合物を含む溶液はラネーニッケル等を除去する目的で、濾過することが好ましい。濾過の際、使用した有機溶媒で濾物を洗浄してもよい。
前述の濾過後、得られる溶液は、反応時に溶媒を使用する場合、溶媒を減圧留去するとよい。さらに、減圧留去後に、蒸留精製することが好ましい。蒸留においては、連続方式、半回分式、回分式(バッチ式)のいずれの方法でもよいが、回分式が好ましい。また、蒸留装置は単蒸留装置、精留段を持つ蒸留装置のいずれでも構わないが、ジアミン化合物を効率よく精製できるという点で精留段を持つ蒸留装置の方が好ましい。精留段を持つ蒸留装置を使用する場合、その精留段の段数には制限はないが、効率よくジアミン化合物を精製し、回収率を向上させるという点で、精留段は1〜10段であることが好ましい。また、精留の場合、還流比(還流量を留出量で割った値を示す。)は、適宜調節されるが、0.1〜30、好ましくは、0.3〜15である。
蒸留温度は、粗生成物の成分、蒸留圧力、及び使用する溶媒等に応じて適宜決められるが、好ましくは50〜300℃、より好ましくは60℃〜200℃、さらに好ましくは70℃〜150℃である。この範囲とすることで、不純物を増加させることなく、効率的にジアミン化合物と不純物を分離することができる。
蒸留圧力は、温度や混入している低沸点及び高沸点の不純物の量に依存するため、特に制限されないが、例えば、好ましくは0.1kPa〜70kPa、より好ましくは0.1kPa〜15kPa、さらに好ましくは0.1kPa〜3kPaである。この範囲とすることで、効率的にジアミン化合物と不純物を分離することができる。
蒸留の回数は、混入している低沸点及び高沸点の不純物の種類や量に依存するため、特に制限されないが、複数回蒸留することにより、ジアミン化合物の純度を向上させることができる。
1回目の蒸溜において、反応溶液中から沸点が同程度のものを分離するとき、沸点が低いものから順に、軽沸、初留、主留、後留とし、蒸留後に反応容器に残存したものを釜残とする。一般的に、反応容器中の圧力の変化や凝結する前の気体の温度等を測定することにより、軽沸、初留、主留等の切り替えを行うことができる。
軽沸については、反応に使用した有機溶媒やジアミン化合物より沸点の低い不純物が多く含まれるため、廃棄することが好ましい。
初留中には不純物、例えば、1,8−ジアミノオクタン(オクタメチレンジアミン)製造時には1,7−ジアミノヘプタン等が含まれることがある。したがって、初留中の不純物を除去するため、再度蒸留することにより、不純物が除去されたジアミン化合物を得ることができ、収率を向上させることもできる。再度蒸留する際の圧力や温度等の条件は、前述と同様である。
主留中には、ジアミン化合物が高純度で含まれるため、これ以上蒸留する必要がないことがある。不純物が混入する場合は、再度蒸留しても構わない。
後留中には不純物、例えば、前記一般式(3)で示されるアミド化合物、前記式(I)中の部分還元体、及び/又はジアミン化合物の二量体等が含まれることがある。したがって、後留中の不純物を除去するため、再度蒸留することにより、不純物が除去されたジアミン化合物を得ることができ、収率を向上させることもできる。再度蒸留する際の圧力や温度等の条件は、前述と同様である。また、前記初留と後留を混合して、蒸留してもよい。
また、釜残中にもジアミン化合物が多く含まれることがあるため、再度蒸留してもよい。再度蒸留する際の圧力や温度等の条件は、前述と同様である。釜残を再度蒸溜する際、釜残を反応溶液に混ぜて1回目の蒸留と同時に行ってもよいし、初留と混ぜて再蒸留してもよいが、前者の方が好ましい。
不純物の残存量や精留段数等に応じて、再蒸留の有無や蒸留の条件等を適宜調節する。再蒸留の回数は複数回であっても構わない。
得られる高純度なジアミン化合物の純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて水素炎イオン化検出法により、下記の条件で測定することができる。
<GCの測定>
得られるジアミン化合物0.2μLをガスクロマトグラフィーの試料導入口より打ち込むことにより、測定される。
[測定条件]
反応生成物の同定及び生成量の測定は、特に断りのない限り、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定した。測定条件は以下のとおりである。
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC−2014
検出器:水素炎イオン化検出法(FID)
試料導入法:スプリット注入法
カラム:CP−Sil 8 CB(内径:0.25mm、長さ:30m、膜厚:0.5μm)
キャリアガス:ヘリウム 130kPa
昇温条件:120℃で30分保持した後、15℃/分で300℃まで昇温、300℃で18分間保持する。
ジアミン化合物の純度は、GC面積%値で、好ましくは98.0面積%以上、より好ましくは99.0面積%以上とすることができる。
以上の精製により、高純度なジアミン化合物を製造することができる。なお、以上の精製方法は、製造されるジアミン化合物の沸点等の物性に応じて適宜変更されるが、ジアミン化合物の中でも1,8−ジアミノオクタン(オクタメチレンジアミン)を精製する際に、特に好適に適用される。
次に、本発明の具体的態様を、実施例により説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1::1,8−ジアミノオクタン(オクタメチレンジアミン)の合成〕
本水添反応は、所望の圧力になるまで昇圧後、反応による水素消費により一定の圧力まで減圧されると水素を所望圧力まで補給する制御方法を採用した。
<ラネーニッケルの製造>
1Lフラスコに28重量%水酸化ナトリウム水溶液500gを加えた。この水酸化ナトリウム水溶液に対し、発熱や水素発生に気をつけながら、ニッケル−アルミニウム合金(ラネー合金とも称する。ニッケルの含量は50重量%。)14.0gを少しずつ加えた。このニッケル−アルミニウム合金が加えられた水酸化ナトリウム水溶液を撹拌しながら、90℃に加熱した。水素ガスの発生が認められなくなった後、加熱を停止した。得られたニッケルを水により洗浄し、デカンテーションするという操作を繰り返し、水溶液が中性であることを確認した。得られた水溶液に対し、メタノールを30mL加え、減圧濃縮するという操作を6回繰り返し、水溶液をニッケルのメタノール溶液とした。前記の通り、ニッケル−アルミニウム合金中のニッケルの含量が50重量%であることから、このメタノール溶液にはニッケルが7.0g含まれるとしてジアミン化合物の製造方法に用いた。
<ジアミン化合物の製造>
熱電対温度計、撹拌機(2枚傾斜パドル)、圧力計、水素吹き込みラインを備えた、500mLオートクレーブに1,6−ジシアノヘキサン175g、メタノール86.0g、28重量%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を2.0g(メタノールに対し0.64重量%)、前記と同様の操作で展開したニッケル触媒10.5g(ニッケル単体基準で1,6−ジシアノヘキサンに対し6.0重量%)を仕込んだ。このときの溶液中の水分量は、カールフィッシャー水分計(平沼産業社製)により測定したところ、920ppmであった。仕込み後水素置換を行い、その後5MPaまで昇圧させた。昇圧後より1時間程度かけて内温90℃になるまで昇温させた。70℃辺りから水素消費が確認された。
90℃到達より反応を開始し、6時間程度でほぼ水素消費がなくなったことを確認した。その後さらに2時間反応させた後、室温下まで冷却後脱圧し、反応液を濾過して触媒を取り除き、100gのメタノールで濾物の洗浄を行った。得られた1,8−ジアミノオクタンのメタノール反応液取得重量は377.4gであった。(1,8−ジアミノオクタンのGC面積%(メタノール除く):94.3面積%、定量値からの1,8−ジアミノオクタン反応収率:96.7%)
精製は棚段式オールダーショウ10段蒸留塔、手動還流器を備えた蒸留装置で行った。得られた1,8−ジアミノオクタン−メタノール溶液210.5gを用いて、以下留分を回収した。
・メタノール(MeOH)回収
圧力を常圧から13kPaに減圧し、内部温度85℃(塔頂温度50℃〜65℃)の留分を軽沸として83.6g回収した。
・初留回収
圧力を1.7kPa〜2.2kPaに保ち、内部温度130℃〜135℃(塔頂温度110℃〜120℃)の留分を初留として、6.5g回収した(仕込みの5重量%〜6重量%)。
・主留回収
圧力を2.0kPaから0.7kPaに減圧し、内部温度を130℃から150℃に昇温した。ここで、塔頂温度110℃以下の留分を主留として89.8g回収した(主留回収率84.6%)。蒸留後の釜残は14.3gであった。
主留中の主成分として1,8−ジアミノオクタンが含まれ、無色透明の固体(室温下)であり、GC面積%は99.93面積%、アミド化合物のGC面積%値は0.040面積%であった。
〔参考例1:1,12−ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)の合成〕
熱電対温度計、攪拌機(2枚傾斜パドル)、圧力計、水素吹き込みラインを備えた、100mlオートクレーブに1,10−ジシアノデカン10g、メタノール29.4g、28重量%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を0.36g(メタノールに対し3.0重量%)、実施例1と同様の操作で展開されたニッケル触媒0.27gを仕込んだ。仕込み後水素置換を行い、その後5MPaまで昇圧させた。昇圧後より1時間程度かけて内温130℃になるまで昇温させた。
130℃到達より反応を開始し、3時間程度でほぼ水素消費がなくなったことを確認した。その後さらに1時間反応させた後、室温下まで冷却後脱圧し、反応液を濾過して触媒を取り除き、100gのメタノールで濾物の洗浄を行った。得られた1,12―ジアミノドデカンのメタノール反応液よりメタノール濃縮を行ったところ、濃縮後の粗1,12−ジアミノドデカン取得重量は10.34gであった。1,12−ジアミノドデカンのGC面積%は96.8面積%であり、定量値から計算された1,12−ジアミノドデカン反応収率は91.7%であった。
以上の通り、本発明によれば、ジシアノ化合物を水素と反応させてジアミン化合物を得る際に生成する不純物の構造を明らかにすることができる。さらに、不純物量が低減された、高純度なジアミン化合物を高収率かつ工業的に好適な製造方法で得ることができる。
本発明により、不純物が最終製品の品質に悪影響を与えることのない、高純度なジアミン化合物を供給することが可能となる。

Claims (7)

  1. ニッケルを含む触媒及び塩基性化合物存在下で、下記一般式(1)で示されるジシアノ化合物と水素とを反応させる、下記一般式(2)で示されるジアミン化合物の製造方法において、得られるジアミン化合物中に含まれる下記一般式(3)で示されるアミド化合物の含量がガスクロマトグラフィーによる測定で0.5面積%以下であることを特徴とする、ジアミン化合物の製造方法。
    NC−Z−CN (1)
    (Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)

    (Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)

    (Zは、直鎖の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)
  2. 塩基性化合物がアルカリ金属のアルコキシド又はアルカリ土類金属のアルコキシドである、請求項1に記載のジアミン化合物の製造方法。
  3. ニッケルを含む触媒が、ラネーニッケルである、請求項1又は2に記載のジアミン化合物の製造方法。
  4. ニッケルを含む触媒、塩基性化合物、溶媒、及びジシアノ化合物を混合した後、反応溶液中の水分量を2.0×10ppm以下とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のジアミン化合物の製造方法。
  5. アルコール中でジシアノ化合物と水素とを反応させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のジアミン化合物の製造方法。
  6. ジシアノ化合物と水素とを反応させる際の水素ガスの圧力が0.1MPa〜10MPaであり、反応温度が70℃〜150℃である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のジアミン化合物の製造方法。
  7. 一般式(1)中、Zが炭素数6の直鎖状アルキレン基である、下記式(4)の1,6−ジシアノヘキサンから、下記式(5)の1,8−ジアミノオクタンを製造する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のジアミン化合物の製造方法。

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