JP2017029959A - 自動車エンジン用濾材 - Google Patents
自動車エンジン用濾材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017029959A JP2017029959A JP2015155434A JP2015155434A JP2017029959A JP 2017029959 A JP2017029959 A JP 2017029959A JP 2015155434 A JP2015155434 A JP 2015155434A JP 2015155434 A JP2015155434 A JP 2015155434A JP 2017029959 A JP2017029959 A JP 2017029959A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- layer
- filter medium
- fibers
- dense layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Filtering Materials (AREA)
- Nonwoven Fabrics (AREA)
Abstract
Description
また密層にシリコーンオイルが付着した繊維が含まれているため、各層を一体化する際の機械的絡合によってそれぞれの層の境が不明確とならず、各層が有する本来の機能が充分に発揮され、結果として高剛性、低通気抵抗、高捕集効率及び高捕集量の性能向上に繋がった。
[1]繊維密度が異なる粗層と密層とを有する二層構造、または、粗層、中間層、密層とがこの順で積層された三層構造を有し、各層が機械的絡合法によって一体化された不織布濾材であって、
前記密層がその一部又は全部にシリコーンオイルが付着した基材繊維と、この基材繊維よりも融点が低い低融点繊維とを含み、前記中間層が少なくとも低融点繊維を含み、
密層中の低融点繊維の割合が57重量%以上100重量%未満であり、中間層中の低融点繊維の割合が40重量%以上であることを特徴とする濾材。
[2]密層100重量%中、シリコーンオイルが付着した基材繊維が1重量%以上43重量%以下含まれる[1]に記載の濾材。
[3]密層の絡合密度が、粗層の絡合密度よりも高い[1]または[2]に記載の濾材。
[4]密層と中間層の繊維密度差が、0.076〜0.120g/cm3であり、中間層と粗層の繊維密度差が0.040〜0.067g/cm3である[1]〜[3]に記載の濾材。
[5]目付が180〜550g/m2であり、厚さが4〜8.5mmである[1]〜[4]に記載の濾材。
[6]前記粗層が、シリコーンオイルが付着した繊維の含有率が20重量%以下のシリコーンオイルフリー層である[1]〜[5]に記載の濾材。
[7]前記密層の表面が突起のない平坦面である[1]〜[6]に記載の濾材。
図1は、本発明に係る濾材の実施態様の一例を示す概略断面図である。本発明に係る濾材10は、繊維密度が異なる粗層3、中間層2、密層1とがこの順で積層された三層構造を有し、各層が機械的絡合法によって一体化された不織布濾材である。なお前記中間層2は任意の層であるため、本発明において濾材10は、中間層2を有しない粗層3と密層1とを有する二層構造であってもよい。
なお密層1、中間層2、及び粗層3はいずれも不織布であるが、後述するように、濾材10は、機械的絡合法によって、ウェブと不織布を含む積層体を一体化する方法、ウェブの積層体を一体化する方法、不織布の積層体を一体化する方法等により製造される。
前記密層は、更にシリコーンオイルが付着していない基材繊維を含んでいてもよい。
本発明において各層の骨格を形成する繊維(以降、「基材繊維」と称す)には、シリコーンオイルが付着した基材繊維及びシリコーンオイルが付着していない基材繊維が含まれる。
特に、密層100重量%中、シリコーンオイルが付着した基材繊維は、1重量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは5重量%以上であり、更に好ましくは8重量%以上である。上限は、43重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下であり、更に好ましくは15重量%以下である。含有量が前記範囲内であれば、通気抵抗と捕集性能のバランスに優れる濾材が得られるため好ましい。
同様に、中間層100重量%中、シリコーンオイルが付着した基材繊維は、1重量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは2重量%以上であり、更に好ましくは4重量%以上である。上限は、45重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下であり、更に好ましくは15重量%以下であり、特に好ましくは12重量%以下である。含有量が前記範囲内であれば、通気抵抗と捕集性能のバランスに優れる濾材が得られるため好ましい。シリコーンオイルが付着した基材繊維が規定範囲を超えて含有されると、繊維間の接着強度が低下して剛性が維持できなくなったり、濾材を必要な寸法にカットする際に摩擦抵抗が低くなるため、綺麗な断面にカットできない虞があるため好ましくない。
加えて粗層は、シリコーンオイルが付着した繊維の含有率が20重量%以下のシリコーンオイルフリー層であることが好ましく、より好ましくは12重量%以下であり、更に好ましくは8重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下である。粗層に用いる繊維は、密層及び中間層で用いる繊維と比べると太いため、元々繊維を交絡させ難い。そのため、粗層中の繊維を充分に絡合するため、粗層においては、シリコーンオイルが付着した基材繊維が実質的に含まれていなくても(すなわち0〜2重量%、より好ましくは0〜1重量%、特に好ましくは0重量%であっても)よい。
密層に含まれるSi繊維の繊度は、0.8〜3dtexが好ましく、より好ましくは1.5〜2.8dtexであり、更に好ましくは1.7〜2.5dtexである。
また中間層に含まれるSi繊維の繊度は、3〜7dtexであり、より好ましくは3.5〜5.5dtexであり、更に好ましくは4〜4.6dtexである。
更に粗層に含まれるSi繊維の繊度は、3〜5dtexであり、より好ましくは3.5〜4.8dtexであり、更に好ましくは4〜4.6dtexである。
濾材の通気抵抗を下げる観点からは、密層が、シリコーンオイルが付着した基材繊維を5〜15重量%含んでいることが望ましく、好ましくは5〜10重量%であり、このとき密層を構成する他の繊維は低融点繊維であることが望ましい。
シリコーンオイルが付着していない基材繊維としては、合成繊維、再生繊維、または天然繊維等が挙げられる。
合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート繊維等のポリエステル繊維;ナイロン6、ナイロン66、アラミド繊維(パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維等)等のポリアミド繊維;ポリアクリロニトリル繊維、ポリアクリロニトリル−塩化ビニル共重合体繊維等のアクリル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ポリフェニレンサルファイド繊維;等が例示できる。
再生繊維としては、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等が例示できる。
天然繊維としては、綿、パルプ、カポック、麻、毛、絹等が例示できる。
中でも、性能と価格のバランスが良いことから、シリコーンオイルが付着していない基材繊維としては、ポリエステル繊維が好ましく、特にポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。また、各層における基材繊維は、同一であっても異なっていてもよい。
中間層においてSi繊維とR繊維の含有率は、重量比(Si繊維:R繊維)で、0:100〜100:0が好ましく、繊維の絡合度合いを調整するため、より好ましくは20:80〜80:20であり、更に好ましくは30:70〜70:30であり、特に好ましくは40:60〜60:40である。
粗層においてSi繊維とR繊維の含有率は、重量比(Si繊維:R繊維)で、0:100〜100:0が好ましく、繊維の絡合を促進するため、より好ましくは10:90〜0:100であり、更に好ましくは5:95〜0:100であり、特に好ましくは0:100である。
また、形成されるプリーツがシャープな形状となるように、各層を構成する繊維には、各層の骨格を形成する基材繊維よりも融点が低く、熱溶融性の繊維(以降、「低融点繊維」と称す。例えば、低融点部を有する複合繊維等である)が含まれていてもよい。低融点繊維は、熱処理により繊維の一部又は全部が溶融するため、この溶融した繊維(樹脂)が、濾材を構成する繊維を接着する機能を有する。熱処理後の冷却により、溶融した低融点繊維は固化して、繊維の接着強度を高めると共に、濾材に適度な強度を付与することができるため、濾材の寸法が安定し、且つ濾材に適度な剛性を付与することが可能となる。また、繊維の固着には、接着剤樹脂を含むエマルジョンやラテックス等を用いて含浸加工、噴霧加工、泡加工等による処理を行うことが一般的であるが、これらの方法ではエマルジョンやラテックスに含まれる水分を乾燥させる必要があり、多大なエネルギーを要してしまう。しかし、低融点繊維を用いれば、このような問題も解消されるため好ましい。なお本発明において、低融点繊維は、密層、中間層、粗層の全てに含まれていることが望ましい。
低融点繊維も、密層、中間層、粗層で勾配を有していることが好ましい。
密層に含まれる低融点繊維の繊度は、0.8〜3dtexが好ましく、より好ましくは1.5〜2.8dtexであり、更に好ましくは1.7〜2.5dtexである。密層に細繊度の低融点繊維を混綿することにより、高剛性で、低融点繊維が溶融した後に残る細繊度の芯部によって低圧損且つ高捕集効率な濾材が得られる。
また中間層に含まれる低融点繊維の繊度は、3〜5dtexが好ましく、より好ましくは3.5〜4.8dtexであり、更に好ましくは4〜4.6dtexである。
更に粗層に含まれる低融点繊維の繊度は、3〜40dtexが好ましく、より好ましくは3.5〜25dtexであり、更に好ましくは4〜20dtexである。
中間層では、40重量%以上であり、好ましくは57重量%以上であり、より好ましくは75重量%以上であり、更に好ましくは85重量%以上であり、好ましくは100重量%以下であり、より好ましくは98重量%以下であり、更に好ましくは95重量%以下である。
粗層では、20重量%以上が好ましく、好ましくは57重量%以上であり、より好ましくは75重量%以上であり、更に好ましくは85重量%以上であり、好ましくは100重量%以下であり、より好ましくは98重量%以下であり、更に好ましくは95重量%以下である。
低融点繊維の含有率は前記の通りであるが、各層における低融点繊維以外の残部は、シリコーンオイルが付着した基材繊維及び/又はシリコーンオイルが付着していない基材繊維の、一成分系又は二成分系であることが好ましい。
濾材の目付は、180〜550g/m2であり、より好ましくは230〜500g/m2であり、更に好ましくは280〜450g/m2である。目付が前記範囲内であれば、捕集効率及び捕集量が良好で、プリーツの山と谷をシャープに形成できる濾材が得られるため好ましい。
密層の目付は、100〜350g/m2が好ましく、より好ましくは140〜260g/m2であり、更に好ましくは160〜250g/m2である。密層の目付が下限値を下回ると、塵埃の捕集効率が下がる虞があるため好ましくなく、上限値を超えると濾材の通気抵抗が上がる虞があるため好ましくない。
中間層の目付は、密層の目付より小さく、粗層の目付より大きいことが好ましく、40〜130g/m2が好ましく、より好ましくは60〜120g/m2であり、更に好ましくは70〜100g/m2である。目付が下限値を下回ると、粗層で捕集できなかった粗塵の捕集効率が下がる虞があるため好ましくなく、上限値を超えると、濾材が厚くなりパッケージに収まらない虞があるため好ましくない。
粗層は比較的粒径の大きな塵埃の捕捉を目的とするため、ある程度の嵩高さが必要となる。そのため、粗層の目付は、30〜100g/m2が好ましく、より好ましくは40〜80g/m2であり、更に好ましくは50〜70g/m2である。目付が下限値を下回ると、比較的粒径の大きな塵埃の捕集効率が低下する恐れがあるため好ましくない。また上限値を超えると、濾材が厚くなりパッケージに収まらない虞があるため好ましくない。
濾材の厚さは、好ましくは4〜8.5mm、より好ましくは4.5〜7.5mm、更に好ましくは5〜7.0mmである。厚さが前記範囲内であれば、適度な剛性を有し、プリーツが変形したり、破損することのない濾材が得られる。
密層の厚さは、0.7〜2mmが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5mm、更に好ましくは1.0〜1.3mmである。
中間層の厚さは、0.7〜3mmが好ましく、より好ましくは1.1〜2mm、更に好ましくは1.1〜1.5mmである。
粗層の厚さは、1.5〜5mmが好ましく、より好ましくは2.0〜4.5mm、更に好ましくは2.5〜4.0mmである。
濾材の繊維密度は、0.050〜0.070g/cm3が好ましく、より好ましくは0.052〜0.065g/cm3であり、更に好ましくは0.055〜0.063g/cm3である。濾材の繊維密度が前記範囲内であれば、高捕集効率及び高捕集量を達成できる。
特に密層の繊維密度は、0.100〜0.250g/cm3が好ましく、より好ましくは0.140〜0.200g/cm3であり、更に好ましくは0.145〜0.180g/cm3である。
中間層の繊維密度は、0.030〜0.100g/cm3が好ましく、より好ましくは0.055〜0.080g/cm3であり、更に好ましくは0.060〜0.075g/cm3である。
粗層の繊維密度は、0.005〜0.030g/cm3が好ましく、より好ましくは0.013〜0.025g/cm3であり、更に好ましくは0.015〜0.022g/cm3である。
なお、各層の繊維密度は、目付を厚さで除することにより求められる。
本発明では、塵埃を含むエア流入側から繊維密度が徐々に高くなるように、各層に配合される繊維の繊度を変えている。そのため各層は、層間で、含まれる繊維の平均繊度に差を有している。微小な塵埃を効率良く且つ大量に捕捉するためには、各層間の繊維の平均繊度差は0.1〜9dtexが好ましく、より好ましくは0.1〜6dtexである。前記範囲内であれば、特に自動車用エンジンフィルタ用途に要求される高いレベルの性能を発揮できるため好ましい。
より具体的には、密層と中間層における繊維の平均繊度差は、0.1〜5dtexが好ましく、より好ましくは1〜4dtexであり、更に好ましくは1.5〜3dtexである。比率としては、中間層における繊維の平均繊度は、密層中の繊維の平均繊度に対し、1.2〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.5〜2.3倍であり、更に好ましくは1.8〜2.2倍である。
また、中間層と粗層における繊維の平均繊度差は、0.1〜8dtexが好ましく、より好ましくは0.5〜6dtexであり、更に好ましくは1〜4dtexである。比率としては、粗層における繊維の平均繊度は、中間層における繊維の平均繊度に対し、1.01〜3倍が好ましく、より好ましくは1.1〜1.7倍であり、更に好ましくは1.15〜1.5倍である。
また中間層を構成する繊維の平均繊度は、2〜10dtexであり、より好ましくは3.5〜7dtexであり、更に好ましくは4〜4.6dtexである。
更に粗層を構成する繊維の平均繊度は、5〜20dtexであり、より好ましくは5.2〜12dtexであり、更に好ましくは5.4〜10dtexである。
中間層を設ける場合、密層と中間層の繊維密度差は、0.076〜0.120g/cm3が好ましく、より好ましくは0.078〜0.100g/cm3であり、更に好ましくは0.080〜0.095g/cm3である。
また中間層と粗層の繊維密度差は0.040〜0.067g/cm3が好ましく、より好ましくは0.045〜0.065g/cm3であり、更に好ましくは0.050〜0.060g/cm3である。
本発明に係る濾材の製造方法について説明する。本発明に係る濾材、不織布の積層構造を有している。前記不織布の製造方法は特に限定されるものではなく、本発明では、乾式不織布、湿式不織布、スパンボンド不織布等の各種不織布が適宜使用できる。ウェブの結合方法も特に限定されるものではなく、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)等の機械的絡合法;不織布に予め低融点繊維を混綿しておき、この低融点繊維の一部又は全部を熱溶融させて、繊維交点を固着する方法(サーマルボンド法);等の各種結合方法を採用できる。中でも、ニードルパンチ法により繊維を交絡させて、その後加熱処理を行うニードルパンチ及びサーマルボンド法の併用タイプが好ましい。本発明では、密層の絡合密度が、粗層の絡合密度よりも高いことが望ましい。密層の絡合密度が粗層よりも高くなると、密層がより高密度になるため好ましい。
濾材にプリーツ加工を施すときは、前述した方法によって得られた濾材を、その用途に応じて所定の大きさに調整した後に実施する。プリーツ加工法は特に限定されないが、濾材の密層面を内側にして、プリーツ加工するとよい。ピッチと山高さは、ピッチは10〜25mmが好ましく、山高さは30〜100mmが好ましい。
1.目付;JIS L1913 6.2に準じた。
2.厚さ;JIS L1913 6.1に準じた。
3.繊維密度;目付を厚さで除し、単位を換算した。
4.繊維密度差;密層の繊維密度と中間層の繊維密度の差、及び、中間層の繊維密度と粗層の繊維密度の差をそれぞれ求めて繊維密度差とした。
濾材を、幅50mmに切断した後、高さ50mm、ピッチ16mmでプリーツ加工を行った。プリーツ後の濾材における任意の連続する3山分について、図1に示すように、濾材の密層側の2つの頂部p,qを結んで形成される底部bから濾材の密層面rまでの高さhを3山それぞれで測定し、3点の平均値として求める。
有効濾過面積:1760cm2
投影面積:281cm2
空気量:5.7m3/分
空気速度:54cm/秒
濾材の有無による空気の流れにくさをPaで表す。
有効濾過面積:1760cm2
空気量:5.7m3/分
空気速度:54cm/秒
ダスト:JIS Z8901 8種
ダスト濃度:1g/m3
捕集効率:JIS D1612 9.4(3)で規定するフルライフ清浄効率試験に準じた。尚、試験終了条件は、増加抵抗300mmAq時とした。
捕集量:JIS D1612 10に準じた。捕集効率と同様に、試験終了条件は、増加抵抗300mmAq時とした。
なおエレメントは以下の方法で作成した。
エレメントの作成方法;実施例に記載の方法で得られた濾材を、幅110mmで切断した後、濾材の密層面を内側にして、高さ45mm、ピッチ16mmでプリーツ加工を行った。このようにして得られたプリーツ後の濾材の周囲をシーリング材を用いてプラスチックボードに密封固定し、エレメントを作成した(幅150mm×長さ290mm×高さ45mm)。
・密層面山高さ;31mm以上を合格とする
・通気抵抗;365Pa以下を合格とする
・捕集効率;97.5%以上を合格とする
・捕集量;139g以上を合格とする
(1)ニードルパンチ不織布の作製
繊度2.2dtex、繊維長51mmのレギュラーポリエステル繊維にシリコーンオイルが付着した基材繊維10重量%(クラレ製P−800HX)と、繊度2.2dtex、繊維長51mm、融点160℃で芯鞘タイプのポリエステル複合繊維90重量%を、それぞれ計量、混綿後、カーディングして、クロスラッピングした後、針番手40番のニードル(オルガン製FPD1−40)でもって針深さ14mm、打ち込み本数110本/cm2にてニードルパンチ加工を行い、密層用不織布を作製した。
該密層用不織布の上に、繊度4.4dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維5重量%と、繊度4.4dtex、繊維長51mmのレギュラーポリエステル繊維にシリコーンオイルが付着した基材繊維5重量%(クラレ製P−800HX)、及び繊度4.4dtex、繊維長51mm、融点160℃で芯鞘タイプのポリエステル複合繊維90重量%を、それぞれ計量、混綿後、カーディングして、クロスラッピングして、中間層用ウェブを積層した。
次いで、中間層用ウェブの上に、繊度17dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維10重量%、繊度4.4dtex、繊維長51mm、融点130℃で芯鞘タイプのポリエステル複合繊維90重量%を、それぞれ計量、混綿後、カーディングして、クロスラッピングして、粗層用ウェブを積層した。
得られた積層体を、密層側からニードルパンチ針番手40番(オルガン製FPD1−40)で針深さ9mm、打ち込み本数65本/cm2にてニードルパンチ加工を行い、ニードルパンチ不織布を作成した。
(2)加熱処理
次いで熱風の温度215℃に保ったコンベア式連続熱処理機の中にて47秒間加熱処理を行い、低融点繊維を融解・固着し、表に示す特性を有する濾材を作成した。この濾材を用いて、密層面山高さ、通気抵抗、捕集効率・捕集量を測定した。結果を表に示す。
密層用不織布を作製する際に、予め密層用のウェブをニードルパンチ法による絡合を実施せず、密層用ウェブ、中間層用ウェブ、粗層用ウェブの積層体を表に示す条件でニードルパンチ加工により一体化したこと以外は実施例1と同様にして濾材を作成した。結果が示すように、密層は他の層と一体化する際に、ウェブの状態であっても不織布の状態であってもよいことが理解できる。また比較例2と比べると、シリコーン繊維を用いた上に強い条件でニードルパンチ加工を実施しているため、密層面山高さ、通気抵抗、捕集効率・捕集量の全ての点で優れた効果が発揮されている。
シリコーンオイルが付着した基材繊維をポリエステル繊維に変更したこと以外は実施例1と同様にして濾材を作成した。シリコーンオイルが付着した基材繊維を使用していないため、実施例1と同様の条件でニードルパンチ加工を行うと、厚さが減少し、通気抵抗が上昇してしまった。また捕集効率及び捕集量の点で満足できるものではなかった。
シリコーンオイルが付着した基材繊維をポリエステル繊維に変更し、積層時のニードルパンチ加工の条件を変更したこと以外は実施例2と同様にして濾材を作成した。シリコーンオイルが付着した基材繊維を使用していないが、絡合条件が弱いため、濾材は適度な厚さを有し通気抵抗もさほど上昇してはいない。しかし、捕集効率及び捕集量の点で満足できるものではなかった。
シリコーンオイルが付着した基材繊維をポリエステル繊維に変更したこと以外は実施例2と同様にして濾材を作成した。シリコーンオイルが付着した基材繊維を使用していないため、実施例2と同様の条件でニードルパンチ加工を行うと、厚さが減少し、通気抵抗が上昇してしまった。また捕集効率及び捕集量の点で満足できるものではなかった。
密層、中間層及び粗層における繊維の比率、密層の目付、及びニードルパンチ加工の条件を表に示すように変更したこと以外は、比較例2と同様にして濾材を作成した。比較例4では、全層において低融点繊維の重量比率が低いため剛性が低く(密層面山高さが低い)、比較例2に比べて通気抵抗が高い。また密層の目付が小さいため、比較例2に比べて捕集効率及び捕集量も悪くなっている。
繊度の異なる繊維を用いて濾材を作成した。結果を、実施例1の結果と共に表に示す。実施例3のように、特に密層に細繊度の繊維を混綿すると捕集効率が大きく向上する。
密層におけるSi繊維の重量比率を変更して濾材を作成した。結果を、実施例1及び実施例4の結果と共に表に示す。密層における低融点繊維の重量比率を増やすと、濾材の剛性が上がるため通気抵抗が低下する。しかし低融点繊維が100重量%となると、溶融した繊維が膜のような形態になってしまい、濾材が薄くなってしまうため、捕集効率及び捕集量の点で満足する不織布とはならなかった(比較例5)。一方、密層における低融点繊維の重量比率が下がると、濾材は厚くなるものの、濾材の剛性が低下するため、通気抵抗が上昇する結果となった(比較例6)。
また密層におけるSi繊維と低融点繊維との含有比率を調整することで、捕集効率と通気抵抗のバランスを調整することができる。捕集効率がよいのはSi繊維が密層に20〜43重量%程度含まれる濾材(最もよいのはSi繊維が密層に35〜43重量%程度含まれる実施例7)であり、通気抵抗がよいのはSi繊維が密層に5〜15重量%程度含まれる濾材(最もよいのはSi繊維が密層に5〜10重量%程度含まれる実施例1及び4)である。
更に密層における低融点繊維の重量比率が同じでも、Si繊維の重量比率が低いと、濾材が若干薄くなる(実施例8)。通気抵抗、捕集効率、捕集量等の観点からは、Si繊維の含有比率が高い濾材が好ましい(実施例7)。
密層における目付の影響を検討するために、表に示す構成の濾材を作成した。結果を実施例1と共に表に示す。密層の目付が増えると、通気抵抗は上がるものの、捕集効率及び捕集量の点で優れた濾材が得られることがわかる(実施例10)。
中間層の影響を検討するために、中間層におけるSi繊維の重量比率、及び、繊度を変更して濾材を作成した。結果を実施例1及び比較例1と共に表に示す。中間層におけるSi繊維の重量比率は濾材の性能にそれほど大きな影響を与えるものではない(実施例1、11〜15)。しかし中間層における低融点繊維の重量比率が低くなると、中間層がやわらかすぎるため、密層面山高さ、通気抵抗、捕集効率、捕集量のいずれの項目においてもよい結果は得られなかった(比較例7)。
実施例16では粗層にSi繊維を加えて濾材を作成した。実施例17〜18では中間層の目付を変更して濾材を作成した。実施例19では中間層のない濾材を作成した。結果を、実施例1の結果と共に表に示す。実施例19が示すように、密層及び粗層の構成によっては、中間層を設けなくても所望の性能が発揮されることがわかる。
p,q:頂部、b:底部、r:濾材の密層面、h:高さ
Claims (7)
- 繊維密度が異なる粗層と密層とを有する二層構造、または、粗層、中間層、密層とがこの順で積層された三層構造を有し、各層が機械的絡合法によって一体化された不織布濾材であって、
前記密層がその一部又は全部にシリコーンオイルが付着した基材繊維と、この基材繊維よりも融点が低い低融点繊維とを含み、前記中間層が少なくとも低融点繊維を含み、
密層中の低融点繊維の割合が57重量%以上100重量%未満であり、中間層中の低融点繊維の割合が40重量%以上であることを特徴とする濾材。 - 密層100重量%中、シリコーンオイルが付着した基材繊維が1重量%以上43重量%以下含まれる請求項1に記載の濾材。
- 密層の絡合密度が、粗層の絡合密度よりも高い請求項1または2に記載の濾材。
- 密層と中間層の繊維密度差が、0.076〜0.120g/cm3であり、中間層と粗層の繊維密度差が0.040〜0.067g/cm3である請求項1〜3のいずれか1項に記載の濾材。
- 目付が180〜550g/m2であり、厚さが4〜8.5mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の濾材。
- 前記粗層が、シリコーンオイルが付着した繊維の含有率が20重量%以下のシリコーンオイルフリー層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の濾材。
- 前記密層の表面が突起のない平坦面である請求項1〜6のいずれか1項に記載の濾材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015155434A JP6681160B2 (ja) | 2015-08-05 | 2015-08-05 | 自動車エンジン用濾材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015155434A JP6681160B2 (ja) | 2015-08-05 | 2015-08-05 | 自動車エンジン用濾材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017029959A true JP2017029959A (ja) | 2017-02-09 |
JP6681160B2 JP6681160B2 (ja) | 2020-04-15 |
Family
ID=57986935
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015155434A Active JP6681160B2 (ja) | 2015-08-05 | 2015-08-05 | 自動車エンジン用濾材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6681160B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01104317A (ja) * | 1987-10-15 | 1989-04-21 | Kureha Seni Kk | 内燃機関のエアクリーナー用濾材およびその製造方法 |
JP2009209456A (ja) * | 2008-02-29 | 2009-09-17 | Kureha Ltd | フィルタ不織布 |
JP2011005860A (ja) * | 2003-03-31 | 2011-01-13 | Toray Ind Inc | フィルター材 |
-
2015
- 2015-08-05 JP JP2015155434A patent/JP6681160B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01104317A (ja) * | 1987-10-15 | 1989-04-21 | Kureha Seni Kk | 内燃機関のエアクリーナー用濾材およびその製造方法 |
JP2011005860A (ja) * | 2003-03-31 | 2011-01-13 | Toray Ind Inc | フィルター材 |
JP2009209456A (ja) * | 2008-02-29 | 2009-09-17 | Kureha Ltd | フィルタ不織布 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6681160B2 (ja) | 2020-04-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0983113B1 (en) | Pleatable nonwoven composite article for gas filter media | |
US8795403B2 (en) | Filter cloth for dust collector | |
JP4745815B2 (ja) | 内燃機関空気取り入れ用フィルター材 | |
JP3802839B2 (ja) | フィルター用不織布及びエンジン用フィルター | |
JP5075679B2 (ja) | フィルタ不織布 | |
JP5344465B2 (ja) | 高剛性を有するエアフィルター | |
DE10221694A1 (de) | Mehrlagiger Filteraufbau und Verwendung eines mehrlagigen Filteraufbaus | |
JP5976351B2 (ja) | 濾材及び燃料フィルタ | |
WO2016136549A1 (ja) | 内燃機関用プレエアフィルタ | |
JP6133035B2 (ja) | 静電フィルター | |
JP6614917B2 (ja) | 不織布濾過材 | |
JP6055313B2 (ja) | 不織布濾材 | |
JP6278792B2 (ja) | 自動車エンジン用濾材並びにその製造方法 | |
JP3715396B2 (ja) | フィルター用不織布 | |
JP6006476B2 (ja) | 大粒子径ダスト対応高効率不織布濾材 | |
JP4700968B2 (ja) | 燃料用フィルタ材および燃料用フィルタ | |
JP6333436B2 (ja) | 静電フィルター | |
JP4900675B2 (ja) | エアフィルター用複合不織布 | |
JPH0445813A (ja) | フィルターユニット | |
JP6099330B2 (ja) | フィルタ | |
JP2019045636A (ja) | 複合吸音材 | |
JP6681160B2 (ja) | 自動車エンジン用濾材 | |
JP6614919B2 (ja) | 不織布濾過材の製造方法 | |
JP6129655B2 (ja) | エアフィルタ濾材の製造方法 | |
JP2022089024A (ja) | フィルターカートリッジ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180509 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190124 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190226 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190419 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20190419 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20191001 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191112 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200317 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200323 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6681160 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |