JP2017028176A - 電子部品の実装装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成で、電子部品を保持する保持部を、加熱後に高速に冷却できる電子部品の実装装置を提供する。
【解決手段】電子部品2を吸着板12の保持面で保持する保持部10と、保持部10を移動させる駆動部20と、駆動部20による保持部10の移動可能な範囲内に配置され、保持面に保持された電子部品2がバンプ2aを介して圧着される基板3を支持する支持部30と、保持部10を加熱することにより、保持面に保持された電子部品2と基板3との間に介在するバンプ2aを溶融させる加熱装置14と、駆動部20による保持部10の移動可能な範囲内に配置され、保持面に直接接触する冷却面41aを有し、冷却面41aに接触した保持面を冷却する冷却部40とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品の実装装置に関する。
半導体チップ等の電子部品を基板に実装する方法に、フリップチップボンディングがある。このようなフリップチップボンディングには、あらかじめ電子部品に形成されたはんだ材の電極であるバンプを、導体パターンが形成された基板に圧着、加熱することにより溶融させて実装する方法がある。
このようなはんだ溶融方式のフリップチップボンディングにおいては、電子部品を保持する実装ヘッド等の保持部によって、電子部品がピックアップされ、実装位置まで搬送されて基板に圧着される。このとき、保持部内に設けられたパルスヒータ等の加熱装置によって、はんだ材が溶融する実装温度までの加熱が行われるので、バンプが溶融する。さらに、空冷式の冷却装置によって、バンプを冷却凝固させることにより、実装が終了する。
特開平9−153522号公報
上記のように、加熱後の保持部は、空冷式の冷却装置によって冷却される。この冷却は、次の電子部品をピックアップする前に、当該電子部品のバンプが溶融しない待機温度にまで低下させる必要がある。
加熱装置による保持部の加熱は、1〜2秒程度で所定の温度まで上げることが出来る。しかし、空冷式の冷却装置を用いて待機温度まで冷却するには、加熱時間の2〜3倍程度の時間を必要とする。このため、実装後、保持部が待機温度になるまで、次の電子部品をピックアップするのを待つ時間が長くなり、タクトタイムの低下を招いていた。また、保持部は、電子部品のピックアップ位置と実装位置との間を非常に高速で移動させる必要があるため、循環する冷媒等を用いた冷却装置を用いて重量化させることは、非現実的である。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、簡素な構成で、電子部品を保持する保持部を、加熱後に高速に冷却できる電子部品の実装装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の電子部品の実装装置は、電子部品を保持面で保持する保持部と、前記保持部を移動させる駆動部と、前記駆動部による前記保持部の移動可能な範囲内に配置され、前記保持面に保持された電子部品がはんだ材を介して圧着される実装対象物を支持する支持部と、前記保持部を加熱することにより、前記保持面に保持された電子部品と実装対象物との間に介在するはんだ材を溶融させる加熱装置と、前記駆動部による前記保持部の移動可能な範囲内に配置され、前記保持面に直接接触する冷却面を有し、前記冷却面に接触した前記保持面を冷却する冷却装置とを有する。
前記冷却装置は、通電により前記冷却面の温度を低下させる電子冷却装置であってもよい。
前記保持部は、前記保持部の内部の温度を検出する温度センサを有し、前記冷却面に前記保持面が接触した後、前記温度センサにより検出された温度が、所定の温度となったか否かを判定する温度判定部と、前記温度判定部により所定の温度となったと判定した場合に、前記駆動部により前記保持部を移動させて、前記保持面から前記冷却面を離脱させる駆動制御部とを有してもよい。
前記所定の温度は、少なくともはんだ材が軟化しない温度であってもよい。前記所定の温度は、80℃以下であってもよい。前記駆動部によって、前記保持部に保持された前記電子部品が前記はんだ材を介して前記実装対象物に当接された状態下で、前記保持部を冷却する冷却装置を、さらに備えていてもよい。
実施形態における電子部品の実装装置を示す概略構成図 図1の保持部を示す正面図 図1の冷却部を示す平面図 図1の電子部品の実装装置の制御装置を示すブロック図 実施形態における電子部品の実装と保持部の冷却を示す説明図 冷却による吸着板の温度変化の態様を示すグラフ
本発明の実施の形態(以下、実施形態と呼ぶ)の一例を、図面を参照して具体的に説明する。なお、図1に示すように、本実施形態において用いられる電子部品2は、はんだ材による突起電極であるバンプ2aが形成された半導体チップである。基板3は、電子部品の実装対象物である。基板3には、バンプ2aが接続される導体パターン3aが形成されている。
本実施形態の実装装置1は、図1に示すように、保持部10、駆動部20、支持部30、冷却部40、供給部50を有する。
[保持部]
保持部10は、図2に示すように、電子部品2を保持面12aで保持する装置である。保持部10は、実装ヘッド11、吸着板12、通気経路13、加熱装置14、空冷配管15を有する。実装ヘッド11は、保持部10の胴部を構成し、後述する駆動部20に取り付けられている。吸着板12は、複数の吸着孔12bが形成された平板である。この吸着板12における下面が、電子部品2を保持する保持面12aである。吸着板12は、例えば、セラミック製である。保持面12aは平坦面である。
通気経路13は、保持部10の内部に形成された気体が流通する経路である。この通気経路13の一端は複数に分岐され、吸着板12の吸着孔12bを介して外部と連通している。通気経路13の他端は、後述する減圧装置70(図4参照)に接続されている。減圧装置70を作動させることにより、吸着孔12bが電子部品2を吸着するので、保持面12aに電子部品2が保持される。
加熱装置14は、保持部10を加熱することにより、保持面12aに保持された電子部品2と基板3との間に介在するバンプ2aを溶融させる装置である。この加熱装置14としては、例えば、パルスヒータを用いることができる。パルスヒータは、通電により生じる抵抗の発熱により、吸着板12を高速に加熱する装置である。加熱装置14には、温度センサ14aが設けられている。温度センサ14aは、例えば、熱電対である。
空冷配管15は、実装ヘッド11の加熱装置14の周囲に空気を送り込む配管である。この空冷配管15は、後述する送風装置80(図4参照)に接続されている。送風装置80は、加熱装置14により加熱された吸着板12を冷却する第1の冷却装置である。送風装置80は、空冷配管15に空気を送り込み、加熱装置14の周囲に吹き付けることにより、保持部10を冷却する空冷式の冷却装置である。なお、送風装置80からは、乾燥した常温の空気が送られる。第1の冷却装置は、例えば、後述する駆動部20によって、保持部10に保持された電子部品2がバンプ2aを介して基板3に当接された状態下で、保持部10を冷却する。
[駆動部]
駆動部20は、図1に示すように、保持部10を移動させる装置である。駆動部20は、保持部10を、後述する供給部50から電子部品2を受け取る受け取り位置と、後述する支持部30において電子部品2を基板3に実装する実装位置と、後述する冷却部40において保持部10の保持面12aを冷却する冷却位置との間を移動させる。言い換えれば、供給部50(受け取り位置)と、支持部30(実装位置)と、冷却部40(冷却位置)は、駆動部20によって保持部10が移動可能な範囲内に配置される。
このような移動を実現するため、駆動部20は、XYZ機構を有する。XYZ機構は、例えば、支持台21、ベース22、Yテーブル23、Xテーブル24、Zテーブル25を有する機構である。支持台21は、垂直な基台である。ベース22は、支持台21に支持された水平な台である。
Yテーブル23は、ベース22上に設けられ、水平なY方向(図中、左右方向)に移動するテーブルである。Xテーブル24は、Yテーブル23上に設けられ、Y方向に直交する水平なX方向(図中、奥行き方向)に移動するテーブルである。Zテーブル25は、Xテーブル24に支持され、垂直方向(図中、上下方向)に移動するテーブルである。
これらのテーブルを移動させる機構は、ラックアンドピニオン、送りネジ機構等、駆動源であるモータの回動を、直線方向の移動に変換させる周知の機構によって構成できるため、詳細は省略する。
Zテーブル25には、保持部10の実装ヘッド11が取り付けられている。これにより、保持部10は、Zテーブル25の移動に従って上下動する。また、保持部10は、Yテーブル23、Xテーブル24の移動により、水平なY軸方向、これに直交するX軸方向に移動する。
これにより、駆動部20は、保持部10を受け取り位置に移動させ、保持面12aが電子部品2に接する方向に移動させる。また、駆動部20は、保持部10を実装位置に移動させ、電子部品2のバンプ2aが基板3に接する方向に移動させる。さらに、駆動部20は、保持部10を冷却位置に移動させ、保持面12aが冷却部40に接離する方向に移動させる。
[支持部]
支持部30は、駆動部20による保持部10の移動可能な範囲内に配置され、保持面12aに保持された電子部品2が、バンプ2aを介して圧着される基板3を支持する機構である。支持部30における基板3が載置される面は、平坦な支持面31となっている。この支持面31上において、基板3に電子部品2が実装される位置が、実装位置である。なお、支持部30は、電子部品2を実装済の基板3を送り出し、実装前の基板3を保持部10の下に順次位置決めする構成を有しているが、周知の技術であるため、説明は省略する。
[冷却部]
冷却部40は、駆動部20による保持部10の移動可能な範囲内に配置され、保持面12aに直接接する冷却面41aを有し、冷却面41aに接触した保持面12aを冷却する第2の冷却装置である。この冷却部40は、ペルチェ素子41、支持台42を有する。ペルチェ素子41は、通電により冷却面41aの温度を低下させる電子冷却素子である。ペルチェ素子41の一方の金属板の表面が、冷却面41aである。この冷却面41aは、例えば、図3に示すように、保持部10の保持面12aが収まる大きさの方形状の平坦面であり、冷却ステージを構成する。
支持台42は、ペルチェ素子41を支持する台である。この支持台42は、支持部30の近傍であり、支持部30と供給部50との間の保持部10の移動経路に配置されている。支持台42上に載置されたペルチェ素子41の冷却面41aによって、保持部10が冷却される位置が、冷却位置である。
[供給部]
供給部50は、実装される前の電子部品2を、保持部10に供給する構成部である。供給部50は、載置テーブル51、反転ツール52を有する。載置テーブル51は、電子部品2の集合体を載置する台である。集合体は、例えば、半導体ウェハである。載置テーブル51は、図示しない移動機構によってX方向、Y方向に移動する。
反転ツール52は、載置テーブル51上の電子部品2をピックアップして反転させて、保持部10に受け渡す装置である。反転ツール52は、図示しない駆動源によって、支軸52aを支点として回転駆動される。また、反転ツール52の先端には、図示しない減圧装置に接続され、電子部品2を真空吸着する吸着ノズル52bが設けられている。なお、支軸52aは、水平方向および垂直方向に対して固定的に設けられる。
[制御装置]
制御装置60は、本実施形態の各部を制御する装置である。つまり、制御装置60は、駆動部20、支持部30、供給部50の駆動源、減圧装置70、加熱装置14、送風装置80、ペルチェ素子41等を制御する。この制御装置60は、例えば、専用の電子回路若しくは所定のプログラムで動作するコンピュータ等によって、後述する各機能を実現することによって構成できる。
このような制御を実現するための制御装置60の構成を、仮想的な機能ブロック図である図4を参照して説明する。すなわち、制御装置60は、駆動制御部61、温度判定部62、加熱制御部63、第1の冷却制御部64、第2の冷却制御部65を有する。駆動制御部61は、実装装置1における駆動部20、その他の機構の駆動源を制御する処理部である。
温度判定部62は、温度センサ14aにより検出された温度が、あらかじめ設定された温度になったか否かを判定する処理部である。あらかじめ設定された温度は、加熱装置14による加熱完了の設定温度、冷却部40による冷却完了の設定温度等を含む。駆動制御部61は、冷却完了の設定温度となった場合、駆動部20によって保持部10を移動させて、冷却部40の冷却面41aから保持面12aを離脱させる。
加熱制御部63は、加熱装置14による加熱の開始タイミング、終了タイミング、加熱温度を制御する処理部である。加熱制御部63は、保持部10を下降させて電子部品2のバンプ2aを基板3の導体パターン3aに圧着させた後、加熱装置14による加熱を開始させる。また、加熱制御部63は、加熱完了の設定温度となった場合、加熱装置14による加熱を終了させる。
第1の冷却制御部64は、第1の冷却装置による冷却の開始タイミング、冷却温度を制御する処理部である。つまり、本実施形態では、第1の冷却制御部64は、送風装置80の送風の開始タイミング、送風量を制御する。第2の冷却制御部65は、第2の冷却装置による冷却温度を制御する処理部である。つまり、本実施形態では、第2の冷却制御部65は、通電によるペルチェ素子41の温度を制御する。
さらに、制御装置60は、載置テーブル51の移動機構、反転ツール52の駆動源、減圧装置を制御する。つまり、載置テーブル51の移動機構を制御することにより、次の電子部品2を反転ツール52の吸着ノズル52bのピックアップ位置に移動させる。また、反転ツール52の減圧装置を制御することにより、電子部品2の吸着、解放を行い、駆動源を制御することにより、反転ツール52を回転させる。本実施形態では、反転ツール52の吸着ノズル52bが、保持部10の保持面12aに対向する位置が、電子部品2の受け渡し位置となっている。但し、支軸52aを水平移動する構成を採用した場合に、受け渡し位置を定めておき、その受け渡し位置に、吸着ノズル52bと保持部10が移動して受け渡しを行う構成としてもよい。
なお、図示はしないが、制御装置60は、記憶部、入力部、出力部を有する。記憶部は、実装装置1の処理に必要な各種の情報を記憶する処理部である。記憶部に記憶される情報としては、例えば、加熱又は冷却の開始タイミング、加熱完了の設定温度、冷却完了の設定温度等が含まれる。入力部は、オペレータが、制御装置60を操作するための情報を入力する装置である。入力部としては、スイッチ、タッチパネル、キーボード、マウス等が含まれる。出力部は、制御装置60の記憶部の記憶内容、入力部の入力内容及び画面インタフェース、処理パラメータ、処理内容、処理結果等を、オペレータが視認可能とする表示装置である。
[作用]
以上のような本実施形態の作用を、図1、図5及び図6を参照して説明する。なお、保持部10の移動は、上記のような駆動制御部61により制御される駆動部20がX方向、Y方向、Z方向に移動させることにより行うが、駆動部20の動作の詳細は省略する。
まず、冷却部40の冷却面41aは、第2の冷却制御部65により制御される所定の温度に冷却されている。つまり、通電によりペルチェ素子41が、30℃前後の常温よりも低い一定の温度に維持されている。例えば、15℃程度に維持されている。
そして、図1に示すように、供給部50における反転ツール52の吸着ノズル52bによって、ピックアップ位置に位置付けられた電子部品2がピックアップされ、反転ツール52の回転によって反転される。保持部10の実装ヘッド11は、反転された吸着ノズル52bの吸着面が位置する、供給部50の受け取り位置に移動する。
吸着ノズル52bの電子部品2に保持面12aが接して、減圧装置70によって吸着孔12bから吸引することにより電子部品2を吸着するとともに、吸着ノズル52bの吸着を解除することにより、保持部10は電子部品2を受け取る。
次に、図5(A)に示すように、保持部10の実装ヘッド11は、支持部30に支持された基板3上の実装位置に移動する。この実装位置において、図5(B)に示すように、実装ヘッド11が下降して、電子部品2のバンプ2aを基板3上の導体パターン3aに圧着させる。このとき、電子部品2の下面と基板3の上面との間に隙間が生じる状態を維持するように、駆動部20が制御される。
このように電子部品2が位置決めされると、加熱制御部63は加熱装置14に加熱を開始させる。そして、温度判定部62が、加熱温度があらかじめ設定された加熱停止温度になったと判定した場合に、加熱装置14の加熱を停止させる。設定温度は、例えば、300℃とする。パルスヒータは、1秒で100〜200℃程度昇温させることができるので、加熱時間1〜2秒程度で300℃にすることができる。この加熱によって、基板3の導体パターン3aに圧着されたバンプ2aが溶融して接続される。
この溶融後、第1の冷却制御部64は、送風装置80による送風を開始させる。これにより、バンプ2aのはんだ材は、冷却されて温度が低下するので、凝固を開始する。そして、はんだ材が凝固を開始する温度として予め設定された温度(例えば、150℃程度)に吸着部12の温度が低下したことが温度センサ14aによって検出されたならば、保持部10の実装ヘッド11は、減圧装置70による減圧を停止して電子部品2の吸着を解除して、上昇する。これにより、はんだ材を介した基板3への電子部品2の実装が完了する。
空冷による冷却は、例えば、図6の点線αに示すように、吸着板12の温度を100℃程度までは比較的高速に冷却することができる。但し、吸着板12の温度を100℃以下に下げようとする場合、低下速度が遅くなる。このため、次の電子部品2のバンプ2aに影響を与えない十分な温度にまで低下させるには、空冷のみでは時間がかかる。なお、100℃以下で温度の低下速度が遅くなるのは、冷却媒体である気体の温度と吸着板12の温度の差が小さくなるためである。また、図6においては、点線αを単純化して折れ線で示しているが、実際には二次曲線的に変化する。
本実施形態では、図5(C)に示すように、保持部10が冷却部40の上部まで移動して、下降し、この過程で送風装置80による送風を停止する。すると、保持部10の保持面12aが、冷却部40の冷却面41aに接触する。これにより、加熱により高温となり、第1の冷却装置により温度が低下していた保持部10の保持面12aが、さらに短時間で低温となる。例えば、図6の実線βで示すように、100℃以下であっても、高速に冷却させることができる。
温度判定部62が、あらかじめ設定された冷却停止温度になったと判定した場合、駆動制御部61は、駆動部20により保持部10を上昇させて、保持面12aを冷却面41aから離脱させる。設定温度は、少なくとも、次に吸着される電子部品2が実装位置に搬送されて基板3に当接されるまでの間に、当該電子部品2のバンプ2aのはんだ材が軟化しない温度とする。例えば、設定温度を100℃以下とする。これは、空冷では100℃以下に冷却するには時間がかかるため、これを改善できることによる。好ましくは、より常温に近い80℃以下とする。これは、バンプ2aに確実に影響を与えない温度となり、後述するように、その後の温度変化を抑えて、より精度の高い実装が可能となることによる。設定温度までの冷却は1〜数秒で可能であるが、冷却に要する時間をできるだけ短縮することを考えると、80〜60℃程度が好ましい。
なお、温度センサ14aは、保持部10の内部の温度を検出しており、外部の保持面12aは冷却部40の冷却面41aに直接接している。このため、実際の保持面12aの温度は、検出温度よりも低いと考えられる。すると、設定温度を80℃とした場合であっても、実際の保持面12aの温度は、80℃以下まで低下している。設定温度を100℃とした場合には、実際の保持面12aの温度は、100℃以下まで低下している。
つまり、少なくともはんだ材が軟化しない温度を設定温度とすれば、実際の保持面12aは、これよりも低い温度となるので、確実に、保持する電子部品2のバンプ2aに影響を与えない温度とすることができる。
以上のように保持面12a(吸着部12)が冷却された保持部10は、駆動部20により、供給部50まで移動し、反転ツール52から、次の電子部品2を受け取る。以降、上記のように、受け取った電子部品2の加熱と冷却による実装、保持面12a(吸着部12)の冷却、電子部品2の受け取りを繰り返す。このような過程で、反転ツール52から電子部品2を受け取る際には、保持面12a(吸着部12)は十分に冷却されているので、バンプ2aの溶融が防止される。
[効果]
(1)以上のような本実施形態は、電子部品2を保持面12aで保持する保持部10と、保持部10を移動させる駆動部20と、駆動部20による保持部10の移動可能な範囲に配置され、保持面12aに保持された電子部品2がバンプ2aを介して圧着される基板3を支持する支持部30と、保持部10を加熱することにより、保持面12aに保持された電子部品2と基板3との間に介在するバンプ2aを溶融させる加熱装置14と、駆動部20による保持部10の移動可能な範囲に配置され、保持面12aに直接接触する冷却面41aを有し、冷却面41aに接触した保持面12aを冷却する冷却部40とを有する。
このように、冷却部40の冷却面41aを、空冷では直接冷却することが出来ない吸着部12の保持面12aに直接接触させて冷却するので、高速に温度を低下させることができ、タクトタイムが向上する。特に、運転開始から長時間経過した場合には、加熱装置14による熱が、吸着部12のみならず、実装ヘッド11全体に蓄積されて行くと考えられる。すると、従来の空冷のみによって所定温度まで低下させるには、より長い時間が必要になるため、タクトタイムが低下する。それに保持面12aの温度が空冷により一時的に所定温度まで低下したとしても、次に吸着される電子部品2が実装位置に搬送されて基板3に当接されるまでの間に、実装ヘッド11全体に蓄積されている熱が伝達することによって、再び所定温度よりも高い温度に戻ってしまうことも考えられる。これに対して、本実施形態では、保持面12aを直接冷却するので、運転から長時間経過しても、一定の温度まで高速に低下させることができ、タクトタイムの低下を防止できる。しかも、運転開始直後から吸着部12の温度を確実に低下させることができ、この際に実装ヘッド11の冷却を行なうこともできるので、実装ヘッド11に熱が蓄積されること自体を防止することが可能となる。そのため、所定の温度以下に下げられた保持面12aの温度が所定の温度よりも高い温度に戻ると言った不具合が生じることが防止される。従って、基板3に当接される前の電子部品2のバンプ2aの不用意な軟化が防止でき、電子部品2の良好な実装が可能となる。
空冷式の冷却のみを用いた従来技術では、一般的に、タクトタイムを向上させるために、はんだ材が軟化する境界の温度程度で、次の電子部品2を保持する段階に進行させてしまって、時間短縮を図る場合が多い。このように、はんだ材が軟化するぎりぎりの境界で運転する場合には、境界よりも高温になる状態の発生を排除できず、はんだ付けの精度にバラつきが生じ易い。
一方、本実施形態では、保持面12aに直接接触させることにより冷却するので、空冷のみと比べて同程度又はより短い時間で、はんだ材が軟化しない温度まで低下させることができる。このため、はんだ付けの精度のバラつきを防止できる。
また、加熱によりはんだ材のバンプ2aが溶融を開始するタイミングは、バンプ2aが基板3の導体パターン3aに接した直後が望ましい。バンプ2aが導体パターン3aに接して荷重がかかる前に溶融が開始してしまうと、余計な領域にはんだ材が流れてしまう可能性がある。一方、バンプ2aが導体パターン3aに接した後、いつまでもバンプ2aの溶融が開始されないと、荷重によって電子部品2に影響を与える可能性がある。
つまり、加熱装置14による加熱開始のタイミングは加熱制御部63によりコントロールできるが、あらかじめ保持部10が保持する電子部品2の温度にバラつきがあると、加熱による溶融タイミングにバラつきが生じてしまう。すると、荷重と溶融のタイミングがずれて、上記のような問題が生じる可能性がある。
ここで、周囲温度が30℃程度の常温である場合、常温に近い低温よりも、常温から離れた高温の方が、その後の自然冷却等による温度変化は大きくなる。すると、従来の空冷のみの場合のように、冷却温度が比較的高温の場合には、加熱開始前の保持部10の温度、つまりこれに保持された電子部品2の温度のバラつきが大きくなる。すると、荷重と溶融のタイミングが最適とならない場合が生じる。
一方、本実施形態では、保持面12aに直接接触させることにより冷却するので、熱の伝達効率が高く、80℃以下の低温まで一気に低下させることができる。従って、保持部10の保持面12aを、より常温に近い温度まで低下させることができるので、その後の温度変化が少なくなる。従って、保持部10に保持された電子部品2の温度を均一化させることができるので、荷重と溶融のタイミングを最適な状態に維持することができ、はんだ付けの精度が向上する。
(2)第2の冷却装置は、通電により冷却面41aの温度を低下させるペルチェ素子41である。このため、冷媒等の流通のための構造が不要となるとともに、ペルチェ素子41の平坦面をそのまま冷却面41aとすることができる。このため、装置構成が簡素化し、製造コストを低減できる。
(3)保持部10は、保持部10の内部の温度を検出する温度センサ14aを有し、冷却面41aに保持面12aが接触した後、温度センサ14aにより検出された温度が、所定の温度となったか否かを判定する温度判定部62と、温度判定部62により所定の温度となったと判定した場合に、駆動部20により保持部10を移動させて、保持面12aから冷却面41aを離脱させる駆動制御部61とを有する。
温度センサ14aは保持面12aの温度を直接検出することが困難であるため、従来の空冷のみの冷却の場合、内部の温度センサ14aの検出温度が所定の温度となったとしても、保持面12aがその温度となっているとは限らない。一方、本実施形態では、保持面12aを冷却面41aが直接接して冷却する。このため、温度センサ14aにより検出される内部温度が設定温度となったと判断して、保持面12aから冷却面41aを離脱させれば、温度センサ14aよりも冷却面41aの近くに位置する保持面12aの温度が低くなることは明らかであるから、表面の保持面12aは設定温度より低い温度まで、確実に冷却されている。
(4)所定の温度として、少なくともはんだ材が軟化しない設定温度とすることにより、保持面12aの温度を、これよりも確実に低い温度とすることができる。
(5)所定の温度として、100℃以下の設定温度とすることにより、保持面12aの温度を、確実にはんだ材が軟化しない温度とすることができる。
(6)所定の温度として、80℃以下の設定温度とすることにより、保持面12aの温度を、確実にはんだ材が軟化しない温度とするとともに、その後の温度変化を抑えて、精度を向上させることができる。
[他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態には限定されない。例えば、保持部による電子部品の保持は、バキュームチャックの他、メカチャック、静電チャック等を用いることもできる。駆動部は、保持部を上記のように移動させることができればよく、具体的な構成は上記の態様には限定されない。支持部についても、実装対象物を支持できれば、具体的な構成は上記の態様には限定されない。
加熱装置は、高速なパルスヒータが適しているが、加熱によりはんだ材を溶融させることができれば、他の装置であってもよい。第1の冷却装置としては、ノズルから空気を吹き付けて冷却する構造であってもよい。不活性ガス等を吹き付ける構造であってもよい。また、気冷式のものが一般的であるが、冷却媒体を流通させて冷却するような構造を排除するものではない。
第2の冷却装置としては、保持面が直接接する冷却面を有していればよい。このため、冷却媒体を流通させて冷却面を冷却する構造を採用してもよい。各種の設定温度についても、上記の態様で例示したものには限定されない。例えば、冷却のための設定温度を60℃〜30℃程度のより常温に近い温度としてもよい。常温、特に実装装置1の周囲の温度に近い程、その後の温度変化が少なくなるため、実装の精度がより安定化する。設定温度を周囲の温度の変化等の状況に応じて動的に変更してもよい。さらに、設定値に対する検出値の大小判断、一致不一致の判断等において、以上、以下として値を含めるように判断しても、より大きい、超える、上回る、より小さい、未満、下回るとして値を含めないように判断しても、実質的には同等である。
また、電子部品としては、半導体チップには限定されず、貼着対象としては、上記の基板には限定されない。つまり、はんだ材の部分を介して圧着、加熱して実装を行うあらゆる電子部品及び実装対象物に適用可能である。
上記の態様は、フリップチップボンディングの例で説明したが、これに限られるものではなく、他の実装装置、例えば、ダイボンディングにも適用することもできる。つまり、加熱によりはんだ材を介して電子部品の実装を行う装置であって、電子部品を保持する保持部を有する実装装置に適用可能である。
また、支持部30および冷却部40が、駆動部20によって保持部10が移動可能な範囲内に配置されているとは、支持部30および冷却部40が、常時又は全体が保持部10の移動可能な範囲内に存在していなければならないわけではない。支持部30上での実装位置、冷却部40上での冷却位置が保持部10の移動可能な範囲内に設定されていればよい。
1 実装装置
2 電子部品
2a バンプ
3 基板
3a 導体パターン
10 保持部
11 実装ヘッド
12 吸着板
12a 保持面
13 通気経路
14 加熱装置
14a 温度センサ
15 空冷配管
20 駆動部
21 支持台
22 ベース
23 Yテーブル
24 Xテーブル
25 Zテーブル
30 支持部
31 支持面
40 冷却部
41 ペルチェ素子
41a 冷却面
42 支持台
50 供給部
51 載置テーブル
52 反転ツール
52a 支軸
52b 吸着ノズル
60 制御装置
61 駆動制御部
62 温度判定部
63 加熱制御部
64 第1の冷却制御部
65 第2の冷却制御部
70 減圧装置
80 送風装置

Claims (6)

  1. 電子部品を保持面で保持する保持部と、
    前記保持部を移動させる駆動部と、
    前記駆動部による前記保持部の移動可能な範囲内に配置され、前記保持面に保持された電子部品がはんだ材を介して圧着される実装対象物を支持する支持部と、
    前記保持部を加熱することにより、前記保持面に保持された電子部品と実装対象物との間に介在するはんだ材を溶融させる加熱装置と、
    前記駆動部による前記保持部の移動可能な範囲内に配置され、前記保持面に直接接触する冷却面を有し、前記冷却面に接触した前記保持面を冷却する冷却装置と、
    を有することを特徴とする電子部品の実装装置。
  2. 前記冷却装置は、通電により前記冷却面の温度を低下させる電子冷却素子であることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
  3. 前記保持部は、前記保持部の内部の温度を検出する温度センサを有し、
    前記冷却面に前記保持面が接触した後、前記温度センサにより検出された温度が、所定の温度となったか否かを判定する温度判定部と、
    前記温度判定部により所定の温度となったと判定した場合に、前記駆動部により前記保持部を移動させて、前記保持面から前記冷却面を離脱させる駆動制御部と、
    を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子部品の実装装置。
  4. 前記所定の温度は、少なくとも前記はんだ材が軟化しない温度であることを特徴とする請求項3記載の電子部品の実装装置。
  5. 前記所定の温度は、80℃以下であることを特徴とする請求項3記載の電子部品の実装装置。
  6. 前記駆動部によって、前記保持部に保持された前記電子部品が前記はんだ材を介して前記実装対象物に当接された状態下で、前記保持部を冷却する冷却装置を、さらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子部品の実装装置。
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