JP2017026372A - 高速炉用燃料要素及び燃料集合体並びにそれを装荷される炉心 - Google Patents

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Abstract

【課題】
共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保し得る高速炉用燃料要素、燃料集合体及びそれを装荷する炉心を提供する。
【解決手段】
マイナーアクチニド(MA)を含む金属燃料を燃料被覆管10内に封入した燃料要素1aは、横断面中央部金属燃料2と横断面中央部金属燃料2の外周部を囲む外周部金属燃料3からなる2層構造の燃料物質領域4を有する。横断面中央部金属燃料2は、マイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料であり、外周部金属燃料3はマイナーアクチニド含有率の低い又はマイナーアクチニドを含有しない粒子状又は円筒状の金属燃料である。燃料要素1aは、多孔質の中間端栓7と下部端栓8との間に燃料被覆管10の内面により画定されるガスプレナム領域6を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高速炉の炉心に装荷される燃料集合体及びそれを構成する燃料要素並びに燃料集合体が装荷される高速炉の炉心に関する。
高速炉は、原子炉容器内に炉心を配置しており、冷却材である液体ナトリウム(Na)を原子炉容器内に充填している。その炉心に装荷される燃料集合体は、プルトニウム(Pu)等の核分裂性物質を富化した劣化ウラン(U−238)を燃料被覆管に封入した複数の燃料要素、この複数の燃料要素を束ねて収容するラッパ管、これらの燃料要素の下端部、及び燃料要素の下方に位置する中性子遮蔽体を支持するエントランスノズル、及び燃料要素の上方に位置する冷却材流出部を有する。燃料要素に収納される核燃料物質の化学形態としては、酸化物及び金属合金が最も実績が豊富である。
さて、原子炉の使用済燃料の再処理で発生する高レベル放射性廃棄物(HLW:High Level Radioactive Waste)のうち、マイナーアクチニド(MA:Minor Actinide)である、例えば、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)等は長期間放射能を有しており、このマイナーアクチニド(MA)をリサイクルして高速炉で核変換することによってHLWの有害度を減らし、かつ減衰速度を増大することにより、地層処分の負荷を減らし、環境負荷低減を図る研究が行われている。酸化物燃料に比べて金属燃料は、燃料密度が高いこと、また、中性子を減速する酸素を含まないため中性子の平均エネルギーが高い。このことから、金属燃料は、酸化物燃料に比べMA核変換の効率が良いとされている。そこで、MAを効率良く核変換するため、MAを一定の割合で燃料母材(U, Pu)に添加したMA含有燃料が使用されている。
このような金属燃料を使用する高速炉燃料要素として、例えば、特許文献1が提案されている。特許文献1には、燃料被覆管内に多数の粒子状の金属燃料体及び、金属燃料体の間隙に充填された不活性ガスを有し、粒子状の金属燃料体の焼結等により、隣り合うものの接触面積を増加させ、当該接触面を通じて行われる熱伝導によって、金属燃料体の溶融を防止する高速炉用燃料要素が開示されている。
特開2002−131459号公報
燃料要素において、核分裂反応等により膨張した金属燃料が燃料被覆管の内面と接触すると、一定温度以上では共晶反応が生じる。共晶反応は異種金属同士の接触面において、それぞれの金属の融点以下の温度で起る化学反応である。この場合、燃料被覆管の主成分である鉄と金属燃料が共晶を生成する。共晶の生成により燃料被覆管内面が侵食されると、燃料被覆管の強度が低下し、燃料被覆管の健全性に影響を及ぼすことが危惧される。
マイナーアクチニド(MA)含有金属燃料では、添加されたマイナーアクチニド(MA)は、マイナーアクチニド(MA)割合が低いと燃料母材(U,Pu)中に微細な析出相として均質に分散する。一方、マイナーアクチニド(MA)割合が高い燃料では、マイナーアクチニド(MA)はより大きな析出相として偏在する傾向にある。ところが、アメリシウム(Am)等のマイナーアクチニド(MA)の共晶生成温度は、ウランやプルトニウムに比べて低いことから、MA含有率が高い金属燃料では燃料被覆管の健全性が、従来の燃料(MA添加なし)よりも低い温度で損なわれる可能性がある。従って、マイナーアクチニド(MA)を含有する金属燃料では、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管との共晶生成温度低下を防止するための構造的な工夫が望まれる。
しかしながら、特許文献1に記載される高速炉用燃料要素では、粒子状の金属燃料体が燃料被覆管内面と直に接触する構造であるため、MA含有金属燃料を用いた場合、燃料被覆管との接触面で共晶生成温度の低下が生じる。そのため、例えば、従来の燃料(MA添加なし)より低い温度で燃料被覆管との共晶反応が生じ、燃料被覆管内面が侵食される可能性がある。すなわち、MA含有金属燃料を収納する燃料被覆管の健全性が低下する恐れがある。
そこで、本発明は、共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保し得る高速炉用燃料要素、燃料集合体及びそれを装荷する炉心を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の高速炉用燃料要素は、マイナーアクチニドを含む金属燃料を燃料被覆管内に封入した燃料要素であって、燃料物質領域を、横断面中央部と当該中央部を囲む外周部の2層構造とし、前記中央部にマイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料を収容し、前記外周部にマイナーアクチニド含有率の低い又はマイナーアクチニドを含有しない粒子状又は円筒状の金属燃料を収容することを特徴とする。
また、本発明の燃料集合体は、燃料被覆管内にマイナーアクチニドを含む金属燃料を封入した燃料要素を、複数本束ねてラッパ管に収容し、高速炉の炉心に装荷される燃料集合体であって、前記各燃料要素は、燃料物質領域を、横断面中央部と当該横断面中央部を囲む外周部の2層構造とし、前記横断面中央部にマイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料を収容し、前記外周部にマイナーアクチニド含有率の低い又はマイナーアクチニドを含有しない粒子状又は円筒状の金属燃料を収容することを特徴とする。
更にまた、本発明の高速炉の炉心は、内側炉心領域、外側炉心領域及び前記外側炉心領域を囲む径方向中性子反射体領域並びに径方向中性子遮蔽体領域からなる高速炉の炉心であって、前記内側炉心領域及び外側炉心領域に、燃料被覆管内にマイナーアクチニドを含む金属燃料を封入した燃料要素を複数本束ねてラッパ管に収容する燃料集合体を複数体装荷し、前記各燃料要素は、燃料物質領域を、横断面中央部と当該横断面中央部を囲む外周部の2層構造とし、前記横断面中央部にマイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料を収容し、前記外周部にマイナーアクチニド含有率の低い又はマイナーアクチニドを含有しない粒子状又は円筒状の金属燃料を収容すると共に、前記燃料集合体は、前記複数の燃料要素の上部端栓の上方に、前記ラッパ管により画定されるナトリウムプレナム領域を備えることを特徴とする。
本発明によれば、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管の共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保し得る高速炉用燃料要素、燃料集合体及びそれを装荷する炉心を実現できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施例に係る実施例1の高速炉用燃料要素の縦断面図である。 図1に示す高速炉用燃料要素を複数収容する燃料集合体が装荷された高速炉炉心の横断面図及び3体の燃料集合体が隣接配置された状態を示す横断面図である。 図2に示す燃料集合体のA−A断面矢視図である。 本発明の他の実施例に係る実施例2の高速炉用燃料要素の縦断面図である。 図4に示す高速炉用燃料要素を複数収容する燃料集合体の縦断面図である。 本発明の他の実施例に係る実施例3の高速炉用燃料要素の縦断面図である。 本発明の他の実施例に係る実施例4の高速炉用燃料要素の縦断面図である。
本発明の一実施形態に係る高速炉用燃料要素は、例えば、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)、及びネプツニウム(Np)等のマイナーアクチニド(MA)と核分裂性物質を含有する金属燃料(合金燃料)を、燃料被覆管内に長軸方向に封入し燃料物質領域を形成する。この燃料物質領域は、上記長軸に直交する横断面中央部と、この横断面中央部を囲む外周部からなる2層構造をなす。燃料被覆管内において、上記横断面中央部に、マイナーアクチニド(MA)含有率の高い、例えば、円柱状の棒状燃料が収容されている。また、燃料被覆管内において、上記横断面中央部を囲む外周部に、マイナーアクチニド(MA)含有率の低い又はマイナーアクチニド(MA)を含有しない粒子状又は円筒状の金属燃料(合金燃料)が収容されている。換言すれば、上記横断面中央部に収容される金属燃料(合金燃料)のマイナーアクチニド(MA)含有率は、上記外周部に収容される金属燃料(合金燃料)のマイナーアクチニド(MA)含有率よりも高い。
このように、燃料被覆管内面に直接或は間接的に接触する上記外周部に収容される金属燃料(合金燃料)は、マイナーアクチニド(MA)含有率が低い又はマイナーアクチニド(MA)を含有しないため、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管の共晶生成温度の低下が防止され、燃料被覆管の健全性を確保することが可能となる。
また、本発明の一実施形態に係る燃料集合体は、上述の高速炉用燃料要素を複数本束ね、この束ねられた高速炉用燃料要素の上端部の上方に形成されるナトリウム(Na)プレナム領域と共に収容する横断面六角形状のステンレス鋼製のラッパ管、及び燃料交換機により高速炉の炉心への挿入又は炉心からの抜き取りを可能とするハンドリングヘッドを備える。
以下では、高速炉用燃料要素を燃料要素(燃料ピンと称される場合もある)と称し、また、高速炉では冷却材として、Na又はPb等の液体金属が用いられるが、液体ナトリウム(Na)を冷却材として用いる場合を例に説明する。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る実施例1の高速炉用燃料要素の縦断面図である。図1に示すように、燃料要素1aは、鉄(Fe)を主成分とする燃料被覆管10内に、例えば、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)、及びネプツニウム(Np)等のマイナーアクチニド(MA)と核分裂性物質を含有する合金燃料を、多孔質の中間端栓7上に長軸方向に配し構成される。また、マイナーアクチニド(MA)と核分裂性物質を含有する合金燃料は、燃料被覆管10内において、長軸方向に直交する横断面中央部に配される横断面中央部金属燃料2、及び横断面中央部金属燃料2を囲む外周部に配される外周部金属燃料3からなる2層構造の燃料物質領域4をなす。横断面中央部金属燃料2は、例えば円柱形状をなし、マイナーアクチニド(MA)を含有するU−Pu−MA−Zr合金にて棒状燃料として形成される。また、外周部金属燃料3は、例えば粒子状であって、マイナーアクチニド(MA)を含有しないU−Pu−Zr合金にて形成される。
燃料要素1aは、その上下の端部に、それぞれ上部端栓9及び下部端栓8を有し、ヘリウムガスを充填し燃料被覆管10内を封止する。また、燃料要素1aは、下部端栓8と多孔質の中間端栓7の間にガスプレナム領域6を備える。すなわち、ガスレプレナム領域6は、燃料物質領域4の下方に配される。なお、ガスプレナム領域6は、燃料被覆管10により画定される空間であり、横断面中央部金属燃料2及び外周部金属燃料3の核分裂により発生する、核分裂生成物(Fisson Products:FP)のガスを空間内に保持する。すなわち、ガスプレナム領域6は、核分裂生成物(FP)のガスを収めるガス溜として機能する。また、燃料物質領域4の上端部と上部端栓9との空間には、図示しないコイルばねが配されている。コイルばねは、上端が上部端栓9の下面と当接し、下端が燃料物質領域4を形成する横断面中央部金属燃料2及び外周部金属燃料3の上面(燃料物質領域4の上端部)と当接する。これにより、後述する燃料集合体の輸送或いは搬送時において、コイルばねの付勢力により燃料物質領域4を形成する横断面中央部金属燃料2及び外周部金属燃料3の健全性が確保される。なお、複数本の燃料要素1aを束ねて収容する燃料集合体が高速炉の炉心に装荷され運転状態におかれると、燃料物質領域4を形成する横断面中央部金属燃料2及び外周部金属燃料3は、熱膨張(スウェリング)し、燃料被覆管10の内面に当接ないしは密接するため、燃料被覆管10内で変位することなく固定状態となる。
図2に、図1に示す燃料要素1aを複数収容する燃料集合体が装荷された高速炉炉心の横断面図及び3体の燃料集合体が隣接配置された状態を示す横断面図を示す。図2に示すように、高速炉の炉心30は、原子炉容器(図示せず)内に配置され、内側炉心領域31、この内側炉心領域31を取り囲む外側炉心領域32を有する炉心領域、径方向中性子反射体領域33、径方向中性子遮蔽体領域34及び制御棒35を有する。炉心30の半径方向において、径方向中性子反射体領域33が炉心領域を取り囲んで炉心燃料領域と隣り合っており、径方向中性子遮蔽体領域34が径方向中性子反射体領域33を取り囲んでいる。
炉心30の炉心領域(内側炉心領域31及び外側炉心領域32を含む)には、金属燃料を含む複数の燃料集合体20aが装荷されており、また、高速炉の起動時、停止時及び出力の調節時に用いられる制御棒35が装荷されている。制御棒35は、炭化ホウ素(BC)ペレットをステンレス鋼製の被覆管に封入した複数の中性子吸収棒を有する。制御棒35は、主炉停止系及び後備炉停止系の独立した2系統の構成となっているが、図2ではこれらを区別せず記載している。
図2の下図に示されるように、隣接配置される3体の燃料集合体20aは、相互に対向するラッパ管21の側壁の間隙に、インターラッパーギャップ23が形成されている。このインターラッパーギャップ23は、炉心30内で炉心の軸方向上方へ流れる冷却材(液体Na)の流路となり、このインターラッパーギャップ23内を通流する冷却材の流れは、インターラッパー流と称される。また、図2の下図に示すように、横断面六角形状のラッパ管21内に複数本の燃料要素1aが稠密配置され、その配列は三角格子状となる。
図3は、図2に示す燃料集合体20aのA−A断面矢視図である。図3に示すように、燃料集合体20aは、ステンレス鋼製(SUS)のラッパ管21内であって、燃料要素1aの上端部(上部端栓9)より上方に、Naプレナム領域22を有する。Naプレナム領域22は、ラッパ管21により画定される空間であり、この空間内に冷却材である液体ナトリウム(Na)のみを包含する。また、図3では省略しているが、燃料集合体20aは、燃料要素1aの下部端栓8を支持し、冷却材である液体ナトリウム(Na)を導入するエントランスノズル、及びラッパ管21の上方に、ハンドリングヘッド等を備える。また、隣接する燃料要素1a同士の間隔は、燃料要素1aの表面に巻き付けたワイヤースペーサによって保持される。エントランスノズルより導入される冷却材である液体Naは、燃料集合体20a内部、すなわち、複数本の燃料要素1a間、最外周に配される燃料要素1aとラッパ管21の内壁間を、長軸方向上方へ流れることにより、核分裂により生じる発熱を冷却する。
図1に戻り、本実施例の燃料要素1aは、マイナーアクチニド(MA)を含有する棒状燃料(U−Pu−MA−Zr合金)である横断面中央部金属燃料2と、その外周部に配され燃料被覆管10の内面と直接接触するマイナーアクチニド(MA)を含有しない粒子状燃料(U−Pu−Zr合金)である外周部金属燃料3を備える。
ここで、横断面中央部金属燃料2であるマイナーアクチニド(MA)を含有する棒状燃料(U−Pu−MA−Zr合金)と、燃料被覆管10の主成分である鉄(Fe)の共晶生成温度は600℃以下である。一方、高速炉の運転状態においては、高速炉の炉心30は例えば650℃以上となる。そのため、高速炉の炉心30に装荷される燃料集合体20a内に束ねられる燃料要素1aの燃料物質領域4の下端部での温度は400℃、燃料物質領域4の上端部での温度は550℃から600℃となる。従って、仮に、横断面中央部金属燃料2が燃料被覆管10の内面に直接接触するような構造では、特に、燃料物質領域4の上端部付近では、共晶反応により燃料被覆管10の内面にFe−MAの化合物が形成され、燃料被覆管10の内面が侵食(腐食)され、燃料被覆管10の強度低下を招く恐れが生じる。
しかしながら、本実施例の燃料要素1aでは、鉄を主成分とする燃料被覆管10の内面に直接接触するのは、マイナーアクチニド(MA)を含有しない粒子状燃料(U−Pu−Zr合金)である外周部金属燃料3である。このマイナーアクチニド(MA)を含有しない粒子状燃料(U−Pu−Zr合金)と、燃料被覆管10の主成分である鉄(Fe)の共晶生成温度は650℃であり、上述の燃料物質領域4内で最も高温となる上端部における温度(550℃から600℃)よりも高いことから、燃料被覆管10の内面における共晶の生成が抑制される。すなわち、本実施例の燃料要素1aによれば、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管の共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保することが可能となる。
なお、外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)を含有しない粒子状燃料(U−Pu−Zr合金)に替えて、マイナーアクチニド(MA)を含有しない粒子状燃料(U−Zr合金)とした場合、U−Zr合金とFeとの共晶生成温度は725℃であり、同様に、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管の共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保することができる。
また、更に、本実施例の燃料要素1aでは、図1及び図3に示す通り、ガスプレナム領域6を燃料物質領域4の下方に設けている。そのため、複数本の燃料要素1aを束ねてラッパ管21内に収容する燃料集合体20aでは、燃料物質領域4の直上にNaプレナム領域22が設けられるため、Naプレナム領域22のボイド反応度低減効果が大きい。これにより、極めて稀ではあるが、万が一冷却材流量喪失等の過渡事象時(Unprotected Loss of Flow:ULOF時)においても、実効的なボイド反応度が負となり、高速炉の安全性の向上が図られる。
なお、本実施例では、鉄を主成分とする燃料被覆管10の内面に直接接触する外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)を含有しない粒子状燃料としたがこれに限られるものではない。例えば、外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%以下の粒子状燃料(U−Pu−MA−Zr合金又はU−MA−Zr合金)とし、横断面中央部金属燃料2を、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%を超える棒状燃料(U−Pu−MA−Zr合金又はU−MA−Zr合金)としても良い。これは、金属燃料では、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%程度以下であれば、添加されたマイナーアクチニド(MA)は、燃料母材(U,Pu)中に微細な析出相として均質に分散するため、共晶生成温度への影響は小さいためである。
本実施例によれば、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管の共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保し得る高速炉用燃料要素、燃料集合体及びそれを装荷する炉心を実現できる。
また、本実施例では、燃料集合体が、上述のマイナーアクチニド(MA)を含有する金属燃料を収容する燃料要素束の軸方向直上にNaプレナム領域を有することから、Naプレナム領域のボイド反応度を効果的に低減できる。これにより、極めて稀ではあるが、万が一冷却材流量喪失等の過渡事象時においても、実効的なボイド反応度が負となり、高速炉の安全性を向上することが可能となる。詳述すると、大型炉心の燃料物質領域が正のボイド反応度を有するのに対し、Naプレナム領域は中性子漏洩による負のボイド反応度を有することから、万が一の冷却材流量喪失等の過渡事象時に、Naプレナム領域のボイドにより炉心全体の実効的なボイド反応度を抑制でき、高速炉の安全性を向上できる。
図4は、本発明の他の実施例に係る実施例2の高速炉用燃料要素の縦断面図である。実施例1と同様の構成要素に同一の符号を付している。実施例1では、横断面中央部金属燃料を、マイナーアクチニド(MA)を含有する棒状燃料としたのに対し、本実施例では、横断面中央部金属燃料の中心部に長軸方向に沿って貫通する開孔を設けた点が異なる。すなわち、本実施例における横断面中央部金属燃料は、中空形状を有する。以下では、実施例1と重複する説明を省略する。
図4に示すように、燃料要素1bは、鉄(Fe)を主成分とする燃料被覆管10内に、例えば、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)、及びネプツニウム(Np)等のマイナーアクチニド(MA)と核分裂性物質を含有する合金燃料を、多孔質の中間端栓7上に長軸方向に配し構成される。横断面中央部金属燃料2は、横断面においてその中心部に長軸方向に沿って、上端部から中間端栓7へと向い貫通する開孔11を備える。また、燃料要素1bは、横断面中央部金属燃料2と、当該横断面中央部金属燃料2の周囲を覆う外周部金属燃料3より、2層構造の燃料物質領域4を形成する。横断面中央部金属燃料2は、例えば、マイナーアクチニド(MA)を含有するU−Pu−MA−Zr合金にて中空形状(開孔11)の肉厚の円筒形状をなす。外周部金属燃料3は、例えば、粒子状であって、マイナーアクチニド(MA)を含有しないU−Pu−Zr合金にて形成される。
燃料要素1bは、その上下の端部に、それぞれ上部端栓9及び下部端栓8を有し、ヘリウムガスを充填し燃料被覆管10を封止する。また、燃料要素1bは、下部端栓8と中間端栓7の間にガスプレナム領域6を備える。すなわち、ガスプレナム領域6は、燃料物質領域4の下方に配される。なお、ガスプレナム領域6は、燃料被覆管10により画定される空間であり、横断面中央部金属燃料2及び外周部金属燃料3の核分裂により生成される核分裂生成物(FP)のガスを空間内に保持するガス溜として機能する。
ここで、横断面中央部金属燃料2の開孔11の口径を横断面中央部金属燃料2の内径とし、横断面中央部金属燃料2の外周面までの距離を外径とした場合、仮に、横断面中央部金属燃料2の外径を実施例1に示した中実形状の横断面中央部金属燃料2の外径と同一とすると、本実施例の燃料要素1bでは、横断面中央部金属燃料2が開孔11を有することから、燃料被覆管10内に収容される横断面中央部金属燃料2の体積量は、実施例1に示した燃料要素1aにおける体積量よりも減少することになる。これは、高レベル放射性廃棄物(HLW)であるマイナーアクチニド(MA)を高速炉にて核変換することにより有害度を低減する観点から望ましくない。そこで、本実施例の燃料要素1bでは、開孔11を設けることにより減じられる体積量を補うよう、実施例1の燃料要素1aに比べ、燃料要素1b内の横断面中央部金属燃料2の外径を大きくしている。これにより、外周部金属燃料3の体積量は、実施例1に示した燃料要素1aの場合に比べ小さくなる。換言すれば、マイナーアクチニド(MA)を含有しないU−Pu−Zr合金にて形成される粒子状燃料である外周部金属燃料3の横断面積は小さくなり、横断面中央部金属燃料2の外周面と燃料被覆管10の内面間の間隙は実施例1の構成に比べ小さくなる。従って、燃料被覆管10と、当該燃料被覆管10の内面と外周部金属燃料3を介して配される横断面中央部金属燃料2との間での熱伝達が向上する。
図5に、燃料要素1bを複数収容する燃料集合体20bの縦断面図を示す。図5に示すように、燃料集合体20bは、図示しないワイヤースペーサにより相互に離間し束ねられる燃料要素1bの直上に、ラッパ管21により画定されるNaプレナム領域22を有する。また、実施例1と同様に、燃料集合体20bのエントランスノズル(図示せず)より導入される冷却材である液体Naは、隣接する燃料要素1b同士の間、及び最外周に配される燃料要素1bとラッパ管21内壁間を、長軸方向上方へと流れる。本実施例の燃料要素1bは、上述の通り実施例1に示した燃料要素1aに比べ、燃料被覆管10と、当該燃料被覆管10の内面と外周部金属燃料3を介して配される横断面中央部金属燃料2との間での熱伝達が向上することから、燃料被覆管10の外側を上方へと流れる液体Naにより、横断面中央部金属燃料2を効果的に冷却することができる。
なお、本実施例の燃料要素1bにおいても、燃料被覆管10の内面と直接接触するのは、外周部金属燃料3であることから、上述の実施例1と同様に、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管の共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保することが可能となる。
また、本実施例では、鉄を主成分とする燃料被覆管10の内面に直接接触する外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)を含有しない粒子状燃料としたがこれに限られるものではない。例えば、外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%以下の粒子状燃料(U−Pu−MA−Zr合金又はU−MA−Zr合金)とし、横断面中央部金属燃料2を、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%を超える棒状燃料(U−Pu−MA−Zr合金又はU−MA−Zr合金)としても良い。これは、金属燃料では、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%程度以下であれば、添加されたマイナーアクチニド(MA)は、燃料母材(U,Pu)中に微細な析出相として均質に分散するため、共晶生成温度への影響は小さいためである。
以上の通り、本実施例によれば、実施例1の効果に加え更に、液体Naによる横断面中央部金属燃料、すなわち、燃料物質領域の冷却効率を向上することが可能となる。
図6は、本発明の他の実施例に係る実施例3の高速用燃料要素の縦断面図である。実施例1及び実施例2と同様の構成要素に同一の符号を付している。本実施例では下部端栓上に横断面中央部金属燃料及び外周部金属燃料からなる2層構造の燃料物質領域を配し、ガスプレナム領域を燃料物質領域の上方に設けた点が、実施例1及び実施例2と異なる。以下では、実施例1及び実施例2と重複する説明を省略する。
図6に示すように、燃料要素1cは、鉄(Fe)を主成分とする燃料被覆管10内に、例えば、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)、及びネプツニウム(Np)等のマイナーアクチニド(MA)と核分裂性物質を含有する合金燃料を、下部端栓8上に長軸方向に配し構成される。燃料被覆管10内において、長軸方向に直交する横断面中央部に配される横断面中央部金属燃料2、及び横断面中央部金属燃料2の外周面 を覆うよう配される外周部金属燃料3からなる2層構造の燃料物質領域4をなす。横断面中央部金属燃料2は、円柱状をなし、マイナーアクチニド(MA)を含有するU−Pu−MA−Zr合金にて棒状燃料として形成される。また、外周部金属燃料3は、円筒状をなし、マイナーアクチニド(MA)を含有しないU−Pu−Zr合金にて形成される。円筒状の外周部金属燃料3の外径は燃料被覆管10の内径よりも小さく、横断面中央部金属燃料2の外周面を覆う外周部金属燃料3の外周面と燃料被覆管10の内面間に間隙を有する。当該間隙と、横断面中央部金属燃料2及び外周部金属燃料3よりなる燃料物質領域4の長軸方向の上端部から所定の高さ上方に達する空間は、液体Na12にて充填されている。すなわち、燃料要素1cは、燃料物質領域4の全体が液体Naに浸漬する構成を有する。従って、燃料物質領域4を形成する外周部金属燃料3は、燃料被覆管10の内面と直接接触することなく、液体Na12を介して間接的に燃料被覆管10の内面と熱的に接触する。また、燃料物質領域4の全体を覆うよう充填される液体Na12は、常温或いは室温では固相状体(個体)を維持し、高速炉の炉心30に装荷され運転状態におかれて液相状態となる。従って、燃料要素1cを複数本束ねて収容する燃料集合体の輸送或いは搬送時において、液体Na12は固相状態を維持することから、燃料物質領域4を形成する横断面中央部金属燃料2及び外周部金属燃料3の健全性が確保される。
また、図6に示すように、液体Na12の液面と上部端栓9との間に、燃料被覆管10により画定されるガスプレナム領域6を有する。
このように、本実施例の燃料要素1cでは、燃料物質領域4を形成する外周部金属燃料3すら、燃料被覆管10の内面と直接接触することはないため、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管の共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保することができる。
なお、本実施例では、外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)を含有しない円筒状燃料としたがこれに限られるものではない。例えば、外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%以下の円筒状燃料(U−Pu−MA−Zr合金又はU−MA−Zr合金)とし、横断面中央部金属燃料2を、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%を超える棒状燃料(U−Pu−MA−Zr合金又はU−MA−Zr合金)としても良い。これは、金属燃料では、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%程度以下であれば、添加されたマイナーアクチニド(MA)は、燃料母材(U,Pu)中に微細な析出相として均質に分散するため、共晶生成温度への影響は小さいためである。
上述の通り、本実施例の燃料要素1cは、燃料物質領域4の上方にガスプレナム領域を有する構成であるため、燃料集合体内にこれら燃料要素1cを複数本束ねて収容した際、燃料要素1cの上方にNaプレナム領域を設けることはできない。これは、ガスプレナム領域6にて中性子漏洩が阻止されるため、仮に、燃料要素1c束の上方へNaプレナム領域を設けたとしてもボイド反応度の低減効果は望めない。
本実施例によれば、上述の実施例1及び実施例2におけるNaプレナム領域によるボイド反応度の低減効果は奏し得ないものの、燃料物質領域の上方にガスプレナム領域を有する既存の燃料要素の構成に適用できると共に、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管の共晶生成温度の低下を防止でき、燃料被覆管の健全性を確保することが可能となる。
図7は、本発明の他の実施例に係る実施例4の燃料要素1dの縦断面図である。実施例3と同様の構成要素に同一の符号を付している。実施例3では、円筒状の外周部金属燃料を横断面中央部金属燃料の外周面を覆うよう、燃料物質領域の長軸方向全長にわたり配する構成としたのに対し、本実施例では、燃料物質領域の上端部より下方へ、燃料物質領域の長軸方向の長さの1/3の領域のみに外周部金属燃料を配する構成とした点が異なる。以下では、実施例3と重複する説明を省略する。
図7に示すように、燃料要素1d内の燃料物質領域4は、軸方向に第1燃料物質領域13及び第2燃料物質領域14から形成される。第1燃料物質領域13は、燃料物質領域4の軸方向上端部(下部端栓8と反対側の端部)から下方へ向かい、燃料物質領域4の軸方向長さの1/3の領域を占める。一方、第2燃料物質領域14は、第1燃料物質領域13の下端部より下部端栓8までの領域、すなわち、燃料物質領域4の軸方向長さの2/3の領域を占める。第1燃料物質領域13は、燃料被覆管10内において、長軸方向に直交する横断面中央部に横断面中央部金属燃料2、及び横断面中央部金属燃料2の外周面を覆うよう配される外周部金属燃料3からなる2層構造をなす。一方、第2燃料物質領域14は、横断面中央部金属燃料2のみからなる。第2燃料物質領域14における横断面中央部金属燃料2の外周面と、第1燃料物質領域13における外周部金属燃料3の外周面とが連続する構成とすることが望ましい。横断面中央部金属燃料2は、軸方向において径が異なる凸部を有する円柱状の形状をなす。
横断面中央部金属燃料2は、例えば、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)、及びネプツニウム(Np)等のマイナーアクチニド(MA)を含有するU−Pu−MA−Zr合金にて形成される。また、第1燃料物質領域13のみに配される外周部金属燃料3は、マイナーアクチニド(MA)を含有しないU―Pu−Zr合金にて形成される。
上述の通り、燃料要素1dが複数本束ねて収容される燃料集合体内を流れる液体Na(冷却材)は、燃料集合体の下方に配されるエントランスノズルから導入され、燃料集合体の軸方向に沿って下方から上方へと流れる。そのため高速炉の運転状態においては、燃料物質領域4のうち、上端部付近ほど高温となり、その温度は550℃から600℃に達する。従って、燃料被覆管10が高温となる領域も、燃料物質領域4のうち上端部付近の領域、すなわち第1燃料物質領域13内となる。本実施例では、第1燃料物質領域13のみ2層構造とし、燃料被覆管10の内面に液体Naを介して間接的に接触する外周部金属燃料3を配する構成としたものである。これにより、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管10の共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保することができる。
図7に示すように、燃料要素1dは、液体Naの液面と上部端栓9の下面との間に、燃料被覆管10の内面にて画定されるガスプレナム領域6を有する。
なお、本実施例では、第1燃料物質領域13に配される外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)を含有しない円筒状燃料としたがこれに限られるものではない。例えば、外周部金属燃料3を、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%以下の円筒状燃料(U−Pu−MA−Zr合金又はU−MA−Zr合金)とし、横断面中央部金属燃料2を、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%を超える棒状燃料(U−Pu−MA−Zr合金又はU−MA−Zr合金)としても良い。これは、金属燃料では、マイナーアクチニド(MA)含有率が2%程度以下であれば、添加されたマイナーアクチニド(MA)は、燃料母材(U,Pu)中に微細な析出相として均質に分散するため、共晶生成温度への影響は小さいためである。
また、本実施例では、第1燃料物質領域13を、横断面中央部金属燃料2及び外周部金属燃料3からなる2層構造としたがこれに限られるものではない。例えば、第1燃料物質領域13全体を、マイナーアクチニド(MA)を含有しない合金燃料、或いはマイナーアクチニド(MA)の含有率の低い合金燃料としても良い。この場合においても、燃料物質領域4のうち、高温となる上部領域である第1燃料物質領域13に共晶生成温度の低いマイナーアクチニド(MA)が存在しない、或いは、マイナーアクチニド(MA)が存在したとしても含有量がきわめて少なくする(2%以下)ことができることから、マイナーアクチニド(MA)による燃料被覆管10の共晶生成温度の低下を防止し、燃料被覆管の健全性を確保することが可能となる。
本実施例によれば、実施例3の効果に加え、マイナーアクチニド(MA)を含有する金属燃料(合金燃料)の体積量を増加することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1a,1b,1c,1d・・・燃料要素(燃料ピン)
2・・・横断面中央部金属燃料
3・・・外周部金属燃料
4・・・燃料物質領域
6・・・ガスプレナム領域
7・・・中間端栓
8・・・下部端栓
9・・・上部端栓
10・・・燃料被覆管
11・・・開孔
12・・・液体Na
13・・・第1燃料物質領域
14・・・第2燃料物質領域
20a,20b・・・燃料集合体
21・・・ラッパ管(横断面六角形状のラッパ管)
22・・・Naプレナム領域
30・・・炉心
31・・・内側炉心領域
32・・・外側炉心領域
33・・・径方向中性子反射体領域
34・・・径方向中性子遮蔽体領域
35・・・制御棒

Claims (14)

  1. マイナーアクチニドを含む金属燃料を燃料被覆管内に封入した燃料要素であって、
    燃料物質領域を、横断面中央部と当該横断面中央部を囲む外周部の2層構造とし、
    前記横断面中央部にマイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料を収容し、前記外周部にマイナーアクチニド含有率の低い又はマイナーアクチニドを含有しない粒子状又は円筒状の金属燃料を収容することを特徴とする高速炉用燃料要素。
  2. 請求項1に記載の高速炉用燃料要素において、
    前記外周部に収容される粒子状又は円筒状の金属燃料は、マイナーアクチニド含有率が2%以下であることを特徴とする高速炉用燃料要素。
  3. 請求項2に記載の高速炉用燃料要素において、
    前記燃料被覆管内に多孔質の中間端栓を備え、
    当該中間端栓と上部端栓との間に前記燃料物質領域を配すると共に、前記中間端栓と下部端栓との間に前記燃料被覆管の内面により画定されるガスプレナム領域を有することを特徴とする高速炉用燃料要素。
  4. 請求項3に記載の高速炉用燃料要素において、
    前記横断面中央部に収容されるマイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料は、横断面中心部より軸方向に沿って、前記中間端栓へと向かい貫通する開孔を有することを特徴とする高速炉用燃料要素。
  5. 請求項2に記載の高速炉燃料要素において、
    前記燃料物質領域は、当該燃料物質領域の上端部から下方へ向かい、前記燃料物質領域の軸方向長さの1/3の領域のみ、前記2層構造を有することを特徴とする高速炉用燃料要素。
  6. 燃料被覆管内にマイナーアクチニドを含む金属燃料を封入した燃料要素を、複数本束ねてラッパ管に収容し、高速炉の炉心に装荷される燃料集合体であって、
    前記各燃料要素は、燃料物質領域を、横断面中央部と当該横断面中央部を囲む外周部の2層構造とし、前記横断面中央部にマイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料を収容し、前記外周部にマイナーアクチニド含有率の低い又はマイナーアクチニドを含有しない粒子状又は円筒状の金属燃料を収容することを特徴とする燃料集合体。
  7. 請求項6に記載の燃料集合体において、
    前記複数の燃料要素の上方に、前記ラッパ管の内面により画定されるナトリウムプレナム領域を有することを特徴とする燃料集合体。
  8. 請求項7に記載の燃料集合体において、
    前記各燃料要素は、マイナーアクチニド含有率が2%以下の金属燃料を前記外周部に収容することを特徴とする燃料集合体。
  9. 請求項8に記載の燃料集合体において、
    前記各燃料要素は、前記燃料被覆管内に多孔質の中間端栓を備え、
    前記中間端栓と上部端栓との間に前記燃料物質領域を配すると共に、前記中間端栓と下部端栓との間に前記燃料被覆管の内面により画定されるガスプレナム領域を有することを特徴とする燃料集合体。
  10. 請求項9に記載の燃料集合体において、
    前記各燃料要素は、横断面中心部より軸方向に沿って前記中間端栓へと向かい貫通する開孔を有する前記マイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料を、前記横断面中央部に収容することを特徴とする燃料集合体。
  11. 内側炉心領域、外側炉心領域及び前記外側炉心領域を囲む径方向中性子反射体領域並びに径方向中性子遮蔽体領域からなる高速炉の炉心であって、
    前記内側炉心領域及び外側炉心領域に、燃料被覆管内にマイナーアクチニドを含む金属燃料を封入した燃料要素を複数本束ねてラッパ管に収容する燃料集合体を複数体装荷し、
    前記各燃料要素は、燃料物質領域を、横断面中央部と当該横断面中央部を囲む外周部の2層構造とし、前記横断面中央部にマイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料を収容し、前記外周部にマイナーアクチニド含有率の低い又はマイナーアクチニドを含有しない粒子状又は円筒状の金属燃料を収容すると共に、
    前記燃料集合体は、前記複数の燃料要素の上方に、前記ラッパ管により画定されるナトリウムプレナム領域を備えることを特徴とする高速炉の炉心。
  12. 請求項11に記載の高速炉の炉心において、
    前記各燃料要素は、マイナーアクチニド含有率が2%以下の金属燃料を前記外周部に収容することを特徴とする高速炉の炉心。
  13. 請求項12に記載の高速炉の炉心において、
    前記各燃料要素は、前記燃料被覆管内に多孔質の中間端栓を備え、
    前記中間端栓と上部端栓との間に前記燃料物質領域を配すると共に、前記中間端栓と下部端栓との間に前記燃料被覆管の内面により画定されるガスプレナム領域を有することを特徴とする高速炉の炉心。
  14. 請求項13に記載の高速炉の炉心において、
    前記各燃料要素は、横断面中心部より軸方向に沿って前記中間端栓へと向かい貫通する開孔を有する前記マイナーアクチニド含有率の高い棒状燃料を、前記横断面中央部に収容することを特徴とする高速炉の炉心。
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