JP2017025104A - 組織因子経路インヒビターに特異的に結合することが可能な抗体 - Google Patents

組織因子経路インヒビターに特異的に結合することが可能な抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、組織因子経路インヒビター(TFPI)に特異的に結合し、遊離TFPIを中和し、血液の凝固時間を短縮することが可能な抗体に関する。さらに、本発明は、このような抗体をコードするポリヌクレオチド、およびこれらのポリヌクレオチドを含むか、または本発明の抗体を発現する細胞にも関する。【解決手段】このような抗体は、凝血障害を有する対象の治療において、単独で有用であるほか、第2の作用剤と組み合わせても有用である。【選択図】なし

Description

本発明は、組織因子経路インヒビター(TFPI)のC末端に特異的に結合することが可能であり、したがって、TFPIの遊離プールを中和することが可能な抗体に関する。本発明はまた、治療的使用および医薬的使用など、このような抗体の使用にも関する。
A型血友病およびB型血友病を有するヒトなど、血液凝固障害を有する対象では、例えば、凝固因子が存在しないかまたは存在しても不十分であるために、凝固カスケードの多様な段階が機能不全となっている。凝固カスケードの一部のこのような機能不全の結果、不十分な血液凝固、および致死性となる可能性がある出血、または関節などの内部器官への損傷がもたらされる。A型血友病およびB型血友病を有するヒトなどの対象には、それぞれ、外因性第VIII因子または外因性第IX因子など、凝固因子補充療法を施すことができる。しかし、このような患者には、このような外因性因子に対する「インヒビター」(抗体)が生じ、かつて有効であった療法が無効となる危険性がある。さらに、外因性凝固因子は、静脈内投与だけが可能であり、これは、患者に無視できない不都合および不快感をもたらす。例えば、乳児および幼児は、静脈へのアクセスを確保するために、胸部静脈内に手術により静脈内カテーテルを挿入しなければならない場合がある。これは、乳児および幼児に、細菌感染および血栓性合併症を発生させる大きな危険性をもたらす。血液凝固障害を有する対象は、予防的措置としてではなく、出血が始まった後で初めて治療を施される場合があり、これは、対象の一般的な生活の質に影響を及ぼすことが多い。したがって、特に、血友病者集団では、そして、血液凝固障害を有する対象では一般に、医療に対する多くの必要がいまだに満たされていない。
凝固カスケードは通常、血管内壁の傷害時において作動し、これによって、内皮下組織因子(TF)が循環血液成分へと曝露される。略述すると、TFは、TF発現細胞の表面において、第VII因子/第VIIa因子 (FVII/FVIIa)と共に複合体を形成する。この複合体により、第X因子 (FX)が、第Xa因子 (FXa)へと活性化され、これが、共因子としての第Va因子 (Fva)と共に、限定量のトロンビン(FIIa)生成をもたらす。少量のトロンビンが、血小板を活性化し、この結果、テナーゼ複合体である第VIIIa因子/第IXa因子 (FVIIIa/FIXa)の結合を支援するリン脂質を表面に露出させる。テナーゼ複合体は、大量のFXをFXaへと活性化し、この結果として、その後、大量のトロンビンが生成する。力学的に強力な線維素構造の形成および止血栓の安定化には、完全なトロンビンバーストが必要とされる。
血友病を有する個体では、FVIIIまたはFIXが、存在しても低レベルであるか、または完全に存在しない場合もある。テナーゼ活性が欠如するために、FXaを生成させる能力が低く、凝固の増幅期を支援するのが不十分である。これに対し、TFを介する凝固の開始期は、テナーゼ複合体の形成に依存しない。しかし、TF経路を介する凝固の開始は、初期のFXa生成の直後において、血漿中のインヒビターにより遮断される。このようなインヒビターの1つが、FXaおよびTF/FVIIaの両方を阻害する組織因子経路インヒビター(TFPI)であり、進行中の凝固に対するフィードバックインヒビターとして重要な役割を果たす。TFPIがTF-FVIIa複合体の強力なインヒビターであるのは、FXaの存在下に限られる。したがって、TF/FVIIaの効果的な阻害には、FXaの生成、FXa/TFPI複合体の形成、およびその後における第3のTF/FVIIa/FXa/TFPI複合体の形成が必要とされる。
in vivoでは複数のTFPIプールが存在する。主要な画分は血管内皮に結合しており、副次的な画分は血液中のリポタンパク質と会合しており、小さな画分は血小板内に存在しており、最後に、少量は遊離循環TFPIとして存在する。さらに、TFPIは、TFPIアルファ形態、TFPIベータ形態、およびTFPIガンマ形態としても存在する。TFPIの特定の画分の阻害活性の中和は、望ましくない出血の治療において有効であると判明する可能性がある。
当技術分野では、TFPIに結合することが可能な抗体が知られている。複数の文献が、TFPIのK3ドメインに結合することが可能な抗体について開示している、すなわち:
・J. Biochem、1995、118(1): 178〜182頁
・Blood Coagul. Fibrinolyis、1999、10 (6): 309〜19頁
・JP6153981A。
これらの参考文献は、血液凝固障害を有する対象を治療するためのTFPI抗体については開示していない。
JP6153981A WO2005040219 米国特許出願公開第20050238646号 米国特許出願公開第20020161201号 EP404,097 WO93/11161 Bodmerら、米国特許第5,677,425号 国際特許出願第WO2010072691号 WO01/83725 WO02/22776 WO02/077218 WO03/027147 WO03/037932 WO04/029090 WO05/024006 EP051087138 US7173000B2 JP4451514B2 WO03/031464 WO04/099231
J. Biochem、1995、118(1): 178〜182頁 Blood Coagul. Fibrinolyis、1999、10 (6): 309〜19頁 Birdら、Science、1988、242:423〜426頁 Hustonら、PNAS、1988、85: 5879〜5883頁 Illら、Protein Eng、1997、10:949〜57頁 HolligerおよびHudson、Nat Biotechnol、2005、2S: 1126〜1136頁 CaiおよびGaren、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93: 6280〜6285頁、1996 Desmyterら、J. Biol. Chem.、277: 23645〜23650頁、2002 Bondら、J. Mol. Biol. 2003、332: 643〜655頁 Pluckthun、1994、「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies」、113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag, New York, 269〜315頁 Hollingerら、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90: 6444〜6448頁 Zapataら、1995、Protein Eng.、8(10): 1057〜1062頁 Angalら、Mol Immunol. 199S、30: 105〜8頁 B. LeeおよびF.M. Richards、「The Interpretation of Protein Structures: Estimation of Static Accessibility」、J. Mol. Biol. 55、379〜400頁(1971) Caceciら、Byte 9: 340〜362頁、1984 WongおよびLohman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90、5428〜5432頁、1993 Kabatら(1991)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication第91-3242号 ChothiaおよびLesk、J. Mol. Biol、1987、196: 901〜917頁 Sambrookら、1989、「Molecular Cloning - a laboratory manual」、Cold Spring Harbor Press Remington、「The Science and Practice of Pharmacy」、19版、1995 Proc Natl Acad Sci USA、1986、83: 2412〜2416頁 McGrawら(1985)、PNAS、82: 2847頁 N. Eswar、M. A. Marti-Renom、B. Webb、M. S. Madhusudhan、D. Eramian、M. Shen、U. Pieper、A. Sali、「Comparative Protein Structure Modeling With MODELLER」、「Current Protocols in Bioinformatics」、John Wiley & Sons, Inc.、補遺15、5.6.1〜5.6.30、2006
医療技術分野では、血液凝固を増強するのに用いうる医薬がなおも必要とされている。静脈内投与しうるだけでなく、皮下投与など、他の投与経路を介して投与しうる医薬も必要とされている。したがって、低用量で投与される場合でもなお凝固促進的であり、かつ/またはバイオアベイラビリティーが高い抗体などの医薬も必要とされている。さらに、A型血友病、B型血友病、インヒビターを伴うA型血友病、またはインヒビターを伴うB型血友病など、先天性血液凝固障害または後天性血液凝固障害を有する個体を予防的に処置するのに適する抗体などの医薬も必要とされている。より具体的に述べると、それぞれ、A型血友病およびB型血友病を有する個体におけるFVIII活性またはFIX活性の閾値を下げる抗体などの医薬も必要とされている。TFPIに結合することが可能な抗体の特定の範囲内では、GPIアンカー型TFPIプールなど、内皮細胞結合型TFPIの機能には影響を及ぼさない抗体など、全てのTFPIプールに結合するわけではない抗体も必要とされている。より具体的に述べると、血漿中のそれらの半減期との用量直線性を示すTFPI抗体が必要とされている。
本明細書では、医薬として用いるのに適する抗体が開示される。このような抗体は、インヒビターを伴う場合もありこれを伴わない場合もあるA型血友病またはB型血友病を有する個体の生活の質に対して(少なからぬ)実質的な影響を及ぼしうる。
本発明者らは、全長組織因子経路インヒビター(TFPI)のC末端に特異的に結合することが可能なモノクローナル抗体であって、本明細書では、「C末端」が、全長ヒトTFPI(配列番号1)のアミノ酸残基186〜276であるかまたはこれに対応する、TFPIの一部として定義されるモノクローナル抗体を開発した。本発明は、これらの抗体、ならびにこれらの抗体に由来する他の抗体、および/または同様の結合特性を有し、遊離TFPIの活性を調節することが可能な他の抗体に関する。
本発明の抗体は、配列番号1のうちのP186、S187、L190、P192、A193、D194、R195、G196、L197、C198、R199、A200、N201、E202、N203、R204、F205、Y206、Y207、N208、K213、R215、P216、F217、K218、Y219、S220、N225、E226、N227、N228、T230、S231、K232、Q233、E234、L236、R237、K240、K241、G242、F243、I244、Q245、R246、I247、S248、K249、G250、G251、L252、I253、K254、T255、K256、R257、K258、R259、K260、K261、Q262、R263、V264、K265、I266、A267、Y268、E269、E270、I271、F272、V273、K274、N275およびM276からなる群から選択される残基に特異的に結合することが可能でありうる。
本発明の抗体は、配列番号1のうちのP186、S187、L190、P192、A193、D194、R195、G196、L197、C198、R199、A200、N201、E202、N203、R204、F205、Y206、Y207、N208、K213、R215、P216、F217、K218、Y219、S220、N225、E226、N227、N228、T230、S231、K232、Q233、E234、L236およびR237からなる群から選択される残基に特異的に結合することが可能でありうる。
本発明の抗体は、配列番号1のうちのK240、K241、G242、F243、I244、Q245、R246、I247、S248、K249、G250、G251、L252、I253、K254、T255、K256、R257、K258、R259、K260、K261、Q262、R263、V264、K265、I266、A267、Y268、E269、E270、I271、F272、V273、K274、N275、およびM276からなる群から選択される残基に特異的に結合することが可能でありうる。
具体的な一抗体は、配列番号7の重鎖可変領域と、配列番号5の軽鎖可変領域とを含む。別の具体的な抗体は、配列番号9の重鎖可変領域と、配列番号11の軽鎖可変領域とを含む。第3の具体的な抗体は、配列番号13の重鎖可変領域と、配列番号15の軽鎖可変領域とを含む。
本発明はまた、本発明の抗体軽鎖および/または抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドなど、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドも提供する。
本発明はまた、本発明の抗体またはポリヌクレオチドと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、医薬組成物も提供する。
本発明の抗体、ポリヌクレオチド、および組成物はまた、血液凝固障害の治療もしくは予防、または血液凝固の刺激における使用のためにも提供される。すなわち、本発明は、血液凝固障害を治療もしくは予防するか、または血液凝固を刺激する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量または予防有効量の、本発明の抗体、ポリヌクレオチド、または組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
配列表の簡単な説明
配列番号1は、全長ヒトTFPIのアミノ酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号2は、切断型TFPI (1〜239)のアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、切断型TFPI (1〜245)のアミノ酸配列を示す。
配列番号4は、抗TFPI4F110抗体(また、mAb 4F110とも称する)の重鎖可変(VH)ドメインの核酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号5は、抗TFPI4F110抗体の重鎖可変(VH)ドメインのアミノ酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号6は、抗TFPI4F110抗体の軽鎖可変(VL)ドメインの核酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号7は、抗TFPI4F110抗体の軽鎖可変(VL)ドメインのアミノ酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号8は、抗TFPI22F66抗体の重鎖可変(VH)ドメインの核酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号9は、抗TFPI22F66抗体の重鎖可変(VH)ドメインのアミノ酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号10は、抗TFPI22F66抗体の軽鎖可変(VL)ドメインの核酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番11は、抗TFPI22F66抗体の軽鎖可変(VL)ドメインのアミノ酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号12は、抗TFPI22F71抗体の重鎖可変(VH)ドメインの核酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号13は、抗TFPI22F71抗体の重鎖可変(VH)ドメインのアミノ酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号14は、抗TFPI22F71抗体の軽鎖可変(VL)ドメインの核酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号15は、抗TFPI22F71抗体の軽鎖可変(VL)ドメインのアミノ酸配列(シグナルペプチド配列は省く)を示す。
配列番号16は、HC(VHドメイン)を増幅するのに用いられたリバースプライマーの核酸配列を示す。
配列番号17は、TFPI22F66 LCおよびTFPI22F71 LC (VLドメイン)を増幅するのに用いられたリバースプライマーの核酸配列を示す。
配列番号18は、TFPI4F110 LCを増幅するのに用いられたリバースプライマーの核酸配列を示す。
配列番号19は、第VII因子/ 第VIIa因子のアミノ酸配列を示す。
配列番号20は、第VIII因子のアミノ酸配列を示す。
配列番号21は、第IX因子のアミノ酸配列を示す。
配列番号22は、切断型TFPI (1〜240)のアミノ酸配列を示す。
配列番号23は、切断型TFPI (1〜241)のアミノ酸配列を示す。
配列番号24は、切断型TFPI (1〜242)のアミノ酸配列を示す。
配列番号25は、切断型TFPI (1〜243)のアミノ酸配列を示す。
配列番号26は、切断型TFPI (1〜244)のアミノ酸配列を示す。
TF誘導性血栓形成に対する4F110 TFPI抗体の効果を示す図である。凝固時間は、TFの多様な固定濃度(1:7,500、1:15,000、1:30,000に希釈したInnovin (登録商標))および抗体の多様な固定濃度(0.005〜1nM)による希釈PTアッセイにより測定した。 FVIII枯渇血漿における、TF誘導性トロンビン生成に対する4F110抗TFPI抗体の効果を示す図である。10nMの4F110の非存在下および存在下で、10μMのPS/PCを補充してクエン酸処理したFVIII枯渇血漿にInnovin (登録商標) (TFの供給源)を添加して石灰化させることにより、凝固を誘発した。 多様なレベルのrFVIIIを補充したFVIII枯渇血漿における、TF誘導性トロンビン生成に対する4F110抗TFPI抗体の効果を示す図である。10nMの4F110の非存在下および存在下で、10μMのPS/PCを補充してクエン酸処理したFVIII枯渇血漿にInnovin (登録商標) (TFの供給源)を添加して石灰化させることにより、凝固を誘発した。バーは、1nM (平均±SD、n=x)のトロンビン閾値レベルに基づき計算される、対応する遅延時間を示す。 1μl当たりの血小板150,000個を補充したFVIII枯渇血漿における、TF誘導性血栓形成に対する4F110抗TFPI抗体およびrFVIIIの効果を、トロンボエラストグラフィー(TEG)解析により測定したことを示す図である。A.抗TFPI抗体の非存在下で、FVIII枯渇血漿に0.005、0.05、および1.0U/mlのrFVIIIを添加することの効果を示すTEG曲線である。B.抗TFPI抗体の存在下で、FVIII枯渇血漿に0.005、0.05、および1.0U/mlのrFVIIIを添加することの効果を示すTEG曲線である。C.抗体を伴わない場合の曲線についてのR値(凝固時間)をA (白色バー)に示し、抗体を伴う場合の曲線についてのR値(凝固時間)をB (黒色バー)に示す図である。D.抗体を伴わない場合の曲線についてのK値(凝固反応速度)をA (白色バー)に示し、抗体を伴う場合の曲線についてのK値(凝固反応速度)をB (黒色バー)に示す図である。E.抗体を伴わない場合の曲線についての角度値をA (白色バー)に示し、抗体を伴う場合の曲線についての角度値をB (黒色バー)に示す図である。F.抗体を伴わない場合の曲線についてのMA値(最大振幅)をA (白色バー)に示し、抗体を伴う場合の曲線についてのMA値(最大振幅)をB (黒色バー)に示す図である。 TFPI発現細胞系についての蛍光活性化細胞分取(FACS)解析を示す図である。図6でもまた示す通り、2つのC末端モノクローナル抗体は、細胞表面におけるTFPIに結合することが可能でなかった。 4F110、22F66、22F71、22F74、22F79、および22F132と称するC末端TFPI抗体が、切断型TFPI (1〜239)に結合しないかまたは結合しても極めて低度であることを示す図(中央の5つのバー)である。 6つのTFPI抗体(4F110、22F66、22F71、22F132、22F79、22F74)が、右側に列挙したTFPIの異なる切断型に結合することを示す図である。結合は、野生型(wt) TFPIに対する結合(1.0)と対比する。 リン脂質(PS/PC)小胞の存在下における、TFPIによるFVIIa/TF/FXa活性の阻害に対する中和を示す図である。白丸: 4F110;黒丸: 22F66;四角: 22F71;グレー三角: 22F79;白三角: 22F74;グレー菱形: 22F132。 TFPIの構造および多様なTFPIプールについての図解である。
本発明は、組織因子経路インヒビター(TFPI)の「C末端」に結合する抗体など、全長TFPIに特異的に結合することが可能な抗体に関する。このような抗体は、TFPIのC末端ドメインおよび/またはKunitz 3 (K3)ドメインに特異的に結合しうる、すなわち、このような抗体は、TFPIの「C末端」には結合しうるが、TFPIのKunitz 1 (K1)ドメイン、TFPIのKunitz 2 (K2)ドメイン、または他の類似の分子には結合することが可能でない。本発明の抗体は、TFPIのK1ドメインおよび/またはK2ドメインを含むが、K2ドメインに対してC末端側にあるTFPIの部分を欠くTFPI分子には結合することが可能でない。本発明の抗体は、C末端切断型TFPIなど、切断型TFPIには結合することが不可能でありうる。本発明の抗体が結合することが可能でないTFPIの切断形態には、配列番号2のポリペプチド、および配列番号1のアミノ酸1〜161による配列を有するポリペプチドが含まれる。代替的に、抗体は、それらがTFPIのC末端に結合する場合のアフィニティーと比較して低いアフィニティーで、TFPIのK1ドメイン、TFPIのK2ドメイン、または切断型TFPI分子などの他の分子に結合する場合もある。
本明細書で用いられる「TFPI」という用語は、任意の適切な生物に由来しうる、TFPIの任意の天然形態を包含する。例えば、本明細書で説明される使用のためのTFPIは、霊長動物(ヒトなど)、齧歯動物(マウスまたはラットなど)、ウサギ目動物(ウサギなど)、偶蹄目動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、またはラクダなど)に由来するTFPIなど、哺乳動物TFPIなどの脊椎動物TFPIでありうる。TFPIは、ヒトTFPIであることが好ましい。TFPIは、適切な細胞内で翻訳後プロセシングを受けたTFPIタンパク質など、TFPIの成熟形態でありうる。このような成熟TFPIタンパク質は、例えば、グリコシル化される場合がある。TFPIは、全長TFPIタンパク質でありうる。TFPIという用語はまた、このようなTFPI分子の変異体、アイソフォーム、および他の類似体も包含する。変異体TFPI分子は、FXaの触媒活性を中和する能力、またはTF-FVIIa/FXa複合体を阻害する能力など、天然TFPIと同じ種類の活性を有しうる。
本明細書で用いられる「C末端」という用語は、ヒトTFPI (配列番号1)のアミノ酸187に対応するアミノ酸残基に対してC末端側にあるTFPIの任意の部分を指す。具体的に述べると、「C末端」という用語は、TFPIのKunitz 1 (K1)ドメインおよびKunitz (K2)ドメインを除外する。これに対し、「C末端」という用語は、TFPIのKunitz 3 (K3)ドメイン内にあるTFPIの一部(アミノ酸188〜238)、および/またはアミノ酸240〜276を包含するTFPIの一部を包含する。
「遊離TFPI」とは、利用可能な「C末端」を含有するin vivoにおけるTFPIプールである。「遊離TFPI」という用語は、血漿における可溶性のTFPIプールを指す。「遊離TFPI」ではない他のTFPIプールは、GPIアンカー型TFPIおよびリポタンパク質結合型TFPIである。遊離TFPIとは対照的に、これらのTFPIプールは、例えば、抗体への結合に利用可能なC末端を有さない。本発明の抗体は、遊離TFPIには特異的に結合することが可能でありうるが、GPIアンカー型TFPIには特異的には結合することが可能でない場合がある。本発明の抗体は、遊離TFPIには特異的に結合することが可能でありうるが、リポタンパク質結合型TFPIには特異的には結合することが可能でない場合がある。
したがって、本発明は、遊離TFPIの活性を調節することが可能でありうる抗体だけに関する。このような抗体は、凝固時間を短縮する能力を保有しうる。例えば、本発明の抗体は、ヒトFVIII欠損血漿もしくはヒトFIX欠損血漿における凝固時間を短縮する能力を有する場合もあり、ヒト全血液のトロンボエラストグラフィー(TEG)解析において測定される凝固までの時間を短縮する能力を有する場合もある。
本発明の抗体は、それら全てが同じ親細胞のクローンである、同一の免疫細胞により作製されるという意味で、モノクローナル抗体でありうる。本発明の抗体は、実施例で説明される方法を用いて、生成させ、スクリーニングし、精製することが可能である。本発明の抗体はまた、ファージディスプレイまたは酵母ディスプレイなど、当業者に知られている他の方法により生成させることもできる。生成すると、抗体は、例えば、実施例で説明される方法を用いて、全長TFPI、切断型TFPI (1〜161)、切断型TFPI (1〜239)、切断型TFPI (1〜240)、切断型TFPI (1〜241)、切断型TFPI (1〜242)、切断型TFPI (1〜243)、切断型TFPI (1〜244)、切断型TFPI (1〜245)、および切断型TFPI (1〜246)に対する結合についてスクリーニングすることができる。
本明細書における「抗体」という用語は、抗原またはその一部に特異的に結合することが可能な生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来するタンパク質を指す。この用語は、任意のアイソタイプ(すなわち、IgA、IgE、IgG、IgM、および/またはIgY)の全長抗体、ならびにこれらの任意の単鎖を包含する。
本明細書で言及される「抗体」という用語は、全抗体および任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)またはこれらの単鎖を包含する。抗体とは、ジスルフィド結合により相互連結されている少なくとも2つの重鎖(HC)および少なくとも2つの軽鎖(LC)を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)と、重鎖定常領域(CH)とを含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)と、軽鎖定常領域(CL)とを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称するより保存的な領域を散在させた、相補性決定領域(CDR)と称する超可変領域へとさらに細分することができる。抗体の定常領域は、免疫系の多様な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的な補体系の第1成分(C1q)を含めた、宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介しうる。
本発明の抗原結合断片の例には、Fab、Fab'、F(ab)2、F(ab')2、F(ab)S、Fv (典型的には、抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメイン)、単鎖Fv (scFv;例えば、Birdら、Science、1988、242:423〜426頁;およびHustonら、PNAS、1988、85: 5879〜5883頁を参照されたい)、dsFv、Fd (典型的には、VHドメインおよびCH1ドメイン)、ならびにdAb (典型的には、VHドメイン)断片; VHドメイン、VLドメイン、VhHドメイン、およびV-NARドメイン; VH単鎖およびVL単鎖を含む一価分子;ミニボディー、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、およびカッパボディー(例えば、Illら、Protein Eng、1997、10:949〜57頁を参照されたい);ラクダIgG; IgNAR;ならびに1もしくは複数の単離CDRまたは機能的パラトープ(この場合、単離CDRまたは抗原結合残基もしくは抗原結合ポリペプチドは、機能的な抗体断片を形成するように、一体に会合するかまたは連結される)が含まれる。抗体断片の多様な種類については、例えば、HolligerおよびHudson、Nat Biotechnol、2005、2S: 1126〜1136頁; WO2005040219、ならびに米国特許出願公開第20050238646号および同第20020161201号において説明または総説されている。
抗体の「Fab」断片および「F(ab')2」断片を含めた「Fab断片」は、抗体の重鎖を連結するヒンジシステイン残基に対してN末端側またはC末端側のヒンジ領域において重鎖を切断することにより、前記抗体から誘導する。「Fab」断片は、軽鎖の可変ドメインおよび定常ドメインと、重鎖の可変ドメインおよび第1の定常ドメイン(CH1)とを包含する。「F(ab')2」断片は、一般に、それらのヒンジシステインにより共有結合された「Fab」断片の対を含む。Fab'は、形式的には、F(ab')2において重鎖を連結するヒンジジスルフィド結合を切断することにより、F(ab')2断片から得られる。当技術分野ではまた、抗体断片のジスルフィド結合以外の化学結合も知られている。Fab断片は、親抗体がその抗原に結合する能力を、潜在的により低いアフィニティーで保持している。F(ab')2断片が、二価結合を可能とするのに対し、Fab断片およびFab'断片は、一価で結合しうる。一般に、Fab断片は、CH2定常ドメインおよびCH3定常ドメイン、すなわち、Fc受容体との相互作用が生じるFc部分を欠いている。したがって、Fab断片は一般に、エフェクター機能を欠いている。Fab断片は、当技術分野で知られている方法により生成させることができ、抗体を酵素的に切断することにより、例えば、パパインを用いてFabを得るか、またはペプシンを用いてF(ab')2を得ることもでき、当業者によく知られている技法を用いて、組換えによりFab断片を生成させることもできる。
「Fv」断片とは、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含有する抗体断片であり、例えば、単鎖可変ドメイン断片(scFv)における、共有結合的な性質でありうる随伴状態にある、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインによる二量体を一般に含む。各可変ドメインの3つずつの超可変領域が相互作用して、VH-VL二量体の表面において抗原結合部位を規定するのは、この立体構成においてである。集合的に、これらの6つの超可変領域またはこれらのサブセットが、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、抗原に対して特異的な3つの超可変領域だけを含む、単一の可変ドメインであっても、通常は、全結合部位より低いアフィニティーにおいてではあるが、抗原を認識しこれに結合する能力を有する(CaiおよびGaren、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93: 6280〜6285頁、1996)。例えば、重鎖可変ドメイン(VHH)だけを有する天然のラクダ科動物抗体も、抗原に結合しうる(Desmyterら、J. Biol. Chem.、277: 23645〜23650頁、2002; Bondら、J. Mol. Biol. 2003、332: 643〜655頁)。
「単鎖Fv」抗体断片または「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含むが、この場合、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、scFvが、抗原に対する結合に所望の構造を形成することを可能とする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの総説については、Pluckthun、1994、「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies」、113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag, New York, 269〜315頁を参照されたい。
「ダイアボディー」という用語は、2つの抗原結合部位を伴う低分子の抗体断片であって、同じポリペプチド鎖(VHおよびVL鎖)において、軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む断片を指す。同じ鎖において2つの可変ドメイン間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを用いることにより、これらの可変ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合することを余儀なくされ、2つの抗原結合部位を創出する。ダイアボディーは、例えば、EP404,097; WO93/11161;およびHollingerら、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90: 6444〜6448頁においてより完全に説明されている。
「直鎖状抗体」という表現は、Zapataら、1995、Protein Eng.、8(10): 1057〜1062頁において説明される抗体を指す。略述すると、これらの抗体は、相補的な軽鎖ポリペプチドと併せて、抗原結合領域の対を形成する、タンデムのFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)の対を含有する。直鎖状抗体は、二重特異性の場合もあり、単一特異性の場合もある。
本明細書で用いられる「モノボディー」という用語は、重鎖可変ドメインを伴うが、軽鎖可変ドメインは伴わない、抗原結合分子を指す。モノボディーは、軽鎖の非存在下において抗原に結合することが可能であり、3つの超可変領域、例えば、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3と称するCDRを有することが典型的である。重鎖IgGモノボディーでは、2つの重鎖抗原結合分子が、ジスルフィド結合により連結されている。重鎖可変ドメインは、1または複数の超可変領域、好ましくはCDRH3領域またはHVL-H3領域を含む。
抗体断片は、従来の組換え法またはタンパク質操作法を用いて得ることができ、これらの断片は、完全抗体と同じ方法で、全長TFPI、切断型TFPI (1〜161)、切断型TFPI (1〜239)、切断型TFPI (1〜240)、切断型TFPI (1〜241)、切断型TFPI (1〜242)、切断型TFPI (1〜243)、切断型TFPI (1〜244)、切断型TFPI (1〜245)、および切断型TFPI (1〜246)に対する結合についてスクリーニングすることができる。
本発明の抗体断片は、切断により、例えば、1または複数のアミノ酸を、ポリペプチドのN末端および/またはC末端から除去することにより作製することができる。断片はまた、1または複数の内部欠失により生成させることもできる。
本発明の抗体は、MuTFPI4F110抗体、MuTFPI22F66抗体、MuTFPI22F71抗体、MuTFPI 22F74抗体、MuTFPI 22F79抗体、MuTFPI 22F132抗体の断片、またはこれらの抗体のうちのいずれか1つの変異体の場合もあり、これを含む場合もある。本発明の抗体は、これらの抗体のうちの1つの抗原結合部分またはその変異体の場合もあり、これらを含む場合もある。例えば、本発明の抗体は、これらの抗体のうちの1つまたはその変異体によるFab断片の場合もあり、これらの抗体のうちの1つまたはその変異体に由来する単鎖抗体の場合もある。
MuTFPI4F110抗体は、配列番号5に示される可変重鎖配列と、配列番号7に示される可変軽鎖配列とを有する。本発明の抗体は、この可変重鎖配列および/またはこの可変軽鎖配列を含みうる。MuTFPI4F110抗体とは、配列番号5のアミノ酸残基31〜35、50〜66、および99〜107、ならびに配列番号7のアミノ酸残基24〜34、50〜56、および89〜97において示されるCDR配列を有する。本発明の抗体は、これらのCDR配列のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ全てを含みうる。本発明の抗体は、配列番号5のアミノ酸残基99〜107を含みうる。
MuTFP22F66抗体は、配列番号9に示される可変重鎖配列と、配列番号11に示される可変軽鎖配列とを有する。本発明の抗体は、この可変重鎖配列および/またはこの可変軽鎖配列を含みうる。MuTFP22F66抗体とは、配列番号9のアミノ酸残基31〜35、50〜66、および99〜106、ならびに配列番号11のアミノ酸残基24〜33、49〜55、および88〜96において示されるCDR配列を有する。本発明の抗体は、これらのCDR配列のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ全てを含みうる。本発明の抗体は、配列番号9のアミノ酸残基99〜106を含みうる。
MuTFP22F71抗体は、配列番号13に示される可変重鎖配列と、配列番号15に示される可変軽鎖配列とを有する。本発明の抗体は、この可変重鎖配列および/またはこの可変軽鎖配列を含みうる。MuTFP22F71抗体とは、配列番号13のアミノ酸残基31〜35、50〜66、および99〜111、ならびに配列番号15のアミノ酸残基24〜38、54〜60、および93〜101において示されるCDR配列を有する。本発明の抗体は、これらのCDR配列のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ全てを含みうる。本発明の抗体は、配列番号13のアミノ酸残基99〜111を含みうる。
本発明の抗体は、ヒト抗体の場合もあり、ヒト化抗体の場合もある。本明細書で用いられる「ヒト抗体」という用語は、フレームワーク領域およびCDR領域のいずれもが、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を包含することを意図する。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、この定常領域もまた、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroにおけるランダム突然変異誘発もしくは部位特異的突然変異誘発により、またはin vivoにおける体細胞突然変異により導入される突然変異)を包含しうる。しかし、本明細書で用いられる「ヒト抗体」という用語は、マウスなど、別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列を、ヒトフレームワーク配列へと移植した抗体を包含することを意図しない。
このようなヒト抗体は、ヒトモノクローナル抗体でありうる。このようなヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合させた、ヒト重鎖導入遺伝子と、ヒト軽鎖導入遺伝子とを含むゲノムを有する、非ヒトトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニックマウス、トランスジェニックラット、またはトランスジェニックウサギから得られるB細胞を包含する、ハイブリドーマにより生成させることができる。
ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の配列を選択することに基づいて構築され、天然および合成の配列多様性によりさらに多様化させた配列ライブラリーから単離することができる。
ヒト抗体は、in vitroにおいてヒトリンパ球を免疫化した後で、これらのリンパ球を、エプスタイン-バーウイルスで形質転換することにより調製することができる。
「ヒト抗体誘導体」という用語は、ヒト抗体の任意の改変形態、例えば、抗体と別の作用剤または別の抗体とのコンジュゲートを指す。
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列(CDR領域)を含有する、ヒト/非ヒトキメラ抗体を指すことを意図する。したがって、ヒト化抗体とは、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の特異性、アフィニティー、および能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長動物などに由来する非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFR残基が、対応する非ヒト残基で置換されている。このような修飾の例は、1または複数のいわゆる復帰突然変異の導入である。
「ヒト化抗体誘導体」という用語は、抗体と別の作用剤または別の抗体とのコンジュゲートなど、ヒト化抗体の任意の改変形態を指す。
さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、ドナー抗体にも見出されない残基を含みうる。これらの修飾は、抗体の効能をさらに洗練する目的で行う。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループのうちの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR残基のうちの全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のFR残基である、少なくとも1つであり、典型的には2つの可変ドメインのうちの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、場合によって、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFcのうちの少なくとも一部も含みうる。
抗体の「結晶化可能断片」領域(「Fc領域」/「Fcドメイン」)とは、CH2定常ドメインおよびCH3定常ドメインを含む、抗体のN末端領域である。Fcドメインは、Fc受容体と呼ばれる細胞表面受容体、ならびに一部の補体系タンパク質と相互作用しうる。Fc領域は、抗体が免疫系と相互作用することを可能とする。本発明の一態様では、抗体を、Fc領域内に修飾を包含するように、典型的には、とりわけ、血清半減期、補体結合、Fc受容体の結合、タンパク質の安定性、および/もしくは抗原依存性細胞傷害作用、またはこれらの欠如など、その機能的特性のうちの1または複数を変化させるように操作することができる。さらに、本発明の抗体は、化学修飾(例えば、1または複数の化学的部分を、抗体に結合させることができる)することもでき、ここでもまた、抗体の1または複数の機能的特性を変化させるように、そのグリコシル化を変化させるように修飾することもできる。修飾Fcドメインは、以下の、結果として、それぞれ、特定のFc受容体に対するアフィニティーを低減する突然変異(L234A、L235E、およびG237A)、およびC1qを介する補体結合を低減する突然変異(A330SおよびP331S)のうちの1または複数、および、おそらく全てを含む(残基の番号付けは、EU指数に従う)ことが好ましい。
一態様では、本発明の抗体を、Fc領域内に修飾を包含するように、典型的には、血清半減期、補体結合、Fc受容体の結合、タンパク質の安定性、および/もしくは抗原依存性細胞傷害作用、またはこれらの欠如など、その機能的特性のうちの1または複数を変化させるように操作することができる。さらに、本発明の抗体は、化学修飾(例えば、1または複数の化学的部分を、抗体に結合させることができる)することもでき、ここでもまた、抗体の1または複数の機能的特性を変化させるように、そのグリコシル化を変化させるように修飾することもできる。
本発明の抗体のアイソタイプは、IgG1など、IgG2など、IgG4などのIgGでありうる。所望の場合は、既知の技法により、抗体のクラスを「スイッチ」ことができる。例えば、元はIgM分子として生成させた抗体を、IgG抗体へとクラススイッチすることができる。クラススイッチング法はまた、1つのIgGサブクラスを、別のIgGサブクラスへと、例えば、IgG1からIgG2もしくはIgG4へと、IgG2からIgG1もしくはIgG4へと、またはIgG4からIgG1もしくはIgG2へと転換するのに用いることもできる。異なるIgGサブクラスに由来する領域を組み合わせることにより、定常領域のキメラ分子を生成させる抗体の操作もまた、実施することができる。
一実施形態では、CH1のヒンジ領域を、ヒンジ領域におけるシステイン残基の数を変化させる、例えば、増加させるかまたは減少させるように修飾する。この手法は、例えば、Bodmerらによる米国特許第5,677,425号においてさらに説明されている。
定常領域をさらに修飾して、抗体を安定化させる、例えば、二価抗体が2つの一価VH-VL断片へと分離する危険性を低減することもできる。例えば、IgG4の定常領域において、残基S241をプロリン(P)残基へと突然変異させ、ヒンジにおいて完全なジスルフィド架橋を形成させることができる(例えば、Angalら、Mol Immunol. 199S、30: 105〜8頁を参照されたい)。
本発明の抗体は、TFPIに結合する能力を有する。本発明の抗体は、TFPIのC末端に特異的に結合することが可能であることが好ましい。すなわち、本発明の抗体は、それがTFPIのK1ドメイン、TFPIのK2ドメイン、または別の分子に結合する場合のアフィニティーより大きな結合アフィニティーで、TFPIのC末端に結合することが可能である。
本発明の抗体の標的分子は、天然TFPI分子、完全成熟TFPI分子、または全長TFPI分子など、本明細書で説明される任意のTFPI分子でありうる。TFPI分子は、in vivoで存在する形態でありうる。標的分子は、in vivoの血漿中に存在する形態のTFPIでありうる。本発明の抗体は、TFPIの多様な天然形態を識別することが可能であり、ある形態には結合するが、他の形態には結合しない。例えば、本発明の抗体は、K3ドメインおよび/またはカルボキシ末端ドメインを含まない、TFPIの天然の切断形態には結合することが可能でない。しかし、標的分子は、K3ドメインおよび/またはカルボキシ末端を含む、切断型TFPI分子でありうる。標的分子は、TFPI分子の変異体の場合もあり、TFPI分子の断片の場合もある。標的分子は、配列番号1のアミノ酸配列、またはその断片もしくは他の変異体からなる場合もあり、これを含む場合もある。標的分子は、本明細書で説明されるエピトープなど、抗体に対する結合に適するエピトープを含む。
標的分子は、TFPIのK3ドメインまたはC末端など、TFPIまたはTFPIの特定の領域のうちの、5つ以上、10以上、15以上、20以上、25以上、または30以上の表面結合可能残基を含みうる。表面結合可能残基とは、40%を超える相対結合可能性を有する残基である。
当技術分野では、表面結合可能性を測定する方法がよく知られており、1971年のLeeおよびRichards [B. LeeおよびF.M. Richards、「The Interpretation of Protein Structures: Estimation of Static Accessibility」、J. Mol. Biol. 55、379〜400頁(1971)]により初めて説明された。表面結合可能性は、例えば、X線構造または相同性により構築された構造に由来する原子座標を用いる、Accelrys Inc.製のコンピュータプログラムであるQuanta 2005を用いて計算することができる。
本明細書では、「結合アフィニティー」という用語を、2つの分子、例えば、抗体またはその断片と、抗原との非共有結合的な相互作用の強度の測定値として用いる。「結合アフィニティー」という用語は、一価の相互作用(内在的活性)を記述するのに用いられる。
一価の相互作用を介する、2つの分子、例えば、抗体またはその断片と、抗原との間の結合アフィニティーは、解離定数または結合定数(KD)を決定することにより定量化することができる。KDは、例えば、SPR法(Biacore)を介して、複合体の形成および解離の反応速度を測定することにより決定することができる。一価の複合体の会合および解離に対応する速度定数を、それぞれ、会合速度定数ka (またはkon)および解離速度定数kd (またはkoff)と称する。KDは、式KD =kd/kaにより、kaおよびkdと関係づけられる。
上記の定義に従い、異なる分子間相互作用と関連する結合アフィニティー、例えば、所与の抗原に対する異なる抗体の結合アフィニティーの比較は、個別の抗体/抗原複合体のKD値を比較することにより比較することができる。
同様に、相互作用の特異性は、対象の相互作用についてのKD値、例えば、抗体と抗原との特異的相互作用を決定し、対象でない相互作用についてのKD値と比較することにより評価することができる。
標的との関連における抗体のKDは、環境における非類縁物質または付随物質など、他の標的以外の分子との関連におけるKDの2分の1、好ましくは5分の1、より好ましくは10分の1であることが典型的である。KDは、100分の1または200分の1など、50分の1であることがより好ましく、1,000分の1または10,000分の1など、500分の1であることがなおより好ましい。
結合定数の値は、よく知られている方法により直接決定することができ、例えば、Caceciら(Byte 9: 340〜362頁、1984)において示されている方法などの方法により、複雑な混合物についてもなお計算することができる。例えば、KDは、WongおよびLohman (Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90、5428〜5432頁、1993)により開示されているアッセイなど、二重フィルターであるニトロセルロースフィルターによる結合アッセイを用いて確立することができる。当技術分野では、例えば、ELISA解析、ウェスタンブロット解析、RIA解析、およびフローサイトメトリー解析を含め、抗体などのリガンドが標的と結合する能力を評価する他の標準的なアッセイが知られている。抗体の結合反応速度および結合アフィニティーはまた、表面プラズモン共鳴(SPR)など、当技術分野で知られている標準的なアッセイにより、例えば、Biacore (商標)システムによっても評価することができる。
標的に対する抗体の結合を、別の抗体など、この標的の別のリガンドによる標的に対する結合と比較する、競合的結合アッセイを実施することができる。50%の阻害が生じる濃度は、Kiとして知られている。理想的な条件下では、Kiが、KDと同等である。Ki値は、KDより小さくならないので、Kiの測定値でKDの上限を示すように代置することができて簡便である。
本発明の抗体がその標的に対して示すKDは、1×10-7M以下、1×10-8M以下、または1×10-9M以下、または1×10-10M以下、1×10-11M以下、または1×10-12M以下でありうる。本発明の抗体のKDは、0.7nM未満など、0.6nM未満など、0.5nM未満など、0.4nM未満など、0.3nM未満など、0.2nM未満など、0.1nM未満など、0.05nM未満など、0.025nM未満など、0.015nM未満など、0.10nM未満など、0.8nM未満でありうる。
その標的に特異的に結合する抗体は、高アフィニティーで、すなわち、上記で論じた通り、低値のKDを示してその標的に結合することが可能であるが、他の標的以外の分子には低アフィニティーで結合しうる。例えば、抗体は、1×10-6M以上、より好ましくは1×10-5M以上、より好ましくは1×10-4M以上、より好ましくは1×10-3M以上、なおより好ましくは1×10-2M以上のKDで標的以外の分子に結合しうる。本発明の抗体は、別の標的以外の分子に対するその結合アフィニティーの少なくとも2倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍、または10,000倍以上のアフィニティーでその標的に結合することが可能であることが好ましい。
本発明の抗体は、TFPIによるFVIIa/TF/FX複合体の阻害を中和することが可能でありうる。
本発明の抗体は、対象における遊離TFPIの百分率が、30%未満など、29%未満など、28%未満など、27%未満など、26%未満など、25%未満など、24%未満など、23%未満など、22%未満など、21%未満など、20%未満など、19%未満など、18%未満など、17%未満など、16%未満など、15%未満など、14%未満など、13%未満など、12%未満など、11%未満など、10%未満など、9%未満など、8%未満など、7%未満など、6%未満など、5%未満など、4%未満など、3%未満など、2%未満など、1%未満など、1%〜0%など、50%未満まで低減されるように、TFPIに結合することが可能でありうる。
本明細書で用いられる場合の「相補性決定領域(「CDR」)」、または「超可変領域」という用語は、抗原に対する結合の一因となる抗体のアミノ酸残基を指す。CDRは一般に、軽鎖可変ドメインにおけるアミノ酸残基24〜34 (L1)、50〜56 (L2)、および89〜97 (L3)と、重鎖可変ドメインにおける31〜35 (H1)、50〜65 (H2)、および95〜102 (H3)とを含み(Kabatら(1991)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication第91-3242号)、かつ/または「超可変ループ」(軽鎖可変ドメインにおける残基26〜32 (L1)、50〜52 (L2)、および91〜96 (L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける残基26〜32 (H1)、53〜55 (H2)、および96〜101 (H3); ChothiaおよびLesk、J. Mol. Biol、1987、196: 901〜917頁)に由来する残基を含む。典型的には、この領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabatら、前出において説明されている方法により実施される。本明細書における「Kabat位置」、「Kabat残基」、および「Kabatによる」などの語句は、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインについてのこの番号付けシステムを指す。Kabatによる番号付けシステムを用いると、ペプチドの実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのフレームワーク(FR)またはCDRの短縮またはこれらへの挿入に対応する、より少ないアミノ酸を含有する場合もあり、追加のアミノ酸を含有する場合もある。例えば、重鎖可変ドメインは、CDR H2の残基52の後にアミノ酸の挿入(Kabatによる残基52a、52b、および52c)を包含する場合があり、重鎖FRの残基82の後に挿入される残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、および82cなど)を包含する場合がある。所与の抗体についてのKabatによる残基の番号付けは、「標準的な」Kabat番号付けがなされた配列による、抗体配列の相同性領域における配列決定により決定することができる。
「フレームワーク領域」残基または「FR」残基という用語は、本明細書で定義される通り、CDR内に存在しないVHアミノ酸残基またはVLアミノ酸残基を指す。
本発明の抗体は、配列番号5、7、9、11、13、または15内に由来するCDR領域など、本明細書で開示される特異的な抗体のうちの1または複数に由来するCDR領域を含みうる。本発明の抗体の軽鎖内のCDR配列は、配列番号7のアミノ酸24〜34、50〜56、および89〜97、配列番号11のアミノ酸24〜33、49〜55、および88〜96、配列番号15のアミノ酸24〜38、54〜60、および93〜101において同定することができる。本発明の抗体の重鎖内のCDR配列は、配列番号5のアミノ酸31〜35、50〜66、および99〜107、配列番号9のアミノ酸31〜35、50〜66、および99〜106、配列番号13のアミノ酸31〜35、50〜66、および99〜111において同定することができる。
本発明の抗体は、これらのCDR配列のうちの任意の1または複数を含みうる。本発明の抗体は、本明細書で説明される抗体のうちの1つのCDR3重鎖配列、例えば、配列番号5のアミノ酸99〜107、配列番号9のアミノ酸99〜106、または配列番号13のアミノ酸99〜111を含みうる。本発明の抗体は、上記の配列番号5および配列番号7により示されるCDRアミノ酸、上記の配列番号9および配列番号11により示されるCDRアミノ酸、または上記の配列番号13および配列番号15により示されるCDRアミノ酸など、本明細書で説明される特異的な抗体のうちの1つに由来する6つのCDR全てを含みうる。
本明細書で用いられる「エピトープ」という用語は、「抗原結合ポリペプチド」(Ab)と、その対応する「抗原」(Ag)との分子間相互作用の文脈で定義される。抗原(Ag)という用語は、免疫応答性の脊椎動物を免疫化して、Agを認識する抗体(Ab)を生成させるのに用いられる分子実体を指す。本明細書では、Agをより広義で用い、一般に、Abにより特異的に認識される標的分子を包含することを意図し、したがって、Abを発生させるための免疫化工程において用いられる分子の断片または模倣体を包含する。したがって、TFPIのC末端に結合するAbについては、全長TFPI、切断型TFPI、およびTFPIのC末端部分を含むTFPIの他の変異体のいずれもAgと称する。
一般に、「エピトープ」という用語は、Abが特異的に結合する、Agにおける領域(areaまたはregion)、すなわち、Abと物理的に接触する領域(areaまたはregion)を指す。タンパク質のエピトープは、Abに対する結合に直接関与するAg内のアミノ酸残基(また、エピトープの免疫優勢成分とも呼ばれる)と、Abにより効果的に遮断されるAgのアミノ酸残基など、結合に直接は関与しない他のアミノ酸残基(言い換えれば、このアミノ酸残基は、「溶媒を除外した表面」および/またはAbの「フットプリント」内にある)とを含みうる。本明細書におけるエピトープという用語は、別段に言及しない限りにおいて、本発明による抗TFPI抗体または別の「C末端」特異的作用剤に特異的に結合する、TFPIのK3ドメインまたはC末端ドメインの任意の特定の領域における、いずれの種類の結合部位も包含する(例えば、文脈によって、本発明は、特定のアミノ酸残基に直接結合する抗体に関する)。「C末端」は、多数の異なるエピトープを含むことが可能であり、これらには、限定なしに述べると、(1)直鎖状ペプチド抗原決定基、(2)成熟C末端の立体構成において互いに近接して位置する1または複数の不連続アミノ酸からなる、立体配座抗原決定基、(3)全体または部分において、炭水化物基などの「C末端」に共有結合した分子構造からなる、翻訳後抗原決定基が含まれうる。
所与の抗体(Ab)/抗原(Ag)対についてのエピトープは、多様な実験および計算によるエピトープマッピング法を用いて、異なるレベルの詳細において定義および特徴づけすることができる。実験法には、突然変異誘発、X線結晶構造解析、核磁気共鳴(NMR)分光法、水素重水素交換質量分析(HX-MS)、および多様な競合的結合法が含まれる。各方法は、固有の原理に依拠するので、エピトープについての記述は、それを決定する方法と緊密に結びついている。したがって、所与のAb/Ag対についてのエピトープは、用いられるエピトープマッピング法に応じて、異なる形で定義される。
そのもっとも詳細なレベルでは、AgとAbとの相互作用についてのエピトープを、Ag-Ab間相互作用において存在する原子の接触を定義する空間座標によるほか、結合の熱力学に対するそれらの相対的な寄与についての情報によっても定義することができる。それほど詳細でないレベルでは、エピトープを、AgとAbとの間の原子の接触を定義する空間座標により特徴づけることができる。さらにそれほど詳細でないレベルでは、エピトープを、特定の基準、例えば、AbおよびAgにおける原子間の距離により定義される、それが含むアミノ酸残基により特徴づけることができる。さらにそれほど詳細でないレベルでは、エピトープを、関数を介して、例えば、他のAbとの競合的結合を介して特徴づけることができる。エピトープはまた、より一般的に、別のアミノ酸により置換すると、AbとAgとの間の相互作用の特徴が変化するアミノ酸残基を含むものとして定義することもできる。
本明細書の、Ab、例えば、Fab断片と、そのAgとの間の複合体の空間座標により定義される、X線により導出される結晶構造の文脈では、エピトープという用語を、別段に指定されない限り、または文脈により矛盾しない限り、重原子(すなわち、水素以外の原子)が、Ab内の重原子から3Åなど、4Åなど、5Åなど、2〜6Å以内の距離にあることを特徴とする、K3残基またはC末端残基として具体的に定義することができる。
用いられるエピトープマッピング法に応じて、エピトープの記述および定義が異なる詳細さのレベルで得られるという事実から、同じAgに対する異なるAbについてのエピトープの比較も同様に、異なる詳細さのレベルで実施しうることになる。
アミノ酸残基のレベルで記述されるエピトープ、例えば、X線構造から決定されるエピトープは、同じアミノ酸残基のセットを含有する場合に同一であるという。エピトープは、これらのエピトープにより少なくとも1つのアミノ酸残基が共有される場合にオーバーラップするという。エピトープは、これらのエピトープにより共有されるアミノ酸残基が存在しない場合に個別(固有)であるという。
競合的結合を特徴とするエピトープは、対応するAbの結合が相互に排除的である場合、すなわち、1つのAbが他のAbの同時的な結合を排除する場合にオーバーラップするという。エピトープは、Agが対応するいずれのAbに対する結合も同時に可能とする場合に個別(固有)であるという。
「パラトープ」という用語の定義は、視点を逆転させることにより、「エピトープ」についての上記の定義から導出される。したがって、「パラトープ」という用語は、Agが特異的に結合する、Abにおける領域(areaまたはregion)、すなわち、それがAgに対して物理的に接触するAbにおける領域(areaまたはregion)を指す。
本明細書の、Ab、例えば、Fab断片と、そのAgとの間の複合体の空間座標により定義される、X線により導出される結晶構造の文脈では、パラトープという用語を、別段に指定されない限り、または文脈により矛盾しない限り、重原子(すなわち、水素以外の原子)が、C末端ドメイン内の重原子から3Åなど、4Åなど、5Åなど、2〜6Å以内の距離にあることを特徴とする、Ab残基として具体的に定義することができる。
所与の抗体(Ab)/抗原(Ag)対についてのエピトープおよびパラトープは、日常的な方法により同定することができる。例えば、エピトープの一般的な位置は、抗体が、異なる断片または変異体のTFPIポリペプチドに結合する能力を評価することにより決定することができる。抗体と接触するTFPI内の特異的なアミノ酸(エピトープ)、およびTFPIと接触する抗体内の特異的なアミノ酸(パラトープ)もまた、例において説明される方法などの日常的な方法を用いて決定することができる。例えば、抗体と標的分子とを混合し、Ab/Ag複合体を結晶化させることができる。複合体の結晶構造を決定し、これを用いて、抗体とその標的との特異的な相互作用部位を同定することができる。
本発明による抗体は、本明細書で具体的に開示されている本発明の抗体と同じTFPIのエピトープ、ドメイン、または部分に結合しうる。例えば、いまだ同定されていない本発明の他の抗体は、それらのTFPIに対する結合を、モノクローナル抗体であるMuTFPI4F110、MuTFPI22F66、およびMuTFPI22F71による結合と比較することにより同定することもでき、いまだ同定されていない抗体の機能を、MuTFPI4F110、MuTFPI22F66、およびMuTFPI22F71の機能と比較することにより同定することもできる。このような同定を目的として用いられうる解析およびアッセイには、FXa阻害アッセイなどのTFPI中和アッセイ、ELISA、および例において説明される結合相互作用解析が含まれる。
本発明の抗体は、全長TFPIのC末端内の6〜10アミノ酸残基、または16〜21アミノ酸残基など、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47アミノ酸残基など、1または複数のアミノ酸残基を含むエピトープに結合することが可能であり、実施例において説明される通りに測定する場合、前記1または複数のアミノ酸残基は、40%を超える相対的結合可能性を有する。したがって、本発明の抗体は、配列番号1のアミノ酸残基186〜187、190、192〜208、213、215〜220、225〜228、230〜234、236〜237、および240〜276からなる群から選択される、6〜10アミノ酸残基、または16〜21アミノ酸残基など、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47アミノ酸残基を含むエピトープに結合しうる。
本発明の抗体は、配列番号1のP186、S187、L190、P192、A193、D194、R195、G196、L197、C198、R199、A200、N201、E202、N203、R204、F205、Y206、Y207、N208、K213、R215、P216、F217、K218、Y219、S220、N225、E226、N227、N228、T230、S231、K232、Q233、E234、L236、R237、K240、K241、G242、F243、I244、Q245、R246、I247、S248、K249、G250、G251、L252、I253、K254、T255、K256、R257、K258、R259、K260、K261、Q262、R263、V264、K265、I266、A267、Y268、E269、E270、I271、F272、V273、K274、N275およびM276からなる群から選択される、6〜10アミノ酸残基、または16〜21アミノ酸残基など、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47アミノ酸残基を含むエピトープに結合しうる。例えば、抗体は、配列番号1のP186、S187、L190、P192、A193、D194、R195、G196、L197、C198、R199、A200、N201、E202、N203、R204、F205、Y206、Y207、N208、K213、R215、P216、F217、K218、Y219、S220、N225、E226、N227、N228、T230、S231、K232、Q233、E234、L236およびR237からなる群から選択される、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26アミノ酸残基を含むエピトープに結合しうる。抗体は、配列番号1のK240、K241、G242、F243、I244、Q245、R246、I247、S248、K249、G250、G251、L252、I253、K254、T255、K256、R257、K258、R259、K260、K261、Q262、R263、V264、K265、I266、A267、Y268、E269、E270、I271、F272、V273、K274、N275およびM276からなる群から選択される、4〜15アミノ酸残基、または6〜10アミノ酸残基など、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26アミノ酸残基を含むエピトープに結合しうる。
本発明の抗体は、TFPI、または本明細書で説明される別の適切な標的に対する結合について、本発明の別の抗体と競合する能力を有しうる。例えば、本発明の抗体は、本明細書で説明される、MuTFPI4F110、MuTFPI22F66、およびMuTFPI22F71として同定される抗体と、TFPI、または、MuTFPI4F110抗体、MuTFPI22F66抗体、およびMuTFPI22F71抗体が結合するTFPIの適切な断片もしくは変異体に対する結合について交差競合しうる。このような交差競合抗体は、標準的な結合アッセイにおいてそれらが本発明の既知の抗体と交差競合する能力に基づいて同定することができる。例えば、Biacore (商標)システムを用いることによるSPRアッセイ、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーを用いて、交差競合を裏付けることができる。このような交差競合は、2つの抗体が、同一のエピトープ、重複するエピトープ、または類似のエピトープに結合することを示唆しうる。
「エピトープビニング」とは、TFPIなどの抗原に同時に結合することが可能であるかまたは可能でない抗体対を同定し、これにより、TFPIの同じエピトープまたはオーバーラップするエピトープに結合する抗体を同定するための競合的結合アッセイの使用を指す。次いで、同じであるかまたはオーバーラップする結合特異性を有する抗体ファミリー(またはビン)を用いて、TFPIにおける特定のエピトープを規定する一助とすることができる。エピトープビニング実験により、抗原的に異なるエピトープが存在するという証拠が提示される。しかし、エピトープビニング実験自体により、エピトープが、TFPIにおける特定のアミノ酸配列または位置に同定または「マップ」されるわけではない。結合についての競合は、任意の抗体または断片の対について評価することができる。抗体ファミリー(またはビン)の好適な特性は、その抗体ビンとの関連で定義される特定のエピトープに対する結合と相関させることができる。
上記で説明した通り、TFPIは血液凝固を下方制御する。TFPIは、この下方制御を、FXaの活性を阻害することにより、およびFXaの存在下でTF-FVIIa複合体を阻害することにより行う。本発明の抗体により阻害されるTFPI活性は、これらの活性のうちのいずれかの場合もあり、またはこれらの任意の下流効果の場合もある。例えば、本発明の抗体は、血液凝固の増大、FXaの存在もしくはレベルの増大、またはTF-FVIIa活性の増大をもたらしうる。本発明の抗体は、(a)ヒトFVIII欠損血漿、または(b)ヒト全血液と接触させた場合の凝固時間を短縮することが好ましい。
TFPI活性の測定は、血液試料中の凝固の阻害または凝固時間の短縮において遊離TFPI活性を評価するステップを含みうる。例えば、このような方法は、凝固が生じる条件下で、TFPIを、血液試料、または血液凝固因子を含む血漿もしくは血清などの血液生成物と接触させるステップと、TFPIの存在により、血液の凝固が阻害されるかどうか、または凝固時間が短縮されるかどうかを決定するステップとを含みうる。次いで、このような試料における血液凝固レベルまたは凝固時間を、被験抗体もまた存在する同等な試料における血液凝固レベルまたは凝固時間と比較することができる。抗体試料において凝固レベルが上昇するか、または凝固時間が短縮される場合、これは、この抗体が、試料中のTFPI活性を阻害していることを示唆する。
血液凝固は、血液自体の凝固、血漿の凝固を追跡することにより検出することもでき、TFPIの作用点に対して下流に存在する凝固カスケードの1または複数の特徴を追跡することにより検出することもできる。例えば、方法は、試料中のFXaレベルまたはTF-FVIIaの活性化レベルを評価することができる。
当技術分野では、血液凝固および凝固時間を評価する他の多様な方法がよく知られている。例えば、抗体の血液凝固時間に対する任意の効果は、例において説明される希釈プロトロンビン時間解析(dPT解析)を用いて評価することができる。略述すると、ヒト血漿を、ヒトトロンボプラスチンと接触させる。血漿が凝固するのに要する時間を、被験抗体の存在下および非存在下で測定する。このような解析では、凝固時間を短縮することが予測される、FVIIa (NovoSeven (登録商標))の添加などの陽性対照を用いることができる。本発明の抗体は、このような方法において、凝固時間を短縮することが可能であるものとする。本発明の抗体は、凝固時間を、用量依存的に短縮することが可能であるものとすることが好ましい。
トロンボエラストグラフィー(TEG)は、FVIII欠損全血液などの全血液試料における血栓形成および線維素溶解の動態を評価するのに用いることができる。したがって、抗体が凝固時間を短縮するか、または血液凝固を刺激する能力は、この抗体の存在下における血栓形成に要する時間と、この抗体の非存在下における血栓形成に要する時間とを比較することにより、全血液試料中でも同様に評価することができる。
したがって、本発明の抗体の機能的効果を評価する方法は、in vitroにおいて実施することができる。このような方法は、ヒト血液試料またはヒト血漿試料に対して実施することが好ましい。このような試料は、正常なヒト血液またはヒト血漿の場合もあり、血液凝固に関与する1または複数の因子を欠損させるかまたはこれらを補充したヒト血液またはヒト血漿の場合もある。例えば、これらの方法は、正常なヒト全血液、正常なヒト血漿、またはFVIII欠損血漿もしくはFVIII欠損全血液を用いて実施することができる。FVIII欠損血液またはFVIII欠損血漿は、適切な血液試料または血漿試料を、抗FVIII中和抗体と接触させることにより生成させることができる。このようなin vitro法は、例において説明される解析など、結合相互作用解析またはTFPI中和解析でありうる。
適切な抗体を同定および選択したら、当技術分野で知られている方法により、抗体のアミノ酸配列を同定することができる。抗体をコードする遺伝子は、特異的プライマーおよび/または縮重プライマーを用いてクローニングすることができる。抗体は、日常的な方法を介して、組換えにより生成させることができる。
本発明はまた、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドにも関する。したがって、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書で説明される任意の抗体をコードしうる。本明細書では、「核酸分子」という用語と、「ポリヌクレオチド」という用語とを互換的に用い、任意の長さのデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドであるヌクレオチドまたはそれらの類似体のポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドの非限定的な例には、遺伝子、遺伝子断片、メッセンジャーRNA (mRNA)、cDNA、組換えポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列による単離DNA、任意の配列による単離RNA、核酸プローブ、およびプライマーが含まれる。本発明のポリヌクレオチドは、単離形態または精製形態で提供することができる。
選択されたポリペプチドを「コード」する核酸配列とは、in vivoにおいて適切な制御配列の制御下に置かれると転写(DNAの場合)され、ポリペプチドへと翻訳(mRNAの場合)される核酸分子である。コード配列の境界は、5' (アミノ)末端における開始コドンおよび3' (カルボキシ)末端における翻訳終止コドンにより決定される。本発明の目的では、このような核酸配列に、ウイルスmRNA、原核生物mRNA、または真核生物mRNAに由来するcDNA、ウイルスまたは原核生物のDNAまたはRNAに由来するゲノム配列、およびまた合成DNA配列が含まれうるがこれらに限定されない。転写終結配列は、コード配列の3'側に位置しうる。
本発明のポリヌクレオチドは、上記で説明したVHまたはVLのアミノ酸配列をコードする配列を含みうる。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号5、7、9、11、13、または15からなる群から選択される配列のうちの任意の1もしくは複数、またはこれらの変異体もしくは断片を含むポリペプチドをコードしうる。
本発明のポリヌクレオチドは、例として述べると、Sambrookら(1989、「Molecular Cloning - a laboratory manual」、Cold Spring Harbor Press)において説明されている通り、当技術分野においてよく知られている方法に従い合成することができる。
本発明の核酸分子は、制御配列、挿入される配列に作動可能に連結されたシグナルペプチド配列を包含し、これにより、in vivoにおいて、本発明の抗体の発現を可能とする、発現カセットの形態で提供することができる。これらの発現カセットは、ベクター(例えば、プラスミドまたは組換えウイルスベクター)内に提供されることが典型的である。このような発現カセットは、宿主対象へと直接投与することができる。代替的に、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを、宿主対象へと投与することもできる。ポリヌクレオチドは、遺伝子ベクターを用いて、調製および/または投与することが好ましい。適切なベクターは、十分な量の遺伝子情報を保有し、本発明のポリペプチドの発現を可能とすることが可能な任意のベクターでありうる。
したがって、本発明は、このようなポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを包含する。このような発現ベクターは、分子生物学の技術分野において日常的に構築され、例えば、プラスミドDNA、ならびに適切なイニシエーター、プロモーター、エンハンサー、シグナルペプチド配列、および例えば本発明のペプチドの発現を可能とするために必要である場合があり、適正な配向性で配置される、ポリアデニル化シグナルなど、他のエレメントの使用を伴いうる。当業者には、他の適切なベクターが明らかであろう。この点におけるさらなる例を目的として、本発明者らは、Sambrookらを参照する。
本発明はまた、本発明の抗体を発現させるために改変された細胞も包含する。このような細胞には、哺乳動物細胞または昆虫細胞など、一過性の、または、好ましくは、安定的な高等真核細胞系、酵母細胞などの下等真核細胞、または細菌細胞などの原核細胞が含まれる。本発明の抗体をコードするベクターまたは発現カセットを挿入することにより改変しうる細胞の具体例には、哺乳動物のHEK293細胞、CHO細胞、BHK細胞、NSO細胞、およびヒト網膜細胞が含まれる。選択される細胞系は、安定的であるだけでなく、また、ポリペプチドの成熟グリコシル化および細胞表面発現も可能とする細胞系であることが好ましい。
別の態様では、本発明は、本明細書で説明される抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、および細胞など、本発明の分子を含む組成物および製剤を提供する。例えば、本発明は、薬学的に許容される担体と併せて調合される、本発明の1または複数の抗体を含む医薬組成物を提供する。
したがって、本発明の1つの目的は、1〜200mg/mlの濃度で存在するこのような抗体を含む医薬製剤であって、pHが2.0〜10.0である製剤を提供する。製剤は、緩衝系、防腐剤、等張剤、キレート化剤、安定化剤、および界面活性剤をさらに含みうる。当業者には、医薬組成物における防腐剤、等張剤、キレート化剤、安定化剤、および界面活性剤の使用がよく知られている。Remington、「The Science and Practice of Pharmacy」、19版、1995を参照することができる。
一実施形態では、医薬製剤が、水性製剤である。このような製剤は、溶液または懸濁液であることが典型的である。「水性製剤」という用語は、少なくとも50% w/wの水を含む製剤として定義される。同様に、「水溶液」という用語は、少なくとも50% w/wの水を含む溶液として定義され、「水性懸濁液」という用語は、少なくとも50% w/wの水を含む懸濁液として定義される。
別の実施形態では、医薬製剤が、凍結乾燥製剤であって、医師または患者が使用前に溶液および/または希釈剤を添加する凍結乾燥製剤である。
さらなる態様では、医薬製剤が、この様な抗体および緩衝液による水溶液を含み、抗体が、1〜200mg/mlの濃度で存在し、前記製剤のpHが、約2.0〜約10.0である。
本発明の抗体または医薬製剤は、血液凝固障害を有する対象を治療するのに用いることができる。
本明細書で用いられる「対象」という用語は、血液凝固障害を有する任意のヒト患者、または非ヒト脊椎動物を包含する。
本明細書で用いられる「治療」という用語は、それを必要とする任意のヒト対象または他の脊椎動物対象に対する医学的治療を指す。前記対象は、前記具体的な治療が、前記ヒトまたは他の脊椎動物の健康に対して有益であることを示す、暫定的または決定的な診断を下した、医師または獣医師による身体診察を受けていることが期待されている。前記治療の時期および目的は、対象の健康状態に応じて、個体によって異なりうる。したがって、前記治療は、予防的な場合もあり、緩和的な場合もあり、対症的な場合もあり、かつ/または治癒的な場合もある。本発明との関連において、予防的治療、緩和的治療、対症的治療、および/または治癒的治療は、本発明の個別の態様を表しうる。
本明細書で用いられる「血液凝固障害」という用語は、正常な凝固カスケードのうちの任意の凝固促進成分の任意の定性的もしくは定量的欠損、または線維素溶解に対する任意の上方制御により引き起こされうる、出血傾向の増大を指す。このような血液凝固障害は、先天性の場合もあり、かつ/または後天性の場合もあり、かつ/または医原性の場合もあり、当業者により同定される。
先天性血液凝固低下障害(hypocoagulopathies)の非限定的な例は、A型血友病、B型血友病、第VII因子欠損症、第XI因子欠損症、フォンウィレブランド病、およびグランツマン血小板無力症およびベルナール-スーリエ症候群などの血小板減少症である。「インヒビター」(すなわち、第VIII因子に対する同種抗体)を伴うA型血友病、および「インヒビター」(すなわち、第IX因子に対する同種抗体)を伴うB型血友病は、部分的に先天性であり、部分的に後天性である、血液凝固障害の非限定的な例である。
後天性血液凝固障害の非限定的な例は、ビタミンK欠損により引き起こされるセリンプロテアーゼ欠損であり、このようなビタミンK欠損は、ワルファリンなどのビタミンKアンタゴニストを投与することにより引き起こされうる。後天性血液凝固障害はまた、広範な外傷後にも生じる場合がある。別途「血液悪循環」としても知られるこの場合の後天性血液凝固障害は、血液希釈(希釈性血小板減少症および凝固因子の希釈)、低体温症、凝固因子の消費、および代謝性攪乱(アシドーシス)を特徴とする。輸液療法および線維素溶解の増大は、この状況を悪化させる。前記出血は、体内の任意の部分から生じうる。
医原性血液凝固障害の非限定的な例は、血栓性疾患を治療するのに処方されうる、ヘパリン、アスピリン、ワルファリン、および他の血小板凝集インヒビターなどの抗凝固薬の過剰投与である。医原性血液凝固障害の第2の非限定的な例は、輸血により誘導されうる血液凝固障害など、過剰および/または不適切な輸液療法により誘導される血液凝固障害である。
本発明の一実施形態では、出血が、A型血友病またはB型血友病と関連する。別の実施形態では、出血が、後天性インヒビターを伴うA型血友病またはB型血友病と関連する。別の実施形態では、出血が、血小板減少症と関連する。別の実施形態では、出血が、フォンウィレブランド病と関連する。別の実施形態では、出血が、重度の組織損傷と関連する。別の実施形態では、出血が、重度の外傷と関連する。別の実施形態では、出血が、手術と関連する。別の実施形態では、出血が、出血性胃炎および/または出血性腸炎と関連する。別の実施形態では、出血が、胎盤早期剥離など、多量の子宮出血と関連する。別の実施形態では、出血が、頭蓋内出血、耳内出血、または眼内出血など、機械的な止血の可能性が制限される器官において生じる。別の実施形態では、出血が、抗凝固療法と関連する。
本発明の抗体または製剤の使用は、それを必要とする対象における血液喪失を著明に低減しうる。前記抗体または製剤の使用は、出血時間を著明に短縮しうる。したがって、本発明はまた、血液凝固障害を有する対象を治療するための、TFPIのC末端に結合することが可能な抗体の使用でもある。さらに、本発明は、それを必要とする対象を、TFPIのC末端に結合することが可能なモノクローナル抗体により治療する方法である。本発明の前記モノクローナル抗体の使用は、一過性の血小板減少症を引き起こすことなく、in vivoにおける凝固時間を短縮することが好ましい。
本発明の抗体は、静脈内投与など、筋肉内投与など、皮下投与など、非経口投与することができる。代替的に、本発明の抗体は、経口経路または局所経路など、非経口経路以外の経路を介して投与することもできる。本発明の抗体は、予防的に投与することができる。本発明の抗体は、治療的に(オンデマンドで)投与することができる。
当技術分野の医師または獣医師は、本発明の抗体の適切な用量を決定することができる。本発明の抗体の適切な用量は、治療される患者の体重1kg当たり約0.1μg〜体重1kg当たり約100mgの範囲内でありうる。
さらに、本発明の抗体は、1または複数の他の治療剤または製剤と共に共投与することもできる。他の作用剤は、第VIIa因子ポリペプチド、第VIII因子ポリペプチド、または第IX因子ポリペプチドなど、止血を増強する作用剤でありうる。他の作用剤は、患者の他の症状または状態を治療することを意図することができる。例えば、他の作用剤は、鎮痛剤の場合もあり、免疫抑制剤の場合もあり、抗炎症剤の場合もある。他の作用剤は、国際特許出願第WO2010072691号において開示されているモノクローナル抗体のうちの1つなどのモノクローナル抗体でありうる。
本発明の抗体と前記1または複数の他の作用剤との共投与は、多くの異なる方法で達成することができる。一実施形態では、本発明の抗体と他の作用剤とを、単一の組成物中に併せて投与することができる。別の実施形態では、本発明の抗体と他の作用剤とを、個別にではあるが、組合せ療法の一部として投与することもできる。例えば、本発明の抗体は、他の作用剤の前に投与することもでき、この後で投与することもでき、これと共時的に投与することもできる。その最も広い意味において、本発明による共投与とは、2つ以上の作用剤が投与される時点に関わりなく、ヒト血液中に本発明の抗体と他の作用剤とが同時に存在することを指す。したがって、本発明の抗体は、外因性のFVIIaポリペプチド、FVIIIポリペプチド、またはFIXポリペプチドと同時に血液中に存在しうる。
本明細書における「第VII(a) 因子」という用語は、切断されていないチモーゲンである第VII因子 (FVII)のほか、切断されており、したがって、活性化したプロテアーゼである第VIIa因子 (FVIIa)も包含する。「第VII(a) 因子」は、個体によっては存在および発生する場合があるFVII(a)の天然の対立遺伝子変異体を包含する。野生型ヒト第VIIa因子の配列は、配列番号19のほか、Proc Natl Acad Sci USA、1986、83: 2412〜2416頁にも示されている。
野生型ヒト凝固第VII(a)因子 (配列番号19):
ANAFLγγLRPGSLγRγCKγγQCSFγγARγIFKDAγRTKLFWISYSDGDQCASSPCQNGGSCKDQLQSYICFCLPAFEGRNCETHKDDQLICVNENGGCEQYCSDHTGTKRSCRCHEGYSLLADGVSCTPTVEYPCGKIPILEKRNASKPQGRIVGGKVCPKGECPWQVLLLVNGAQLCGGTLINTIWVVSAAHCFDKIKNWRNLIAVLGEHDLSEHDGDEQSRRVAQVIIPSTYVPGTTNHDIALLRLHQPVVLTDHVVPLCLPERTFSERTLAFVRFSLVSGWGQLLDRGATALELMVLNVPRLMTQDCLQQSRKVGDSPNITEYMFCAGYSDGSKDSCKGDSGGPHATHYRGTWYLTGIVSWGQGCATVGHFGVYTRVSQYIEWLQKLMRSEPRPGVLLRAPFP
野生型FVIIは、406アミノ酸残基からなり、相同性により定義される4つのドメインからなる。N末端のGlaドメインに続き、2つの上皮成長因子(EGF)様ドメインおよびC末端のセリンプロテアーゼドメインが存在する。FVIIは、単鎖分子として血漿中を循環する。活性化FVII (FVIIa)へと活性化されると、FVII分子は、残基Arg152とIle153との間で切断され、その結果、ジスルフィド結合により一体に保持される二本鎖タンパク質がもたらされる。軽鎖が、GlaドメインおよびEGF様ドメインを含有するのに対し、重鎖は、プロテアーゼドメインである。FVIIaは、その細胞表面共因子である組織因子(TF)に結合して、生物学的に活性となる。
第VII(a) 因子は、よく知られている生成法および精製法を用いて、血漿から誘導することもでき、組換えにより生成させることもできる。グリコシル化、ガンマ-カルボキシル化、および他の翻訳後修飾の程度および位置は、選択される宿主細胞およびその増殖条件に応じて異なりうる。配列番号19では、「γ」(ガンマ)が、ガンマ-カルボキシル化したGlu (「E」)が存在することを表す。本明細書における「第VII(a) 因子ポリペプチド」という用語は、野生型第VIIa因子分子のほか、FVII(a)変異体、FVII(a)誘導体、およびFVII(a)コンジュゲートを指す。このような変異体、誘導体、およびコンジュゲートは、野生型ヒト第VIIa因子と比べて、実質的に同じであるかまたは改善された生物学的活性を示しうる。
本明細書で用いられる「FVII(a)変異体」という用語は、配列番号19の配列を有する因子FVIIであって、親タンパク質のうちの1もしくは複数のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されており、かつ/または親タンパク質のうちの1もしくは複数のアミノ酸が欠失しており、かつ/または1もしくは複数のアミノ酸がタンパク質内に挿入されており、かつ/または1もしくは複数のアミノ酸が親タンパク質に付加されている因子FVIIを指し示すことを意図する。このような付加は、親タンパク質のN末端もしくはC末端、またはこれらの両方において生じうる。この定義の範囲内にある1または複数の「類似体」もやはり、その活性化形態において、FVII活性を有する。一実施形態では、変異体が、配列番号19の配列と少なくとも90%同一である。別の実施形態では、変異体が、配列番号19の配列と少なくとも95%同一である。本明細書で用いられる通り、特定の位置に対する任意の言及は、配列番号19における対応する位置を指す。
組換え野生型ヒト第VII(a) 因子と比較して、タンパク質分解活性が実質的に同じであるかまたは増大しているFVII(a)変異体の非限定的な例には、WO01/83725、WO02/22776、WO02/077218、WO03/027147、WO03/037932、WO04/029090、WO05/024006、ならびにEP051087138、US7173000B2、およびJP4451514B2において開示されている変異体が含まれる。
本明細書で用いられる「FVII(a)誘導体」という用語は、野生型第VIIa因子と比較して、生物学的活性が実質的に同じであるかまたは改善されているFVIIポリペプチドであって、親ペプチドのアミノ酸のうちの1または複数が、アルキル化、グリコシル化、PEG化、アシル化、エステル形成、ジスルフィド結合形成、またはアミド形成など、遺伝子改変および/または化学修飾および/または酵素改変されているFVIIポリペプチドを指し示すことを意図する。
「PEG化ヒト第VII(a) 因子」とは、PEG分子がコンジュゲートされたヒト第VII(a)因子ポリペプチドを指す。このようなPEG分子は、第VIIa因子ポリペプチドのうちの任意のアミノ酸残基または炭水化物部分を含め、第VIIa因子ポリペプチドの任意の部分に結合させることができる。これには、PEG化ヒト第VIIa因子、システイン-PEG化ヒト第VIIa因子、およびこれらの変異体が含まれるがこれらに限定されない。第VII因子誘導体の非限定的な例には、WO03/031464およびWO04/099231およびWO02/077218において開示されている、glycoPEG化FVII(a)誘導体が含まれる。
「システイン-PEG化ヒト第VII(a) 因子」という用語は、PEG分子が、前記ヒト第VIIa因子へと導入されたシステインのスルフヒドリル基にコンジュゲートされている第VII(a) 因子ポリペプチドを指す。
「生物学的活性の改善」という用語は、i)組織因子の存在下および/もしくは非存在下における組換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して、タンパク質分解活性が実質的に同じであるかもしくは増大しているFVII(a)ポリペプチド、またはii)組換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して、TFアフィニティーが実質的に同じであるかもしくは増大しているFVII(a)ポリペプチド、またはiii)組換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して、血漿中の半減期が実質的に同じであるかもしくは延長されているFVII(a)ポリペプチド、またはiv)活性化血小板に対するアフィニティーが実質的に同じであるかもしくは増大しているFVII(a)ポリペプチドを指す。FVIIaポリペプチドの活性は、例えば、例において説明される、in vitroにおける加水分解アッセイ、またはin vitroにおけるタンパク質分解アッセイを用いて調べることができる。
本明細書における「第VIII因子」または「FVIII」とは、内因性の凝固経路のメンバーであり、血液凝固に不可欠である、ヒト血漿糖タンパク質を指す。「天然FVIII」とは、配列番号20 (アミノ酸1〜2332)において示される全長配列に由来するヒトFVIII分子である。本明細書における「第VIII(a) 因子」という用語、および「FVIII(a)」という用語は、FVIIIおよびFVIIIaの両方を包含する。「FVIII(a)」は、個体によっては存在および発生する場合があるFVIII(a)の天然の対立遺伝子変異体を包含する。第VIII(a) 因子は、よく知られている生成法および精製法を用いて、血漿から誘導することもでき、組換えにより生成させることもできる。グリコシル化、チロシン硫酸化、および他の翻訳後修飾の程度および位置は、選択される宿主細胞およびその増殖条件に応じて異なりうる。
第VIII因子 (FVIII)とは、大型の複合体糖タンパク質であり、主に肝細胞により産生される。FVIIIは、シグナルペプチドを含めた2351アミノ酸からなり、相同性により定義される複数の異なるドメインを含有する。3つのAドメイン、単一のBドメイン、および2つのCドメインが存在する。ドメインの順序は、NH2-A1-A2-B-A3-C1-C2-COOHとして列挙することができる。FVIIIは、B-A3境界で分離される2つの鎖として血漿中を循環する。これらの鎖は、二価の金属イオン結合により連結されている。A1-A2-B鎖を重鎖(HC)と称する一方、A3-C1-C2鎖を軽鎖(LC)と称する。小型の酸性領域である、A1鎖のC末端(a1領域)およびA2鎖のC末端(a2領域)およびA3ドメインのN末端(a3領域)は、トロンビン、およびFVIIIのキャリアタンパク質であるフォンウィレブランド因子(vWFまたはVWF)を含めた他の凝固タンパク質とのその相互作用において重要な役割を果たす。
内因性FVIII分子は、多様なサイズのBドメインを伴う分子のプールとしてin vivoにおいて循環し、その最短の分子は、C末端が740位、すなわちA2-a2領域のC末端にある。異なる長さのBドメインを伴うFVIII分子は全て、完全な凝固促進活性を有する。トロンビンにより活性化すると、FVIIIは、372位にあるA1-a1領域のC末端、740位にあるA2-a2領域のC末端、および1689位におけるa3領域とA3鎖との間において切断され、後者の切断によりa3領域が放出され、VWFに対するアフィニティーが同時に失われる。活性化FVIII分子を、FVIIIaと称する。活性化は、FVIIIaが、活性化血小板および活性化第IX因子 (FIXa)様のリン脂質表面と相互作用することを可能とする、すなわち、テナーゼ複合体が形成され、第X因子 (FX)の効率的な活性化が可能となる。
FVIII分子/変異体は、残りのドメインが、配列番号20のアミノ酸番号1〜740および1649〜2332において示される配列と緊密に対応するBドメイン切断型FVIII分子でありうる。このような変異体、ならびに全長配列に由来するFVIIIに、例えば、vWF結合能を低減するために突然変異を導入することができる。FVIIIが、LRPなど他の多様な成分、多様な受容体、他の凝固因子、細胞表面と結合する能力を改変するために、置換および欠失などのアミノ酸修飾をFVIII分子内に導入することができ、グリコシル化部位を導入し、かつ/または消失させることなども可能である。本発明に従い、FVIII活性を消失させない他の突然変異もまた、FVIII分子/変異体に施すことができる。
本発明に従い投与されるFVIII分子は、FVIIIと機能的に同様であるかまたは同等な形で凝固カスケードを機能させ、活性化血小板におけるFIXaとの相互作用を介してFXaの形成を誘導し、血栓の形成を支援することが可能である。FVIII活性は、当技術分野においてよく知られている技法を用いて、in vitroにおいて評価することができる。凝固解析、FX活性化アッセイ(比色アッセイと称することが多い)、トロンビン生成アッセイ、および全血液トロンボエラストグラフィーが、in vitroにおけるこのような技法の例である。本発明に従うFVIII分子のFVIII活性は、天然ヒトFVIIIの活性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、100%であるか、なおまたは100%を超える。
FVIIIにおけるBドメインは、配列番号20のアミノ酸741〜1648にわたる。Bドメインが異なる複数の部位で切断されることから、循環する血漿FVIII分子には多大な異質性が発生する。高度にグリコシル化したBドメインの正確な機能は知られていない。知られていることは、Bドメインが、凝固カスケードにおけるFVIII活性に不可欠ではないということである。したがって、組換えFVIIIは、Bドメイン欠失/切断型変異体の形態で生成させることが多い。
内因性の全長FVIIIは、単鎖前駆体分子として合成される。分泌される前に、前駆体は、重鎖および軽鎖へと切断される。組換えBドメイン欠失FVIIIは、2つの異なる戦略により生成させることができる。Bドメインのない重鎖および軽鎖を2つの異なるポリペプチド鎖として個別に合成する(2本鎖戦略)か、またはBドメイン欠失FVIIIを、単鎖前駆体ポリペプチド鎖として合成し(単鎖戦略)、これを、全長FVIII前駆体と同じ形で重鎖および軽鎖へと切断する。
単鎖戦略により生成させたBドメイン欠失FVIII前駆体ポリペプチドでは、重鎖部分と軽鎖部分とが、リンカーにより隔てられていることが多い。Bドメイン欠失FVIII内に免疫原性エピトープを導入する危険性を最小化するために、リンカー配列は、FVIIIのBドメインに由来することが好ましい。少なくとも、リンカーは、Bドメイン欠失FVIII前駆体ポリペプチドを重鎖および軽鎖へと切断するプロテアーゼの認識部位を含まなければならない。全長FVIIIのBドメインでは、アミノ酸1644〜1648が、この認識部位を構成する。Bドメイン欠失FVIIIが活性化するとリンカーの除去をもたらすトロンビン部位は、重鎖内に配置される。したがって、リンカーのサイズおよびアミノ酸配列が、トロンビンの活性化による、残りのFVIII分子からのリンカーの除去に影響を与える可能性は低い。Bドメインの欠失/切断は、FVIIIを生成させるのに有利である。にもかかわらず、生成能を低下させることなく、Bドメインの一部をリンカー内に組み入れることもできる。生成能に対するBドメインの負の影響が、Bドメインの任意の特定のサイズまたは配列に帰せられたことはない。
第IXa因子 (FIXa)は、テナーゼ複合体の一部として、凝固における適正なトロンビンの形成を支援するのに必要とされる第Xa因子の大半を生成させることにより、止血における重要な役割を果たす、トリプシン様のセリンプロテアーゼである(HoffmanおよびMonroe、III、2001において総説されている)。
第IX (FIX) 因子は、第VII因子、プロトロンビン、第X因子、およびプロテインCと構造的に類似する、ビタミンK依存性の凝固因子である。循環するチモーゲン形態は、N末端のγ-カルボキシグルタミン酸に富む(Gla)ドメイン、2つのEGFドメイン、およびC末端のトリプシン様セリンプロテアーゼドメインを含む、4つの異なるドメインへと分けられる、415アミノ酸からなる。FIXの活性化は、35アミノ酸の断片である、いわゆる活性化ペプチド(SchmidtおよびBajaj、2003)を放出する、Arg145〜Ala146およびArg180〜Val181における限定的なタンパク質分解により生じる。活性化ペプチドは、高度にグリコシル化され、2つのN結合グリカン、および最大4つのO結合グリカンを含有する。
本明細書で用いられる「第IX因子」または「FIX」とは、内因性の凝固経路のメンバーであり、血液凝固に不可欠である、ヒト第IX因子糖タンパク質を指す。「第IX(a) 因子」は、個体によっては存在および発生する場合がある、天然のFIX(a)の対立遺伝子変異体を包含する。第IX(a) 因子は、血漿に由来する場合もあり、よく知られた生成法および精製法を用いて、組換えにより生成させる場合もある。グリコシル化、ガンマ-カルボキシル化、および他の翻訳後修飾の程度および位置は、選択される宿主細胞およびその増殖条件に応じて変化しうる。別段に指定または指示しない限り、第IX因子とは、その任意の断片、類似体、および誘導体を含め、凝固におけるその通常の役割において機能的な任意のヒト第IX因子タンパク質分子を意味する。
「野生型FIX」の1つの例は、配列番号21に示される、全長ヒトFIX分子である。
野生型ヒト凝固第IX因子 (配列番号21)
YNSGKLγγFVQGNLγRγCMγγKCSFγγARγVFγNTγRTTγFWKQYVDGDQCESNPCLNGGSCKDDINSYECWCPFGFEGKNCELDVTCNIKNGRCEQFCKNSADNKVVCSCTEGYRLAENQKSCPAVPFPCGRVSVSQTSKLTRAEAVFPDVDYVNSTEAETILDNITQSTQSFNDFTRVVGGEDAKPGQFPWQVVLNGKVDAFCGGSIVNEKWIVTAAHCVETGVKITVVAGEHNIEETEHTEQKRNVIRIIPHHNYNAAINKYNHDIALLELDEPLVLNSYVTPICIADKEYTNIFLKFGSGYVSGWGRVFHKGRSALVLQYLRVPLVDRATCLRSTKFTIYNNMFCAGFHEGGRDSCQGDSGGPHVTEVEGTSFLTGIISWGEECAMKGKYGIYTKVSRYVNWIKEKTKLT
配列番号21では、「γ」が、ガンマ-カルボキシル化Glu (「E」)が存在することを表わす。完全なガンマ-カルボキシル化FIXでは、最初の12のGlu残基が、ガンマ-カルボキシル化されているが、とりわけ、組換えFIX産物の場合には、生じるガンマ-カルボキシル化がより低度な変異体も存在する。FIXの148位には、AlaまたはThrのいずれでもありうる二型性が存在することに注意されたい(McGrawら(1985)、PNAS、82: 2847頁を参照されたい)。いずれも、「野生型」FIXである。
本明細書で用いられる「FIX類似体」という用語は、配列番号21の配列を有する因子FIXであって、親タンパク質のうちの1もしくは複数のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されており、かつ/または親タンパク質のうちの1もしくは複数のアミノ酸が欠失しており、かつ/または1もしくは複数のアミノ酸がタンパク質内に挿入されており、かつ/または1もしくは複数のアミノ酸が親タンパク質に付加されている因子FIXを指し示すことを意図する。このような付加は、親タンパク質のN末端もしくはC末端、またはこれらの両方において生じうる。この定義の範囲内にある1または複数の「類似体」もやはり、その活性化形態において、FIX活性を有する。一実施形態では、変異体が、配列番号21の配列と少なくとも90%同一である。別の実施形態では、変異体が、配列番号21の配列と少なくとも95%同一である。本明細書で用いられる通り、特定の位置に対する任意の言及は、配列番号21における対応する位置を指す。
別段に指定しない限り、第IX因子のドメインには、以下のアミノ酸残基:残基Tyr1〜残基Lys43の領域であるGlaドメイン;残基Gln44〜残基Leu84の領域であるEGF1;残基Asp85〜残基Arg145の領域であるEGF2;残基Ala146〜残基Arg180の領域である活性化ペプチド;および残基Val181〜残基Thr414の領域であるプロテアーゼドメインが含まれる。軽鎖が、Glaドメイン、EGF1、およびEGF2を包含する領域を指すのに対し、重鎖は、プロテアーゼドメインを指す。
FVIIaポリペプチド、FVIIIポリペプチド、または第IX因子ポリペプチドなどの凝固促進剤の凝固活性は、実施例において説明される凝固アッセイなど、当業者に知られている凝固アッセイを用いて決定することができる。
当技術分野の医師または獣医師は、本発明の抗体を、FVIIaポリペプチド、FVIIIポリペプチド、または第IX因子ポリペプチドなど、第2の作用剤と共に共投与する時点を決定することができる。
以下は、本発明の実施形態についての非限定的な列挙である。
実施形態1:全長TFPIのC末端に特異的に結合することが可能な抗体。
実施形態1a:前記C末端が、ヒトTFPIのアミノ酸186〜276 (配列番号1)に対応する、実施形態1に記載の抗体。
実施形態1b:モノクローナル抗体である、実施形態1または1aのいずれか1つに記載の抗体。
実施形態2:そのエピトープが、配列番号1のP186、S187、L190、P192、A193、D194、R195、G196、L197、C198、R199、A200、N201、E202、N203、R204、F205、Y206、Y207、N208、K213、R215、P216、F217、K218、Y219、S220、N225、E226、N227、N228、T230、S231、K232、Q233、E234、L236、R237、K240、K241、G242、F243、I244、Q245、R246、I247、S248、K249、G250、G251、L252、I253、K254、T255、K256、R257、K258、R259、K260、K261、Q262、R263、V264、K265、I266、A267、Y268、E269、E270、I271、F272、V273、K274、N275およびM276からなる群から選択される1または複数のアミノ酸残基を含む、実施形態1から1bのいずれか1つに記載の抗体。
実施形態2a:そのエピトープが、配列番号1のP186、S187、L190、P192、A193、D194、R195、G196、L197、C198、R199、A200、N201、E202、N203、R204、F205、Y206、Y207、N208、K213、R215、P216、F217、K218、Y219、S220、N225、E226、N227、N228、T230、S231、K232、Q233、E234、L236、R237、K240、K241、G242およびF243からなる群から選択される1または複数のアミノ酸残基を含む、実施形態1から1bのいずれか1つに記載の抗体。
実施形態3:そのエピトープが、配列番号1のP186、S187、L190、P192、A193、D194、R195、G196、L197、C198、R199、A200、N201、E202、N203、R204、F205、Y206、Y207、N208、K213、R215、P216、F217、K218、Y219、S220、N225、E226、N227、N228、T230、S231、K232、Q233、E234、L236およびR237からなる群から選択される1または複数のアミノ酸残基を含む、実施形態1から1bのいずれか1つに記載の抗体。
実施形態4:そのエピトープが、配列番号1のK240、K241、G242、F243、I244、Q245、R246、I247、S248、K249、G250、G251、L252、I253、K254、T255、K256、R257、K258、R259、K260、K261、Q262、R263、V264、K265、I266、A267、Y268、E269、E270、I271、F272、V273、K274、N275およびM276からなる群から選択される1または複数のアミノ酸残基を含む、実施形態1から1bのいずれか1つに記載の抗体。
実施形態5:その重鎖が、配列番号5のアミノ酸31〜35 (SYYMY)のCDR1配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態6:その重鎖が、配列番号5のアミノ酸50〜66 (EINPSNGDTNLNEKFKS)のCDR2配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、または3つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から5のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態7:その重鎖が、配列番号5のアミノ酸99〜107 (WDRFDGFVY)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、または2つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から6のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態8:その重鎖が、配列番号9のアミノ酸31〜35 (GYPMN)のCDR1配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態9:その重鎖が、配列番号9のアミノ酸50〜66 (LINPYNGDTTFNQKFKG)のCDR2配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、または3つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4および8のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態10:その重鎖が、配列番号9のアミノ酸99〜106 (GTYEYVDY)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、または2つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4および8から9のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態11:その重鎖が、配列番号13のアミノ酸31〜35 (TYWIH)のCDR1配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態12:その重鎖が、配列番号13のアミノ酸50〜66 (AIDPGNSDATYSQKFKD)のCDR2配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、または3つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4および11のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態13:その重鎖が、配列番号13のアミノ酸99〜111 (EVYYGYDGDYFDY)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、または3つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4および11から12のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態14:その軽鎖が、配列番号7のアミノ酸24〜34 (IISTNIDDDIN)のCDR1配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、または3つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から7のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態15:その軽鎖が、配列番号7のアミノ酸50〜56 (EGNTLRP)のCDR2配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から7および14のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態16:その軽鎖が、配列番号7のアミノ酸89〜97 (LQSDDLPYT)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、または2つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から7および14から15のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態17:その軽鎖が、配列番号11のアミノ酸24〜33 (SASSSVFYMH)のCDR1配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、または3つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4および8から10のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態18:その軽鎖が、配列番号11のアミノ酸49〜55 (DTSILSS)のCDR2配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4、8から10および17のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態19:その軽鎖が、配列番号11のアミノ酸88〜96 (QQWSSYPLT)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、または2つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4、8から10および17から18のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態20:その軽鎖が、配列番号15のアミノ酸24〜38 (RASESVSVHGTHLMH)のCDR1配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、または3つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4および11から13のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態21:その軽鎖が、配列番号15のアミノ酸54〜60 (AASKLES)のCDR2配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4、11から13および20のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態22:その軽鎖が、配列番号15のアミノ酸93〜101 (QQSIGDPWT)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つまたは2つが、異なるアミノ酸により置換されうる、実施形態1から4、11から13、20から21のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態23:その重鎖が、
・配列番号5のアミノ酸31〜35 (SYYMY)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号5のアミノ酸50〜66 (EINPSNGDTNLNEKFKS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号5のアミノ酸99〜107 (WDRFDGFVY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態24:その重鎖が、
・配列番号9のアミノ酸31〜35 (GYPMN)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号9のアミノ酸50〜66 (LINPYNGDTTFNQKFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号9のアミノ酸99〜106 (GTVEYVDY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態25:その重鎖が、
・配列番号13のアミノ酸31〜35 (TYWIH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号13のアミノ酸50〜66 (AIDPGNSDATYSQKFKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号13のアミノ酸99〜111 (EVYYGYDGDYFDY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態26:その軽鎖が、
・配列番号7のアミノ酸24〜34 (IISTNIDDDIN)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号7のアミノ酸50〜56 (EGNTLRP)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号7のアミノ酸89〜97 (LQSDDLPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態27:その軽鎖が、
・配列番号11のアミノ酸24〜33 (SASSSVFYMH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号11のアミノ酸49〜55 (DTSILSS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号11のアミノ酸88〜96 (QQWSSYPLT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態28:その軽鎖が、
・配列番号15のアミノ酸24〜38 (RASESVSVHGTHLMH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号15のアミノ酸54〜60 (AASKLES)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号15のアミノ酸93〜101 (QQSIGDPWT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態29:その重鎖が、
・配列番号5のアミノ酸31〜35 (SYYMY)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号5のアミノ酸50〜66 (EINPSNGDTNLNEKFKS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号5のアミノ酸99〜107 (WDRFDGFVY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含み、その軽鎖が、
・配列番号7のアミノ酸24〜34 (IISTNIDDDIN)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号7のアミノ酸50〜56 (EGNTLRP)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号7のアミノ酸89〜97 (LQSDDLPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態30:その重鎖が、
・配列番号9のアミノ酸31〜35 (GYPMN)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号9のアミノ酸50〜66 (LINPYNGDTTFNQKFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号9のアミノ酸99〜106 (GTYEYVDY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含み、その軽鎖が、
・配列番号11のアミノ酸24〜33 (SASSSVFYMH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号11のアミノ酸49〜55 (DTSILSS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号11のアミノ酸88〜96 (QQWSSYPLT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態31:その重鎖が、
・配列番号13のアミノ酸31〜35 (TYWIH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号13のアミノ酸50〜66 (AIDPGNSDATYSQKFKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号13のアミノ酸99〜111 (EVYYGYDGDYFDY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含み、その軽鎖が、
・配列番号15のアミノ酸24〜38 (RASESVSVHGTHLMH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR1配列、および/または
・配列番号15のアミノ酸54〜60 (AASKLES)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR2配列、および/または
・配列番号15のアミノ酸93〜101 (QQSIGDPWT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸のうちの1つもしくは2つが、異なるアミノ酸により置換されうるCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態32:前記アミノ酸置換が、保存的置換である、実施形態5から31のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態33:その重鎖が、
・配列番号5のアミノ酸31〜35 (SYYMY)のCDR1配列、および/または
・配列番号5のアミノ酸50〜66 (EINPSNGDTNLNEKFKS)のCDR2配列、および/または
・配列番号5のアミノ酸99〜107 (WDRFDGFVY)のCDR3配列
を含み、その軽鎖が、
・配列番号7のアミノ酸24〜34 (IISTNIDDDIN)のCDR1配列、および/または
・配列番号7のアミノ酸50〜56 (EGNTLRP)のCDR2配列、および/または
・配列番号7のアミノ酸89〜97 (LQSDDLPYT)のCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態34:その重鎖が、
・配列番号9のアミノ酸31〜35 (GYPMN)のCDR1配列、
・配列番号9のアミノ酸50〜66 (LINPYNGDTTFNQKFKG)のCDR2配列、および
・配列番号9のアミノ酸99〜106 (GTYEYVDY)のCDR3配列
を含み、その軽鎖が、
・配列番号11のアミノ酸24〜33 (SASSSVFYMH)のCDR1配列、
・配列番号11のアミノ酸49〜55 (DTSILSS)のCDR2配列、および
・配列番号11のアミノ酸88〜96 (QQWSSYPLT)のCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態35:その重鎖が、
・配列番号13のアミノ酸31〜35 (TYWIH)のCDR1配列、
・配列番号13のアミノ酸50〜66 (AIDPGNSDATYSQKFKD)のCDR2配列、および
・配列番号13のアミノ酸99〜111 (EVYYGYDGDYFDY)のCDR3配列
を含み、その軽鎖が、
・配列番号15のアミノ酸24〜38 (RASESVSVHGTHLMH)のCDR1配列、
・配列番号15のアミノ酸54〜60 (AAASKLES)のCDR2配列、および
・配列番号15のアミノ酸93〜101 (QQSIGDPWT)のCDR3配列
を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態36:その重鎖が、配列番号5を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態37:その軽鎖が、配列番号7を含む、実施形態1から4および36のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態38:その重鎖が、配列番号9を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態39:その軽鎖が、配列番号11を含む、実施形態1から4および38のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態40:その重鎖が、配列番号13を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態41:その軽鎖が、配列番号15を含む、実施形態1から4および40のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態42:配列番号5および配列番号7を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態43:配列番号9および配列番号11を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態44:配列番号13および配列番号15を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態45:ヒト化抗体である、実施形態1から44のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態46:そのアイソタイプがIgGである、実施形態1から45のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態47:前記アイソタイプが、IgG1、IgG2、またはIgG4である、実施形態46に記載の抗体。
実施形態48:そのアイソタイプがIgG4である、実施形態47に記載の抗体。
実施形態49:そのKDが、3.0nM未満など、2.0nM未満など、1.0nM未満など、0.8nM未満など、0.7nM未満など、0.6nM未満など、0.5nM未満など、0.4nM未満など、0.3nM未満など、0.2nM未満など、0.1nM未満など、0.05nM未満など、0.02nM未満など、0.01nMなど、4.0nM未満である、実施形態1から48のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態50:切断型TFPI (1〜185)には結合することが可能でない、実施形態1から49のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態51:切断型TFPI (1〜239)には結合することが可能でない、実施形態1から49のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態52: TFPIのK1ドメインまたはK2ドメインには結合することが可能でない、実施形態1から51のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態53: GPIアンカー型TFPIおよび/またはリポタンパク質結合型TFPIには結合することが可能でない、実施形態1から52のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態54:リン脂質の存在下における、TFPIによるTF/FVIIa/FXaの阻害を中和することが可能な、実施形態1から53のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態55:対象における遊離TFPIの百分率が、40%未満など、30%未満など、20%未満など、10%未満など、50%未満まで低減されるように、TFPIのC末端に結合することが可能な、実施形態1から54のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態55a: TFPIとの結合について、MuTFPI4F110と競合することが可能な、実施形態1から55のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態55b: TFPIとの結合について、MuTFPI4F110と競合することが可能でない、実施形態1から55のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態56:血小板カウントをそれほど減少させることなしに、in vivoにおける凝固時間を短縮する、実施形態1から55aのいずれか1つに記載の抗体。
実施形態57:前記血小板カウントを、元の血小板カウントの約75%など、約70%など、約65%など、約60%など、約55%など、約50%など、約45%など、約40%など、約35%など、約30%など、約25%など、約80%まで減少させない、実施形態56に記載の抗体。
実施形態58:一過性の血小板減少症を引き起こすことなく、in vivoにおける凝固時間を短縮する、実施形態1から57のいずれか1つに記載の抗体。
実施形態59:実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体を含む医薬製剤。
実施形態59a:実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体と、第VIIa因子ポリペプチド、第VIII因子ポリペプチド、または第IX因子ポリペプチドとを含む医薬製剤。
実施形態60:非経口使用に適する、実施形態59に記載の医薬製剤。
実施形態61:静脈内使用に適する、実施形態60に記載の医薬製剤。
実施形態62:皮下使用に適する、実施形態60に記載の医薬製剤。
実施形態63:血液凝固障害を有する対象を治療するための、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体、または実施形態58から62のいずれか1つに記載の医薬製剤。
実施形態64:インヒビターを伴う場合もありこれを伴わない場合もあるA型血友病、およびインヒビターを伴う場合もありこれを伴わない場合もあるB型血友病からなる群から選択されうる血液凝固障害など、任意の先天性血液凝固障害、後天性血液凝固障害、および/または医原性血液凝固障害を治療するための、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体、または実施形態58から62のいずれか1つに記載の医薬製剤。
実施形態64a:血液凝固障害を有する対象を治療するための、請求項1から9のいずれか1つに記載の抗体、およびFVIIaポリペプチド、FVIIIポリペプチド、またはFIXポリペプチドからなるリストから選択される第2の凝固剤。
実施形態64b: A型血友病を治療するための、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体、およびFVIIIポリペプチド。
実施形態64c: B型血友病を治療するための、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体、およびFIXポリペプチド。
実施形態64d:インヒビターを伴うA型血友病またはB型血友病を治療するための、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体、およびFVIIaポリペプチド。
実施形態65:血液凝固障害を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体を投与するステップを含む方法。
実施形態65a: A型血友病を伴う対象を治療する方法であって、前記対象に、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体と、FVIIIポリペプチドとを投与するステップを含む方法。
実施形態65b: B型血友病を伴う対象を治療する方法であって、前記対象に、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体と、FIXポリペプチドとを投与するステップを含む方法。
実施形態65c: FVII欠損症を伴う対象を治療する方法であって、前記対象に、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体と、FVIIポリペプチドとを投与するステップを含む方法。
実施形態65d:インヒビターを伴うA型血友病を伴う対象を治療する方法であって、前記対象に、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体と、FVIIポリペプチドとを投与するステップを含む方法。
実施形態65e:インヒビターを伴うB型血友病を伴う対象を治療する方法であって、前記対象に、実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体と、FVIIポリペプチドとを投与するステップを含む方法。
実施形態66:前記血液凝固障害が、インヒビターを伴う場合もありこれを伴わない場合もあるA型血友病、およびインヒビターを伴う場合もありこれを伴わない場合もあるB型血友病からなる群から選択されうる血液凝固障害など、任意の先天性血液凝固障害、後天性血液凝固障害、および/または医原性血液凝固障害である、実施形態61に記載の方法。
実施形態67:実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
実施形態68:配列番号4、6、8、10、12、および14からなる群から選択される少なくとも1つの配列を含む、実施形態67に記載のポリヌクレオチド。
実施形態69:実施形態67から69のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含む真核細胞。
実施形態70:実施形態1から58のいずれか1つに記載の抗体またはその断片を発現する真核細胞。
実施形態71:哺乳動物細胞である、実施形態70に記載の真核細胞。
実施形態72: HEK293細胞、CHO細胞、BHK細胞、NSO細胞、およびヒト網膜細胞からなる群から選択される、実施形態71に記載の哺乳動物細胞。
本発明を、以下の例によりさらに例示するが、これらをさらに限定的なものとみなすべきではない。本出願全体で引用される全ての図面および全ての参考文献、特許および特許出願公開の内容は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
(実施例1)
免疫化および融合
全長TFPI (配列番号1)によりマウスを免疫化した。
免疫化およびマウスモノクローナル抗体の生成には、RBFマウスを用いた。注射は、マウスの背部に皮下注射を施した。1回目の注射には、20μgのTFPIを、完全フロイントアジュバントと混合した。その後の免疫化では、不完全フロイントアジュバントを、同じ濃度の抗原と共に用いた。最終回の免疫化の10日後、ELISAを用いて、マウスに由来する眼内血液を、TFPI特異的抗体についてスクリーニングした。陽性の血清力価を伴うマウスに、静脈内注射を介して10μgのTFPIを追加投与し、3日後にマウスを屠殺した。脾臓を無菌的に摘出し、単一細胞懸濁液へと分散させた。脾臓細胞と骨髄細胞との融合は、PEG法または電気融合により実施した。
スクリーニング手順
・全長TFPIに対する結合、およびTFPI(1-161)に対する非結合についてのスクリーニング
・内皮細胞系列またはTFおよびTFPIトランスフェクト細胞による細胞アッセイ
・血漿中のTFPI中和活性(希釈プロトロンビン時間)
・ヒト血漿中で測定される凝固動態(内因性トロンビンポテンシャル; ETP)およびヒト全血液中で測定される凝固動態(トロンボエラストグラフィー; TEG)
・上記の特徴を伴うモノクローナル抗体の結合に関与する全長可溶性TFPIにおける特異的な阻害性エピトープの同定
mAbの精製
モノクローナル抗体は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
(実施例2)
マウス抗TFPI K3/C末端特異的mAbのクローニングおよび配列決定
この実施例では、マウス抗TFPI抗体であるMuTFPI4F110、MuTFPI22F66、およびMuTFPI22F71の重鎖配列および軽鎖配列のクローニングおよび配列決定について説明する。
Qiagen製のRNeasy-Mini Kitを用いて、ハイブリドーマ細胞から、全RNAを抽出し、cDNA合成のための鋳型として用いた。cDNAは、Clontech製のSMART (商標) RACE cDNA増幅キットを用いる5'-RACE反応により合成した。その後のHC配列およびLC配列の標的の増幅は、Phusion Hot Startポリメラーゼ(Finnzymes)およびSMART (商標) RACEキット中にフォワードプライマーとして包含されているUniversal Primer Mix (UPM)を用いるPCRにより実施した。HC (VHドメイン)を増幅するのに用いるリバースプライマーの配列を、配列番号16に示す。MuTFPI22F66およびMuTFPI22F71のLC (VLドメイン)を増幅するのに用いるリバースプライマーの配列を、配列番号17に示す。MuTFPI4F110 LCを増幅するのに用いるリバースプライマーの配列を、配列番号18に示す。
PCR産物は、ゲル電気泳動により分離し、GE Healthcare Bio-Sciences製のGFX PCR DNA & Gel Band Purification Kitを用いて抽出し、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kitおよび化学的にコンピテントなTOP10大腸菌(E. coli) (Invitrogen)を用いて配列決定するためにクローニングした。Applied Biosystems製のAmpliTaq Gold Master MixおよびM13uni/M13revプライマーを用いて、選択したコロニーに対してコロニーPCRを実施した。ExoSAP-IT酵素ミックス(USB)を用いて、コロニーPCRクリーンアップを実施した。配列決定は、M13uni(-21)/M13rev(-29)配列決定プライマーを用いて、MWG Biotech、Martinsried、Germanyにおいて実施した。VectorNTIプログラムを用いて、配列を解析し、これらに注釈を施した。全てのキットおよび試薬は、製造元の指示書に従い用いた。
ハイブリドーマ: MuTFPI4F110、MuTFPI22F66、およびMuTFPI22F71の各々について、サブクラスIgG1の単一の固有なマウスカッパ型LCおよび単一の固有なマウスHCを同定した。核酸配列およびアミノ酸配列を、配列表に示すが、リーダーペプチド配列は包含されない。
(実施例3)
希釈プロトロンビン時間(dPT)
希釈ヒトトロンボプラスチンと組み合わせたヒト血漿により、希釈プロトロンビン(PT)解析を実施した。プロテインA精製したTFPIモノクローナル抗体を、その濃度を増大させながら添加したときの、血漿中の凝固時間を測定し、対象のmAbによる凝固時間の用量依存的な短縮について追跡した。
120μlのクエン酸で安定化させたFVIII枯渇血漿(Helena)を、5μlのMuTFPI4F110と多様な最終濃度(0.0〜1.0nM)で混合し、室温で15分間にわたりインキュベートした。凝固は、37℃におけるACL300解析により測定した。凝固は、75μlの血漿を、0.02MのCaCl2と、20mMのHepes、150mMのNaCl、pH 7.4中に希釈率1:3,750、1:7,500、または1:15,000の脂質付加された組織因子(TF) (Innovin (登録商標))とを含有する75μlの試薬と混合することにより開始させた。図1に示す通り、MuTFPI4F110は、3つのTF濃度すべてにおいて、濃度依存的な形で凝固時間を短縮した。
血漿中に存在するあるTFPI画分だけが、完全なC末端を含有する。このデータは、この全長TFPI画分に対する抗体の結合が、FVIII枯渇血漿におけるTF誘導性凝固を効率的に促進することを示唆する。
(実施例4)
内因性トロンビンの形成
トロンビン活性は、Bachem (Bubendorf、Switzerland)製の蛍光基質であるZ-Gly-Gly-Arg-AMC.HCl (I-1140)の転換により、持続的に評価した。蛍光は、励起波長および発光波長を、それぞれ、368nmおよび460nMとするセットで、マイクロ滴定プレートのFluorskan Ascent flourometer (Thermo Labsystems、Helsinki、Finland)により測定した。較正器を用いて、形成されたトロンビン量、および内部フィルター効果について得られた相対蛍光単位の補正、および蛍光性基質の消費量を計算させた。加えて、トロンビン-α2-マクログロブリン複合体による基質転換への寄与を差し引いた(9)。これらの補正は、Synapse BV (Maastricht、the Netherlands)により市販されている自動較正トロンボグラム(CAT)コンピュータソフトウェアにより自動で行った。最後に、データの一次導関数をとり、これにより、トロンビン生成曲線を得、内因性トロンビンポテンシャル(ETP)である全曲線下面積の計算を可能とした。
10μMのPS/PCを補充したFVIII枯渇血漿におけるトロンビン生成に対するMuTFPI4F110の効果を、図2において調べる。抗TFPI抗体の非存在下で再石灰化および最終希釈率を1/50,000とするInnovin (登録商標)を添加して凝固を誘発しても、測定可能なトロンビンは誘導されなかった。これに対し、10nMのMuTFPI4F110の存在下では、トロンビンの生成が生じた。初期増加の後、トロンビン濃度は、約2nMの安定状態レベルに達した。
重度および中等度のA型血友病に典型的である、正常未満のレベルのFVIII存在下でMuTFPI4F110について調べ、MuTFPI4F110が、トロンビン生成を改善または正常化することが可能であるかどうかについて検討した。図3における結果は、10nMのMuTFPI4F110の非存在下および存在下において、0〜2IU/mlのrFVIII (REFacto(登録商標))を補充したFVIII枯渇血漿によるTF誘導性トロンビン生成に対する効果を示す。トロンビン生成は、rFVIIIの添加を行わない場合は検出未満のレベルであり、約0.3IU/ml rFVIIIを超えるレベルまでrFVIIIを添加した場合に限り測定可能であった。高レベルのrFVIIIを補充した結果、トロンビン活性ピークの用量依存的な増大がもたらされ、トロンビン生成までの遅延時間が短縮された。10nMのMuTFPI4F110の存在下におけるトロンビン生成実験は、FVIII枯渇血漿においてTFPIを中和する結果として、図2に示す通り、より高度な分解度でトロンビン生成の増強をもたらした。約13分間の遅延時間後、トロンビン濃度は上昇し、約2nMの安定状態レベルに達した。約0.05IU/mlを超えるレベルまでrFVIIIを添加したところ、このパターンが変化し、MuTFPI4F110単独により誘導されるベースの安定状態レベルに加えて、さらなる一過性のトロンビンピークが誘導された。結果は、TFPIのC末端を指向するMuTFPI4F110は、単独でも凝固の開始を促進するが、最適未満レベルのFVIIIとの組合せではまた、トロンビンバーストの発生も増強する。
(実施例5)
トロンボエラストグラフィー(TEG)による測定
クエン酸で安定化させたFVIII枯渇血漿(Helena)に、(最終濃度): 0.12pMのTF (Innovin (登録商標)、1:50,000)、1μl当たり150,000個の洗浄血小板、および多様な濃度(0.0、0.005、0.05、0.01、および1.0U/ml)の組換えFVIII (ReFacto (登録商標))を補充した。320μlのこのプレミックスを、20μlの0.2M CaCl2を含有するトロンボエラストグラフのカップへと移して、10nMのMuTFPI4F110の非存在下または存在下における凝固を開始させた。最長120分間にわたり、TEG出力を持続的に追跡した(5000型TEG解析器、Haemoscope Corporation、Niles、IL、USA)。以下のTEG変数: R時間(凝固時間、すなわち、凝固が開始されてから2mmの振幅が得られるまでの時間)、α角(R値と、TEG出力の変曲点とのなす角として測定される血栓の発生)、K値(あるレベルの血栓強度(振幅=20mm)に達するまでの凝固反応速度)、およびMA値(血栓の力学的な最大強度を反映するTEG出力の最大振幅)を記録した。
結果は、MuTFPI4F110が、TF誘導性血栓形成を増強する、すなわち、重度および中等度の血友病に対応する、rFVIIIの非存在下およびrFVIIIの低濃度下のいずれにおいても、凝固時間(R値)を短縮し、凝固発生速度(角度値)を増強することを示した。
(実施例6)
FACS解析
TFPI陽性ヒト内皮様不死化細胞系であるEAHy926WT (臍帯静脈血管内皮細胞に由来する)を、膜結合型TFPIの結合についての陽性対照として用いた。アエロリシン耐性EAHy926AR細胞は、それらの表面においてTFPIを発現せず、陰性対照として用いた。
抗TFPI抗体および対応するアイソタイプ対照抗体であるhzATNPによる染色は、以下の通りに行った。洗浄した細胞系調製物(ウェル1個当たり50000個の細胞)を、50μlの希釈TFPI抗体またはアイソタイプ対照と併せて、滴定しながら96ウェルプレート(Greiner、型番65021)へと添加し、5μg/mlの最終濃度をもたらした。次いで、細胞調製物を、摂氏4度で1時間にわたりインキュベートした。インキュベーションおよび洗浄(5%ウシ胎仔血清を伴うPBS緩衝液、200gで5分間にわたり遠心分離する)の後、RPE標識した抗ヒト二次抗体(PBS緩衝液中で1:200に希釈した)を添加し、摂氏4度でさらに1時間にわたりインキュベートした。最後に、細胞を洗浄し、パラホルムアルデヒド(容量当たりの重量(w/v)で1%のパラホルムアルデヒド)により固定し、36時間以内にフローサイトメーターで解析した。
図5に、C末端特異的抗TFPI抗体(4F100および4F110)およびアイソタイプ対照抗体であるhzATNP (0.5μg/ml)の、EAHy926WT細胞およびEAHy926AR細胞に対する結合を示す。
この例では、TFPIのC末端を指向する抗TFPI抗体が、内皮細胞系であるEAHy926WT細胞により発現される、GPIアンカー型TFPIには結合しないのに対し、Kunitz 2に対する抗体は、EAHy926WT細胞に選択的に結合し、アエロリシン耐性TFPI陰性細胞系であるEAHy926ARには結合しないことが明らかである。
(実施例7)
ELISA
TFPIのC末端テールを切断することが、MuTFPI22F66、MuTFPI22F71、MuTFPI22F74、MuTFPI22F79、およびMuTFPI22F132に対するTFPIの結合アフィニティーに対して及ぼす影響を、ELISAまたはForteBioプラットフォームを用いるリアルタイム結合解析により解析した。野生型(wt) TFPI (配列番号1)またはアミノ酸1〜239 (配列番号2)、1〜240 (配列番号22)、1〜241 (配列番号23)、1〜242 (配列番号24)、1〜243 (配列番号25)、1〜244 (配列番号26)、または1〜245 (配列番号3)を包含する切断型TFPI突然変異体であるTFPI変異体を、HEK293-F細胞内で発現させた。細胞培養物に由来する馴化培地を用いて、ELISAまたはリアルタイム結合解析を行った。
馴化培地中のwt TFPIおよび切断型TFPI突然変異体の濃度は、TFPI K1-K2に結合するELISA (ヤギ抗TFPI抗体、社内)およびTFPI K2に結合するELISA (MAb4F36、社内)により推定した。これらの抗体に対する結合は、切断による影響を受けない。代替的に、ビオチン標識したMAb4F36を、ストレプトアビジンでコーティングしたBioSensorチップ上で捕捉させ、濃度の推定に用いた。
ELISA状況下において、突然変異が、MuTFPI22F66、MuTFPI22F71、MuTFPI22F74、MuTFPI22F79、およびMuTFPI22F132に対するTFPIの結合能に対して及ぼす影響を、列挙したMAbの各々を捕捉抗体として用い、MAb4F36を検出用に用いて解析した。ストレプトアビジンでコーティングしたBioSensorチップ(ForteBio)上で捕捉されるビオチン標識したMuTFPI22F66、MuTFPI22F71、MuTFPI22F74、MuTFPI22F79、およびMuTFPI22F132に対するTFPI変異体の直接的な結合を、ForteBioプラットフォームを用いて測定した。
図7は、発現レベルと比べた計算による切断効果、およびwtと比べた計算による切断効果を反映する。3つの切断形態である1〜243、1〜244、および1〜245に対するmAb 4F110の結合が、全長TFPIに対するそれらの結合と比較して影響を受けないのに対し、切断型TFPI形態の全てに対するmAb 22F74の結合は強力に低下した。残りの被験抗体も、この範囲内に収まった。
(実施例8)
PS/PC小胞の存在下におけるTFPIによるFVIIa/TF/FXa活性の阻害に対する中和
用いた材料は、BSA緩衝液(50mMのHepes、0.1MのNaCl、5mMのCaCl2、0.1mg/mlのBSA、pH 7.4)、EDTA: 50mM、および下記の表に列挙される試薬であった。
Figure 2017025104
Figure 2017025104
全ての成分を、上記の表に示される最終濃度で併せて添加した。25μlのFXおよび25μlのTFPI mAbを、濃度を変化させながら、マイクロ滴定ウェル内に25μlのヒトTFPI、25μlのFVIIa-TF (Innovin)、およびPS/PC小胞へと添加した。混合物を、室温で15分間にわたりインキュベートした。50μlのEDTAを添加した後、50μlのS-2765を添加した。プレートを15分間にわたり混合し、Spectramaxにより405nmで読み取った。TFPIが存在しない場合に得られたFVIIa/TF/FXの活性は、100%の活性であった。
表中に列挙された6つのC末端TFPI mAbは、PS/PC小胞の存在下におけるTFPIによるFVIIa/TF/FX複合体の阻害を中和することが可能であった。抗体はまた、PS/PCの非存在下においてもTFPIを中和した。
(実施例9)
結合相互作用解析
結合相互作用解析は、Biacore 3000による表面プラズモン共鳴を介して得た。固定濃度における関与性モノクローナル抗体の捕捉は、固定化マウス抗IgG抗体により得た。異なる濃度のTFPIについて調べた。結合定数(Kon、Koff、KD)の決定は、TFPIと対象の抗体とが1:1で相互作用することを仮定して得た。
Figure 2017025104
mAb 4F110と結合したと場合のTFPIに対する異なるmAbの結合の競合は、CM5チップにmAb 4F110を固定化するのに続いて、50nMのTFPIを結合させた後、mAb (22F66、22F71、22F74、22F79、22F132、22F158、22F174、4F110)の濃度を変化させて、競合について調べることで得た。下記の表に結果を示す。チップの再生は、10mMのグリシン、pH1.7により得た。
mAb ID TFPIに対する結合についてのmAB 4F110との競合
TFPI-22F66 あり
TFPI-22F71 あり
TFPI-22F74 なし
TFPI-22F79 なし
TFPI-22F132 なし
TFPI-22F158 あり
TFPI-22F174 あり
TFPI-4F110 あり
C末端mAbは、mAb 4F110との競合との関係で2つの群に分けられる。いずれの群内の抗体も、TFPI中和活性を示す。
(実施例10)
比較モデル化によるエピトープの決定
エピトープモデルは、公表されたx線結晶構造解析によるTFPI1〜2の構造に基づき、市販のコンピュータプログラムであるModeller [N. Eswar、M. A. Marti-Renom、B. Webb、M. S. Madhusudhan、D. Eramian、M. Shen、U. Pieper、A. Sali、「Comparative Protein Structure Modeling With MODELLER」、「Current Protocols in Bioinformatics」、John Wiley & Sons, Inc.、補遺15、5.6.1〜5.6.30、2006]により作成した。TFPI1〜3では、相対結合可能性が40%を超える残基が、186〜187、190、192〜208、213、215〜220、225〜228、230〜234、および236〜237であることが判明した。C末端については、残基240〜276の相対結合可能性が40%より大きかった。
(実施例11)
第VIIa因子変異体活性アッセイ(in vitroにおける加水分解アッセイ)
天然(野生型)第VIIa因子および第VIIa因子変異体(本明細書の以下では、いずれも「第VIIa因子」と称する)を並行してアッセイして、それらの特異的活性を直接比較した。アッセイは、マイクロ滴定プレート(MaxiSorp、Nunc、Denmark)により実施した。最終濃度を1mMとする比色基質であるD-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix、Sweden)を、0.1MのNaCl、5mMのCaCl2、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する50mMのHepes、pH 7.4中の第VIIa因子 (最終濃度を100nMとする)へと添加する。SpectraMax (商標) 340プレートリーダー(Molecular Devices、USA)により、405nmにおける吸光度を持続的に測定する。酵素を含有しないブランクウェルにおける吸光度を差し引いた後の、20分間にわたるインキュベーションにおいて発生した吸光度を用いて、変異体第VIIa因子の活性と野生型第VIIa因子の活性との比を計算した。
比=(A405nmにおける第VIIa因子の変異体)/(A405nmにおける第VIIa因子の野生型)
(実施例12)
第VIIa因子変異体活性アッセイ(in vitroにおけるタンパク質分解アッセイ)
天然(野生型) 第VIIa因子および第VIIa因子変異体(本明細書の以下では、いずれも「第VIIa因子」と称する)を並行してアッセイして、それらの特異的活性を直接比較した。アッセイは、マイクロ滴定プレート(MaxiSorp、Nunc、Denmark)により実施した。第VII因子a (10nM)および第X因子 (0.8マイクロモル)を、0.1MのNaCl、5mMのCaCl2、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する100マイクロリットルの50mMのHepes、pH 7.4中で15分間にわたりインキュベートした。次いで、0.1MのNaCl、20mMのEDTA、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する50マイクロリットルの50mM Hepes、pH 7.4を添加することにより、第X因子の切断を停止させた。最終濃度を0.5mMとする比色基質であるZ-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765、Chromogenix、Sweden)を添加することにより、生成する第Xa因子の量を測定する。SpectraMax (商標) 340プレートリーダー(Molecular Devices、USA)により、405nmにおける吸光度を持続的に測定する。FVIIaを含有しないブランクウェルにおける吸光度を差し引いた後の、10分間にわたるインキュベーションにおいて発生した吸光度を用いて、変異体第VIIa因子の活性と野生型第VIIa因子の活性との比を計算した。比=(A405nmにおける第VIIa因子の変異体)/(A405nmにおける第VIIa因子の野生型)
(実施例13)
第VIII因子活性アッセイ(比色アッセイ)
rFVIII化合物のFVIII活性(FVIII:C)を、Coatest SP試薬(Chromogenix)を用いるFVIII比色アッセイにより、以下の通りに評価する。rFVIII試料およびFVIII標準物質(例えば、NIBSCによる第7次国際FVIII標準物質に照らして較正した、精製野生型rFVIII)を、Coatestアッセイ緩衝液(50mMのトリス、150mMのNaCl、1%のBSA、pH7.3、保存剤含有)中で希釈する。50μlずつの試料、標準物質、および緩衝液による陰性対照を、96ウェルマイクロ滴定プレート(Nunc)へと2連で添加する。Coatest SPキットによる第IXa因子/ 第X因子試薬、リン脂質試薬、およびCaCl2を、5:1:3 (容量:容量:容量)で混合し、この混合物75μlをウェルに添加する。室温で15分間にわたるインキュベーションの後、第Xa因子基質であるS-2765/トロンビンインヒビターであるI-2581の混合物50μlを添加し、室温で10分間にわたり試薬をインキュベートしてから、25μlの1Mクエン酸、pH3を添加する。620nMにおける吸光度を基準波長として用いるSpectramaxマイクロ滴定プレートリーダー(Molecular Devices)により、415nmにおける吸光度を測定する。全ての試料から陰性対照の値を差し引き、FVIII濃度と対比してプロットされた吸光度値を直線回帰させることにより、検量線を作成する。比活性は、試料の活性を、HPLCにより決定されるタンパク質濃度で除することにより計算する。試料の濃度は、クロマトグラムにおいて軽鎖に対応するピーク下面積を積分し、アミノ酸解析を行うことにより濃度が決定されている、野生型の非修飾rFVIIIのパラレル解析における同じピーク面積と比較することにより決定した。
(実施例14)
第VIII因子活性アッセイ(1段階凝固アッセイ)
rFVIII化合物のFVIII活性(FVIII:C)を、1段階FVIII凝固アッセイにより、以下の通りにさらに評価する。rFVIII試料およびFVIII標準物質(例えば、NIBSCによる第7次国際FVIII標準物質に照らして較正した、精製野生型rFVIII)を、HBS/BSA緩衝液(1%のBSAを伴う20mMのhepes、150mMのNaCl、pH7.4)中で約10U/mlまで希釈した後、VWF (Dade Behring)を含有するFVIII欠損血漿中で10倍に希釈する。その後、試料を、HBS/BSA緩衝液中で希釈する。単一因子プログラムを用いるACL300R測定器またはACL5000測定器(Instrumentation Laboratory)を用いて、APTT凝固時間を測定する。VWF (Dade Behring)を伴うFVIII欠損血漿をアッセイ血漿として用い、SynthASil (HemosIL(商標)、Instrumentation Laboratory)をaPTT試薬として用いる。凝固測定器内では、希釈試料または標準物質を、FVIII欠損血漿およびaPTT試薬と37℃で混合する。塩化カルシウムを添加し、濁度を測定することにより、血栓形成までの時間を決定する。FVIII標準物質の希釈液の血栓形成時間についての検量線に基づき、試料中のFVIII:Cを計算する。
本明細書で引用される刊行物、特許出願、および特許を含めたすべての参考文献は、参照によりそれらの全体において、各参考文献が、参照により個別かつ具体的に組み込まれることが示され、その全体において本明細書に提示された(法律により許容される最大の範囲まで)と仮定する場合と同程度に本明細書に組み込まれる。
本明細書における全ての見出しおよび小見出しは、便宜だけを目的として用いられるものであり、いかなる形でも本発明を限定するものとしてみなされるべきではない。
別段に主張されない限り、本明細書で示される任意および全ての例または例示的言語(例えば、「〜など」)の使用は、本発明をよりよく例示することだけを意図するものであり、本発明の範囲に対して限定を課するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、特許請求されない要素を、本発明を実施するのに不可欠であると示すものとしてみなされるべきではない。
本明細書における特許文献の引用および組込みは、便宜のためだけになされるものであり、このような特許文献の妥当性、特許性、および/または法的拘束性についての観点を反映するものではない。
本発明は、関連法規により許容される通り、本明細書に付属の特許請求の範囲において列挙される対象物に対する全ての改変物および同等物を包含する。

Claims (15)

  1. 全長TFPIのC末端に特異的に結合することが可能な抗体。
  2. 前記C末端が、TFPI(配列番号1)のアミノ酸186〜276に対応する、請求項1に記載の抗体。
  3. 前記抗体の重鎖が、配列番号5のアミノ酸99〜107 (WDRFDGFVY)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つまたは2つが、異なるアミノ酸により置換されうる、請求項1または2に記載の抗体。
  4. 前記抗体の重鎖が、配列番号9のアミノ酸99〜106 (GTYEYVDY)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つまたは2つが、異なるアミノ酸により置換されうる、請求項1または2に記載の抗体。
  5. 前記抗体の重鎖が、配列番号13のアミノ酸99〜111 (EVYYGYDGDYFDY)のCDR3配列を含み、これらのアミノ酸のうちの1つ、2つまたは3つが、異なるアミノ酸により置換されうる、請求項1または2に記載の抗体。
  6. 重鎖が、
    ・配列番号5のアミノ酸31〜35 (SYYMY)のCDR1配列、および/もしくは
    ・配列番号5のアミノ酸50〜66 (EINPSNGDTNLNEKFKS)のCDR2配列、および/もしくは
    ・配列番号5のアミノ酸99〜107 (WDRFDGFVY)のCDR3配列を含み、
    軽鎖が、
    ・配列番号7のアミノ酸24〜34 (IISTNIDDDIN)のCDR1配列、および/もしくは
    ・配列番号7のアミノ酸50〜56 (EGNTLRP)のCDR2配列、および/もしくは
    ・配列番号7のアミノ酸89〜97 (LQSDDLPYT)のCDR3配列を含むか、
    または重鎖が、
    ・配列番号9のアミノ酸31〜35 (GYPMN)のCDR1配列、および/もしくは
    ・配列番号9のアミノ酸50〜66 (LINPYNGDTTFNQKFKG)のCDR2配列、および/もしくは
    ・配列番号9のアミノ酸99〜106 (GTYEYVDY)のCDR3配列を含み、軽鎖が、
    ・配列番号11のアミノ酸24〜33 (SASSSVFYMH)のCDR1配列、および/もしくは
    ・配列番号11のアミノ酸49〜55 (DTSILSS)のCDR2配列、および/もしくは
    ・配列番号11のアミノ酸88〜96 (QQWSSYPLT)のCDR3配列を含むか、
    または重鎖が、
    ・配列番号13のアミノ酸31〜35 (TYWIH)のCDR1配列、および/もしくは
    ・配列番号13のアミノ酸50〜66 (AIDPGNSDATYSQKFKD)のCDR2配列、および/もしくは
    ・配列番号13のアミノ酸99〜111 (EVYYGYDGDYFDY)のCDR3配列を含み、軽鎖が、
    ・配列番号15のアミノ酸24〜38 (RASESVSVHGTHLMH)のCDR1配列、および/もしくは
    ・配列番号15のアミノ酸54〜60 (AASKLES)のCDR2配列、および/もしくは
    ・配列番号15のアミノ酸93〜101 (QQSIGDPWT)のCDR3配列
    を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
  7. 前記抗体が、配列番号5および7、または配列番号9および11、または配列番号13および15を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
  8. 切断型TFPI (1〜161)、切断型TFPI (1〜185)、切断型TFPI (1〜239)、または切断型TFPI (1〜245)からなる群から選択される切断型TFPIには特異的に結合することが可能でない、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体。
  9. リン脂質の存在下における、TFPIによるTF/FVIIa/FXaの阻害を中和することが可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体を含む医薬製剤。
  11. 血液凝固障害を有する対象を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、または請求項10に記載の医薬製剤。
  12. 血液凝固障害を有する対象を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、および第VIIa因子ポリペプチド、第VIII因子ポリペプチド、または第IX因子ポリペプチドからなるリストから選択される、止血を増強する別の作用剤。
  13. A型血友病を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、および第VIII因子ポリペプチド。
  14. B型血友病を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、および第IX因子ポリペプチド。
  15. インヒビターを伴うA型血友病またはB型血友病を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、および第VIIa因子ポリペプチド。
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