JP2017024025A - 双ドラム式連続鋳造装置用冷却ドラム、双ドラム式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents
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そこで、特許文献1〜7に示すように、冷却ドラムの周面に凹凸を付与することにより、凹部で凝固シェルとの間にガスギャップを形成して緩冷却化を図るとともに、凸部で凝固シェルを拘束することによって凝固収縮の均等分散を図り、凝固時の割れの発生を抑制する技術が提案されている。
そこで、特許文献7においては、冷却ドラムに形成される凸部の傾斜角度を規定することによって、ヘゲ欠陥の発生防止を図っている。
特に、双ドラム式連続鋳造装置における鋳造速度を速くした場合には、割れの発生を十分に抑制できないおそれがあった。
ここで、尖り度Kuは、形成された凸部の裾部がどの範囲までどのように広がっているかを規定したものであり、凸部の先端から凹部の底へ向かう断面形状での凹部の広がりを示す指標となる。このため、尖り度Kuを規定することで、凸部の先端で凝固シェルを拘束した際に、この凸部に連接する凹部において凝固シェルと冷却ドラムとのガスギャップを確保することができ、凝固シェルの均等な拘束及び均等な緩冷却化を図ることが可能となるのである。
本実施形態では、溶融金属として溶鋼を用いており、鋼材からなる薄肉鋳片1を製造するものとされている。なお、鋼種としては、例えば0.001〜0.01%C極低炭鋼、0.02〜0.05%C低炭鋼、0.06〜0.4%C中炭鋼、0.5〜1.2%C高炭鋼、SUS304鋼、SUS430鋼、3.0〜3.5%Si方向性電磁鋼、0.1〜6.5%Si無方向性電磁鋼等(なお、%は、質量%)が挙げられる。
この双ドラム式連続鋳造装置10においては、溶鋼3が回転する冷却ドラム11,11に接触して冷却されることにより、冷却ドラム11,11の周面の上で凝固シェル5、5が成長し、一対の冷却ドラム11,11にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点で圧着されることによって、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
この冷却ドラム11においては、その周面に、後述するショット加工によって、図2に示すように、凹凸部20(凹部21及び凸部22)が形成されている。
この算術平均粗さRaは、以下の式によって算出される。ここで、Z:凹凸部高さ方向変位、x:鋳型表面変位、l:測定長さ、とする。
なお、本実施形態では、凹凸部20の高さ方向変位は、冷却ドラム11の軸方向で測定した。また、薄肉鋳片1においてヘゲ欠陥や割れが発生する場合には、発生箇所におけるこれらの欠陥の間隔が5cm以内であることから、測定長さlを5cm以上とした。
この尖り度Kuは、以下の式によって算出される。ここで、Z:凹凸部高さ方向変位、x:鋳型表面変位、l:測定長さ、σ:凹凸部高さ標準偏差、とする。なお、尖り度Kuの測定においても、上述の理由から、測定長さlを5cm以上とした。
なお、凹凸部20の高さ分布が正規分布となるとき、上述の尖り度Kuは0となる。
本実施形態においては、冷却ドラム11の周面にショット加工を行うことにより、凹凸部20を形成している。なお、ショット粒としてはベアリング鋼球を用いている。
具体的には、冷却ドラムの周面を、赤外線セラミックヒータなどを用いて加熱処理することにより、冷却ドラムの表面のビッカース硬さを450Hv以下としている。
また、ショット粒径は、1.0mm以上2.0mm以下の範囲内に設定している。
さらに、ショット射出圧力は、0.5MPa以上1.0MPa以下の範囲内に設定している。
なお、ショット加工は複数回重ねて行っており、1回のショット加工で形成されたショット痕(球状の凹部)を崩すことで、上述の尖り度Kuを得ることが可能となる。
ここで、本実施形態では、算術平均粗さRaならび尖り度Kuが後述のとおりに設定されていることから、凝固シェル5が、冷却ドラム11の周面になじんでおり、したがって、凝固シェル5と冷却ドラム11の接触の仕方が各凸部22において均等であるので、凝固シェル5が凸部22によって均等に拘束されるとともに、凹部21によって冷却ドラム11と凝固シェル5との間に均等にガスギャップGが形成されることになる。
なお、ガスギャップGの空間を確実に確保するためには、冷却ドラム11の周面の算術平均粗さRaの下限を35μm以上とすることが好ましく、40μm以上とすることがさらに好ましい。一方、薄肉鋳片1の表面に深い凹みが形成されることを確実に抑制するためには、冷却ドラム11の周面の算術平均粗さRaの上限を90μm以下とすることが好ましく、70μm以下とすることがさらに好ましい。
なお、凝固シェル5を凸部22で確実に拘束するとともに凹部21においてガスギャップGを確実確保するためには、凹凸部20の尖り度Kuの下限を0.3以上とすることが好ましく、0.5以上とすることがさらに好ましい。一方、薄肉鋳片1の表面に傾斜が急峻な凹みが形成されることを確実に抑制するためには、凹凸部20の尖り度Kuの上限を0.9以下とすることが好ましく、0.8以下とすることがさらに好ましい。
例えば、本実施形態では、鋼の薄肉鋳片を製造するものとして説明したが、これに限定されることはなく、アルミニウムや他の金属の薄肉鋳片を対象としてもよい。
また、本実施形態では、ベンダーロール及びピンチロールを配設したもので説明したが、これらのロール等の配置に限定はなく、適宜設計変更してもよい。
図1に示す双ドラム式連続鋳造装置において、冷却ドラムの周面にショット加工によって凹凸部を形成した。このとき、ショット加工条件等を変更することにより、周面の算術平均粗さRa,凹凸部の尖り度Kuを、表1に示すように調整した。なお、冷却ドラムとしては、直径1200mm,幅800mmのサイズのものを準備し、周面にCr−Ni合金めっき膜を形成した。
得られた製品板の割れ、ヘゲ欠陥について、目視で確認した。単位面積当たりの割れ、ヘゲ欠陥個数を表1に示す。
また、周面の算出平均粗さRaが本発明の範囲よりも小さく、凹凸部の尖り度Kuが本発明の範囲内とされたNo.8においては、製品表面の割れの個数が多かった。ガスギャップが確保できず、不均等な冷却となって熱歪が生じたためと推測される。
さらに、周面の算出平均粗さRaが本発明の範囲内とされ、凹凸部の尖り度Kuが本発明の範囲よりも小さいNo.9,10,11においては、製品表面の割れの個数が多かった。凝固シェルの拘束が不十分となり、不均等な冷却となって熱歪が生じたためと推測される。
また、周面の算出平均粗さRaが本発明の範囲よりも大きく、凹凸部の尖り度Kuが本発明の範囲内とされたNo.13においては、ヘゲ欠陥の個数が多かった。薄肉鋳片の表面に、凹凸部が転写されることで形成された凹みの深さが深くなったためと推測される。
さらに、周面の算出平均粗さRaが本発明の範囲内とされ、凹凸部の尖り度Kuが本発明の範囲よりも大きいNo.14、15においては、ヘゲ欠陥の個数が多かった。薄肉鋳片の表面に、凹凸部が転写されることで形成された凹みの傾斜が急峻であったためと推測される。
以上のように、本発明によれば、凝固シェルの均等な拘束及び均等な緩冷却化を図ることにより、割れの発生を抑制することが可能であるとともに、その後の圧延工程におけるヘゲ欠陥の発生を抑制可能であることが確認された。
3 溶鋼(溶融金属)
5 凝固シェル
10 双ドラム式連続鋳造装置
11 冷却ドラム
20 凹凸部
21 凹部
22 凸部
Claims (3)
- 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置に用いられる双ドラム式連続鋳造装置用冷却ドラムであって、
前記凝固シェルが形成される前記周面には、径方向に出没する凹凸部が形成されており、その算術平均粗さRaが10μm以上100μm以下の範囲内とされるとともに、前記凹凸部の尖り度Kuが0.2以上1.0以下とされていることを特徴とする双ドラム式連続鋳造装置用冷却ドラム。 - 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置であって、
前記冷却ドラムとして、請求項1に記載の双ドラム式連続鋳造装置用冷却ドラムを備えることを特徴とする双ドラム式連続鋳造装置。 - 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
前記冷却ドラムとして、請求項1に記載の双ドラム式連続鋳造装置用冷却ドラムを用いることを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
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JP2015142869A JP6515336B2 (ja) | 2015-07-17 | 2015-07-17 | 双ドラム式連続鋳造装置用冷却ドラム、双ドラム式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH03128149A (ja) * | 1989-10-13 | 1991-05-31 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 双ロール式連鋳機 |
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- 2015-07-17 JP JP2015142869A patent/JP6515336B2/ja active Active
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