JP2004042128A - 双ロール連鋳機の鋳造ロール - Google Patents
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Abstract
【課題】2mm厚以下の薄い鋼ストリップを鋳造する際に、その厚みに応じて鋳造ロールによる凝固殻厚みを板幅方向に均一化させ、これにより品質の良いストリップを安定して製造できるようにする。
【解決手段】2mm厚以下の薄い鋼ストリップを連続鋳造する双ロール連鋳機の鋳造ロール1のロール表面に截頭四角錐形の凸部2を形成し、凸部2の形状が、鋼ストリップの厚みをt、凸部のピッチをp、凸部の高さをhとしたとき
【数1】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
であり、且つ
【数2】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
を満足するようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】2mm厚以下の薄い鋼ストリップを連続鋳造する双ロール連鋳機の鋳造ロール1のロール表面に截頭四角錐形の凸部2を形成し、凸部2の形状が、鋼ストリップの厚みをt、凸部のピッチをp、凸部の高さをhとしたとき
【数1】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
であり、且つ
【数2】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
を満足するようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転する一対の鋳造ロール間で溶湯を冷却して2mm厚以下の薄い鋼ストリップを鋳造するのに適した双ロール連鋳機の鋳造ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
双ロール連鋳機は、一対の鋳造ロール間にプールされた溶湯を鋳造ロールで冷却することにより金属帯板を直接製造するものであり、構造が簡単で経済的な製造技術である。然るに、この双ロール連鋳機においては、溶湯が冷却される区間が短いことにより生産量を確保するためには溶湯を急冷する必要があることから、鋳造ロール表面に造形される凝固殻の割れを防止することと厚みを幅方向に一様にすることが技術的に困難である。
【0003】
従来から知られている双ロール連鋳機では、振動される鋳型の内壁面と溶湯間に溶融ガラスの潤滑剤を流下させ、溶湯を緩冷却する方法がとられていた。このように緩冷却を行えば割れがない凝固殻が得られることが知られている。しかし緩冷却のため、鋳型で全厚み分の凝固を行うことはできない。従って鋳型から出た後の鋳片内部は未凝固状態にあり、鋳型以降の鋳片内部溶鋼は、その静圧に対して多数のローラ群により支持し、且つ冷却はローラ間からスプレーにより冷却され、鋳片全厚みに対する凝固作業が行われる。
【0004】
然るに双ロール連鋳機では、鋳造ロール間の最狭隙部以降、特に最狭隙部の直後に前記のようなローラ群を配置することはスペース的に困難である。従って、鋳造ロール間の最狭隙部以降の鋳片冷却は実開昭58−157250号公報に見られるような冷却シュを設けて実施されることになるが、このような冷却シュを出側に設けることは、鋳造初期に於ける溶湯の洩れによるかぶれが発生し易く実用上問題となる。
【0005】
以上のような理由から、近年の双ロール連鋳機では一対の鋳造ロール間に注湯された溶湯のプールが鋳造ロールと接触する間に急速に冷却し、鋳造ロールの最狭隙部以降での冷却を不要にしても品質の良い鋳片が得られる双ロール連鋳機の鋳造技術の研究開発が進められている。
【0006】
そして、2〜6mm厚の金属帯板を連続鋳造するに当たり、上記金属帯板の形状不良に対する検討が種々行われた結果、一対の鋳造ロール間にプールされた溶湯より凝固殻を形成させる過程において凝固殻形成時の抜熱が不均一になり、これが形状不良の原因となっていることが判明した。この問題の対策として、鋳造ロールと凝固殻との間にエアーギャップを設けるべくロール表面に凹凸肌面(ロールテクスチャー)を形成することが提案され、ロール表面に設けた凸部のピッチと溶湯の表面張力との観点より検証が行われた結果、次に示すような従来技術が提案された。
【0007】
特公平7−24924号公報による双ロール連鋳機は、ロール表面の目粗しを行い、ロール表面に形成される凝固殻に関して凝固する際の抜熱を均等に行わせて品質向上を図ることを目的としてなしたもので、ロール表面にショットブラストを施して凹凸を形成し、該凹凸が平均深さ4μmで点状となるようにしてエアーギャップを形成している。
【0008】
又、USP4250950には、上記と同様の目的で、
1)凸部ピッチ(d)を0.05mm〜1mmとし、且つ0.05d2<凸部上部面積(f)<0.5d2
2)凸部ピッチ(d)を0.2mm〜0.5mmとし、更に0.1d<凸部高さ(h)<d、更に、0.1d2<凸部上部面積(f)<0.25d2、機械加工する場合は、0.15d<凸部高さ(h)<0.4d
のロール表面粗さを開示し、凸部のピッチ面積に対する頂上部面積の割合を50%以下と制限している。
【0009】
又、特開平11−179494号公報には、前記と同様の目的で、フォトエッチング或いはレーザ加工により形成する突起の高さHは20μm以上であり、突起の直径Dは0.2mm以上、1mm以下であり、突起の最近接間隔Wは0.2mm以上、1mm以下としている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、双ロール連鋳機を用いて2mm厚以下、更には1mm厚以下の薄い鋼ストリップを製造することが要求されるようになってきている。
【0011】
しかし、従来から提案されている双ロール連鋳機は、2mm厚以上、例えば2mm厚〜6mm厚の厚い金属帯板の鋳造を対象としており、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを連続鋳造することについては提案されていない。
【0012】
従って、従来より提案されている凹凸のロールテクスチャーを備えた鋳造ロールを2mm厚以下の薄い鋼ストリップの鋳造に用いても、鋳造ロールを出たところで再溶解、膨れを生じたり、或いは割れが生じる等の問題が生じて鋼ストリップを品質良く安定して製造することはできない。
【0013】
更に、前記特公平7−24924号公報によるサンドブラストでは、ロールテクスチャーの細かな調整は不可能であり、よって鋳造する鋼ストリップの厚さに応じた最適なロールテクスチャーを得ることはできない。
【0014】
又、USP4250950では、凸部のピッチ面積に対する頂上部面積の割合を50%以下としているが、このようにピッチ面積に対する頂上部面積の割合を50%以下にしても鋳造する鋼ストリップの厚さに応じた最適なロールテクスチャーとすることについては記載されていない。
【0015】
又、特開平11−179494号公報では突起の直径Dを0.2mm以上としているが、直径0.2mm以上の突起は2mm厚以下の薄い鋼ストリップを鋳造するには大き過ぎ、2mm厚以下の鋼ストリップの鋳造には不適当である。
【0016】
このように、従来から提案されている双ロール連鋳機は、2mm厚以上の金属帯板を鋳造するものが主体であって、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを安定して鋳造するための技術に言及したものは存在しなかった。
【0017】
本発明は、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを鋳造する際に、その厚みに応じて鋳造ロールによる割れをなくし凝固殻厚みを板幅方向に均一化させ、それにより品質の良い鋼ストリップを安定して製造できるようにした双ロール式連鋳機の鋳造ロールを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを連続鋳造する双ロール連鋳機の鋳造ロールのロール表面に截頭四角錐形の凸部を形成し、該凸部の形状が、鋼ストリップの厚みをt、凸部のピッチをp、凸部の高さをhとしたとき
【数4】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
であり、且つ
【数5】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
であることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の鋳造ロールに形成する截頭四角錐形の凸部頭頭頂部に、中心部高さが0〜200μm/mmで各稜線方向に勾配を有する突状面を設けたことを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の鋳造ロールが、C=0.08〜0.06Wt%含有の包晶鋼のような割れ易い組成の鋼ストリップの鋳造に用いられることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の鋳造ロールにおいて、凸部の頭頂部幅をaとしたとき
【数6】
0.5<(a/p)2<0.9 ・・・(3)
であることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の鋳造ロールが、Si−Mn含有の低炭素鋼のような比較的割れ難い組成の鋼ストリップの鋳造に用いられることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の鋳造ロールのロール表面に備えられる截頭四角錐形の凸部が、機械加工により単一模様に刻設されていることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0024】
上記手段では以下のように作用する。
【0025】
請求項1、2、3記載の発明によれば、2mm厚以下の鋼ストリップの鋳造において、鋳造ロールのロール表面に截頭四角錐形の凸部を形成し、該凸部の形状が、鋼ストリップの厚みをt、凸部のピッチをp、凸部の高さをhとしたとき
【数7】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
であり、且つ
【数8】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
を満足するようにしたことにより、再溶解や膨れ、或いは割れ等が生じない良好な品質の鋼ストリップを製造することができる。従って、2mm厚以下の材料で、且つ鋳造鋼ストリップの組成がC=0.08〜0.06Wt%の包晶鋼のような割れ易い材質の場合においても、式(1)、式(2)により割れのない良好な鋼ストリップを安定して鋳造できる。
【0026】
請求項4、5記載の発明によれば、請求項1、2記載の条件に加えて、凸部の頭頂部幅をaとしたとき
【数9】
0.5<(a/p)2<0.9 ・・・(3)
を満足するようにしたことにより、Si−Mn含有の低炭素鋼のような比較的割れ難い組成の鋼ストリップの鋳造に用いて生産性能力を大幅に高められる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、機械加工によって、ピッチ、高さ、頭頂部幅が調整可能な截頭四角錐形の凸部を形成できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
本発明者等は、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを双ロール連鋳機にて鋳造する際に、鋼ストリップ厚みと鋳造ロールの表面粗さとの相関関係に着目して種々試験を実施し、検討及び検証を行った。その結果、
1) 凝固の初期には、エア接触による抜熱と、相対的に凸部の頭頂部の直接接触による抜熱が大きいこと。
2) そして、凝固初期には凸部の頭頂部に対する接触部を核として凝固を開始するため、凝固殻形成時に凸部のピッチ幅の凝固歪みが発生しない領域を生じ、それが略凸部のピッチと同等の凝固殻厚さの層を形成すること。
3) そして、その表裏両面での効果により、ある厚さまで凝固割れ防止効果が生じる。又、凸部のピッチが大きいと、薄い鋼ストリップでは凝固不十分による欠陥が発生すること。
が判明した。
【0030】
これは、前記鋳型の内壁面と溶湯間に溶融ガラスの潤滑剤を流下させて鋳造するスラブの鋳造と異なり、鋳造厚みが薄いために潤滑剤を使えない鋼ストリップの鋳造において割れをなくすための必須技術条件であり、鋼ストリップの厚みと、凸部のピッチと、凸部の高さの相関関係について注目し検討を重ねた。
【0031】
そして、上記鋼ストリップの厚みと、凸部のピッチと、凸部の高さの相関関係について検討するには、任意のピッチと任意の高さの凸部をロール表面に形成する必要がある。
【0032】
このため、図1に示すように、先ず鋳造ロール1の表面に、バイト等による機械加工によって截頭四角錐形の単一模様の凸部2を刻設してテクスチャーを形成した。この凸部2の形成時、図2に示す均一外径に仕上げられた鋳造ロール1の外周面に、鋳造ロール1の回転とバイトの送りを同時に行って溝加工する操作を、一端側からと他端側から行い略90゜で溝を交差させることにより、截頭四角錐形の凸部2を形成する。或いは、図3に示すように、鋳造ロール1の軸心と平行に溝加工する操作と鋳造ロール1を回転しながら周方向に溝加工する操作を行うことにより、截頭四角錐形の凸部2を形成するようにしてもよい。
【0033】
図4に示す双ロール連鋳機の鋳造ロール1を用いて2mm厚以下の鋼ストリップ3を鋳造する際の鋼ストリップ3の厚みtと、前記鋳造ロール1のロール表面に形成した凸部2のピッチpとの関係について実験と解析を行ったところ、下記表1の結果を得た。表1は安定して割れがない鋼ストリップ3を鋳造することができた凸部2のピッチpの範囲を表わしている。表1から、2mm厚以下の鋼ストリップ3の鋳造では、鋼ストリップ3の厚みtと凸部2のピッチpとは比例関係にあることが判明した。
【0034】
【表1】
鋼ストリップの厚みt 凸部のピッチp より好ましい凸部のピッチp
2.0mm 0.1 〜0.3mm 0.12 〜0.2mm
1.5mm 0.075〜0.20mm 0.09 〜0.15mm
1.0mm 0.05 〜0.15mm 0.06 〜0.10mm
0.5mm 0.025〜0.075mm 0.03 〜0.05mm
0.10mm 0.005〜0.015mm 0.006〜0.010mm
【0035】
上記実験と解析から、2mm厚以下の薄い鋼ストリップ3を安定して鋳造するには、以下の条件を満たす必要があることを見出した。
【0036】
即ち、2mm厚以下の鋼ストリップ3を鋳造する時、ロール表面に図1に示す截頭四角錐形の凸部2を形成し、鋼ストリップ3の厚みをt、凸部2のピッチをpとしたとき
【数10】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
を満足する凸部2の形状とする。
【0037】
又、実験と解析を行った結果、2mm厚以下の鋼ストリップ3の鋳造では、鋼ストリップ3の厚みtと凸部2の高さhも比例関係にあり、更に、凸部2のピッチpと凸部2の高さhも比例関係にあることが判明した。
【0038】
そしてこのことから、2mm厚以下の薄い鋼ストリップ3を安定して鋳造するには、以下の条件を満たす必要があることを見出した。即ち、
【数11】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
を満足する凸部2の形状とする。
【0039】
上記式(1)によると、鋼ストリップ3の厚みtが小さい程凸部2のピッチpは小さくなり、又、式(2)に示すように、凸部2のピッチpが小さくなる程凸部2の高さhは小さくなる。
【0040】
2mm厚以下の鋼ストリップ3の鋳造において、式(1)、式(2)のように鋼ストリップ3の厚みtに対応して、凸部2のピッチpと凸部2の高さhの関係を設定することにより、鋼ストリップ3の厚みに応じたエアギャップを凝固殻と鋳造ロール1表面との間に介在させることが可能となり、よって凝固殻が均等に冷却され凝固殻厚みが板幅方向に均一化されて、再溶解や膨れ、或いは割れと言った問題が生じない良好な品質の鋼ストリップ3を鋳造することができる。
【0041】
上記式(1)、式(2)によれば、2mm厚以下の割れ易い材料、例えば特に鋳造ストリップの組成がC=0.08〜0.06Wt%の包晶鋼に近い割れ易い材質の鋳造においても、割れのない良好な鋼ストリップ3を鋳造することができる。
【0042】
又、鋳造ロール1外周面の截頭四角錐形の凸部2の頭頂部を、図1に示したように平面ではなく、図5に示すように4方向に傾斜した突状面4とすることができる。この突状面4は、中心部5の高さが0〜200μm/mmで各稜線6方向に向かう下り勾配を有している。又、図5の中心部5に平坦部を形成するようにしてもよい。
【0043】
図5に示したように凸部2に突状面4を設けると、更に良好な均一凝固殻を形成することができる。その挙動を考察すると、凝固開始点についてみれば、鋳造ロール1外周の一定箇所(溶湯プールと鋳造ロール1外周との交差する稜線部)で凝固核の生成が開始するが、凝固核の形成状態は頭頂部が平面より凸状の頂点を設けた方が生成のバラツキがなく、安定して幅方向の各頂点に形成しやすい。更に、鋳造ロール1の回転が進むにつれ凝固核が成長し、各凝固核がつながることにより安定した凝固殻の生成ができる。
【0044】
更に、前記したように機械加工にて側面形状が略台形になるように形成した截頭四角錐形の凸部2は、前記式(1)、式(2)の条件に加えて截頭四角錐形の凸部2の頭頂部幅を特定することができる。
【0045】
即ち、凸部2の頭頂部幅をaとしたとき
【数12】
0.5<(a/p)2<0.9 ・・・(3)
を満足する凸部2の形状とする。
【0046】
上記式(3)に示すように凸部2のピッチpと頭頂部幅aとは一次の比例関係となる。
【0047】
式(3)のa/pは大きいほど凝固歪みが大きくなるが、凝固生産能力は上昇する。そのため、比較的割れ難い材料、例えば特にSi−Mn含有の低炭素鋼のような割れ難い材料では式(3)を適用することにより、生産能力を大幅に高めることができる。尚、式(3)のa/pをa/hに置き換えても同様の効果を示した。
【0048】
従って、鋳造ストリップの組成がC=0.08〜0.06Wt%の包晶鋼のような割れ易い材質の場合には、前記式(1)、式(2)を適用することにより割れの問題を生じない良好な鋳造が可能になり、又、前記以外の比較的割れ難い材質、例えばSi−Mn含有の低炭素鋼等の場合には式(3)を適用することにより生産性を大幅に高めることができる。
【0049】
又、鋳造ロール1のロール端部のクラウンや抜熱を部分的に強化したい場合がある。例えばロール端部と中央部とではロールの幅方向中央が溶鋼側にふくらみロールクラウンを生じる。そのため、機械加工による加工幅をロール幅方向に若干変化させて、前記凸部2の高さh、凸部2の頭頂部幅aを変えることによりロール幅方向のクラウンを変えられることが分かった。
【0050】
尚、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、截頭四角錐形の凸部の形状は図示例以外の形状であってもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0051】
【発明の効果】
請求項1、2、3記載の発明では、2mm厚以下の鋼ストリップの鋳造において、鋳造ロールのロール表面に截頭四角錐形の凸部を形成し、該凸部の形状が、鋼ストリップの厚みをt、凸部のピッチをp、凸部の高さをhとしたとき
【数13】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
であり、且つ
【数14】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
を満足するようにしたことにより、再溶解や膨れ、或いは割れ等が生じない良好な品質の鋼ストリップを製造することができる。従って、2mm厚以下の材料で、且つ鋳造ストリップの組成がC=0.08〜0.06Wt%の包晶鋼のような割れ易い材質の場合においても、式(1)、式(2)により割れのない良好な鋼ストリップを安定して鋳造できる効果がある。
【0052】
請求項4、5記載の発明では、請求項1、2記載の条件に加えて、凸部の頭頂部幅をaとしたとき
【数15】
0.5<(a/p)2<0.9 ・・・(3)
を満足するようにしたことにより、Si−Mn含有の低炭素鋼のような比較的割れ難い組成の鋼ストリップの鋳造に用いて生産性能力を大幅に高められる効果がある。
【0053】
請求項6記載の発明では、機械加工によって、ピッチ、高さ、頭頂部幅が調整可能な截頭四角錐形の凸部を形成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の双ロール連鋳機の鋳造ロールのロール表面に形成した截頭四角錐形の凸部の形状例を示す斜視図である。
【図2】鋳造ロールのロール表面に凸部を形成する方法の一例を示す側面図である。
【図3】鋳造ロールのロール表面に凸部を形成する方法の他の例を示す側面図である。
【図4】双ロール連鋳機の鋳造ロールにより鋼ストリップを鋳造している状態を示す正面図である。
【図5】本発明の双ロール連鋳機の鋳造ロールのロール表面に形成した截頭四角錐形の凸部の他の形状例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鋳造ロール
2 凸部
3 鋼ストリップ
4 突状面
5 中心部
6 稜線
a 凸部の頭頂部幅
h 凸部の高さ
p 凸部のピッチ
t 鋼ストリップの厚み
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転する一対の鋳造ロール間で溶湯を冷却して2mm厚以下の薄い鋼ストリップを鋳造するのに適した双ロール連鋳機の鋳造ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
双ロール連鋳機は、一対の鋳造ロール間にプールされた溶湯を鋳造ロールで冷却することにより金属帯板を直接製造するものであり、構造が簡単で経済的な製造技術である。然るに、この双ロール連鋳機においては、溶湯が冷却される区間が短いことにより生産量を確保するためには溶湯を急冷する必要があることから、鋳造ロール表面に造形される凝固殻の割れを防止することと厚みを幅方向に一様にすることが技術的に困難である。
【0003】
従来から知られている双ロール連鋳機では、振動される鋳型の内壁面と溶湯間に溶融ガラスの潤滑剤を流下させ、溶湯を緩冷却する方法がとられていた。このように緩冷却を行えば割れがない凝固殻が得られることが知られている。しかし緩冷却のため、鋳型で全厚み分の凝固を行うことはできない。従って鋳型から出た後の鋳片内部は未凝固状態にあり、鋳型以降の鋳片内部溶鋼は、その静圧に対して多数のローラ群により支持し、且つ冷却はローラ間からスプレーにより冷却され、鋳片全厚みに対する凝固作業が行われる。
【0004】
然るに双ロール連鋳機では、鋳造ロール間の最狭隙部以降、特に最狭隙部の直後に前記のようなローラ群を配置することはスペース的に困難である。従って、鋳造ロール間の最狭隙部以降の鋳片冷却は実開昭58−157250号公報に見られるような冷却シュを設けて実施されることになるが、このような冷却シュを出側に設けることは、鋳造初期に於ける溶湯の洩れによるかぶれが発生し易く実用上問題となる。
【0005】
以上のような理由から、近年の双ロール連鋳機では一対の鋳造ロール間に注湯された溶湯のプールが鋳造ロールと接触する間に急速に冷却し、鋳造ロールの最狭隙部以降での冷却を不要にしても品質の良い鋳片が得られる双ロール連鋳機の鋳造技術の研究開発が進められている。
【0006】
そして、2〜6mm厚の金属帯板を連続鋳造するに当たり、上記金属帯板の形状不良に対する検討が種々行われた結果、一対の鋳造ロール間にプールされた溶湯より凝固殻を形成させる過程において凝固殻形成時の抜熱が不均一になり、これが形状不良の原因となっていることが判明した。この問題の対策として、鋳造ロールと凝固殻との間にエアーギャップを設けるべくロール表面に凹凸肌面(ロールテクスチャー)を形成することが提案され、ロール表面に設けた凸部のピッチと溶湯の表面張力との観点より検証が行われた結果、次に示すような従来技術が提案された。
【0007】
特公平7−24924号公報による双ロール連鋳機は、ロール表面の目粗しを行い、ロール表面に形成される凝固殻に関して凝固する際の抜熱を均等に行わせて品質向上を図ることを目的としてなしたもので、ロール表面にショットブラストを施して凹凸を形成し、該凹凸が平均深さ4μmで点状となるようにしてエアーギャップを形成している。
【0008】
又、USP4250950には、上記と同様の目的で、
1)凸部ピッチ(d)を0.05mm〜1mmとし、且つ0.05d2<凸部上部面積(f)<0.5d2
2)凸部ピッチ(d)を0.2mm〜0.5mmとし、更に0.1d<凸部高さ(h)<d、更に、0.1d2<凸部上部面積(f)<0.25d2、機械加工する場合は、0.15d<凸部高さ(h)<0.4d
のロール表面粗さを開示し、凸部のピッチ面積に対する頂上部面積の割合を50%以下と制限している。
【0009】
又、特開平11−179494号公報には、前記と同様の目的で、フォトエッチング或いはレーザ加工により形成する突起の高さHは20μm以上であり、突起の直径Dは0.2mm以上、1mm以下であり、突起の最近接間隔Wは0.2mm以上、1mm以下としている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、双ロール連鋳機を用いて2mm厚以下、更には1mm厚以下の薄い鋼ストリップを製造することが要求されるようになってきている。
【0011】
しかし、従来から提案されている双ロール連鋳機は、2mm厚以上、例えば2mm厚〜6mm厚の厚い金属帯板の鋳造を対象としており、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを連続鋳造することについては提案されていない。
【0012】
従って、従来より提案されている凹凸のロールテクスチャーを備えた鋳造ロールを2mm厚以下の薄い鋼ストリップの鋳造に用いても、鋳造ロールを出たところで再溶解、膨れを生じたり、或いは割れが生じる等の問題が生じて鋼ストリップを品質良く安定して製造することはできない。
【0013】
更に、前記特公平7−24924号公報によるサンドブラストでは、ロールテクスチャーの細かな調整は不可能であり、よって鋳造する鋼ストリップの厚さに応じた最適なロールテクスチャーを得ることはできない。
【0014】
又、USP4250950では、凸部のピッチ面積に対する頂上部面積の割合を50%以下としているが、このようにピッチ面積に対する頂上部面積の割合を50%以下にしても鋳造する鋼ストリップの厚さに応じた最適なロールテクスチャーとすることについては記載されていない。
【0015】
又、特開平11−179494号公報では突起の直径Dを0.2mm以上としているが、直径0.2mm以上の突起は2mm厚以下の薄い鋼ストリップを鋳造するには大き過ぎ、2mm厚以下の鋼ストリップの鋳造には不適当である。
【0016】
このように、従来から提案されている双ロール連鋳機は、2mm厚以上の金属帯板を鋳造するものが主体であって、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを安定して鋳造するための技術に言及したものは存在しなかった。
【0017】
本発明は、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを鋳造する際に、その厚みに応じて鋳造ロールによる割れをなくし凝固殻厚みを板幅方向に均一化させ、それにより品質の良い鋼ストリップを安定して製造できるようにした双ロール式連鋳機の鋳造ロールを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを連続鋳造する双ロール連鋳機の鋳造ロールのロール表面に截頭四角錐形の凸部を形成し、該凸部の形状が、鋼ストリップの厚みをt、凸部のピッチをp、凸部の高さをhとしたとき
【数4】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
であり、且つ
【数5】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
であることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の鋳造ロールに形成する截頭四角錐形の凸部頭頭頂部に、中心部高さが0〜200μm/mmで各稜線方向に勾配を有する突状面を設けたことを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の鋳造ロールが、C=0.08〜0.06Wt%含有の包晶鋼のような割れ易い組成の鋼ストリップの鋳造に用いられることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の鋳造ロールにおいて、凸部の頭頂部幅をaとしたとき
【数6】
0.5<(a/p)2<0.9 ・・・(3)
であることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の鋳造ロールが、Si−Mn含有の低炭素鋼のような比較的割れ難い組成の鋼ストリップの鋳造に用いられることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の鋳造ロールのロール表面に備えられる截頭四角錐形の凸部が、機械加工により単一模様に刻設されていることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール、に係るものである。
【0024】
上記手段では以下のように作用する。
【0025】
請求項1、2、3記載の発明によれば、2mm厚以下の鋼ストリップの鋳造において、鋳造ロールのロール表面に截頭四角錐形の凸部を形成し、該凸部の形状が、鋼ストリップの厚みをt、凸部のピッチをp、凸部の高さをhとしたとき
【数7】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
であり、且つ
【数8】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
を満足するようにしたことにより、再溶解や膨れ、或いは割れ等が生じない良好な品質の鋼ストリップを製造することができる。従って、2mm厚以下の材料で、且つ鋳造鋼ストリップの組成がC=0.08〜0.06Wt%の包晶鋼のような割れ易い材質の場合においても、式(1)、式(2)により割れのない良好な鋼ストリップを安定して鋳造できる。
【0026】
請求項4、5記載の発明によれば、請求項1、2記載の条件に加えて、凸部の頭頂部幅をaとしたとき
【数9】
0.5<(a/p)2<0.9 ・・・(3)
を満足するようにしたことにより、Si−Mn含有の低炭素鋼のような比較的割れ難い組成の鋼ストリップの鋳造に用いて生産性能力を大幅に高められる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、機械加工によって、ピッチ、高さ、頭頂部幅が調整可能な截頭四角錐形の凸部を形成できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
本発明者等は、2mm厚以下の薄い鋼ストリップを双ロール連鋳機にて鋳造する際に、鋼ストリップ厚みと鋳造ロールの表面粗さとの相関関係に着目して種々試験を実施し、検討及び検証を行った。その結果、
1) 凝固の初期には、エア接触による抜熱と、相対的に凸部の頭頂部の直接接触による抜熱が大きいこと。
2) そして、凝固初期には凸部の頭頂部に対する接触部を核として凝固を開始するため、凝固殻形成時に凸部のピッチ幅の凝固歪みが発生しない領域を生じ、それが略凸部のピッチと同等の凝固殻厚さの層を形成すること。
3) そして、その表裏両面での効果により、ある厚さまで凝固割れ防止効果が生じる。又、凸部のピッチが大きいと、薄い鋼ストリップでは凝固不十分による欠陥が発生すること。
が判明した。
【0030】
これは、前記鋳型の内壁面と溶湯間に溶融ガラスの潤滑剤を流下させて鋳造するスラブの鋳造と異なり、鋳造厚みが薄いために潤滑剤を使えない鋼ストリップの鋳造において割れをなくすための必須技術条件であり、鋼ストリップの厚みと、凸部のピッチと、凸部の高さの相関関係について注目し検討を重ねた。
【0031】
そして、上記鋼ストリップの厚みと、凸部のピッチと、凸部の高さの相関関係について検討するには、任意のピッチと任意の高さの凸部をロール表面に形成する必要がある。
【0032】
このため、図1に示すように、先ず鋳造ロール1の表面に、バイト等による機械加工によって截頭四角錐形の単一模様の凸部2を刻設してテクスチャーを形成した。この凸部2の形成時、図2に示す均一外径に仕上げられた鋳造ロール1の外周面に、鋳造ロール1の回転とバイトの送りを同時に行って溝加工する操作を、一端側からと他端側から行い略90゜で溝を交差させることにより、截頭四角錐形の凸部2を形成する。或いは、図3に示すように、鋳造ロール1の軸心と平行に溝加工する操作と鋳造ロール1を回転しながら周方向に溝加工する操作を行うことにより、截頭四角錐形の凸部2を形成するようにしてもよい。
【0033】
図4に示す双ロール連鋳機の鋳造ロール1を用いて2mm厚以下の鋼ストリップ3を鋳造する際の鋼ストリップ3の厚みtと、前記鋳造ロール1のロール表面に形成した凸部2のピッチpとの関係について実験と解析を行ったところ、下記表1の結果を得た。表1は安定して割れがない鋼ストリップ3を鋳造することができた凸部2のピッチpの範囲を表わしている。表1から、2mm厚以下の鋼ストリップ3の鋳造では、鋼ストリップ3の厚みtと凸部2のピッチpとは比例関係にあることが判明した。
【0034】
【表1】
鋼ストリップの厚みt 凸部のピッチp より好ましい凸部のピッチp
2.0mm 0.1 〜0.3mm 0.12 〜0.2mm
1.5mm 0.075〜0.20mm 0.09 〜0.15mm
1.0mm 0.05 〜0.15mm 0.06 〜0.10mm
0.5mm 0.025〜0.075mm 0.03 〜0.05mm
0.10mm 0.005〜0.015mm 0.006〜0.010mm
【0035】
上記実験と解析から、2mm厚以下の薄い鋼ストリップ3を安定して鋳造するには、以下の条件を満たす必要があることを見出した。
【0036】
即ち、2mm厚以下の鋼ストリップ3を鋳造する時、ロール表面に図1に示す截頭四角錐形の凸部2を形成し、鋼ストリップ3の厚みをt、凸部2のピッチをpとしたとき
【数10】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
を満足する凸部2の形状とする。
【0037】
又、実験と解析を行った結果、2mm厚以下の鋼ストリップ3の鋳造では、鋼ストリップ3の厚みtと凸部2の高さhも比例関係にあり、更に、凸部2のピッチpと凸部2の高さhも比例関係にあることが判明した。
【0038】
そしてこのことから、2mm厚以下の薄い鋼ストリップ3を安定して鋳造するには、以下の条件を満たす必要があることを見出した。即ち、
【数11】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
を満足する凸部2の形状とする。
【0039】
上記式(1)によると、鋼ストリップ3の厚みtが小さい程凸部2のピッチpは小さくなり、又、式(2)に示すように、凸部2のピッチpが小さくなる程凸部2の高さhは小さくなる。
【0040】
2mm厚以下の鋼ストリップ3の鋳造において、式(1)、式(2)のように鋼ストリップ3の厚みtに対応して、凸部2のピッチpと凸部2の高さhの関係を設定することにより、鋼ストリップ3の厚みに応じたエアギャップを凝固殻と鋳造ロール1表面との間に介在させることが可能となり、よって凝固殻が均等に冷却され凝固殻厚みが板幅方向に均一化されて、再溶解や膨れ、或いは割れと言った問題が生じない良好な品質の鋼ストリップ3を鋳造することができる。
【0041】
上記式(1)、式(2)によれば、2mm厚以下の割れ易い材料、例えば特に鋳造ストリップの組成がC=0.08〜0.06Wt%の包晶鋼に近い割れ易い材質の鋳造においても、割れのない良好な鋼ストリップ3を鋳造することができる。
【0042】
又、鋳造ロール1外周面の截頭四角錐形の凸部2の頭頂部を、図1に示したように平面ではなく、図5に示すように4方向に傾斜した突状面4とすることができる。この突状面4は、中心部5の高さが0〜200μm/mmで各稜線6方向に向かう下り勾配を有している。又、図5の中心部5に平坦部を形成するようにしてもよい。
【0043】
図5に示したように凸部2に突状面4を設けると、更に良好な均一凝固殻を形成することができる。その挙動を考察すると、凝固開始点についてみれば、鋳造ロール1外周の一定箇所(溶湯プールと鋳造ロール1外周との交差する稜線部)で凝固核の生成が開始するが、凝固核の形成状態は頭頂部が平面より凸状の頂点を設けた方が生成のバラツキがなく、安定して幅方向の各頂点に形成しやすい。更に、鋳造ロール1の回転が進むにつれ凝固核が成長し、各凝固核がつながることにより安定した凝固殻の生成ができる。
【0044】
更に、前記したように機械加工にて側面形状が略台形になるように形成した截頭四角錐形の凸部2は、前記式(1)、式(2)の条件に加えて截頭四角錐形の凸部2の頭頂部幅を特定することができる。
【0045】
即ち、凸部2の頭頂部幅をaとしたとき
【数12】
0.5<(a/p)2<0.9 ・・・(3)
を満足する凸部2の形状とする。
【0046】
上記式(3)に示すように凸部2のピッチpと頭頂部幅aとは一次の比例関係となる。
【0047】
式(3)のa/pは大きいほど凝固歪みが大きくなるが、凝固生産能力は上昇する。そのため、比較的割れ難い材料、例えば特にSi−Mn含有の低炭素鋼のような割れ難い材料では式(3)を適用することにより、生産能力を大幅に高めることができる。尚、式(3)のa/pをa/hに置き換えても同様の効果を示した。
【0048】
従って、鋳造ストリップの組成がC=0.08〜0.06Wt%の包晶鋼のような割れ易い材質の場合には、前記式(1)、式(2)を適用することにより割れの問題を生じない良好な鋳造が可能になり、又、前記以外の比較的割れ難い材質、例えばSi−Mn含有の低炭素鋼等の場合には式(3)を適用することにより生産性を大幅に高めることができる。
【0049】
又、鋳造ロール1のロール端部のクラウンや抜熱を部分的に強化したい場合がある。例えばロール端部と中央部とではロールの幅方向中央が溶鋼側にふくらみロールクラウンを生じる。そのため、機械加工による加工幅をロール幅方向に若干変化させて、前記凸部2の高さh、凸部2の頭頂部幅aを変えることによりロール幅方向のクラウンを変えられることが分かった。
【0050】
尚、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、截頭四角錐形の凸部の形状は図示例以外の形状であってもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0051】
【発明の効果】
請求項1、2、3記載の発明では、2mm厚以下の鋼ストリップの鋳造において、鋳造ロールのロール表面に截頭四角錐形の凸部を形成し、該凸部の形状が、鋼ストリップの厚みをt、凸部のピッチをp、凸部の高さをhとしたとき
【数13】
0.1<p/(t/2)<0.3 ・・・(1)
であり、且つ
【数14】
0.005<(h/t)<0.05 ・・・(2)
を満足するようにしたことにより、再溶解や膨れ、或いは割れ等が生じない良好な品質の鋼ストリップを製造することができる。従って、2mm厚以下の材料で、且つ鋳造ストリップの組成がC=0.08〜0.06Wt%の包晶鋼のような割れ易い材質の場合においても、式(1)、式(2)により割れのない良好な鋼ストリップを安定して鋳造できる効果がある。
【0052】
請求項4、5記載の発明では、請求項1、2記載の条件に加えて、凸部の頭頂部幅をaとしたとき
【数15】
0.5<(a/p)2<0.9 ・・・(3)
を満足するようにしたことにより、Si−Mn含有の低炭素鋼のような比較的割れ難い組成の鋼ストリップの鋳造に用いて生産性能力を大幅に高められる効果がある。
【0053】
請求項6記載の発明では、機械加工によって、ピッチ、高さ、頭頂部幅が調整可能な截頭四角錐形の凸部を形成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の双ロール連鋳機の鋳造ロールのロール表面に形成した截頭四角錐形の凸部の形状例を示す斜視図である。
【図2】鋳造ロールのロール表面に凸部を形成する方法の一例を示す側面図である。
【図3】鋳造ロールのロール表面に凸部を形成する方法の他の例を示す側面図である。
【図4】双ロール連鋳機の鋳造ロールにより鋼ストリップを鋳造している状態を示す正面図である。
【図5】本発明の双ロール連鋳機の鋳造ロールのロール表面に形成した截頭四角錐形の凸部の他の形状例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鋳造ロール
2 凸部
3 鋼ストリップ
4 突状面
5 中心部
6 稜線
a 凸部の頭頂部幅
h 凸部の高さ
p 凸部のピッチ
t 鋼ストリップの厚み
Claims (6)
- 請求項1記載の鋳造ロールに形成する截頭四角錐形の凸部頭頂部に、中心部高さが0〜200μm/mmで各稜線方向に勾配を有する突状面を設けたことを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール。
- 請求項1又は2記載の鋳造ロールが、C=0.08〜0.06Wt%含有の包晶鋼のような割れ易い組成の鋼ストリップの鋳造に用いられることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール。
- 請求項4記載の鋳造ロールが、Si−Mn含有の低炭素鋼のような比較的割れ難い組成の鋼ストリップの鋳造に用いられることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の鋳造ロールのロール表面に備えられる截頭四角錐形の凸部が、機械加工により単一模様に刻設されていることを特徴とする双ロール連鋳機の鋳造ロール。
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US8122937B2 (en) | 2007-10-12 | 2012-02-28 | Nucor Corporation | Method of forming textured casting rolls with diamond engraving |
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-
2002
- 2002-07-15 JP JP2002205832A patent/JP2004042128A/ja active Pending
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US8267152B2 (en) | 2009-01-09 | 2012-09-18 | Mitsubishi-Hitachi Metals Machinery, Inc. | Twin-roll continuous caster |
DE102009060322B4 (de) * | 2009-01-09 | 2016-01-21 | Primetals Technologies Japan, Ltd. | Doppelwalzen-Stranggussvorrichtung |
CN113458349A (zh) * | 2021-07-27 | 2021-10-01 | 山东理工大学 | 一种仿生结晶辊及应用该结晶辊的双辊铸轧系统 |
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