次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。
図1は本発明の実施例のパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3はパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図であり、図4は制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図である。
[パチンコ機10の全体構成]
本実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホール(ホールともいう)の島設備の島枠に固定される。
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、前面枠11の遊技盤30の周囲の左側と右側には、遊技の進行に伴う演出に合わせて発光する枠ランプ(LEDランプ)93a,93bが2つずつ設けられている。また、前面枠11の右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられており、ホールの関係者(店員)などが施錠装置29に鍵を差し込んで回すことにより施錠装置29が解錠されて前面枠11を前方に開放することができるようになっている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
上受け皿14は、その上面部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24と、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン25とが配設されている。また、上受け皿14は、その上面中央部には、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26と、左右の方向ボタン26a,26bとが配設されている。なお、演出ボタン26と左右の方向ボタン26a,26bとをまとめて、「操作ボタン」(入力手段,操作手段)ともいう。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の左部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(図3参照)を有する普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右下部に配置された図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置された演出表示装置34と、演出表示装置34の周囲に配置され可動役物50が設けられたセンター役物49と、センター役物49の下側に配置され遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ36a(図3参照)を有する第1始動口36と、センター役物49の左部に形成され遊技球の入球を検知する第2始動口スイッチ38a(図3参照)を有する第2始動口38(「可変始動口」ともいう)と、遊技領域31の右下部に開閉可能に配置され遊技球の入球を検知する大入賞口スイッチ44a(図3参照)を有する大入賞口44(「可変入球口」ともいう)と、遊技領域31の左下部に配置され一般入賞口スイッチ45a(図3参照)を有する一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口46と、を備える。図柄表示装置40は、普通図柄作動ゲート32を遊技球が通過することに基づいて変動表示される普通図柄を表示(変動表示および停止表示)する普通図柄表示装置や、第1始動口36や第2始動口38への遊技球の入球に基づいて変動表示される特別図柄を表示(変動表示および停止表示)する特別図柄表示装置などを備える。また、演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出や予告演出などの様々な演出表示が行われたり、遊技に関する各種情報が表示されたりする。なお、遊技盤30は、この他に、第2始動口38の下側には風車47が設けられ、上述した各入賞口の周辺には遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘が設けられている。
第2始動口38は、普通電動役物として設けられる可変式の入球口であり、翼片部38cと、翼片部38cを作動させる第2始動口ソレノイド38b(図3参照)と、を備える。この第2始動口38は、翼片部38cが直立しているときには遊技球の入球の可能性が比較的低い通常状態(第1態様)となり(図2の点線参照)、翼片部38cが左側に開いているときには遊技球の入球の可能性が通常状態よりも高い開放状態(第2態様)となる(図2の実線参照)。なお、本実施例では、翼片部38cが直立した通常状態においては、第2始動口38への遊技球の入球が不可能となるように構成されている。
大入賞口44は、特別電動役物として設けられる可変式の入球口であり、開閉板44cと、開閉板44cを作動させる大入賞口ソレノイド44b(図3参照)と、を備える。この大入賞口44は、通常は開閉板44cによって塞がれて遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、大当り遊技(特定遊技)のときに、大入賞口ソレノイド44b(図3参照)によって開閉板44cが作動して手前側に開くことで、遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)となる。
可動役物50は、センター役物49の上部中央に配置され月の形の可動物が作動する第1可動役物51(月役物,第1演出手段)と、センター役物49の上部左側に配置され刀の形の可動物が作動する第2可動役物52(刀役物,第2演出手段)との2つの役物を備える。第1可動役物51は、ステップモータなどの装飾モータ51a(図4参照)の駆動により、原点位置(初期位置,待機位置,図2中の実線位置)と可動位置(作動位置,移動位置,図2中の点線位置)との間で作動(移動,往復動)する。第2可動役物52は、ステップモータなどの装飾モータ52a(図4参照)の駆動により、原点位置(図2中の実線位置)と可動位置(図2中の点線位置)との間で作動(移動,往復動)する。また、可動役物50(第1可動役物51と第2可動役物52)には、パチンコ機10が工場から出荷されてホールに納入されるまでの移動中(運搬中)に無闇に作動することがないように、作動を規制する緩衝材(作動規制部材)が取り付けられている。この緩衝材は、可動役物50(可動物)の裏側に嵌め込まれるように取り付けられているため、緩衝材が取り付けられた状態で装飾モータ51a,52aを駆動しても、第1可動役物51,第2可動役物52が作動することはない。このため、パチンコ機10がホールに納入されると、ホールの関係者やパチンコ機10の納入者などは、第1可動役物51や第2可動役物52を作動させる前に、前面枠11を開放して緩衝材を取り外す必要がある。なお、可動役物50(第1可動役物51,第2可動役物52)は、遊技盤30に設けられるものを例示したが、前面枠11に設けられるものなどとしてもよい。
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、第1始動口36が演出表示装置34(センター役物49)の下側に配置されており、大当り遊技でない通常遊技のときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側(演出表示装置34の左側領域)に流下させるように発射ハンドル18の回転操作(所謂左打ち)を行うことにより、遊技球を第1始動口36に入球させることができる。また、普通図柄作動ゲート32および第2始動口38が演出表示装置34の左側に配置されており、遊技者は左打ちを行うことにより、遊技球を普通図柄作動ゲート32に通過させることができる。普通図柄作動ゲート32への遊技球の通過に基づいて変動表示される普通図柄が当りになると、第2始動口38が開放する。第2始動口38が開放すると、遊技者は左打ちを継続することにより、遊技球を第2始動口38に入球させることができる。第1始動口36や第2始動口38への遊技球の入球に基づいて変動表示される特別図柄が当り(大当り)になると、大入賞口44を開放する大当り遊技が開始される。大入賞口44は遊技領域31の右下部に配置されており、大当り遊技が開始されると、遊技者は遊技球を遊技領域31の右側領域に流下させるように発射ハンドル18の回転操作(所謂右打ち)を行うことにより、遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させて、開状態となった大入賞口44に入球させることができる。なお、第1始動口36や第2始動口38、大入賞口44、一般入賞口45への遊技球の入球に応じて所定数の賞球をそれぞれ払い出すことによって、遊技利益が遊技者に付与される。
[制御回路の構成]
次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,各種制御に必要な時間を計るタイマ(システムタイマ),周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、図3では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70cのみを図示し、その他については図示を省略した。
主制御基板70は、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、第1始動口スイッチ36aからの入球信号や第2始動口スイッチ38aからの入球信号,主制御基板70のRAM70cやサブ制御基板90のRAM90c(図4参照)などの各制御基板のRAMのクリア(初期化)を指示するRAMクリアスイッチ71からの操作信号が直接に入力されると共にゲートスイッチ32aからの通過信号や大入賞口スイッチ44aからの入球信号,一般入賞口スイッチ45aからの入球信号などが中継端子板72を介して入力されている。主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る図柄表示基板40aへの制御信号や第2始動口ソレノイド38bへの駆動信号,大入賞口ソレノイド44bへの駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。また、主制御基板70には、パチンコ機10の電源のオンオフを切り替えるオンオフスイッチ107からの操作信号などが電源基板105を介して入力される。主制御基板70は、オンオフスイッチ107が操作されて電源のオフからオンへの切替を指示する操作信号が入力されると、初期化処理などの電源投入に必要な電源投入処理を実行し、オンオフスイッチ107が操作されて電源のオンからオフへの切替を指示する操作信号が入力されると、各種情報のバックアップなどの電源遮断に必要な電源遮断処理を実行する。ここで、RAMクリアスイッチ71やオンオフスイッチ107は、パチンコ機10(本体)の裏側に設けられているため、ホールの関係者はRAMクリアスイッチ71やオンオフスイッチ107を操作する際に本体枠21を回動させてパチンコ機10(本体)の裏側に手を回す必要がある。また、主制御基板70は、ホールコンピュータ115と外部制御基板110を介して通信可能となっており、パチンコ機10の稼働状況を送信したり、異常発生時にエラー信号を送信したりする。
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24の操作を検知する球貸ボタンスイッチ24aや返却ボタン25の操作を検知する返却ボタンスイッチ25aからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号などが中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。
サブ制御基板90は、図4に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91やスピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、前面枠11に設けられた枠ランプ(LEDランプ)93a,93bを発光したりセンター役物49内の第1可動役物51,第2可動役物52をそれぞれ作動させるための装飾モータ51a,52aを駆動したりする装飾駆動基板93、演出ボタン26に設けられ演出ボタン26の操作を検知する演出ボタン操作検知スイッチ27からの操作信号や方向ボタン26a,26bに設けられ方向ボタン26a,26bの操作を検知する方向ボタン操作検知スイッチ27a,27bからの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。また、装飾駆動基板93には、第1可動役物51,第2可動役物52がそれぞれ原点位置にあることを検知可能な原点位置センサ51b,52bからの検知信号や第1可動役物51,第2可動役物52がそれぞれ可動位置にあることを検知可能な可動位置センサ51c,52cからの検知信号が入力される。なお、演出ボタン操作検知スイッチ27と方向ボタン操作検知スイッチ27a,27bとをまとめて、「操作検知スイッチ」(入力検知手段,操作検知手段)ともいう。
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立したときに発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関するデータを払出制御基板80を介して主制御基板70に送信する。
[主制御処理]
次に、こうして構成された実施例のパチンコ機10の動作について説明する。図5は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、初期設定などの電源投入時に必要な電源投入処理を実行した後(S100)、特定操作検知処理(S110)と、普通図柄遊技関連処理(S120)と、特別図柄遊技関連処理(S130)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、S110〜S130の処理に要する時間は約4msecとなっているため、これらの処理は約4msecの間隔で繰り返し実行されることになる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。
[電源投入処理]
S100の電源投入処理は、図6に示すフローチャートに従って実行される。電源投入処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、初期設定を行う(S200)。初期設定は、具体的には、スタックポインタを所定値に設定したり、RAM70cのライトを許可したりすることにより行う。次に、RAMクリアスイッチ71がオフされているか否か(S202)、バックアップが存在するか否かを判定する(S204)。S202でRAMクリアスイッチ71がオフされていると判定し、S204で正常なバックアップが存在すると判定すると、遊技状態を電源遮断時の状態に復帰させるための復帰処理を実行し(S206)、復帰コマンドをサブ制御基板90に送信して(S208)、電源投入処理を終了する。なお、復帰処理では、電源遮断前に記憶された各種遊技情報(賞球情報や大当り遊技に関する情報、各種遊技状態の設定状況に関する情報など)を読み出し、読み出した内容に基づいて遊技が再開されるよう各種遊技コマンドを生成して各基板に送信するなどの処理を行う。
S202でRAMクリアスイッチ71がオフされていない、即ちオンであると判定したり、RAMクリアスイッチ71がオフであってもS204でバックアップが存在しないと判定すると、RAM70cに格納されている各種情報を初期状態とするRAMクリア処理を行い(S210)、RAMクリアコマンドをサブ制御基板90に送信して(S212)、電源投入処理を終了する。なお、S204では、チェックサムが正常であるか否かを判定することにより、バックアップに異常が生じているか否かの判定も行われ、チェックサムが正常でない場合(バックアップに異常がある場合)には、S210に進んでRAM70cの初期化処理を行う。
[特定操作検知処理]
S110の特定操作検知処理は、図7に示すフローチャートに従って実行される。特定操作検知処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、前面枠11が開放されていることを示す枠開放フラグがオンであるか否かを判定し(S300)、枠開放フラグがオンでなくオフであると判定すると、枠開放スイッチ81からの検知信号に基づいて前面枠11が開放されたか否かを判定する(S302)。前面枠11が開放されてないと判定すると、そのまま特定操作検知処理を終了し、前面枠11が開放されたと判定すると、枠開放フラグをオンとして(S304)、次のS306の処理に進む。なお、S300で枠開放フラグがオンであると判定したときには、S302,S304の処理をスキップしてS306の処理に進む。
次に、枠開放スイッチ81からの検知信号に基づいて前面枠11が閉鎖されたか否かを判定し(S306)、前面枠11が閉鎖されていない、即ち前面枠11が開放されたままであると判定すると、枠開放フラグをオンとしたまま特定操作検知処理を終了する。一方、前面枠11が閉鎖されたと判定すると、枠開放フラグをオフとして(S308)、前面枠11の開閉操作が行われた回数を示す開閉回数Pを値1だけインクリメントする(S310)。そして、開閉回数Pが所定回数Pref以下であるか否か(S312)、現在の状態が非遊技状態であるか否か(S314)、をそれぞれ判定する。所定回数Prefは、本実施例では値1に定められている。このため、パチンコ機10の電源が投入されてから最初(初回)に前面枠11が開閉されたときにS312で肯定的に判定し、2回目以降に前面枠11が開閉されたときにS312で否定的に判定することになる。なお、所定回数Prefは、値1に限られず、値2以上としてもよい。また、S314の非遊技状態とは、図柄変動遊技や大当り遊技が行われていない状態であり、基本的には図6の電源投入処理が実行されて遊技が開始される前(遊技球が発射される前)の状態を想定している。ここで、遊技中に遊技領域31内で球詰まりなどが生じた場合に、ホールの関係者が前面枠11を開けて球詰まりを解消してから前面枠11を閉めることがある。そのような開閉操作の後は図柄変動遊技が再開されたりする。本実施例では、そのような遊技中の開閉操作を除外するために、S314で非遊技状態であるか否かを判定するものとしている。
S312,S314で開閉回数Pが所定回数Pref以下であって非遊技状態であると判定すると、特定操作を検知したことを示す特定操作検知コマンドをサブ制御基板90に送信して(S316)、特定操作検知処理を終了する。また、S312で開閉回数Pが所定回数Pref以下でないと判定したり、S314で非遊技状態でないと判定したりすると、S316の処理をスキップして特定操作検知処理を終了する。このように、本実施例では、非遊技中の前面枠11の開閉操作を特定操作として検知(操作者の操作に基づく特定条件が成立したと判定)し、特定操作の検知回数(特定条件の成立回数)である開閉回数Pが所定回数Pref以下(所定回数Prefは値1であるため、電源投入後最初の開閉)の場合に、サブ制御基板90に特定操作検知コマンドを送信するのである。なお、特定操作検知処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS120の普通図柄関連遊技処理に進む。
[普通図柄関連遊技処理]
S120の普通図柄関連遊技処理では、普通図柄作動ゲート32への遊技球の通過に基づいて普通図柄の当否判定を行い、図柄表示装置40(普通図柄表示装置)で普通図柄を変動表示して当否判定の結果を示す表示態様で普通図柄を停止表示させる。また、普通図柄の当否判定が当りであれば、第2始動口38を所定時間に亘って開放する処理(普図当り遊技処理)を行う。普通図柄関連遊技処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS130の特別図柄関連遊技処理に進む。なお、本実施例では、通常状態(第1遊技状態,電サポなし状態)よりも第2始動口38への遊技球の入球頻度が高い電サポあり状態(第2遊技状態)を発生可能となっている。電サポあり状態では、普通図柄の当否判定で当りとなる確率(普図当り確率)を通常(普図低確率状態)よりも高い確率(普図高確率状態)に設定可能で、特別図柄および普通図柄の変動時間が通常よりも短縮された時短状態を設定可能で、第2始動口38の開放時間が通常よりも延長される開放延長状態を設定可能となっている。なお、電サポあり状態は、普図高確率状態と時短状態と開放延長状態の3つが全て設定されるものに限られず、いずれか1つまたは2つが設定されるものでもよい。
[特別図柄関連遊技処理]
S130の特別図柄関連遊技処理では、第1始動口36や第2始動口38への遊技球の入球に基づいて特別図柄の当否判定を行い、図柄表示装置40(特別図柄表示装置)で特別図柄を変動表示して当否判定の結果を示す表示態様で特別図柄を停止表示させる。また、特別図柄の当否判定が当り(大当り)であれば、大入賞口44を所定時間に亘って所定回数開放する処理(特図当り遊技処理,大当り遊技)を行う。なお、本実施例では、特別図柄の当否判定で当りとなる確率(特図当り確率)を通常(特図低確率状態)よりも高い確率(特図高確率状態)に設定可能となっている。この特図高確率状態や前述した電サポあり状態は、大当り遊技の種類(大当りに係る特別図柄)に応じて設定されるか否かが予め定められており、大当り遊技の終了後に、大当りに係る特別図柄に基づいて設定されることになる。
次に、サブ制御基板90により実行される処理について説明する。図8は、サブ制御基板90のCPU90aにより実行される初期設定処理の一例を示すフローチャートであり、図9は、サブ制御基板90のCPU90aにより実行される初期作動処理の一例を示すフローチャートである。これらの処理は電源投入時に実行されるものであり、初期設定処理と初期作動処理とを含めて初期処理ともいう(初期作動処理は初期処理に含まれる)。なお、サブ制御基板90は、これらの処理以外にも、特別図柄の変動表示が行われる際に演出表示装置34で図柄変動演出処理(演出図柄の変動表示)を行ったり、大当り遊技が行われる際に演出表示装置34で大当り遊技演出処理を行ったりし、各演出中(主に図柄変動演出中)には、可動役物50の作動を伴う作動演出を行ったりする。また、設定される遊技状態(電サポあり状態や電サポなし状態、特図高確率状態、特図低確率状態)に応じた演出モードの設定を行ったりする。これらの処理は、本発明の要旨をなさないため説明は省略する。
[初期設定処理]
初期設定処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、演出表示制御基板91やアンプ基板92,装飾駆動基板93等がサブ制御基板90からのコマンドを処理可能な状態とするための準備設定である初期設定を行い(S400)、図6の電源投入処理のS212の処理で主制御基板70から送信されるRAMクリアコマンドを受信するか(S402)、電源投入処理のS208の処理で主制御基板70から送信される復帰コマンドを受信するのを待つ(S404)。
S404で復帰コマンドを受信したと判定すると、復帰コマンドに含まれる遊技状態に関する情報に基づいて、演出モード(現在の遊技状態が電サポなし状態あるいは電サポあり状態のいずれであるか、特図低確率状態あるいは特図高確率状態のいずれであるかなど)や演出表示装置34に表示していた各種情報を電源遮断前の状態に設定する復帰処理を行って(S406)、初期設定処理を終了する。一方、S402でRAMクリアコマンドを受信したと判定すると、RAM90cに格納されている各種情報を初期状態とするRAMクリア処理を行って(S410)、初期設定処理を終了する。
[初期作動処理]
初期作動処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、演出表示制御基板91やアンプ基板92,装飾駆動基板93等に必要なコマンドを送信することで、枠ランプ93a,93bを所定の態様で点灯し(S500)、スピーカ28a,28bから所定の音声を出力し(S502)、演出表示装置34の表示画面に所定のメッセージを表示する(S504)。例えば、枠ランプ93a,93bを全て所定色(赤色など)で所定時間点灯したり、スピーカ28a,28bから「電源が入りました」などの音声を出力したり、演出表示装置34の表示画面に「電源が入りました。しばらくお待ち下さい」などのメッセージを表示したりする。なお、復帰処理が行われる場合と、RAMクリア処理が行われる場合とで、異なる態様で枠ランプ93a,93bを点灯させたり、異なる音声をスピーカ28a,28bから出力したり、異なるメッセージを演出表示装置34の表示画面に表示したりしてもよい。
次に、第1役物初期作動処理を実行すると共に(S506)、第2役物初期作動処理を実行する(S508)。第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理はいずれも共通の処理が実行されるため、共通のフローチャート(図10のフローチャート)を用いて説明する。なお、以下では、第1可動役物51を作動させる第1役物初期作動処理を例として説明する。
図10の役物初期作動処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、原点位置センサ51bや可動位置センサ51cからの検知信号に基づいて第1可動役物51の位置を検知し(S600)、第1可動役物51(可動物)が原点位置にあるか否かを判定する(S602)。第1可動役物51が原点位置にないと判定すると、図11に示す原点復帰処理を実行して(S604)、第1可動役物51が正常に復帰(原点復帰)したか否かを判定する(S606)。S602で第1可動役物が原点位置にあると判定したり、S606で正常に復帰したと判定したりすると、第1可動役物51に所定の初期作動を行わせる役物初期作動を実行する(S608)。初期作動は、例えば、第1可動役物51を原点位置から一旦可動位置まで移動させて、再び原点位置まで移動させる動作などを実行する。そして、S608の役物初期作動で第1可動役物51(可動物)が正常に作動したか否か(正常に往復動して原点位置センサ51bで検知されているか否か)を判定し(S610)、正常に作動したと判定すると役物初期作動処理を終了し、正常に作動しなかったと判定すると、S604の原点復帰処理に戻り処理を行う。なお、S610で正常に作動しなかったと判定した場合、原点復帰処理に戻ることなく、作動エラーと判定して役物初期作動処理を終了してもよい。
図11の原点復帰処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、第1可動役物51が可動位置にあるか否かを判定する(S630)。一方、第1可動役物51が可動位置にないと判定すると、作動回数Sに値1をセットして(S632)、装飾モータ51aを正転させて第1可動役物51を可動位置に向けて作動(移動)させる(S634)。そして、所定時間内に可動位置センサ51cで第1可動役物51が検知されたか否かを判定する(S636)。第1可動役物51が検知されたと判定すると、可動位置で第1可動役物51を停止させる(装飾モータ51aの駆動を停止する)(S638)。一方、第1可動役物51が検知されないと判定すると、作動回数Sを値1だけインクリメントして(S640)、作動回数Sが所定回数Srefを超えるか否かを判定する(S642)。作動回数Sが所定回数Srefを超えないと判定すると、S634に戻って装飾モータ51aを再度正転させて第1可動役物51を作動させる処理を行い、作動回数Sが所定回数Srefを超えたと判定すると、作動エラーと判定して(S644)、原点復帰処理を終了する。このように、本実施例では、可動位置センサ51cで第1可動役物51が検知されない場合に、S634と同じ処理をリトライ処理として所定回数Srefまで繰り返すのである。本実施例では、所定回数Srefを値3とした。このため、S634の処理を3回行っても可動位置センサ51cで第1可動役物51が検知されない場合に、作動エラーと判定することになる。なお、作動エラーの原因としては、前述した緩衝材が取り外されていないために(取り外すのを忘れたために)第1可動役物51が作動できない状態や、緩衝材は取り外されているものの他の部材に引っ掛かるなどの何らかの原因で第1可動役物51が作動できない状態などが考えられる。
S630で第1可動役物51が可動位置にあると判定したり、S638で第1可動役物51を可動位置で停止させたりすると、作動回数Sに値1をセットして(S646)、装飾モータ51aを逆転させて第1可動役物51を原点位置に向けて作動(移動)させる(S648)。そして、所定時間内に原点位置センサ51bで第1可動役物51が検知されたか否かを判定する(S650)。第1可動役物51が検知されたと判定すると、原点位置で第1可動役物51を停止させて(装飾モータ51aの駆動を停止して)(S652)、原点復帰処理を終了する。一方、第1可動役物51が検知されないと判定すると、作動回数Sを値1だけインクリメントして(S654)、作動回数Sが所定回数Srefを超えるか否かを判定する(S656)。作動回数Sが所定回数Srefを超えないと判定すると、S648に戻って装飾モータ51aを再度逆転させて第1可動役物51を作動させる処理を行い、作動回数Sが所定回数Srefを超えたと判定すると、作動エラーと判定して(S658)、原点復帰処理を終了する。このように、本実施例では、原点位置センサ51bで第1可動役物51が検知されない場合に、S648と同じ処理をリトライ処理として所定回数Srefまで繰り返すのである。ここで、S656の所定回数Srefと、S642の所定回数Srefとは異なる値としてもよいが、本実施例では同じ値とした。このため、S648の処理を3回行っても原点位置センサ51bで第1可動役物51が検知されない場合に、作動エラーと判定することになる。また、S644,S658で作動エラーと判定した場合に、図10のS606で正常に復帰していないと判定する。なお、図10の役物初期作動処理や図11の原点復帰処理を第2可動役物52に適用する場合には、装飾モータ51a,原点位置センサ51b,可動位置センサ51cを、それぞれ装飾モータ52a,原点位置センサ52b,可動位置センサ52cと読み替えればよい。
図9の初期作動処理の説明に戻る。こうして第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理とを実行すると、第1可動役物51および第2可動役物52のいずれかに役物作動エラーがあるか否かを判定する(S510)。なお、図11の原点復帰処理のS644,S658で作動エラーと判定したために、図10のS606で正常に復帰していないと判定した場合に、役物作動エラーがあると判定する。役物作動エラーがあると判定すると、エラー報知を開始する(S512)。
演出表示装置34に表示されるエラー報知画面の一例を図12に示す。図示するように、役物作動エラーが発生していることと、第1可動役物51の裏や第2可動役物52の裏に緩衝材が残っていないか確認することとが表示される。本実施例では、第1可動役物51と第2可動役物52のいずれのエラーかを区別することなくエラー報知しており、図12(a)の報知画面と図12(b)の報知画面とを所定時間毎(2〜3秒などの数秒毎)に切り替えながら報知するものとする。ホールの関係者は、前面枠11を開けて、これらの報知画面を見ながら、各可動役物の緩衝材の有無を確認したり、残っている緩衝材を除去したりする。このため、役物作動エラーに必要とされる処理を分かり易いものとして、スムーズなエラー対処を可能とすることができる。なお、エラー報知画面を表示するだけでなく、枠ランプ93a,93bを所定のエラー態様で点灯(例えば、赤色で点滅)したり、スピーカ28a,28bから所定のエラーメッセージ(「役物作動エラーが発生しました」などの音声)や警告音を出力したりしてもよい。
エラー報知を行うと、図7の特定操作検知処理のS316で主制御基板70から送信される特定操作検知コマンドを受信したか否か(S514)、本処理の終了条件が成立したか否か(S516)、をそれぞれ判定する。特定操作検知コマンドを受信したと判定すると、S506に戻って、第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理とを実行する。ここで、ホールの関係者は、前面枠11を開けて第1可動役物51の裏や第2可動役物52の裏の緩衝材を取り除いて問題がないことを確認すると、前面枠11を閉じることになる。即ち、前面枠11の開閉操作を伴って、第1可動役物51や第2可動役物52のエラーの対処を行うことになる。また、本実施例では、前面枠11の開閉操作(開状態の前面枠11が閉状態とされたこと)を特定操作としており、エラーの対処に必要とされる操作(開閉操作)を特定操作としていることになる。また、特定操作の検知に基づいて第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理とを再実行するから、エラーの対処後に特別な指示を行うことなく、第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理とをパチンコ機10に実行させることができる。これらのことから、ホールの関係者は、パチンコ機10の本体裏側のオンオフスイッチ107を操作して電源を一旦遮断してから再投入するという煩わしい操作を行うことなく、エラーの対処を行うだけで特定操作が検知されて(特定条件が成立して)第1役物初期作動処理や第2役物初期作動処理を再実行させることができるから、両処理を簡便に再実行させることができる。また、可動役物が前面枠11に取り付けられるものである場合、可動役物のエラーの確認に前面枠11の開閉操作は必要とされないが、前面枠11の開閉操作によって役物初期作動処理の再実行を可能とすることにより、パチンコ機10の本体裏側のオンオフスイッチ107を操作しなくてよい(電源を一旦遮断して再投入しなくてよい)という効果を同様に奏するものとなる。また、電源を一旦遮断する必要がないため、ホールの関係者は、演出表示装置34の表示画面(エラー報知画面)を見ながら、エラーに対処することができる。緩衝材は、第1可動役物51の裏や第2可動役物52の裏など気付き難い箇所に残っていることが多いから、報知画面を見ながらエラーの対処を可能とすることで、エラーによりスムーズに対処することができる。さらに、一旦行われたエラー報知が自動的に終了した(エラーが自動的に解除された)場合、エラーが発生していないことを念のため確認する際も、前面枠11の開閉操作(特定操作)を行えばよくオンオフスイッチ107を操作する必要がないから、簡便な操作で確認処理を行うことが可能となる。
ここで、前述したように、本実施例では、前面枠11の開閉操作が、電源投入後の1回目の場合に特定操作検知コマンドを主制御基板70からサブ制御基板90に送信し、2回目以降の場合に特定操作検知コマンドを送信しないものとした。このため、前面枠11の1回目の開閉操作が行われた後に実行された第1役物初期作動処理や第2役物初期作動処理で作動エラーが発生した場合、関係者が前面枠11の開閉操作を伴うエラー対処を行っても、特定操作検知コマンドが主制御基板70からサブ制御基板90に送信されないから、S514で特定操作検知コマンドを受信したと判定することはない。このため、第1役物初期作動処理や第2役物初期作動処理を再実行させるために、オンオフスイッチ107を操作して電源を一旦遮断してから再投入することになる。そのように電源が遮断されたときなどに、S516で本処理の終了条件が成立したと判定して、初期作動処理を終了する。なお、エラー報知開始から所定時間が経過したときにS516で終了条件が成立したと判定し、エラー報知の一部(例えばスピーカ28a,28bからの音声出力)または全部を終了して、初期作動処理を終了するものとしてもよい。
また、第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理とを実行した後(再実行した後を含む)に、S510で役物作動エラーがないと判定すると、エラー報知中であるか否かを判定し(S518)、エラー報知中であればエラー報知を終了してから(S520)、初期作動処理を終了する。一方、S518でエラー報知中でないと判定すると、そのまま初期作動処理を終了する。このため、エラー報知中に特定操作を検知して(特定操作検知コマンドを受信して)、第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理とを再実行すると、再実行後にエラーの有無を再度判定し、エラーがなければエラー報知を終了することになる。これにより、作動エラーが確実に解消したことを報知することができる。なお、エラー報知を終了するタイミングは、図10の役物初期作動処理のS606で正常に復帰したと判定したタイミングとしてもよい。あるいは、特定操作検知コマンドを受信したタイミングで、エラー報知を終了するものとしてもよい。
以上説明した実施例のパチンコ機10によれば、電源投入状態で実行可能な特定操作が検知された場合に、電源投入時に行われる初期作動処理の一部である第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理とを実行する。これにより、初期作動処理の一部の処理を実行させるために、パチンコ機10の裏側に設けられたオンオフスイッチ107を操作してパチンコ機10の電源を一旦遮断してから再投入する必要がない。したがって、パチンコ機10に初期作動処理の一部の処理をより簡便に実行させることができる。また、遊技盤30は前面枠11(ガラス板12)によって覆われており、可動役物50のエラーの対処(残っている緩衝材を取り外すなど)を行うために前面枠11を開閉する必要があるところ、特定操作を前面枠11の開閉操作とした。このため、初期作動処理の一部の処理を実行させるためだけの特別な操作を必要とせず、スムーズに初期作動処理の一部の処理を再実行させることができる。また、前面枠11の開閉には、施錠装置29を解錠するための鍵が必要であるため、遊技中に無闇に特定操作が行われる(検知される)のを防止することができる。また、演出表示装置34のエラー報知画面にエラーの対処方法が表示され、電源を遮断する必要がないことから、ホールの関係者はエラー報知画面を見ながらスムーズにエラーに対処することができる。
また、実施例のパチンコ機10では、特定操作が検知された回数(開閉回数P)を計数し、その回数が所定回数(Pref)以下の場合に、初期作動処理の一部の処理を実行する(初期作動処理の再実行は所定回数までとする)。このため、初期作動処理で何らかの不具合が生じている場合に、初期作動処理が所定回数を超えて繰り返し行われて却って不具合が助長されるのを抑制することができる。また、特定操作が検知されても、その回数が所定回数を超えていれば初期作動処理を再実行しないから、初期作動処理が所定回数を超えて繰り返されるのを確実に防止することができる。
実施例のパチンコ機10では、図9のS514で特定操作検知コマンドを受信したとき(所定回数以内の特定操作が検知されたとき)に電源投入時と同じ役物初期作動処理(S506の第1役物初期作動処理とS508の第2役物初期作動処理)を実行するものとしたが、これに限られず、電源投入時と異なる処理(特定作動処理)を行うものとしてもよい。この場合、図9の初期作動処理に代えて図13の初期作動処理を実行する。なお、変形例のフローチャートでは、実施例と同じ処理には同じステップ番号を付してその説明は省略する。
図13の初期作動処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、S514で特定操作検知コマンドを受信したと判定すると、第1役物特定作動処理を実行すると共に(S522)、第2役物特定作動処理を実行し(S524)、S510に戻り役物作動エラーがあるか否かを判定する。第1役物特定作動処理や第2役物特定作動処理では、例えば、S506の第1役物初期作動処理やS508の第2役物初期作動処理と一部が異なる処理とすることができる。具体的には、図11の原点復帰処理のS642,S656の判定で所定回数Srefに実施例と異なる値(実施例よりも小さな値)を用いるものとすることができる。実施例では、所定回数Srefが値3であるから、初回の原点復帰処理(役物初期作動処理中の原点復帰処理)では3回作動してもセンサで検知されない場合に作動エラーと判定するのに対し、変形例では例えば所定回数Srefを値1として、2回目の原点復帰処理(役物特定作動処理中の原点復帰処理)では1回作動してセンサで検知されない場合に作動エラーと判定するものなどとすることができる。このようにするのは、初回の原点復帰処理で可動役物50が既に複数回(少なくとも3回)作動されていることと、作動エラーが発生して特定操作が検知されたときには関係者が可動役物50の作動の障害(緩衝材など)を既に除去しているはずであるから、初回の原点復帰処理と同じ回数だけ作動させる必要性が低いと考えられることによる。また、関係者が可動役物50の作動の障害(緩衝材など)を除去したにも拘わらず、可動役物50が正常に作動しない場合には、緩衝材以外の何らかの不具合が生じている可能性があり、繰り返し作動させることにより不具合が助長されるのを防止するためである。
また、役物特定作動処理(第1役物特定作動処理や第2役物特定作動処理)では、図11に示す原点復帰処理に代えて図14に示す特定作動時の原点復帰処理を行うものとすることもできる。図14の特定作動時の原点復帰処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、S630で第1可動役物51が可動位置にないと判定すると、S634で装飾モータ51aを正転させて第1可動役物51を作動させ(第1動作とする)、S636で可動位置センサ51cで第1可動役物51が検知されたか否かを判定する。S636で第1可動役物51が検知されないと判定すると、特定作動時のリトライ処理を実行し(S660)、そのリトライ処理で作動エラーとされたか否かを判定する(S662)。作動エラーとされてなければS638の処理に進み、作動エラーとされていれば、特定作動時の原点復帰処理を終了する。また、S648で装飾モータ51aを逆転させて第1可動役物51を作動させ(第1動作とする)、S650で原点位置センサ51bで第1可動役物51が検知されたか否かを判定する。S650で第1可動役物51が検知されないと判定すると、特定作動時のリトライ処理を実行し(S664)、そのリトライ処理で作動エラーとされたか否かを判定する(S666)。作動エラーと判定されてなければS652の処理に進み、作動エラーと判定されていれば、特定作動時の原点復帰処理を終了する。S660の特定作動時のリトライ処理とS664の特定作動時のリトライ処理は、同様の処理(図15のフローチャート)が実行される。
図15の特定作動時のリトライ処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、リトライ回数Nに値1をセットして(S670)、第1動作を再実行し(S672)、センサで第1可動役物51が検知されたか否かを判定する(S674)。なお、S660の特定作動時のリトライ処理では、第1動作がS634で行われる動作となり、S674では可動位置センサ51cで第1可動役物51が検知されたか否かを判定する。また、S664の特定作動時のリトライ処理では、第1動作がS648で行われる動作となり、S674では原点位置センサ51bで第1可動役物51が検知されたか否かを判定する。S674で1回目のリトライ処理(リトライ動作)によりセンサで第1可動役物51が検知されたと判定すると、特定作動時のリトライ処理を終了する。この場合、S662,S666では、作動エラーでない(作動エラーが解消した)と判定することになる。
一方、S674で第1可動役物51が検知されないと判定すると、リトライ回数Nを値1だけインクリメントして(S676)、装飾モータ51aを第1動作とは逆方向に第N所定量(リトライ回数Nが値2の場合には、第2所定量)だけ回転させる第N動作(リトライ回数Nが値2の場合には、第2動作)を実行する(S678)。なお、S660の特定作動時のリトライ処理では、S672の第1動作がS634と同じ正転動作であるから、S678では装飾モータ51aを逆転させることになる。また、S664の特定作動時のリトライ処理では、S672の第1動作がS648と同じ逆転動作であるから、S678では装飾モータ51aを正転させることになる。S678で第N動作を実行すると、S672と同じ第1動作を再実行して(S680)、S674と同様に、センサで第1可動役物51が検知されたか否かを判定する(S682)。
S682で、N回目のリトライ処理(リトライ動作)でセンサで第1可動役物51が検知されたと判定すると、特定作動時のリトライ処理を終了する。この場合、S662,S666では、作動エラーでない(作動エラーが解消した)と判定することになる。一方、S682で第1可動役物51が検知されないと判定すると、リトライ回数Nが所定回数Nref以上であるか(所定回数Nrefに到達したか)否かを判定する(S688)。所定回数Nrefは、例えば値4などに定められている。リトライ回数Nが所定回数Nref未満であれば、S676に戻り、次のリトライ処理を行う。一方、リトライ回数Nが所定回数Nref以上であれば、作動エラーと判定して(S690)、特定作動時のリトライ処理を終了する。本実施例では、所定回数Nrefに値4を定めることにより、リトライ動作が4回行われてもセンサで第1可動役物51が検知されない場合に作動エラーと判定することになる。
ここで、図16は、リトライ処理におけるモータ回転量を示す説明図である。なお、図16では、図15のS678の処理で逆方向にモータ(装飾モータ51a,52a)を駆動する第N動作(第2動作〜第4動作)の回転量を示す。図示するように、第2動作は装飾モータ51a(52a)を第2所定量駆動し、第3動作は装飾モータ51a(52a)を第2所定量よりも多い第3所定量駆動し、第4動作は装飾モータ51a(52a)を第3所定量よりも多い第4所定量駆動することなどにより行われる。なお、例えば、第2所定量を数ステップとし、第3所定量を十数ステップとし、第4所定量を最大ステップなどとすることができる。このように、特定作動時のリトライ処理では、回転量の異なるリトライ動作を複数回行うのである。また、この変形例では、リトライ回数が増えるにつれて回転量(ステップ数)を徐々に大きくしつつ、各リトライ動作で逆転駆動と正転駆動とを実行することで、第1可動役物51(第2可動役物52)の引っ掛かり等の不具合を徐々に解消できる可能性を高めて、より適切に原点復帰処理を行うものとすることができる。
以上説明した変形例のように、特定操作が検知されたときに、初期作動処理とは異なる特定作動処理を実行するものとすることができる。特定作動処理は、可動役物50(演出手段)の作動確認用の処理であり、特定操作が検知されたときに実行することで、可動役物50(演出手段)の作動確認用の処理を簡便に実行可能とすることができる。また、初期作動処理を行って可動役物50のエラーが発生したときに、作動確認用の特定作動処理を実行するから、エラーの対処をスムーズなものとすることができる。また、変形例においても、S522,S524の特定作動処理の実行後のS510で役物作動エラーが判定されなければエラー報知を終了するから、エラー報知を適切なタイミングで終了すると共にエラーが解消したことを報知することができる。また、実施例と同様に、特定操作が検知された回数(開閉回数P)を計数し、その回数が所定回数(Pref)以下の場合に特定作動処理を実行する(特定作動処理の実行は所定回数までとする)。このため、可動役物50の作動に何らかの不具合が生じている場合に、特定作動処理が所定回数を超えて繰り返し行われて却って不具合が助長されるのを抑制することができる。また、特定操作が検知されても、その回数が所定回数以下でなければ特定作動処理を実行しないから、特定作動処理が所定回数を超えて繰り返されるのを確実に防止することができる。
実施例のパチンコ機10では、第1可動役物51か第2可動役物52のいずれのエラーかを区別しない(いずれのエラーであっても、同じエラー報知を実行して、特定操作が検知されたときには同じ処理を行う)ものとしたが、これに限られず、区別するものとしてもよい。この場合の変形例の初期作動処理を図17に示す。この変形例の初期作動処理では、S510で役物作動エラーがあると判定すると、第1可動役物51か第2可動役物52のいずれか一方のみのエラーであるか否かを判定する(S511a)。いずれか一方でなく両方のエラーであると判定すると、S512,S514で実施例と同様にエラー報知を行って特定操作検知コマンドを受信するのを待つ処理を行う。なお、図17では図示の都合上、S516の処理(終了条件の成立で初期作動処理を終了する処理)を記載していないが、実施例と同様に実行するものとすればよい。また、S512でエラー報知を行って特定操作検知コマンドを受信した(特定操作が検知された)場合には、S506に戻り、S506の第1役物初期作動処理とS508の第2役物初期作動処理とを実行するものとする。なお、S512でエラー報知を行って特定操作検知コマンドを受信した(特定操作が検知された)場合に、図13の初期作動処理のようにS522の第1役物特定作動処理とS524の第2役物特定作動処理とを実行するものとしてもよい。
S511aでいずれか一方のみのエラーであると判定すると、第1可動役物51のエラーであるか否か(第1役物初期作動処理のエラーであるか否か)を判定し(S511b)、第1可動役物51のエラーであると判定すると、第1可動役物51のエラーが発生していることを報知する第1エラー報知を開始する(S512a)。また、第1可動役物51でなく第2可動役物52のエラーである(第2役物初期作動処理のエラーである)と判定すると、第2可動役物52のエラーが発生していることを報知する第2エラー報知を開始する(S512b)。第1エラー報知では、図12(a)のエラー報知画面のみを演出表示装置34に表示し、第2エラー報知では、図12(b)のエラー報知画面のみを演出表示装置34に表示すればよい。エラー報知を開始すると、特定操作検知コマンドを受信したか(特定操作が検知されたか)否かを判定する(S514a)。S514aで特定操作が検知されたと判定すると、第1エラー報知を実行中であれば(S521)、第1役物初期作動処理(あるいは第1役物特定作動処理)を実行してから(S526)、S510の処理に戻る。一方、第1エラー報知でなく第2エラー報知を実行中であれば(S521)、第2役物初期作動処理(あるいは第2役物特定作動処理)を実行してから(S528)、S510の処理に戻る。なお、S526で第1役物特定作動処理が実行される場合、図13のS522と同じ処理が行われ、S528で第2役物特定作動処理が実行される場合、図13のS524と同じ処理が行われる。
このように、この変形例では、第1可動役物51のエラーが発生した場合には、その旨を報知する第1エラー報知を実行し、第1エラー報知の実行中に特定操作が検知された場合には第1エラー報知に対応する第1可動役物51の初期作動処理(第1可動役物51の特定作動処理でもよい)を実行するのである。また、第2可動役物52のエラーが発生した場合には、その旨を報知する第2エラー報知を実行し、第2エラー報知の実行中に特定操作が検知された場合には第2エラー報知に対応する第2可動役物52の初期作動処理(第2可動役物52の特定作動処理でもよい)を実行するのである。このため、報知中のエラーと、エラー報知中の特定操作検知で実行される処理との対応を明確なものとして、初期作動処理(特定作動処理)をより簡便に実行可能とすることができる。
実施例のパチンコ機10では、前面枠11の開閉操作を特定操作として検知したが、これに限られず、他の操作を特定操作として検知してもよい。例えば、演出ボタン26や方向ボタン26a,26bの操作を特定操作として検知してもよい。こうしても、実施例と同様に、パチンコ機10の前面側で行われる操作を特定操作とすることができるから、初期作動処理(特定作動処理)を実行させるために、パチンコ機10の裏側に設けられたオンオフスイッチ107を操作する必要がない。また、演出ボタン26や方向ボタン26a,26bの操作は、演出ボタン操作検知スイッチ27および方向ボタン操作検知スイッチ27a,27bから演出ボタン基板94に入力される操作信号に基づいてサブ制御基板90で検知可能であるから、主制御基板70と通信することなく特定操作を検知することができる。なお、遊技中に行われる演出ボタン26や方向ボタン26a,26bの操作を誤って特定操作として検知しないよう、遊技中に行われないような操作(例えば、2つあるいは3つのボタンを同時に長押しする操作など)を特定操作としたり、非遊技中であることを条件としたりすればよい。また、このように、複数の操作手段(演出ボタン26や方向ボタン26a,26bなど)と、各操作手段への入力操作をそれぞれ検知する複数の入力検知手段(演出ボタン操作検知スイッチ27や方向ボタン操作検知スイッチ27a,27bなど)とを備え、複数の操作手段が所定の操作順に基づいて操作されたことが検知された場合に、特定操作が検知された(特定条件が成立した)としてもよい。所定の操作順に基づく複数の操作手段の操作としては、例えば、「左方向ボタン26a→右方向ボタン26b→左方向ボタン26a→右方向ボタン26b→演出ボタン26を3回」などの所定の入力パターンに基づく操作などとすることができ、このような操作が所定時間内に検知されることを条件としてもよい。また、演出ボタン以外にも、発射ハンドル18の操作や球貸しボタン24の操作などを特定操作として検知してもよい。これらの場合にも、通常行われない操作、例えば、発射ハンドル18を最大回転量(右方向に最大限回転)としつつ発射停止スイッチ18bを長押しする操作としたり、球貸しボタン24を通常行われないような長時間に亘り長押しする操作としたり、これらを組み合わせた操作としたりすることができる。また、このような各種ボタンの操作(ハンドルの操作を含む)と、前面枠11の開閉操作とをいずれも特定操作として検知可能なものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、本発明を電源投入時(初期作動時)に適用するものを例示したが、これに限られず、電源投入時以外の遊技中に適用するものとしてもよい。このようにすれば、例えば、遊技中に可動役物50が作動不良となるなどの役物作動エラーが生じた場合でも、ホールの関係者は、前面枠11の開閉操作(特定操作)を伴って役物作動エラーの原因を取り除くことができれば、パチンコ機10の裏側に設けられたオンオフスイッチ107を操作する必要がない(電源を一旦遮断して再投入しなくてよい)。このため、遊技者は、遊技を速やかに再開することが可能となるから、遊技の中断により遊技興趣が低下するのを抑制することができる。
実施例のパチンコ機10では、前面枠11の開閉操作(特定操作)が行われたときに開閉回数Pを計数し開閉回数Pが所定回数Pref以下であるときに特定操作検知コマンドをサブ制御基板90に送信するものとしたが、これに限られるものではない。主制御基板70は前面枠11の開閉操作が行われたときに(特定操作が検知されたときに)、開閉操作検知コマンド(特定操作検知コマンド)をサブ制御基板90に送信し、サブ制御基板90が処理(ここでは、第1役物初期作動処理や第2役物初期作動処理、第1役物特定作動処理、第2役物特定作動処理)を実行するか否かを判定してもよい。例えば、サブ制御基板90が、開閉操作検知コマンドの受信回数を計数しておき、受信回数が所定回数以下であれば処理を実行するものとしてもよい。また、サブ制御基板90が、処理を実行した実行回数を計数しておき、開閉操作検知コマンドを受信したときに実行回数が所定回数以下であれば処理を実行するものとしてもよい。また、サブ制御基板90が、エラーの発生回数を計数しておき、開閉操作検知コマンドを受信したときに、エラーの発生回数が所定回数以下であれば処理を実行するものとしてもよい。
あるいは、このような処理回数に制限を設けるものに限られず、処理回数に制限を設けないものとしてもよい。即ち、特定操作を検知する度に、第1役物初期作動処理や第2役物初期作動処理(あるいは、第1役物特定作動処理、第2役物特定作動処理)を実行するものとしてもよい。また、処理回数の制限値をホールの関係者などが設定変更可能なものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、図9の初期作動処理として、ランプ点灯処理と音声出力処理、液晶画面表示処理、第1役物初期作動処理、第2役物初期作動処理の5つの処理を行い、特定操作が検知された場合には、そのうち第1役物初期作動処理と第2役物初期作動処理とを実行したが、これに限られるものではない。初期作動処理の5つの処理のうち少なくとも一部の処理を行うものであればよく、5つの処理の全てを行うものとしてもよい。例えば、初期作動処理のランプ点灯処理で枠ランプ93a,93bが点灯していなかったり、音声出力処理でスピーカ28a,28bから音声が出力されていなかったりすることに関係者が気付く場合がある。その場合、特定操作の検知に基づいてランプ点灯処理や音声出力処理を行うものとしておけば、実施例と同様に、オンオフスイッチ107を操作することなくランプ点灯処理や音声出力処理を簡便に行うことが可能となる。
また、これらの枠ランプ93a,93bやスピーカ28a,28bの異常をサブ制御基板90が検知するものとしてもよい。例えば、枠ランプ93a,93bやスピーカ28a,28bの接続不良(接続用のハーネスなどが抜けてかかっているなど)が生じていると、アンプ基板92や装飾駆動基板93などからサブ制御基板90に短絡や断線を示す異常コマンド(短絡断線異常コマンド)を送信するものとする。そして、このコマンドを受信したサブ制御基板90がエラーと判定(エラーを検知)して、エラー報知するものとしてもよい。このエラーが報知されているときに、特定操作が検知されると、初期作動処理の少なくとも一部(ランプ点灯処理と音声出力処理)を実行するものとすればよい。あるいは、報知中のエラーに対応する処理を実行するものとしてもよく、ランプ点灯エラー中に特定操作が検知されると、それに対応するランプ点灯処理を実行し、スピーカ出力エラー中に特定操作が検知されると、それに対応する音声出力処理を実行すればよい。また、サブ制御基板90がエラーと判定してから、所定時間以内(例えば、2分などの数分以内)に特定操作が検知されると、初期作動処理の少なくとも一部(ランプ点灯処理や音声出力処理など)を実行するものとしてもよい。また、ランプ点灯処理や音声出力処理などについても、初期作動処理とは異なる特定作動処理を実行可能としてもよい。例えば、初期作動処理のランプ点灯処理では、枠ランプ93a,93bを同時に点灯し、特定作動処理のランプ点灯処理では、枠ランプ93a,93bを交互に点灯するものなどとしてもよい。また、初期作動処理の音声出力処理では、スピーカ28a,28bから同時に音声を出力し、特定作動処理の音声出力処理では、スピーカ28a,28bから交互に音声を出力するものなどとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、可動役物50(第1可動役物51や第2可動役物52)の位置を検知するために原点位置センサ(51b,52b)と可動位置センサ(51c,52c)とを備えるものとしたが、これに限られず、原点位置センサのみを備え可動位置センサを備えないものとしてもよい。そして、原点位置センサで可動役物を検知している状態から可動役物を作動(往動)させたときに原点位置センサが可動役物を検知しない状態となったことを確認し、可動役物を作動(複動)させたときに原点位置センサが可動役物を検知した状態となったことを確認するものとし、いずれもが正常に確認されたときに可動役物が正常に作動したと判定するものなどとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、サブ制御基板90でエラーを検知して報知するものを記載したが、エラーの検知とエラーの報知との関係はこれに限られるものではなく、主制御基板70でエラーを検知してサブ制御基板90でエラーを報知するものでもよい。例えば、主制御基板70(主制御部、主制御手段、メイン)は、エラーを検知し(メイン(主制御基板70)はエラーフラグをオンとしてすぐにオフとしてもよい。つまり、メイン(主制御基板70)はエラーを検知するだけで遊技状態を変更しなくてもよい(常に通常状態とすればよい))、サブ制御基板70(副制御部、副制御手段、サブ)はエラーの検知(エラーフラグのオンのタイミング)からエラーの報知を開始し、エラーの報知開始から所定時間が経過するか電源がオフされると、エラーの報知を終了するものなどとしてもよい。あるいは、主制御基板70は、エラーを検知すると通常状態からエラー状態に変化し、サブ制御基板90は、主制御基板70がエラー状態に変化するとエラーの報知を開始し、エラーの検知から所定時間が経過するか電源がオフされると、主制御基板70は通常状態に戻り、サブ制御基板90はエラーの報知を終了するものなどとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、サブ制御基板90はエラーの報知中にエラーがない(エラーが解除された)と判定するとエラーの報知を終了するもの、即ち、エラーの終了と略同時にエラー報知を終了するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、サブ制御基板90はエラーを検知するとエラーの報知を開始し、エラーの報知中にエラーがないと判定しても、エラーの報知開始から所定時間が経過するまであるいはエラーの解除から所定時間が経過するまで、エラーの報知を継続する(所定時間が経過するとエラーの報知を終了する)ものなどとしてもよい。なお、このようなエラーとして、例えば前面枠11などの扉の開放エラーなどが挙げられ、扉閉鎖後に第1所定時間が経過するまで枠ランプ93a,93bをエラー報知用の態様で点灯表示すると共に扉閉鎖後に第2所定時間が経過するまでスピーカ28a,28bからエラー報知用の音声を出力するものなどとしてもよい。なお、第1所定時間を数十秒程度の時間とし、第2所定時間を数秒程度の時間などとすることができる。
実施例では、遊技機としてパチンコ機10に本発明を適用したものを例示したが、これに限られず、アレンジボール機、スロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとの融合機などに本発明を適用してもよい。例えば、スロットマシンに適用した場合、スロットマシンの筐体内に設けられたオンオフスイッチを操作することなく、実施例と同様に、スロットマシンに設けられた可動役物の初期作動処理などを実行させることができる。
また、実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口、第2始動口、大入賞口等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、可動役物50(第1可動役物51,第2可動役物52)が「演出手段」に相当し、枠開放スイッチ81からの検知信号を用いて図7の特定操作検出処理のS300〜S308,S314の処理を実行する主制御基板70のCPU70aが「特定条件判定手段」に相当し、特定操作検出処理のS316の処理を実行する主制御基板70のCPU70aと図13の初期作動処理のS514,S522,S524(あるいは、図9の初期作動処理のS506,S508,S514)の処理を実行するサブ制御基板90のCPU90aと装飾駆動基板93とが「特定処理手段」に相当する。また、特定操作検出処理のS310の処理を実行する主制御基板70のCPU70aが「計数手段」に相当する。また、遊技盤30が「遊技盤」に相当し、前面枠11が「前面枠」に相当し、枠開放スイッチ81が「開閉検知手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。なお、特定操作検出処理のS316の処理を実行する主制御基板70のCPU70aと図9の初期作動処理のS506,S508,S514の処理を実行するサブ制御基板90のCPU90aと装飾駆動基板93とが「電源投入状態で特定条件の成立が判定された場合に、初期処理の少なくとも一部を実行する処理手段」に相当する。また、初期作動処理のS510の処理(原点復帰処理のS644,S658の処理)を実行するサブ制御基板90のCPU90aが「エラー判定手段」に相当し、初期作動処理のS512のエラー報知を実行するサブ制御基板90のCPU90aと図12のエラー報知画面を表示する演出表示装置34と演出表示制御基板91とが「エラー報知手段」に相当し、演出ボタン26や左右の方向ボタン26a,26bが「操作手段」に相当し、演出ボタン操作検知スイッチ27や方向ボタン操作検知スイッチ27a,27bが「入力検知手段」に相当する。また、図17の初期作動処理において、S506の処理で実行される第1役物作動処理が「第1処理」に相当し、S508の処理で実行される第2役物作動処理が「第2処理」に相当し、S512aで開始される第1エラー報知(第1可動役物に関する第1エラー報知)が「第1エラーの報知」に相当し、S512bで開始される第2エラー報知(第2可動役物に関する第2エラー報知)が「第2エラーの報知」に相当し、S514a,S521,S526(第1役物初期作動処理)の処理を実行するサブ制御基板90のCPU90aと装飾駆動基板93とが「エラーの報知として第1エラーが報知されている状態で特定条件の成立が判定された場合には、初期処理の一部として第1処理を実行可能である」構成に相当し、S514a,S521,S526(第1役物特定作動処理)の処理を実行するサブ制御基板90のCPU90aと装飾駆動基板93とが「エラーとして第1エラーが報知されている状態で特定条件の成立が判定された場合には、特定作動処理として第1演出手段の特定作動処理を実行可能である」構成に相当する。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。