JP2017023444A - 吸収性パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】消臭効果の持続性に優れ、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質のみならず、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質をも消臭する機能を備えた吸収性パッドを提供する。【解決手段】本発明の吸収性パッドは、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなるガラス質消臭剤9を、吸収体1またはその外面を覆うシート2に保持させたものである。ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有する。低級脂肪酸や体臭成分等に対する消臭効果があるので、介護分野にも好適である。【選択図】図1

Description

本発明は、消臭機能を有する吸収性パッドに関するものである。
紙おむつや女性用ナプキンなどの吸収性パッドは、高吸水性ポリマーを含む吸収体とその外面を覆うシートを備えたものである。シートは身体に接する側の透水性の内側シートと、非透水性の外側シートからなり、内側シートを通過した尿などを吸収体により吸収することができる機能を持つ。
代表的な吸収体として、ポリアクリル酸/ポリアクリル酸ナトリウムの共重合ポリマーがあり、これは有機酸による中和作用でアンモニアを部分的に消臭可能である。ただし、求められるメイン機能は水分吸収であるため、消臭機能は不十分である。特に大人用の紙おむつは年々需要が増大しており、それとともに悪臭の消臭ニーズが高まっている。
このため本出願人は特許文献1に示すように、吸収体の内面または外面に銀を含有するりん酸系ガラス粉末を分散させた紙おむつを先に提案した。この特許文献1の吸収性パッドは、溶出するりん酸イオンによるアンモニアの中和効果と、溶出する銀イオンによる抗菌効果によって尿素分解菌の活性を低下させ、消臭効果を発揮するものである。しかし上記のりん酸系ガラス粉末は、粒径がD96=40μm以下の微細な粉体であるから、銀の総含有量は小さい。このため、銀イオンの放出が進行すると消臭効果が低下することが避けられない。
ところが、おむつは最大15時間ほど使用されるため、消臭効果についても持続性が求められる。また使用後も、数日〜1週間ほどゴミ箱等で保管されるため、使用後にも消臭効果の持続性が求められる。消臭効果を付与したおむつバケツ等で保管したとしても、まだまだ臭気があるため、最も悪臭物質と近距離で接触しているおむつなどの吸収性パッド自体に、持続性のある消臭効果を付与することが求められている。
なお、銀イオンは抗菌効果があるために菌が生成する悪臭を防ぐ効果があるほか、硫黄系悪臭である硫化水素、メチルメルカプタンに対する消臭効果も有する。しかし低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質に対する消臭効果はなく、特許文献1の紙おむつは、これらの臭気が主となる老人の介護分野等で用いるには適さないという問題があった。なお体臭成分としては、例えば、酢酸やイソ吉草酸、トランス−2−ノネナールが知られている。
特公平6−51045号公報
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、消臭効果の持続性に優れ、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質のみならず、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質をも消臭する機能を備えた吸収性パッドを提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本発明は、吸収体またはその外面を覆うシートにガラス質消臭剤を保持させた吸収性パッドであって、このガラス質消臭剤は銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有することを特徴とするものである。なお請求項2に記載の通り、ガラス質消臭剤が、D96=100μm以下の粉体であることが好ましい。
本発明の吸収性パッドは、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなるガラス質消臭剤を吸収体またはその外面を覆うシートに保持させ、ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する。なお、おむつは形態がいくつかあるが、尿取りパッド、パンツ型などその形態は限定されるものではない。また本発明の吸収性パッドには、女性用ナプキンも含まれるものとする。
溶解性ガラスを用いた消臭剤は各種開発されていたのに対し、従来、「触媒作用による消臭効果を示すガラス剤」は知られていなかった。本発明者らは、長年による研究の結果、上記組成のガラス中に含有させた銅成分が触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏するという新たな知見を見出した。
本発明では、このように、ガラス中に含まれる銅成分を触媒として硫黄系悪臭物質の分解反応を促進するメカニズムを有するものであるため、化学吸着、物理吸着を利用した従来技術に比べて、消臭容量を増大させることができ、消臭効果を長期間に亘って安定して発揮することができる。すなわち、従来の化学吸着、物理吸着は何れも吸着剤の表面露出量に依存し、露出量によって消臭限界が決定されるのであるが、本発明では触媒反応を利用するため、露出量が少量であっても大きい消臭総量を得ることができる。なお、消臭触媒としては二酸化チタンが代表的なものであるが、光エネルギーを必要とするため、可視光や光が遮断された環境下では消臭効果がほとんどない。このため吸収性パッドには不向きである。また、物理吸着により消臭する消臭剤は水分存在下でほとんど消臭することができないが、本発明で使用したガラス質消臭剤は、水の存在下で消臭効果が助長されるため、吸収性パッドに適している。
本発明で用いたガラス質消臭剤は、特にメチルメルカプタンに対し、優れたな消臭効果を発揮することができる。すなわちこのガラス質消臭剤は、メチルメルカプタンを触媒的に酸化分解し、二量体のジメチルジスルフィドを生成する。このときラジカルが発生し、酸化分解される。同様に、他のガスに対しても同様の酸化分解が可能である。なお、この点については後記する実施例においても言及する。しかし、消臭可能な悪臭は硫黄系悪臭物質に限られるものではない。具体的には、低級脂肪酸や、体臭(汗、足臭)として知られる酢酸、イソ吉草酸を始め、悪臭防止法で定められるプロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸や、中鎖脂肪酸のカプロン酸、エナント酸や、加齢臭として知られるトランス−2−ノネナールも消臭可能である。一般的に、炭素数2〜4個のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)というが、本明細書においては炭素数1個の酢酸、5個の吉草酸も低級脂肪酸として取り扱う。
おむつ臭の主成分は硫化水素、メチルメルカプタン、低級脂肪酸であり、特に介護分野においては低級脂肪酸の消臭効果が求められている。このため本発明の吸収性パッドは乳児用のみならず、介護分野用としても好適である。しかも有効成分である銅は銀よりも安価であるから、コスト面でも有利であるという利点がある。
第1の実施形態の吸収性パッドを示す模式的な断面図である。 第2の実施形態の吸収性パッドを示す模式的な断面図である。 実施例Bの結果を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は第1の実施形態の吸収性パッドである紙おむつの断面図であり、1は吸収体、2はその外側を覆うシートである。シート2は透水性の内側シート3と、非透水性の外側シート4とからなる。吸収体1は繊維層の内部に高吸水性ポリマー5を含ませたものであり、透水性の内側シート3を透過してきた尿を吸収する。高吸水性ポリマー5としては、例えばポリアクリル酸/ポリアクリル酸ナトリウムの共重合ポリマーを用いることができる。なお6は中間シート、7は不透過シート、8は固定用テープである。なお前記したように吸収性パッドの種類・構造は様々であり、この実施形態に限定されないことはいうまでもない。
この第1の実施形態では、吸収体1の内部にガラス質消臭剤9を分散させた。ガラス質消臭剤9は、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、D96=100μm以下の粉体であることが望ましい。
ここでD96は粒度分布測定を行い、累積分布させたときの積分値が96%に当たる粒径を意味する。D96が100μmを超えると比表面積が低下するため好ましくない。なお、粒径をさらに細かくすれば比表面積が増加し、それに従って消臭効果が向上する。しかし粒径が1μm未満になるとガラスの粉砕や分級の効率が極端に低下するので、製造上好ましくなく、D96=1〜100μm程度が実用的である。このようなガラス質消臭剤9は、調合原料を溶融したうえ急冷してプレ成形体を得た後、粉砕を行なう方法で製造することができる。粉砕には一般的に知られる粉砕機(例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、CFミル等)を用いることができ、乾式でも湿式でも構わない。
ガラス質消臭剤9の量は、おむつ1枚当たり0.1〜2g程度とすることが好ましい。少量過ぎると消臭効果が不十分となり、この範囲を超えて多くしてもコストの増加に見合う消臭効果の向上が認められないためである。以下にガラス質消臭剤9の組成について説明する。
(アルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラス)
上記した銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスは、SiO:46〜70モル%、B+RO(R:アルカリ金属):15〜50モル%、R´O(R´:アルカリ土類金属):0〜10モル%、Al:0〜6%、CuO:0.01〜23モル%含有するガラスである。ここで、B:5〜20モル%、RO:10〜30モル%とすることができる。
このガラス質消臭剤9の好ましい組成は、SiO:51〜63モル%、B+RO:21〜39モル%、R´O:2〜7モル%、Al:0〜5.5%、CuO:1〜13モル%である。ここで、B:8〜17モル%、RO:13〜22モル%とすることができる。
またこのガラス質消臭剤9の最も好ましい組成は、SiO:53〜62モル%、B:10〜17モル%、RO:13〜19モル%、R´O:3〜6モル%、Al:0〜4.5%、CuO:4〜13モル%である。以下に、各ガラス組成について詳細に説明する。
(SiO
SiOは、ガラスの構造骨格を形成する主成分であり、その含有量は46〜70モル%、好ましくは、51〜63モル%、更に好ましくは53〜62モル%とする。46モル%未満の場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となり、またガラスが失透しやすくなり好ましくない。更に、46モル%未満の場合、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。70モル%を超える場合、融点が上昇することにより、ガラスの溶融性が困難となる他、粘度上昇も起こるため好ましくない。
(B
は、ガラスの溶解性、清澄性を向上させる成分であり、特定の組成においてはガラスの構造骨格を形成する成分ともなる。Bは、その含有量によって、ガラスの安定性を大きく左右するものであり、本願発明ではガラスの融剤としての意味合いが大きい。その含有量は、Bの揮発量を勘案して、5〜20モル%、好ましくは8〜17モル%、さらに好ましくは10〜17モル%とする。20モル%を超える場合、Bは溶融過程において揮発しやすく、組成制御が困難となるため好ましくない。
(RO)
O(R=Li、Na、K)は、ガラスの構造骨格におけるSiとOの結合を切断して非架橋酸素を形成し、その結果、ガラスの粘性を低下させ、成形性や溶解性を向上させる成分であり、B同様の融剤である。その含有量は、ROの一種もしくは二種以上を、多成分との含有比も考慮しつつ、合計10〜30モル%、好ましくは13〜22モル%、更に好ましくは13〜19モル%とする。30モル%を超える場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となる。具体的には、ガラス剤と大気中の水分が反応してブルームと称される白化現象が引き起こされる。ブルームが発生することにより、悪臭ガスとの接触面積が減少するため望ましくない。
(B+RO)
前記のように、BとROは、共に、融剤として使用される。BとROの合計含有量が、15〜50モル%、好ましくは21〜39モル%の範囲が、安全に消臭効果を示す領域となる。15モル%未満の場合、ガラスの溶融性が不十分となり、成形の際に失透が発生しやすくなるため好ましくない。50モル%を超えると、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。また、50モル%を超えると、溶融の際に分相を起こしやすく、それに伴いガラス剤の消臭効果が不十分となるため好ましくない。
(R´O)
R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)は、ガラスの化学的耐久性を向上させる成分である。その含有量は、R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)の一種もしくは二種以上を、合計0〜10モル%、好ましくは2〜7モル%、更に好ましくは3〜6モル%とする。10モル%を超えると溶融時の粘性が高くなるとともに、ガラスが失透しやすくなるため好ましくない。なおR´Oは発明の消臭剤において必須成分ではなく、その含有量は0モル%でもよいが、2モル%以上とすることが好ましい。
(Al
Alは、ガラスの化学的耐久性を向上させ、結晶構造安定性に影響を与える成分である。また、Alは、ガラスの分相を抑制しガラス剤の均質性を高める働きをする。粘性を上げること、添加によってガラス中の銅イオンの酸化還元状態に影響を与える可能性があることから、その含有量は、6モル%以下、好ましくは5.5モル%以下、最も好ましくは4.5モル%以下とする。
(CuO)
CuOは、触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏するものである。その含有量は、0.01〜23モル%、好ましくは1〜13モル%、さらに好ましくは4〜13モル%とする。23モル%を超えると未溶解物が残留しやすくなる他、急冷の際や加工時に金属銅が析出しやすくなるため好ましくない。金属銅の析出に伴いガラスに変色を生じるため、ガラスの変色が問題となる用途には適さない。また、金属銅として析出した場合、被毒が進行してしまう。これに対し、CuOをガラス成分として含ませれば被毒が進行し難く、触媒機能を長期間に亘って安定して発揮することができる。
(その他の微量成分)
上記成分以外にも、微量成分として、ZnO、SrO、BaO、TiO、ZrO、Nb、P、CsO、RbO、TeO、BeO、GeO、Bi、La、Y、WO、MoO、またはFe等も含めることができる。さらに、F、Cl、SO、Sb、SnO、あるいはCe等を清澄剤として添加してもよい。
(アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラス)
また本発明ではガラス質消臭剤9として、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスを用いることもできる。このガラスは、SiO:50〜70モル%、RO:10〜33モル%、R´O:0〜15モル%、Al:0〜6%、CuO:0.01〜23モル%含有するガラスである。
このガラス質消臭剤9の好ましい組成は、SiO:55〜70モル%、RO:12〜24モル%、R´O:2〜10モル%、Al:0〜5.5%、CuO:1〜20モル%である。またこのガラス質消臭剤9の最も好ましい組成は、SiO:55〜65モル%、RO:12〜20モル%、R´O:3〜7モル%、Al:0〜5%、CuO:4〜13モル%である。
アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスは、上記したアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスとは異なりBを含有しないため組成の数値範囲が多少変化しているが、数値限定の理由はアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスと同様である。
上記した第1の実施形態では、ガラス質消臭剤9を吸収体1の内部に分散させたが、図2に示す第2の実施形態のように、吸収体1の外面を覆うシート2にガラス質消臭剤9を保持させることもできる。この場合には、例えばバインダー中にガラス質消臭剤9を分散させたうえでシート2の表面にコーティングすればよい。この場合のガラス質消臭剤9の粒径は、D96=40μmとすることが好ましい。何れの実施形態の吸収性パッドも、ガラス質消臭剤9に含まれる銅成分の触媒作用により、消臭効果を発揮する。銅成分はガラス中に保持されたままで触媒作用により悪臭成分を分解するため、長期間にわたり消臭効果が維持され、持続性に優れる。特許文献1に示した銀含有リン酸系ガラスは低級脂肪酸に対する消臭効果はないが、本発明で用いたガラス質消臭剤9は、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質に対する消臭効果を持つ。
なお、上記した実施形態ではガラス質消臭剤9を単独で使用したが、汎用のシリカゲル、ゼオライト、活性炭、粘土鉱物、光触媒(二酸化チタン)等の無機系消臭剤と複合使用することもできる。また特許文献1に記載の銀を含有するリン酸ガラスとともに使用することもできる。このような複合使用により、消臭速度のスピードアップやコストダウン等の効果を狙うことが可能となる。
以下に本発明の実施例を示す。なお、表中のn.d.は未検出を意味する。
(実施例A:消臭効果の確認)
表1に示す組成となるようにガラス原料を調合し、びんガラスなどの汎用ガラス組成と同様の常法により溶融、成形、粉砕してガラス質消臭剤を製造した。得られたガラス質消臭剤を表2に示す条件で吸収性パッドに保持させた。吸収体は、ポリアクリル酸/ポリアクリル酸ナトリウムの共重合ポリマーからなるものである。これらの吸収性パッドを用い、消臭効果の確認試験を行った。機能を付与させるのは一部のため、吸収体部分を10×15cmで作製し、1Lのテドラーバッグ内に悪臭成分とともに封入して、経過時間に伴う悪臭濃度を測定した。硫化水素、酢酸、イソ吉草酸はガス検知管で、メチルメルカプタンはガスクロマトグラフで、トランス−2−ノネナールは高速液体クロマトグラフで測定した。その結果を表4〜6に示す。また、ガラス質消臭剤を含有しないものをブランクとし、同様の操作を行った。比較として、表3の溶解性ガラス1〜3を第1の実施形態(含有量1.0質量%)、溶解性ガラス1〜4を第2の実施形態(含有量1.0質量%)で同様に作製した。
表4、5に示されるように、銅を含有する本発明の吸収性パッドは、いずれも各種ガスに対して消臭効果が確認された。さらに、表6に示されるように、溶解性ガラスを含有するおむつは化学吸着反応のため消臭スピードは速いものの、消臭限界に達したことが確認されたのに対し、本発明のおむつでは持続的に触媒作用による消臭効果を示し、消臭総量に優れることが確認された。
なお、サンプルは調整後、光を遮断して保管し、蒸留水を100ml含有させた状態で上記の消臭試験を実施した。これによって、水分存在下でも消臭効果を示すこと、光がなくとも触媒効果を示すことが確認できた。使用したガラス質消臭剤の粒度は、第1の実施形態が全てD96=100μm以下、第2の実施形態が全てD96=40μm以下である。
(実施例B:ガラス質消臭剤の基本特性・分解作用)
50=4.2μmまで粉砕した表1の組成番号6からなるガラス1gとメチルメルカプタンを5Lのテドラーバッグに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内のメチルメルカプタン、ジメチルジスルフィドをガスクロマトグラフで測定した。またブランクとして、ガラス質消臭剤を含まないフィルムで形成された同一容量の袋を用い、同様の操作を行った。なお、事前にガスクロマトグラフ質量分析計にて、袋内に存在するガス成分がこの二成分であることを確認していた。その結果、図3に示すように、本発明のガラス質消臭剤がメチルメルカプタンを分解し、ジメチルジスルフィドを生成する作用を示すことを確認した。ガラス質消臭剤の基本特性は、フィルム等に練りこんでも、当然保持される。
(実施例C:ガラス質消臭剤の基本特性・ラジカル発生)
50=5.0μmまで粉砕した表2の組成番号6、9、表3の溶解性ガラス1からなるガラス200mgに対し、pH=7.4の0.1mоl・L−1のリン酸緩衝溶液200μLを添加した。そこに9.2mоl・L−1のDMPO(LABOTEC.製、LM−2110)10μLを添加し、シェイクした。DMPO添加時点から10秒後、1分後、5分後にシェイクをやめ、溶液のみをヘマトクリット管で採取し、ESR(日本電子株式会社製、FR−30、Xバンド)測定を実施した。また、ガラスを除いたものをブランクとした。全て、室温、蛍光灯下で実施した。当手法は、ラジカル測定の一般的手法であるスピントラップ法に該当し、DMPOがラジカルを補足するとスピンアダクトが生成する。この生成物(DMPO−OH)をESRで検出した。なお、検出値の単位は、基準物質Mn2+に対するピーク面積値比率(エリアシングル/エリアマンガン、S/M)である。その結果を表7に示す。組成番号6のガラスはDMPO−OHの生成が確認されたのに対し、組成番号9、溶解性ガラス1はブランクと同様にバックグラウンドの値を示しただけであった。本発明のガラス質消臭剤がラジカルを発生する可能性が高いことが確認された。このため本発明によれば、発生したラジカルが水を分解してヒドロキシルラジカルを発生することとなり、水分の存在下でさらに消臭効果が助長されると考えられる。
(実施例D:ガラス質消臭剤の基本特性・触媒劣化の抑制)
50=4.2μmまで粉砕した表2の組成番号6からなるガラス0.1gとCuO試薬(平均粒径4μm)0.1gのそれぞれを1Lのテドラーバッグに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内のメチルメルカプタン濃度をガスクロマトグラフで測定した。メチルメルカプタンの初期濃度は55ppmとし、繰返し10回まで実施した。また、ブランクとしてガラスなしで同様の操作を行った。その結果、表8に示すように、CuO試薬は、繰返しに伴い消臭効果が低減している。これは、一般的に知られるCuOの触媒劣化(硫黄吸着)である。それに対し、ガラスは消臭効果を維持しており、持続性が高いことが確認された。このメカニズム解明は課題が残るが、ガラス化することで触媒劣化が抑制されることが確認された。このときのガラス表面をXPS(アルバックファイ(株)製、PHI 5000 VersaProbe)で解析したところ、表9に示すように、確かに消臭後に硫黄の吸着がないことが確認された。
1 吸収体
2 シート
3 内側シート
4 外側シート
5 高吸水性ポリマー
6 中間シート
7 不透過シート
8 固定用テープ
9 ガラス質消臭剤

Claims (2)

  1. 吸収体またはその外面を覆うシートにガラス質消臭剤を保持させた吸収性パッドであって、
    このガラス質消臭剤は銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、
    ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有することを特徴とする吸収性パッド。
  2. ガラス質消臭剤が、D96=100μm以下の粉体であることを特徴とする請求項1記載の吸収性パッド。
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