JP2017023151A - 虫侵入防止材、虫脱出防止材、虫侵入防止物品、虫脱出防止物品、虫侵入防止方法および虫脱出防止方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)特定の害虫忌避剤を塗布したフィルムであって、これを配置した特定空間への害虫の侵入を阻止する害虫忌避フィルム(特許文献1)。
(2)フィルムの表面に特定の害虫忌避剤を含む接着剤層を設けたテープであって、害虫の侵入経路に貼り付けて建物内への害虫の侵入を阻止する害虫忌避テープ(特許文献2)。
(3)害虫忌避剤を含む熱可塑性樹脂層を積層したフィルムであって、土壌を這ってくる害虫を忌避する農業用マルチフィルム(特許文献3)。
(4)害虫忌避剤を含む印刷インキからなる印刷模様層を有するフィルムからなる穀類用包装袋(特許文献4)。
(5)特定の害虫忌避剤を保持した担体を透過性フィルムで被覆した害虫忌避材であって、害虫の侵入するおそれのある場所に貼り付けて害虫を忌避する害虫忌避材(特許文献5)。
(6)害虫忌避剤を保持した中間層の両面にフィルムを積層した照明器具カバー材であって、害虫の誘引を阻害し、害虫の付着による汚れを防止する照明器具カバー材(特許文献6)。
本発明の虫脱出防止材は、複数の凸部からなる凹凸構造を少なくとも一方の表面に有し、前記凸部間の平均間隔が、400nm以下であることを特徴とする。
本発明の虫侵入防止物品は、空間を区画する壁材と、前記壁材の少なくとも一部の表面に設けられた請求項1に記載の虫侵入防止材とを有することを特徴とする。
本発明の虫脱出防止物品は、空間を区画する壁材と、前記壁材の少なくとも一部の表面に設けられた請求項2に記載の虫脱出防止材とを有することを特徴とする。
本発明の農業用ハウスは、本発明の虫侵入防止材を有することを特徴とする。
本発明の建物は、本発明の虫侵入防止材を有することを特徴とする。
本発明の壁材は、本発明の虫侵入防止材を有することを特徴とする。
本発明の収納ケースは、本発明の虫侵入防止材を有することを特徴とする。
本発明のベッドは、本発明の虫侵入防止材を有することを特徴とする。
本発明の包装材は、本発明の虫侵入防止材を有することを特徴とする。
本発明の農業用マルチフィルムは、本発明の虫侵入防止材を有することを特徴とする。
本発明の捕虫器は、本発明の虫脱出防止材を有することを特徴とする。
本発明の飼育ケースは、本発明の虫脱出防止材を有することを特徴とする。
本発明のシャーレは、本発明の虫脱出防止材を有することを特徴とする。
本発明の虫侵入防止方法は、複数の凸部からなる凹凸構造を少なくとも一方の表面に有し、前記凸部間の平均間隔が400nm以下である虫滑落性フィルムを、前記表面を水平方向に対して傾斜または前記表面を水平方向に対して垂直にした状態で配置して、前記表面から虫を落下させ、前記表面の上方または背後に虫が侵入できなくすることを特徴とする。
本発明の虫脱出防止方法は、複数の凸部からなる凹凸構造を少なくとも一方の表面に有し、前記凸部間の平均間隔が400nm以下である虫滑落性フィルムを、前記表面を水平方向に対して傾斜または前記表面を水平方向に対して垂直にした状態で配置して、前記表面から虫を落下させ、前記表面の上方または背後に虫が脱出できなくすることを特徴とする。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびまたはメタクリレートを意味する。
本明細書において、「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
本発明の虫侵入防止材および虫脱出防止材は、虫滑落性フィルムからなる。虫滑落性フィルムとは、フィルムの表面を水平方向に対して傾斜させた際、またはフィルムの表面を水平方向に対して垂直にした際に、虫がフィルムの表面から落下する、または虫がフィルムの表面に侵入できなくなる特性を有するフィルムである。
基材フィルム12の材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ガラス等が挙げられる。基材は、フィルムに限定されず、シート、射出成形品等であってもよい。
硬化樹脂層16は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、複数の凸部14からなる凹凸構造を表面に有する。
凸部14間の平均間隔Pは、凸部14の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部14間の平均間隔Pは、電子顕微鏡観察によって、隣接する凸部14間の間隔(凸部14の中心から隣接する凸部14の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部14の高さHは、電子顕微鏡観察によって、凸部14の最頂部と、凸部14間に存在する凹部の最底部との間の距離を50点測定し、これらの値を平均したものである。
虫滑落性フィルム10は、例えば、図2に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
複数の細孔(図示略)を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状のモールド20の表面と、モールド20の回転に同期してモールド20の表面に沿って移動する帯状の基材フィルム12の表面との間に、タンク22から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24を供給する。
剥離ロール32により、硬化樹脂層16が表面に形成された基材フィルム12を剥離することによって、虫滑落性フィルム10を得る。
モールド20は、特に限定されず、リソグラフィ法やレーザー加工によって凹凸構造を設けたモールド、陽極酸化アルミナを表面に有するモールド等が挙げられるが、安価に大面積化することを考えると、陽極酸化アルミナを表面に有するモールドが好ましい。陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、大面積化が可能であり、作製が簡便である。
(a)アルミニウム基材を電解液中、陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)前記工程(d)と工程(e)を繰り返し行う工程。
図3に示すように、アルミニウム基材34を陽極酸化すると、細孔36を有する酸化皮膜38が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等が挙げられる。
図3に示すように、酸化皮膜38を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点40にすることで細孔の規則性を向上することができる。
図3に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム基材34を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔36を有する酸化皮膜38が形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
図3に示すように、細孔36の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
図3に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔36の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔36がさらに形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
図3に示すように、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔36を有する陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))が形成されたモールド20が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
細孔36の深さは、10〜1000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましく、110〜300nmが特に好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物および重合開始剤を含む。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を含んでいてもよい。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
R11 xSi(OR12)y ・・・(1)。
ただし、R11、R12は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基を表し、x、yは、x+y=4の関係を満たす整数を表す。
R21O[Si(OR23)(OR24)O]zR22 ・・・(2)。
ただし、R21〜R24は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは、3〜20の整数を表す。
虫滑落性の点からは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は疎水性であっても親水性であっても効果は得られる。
凹凸構造の表面に、撥水性(具体的には水の接触角が90°以上であること)が求められる場合には、疎水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物またはシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
フッ素含有化合物としては、下記式(3)で表されるフルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。
−(CF2)n−X ・・・(3)。
ただし、Xは、フッ素原子または水素原子を表し、nは、1以上の整数を表し、1〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜8が特に好ましい。
フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレン等が挙げられる。
CH2=C(R41)C(O)O−(CH2)m−(CF2)n−X ・・・(4)。
ただし、R41は、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子またはフッ素原子を表し、mは、1〜6の整数を表し、1〜3が好ましく、1または2がより好ましく、nは、1〜20の整数を表し、3〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。
(Rf)aR51 bSiYc ・・・(5)。
加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、R52C(O)O(ただし、R52は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。)等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、Cl、Br、I等が挙げられる。
R52C(O)Oとしては、CH3C(O)O、C2H5C(O)O等が挙げられる。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、下記式(6)で表される基が好ましい。
−(OR61)p− ・・・(6)。
ただし、R61は、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、pは、2以上の整数を表す。R61としては、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−等が挙げられる。
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、X−22−1602(信越化学工業社製)等のシリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
凹凸構造の表面に、親水性(具体的には水の接触角が25°以下であること)が求められる場合には、親水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。
また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、基材への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
虫滑落性フィルム10は、農業関連の現場で広範に利用されることが予想される。特に、微細な凹凸構造を表面に有するフィルムの有用性として、高い光透過性(特に、光合成に必要な光の波長域をほぼ100%透過する)、Self−cleaning効果、そして虫が付着できないということが示されているので、温室の表面素材として用いられる可能性が高い。また、リボン状のものを作製すれば、各苗木の足元に結ぶだけで、害虫付着防止として用いることが可能である。さらに、貯穀倉庫等の建物または貯穀場所自体をフィルムで覆うことで、貯穀害虫や衛生害虫の侵入を防止することができる。これらは、農薬を用いない害虫制御技術として有用である。
・農業用ハウス、建物等において虫の侵入経路となる場所に、虫滑落性フィルム10を、フィルムの表面を水平方向に対して傾斜またはフィルムの表面を水平方向に対して垂直にした状態で、設置する。
・虫滑落性フィルム10を農業用マルチフィルムそのもの、または他の基材と積層した積層体を農業用マルチフィルムとして用いる。
・虫滑落性フィルム10を袋状にし、包装袋として用いる。
・虫滑落性フィルム10を照明器具カバー材の表面に貼り付ける。
・虫滑落性フィルム10を、屋外に設置された画像表示等の各種表示装置(液晶テレビ等)の表示画面、前面板等の表面に貼り付ける。
・虫滑落性フィルム10を、屋外に設置された自動販売機の商品ディスプレイの保護板の前面板等の表面に貼り付ける。
・捕虫器における虫の入り口に、虫滑落性フィルム10を貼り付け、捕虫器内に誘引された虫が捕虫器の外に逃げ出さないようにする。
・虫滑落性フィルム10を昆虫用飼育ケースの内壁として用いる。
・虫滑落性フィルム10を、コンビニエンスストア等のガラス面や屋外に設置されたショウウィンドウのガラス面に貼り付ける。
・虫滑落性フィルム10を円柱の内側および外側に作り、アリ等の徘徊性害虫の巣穴を中心として設置する。徘徊性害虫は、出巣できず餌を確保できなくなり、巣内の虫を全滅させることができる。
・虫滑落性フィルム10を、研究用プラスチックシャーレの壁材として使用し、徘徊性昆虫の実験時にシャーレの蓋をあけたまま観察等を実施できるようにする。
・虫滑落性フィルム10を透明包装材として作製し、食品のパッケージ、薬品のパッケージ素材として用いる。
以上説明した虫滑落性フィルム10にあっては、平均間隔が10μm以下の複数の凸部14からなる凹凸構造を表面に有するため、フィルムの表面を水平方向に対して傾斜させた際、またはフィルムの表面を水平方向に対して垂直にした際に、虫(ただし、一部の虫を除く。)がフィルムの表面から落下する、または虫(ただし、一部の虫を除く。)がフィルムの表面に侵入できなくなる。そのため、長期間にわたって虫(ただし、一部の虫を除く。)の侵入や付着を抑えることができ、有効な虫忌避材として用いることができる。
なお、本発明の虫滑落性フィルムは、図示例の虫滑落性フィルム10に限定はされない。
例えば、凹凸構造は、図示例においては、硬化樹脂層16の表面に形成されているが、硬化樹脂層16を設けることなく基材フィルム12の表面に直接形成されていてもよい。
ただし、ロール状のモールド20を用いて効率よく凹凸構造を形成できる点から、硬化樹脂層16の表面に凹凸構造が形成されていることが好ましい。
また、虫滑落性フィルムは、上述した製造方法で得られたものに限定はされず、公知の方法(ナノインプリント、切削加工、エッチング、樹脂の相分離、湿式製膜の過程過で結露し整列する水滴の自己組織化を用いる方法等)によって基材フィルムの表面に凹凸構造を形成することによって製造されたものであってもよい。
陽極酸化アルミナの一部を削り、断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面を観察し、細孔間の間隔、細孔の深さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
硬化樹脂層の破断面にプラチナを10分間蒸着し、陽極酸化アルミナと同様に断面を観察し、凸部間の間隔、凸部の高さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
虫の滑落試験は、図4に示すような、モータ(図示略)に接続して回転自在とされた丸棒42に、板44が固定された試験器具を用いて行った。
表面を水平にした板44の上側表面に虫滑落性フィルム10を、凹凸構造側が上側表面となるように貼着し、虫滑落性フィルム10の上に試験対象の虫を置き、丸棒42をゆっくりと回転させることによって板44を180°反転させた。この際、虫が虫滑落性フィルム10から落下するか否かを観察した。同様の試験を合計で5回繰り返し、虫が虫滑落性フィルム10から落下した回数を計測した。
また、実験用シャーレの内壁に、虫滑落性フィルム10を垂直に貼着し、虫が壁面を登って逃げ出すことができるかを観察した。
上述した工程(a)〜(f)を行い、平均間隔160nm、深さ250nmの略円錐形状の複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成された板状のモールドaを得た。
モールドaを、オプツールDSX(ダイキン工業社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬し、一晩風乾して、陽極酸化アルミナの表面を離型剤で処理した。
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物の45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製)の45質量部、
ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製、X−22−1602)の10質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)184)の3質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)819)の0.2質量部
を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを得た。
モールドaの表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを塗布し、この上に厚さ100μmのアクリルフィルム(三菱レイヨン社製、HBK003)を被せた。
紫外線照射機(フュージョンランプDバルブ)を用いて、積算光量1000mJ/cm2でフィルム越しに紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの硬化を行った後、モールドaから分離し、円錐台形状の複数の凸部からなる凹凸構造を表面に有する厚さ10μmの硬化樹脂層が表面に形成された虫滑落性フィルムXを得た。
凸部間の平均間隔は160nmであり、凸部の高さは240nmであり、凸部の底部の幅は160nmであった。
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物の70質量部、
ポリエチレングリコールジアクリレート(東亜合成化学社製、アロニックスM260)の20質量部、
ヒドロキシエチルアクリレートの3質量部、
メチルアクリレートの7質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)184)の1.0質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)819)の0.1質量部 を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを得た。
モールドaの表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを塗布した以外は、虫滑落性フィルムXと同様にして虫滑落性フィルムYを得た。
凸部間の平均間隔は160nmであり、凸部の高さは240nmであり、凸部の底部の幅は160nmであった。
上述した工程(a)〜(f)を行い、平均間隔100nm、深さ150nmの略円錐形状の複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成された板状のモールドbを得た。
モールドbを、オプツールDSX(ダイキン工業社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬し、一晩風乾して、陽極酸化アルミナの表面を離型剤で処理した。
モールドbを用いて、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)フィルム(三菱樹脂社製、WE97A)を用い、図2に示す装置を用いた以外は、虫滑落性フィルムXと同様の方法で虫滑落性フィルムxを得た。凸部間の平均間隔は100nmであり、凸部の高さは150nmであり、凸部の底部の幅は100nmであった。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを用いた以外は、虫滑落性フィルムxと同様の方法で虫滑落性フィルムyを得た。凸部間の平均間隔は100nmであり、凸部の高さは150nmであり、凸部の底部の幅は100nmであった。
(虫の滑落試験)
虫滑落性フィルムxおよび虫滑落性フィルムy、ならびに凹凸構造を表面に有さない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの硬化物を表面に有するアクリル樹脂フィルムおよび凹凸構造を表面に有さない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bの硬化物を表面に有するアクリル樹脂について、表1に示す虫の滑落試験を行った。結果を表1に示す。ヒロヘリアオイガラとミカンキイロアザミウマでは、虫滑落性フィルムでも他のフィルムでも滑落しなかった。ヒロヘリアオイガラは特殊な接着装置を備えている可能性が高く、またミカンキイロアザミウマはごく微小昆虫であるために、フィルムがもつ静電気によって付着している可能性が高い。これらは特殊な虫で一般的な害虫駆除には影響しない。
(虫の滑落試験)
虫滑落性フィルムX、虫滑落性フィルムY、プリズムシート1(三菱レイヨン社製、M165HSC1、凸部間の平均間隔は18μm、平均高さ13.3μm)、プリズムシート1の裏側のマット面(PMMA微粒子/アクリル系バインダー樹脂、Ra0.35〜0.5μm、Rz2.0〜3.0μm)、プリズムシート2(三菱レイヨン社製、M168ysc1、凸部間の平均間隔は18μm、平均高さ13.3μm)、プリズムシート3(三菱レイヨン社製、M168ykc3−LN、凸部間の平均間隔は50μm、平均高さ37.1μm)、アンチグレア板(三菱レイヨン社製G7、Sm92μm、Ra0.15μm、Rz0.57μm)について、ユリクビナガハムシの滑落試験を行った。結果を表2に示す。また、垂直面に対して自由登攀できるどうかの実験を行った。プラスチックシャーレの壁材として上記のフィルムを張り、虫を傷つけないように筆の先に虫を乗せてプラスチックシャーレの底に誘導した。コウチュウ目のユビクビナガハムシに加え、ナナホシテントウ、ハチ目のアミメアリ、テラニシシリアゲアリの4種を実験に用いた。これら誘導した昆虫すべてプラスチックシャーレの底を自由に動けるが、壁材として虫滑落性フィルムが張られた部分を登攀できるものはいなかった。また、コントロール実験としてこの壁材の部分を虫滑落性フィルムと同じ素材で凸凹構造のないフィルムで構成し、虫を傷つけないように筆の先に虫を乗せてプラスチックシャーレの底に誘導すると、上記4種の昆虫はそのフィルムを自由に登攀し、シャーレの外に逃げ出すことができた。
14 凸部
36 細孔
38 酸化皮膜(陽極酸化アルミナ)
P 平均間隔
Claims (16)
- 複数の凸部からなる凹凸構造を少なくとも一方の表面に有し、
前記凸部間の平均間隔が、400nm以下である、虫侵入防止材。 - 複数の凸部からなる凹凸構造を少なくとも一方の表面に有し、
前記凸部間の平均間隔が、400nm以下である、虫脱出防止材。 - 空間を区画する壁材と、
前記壁材の少なくとも一部の表面に設けられた請求項1に記載の虫侵入防止材と
を有する、虫侵入防止物品。 - 空間を区画する壁材と、
前記壁材の少なくとも一部の表面に設けられた請求項2に記載の虫脱出防止材と
を有する、虫脱出防止物品。 - 請求項1に記載の虫侵入防止材を有する農業用ハウス。
- 請求項1に記載の虫侵入防止材を有する建物。
- 請求項1に記載の虫侵入防止材を有する壁材。
- 請求項1に記載の虫侵入防止材を有する収納ケース。
- 請求項1に記載の虫侵入防止材を有するベッド。
- 請求項1に記載の虫侵入防止材を有する包装材。
- 請求項1に記載の虫侵入防止材を有する農業用マルチフィルム。
- 請求項2に記載の虫脱出防止材を有する捕虫器。
- 請求項2に記載の虫脱出防止材を有する飼育ケース。
- 請求項2に記載の虫脱出防止材を有するシャーレ。
- 複数の凸部からなる凹凸構造を少なくとも一方の表面に有し、前記凸部間の平均間隔が400nm以下である虫滑落性フィルムを、前記表面を水平方向に対して傾斜または前記表面を水平方向に対して垂直にした状態で配置して、前記表面から虫を落下させ、前記表面の上方または背後に虫が侵入できなくする、虫侵入防止方法。
- 複数の凸部からなる凹凸構造を少なくとも一方の表面に有し、前記凸部間の平均間隔が400nm以下である虫滑落性フィルムを、前記表面を水平方向に対して傾斜または前記表面を水平方向に対して垂直にした状態で配置して、前記表面から虫を落下させ、前記表面の上方または背後に虫が脱出できなくする、虫脱出防止方法。
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US20090232862A1 (en) * | 2006-06-03 | 2009-09-17 | Ovd Kinegram Ag | Insect Screening Sheet |
JP2010005841A (ja) * | 2008-06-25 | 2010-01-14 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | モールドの製造方法 |
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