JP2017023057A - ホグレ剤、その製造方法およびそれを含む食品 - Google Patents

ホグレ剤、その製造方法およびそれを含む食品 Download PDF

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Abstract

【課題】茹で麺、蒸し麺などの麺類の、新規なホグレ剤の提供。【解決手段】蒸留モノグリセライドを用いて改質した植物性タンパク質を有効成分とする麺類用ほぐれ剤。前記植物性タンパク質がグルテンであり、グルテン:蒸留モノグリセライドの質量比が、33:1〜40である麺類用ホグレ剤。グルテンに蒸留モノグリセライドを練り込み、蒸留モノグリセライド含有混練物を得る工程と、該蒸留モノグリセライド含有混練物を乾燥する工程と、該乾燥した蒸留モノグリセライド含有混練物を粉砕する工程とを含む、蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ホグレ剤、その製造方法およびそれを含む食品に関する。
茹で麺、蒸し麺などの麺類は、製造直後は良好なホグレ性を示すが、経時的に麺線表面の糊化された澱粉の粘着性により麺線同士が結着し、塊になり、ホグレ性が損なわれる。また、ノンフライ麺などの即席麺では、糊化された澱粉が乾燥工程時に麺同士を結着させ、湯戻し後のホグレ性が悪くなる。
このような問題を解決するための方法としては、麺類の加熱工程後、食用油脂、油脂調製物、増粘多糖類および乳化剤などを含有する水分散液を麺線に噴霧する方法の他、ホグレ性の改良に効果のある成分を麺の原料に加えて製麺する方法が知られている(例えば特許文献1)が、十分な効果が得られているとは言えない。
そこで、容易に麺の原料に加えて製麺できるホグレ性向上剤の開発が求められていた。
特許第4995180号公報
新規な麺類のホグレ剤を提供する。
(1)蒸留モノグリセライドを用いて改質した植物性タンパク質を有効成分とする麺類用ホグレ剤。
(2)前記植物性タンパク質がグルテンである、(1)に記載の麺類用ホグレ剤。
(3)植物性タンパク質:蒸留モノグリセライドの質量比が、33:1〜40である、(1)または(2)に記載の麺類用ホグレ剤。ここで植物性タンパク質の質量については、乾燥質量を表す。(6)においても同様である。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の麺類用ホグレ剤を含む食品。
(5)蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の製造方法であって、植物性タンパク質に蒸留モノグリセライドを練り込み、蒸留モノグリセライド含有混練物を得る工程と、該蒸留モノグリセライド含有混練物を乾燥する工程と、該乾燥した蒸留モノグリセライド含有混練物を粉砕する工程とを含む、方法。
(6)植物性タンパク質:蒸留モノグリセライドの質量比が、33:1〜40である蒸留モノグリセライド−グルテン改質物。
(7)(5)の製造方法により製造された蒸留モノグリセライド−グルテン改質物および/または(6)の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物を有効成分とする、麺類用ホグレ剤。
(8)(7)の麺類用ホグレ剤を含む食品。
本発明の組成物(改質物も含む)によれば、麺類のホグレ性を向上できるという効果が得られる。
図1は、蒸留モノグリセライドの添加量と弾性率(%)の関係を示すグラフである。
本発明において、「蒸留モノグリセライド」とは、反応モノグリセライドを精製してモノグリセライドの含有率を高めたものを言う。蒸留モノグリセライド100%中のモノエステル含有量は、好ましくは通常約90%以上であり、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上の純度である。
蒸留モノグリセライドを構成する脂肪酸としては、好ましくは食用可能な動植物油脂を起源とする炭素数16〜24の不飽和脂肪酸であり、例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸およびアラキドン酸ならびにそれらの組合せなどが挙げられる。
蒸留モノグリセライドとしては、例えば、サンソフト8070V[太陽化学株式会社](モノエステル含有量約90%)、エキセルO−95R[花王株式会社](モノエステル含有量約93%)などが商業的に製造および販売されており、本発明ではこれらの市販品を用いることができる。
本明細書において、「改質した」とは、植物由来タンパク質(例えば、グルテン)に蒸留モノグリセライドを加え、攪拌後、乾燥、粉砕することで、植物性タンパク質の性質を変えることを指す。例えば、グルテン自体の弾性率が変化する事、さらに言えば、改質したグルテンを麺に練り込む事で麺のホグレ性を向上できる事である。
植物性タンパク質を改質する方法としては、例えば、植物性タンパク質に蒸留モノグリセライドを練り込み、蒸留モノグリセライド含有混練物を得た後、該蒸留モノグリセライド含有混練物を水分10%以下まで乾燥し、乾燥した物を粉砕する方法が好ましく用いられる。
本明細書において、「植物性タンパク質」とは、植物由来のタンパク質をいう。好ましくは穀類由来タンパク質、より好ましくは、麦類由来タンパク質、さらに好ましくは、小麦由来タンパク質、最も好ましくはグルテンをいう。
グルテンは、穀類特有の粘質性のタンパク質であり、古くから焼麸、生麸、水産練り製品、パン類、麺類などの食品の原料として用いられている。
グルテンは、通常、小麦粉から小麦澱粉を製造する際の副産物として得られる。例えば、小麦粉に水を加えて練り、得られた混練物を水洗することによって、水中に小麦澱粉が懸濁する。他方、水に懸濁せずに、残留した固形の塊がグルテン(生グルテン)であり、懸濁液から分離回収することによって得られる。このような生グルテンは、好ましくは、約60〜70質量%の水分を含む。グルテンは、通常、生グルテンの冷凍物、あるいは生グルテンを乾燥粉末化してグルテン粉末として流通され、食品に利用されている。
本明細書において、「生グルテン」とは、例えば、穀類から直接、洗浄法、抽出法などの当業者が通常時行う方法によって得られるグルテンのうち、乾燥、粉末化などの処理を受けていないもの、あるいは乾燥、粉末化した後に水を加えて混練したものをいう。この生グルテンは、好ましくは、水分を約60〜70質量%含有する。
本発明に用いられる生グルテンの原料としては、例えば、小麦、ライ麦などの穀類が挙げられる。好ましくは小麦である。上記穀類には、タンパク質であるグルテンが豊富に含有される。グルテンは、S−S結合を含むため弾力性に富むことが知られており、種々の食品の食感に重要な役割を果たしている。
上記洗浄法は、例えば、小麦粉などの穀類に少量の溶媒(例えば、水)を加えて練った生地(ドウ)を、上記溶媒で洗浄すること、あるいは多量の溶媒中でさらに練ることによって行われる。この方法により、澱粉が溶媒中に懸濁して除去され、グルテンが粘弾性の塊として得られる。上記溶媒としては、通常、水が用いられるが、希リン酸ナトリウム溶液、食塩水などを用いてもよい。
上記抽出法は、例えば、上記ドウに希酢酸−エタノール混合液などを加えて、グルテンを溶解させ、澱粉を不溶液として分別することによって行われる。
本明細書において、「麺類」とは、うどん、そば、中華そば、スパゲティなどの麺類を含むがさらに、ワンタン、餃子の皮など、麺類と同じか類似の材料により作製されるものも含まれる。本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物を餃子の皮に含ませることにより、皮の結着性を改善できる。
本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物は、蒸留モノグリセライドと植物性タンパク質を混合・乾燥・粉砕することにより製造することができ、蒸留モノグリセライドにより植物性タンパク質が改質されていることを特徴とする。本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物によれば、蒸留モノグリセライドを含む乳化剤およびグルテンなどの植物性たんぱくを、ただ同時に含むだけの麺では得ることができない良好なホグレ性(結着抑制)を付与することができる。また、こうして得られた食品の風味、外観も優れたものである。
本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物は、植物性タンパク質と蒸留モノグリセライドとを混練し、乾燥、粉砕することによって得られる。この製造工程において、蒸留モノグリセライドにより植物性タンパク質が改質され、よりホグレ性を向上できると考えられる。好ましくは蒸留モノグリセライドと植物性タンパク質と水のみからなる組成物であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。その場合でも、モノグリセライドは蒸留モノグリセライドのみからなることが好ましい。モノグリセライド中の蒸留モノグリセライドの含有率は、80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上、最も好ましくは100%である。その他の成分としては、例えば、還元剤または酸化防止剤(たとえば、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、システイン、ビタミンEなど)、乳化剤(たとえば、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、およびレシチンなど)、増粘多糖類(たとえば、グアガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カンテン、カラゲーナン、アラビアゴム、ジェランガムなど)、糖質(たとえば、デキストリン、デキストリンの還元物、砂糖、乳糖、オリゴ糖、サイクロデキストリンなど)、有機無機酸(たとえば、リン酸、炭酸、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アジピン酸など、およびその塩類)、アミノ酸(たとえば、グルタミン酸、グリシン、アラニン、シスチン、システイン、アルギン酸、アスパラギン酸など)、タンパク質分解物(たとえば、各種タンパク質のペプチド、動植物性タンパク質の加水分解物など)、動植物性抽出物(たとえば、各種天然調味料、抗菌成分)などが挙げられる。この蒸留モノグリセライド−グルテン改質物は、主に穀類を主成分とする食品(特に麺類、麺皮)に用いられ、結着防止、ホグレ性の向上のために用いられる。
本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物、ホグレ剤の製品の形態は、特に制限はないが、好ましくは粉末である。粉末の形態の場合、麺などの生地に均一に分散でき、優れたホグレ性を発揮できる。
本明細書において、「ホグレ」とは、麺線や皮同士の結着性が弱くなり、麺線や皮が容易にバラバラになることをいう。「ホグレ性」とはほぐれる度合いをいう。本明細書において、「ホグレ組成物」とは本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物またはホグレ剤と同義で使用される。
本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物は、上記の生グルテン、蒸留モノグリセライド、および必要に応じてその他の成分を混練し、乾燥、粉砕することによって得られる。その他の成分については、その種類に応じて適宜含有され得る。例えば、上記混練時に合わせて添加してもよく、乾燥後に混合してもよい。
混練工程において、生グルテンと蒸留モノグリセライドとの割合に特に制限はない。好ましくは、生グルテン100質量部(乾燥グルテン33質量部に相当)に対して、蒸留モノグリセライド1質量部〜40質量部、より好ましくは1質量部〜30質量部、さらに好ましくは5質量部から20質量部、特に好ましくは10質量部から20質量部、最も好ましくは12質量部から20質量部である。1質量部未満の場合、十分な結着抑制効果が得られず、ホグレ効果を得る為に、多量の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物を必要とする。40質量部を超える場合、食品に添加すると、食品の風味、食感などを損なう恐れがある。風味、食感などを損なうことなく、十分な結着抑制効果が得られる点から、蒸留モノグリセライドを10〜15質量部とすることが特に好ましい。混練は、例えば、ニーダー、ミキサーなどを用いて行われる。
次いで、上記混練物を乾燥する。乾燥は、例えば、混練物中の水分量が10質量%以下になるまで行われる。乾燥方法は特に制限されないが、例えば加熱乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥またはこれらの2もしくはそれ以上の組合せなどの当業者が通常行う乾燥方法であれば特に制限はない。品質保持の点から、60℃以下の乾燥または凍結乾燥が好ましい。短時間で乾燥させる点からは真空乾燥が好ましく、例えば50〜60℃にて乾燥され得る。生グルテンを取り扱う作業性の点からは凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥の場合、凍結させた後、予め粉砕機などで粉砕してから乾燥してもよい。このようにして、本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物が得られる。
上述のように生グルテンは水分を約60〜70%含んでいるため、乾燥後の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物におけるグルテン(または植物性タンパク質):蒸留モノグリセライドの質量比は、33:1〜40となる。グルテン(または植物性タンパク質):蒸留モノグリセライドの質量比は、33:5〜40、33:8〜40、33:9〜40、33:10〜40、33:11〜40、33:12〜40、33:13〜40、33:14〜40、33:15〜40であってもよい。
得られた蒸留モノグリセライド−グルテン改質物は、必要に応じて、粉砕される。粉砕は、例えば、ミル、ブレンダーおよび石臼などの当業者が通常用いる機械または道具により行われ得る。粉砕物の粒径は、食品に応じて適宜設定すればよく特に制限はない。粉砕後、粒径を均一にするために篩い分けなどを行ってもよい。
本発明の食品は、穀類を主成分とし、さらに上記蒸留モノグリセライド−グルテン改質物またはホグレ剤を含む。穀類としては、麦類(小麦など)、米、とうもろこし、そば、あわ、ひえ、いも類(地下茎を含む)、豆などの植物の澱粉質およびタンパク質を主体とする粉末などが挙げられる。中でも、麦粉、特に小麦粉(例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉など)、そば粉、米粉などが好ましく用いられる。このような穀粉を主成分とする食品としては、例えば、麺(そば、うどん、中華麺など)、餃子の皮、ワンタンの皮などが挙げられる。これらの食品に含有される蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の量は特に制限されないが、好ましくは得られる食品中に0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜2.0質量%の割合で含有される。
本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の粉末またはホグレ剤による穀類加工食品のホグレ性の改良による効果としては、その食品を食べる際に食べ易いことである。また、美観にすぐれるため旨く感じられる。半調理品等において再加熱等の際に加熱ムラがなく、熱効率がよい為、短時間で最適の食品を得ることができる点があげられる。例えば、乾麺タイプのカップ麺、袋麺、インスタントラーメン、インスタントやきそば等においても、熱湯を注いだ後に容易に麺がほぐれる結果、少しの撹拌で麺がホグレ麺線が切れにくく、麺線を損なうことがない。本発明のホグレ性は、ノンフライ麺において特に高い効果が得られる。また、麺類に具材が添加されている麺、例えば、冷やし中華そばや、焼そば、スパゲティ等においては、ソースや具材とを容易にまんべんなく混ぜることができ、食感に優れると共に食べやすく、調理性にも優れる。
蒸留モノグリセライド−グルテン改質物のホグレ性評価
グルテンと蒸留モノグリセライドから得られる蒸留モノグリセライド−グルテン改質物のホグレ性を検証するために、種々の乳化剤を用いて組成物を調製し、該組成物を配合した麺類のホグレ性を評価した。
実施例1:蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の調製
小麦粉100質量部に、水70質量部を加えて混練して生地(ドウ)を得た。このドウを水洗して澱粉を除去し、小麦グルテン(生グルテン)を得た。この生グルテン100質量部に対して、加熱溶解した蒸留モノグリセライド(サンソフト8070V:太陽化学株式会社)を1質量部、5質量部、10質量部、15質量部、または20質量部をそれぞれ添加し、フードカッターを用いて均一になるまで混練した。混練物を凍結乾燥した後、水冷型石臼粉砕機(ミクロパウダー:有限会社ウエスト製)を用いて粉砕して蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の粉末(ホグレ組成物)を得た(それぞれ、実施例1(1)、実施例1(5)、実施例1(10)、実施例1(15)、実施例1(20)とする)。
比較例1:反応モノグリセライド含有グルテン組成物の調製
蒸留モノグリセライドの代わりに、反応モノグリセライド(ポエムOL−200V:理研ビタミン株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応モノグリセライド−グルテン組成物を得た。
比較例2:有機酸モノグリセライド−グルテン組成物の調製
蒸留モノグリセライドの代わりに、有機酸モノグリセライド(ポエムK−37V:理研ビタミン)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機酸モノグリセライド−グルテン組成物を得た。
比較例3:蒸留モノグリセライド−小麦粉・加工デンプン混合物
小麦粉(白椿:日清製粉株式会社)80質量部、加工デンプン(あさがお:松谷化学工業株式会社)20質量部を混合したものに蒸留モノグリセライド(サンソフト8070V:太陽化学株式会社)0.5質量部を加えて、フードカッターを用いて均一になるまで混合し、蒸留モノグリセライド−小麦粉・加工デンプン混合物を得た。
比較例4:蒸留モノグリセライド−そば粉、小麦粉、加工デンプン混合物
そば粉(千寿月:日穀製粉株式会社)40質量部、小麦粉(特金龍:柄木田製粉株式会社)40質量部、加工デンプン(あさがお:松谷化学工業株式会社)20質量部を混合したものに蒸留モノグリセライド(サンソフト8070V:太陽化学株式会社)0.5質量部を加えて、フードカッターを用いて均一になるまで混合し、蒸留モノグリセライド−小麦粉・加工デンプン混合物を得た。
比較例5:蒸留モノグリセライド−小麦粉、加工デンプン混合物
小麦粉(特ことぶき:日本製粉株式会社)80質量部、加工デンプン(あさがお:松谷化学工業株式会社)20質量部を混合したものに蒸留モノグリセライド(サンソフト8070V:太陽化学株式会社)0.5質量部を加えて、フードカッターを用いて均一になるまで混合し、蒸留モノグリセライド−小麦粉、加工デンプン混合物を得た。
<試験例>
試験1(茹でうどんのホグレ性)
各組成物(実施例1および比較例1〜3)を使用して茹でうどんを作製し、そのホグレ性および風味を評価した。
茹でうどんの作製
万能ミキサー(株式会社品川工業所製)に表1に示した配合に基づいて、小麦粉、加工デンプン、各組成物を加え混合した後、さらに、食塩を水に溶解して調製した水溶液を加え、8分間混合し、生地を得た。この生地から製麺機(株式会社福田麺機製)を用いて製麺し、室温で1時間熟成させた。熟成後、厚さ2.5mmになるまで圧延し、切刃9番角を用いて切断して生うどんを得た。この生うどんを熱湯で8分間茹であげて水道水で30秒間洗った後、約5℃の水に30秒間浸漬して、茹でうどんを得た。
また、対照として、各組成物を添加しない茹でうどんを同様に作製した。
Figure 2017023057
ホグレ性、風味の評価
作製した茹でうどんをポリスチレン製の容器に充填・密封し、10℃で24時間保存した。保存後の茹でうどんを表2の評価基準に従い10名のパネラーにより、ホグレ性および風味を評価した。また、結果を表3に示した。
Figure 2017023057
Figure 2017023057
表3の結果からわかるように、実施例1のホグレ組成物を使用して作製した茹でうどんは、比較例および対照のものを使用して作製したものに比べてホグレ性に優れていた。また、実施例の方法を用いて製造した、ホグレ組成物は比較例3の方法を用いて調製した組成物と比較して風味への影響が改善された。
試験2(茹でそばのホグレ性)
各組成物(実施例1ならびに比較例1、2、および4)を使用して茹でそばを作製し、そのホグレ性および風味を評価した。
茹でそばの作製
万能ミキサー(株式会社品川工業所製)に表4に示した配合に基づいて、そば粉、小麦粉、加工デンプン、各組成物を加え混合した後、さらに、水を加え、8分間混合し、生地を得た。この生地から製麺機(株式会社福田麺機製)を用いて製麺し、室温で1時間熟成させた。熟成後、厚さ1.2mmになるまで圧延し、切刃14番角を用いて切断して生そばを得た。この生そばを熱湯で2分間茹であげて水道水で30秒間洗った後、約5℃の水に30秒間浸漬して、茹でそばを得た。
また、対照として、各組成物を添加しない茹でそばを同様に作製した(表4の2−9)。
Figure 2017023057
ホグレ性、風味の評価
作製した茹でそばをポリスチレン製の容器に充填・密封し、10℃で24時間保存した。保存後の茹でそばを表2の評価基準に従い10名のパネラーにより、ホグレ性および風味を評価した。その結果を表5に示した。
Figure 2017023057
表5の結果からわかるように、実施例1のホグレ組成物を使用して作製した茹でそばは、比較例および対照のものを使用して作製したものに比べてホグレ性に優れていた。また、実施例の方法を用いて製造した、ホグレ組成物は比較例4の方法を用いて調製した組成物と比較して風味への影響が改善された。
試験3(茹で中華のホグレ性)
各組成物(実施例1ならびに比較例1、2および5)を使用して茹で中華を作製し、そのホグレ性および風味を評価した。
茹で中華の作製
万能ミキサー(株式会社品川工業所製)に表6に示した配合に基づいて、小麦粉、加工デンプン、各組成物を加え混合した後、さらに、かん粉、食塩を水に溶解して調製した水溶液を加え、8分間混合し、生地を得た。この生地から製麺機(株式会社福田麺機製)を用いて製麺し、室温で1時間熟成させた。熟成後、厚さ1.5mmになるまで圧延し、切刃18番角を用いて切断して生中華を得た。この生中華を熱湯で2分間茹であげて水道水で30秒間洗った後、約5℃の水に30秒間浸漬して、茹で中華を得た。
また、対照として、各組成物を添加しない茹で中華を同様に作製した(表6の3−9)。
Figure 2017023057
ホグレ性、風味の評価
作製した茹で中華をポリスチレン製の容器に充填・密封し、10℃で24時間保存した。保存後の茹で中華を表8の評価基準に従い10名のパネラーにより、ホグレ性および風味を評価した。ホグレ性については、「容易にほぐれる」を10、「どちらともいえない」を5、「ほぐれない」を1とする10段階評価で評価した。風味については、「風味が良い」を10、「どちらともいえない」を5、「風味が悪い」を1とする10段階評価で評価した(表2)。結果を表7に示した。
Figure 2017023057
表7の結果からわかるように、実施例1のホグレ組成物を使用して作製した茹で中華は、比較例および対照のものを使用して作製したものに比べてホグレ性に優れていた。また、実施例の方法を用いて製造した、ホグレ組成物は比較例5の方法を用いて調製した組成物と比較して風味への影響が改善された。
試験4(ノンフライ即席麺のホグレ性)
各組成物(実施例1ならびに比較例1、2、および5)を使用してノンフライ即席麺を作製し、そのホグレ性および風味を評価した。
ノンフライ即席麺の作製
万能ミキサー(株式会社品川工業所製)に表8に示した配合に基づいて、小麦粉、加工デンプン、各組成物を加え混合した後、さらに、かん粉、食塩を水に溶解して調製した水溶液を加え、8分間混合し、生地を得た。この生地から製麺機(株式会社福田麺機製)を用いて製麺し、室温で1時間熟成させた。熟成後、厚さ1.1mmになるまで圧延し、切刃16番角を用いて切断して生中華を得た。この生中華を蒸し器で5分間蒸しあげ、型枠に詰めて90℃の乾燥機で約1時間乾燥した。
また、対照として、各組成物を添加しないノンフライ麺を同様に作製した(表8の4−9)。
Figure 2017023057
ホグレ性、風味の評価
作製したノンフライ即席麺を発泡スチロール容器に入れ、沸騰水を注ぎ4分間湯戻しした。湯戻し後のノンフライ即席麺を表2の評価基準に従い10名のパネラーにより、ホグレ性および風味を評価した。ホグレ性については、「容易にほぐれる」を10、「どちらともいえない」を5、「ほぐれない」を1とする10段階評価で評価した。風味については、「風味が良い」を10、「どちらともいえない」を5、「風味が悪い」を1とする10段階評価で評価した(表2)。結果を表9に示した。
Figure 2017023057
表9の結果からわかるように、実施例1のホグレ組成物を使用して作製したノンフライ即席麺は、比較例および対照のものを使用して作製したものに比べてホグレ性に優れていた。また、実施例の方法を用いて製造した、ホグレ組成物は比較例5の方法を用いて調製したホグレ組成物と比較して風味への影響が改善された。
蒸留モノグリセライド−グルテン改質物のゲル物性評価
蒸留モノグリセライドによるグルテンの改質効果を検証するために、蒸留モノグリセライドを用いて改質グルテン粉末を調製し、該粉末から作製した加熱ゲルの物性を評価した。
蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の調製1
実施例1と同様にして蒸留モノグリセライド−グルテン改質物を調製した。小麦粉100質量部に水70質量部を加えて混練して生地(ドウ)を得た。このドウを水洗して澱粉を除去し、小麦グルテン(生グルテン)を得た。この生グルテン100質量部に加熱溶解した蒸留モノグリセライド(サンソフト8070V:太陽化学株式会社)1質量部、5質量部、10質量部、15質量部または20質量部をそれぞれ添加し、フードカッターを用いて均一になるまで混練した。混練物を凍結乾燥した後、水冷型石臼粉砕機を用いて粉砕して蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の粉末を得た(それぞれ、実施例1(1)、実施例1(5)、実施例1(10)、実施例1(15)、実施例1(20)とする)。
測定サンプルの作製1
蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の粉末100gに水150gを加え、フードカッターを用いて均一になるまで混練してドウを得た。このドウを30gずつケーシングチューブに入れ、両端をクリップで止め、蒸し器で85℃にて60分間加熱し、加熱ゲルを得た。この加熱ゲルを水道水にて冷却し、冷蔵庫(5℃)にて一晩保存した。冷却されたゲルを、ゲル高さが15mmになるようにカットし、インキュベーター(25℃)にて保存したものを測定サンプルとした。
対照サンプルの作製1
対照として、蒸留モノグリセライド(サンソフト8070V:太陽化学株式会社)を添加していない生グルテンを凍結乾燥した後、粉砕して得た非改質グルテン粉末を用い、測定サンプルと同様に調製して対照サンプル1(無添加区)とした。
対照サンプルの作製2
対照として、対照サンプルの作製1で得た対照サンプル(無添加)粉末76.7gに水150gを加え、フードカッターを用いて均一になるまで混練してドウを得た。さらにこのドウに加熱溶解した蒸留モノグリセライド(サンソフト8070V:太陽化学株式会社)23.3gを添加し、均一になるまで混練し、測定サンプルと同様に加熱ゲル化処理を行ない、対照サンプル2(10%)とした(最終配合を測定サンプルの蒸留モノグリセライド(10%)と同じにした。
物性評価
測定サンプル(加熱ゲル)の物性評価を、レオメーター(EZ−test:島津製作所製)を用いて行った。測定条件は表10に示す通りである。得られたデータを、無添加区の測定値を100%とした時の相対値としてグラフ化した(図1)。
Figure 2017023057
図1の結果からわかるように、蒸留モノグリセライド−グルテン改質物粉末から作製した加熱ゲルの弾性率は、非改質グルテン粉末から作製した加熱ゲルと比較して非常に低かった。このことは、グルテンに蒸留モノグリセライドを混練することにより、物性が変化した事を示す。また、生グルテンに蒸留モノグリセライドを添加後、乾燥、粉砕を行ったものから得た加熱ゲルと、蒸留モノグリセライドを添加後に乾燥、粉砕工程を行わなかったものから得た加熱ゲルを比較すると乾燥、粉砕工程を行ったものから得た加熱ゲルの方が弾性率が低かった。このことは、蒸留モノグリセライドを添加後に乾燥、粉砕工程を行う事で、物性が変化した事を示す。
本発明の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物、ホグレ剤は、食品産業において利用できる。

Claims (8)

  1. 蒸留モノグリセライドを用いて改質した植物性タンパク質を有効成分とする麺類用ホグレ剤。
  2. 前記植物性タンパク質がグルテンである、請求項1に記載の麺類用ホグレ剤。
  3. 植物性タンパク質:蒸留モノグリセライドの質量比が、33:1〜40である、請求項1または2に記載の麺類用ホグレ剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の麺類用ホグレ剤を含む食品。
  5. 蒸留モノグリセライド−グルテン改質物の製造方法であって、
    植物性タンパク質に蒸留モノグリセライドを練り込み、蒸留モノグリセライド含有混練物を得る工程と、該蒸留モノグリセライド含有混練物を乾燥する工程と、該乾燥した蒸留モノグリセライド含有混練物を粉砕する工程とを含む、方法。
  6. 植物性タンパク質:蒸留モノグリセライドの質量比が、33:1〜40である蒸留モノグリセライド−グルテン改質物。
  7. 請求項5の製造方法により製造された蒸留モノグリセライド−グルテン改質物および/または請求項6の蒸留モノグリセライド−グルテン改質物を有効成分とする、麺類用ホグレ剤。
  8. 請求項7の麺類用ホグレ剤を含む食品。
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