JP2017021307A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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山口嘉紀
Yoshinori Yamaguchi
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齋藤一哉
Kazuya Saito
正路圭太郎
Keitaro Shoji
松田諒平
Ryohei Matsuda
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Abstract

【課題】摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑える。
【解決手段】ニップ形成部材24Aのニップ面側にある摺動部材29には、液状の潤滑剤が含有されている。ニップ形成部材24Aのニップ面側には、定着ベルト軸方向(ニップ形成部材長手方向)に沿って延びる溝(潤滑剤保持部)41Aが設けられている。加圧ローラの圧接により摺動部材29から押し出された潤滑剤は、溝41Aへ流れ込んで保持される。そのため、摺動部材のシート網目に沿って潤滑剤が流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、記録媒体に画像を定着する定着装置及び定着装置を備えた画像形成装置に関する。
プリンタ・複写機・ファクシミリ等の画像形成装置に対し、近年、省エネルギー化・高速化についての市場要求が強くなってきている。
画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式又は直接方式によって未定着トナー画像が記録媒体シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙等の記録媒体に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
このような定着装置における近年の課題としては、以下のものがある。
・ウォームアップ時間(電源投入時等に、定着装置が常温状態から印刷可能な所定の温度(リロード温度)まで昇温するのに要する時間)や、ファーストプリント時間(印刷要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでの時間)の短縮化が望まれている。
・また、画像形成装置の高速化に伴い、単位時間あたりの通紙枚数が増え、必要熱量が増大しているため、特に連続印刷の初めに熱量が不足する、いわゆる温度落ち込みが問題となっている。
以上のような課題を解決するために、低熱容量の無端ベルトを(金属熱伝導体を介さずに)直接加熱する構成とし、高生産の画像形成装置に搭載されても、良好な定着性を得ることができるようにした定着装置が提案され既に知られている。
定着ベルトを直接的に加熱する構成では、定着ベルト内でニップ形成部材が定着ベルトの内周面に接するようにして配置され、加圧ローラが定着ベルトをニップ形成部材に押し付けて、定着ベルトとの間にニップ部を形成する。
しかし低熱容量の無端ベルトを用いた定着構成の場合、通紙時の長手方向の温度分布を均一に保つことが難しかった。すなわち小サイズの記録体が通過する領域(通紙部領域)では、記録体(記録用紙及び記録用紙上の未定着トナー)の加熱のために熱が消費されるが、非通紙部領域では記録体により熱が奪われないので、加熱ローラとベルトに熱は蓄積し、この非通紙部領域のニップ部の温度が、所定温度に維持管理される通紙部領域のニップ部の温度よりも高くなってしまう、いわゆる端部温度上昇の発生が生じることが知られている。
また、今までの定着装置では、液状の潤滑剤を含有させたシート状の摺動部材を用いることで潤滑性を保つように構成したものがある。すなわち、ニップ形成部材の定着ベルトと接する面には、ニップ形成部材と定着ベルトとの間の摺動抵抗を低減させるために、潤滑剤を含有させたシート状の摺動部材が取り付けられている。
しかしながら、従来の摺動部材を用いた構成において、定着部材の移動方向や摺動部材シートの網目方向と加圧力によってシートが潰れることによって使っていくと次第に潤滑剤が端面へ絞り出され、シートに保持される潤滑剤の量が減り、一番圧力のかかる通紙領域内の潤滑性を保てなくなることによって駆動モータのトルクが上昇しモータ破損につながるため、耐久的に問題があった。
特開2014−178523号公報(特許文献1)には、ニップ形成部材24の表面に、潤滑剤を含有させたシート状の摺動部材29を取り付け、この摺動部材29が定着ベルト21とニップ形成部材24との間に介在することで、定着ベルト21とニップ形成部材24との摩擦抵抗を緩和させることが記載されている(特許文献1、段落0037)。
上記特許文献1の構成では、摺動部材の潤滑剤は両端部の保持容量の大きい端部に潤滑剤が留まる時間が長くなるだけで流出は防げておらず、通紙領域内の潤滑剤の量が減るという問題は解消できていない。
そこで、本発明は、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることのできる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
この課題を解決するため、本発明は、回転可能な定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱源と、前記定着部材内部に配設されたニップ形成部材と、前記定着部材を挟んで前記ニップ形成部材に圧接されて定着ニップを形成する加圧部材とを備える定着装置において、潤滑剤を含浸したシート状に設けられ前記ニップ形成部材のニップ面側で前記定着部材と摺動する摺動部材を有し、前記加圧部材による加圧時に前記摺動部材から染み出した潤滑剤を保持させる潤滑剤保持部を前記ニップ形成部材に設けたことを特徴とする。
本発明の定着装置によれば、加圧部材による加圧時に摺動部材から染み出した潤滑剤を保持させる潤滑剤保持部をニップ形成部材に設けたので、加圧部材による圧力がかかった時にニップ形成部材に設けた潤滑剤保持部へ潤滑剤が流れ込んで保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。
実施形態に係る画像形成装置全体の概略構成図である。 定着装置の概略構成図である。 定着装置の定着ベルト内に設けたニップ形成部材上の摺動部材を示す図である。 摺動部材に含有された潤滑剤の移動方向を示した図である。 ニップ形成部材の第1実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第2実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第3実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第4実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第5実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第6実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第7実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第8実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の基本形における定着ニップ内の圧力分布を示す図である。 ニップ形成部材の第9実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第10実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第11実施例を示す模式的な構成図である。 ニップ形成部材の第12実施例を示す模式的な構成図である。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8等を備える。なお、図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cにおいては符号を省略している。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34、ベルトクリーニング装置35を備える。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。
プリンタ本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には補給用のトナーを収容した4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと上記各現像装置7との間には補給路が設けてあり、この補給路を介して各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
一方、プリンタ本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けてある。ここで、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
プリンタ本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Hが配設されている。搬送路Hにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを搬送する搬送手段としての一対のレジストローラ12が配設されている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Hの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、プリンタ本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けてある。
続いて、図1を参照して、本実施形態に係るプリンタの基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。そして、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。その後、除電装置によって各感光体5の表面が除電され、表面電位が初期化される。
画像形成装置の下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Hに送り出される。搬送路Hに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によってタイミングを計られて、二次転写ローラ36と二次転写バックアップローラ32との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。
その後、中間転写ベルト30の周回走行に伴って、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達したときに、上記二次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、廃トナー収容器へと搬送され回収される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
(定着装置20の構成、動作)
図2は、定着装置20を示す概略構成図である。この定着装置20は、定着部材としての無端ベルト状の可撓性を有する定着ベルト21、定着ベルト21の表面に当接してニップ部Nを形成する加圧回転部材としての加圧ローラ22、定着ベルト21を加熱する熱源23、定着ベルト21のループ内で加圧ローラ22と対向してニップ部Nを形成させるためのニップ形成部材24を有している。
また、ニップ形成部材24の表面には、液状の潤滑剤を含有(含浸)したシート状の摺動部材29が取り付けられている。摺動部材29は、ニップ形成部材24の表面に摺接するようにして、定着ベルト21のニップ形成部材24との摩擦による摩擦抵抗を緩和させるためのものである(本発明の特徴である摺動部材29の詳細については後述する)。
なお、本実施形態では、ニップ部Nを形成するためのニップ形成部材24の表面が平坦形状になっているが、少し凹状であってもよい。ニップ形成部材24の表面が少し凹状になっていると、ニップ部Nを通過後の記録紙Sの先端の排出方向が加圧ローラ22寄りになって分離性が向上し、ジャムの発生等が抑制される。
定着ベルト21は、加圧ローラ22の長手方向に沿って設けられている。定着ベルト21の基材には、ニッケルやSUSなどの金属やポリイミドなどの樹脂が用いられている。定着ベルト21の基材の表層(加圧ローラ22側の表面)は、PFA又はPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。
なお、定着ベルト21の表層と離型層との間に、シリコーンゴム層などの弾性層があってもよい。このシリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、トナー像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に、いわゆるユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じる。この不具合を改善するには、シリコーンゴム層を100μm以上の厚みで設ける必要がある。これにより、シリコーンゴム層が変形して、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
定着ベルト21の内部には、ニップ形成部材24を支持するための支持部材(ステー)25が設けられており、加圧ローラ22により圧力を受けるニップ形成部材24の撓みを防止し、加圧ローラ22の軸線方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。この支持部材25は、保持部材に保持固定され位置決めされている。
また、定着ベルト21内には、熱源23と支持部材25間に位置するようにして反射部材26が設けられており、熱源23からの輻射熱などにより支持部材25が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。なお、反射部材26を備える代わりに支持部材25の表面に断熱もしくは鏡面処理を施しても同様の効果を得ることか可能となる。
熱源23は、図示したハロゲンヒータでもよいが、IHであってもよいし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であってもよい。なお、図では、熱源23として1つのハロゲンヒータが設置されているが、例えば3つのハロゲンヒータを備えた構成でもよい。
加圧ローラ22は、芯金22a上に弾性ゴム層22bを有しており、離型性を得るためにその表面に離型層(PFA又はPTFE層)22cが設けてある。加圧ローラ22は、画像形成装置1に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。
また、加圧ローラ22は、スプリングなどにより定着ベルト21側に押し付けられており、弾性ゴム層22bがニップ形成部材24に圧接して押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。
なお、加圧ローラ22は中空のローラであってもよく、加圧ローラ22内にハロゲンヒータなどの加熱源を有していてもよい。弾性ゴム層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22内にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルトの熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
定着ベルト21は、圧接する加圧ローラ22により連れ回り回転する。図2の場合は加圧ローラ22が駆動源により回転し、ニップ部Nで定着ベルト21に駆動力が伝達されることにより、定着ベルト21が回転する。定着ベルト21はニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部N以外では円弧状の保持部材にガイドされ、移動(回転)する。
そして、定着動作時においては、加圧ローラ22が駆動源により回転されることで、ニップ部Nで圧接する定着ベルト21が連れ回り回転する。この際、熱源23の発熱によって定着ベルト21は素早く加熱され、所定温度に達している。
そして、ニップ部Nに搬送されてきた未定着トナー像が転写された記録紙Pは、ニップ部Nにおいて定着ベルト21と加圧ローラ22とで挟持搬送されながら加熱、加圧され、記録紙P上にトナー像が定着される。
次に、本発明の特徴である摺動部材の詳細について説明する。本発明は、摺動部材に潤滑剤をしみこませて摺動させる構成において、潤滑剤は加圧部材に設けた隙間へ流れ込み、端部へと流れていかず、また、加圧力がなくなれば加圧部材の隙間からシートへ潤滑剤を供給し、潤滑剤の保持状態が変わらないことが特徴になっている。この特徴について、以下に詳しく解説する。
(摺動部材29の構成)
ニップ部Nでは、定着ベルト21はニップ形成部材24の表面に対して摺動しながら回転(移動)する。このため、定着ベルト21のニップ形成部材24との摩擦による摩擦抵抗を低減して定着ベルト21をスムーズに回転(移動)させるために、ニップ形成部材24の定着ベルト21と摺動接触する表面に、潤滑剤を含有したシート状の摺動部材29が貼り付けられている。
図3に示すように、シート状の摺動部材29は、ニップ形成部材24の長手方向に沿ってその表面に貼り付けられている。この摺動部材29として、例えば、フッ素系繊維シートを用いることができる。摺動部材29は、表面に液状の潤滑剤(例えば、シリコーンオイル)が塗布されることで、毛細管現象により全体にむらなく潤滑剤を含有させることができる。
また、摺動部材29には、その長手方向に沿って、綾織り等によって斜めに傾斜した複数の織り目29aが等間隔で形成されている。この斜めに傾斜した複数の織り目29aは、以下に説明するように、摺動部材29内において潤滑剤が流れる流路として用いることができる。織り目29aは、未定着のトナー像が転写された記録紙の通紙方向(矢印S方向)に向けて斜めに傾斜している。
図3は、ニップ形成部材24の長手方向に沿ってその表面に貼り付けられたシート状の摺動部材29をニップ部N側から見た状態を示している。図の矢印Sは用紙搬送方向を示しており、これに直交する方向(図3の左右方向)が定着ベルト21及び加圧ローラ22の軸方向である。
図3では、ニップ形成部材24(摺動部材29)に摺動接触する定着ベルト21と、定着ベルト21をニップ形成部材24(摺動部材29)に圧接させる加圧ローラ22は省略している。また、図3では、ニップ形成部材24(摺動部材29)の下側から上側に向けて(矢印S方向)、未定着のトナー像が転写された記録紙がニップ部Nに搬送される。なお、図3において、未定着のトナー像が転写された記録紙は、摺動部材29の長手方向両端内を通るようにして通紙される。
そして、図4に示すように、定着動作時に、ニップ形成部材24(摺動部材29)側に加圧ローラ22が加圧されると、摺動部材29内に含有されている潤滑剤は、加圧ローラ22による加圧によって複数の織り目29aに沿って矢印B方向に流れる(移動する)。
即ち、図4では、定着ベルト21が摺動部材29に対して下から上へ圧力を加える向き(矢印A方向)に動くことで、摺動部材29に含有された潤滑剤は、絞られるように下から上へ移動させられる力を受ける。これにより、移動する潤滑剤は、傾斜した織り目29aという流路に沿って、図4の左側から右側にそって一方向に移動することになる。
ここで、シートの網目方向では、一方向へ搬送力が働いてしまうため潤滑剤が保持できない。そこで本発明では、シートではなくニップ形成部材に潤滑剤保持領域を設けてやることでこの問題を解決している。
図5は、実施形態の定着装置が備えるニップ形成部材の第1実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。
図5に示すように、ニップ形成部材24Aのニップ面側には摺動部材29があり、ニップ形成部材を摺動部材が覆っている。このニップ形成部材24Aのニップ面側には、定着ベルト軸方向(ニップ形成部材長手方向)に沿って延びる溝(潤滑剤保持部)41Aが設けられている。
ニップ部Nにおいて、加圧ローラ22(図2)によって摺動部材29が押しつぶされた際に、摺動部材29に含浸された潤滑剤が、ニップ形成部材24Aに設けられた上記の溝41Aへ押し出される。加圧ローラ22による加圧がされている間は、押し出された潤滑剤は溝41Aに保持される。通紙終了後に、加圧ローラ22による加圧が解除されると、溝41Aへ押し出されていた潤滑剤は摺動部材29へ染み出し、元の含浸状態に戻る。
このように、シート状の繊維である摺動部材29に含有された潤滑剤は、本実施例においては、圧力がかかった時にニップ形成部材24Aに設けた溝41Aへ流れ込み、その溝内に保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。
図6は、ニップ形成部材の第2実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。
図6に示すように、ニップ形成部材24Bのニップ面側には凹部43が形成されており、その凹部43内に平板状の均熱部材42が配置されている。均熱部材42は、例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等の熱伝導率の高い金属材と、樹脂材等の低熱伝導率材により構成される部材である。均熱部材42は、ニップ形成部材の長手方向に延在し、定着ベルト21(図2)の熱を均一化するもので、接触熱伝導により定着ベルト21から均熱部材42へ熱が伝わり、高温部と低温部の熱が均一化される。
均熱部材42の図において上下両側の端部には、ニップ形成部材24Bとの間に隙間である溝(スリット)41B,41Bが設けられている。この溝(潤滑剤保持部)41Bは、上記第1実施例における溝41Aと同様、潤滑剤を保持するためのものである。そして、ニップ形成部材24Bのニップ面側には摺動部材29があり、ニップ形成部材および均熱部材42を摺動部材29が覆っている。
ニップ部Nにおいて、加圧ローラ22(図2)によって摺動部材29が押しつぶされた際に、摺動部材29に含浸された潤滑剤が、上記の溝41Bへ押し出される。加圧ローラ22による加圧がされている間は、押し出された潤滑剤は溝41Bに保持される。通紙終了後に、加圧ローラ22による加圧が解除されると、溝41Bへ押し出されていた潤滑剤は摺動部材29へ染み出し、元の含浸状態に戻る。
このように、シート状の繊維である摺動部材29に含有された潤滑剤は、本実施例においては、圧力がかかった時にニップ形成部材24Bに設けた溝41Bへ流れ込み、その溝内に保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。加えて、本実施例では、均熱部材42による均熱作用を果たすことができる。
図7は、ニップ形成部材の第3実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。図6の第2実施例との相違点についてのみ説明し、重複する説明は省略する。
ニップ形成部材24Cのニップ面側に形成された凹部43内に配置された均熱部材42の図において上下両側の端部には、ニップ形成部材24Cとの間に隙間である溝(潤滑剤保持部)41C,41Cが設けられている。溝41Cは、第2実施例の溝41Bよりも深く(ニップ部Nとは反対側に深く)なっており、溝への潤滑剤保持容積が第2実施例の溝41Bよりも大きくなっている。
ニップ部Nにおいて、加圧ローラ22(図2)によって摺動部材29が押しつぶされた際に、摺動部材29に含浸された潤滑剤が、上記の溝41Cへ押し出される。加圧ローラ22による加圧がされている間は、押し出された潤滑剤は溝41Cに保持される。通紙終了後に、加圧ローラ22による加圧が解除されると、溝41Cへ押し出されていた潤滑剤は摺動部材29へ染み出し、元の含浸状態に戻る。
このように、シート状の繊維である摺動部材29に含有された潤滑剤は、本実施例においては、圧力がかかった時にニップ形成部材24Cに設けた溝41Cへ流れ込み、その溝内に保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。本第3実施例では、溝41Cの容積増大により潤滑剤の保持能力が上がり、耐久性が向上する。加えて、本実施例では、均熱部材42による均熱作用を果たすことができる。
図8は、ニップ形成部材の第4実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。
図8に示すように、ニップ形成部材24Dのニップ面側には2カ所の凹部43Dが形成されており、その各凹部43D内に平板状の均熱部材42Dが配置されている。2枚の均熱部材42D,42Dの図において上下両側の端部には、ニップ形成部材24Dとの間に隙間である溝(潤滑剤保持部)41Dが計4つ設けられている。溝41Dは第2実施例の溝41Bよりも深く、第3実施例の溝41Cと同様のものである。本第3実施例では、溝41Dが4つ設けられており、溝への潤滑剤保持容積が第3実施例よりも大きくなっている。
ニップ部Nにおいて、加圧ローラ22(図2)によって摺動部材29が押しつぶされた際に、摺動部材29に含浸された潤滑剤が、上記の溝41Dへ押し出される。加圧ローラ22による加圧がされている間は、押し出された潤滑剤は溝41Dに保持される。通紙終了後に、加圧ローラ22による加圧が解除されると、溝41Dへ押し出されていた潤滑剤は摺動部材29へ染み出し、元の含浸状態に戻る。
このように、シート状の繊維である摺動部材29に含有された潤滑剤は、本実施例においては、圧力がかかった時にニップ形成部材24Dに設けた溝41Dへ流れ込み、その溝内に保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。本第4実施例では、溝41Dが4つ設けられており、溝の合計容積が増大して潤滑剤の保持能力が上がり、耐久性が向上する。加えて、本実施例では、均熱部材42による均熱作用を果たすことができる。
図9は、ニップ形成部材の第5実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。本第4実施例のニップ形成部材24Eは、上部と下部で厚さが異なっており、段状のニップ部Nを形成する構成に対応するものである。
図9に示すように、ニップ形成部材24Eのニップ面側には2カ所の凹部43Eが形成されており、その各凹部43E内に平板状の均熱部材42Eが配置されている。2枚の均熱部材42E,42Eの図において上下両側の端部には、ニップ形成部材24Eとの間に隙間である溝(潤滑剤保持部)41Eが計4つ設けられている。溝41Eは第2実施例の溝41Bよりも深く、第3実施例の溝41Cと同様のものである。本第4実施例では、溝41Eが4つ設けられており、溝への潤滑剤保持容積が第3実施例よりも大きくなっている。
ニップ部Nにおいて、加圧ローラ22(図2)によって摺動部材29が押しつぶされた際に、摺動部材29に含浸された潤滑剤が、上記の溝41Eへ押し出される。加圧ローラ22による加圧がされている間は、押し出された潤滑剤は溝41Eに保持される。通紙終了後に、加圧ローラ22による加圧が解除されると、溝41Eへ押し出されていた潤滑剤は摺動部材29へ染み出し、元の含浸状態に戻る。
このように、シート状の繊維である摺動部材29に含有された潤滑剤は、本実施例においては、圧力がかかった時にニップ形成部材24Eに設けた溝41Eへ流れ込み、その溝内に保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。本第5実施例では、溝41Eが4つ設けられており、溝の合計容積が増大して潤滑剤の保持能力が上がり、耐久性が向上する。加えて、本実施例では、均熱部材42による均熱作用を果たすことができる。
図10は、ニップ形成部材の第6実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。
図10に示すように、ニップ形成部材24Fのニップ面側には2カ所の凹部43F1と43F2が形成されている。凹部43F1と凹部43F2は深さが異なっており、凹部43F2の方が凹部43F1よりも深くなっている。凹部43F1内に平板状の均熱部材42F1が配置され、凹部43F2内に平板状の均熱部材42F2が配置されている。均熱部材42F1と均熱部材42F2は厚さが異なっており、均熱部材42F2の方が均熱部材42F1よりも厚くなっている。
2枚の均熱部材42F1,42F2の図において上下両側の端部には、ニップ形成部材24Fとの間に隙間である溝(潤滑剤保持部)41Fが計4つ設けられている。溝41Fは第2実施例の溝41Bよりも深く、第3実施例の溝41Cと同様のものである。本第6実施例では、溝41Eが4つ設けられており、溝への潤滑剤保持容積が第3実施例よりも大きくなっている。
ニップ部Nにおいて、加圧ローラ22(図2)によって摺動部材29が押しつぶされた際に、摺動部材29に含浸された潤滑剤が、上記の溝41Fへ押し出される。加圧ローラ22による加圧がされている間は、押し出された潤滑剤は溝41Fに保持される。通紙終了後に、加圧ローラ22による加圧が解除されると、溝41Fへ押し出されていた潤滑剤は摺動部材29へ染み出し、元の含浸状態に戻る。
このように、シート状の繊維である摺動部材29に含有された潤滑剤は、本実施例においては、圧力がかかった時にニップ形成部材24Fに設けた溝41Fへ流れ込み、その溝内に保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。本第6実施例では、溝41Fが4つ設けられており、溝の合計容積が増大して潤滑剤の保持能力が上がり、耐久性が向上する。加えて、本実施例では、均熱部材42による均熱作用を果たすことができる。
図11は、ニップ形成部材の第7実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。
図11に示すように、ニップ形成部材24Gのニップ面側には2カ所の凹部43G1と43G2が形成されている。凹部43G1と凹部43G2は大きさ(広さ)が異なっており、凹部43G2の方が凹部43G1よりも大きくなっている。凹部43G1内に平板状の均熱部材42G1が配置され、凹部43G2内に平板状の均熱部材42G2が配置されている。均熱部材42G1と均熱部材42G2は大きさ(面積)が異なっており、均熱部材42G2の方が均熱部材42G1よりも大きくなっている。
2枚の均熱部材42G1,42G2の図において上下両側の端部には、ニップ形成部材24Gとの間に隙間である溝(潤滑剤保持部)41Gが計4つ設けられている。溝41Gは第2実施例の溝41Bよりも深く、第3実施例の溝41Cと同様のものである。本第7実施例では、溝41Gが4つ設けられており、溝への潤滑剤保持容積が第3実施例よりも大きくなっている。
ニップ部Nにおいて、加圧ローラ22(図2)によって摺動部材29が押しつぶされた際に、摺動部材29に含浸された潤滑剤が、上記の溝41Gへ押し出される。加圧ローラ22による加圧がされている間は、押し出された潤滑剤は溝41Gに保持される。通紙終了後に、加圧ローラ22による加圧が解除されると、溝41Gへ押し出されていた潤滑剤は摺動部材29へ染み出し、元の含浸状態に戻る。
このように、シート状の繊維である摺動部材29に含有された潤滑剤は、本実施例においては、圧力がかかった時にニップ形成部材24Gに設けた溝41Gへ流れ込み、その溝内に保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。本第7実施例では、溝41Gが4つ設けられており、溝の合計容積が増大して潤滑剤の保持能力が上がり、耐久性が向上する。加えて、本実施例では、均熱部材42による均熱作用を果たすことができる。
ところで、定着ベルト21は回転によりニップ部Nを出てヒータ23により加熱されて再びニップ部Nに突入し、ニップ部Nで用紙やトナー、加圧部材(加圧ローラ22)、均熱部材42に熱を奪われて温度が下がった状態で再びニップ部Nから出る。そのため、ニップ部Nの入口側で定着ベルトの温度は高くなっており、温度が高い状態の方が熱伝達しやすいので、図10及び図11の第6及び第7実施例のように、均熱部材がニップ入口側で熱容量が大きいと均熱効果が高まる。
図12は、ニップ形成部材の第8実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。図8の第4実施例との相違点についてのみ説明し、重複する説明は省略する。
図12に示すように、上側(ニップ出口側)の均熱部材42Hの図において上下両側の端部には、ニップ形成部材24Hとの間に溝41H1,41H1が設けられている。また、下側(ニップ入口側)の均熱部材42Hの図において上下両側の端部には、ニップ形成部材24Hとの間に溝41H2,41H2が設けられている。溝41H1と溝41H2は深さが異なっており、溝41H2の方が溝41H1よりも深くなっている。すなわち、ニップ入口側の溝の方が出口側よりも深くなっている。そのほかの構成は図8の第4実施例と同様である。
本第8実施例では、ニップ上流側の溝41H2の方が下流側の溝41H1よりも深くなっていることで、ニップ上流側の潤滑剤保持容積が大きくなり、これにより、ニップ入口で堰き止められがちな潤滑剤をニップ形成部材24Hの中に押し込め、摺動部材端部への潤滑剤の流出を防止する。そのほかの作用については図8の第4実施例と同様である。
なお、上記の各実施例で、均熱部材42を備えている実施例においては、潤滑剤保持部となる溝41は、均熱部材42とニップ形成部材24との間に形成されている。
また、図7〜図12の各実施例においては、潤滑剤保持部となる溝41は、均熱部材42の厚みよりも深く設けられている。
上記説明したニップ形成部材の第1実施例〜第8実施例では、ニップ形成部材24A〜24Hに設けられた溝(潤滑剤保持部)41A〜41Hは、ニップ形成部材の長手方向に沿って設けられたものであり、定着ベルト21及び加圧ローラ22の軸方向と平行に(用紙搬送方向と直交する方向)に設けられたものである。これに対し、次の第9実施例以降のニップ形成部材では、溝(潤滑剤保持部)41はニップ形成部材の長手方向に平行となっておらず、定着ベルト21及び加圧ローラ22の軸方向とは非平行に(定着ベルト21及び加圧ローラ22の軸に対して斜めに)設けられたものである。
図13は、ニップ形成部材の基本形における定着ニップ内の圧力分布を示す図である。この図において、ニップ形成部材24と加圧ローラ22(図13には不図示)によって、ニップ内には図右側のグラフに示すような圧力分布が生じる。圧力は、ニップ中央部(用紙搬送方向における中央部)で高くなっており、この圧力分布により、摺動部材29に含浸された潤滑剤は矢印で示す方向に流れ出る力が働く。すなわち、圧力が最も高い個所を境にして、その上流側(用紙搬送方向の上流側)ではニップ入口方向に向かう方向の力が働く。また、その下流側(用紙搬送方向の下流側)ではニップ出口方向に向かう方向の力が働く。この、圧力により潤滑剤が流れ出る力を利用して、潤滑剤をニップ形成部材の長手方向端部に流出させないように構成すると、潤滑剤をニップ内に保つ上で好適であり、以下に説明する第9実施例以降のニップ形成部材では、その構成を備える点が特徴となっている。
図14は、ニップ形成部材の第9実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。なお、図の上段は、ニップ形成部材及び摺動部材の断面図であり、図の下段は、ニップ形成部材の定着ニップ側の面を示す平面図である。
図14の上段断面図に示すように、ニップ形成部材24Iのニップ面側には摺動部材29があり、ニップ形成部材を摺動部材が覆っている。図14の下段平面図に示すように、このニップ形成部材24Iのニップ面側には、定着ベルト軸方向(ニップ形成部材長手方向)に対して斜めに配置された2本の溝(潤滑剤保持部)41I,41Iが設けられている。溝41Iが斜めに配置されているため、ニップ形成部材長手方向の位置によって溝41Iの位置が異なっている(上段断面図)。すなわち、長手方向中央部では2本の溝41I,41Iの間隔が最も広くなり、長手方向の両側端部では2本の溝41I,41Iの間隔が最も狭くなる。
上記で説明したように、定着ニップ内の圧力分布によって、摺動部材29に含浸された潤滑剤に対してニップ入口方向に向かう方向の力およびニップ出口方向に向かう方向の力が働く。その境(圧力境界)となるのは定着ニップ内の圧力が最も高くなる位置であり、本実施例の場合、用紙搬送方向の中央部である。そこで、ニップ入口側(図において下方)の溝41Iは、長手方向の両側端部から中央に向かって下がるように斜めに配置されている。一方、ニップ出口側(図において上方)の溝41Iは、長手方向の両側端部から中央に向かって上がるように斜めに配置されている。
このように2本の溝41I,41Iを斜めに配置することによって、ニップ入口側(図において下方)の溝41Iでは、上記したニップ圧力によって作用する力により、溝内の潤滑剤には図の上方から下方に向かう力が作用し、潤滑剤は長手方向端部から中央部に向かおうとする。そのため、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。また、ニップ出口側(図において上方)の溝41Iでは、上記したニップ圧力によって作用する力により、溝内の潤滑剤には図の下方から上方に向かう力が作用し、潤滑剤は長手方向端部から中央部に向かおうとする。そのため、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。
このように、溝41Iを斜めに配置することによって、溝41Iに保持された潤滑剤に対してニップ形成部材の長手方向端部から中央部に向かう力を作用させることができる。これにより、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。その他の作用については、上記説明した第1〜第8実施例と同様であるため、説明を省略する。
図15は、ニップ形成部材の第10実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。なお、図はニップ形成部材の定着ニップ側の面を示す平面図である。
図15に示すように、ニップ形成部材24Jのニップ面側には、定着ベルト軸方向(ニップ形成部材長手方向)に対して斜めに配置された多数(本実施例では32本)の溝(潤滑剤保持部)41Jが設けられている。図に一点鎖線で示す圧力境界(本実施例では用紙搬送方向の中央部)を境にして下側に設けられている複数本(本実施例では16本)の溝41Jは、ニップ入口側に属するものであり、長手方向の両側端部から中央に向かって下がるように斜めに配置されている。一方、圧力境界を境にして上側に設けられている複数本(本実施例では16本)の溝41Jは、ニップ出口側に属するものであり、長手方向の両側端部から中央に向かって上がるように斜めに配置されている。
このように複数本の溝41Jを斜めに配置することによって、ニップ入口側(図において下方)の溝41Jでは、上記したニップ圧力によって作用する力により、溝内の潤滑剤には図の上方から下方に向かう力が作用し、潤滑剤は長手方向端部側から中央側に向かおうとする。そのため、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。また、ニップ出口側(図において上方)の溝41Jでは、上記したニップ圧力によって作用する力により、溝内の潤滑剤には図の下方から上方に向かう力が作用し、潤滑剤は長手方向端部側から中央側に向かおうとする。そのため、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。
このように、溝41Jを斜めに配置することによって、溝41Jに保持された潤滑剤に対してニップ形成部材の長手方向端部側から中央側に向かう力を作用させることができる。これにより、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。その他の作用については、上記説明した第1〜第8実施例と同様であるため、説明を省略する。
図16は、ニップ形成部材の第11実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。
図16に示す実施例は、図14の第9実施例と同様、定着ベルト軸方向(ニップ形成部材長手方向)に対して斜めに配置された2本の溝(潤滑剤保持部)41K,41Kを有するものである。この2本の溝41K,41Kは、図14の第9実施例における2本の溝41I,41Iと同じものである。そして、2本の溝41K,41Kを覆うように、2枚の均熱部材42K,42Kが配置されている。図16の上段には長手方向端部付近での断面図を示してあるが、この断面図に示すように、2枚の均熱部材42K,42Kはニップ形成部材24Kのニップ面側に配置されたものである。
2本の溝41K,41Kによる作用は図14の第9実施例と同じであり、溝41Kに保持された潤滑剤に対してニップ形成部材の長手方向端部から中央部に向かう力を作用させることができる。これにより、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。均熱部材42Kの作用については、上記説明した第2〜第8実施例と同様であるため、説明を省略する。
図17は、ニップ形成部材の第12実施例を示す模式的な構成図である。この図では、ニップ形成部材と摺動部材のみを図示しており、定着装置の他の構成部材は示していない。なお、図はニップ形成部材の定着ニップ側の面を示す平面図である。
図17に示す実施例は、図15の第10実施例と同様、定着ベルト軸方向(ニップ形成部材長手方向)に対して斜めに配置された多数(本実施例では32本)の溝(潤滑剤保持部)41Lを備えるものである。溝41Lは、図15の第10実施例における溝41Jと同じものである。そして、圧力境界を境にして上側に設けられている複数本(本実施例では16本)の溝41Lを覆うように均熱部材42Lが、また、圧力境界を境にして下側に設けられている複数本(本実施例では16本)の溝41Lを覆うように均熱部材42Lが、それぞれ配置されている。2枚の均熱部材42L,42Lはニップ形成部材24Lのニップ面側に配置されたものである。
複数本の溝41Lによる作用は図15の第10実施例と同じであり、溝41Lに保持された潤滑剤に対してニップ形成部材の長手方向端部側から中央側に向かう力を作用させることができる。これにより、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。均熱部材42Lの作用については、上記説明した第2〜第8実施例と同様であるため、説明を省略する。
このように、図9〜図17で説明した第9〜第12実施例では、加圧部材(加圧ローラ22)が(定着部材及び摺動部材を挟んで)ニップ形成部材に圧接されることにより生じる圧力を利用して、ニップ形成部材に設けた溝(潤滑剤保持部)内に保持される潤滑剤に対して、ニップ形成部材の長手方向端部側から中央側に向かう力が作用するように上記の溝を配置する(設ける)。これにより、ニップ圧力によって潤滑剤(溝41内に保持された潤滑剤)がニップ形成部材の長手方向の端部側から中央側に向かって移動するようになり、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことがより効果的に防止される。
このように、本発明による定着装置によれば、加圧部材による加圧時に摺動部材から染み出した潤滑剤を保持させる潤滑剤保持部をニップ形成部材に設けたので、加圧部材による圧力がかかった時にニップ形成部材に設けた潤滑剤保持部へ潤滑剤が流れ込んで保持される。そのため、従来の定着装置のようにシートの網目に沿って流れてしまい端部から漏れてしまうことが無く、摺動部材における潤滑剤の保持状態を維持することができる。これにより、摺動部材から潤滑剤が漏れて枯渇するのを防止して、定着ベルトのニップ形成部材との摩擦による摩擦抵抗の上昇を抑制するとともに、加圧ローラの駆動トルクの上昇を抑えることができる。
また、潤滑剤保持部がニップ形成部材の長手方向に沿って設けられていることにより、簡単な構成で潤滑剤の枯渇を抑制することができる。
また、潤滑剤保持部が定着部材の回転軸に対して斜めに設けられていることにより、ニップ入口側と出口側で、それぞれ潤滑剤を中央に向けて移動させることが可能となる。
また、潤滑剤保持部が、加圧部材による圧力によって保持部内に保持した潤滑剤に対してニップ形成部材の長手方向端部側から中央側に向かう力が作用するように配置されていることにより、潤滑剤がニップ形成部材の長手方向端部から漏れてしまうことが防止される。
また、ニップ形成部材に潤滑剤保持部が複数設けられていることで、潤滑剤の保持能力が向上し、耐久性が向上する。
また、ニップ形成部材のニップ面側と摺動部材との間に配置され、定着部材の熱を均一化させるための均熱部材を有することで、定着ベルトにおける高温部と低温部の熱を均一化させることができる。
また、均熱部材とニップ形成部材との間に潤滑剤保持部が形成されていることで、均熱作用を持ちつつ、簡単に潤滑剤保持部を構成することができる。
また、潤滑剤保持部が均熱部材の厚みよりも深く設けられていることで、保持部の容積が大きくなり、潤滑剤保持能力が上がって耐久性が向上する。
また、均熱部材を複数備えることで、より大きな均熱作用を得ることができる。
また、用紙搬送方向上流側に位置する均熱部材の熱容量が、用紙搬送方向下流側に位置する均熱部材の熱容量よりも大きいことで、ニップ入口側で温度が高くなる定着ベルトの温度をより有効に均熱化させることができる。
また、用紙搬送方向上流側に位置する均熱部材に対応する潤滑剤保持部の容積が、用紙搬送方向下流側に位置する均熱部材に対応する潤滑剤保持部の容積よりも大きいことで、ニップ入口側で堰き止められがちな潤滑剤をニップ形成部材の中に保持して、端部への流出を防止することができる。
以上、本発明を図示例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能なものである。例えば、定着部材の加熱源の数や配置場所あるいは種類などは適宜な構成を採用可能である。定着部材としてのベルトやフィルムの材質、あるいは加圧部材の構成等も適宜なものを採用可能である。潤滑剤保持部の形状や大きさなどは、適宜設定可能である。均熱部材の材質や形状・大きさ等も適宜設定可能である。
また、画像形成装置の構成も任意であり、4色トナーを用いるものに限らず、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
1 画像形成装置
4 作像部
5 感光体ドラム
20 定着装置
21 定着ベルト(定着部材)
22 加圧ローラ(加圧部材)
23 ハロゲンヒータ(加熱源)
24 ニップ形成部材
29 摺動部材
41 溝(潤滑剤保持部)
42 均熱部材
43 凹部
N 定着ニップ
特開2014−178523号公報

Claims (12)

  1. 回転可能な定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱源と、前記定着部材内部に配設されたニップ形成部材と、前記定着部材を挟んで前記ニップ形成部材に圧接されて定着ニップを形成する加圧部材とを備える定着装置において、
    潤滑剤を含浸したシート状に設けられ前記ニップ形成部材のニップ面側で前記定着部材と摺動する摺動部材を有し、
    前記加圧部材による加圧時に前記摺動部材から染み出した潤滑剤を保持させる潤滑剤保持部を前記ニップ形成部材に設けたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記潤滑剤保持部が、前記ニップ形成部材の長手方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記潤滑剤保持部が、前記定着部材の回転軸に対して斜めに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
  4. 前記潤滑剤保持部は、前記加圧部材による圧力によって保持部内に保持した潤滑剤に対して前記ニップ形成部材の長手方向端部側から中央側に向かう力が作用するように配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記ニップ形成部材に前記潤滑剤保持部が複数設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記ニップ形成部材のニップ面側と前記摺動部材との間に配置され、前記定着部材の熱を均一化させるための均熱部材を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の定着装置。
  7. 前記均熱部材と前記ニップ形成部材との間に前記潤滑剤保持部が形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記潤滑剤保持部が、前記均熱部材の厚みよりも深く設けられていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の定着装置。
  9. 前記均熱部材を複数備えることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の定着装置。
  10. 用紙搬送方向上流側に位置する前記均熱部材の熱容量が、用紙搬送方向下流側に位置する前記均熱部材の熱容量よりも大きいことを特徴とする、請求項9に記載の定着装置。
  11. 前記用紙搬送方向上流側に位置する均熱部材に対応する前記潤滑剤保持部の容積が、前記用紙搬送方向下流側に位置する均熱部材に対応する前記潤滑剤保持部の容積よりも大きいことを特徴とする、請求項10に記載の定着装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の定着装置を搭載することを特徴とする画像形成装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019152834A (ja) * 2018-03-06 2019-09-12 コニカミノルタ株式会社 定着装置および画像形成装置
CN110471270A (zh) * 2018-05-09 2019-11-19 京瓷办公信息系统株式会社 定影装置和图像形成装置

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