JP2017125961A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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隆一 民部
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Hirotada Takagi
啓正 高木
俊彦 下川
Toshihiko Shimokawa
俊彦 下川
康功 石ヶ谷
Yasunori Ishigaya
康功 石ヶ谷
一哉 齋藤
Kazuya Saito
一哉 齋藤
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Keitaro Shoji
圭太郎 正路
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Abstract

【課題】定着ベルトの端部から外部へ潤滑剤が漏れ出すことを抑制することが可能となる定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転可能な定着ベルト21と、定着ベルト21の内周側に配置されるニップ形成部材24と、定着ベルト21の外周面に接触し、定着ベルト21を挟んでニップ形成部材24と当接してニップ部Nを形成する加圧ローラ22と、定着ベルト21の内周面に接触するように設けられ、潤滑剤80を含浸する摺動シート28とを備えた定着装置20において、摺動シート28が定着ベルト21の内周面に接触する含浸部材接触領域である摺動シート接触領域28aの上流側の縁部である接触領域上流側縁部28eが、定着ベルト21の幅方向の両端部側よりも中央部側の方が定着ベルト21の移動方向下流側に位置するように、定着ベルト21の幅方向に対して傾いた形状を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関するものである。
従来から、ウォームアップ時間が短く、消費電力の少ない定着装置として、定着ベルトを挟んだ状態で加圧部材をニップ形成部材に圧接させてニップ部を形成する定着装置を備えた画像形成装置が知られている。
この種の定着装置として、特許文献1には、ニップ形成部材における定着ベルトとの接触部分に、シリコーンオイルなどの潤滑剤を含浸する潤滑剤含浸部材たる摺動シートを貼り付けた定着装置が記載されている。
しかしながら摺動シートに含浸された潤滑剤が、定着ベルトの幅方向の端部から定着装置の外部に漏れ出す不具合が生じることがあった。
上述した課題を解決するために、本発明は、回転可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、前記定着ベルトの外周面に接触し、前記定着ベルトを挟んで前記ニップ形成部材と当接してニップ部を形成する加圧部材と、前記定着ベルトの内周面に接触するように設けられ、潤滑剤を含浸する潤滑剤含浸部材と、を備えた定着装置において、前記潤滑剤含浸部材が前記定着ベルトの内周面に接触する含浸部材接触領域の前記定着ベルトの移動方向上流側の縁部が、前記定着ベルトの幅方向の両端部側よりも中央部側の方が前記定着ベルトの移動方向下流側に位置するように、前記定着ベルトの幅方向に対して傾いた形状を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、定着ベルトの端部から外部へ潤滑剤が漏れ出すことを抑制することが可能となるという優れた効果がある。
実施例1の定着装置の説明図、(a)は、摺動シートと定着ベルトとを模式的に示す説明図、(b)は、左側端部における定着装置の断面図、(c)は、中央部における定着装置の断面図。 本実施形態に係る画像形成装置であるプリンタの概略構成図。 本実施形態に係る定着装置の一例を示した概略構成図。 フランジ部材の説明図、(a)は、フランジ部材の斜視図であり、(b)は、フランジ部材の正面図。 遮蔽部材の平面図。 各ハロゲンヒータの発熱部を示す図。 小サイズの用紙を通紙するときの定着装置の斜視図。 小サイズの用紙を通紙するときの定着装置の断面図。 大サイズの用紙を通紙するときの定着装置の斜視図。 大サイズの用紙を通紙するときの定着装置の断面図。 実施例2における摺動シートの摺動シート接触領域と定着ベルトとの説明図。 実施例3における摺動シートの摺動シート接触領域と定着ベルトとの説明図。 実施例4における摺動シートの摺動シート接触領域と定着ベルトとの説明図。 実施例5における摺動シートの摺動シート接触領域と定着ベルトとの説明図。 実施例6における摺動シートの摺動シート接触領域と定着ベルトとの説明図。 摺動シートを取り付けたニップ形成部材の説明図、(a)は平面図、(b)は側面図。 図16に示すニップ形成部材の断面図。 他の取り付け方法に係るニップ形成部材と摺動シートとの断面図、(a)はベルト幅方向の中央部、(b)はベルト幅方向の端部。 他の取り付け方法に係る摺動シートの説明図、(a)は摺動シートにおける切り込みの位置の説明図、(b)は、摺動シートにおける穴部の位置と、折り目の位置との説明図。 ニップ形成部材に取り付けられた摺動シートの説明図、(a)はニップ形成部材に取り付ける途中の状態の摺動シートの説明図、(b)は、ニップ形成部材に取り付けられた摺動シートの摺動シート接触領域の説明図。 金属熱伝導体を介して定着ベルトを間接的に加熱する従来の定着装置の一例を示す図。 摺動シートを設けた定着装置で生じ得る不具合についての説明図。 定着ベルトに対して摺動シートが傾斜して配置されたときの定着装置を模式的に示す説明図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置であるプリンタ100の概略構成図である。
プリンタ100は、タンデム方式のカラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央部に、複数の色画像を形成する作像部(図2に示す例では四つの作像部)からなる画像ステーションが設けられている。
プリンタ100では、四つの作像部が、無端ベルト状の中間転写体としての中間転写ベルト11の展張方向に沿って並置されている。四つの作像部は、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
図2において、プリンタ100は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する複数の像担持体としてのドラム状の感光体120(Y,C,M,Bk)が並設されている。
四つの感光体120(Y,C,M,Bk)に形成された各色の可視像であるトナー像は、それぞれの感光体120(Y,C,M,Bk)に対峙しながら図2中の矢印「A」方向に移動可能な中間転写ベルト11に対して一次転写工程が実行される。これにより、各色のトナー像が中間転写ベルト11に重畳転写される。その後、中間転写ベルト11に重畳転写された各色のトナー像は、記録材としての用紙Pに対して二次転写工程が実行されることにより、用紙Pに一括転写される。
四つの感光体120(Y,C,M,Bk)の周囲には、感光体120の回転に従い画像形成処理するための各種装置がそれぞれ配置されている。
ここで、ブラックの画像形成を行うブラック用感光体120Bkを対象として説明する。ブラック用感光体120Bkの周囲には、ブラック用感光体120Bkの回転方向に沿って、ブラック用帯電装置30Bk、ブラック用現像装置40Bk、ブラック用一次転写ローラ112Bk、及び、ブラック用クリーニング装置50Bkが配置されている。帯電後のブラック用感光体120Bkに対して行われる静電潜像の書き込みには、ブラック用感光体120Bkの表面を露光する露光手段としての光書込装置6が用いられる。これらの各種装置によってブラック用感光体120Bkの表面上にブラックトナー像を形成する画像形成処理を行う。
光書込装置6は、光源としての半導体レーザー、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラー及び光偏向手段としての回転多面鏡(ポリゴンミラー)などを備えている。光書込装置6は、図2に示すように、四つの作像部の下方に対向して配置されている。そして、画像データに基づいて、四つの感光体120(Y,C,M,Bk)のそれぞれの表面へ書き込み光(レーザー光)Lbを照射し、感光体120(Y,C,M,Bk)に静電潜像を形成するように構成されている。図2では、便宜的にブラック画像を作像する作像部のみを対象として符号「Lb」が付されているが、他の作像部でも同様である。
中間転写ベルト11に対する重畳転写は、中間転写ベルト11が図2中の矢印「A」方向に移動する際に、感光体120(Y,C,M,Bk)に形成された可視像(トナー像)が中間転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるように行われる。
より具体的には、中間転写ベルト11を挟んで四つの感光体120(Y,C,M,Bk)のそれぞれに対向して配設された四つの一次転写ローラ112(Y,C,M,Bk)のそれぞれに一次転写バイアスが印加される。この一次転写バイアスにより、四つの感光体120(Y,C,M,Bk)に形成されたそれぞれのトナー像が、図2中の矢印「A」で示す中間転写ベルト11の移動方向の上流側から下流側に向けて、タイミングをずらして中間転写ベルト11上に重畳転写される。
四つの一次転写ローラ112(Y,C,M,Bk)はそれぞれ対応する感光体120(Y,C,M,Bk)との間で中間転写ベルト11を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、それぞれの一次転写ローラ112(Y,C,M,Bk)には、電源が接続されている。そして、この電源により所定の直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との少なくとも一方からなる一次転写バイアスが、それぞれの一次転写ローラ112(Y,C,M,Bk)に印加されるようになっている。
四つの感光体120(Y,C,M,Bk)は、図2中の矢印「A」方向の上流側からY,C,M,Bkの順で並んでいる。四つの感光体120(Y,C,M,Bk)は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成する上述した四つの作像部にそれぞれ設けられている。
また、プリンタ100は、上述した四つの作像部のほか、転写ベルトユニット10と、二次転写ローラ5と、転写ベルトクリーニング装置113と、光書込装置6とを備えている。
転写ベルトユニット10は、四つの作像部の上方に対向して配置されている。この転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト11及び四つの一次転写ローラ112(Y,C,M,Bk)のほか、中間転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72や従動ローラ73等の複数のベルト支持部材を備えている。駆動ローラ72が回転駆動されることにより、中間転写ベルト11は図2中の矢印「A」で示す方向に回転するようになっている。
駆動ローラ72は、中間転写ベルト11を介して二次転写ローラ5に対向する二次転写バックアップローラとしても機能する。従動ローラ73は、中間転写ベルト11を介して転写ベルトクリーニング装置113に対向するクリーニングバックアップローラとしても機能する。また、従動ローラ73は、中間転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えているため、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、二次転写ローラ5と、転写ベルトクリーニング装置113とを有するように、転写装置71が構成されている。
二次転写ローラ5は、中間転写ベルト11に対向して配設され、中間転写ベルト11に従動して連れ回りする。二次転写ローラ5は、二次転写バックアップローラとしても機能する駆動ローラ72との間で中間転写ベルト11を挟み込んで二次転写ニップを形成する二次転写部材である。
また、一次転写ローラ112(Y,C,M,Bk)と同様に、二次転写ローラ5にも電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との少なくとも一方からなる二次転写バイアスが、二次転写ローラ5に印加される。
転写ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト11を介して従動ローラ73に対向するように配設され、中間転写ベルト11の表面をクリーニングする。図2に示す転写ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有する。このクリーニングブラシとクリーニングブレードとによって、中間転写ベルト11上の残留トナー等の異物を掻き取って除去し、中間転写ベルト11をクリーニングする。また、転写ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有している。
図2に示すように、プリンタ100には、記録材としての用紙Pが積載収容された用紙給送装置61と、記録材繰り出し手段としてのレジストローラ対4と、記録材先端検知手段としての用紙先端センサ41とが設けられている。
給紙機構である用紙給送装置61は、プリンタ100の本体下部に配設され、最上位の用紙Pの上面に当接する記録材給送手段としての給送ローラ3を有している。そして、給送ローラ3が図2中の反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の用紙Pをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
また、プリンタ100本体内には、用紙Pを用紙給送装置61から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための用紙搬送路が配設されている。この用紙搬送路の二次転写ローラ5の位置よりも用紙搬送方向上流側に、二次転写ニップへ用紙Pを繰り出すように搬送するレジストローラ対4が配設されている。
レジストローラ対4は、上述した四つの作像部からなる画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、用紙給送装置61から搬送されてきた用紙Pを二次転写ニップに向けて繰り出す。用紙先端センサ41は、用紙Pの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する。
記録材としての用紙Pには、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、記録シート等が含まれる。
給紙機構としては、用紙給送装置61のほかに、手差しで用紙Pを供給できるように手差し給紙機構を備えてもよい。
プリンタ100は、トナー像が転写された用紙Pにトナー像を定着させるための定着手段としての定着装置20と、記録材排出手段としての排紙ローラ対7と、記録材積載手段としての排紙トレイ17とを備えている。排紙ローラ対7は、定着済みの用紙Pをプリンタ100の本体外部に排出する。排紙トレイ17は、プリンタ100の本体上部に配設され、排紙ローラ対7によりプリンタ100の本体外部に排出された用紙Pを積載収容する。
また、プリンタ100には、複数のトナー容器としての四つのトナーボトル9(Y,C,M,Bk)を備えている。四つのトナーボトル9(Y,C,M,Bk)はそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーが充填され、プリンタ100本体の上部であって排紙トレイ17の下側に設けられた四つのボトル収容部それぞれに着脱可能に装着されている。
四つのトナーボトル9(Y,C,M,Bk)と四つの現像装置40(Y,C,M,Bk)との間には、それぞれ補給路が設けてある。そして、この補給路を介してトナーボトル9(Y,C,M,Bk)のそれぞれから対応する現像装置40(Y,C,M,Bk)に、トナーが補給されるようになっている。
次に、プリンタ100の基本的動作について説明する。
プリンタ100において作像動作が開始されると、四つの作像部におけるそれぞれの感光体120(Y,C,M,Bk)が、駆動装置によって図2中の時計回り方向に回転駆動される。そして、四つの感光体120(Y,C,M,Bk)のそれぞれの表面が、帯電装置30(Y,C,M,Bk)によって所定の極性に一様に帯電される。
帯電された四つの感光体120(Y,C,M,Bk)の表面には、光書込装置6からレーザー光がそれぞれ照射されて、感光体120(Y,C,M,Bk)のそれぞれの表面上に静電潜像が形成される。このとき、それぞれの感光体120(Y,C,M,Bk)に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。
このように四つの感光体120(Y,C,M,Bk)上に形成された静電潜像に、それぞれの現像装置40(Y,C,M,Bk)によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、駆動ローラ72が図2中の反時計回り方向に回転駆動し、中間転写ベルト11を図2中の矢印「A」方向に回転させる。そして、四つの一次転写ローラ112(Y,C,M,Bk)に、トナーの帯電極性とは逆極性の定電圧または定電流制御された電圧がそれぞれ印加される。これにより、四つの一次転写ローラ112(Y,C,M,Bk)と四つの感光体120(Y,C,M,Bk)との間のそれぞれの一次転写ニップにおいて、所定の転写電界が形成される。
その後、一次転写ニップにおいて形成された転写電界により、四つの感光体120(Y,C,M,Bk)上のトナー画像が中間転写ベルト11上に順次重ね合わせて転写され、中間転写ベルト11の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。
中間転写ベルト11に転写しきれなかったそれぞれの感光体120(Y,C,M,Bk)上の転写残トナーは、クリーニング装置50(Y,C,M,Bk)によって除去される。その後、除電装置によってそれぞれの感光体120(Y,C,M,Bk)の表面が除電され、表面電位が初期化される。
プリンタ100の下部では、給送ローラ3が回転駆動を開始し、用紙給送装置61から用紙Pが搬送路に送り出される。搬送路に送り出された用紙Pは、レジストローラ対4によってタイミングをはかられて、二次転写バックアップローラとしても機能する駆動ローラ72と二次転写ローラ5との間の二次転写ニップに送られる。このとき、二次転写ローラ5には、中間転写ベルト11上のトナー画像のトナー帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されており、二次転写ニップに所定の転写電界が形成されている。
その後、中間転写ベルト11の回転に伴って、中間転写ベルト11上のトナー画像が二次転写ニップに達したときに、二次転写ニップにおいて形成された転写電界により、中間転写ベルト11上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。
二次転写ニップで用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト11上の残留トナーは、転写ベルトクリーニング装置113によって除去され、除去されたトナーは廃トナー収容器へと搬送され回収される。
転写ニップを通過した用紙Pは、定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ対7によって装置外へ排出され、排紙トレイ17上にストックされる。
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、四つの作像部のいずれか一つを使用して単色画像を形成したり、二つまたは三つの作像部を使用して、二色または三色の画像を形成したりすることも可能である。
また、図2に示したプリンタ100は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式を用いるカラープリンタあるが、画像形成装置としてはこの方式に限るものではない。また、プリンタだけではなく、複写機やファクシミリなどを対象とすることも可能である。
ここで、周知のように、電子写真方式による画像形成装置は、次の工程を経て画像を出力する。つまり、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像がトナーにより可視像処理され、トナー像が用紙などの記録材に転写されたうえで定着されることにより画像が出力される。
画像形成装置に用いられる定着方式には、熱ローラ定着方式、ベルト定着方式、フィルム定着方式および電磁誘導加熱定着方式などがある。
熱定着ローラ方式には、用紙の搬送路を挟んで対向しながら当接する定着ローラ及び加圧ローラが用いられる。この方式では、定着ローラ内に設けられている熱源からの熱と加圧ローラからの加圧力に相当する圧力との作用によってトナー像が用紙に融解浸透される。用紙に対してトナー像が融解浸透される現象は以下の構成を備えた定着方式においても同じである。
ベルト定着方式には、定着ローラに代えて熱良導体となる定着ベルトと、加圧ローラおよびベルトを捲装されるローラと、ベルトに対する加熱源とが用いられる(例えば、特許文献2)。
フィルム定着方式には、定着ローラに代えて熱良導体となる定着ベルトと加圧ローラと、ベルトを捲装されるローラと、ベルトに対する加熱源が用いられる(例えば、特許文献3)。
電磁誘導加熱定着方式には、発熱効率を高める電磁誘導コイルを加熱部材に設ける構成が用いられる(例えば、特許文献2)。
定着装置には、次に挙げる要求課題がある。
ウォームアップ時間を短縮すること、さらには、ファーストプリント時間を短縮することである。なお、ウォームアップ時間とは、電源投入時など、常温状態から印刷可能な所定温度(リロード温度)までに要する時間のことである。また、ファーストプリント時間とは、印刷要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでに必要な時間のことである。
定着装置では、次の理由により定着不良が発生することがある。
画像形成装置は、高速処理が行える装置である。高速処理により単位時間あたりの定着枚数、つまり、定着装置を通過する通紙枚数が増加すると、高速移動する用紙への供給熱量も増加させなければならない。これは、用紙が定着装置を通過する時間が短くなるのに合わせて定着に必要な熱量を用紙に与えるためである。
しかし、連続印刷のはじめに必要な熱量の確保ができていないと温度の落ち込みが大きく、高速化された連続印刷時に必要な熱量に達しないままで通紙されると定着不良が発生するおそれがある。
また、画像形成装置の高速化に伴い、単位時間あたりの通紙枚数が増え、必要熱量が増大しているため、特に連続印刷のはじめに熱量が不足する、いわゆる温度落ち込みが問題となることがあり、高速化した場合の定着不良を起こす問題がある。
一方、上記に挙げた定着方式とは別に、セラミックヒータを用いたサーフ定着方式と称される定着方式がある(例えば、特許文献4)。
サーフ定着方式は、ニップ部のみを局所加熱され、その他の部分では加熱されない構成が用いられる。この定着方式では、ベルト方式の定着装置に比べ、低熱容量化や小型化が可能となるため、所定温度への立ち上がりやファーストプリント時間の短縮が可能となる反面、次の問題がある。
つまり、サーフ定着方式は、ニップ部のみを局所加熱し、局所以外の部分では加熱されていないので、ニップ部の用紙などの入口において定着ベルトは最も冷えた状態にあり、定着不良が発生しやすくなるという問題がある。特に、高速機においては、定着ベルトの回転が速く、ニップ部以外でのベルトの放熱が多くなるため、より定着不良が発生しやすくなるという問題がある。
そこで、このような問題に対処するため、定着ベルトを用いる構成において、高生産の画像形成装置に搭載されても、良好な定着性を得ることができるようにした定着装置が提案されている(例えば、特許文献5)。
特許文献5に開示された定着装置では、図21に示す構成が用いられている。図21に示す定着装置20は、定着ベルト21、金属熱伝導体200、熱源300及び加圧ローラ22を備える。金属熱伝導体200は、定着ベルト21の内部に配設されたパイプ状の金属部材であり、熱源300は、金属熱伝導体200内に配設されている。加圧ローラ22は、定着ベルト21を介して金属熱伝導体200に当接してニップ部Nを形成する。
加圧ローラ22の回転により定着ベルト21は連れ回りし、このとき、金属熱伝導体200は定着ベルト21の移動をガイドする。また、金属熱伝導体200内の熱源300により金属熱伝導体200を介して定着ベルト21が加熱されることで、定着ベルト21全体を温めることを可能にしている。これにより、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することが可能となっている。
しかし、さらなる省エネ性及びファーストプリントタイム向上のためには、熱効率をより一層向上させる必要がある。
そこで、定着ベルトを、金属熱伝導体(図21において符号「200」で示す部材)を介して間接的に加熱するのではなく、定着ベルトを直接加熱する構成を採用する。これにより、熱源から定着ベルトへの伝熱効率が向上して消費電力の低減を図ることができるとともに、加熱待機時からのファーストプリントタイムをさらに短縮することができる。また、金属熱伝導体を設けないことによるコストダウンも期待できる。
無端ベルトを直接加熱する構成とすることで、省エネ性が高く、加熱待機時からのファーストプリントタイムを更に短縮することが可能となった。しかし、ニップを形成させるためのステー部材と無端ベルト(定着部材)との摺動性を高めるために、ステー部材表面にオイル等の潤滑剤を含浸させたシートを配置した場合、潤滑剤の保持性が十分でないと、経時で端部から漏れてしまうケースがある。その結果、摺動抵抗が大きくなって定着ベルトの回転トルクが高くなるという不具合が発生する。
特許文献6乃至8には、流出し得る潤滑剤を蓄える部材を有する構成が記載されているが、経時で蓄えることができる潤滑剤が飽和することを免れることはできず、潤滑剤の枯渇に起因して定着ベルトの回転トルクが上昇するという問題は解決できない。
図3は、本実施形態に係る定着装置20の一例を示した概略構成図である。
定着装置20は、内部が中空な表面無端移動体である定着部材としての定着ベルト21と、定着ベルト21に対向して回転可能に設けられた加圧部材としての加圧ローラ22とを備えている。
定着ベルト21の内側には、定着ベルト21を加熱する熱源としての加熱装置23と、定着ベルト21を介して対向する加圧ローラ22と定着ニップ部としてのニップ部Nを形成するニップ形成部材24とが設けられている。さらに、定着ベルト21の内側には、ニップ形成部材24を支持する支持部材としてのステー25と、加熱装置23が備える二つのハロゲンヒータ(23A,23B)から放射される光を定着ベルト21へ反射する反射部材26とが設けられている。
また、定着ベルト21の幅方向両端部には、それぞれガイド部材としてのフランジ部材451(図4参照)のガイド部451aが挿入されており、定着ベルト21はガイド部451aによってガイドされつつ回転可能に保持されている。また、定着ベルト21の内側には、遮蔽部材29が設けられており、遮蔽部材29は、図3中の矢印「D」に示すように定着ベルト21の内周面に沿って、定着ベルト21と非接触で移動するように構成されている。
定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)が用いられる。
定着ベルト21は、ニッケルもしくはステンレス鋼(SUS)等の金属材料またはポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材を有している。また、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層を備えている。
また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。弾性層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押しつぶして定着するときにベルト表面の微妙な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の跡が残るという不具合が生じる。これを改善するにはシリコーンゴム等の弾性層を100[μm]以上設けることが好ましい。弾性層の変形により、微妙な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
加圧ローラ22は、芯金22a、弾性層22b及び離型層22cによって構成されている。なお、弾性層22bは芯金22aの表面に配置されており、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、またはフッ素ゴム等が用いられる。また、離型層22cは弾性層22bの表面に設けられ、PFAまたはPTFE等が用いられる。
加圧ローラ22は、スプリングなどの加圧手段によって定着ベルト21側に向けて加圧されることにより、定着ベルト21を介してニップ形成部材24に当接している。この加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅のニップ部Nが形成されている。
加圧ローラ22は、プリンタ本体に設けられているモータ等の駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され、図3中の矢印「B1」で示す方向に回転駆動する。加圧ローラ22が回転駆動されると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が図3中の矢印「B2」で示す方向に従動回転するようになっている。
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を配設してもよい。また、弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上する。また、弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
加熱装置23は、加熱源として第一ハロゲンヒータ23Aと第二ハロゲンヒータ23Bとを備えており、両端部が定着装置20の側板に固定されている。それぞれのハロゲンヒータ(23A,23B)は、プリンタ100本体に配置された電源部により出力制御されて発熱する。出力制御は、温度検知センサによる定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。
このようなハロゲンヒータ(23A,23B)の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に維持できるようになっている。また、定着ベルト21を加熱する加熱源として、ハロゲンヒータ以外に、IH(電磁誘導)、抵抗発熱体、またはカーボンヒータ等を用いてもよい。
ニップ形成部材24は、加圧ローラ22の加圧力を受けてニップ部Nの形状を決める部材である。このため、定着ベルト21の軸方向または加圧ローラ22の軸方向に平行して配置され、ニップ形成部材24の支持部材として用いられるステー25によって固定支持されている。
このように、ニップ形成部材24をステー25で支持することにより、加圧ローラ22による圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを抑制し、加圧ローラ22の軸方向に平行して均一なニップ幅が得られるようにしている。
なお、ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレス鋼や鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましいが、ステー25を樹脂製とすることも可能である。
また、本実施形態では、ニップ部Nの形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状としてもよい。ニップ部Nの形状が凹形状の場合は、用紙Pの先端の排出方向が加圧ローラ22寄りになり、分離性が向上するので、ジャムの発生が抑制される。
また、ニップ形成部材24の表面には、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部材たる摺動シート28が貼り付けられている。摺動シート28は、耐熱性を有する微細なフッ素系繊維を織り込んだシートで、潤滑剤を毛細管現象によって吸収させている。
潤滑剤としては、例えばシリコーンオイルが挙げられ、耐熱性及び耐久性及び潤滑能力としては望ましく、使用条件により様々な粘度のものを選択することが可能なため良い。その他の潤滑剤としては、フッ素系・シリコン系のグリスも挙げられる。
反射部材26は、反射面として表面を利用できるアルミニウムやステンレス鋼などが用いられてステー25と加熱装置23との間に配設されている。ここで、反射部材26は、加熱装置23によって直接加熱されるため、高融点の金属材料等で形成されることが望ましい。
ステー25と加熱装置23との間に反射部材26が配設されていることにより、加熱装置のハロゲンヒータ(23A,23B)からステー25側に放射された光が定着ベルト21へ反射される。これにより、定着ベルト21に照射される光量を多くすることができ、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。
また、ハロゲンヒータ(23A,23B)からの輻射熱がステー25等に伝達されるのを抑制することができるので、省エネルギー化も図れる。また、本実施形態のような反射部材26を設けずに、ステー25の加熱装置23側の面を研磨または塗装などの鏡面処理をし、反射面を形成してもよい。
ただし、ステー25はその強度を確保するために形状や材質が自由に選択できない。このため、本実施形態のように反射部材26を別途設けた方が、形状や材質の選択の自由度が広がり、反射部材26とステー25はそれぞれの機能に特化することができる。
また、反射部材26は加熱装置23とステー25との間に設けられることにより、加熱装置23に対する反射部材26の位置が近くなるので、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。
定着ベルト21と加熱装置23との間には、ハロゲンヒータ(23A,23B)から定着ベルト21の非通紙領域への輻射熱を遮蔽する遮蔽位置と、この遮蔽位置から退避した退避位置との間で移動可能な遮蔽部材29が配設されている。これにより、特に、連続通紙時の定着ベルト21の非通紙領域における過剰な温度上昇を抑制することができ、定着ベルト21の熱による劣化や損傷を防止することができる。
なお、遮蔽部材29の遮蔽位置と退避位置との間での移動動作は、制御部によって制御された駆動手段である駆動装置が有する駆動源からの駆動力によって行われる。
遮蔽部材29は、厚さ0.1[mm]〜1.0[mm]の金属板を、定着ベルト21の内周面に沿った円弧状の断面形状に形成して構成されている。また、遮蔽部材29は、定着ベルト21の周方向に移動可能となっている。
図4(a)は、フランジ部材451の斜視図であり、(b)は、フランジ部材451の正面図である。
定着ベルト21の幅方向両端部に配設されるフランジ部材451は、同一の形状である。図4に示すように、フランジ部材451は、定着装置20の側板に取り付けられる取り付け部451bと、定着ベルト21の内周面の一端と対向するガイド部451aとを備えている。
ガイド部451aは、加圧ローラ側が切り欠かれた略円筒形状をしている。ガイド部451aは、定着ベルト21の内径とほぼ同等の外径を有し、定着ベルト21の両端から内側に所定量入り込む長さを有している。換言すれば、ガイド部451aは、円周ガイド凸部としてなり、定着ベルト21の端部に挿入されて摺動することで、定着ベルト21の断面形状を円形状に維持する。
取り付け部451bのガイド部451aの内側に対応する箇所には、貫通孔451cが設けられており、ステー25や加熱装置23は、この貫通孔451cを貫通して定着装置20の側板に取り付けられる。
本実施形態に係る定着装置20は、さらなる省エネ性及びファーストプリントタイムなどの向上のために、構成に種々の工夫が施されている。
具体的には、加熱装置23によって定着ベルト21をニップ部N以外の箇所において直接加熱できるようにしている(直接加熱方式)。また、定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21は薄くかつ小径化されている。
また、本実施形態では定着ベルト21の内周面と接触する部材は、フランジ部材451のガイド部451aとニップ形成部材24のみであり、これら部材以外に定着ベルト21の内周面と接触して回転をガイドするようなベルトガイドは存在しない。
以下、図3を参照しつつ、本実施形態に係る定着装置20の基本動作について説明する。
プリンタ本体の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータに電力が供給されると共に、加圧ローラ22が図3中の時計回りに回転駆動を開始される。これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ22との摩擦力によって、図3中の反時計回りに従動回転する。
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー画像Tが担持された用紙Pが、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ22のニップ部Nに送入される。そして、加熱装置23によって加熱された定着ベルト21による熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22との間の加圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像Tが定着される。
トナー画像Tが定着された用紙Pは、ニップ部Nから搬出され、搬出された用紙Pは、上述のように、排紙ローラ対7(図2参照)によって機外に排出され、排紙トレイ17(図2参照)にストックされる。
次に、定着ベルト21と加熱装置23との間に配設される遮蔽部材29について、具体的に説明する。
図5に遮蔽部材29の平面図を示す。図5に示すように、遮蔽部材29は、両端にそれぞれ3つの段差部を有する形状に形成された遮蔽部48を有している。すなわち、各遮蔽部48は、第一遮蔽領域部48aと、第二遮蔽領域部48bと、第三遮蔽領域部48cとで構成されている。また、各遮蔽部48の第三遮蔽領域部48c同士は、連結部49を介して連結されている。
本実施形態では、第三遮蔽領域部48c間の幅「W1」が、小サイズ通紙幅に対応しており、第二遮蔽領域部48b間の幅「W2」が、中サイズ通紙幅に対応しており、第一遮蔽領域部48a間の幅「W3」が、大サイズ通紙幅に対応している。本実施形態では、小サイズ通紙幅は、「はがき」の幅に対応しており、中サイズ通紙幅が、「B4サイズ」の幅に対応している。また、大サイズ通紙幅が、「A3サイズ」の幅に対応している。なお、通紙幅に対応する用紙サイズの例はこれに限定されるものではない。
図6は、各ハロゲンヒータ(23A,23B)の発熱部を示す図である。
本実施形態では、ハロゲンヒータ(23A,23B)の発熱部の長さや配設位置を異ならせている。すなわち、図6に示すように、第一ハロゲンヒータ23Aの発熱部231aは、長手方向中央部側に配設され、第二ハロゲンヒータ23Bの発熱部231bは、長手方向両端部側にそれぞれ配設されている。第一ハロゲンヒータ23Aの発熱部は、小サイズ通紙幅W1以上、中サイズ通紙幅W2未満の範囲に対応している。また、第二ハロゲンヒータ23Bの発熱部は、中サイズ通紙幅W2以上で、大サイズ通紙幅W3を含む範囲に配設されている。
図7は、小サイズの用紙を通紙するときの定着装置20の斜視図である。図8は、小サイズの用紙を通紙するときの定着装置20の断面図である。
用紙幅が、「はがき」の幅以下の小サイズ用紙に対応する第三遮蔽領域部48c間の幅「W1」は、第一ハロゲンヒータ23Aの発熱部の長さよりも小さい範囲となっている。そのため、小サイズ用紙を通紙する場合、第一ハロゲンヒータ23Aのみを発熱させる。しかし、この場合、第一ハロゲンヒータ23Aで加熱される定着ベルト21の範囲は、小サイズ通紙幅W1を超えてしまうので、遮蔽部材29を小サイズ通紙幅に対応する遮蔽位置に移動させる。
すなわち、図8に示すように、第三遮蔽領域部48cまでが加熱装置23の直接加熱領域Mに位置する小サイズの用紙に対応する遮蔽位置に遮蔽部材を移動させる。これにより、小サイズ通紙幅W1の端部近傍から外側の範囲を第一、第二および第三遮蔽領域部により遮蔽することができる。よって、少なくとも、定着ベルト21の非通紙領域が第一、第二および第三遮蔽領域部により遮蔽された部分を通過するときは、ハロゲンヒータにより直接加熱されることがない。その結果、遮蔽部材29で遮蔽しない場合に比べて、非通紙領域において定着ベルト21の温度上昇を抑えることができる。
次に、用紙幅が、「はがき」の幅を超え、「B4サイズ」の幅以下の中サイズ用紙を通紙する場合は、第一ハロゲンヒータ23Aと第二ハロゲンヒータ23Bとの両方を発熱させる。この場合、第一ハロゲンヒータ23Aと第二ハロゲンヒータ23Bとを発熱させると、定着ベルト21の加熱される範囲が中サイズ通紙幅W2を超えてしまう。
そのため、中サイズ用紙を通紙する際には、遮蔽部材29を中サイズ通紙幅に対応する遮蔽位置へ移動させる。すなわち、第三遮蔽領域部48cを、直接加熱領域Mから退避させ、第一遮蔽領域部48aと第二遮蔽領域部48bとを直接加熱領域Mに位置させる。これにより、中サイズ通紙幅W2の端部近傍から外側の範囲を、第一遮蔽領域部48aや第二遮蔽領域部48bとによって遮蔽することができる。これにより、少なくとも、定着ベルト21の非通紙領域が、第二遮蔽領域部48bや第一遮蔽領域部48aにより遮蔽された部分を通過するときは、ハロゲンヒータ(23A,23B)により直接加熱されることがない。これにより、遮蔽部材29で遮蔽しない場合に比べて、非通紙領域において定着ベルト21の温度上昇を抑えることができる。
図9は、大サイズの用紙を通紙するときの定着装置20の斜視図である。図10は、大サイズの用紙を通紙するときの定着装置20の断面図である。
「B4サイズ」の幅を超える大サイズ用紙を通紙する場合は、第一ハロゲンヒータ23Aと第二ハロゲンヒータ23Bとの両方を発熱させる。この場合、第一ハロゲンヒータ23Aと第二ハロゲンヒータ23Bとを発熱させると、定着ベルト21の加熱される範囲が大サイズ通紙幅W3を超えてしまう。
そのため、大サイズ用紙を通紙する際には、遮蔽部材29を大サイズ用紙用の遮蔽位置へ移動させる。すなわち、図10に示すように、第二遮蔽領域部48b及び第三遮蔽領域部48cを直接加熱領域Mから退避させ、第一遮蔽領域部48aのみを、直接加熱領域Mに位置するように移動させる。
これにより、少なくとも、定着ベルト21の非通紙領域が、第一遮蔽領域部48aにより遮蔽された部分を通過するときは、ハロゲンヒータ(23A,23B)により直接加熱されることがない。その結果、遮蔽部材29で遮蔽しない場合に比べて、非通紙領域において定着ベルト21の温度上昇を抑えることができる。
また、A3ノビなど、本プリンタが通紙可能な最大サイズの用紙を通紙する際は、第三遮蔽領域部48cも直接加熱領域Mから退避させる。
なお、図7、図8、図9及び図10では、加圧ローラ22などの図示を適宜省略している。
このように、遮蔽部材29を設けることで、定着ベルト幅方向でハロゲンヒータ(23A,23B)よりも幅の狭い用紙を連続通紙した場合でも、定着ベルト21の非通紙領域が過昇温状態になるのを抑制することができる。これにより、過昇温領域をキャンセルするために、生産性を落とす等の制御を行う必要がない。
本実施形態の定着装置20は、上述した構成を備えることにより、安価でウォームアップが速い定着装置を実現することが可能となる。
図22は、定着ベルト21の内周面に接触する摺動シート28を設けた定着装置20で生じ得る不具合についての説明図である。
摺動シート28に含浸させている潤滑剤80が、定着ベルト21を介して、加圧ローラ22により押圧されることにより、潤滑剤80が摺動シート28から搾り出されて定着ベルト21内に落下する。その後、潤滑剤80は定着ベルト21の幅方向(図22の紙面に直交する方向)の外側へ溢れ出て、潤滑剤80の総量が減少することにより、摺動性が低下し、定着装置20の長寿命化を妨げる要因となっている。
潤滑剤80は液体であるが、図22では潤滑剤80を便宜的に丸で示しており、後述する他の図面についても同様である。
図23は、定着ベルト21に対して摺動シート28が傾斜して配置されたときの定着装置20を図22の左側から見た状態を模式的に示す説明図である。
図23中の符号「28a」を付した実線で囲まれた領域は、摺動シート28が定着ベルト21の内周面に接触する摺動シート接触領域であることを示している。図23中の一転鎖線で囲まれた領域はニップ部Nを示している。また、図23中の符号「21C」は、定着ベルト21の幅方向の中央部を示している。
図23に示す構成では、ニップ形成部材24の表面に配置した摺動シート28を定着ベルト21の移動方向に対して、その長手方向が直交するによう配置する。そして、摺動シート28の長手方向(定着ベルト21の幅方向)の全域に渡って均一な接触領域幅S(摺動シート接触領域28aの定着ベルト21の移動方向の長さ)で摺動シート28を定着ベルト21に接触させる。摺動シート28は、潤滑剤80を定着ベルト21へ均一な供給と、定着ベルト21の表面上の潤滑剤80の回収とを摺動シート接触領域28aで行っている。
しかし、摺動シート28の長手方向が定着ベルト21の移動方向に対して高精度に直交する配置となるように構成しても、どうしても部品バラつき等で、少なからず、ある角度「θ」で傾いた状態で、配置されてしまう。詳しくは、摺動シート28が配置されたニップ形成部材24の長手方向(定着ベルト21の幅方向)の一方の端部が他方の端部よりも定着ベルト21の移動方向上流側に位置するように傾いてしまう。そして、摺動シート28の長手方向の延在方向が「21A」で示す定着ベルト21の移動方向に直交する仮想線(図23中の二点鎖線)に対して角度「θ」だけ傾いてしまう。
図23は、潤滑剤80の漏れ出しについてより厳しい条件となるように、定着ベルト21の移動方向に直交する仮想線に対して、摺動シート28の長手方向と、加圧ローラ22の軸方向とが同じ方向に角度「θ」だけ傾いた状態を示している。
図23に示すように摺動シート28及び加圧ローラ22が傾いて配置された場合、潤滑剤80が図23中の右側に移動するような潤滑剤80の流れが生じる。
摺動シート28に浸透した潤滑剤80は、ニップ部Nを含む、定着ベルト21の内周面に接触している全ての領域(摺動シート接触領域28aの全域)で定着ベルト21の内周面に付着し、定着ベルト21の内周面を一回転すると、摺動シート28に回収される。そして、再び、定着ベルト21の内周面に付着することで、定着ベルト21の内周面に対する潤滑剤80の供給と回収とを繰り返している。
定着ベルト21の内周面を一回転した潤滑剤80は、摺動シート接触領域28aにおける定着ベルト21の移動方向上流側端部の縁である接触領域上流側縁部28eで摺動シート28に吸収され回収される。
図23に示すように、摺動シート28の長手方向の一方の端部が他方の端部よりも定着ベルト21の移動方向上流側に位置するように傾いて配置されている場合は、次のような不具合が生じる。
すなわち、接触領域上流側縁部28eでは、潤滑剤80が摺動シート28の内部に向かっていく流れ(図23中の実線矢印)だけでなく、接触領域上流側縁部28eの傾きに沿って図23中の右側へ向かう流れ(図23中の破線矢印)が発生する。
さらに、ニップ部Nにおける定着ベルト21の移動方向上流側端部の縁であるニップ上流側縁部NEでも、ニップ上流側縁部NEの傾きに沿って図23中の右側へ流れる方向の移動する力が潤滑剤80に働くことになる。
これにより、ニップ上流側縁部NEでも接触領域上流側縁部28eと同様な潤滑剤80の流れが発生し、図23中の破線矢印で示すように図23中の右側へ移動していく。
このような状態で定着ベルト21が回転し続けると、徐々に、摺動シート28内における図23中の領域「α」の潤滑剤80の量が減少し、摺動シート28内における図23中の領域「β」の潤滑剤80の量が過多になる。
摺動シート28の図23中の領域「β」に、この領域で吸収可能な量以上の潤滑剤80が流れ込むと、図23中の矢印「E」で示すように、定着ベルト21の幅方向の端部まで潤滑剤80が流れ込み、定着装置20の外部への潤滑剤漏れとなる。
外部への潤滑剤漏れが発生し、潤滑剤80が外部に向かって流れる経路が一度できてしまうと、その時間当たりの流れる量は経時で増加し、定着ベルト21の内側に存在する潤滑剤80の総量が減ってしまう。そして、最終的に摺動シート28における図23中の領域「α」では潤滑剤80が枯渇してしまい、ニップ部Nでの摺動抵抗が大きくなってしまう。これにより、摺動シート28の摩耗や、定着ベルト21の回転トルク上昇につながり、最終的に定着ベルト21を回転速度低下や回転不良となり、用紙搬送不良や定着前での用紙の弛みによる画像擦れ等の品質異常となる。
各部品の精度を追い込むことで、定着ベルト21に対して、摺動シート28及び加圧ローラ22(ニップ部N)が傾かないようにしても限界がある。
〔実施例1〕
次に、本実施形態に係る定着装置20の一つ目の実施例(以下、「実施例1」という)について説明する。
図1は、実施例1の定着装置20の説明図である。図1(a)は、定着装置20の摺動シート28と定着ベルト21とを図3の左側から見た状態を模式的に示す説明図である。図1(b)は、ニップ部Nの図1(a)中の左側端部における定着装置20の断面図であり、図1(c)は、ニップ部Nの図1(a)中の中央部における定着装置20の断面図である。
図1に示すように、実施例1の定着装置20では、摺動シート28の摺動シート接触領域28aの接触領域幅Sをベルト幅方向(定着ベルト21の幅方向)の両端部と中央部とで異なる構成とすることで潤滑剤80が漏れ出ることを抑制している。
摺動シート接触領域28aの方が、加圧ローラ22と定着ベルト21との接触領域であるニップ部Nよりも面積が広く、ニップ部Nが摺動シート接触領域28aの内側となるように配置している。この配置により、ニップ部Nで押し出された潤滑剤80が、ニップ部Nの外側の摺動シート接触領域28aで吸収され、摺動シート28で保持することが可能となる。さらに、ニップ部N以外の領域で、摺動シート28から定着ベルト21の内周面に潤滑剤80が供給できる。
実施例1の定着装置20では、摺動シート28におけるベルト移動方向(定着ベルト21の移動方向)の長さが、ベルト幅方向の中央部と端部とで異なる長さとして、摺動シート接触領域28aの接触領域幅Sがベルト幅方向の中央部と端部とで異なる構成としている。具体的には、ベルト幅方向の端部の接触領域幅Sの方が中央部の接触領域幅Sよりも広くなる構成としている。すなわち、図1中の左側端部の接触領域幅Sを「S1」、中央部の接触領域幅Sを「S2」、右側端部の接触領域幅Sを「S3」としたときに、「S1>S2」及び「S2<S3」という関係が成り立つ構成としている。
このような構成により、摺動シート28の摺動シート接触領域28aにおけるベルト幅方向の端部近傍での潤滑剤80の保持能力を中央部よりも高めることができる。これにより、ベルト幅方向の端部近傍に到達した潤滑剤80が定着ベルト21の端部から外部へ漏れ出すことを抑制することが可能となる。また、ベルト幅方向の端部近傍に到達して、外部に漏れ出るおそれがある潤滑剤80を摺動シート接触領域28aのベルト幅方向の端部で吸収し、潤滑剤として再度用いることができる。このため、定着ベルト21の摺動負荷を低減し、定着ベルト21の回転トルクの上昇を抑制することができる。
図1(a)に示すように、接触領域上流側縁部28eは、ニップ上流側縁部NEよりもベルト移動方向上流側に位置している。ニップ部Nにおけるベルト移動方向の中央部から接触領域上流側縁部28eまでの距離が、ベルト幅方向の両端部側よりも中央部側の方が短くなっている。ここで、ニップ部Nにおけるベルト移動方向の中央部とは、ニップ部Nのベルト移動方向下流側の縁部と、ニップ上流側縁部NEとの中間となる部分である。
これにより、接触領域上流側縁部28eにおけるベルト幅方向の両端部よりも中央部の方がベルト移動方向の下流側に位置するように、接触領域上流側縁部28eがベルト幅方向に対して傾斜した形状を形成することができる。
図1(b)及び図1(c)に示すように、実施例1の定着装置20では、ベルト移動方向の長さが、摺動シート28だけでなく、ニップ形成部材24も、ベルト幅方向における中央部よりも端部の方が長くなる構成となっている。このような構成に限らず、ニップ形成部材24のベルト移動方向の長さを一定として、摺動シート28のベルト移動方向の長さをベルト幅方向における中央部と端部とで異ならせる構成としてもよい。
また、図1に示すように、ベルト幅方向の両端部から中央部に行くにつれて、徐々に接触領域幅Sが狭くなる(ベルト移動方向の長さが短くなる)配置となっている。これにより、接触領域上流側縁部28eがベルト幅方向の中央部に向かって傾斜する形状となっている。
このように、接触領域上流側縁部28eが傾斜していることで、定着ベルト21の回転によって一周して接触領域上流側縁部28eに到達した潤滑剤80は、次のように移動する。すなわち、潤滑剤80の一部は、図1(a)中の実線矢印で示すように、接触領域上流側縁部28eから摺動シート28に吸収されるように移動する。そして、摺動シート28に吸収されなかった潤滑剤80は、図1(a)中の破線矢印で示すように接触領域上流側縁部28eに沿ってベルト幅方向の中央部に向けて移動する。
このため、図23を用いて上述したように、ベルト移動方向に直交する方向に対して、摺動シート28の長手方向が多少傾いた状態で配置されても、接触領域上流側縁部28eに沿ったベルト幅方向の端部へ向かう潤滑剤80の流れが生じない。よって、潤滑剤80が定着ベルト21のベルト方向の端部から定着装置20の外部へ漏れ出ること抑制できる。これにより、定着ベルト21の回転トルクの上昇を抑制することができる。
さらに、実施例1では、図1に示すように、ニップ部Nのニップ幅(ベルト移動方向の長さ)が、ベルト幅方向の端部の方が中央部よりも広くなる構成としている。すなわち、図1中の左側端部のニップ幅を「N1」、中央部のニップ幅を「N2」、右側端部のニップ幅を「N3」としたときに、「N1>N2」及び「N2<N3」という関係が成り立つ構成としている。
実施例1では、あえて均一なニップ幅とにならないように、ニップ部Nを形成するために加圧ローラ22に加わる荷重による撓みによって圧分布偏差をつけて、ニップ幅を異ならせている。
このように構成することで、図1(a)に示すように、ニップ上流側縁部NEがベルト幅方向の中央部に向かって傾斜する形状となる。これにより、摺動シート接触領域28aの内側となるニップ上流側縁部NEでも、図1(a)中の破線矢印で示すように、ベルト幅方向の中央に向かって潤滑剤80を移動させることができる。よって、ベルト幅方向の端部から定着装置20の外部へ潤滑剤80が漏れ出ることをより効果的に抑制することが可能となる。これにより、定着ベルト21の回転トルクの上昇を抑制することができる。
ニップ部Nに位置する潤滑剤80は、ベルト移動方向への移動だけでなく、加圧ローラ22の圧力がかかることで、図1(a)中の実線矢印で示すように、様々な方向へ移動し得る。
図1に示すように、摺動シート28のベルト幅方向の長さ「L1」は、加圧ローラ22のベルト幅方向(加圧ローラ22の回転軸方向)の長さ「L2」よりも長く、定着ベルト21の幅方向の長さ「L3」よりも短い設定となっている。
「L1>L2」の関係を満たす設定とすることで、加圧ローラ22と接触して最も摺動負荷が高くなるニップ部Nに、効果的に潤滑剤80を存在させることができ、トルク上昇を抑えられる。
また、「L1<L3」の関係を満たす設定とすることで、摺動シート28を定着ベルト21の幅方向の端部から、ある一定距離を置いて配置させることができる。これにより、摺動シート28から定着ベルト21の端部へ潤滑剤80が移動して、外部への漏れ出る流路が形成されにくいようにしている。
実施例1の定着装置20は、定着ベルト21のベルト幅方向の端部から潤滑剤80が漏れることを抑止することが可能となる。よって、潤滑剤80の総量が減ることに起因してニップ形成部材24と定着ベルト21の内周面との間の摺動性が悪化して定着装置20の寿命に悪影響を与えることを抑制できる。
本実施形態のプリンタ100は、実施例1の定着装置20を備えることにより、定着装置20の長寿命化を図ることで、プリンタ100の画像形成装置全体の長寿命化を図ることが可能となる。
〔実施例2〕
次に、本実施形態に係る定着装置20の二つ目の実施例(以下、「実施例2」という)について説明する。
図11は、実施例2の定着装置20における摺動シート28の摺動シート接触領域28aと定着ベルト21との説明図である。実施例2の定着装置20は、摺動シート接触領域28aの形状以外は上述した実施例1の定着装置20と同様の構成を備えている。
図11に示す摺動シート28は、摺動シート接触領域28aが、ベルト幅方向において接触領域幅Sの広い部分と狭い部分とを繰り返す形状である。そして、接触領域上流側縁部28eが、ベルト幅方向の一方の端部から他方の端部の間で、ベルト移動方向の上流側となる部分と、下流側となる部分とを繰り返す形状である。
これにより、接触領域上流側縁部28eが下流側に凹むように形成される谷部が、ベルト幅方向の複数箇所に形成される。それぞれの谷部を形成する接触領域上流側縁部28eで、図11中の太線とした部分が、ベルト幅方向の両端部側よりも中央部側の方がベルト移動方向の下流側に位置するようにベルト幅方向に対して傾いた形状となる部分である。すなわち、接触領域上流側縁部28eの図11中の太線で示した部分では、接触領域上流側縁部28eに沿って移動する潤滑剤80がベルト幅方向の中央部に向かって移動する。
図1に示す実施例1の定着装置20では、接触領域上流側縁部28eに沿って移動する潤滑剤80が集まる谷部が中央部に一つとなっている。これに対して、図11に示す実施例2のように、谷部が複数箇所に形成される構成であれば、接触領域上流側縁部28eにおける潤滑剤80が溜まる箇所が分散される。このため、摺動シート28がベルト幅方向に渡って万遍なく潤滑剤80を保持することが可能となり、摺動性の向上を図ることができる。
〔実施例3〕
次に、本実施形態に係る定着装置20の三つ目の実施例(以下、「実施例3」という)について説明する。
図12は、実施例3の定着装置20における摺動シート28の摺動シート接触領域28aと定着ベルト21との説明図である。実施例3の定着装置20は、接触領域上流側縁部28eのベルト幅方向の両端部が、中央部よりもベルト移動方向上流側に位置する点以外は上述した実施例2の定着装置20と同様の構成を備えている。
実施例3の定着装置20のように、ベルト幅方向の両端部の摺動シート接触領域28aをベルト移動方向に長くする(接触領域幅Sを広くする)ことにより、ベルト幅方向の端部からの潤滑剤80の漏洩をより効果的に抑制ことができる。
〔実施例4〕
次に、本実施形態に係る定着装置20の四つ目の実施例(以下、「実施例4」という)について説明する。
図13は、実施例4の定着装置20における摺動シート28の摺動シート接触領域28aと定着ベルト21との説明図である。実施例4の定着装置20は、摺動シート接触領域28aの形状以外は上述した実施例1の定着装置20と同様の構成を備えている。
図13に示すように、実施例4の定着装置20の接触領域上流側縁部28eは、ベルト幅方向の両端部のみに潤滑剤80が中央部に向かう傾斜を備え、中央部近傍はベルト幅方向に平行な形状となっている。
図13では、ベルト幅方向の両端部近傍では、接触領域上流側縁部28eに沿って移動する潤滑剤80は中央部に向けて移動するため、潤滑剤80がベルト幅方向の端部から定着装置20の外部に漏れ出ることを抑制できる。また、摺動シート接触領域28aの中央部よりも両端部の方がベルト移動方向に長い(接触領域幅Sが広い)ことにより、端部近傍での潤滑剤80等の潤滑剤の保持能力を中央部よりも高めることができる。これにより、定着ベルトの幅方向の端部近傍に到達した潤滑剤が定着ベルトの端部から外部へ漏れ出すことを抑制することが可能となる。
〔実施例5〕
次に、本実施形態に係る定着装置20の五つ目の実施例(以下、「実施例5」という)について説明する。
図14は、実施例5の定着装置20における摺動シート28の摺動シート接触領域28aと定着ベルト21との説明図である。実施例5の定着装置20は、摺動シート接触領域28aの形状以外は上述した実施例1の定着装置20と同様の構成を備えている。
図14に示すように、実施例5の定着装置20の接触領域上流側縁部28eは、潤滑剤80が中央部に向かう傾斜を形成する部分が曲線となっている。曲線であっても接触領域上流側縁部28eに沿って移動する潤滑剤80は中央部に向けて移動するため、潤滑剤80がベルト幅方向の端部から定着装置20の外部に漏れ出ることを抑制できる。また、摺動シート接触領域28aの中央部よりも両端部の方がベルト移動方向に長い(接触領域幅Sが広い)ことにより、端部近傍での潤滑剤80等の潤滑剤の保持能力を中央部よりも高めることができる。これにより、定着ベルトの幅方向の端部近傍に到達した潤滑剤が定着ベルトの端部から外部へ漏れ出すことを抑制することが可能となる。
〔実施例6〕
次に、本実施形態に係る定着装置20の六つ目の実施例(以下、「実施例6」という)について説明する。
図15は、実施例6の定着装置20における摺動シート28の摺動シート接触領域28aと定着ベルト21との説明図である。実施例6の定着装置20は、摺動シート接触領域28aの形状以外は上述した実施例1の定着装置20と同様の構成を備えている。
図15に示すように、実施例6の定着装置20の摺動シート接触領域28aは、ベルト移動方向の長さ(接触領域幅S)がベルト幅方向について一定となっている。このような構成であっても接触領域上流側縁部28eが、潤滑剤80が中央部に向かう傾斜を備えているため、接触領域上流側縁部28eに沿って移動する潤滑剤80は中央部に向けて移動する。これにより、潤滑剤80がベルト幅方向の端部から定着装置20の外部に漏れ出ることを抑制できる。
次に、本実施形態の定着装置20で用いることができるニップ形成部材24に対する摺動シート28の取り付け方法の一例について説明する。
図16は、摺動シート28を取り付けたニップ形成部材24の説明図であり、図16(a)は、ニップ形成部材24を図3中の上方から見た平面図、図16(b)は、ニップ形成部材24を図3中の左方から見た側面図である。
図17は、図16に示すニップ形成部材24の断面図である。図17(a)は、図16中のX1−X1断面の断面図、図17(b)は、図16中のX2−X2断面の断面図、図17(c)は、図16中のX3−X3断面の断面図である。
図16及び図17に示すように、ニップ形成部材24の周方向に沿って摺動シート28が覆設されている。ニップ形成部材24は、図16に示すように、摺動シート28の外側に突出する突出部(上流側突出部24a、下流側突出部24b)が、幅方向(図16中の左右方向))に間隔をあけて複数配置されている。具体的には、上流側突出部24aと下流側突出部24bとが、それぞれ、幅方向にほぼ等間隔に八つ形成されている。ニップ形成部材24は、上流側突出部24aと下流側突出部24bとがステー25に当接する。
摺動シート28には、複数列の突出部(上流側突出部24a、下流側突出部24b)に嵌合する複数の穴部28bが形成されている。そして、摺動シート28は、複数列の突出部(24a、24b)を除く位置で周方向に沿ってニップ形成部材24に密着するように設置される。摺動シート28は、ニップ形成部材24に覆設されるときに、巻き付け方向の両端が上流側突出部26aと下流側突出部26bとの間(複数列の突出部の間)で折り重なって重合部(図17において破線で囲んだ領域)が形成されることになる。そして、この重合部を形成する部分にネジ36を通すためのネジ用の穴が幅方向の複数箇所(図16に示す例では五箇所)形成されている。
そして、図17に示すように、摺動シート28の重合部を挟み込むようにニップ形成部材24に対して固定板35が複数のネジ36によって固定される。詳しくは、摺動シート28の重合部を挟み込むようにニップ形成部材24上に重合部を介して固定板35が載置され、固定板35のネジ用の穴部と、摺動シート28のネジ用の穴と、を挿通させてニップ形成部材24の雌ネジ部にネジ36の軸が螺合される。
このように、摺動シート28は、定着装置20に組み付けたときに、ベルト移動方向上流側に相当する端部と、ベルト移動方向下流側に相当する端部とが、複数のネジ36によってニップ形成部材24上に固定保持されている。そのため、摺動シート28がベルト移動方向の下流側に向けて走行する定着ベルト21との間に摩擦力を受けた場合(通常の定着工程時である。)に摺動シート28がずれてニップ形成部材24との間に隙間ができたりシワが生じたりしてしまう不具合が防止される。加えて、摺動シート28がベルト移動方向の上流側に向けて走行する定着ベルト21との間に摩擦力を受けた場合(ジャム処理時に定着ベルト21や加圧ローラ22が手動で逆回転される場合等である。)であっても、上記不具合が防止される。
また、図16及び図17を用いて説明した取り付け方法では、摺動シート28の重合部を固定板35で挟んで、幅方向にほぼ均等に配列された複数のネジ36によって、固定板35をニップ形成部材24に締結している。このため、他の固定保持方法(例えば、重合部を接着剤で接着する方法や、重合部をフック形状にして突出部に引っ掛ける方法等)に比べて、ニップ形成部材24に対して摺動シート28を安定的かつ強固に固定することができる。
また、ニップ形成部材24に対する摺動シート28の固定手段は、ネジ36のようなネジに限らない。例えば、特許文献9の段落番号「0075」等に記載のように、ニップ形成部材の端部が有するギザギザ形状のズレ防止構造によって摺動シート28を固定するものを用いることも可能である。
図16及び図17に示したニップ形成部材24は、ベルト幅方向(図16中の左右方向)の全域に渡って、ベルト移動方向(図16(b)中の上下方向)の長さが一様な形状である。このベルト移動方向の長さをベルト幅方向の中央部よりも端部の方が長くなる形状とすることで、図1等に示すように、摺動シート接触領域28aのベルト幅方向の端部の方が中央部よりも、接触領域幅Sが広くなる構成を実現できる。これにより、接触領域上流側縁部28eが中央部に向けて傾斜する構成を実現できる。
次に、ニップ形成部材24として、ベルト移動方向の長さがベルト幅方向の中央部よりも端部の方が長くなるものを用いる以外の方法で、接触領域上流側縁部28eが中央部に向けて傾斜する構成を実現できる摺動シート28の他の取り付け方法について説明する。
図18は、他の取り付け方法に係るニップ形成部材24と摺動シート28との断面図である。図18(a)は、ベルト幅方向中央部の断面図であり、図18(b)は、ベルト幅方向端部の断面図である。
図19は、他の取り付け方法に係る摺動シート28の説明図である。図19(a)は摺動シート28における切り込みの位置の説明図であり、図19(b)は、摺動シート28における穴部28bの位置と、折り目28Sの位置との説明図である。図20は、ニップ形成部材24に取り付けられた摺動シート28の説明図である。図20(a)は、ニップ形成部材24に取り付ける途中の状態の摺動シート28の説明図、図20(b)は、ニップ形成部材24に取り付けられた摺動シート28の摺動シート接触領域28aの説明図である。
摺動シート28に対して、図19(a)中の破線で示すように摺動シート28のベルト移動方向の上流になる側の端部(図19中の「28h」)におけるベルト幅方向の中央に、摺動シート28のベルト移動方向の長さの3分の1から5分の1程度まで切り込みを入れる。図19(a)に示すように、切り込み開始点を「28f」とし、切り込み終了点を「28g」とする。切り込みを入れることで、切り込み開始点28fは二つに分離され、図19(b)に示すように、分離した二つの切り込み開始点28fのそれぞれを、第一切り込み開始点28f1、第二切り込み開始点28f2とする。
切り込み量は、本実施形態に限られるものでなく、ニップ形成部材24の幅や、所望の折りかえり量により適宜異ならせることができる。
切り込み終了点28gを中心に、第一切り込み開始点28f1及び第二切り込み開始点28f2をそれぞれベルト幅方向の端部に向かって折り返す。このときの折り目を図19(b)中の「28S」に示す。図19(b)に示すように、切り込み終了点28gからベルト幅方向の端部へ向かうにつれて徐々に折りかえり量を少なくする(「28h」と「28g」との距離を短くする)。よって、図18(b)に示すように、ベルト幅方向の端部において摺動シート28をニップ形成部材24に対してたるませることができる。
これにより、摺動シート接触領域28aのベルト幅方向のそれぞれの位置において所定の接触領域幅S(ベルト移動方向の長さ)を確保することができる。すなわち、図18に示すように、ベルト幅方向端部の接触領域幅Sである「S1」をベルト幅方向中央部の接触領域幅Sである「S2」よりも大きくすることが出来る。図19(b)中の折り目28Sの位置が接触領域上流側縁部28eとなり、図20(b)に示すように、摺動シート28の接触領域上流側縁部28eが中央部に向けて傾斜する。
図18〜図20を用いて説明した他の取り付け方法でも、摺動シート28のニップ形成部材24への取り付けは、摺動シート28に設けた穴部28bをニップ形成部材24の上流側突出部24aまたは下流側突出部24bに引っ掛けることで取り付けることができる。摺動シート28の穴部28bのうちベルト移動方向上流側の穴部28bは、切り込み終了点28gからベルト幅方向の端部側ほど摺動シート28のベルト移動方向の上流になる側の端部(「28h」)に徐々に近づくように形成する。さらに、折り目28Sは、切り込み終了点28gからベルト幅方向の端部側ほど穴部28bから離れるように形成する。
このように、穴部28bと折り目28Sとを設けることで、接触領域上流側縁部28eが中央部に向けて傾斜する構成を実現できる。
摺動シート接触領域28aでは、定着ベルト21の無端移動によって、摺動シート28がベルト移動方向の下流側(図18中の左側、図19及び図20中の上側)に引っ張られる。このため、摺動シート28としては、定着ベルト21に引っ張られても折り目28Sの形状が変化しないような剛性の高いものを用いる。これにより、摺動シート接触領域28aで定着ベルト21に引っ張られても、ベルト幅方向端部における接触領域上流側縁部28eの位置がベルト移動方向の下流側にずれるような変形が摺動シート28に生じることを抑制できる。よって、図18(b)に示すように、ベルト幅方向の端部で摺動シート28がたるんだ状態を維持することが可能となり、経時に渡って接触領域上流側縁部28eが中央部に向けて傾斜する形状を維持することが可能となる。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
回転可能な無端状の定着ベルト21等の定着ベルトと、定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材24等のニップ形成部材と、定着ベルトの外周面に接触し、定着ベルトを挟んでニップ形成部材と当接してニップ部N等のニップ部を形成する加圧ローラ22等の加圧部材と、定着ベルトの内周面に接触するように設けられ、潤滑剤80等の潤滑剤を含浸する摺動シート28等の潤滑剤含浸部材と、を備えた定着装置20等の定着装置において、潤滑剤含浸部材が定着ベルトの内周面に接触する摺動シート接触領域28a等の含浸部材接触領域の定着ベルトの移動方向上流側の縁部(接触領域上流側縁部28e)が、定着ベルトの幅方向の両端部側よりも中央部側の方が定着ベルトの移動方向下流側に位置するように、定着ベルトの幅方向に対して傾いた形状を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、定着ベルトの端部から外部へ潤滑剤が漏れ出すことを抑制することが可能となる。これは、以下の理由による。
すなわち、定着ベルトの移動に伴って含浸部材接触領域の上流側の縁部に到達した潤滑剤は、潤滑剤含浸部材に吸収されるが、吸収されなかった潤滑剤は含浸部材接触領域の上流側の縁部に沿って定着ベルトの幅方向に移動する。この定着ベルトの幅方向に移動した潤滑剤が定着ベルトの幅方向の端部に到達すると、定着装置の外部に漏れ出る不具合が生じることがある。
これに対して、態様Aでは、含浸部材接触領域の上流側の縁部における中央部側の方が定着ベルトの移動方向下流側に位置するように傾いた形状により、含浸部材接触領域の上流側の縁部に沿って移動する潤滑剤は定着ベルトの幅方向の中央部に向けて移動する。これにより、潤滑剤が定着ベルトの幅方向の端部側に向かって移動することを抑制し、定着ベルトの端部から外部へ潤滑剤が漏れ出すことを抑制することが可能となる。
(態様B)
態様Aにおいて、摺動シート接触領域28a等の含浸部材接触領域は、定着ベルト21等の定着ベルトの移動方向の長さが定着ベルトの幅方向の中央部よりも両端部の方が長い。
これによれば、上記実施例1について説明したように、含浸部材接触領域の上流側の縁部における中央部側の方が定着ベルトの移動方向下流側に位置するように傾いた形状を形成することが可能となる。
さらに、摺動シート28等の潤滑剤含浸部材の含浸部材接触領域における定着ベルトの幅方向の端部近傍での潤滑剤80等の潤滑剤の保持能力を中央部よりも高めることができる。これにより、定着ベルトの幅方向の端部近傍に到達した潤滑剤が定着ベルトの端部から外部へ漏れ出すことを抑制することが可能となる。
(態様C)
態様AまたはBにおいて、摺動シート28等の潤滑剤含浸部材は、ニップ部N等のニップ部における定着ベルト21等の定着ベルトの内周面に接触するようにニップ形成部材24等のニップ形成部材の表面に設けられており、定着ベルトの移動方向について、摺動シート接触領域28a等の含浸部材接触領域の上流側の縁部(接触領域上流側縁部28e等)は、ニップ部の上流側の縁部(ニップ上流側縁部NE等)よりも上流側に位置し、ニップ部における定着ベルトの移動方向の中央部から含浸部材接触領域の上流側の縁部までの距離が、定着ベルトの幅方向の両端部側よりも中央部側の方が短い部分を備える。
これによれば、上記実施例1について説明したように、含浸部材接触領域の上流側の縁部における中央部側の方が定着ベルトの移動方向下流側に位置するように傾いた形状を形成することができる。
(態様D)
態様A乃至Cの何れかの態様において、摺動シート接触領域28a等の含浸部材接触領域の定着ベルト21等の定着ベルトの移動方向上流側の縁部(接触領域上流側縁部28e等)が、定着ベルトの幅方向の両端部から中央部に向かって徐々に定着ベルトの移動方向下流側に位置する形状である。
これによれば、上記実施例1について説明したように、含浸部材接触領域の上流側の縁部の全体が、潤滑剤80等の潤滑剤を定着ベルトの幅方向の中央部に向けて移動させることができる。これにより、潤滑剤が定着ベルトの端部から定着装置の外部へ漏れ出すことを抑制することが可能となる。
(態様E)
態様A乃至Dの何れかの態様において、摺動シート接触領域28a等の含浸部材接触領域の定着ベルト21等の定着ベルトの移動方向上流側の縁部(接触領域上流側縁部28e等)が、定着ベルトの幅方向の一方の端部から他方の端部の間で、定着ベルトの移動方向の上流側となる部分と、下流側となる部分とを繰り返す。
これによれば、上記実施例2について説明したように、含浸部材接触領域の上流側の縁部における中央部側の方が定着ベルトの移動方向下流側に位置するように傾いた形状を複数形成することができる。これにより、含浸部材接触領域の上流側の縁部における潤滑剤80等の潤滑剤が溜まる箇所が分散されるため、摺動シート28等の潤滑剤含浸部材が定着ベルトの幅方向に渡って万遍なく潤滑剤を保持することが可能となり、摺動性の向上を図ることができる。
(態様F)
態様A乃至Eの何れかの態様において、摺動シート28等の潤滑剤含浸部材は、ニップ部N等のニップ部における定着ベルト21等の定着ベルトの内周面に接触するようにニップ形成部材24等のニップ形成部材の表面に設けられており、摺動シート接触領域28a等の含浸部材接触領域の面積が、ニップ部の面積よりも広い。
これによれば、上記実施例1について説明したように、ニップ部で押し出された潤滑剤80等の潤滑剤をニップ部の外側となる含浸部材接触領域で吸収し、保持することが可能となる。さらに、ニップ部以外の定着ベルトの内周面に対して潤滑剤含浸部材から潤滑剤を供給することが可能となる。
(態様G)
態様A乃至Fの何れかの態様において、定着ベルト21等の定着ベルトの移動方向についてのニップ部N等のニップ部の長さ(ニップ幅)が、定着ベルトの幅方向の両端部から中央部に向かって徐々に短くなっていくように構成されている。
これによれば、上記実施例1について説明したように、ニップ上流側縁部NE等のニップ部の上流側の縁部がベルト幅方向の中央部に向かって傾斜する形状となる。これにより、ニップ部の上流側の縁部でも定着ベルトの幅方向の中央部に向かって潤滑剤80等の潤滑剤を移動させることができる。このため、定着ベルトの幅方向の端部から定着装置の外部へ潤滑剤が漏れ出ることをより効果的に抑制することが可能となる。
(態様H)
態様A乃至Gの何れかの態様において、定着ベルト21等の定着ベルトの幅方向における長さについて、摺動シート接触領域28a等の含浸部材接触領域は、定着ベルトよりも短く、加圧ローラ22等の加圧部材よりも長い。
これによれば、上記実施例1について説明したように、摺動負荷が高くなるニップ部N等のニップ部に、潤滑剤80等の潤滑剤を効果的に存在させることができ、摺動負荷の上昇を抑えられる。また、摺動シート28等の潤滑剤含浸部材から定着ベルトの端部へ潤滑剤が移動して、外部への漏れ出る流路が形成されにくいようにできる。
(態様I)
感光体120等の潜像担持体と、潜像担持体上にトナー像を形成する作像部等のトナー像形成手段と、トナー像を潜像担持体上から用紙P等の記録材上に転写する転写装置71等の転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着させる定着手段と、を備えたプリンタ100等の画像形成装置において、定着手段として、態様A乃至Hのいずれかの態様に係る定着装置20等の定着装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、定着装置の長寿命化を図ることで、画像形成装置全体の長寿命化を図ることが可能となる。
3 給送ローラ
4 レジストローラ対
5 二次転写ローラ
6 光書込装置
7 排紙ローラ対
20 定着装置
21 定着ベルト
22 加圧ローラ
23 加熱装置
23A 第一ハロゲンヒータ
23B 第二ハロゲンヒータ
24 ニップ形成部材
24a 上流側突出部
24b 下流側突出部
25 ステー
26 反射部材
28 摺動シート
28a 摺動シート接触領域
28b 穴部
28e 接触領域上流側縁部
29 遮蔽部材
35 固定板
36 ネジ
48 遮蔽部
48a 第一遮蔽領域部
48b 第二遮蔽領域部
48c 第三遮蔽領域部
49 連結部
61 用紙給送装置
71 転写装置
80 潤滑剤
100 プリンタ
200 金属熱伝導体
300 熱源
451 フランジ部材
N ニップ部
NE ニップ上流側縁部
P 用紙
S 接触領域幅
特開2014−74884号公報 特開2004−286922号公報 特開2010−79309号公報 特許第2861280号 特開2007−334205号公報 特開2009−134074号公報 特許第5135994号 特許第5428402号 特開2015−111243号公報

Claims (9)

  1. 回転可能な無端状の定着ベルトと、
    前記定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、
    前記定着ベルトの外周面に接触し、前記定着ベルトを挟んで前記ニップ形成部材と当接してニップ部を形成する加圧部材と、
    前記定着ベルトの内周面に接触するように設けられ、潤滑剤を含浸する潤滑剤含浸部材と、を備えた定着装置において、
    前記潤滑剤含浸部材が前記定着ベルトの内周面に接触する含浸部材接触領域の前記定着ベルトの移動方向上流側の縁部が、前記定着ベルトの幅方向の両端部側よりも中央部側の方が前記定着ベルトの移動方向下流側に位置するように、前記定着ベルトの幅方向に対して傾いた形状を有することを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1の定着装置において、
    前記含浸部材接触領域は、前記定着ベルトの移動方向の長さが前記定着ベルトの幅方向の中央部よりも両端部の方が長いことを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1または2の定着装置において、
    前記潤滑剤含浸部材は、前記ニップ部における前記定着ベルトの内周面に接触するように前記ニップ形成部材の表面に設けられており、
    前記定着ベルトの移動方向について、前記含浸部材接触領域の上流側の縁部は、前記ニップ部の上流側の縁部よりも上流側に位置し、
    前記ニップ部における前記定着ベルトの移動方向の中央部から前記含浸部材接触領域の上流側の縁部までの距離が、前記定着ベルトの幅方向の両端部側よりも中央部側の方が短い部分を備えることを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の定着装置において、
    前記含浸部材接触領域の前記定着ベルトの移動方向上流側の縁部が、前記定着ベルトの幅方向の両端部から中央部に向かって徐々に前記定着ベルトの移動方向下流側に位置することを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載の定着装置において、
    前記含浸部材接触領域の前記定着ベルトの移動方向上流側の縁部が、前記定着ベルトの幅方向の一方の端部から他方の端部の間で、前記定着ベルトの移動方向の上流側となる部分と、下流側となる部分とを繰り返すことを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の定着装置において、
    前記潤滑剤含浸部材は、前記ニップ部における前記定着ベルトの内周面に接触するように前記ニップ形成部材の表面に設けられており、
    前記含浸部材接触領域の面積が、前記ニップ部の面積よりも広いことを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の定着装置において、
    前記定着ベルトの移動方向についての前記ニップ部の長さが、前記定着ベルトの幅方向の両端部から中央部に向かって徐々に短くなっていくように構成されていることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の定着装置において、
    前記定着ベルトの幅方向における長さについて、前記含浸部材接触領域は、前記定着ベルトよりも短く、前記加圧部材よりも長いことを特徴とする定着装置。
  9. 潜像担持体と、
    潜像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像を前記潜像担持体上から記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を該記録材に定着させる定着手段と、を備えた画像形成装置において、
    前記定着手段として、請求項1乃至7の何れかに記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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