〔実施形態1−1〕
以下、本発明の実施の形態について、図1から図4に基づいて詳細に説明する。まず、本実施形態に係る制御システム1(制御システム)について、従来までの制御システムに係る技術および該従来までの制御システムに係る技術の課題について、確認しておく。
(本発明の背景)
空調機、除湿機および空気清浄機を含む空気調和機は、室温、湿度、空気清浄度および気流などの居住環境を、ユーザの好み(ユーザの設定する動作条件・動作設定)に応じて調節することができる居住環境調節装置(以下、居住環境制御機器という)である。また、照明器具も、照度および色味などの居住環境を、ユーザの好みに応じて調節することができる居住環境制御機器である。さらに、テレビまたはラジオのような視聴覚機器も、居住空間の快適性に影響を与える画像または音声を提供するので、居住環境制御機器に含まれる。なお、上記動作条件(動作設定)には、居住環境制御機器の稼働時間の長さ、オン時刻およびオフ時刻なども含まれる。
ここで、ユーザは一般に、希望する動作設定に従って従来の居住環境制御機器を動作させるには、複数のユーザ操作を従来の居住環境制御機器に与えなければならなかった。例えば、エアコン等の居住環境制御機器について、ユーザは、設定温度、風量、風向等の複数の動作設定の各々を指定して該複数の動作設定の各々に従ってエアコンを動作させようとする場合、該複数の動作設定の各々に対応するボタン等を操作しなければならなかった。そのため、例えば子供の居る家庭において、子供が設定温度、風量、風向等の複数の動作設定の各々を変更してしまった場合、両親は、自分の希望する設定温度、風量、風向等に従ってエアコンを動作させようとすると、設定温度、風量、風向等の複数の動作設定の各々に対応するボタン等を操作しなければならなかった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされ、居住環境制御機器の動作設定に関するユーザの操作を簡略化する制御技術を提供する。
(本発明の要旨)
本発明の要旨を最初に確認する。制御システム1に係るリモートコントローラ10(制御装置:以下、リモコン10と呼ぶ)は、ユーザからの所定の簡易な1つの操作のみを受け付けることによって、エアコンディショナ20(居住環境制御機器:以下、エアコン20と呼ぶ)を動作設定(例えば、設定温度、風量、風向等の複数の動作設定)に従って動作させることができる。また、リモコン10は、ユーザからの所定の簡易な1つの操作のみを受け付けることによって、エアコン20についての、お好みの動作設定(例えば、設定温度、風量、風向等の複数の動作設定)を記憶させることができる。以下、リモコン10およびエアコン20を含む制御システム1について、その概要を、図1を用いて説明する。
(本発明に係る制御システムの概要)
図1は、制御システム1のリモコン10およびエアコン20の要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、制御システム1は、リモコン10およびエアコン20を含み、リモコン10とエアコン20とは、任意の通信方式に基づいて通信する。リモコン10とエアコン20とは、例えば、IrSimple(登録商標)のような高速赤外線通信、または、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)のような近距離用無線通信などの各種無線通信方式に基づいて通信してもよい。また、リモコン10とエアコン20とは、LANケーブルおよびルーター等を介して有線接続されてもよい。
エアコン20は、リモコン10から受信した動作設定等に従って、例えば、室内の温度、風向、風量等の、室内の居住環境を制御する居住環境制御機器である。エアコン20は、さらに、動作設定等に従って室内の湿度等を制御できてもよい。動作設定とは、例えば、エアコン20については、運転モード(冷房・除湿・暖房など)、設定温度、風向、風量等であり、エアコン20の実行する動作の内容(動作条件)を定義しており、エアコン20は、該動作設定に従って動作する。
なお、以下では説明の便宜のため、リモコン10によって動作を制御される居住環境制御機器がエアコン20である例を中心に説明を行うが、リモコン10によって動作を制御される居住環境制御機器がエアコン20であることは必須ではない。リモコン10は、加湿空気清浄機、照明機器、テレビ等の居住環境制御機器を制御できてもよい。例えば、リモコン10は、加湿空気清浄機を、運転モード(加湿・除菌・空気清浄・除湿等)毎の、設定湿度等の動作設定に従って動作させてもよい。また、リモコン10は、照明を、色調および明るさ等についての動作設定に従って動作させてもよいし、テレビを、音量等についての動作設定に従って動作させてもよい。
(リモコンおよびエアコンの詳細)
リモコン10およびエアコン20について、次に詳細を説明していく。なお、本実施の形態に直接関係のない部分(例えば、リモコン10について、動作設定等に係る情報を表示する表示部、および、エアコン20について、吸気、送風、および送風する空気の温度の調整等を実現する部分など)については、上記ブロック図から省略している。
図1に示すように、エアコン20は、被制御装置通信部21および被制御装置処理実行部22を備え、リモコン10から受信した動作設定に従って、エアコン20の設置されている部屋の温度等の居住環境を制御する。被制御装置通信部21は、リモコン10から、動作設定に係る情報(動作設定情報)を受信し、受信した動作設定情報を被制御装置処理実行部22に通知する。また、被制御装置通信部21は、被制御装置処理実行部22から、エアコン20の動作状態(つまり、被制御装置処理実行部22の実行している処理の状態)に係る情報(動作状態情報)を取得し、取得した動作状態情報をリモコン10に送信する。動作状態情報には、「エアコン20が動作中であるか、停止中であるか」の情報に加え、エアコン20が動作中である場合、動作中のエアコン20が従っている動作設定に係る情報が含まれる。
被制御装置処理実行部22は、被制御装置通信部21がリモコン10から受信した動作設定情報に含まれる動作設定に従って、所定の処理を実行する。例えば、「運転モード:暖房、設定温度:22度、風量:自動」との動作設定を含む動作設定情報を被制御装置通信部21から通知された被制御装置処理実行部22は、「設定温度:22度」で、「風量:自動」として、暖房運転を実行する。
リモコン10は、制御部100、受付部200、記憶部300、および通信部400を備えており、ユーザ操作を受け付けると、該ユーザ操作に対応する処理をエアコン20に実行させ、特に、ユーザの設定した動作設定に従ってエアコン20を動作させる。
通信部400は、上記動作設定情報、該動作設定に従って動作する(運転する)ことを指示する動作指示、および動作を停止することを指示する停止指示等をエアコン20に送信する。また、通信部400は、エアコン20の上記動作状態情報をエアコン20から受信し、受信した動作状態情報を動作状態取得部120および動作設定取得部153に通知する。
受付部200は、エアコン20の動作(運転)に係るユーザ操作を受け付ける。受付部200は、例えば、ユーザの押下操作を受け付けるボタンであり、動作設定ボタン210と、動作指示ボタン220と、を含んでいる。
動作設定ボタン210は、エアコン20の従う、複数の動作設定(例、設定温度、上下風向、風量、および左右風向等)の各々に係るユーザ操作等を受け付ける。動作設定ボタン210は、複数の動作設定の各々に対応した複数の動作設定ボタン210a、210b等を含む。
動作指示ボタン220は、例えば、所定の運転モード(冷房モード、除湿モード、暖房モード)ごとの動作を指示する動作指示ボタン220p、220q等(冷房キー、除湿キー、暖房キー)を含む。ただし、動作指示ボタン220は、第1ユーザ操作と第2ユーザ操作との2種類の操作を受け付ける。第1ユーザ操作と第2ユーザ操作とでは、ユーザによる操作の仕方が異なっている。一例として、第1ユーザ操作はボタンの長押しであり、第2ユーザ操作は通常のボタン操作である。また、第1ユーザ操作には、ユーザのお好みの動作設定に係る少なくとも1つの情報をお好み動作設定テーブル320(後述)から読み出す処理が対応付けられている。第2ユーザ操作には、エアコン20を所定の運転モードにおいて動作させるための動作設定を行う処理が対応付けられている。ユーザのお好みの動作設定を表す情報を、以下ではお好み動作設定情報と呼ぶ。
なお、第1ユーザ操作には、お好み動作設定テーブル320から、複数の動作設定(例、設定温度、上下風向、風量、および左右風向等)に係るお好み動作設定情報を一括して読み出す処理が対応付けられていてもよい。さらに、第1ユーザ操作には、お好み動作設定テーブル320に上記お好み動作設定情報を一括して格納する処理が対応付けられていてもよい。以下、受付部200の具体例を、図2を用いて説明する。
図2は、リモコン10の外観の概要を示す図である。図2の(a)は、個々の動作設定に係るユーザ操作を受け付ける動作設定ボタン210の配置領域をカバー500が覆っている状態のリモコン10の外観を示す図である。図2の(b)は、カバー500が取り外された状態のリモコン10の外観を示す図である。
図2に示すように、動作設定ボタン210は、例えば、エアコン20の設定温度、自動運転開始時刻(オンタイマー時刻)、および自動運転終了時刻(オフタイマー時刻)等の動作設定を、所定の単位で増加させ、または減少させるための操作を受け付ける動作設定ボタン210dおよび動作設定ボタン210eを含む。また、図2の(b)において、動作設定ボタン210aは、「動作設定:上下風向」に係るユーザ操作を受け付け、動作設定ボタン210bは、「動作設定:風量」に係るユーザ操作を受け付け、動作設定ボタン210cは、「動作設定:左右風向」に係るユーザ操作を受け付ける。
動作指示ボタン220は、エアコン20に動作の停止を指示するための動作指示ボタン220xを含む。また、図2の(a)において、動作指示ボタン220pは、上記冷房キーであり、動作指示ボタン220qは、上記除湿キーであり、動作指示ボタン220rは、上記暖房キーである。さらに、動作指示ボタン220sは、エアコン20の自動運転終了時刻(オフタイマー時刻)を設定するためのオフタイマーキーであり、動作指示ボタン220tは、自動運転開始時刻(オンタイマー時刻)を設定するためのオンタイマーキーである。
なお、以下では、オフタイマーキーおよびオンタイマーキーが、各々、動作指示ボタン220sおよび220tであるとして説明を行う。しかしながら、オフタイマーキーおよびオンタイマーキーの各々を動作設定ボタン210のグループに含めてもよい。
(リモコンの制御ブロック)
制御部100は、リモコン10の機能を統括して制御するものである。制御部100には、機能ブロックとして、操作状態取得部110、動作状態取得部120、操作判定部130、ユーザ操作処理部140、および処理実行部150が含まれている。上述した制御部100の各機能ブロックは、例えば、CPU(central processing unit)などが、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)等で実現された記憶装置(記憶部300)に記憶されているプログラムを不図示のRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。
操作状態取得部110は、受付部200が受け付けたユーザ操作の状態に係る情報(操作状態情報)を受付部200から取得し、取得した操作状態情報を操作判定部130に通知する。操作状態情報とは、例えば、受付部200の受け付けたユーザ操作が押下操作であれば、押下時間である。また、受付部200が例えばタッチパネルであれば、受付部200が受け付けたタッチ操作の軌跡(タッチ位置の軌跡)であってもよいし、受付部200が例えば加速度センサ等を備えていれば、リモコン10を持つ手を所定の動作で動かすユーザ操作であってもよい。
動作状態取得部120は、前記動作状態情報を通信部400から取得する。そして、動作状態取得部120は、取得した動作状態情報を操作判定部130に通知する。
操作判定部130は、操作判定基準テーブル310を参照して、受付部200の受け付けたユーザ操作に対応する処理を決定する。具体的には、操作判定部130は、操作状態取得部110から取得する操作状態情報を用いて、受付部200の受け付けたユーザ操作が、第1ユーザ操作であるか、または第2ユーザ操作であるかを判定する。また、操作判定部130は、動作状態取得部120から取得する動作状態情報を用いて、エアコン20が運転中であるか停止中であるかを判定する。そして、操作判定部130は、受付部200の受け付けたユーザ操作に係る判定結果と、エアコン20の動作状態に係る判定結果との組合せに対応する処理を、操作判定基準テーブル310を参照して、決定する。操作判定部130は、決定した処理をユーザ操作処理部140に通知する。
ユーザ操作処理部140は、操作判定部130から通知された処理を実行するものであり、例えば、読み出し処理部141、第2ユーザ操作処理部142、および格納処理部143を含んでいる。
読み出し処理部141は、動作指示ボタン220の受け付けた第1ユーザ操作に対応する処理を実行する。具体的には、読み出し処理部141は、操作判定部130からの通知に基づいて、お好み動作設定テーブル320を参照して、動作指示ボタン220の受け付けた第1ユーザ操作に対応する動作設定情報(例えば、上記お好み動作設定情報)を読み出す。読み出し処理部141は、ユーザ操作を受け付けた動作指示ボタン220に対応付けられている運転モード毎の、複数の動作設定(例、設定温度、上下風向、風量、および左右風向等)を一括して読み出してもよい。例えば、冷房キー(動作指示ボタン220p)がユーザ操作を受け付けた場合、「運転モード:冷房」に係る複数の動作設定を一括して読み出し、除湿キー(動作指示ボタン220q)がユーザ操作を受け付けた場合、「運転モード:除湿」に係る複数の動作設定を一括して読み出し、暖房キー(動作指示ボタン220r)がユーザ操作を受け付けた場合、「運転モード:暖房」に係る複数の動作設定を一括して読み出してもよい。また、読み出し処理部141は、操作判定部130からの通知に基づいて、オンオフタイム設定テーブル330を参照して、動作指示ボタン220の受け付けた第1ユーザ操作に対応する動作設定情報(例えば、お好みオフタイマー時刻またはお好みオンタイマー時刻に係る情報)を読み出す。そして、読み出し処理部141は、読み出した動作設定情報に係る動作設定を、動作設定指示部151に通知する。
第2ユーザ操作処理部142は、動作指示ボタン220の受け付けた第2ユーザ操作に対応する処理を実行する。例えば、第2ユーザ操作処理部142は、操作判定部130からの通知に基づいて、第2ユーザ操作を受け付けた動作指示ボタン220に対応付けられている運転モードでエアコン20を動作させ(運転を開始させ)、または停止させる指示を生成する。例えば、冷房キーが第2ユーザ操作を受け付けたことを通知されると、第2ユーザ操作処理部142は、「運転モード:冷房」において、動作設定に従ってエアコン20を動作させる指示を生成する。第2ユーザ操作処理部142は、生成した指示を動作指示部152に通知する。
格納処理部143は、操作判定部130からの通知に基づいて、エアコン20の動作状態情報を、お好み動作設定テーブル320に格納する。すなわち、格納処理部143は、動作状態情報を、動作設定取得部153から取得する。そして、格納処理部143は、取得した動作状態情報を、お好み動作設定テーブル320に格納する。また、格納処理部143は、オンオフタイム設定テーブル330を参照して、現在設定されているオフタイマー時刻(現在オフタイム)または現在設定されているオンタイマー時刻(現在オンタイム)を、「現在オフタイム」(または「現在オンタイム」)の項目に格納する。
処理実行部150は、ユーザ操作処理部140と連携して受付部200が受け付けたユーザ操作に対応する処理を実行するものであり、動作設定指示部151と、動作指示部152と、動作設定取得部153と、を含む。
動作設定指示部151は、ユーザ操作処理部140(読み出し処理部141)がお好み動作設定テーブル320を参照して読み出した情報(例、お好み動作設定情報)で表される動作設定従って動作するように、エアコン20に指示する。
動作指示部152は、第2ユーザ操作処理部142から通知された指示を、通信部400を介して、エアコン20に送信する。なお、第2ユーザ操作処理部142および動作指示部152の実行する処理は、従来のリモコンにおいても実行されていた処理である。例えば、冷房キー(動作指示ボタン220p)が第2ユーザ操作を受け付けた場合、第2ユーザ操作処理部142は、エアコン20を「運転モード:冷房」で動作させる指示(冷房運転開始指示)を生成し、動作指示部152は、該冷房運転開始指示を、通信部400を介して、エアコン20に送信する。
動作設定取得部153は、エアコン20の動作状態情報を通信部400から取得し、取得した動作状態情報を格納処理部143に通知する。
(リモコンに記憶されている各種データ)
記憶部300は、リモコン10が使用する各種データを格納する。記憶部300は、リモコン10(特に、制御部100)が実行する(1)制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム、および、(4)該アプリケーションプログラムを実行するときに読み出す各種データを記憶する。上記の(1)〜(4)のデータは、例えば、ROM(read only memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)、HDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置に記憶される。また、記憶部300には、図3に例示する、操作判定基準テーブル310、お好み動作設定テーブル320、およびオンオフタイム設定テーブル330が格納されている。
図3の(a)は、操作判定基準テーブル310のデータ構造および具体例を示す図である。操作判定基準テーブル310には、受付部200(特に、動作指示ボタン220)が受け付けたユーザ操作の操作状態と、エアコン20の動作状態とに対応付けられて、該ユーザ操作に対応付けられる所定の処理が格納されている。
図3の(b)は、お好み動作設定テーブル320のデータ構造および具体例を示す図である。お好み動作設定テーブル320には、運転モードごとに、ユーザがエアコン20の動作について希望する複数の動作設定に関する情報、つまり、複数のお好み動作設定情報が格納されている。
図3の(a)に例示する操作判定基準テーブル310において、「判定基準ID:01」の行に格納されているデータは、以下の内容を示している。すなわち、「場所:リビング」にある「環境制御機器:エアコン(エアコン20)」について、リモコン10の「冷房キー、または暖房キー、または除湿キー(動作指示ボタン220p、q、r)」(判定対象ボタン)が、エアコン20の運転中に(運転状態/運転モード)、「3秒以上押下」された(押下時間が所定時間以上、すなわち長押し)と判定した場合、操作判定部130は、該押下(第1ユーザ操作)に対応する処理(実行処理内容)が、長押しされた動作指示ボタン220p、q、rのいずれかに対応する運転モードについての「お好み動作設定情報の記憶」であることを決定する。
「お好み動作設定情報の記憶」とは、運転中のエアコン20が従っている動作設定(現在動作設定)を、お好み動作設定テーブル320に格納する処理である。「お好み動作設定情報の記憶」の実行を操作判定部130から通知されたユーザ操作処理部140(特に格納処理部143)は、運転中のエアコン20が従っている複数の動作設定の各々を、運転モードに応じてお好み動作設定テーブル320の対応する複数の動作設定項目(「設定温度」、「上下風向」、「風量」、「左右風向」)の各々に、一括して格納する。
例えば、運転中のエアコン20が、「運転モード:冷房」で、「設定温度:27.5度」、「上下風向:自動」、「風量:強」、「左右風向:左」という動作設定に従っているとする。この状態で、冷房キーが長押しされたと判定されると、格納処理部143は、図3の(b)に例示するお好み動作設定テーブル320に、以下の情報を格納する。すなわち、格納処理部143は、「運転モード:冷房」の「(お好み)設定温度」項目に「27.5度」を、「(お好み)上下風向」項目に「自動」を、「(お好み)風量」項目に「強」を、「(お好み)左右風向」項目に「左」を一括して格納する。なお、後述するように、現在動作設定は、リモコン10の表示部600(図2参照)に表示されている動作設定であってもよい。その場合、「お好み動作設定情報の記憶」とは、リモコン10の表示部600に表示されている動作設定(現在動作設定)に関する情報を、お好み動作設定テーブル320の対応する項目に格納する処理である。
同様に、図3の(a)の操作判定基準テーブル310において、「判定基準ID:2」の行に格納されているデータは、以下の内容を示している。すなわち、リモコン10の「冷房キー、または暖房キー、または除湿キー」(判定対象ボタン)が、エアコン20の停止中に長押しされたと判定した場合、上記実行処理内容が「お好み動作設定情報の呼出(読出)」であることを決定する。「お好み動作設定情報の呼出」とは、お好み動作設定テーブル320の複数のお好み動作設定情報の各々を一括して呼び出し、該複数のお好み動作設定情報に従ってエアコン20の運転を開始させる処理である。
例えば、お好み動作設定テーブル320において、「運転モード:冷房」について、「(お好み)設定温度:27度」、「(お好み)上下風向:上向き」、「(お好み)風量:自動」、「(お好み)左右風向:自動」という動作設定が格納されていた場合、リモコン10は以下の処理を実行する。すなわち、冷房キーが、エアコン20の停止中に、長押しされたと操作判定部130が判定した場合、読み出し処理部141は、お好み動作設定テーブル320を参照して、「運転モード:冷房」について、「(お好み)設定温度:27度」、「(お好み)上下風向:上向き」、「(お好み)風量:自動」、「(お好み)左右風向:自動」という複数の動作設定を一括して読み出す。そして、動作設定指示部151は、読み出し処理部141が読み出した上記複数の動作設定に従って動作するよう指示する信号を、通信部400を介してエアコン20に送信する。
以上の処理において、操作判定基準テーブル310で設定している「判定基準ID」と、お好み動作設定テーブル320で設定している「お好みID」とは、次のように設定することが好ましい。すなわち、図3の(a)に示す操作判定基準テーブル310では、複数の「運転モード」に対して1つの「判定基準ID」を付与しているが、「運転モード」の種別ごとに「判定基準ID」を付与する。そして、「運転モード」の種別ごとに付与した「判定基準ID」に対応付けて、お好み動作設定テーブル320の「お好みID」を設定する。例えば、「場所:リビング」「環境制御機器:エアコン」「判定対象ボタン:冷房キー」「運転状態/運転モード:運転中」「押下状態:3秒以上押下」「お好み動作設定情報の記憶」の組み合わせに対して、「判定基準ID:01」を付与した場合、「判定基準ID:01」と同じ「ID:01」をお好み動作設定テーブル320の「お好みID」として設定する。
これにより、格納処理部143は、「判定基準ID:01」の実行処理内容が選択された場合に、お好み動作設定テーブル320の「ID:01」に対して、お好み動作設定情報を格納することを認識できる。お好み動作設定情報の呼出についても「判定基準ID」と「お好みID」とを同様に対応付ければよい。
なお、長押しに係る上記所定時間を実行処理内容に応じて変えてもよい。例えば、「お好み動作設定情報の呼出」に係る所定時間を、「お好み動作設定情報の記憶」に係る所定時間より短くしてもよい。これは、「お好み動作設定情報の呼出」は即応が好ましいのに対し、「お好み動作設定情報の記憶」はユーザがお好み設定の内容を確かめながら実行されることが好ましいからである。
また、図3の(a)に例示する操作判定基準テーブル310では、ユーザ操作の操作状態に係る判定項目は「押下状態」であるが、操作状態に係る判定項目はこれに限定されない。例えば、受付部200がタッチパネルの場合には、1本指または複数本指によるワンタッチまたはワンドラッグ程度の「タッチ位置の軌跡」であってもよいし、リモコン10に加速度センサを設けている場合には「リモコン10を持つ手の動作」、例えばリモコン10を一振りする動作等であってもよい。
さらに、記憶部300には、以下の情報が格納されるテーブルが用意されていてもよい。そのようなテーブルの一例は、エアコン20が運転中(動作中)の場合には、運転中のエアコン20が従っている動作設定が、「現在動作設定」として格納される現在動作設定テーブルである。エアコン20は、ある運転モードにおける運転開始を指示されると、通常は、指示された運転モードに対応する「現在動作設定」に従って動作する。
図3の(c)は、オンオフタイム設定テーブル330のデータ構造および具体例を示す図である。オンオフタイム設定テーブル330には、エアコン20のオンタイマー時刻とオフタイマー時刻とが格納されている。エアコン20は、自動運転開始または自動運転終了を指示されると、オンオフタイム設定テーブル330に格納されているオンタイマー時刻に運転を自動的に開始し、オフタイマー時刻に運転を自動的に終了する。なお、お好みオンタイムおよびお好みオフタイムとは、ユーザがお好みのオンタイマー時刻およびオフタイマー時刻として予め登録している時刻である。
エアコン20は、オンタイマー時刻およびオフタイマー時刻を特に指定されない限り、自動運転開始または自動運転終了を指示されると、お好みオンタイマー時刻に運転を自動的に開始し、お好みオフタイマー時刻に運転を自動的に終了するようにしてもよい。また、ユーザが、エアコン20の運転中または停止中に前記オンタイマーキーおよびオフタイマーキーを介して設定したオンタイマー時刻およびオフタイマー時刻を、オンオフタイム設定テーブル330に格納してもよい。そのような時刻を、図3の(c)に「現在オンタイム」および「現在オフタイム」として示す。エアコン20は、自動運転開始または自動運転終了を指示されると、通常は、「現在オンタイム」の時刻に運転を自動的に開始し、「現在オフタイム」の時刻に運転を自動的に終了する。
(リモコンの実行する処理)
図4は、リモコン10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。リモコン10の操作判定部130は、冷房キー(動作指示ボタン220p)、または暖房キー(動作指示ボタン220r)、または除湿キー(動作指示ボタン220q)に対する押下操作を受け付けたかを判定する(S100)。冷房キー、暖房キー、および除湿キー(以下、運転モードキーと呼ぶ)のいずれも押下操作を受け付けていない場合(S100でNO)、いずれかの押下操作を受け付けるまで、リモコン10は待機する。
運転モードキーに対する押下操作を受け付けた場合(S100でYES)、操作判定部130は、押下操作を受け付けたキーに対応する運転モードを特定する(S110)。例えば、冷房キーに対する押下操作を受け付けた場合、「冷房」運転を運転モードとして特定するなどである。
次に、操作判定部130は、運転モードキーに対する長押しを検知したかを判定する(S120)。操作判定部130は、長押しを検知していないと判定すると(S120でNO)、ユーザ操作処理部140に該判定結果を通知し、ユーザ操作処理部140の第2ユーザ操作処理部142は、上記現在動作設定をエアコン20に送信する(S130)。現在動作設定は、例えば、リモコン10の表示部600に表示されている動作設定であり、S110で特定された運転モードで今から運転を開始する(動作する)エアコン20が従う動作設定である。エアコン20は、S130の後、S110で特定された運転モードにおいて、S130で通知された現在動作設定に従って、運転を開始する。
操作判定部130は、運転モードキーに対する長押しを検知したと判定すると(S120でYES)、さらに、エアコン20が運転中であるかを判定する(S140)。エアコン20が運転中であると判定すると(S140でYES)、操作判定部130は、ユーザ操作処理部140に該判定結果を通知し、ユーザ操作処理部140の格納処理部143は、現在動作設定を表す情報(設定温度・風量・風向等)をお好み動作設定情報として記憶する(S150)。つまり、運転中のエアコン20が現在従っている複数の動作設定(現在動作設定)の各々に係る情報を、S110で特定された運転モードについてのお好み動作設定情報として、お好み動作設定テーブル320に一括して格納する。
一方、操作判定部130は、エアコン20が運転停止中であると判定すると(S140でNO)、ユーザ操作処理部140に該判定結果を通知する。上記判定結果を通知されると、ユーザ操作処理部140の読み出し処理部141は、記憶しているお好み動作設定情報を呼び出す。すなわち、読み出し処理部141は、お好み動作設定テーブル320を参照して、お好み動作設定情報として格納されている複数の動作設定の各々を一括して読み出す(S160)。動作設定指示部151は、読み出し処理部141が一括して呼び出した複数の動作設定の各々に従って動作することを、通信部400を介してエアコン20に指示する(S170)。以上でお好み動作設定情報に関する一連の制御が終了する。
これまでに説明したリモコン10の処理を整理すれば、以下の通りである。すなわち、リモコン10の制御方法は、動作設定に従って居住環境を制御するエアコン20を制御する制御装置の制御方法であって、エアコン20の動作に係るユーザ操作を受け付ける受付部200(例えば、動作指示ボタン220)が、所定の第1ユーザ操作を受け付けたとき、上記動作設定を表す情報を記憶する記憶部300から、上記受け付けられた上記第1ユーザ操作に応じた上記情報を読み出すユーザ操作処理ステップ(S160)と、上記ユーザ操作処理ステップにて読み出した情報で表される動作設定を、エアコン20に対して実行する動作設定ステップ(S170)と、を含んでいる。
リモコン10は、エアコン20の運転モードごとの動作指示が対応付けられている冷房キーまたは暖房キーまたは除湿キーを備えている。ここで、リモコン10の運転モードキーにユーザ操作を与えて、対応する運転モードにおいてエアコン20の運転を開始させることは、従来のリモコン(従来の制御装置)においても可能である。
しかしながら、リモコン10の運転モードキーは、運転開始指示のためのユーザ操作(第2ユーザ操作)を受け付ける上に、長押操作(第1ユーザ操作)を受け付けることができる。これにより、ユーザ操作処理部140に、対応する運転モードにおける少なくとも1つのお好み動作設定情報を読み出す処理、または記憶させる処理を実行させることができる。
〔実施形態1−2〕
本発明の他の実施形態について、図5および図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本発明の実施形態1−2に係るリモコン10は、実施形態1−1に係るリモコン10と構成は同様だが、操作判定部130が実行するお好み動作設定情報に関する処理手順が実施形態1−1とは異なる。これに伴い、操作判定基準テーブル310の内容が実施形態1−1とは異なる。なお、お好み動作設定テーブル320のデータ構造および内容も、実施形態1−1とは相違しているが、この相違点は本質的ではなく、変形例である。
図5は、実施形態1−2に係るリモコン10に記憶されている各種データのデータ構造および具体例を示す図であり、図5の(a)は、操作判定基準テーブル310のデータ構造および具体例を示す図である。図5の(a)に例示する操作判定基準テーブル310において、実施形態1−1と最も異なる点は、「押下状態」に対応づけられた「実行処理内容」である。具体的には、「判定基準ID:01」の行に示すように、リモコン10の運転モードキー(判定対象ボタン)が、エアコン20の運転中に長押しされたと判定した場合、操作判定部130は、該長押しに対応する処理が、実施形態1−1の「お好み動作設定情報の記憶」ではなく「お好み動作設定情報の呼出」であることを決定する。
また、「判定基準ID:02」の行に示すように、リモコン10の運転モードキーが、エアコン20の運転停止中に長押しされたと判定した場合、操作判定部130は、該長押しに対応する処理が、実施形態1−1の「お好み動作設定情報の呼出」ではなく「お好み動作設定情報の記憶」であることを決定する。
図5の(b)に例示するお好み動作設定テーブル320には、お好み動作設定情報に加えて、現在動作設定情報が格納されている。「お好み動作設定情報の呼出」の決定を通知された読み出し処理部141は、図5の(b)に例示するお好み動作設定テーブル320を参照して、実施形態1−1と同様に複数のお好み動作設定情報を一括して読み出す。そして、動作設定指示部151は、読み出し処理部141が読み出したお好み動作設定情報に従って動作するよう指示する信号を、通信部400を介してエアコン20に送信する。この結果、運転中のエアコン20は、現在動作設定情報に従った動作をキャンセルして、お好み動作設定情報に従って動作する。
なお、このとき、格納処理部143は、動作設定テーブル320に格納された現在動作設定情報を、お好み動作設定情報によって書き換える。すなわち、お好み動作設定テーブル320の「お好み」動作設定項目に格納されているお好み動作設定情報の各々を、お好み動作設定テーブル320の、対応する「現在」動作設定項目の各々に格納する。
また、「お好み動作設定情報の記憶」の決定を通知された格納処理部143は、お好み動作設定テーブル320の「現在」動作設定項目に格納されている現在動作設定情報の各々を、お好み動作設定テーブル320の、対応する「お好み」動作設定項目の各々に格納する。
実施形態1−2に係るリモコン10は、以上のとおり説明した図5の(a)(b)の操作判定基準テーブル310およびお好み動作設定テーブル320に格納されている情報に従って、図6に示す処理を実行する。
図6は、本発明の実施形態1−2に係るリモコン10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図6に例示するフローチャートは、図4に例示した、実施形態1−1に係るリモコン10の実行処理のフローチャートと、S100〜S130の各処理は同様であるため、その説明は省略する。
運転モードキーに対する長押しを検知したと判定すると(S120でYES)、操作判定部130はさらに、エアコン20が運転中であるかを判定する(S140)。エアコン20が運転中であると判定すると(S140でYES)、操作判定部130は、ユーザ操作処理部140に該判定結果を通知し、ユーザ操作処理部140の読み出し処理部141は、お好み動作設定テーブル320からお好み動作設定情報を呼び出す。すなわち、読み出し処理部141は、お好み動作設定テーブル320を参照して、「お好み」動作設定項目ごとに格納されている複数の動作設定の各々を一括して読み出す(S151)。動作設定指示部151は、読み出し処理部141が一括して呼び出した複数の動作設定の各々に従って動作するように、通信部400を介してエアコン20に指示する(S152)。
一方、エアコン20が運転中ではないと判定すると(S140でNO)、操作判定部130は、ユーザ操作処理部140に該判定結果を通知し、ユーザ操作処理部140の格納処理部143は、現在設定情報(設定温度・風量・風向等)をお好み動作設定情報として記憶する(S161)。つまり、格納処理部143は、お好み動作設定テーブル320の「現在」動作設定項目の各々に格納されている情報を、対応する「お好み」動作設定項目の各々に格納する。
上記の処理を実行することにより、ユーザは、エアコン20の運転中に、簡易な1つの操作のみをリモコン10に与えることにより、エアコン20にお好みの動作をさせることができる。すなわち、ユーザは、簡易な1つの操作によって、「お好み動作設定」として予め登録してある複数の動作設定を一括して呼び出し、エアコン20を、該複数の動作設定に従って動作させることができる。
〔実施形態1−3〕
本発明の他の実施形態について、図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本発明の実施形態1−3に係るリモコン10は、実施形態1−1に係るリモコン10と構成は同様である。そして、実施形態1−3に係るリモコン10は、オフタイマーキー(動作指示ボタン220s)に対する第1ユーザ操作を受け付けると、図3の(a)の操作判定基準テーブル310に格納されている情報に従って、該オフタイマーキーに対するユーザ操作に対応付けられた処理を決定する。
なお、図3の(a)の操作判定基準テーブル310における「運転状態/運転モード」項目について、「通常モード」および「時刻修正モード」とは、以下の内容を示している。すなわち、「時刻修正モード」とは、ユーザが入力するオンタイマー時刻またはオフタイマー時刻をリモコン10が受付可能なモードである。「通常モード」とは、非「時刻修正モード」であり、つまり「時刻修正モード」の以外の全てのモードである。
図7は、実施形態1−3に係るリモコン10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、処理開始時点において、リモコン10は通常モードにある。先ず、操作判定部130は、オフタイマーキーに対する押下(ユーザ操作)を検知したかを判定する(S200)。オフタイマーキーに対する押下を検知していないと判定する場合(S200でNO)、オフタイマーキーに対する押下を受け付けるまでリモコン10は待機する。
操作判定部130は、オフタイマーキーに対する押下を検知したと判定する場合(S200でYES)、さらに、オフタイマーキーに対する長押しを検知したかを判定する(S210)。読み出し処理部141は、通常モードにおいてオフタイマーキーに対する長押しを検知したと判定する場合(S210でYES)、図3の(c)に示すオンオフタイム設定テーブル330を参照して、記憶しているお好み動作設定情報(お好みオフタイム)を呼び出し、時刻修正モードに移行する(S220)。一方、読み出し処理部141は、長押しを検知していないと判定する場合(S210でNO)、オンオフタイム設定テーブル330を参照して、現在設定情報(現在オフタイム)、つまりユーザが既に登録済みのオフタイムを呼び出し、時刻修正モードに移行する(S230)。
時刻修正モードにおいて、リモコン10の表示部600には、S220で読み出された「お好みオフタイム」、または、S230で読み出された「現在オフタイム」が表示される。ユーザは、表示されている「お好みオフタイム」または「現在オフタイム」を、例えば、図2の(b)の動作設定ボタン210dおよび動作設定ボタン210eを押下して変更することができる。また、ユーザは、上記表示部600にオフタイマー時刻が表示されている状態で決定キー(動作設定ボタン210h)を押下することにより、該オフタイマー時刻に自動的に運転を終了するように、エアコン20に指示することができる。
リモコン10が時刻修正モードに遷移した後(S240)、操作判定部130は、決定キーに対する押下を検知したかを判定する(S250)。決定キーに対する押下を検知したと判定する場合(S250でYES)、リモコン10は、オフタイマー時刻設定(つまり、時刻修正モード)を終了する(S260)。すなわち、リモコン10は、例えば、表示部600に表示されているオフタイマー時刻に自動的に運転を終了するようにエアコン20に指示し、時刻修正モードを終了して通常モードに遷移する。または、リモコン10は、表示部600に表示されているオフタイマー時刻をオンオフタイム設定テーブル330の「現在オフタイム」の項目に格納し、時刻修正モードを終了して通常モードに遷移する。
操作判定部130は、決定キーに対する押下を検知していないと判定する場合(S250でNO)、リモコン10が時刻修正モードに遷移中に、ユーザによるオフタイマーキーに対する押下を検知したかを判定する(S270)。時刻修正モードにおいてオフタイマーキーに対する押下を検知していないと判定する場合(S270でNO)、リモコン10は時刻修正モードを維持する(S240)。操作判定部130は、ユーザによるオフタイマーキーに対する押下を時刻修正モードにおいて検知したと判定する場合(S270でYES)、オフタイマーキーに対する長押しを検知したかを判定する(S280)。
リモコン10が時刻修正モードに遷移している最中に、オフタイマーキーに対する長押しを検知したと判定する場合(S280でYES)、現在の設定情報(S240でユーザが修正したオフタイマー時刻)をお好み動作設定情報として記憶する(S290)。S240でユーザがオフタイマー時刻を修正した場合、格納処理部143は、オンオフタイム設定テーブル330の「現在オフタイム」を更新し、更新された「現在オフタイム」を「お好みオフタイム」の項目に格納する。また、オフタイマーキーに対する長押しを検知していないと判定する場合(S280でNO)、リモコン10は処理を終了し、例えば、時刻修正モードから通常モードに遷移する。
〔実施形態1−4〕
本発明の他の実施形態について、図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本発明の実施形態1−4に係るリモコン10は、実施形態1−1に係るリモコン10と構成は同様である。そして、実施形態1−4に係るリモコン10は、オンタイマーキー(動作指示ボタン220t)に対するユーザ操作を受け付けると、図3の(a)の操作判定基準テーブル310に格納されているデータに従って、該オンタイマーキーに対するユーザ操作に対応付けられる処理を決定する。
図8は、実施形態1−4に係るリモコン10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すS300〜390の各処理は、図7に示すS200〜290の各処理と、番号の並び順に対応している。図8に示すS300〜390の各処理を実行することにより、リモコン10は、オフタイマー時刻をオンタイマー時刻に置き換えた同様の処理を実行することができる。
なお、リモコン10は、オフタイマー時刻またはオンタイマー時刻を、他の動作設定を表す情報(設定温度、上下風向、風量、左右風向等)に置き換えて、図7に示す処理と同様の処理を行うことができる。
以上に説明した処理を実行する実施形態1−3および1−4に係るリモコン10について整理すれば、以下の通りである。すなわち、実施形態1−3および1−4に係るリモコン10の受付部200は、動作指示ボタン220等の複数のボタン(受付部)を含み、上記動作設定を表す情報は、複数の各種設定(例、設定温度またはオンオフタイマー時刻など)を表す情報を含み、受付部200の少なくとも一部(例、温度設定キーまたはオンオフタイマーキなど)は、上記各種設定別に設けられ、記憶部300は、上記各種設定を表す情報の各々を記憶するお好み動作設定テーブル320またはオンオフタイム設定テーブル330(複数の記憶領域)を備え、ユーザ操作処理部140は、上記各種設定別に設けられた受付部200のいずれか1つが上記第1ユーザ操作を受け付けたとき、その第1ユーザ操作を受け付けた受付部200に対応する上記各種設定の1つに応じた上記情報(例、設定温度に係る情報、風量に係る情報、タイマー時刻に係る情報等)を、上記記憶領域から読み出す。
上記の構成によれば、実施形態1−3に係るリモコン10は、エアコン20の動作に関する各種設定別に設けられた複数の受付部200のいずれか1つが、上記第1ユーザ操作を受け付けると、第1ユーザ操作を受け付けた受付部200の種類に対応する情報を読み出す。したがって、ユーザは、希望する設定に対応する受付部200に対して上記第1ユーザ操作のみを与えることにより、上記記憶領域から希望する設定の情報を呼び出させ、呼び出した情報に従って、エアコン20を動作させることができる。
〔変形例1−1〕
上述までの例では、リモコン10が記憶部300を備えているものとして説明を行なってきた。しかしながら、リモコン10が記憶部300を備えていることは必須ではない。すなわち、リモコン10は、操作判定基準テーブル310、お好み動作設定テーブル320、およびオンオフタイム設定テーブル330をエアコン20またはサーバコンピュータ等の外部メモリに格納し、外部メモリに記憶されているお好み動作設定情報等を呼び出してもよい。
また、リモコン10は、エアコン20専用の制御装置ではなく、リモコンアプリをダウンロードすること等によって、リモコン10として動作可能なスマートフォン等の携帯端末であってもよい。
なお、リモコン10の制御ブロック(特に操作状態取得部110、動作状態取得部120、操作判定部130、ユーザ操作処理部140、および処理実行部150)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、リモコン10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録された記録媒体などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ1〕
本発明の態様1に係る制御装置(リモコン10)は、動作設定に従って居住環境を制御する居住環境制御機器(エアコン20)を制御する制御装置であって、上記居住環境制御機器の動作に係るユーザ操作を受け付ける受付部(200)(例えば、動作指示ボタン220)と、上記受付部が所定の第1ユーザ操作を受け付けたとき、上記動作設定を表す情報を記憶する記憶部(300)から、上記受け付けられた上記第1ユーザ操作に応じた上記情報を読み出すユーザ操作処理部(140)と、上記ユーザ操作処理部が読み出した情報で表される動作設定を、上記居住環境制御機器に対して実行する動作設定部(動作設定指示部151)と、を備えている。
上記の構成によれば、上記制御装置は、受付部が所定の第1ユーザ操作を受け付けると、上記動作設定に関する情報を記憶した記憶部から第1ユーザ操作に応じた情報を読み出し、読み出した情報で表される動作設定を、上記居住環境制御機器に対して実行することができる。
したがって、ユーザは、上記受付部に対して上記所定の第1ユーザ操作のみを与えることにより、その第1ユーザ操作に対応する動作設定に従って、上記居住環境制御機器を動作させることができる。
なお、上記制御装置は、動作設定に従って居住環境を制御する居住環境制御機器を制御する制御装置であって、上記居住環境制御機器を所定の動作モードで動作させるユーザ操作を受け付ける受付部と、上記受付部が所定の第1ユーザ操作を受け付けたとき、上記所定の動作モードに関する動作設定を表す情報を記憶する記憶部から、上記受け付けられた上記第1ユーザ操作に応じた上記情報を読み出すユーザ操作処理部と、上記ユーザ操作処理部が読み出した情報で表される動作設定を、上記居住環境制御機器に対して実行する動作設定部と、を備えていてもよい。
本発明の態様2に係る制御装置は、上記態様1において、上記受付部(動作指示ボタン220)は、上記第1ユーザ操作を受け付け可能であるとともに、上記第1ユーザ操作と異なる所定の第2ユーザ操作を受け付け可能であり、上記第2ユーザ操作は、上記居住環境制御機器の動作設定を行うための操作(例えば、暖房運転モードまたは冷房運転モードのような所定の運転モードでエアコン20を動作させる操作、あるいは、温度、風量またはタイマーのような動作設定を個別に入力する操作などを含む)であってもよい。
上記の構成によれば、上記受付部は、動作設定の情報を記憶部から呼び出すための第1ユーザ操作と、居住環境制御機器の動作設定を行うための第2ユーザ操作との2種類の操作を受け付け可能になっている。したがって、上記制御装置は、上記第1ユーザ操作を受け付けるための新たな受付部を特設することなく、第2ユーザ操作を受け付ける既存の受付部を介して、動作設定を表す情報を記憶部から読み出すことができる。
本発明の態様3に係る制御装置は、上記態様1または態様2において、上記受付部を含む複数の受付部(動作指示ボタン220p、220q等)を備え、上記複数の受付部の少なくとも一部(例、冷房キー、除湿キー、暖房キー、オンオフタイマーキー)は、上記居住環境制御機器の運転モード(例、冷房運転モード、除湿運転モード、暖房運転モード、自動オンモード、自動オフモード)の種別に応じて設けられ、上記動作設定を表す情報は、運転モードの種別毎に複数の各種設定(例、設定温度、上下風向、風量、左右風向、オン時刻、オフ時刻)を表す情報を含み、上記記憶部は、上記各種設定を表す情報を上記運転モードの種別毎に記憶する複数の記憶領域を備え、上記ユーザ操作処理部は、上記運転モードの種別に応じて設けられた上記受付部のいずれか1つが上記第1ユーザ操作を受け付けたとき、その第1ユーザ操作を受け付けた受付部の運転モードに対応する上記各種設定を表す情報を、上記記憶領域から読み出してもよい。
上記の構成によれば、上記制御装置は、運転モードの種別に応じて設けられた受付部のいずれか1つが、上記第1ユーザ操作を受け付けると、第1ユーザ操作を受け付けた受付部の運転モードに対応する上記各種設定を表す情報を読み出す。したがって、ユーザは、希望する運転モードに対応する受付部に対して上記第1ユーザ操作のみを与えることにより、上記記憶部から上記各種設定を表す情報を呼び出させ、呼び出した情報が表す各種設定に従って、上記居住環境制御機器を動作させることができる。
本発明の態様4に係る制御装置は、上記態様1または態様2において、上記受付部を含む複数の受付部を備え、上記動作設定を表す情報は、複数の各種設定(例、設定温度、風量、タイマー時刻)を表す情報を含み、上記複数の受付部の少なくとも一部(例、温度設定キー、風量設定キー、オンオフタイマーキー)は、上記各種設定別に設けられ、上記記憶部は、上記各種設定を表す情報の各々を記憶する複数の記憶領域を備え、上記ユーザ操作処理部は、上記各種設定別に設けられた上記受付部のいずれか1つが上記第1ユーザ操作を受け付けたとき、その第1ユーザ操作を受け付けた受付部に対応する上記各種設定の1つに応じた上記情報を、上記記憶領域から読み出してもよい。
上記の構成によれば、上記制御装置は、上記居住環境制御機器の動作に関する各種設定(例えば、オンオフ時刻、設定温度、風量、風向など)別に設けられた複数の受付部のいずれか1つが、上記第1ユーザ操作を受け付けると、第1ユーザ操作を受け付けた受付部の種類に対応する情報を読み出す。したがって、ユーザは、希望する設定に対応する受付部に対して上記第1ユーザ操作のみを与えることにより、上記記憶領域から希望する設定の情報を呼び出させ、呼び出した情報に従って、上記居住環境制御機器を動作させることができる。
本発明の態様5に係る制御装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、上記ユーザ操作処理部は、上記居住環境制御機器の停止中に、上記受付部が上記第1ユーザ操作を受け付けたとき、上記記憶部から上記情報を読み出す一方、上記居住環境制御機器の動作中に、上記受付部が上記第1ユーザ操作を受け付けたとき、そのとき実行中の動作設定を表す情報を上記記憶部に書き込んでもよい。
上記の構成によれば、上記制御装置は、上記居住環境制御機器の停止中に上記第1ユーザ操作が実行された場合に、上記記憶部から上記情報を読み出す一方、上記居住環境制御機器の動作中に上記第1ユーザ操作が実行された場合に、そのとき実行中の動作設定に関する情報を上記記憶部に書き込む。したがって、ユーザは、第1ユーザ操作のみを上記受付部に与えることにより、上記動作設定に関する情報を上記記憶部から読み出させ、または、上記動作設定に関する情報を上記記憶部に書き込ませることが可能となる。
本発明の態様6に係る制御装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて、
上記第1ユーザ操作は、上記受付部に対する押下時間が所定時間(例、3秒)以上であるユーザ操作であってもよい。
上記の構成によれば、押下時間が所定時間以上であるユーザ操作、すなわち、長押しという簡単なユーザ操作を上記受付部に対して与えるだけで、以上説明した作用効果を得ることができる。
本発明の態様7に係る制御装置(リモコン10)の制御方法は、動作設定に従って居住環境を制御する居住環境制御機器(エアコン20)を制御する制御装置の制御方法であって、上記居住環境制御機器の動作に係るユーザ操作を受け付ける受付部(200)(例えば、動作指示ボタン220)が、所定の第1ユーザ操作を受け付けたとき、上記動作設定を表す情報を記憶する記憶部から、上記受け付けられた上記第1ユーザ操作に応じた上記情報を読み出すユーザ操作処理ステップ(S160)と、上記ユーザ操作処理ステップにて読み出した情報で表される動作設定を、上記居住環境制御機器に対して実行する動作設定ステップ(S170)と、を含んでいる。
上記の制御方法によれば、態様1に係る制御装置と同様の作用効果を奏する。
本発明の各態様に係る制御装置(リモコン10)は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記制御装置をコンピュータにて実現させる制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。さらに、態様1〜6に係る制御装置を備えた居住環境制御機器も、本発明の範疇に入る。
〔実施形態2−1〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(本発明の背景)
本発明は、少なくとも暖房機能を備えた空気調和機における予熱運転の制御に関する。このような空気調和機では、完全に停止した状態から暖房運転を開始しようとすると、コンプレッサが冷え切っているために、暖房運転を速やかに開始することができない。そこでまず、コンプレッサを温める程度の大きさの電流でコンプレッサを駆動する予熱運転を行う。これにより、暖房運転の立ち上がりを速めることができる。
ただし、暖房運転の開始時刻をタイマーで設定しない場合には、ユーザがいつ暖房運転開始を指示するかわからないので、従来機は1日中予熱運転を行っていた。その予熱運転は連続ではなく、例えば1時間予熱運転し、30分インターバルを置くといった制御を繰り返す。これにより、いつからでも、暖房運転が早く立ち上がることになる。しかし、この繰り返される予熱運転のうち本当に必要な予熱運転は、暖房運転開始時刻の1時間から1時間半前に実施される予熱運転である。このため、従来機では、必要以上に運転コストが高くなるという問題がある。また、たまたま30分のインターバルの終わり頃にユーザが暖房運転開始を指示した場合には、予熱が不十分になるため暖房運転の速やかな開始に支障が起きてしまう。
本発明は上記の問題に鑑みてなされ、ユーザの暖房運転の習慣に合わせて必要な予熱運転のみが自動的に実行され、そのためのユーザ操作を不要にする制御技術を提供する。
(予熱運転制御の概要)
図9は、本実施形態の予熱運転開始制御の概要を示すフローチャートである。予熱運転開始時刻Tpと、予熱運転開始時刻Tpを算出するための基準時刻Tmとは、後述する算出方法によって既に算出され、空気調和機の記憶部に記憶されているとする。なお、基準時刻Tmは暖房運転開始時刻Tcに基づいて設定される。
空気調和機の電源がオンになると予熱運転開始制御のフローが立ち上がり、暖房運転が開始されたかどうかが判定される(ステップ100;以下S100のように略記)。暖房運転が開始されると、暖房運転開始時刻Tcが予め設定された所定の時間帯(例えば午前4時〜8時)に含まれているかどうかが判定される(S101)。暖房運転開始時刻Tcが所定の時間帯外であれば(S101でNO)、例外的な暖房運転が開始されたことになるので予熱運転開始制御を終了し、既に記憶されている基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpを変化させない。一方、暖房運転開始時刻Tcが所定の時間帯内であれば(S101でYES)、習慣的な暖房運転が開始されたことになるので、次に暖房運転開始時刻Tcが変動したかどうかが判定される(S102)。なお、S102では、Tcの変動量に閾値を設けて、些細な変動は無視し、実質的な変動を検出するようにしてもよい。
S102で、暖房運転開始時刻Tcが変動していないと判定された場合(S102でNO)、予熱運転開始時刻Tpを変える必要が無いので、予熱運転開始制御を終了する。一方、S102で、暖房運転開始時刻Tcが変動したと判定された場合(S102でYES)、暖房運転開始時刻Tcの変化を表す変動量(プラスの変動量またはマイナスの変動量)に応じて上記基準時刻Tmを修正する(S104)。予熱運転開始時刻Tpは、その修正を経て新たに記憶された基準時刻Tmから所定時間、例えば1時間を減じた時刻に書き換えられ(S105)、予熱運転開始制御が終了する。
このようにして、暖房運転が開始されると、次の(翌日の)暖房運転のための予熱運転開始時刻Tpが自動的に決まるので、ユーザは、予熱運転開始時刻Tpをわざわざ設定する必要が無い。また、暖房運転開始時刻Tcの変動に応じて予熱運転開始時刻Tpが修正されるので、ユーザの生活に合わせた無駄の無い予熱運転を実施することができる。
(空気調和機の構成の概要)
図10は、上述した予熱運転開始制御を実行する空気調和機1の機能的構成を示すブロック図である。空気調和機1は、主要な構成として、リモートコントローラ2と通信する通信部3、制御部4(制御装置)、空調部5、記憶部6およびタイマ部7を備えている。気温センサ部8をさらに設けてもよい。上記制御部4は、記憶部6に格納されたプログラムおよび各種設定値に従って、空気調和機1を制御する。空調部5は、空気調和機1の室内機と室外機とを連絡する冷媒管、室内機側の熱交換器、ファンおよび駆動部などと、室外機側の圧縮機、熱交換器、ファン、各種電磁弁および駆動部などを備えている。上記タイマ部7は、時間経過を計時して時間情報を出力する。上記気温センサ部8は室内温度および外気温度を検出する。
上記制御部4は、動作判定部41、動作指示部42、予熱時間判定部43、予熱時刻設定部44、変動判定部45(時間帯判定部)、基準時刻設定部46、暖房開始時刻設定部47、現在時刻取得部48、および外気温判定部49を備えている。
上記記憶部は、記憶領域として、予熱運転設定エリア6a、予熱運転時刻設定エリア6b、暖房開始時刻設定エリア6c、基準時刻設定エリア6d、各種設定エリア6e、およびプログラムエリア6fを備えている。
(空気調和機の通常動作)
上記動作判定部41は、通信部3を介してリモートコントローラ2が発した指令を受け取り、指令の内容を解析し、解析した内容に応じたプログラムをプログラムエリア6fから呼び出す。そして、動作判定部41は、解析した内容に応じたプログラムに従って各種設定エリア6eから必要な設定値等を読み出し、空調部5を動作させる指示を動作指示部42に送出する。
(基準時刻の修正動作の概要)
予熱運転開始時刻Tpは、暖房運転開始時刻Tcに基づいて設定される基準時刻Tmから算出される。基準時刻Tmは、暖房運転開始時刻Tcの変動に応じて修正される。その基準時刻Tmの修正処理を担う主たる構成は、図10に太線枠にて示すように、予熱時間判定部43、変動判定部45、基準時刻設定部46および暖房開始時刻設定部47であり、これら各部43,45〜47の処理に必要な情報は、予熱運転時刻設定エリア6b、暖房開始時刻設定エリア6cおよび基準時刻設定エリア6dに記憶される。その詳細については後述するとし、ここでは基準時刻の修正動作の概要を説明する。
基準時刻の修正動作において、まず、上記動作判定部41が、通信部3を介してリモートコントローラ2の発した暖房運転開始指令を受け取ると(前記S100)、暖房運転開始指令を受け取ったことを示す情報(A)を予熱時間判定部43と暖房開始時刻設定部47とに送出する。予熱時間判定部43は、上記情報(A)の入力に応じて、上記暖房運転開始指令が所定の時間帯(予熱運転の設定対象時間帯)内で発せられたかどうかを判定する(S101)。そのために、上記予熱運転時刻設定エリア6bには、上記所定の時間帯を示す情報(B)が記憶されている。そこで、予熱時間判定部43は、現在時刻取得部48から現在時刻Tnを取得し、現在時刻Tnと、予熱運転時刻設定エリア6bから読み出した情報(B)とを比較する。その結果、現在時刻Tnが所定の時間帯内であると予熱時間判定部43が判定した場合(S101でYES)には、予熱時間判定部43は、その判定結果を示す情報(C)を暖房開始時刻設定部47および変動判定部45へ送出する。一方、現在時刻Tnが所定の時間帯内ではないと予熱時間判定部43が判定した場合(S101でNO)には、例外的な時間帯に暖房運転開始指令が発せられたことになるので、基準時刻の修正動作を終了する。
次に、現在時刻Tnが所定の時間帯内である場合、暖房開始時刻設定部47は、情報(C)の入力に応じて、現在時刻Tnを暖房運転開始時刻Tcとして、暖房開始時刻設定エリア6cに書き込む。また、変動判定部45は、情報(C)を入力すると、暖房開始時刻設定エリア6cから暖房運転開始時刻Tcを読み出し、その暖房運転開始時刻Tcに実質的な変動があったかどうかを判定する(前記S102)。
S102において、暖房運転開始時刻Tcが実質的に変動したと変動判定部45が判定すると、その情報(D)を上記基準時刻設定部46に送出する。この情報(D)の入力に応じて、基準時刻設定部46は基準時刻Tmを修正する(前記S104)。
(予熱運転開始時刻の設定処理)
予熱運転開始時刻Tpは、予熱時刻設定部44によって、基準時刻Tmから算出される。予熱時刻設定部44は、基準時刻設定部46から基準時刻Tmを更新したことを示す情報(E)を入力すると、基準時刻設定エリア6dから基準時刻Tmを読み出し、例えば、「Tm−1時間」という演算を行うことによって、予熱運転開始時刻Tpを算出する(前記S105)。算出された予熱運転開始時刻Tpは、予熱時刻設定部44によって、予熱運転時刻設定エリア6bに記憶される。
(その他の構成)
上記現在時刻取得部48は、通信部3を介して標準時刻情報を定期的に取得し、タイマ部7の計時情報を加味して現在時刻(年月日時)の情報を生成する。また、タイマ部7にカレンダおよび時計機能を持たせ、現在時刻取得部48がタイマ部7から現在時刻(年月日時)の情報を取得してもよい。
外気温判定部49は、気温センサ部8が検出した外気温を取得し、外気温が予熱運転を必要とする閾温度を下回っているか等を判定し、その判定結果の情報(F)を動作判定部41へ送出する。また、外気温判定部49は、外気温に応じて、予熱運転の実施時間の長さをどのように変えるか、例えば外気温が低いほど予熱運転の時間を長くすることを示す情報(G)を動作判定部41へ送出してもよい。そのような情報(G)の一例は、予熱運転の時間を長くする倍率であってよい。この場合、外気温と倍率とを対応づけたルックアップテーブルを外気温判定部49に持たせてもよい。
記憶部6における予熱運転設定エリア6aには、ユーザが予熱運転を実施させたいかどうかを示す情報(H)が記憶される。その情報(H)が予熱運転の不実施を示す情報としてユーザが設定している場合には、基準時刻Tmの修正処理自体が実施されない。
各種設定エリア6eには、空調部5が各種運転モードに応じた動作をするために必要な情報、例えば、温度設定、風量設定、風向設定およびタイマ時刻設定などに関する情報が運転モード毎に記憶されている。
(予熱運転開始時刻設定処理)
図11〜13を参照して、予熱運転制御の手順を詳細に説明する。図11は予熱運転開始時刻Tpを初めて設定する場合の制御手順を示すフローチャートである。図12は予熱運転開始時刻Tpが設定されている場合に実行される予熱運転制御の全体的な流れを示すフローチャートである。図13は暖房運転開始時刻Tmが変動した場合に予熱運転開始時刻Tpを修正する処理の手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、空気調和機1の電源がオンになると、動作判定部41は、予熱運転の実行が設定されているかどうかを判定する(S1)。具体的には、動作判定部41は、通信部3を介して、リモートコントローラ2が発した電源オン信号を入力すると、予熱運転設定エリア6aにアクセスし、ユーザが予熱運転を実施させたいかどうかを示す前記情報(H)が「実施する」に設定されているかどうかを確認する。情報(H)が「実施しない」に設定されている場合(S1でNO)、予熱運転を実施させるユーザの設定をいつでも受け付けるように待機する。情報(H)が「実施する」に設定されている場合(S1でYES)、動作判定部41は、予熱運転開始時刻Tpが設定されているかどうかを予熱時間判定部43に質問する(S2)。この質問に応じて、予熱時間判定部43は予熱運転時刻設定エリア6bにアクセスし、予熱運転開始時刻Tpが記憶されているかどうかを確認し、その結果を動作判定部41に返信する。
予熱運転開始時刻Tpが設定されている場合(S2でYES)、処理はS7へ移行し、予熱運転の実行が制御される。予熱運転開始時刻Tpが設定されていない場合(S2でNO)、動作判定部41は、予熱運転開始時刻Tpの設定処理を開始し、初めに暖房運転指示信号を入力したかどうかを判定する(S3)。暖房運転指示信号が未入力の場合(S3でNO)、動作判定部41は、暖房運転指示信号の入力を待つか、あるいは所定時間が経過しても暖房運転指示信号が未入力であれば、予熱運転開始時刻Tpの設定処理を終了する。暖房運転指示信号が入力された場合(S3でYES)、S101について簡単に説明したように、動作判定部41は、暖房運転指示が例外的な時間帯でなされたかどうかを判定する。そのために、動作判定部41は、現在時刻Tnが所定の時間帯(予熱運転の設定対象時間帯)内かどうかを、予熱時間判定部43に質問する(S4)。
この質問に応じて、予熱時間判定部43が判定処理を行う。そのために、上記予熱運転時刻設定エリア6bには、所定の時間帯を示す前記情報(B)として、その時間帯の開始時刻Tsおよび終了時刻Teが記憶されている。そこで、予熱時間判定部43は、現在時刻取得部48から現在時刻Tnを取得し、現在時刻Tnと、予熱運転時刻設定エリア6bから読み出した所定の時間帯の開始時刻Tsおよび終了時刻Teとを比較する。すなわち、Ts≦Tn≦Teの関係が成立する場合には、暖房運転開始指令が所定の時間帯内で発せられ、上記関係が不成立の場合には、例外的な暖房運転開始指令が発せられたと予熱時間判定部43が判定する。そして、予熱時間判定部43は、上記関係が成立するかどうかに関する判定結果を動作判定部41に返信する。
Ts≦Tc≦Teの関係が成立しない場合(S4でNO)、動作判定部41は、次の暖房運転指示信号の入力を待つか、あるいは予熱運転開始時刻Tpの設定処理を終了する。Ts≦Tc≦Teの関係が成立する場合(S4でYES)、動作判定部41は、暖房開始時刻設定部47に対し、現在時刻Tnを暖房運転開始時刻Tcとして設定するように指示する。さらに、動作判定部41は、基準時刻設定部46に対し、暖房運転開始時刻Tcを基準時刻Tmとして設定するように指示する。この指示に応じて、暖房開始時刻設定部47は、現在時刻取得部48から取得した現在時刻Tnを暖房運転開始時刻Tcとして暖房開始時刻設定エリア6cに書き込み、その書き込み終了を基準時刻設定部46に通知する。
この通知を受けて、基準時刻設定部46は、暖房開始時刻設定エリア6cから暖房運転開始時刻Tcを読み出し、基準時刻Tmとして基準時刻設定エリア6dに書き込み(S5)、予熱時刻設定部44に対し、基準時刻Tmの書き込み終了を通知する。この通知に応じて、予熱時刻設定部44は、基準時刻設定エリア6dから基準時刻Tmを読み出し、「Tm−1時間」という演算を行って予熱運転開始時刻Tpを算出し、予熱運転時刻設定エリア6bに書き込む(S6)。S6の処理が終了すると、フローはS2へ戻ってS7以降の処理が行われる。こうして、予熱運転開始時刻Tpが未設定の場合には、暖房運転開始時刻Tcを基準時刻Tmとすることによって、予熱運転開始時刻Tpが設定される。
(予熱運転制御の詳細)
S1およびS2において、予熱運転「有り」と予熱運転開始時刻Tpの「設定済」とを動作判定部41が確認した後、図12に示すように、予熱時間判定部43は、現在時刻Tnが予熱運転開始時刻Tpと等しくなったかどうかを判定する(S7)。TnとTpとが等しくなければ(S7でNO)、S7の処理が繰り返される。TnとTpとが等しくなると(S7でYES)、外気温が予熱運転を必要とする程度に低いかどうかが判定される(S8)。具体的には、外気温判定部49が動作判定部41から指示されて、気温センサ部8から外気温の情報を取得し、外気温が閾温度(例えば10℃)未満かどうかを判定する。外気温が閾温度未満であるという前記情報(F)が、動作判定部41に通知されると(S8でYES)、動作判定部41は、動作指示部42に予熱運転開始を指示する(S9)。この指示を受けて動作指示部42は、空調部5に対し予熱運転に必要な信号を送出する。外気温が閾温度以上であるという前記情報(F)が、動作判定部41に通知されると(S8でNO)、S9の処理はスキップされ、動作判定部41は暖房運転指示信号の入力を待つ(S10)。
動作判定部41は暖房運転指示信号を入力すると(S10でYES)、動作指示部42に予熱運転終了を指示する(S11)。一方、動作判定部41は暖房運転指示信号を入力しない場合(S10でNO)、現在時刻Tnが予熱運転開始時刻Tpから所定時間(例えば2時間)経過したかどうかを判定する(S15)。S15の処理は、動作判定部41が単独で行ってもよいし、動作判定部41が予熱時間判定部43に行わせてもよい。S15の判定結果がNOの場合、処理はS10へ戻り、S15の判定結果がYESの場合、動作判定部41は動作指示部42に予熱運転終了を指示する(S16)。
S11に続くS12では、暖房運転開始時刻Tcの変動有無の判定処理と基準時刻Tmの修正処理とが行われる。S12の詳細については後述する。S12またはS16の処理が終わると、S13では予熱運転を必要とする低温シーズンが終了したかが動作判定部41によって判定される。S13の判定処理の具体例は後述する。S13で低温シーズンが終了したことを動作判定部41が判定した場合(S13でYES)、それ以降で予熱運転がされないようにするため、動作判定部41は、予熱時刻設定部44に対し予熱運転開始時刻Tpの設定を解除するように指示する(S14)。この指示を受けた予熱時刻設定部44は、予熱運転時刻設定エリア6bから予熱運転開始時刻Tpを消去する。これにより、予熱運転制御は終了する。
(予熱運転開始時刻の修正処理)
前記S12の処理の詳細を図13を参照して説明する。S10で暖房運転指示信号を入力した動作判定部41は、S4の処理と同様に、現在時刻Tn、つまり暖房運転開始時刻Tcが所定の時間帯内かどうかを判定する(S12−1)。なお、図11に示すS3およびS4の処理を経由したS2において予熱運転開始時刻Tpが設定済みなので、暖房運転開始時刻Tcおよび基準時刻Tmも設定済みである。暖房運転開始時刻Tcが所定の時間帯内である場合(S12−1でYES)、S102について簡単に説明したように、暖房運転開始時刻Tcが変動したかどうかが判定される。その判定処理の一例として、変動判定部45は動作判定部41の指示に基づいて、基準時刻Tmを基準時刻設定エリア6dから読み出し、TcがTm±30分の範囲外かどうか、言い換えるとTm−30分≦Tc≦Tm+30分の関係が成立するかどうかを判定する。より具体的には、Tc<Tm−30分の場合およびTm+30分<Tcの場合に、変動判定部45は、暖房運転開始時刻Tcが変動したと判定する。なお、30分は実質的な変動を検出するために設定される閾値の一例であり、ユーザが30分を増減させることができるようにしてもよい。また、暖房開始時刻設定エリア6cに、連日の暖房運転開始時刻Tcを記録するようにし、前日の暖房運転開始時刻Tc’を基準として、TcがTc’±30分の範囲内かどうかを判定してもよい。
S12−2において、TcがTm±30分の範囲外である場合(S12−2でYES)、変動判定部45は暖房運転開始時刻Tcが変動したと判断し、S12−6〜S12−8において基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの修正処理を行う。一方、S12-2において、TcがTm±30分の範囲内である場合(S12−2でNO)、変動判定部45は暖房運転開始時刻Tcが変動していないと判断する。この場合には、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpは修正されない。
暖房運転開始時刻Tcが変動したと判断された場合、S12−6において、変動判定部45は、Ts≦Tc<Tm−30分の関係が成立するかどうかを判定する(S12−6)。この関係が成立する場合(S12−6でYES)、暖房運転開始時刻Tcは早まるように変動したことになる。この判定結果を変動判定部45から通知された基準時刻設定部46は、基準時刻Tmを30分早めて、Tm−30分を新たなTmとして基準時刻設定エリア6dに記憶させる。また、予熱時刻設定部44は、基準時刻設定部46から基準時刻Tmの修正通知を受けると、「Tm−1時間」という演算によって修正された予熱運転開始時刻Tpを算出し、予熱運転時刻設定エリア6bに記憶させる(S12−7)。
一方、S12−6でTs≦Tc<Tm−30分の関係が成立しない場合(S12−6でNO)、Tm+30分<Tc≦Teが成立することになる。この場合には、暖房運転開始時刻Tcは遅くなるように変動したことになる。したがって、基準時刻設定部46は、基準時刻Tmを30分遅らせて、Tm+30分を新たなTmとして基準時刻設定エリア6dに記憶させる。また、予熱時刻設定部44は、上記と同様に「Tm−1時間」という演算によって修正された予熱運転開始時刻Tpを算出し、予熱運転時刻設定エリア6bに記憶させる(S12−8)。
なお、この例では、Tmの変動量としての30分と、暖房運転開始時刻Tcの変動の閾値30分とがたまたま一致しているが、Tmの変動量とTcの変動の閾値とを様々な値で一致するように、あるいは相違するように組み合わせることが可能である。そのような具体例については後述する。
S12−2の説明に戻り、S12−2で暖房運転開始時刻Tcは変動していないと判定されると、S12−3に処理が進み、TcがTm±30分の範囲内となった日数が連続して閾日数(例えば5日)に到達したかという条件の充足有無を変動判定部45が判定する。上記条件が充足された場合(S12−3でYES)、変動判定部45はTmとTcとの大小比較を行い(S12−4)、その比較結果に応じてTmおよびTpを再設定する(S12−5)。
具体的には、Tm−30分≦Tc<Tmという関係が成立した日数が連続して閾日数(例えば5日)に到達した場合、Tm−30分を新たなTmとするとともに、新たなTmを用いて「Tm−1時間」を演算することによって修正された予熱運転開始時刻Tpを算出する。これは予熱不足の発生を抑制するためである。また、Tm<Tc≦Tm+30分という関係が成立した日数が連続して閾日数(例えば5日)に到達した場合、Tm+30分を新たなTmとするとともに、新たなTmを用いて「Tm−1時間」を演算することによって修正された予熱運転開始時刻Tpを算出する。これは予熱過剰の発生を抑制するためである。
上記の予熱不足および予熱過剰の発生についてさらに説明する。予熱運転開始時刻TpはTm−1時間であり、予熱運転の実施時間tは、予熱運転開始時刻Tpから暖房運転開始時刻Tcまでの時間なので、下記の式1が導かれる。
t=Tc−Tp=Tc−(Tm−1時間)=1時間+(Tc−Tm)・・・式1
式1を変形すると、下記式2が導かれる。
t−1時間=Tc−Tm・・・式2
ここで、Tm−30分≦Tc<Tmという関係が成立する場合、Tc−Tm<0だから、式2より、t−1時間<0、すなわち、t<1時間となる。これは、予熱時間が1時間を最適とした場合、予熱時間が不足していることを意味する。
一方、Tm<Tc≦Tm+30分という関係が成立する場合、Tc−Tm>0だから、式2より、t−1時間>0、すなわち、t>1時間となる。これは予熱時間が過剰であることを意味する。
以上で予熱運転開始時刻の修正処理が全て完了し、S12−3でNOの場合、並びにS12−5,S12−7およびS12−8が終了した場合、前記S13に処理が進む。
(実施例1)
以上説明した予熱運転制御に従って、ユーザが1ヶ月弱にわたって空気調和機1に暖房運転を行わせた場合に、予熱運転開始時刻Tpが暖房運転開始時刻Tcに連動して変化する具体例を説明する。図14は、ある期間における暖房運転開始時刻Tc、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの各履歴を示すテーブルである。図15は、図14のテーブルに対応したグラフである。
図14のテーブルにおける暖房運転開始時刻Tcの列は、記憶部6の暖房開始時刻設定エリア6cに相当する。同様に、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの各列は、記憶部6の基準時刻設定エリア6dおよび予熱運転時刻設定エリア6bにそれぞれ相当する。各エリア6b〜6dは、図14に示すとおり、日付列と対応付けられている。
(2月28日および3月1日の処理)
2月28日は運転が無いので、Tc、Tm、Tpのいずれも記録が無い。予熱運転の設定対象時間帯Ts〜Teは、図15に破線で示したように午前4時〜午前8時であるとする。3月1日は上記時間帯内の午前6時にユーザが暖房運転を開始させたので、3月1日のTcとして6:00AMが記録される。この日はTpが設定されていないので、ユーザは予熱運転の無い状態で暖房運転を開始させることになる。また、3月2日のTpを算出するためのTmには3月1日のTcがそのまま使われ、3月2日のTmとして6:00AMが記録される。また、3月2日のTmから算出された3月2日のTpとして5:00AMが記録される。この結果、3月2日には、5:00AMに予熱運転がスタートする。
(3月2日および3月3日の処理)
3月2日は午前6時00分にユーザが暖房運転を開始させたので、1時間以上の予熱運転が実施された空気調和機1は、暖房運転を速やかにスタートさせることができる。3月3日に記録されるTmは修正されず、6:00AMが3月3日のTmとしてそのまま記録される。これは、3月2日のTc(午前6時00分)が、3月2日のTm(午前6:00)から+30分の範囲内なので、Tcは変動していないとみなされるからである。3月3日の処理は3月2日と同様である。
(3月4日の処理)
3月4日は午前6時40分にユーザが暖房運転を開始させたので、3月5日のために記録されるTmは修正される。すなわち、3月4日のTc(午前6時40分)が、3月4日のTm(午前6:00)から+30分の範囲外になったので、Tcは変動したとみなされるからである。したがって、Tcが遅くなるように変動したことに応じて、Tm+30分が新たなTmとして設定されるので、結局、午前6時30分が3月5日のTmとして記録される。Tmの修正に伴って、Tpも30分遅く修正されるので、午前5時30分が3月5日のTpとして記録される。
(3月5日の処理)
3月5日は午前6時00分にユーザが暖房運転を開始させたが、3月5日のTc(午前6時00分)が、3月5日のTm(午前6:30)から−30分の範囲内なので、Tcは変動していないとみなされる。したがって、3月6日のTmおよびTpは3月5日のTmおよびTpが修正されずに記録される。
(3月6日の処理)
3月6日は午前5時40分にユーザが暖房運転を開始させたので、3月7日のために記録されるTmは修正される。すなわち、3月6日のTc(午前5時40分)が、3月6日のTm(午前6:30)から−30分の範囲外になったので、Tcは変動したとみなされるからである。したがって、Tcが早まるように変動したことに応じて、Tm−30分が新たなTmとして設定されるので、結局、午前6時00分が3月7日のTmとして記録される。Tmの修正に伴って、Tpも30分遅く修正されるので、午前5時00分が3月7日のTpとして記録される。
(3月7日の処理)
3月7日は午前9時にユーザが暖房運転を開始させたので、Tcが予熱運転の設定対象時間帯Ts〜Teから外れている。したがって、例外的な暖房運転が開始されたとみなされるため、3月7日のTc(午前9時)は無視される。この結果、3月8日のTmおよびTpは、3月7日のTmおよびTpが修正されず、そのまま記録される。
(3月8日〜14日の処理)
3月8日〜13日の処理は、既に説明した処理と同様なので説明を省略する。ただし、結果として、Tm(午前5時30分)−30分≦Tc<Tm(午前5時30分)という関係の成立した日数が、連続して閾日数(5日)に到達した事象が、3月13日に発生した。このため、Tm−30分、つまり午前5時を3月14日のための新たなTmとして記録するとともに、3月14日のTpを午前4時として記録する。
(3月15日〜19日の処理)
3月15日〜17日の処理は、既に説明した処理と同様なので説明を省略する。3月17日は午前3時30分にユーザが暖房運転を開始させたので、Tcが予熱運転の設定対象時間帯Ts〜Teから外れている。したがって、例外的な暖房運転が開始されたとみなされるため、3月17日のTc(午前3時30分)は無視される。その結果、Tm(午前5時)≦Tc<Tm(午前5時)+30分という関係の成立した日数が、連続して閾日数(5日)に到達した事象が、3月19日に発生した。このため、Tm+30分、つまり午前5時30分を3月20日のための新たなTmとして記録するとともに、3月20日のTpを午前4時30分として記録する。
(3月20日以降の処理)
3月20日以降は、ユーザが暖房運転を行わなかった。暖房運転を連続して行わなかった日数が閾日数(例えば5日)に到達した3月24日に、予熱運転を必要とするシーズンが終了したと判定され、3月25日以降はTmおよびTpの記録がなされない。3月24日までは、予熱運転を必要とするシーズン中と判断されるため、3月20日のTmおよびTpがそのまま記録され続ける。その結果、3月20日〜24日の5日間は予熱運転が実施される。ここで説明した処理が、前記S13において、動作判定部41が暖房シーズン終了を判定する処理の具体例に相当する。
(新シーズンの処理)
3月24日に記録されたTmはそのまま保存され、新シーズンが到来した12月2日にも引き継がれている。12月2日に新シーズンで初めて暖房運転が開始されると、12月3日のTpは、12月2日のTm(午前5時30分)を用いて午前4時30分に設定される。
(実施例2)
本実施例では、暖房運転開始時刻Tcの変動を判定する閾値を15分とした。したがって、TcがTm±15分の範囲外かどうかを判定する、言い換えるとTm−15分≦Tc≦Tm+15分の関係が成立する場合には、Tcが変動していないとみなす点で、実施例1と異なっている。
図16は、実施例1と同じ期間における暖房運転開始時刻Tc、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの各履歴を示すテーブルである。図17は、図16のテーブルに対応したグラフである。基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの求め方は、実施例1と同じ求め方であり、Tcの変動を判定する閾値が30分から15分に変わっただけなので、その説明を省略する。
図17のグラフからわかるように、Tcの変動を判定する閾値(15分)を、Tmの修正量(30分)より小さくした結果、Tcに対するTmの差分は、図15のグラフより小さくなっている。言い換えると、TmのTcに対する追随性が、実施例1よりも向上している。図15では、3月4日および3月5日におけるTcの変化(6:40AM→6:00AM)が、Tmの変化(6:00AM→6:30AM)と逆になっている。このため、3月5日における暖房運転開始時刻Tcと予熱運転開始時刻Tpとの差分が30分となり、望ましい予熱時間(1時間)の半分になっている。さらに、3月5日および3月6日におけるTcの変化(6:00AM→5:40AM)に、Tm(6:30AMのまま)が追随していないため、3月6日におけるTcとTpとの差分は10分になっている。また、予熱運転が1時間30分以上になるような予熱過剰の日が、3月4日および3月15日に発生している。さらに、図15では、全体的にTcとTpとの差分が縮まったり拡がったりという変化が大きい。
これに対して、図17では、図15で発生している予熱不足が軽減され、全体的にTcとTpとの差分の変化が小さくなっている。また、予熱運転が1時間30分以上になるような予熱過剰の日も発生していない。
(実施例3)
本実施例では、暖房運転開始時刻Tcの変動を判定する閾値を実施例1と同じく30分とし、Tmの修正量を15分とした。したがって、TcがTm±30分の範囲内から範囲外へ変動した場合に、Tm±15分を新たなTmに設定する点で、実施例1および実施例2と異なっている。言い換えると、本実施例では、Tcの変動を判定する閾値(30分)より、Tmの修正量(15分)を小さくした。
図18は、実施例1および実施例2と同じ期間における暖房運転開始時刻Tc、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの各履歴を示すテーブルである。図17は、図16のテーブルに対応したグラフである。基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの求め方は、実施例1と同じ求め方であり、Tcの変動を判定する閾値が30分から15分に変わっただけなので、その説明を省略する。
図19のグラフからわかるように、Tcの変動を判定する閾値(30分)より、Tmの修正量(15分)を小さくした結果、Tcに対するTmの差分は、図15のグラフより小さくなっている。言い換えると、TmのTcに対する追随性が、実施例1よりも向上している。特に、3月5日および3月6日におけるTmのTcに対する追随性が、実施例1よりも向上している。この結果、実施例1で発生した3月6日の予熱不足が軽減されている。また、予熱運転が1時間30分以上になるような予熱過剰の日は、3月4日の1日だけなので、予熱過剰の発生も、実施例1より抑えられている。
(実施例4)
本実施例では、基準時刻Tmを数日間の暖房運転開始時刻Tcの移動平均によって算出する例を説明する。この場合、数日間の暖房運転開始時刻Tcの移動平均値は、暖房運転開始時刻Tcの変化を表す変動量に相当する。
図20は、実施例1と同じ期間における暖房運転開始時刻Tc、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの各履歴を示すテーブルである。図21は、図20のテーブルに対応したグラフである。図17のS102では、Tcが変動したかどうかが判定されるので、本実施例では、Tcの移動平均値が変化した場合にTcが変動したと、変動判定部45(図10参照)が判定する。また、S104では、Tcの変化を表す変動量に応じてTmを修正するので、本実施例では、Tcの移動平均値をそのままTmに設定する。予熱運転開始時刻Tpの求め方は、各実施例と同じであり、Tp=Tm−1時間という演算を行う。
図20および図21に示す例では、Tcの移動平均値を、当日を含む直前3日間のTcの平均値として求めている。
図21のグラフからわかるように、TmのTcに対する追随性は、実施例1よりも向上している。また、全体的に、TmおよびTpの変化が、実施例1〜3と比較して最も滑らかになっている。さらに、予熱運転が1時間30分以上になるような予熱過剰の日は、実施例2と同様に発生していない。
(補足1)
通常の暖房運転を省エネルギで実施するエコ暖房運転を行う場合、予熱時間の長さを通常の暖房運転より短くなるように、予熱運転開始時刻Tpを設定してもよい。例えば、エコ暖房運転の場合には、Tp=Tm−40分という式で求めるというように、基準時刻Tmから差し引く時間を縮めるとよい。
(補足2)
上記の実施形態では、暖房運転開始時刻Tcが予熱開始時刻Tpの設定範囲(Ts〜Te)を外れたときに、イレギュラーな暖房開始と判断しているが、暖房運転開始時刻Tcが予熱開始時刻Tpの設定範囲内であっても、イレギュラーな暖房開始と判断する場合があってもよい。例えば、暖房運転開始時刻Tcの変動幅が所定時間(例えば2H)を超えた場合、その変動はイレギュラーとみなして無視してもよい。
(補足3)
上記の実施形態では、予熱開始時刻Tpの設定範囲(Ts〜Te)を1日1回午前に設定する例を示したが、例えば1日にいくつかの時間帯を設定して、各時間帯において予熱開始時刻Tpを補正するようにしてもよい。例えば、午前以外に、帰宅時間に合わせて午後6:00〜10:00に2つ目の時間帯を設定してもよいし、寝室に設置した空気調和機では、就寝時間に合わせて、午後10:00〜12:00に当該時間帯を設定してもよい。
〔実施形態2−2〕
本発明の他の実施形態について、図22に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態における予熱運転開始時刻を修正する処理は、図13のフローチャートで示すS12の詳細処理を置き換えるものである。その主たる特徴は、本日の暖房運転開始時刻Tcと基準時刻Tmとの差をそのまま用いて、予熱運転開始時刻Tpを増減させることである。図22は、図13に示す詳細処理を置き換えた処理の手順を示すフローチャートである。以下、図22および適宜必要な図を参照して説明する。
図12に示すS10で暖房運転指示信号を入力した動作判定部41は、図11に示すS4の処理と同様に、予熱時間判定部43にて、現在時刻Tn、つまり暖房運転開始時刻Tcが所定の時間帯(Ts〜Te)内かどうかを判定する(S12−10)。なお、図11に示すS3〜S6の処理を経由したS2において予熱運転開始時刻Tpが設定済みなので、暖房運転開始時刻Tcおよび基準時刻Tmも設定済みである。
暖房運転開始時刻Tcが所定の時間帯内である(S12−10でYES)という判定結果を、予熱時間判定部43が基準時刻設定部46に送ると、基準時刻設定部46は、暖房運転開始時刻Tcと基準時刻Tmとの差分xを求め、変動判定部45に差分xを伝達する(S12−11)。これに応じて、変動判定部45は、差分xが0かどうかを判定する(S12−12)。差分xが0ではない場合(S12−12でNO)、変動判定部45は、差分xが負か正かを判定する(S12−13)。
S12−13で、差分xが負と判定された場合(S12−13でYES)、変動判定部45は、基準時刻設定部46に対し、基準時刻Tmから差分xを減算するように指示する。これに応じて、基準時刻設定部46は、Tm−xを演算し、その演算結果を新たな基準時刻Tmとして基準時刻設定エリア6dに格納する。さらに、基準時刻設定部46は、基準時刻Tmを更新したことを予熱時刻設定部44に伝えると、予熱時刻設定部44は、更新された基準時刻Tmを基準時刻設定エリア6dから読み出し、Tm−1時間の演算を行う。こうして、予熱時刻設定部44は、新たに求めた予熱運転開始時刻Tpによって予熱運転時刻設定エリア6bを更新する(S12−14)。
一方、S12−13で、差分xが正と判定された場合(S12−13でNO)、変動判定部45は、基準時刻設定部46に対し、基準時刻Tmに差分xを加算するように指示する。これに応じて、基準時刻設定部46は、Tm+xを演算し、その演算結果を新たな基準時刻Tmとして基準時刻設定エリア6dに格納する。以下、同様にして、予熱時刻設定部44は、新たに求めた予熱運転開始時刻Tp(=Tm+1時間)によって予熱運転時刻設定エリア6bを更新する(S12−15)。S12−14およびS12−15の処理を終えた予熱時刻設定部44は、予熱運転時刻設定エリア6bを更新したことを動作判定部41に伝える。これにより、動作判定部41は、処理をS13に進める。
なお、S12−10でNO、つまり予熱時間判定部43が、暖房運転開始時刻Tcを所定の時間帯外であると判定した場合、その判定結果を動作判定部41に伝える。これにより、動作判定部41は、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpを修正する必要が無いと判断し(S12−16)、処理をS13に進める。
また、S12−12でYESの場合、変動判定部45は差分xが0(暖房運転開始時刻Tcが基準時刻Tmと一致)であるという判定結果を動作判定部41に伝える。これにより、動作判定部41は、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpを修正する必要が無いと判断し(S12−16)、処理をS13に進める。
〔実施形態2−3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図23に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態における予熱運転開始時刻を修正する処理は、図13のフローチャートにおけるS12−2でYESの場合に続くS12−6〜S12−8の処理を置き換えるものである。その主たる特徴は、暖房運転開始時刻Tcが基準時刻Tmからどれくらい離れているかに応じて、新たに記憶する基準時刻Tmを求めるために、基準時刻Tmに加減する値を可変することである。図23は、図13に示す処理の一部を置き換えた処理の手順を示すフローチャートである。以下、図23および適宜必要な図を参照して説明する。なお、図13で示すS12の処理が始まるときには、図11に示すS4において、暖房運転開始時刻Tcが所定の時間帯(Ts〜Te)内に含まれているという判定結果が既に得られている。
S12−2でYES、つまりTcがTm±30分の範囲外である場合、変動判定部45は暖房運転開始時刻Tcが変動したと判断し、さらに図23に示すS12−21〜S12−31において、基準時刻Tmおよび予熱運転開始時刻Tpの修正処理を行う。
先ず、変動判定部45は、暖房運転開始時刻Tcが、基準時刻Tmから最も離れている場合かどうかを判定する。その一例として、変動判定部45は、Tcが予熱運転を設定する時間帯の開始時刻Ts〜基準時刻Tm−50分の範囲内かどうかを判定する(S12−21)。その結果、Ts<Tc<Tm−50分の関係(1)が成立する場合(S12−21でYES)、変動判定部45は、関係(1)の成立を基準時刻設定部46に伝える。これに応じて、基準時刻設定部46は、TcがTmから最も離れている状態に合わせて、基準時刻Tmを最も早める演算を行う。例えば基準時刻設定部46はTm−40分を演算し、その演算結果を新たな基準時刻Tmとして基準時刻設定エリア6dに格納する。さらに、基準時刻設定部46は、基準時刻Tmを更新したことを予熱時刻設定部44に伝えると、予熱時刻設定部44は、更新された基準時刻Tmを基準時刻設定エリア6dから読み出し、Tm−1時間の演算を行う。こうして、予熱時刻設定部44は、新たに求めた予熱運転開始時刻Tpによって予熱運転時刻設定エリア6bを更新する(S12−22)。
また、上記関係(1)が成立しない場合(S12−21でNO)、暖房運転開始時刻Tcが含まれると見込まれる時間の範囲を、基準時刻Tmに近づけるように段階的に変え、S12−21およびS12−22の各処理と同様の処理を繰り返す。
例えば、S12−23では、Tm−50分≦Tc<Tm−40分の関係(2)の成立が判定され、関係(2)が成立する場合、基準時刻設定部46は、例えばTm−20分を演算する(S12−24)。この場合、判定に用いる上記時間の範囲は、関係(1)の場合より関係(2)の場合の方が基準時刻Tmに近づいている。また、基準時刻を早める時間変動量は、関係(1)の場合(40分)より関係(2)の場合(20分)の方が小さくなっている。
S12−25では、Tm−40分≦Tc<Tm−30分の関係(3)の成立が判定され、関係(3)が成立する場合、基準時刻設定部46は、例えばTm−10分を演算する(S12−26)。この場合、判定に用いる上記時間の範囲は、関係(2)の場合より関係(3)の場合の方が基準時刻Tmにさらに近づいている。また、基準時刻Tmを早める時間変動量は、関係(2)の場合より関係(3)の場合の方がさらに小さくなっている。
以上、TcがTs〜Tmの範囲内かどうかの判定を繰り返した結果、TcがTs〜Tmの範囲内ではないという判定結果になった場合、続いて、TcがTm〜Te(上記所定の時間帯の終了時刻)の範囲内かどうかを判定する。この場合、基準時刻Tmに近い方から時間的に遅く離れていく方向へ上記時間の範囲を段階的に変える。基準時刻を遅らせる時間変動量については、該時間変動量を段階的に増加させる。
例えば、S12−27では、Tm+30分≦Tc<Tm+40分の関係(4)の成立が判定され、関係(4)が成立する場合、基準時刻設定部46は、例えばTm+10分を演算する(S12−28)。また、S12−29では、Tm+40分≦Tc<Tm+50分の関係(5)の成立が判定され、関係(5)が成立する場合、基準時刻設定部46は、例えばTm+20分を演算する(S12−30)。この場合、判定に用いる上記時間の範囲は、関係(4)の場合より関係(5)の場合の方が基準時刻Tmより遅い方へ離れている。また、基準時刻を遅くする時間変動量は、関係(4)の場合(10分)より関係(5)の場合(20分)の方が大きくなっている。
以上の処理において、関係(1)〜(E)のどれも成立しなかった場合(S12−29でNO)、変動判定部45は、TcがTmから最も遅くなる方へ離れた時間範囲、例えばTm+50分〜Teの範囲内に含まれていると判断する。この場合、基準時刻設定部46は、例えばTm+40分を演算する(S12−31)。
なお、S12−22,24,26,28,30,31において、予熱運転開始時刻Tpの修正処理が終わった後、処理はS13(図12)へ進む。
〔実施形態2−4〕
本発明のさらに他の実施形態について、図24に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態における予熱運転制御は、図11のフローチャートにおけるS2でYESの場合に、図12に示す後続のS7〜S9の処理を置き換えるものである。その主たる特徴は、時刻が予熱運転開始時刻Tpに近づいたときに外気温を測定し、その外気温に応じて予熱運転開始時刻Tpを変えることである。より具体的には、外気温が基準温度範囲から低い方に外れるほど、設定済みの予熱運転開始時刻Tpよりも早く予熱運転を開始することである。図24は、図12に示す処理の一部を置き換えた処理の手順を示すフローチャートである。以下、図24および適宜必要な図を参照して説明する。なお、図11で示すS2の判定結果がYESのときには、S3〜S6の処理を経由したS2において予熱運転開始時刻Tpが設定済みになっている。
初めに、本実施形態の処理において、外気温の低さを判定するのに用いる基準温度範囲は、一例として5〜10℃である。外気温が10℃を超えた場合には、予熱運転は行われない。以下、詳細に処理を説明する。
先ず、S71において、予熱時間判定部43が現在時刻取得部48から現在時刻Tnを取得し、その現在時刻Tnが予熱運転開始時刻Tpの所定時間前、例えば30分前になったかどうかを判定する。S71の判定は、YESになるまで周期的に繰り返される。S71の判定結果がYESになると、予熱時間判定部43は、その判定結果を外気温判定部49に伝える。
これに応じて、外気温判定部49は、気温センサ部8から外気温の情報を取得し、外気温が上記基準温度範囲から最も低い方へ外れているかどうか、例えば0℃未満かどうかを判定する(S72)。S72の判定結果がYESの場合、外気温判定部49は、その判定結果を動作判定部41に伝える。これに応じて、動作判定部41は、予熱運転開始指示を動作指示部42に与える。動作指示部42は、予熱運転開始指示に基づいて空調部5に予熱運転を開始させる(S73)。このように、外気温が上記基準温度範囲より低く設定された閾温度よりさらに低い場合には、予熱運転を予熱運転開始時刻Tpより第1の所定時間(30分)だけ早く開始させる。
一方、S72の判定結果がNOの場合、外気温判定部49は、外気温が上記基準温度範囲から少し低い方へ外れているかどうか、例えば0℃以上5℃未満かどうかを判定する(S74)。S74の判定結果がYESの場合、結果的に動作判定部41は、予熱運転を予熱運転開始時刻Tpより第2の所定時間(15分)だけ早く開始させる。第2の所定時間は前記第1の所定時間より小さな値を持つ。これは、外気温が低いほど、予熱運転を早く開始させることと対応している。
次に、S74の判定結果がNOの場合、外気温判定部49は、外気温が上記基準温度範囲に含まれているかどうか、例えば5℃以上10℃未満かどうかを判定する(S76)。S76の判定結果がYESの場合、結果的に動作判定部41は、予熱運転を予熱運転開始時刻Tpに開始させる。すなわち、外気温が基準温度範囲に含まれている場合には、予熱運転開始時刻Tpを変えない。
以上、S73,75,77の各処理が終わった後、処理はS10へ進む。本実施形態は、実施形態2−1〜2−3と組み合わせることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
〔まとめ2〕
本発明の態様9に係る空気調和機(1)の制御方法は、空気調和機の暖房運転開始時刻(Tc)に基づいて設定され、記憶部(6)に記憶される基準時刻(Tm)であって、暖房運転開始時刻前に設定すべき予熱運転開始時刻(Tp)の算出に用いられる基準時刻について、ユーザの指示によって上記暖房運転開始時刻が所定の時間帯の中で変動した場合(S102またはS12−1・S12−2)に、上記暖房運転開始時刻の変化を表す変動量に応じて、上記基準時刻を修正する(S104またはS12−6〜S12−8)ことを特徴とする。
上記の方法によれば、予熱運転開始時刻は、暖房運転開始時刻に基づいて設定される基準時刻を用いて算出される。したがって、ユーザが空気調和機に対して暖房運転の開始操作を行うと、予熱運転開始時刻が決まるので、ユーザは、次の暖房運転の開始操作のために予熱運転開始時刻を設定する必要がない。これにより、ユーザが、次の暖房運転を同じような時刻に開始する場合には、予熱運転が既に開始されているので、次の暖房運転は速やかに立ち上がる。
さらに、基準時刻は、暖房運転開始時刻の変化を表す変動量(変動時間)に応じて修正されるので、基準時刻を用いて算出される予熱運転開始時刻もまた、その変動量に応じて修正される。これにより、ユーザにとって、予熱運転開始時刻の設定および修正の操作が不要になる。すなわち、ユーザは、日々、所定の時間帯の中の任意の時刻に暖房運転の開始操作を行うだけで、次の暖房運転のための予熱運転開始時刻は、暖房運転開始時刻の変動に追随するように自動修正される。したがって、ユーザは、予熱運転開始時刻の設定および修正の操作をしなくても、必要な予熱運転が実施されるという効果を奏する。
なお、暖房運転開始時刻が遅くなる変化を上記変動量が示す場合には、上記基準時刻を遅らせるように修正する。一方、暖房運転開始時刻が早まる変化を上記変動量が示す場合には、上記基準時刻を早めるように修正する。このようにして、上記基準時刻は上記変動量に応じて修正される。
暖房運転開始時刻の変化を表す変動量とは、例えばユーザが日々の所定の時間帯において暖房運転を開始させるような場合に、日々の暖房運転開始時刻の変動量(変化時間)であってもよい。また、上記記憶部に記憶されている上記基準時刻が基にした暖房運転開始時刻の次に、ユーザが上記所定の時間帯の中で暖房運転を開始させた時刻と上記基準時刻との差分を、上記変動量としてもよい。さらに、暖房運転開始時刻の移動平均値によって基準時刻を書き換えてもよい。この方式では、例えば当日の暖房運転開始時刻を含めて、直前の過去3日間の暖房運転開始時刻の平均値を、当日記憶させる基準時刻とし、翌日以降も同様に平均値を算出し直して基準時刻を更新していくようにしてもよい。
また、上記所定の時間帯は、暖房運転開始時刻がその時間帯から外れるような例外的な変動を無視するために設定されている。これにより、予熱運転開始時刻が、例外的な変動の影響を受けずに済む。
本発明の態様10に係る空気調和機の制御方法は、上記態様9において、上記変動量が、第1閾値(+30分または−30分)以下の場合には、上記基準時刻を修正せず、上記変動量が上記第1閾値を超えた場合には、上記基準時刻を上記変動量に応じて修正することを特徴とする。
上記の方法によれば、暖房運転開始時刻の変動に逐一追随するように基準時刻を修正する場合と比べて、第1閾値を設定することによって、暖房運転開始時刻の変動の傾向を考慮した予熱運転開始時刻の制御が可能になる。これは、暖房運転(A)のために設定される予熱運転開始時刻は、その暖房運転(A)の1回前の暖房運転(A−1)の開始時刻との比較に基づいて決められることに起因する。例えば、暖房運転開始時刻の変動に逐一追随するように基準時刻を修正する場合であって、1回前の暖房運転(A−1)以前の暖房運転の変動の傾向とは逆に、暖房運転(A−1)の開始時刻に対して暖房運転(A)の開始時刻が変動した場合、予熱運転時間の不足または過剰が発生しやすくなる。
上記の方法によれば、暖房運転開始時刻がある程度大きく変動したことに応じて、基準時刻を上記変動量に応じて修正するので、暖房運転開始時刻の変動の影響が緩和される。したがって、上記のような予熱運転時間の不足または過剰の発生を抑制する効果が得られる。
本発明の態様11に係る空気調和機の制御方法は、上記態様10において、上記暖房運転開始時刻が、上記記憶部に記憶されている上記基準時刻より早く、かつ、上記変動量が第1閾値以下となる日が、連続して所定日数に達した場合には、上記基準時刻を早めるように修正することを特徴とする。
上記の方法において、上記予熱運転開始時刻は上記基準時刻から一定時間(例えば1時間)を差し引くことによって算出される。そうすると、上記暖房運転開始時刻が上記基準時刻より早く、かつ、上記変動量が第1閾値以下となって小さい場合、上記基準時刻は修正されず、暖房運転開始時刻と基準時刻とは近い値になるから、時刻の早い方から、予熱運転開始時刻、暖房運転開始時刻、基準時刻の順序になる。この順序では、予熱運転開始時刻と暖房運転開始時刻との差分が、予熱運転開始時刻と基準時刻との差分より小さくなる。つまり、暖房運転開始前に実行される予熱運転の時間が短くなり予熱不足になるおそれがある。
上記の方法によれば、基準時刻を早めるように修正することによって、予熱運転開始時刻を早めるので、予熱運転の時間を長くし、予熱不足を回避しやすくなる。
本発明の態様12に係る空気調和機の制御方法は、上記態様10または11において、上記暖房運転開始時刻が、上記記憶部に記憶されている上記基準時刻より遅く、かつ、上記変動量が第1閾値以下となる日が、連続して所定日数に達した場合には、上記基準時刻を遅くするように修正することを特徴とする。
上記の方法において、態様11の場合とは逆に、予熱過剰による消費エネルギ浪費等を招くおそれが生じる。これは、時刻の早い方から、予熱運転開始時刻、基準時刻、暖房運転開始時刻の順序になるため、この順序では、予熱運転開始時刻と暖房運転開始時刻との差分が、予熱運転開始時刻と基準時刻との差分より大きくなるからである。
上記の方法によれば、基準時刻を遅くするように修正することによって、予熱運転開始時刻を遅くするので、予熱運転の時間を短くし、予熱過剰を回避しやすくなる。
本発明の態様13に係る空気調和機の制御方法は、上記態様9において、上記変動量は、上記暖房運転開始時刻と上記基準時刻との差分として求められ、上記基準時刻を上記差分によって増減させることを特徴とする。
上記の方法によれば、暖房運転開始時刻の変動を予熱運転開始時刻にそのまま反映させるので、予熱運転開始時刻を暖房運転開始時刻の細かな変動にも追随させることができる。
本発明の態様14に係る空気調和機の制御方法は、上記態様9から12のいずれかにおいて、上記暖房運転開始時刻の変動量が大きいほど、上記基準時刻の修正量を大きくすることを特徴とする。
上記の方法によれば、暖房運転開始時刻の変動量に合わせて予熱運転開始時刻を変動させるので、予熱運転開始時刻から暖房運転開始時刻に至る時間に等しい予熱運転時間をできるだけ一定に保つことができる。
本発明の態様15に係る空気調和機の制御方法は、上記態様9から14のいずれかにおいて、上記基準時刻に基づいて算出された予熱運転開始時刻より所定時間早い時刻に、外気温を取得し、外気温が基準温度範囲内であれば上記予熱運転開始時刻を修正しない一方、外気温が上記基準温度範囲から低い温度の方へ外れるほど、予熱運転開始時刻を早めることを特徴とする。
上記の方法によれば、外気温が低くなるほど予熱運転開始時刻を早めるので、寒い季節の予熱時間をより充分に確保することができる。したがって、寒い季節における暖房運転の立ち上がりを、より速やかにすることができる。
本発明の態様16に係る空気調和機(1)の制御装置(4)は、空気調和機の暖房運転開始時刻(Tc)前に設定すべき予熱運転開始時刻(Tp)を算出する制御装置であって、ユーザの指示によって上記暖房運転開始時刻が所定の時間帯(Ts〜Te)の中で変動したかどうかを判定する時間帯判定部(変動判定部45)と、上記暖房運転開始時刻が所定の時間帯の中で変動したことを上記時間帯判定部が判定したときに、上記暖房運転開始時刻の変化を表す変動量に応じて基準時刻(Tm)を修正する基準時刻設定部とを備え、上記基準時刻は、空気調和機の暖房運転開始時刻に基づいて設定され、記憶部(6)に記憶されており、上記予熱運転開始時刻を算出するために参照されるものであることを特徴とする。
上記の構成によれば、既に説明したように、ユーザが予熱運転開始時刻の設定および修正の操作をしなくても、必要な予熱運転を実施できる空気調和機を提供できるという効果を奏する。
本発明の各態様に係る制御方法は、コンピュータに実行させてもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装方法に従って動作させる制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。