JP2017020623A - 車両用自動変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】解放側油圧室に油圧が供給される側で保持される故障が発生しても、係合装置の係合が可能になる構造を提供する。【解決手段】係合側油圧室72で発生する最大推力Fonmaxよりも、解放側油圧室86で発生する最大推力Foffmaxが小さくなるように、係合側油圧室72の受圧面積A1が解放側油圧室86の受圧面積A2よりも大きいため、解放側油圧室86に解放油圧Poffが供給される状態で保持される故障が発生した場合であっても、係合側油圧室72で発生する最大推力Fonmaxが解放側油圧室86で発生する最大推力Foffmaxよりも大きいため、第1クラッチC1を係合させることができる。結果として、車両の走行(退避走行)を実行することが可能となる。【選択図】図3
Description
本発明は、車両用自動変速機に備えられる油圧式の係合装置の構造に関するものである。
車両に備えられる自動変速機には、油圧によって作動する複数個の摩擦クラッチ(係合装置)が設けられている。特許文献1には、摩擦クラッチを係合側に作動させる油圧が供給される第1油圧室(係合側油圧室)と、摩擦クラッチを解放側に作動させる油圧が供給される第2油圧室(解放側油圧室)と、弾性力によって摩擦クラッチを係合側に作動させる付勢力を付与する弾性部材とを、備えて構成される摩擦クラッチが開示されている。
ところで、特許文献1に記載の摩擦クラッチにおいて、第2油圧室に油圧が供給される状態で保持される故障が発生した場合には、第1油圧室の油圧による推力と弾性部材の付勢力とによる摩擦クラッチを係合させる側の力よりも、第2油圧室の油圧による摩擦クラッチを解放させる側の力の方が大きくなり、摩擦クラッチを係合できなくなる可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、係合装置を係合側に作動させるための油圧が供給される係合側油圧室と、係合装置を解放側に作動させるための油圧が供給される解放側油圧室とを、備えて構成される係合装置を有する車両用自動変速機において、解放側油圧室に油圧が供給される状態で保持される故障が発生しても、係合装置の係合が可能になる構造を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)摩擦係合要素と、その摩擦係合要素を押圧するためのピストンと、そのピストンを摩擦係合要素の押圧側に移動させる推力を発生させるための油圧が供給される係合側油圧室と、そのピストンを摩擦係合要素から遠ざかる側に移動させる推力を発生させるための油圧が供給される解放側油圧室と、前記係合側油圧室および前記解放側油圧室に油圧を供給する油圧供給装置と、前記ピストンを前記摩擦係合要素の押圧側に付勢する弾性部材とを、含んで構成される油圧式の係合装置を有する車両用自動変速機であって、(b)前記油圧供給装置において、前記解放側油圧室に油圧が供給される状態で保持される故障が発生したとき、前記係合側油圧室で発生する最大推力よりも、前記解放側油圧室で発生する最大推力が小さくなるように、前記係合側油圧室の受圧面積の方が、前記解放側油圧室の受圧面積よりも大きいことを特徴とする。
このようにすれば、係合側油圧室で発生する最大推力よりも、解放側油圧室で発生する最大推力が小さくなるように、係合側油圧室の受圧面積の方が、解放側油圧室の受圧面積よりも大きいため、解放側油圧室に油圧が供給される状態で保持される故障が発生した場合であっても、係合側油圧室で発生する最大推力を解放側油圧室で発生する最大推力よりも大きくすることができ、係合装置を係合させることができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である車両用動力伝達装置10の一部であって、図示しないエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に介挿されるトルクコンバータ12および車両用自動変速機14(以下、自動変速機14)の骨子図である。
本実施例の車両は、所定の条件が成立するとエンジンを停止或いは再始動させる、所謂アイドルストップ機能を有している。例えば、信号待ちなどでブレーキペダルが踏み込まれると、エンジンが停止させられる。また、信号待ちでエンジンが停止させられた状態からの発進時において、ブレーキペダルの踏み込みが解除されると、エンジンが再始動させられる。
トルクコンバータ12は、エンジンと自動変速機14との間に介挿されている。トルクコンバータ12は、エンジンに接続されたポンプ翼車12p、自動変速機14の入力軸16に接続されたタービン翼車12t、およびワンウェイクラッチ17を介して非回転部材であるケース18に接続されているステータ翼車12sを含んで構成される、よく知られた流体式伝動装置である。また、ポンプ翼車12pとタービン翼車12tとの間を断接するロックアップクラッチ20が設けられている。
自動変速機14は、ケース18内において、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置22を主体として構成されている第1変速部24と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置26およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置28を主体としてラビニヨ型に構成されている第2変速部30とを、共通の軸線C上に備えて構成されている。
第1遊星歯車装置22は、第1サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、および第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を、備えて構成されている。
第2遊星歯車装置26は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持するキャリヤRCA、および第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合うリングギヤRRを、備えて構成されている。
第3遊星歯車装置28は、第3サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の第3遊星歯車P3a、P3b、その第3歯車P3a、P3bを自転および公転可能に支持するキャリヤRCA、および第3遊星歯車P3a、P3bを介して第3サンギヤS3と噛み合うリングギヤRRを、備えて構成されている。
第2変速部30において、第3遊星歯車装置28の第3遊星歯車P3bは、第2遊星歯車装置26の第2遊星歯車P2と共通化され、第2遊星歯車装置26のキャリヤRCAと第3遊星歯車装置28のキャリヤRCAとが共通の部材で構成されるとともに、第2遊星歯車装置26のリングギヤRRと第3遊星歯車装置28のリングギヤRRが共通の部材で構成される、所謂ラビニヨ型となっている。このように第2変速部30がラビニヨ型の遊星歯車装置で構成されることから、第2変速部30がコンパクトになる。
第1遊星歯車装置22の第1サンギヤS1は、ケース18に連結されている。第1遊星歯車装置22の第1キャリヤCA1は、入力軸16に連結されているとともに、第4クラッチC4を介して第2遊星歯車装置26の第2サンギヤS2に接続可能に構成されている。第1遊星歯車装置22の第1リングギヤR1は、第1クラッチC1を介して第3遊星歯車装置28の第3サンギヤS3に接続可能に構成されているとともに、第3クラッチC3を介して第2遊星歯車装置26の第2サンギヤS2に接続可能に構成されている。
第2遊星歯車装置26の第2サンギヤS2は、第1ブレーキB1を介してケース18に接続可能に構成されている。第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28のキャリヤRCAは、第2クラッチC2を介して入力軸16に接続可能に構成されているとともに、第2ブレーキB2を介してケース18に接続可能に構成されている。また、第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28のリングギヤRRは、出力ギヤ32に接続されている。なお、出力ギヤ32は、図示しない駆動輪に動力伝達可能に連結されている。
自動変速機14は、上記4つのクラッチC1〜C4、および2つのブレーキB1、B2を備えており、それ等のクラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2がそれぞれ係合、解放されることにより、第1変速部24および第2変速部30の各回転要素の連結状態が変更させられることで、第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」の8つの前進変速段が成立させられるとともに、後進変速段「Rev」が成立させられる。クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式の摩擦係合装置で、それぞれ係合、解放状態が切り換えられるとともに、係合、解放時の過渡油圧などが制御される。
図2は、上記各変速段を成立させる際の摩擦係合装置の作動状態を説明する係合作動表で、「○」は係合、空欄は解放を示している。図2に示すように、前進変速段では、第1クラッチC1と第2ブレーキB2との係合によって第1変速段「1st」が成立させられる。第1クラッチC1と第1ブレーキB1との係合によって第2変速段「2nd」が成立させられる。第1クラッチC1と第3クラッチC3との係合によって第3変速段「3rd」が成立させられる。第1クラッチC1と第4クラッチC4との係合によって第4変速段「4th」が成立させられる。第1クラッチC1と第2クラッチC2との係合によって第5変速段「5th」が成立させられる。第2クラッチC2と第4クラッチC4との係合によって第6変速段「6th」が成立させられる。第2クラッチC2と第3クラッチC3との係合によって第7変速段「7th」が成立させられる。第2クラッチC2と第1ブレーキB1との係合によって第8変速段「8th」が成立させられる。また、第3クラッチC3と第2ブレーキB2との係合よって後進変速段「Rev」が成立させられる。また、クラッチC、ブレーキBが何れも解放されることにより、動力伝達を遮断するニュートラル「N」が成立させられる。上記各変速段の変速比γ(=入力軸16の回転速度Nin/出力ギヤ32の回転速度Nout)は、第1遊星歯車装置22、第2遊星歯車装置26、および第3遊星歯車装置28の各変速比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3に応じて定められ、第1変速段「1st」の変速比γが最も大きく、高速側(第8変速段「8th」側)程小さくなる。
図3は、自動変速機14を構成する発進クラッチとして機能する第1クラッチC1の断面図である。第1クラッチC1は、第1遊星歯車装置22の第1リングギヤR1に連結されている第1回転部材40と、第3サンギヤS3に連結されている第2回転部材42と、第1回転部材40と第2回転部材42とを断接するための摩擦係合要素44と、摩擦係合要素44を押圧するためのピストン46と、ピストン46を軸線方向において摩擦係合要素44の押圧側に移動させる推力Fonを発生させるための油圧が供給される係合側油圧室72と、ピストン46を軸線方向において摩擦係合要素44から遠ざかる側(非押圧側)に移動させる推力Foffを発生させるための油圧が供給される解放側油圧室86と、係合側油圧室72および解放側油圧室88に油圧を供給するための油圧供給装置88と、軸線方向で第2回転部材42とピストン46との間に介挿されてピストン46を摩擦係合要素44の押圧側に付勢するスプリング48とを、含んで構成されている。なお、第1クラッチC1が本発明の係合装置に対応し、スプリング48が本発明の弾性部材に対応している。
ている。
ている。
第1回転部材40は、円筒状に形成され、軸線Cまわりに回転可能に配置されている。第1回転部材40の外周側には、摩擦係合要素44が配置されている。また、第1回転部材40の内周面には、円盤形状の支持プレート52が相対回転不能、且つ、軸線方向への移動不能に設けられている。
第2回転部材42は、軸線方向の一方が開口する有底二重円筒状に形成され、軸線Cまわりに回転可能に配置されている。第2回転部材42は、軸線Cの径方向内側に配置されている円筒形状の内側円筒部42aと、径方向外側に配置されている円筒形状の外側円筒部42bと、軸線Cに対して垂直な円盤形状を有し、内側円筒部42aおよび外側円筒部42の軸線方向の一方と連結されている円盤部42cとから構成されている。
内側円筒部42aは、内側円筒部42aの内周側に配置されている円筒部材54に対して相対回転可能に配置されている。軸線方向で内側円筒部42aと支持プレート52との間には、スラスト軸受56が介挿されている。また、内側円筒部42aの内周面と外周面とを径方向で連通する径方向油路78が形成されている。
外側円筒部42bの内周と第1回転部材40の外周との間に、摩擦係合要素44が配置されている。摩擦係合要素44は、第1回転部材40の外周面に相対回転不能、且つ、軸線方向への移動可能にスプライン嵌合されている複数枚の内側摩擦プレート58と、第2回転部材42の外側円筒部42bの内周面に相対回転不能、且つ、軸線方向への移動可能にスプライン嵌合されている複数枚の外側摩擦プレート60と、外側円筒部42bの内周面に軸線方向への移動不能に固定されているスナップリング62とを備えて構成されている。複数枚の内側摩擦プレート58および外側摩擦プレート60は、軸線方向で交互に積層されている。また、摩擦係合要素44の軸線方向でピストン46の背面側では、外側摩擦プレート60がスナップリング62に当接することで、外側摩擦プレート60の軸線方向への移動が規制されている。
摩擦係合要素44の軸線方向でスナップリング62の背面側に、ピストン46が配置されている。ピストン46は、軸線方向に移動可能に配置されている。
ピストン46は、軸線方向からみて径方向で摩擦係合要素44と重なる位置に配置される押圧部46aと、その押圧部46aから径方向内側に伸びる円盤部46bとから構成されている。
ピストン46は、軸線方向からみて径方向で摩擦係合要素44と重なる位置に配置される押圧部46aと、その押圧部46aから径方向内側に伸びる円盤部46bとから構成されている。
ピストン46の円盤部46bは、軸線方向で第2回転部材42の円盤部42cと隣り合っている。また、第2回転部材42の円盤部42cの径方向において中間付近に、軸線方向でピストン46側に向かって突き出す突起64が形成されている。これに関連して、ピストン46の円盤部46bには、前記突起64との干渉を防止するための屈曲部66が形成されている。
屈曲部66は、軸線方向で支持プレート52側に向かって凸状に屈曲しており、この屈曲部66によって、軸線方向で円盤部42c側に、突起64を収容するための環状の空間が形成される。また、突起64の外周側に形成される軸線Cに平行な面と、屈曲部66に形成される軸線Cに平行な内周面とが摺接しており、この互いに摺接する摺接面の間に、作動油の漏れを阻止するためのオイルシール68が介挿されている。また、ピストン46の円盤部46bの内周端面と、第2回転部材42の内側円筒部42aの外周面とが摺接しており、この互いに摺接する摺接面の間に、作動油の漏れを阻止するためのオイルシール70が介挿されている。
上記より、第2回転部材42とピストン46との間に、油密な空間である係合側油圧室72が形成されている。係合側油圧室72には、入力軸16に形成されている径方向油路74、円筒部材54を径方向に貫通する径方向油路76、および第2回転部材42の内側円筒部42aを径方向に貫通する径方向油路78を介して、後述する油圧供給装置88(図4参照)によって調圧された作動油が供給される。係合側油圧室72に作動油が供給されると、ピストン46が軸線方向で摩擦係合要素44側(押圧側)に移動させられるため、ピストン46は摩擦係合要素44を押圧する。このとき、ピストン46の押圧力に応じて、第1クラッチC1が半係合から完全係合の間で制御される。
軸線方向で第2回転部材42の円盤部42cとピストン46の円盤部46bとの間であって、径方向で突起64よりも外側には空間が形成されており、この空間にスプリング48が介挿されている。スプリング48は、ピストン46を軸線方向で摩擦係合要素44側(押圧側)に付勢している。
軸線方向でピストン46と支持プレート52との間には、中間部材80が設けられている。中間部材80は、円筒状に形成された円筒部80aと、その円筒部80aから径方向内側に向かって伸びる円盤状の円盤部80bとから構成されている。
円盤部80bは、第2回転部材42の内側円筒部42aに嵌め着けられているスナップリング81に当接することで、軸線方向の一方への移動が阻止されている。円筒部80aの外周面と、ピストン46の屈曲部66によって形成される軸線Cに平行な周壁面とが摺接しており、この互いに摺接する摺接面の間に、作動油の漏れを阻止するためのオイルシール82が介挿されている。また、円筒部80bの内周端面と、第2回転部材42の内側円筒部42aの外周面とが互いに摺接し、この互いに摺接する摺接面の間に、作動油の漏れを阻止するためのオイルシール84が介挿されている。
これより、ピストン46の円盤部46b、中間部材80、および第2回転部材42の内側円筒部42aによって囲まれる、油密な空間である解放側油圧室86が形成されている。解放側油圧室86には、図示しない油路を介して、油圧供給装置88によって調圧された油圧が供給される。解放側油圧室86に作動油が供給されると、ピストン46が軸線方向で摩擦係合要素44から遠ざかる側(非押圧側)に移動させられ、ピストン46が摩擦係合要素44を押圧しない位置まで移動すると、第1クラッチC1が完全に解放させられる。
図4は、係合側油圧室72および解放側油圧室86に油圧を供給する油圧供給装置88の構成を簡略的に示している。図示しないオイルポンプから吐出される油圧が、プライマリレギュレータバルブ90によってライン圧PLに調圧され、マニュアルバルブ92に供給される。また、プライマリレギュレータバルブ90の調圧時に排出された油圧が、セカンダリレギュレータバルブ94に供給され、そのセカンダリレギュレータバルブ94によって、プライマリレギュレータバルブ90から排出された油圧がライン圧PLよりも低圧のセカンダリ圧PL2に調圧される。
マニュアルバルブ92は、運転者によるシフト操作によって連通状態が切り替えられるものであり、本実施例では、動力伝達レンジであるドライブレンジ(Dレンジ)に切り替えられると、ライン圧PLがマニュアルバルブ92を介して第1ソレノイドバルブ96に供給される。そして、ライン圧PLを元圧として第1ソレノイドバルブ96によって調圧された作動油が、係合側油圧室72に供給される。また、セカンダリ圧PL2は、他のバルブを介することなく第2ソレノイドバルブ98に供給される。そして、セカンダリ圧PL2を元圧として第2ソレノイドバルブ98によって調圧された作動油が、解放側油圧室86に供給される。
上記のように構成される第1クラッチC1において、係合側油圧室72の油圧Pon(以下、係合油圧Pon)および解放側油圧室86の油圧Poff(以下、解放油圧Poff)がともにゼロの場合には、スプリング48の付勢力によって、ピストン46が軸線方向で摩擦係合要素44側の所定の位置まで移動させられる。この所定の位置は、摩擦係合要素44の内側摩擦プレート58と外側摩擦プレート60とが所定の力で押し付けられることで、第1クラッチC1が半クラッチ状態となる位置に設定されている。
また、第1クラッチC1が完全解放された状態では、係合側油圧室72から作動油が排出されることで、係合側油圧室72で発生する推力Fonはゼロとなる。また、解放側油圧室86に、第2ソレノイドバルブ98によって調圧された作動油が供給されることで、解放側油圧室86においてピストン46を軸線方向で円盤部42c側(摩擦係合要素44から遠ざかる側)に移動させる推力Foffが発生し、スプリング48の付勢力に抗ってピストン46が軸線方向で円盤部42c側に移動させられる。このとき、ピストン46と摩擦係合要素44とが乖離すると、第1クラッチC1が完全解放される。なお、解放側油圧室86で発生する推力Foffが、少なくてもスプリング48の付勢力よりも大きくなるように、解放油圧Poffが設定される。また、係合側油圧室72で発生する推力Fonは、係合側油圧室72の係合油圧Ponと係合側油圧室72の受圧面積A1との積(=Pon×A1)で算出され、解放側油圧室86で発生する推力Foffは、解放側油圧室86の解放油圧Poffと解放側油圧室86の受圧面積A2との積(Poff×A2)で算出される。
また、第1クラッチC1が完全係合された状態では、係合側油圧室72に、第1ソレノイドバルブ96によって調圧された作動油が供給され、係合側油圧室72においてピストン46を軸線方向で摩擦係合要素44側に移動させる推力Fonが発生する。また、解放側油圧室86の作動油が排出されることで、解放側油圧室86で発生する推力Foffはゼロとなる。このとき、係合側油圧室72で発生する推力Fonおよびスプリング48の付勢力によって、ピストン46の摩擦係合要素44側への移動量が最大となり、第1クラッチC1が完全係合される。
また、第1クラッチC1が解放された状態から係合される場合、解放側油圧室86の作動油が排出されるとともに、係合側油圧室72に第1ソレノイドバルブ96によって調圧された作動油が供給されることで、解放側油圧室86の解放油圧Poffがゼロとなり、スプリング48の付勢力によってピストン46が所定の位置に移動させられ、第1クラッチC1が半クラッチ状態となる。さらに、係合側油圧室72の係合油圧Ponによって発生する推力Fonによって、ピストン46が摩擦係合要素44側に移動させられ、ピストン46が摩擦係合要素44を押圧することで、第1クラッチC1が係合させられる。本実施例の車両にあっては、所定の条件が成立するとエンジンが停止または再始動するアイドルストップ機能を備えているが、エンジン始動直後は迅速な油圧の供給が困難となる。これに対して、スプリング48によって第1クラッチC1が半係合状態となる位置までピストン46が移動させられるので、速やかな発進が可能となる。
また、第1クラッチC1が完全係合状態から解放される場合、係合側油圧室72の作動油が排出されることで、係合側油圧室72の係合油圧Ponがゼロとなり、スプリング48の付勢力に応じた位置にピストン46が移動させられ、第1クラッチC1が半クラッチ状態となる。さらに、解放側油圧室86に第2ソレノイドバルブ98によって調圧された作動油が供給されることで、解放側油圧室86の解放油圧Poffによって発生する推力Foffによって、ピストン46が円盤部42c側(摩擦係合要素44から遠ざかる側)に移動させられ、第1クラッチC1が解放させられる。
ところで、油圧供給装置88において、例えば第2ソレノイドバルブ98の故障(フェール)によって、第2ソレノイドバルブ98から解放側油圧室86に油圧が供給される状態が保持される故障(所謂オンフェール)が発生すると、第1クラッチC1が解放されてしまい、走行不能(退避走行不能)となる可能性があった。
これに対して、本実施例の第1クラッチC1では、係合側油圧室72の係合油圧Ponによって発生可能な、ピストン46を摩擦係合要素44側に移動させる最大推力Fonmaxが、解放側油圧室86の解放油圧Poffによって発生可能な、ピストン46を摩擦係合要素44から遠ざかる側に移動させる最大推力Foffmaxよりも大きく設定されている。具体的には、係合側油圧室72で発生可能な最大推力Fonmax(=Ponmax×A1)よりも、解放側油圧室86で発生可能な最大推力Foffmax(=Poffmax×A2)が小さくなるように、係合側油圧室72の受圧面積A1の方が、解放側油圧室86の受圧面積A2よりも大きく形成されている。なお、Ponmaxは、係合側油圧室72に供給可能な最大油圧が対応し、本実施例ではライン圧PLが対応する。また、Poffmaxは、解放側油圧室86に供給可能な最大油圧に対応し、本実施例ではセカンダリ圧PL2が対応する。
本実施例では、ピストン46を摩擦係合要素44側に移動させる推力Fonを発生させるための係合側油圧室72の受圧面積A1が、ピストン46を摩擦係合要素44から遠ざかる側に移動させる推力Foffを発生させるための解放側油圧室86の受圧面積A2よりも大きく設定されている。
図3に示す係合側油圧室72を軸線方向から見た投影面積が受圧面積A1に該当する。すなわち、受圧面積A1は、突起64と屈曲部66との摺接面の位置を外形r1(半径r1)とし、内側円筒部42aの外周面とピストン46の内周端面との摺接面の位置を内径r2(半径r2)とする中空円の面積(=π×(r12−r22))が対応している。また、解放側油圧室86を軸線方向からみた投影面積が受圧面積A2に該当する。すなわち、受圧面積A2は、屈曲部66と円筒部80aとの摺接面の位置を外形r3(半径r3)とし、中間部材80の内周端部と内側円筒部42aの外周面との摺接面の位置を内径r2(半径r2)とする中空円の面積(=π×(r32−r22))が対応している。従って、受圧面積A1に対応する外形r1が、受圧面積A2に対応する外形r2よりも長いため、受圧面積A1が受圧面積A2に比べて大きくなる。
また、係合側油圧室72に供給される係合油圧Ponは、ライン圧PLを元圧として第1ソレノイドバルブ96によって調圧される。一方、解放側油圧室86に供給される解放油圧Poffは、ライン圧PL2よりも低圧のセカンダリ圧PL2を元圧として第2ソレノイドバルブ98によって調圧される。すなわち、係合側油圧室72には、ライン圧PLを元圧とする油圧が供給される一方、解放側油圧室86には、セカンダリ圧PL2を元圧とする油圧が供給される。従って、係合側油圧室72に供給可能な最大油圧Ponmaxは、ライン圧PLとなることから、解放側油圧室86に供給可能な最大油圧Poffであるセカンダリ圧PL2よりも高くなる。
上記のように、係合側油圧室72の受圧面積A1が解放側油圧室86の受圧面積A2よりも大きく、且つ、係合側油圧室72に供給可能な最大油圧Ponmaxが解放側油圧室86に供給可能な最大油圧Poffmaxよりも高いため、解放側油圧室86に油圧が供給される状態で保持される故障(オンフェール)が発生した場合であっても、係合側油圧室72で発生する最大推力Fonmaxが解放側油圧室86で発生する最大推力Foffmaxよりも大きくなる(Ponmax>Poffmax)。従って、上記故障が発生しても、係合側油圧室72で発生する最大推力Fonmaxによってピストン46を摩擦係合要素44側に移動させることができ、第1クラッチC1を係合させることができる。これより、車両の走行(退避走行)を継続させることができる。
また、油圧供給装置88において、解放側油圧室86には、マニュアルバルブ92を介すことなく作動油が供給されるため、マニュアルバルブ92によって切り替えられるシフトレンジに拘わらず解放側油圧室86に作動油を供給することができる。これより、例えばエンジン始動後のガレージシフトにおいて、PレンジからRレンジに切り替えられる場合、Pレンジの状態で解放側油圧室86に解放油圧Poffが供給され、第1クラッチC1が完全解放された状態でRレンジに切り替えられる。従って、スプリング48などに起因する第1クラッチC1での引き摺りが生じることなくRレンジに切り替えられ、Rレンジへの切替過渡期に発生するショックやエンストを防止することができる。
上述のように、本実施例によれば、係合側油圧室72で発生する最大推力Fonmaxよりも、解放側油圧室86で発生する最大推力Foffmaxが小さくなるように、係合側油圧室72の受圧面積A1の方が、解放側油圧室86の受圧面積A2よりも大きいため、解放側油圧室86に解放油圧Poffが供給される状態で保持される故障が発生した場合であっても、係合側油圧室72で発生する最大推力Fonmaxを解放側油圧室86で発生する最大推力Foffmaxよりも大きくできるに伴い、第1クラッチC1を係合させることができる。結果として、車両の走行(退避走行)を継続することが可能となる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、自動変速機14の発進クラッチに対応する第1クラッチC1に本発明の構成が適用されているが、本発明は、必ずしも第1クラッチC1に限定されるものではなく、自動変速機14に備えられる他のクラッチ(C2〜C4)やブレーキ(B1、B2)についても適宜適用することができる。すなわち、本発明の係合装置は、互いに回転可能な一対の回転部材を断接するクラッチだけでなく、回転部材の一方が非回転であり、係合することで他方の回転要素が回転停止させられるブレーキも含んでいる。
また、前述の実施例では、有段式の自動変速機14に本発明の構成が適用されているが、本発明は、必ずしも有段式の自動変速機に限定されるものではなく、例えばベルト式無段変速機の前後進切替装置に備えられるクラッチなど、油圧によって作動するクラッチを備えた自動変速機であれば、適宜適用することができる。
また、前述の実施例では、所定の条件が成立するとエンジンを停止或いは再始動させる、アイドルストップ機能を有するものであったが、本発明は、必ずしもアイドルストップ機能を有するものに限定されず、アイドルストップ機能を有さなくても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
14:車両用自動変速機
44:摩擦係合要素
46:ピストン
48:スプリング(弾性部材)
72:係合側油圧室
86:解放側油圧室
88:油圧供給装置
C1:第1クラッチ(係合装置)
44:摩擦係合要素
46:ピストン
48:スプリング(弾性部材)
72:係合側油圧室
86:解放側油圧室
88:油圧供給装置
C1:第1クラッチ(係合装置)
Claims (1)
- 摩擦係合要素と、該摩擦係合要素を押圧するためのピストンと、該ピストンを該摩擦係合要素の押圧側に移動させる推力を発生させるための油圧が供給される係合側油圧室と、該ピストンを該摩擦係合要素から遠ざかる側に移動させる推力を発生させるための油圧が供給される解放側油圧室と、前記係合側油圧室および前記解放側油圧室に油圧を供給する油圧供給装置と、前記ピストンを前記摩擦係合要素の押圧側に付勢する弾性部材とを、含んで構成される油圧式の係合装置を有する車両用自動変速機であって、
前記油圧供給装置において、前記解放側油圧室に油圧が供給される状態で保持される故障が発生したとき、前記係合側油圧室で発生する最大推力よりも、前記解放側油圧室で発生する最大推力が小さくなるように、前記係合側油圧室の受圧面積の方が、前記解放側油圧室の受圧面積よりも大きい
ことを特徴とする車両用自動変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015140754A JP2017020623A (ja) | 2015-07-14 | 2015-07-14 | 車両用自動変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015140754A JP2017020623A (ja) | 2015-07-14 | 2015-07-14 | 車両用自動変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017020623A true JP2017020623A (ja) | 2017-01-26 |
Family
ID=57890048
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015140754A Pending JP2017020623A (ja) | 2015-07-14 | 2015-07-14 | 車両用自動変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017020623A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7467868B2 (ja) | 2019-10-04 | 2024-04-16 | マツダ株式会社 | 自動変速機の潤滑制御装置 |
-
2015
- 2015-07-14 JP JP2015140754A patent/JP2017020623A/ja active Pending
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