JP2017017052A - コア及びリアクトル - Google Patents

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Abstract

【課題】金型への負担軽減と生産性を向上させるとともに、体格及びコストを低減させることのできるコアと、そのコアを用いたリアクトルを提供する。
【解決手段】複数のコア部材により環状形状を成し、その少なくとも一部にコイル5a、5bが巻回されてリアクトルに用いられるコアであって、周囲にコイル5a、5bが巻回される一対の脚部11と、当該一対の脚部11を繋ぐ一対の背面部12と、を有し、脚部11は、その断面形状が円形又は楕円形状の円柱形状を有する圧粉磁心であり、背面部13は、円柱形状の脚部11の側面に沿った形状で切欠かれた切欠き部13aを有し、円柱形状の脚部11の側面が切欠き部13aに沿って配置され、環状形状を成す。
【選択図】図5

Description

本発明は、コアと、コア及びコアの周囲に巻回されたコイルを備えるリアクトルに関する。
リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車の駆動システム等をはじめ、種々の用途で使用されている。例えば、車載用の昇圧回路に用いられるリアクトルとして、環状コアの周囲に配置した樹脂製のボビンにコイルを巻回した後、これらを金属製のケースに収容し、ケース内に充填材を流し込んで固めたものが多く用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
コイルとしては、例えば50A以上の大電流に対応するため、平角線により構成されたコイルを用いるのが一般的である。また、巻スペースを極力抑制するため、コイルはエッジワイズコイルが用いられている。
特開2011−124267号公報
従来のコアとしては、U字形状のコア部材(以下、U字型コアとも言う。)を用いて環状に構成されているものが用いられていた。例えば、図12に示すように、2つのU字型コアの両端をそれぞれ突き合わせてなるコアや、U字型コアとI字型コアを組み合わせて環状形状を成すコアが用いられていた。このようなコア形状にエッジワイズ巻線を巻回する場合、コイルの内形状は4箇所で曲げる必要があり、巻線工数が増えることとなり、かつ、そのための設備を増設する必要があるなど、製品コストが増大する要因になっていた。
また、大電流になるにつれて、コイルを構成する平角線の断面寸法も大きくなり、エッジワイズ巻きを行う上で線材の絶縁被覆の損傷を防ぐためにも、コイルの曲げを大きくする必要がある。そのため、コアとコイルとの距離が必然的に大きくなる傾向にあった。その結果、リアクトルの体格増大や、直流抵抗の増大に伴う損失の悪化が問題となっていた。
これらの製品コスト及びリアクトル体格の増大、直流抵抗の増大に伴う損失悪化の問題は、リアクトルのコアとしてU字型コアを用いていたことが一因である。
一方、U字型コアにおいては、その成形をする際に金型への負担が大きく金型の耐久性が低下していた。すなわち、圧粉磁心からなるU字型コアを成形する際には、圧粉磁心を構成する磁性粉末にかかる単位面積当たりの加圧力は、フェライトコアと比べて2〜3倍以上となり、金型の負担が大きい。特に、図13に示すように、U字型コアを成形する場合には、U字のエッジ部分に応力が集中することから金型の耐久性が低下してクラックCが発生し、金型が破損する場合があった。
また、高周波用途のリアクトルのコアを作製するためには、硬い磁性粉末が用いられた圧粉磁心が必要であるが、磁性粉末が硬いと成形性が悪化し、生産性が悪化していた。
ところで、コイルへの通電により環状のコアには磁束が発生し、コアの内部に磁束が通過することで閉磁路が形成される。この磁束は、環状コア内部の内側を通る傾向がある。そのため、環状コア内部の外側部分は通過する磁束が少なく、磁気特性への寄与が小さい。特に、コイルが巻回されていないコア部分、いわゆるヨーク部のうち、その内部の外側部分は磁気特性への寄与が小さく、リアクトルの重量、体積、及びコストを増大させる要因になっていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、金型への負担軽減と生産性を向上させるとともに、体格及びコストを低減させることのできるコアと、そのコアを用いたリアクトルを提供することにある。
本発明のコアは、複数のコア部材により環状形状を成し、その少なくとも一部にコイルが巻回されてリアクトルに用いられるコアであって、次の構成を有することを特徴とする。
(1)周囲に前記コイルが巻回される一対の脚部と、当該一対の脚部を繋ぐ一対の背面部と、を有すること。
(2)前記脚部は、その断面形状が円形又は楕円形状の円柱形状を有する圧粉磁心であり、前記背面部は、円柱形状の前記脚部の側面に沿った形状で切欠かれた切欠き部を有し、円柱形状の前記脚部の側面が前記切欠き部に沿って配置され、環状形状を成すこと。
本発明のコアは、複数のコア部材により環状形状を成し、その少なくとも一部にコイルが巻回されてリアクトルに用いられるコアであって、次の構成を有することを特徴とする。
(3)周囲に前記コイルが巻回される一対の脚部と、当該一対の脚部を繋ぐ一対の背面部と、を有すること。
(4)前記脚部は、その断面形状が円形又は楕円形状の円柱形状を有する圧粉磁心であり、前記背面部は、概略六角形状の平板であり、前記一対の脚部の両端面が、前記一対の背面部の向かい合う面に対面するように配置され、環状形状を成すこと。
また、本発明のコアは、次の構成の少なくとも何れかを有していても良い。
(5)前記脚部は、円形又は楕円形状の端面が露出していること。
(6)前記脚部は、ビッカース硬度が50以上の磁性粉末を含み構成されていること
本発明のリアクトルは、上記の何れかのコアと、当該コアの脚部の周囲に巻回されたコイルとを備えたリアクトルである。特に、次の構成を備えたことを特徴とする。
(7)前記コイルは、アルファ巻きで構成され、前記コイルが前記円柱形状の前記脚部の周囲に装着されていること。
本発明のリアクトルは、次の構成の少なくとも何れかを有していても良い。
(8)前記脚部は、前記背面部より高密度であること。
(9)前記脚部は、前記背面部より低鉄損の材料で構成されていること。
(10)前記脚部の圧粉磁心は、磁性粉末として、Fe−Si合金、センダスト、アモルファス合金又はこれら二種以上の混合粉を用いて構成されたこと。
(11)前記コイルは、平角線で構成されていること。
(12)前記コアを被覆する樹脂部材を備え、前記脚部と前記背面部との間には、前記樹脂部材の厚みでギャップが構成されていること。
本発明によれば、金型への負担軽減と生産性を向上させるとともに、体格及びコストを低減させることのできるコアと、そのコアを用いたリアクトルを得ることができる。
第1の実施形態に係るリアクトルの斜視図である。 第1の実施形態に係るリアクトルの分解斜視図である。 第1の実施形態に係る環状コアの斜視図である。 第2の実施形態に係るリアクトルの斜視図である。 第2の実施形態に係るリアクトルの分解斜視図である。 第2の実施形態に係る環状コアの斜視図である。 第2の実施形態に係る背面部の変形例を示す図である。 脚部成形における金型への応力評価を示す表である。 リアクトルの特性の検証に用いた環状コアの斜視図である。 リアクトルの特性を示す表である。 実施例及び比較例のインダクタンス特性を示すグラフである。 従来のU字型コアにより構成される環状コアの斜視図である。 従来技術における金型への負担を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のコアと、そのコアを用いたリアクトルについて説明する。
[1.第1の実施形態]
[1−1.構成]
図1は、本実施形態に係るリアクトルの斜視図であり、図2は、本実施形態に係るリアクトルの分解斜視図である。
本実施形態のリアクトルは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車の駆動システム等で使用される大容量のリアクトルである。リアクトルは、これら自動車に搭載される電気回路の主要部品である。この電気回路は、リアクトルの他、IGBT等の半導体スイッチング素子を有する。リアクトルは、半導体スイッチング素子のオンオフが高速に行われることにより、外部電源から供給される電気エネルギーを磁気エネルギーに変換し、当該エネルギーの蓄積及び放出を繰り返し、電流や電圧を抑制する。
図1及び図2に示すように、リアクトルは、環状コア10と、環状コア10の一部の外周に装着されたコイル5a、5bと、環状コア10の外周を覆い、環状コア10とコイル5a、5bとを絶縁する樹脂部材20とを有している。
図3は、環状コア10の斜視図である。図2及び図3に示すように、環状コア10は、複数のコア部材からなり、環状になるように構成されている。これらコア部材としては、一対の円柱形状の脚部11と、当該脚部11の両端と繋ぐブロック状の背面部12とが設けられている。すなわち、環状コア10は、平行に並んだ一対の脚部11の両端面が、背面部12の向かい合う面に対面するように配置されて環状形状が構成されている。なお、脚部11と背面部12は、本実施形態では樹脂部材20を介して接続されているが、スペーサを介して接続しても良いし、直接接触するように接続しても良い。
脚部11は、柱状でその周面の形状が丸みを帯びた形状を有し、本実施形態では、円柱形状である。この円柱形状には、その柱の延び方向と直交する断面の形状が、円形である場合も楕円形である場合も含まれる。換言すれば、脚部11の円柱が延びる方向と直交する断面形状には、応力が集中するようなエッジ箇所がない。この脚部11には、その周面にコイル5a、5bが巻回されており、コイル5a、5bに電流が流れた場合には、脚部11に磁束が発生する。
脚部11は、複数の円柱形状の圧粉磁心から構成しても良い。例えば、円柱形状の軸を揃えて、所定のギャップを介して並べて構成しても良い。
背面部12は、ブロック状のコア部材であり、ここでは、平板状で概略六角形状のコア部材である。背面部12には、コイル5a、5bは巻回されない。背面部12は、脚部11で発生した磁束が通過するコア部材であり、ヨーク部とも称される。なお、概略六角形状には、六角形状と、その角部分が丸みを帯びた六角形状が含まれる。
背面部12は、図3から明らかなように、その高さ方向の長さが、脚部11の直径よりも長く構成されている。高さ方向の長さとは、図3に示すz方向の背面部12の長さ(図3中の符号H)であり、以下では単に、背面部12の高さともいう。背面部12の高さ方向の長さについて詳細に説明すると、背面部12は、磁束が通過する部分であるため、その断面積を確保する必要がある。そのためには、背面部12の高さか、脚部11の延び方向と同一方向の背面部12の厚みかを長くする必要があるが、脚部11の周囲にコイル5a、5bのデッドスペースの有効活用と全体的な体格小型化の観点から、厚みを厚くするのではなく、高さを脚部11の直径よりも長くし、コア断面積を確保している。なお、ここにいう背面部12の厚みとは、脚部11の延び方向と同方向の背面部12の長さをいい、この厚み方向と高さ方向とは直交する関係にある。
脚部11及び背面部12の実施例は、詳しくは後述するが、脚部11及び背面部12は、圧粉磁心からなる。この圧粉磁心は、ビッカース(Vickers)硬度が50以上の磁性粉末を含んで構成される。ビッカース硬度は、物質の硬さを表す尺度の一つであり、試料に対する荷重とくぼみの表面積の比で定義される。ビッカース硬度が50以上の磁性粉末としては、純鉄、Fe−3.5%Si合金、センダスト、Fe−6.5%Si合金、アモルファス合金のいずれか、又はこれら2種以上の混合粉を用いることができる。また、後述の実施例に示すように、脚部11は、背面部12より低鉄損の材料で構成しても良い。脚部11は、背面部12より高密度としても良い。なお、上記の材料で言えば、純鉄、Fe−3.5%Si合金、Fe−6.5%Si合金、センダスト、アモルファス合金の順で低鉄損である。
樹脂部材20は、環状コア10の周囲を被覆する樹脂からなる部材であり、環状コア10に倣った形状を有する。樹脂部材20は、脚部11の周囲を被覆する樹脂体21と、背面部12の周囲を被覆する樹脂体22とから構成される。樹脂部材20を構成する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等を用いることができる。
樹脂体21は、円柱形状の脚部11の周囲を被覆するため、その形状は円筒形状である。樹脂体21の両端からは、脚部11の円形の端面が露出している。樹脂体22は、背面部12に倣った形状を有し、脚部11が接続される箇所には収容部22aが設けられている。収容部22aは、リアクトル組立時に脚部11の位置決めとして用いられる。すなわち、脚部11の一端が収容部22aの凹み部分に装着される。樹脂体22の厚み分、脚部11と背面部12の間にギャップが設けられる。また、樹脂体22には、背面部12の一部が露出する開口部22bが設けられている。
樹脂体21、22の製造方法としては、例えば、脚部11、背面部12をインサート品として樹脂をモールドする成形法が挙げられる。
コイル5a、5bは、絶縁被覆された導線であり、アルファ巻きで構成されている。アルファ巻きは、絶縁被覆された導線を内側から外側に積層するように巻く方式である。コイル5a、5bは、エッジワイズコイルであっても良いが、本実施形態のコイル5a、5bは、アルファ巻きであるため、エッジワイズコイルが断面矩形状の4箇所で曲げが大きくなる箇所があるのに対して、コイル5a、5bの曲げが一定している。コイル5a、5bは、脚部11の周囲に設けられる。すなわち、コイル5a、5bの装着は、リアクトルの組立時において、コイル5a、5bの空芯部に脚部11を挿入してなされる。本実施形態では、コイル5a、5bは、平角線で構成されているが、丸線で構成されていても良い。
コイル5a、5bは、端部50a、50bが引き出されており、これら端部50a、50bが外部電源などの外部機器と電気的に接続される。ここでは、コイル5a、5bは、コイル5a、5bと同一の素材からなる連結線により連結されており、端部50a、50bのいずれかから流入した電流が他方の端部50a、50bから外部に流出する。コイル5a、5bに通電されると、コイル5a、5bの空芯部を貫く磁束が発生するようになっている。
[1−2.コア部材の製造方法]
環状コア10を構成する円柱形状の脚部11とブロック状の背面部12の製造方法について説明する。脚部11と背面部12は、圧粉磁心からなり、両者は形状が異なるだけで製造方法は基本的に同じである。以下では、圧粉磁心の製造方法を説明する。
圧粉磁心の製造方法は、大きく分けて次のような工程を有する。
(a)磁性粉末に対しシリコーン樹脂を混合し、絶縁被膜を形成する混合工程。
(b)混合工程で得られた混合物を加圧成形する加圧成形工程。
(c)加圧成形工程で得られた成形体を焼鈍する焼鈍工程。
以下、各工程について、詳細に説明する。
(a)混合工程
混合工程では、磁性粉末に対しシリコーン樹脂を混合し、磁性粉末の表面にシリコーン樹脂からなる絶縁被膜を形成する。
磁性粉末は、Fe、Co、Ni等の遷移元素の強磁性元素を主成分とする磁性粉末を用いる。特に、Feを主成分とする磁性粉末であって、純鉄粉、Fe−Si合金、センダスト合金(Fe−Si−Al合金)、アモルファス粉などを用いると良い。Feを主成分とする磁性粉末には、CoやAlが含まれていても良い。また、磁性粉末としては、複数種類の磁性粉末の混合粉末を用いてもよい。例えば、純鉄粉とFe−49Co−2V(パーメンジュール)粉、純鉄粉とFe−3Si粉、センダスト(Fe−9Si−6Al)粉と純鉄粉のなどの混合粉末が挙げられる。また、圧粉磁心の材料に用いる磁性粉末のビッカース硬度は50以上であることが好ましい。
磁性粉末の粒径は、1〜300μmであり、好ましくは20〜200μmである。300μm超だと高密度化や渦電流損の低減化が図りにくく、1μm未満だとヒステリシス損失の低減化が図りにくい。なお、ここにいう「粒径」は、所定メッシュサイズの篩いによって分級したときに定まるメジアン径である。
磁性粉末の製造方法は、特に限定はないが、粉末作製後にジェットミルなどで球形状に加工されていても良い。一般には、球形状とすることで磁気特性が向上するが、粉末同士のアンカー効果が低下し、機械的強度が低下するため使用を避ける傾向にある。しかし、本実施形態では、脚部11の形状を円柱形状としたことで、高い圧力でプレス可能であるので、球形状の磁性粉末であっても、機械的強度が向上した成形体を得ることができる。
シリコーン樹脂は、熱によって縮合及び硬化する加熱硬化型のものと、室温で硬化する室温硬化型のものを用いることができる。本実施形態では、加熱硬化型で70〜300℃程度でシロキシサン結合による架橋が進行し、縮合及び硬化するものを用いる。シリコーン樹脂としては、レジン系、シラン化合物系、ゴム系シリコーン、シリコーンパウダー、有機変性シリコーンオイル、又はこれらの少なくとも2種以上の複合物を用いることができる。特に、耐熱性、耐候性、耐湿性、電気絶縁性、及び、混合する際の簡便性の点から、ストレートシリコーンレジンが好ましい。
シリコーン樹脂の付着量は、磁性粉末に対して、0.01〜1.0wt%であることが好ましい。付着量が0.01wt%より少ないと、絶縁性が低下し、電気抵抗が低くなる。付着量が1.0wt%より多いと加熱乾燥後の粉末がダマになりやすく、また加圧成形後の成形体は磁性粉末周囲のシリコーン樹脂の膜厚が大きくなるため、スプリングバックの影響を受けて膨張して高密度化し難く、またクラックが発生しやすくなる。
混合工程後には、磁性粉末を加熱乾燥させる。この乾燥工程後に得られた混合物が凝集、固化している場合は、解砕又は粉砕を行っても良い。
(b)加圧成形工程
混合工程後に得られた混合物を、所定形状のキャビティを有する金型へ充填し、当該混合物をプレスにより加圧成形して成形体を作製する。キャビティの形状は、脚部11を作製する場合には円柱形状、背面部12を作製する場合には、ブロック形状である。例えば、脚部11の場合、円柱形状を成す面のうち、円形状をした両端面からプレスする。そのため、成形体の両端面は平面となる。
混合物を金型へ充填させる際には、金型の内壁や混合物に潤滑剤を添加しても良い。潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウムなどの金属石鹸、ワックスなどのワックス状若しくは脂肪性材料、又はエチレンビスステアルアミド組成物、シリコーンオイル等を用いることができる。
成形体を作製する成形圧力は、成形圧力を1480MPa以下とすることが金型の寿命や生産性の観点から好ましい。また、成形体の強度をより強固とするために、例えば、低融点ガラス粉末や水ガラス(ケイ酸ナトリウム)などのバインダーを混合後に得られた混合物に添加しても良い。
(c)焼鈍工程
焼鈍工程は、加圧成形工程により得られた成形体を熱処理する。焼鈍工程は、成形体中の残留歪みや残留応力の除去を目的としてなされ、焼鈍工程により、圧粉磁心の保磁力やヒステリシス損失の低減を図ることができる。
残留歪みは、焼鈍温度が高い程有効に除去されるが、耐熱性を有するシリコーン樹脂であっても絶縁被膜に部分的な破壊が生じる場合がある。そこで、シリコーン樹脂の耐熱性や磁性粉末の熱膨張をも考慮して焼鈍温度を決定することが好ましい。例えば、焼鈍温度は、500〜800℃とすると、残留歪みの除去とシリコーン樹脂の絶縁被膜の保護との両立を図ることができる。
焼鈍工程においては、成形体の温度が焼鈍温度に到達するまでに、成形体を、潤滑剤が分解する温度領域で一度保持した方が良い。焼鈍温度まで急速に温度上昇させると、潤滑剤の分解ガスが成形体内部より急激に発生するため、成形体内部にクラックが発生し、機械的強度が著しく低下する虞があるからである。
焼鈍雰囲気は、非酸化雰囲気が好ましい。例えば、真空雰囲気や不活性ガス雰囲気である。不活性ガス雰囲気としては、H、N、Ar雰囲気が挙げられる。非酸化雰囲気にすることにより、圧粉磁心やこれを構成する磁性粉末が過度に酸化されて、磁気特性が低下するのを抑止することができる。
焼鈍工程の加熱時間は、焼鈍工程の効果と経済性とを考慮して10〜180分が好ましい。より好ましくは、30〜90分である。
[1−3.作用・効果]
(1)本実施形態のコアは、複数のコア部材により環状形状を成し、その少なくとも一部にコイル5a、5bが巻回されてリアクトルに用いられるコアであって、周囲にコイル5a、5bが巻回される一対の脚部11と、当該一対の脚部11を繋ぐ一対の背面部12と、を有し、脚部11は、その断面形状が円形又は楕円形状の円柱形状を有する圧粉磁心であり、背面部12は、概略六角形状の平板であり、一対の脚部11の両端面が、一対の背面部12の向かい合う面に対面するように配置され、環状形状を成すようにした。
これにより、脚部11を作製する際に、その断面形状が丸みを帯びてエッジ部分がないので、金型への応力が一箇所に集中することなく分散されるので、金型への負担を軽減することができるとともに、環状コア10の生産性を向上させることができる。また、コイルが巻回される脚部11を円柱形状としているので、その周囲に巻回されるコイル5a、5bをより脚部11に近づけることができ、リアクトル体格の小型化が可能になる。
さらに、環状コア10において、磁束は環状コア10の内側を通る傾向にあり、外側部分の寄与は小さい。本実施形態では、背面部12を概略六角形状の平板としているので、矩形状と比べて四隅分のコア使用量が削減されるので、環状コア10及びリアクトルの重量、体積、及びコストを低減させることができる。
(2)脚部11は、ビッカース硬度が50以上の磁性粉末を含み構成するようにした。このようにしても、脚部11の成形性を向上させることができる。すなわち、一般には、硬い磁性粉末をプレスにより成形して圧粉磁心を構成する場合には、硬い分だけ成形性が悪化する。本実施形態では、ビッカース硬度が50以上とした硬い磁性粉末であっても、脚部11の形状を円柱形状としているので、特定の箇所にプレスによる応力が集中することがなく、高圧でプレスして成形することが可能であり、成形性を向上させることができる。
(3)本実施形態のリアクトルは、円柱形状を有する脚部11を備えた環状コア10と、環状コア10の脚部11の周囲に巻回されたコイル5a、5bとを備えるようにした。特に、コイル5a、5bは、アルファ巻きで構成され、コイル5a、5bが円柱形状の脚部11の周囲に装着するようにした。コイル5a、5bが巻回される脚部11の形状を円柱形状として、コイル5a、5bをアルファ巻きとすることにより、より脚部11に近い形に配置することができる。従って、リアクトルの体格を小さくすることができるとともに、コイル5a、5b自体も小さくなるので直流抵抗をより小さくすることができる。
(4)環状コア10のうち、コイル5a、5bが巻回された脚部11は、コイル5a、5bが巻回されていない背面部12より、高密度とした。磁束が発生する箇所は、コイル5a、5bが巻回された脚部11であり、コイル5a、5bが巻回されてない背面部12は発生した磁束が通過する通り道となるだけである。そのため、磁束発生箇所の脚部11を高密度とし、磁束通過箇所となる背面部12を低密度としても、鉄損の増加を抑えつつ、高いインダクタンス特性を得ることができる。
(5)脚部11は、背面部12より低鉄損の材料で構成するようにした。これにより、これにより、脚部11の発熱を軽減することができ、脚部11の周囲にコイル5a、5bが巻回されて放熱性が悪くなったとしても、カバーすることができる。
(6)脚部11の圧粉磁心は、磁性粉末として、Fe−Si合金、センダスト、アモルファス合金又はこれら二種以上の混合粉を用いて構成するようにした。これにより、高周波用途のリアクトルを得ることができる。すなわち、脚部11を円柱形状としたことで、ビッカース硬度が高い磁性粉末を用いて脚部11を構成可能となった。ここで、図8に示すように、ビッカース硬度が高くなるにつれて、周波数帯域も高くなる傾向にある。従って、Fe−Si合金、センダスト、アモルファス合金又はこれら二種以上の混合粉のようなビッカース硬度が高いものを磁性粉末として用いているので、高周波用途のリアクトルを得ることができる。なお、ここにいう高周波とは、例えば、20kHz〜100kHzである。
(7)コイル5a、5bは、平角線で構成するようにした。これにより、例えば丸線などよりも比較的線材の断面積が大きく、大電流用途のリアクトルを得ることができる。さらに、丸線と比較して占積率を高めることができ、リアクトルの小型化を図ることができる。
(8)環状コア10を被覆する樹脂部材20を備え、脚部11と背面部12との間には、樹脂部材20の厚みでギャップを構成するようにした。これにより、コイル5a、5bの磁束の漏れを抑制でき、損失を低下することができる。また、別途のギャップスペーサを設ける必要がないので、リアクトル組立時に当該スペーサの取付けが不要で、組立性を向上させることができる。
[2.第2の実施形態]
[2−1.構成]
第2の実施形態について、図4〜図7を用いて説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と基本構成は同じである。よって、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図4は、第2の実施形態のリアクトルの斜視図である。図5は、第2の実施形態のリアクトルの分解斜視図である。図6は、第2の実施形態の環状コアの斜視図である。
第2の実施形態では、環状コア10の構成が異なる。すなわち、第2の実施形態の環状コア10は、一対の円柱形状の脚部11と、これらに挟まれる一対の背面部13とを有しており、背面部13の形状が異なる。脚部11は、第1の実施形態と同様に、その断面形状が円形又は楕円形の円柱形状の圧粉磁心である。背面部13は、第1の実施形態の背面部12と同様にブロック状であるが、その全体形状は概略矩形状であり、その側部が内側にくぼむように切欠かれた切欠き部13aが設けられている。切欠き部13aは、本実施形態では、脚部11の外周面の形状に合わせた形状を有しており、円弧状である。
なお、背面部13の変形例として、背面部13の切欠き部13aは、図7に示すように、円形の開口13bとし、この開口13bに脚部11を挿入するようにしても良い。この場合、開口13bから脚部11の端面が露出する。
環状コア10は、一対の平行な脚部11の側面に沿って背面部13が配置されて環状形状を成している。換言すれば、脚部11の円形状の平面が外部に露出している。なお、図6では、背面部13の切欠き部13aと脚部11の側面とは離間している。脚部11が樹脂体21で被覆され、また、背面部13の切欠き部13aも樹脂体24で被覆されており、これらの分の厚みがあるからである。但し、脚部11の側面を直接切欠き部13aに接触させても良い。
樹脂部材20は、脚部11の周囲を被覆する樹脂体23と、背面部13を被覆する樹脂体24とを有している。樹脂体23は、脚部11の周囲を被覆する樹脂からなる部材であり、その周囲にコイル5a、5bが装着される。樹脂体23は、第1の実施形態の樹脂体21と同様に円筒形状であり、その両端部は開口し、脚部11の円形の平面が露出している。
樹脂体24には、脚部11を挿入する開口部24aと、背面部13の側面が露出する開口部24bとが設けられている。開口部24aは、脚部11の断面形状に倣って円形状であり、樹脂体24を貫通して設けられている。従って、樹脂体23で被覆された脚部11の端部が開口部24aに挿入されると、開口部24aから脚部11の円形の端面が外部に露出する。
樹脂部材20は、脚部11の端部側面と背面部13の切欠き部13との間のギャップとして機能する。すなわち、樹脂体23は、脚部11の端面を除いて脚部11を被覆しており、当該脚部11端部の周囲の樹脂厚が背面部13とのギャップを構成する要素となり、背面部13は、切欠き部13aを被覆しており、切欠き部13aを被覆する部分の樹脂厚が脚部11の端部側面とのギャップを構成する要素となる。脚部11及び切欠き部13a間のギャップは、樹脂体23又は樹脂体24の何れかのみで管理するようにしても良い。
[2−2.作用・効果]
(1)本実施形態のコアは、脚部11は、その断面形状が円形又は楕円形状の円柱形状を有する圧粉磁心であり、背面部13は、円柱形状の脚部11の側面に沿った形状で切欠かれた切欠き部13aを有し、円柱形状の脚部11の側面が切欠き部13aに沿って配置され、環状形状を成すようにした。
これにより、第1の実施形態と同様に、脚部11を作製する際に、その断面形状が丸みを帯びてエッジ部分がないので、金型への応力が一箇所に集中することを抑制でき、金型への負担を軽減することができるとともに、環状コア10の生産性を向上させることができる。
また、切欠き部13aを設けたことで、背面部13は、第1の実施形態の背面部12よりもさらに、通過する磁束の少ない環状コア10外側部分のコア使用量が削減されるとともに、切欠き部13aを設けた分、脚部11が背面部13に食い込むように配置できるので、環状コア10及びリアクトルの重量、体積、及びコストを低減させることができる。さらに、図7に示すような平板状に開口が設けられた背面部13と比べても、環状コア10及びリアクトルの重量、体積、及びコストを低減させることができる。さらに、切欠き部13aが脚部11の位置決め部材として機能させることができる。
(2)脚部11は、円形又は楕円形状の端面が外部に露出するようにした。これにより磁束が発生する円柱形状の脚部11において、鉄損により生じた発熱を効率良く外部を逃がすことができる。例えば、本実施形態のコアを用いたリアクトルをアルミニウムなどの放熱性を有する素材からなるケースに収容する場合に、露出した円形又は楕円形状の端面をケースに接触させて収容することが可能になり、放熱性を向上させることができる。
また、図7に示す背面部13の開口13bに脚部11を挿入し、脚部11の円形又は楕円形の端面を外部に露出するようにしても良い。これにより、上記のように、放熱性を向上させることができる。
[3.実施例]
[3−1.脚部成形における金型への応力評価]
脚部成形における金型への応力評価について説明する。第1及び第2の実施形態では、脚部11の形状を円柱形状とした。円柱形状の脚部11(「円柱コア」ともいう)のサンプルは、上記の(a)混合工程、(b)加圧成形工程、(c)焼鈍工程を経て作製される。
より詳細な条件を示すと、混合工程において磁性粉末は、平均粒子径(D50)で30〜50μmとし、各サンプルの主材となる磁性粉末は、それぞれ純鉄、Fe−3.5%Si合金、センダスト、Fe−6.5%Si合金、アモルファス合金とした。また、シリコーン樹脂の添加は、磁性粉末に対して0.8wt%とした。
加圧成形工程においては、潤滑剤はケノルーブ(ヘガネス社製)とし、その添加量は、混合工程により得られた混合物に対して0.5wt%とした。そして、潤滑剤が含まれた混合物を金型のキャビティへ充填し、プレスにより加圧して円柱形状の成形体を作製する際の成形圧力比は、図8に示すように、上記磁性粉末の種類の順に示すと1.00、1.20、1.35、1.50、2.00とした。
また、U字型コアを比較例とする。その作製条件は、円柱コアのサンプルと同様の条件である。U字型コアは、円柱コアと形状のみが異なり、磁性粉末の素材は、それぞれ純鉄、Fe−3.5%Si合金、センダスト、Fe−6.5%Si合金、アモルファス合金とした。
各磁性粉末の比抵抗、ビッカース硬度、及び成形圧力比を図8に示す。成形圧力比は、純鉄でU字型コア及び円柱コアを成形する際の圧力を基準としている。図8に示すように、比抵抗、ビッカース硬度、成形圧力比には相関がある。すなわち、比抵抗が大きくなる、すなわち低鉄損化するにつれて、ビッカース硬度が高くなる。磁性粉末の硬度が高くなると、同じ圧力でプレスしても磁性粉末が変形しないため、成形密度が低下することとなり、比抵抗や磁気特性が低下してしまう。そのため、成形密度を上げるため、高い圧力でプレスする必要があり、金型にクラックが生じやすくなる。
応力解析によって、金型への最大応力値より金型にクラックが生じるかを検証した。最大応力値は、図8に示す成形圧力比が示す圧力でプレスした場合に金型に加わる最大の応力値である。クラックが生じない場合を「Good」、クラックが生じる場合を「NG」として図8に示す。
図8に示すように、U字型コアを作製する場合、磁性粉末が純鉄、Fe−3.5%Si合金のときは、金型にクラックが生じないが、センダスト、Fe−6.5%Si合金、アモルファス合金のときは、金型にクラックが生じる。これは硬い磁性粉末を使用した場合には成形性が悪化するため、より強い力で押圧しないと成形できないことに起因する。
一方、円柱コアは、磁性粉末が純鉄、Fe−3.5%Si合金、センダスト、Fe−6.5%Si合金、アモルファス合金のときの何れの場合であっても、クラックが生じない。すなわち、円柱コアの断面形状が円形であるため、金型に加わる応力が分散されるため、金型への負担が軽減できることが分かる。
一般に、リアクトルが使用される回路の周波数が高い程、圧粉磁心の損失は大きくなる傾向にある。そのため、できるだけ低鉄損特性を有する磁性粉末、換言すれば比抵抗が大きい磁性粉末を用いることが必要となるが、比抵抗が上がると磁性粉末の硬度も増大するため、成形性が悪化する問題がある。成形性を向上させるためには、より大きな圧力でプレスする必要があるため、金型への負担が大きく、破損の原因となっていた。
本実施形態では、脚部11の形状を円柱形状とすることにより、加圧成形時の金型への応力を均等に分散させることで、金型の負担を軽減し、耐久性を向上させることができる。また、脚部11を円柱形状という単純な形状としたことで、均等にプレスできるので、成形のバラツキが少なく、生産性を向上させることができる。
[3−2.リアクトルの特性]
リアクトルの特性について説明する。リアクトルは、環状コアの周囲にコイルを巻回し、リアクトルを作製した。環状コアは、実施例においては、図9に示すように、2つの円柱形状からなる圧粉磁心を、ギャップを介して接続して脚部11を構成し、一対の脚部11で一対の背面部13を挟んで環状に構成した。なお、背面部13の切欠き部13aと脚部11の側面とは接触しており、ギャップレスである。比較例においては、図12に示すように、2つのU字型コアの脚部を向かい合わせるようにして環状コアを構成しており、向かい合う脚部間にはギャップが設けられている。
環状コアを構成する脚部とヨーク部の材質は、図10の通りであり、純鉄、Fe−3.5%Si合金、アモルファスダストのいずれかを用いた。
すなわち、実施例においては、脚部11とヨーク部となる背面部13の材質及び密度の組み合わせを変えており、実施例1〜実施例6を図10に示す。実施例1は純鉄で脚部11と背面部13を構成し、実施例2、5、6は、Fe−3.5%Si合金で脚部11と背面部13を構成した。実施例3は、脚部11を純鉄で、背面部13をFe−3.5%Si合金で構成し、実施例4はその逆で構成した。また、実施例5の脚部11及び実施例6の背面部13は高密度とし、これら以外については標準密度とした。ここにいう高密度とは、6.99g/cm、標準密度とは、6.65g/cmである。
比較例1〜3は、脚部及びヨーク部の材質はそれぞれ同じであり、比較例1は純鉄、比較例2はFe−3.5%Si合金、比較例3はアモルファスダストである。
リアクトルの設計条件は下記の条件を満たすようにした。
・ 定格電流:67A
・ 入力電圧:300V
・ 出力電圧:520V
・ コイルの巻数:24ターン
・ コア断面積(U字型コアの脚部、脚部11):290mm
・ ギャップ(2箇所):1.5mm
また、リアクトルは下記の条件を満たすことが望ましい。
・ インダクタンス:28μH以上 at0A/16μH以上 at360A
・ 駆動周波数:70kHz
作製したリアクトルのサンプルに対し、L値、鉄損、リアクトル重量、リアクトル体積を測定した。これらの結果を図9に示す。なお、リアクトル重量は、環状コアとコイルの合計重量である。リアクトル体積は、環状コアとコイルの合計体積である。
図10に示すように、全体として、円柱形状の脚部11を用いた実施例1〜6の方が、U字型コアを用いた比較例1〜3より、体積が小さく重量も軽いため、小型化できていることが確認できる。すなわち、リアクトル体積は、比較例1〜3が117cmであるのに対し、実施例1〜6は112cmである。リアクトル重量は、比較例1、2が389g〜393gであるのに対し、実施例1〜6は375g〜380gである。なお、比較例3の重量は最軽量であるが、設計条件(28μH以上 at0A/16μH以上 at360A)を満たせていない。
実施例1〜6は、インダクタンス値も設計条件(28μH以上 at0A/16μH以上 at360A)を満たすことができており、鉄損も比較例1〜3と比較して大きく劣るものではなく実用レベルに達している。
実施例1〜6と比較例1〜3のインダクタンス特性を示すグラフを図11に示す。図11のグラフは、横軸が電流(A)、縦軸がインダクタンス(μH)としたグラフである。
(脚部の磁性粉末の材質の違い)
実施例4は、実施例1と比較すると脚部11に背面部より低鉄損の材料であるFe−3.5%Si合金を用いており、図10に示すように、実施例4が実施例1より低鉄損となっていることがわかる。また、実施例1と実施例3を比較すると、背面部13に低鉄損材料であるFe−3.5%Si合金を用いている。実施例3の方が、インダクタンス値を保ちつつ、鉄損の優れた特性が得られることが分かる。すなわち、単なる磁束の通り道である背面部13を低透磁率の材料を使用しても、同等のL値が得られる。さらに、実施例3のように、低透磁率かつ低鉄損の材料を用いることで、同等のL値を保ちつつ、損失を低減できる。
(脚部の磁性粉末の密度の違い)
実施例2と実施例5を比較すると、実施例5の脚部11の方が高密度としている。実施例5の方が、鉄損の増加を抑えつつ高いインダクタンス特性が得られることが分かる。
[4.他の実施形態]
本発明は、第1及び第2の実施形態や上記実施例に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、第1及び第2の実施形態、上記実施例及び下記の他の実施形態の少なくともいずれか2つを組み合わせた形態も包含する。
(1)第1及び第2の実施形態では、脚部11として円柱形状のコア部材を用いたが、柱状の断面形状が多角形であって、その頂点部分が面取りなどされて丸く形成されていても良い。すなわち、柱状の脚部11の周面にエッジが無ければ良い。このような場合であっても、成形時の金型への負担を軽減することができる。頂点の数は例えば3つ以上あれば良く、頂点数が少ない場合にはその角部分を無くすように丸みの度合いを高くし、頂点数が多い場合には、角部分の丸みの度合いを応力の集中が緩和される程度に小さくしても良い。また、脚部11の断面形状に、応力の集中が緩和される程度に直線が含まれていても良い。
(2)環状コア10の脚部11は、円柱形状の複数のコア部材で構成されていても良い。複数のコア部材を接着剤で直接接続しても良いし、スペーサを介して接続しても良い。
(3)第1及び第2の実施形態では、背面部12、13を圧粉磁心としたが、フェライト磁心や積層鋼板を用いても良い。
5a、5b コイル
10 環状コア
11 脚部
12 背面部
13 背面部
13a 切欠き部
20 樹脂部材
21、22 樹脂体
22a 収容部
22b 開口部
23、24 樹脂体
24a、24b 開口部
50a、50b コイルの端部

Claims (11)

  1. 複数のコア部材により環状形状を成し、その少なくとも一部にコイルが巻回されてリアクトルに用いられるコアであって、
    周囲に前記コイルが巻回される一対の脚部と、
    当該一対の脚部を繋ぐ一対の背面部と、
    を有し、
    前記脚部は、その断面形状が円形又は楕円形状の円柱形状を有する圧粉磁心であり、
    前記背面部は、円柱形状の前記脚部の側面に沿った形状で切欠かれた切欠き部を有し、
    円柱形状の前記脚部の側面が前記切欠き部に沿って配置され、環状形状を成すこと、
    を特徴とするコア。
  2. 複数のコア部材により環状形状を成し、その少なくとも一部にコイルが巻回されてリアクトルに用いられるコアであって、
    周囲に前記コイルが巻回される一対の脚部と、
    当該一対の脚部を繋ぐ一対の背面部と、
    を有し、
    前記脚部は、その断面形状が円形又は楕円形状の円柱形状を有する圧粉磁心であり、
    前記背面部は、概略六角形状の平板であり、
    前記一対の脚部の両端面が、前記一対の背面部の向かい合う面に対面するように配置され、環状形状を成すこと、
    を特徴とするコア。
  3. 前記脚部は、円形又は楕円形状の端面が露出していること、
    を特徴とする請求項1に記載のコア。
  4. 前記脚部は、ビッカース硬度が50以上の磁性粉末を含み構成されていること、
    を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコア。
  5. 前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載のコアと、前記コアの脚部の周囲に巻回されたコイルと、を備えたことを特徴とするリアクトル。
  6. 前記コイルは、アルファ巻きで構成され、
    前記コイルが前記円柱形状の前記脚部の周囲に装着されていること、
    を特徴とする請求項5に記載のリアクトル。
  7. 前記脚部は、前記背面部より高密度であること、
    を特徴とする請求項5又は請求項6に記載のリアクトル。
  8. 前記脚部は、前記背面部より低鉄損の材料で構成されていること、
    を特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル。
  9. 前記脚部の圧粉磁心は、磁性粉末として、Fe−Si合金、センダスト、アモルファス合金又はこれら二種以上の混合粉を用いて構成されたこと、
    を特徴とする請求項5〜請求項8に記載のリアクトル。
  10. 前記コイルは、平角線で構成されていること、
    を特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載のリアクトル。
  11. 前記コアを被覆する樹脂部材を備え、
    前記脚部と前記背面部との間には、前記樹脂部材の厚みでギャップが構成されていること、
    を特徴とする請求項5〜請求項10のいずれか1項に記載のリアクトル。
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