JP2017016755A - 荷電粒子線装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、試料に集束される荷電粒子ビームの集束条件の適正な調整と、試料から放出される荷電粒子の軌道の適正な調整が可能な荷電粒子線装置の提供を目的とする。
【解決手段】
上記目的を達成するために、荷電粒子線装置において、試料から放出された荷電粒子の一部の通過を制限する通過制限部材(40)と、当該通過制限部材と前記試料との間に配置され、前記試料から放出される荷電粒子の軌道を制御する第1のレンズ(50)と、前記通過制限部材と前記荷電粒子源との間に配置され、第1のレンズの制御条件に応じて、前記荷電粒子ビームの集束条件を変化させる第2のレンズ(60)を備えた荷電粒子線装置を提案する。
【選択図】図15
本発明は、試料に集束される荷電粒子ビームの集束条件の適正な調整と、試料から放出される荷電粒子の軌道の適正な調整が可能な荷電粒子線装置の提供を目的とする。
【解決手段】
上記目的を達成するために、荷電粒子線装置において、試料から放出された荷電粒子の一部の通過を制限する通過制限部材(40)と、当該通過制限部材と前記試料との間に配置され、前記試料から放出される荷電粒子の軌道を制御する第1のレンズ(50)と、前記通過制限部材と前記荷電粒子源との間に配置され、第1のレンズの制御条件に応じて、前記荷電粒子ビームの集束条件を変化させる第2のレンズ(60)を備えた荷電粒子線装置を提案する。
【選択図】図15
Description
本発明は、荷電粒子線装置に係り、特に試料からの信号軌道の適正化と、試料に照射される荷電粒子ビームの照射条件の適正化の両立を実現する荷電粒子線装置に関する。
荷電粒子線装置の1つである走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)は、微細な対象物に対し、細く絞った電子ビームを走査することによって、試料から二次電子等を放出させ、当該二次電子等に基づいて、微細な対象物の観察、検査、或いは測定等を行う装置である。
特許文献1乃至3には、SEMの光学素子の1種であるレンズを制御する手法が説明されている。特許文献1には、試料に照射されるビームの開き角が広い方が、ビームの照射に基づいて形成される画像の分解能が高いことが説明されており、大きな開き角でビームを照射するために、所定の開き角αとなるように、試料に印加する電圧等を制御する制御手法が説明されている。特許文献2には、試料から放出された二次電子等の内、検出器の外側に向かって放出される電子の軌道を、検出器に方向づけるように集束するレンズを備えたSEMが説明されている。また、特許文献3には、検出器と試料との間に配置されるエネルギーフィルタへの入射軌道を適正化するためのレンズを備えたSEMが説明されている。
試料に照射される荷電粒子ビームは、対物レンズによって集束されて試料に照射されるが、その際、試料表面にフォーカスを合わせておくことによって、高分解能画像を取得することが可能となる。深孔や深溝の底を測定するような場合には、試料表面ではなく、深溝や深孔の底にフォーカスを合わせることが望ましい。一方、深孔や深溝の底から放出される荷電粒子には、種々の方向に放出されるものが含まれており、荷電粒子ビームの照射方向と逆の方向に放出される荷電粒子は、深孔や深溝から脱出できるが、それ以外の方向に放出される荷電粒子には、深孔や深溝の側壁に衝突し、失われてしまうものがある。即ち、試料表面から放出される荷電粒子と比較すると、側壁に衝突する荷電粒子が存在する分、孔底等から放出される荷電粒子の方が、検出効率が低くなる。
このような前提で、深孔や深溝を含む視野領域の画像を取得する際、特定の放出角で放出される荷電粒子を選択的に検出することができれば、相対的に深孔や深溝の底を強調した画像を生成することができる。
深孔や深溝の径(幅)や深さによって、検出に適した放出角の範囲は異なるため、特許文献2、3に説明されているような二次電子を集束するレンズを用いて、特定方向の電子を選択的に検出器に導くことが望ましいが、一方で、このような集束条件の変化は、試料に照射される荷電粒子ビームの集束条件をも変化させてしまう。底部観察のために開き角を最適化しても、レンズ条件を調整することによって開き角が変化する可能性がある。特許文献1乃至3に開示の技術は、荷電粒子ビームの集束条件の適正化と、試料から放出される荷電粒子の軌道の適正化の両立を志向するものではない。
以下に、試料に集束される荷電粒子ビームの集束条件の適正な調整と、試料から放出される荷電粒子の軌道の適正な調整の両立を目的とする荷電粒子線装置について説明する。
上記目的を達成するための一態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを集束する集束レンズと、当該集束レンズによって集束された荷電粒子ビームを集束して試料に照射する対物レンズを備えた荷電粒子線装置であって、前記試料から放出された荷電粒子の一部の通過を制限する通過制限部材と、当該通過制限部材と前記試料との間に配置され、前記試料から放出される荷電粒子の軌道を制御する第1のレンズと、前記通過制限部材と前記荷電粒子源との間に配置され、第1のレンズの制御条件に応じて、前記荷電粒子ビームの集束条件を変化させる第2のレンズを備えた荷電粒子線装置を提案する。
更に上記目的を達成するための他の一態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを集束する集束レンズと、当該集束レンズによって集束された荷電粒子ビームを集束して試料に照射する対物レンズを備えた荷電粒子線装置であって、前記試料から放出された荷電粒子の一部の通過を制限する通過制限部材と、当該通過制限部材と前記試料との間に配置される第1のレンズと、前記通過制限部材と前記荷電粒子源との間に配置される第2のレンズと、前記試料に対する前記荷電粒子ビームの照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、前記第1のレンズと前記第2のレンズを制御する制御装置を備え、当該制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の1つ以上の部分が所定の状態となるように、前記第1のレンズを制御すると共に、当該第1のレンズの制御を維持しつつ、前記画像の1つ以上の部分が所定の状態となるように、前記第2のレンズを制御する荷電粒子線装置を提案する。
上記構成によれば、試料に集束される荷電粒子ビームの集束条件の適正な設定と、試料から放出される荷電粒子の軌道の適正な調整の両立が可能となる。
二次電子等の検出に基づいて形成される画像の解像度は、電子顕微鏡等の性能を評価する重要な指標値の1つであり、解像度が高い程、高精度な測定や検査を実現することが可能となる。電子ビームの焦点位置を、試料表面に適正に位置付けることによって、高い解像度の画像を形成することが可能となる。また、ビームの開き角が大きい程、高解像度となるため、焦点距離(対物レンズ主面と試料との距離、ワーキングディスタンスとも言う)を極力短くすることが望ましい。開き角とは、試料から対物レンズを見込んだ電子ビームの角度のことであり、電子ビームの理想光軸と試料に向かって集束するビームとの相対角である。
このように、高解像度の画像を取得するためには、大きな開き角をもってビームを集束させることが望ましい反面、深孔や深溝等の底部を観察する場合、開き角が大きなビームでは、深孔等の底部に適正に焦点を合わせることができない場合がある。
更に、深孔や深溝の底から放出される電子の中には、深孔等の側壁に衝突するものがある。深孔等を含む領域にビームを走査した場合、深孔等の底から放出される電子と、それ以外(例えば深孔を包囲する試料表面)から放出される電子が含まれることになる。このような状況のもと、深孔等の底部を強調した画像を形成するためには、例えば深孔の径がdであり、深孔の深さがhである場合、試料表面の垂線に対し、θ=tan−1(d/2h)の角度範囲で放出される電子を選択的に検出することが望ましい。このような角度範囲で放出される電子は、理論的には深孔の側壁に衝突することなく、試料表面に放出される電子である。一方で、試料表面から放出される電子には、上記角度範囲に放出されるものと、それ以外の角度に放出されるものが含まれるため、上記角度範囲の電子を選択的に検出することによって、試料表面から放出される電子の検出量を抑制することができ、選択的検出を行わない場合と比較して、相対的に深孔等の底部を強調した画像を形成することが可能となる。
また、試料から放出される電子の軌道は、対物レンズの集束条件によっても変化するため、試料から放出される電子の軌道を適正に調整するための調整素子を設けることが望ましい。一方で、このような調整素子を用いた調整を行うと、電子ビームにも影響を与えることになり、レンズの集束条件を変化させてしまう場合がある。
以下に、電子ビーム等の荷電粒子ビームの集束条件の適正な設定と、試料から放出される荷電粒子の軌道の適正な調整の両立を可能とする荷電粒子線装置について説明する。
上記両立を実現するための一態様として、以下に、信号電子(試料から放出される電子)の軌道を制御する第1のレンズと、当該第1のレンズのレンズ条件の変化に応じて、荷電粒子ビームの集束条件を調整する第2のレンズを備えた荷電粒子線装置について説明する。
荷電粒子線装置には、SEMの他に集束イオンビーム装置がある。またSEMを特定の目的に特化した装置として測長用電子顕微鏡(Critical Dimension−SEM:CD−SEM)や、上流の検査装置にて得られた欠陥、異物、或いは測長値異常パターンを詳細に観察し、分析するレビュー用電子顕微鏡(レビューSEM)がある。
これらの装置を用いて、測定あるいは検査を行う場合、試料からの情報信号を効率良く検出器で検出する必要がある。情報信号が多いことで画質が向上し、それはスループットの向上につながる。いっぽう、ユーザーからは検査したいものの情報を、他とは区別して抽出したいという要望があり、それはつまり情報信号の弁別機能を強化して観察または検査を行う必要がある。
このように検査に必要な情報を抽出する手段として、エネルギーフィルターがある。エネルギーフィルターは試料から放出される荷電粒子のうち、特定のエネルギーを持つものを選択的に通過させる装置である。しかし検査の対象物の中にはエネルギーの弁別だけでなく、試料から放出される荷電粒子の角度に依存した情報を持つものが存在し、それが測定や検査に有効とされる場合がある。
図6は、深孔の画像41と深孔の断面構造を示す図である。試料13には、底部59を有する深孔が設けられている。画像41は、深孔と試料表面60を含む領域に電子ビームを走査することによって得られるものである。底部59から放出される電子の内、ある角度(図中のθ)より、試料表面に対する垂線に近い軌道を通過するもの(第1の角度範囲に放出される電子)は、深孔から脱出することができるが、θより大きな角度で放出されるもの(第2の角度範囲に放出される電子)は、深孔の側壁に衝突し、深孔から脱出することができない。一方、試料表面60から放出される電子は、第2の角度範囲に放出される電子であっても、他部材に衝突することなく、上方に導かれるため、試料表面60に対し、底部59を強調するためには、第1の角度範囲に放出される電子を選択的に検出することが望ましい。
図5、図7は、凸状のパターンが形成された試料13の画像例を示す図である。図5は、試料から放出された電子を角度制限なく検出することによって得られる画像例を示している。角度制限を行っていない分、検出される電子量は多いが、画像41のような二次元像では、中央のパターンが凸状のパターンであるのか、凹状のパターンであるのか、その判断を行うことが難しい。一方、図7に例示する画像41では、特定方向に放出される電子33を検出器21によって選択的に検出している。このような検出に基づいて得られる画像は、俯瞰像(Perspective Image)であるため、パターンの凹凸判定を容易に行うことができる。
以下に、試料に照射される電子ビームの照射条件を適正に設定しつつ、特定方向に放出された電子、或いは当該特定方向に放出された電子が、他部材に衝突することによって生じる電子を高効率に且つ選択的に検出し得る荷電粒子線装置を図面を用いて説明する。
図1は荷電粒子線装置の一例であるSEMの概要を示す図である。なお、以下の説明ではSEMを例にとって説明するが、それに限られることはなく、以下に紹介する実施例は、他の荷電粒子線装置にも適用が可能である。
電子ビーム(1次荷電粒子線36)を照射するための電子源1には、陰極2、当該陰極2から電子を引き出すための引出電極3、及び引出電極3によって引き出された電子を、試料13に向かって加速する加速電極4が含まれている。陰極2には加速電圧V0が印加されており、接地電位である加速電極4との電位差によって、1次荷電粒子線36は、加速エネルギーV0を持つ。電子源1から放出された1次荷電粒子線36は、集束レンズ7、集束レンズ8、及び対物レンズ9によって、集束されて試料13に照射される。また、電子ビームの理想光軸43を通過する近軸電子ビームを選択的に通過させる絞り15が、集束レンズ7と集束レンズ8との間に設けられている。各レンズは、レンズ電源5から供給される励磁電流(静電レンズの場合は印加電圧)を調整することによって、その集束条件を制御することができる。
試料13は、試料ステージ12上に配置され、試料ステージ12は、試料ステージ12を、少なくとも電子ビームの理想光軸43に垂直な2方向に移動させる試料ステージ駆動機構23に支持されている。レーザー干渉計11は試料ステージ12の位置を特定するために設けられている。更に、試料13に負の電圧を印加するためαの負電圧印加電源14が設けられている。負電圧印加電源14の印加電圧を調整することによって、1次荷電粒子線36の試料への到達エネルギーを制御することが可能となる。
偏向器16a、16bは、1次荷電粒子線36を試料13上で一次元的、或いは二次元的に走査するために設けられており、また、偏向器16a、16bを制御する走査信号発生器24から供給される走査信号と、後述する検出器の出力信号を同期させることにより、信号波形(ラインプロファイル)や二次元画像を生成することができる。
図1に例示する荷電粒子線装置には、2つの検出器21、51が設けられており、試料13から放出された2次電子(Secondary Electron:SE)、或いは後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)や、電子ビームの通過開口を備えた制御板40に、2次電子等が衝突することによって発生する新たな2次電子(3次電子)を検出することができる。なお、図1に例示する荷電粒子線装置は、2次電子等が、制御板40に衝突することによって発生する3次電子を検出することによって、間接的に試料から放出された電子を検出する間接検出器である検出器51と、試料13から放出された電子を直接的に検出する直接検出器である検出器21を採用しているが、この組み合わせに限られることはなく、必要に応じて検出器の種類を変えるようにしても良い。直交電磁界発生器20は、1次荷電粒子線36を偏向させることなく、試料13から放出された電子を検出器21に向かって偏向することができる。
検出器21、51の出力は、増幅器6によって増幅され、画像処理部37に供給される。画像処理部37は、増幅された信号を積算することによって、信号波形や二次元画像を生成し、これら信号を記憶部27に記憶する。また、二次元画像を像表示装置32に表示させることができる。
荷電粒子線装置の各構成要素は、制御部31(制御装置)によって制御され、特に後述するような制御を実行する。
更に、図1に例示する荷電粒子線装置には、集束レンズ7、8、或いは対物レンズ9の他にレンズ50(第1のレンズ)、及びレンズ60(第2のレンズ)が備えられている。これらのレンズを用いた光学条件調整の具体例について、以下に説明する。
図6のような立体構造の底部59の高精度測定や検査を行う場合、1次荷電粒子線36の焦点を底部59に合わせる必要がある。より具体的には、図14(b)のように大きな開き角を持ってビームを集束するのではなく、図14(a)のように開き角を相対的に鋭角にすることによって、底部59にビームが到達する前に、ビームが試料に干渉しないようにすることが望ましい。図14(a)に例示するように、深さがhであり、径がdのホールの底部59の測定や観察を行う場合には、ビームの開き角i(1)=tan−1(d/2h)とすることができれば、分解能の低下を抑制しつつ(開き角の鋭角化を抑制しつつ)、底部59に焦点を合わせることができる。
本実施例では、図14(b)に例示するように、オートフォーカス等によって調整されたビームの開き角が、αi(2)である場合に、その開き角をαi(1)に調整する例について説明する。本実施例では、図13に例示するように、レンズ50を用いて開き角を調整する。一方、レンズ50の集束作用は1次荷電粒子線36だけでなく、情報信号33(試料から放出される電子)にも影響する。レンズ50は、1次荷電粒子線36だけではなく、情報信号33をも集束させる。
反対に初期状態に対して、1次荷電粒子線36を発散させるようにレンズ50を制御すると、図4に例示するように情報信号33も発散する。
図6のような試料を観察・検査する場合、前述したように穴底59の情報信号を弁別して観察する他に、穴底59と表面60を同時に観察・検査したいという要望もある。このとき、穴底59からの信号を効率良く検出するためには、1次荷電粒子線36を穴底59に照射する必要がある。このとき1次荷電粒子線36のビーム直径が穴径dと同じであれば、高さhの間はビームのぼけが発生しない。つまり深さ方向の分解能はhである。以下、深さ方向の分解能を「焦点深度」と呼ぶ。一方、図14(b)のような開き角αiが大きい条件では、1次荷電粒子36が穴底まで届かず、また焦点深度も不足する。つまり、この光学条件は深さのある試料の観察には向かないといえる。
図3は、レンズ50を用いて、情報信号33を集束する例を示す図である。試料13から放出された情報信号33は、集束作用を有するレンズ50によって軌道が制御される。例えば光軸43上に情報信号33の軌道を制限するような電極40がある場合は、その穴径を情報信号33が通過するようレンズ50の強さをと制御する。穴を通過した情報信号33は検出器21に導かれ検出される。この場合のレンズ50の収束強度は、検出器21で検出したい情報信号33の放出角度に依存する。鮮明度の高い情報を得たい場合は、特定方向に放出される信号を高効率に検出するようレンズ50の強度を制御する。つまり検出器21で検出したい情報信号33に応じてレンズ50の強度を制御する。
図4に情報信号の軌道を発散するように、レンズ条件を制御したときの電子の軌道を示す図である。試料13から放出された情報信号33は、発散作用を有するレンズ50によって軌道が制御される。1次荷電粒子36を制御するレンズ50による作用が、情報信号33にとって最適でない場合もある。例えば、情報信号33への集束作用が不足する場合や、反対に集束しすぎる場合もある。よって、レンズ50の他にレンズ60を設けて、1次荷電粒子線36および情報信号33の各々の制御が可能になるような構成が必要になる。
本実施例では、主に深孔や深溝の底部に焦点を合わせつつ、試料から放出される電子の内、特定角度に放出される電子を選択的に検出することができる荷電粒子線装置について説明する。上述したように、電子を集束するためのレンズは、試料に照射される電子ビームだけではなく、試料から放出される電子の軌道をも変えてしまう。仮に、孔底に電子ビームの焦点が合ったとしても、その際のレンズの集束条件が、所望の試料放出角の電子を選択的に検出するための集束条件に合致していなければ、孔底等を高精度に測定、或いは検査することは難しい。本実施例では、主に深孔や深溝等の底部を高精度に測定、或いは検査を可能とする荷電粒子線装置について説明する。
ここで情報信号33の制御方法について述べる。図3、4に示すように、レンズ50の強度によって、制御板40(電極や絞り、或いは試料から放出された電子の一部の通過を制限する通過制限部材と称することもある)の穴径を通過する情報信号33の放出角度を制御することができる。つまり観察・検査の対象物または方法が決まればレンズ50の制御方法が決まる。例えば、図5のような試料の画像を得る場合を説明する。鮮明な画像を得ようとする場合には、極力多くの情報信号33が制御板40を通過できるようなレンズ条件とすれば良い。図3のように検出する検出器21方向に情報信号33が集束して導かれるように軌道を制御する。
一方、上述のように情報信号33を適切に弁別することで、必要な情報を強調した画像が得られる。例えば図6のように、試料13の穴底部59から放出された情報信号33の内、試料表面の垂線に対し、θ=tan−1(d/2h)の角度範囲に放出される電子を選択的に検出することによって、穴底を強調した画像を得ることができる。ただし、試料13が帯電している場合は、それによって信号軌道が影響を受けるため、取り込みたい情報信号33が検出器21に届かない可能性がある。例えば図2のように、試料13からの情報信号33の軌道を予め計算で求めておけば、制御板40の穴径が決まり、必要な情報信号33が弁別されて検出器21に導かれる。図示していないが、情報信号33が試料13の帯電の影響を受けて信号軌道がこの通りでないと、期待する信号弁別が出来ず、欲しい情報を強調する画像が得られない。
また、図7のように、凹凸を有する試料13の画像化を行う場合に、情報信号33の弁別を行うことが望ましい。図6に例示したケースと比較すると、特定の方向(例えばπ−θ方向)の情報信号33を弁別して画像化すると、特定方向のエッジが強調された画像が得られる。この特徴を利用して、情報信号33の特性だけでなく、検出器21の位置や方向によって、試料13が凹または凸であるのかの判定に用いることができる。なお、本実施例では、図9に示すように試料13に対して光軸43と同方向(垂直方向)を0度としてθを定義する。
一般的に試料13からの情報信号33の出射方向θだけでなく、そのエネルギーによっても異なる画質が得られることがわかっているため、例えば図10に示すように、必要なエネルギーと角度の領域Bの情報信号で像を形成したい場合は、前述した方法に加え、図8のように検出器21の前段にエネルギーフィルター55または56を設けることが有効である。このエネルギーフォルターを情報信号33が通過することで、エネルギー弁別された信号電子33が検出器21あるいは51に到達する。エネルギーフィルター55は電圧を印加することで、検出器21に到達する情報信号33を制限するものである。
レンズ50は図11に示すように磁場型レンズ、または図12に示すように電極型レンズで構成される。図12に示すように電極型の場合は印加する電圧によって情報信号33を収束または発散(図中の破線矢印)させることが可能である。立体構造のような深さのある試料を観察・検査するために、開き角αiと一次荷電粒子36の径、つまり分解能の制御が必要であることは明らかである。更に、信号電子を効率よく検出し、鮮明な画像を得るためには検出する信号量を増やす必要がある。検出する信号量を増やす手段として、1つは情報信号33の軌道を制御して多くの情報信号33を検出する方法がある。もう1つは照射する荷電粒子線量を増やす方法である。式1は、荷電粒子線(電子ビーム)の照射電流Ipと試料上の開き角αiの関係を表す演算式である。
Ip=B(d・π・αi)2 ・・・(1)
B:電子源の輝度
d:ビーム径
これより、照射電流Ipを増加させるには、開き角αiを大きくすることが有効であることがわかる。なお、Bは電子源によって決まる値である。
B:電子源の輝度
d:ビーム径
これより、照射電流Ipを増加させるには、開き角αiを大きくすることが有効であることがわかる。なお、Bは電子源によって決まる値である。
一方、焦点深度を深くするためにはαiを小さくすることが有効であることから、照射電流の増加させることと焦点深度を深くすることはトレードオフの関係にあることがわかる。これより、立体構造の検査では開き角αiを鋭角にし、情報信号をコンロトールし、かつ分解能を意味するビーム直径を増大させない光学条件が必要になる。
前述したように所定の開き角αiになるように、1次荷電粒子線36の条件を決めたとしても、情報信号33の軌道を制御するためにレンズ50を動作させると、所定の開き角ではなくなる。
そこで図15に示すように、レンズ50の他にレンズ60を設けて、情報信号33軌道だけでなく1次荷電粒子線36軌道の制御も可能にする。図15にその詳細図を示す。情報信号33については先に述べた通り、レンズ50でもって軌道を制御する。情報信号33の軌道を最適化したときに、1次荷電粒子線36の軌道つまり光学条件が観察・検査に最適であるとは限らない。そこでレンズ60によって、1次荷電粒子線36の軌道の最適化、つまり開き角の制御を行う。
図15に例示するように、試料から放出された電子の通過を部分的に制限する制御板40と試料13との間に、レンズ50を配置すると共に、対物レンズの物点と制御板40との間に、レンズ60を配置することによって、電子ビームの集束条件の適正化と、試料から放出される電子の軌道の適正化の両立を実現することができる。具体的には、制御板40の開口(電子ビーム通過開口)を、所望の放出角の電子が選択的に通過できるように、レンズ50を制御すると共に、レンズ50の条件変化に伴う電子ビームの集束条件の変化を補償するように、レンズ60を制御する。
レンズ60は、制御板40より電子源側に配置されており、試料から放出された電子は、制御板40を用いた角度弁別が行われた後に、集束されるため、角度弁別条件を変えることなく、電子ビームを集束させることが可能となる。また、レンズ60は、対物レンズ9の物点より試料13側に配置されているため、レンズ50の調整によって変化した電子ビームの物点位置を元に戻すことができる。なお、制御板40に変えて、直接検出器を配置するようにしても良い。
以下に、制御方法の一例を説明する。例えば、まず、検査する試料13の状態に応じた、最適な光学系を選択する。例えば、オートフォーカスを実行することにより、図14(b)に例示するように、試料表面に焦点が合うような場合は、再調整を行い、底部59に1次荷電粒子線36の焦点が合うように、対物レンズ9等のレンズ条件を調整する。このときの電子ビームの開き角は、図14(a)に例示するようにαi(1)(例えば5[mrad])となる。次に検出系の条件を選択する。底部59からの情報を主に画像化するため検出器21を選択する。図3あるいは図4に示すように必要な情報信号33のみを制御板40を通過させるようレンズ50を制御すれば、効率良く検出器21で検出できる。底部59の情報信号33を画像化し、所望のコントラストや画質が得られるようレンズ50を制御する。しかしこの時、レンズ50の作用は1次荷電粒子線36にも作用するため、前述したαi(1)(5[mrad])を維持しているとは限らない。
つまり1次荷電粒子線36制御のためのレンズ60は、レンズ50と連動する必要がある。例えば図16のようにレンズ50とレンズ60の連動の関係が予め計算でわかっていれば、制御が簡素化される。ここではレンズ50およびレンズ60は静電型と仮定し、グラフは印加電圧で表示してある。電磁界型の場合はコイルに流す電流値による制御になる。
一方、試料13の形態が把握できたとしても、試料の素材やその電気的特性が特定できない場合もある。その場合、図16のような制御関数では制御不足になる。よって、画像を見ながら、最適化をする必要がある。制御の流れを図17に例示する。まず検査・観察する試料の形態を把握する(Step101)。次に最適な光学条件を選択する(Step102)。Step101とStep102より、最適な検出条件が選択される(Step103)。画像を取得して所望の画像が得られていることを確認する(Step104)。観察・検査に適した画像であるかを確認し、検査の可否を判断する(Step105)。可であると判断すれば検査を実施する(Step109)。しかし、Step105で何らかの理由で検査否と判断した場合は、まず情報信号36の軌道を調整して、画質の調整を実施する(Step106)。次にレンズ60を制御して、Step102で選択した光学条件になるようにする(Step107)。
図18に1つの試料の中で、立体構造部と平面部が混在する場合を示す。このとき各部位で検査に最適な光学条件が異なる。領域201は試料表面の検査を実施し、領域202は立体構造の例えば底部の検査を実施する場合は、同じ光学条件での検査は難しい。例えば領域201のような試料表面の検査の場合は分解能が良い光学条件が適しているのに対し、領域202の立体構造の底部を検査する場合は図14(a)のようにビーム形状が鋭角で1次荷電粒子線36が底部59に届くような光学条件が良い。この異なる条件で同時に検査を実施するために、光学条件を領域毎に高速に切り替える必要である。レンズ50やレンズ60が図12のような静電型レンズの構成であればそれが可能になる。図11の電磁界型レンズの場合、応答性が課題になり、高速切り替えには不向きである。
光学条件の切り替えが出来ないと、各々の条件で1枚ずつ画像を取得し、検査することになり、検査の結果を得るまでに時間がかかる。検査装置に要求されるものの1つにスループットの向上があるため、検査の高速化は必須である。
図19にそれによって得られる画像例を示す。実際には領域201は試料の表面に焦点があった像が、領域202に底部59に焦点があった画像が得られる。これによって、1枚の画像で検査が可能になる。
図19にそれによって得られる画像例を示す。実際には領域201は試料の表面に焦点があった像が、領域202に底部59に焦点があった画像が得られる。これによって、1枚の画像で検査が可能になる。
次に、より具体的なレンズ50、60の調整機能を備えた荷電粒子線装置の概要について説明する。図20は像表示装置32に表示されるGUI(Graphical User Interface:GUI)画面の一例を示す図である。制御部31は、GUI画面での設定情報に基づいて、電子顕微鏡の各構成要素の制御を行い、画像処理部37は所定の画像処理や演算処理を実行する。図20に例示するGUI画面には、測定や検査の対象となる対象パターン(ターゲット)の情報を入力する入力ウィンドウ2002、測定条件情報を入力する入力ウィンドウ2003、SEM画像(或いはレイアウトデータ)上で、所望の位置に設定される興味領域(Region Of Interest:ROI)の条件を入力する入力ウィンドウ2004、及びSEM画像表示領域2005が設けられている。SEM画像表示領域2005には、画像処理部37から出力されたSEM画像が表示される。図20の例では、SEM画像表示領域2005には、y方向に長い溝状のパターンが表示されている。
入力ウィンドウ2002には、対象パターン名とそのパターンの座標を選択、或いは入力する入力部が設けられており、制御部31は当該入力部での設定に基づいて、電子ビーム走査位置に対象パターンを位置付けるように、試料ステージ12や図示しない視野移動用のビーム偏向器を制御する。また、入力ウィンドウ2003には、パターンの種類、測定目的、及び測定に用いられる具体的な測定アルゴリズムを選択、或いは入力するための入力部が設けられている。パターンの種類とは、例えば半導体デバイス上に形成されるラインアンドスペースパターン、ホールパターン等である。また、パターンの種類を入力する入力部での入力、或いは選択に応じて、パターンの種類に応じた測定目的や測定アルゴリズムを、それらを入力する入力部で選択可能とするようにしても良い。測定目的を入力する入力部では、例えばパターンの種類がラインアンドスペースパターン(ラインパターンが均等配列されたパターン)であれば、ライン幅、スペース幅、或いはピッチ等の測定目的を選択、或いは入力する。また、パターンの種類がホールパターンであれば、ホール底の径、ホール上部の径、或いはホールの中間層の径等が測定目的となる。
また、測定アルゴリズムを設定する入力部では、例えばSEM画像に基づいて形成されるラインプロファイルを用いた具体的な測定アルゴリズムを選択、或いは入力する。より具体的には、しきい値法等のエッジ間の寸法を測定するためのアルゴリズムが選択される。
入力ウィンドウ2004では、SEM画像表示領域2005に表示されたSEM画像上にて設定されるROIの具体的条件(ROIの位置やサイズ)を設定する。図20に例示されたSEM画像表示領域2005には、2つのエッジ2007に挟まれた溝状のパターンが表示されている。更に、溝の底部には、材料Aからなる部位2008と、材料Bからなる部位2009が存在する。例えば、測定の目的が部位2008のy方向の寸法である場合は、部位2008と部位2009の画質が良好となるように、装置条件を設定すれば良い。また、測定目的が溝底に位置するパターンだけではなく、溝の幅(2つのエッジ2007間の試料表面上の寸法)も測定したい場合には、底部だけではなく、試料表面2006の画質も合わせて調整する必要がある。
図20に例示するGUI画面では、測定目的に応じた適正な光学条件設定を行うために、例えば測定目的について「パターン底部」、「パターン底部と試料表面」、「試料表面」のような設定を可能としている。例えば測定目的として「底部」が選択された場合には、底部を選択的に包囲するROI2010を、SEM画像に重畳表示させ、測定目的として「パターン底部と試料表面」が選択された場合には、ROI2010に加えてROI2011をSEM画像に重畳表示させる。このように、測定を希望する高さに応じた数のROIを設定可能とすることによって、測定目的に応じた適切な光学条件の設定が可能となる。
なお、本実施例では、画質評価を行うための領域(ROI)を任意に設定するためのGUI画面について説明するが、予め測定対象の画像等が存在する場合には、その画像に基づいてテンプレートを形成し、当該テンプレートを用いたパターンマッチングを行うことによって、自動的にROIを抽出するようにしても良い。
次に、図20に例示したGUI画面によって設定された条件に基づいて、光学条件を設定する工程を、図21に例示するフローチャートを用いて説明する。まず、SEM画像を取得するための初期の光学条件を設定する(ステップ2101)。ここでは、オートフォーカスによって、フォーカス条件を調整し、調整されたビームを走査することによって得られる画像を取得する(ステップ2102)。そして、取得された画像上でROIを設定する(ステップ2103)。ROIの設定は、ウィンドウ2004に対する数値入力、ポインタ2012を用いた領域指定、或いは設定データ等を用いて予め設定されたROI設定条件に基づく自動選択のような手法が考えられる。
次に、ROIが設定された領域について、その画質を評価する(ステップ2104)。ここでの画質評価は、レンズ50の条件調整に反映されるため、測定目的が「底部」である場合は、「底部」に割り当てられたROI内の画質評価を行い、測定目的が「底部」と「試料表面」である場合は、それぞれに割り当てられたROIの画質評価を行う。図6に例示するホールパターンの底部にROIが設定されている場合、放出角θより大きな放出角の電子を除外し、放出角θ内の放出電子を選択的に検出ことによって、ホール底が強調された画像を形成することが可能となる。また、測定目的が「底部」と「試料表面」になっている場合は、双方に割り当てられたROIの画質が所定の条件を満たすか否かの判定を行う。
以上のようにしてROI内の画質評価を行い、その画質が不適切である場合には、レンズ50を調整し(ステップ2105)、再度、ROIの画質評価を行う。なお、図21のフローチャートでは、レンズ調整を行う度に、ROIが所定条件を満たすか否かの判定を行っているが、これに限られることはなく、例えば、レンズ50を複数の条件に設定して画像形成を行い、ROIの画質が最も良いレンズ50の条件を選択するようにしても良い。また、底部から放出される電子は、試料表面から放出される電子と比較すると、相対的に数が少ないため、「底部」の画質が最も良いレンズ条件と、「試料表面」の画質が最も良いレンズ条件が異なるため、「底部」の画質が最も良いレンズ条件が、「試料表面」の画質にとっても許容可能なレンズ条件であるのであれば、そのレンズ条件を選択すると良い。
図20に例示するようなパターンの場合、ROI2010を、部位2008と部位2009に跨るように設定し、両部位間のコントラスト(輝度差)が所定の条件を満たすか否か(輝度差が所定値以上か否か)を評価基準とする画質評価を行う。このような評価を行うことによって、部位2008の寸法を測定するときの光学条件を見出すことが可能となる。更に、ROI2011とROI2010の輝度差が最も小さいレンズ条件(即ち、底部から放出される電子が最も多いと考えられるレンズ条件)を、レンズ50の条件として設定することも考えられる。また、コントラストに加えて、SN比を評価用のパラメータとして画質評価を行うようにしても良い。底部の画質が良くなる条件は、試料表面の画質を低下させる条件である可能性もあるため、試料表面のコントラストやSN比をある閾値以上としつつ、底部のコントラストを最大化するようなレンズ条件とするようにしても良い。
入力ウィンドウ2004にて設定されるパターンの特徴に応じて、各ROIの画質評価条件(評価パラメータや閾値等)を自動設定するようにしても良い。上述したように底部は、試料表面と比較すると検出可能な電子の数が少ないため、試料表面と同等のコントラストを得ることは困難である。そのため、特に複数のROIを設定する場合、ROIが設定された部位に応じた画像評価基準を設定可能とすることが望ましい。例えば、入力ウィンドウ2004にて溝の底にROIを位置付ける設定を行った場合には、試料表面にROIを設定する場合と比較して、許容コントラストの閾値が小さな評価基準を自動で設定すること等が考えられる。
レンズ50の調整が適正に行われた後に、当該レンズ50の状態を維持しつつ、次にROIが設定された底部(試料表面にもROIが設定されている場合には試料表面も含めて)のフォーカス状態を評価する(ステップ2106)。フォーカスの状態は例えば、ROI内の鮮鋭度(sharpness)のようなフォーカス評価値を求め、当該評価値が最も高い、或いは所定値以上となるように、レンズ60の調整を実行する(ステップ2107)。このとき、測定目的がパターン底部の寸法だけである場合(ROIがパターンの底部のみに設定されている場合)には、パターンの底部にフォーカスが合うようにレンズ60の調整を行う。より具体的には、レンズ50の調整によって、フォーカスがずれるため、対物レンズによって、試料にフォーカスを合わせた後、底部を観察することによって、レンズ60を調整する。この場合、底部の画像条件が所定の条件を満たすまで、底部の観察とレンズの調整を繰り返すような処理を行う。
また、パターン底部と試料表面の双方を測定対象とすべく、2以上のROIが設定されている場合には、双方のROIのフォーカス評価値が所定の条件を満たすようにレンズ60の条件を設定する。具体的には、図22に例示するように、2つのROIの評価値が所定値以上であって、2つの評価値波形のピーク間中心に相当するレンズ強度(例えばROI1の評価値波形2201とROI2のフォーカス評価値波形2202の交点2203のフォーカス評価値I1)となるレンズ60の条件を設定する。なお、ここでの評価値とは、画像の鮮鋭度等のジャストフォーカスに近い程、大きな値を示す指標値である。このような調整を行うことによって、視野内に異なる高さの複数の部位が存在していたとしても、各部位に応じたフォーカス条件での測定を行うことが可能となる。
なお、2つの波形の交点が所定の閾値(Th)に到達しない場合は、現在のレンズ50の条件では、試料表面と底部の双方にフォーカスを合わせることが困難、或いは孔が深すぎて試料表面と底部の双方に同時にフォーカスを合わせることが困難である場合が考えられるため、レンズ50の条件を見直して、再度、レンズ50のレンズ条件の調整を行うよう操作者に促すようなメッセージ、或いは試料表面と底部の双方に同時にフォーカス調整ができない旨のエラーを像表示装置32に表示させるようにしても良い。
レンズ60は、制御板40(試料から放出された電子の軌道を制限する軌道制限用アパーチャ)より電子源側に配置されているため、制御板40による角度弁別条件に影響を与えることがない。よって、レンズ50の設定によって適正化された角度弁別条件を変えることなく(レンズ50の設定状態を維持しつつ)、測定対象となる部位に対するフォーカス条件を適正化することが可能となる。なお、一般的な電磁界レンズは凸レンズであり、集束の強度の調整はできるものの、逆に電子ビームを発散させることができない。一方、レンズ50の調整によって、変化する電子ビームの集束条件を補正するために、集束だけではなく、電子ビームを発散させる必要がある場合も考えられる。そこで、ステップ2101にて、レンズ60をある程度、励磁しておくことで、初期状態に対し、相対的に電子ビームを発散できるような光学条件を用意しておくことが望ましい。この場合、例えば、ステップ2101にて、対物レンズ9とレンズ60で協働して、オートフォーカスを行うことによって、レンズ60をある程度励磁した状態にする。
以上のような工程を経て調整されたレンズ50、レンズ60のレンズ条件が所定の条件を満たすか否かを、画像を取得して判定(ステップ2108)し、所定の条件を満たす場合には、設定されたレンズ条件を撮像レシピとして登録、或いは当該レンズ条件をもって測定、或いは検査を開始する(ステップ2109)。
図20に例示するような入力画面を有する入力装置と、当該入力装置によって入力された条件に基づいて、図21に例示するような調整を実行するプログラムが記憶された制御部31、及び画像処理部37(演算装置)によれば、操作者は試料から放出される電子の軌道演算等を行うことなく、適正な光学条件に基づく高精度測定、或いは高精度検査を行うことが可能となる。
1:電子銃、2:電子源、3:引出電極、4:加速電極、5:レンズ電源、6:電界制御部、7:レンズ、8:レンズ、9:対物レンズ、10:クロスオーバ、11:位置モニター用測定装置、12:試料ステージ、13:試料、14:可変減速電源、15:絞り、16a,16b:偏向器、17:電極、18:電極、19:電圧制御部、20:直交電磁界発生器、21:検出器、22:制御部、23:ステージ駆動装置、24:走査信号発生装置、27:記憶部、31:制御部、32:像表示装置、33:情報信号、34:情報信号、36:1次ビーム、37:画像処理部、40:制御板、41:画像、43:光軸、44:制御部、50:制御レンズ、51:制御レンズ、55:エネルギーフィルター、56:エネルギーフィルター、57:電磁界型レンズ、58:静電型レンズ、59:立体構造の底部、60:試料の表面
Claims (10)
- 荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを集束する集束レンズと、当該集束レンズによって集束された荷電粒子ビームを集束して試料に照射する対物レンズを備えた荷電粒子線装置において、
前記試料から放出された荷電粒子の一部の通過を制限する通過制限部材と、当該通過制限部材と前記試料との間に配置され、前記試料から放出される荷電粒子の軌道を制御する第1のレンズと、前記通過制限部材と前記荷電粒子源との間に配置され、第1のレンズの制御条件に応じて、前記荷電粒子ビームの集束条件を変化させる第2のレンズを備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1において、
前記対物レンズの物点と、前記通過制限部材との間に、前記第2のレンズが配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1において、
前記試料から放出され、前記通過開口制限部材を通過した荷電粒子、或いは当該荷電粒子が他部材に衝突することによって発生する新たな荷電粒子を検出する検出器を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1において、
前記通過制限部材は、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームが通過する開口を備えていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを集束する集束レンズと、当該集束レンズによって集束された荷電粒子ビームを集束して試料に照射する対物レンズを備えた荷電粒子線装置において、
前記試料から放出された荷電粒子の一部の通過を制限する通過制限部材と、当該通過制限部材と前記試料との間に配置される第1のレンズと、前記通過制限部材と前記荷電粒子源との間に配置される第2のレンズと、前記試料に対する前記荷電粒子ビームの照射に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、前記第1のレンズと前記第2のレンズを制御する制御装置を備え、
当該制御装置は、前記検出器の出力に基づいて生成される画像の1つ以上の部分が所定の状態となるように、前記第1のレンズを制御すると共に、当該第1のレンズの制御を維持しつつ、前記画像の1つ以上の部分が所定の状態となるように、前記第2のレンズを制御することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項5において、
前記対物レンズの物点と、前記通過制限部材との間に、前記第2のレンズが配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項5において、
前記制御装置は、前記画像の1つ以上の部分のコントラストが所定の条件を満たすように、前記第1のレンズを制御することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項5において、
前記制御装置は、前記画像の1つ以上の部分のコントラストが所定の条件を満たすように、前記第1のレンズを制御し、更に、前記画像の1つ以上の部分のフォーカス評価値が所定の条件を満たすように、前記第2のレンズを制御することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項5において、
前記制御装置は、前記画像内の第1の部分と第2の部分のいずれもが所定の画像状態となるように、前記第1のレンズを制御し、更に前記第1の部分と第2の部分のいずれもが所定の画像状態となるように、前記第2のレンズを制御することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項9において、
前記制御装置は、前記画像内の第1の部分と第2の部分の画像のコントラストが所定の状態となるように、前記第1のレンズを制御し、当該第1のレンズ状態を維持しつつ、前記第1の部分と第2の部分のフォーカス評価値が所定の条件を満たすように、前記第2のレンズを制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
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