JP2017015960A - 電子楽器 - Google Patents
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Abstract
【課題】2回目の演奏記録時以降に煩雑な操作を要することなく指標音の発音を禁止する電子楽器を提供する。【解決手段】モードIにおいてRECがオンされると、初めてモードIIに切り替わる。このモードIIでは、RAMに記録済みの演奏データが存在しないため、その時点で設定されているテンポに応じた周期(拍タイミング)で、かつ、その時点で設定されている音色でクリック音が発生する。しかし、一旦モードIVを経て記録済みの演奏データも存在する状態となると、モードII、IIIとなってもループ再生はなされるがクリック音は発生しない。【選択図】図11
Description
本発明は、演奏タイミングの指標となる指標音を発音可能であり、既に記録されている演奏データを再生しつつ新たな演奏を重ねて記録できる電子楽器に関する。
従来、演奏タイミングの指標となるメトロノーム音等の指標音を発音させながら演奏を記録し、記録した演奏を再生する電子楽器が知られている(特許文献1)。また、演奏を多重記録する技術として、記録したフレーズを繰り返し再生しつつさらにフレーズを重ねて記録するルーパー機能を有した装置も知られている。例えば、下記特許文献2では、リズムガイド音を初回に録音してループデータを作り、そのリズムガイド音を聞きながら押鍵入力操作によりフレーズをオーバーダビングして楽曲を完成する。その際、リズムガイド音が、その後の演奏タイミングの指標となる。
しかしながら、指標音は、最初に記録されるフレーズを演奏するときには必要であるが、2回目以降の演奏記録時には既に記録されたフレーズを聞きつつ演奏できるので、あまり必要とならない。むしろ、2回目以降の記録時には指標音が邪魔になることも多く、その場合に、指標音の発音がなされないようにすることも可能である。しかし、指標音の発音を禁止させるための操作が必要となり、操作が煩雑である。すなわち、1回目の記録の直後に直ちに2回目の記録をしたいとき等に演奏以外の操作が介在することになって好ましくない。
また、指標音を発生させるために、通常、発音チャンネルが1つ割り当てられる。フレーズの記録が重ねられる過程で、指標音の必要性が低くなって発音を禁止したとしても、発音チャンネルの割り当てが依然として維持されているため発音チャンネルが無駄になる。
さらに、指標音としてのメトロノームは通常、決まった音で発音されるが、リアルタイム演奏の際には、通常、演奏による発音音色を事前にユーザが設定しておく。ところが、勘違いや設定ミス等により、リアルタイム演奏における音色が、設定しておいた音色とは異なる場合がある。少しでも演奏をすれば音色を確認できるのであるが、演奏するとその演奏が直ちに今回のフレーズの記録として反映されてしまうため、音色確認のためだけに演奏することは現実的でない。音色の設定状態を表示等から視認するのは煩雑である。従って、演奏を開始してからでないと、設定されている音色を耳で確認することが容易でないという問題がある。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、2回目の演奏記録時以降に煩雑な操作を要することなく指標音の発音を禁止することができる電子楽器を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の請求項1の電子楽器は、演奏操作子(1)と、テンポを設定するテンポ設定手段(90)と、前記テンポ設定手段により設定されたテンポに応じた周期で、演奏タイミングの指標となる指標音を発音する発音手段(13、14、15)と、前記演奏操作子に対する演奏を、演奏区間を定めた演奏データとしてメモリ(7)に記録する記録制御手段(5)と、前記メモリに記録されている演奏データを繰り返し再生する再生手段(13、14、15)と、前記発音手段及び前記再生手段を制御する楽音制御手段(5)と、を有し、前記記録制御手段は、前記メモリに記録されている演奏データの前記再生手段による再生中に、前記演奏操作子に対する演奏を、既に記録されている演奏データに対して重ねて前記メモリに記録し、前記楽音制御手段は、前記メモリに演奏データが記録されていない状態で前記記録制御手段により演奏が記録される場合は、前記発音手段に前記指標音を発音させ、一方、前記メモリに少なくとも1つの演奏データが記録されている状態で前記記録制御手段により演奏が記録される場合は、前記発音手段に前記指標音を発音させることなく、前記記録されている演奏データを前記再生手段に再生させるよう制御することを特徴とする。
なお、上記括弧内の符号は例示である。
本発明の請求項1によれば、2回目の演奏記録時以降に煩雑な操作を要することなく指標音の発音を禁止することができる。
請求項2によれば、これから演奏するときの演奏音の音色を指標音で事前に確認することができる。請求項3によれば、2回目の演奏記録時からは発音チャンネルを有効利用することができる。請求項4によれば、ユーザの意思により指標音の発音を一律に禁止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子楽器の部分平面図である。この電子楽器は、電子鍵盤楽器200として構成される。この鍵盤楽器200は、いわゆるルーパー機能を有し、既に記録された演奏データを繰り返し読み出して再生している最中に演奏により取得される演奏データを重ねて記録することができる。鍵盤楽器200は、演奏操作子として複数の鍵からなる鍵盤部KBを有する。鍵盤楽器200の操作パネル上には、各種操作子のほか、ルーパー操作子21、操作表示部90が配設される。操作表示部90は、表示部91と入力部92とで構成される。
図2は、電子鍵盤楽器200の全体構成を示すブロック図である。
鍵盤楽器200は、検出回路3、検出回路4、ROM6、RAM7、タイマ8、表示装置9、外部記憶装置10、MIDIインターフェイス(MIDII/F)11、通信インターフェイス(通信I/F)12、音源回路13及び効果回路14が、バス16を介してCPU5にそれぞれ接続されて構成される。
検出回路3には、音高情報を入力するための鍵等の演奏操作子1が接続され、検出回路4には、各種情報を入力するための複数のスイッチを含む設定操作子2が接続されている。表示装置9は液晶ディスプレイ(LCD)等で構成され、各種情報を表示する。操作表示部90は表示装置9に含まれる。CPU5にはタイマ8が接続され、MIDII/F11には他のMIDI機器100が接続されている。通信I/F12には通信ネットワーク101を介してサーバコンピュータが接続される。音源回路13には効果回路14を介してサウンドシステム15が接続されている。
検出回路3は演奏操作子1の操作状態を検出し、検出回路4は設定操作子2の操作状態を検出する。CPU5は、本楽器全体の制御を司る。ROM6は、CPU5が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶する。RAM7は、演奏データ、テキストデータ等の各種入力情報、各種フラグやバッファデータ及び演算結果等を一時的に記憶する。タイマ8は、タイマ割り込み処理における割り込み時間等の各種時間を計時する。外部記憶装置10は、上記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種楽曲データ、各種データ等を記憶する。
MIDII/F11は、他のMIDI機器100等の外部装置からのMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号を入力したり、MIDI信号を外部装置に出力したりする。通信I/F12は、通信ネットワーク101を介して、例えばサーバコンピュータとデータの送受信を行う。音源回路13は、演奏操作子1から入力された演奏データや予め設定された演奏データ等を楽音信号に変換する。効果回路14は、音源回路13から入力される楽音信号に各種効果を付与し、DAC(Digital-to-Analog Converter)やアンプ、スピーカ等で構成されるサウンドシステム15は、効果回路14から入力される楽音信号等を音響に変換する。
ROM6に制御プログラムが記憶されていない場合には、この外部記憶装置10に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM7に読み込むことにより、ROM6に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU5にさせることができる。音源回路13は、例えばFM音源である。なお、音源回路13は、すべてをハードウェアまたはソフトウェアで構成してもよいし、一部ソフトウェアで、残りの部分をハードウェアで構成してもよい。
図3(a)〜(c)、図4(a)〜(c)は、ルーパーモードにおける操作表示部90の表示例を示す図である。操作表示部90の表示内容はモードによって異なる。図3(a)、(b)、(c)がルーパーモードにおけるモードI、II、IIIの表示状態を示し、図4(a)、(b)がモードIV、Vの表示状態を示す。図4(c)はモードIにおける図3(a)とは別の状態の表示例である。
表示部91及び入力部92はいずれも液晶表示機能を有するが、入力部92においてはタッチ操作による入力が可能となっている。入力部92の構成には例えば、特開2013−51530号公報等に開示される静電容量感知方式が採用される。この方式においては、タッチパネルに指が触れると静電容量が変化することにより、現在、どの位置に指が触れているかが検出される。
表示部91には、第1エリア81、第2エリア82、第3エリア83、第4エリア84が順に配置される。各エリア81〜84には、操作可能な内容が表示される。第1エリア81には、設定されているテンポ値が表示される。第2エリア82には、STOPまたはPLAYが表示される。第3エリア83にはREC、RECSTARTまたはRECSTOPが表示される。第4エリア84にはGUIDEがスピーカのマークと共に表示され、あるいはCLEARが表示される。エリア81〜84の表示は、入力操作が可能な場合にだけ対応する情報が表示され、入力操作ができない場合は非表示となる。
状態表示部85には、現在のモード状態が表示される。例えば、モードI、II、III、IV、Vに対応して、STOP(基本停止モード)、RECSTANDBY(記録スタンバイモード)、RECORDING(記録モード)、PLAYING(再生モード)、STOP(一時停止モード)が表示される。
入力部92には、各エリア82、83、84に対応して、操作ボタン93、94、95が表示される。操作ボタン93、94、95は、入力が可能な場合にだけ発光し、入力できない場合は消光される。従って、操作ボタン93、94、95のうち点灯しているものを押下(実際にはタップ操作と呼称されるタッチ)すると、入力操作が受け付けられる。例えば、モードI(図3(a))の表示において操作ボタン94を押下すると、RECの入力操作が受け付けられ、操作ボタン95を押下すると、クリック音発生設定の入力操作が受け付けられる。また、第1エリア81に対応してテンポアップ96、テンポダウン97が表示される。テンポアップ96及びテンポダウン97は、モードI、Vでは点灯表示され、モードII、III、IVでは拍タイミングと同期して点滅する。
なお、表示部91及び入力部92の表示態様は例示に限定されず、また、入力の受け付け態様も例示に限定されない。例えば、表示部91自体にタッチ入力を検出する機能を設けて入力操作を受け付けるようにしてもよい。あるいは、ルーパー機能に関する設定の一部または全部を設定操作子2によってできるようにしてもよい。
次に、ルーパーモードにおけるモードの遷移について図3〜図5を用いて説明する。図5は、ルーパーモードにおけるモード間の遷移を示す模式図である。図5において、モードI〜Vに対応するブロックにI〜Vを付してある。
まず、ルーパー操作子21(図1)が押下されるごとにルーパーモードと非ルーパーモードとに切り替わるようになっている。非ルーパーモードでは、効果用パラメータ入力とテンポ、あるいは楽音パラメータ入力とその表示、等がなされる。ルーパーモードになると、操作表示部90はモードIの表示(図3(a))となる。モードIにおいてテンポアップ96またはテンポダウン97が操作されると、第1エリア81に表示されるテンポ値が増減される。図3(a)の例では、テンポ値が120、図4(c)の例ではテンポ値が96となっている。なお、テンポ値の変更は、モードI〜Vのいずれにおいても可能である。
第4エリア84のGUIDEの下のマークは、演奏タイミングの指標となる指標音としてのクリック音を発生させるか否かを示す表示である。クリック音はメトロノームと同様の機能を果たす。図3(a)ではクリック音発生、図4(c)ではクリック音発生禁止を示している。また、図3(a)に示すモードIにおいて操作ボタン95が押下されると、GUIDEがオフされたことになってクリック音の発生が禁止され、マークの表示が図4(c)に示すように変わる。逆に図4(c)示すモードIにおいて操作ボタン95が押下されると、GUIDEがオンされたことになってクリック音の発生が許可され、マークの表示が図3(a)に示すように変わる。なお、テンポ設定の指示の受け付け態様はこれに限定されるものではなく、例えば、設定操作子2によって設定変更できるようにしてもよい。
本実施の形態では、ルーパーモードにおいて、演奏の最初の記録時にだけクリック音を発生させ、記録済みの演奏データのループ再生時にはクリック音を発生させないように制御される。この演奏データは例えば、MIDIデータである。
モードIにおいて、RECがオン(第3エリア83のRECに対応する操作ボタン94が押下)されると、図5に示すようにモードIIに切り替わる。モードIからモードIIに切り替わった場合は、RAM7に記録済みの演奏データが存在しない。この場合は、その時点で設定されているテンポに応じた周期(拍タイミング)で、且つ、その時点で設定されている音色でクリック音が発生する。設定されている音色は、リアルタイム演奏により発生する演奏音の音色と同じである。なお、音色、及びテンポ値の初期値は、ルーパーモードへ移行する前段階で、図2に示す設定操作子2(例えば、ルーパー操作子21(図1)の近傍に配置される不図示の操作子)により設定されている。これらがユーザにより設定されていない場合は、デフォルトの音色、テンポ値が採用される。
モードII(図3(b))において、何ら演奏されることなくSTOPがオン(第2エリア82のSTOPに対応する操作ボタン93が押下)されると、モードIに戻る。しかしモードIIにおいて、RECSTARTがオン(第3エリア83のRECSTARTに対応する操作ボタン94が押下)されると、モードIIIに切り替わり、演奏記録がなされる状態となる。あるいは、モードIIにおいて、演奏操作子1(鍵盤部KBの任意の鍵)の操作が開始された場合(Any Key on)もモードIIIに切り替わる。このような、記録済みの演奏データが無い状態でのモードIIIでは、ユーザは、クリック音を聞きながら演奏でき、その演奏は、CPU5による制御によって演奏データとしてRAM7に記録される。
モードIIIにおいて演奏操作がなされると、順次その演奏が記録されていく。モードIIIにおいて、RAM7に記録された演奏データが1つも存在しない場合に、RECSTOPがオン(第3エリア83のRECSTOPに対応する操作ボタン94が押下)されたときは、モードIに切り替わる。例えば、モードIIIに移行したが、演奏操作がなされることなくRECSTOPがオンされた場合がこれに該当する。
一方、モードIIIにおいて、RECSTOPがオンされた時点で、今回を含めて1度でも演奏操作がなされており、RAM7に記録された演奏データが少なくとも1つ存在する場合には、次のように遷移する。まず、RECSTOPがオンされた場合においては、モードIVを経ていないときはモードIVに切り替わる一方、モードIVを経ているときはモードVに切り替わる。いずれにしても、RECSTOPのオンによって今回の演奏記録が終了する。すなわち、記録される演奏データの演奏区間は、モードIIにおいてRECSTARTがオンされた場合は、その時点からRECSTOPがオンされるまでの時間区間に設定される。一方、モードIIにおいて演奏操作子1の演奏操作が開始されたことでモードIIIに切り替わった場合は、演奏操作開始からRECSTOPがオンされるまでの時間区間に設定される。今回記録された演奏データは、記録済みの演奏データと時間的に対応付けられる。
モードIV(図4(a))になると、それより前に記録されていた演奏データが繰り返し再生(ループ再生)されるが、クリック音は発生しない。ユーザは、多重記録(オーバーダビング)をしたいときには、モードIV(図4(a))において、RECをオン(第3エリア83のRECに対応する操作ボタン94を押下)する。RECがオンされると、モードIIIに切り替わり、記録済みの演奏データのループ再生は継続される。ユーザは、クリック音に代えてループ再生を聞きながら重ねるべき演奏を行える。このモードIIIで重ね演奏を終えてRECSTOPがオンされると、上述したようにモードVへ移行する。また、モードIVでSTOPがオン(第2エリア82のSTOPに対応する操作ボタン93が押下)されると、モードVに切り替わる。
モードV(図4(b))において、PLAYがオン(第2エリア82のPLAYに対応する操作ボタン93が押下)されると、モードIVに戻る。この場合、ループ再生は継続されるがクリック音は発生しない。また、モードVにおいて、RECがオン(第3エリア83のRECに対応する操作ボタン94が押下)されると、モードIIに切り替わる。この場合、一旦モードIVを経て記録済みの演奏データも存在する状態であるから、ループ再生は継続されるがクリック音は発生しない。
モードVにおいて、CLEARがオン(第4エリア84のCLEARに対応する操作ボタン95が押下)されると、モードI(図3(a))に切り替わる。この場合、記録されていた演奏データ、フラグが全てクリアされ、最初にルーパーモードに入ったときと同じ状態となる。従って、モードIVを経ていたこともキャンセルされる。なお、図4(b)には図示しないが、モードVにおいて記録済みの演奏データを、設定操作子2の操作によって、外部記憶装置10に保存することが可能である。
ところで、クリック音の発音用に発音チャンネルが1つ割り当てられる。また、クリック音用の発音チャンネルとは別に、記録演奏データごとに発音チャンネルが割り当てられる。演奏データが1つでも記録されると、そのとき、クリック音用の発音チャンネルを解放し、演奏データ用に有効利用できるようにしている。
これらの動作を含む処理を図6〜図11を用いて説明する。各処理はCPU5によって実行される。
図6、図7は、メイン処理のフローチャートである。この処理は、楽器の電源がオンにされると開始される。まず、CPU5は、初期設定を実行、すなわち所定プログラムの実行を開始し、RAM7等の各種レジスタに初期値を設定する(ステップS101)。次に、スイッチを含む全ての演奏操作子1や設定操作子2の操作子イベントを走査するキースキャン処理を実行する(ステップS102)。そして、操作された操作子が鍵であるか否かを判別し(ステップS103)、鍵が操作された場合は、発音・消音処理を実行する(ステップS106)。すなわち、検出された鍵情報(キーコード、ベロシティ等)を音源回路13に送り、現在設定されている音色にて楽音を発生させたり、消音させたりする。その後処理はステップS102に戻る。
一方、鍵操作がなされない場合は、操作された操作子が設定操作子2における音色関連操作子であるか否かを判別する(ステップS104)。その判別の結果、音色関連操作子が操作された場合は、その操作に応じて音色を設定し(ステップS105)、処理をステップS102に戻す。一方、操作された操作子が音色関連操作子でない場合は、処理を図7のステップS201へ進める。
ステップS201では、CPU5は、操作された操作子がルーパー操作子21であるか否かを判別し、ルーパー操作子21である場合は、ルーパーフラグLPRに対してLPR←1−LPRの演算を行う(ステップS202)。ルーパーフラグLPRはトグル式になっており、押下される度にルーパーフラグLPRが1と0とに切り替わる。LPR=1は楽器のモードがルーパーモードとなっていることを示す。
次に、LPR=1である否かを判別し(ステップS203)、LPR=0である場合は、音色設定、操作表示部90の表示状態等を、ルーパーモードとなる直前の状態にする(ステップS208)。その後、処理は図6のステップS102に戻る。一方、LPR=1である場合は、現在設定されている演奏音の音色をクリック音の音色として設定すると共に、クリック音の発生周期を現在設定されているテンポ値に基づいて設定する(ステップS204)。次に、ルーパーモード処理(図8〜図10)を実行して(ステップS205)、LPR←0としてから(ステップS206)、処理を図6のステップS102に戻す。
ステップS201の判別の結果、操作された操作子がルーパー操作子21でない場合は、その他処理を実行する。その他処理には、操作された操作子に対応する処理が含まれる。その後、処理は図6のステップS102に戻る。
図8、図9、図10は、ルーパーモード処理のフローチャートである。この処理は、図7のステップS205で実行される。
まず、CPU5は、ルーパーモードをモードIにすると共に、操作表示部90の表示をモードIの初期表示(図3(a))にする(ステップS301)。そして、入力部92または他の操作子への入力等の操作を検出し、操作に応じて処理を分岐させる(ステップS302)。
具体的には、クリック音のオン/オフの操作(GUIDEに対応する操作ボタン95の押下)がなされた場合は、ガイドフラグGDに対してGD←1−GDの演算を行う(ステップS303)。従って、クリック音のオン/オフの操作がされる毎にガイドフラグGDが1と0とに切り替わる。GD=1はクリック音の発音がなされることを示す。その後、GD=1であるか否かを判別し(ステップS304)、GD=1であればクリック音の発音を許可(オン)すると共に、第4エリア84においてGUIDEの下のスピーカのマークを図3(a)に示すような表示とする(ステップS305)。GD=0であればクリック音の発音を禁止(オフ)すると共に、第4エリア84においてスピーカのマークを図4(c)に示すような表示とする(ステップS306)。その後、処理はステップS302に戻る。
テンポ操作(テンポアップ96またはテンポダウン97の押下)がなされた場合は、その操作に応じてテンポ値の設定を増減し(ステップS307)、処理をステップS302に戻す。RECがオンされた場合は、クリック有りスタンバイフラグREC_STBを1に設定すると共に、クリック無しスタンバイフラグREC_SBを0に設定する(ステップS308)。フラグREC_STBが1であることは、モードIからモードIIへ移行したことを示す。フラグREC_SBが1であることは、モードIVを経た後、モードIを経ていないことを示す。その後、ルーパーモードをモードIIにすると共に、操作表示部90の表示をモードIIの表示(図3(b))にする(ステップS309)。その後、処理はステップS311に進む。
その他操作子が操作された場合は、処理は図7のステップS206へ移行する。なお、ここでいうその他操作子には演奏操作子1は含まれない。何も操作されない場合は、現在のモードIを維持して(ステップS310)、ステップS302に戻る。また、演奏操作子1が操作された場合は、ステップS310で、操作に応じた発音・消音処理を、図6のステップS106と同様の態様で実行すると共に、現在のモードIを維持して、ステップS302に戻る。
モードIIにおいて、ステップS311では、入力部92または他の操作子への入力等の操作を検出し、操作に応じて処理を分岐させる。具体的には、押鍵操作(キーオン)またはRECSTARTがオンされた場合は、記録開始フラグREC_STTを1に設定する(ステップS312)。記録開始フラグREC_STTが1であることは、演奏の記録が開始されたことを示す。次に、ルーパーモードをモードIIIにすると共に、操作表示部90の表示をモードIIIの表示(図3(c))にし、さらに、REC_STB←0とする(ステップS313)。その際、鍵操作に応じた発音処理も実行される。その後、処理はステップS317に進む。
また、テンポ操作がなされた場合は、その操作に応じてテンポ値の設定を増減し(ステップS314)、処理をステップS311に戻す。STOPがオンされた場合は、REC_STT←0、REC_STB←0として(ステップS315)、処理をステップS301に戻し、モードIに遷移させる。その他操作子が操作された場合は、処理は図7のステップS206へ移行する。なお、ここでいうその他操作子には演奏操作子1は含まれない。何も操作されない場合は、現在のモードIIを維持して、ステップS311に戻る。
モードIIIにおいて、ステップS317では、入力部92または他の操作子への入力等の操作を検出し、操作に応じて処理を分岐させる。具体的には、テンポ操作がなされた場合は、その操作に応じてテンポ値の設定を増減し(ステップS318)、処理をステップS317に戻す。RECSTOPがオンされた場合は、RAM7に記録済みの演奏データが1つでも存在するか否かを判別する(ステップS319)。そして、記録済みの演奏データが1つもない場合は、処理をステップS301に戻してモードIに遷移させる。一方、記録済みの演奏データが1つでも存在する場合は、REC_STT←0、REC_STB←0とし(ステップS320)、REC_SB=1であるか否かを判別する(ステップS321)。
その判別の結果、REC_SB=1でない場合は、モードIVを経ておらず、今回の演奏記録が初回の記録に該当する。そこで、処理をステップS329に進め、ルーパーモードをモードIVにすると共に、操作表示部90の表示をモードIVの表示(図4(a))にし、さらに再生フラグAPを1に設定する。再生フラグAPが1であることは、記録済みの演奏データをループ再生することを示す。その後、処理はステップS330に進む。一方、REC_SB=1である場合は、モードIVを経ており、今回の演奏記録が2回目以降の記録に該当する。そこで、ルーパーモードをモードVにすると共に、操作表示部90の表示をモードVの表示(図4(b))にし、さらに再生フラグAPを0に設定して(ステップS323)、処理をステップS324に進める。
その他操作子が操作された場合は、処理は図7のステップS206へ移行する。なお、ここでいうその他操作子には演奏操作子1は含まれない。何も操作されない場合は、現在のモードIIIを維持して(ステップS322)、ステップS317に戻る。また、演奏操作子1が操作された場合は、ステップS322で、操作に応じた発音・消音処理を、図6のステップS106と同様の態様で実行すると共に、現在のモードIIIを維持して、ステップS317に戻る。
モードIVにおいて、ステップS330では、入力部92または他の操作子への入力等の操作を検出し、操作に応じて処理を分岐させる。具体的には、RECがオンされた場合は、REC_STT←1、REC_SB←1とし(ステップS331)、処理をステップS313に戻してモードIIIへと遷移させる。テンポ操作がなされた場合は、その操作に応じてテンポ値の設定を増減し(ステップS332)、処理をステップS330に戻す。STOPがオンされた場合は、処理をステップS323に進めてモードVに遷移させる。
その他操作子が操作された場合は、処理は図7のステップS206へ移行する。なお、ここでいうその他操作子には演奏操作子1は含まれない。何も操作されない場合は、現在のモードIVを維持して(ステップS333)、ステップS330に戻る。また、演奏操作子1が操作された場合は、ステップS333で、操作に応じた発音・消音処理を、図6のステップS106と同様の態様で実行すると共に、現在のモードIVを維持して、ステップS330に戻る。
モードVにおいて、ステップS324では、入力部92または他の操作子への入力等の操作を検出し、操作に応じて処理を分岐させる。具体的には、CLEARがオンされた場合は、全てのフラグ、演奏データをクリアし(ステップS325)、処理をステップS301に戻してモードIに遷移させる。RECがオンされた場合は、REC_STT←1として再び演奏の記録を受け付ける状態とし(ステップS326)、処理をステップS309に戻してモードIIに遷移させる。また、PLAYがオンされた場合は、処理をステップS329に進めてモードIVに遷移させる。テンポ操作がなされた場合は、その操作に応じてテンポ値の設定を増減し(ステップS327)、処理をステップS324に戻す。
その他操作子が操作された場合は、処理は図7のステップS206へ移行する。なお、ここでいうその他操作子には演奏操作子1は含まれない。何も操作されない場合は、現在のモードVを維持して(ステップS328)、ステップS324に戻る。また、演奏操作子1が操作された場合は、ステップS328で、操作に応じた発音・消音処理を、図6のステップS106と同様の態様で実行すると共に、現在のモードVを維持して、ステップS324に戻る。なお、記録済みの演奏データの外部保存をするための操作がなされた場合は、外部記憶装置10に保存させる処理がステップS328で実行される。
図11は、タイマインタラプト処理のフローチャートである。この処理は、CPU5により、ルーパーモード中において一定の時間間隔で実行される。
まず、CPU5は、現在、ルーパーRUNモード中であるか否かを判別する(ステップ401)。ここで、再生フラグAP、クリック有りスタンバイフラグREC_STB、クリック無しスタンバイフラグREC_SB、記録開始フラグREC_STTのうち、少なくともいずれか1つが1である場合に、ルーパーRUNモードであると判別される。
その判別の結果、ルーパーRUNモード中でない場合は、図11の処理を終了させる一方、ルーパーRUNモード中である場合は、TCLタイミングが到来したか否かを判別する(ステップS402)。ここで、変数Tが所定値(例えば、960)に到達したときにTCLタイミングが到来したと判別される。テンポクロックTCLは、1小節毎にリセットされる変数であり、TCL=1であることは、例えば4分音符長の96分の1であることを意味する。
その判別の結果、TCLタイミングが到来していない場合は、変数Tを、T←T+1とし(ステップS403)、図11の処理を終了させる。一方、TCLタイミングが到来した場合は、REC_STB=1であるか否かを判別し(ステップS404)、REC_STB=1である場合は、拍タイミングが到来したか否かを判別する(ステップS405)。ここで、TCL=96となった場合に拍タイミングが到来したと判別される。
その判別の結果、拍タイミングが到来した場合は、演奏用に設定されている音色で、クリック音を発生させる(ステップS406)。これにより、毎回の拍ごとに、メトロノームと同じような指標の機能を果たすクリック音が、現在の設定音色で発生する。ユーザは、クリック音を演奏タイミングの指標にできると共に、現在設定されている音色を、目視や鍵操作に頼ることなく耳で確認することができる。その後、処理はステップS407に進む。拍タイミングが到来していない場合は、クリック音を発生させることなく処理をステップS407に進める。ステップS407では、TCL←TCL+1とし、図11の処理を終了させる。
ステップS404の判別の結果、REC_STB=1でない場合は、REC_STT=1であるか否かを判別する(ステップS408)。その判別の結果、REC_STT=1である場合は、ステップS409に進み、演奏がなされればその演奏を演奏データとして記録する。その際、1回目の演奏が記録された直後である場合は、クリック音用に割り当てていた発音チャンネルを解放する。これにより、当該発音チャンネルが有効利用でき、例えば、それ以降に記録される演奏データの発音用に用いることも可能となる。その後、処理はステップS407に進む。
一方、REC_STT=1でない場合は、AP=1であるか否かを判別する(ステップS410)。その判別の結果、AP=1である場合は、記録済みの演奏データを繰り返し再生し(ステップS411)、処理をステップS407に進める。一方、AP=1でない場合は処理をステップS407に進める。
本実施の形態によれば、演奏データが記録されていない状態で演奏が記録される場合は指標音としてクリック音を発音し、少なくとも1つの演奏データが記録されている状態で演奏が記録される場合は、クリック音を発音することなく記録済みの演奏データをループ再生する。これにより、2回目の演奏記録時以降に煩雑な操作を要することなく指標音の発音を禁止することができる。特に、クリック音は、演奏音用に設定された音色と同じ音色で発音されるので、これから演奏するときの演奏音の音色をクリック音で事前に確認することができる。
また、1つ目の演奏データが記録されたときに、クリック音に割り当てていた発音チャンネルを解放するので、2回目の演奏記録時からは発音チャンネルを有効利用することができる。
また、モードIで操作ボタン95の操作によってクリック音の発音の有無を設定できるので、演奏データが記録されていない状態で(初回に)演奏が記録される場合であっても、ユーザの意思によりクリック音の発音を一律に禁止することができる。
なお、演奏データが記録されるメモリとしてRAM7を例示したが、これに限るものではなく、不揮発メモリであってもよい。なお、クリック音の音高は、例えば、最も高い音高とされる。しかしこれに限定されることなくユーザが設定できるようにしてもよい。また、クリック音の長さは短い音(例えば、16音符相当)とするが、これに限定されない。さらに、クリック音は、必ずしも演奏音の音色と同一にしなくてもよく、演奏音とは別途設定できるようにしてもよい。なお、本発明の適用は鍵盤楽器に限らず、他の電子楽器であってもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
1 演奏操作子、 2 設定操作子(音色設定手段)、 5 CPU(記録制御手段、楽音制御手段)、 7 RAM(メモリ)、 13 音源回路(発音手段、再生手段)、 14 効果回路(発音手段、再生手段)、 15 サウンドシステム(発音手段、再生手段)、 90 操作表示部(テンポ設定手段)
Claims (4)
- 演奏操作子と、
テンポを設定するテンポ設定手段と、
前記テンポ設定手段により設定されたテンポに応じた周期で、演奏タイミングの指標となる指標音を発音する発音手段と、
前記演奏操作子に対する演奏を、演奏区間を定めた演奏データとしてメモリに記録する記録制御手段と、
前記メモリに記録されている演奏データを繰り返し再生する再生手段と、
前記発音手段及び前記再生手段を制御する楽音制御手段と、を有し、
前記記録制御手段は、前記メモリに記録されている演奏データの前記再生手段による再生中に、前記演奏操作子に対する演奏を、既に記録されている演奏データに対して重ねて前記メモリに記録し、
前記楽音制御手段は、前記メモリに演奏データが記録されていない状態で前記記録制御手段により演奏が記録される場合は、前記発音手段に前記指標音を発音させ、一方、前記メモリに少なくとも1つの演奏データが記録されている状態で前記記録制御手段により演奏が記録される場合は、前記発音手段に前記指標音を発音させることなく、前記記録されている演奏データを前記再生手段に再生させるよう制御することを特徴とする電子楽器。 - 前記記録制御手段による演奏の記録時における演奏音の音色を設定する音色設定手段を有し、
前記発音手段は、前記音色設定手段により設定された音色で前記指標音を発音することを特徴とする請求項1記載の電子楽器。 - 前記楽音制御手段は、前記指標音に発音チャンネルを割り当てると共に、前記指標音の発音チャンネルとは別に、前記メモリに記録された演奏データごとに発音チャンネルを割り当て、前記記録制御手段により1つ目の演奏データが記録されたときに、前記指標音に割り当てていた発音チャンネルを解放することを特徴とする請求項1または2記載の電子楽器。
- 前記楽音制御手段は、前記メモリに演奏データが記録されていない状態で前記記録制御手段により演奏が記録される場合であっても、ユーザの指示に応じて前記発音手段による前記指標音の発音を禁止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子楽器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2015133204A JP2017015960A (ja) | 2015-07-02 | 2015-07-02 | 電子楽器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015133204A JP2017015960A (ja) | 2015-07-02 | 2015-07-02 | 電子楽器 |
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JP2017015960A true JP2017015960A (ja) | 2017-01-19 |
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ID=57830669
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2015133204A Pending JP2017015960A (ja) | 2015-07-02 | 2015-07-02 | 電子楽器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017015960A (ja) |
-
2015
- 2015-07-02 JP JP2015133204A patent/JP2017015960A/ja active Pending
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