JP2017014626A - 電着塗料回収システムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗料の回収率および電着塗装の品質を向上させる電着塗料回収システムおよび方法を提供する。
【解決手段】電着槽(10)と、水洗槽(11,12,13)と、限外濾過膜または精密濾過膜からなり、電着槽(10)内の電着溶液の濾過による濾液と濃縮液とを、最終段の水洗槽(13)と電着槽(10)とに供給する第1の濾過膜(16)と、電着溶液および水洗槽(11,12,13)内の水洗後の水のいずれか一方を限外濾過または精密濾過した濾過水を供給する供給系と、逆浸透膜からなり、上記供給系から供給される濾過水の濾過により得られた濾液と濃縮液とを、最終段の水洗槽(13)と電着槽(10)および最終段の水洗槽(13)以外の水洗槽の何れかとに供給する第2の濾過膜(18)と、第1の濾過膜(16)による濾液および第2の濾過膜(18)による濾液の最終段の水洗槽(13)への供給量をそれぞれ調整する流量調整部(30)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、濾過膜を用いて濾過した濾過水によって電着対象の被塗装物の洗浄を行うとともに、洗浄によって洗い流された未電着塗料を回収して再使用する電着塗料回収システムおよび方法に関するものである。
従来、電着塗装は自動車ボディをはじめ、自動車部品、電機製品および建材等の塗装に幅広く用いられている。電着塗装システムは、被塗装物に電気化学的に塗膜を形成させる電着工程及び未電着塗料等を洗い落とすための洗浄工程、更には塗膜を硬化させるための焼き付け工程から構成されており、一般的に、水洗工程は、膜濾過濾液多段回収水洗工程と最終水洗工程とから構成されている。
膜濾過濾液多段回収水洗工程は、電着槽内の塗料を濾過膜で濾過することによって得られる濾液を用いて被塗装物を洗浄し、被塗装物に物理的に付着した塗料を洗い落とすとともに、未電着塗料を電着槽に回収する工程である。また、最終水洗工程は、純水や浄水(工水)を用いて仕上げ洗浄を行なう工程であり、膜濾過濾液多段回収水洗工程で洗い落とせなかった微量の塗料や夾雑イオンが洗い落とされるが、洗浄に用いられた後の水は廃水として工程外に排出されている。
図7は、従来の電着塗料回収システムの一例である。図7に示す101が電着槽であり、膜濾過濾液多段回収水洗工程は、スプレー型の第一水洗槽102、ディップ型の第二水洗槽103およびスプレー型の第三水洗槽104の3段で構成されている。また、最終水洗工程は、ディップ型の第一水洗槽105およびスプレー型の第二水洗槽106の2段で構成されている。スプレー型の水洗槽とは、被塗装物に水洗水をスプレーすることによって被塗装物の水洗を行うタイプの水洗槽である。一方、ディップ型の水洗槽は、スプレー型の水洗槽よりも水洗水の滞留量が多く、被塗装物を完全に水洗水中に浸漬することによって被塗装物の水洗を行うタイプの水洗槽である。
被塗装物はコンベア(図示されていない)に装着されて、電着槽101に浸漬されて電着塗装された後、膜濾過濾液多段回収水洗工程の第一水洗槽102、第二水洗槽103、第三水洗槽104、最終水洗工程の第一水洗槽105および第二水洗槽106へと順に搬送され、水洗される。107は第一膜濾過装置である。電着液がライン108により電着槽101から第一膜濾過装置107に送られ、膜濾過される。膜を透過しない濃縮液はライン109により電着槽101に戻される。濾液はライン110により膜濾過濾液多段回収水洗工程の最終段、図7に示す例では第三水洗槽104に送られ、膜濾過濾液多段回収水洗工程の水洗水として用いられる。膜濾過濾液多段回収水洗工程の水洗水は第三水洗槽104から第二水洗槽103および第一水洗槽102へと順繰りにオーバーフローし、各水洗槽で水洗水として用いられた後、さらに第一水洗槽102から電着槽101にオーバーフローし、未電着塗料が回収される。最終水洗工程の第一水洗槽105には水洗水として純水または浄水(工水)がライン113から供給され、第二水洗槽106には純水または浄水(工水)がライン111から供給され、洗浄される。第二水洗槽106に供給された純水は第一水洗槽105にオーバーフローし、第一水洗槽105に供給された浄水とともにライン112から排出される。
しかしながら、上述したような従来の電着塗料回収システムによる回収水洗方法は、多量の被塗装物に電着塗装した場合、各水洗槽中の未電着塗料の濃度が上昇するため、電着塗装施設外への塗料持ち出し量の増加、または、それを防ぐために、最終水洗工程における浄水および純水の使用量の増加および廃水処理負担の増大という問題を有していた。膜濾過濾液多段回収水洗工程の段数を増加すれば、この問題は解決できるが、設備費および設置スペースの増大という新たな問題が生じる。
上述の問題を解決するために、特許文献1では、膜濾過濾液多段回収水洗工程の最初の段の回収水洗水を限外濾過膜で濾過し、得られた濾液を膜濾過濾液多段回収水洗工程の最後の段に供給することを提案している。しかし、この方法では、たとえば最初の段の水洗槽がスプレー型の水洗槽である場合、最初の段の回収水洗水を限外濾過して得られる濾液の量が少なく、最終段における未電着塗料の濃度が十分に低下しないという問題がある。
また、特許文献2では、膜濾過濾液多段回収水洗工程の最初の段と最後の段との間に設けた水洗槽から回収水洗水を抜き出した後、限外濾過膜で濾過し、得られた濾液を膜濾過濾液多段回収水洗工程の最後の段に供給することを提案している。
図8は、特許文献2に記載の電着塗料回収システムである。図8において、図7と同一の装置には同じ番号を付してある。図8に示す電着塗料回収システムは、図7に示した従来の電着塗料回収システムにおいて、ディップ型の第二水洗槽103に第二膜濾過装置120が新たに設けられていることが特徴であり、その他の点では図7に示した従来の電着塗料回収システムと同じである。第二膜濾過装置120には第二水洗槽液がライン122から供給され、膜を透過しない濃縮液はライン121により電着槽101に戻される。濾液は第三水洗槽104(膜濾過濾液多段回収水洗工程の最終段)にライン123によって供給され、ライン110によって供給される第一膜濾過装置107の濾液と共に水洗水として用いられる。
また、特許文献3では、電着槽から抜き出した電着溶液を限外濾過膜で濾過し、得られた濾液を逆浸透膜で濾過し、その逆浸透膜で得られた濾液を膜濾過濾液多段回収水洗工程の最後の段に供給することが提案されている。
特開平7−224397号公報 特開2011−99158号公報 特開2004−149899号公報
ここで、特許文献2に記載の電着塗料回収システムによれば、図7に示す従来の電着塗料回収システムと比較すれば、濾液多段回収水洗工程の最後の段に対して、より多くの水洗水を供給することができ、最終段の未電着塗料の濃度をより低下させることができる。これにより、電着塗装施設外への塗料持ち出し量を低減させることができる。すなわち、電着塗料の回収率を上げることができ、さらに最終水洗工程における浄水および純水の使用量を低減させることができる。
しかしながら、発明者らによる実験によれば、図8に示す電着塗料回収システムでも、電着塗料の回収率は97%にとどまり、さらなる改善が望まれていた。
また、特許文献3に記載の電着塗料回収システムでは、逆浸透膜による濃縮液が、最初の段の水洗槽と最終段の水洗槽との間の水洗槽に戻されるが、濃縮液には、膜を通過しなかった夾雑イオンが多く含まれる。水洗槽に戻された夾雑イオンは、電着槽側に流れ、電着槽内に戻されることになる。この夾雑イオンは、被塗装物の電着前の前処理工程から持ち込まれるものであるため、多数の被塗装物を洗浄するうちに電着槽内の電着溶液の夾雑イオンの濃度が上昇し、これにより電着塗装の品質が悪化する問題がある。
夾雑イオンとしては、アルカリイオン、金属イオンおよび硝酸根などがあるが、電着槽では、これらの夾雑イオンの中でも、特にアルカリイオンの変動が大きく、一般的には、アルカリイオンが30ppmを超えると塗装品質が劣化することが知られている。アルカリイオンとしては、NaイオンおよびKイオンがあるが、Kイオンは1ppm程度と濃度が低いため、Naイオンの濃度を管理することが特に重要である。
本発明は、上述の問題に鑑みて、膜濾過濾液多段回収水洗工程において効率的に最終段の水洗水を増やすことにより塗料の回収率をさらに向上させることができ、かつ電着槽内に電着溶液に含まれるNaイオン濃度の上昇を抑制し、これにより電着塗装の品質を向上させることができる電着塗料回収システムおよび方法を提供することを目的とするものである。
本発明の電着塗料回収システムは、被塗装物の電着塗装が行われる電着槽と、電着塗装後の被塗装物の水洗が段階的に行われる少なくとも2つの水洗槽と、限外濾過膜または精密濾過膜からなり、電着槽内の電着塗料を含む電着溶液の濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、最終段の水洗槽と電着槽とに供給する第1の濾過膜と、電着槽内の電着溶液および水洗槽内の水洗後の水のいずれか一方を限外濾過または精密濾過した濾過水を供給する供給系と、逆浸透膜からなり、供給系から供給される濾過水の濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、最終段の水洗槽と電着槽および最終段の水洗槽以外の水洗槽の何れかとに供給する第2の濾過膜と、第1の濾過膜によって濾過された濾液および第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量をそれぞれ調整する流量調整部とを備え、最終段の水洗槽から水洗後の水が電着槽側の水洗槽および電着槽に順に供給されることを特徴とする。
また、上記本発明の電着塗料回収システムにおいて、供給系は、限外濾過膜又は精密濾過膜からなり、上記少なくとも2つの水洗槽のいずれかの水洗漕内の水洗後の水の濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、供給系を介して第2の濾過膜と最終段の水洗槽よりも電着槽側の水洗槽に供給する第3の濾過膜を備えることができる。
また、上記本発明の電着塗料回収システムにおいて、第1の濾過膜は、電着溶液の濾過により得られた濾液を、供給系を介して第2の濾過膜にも供給するようにできる。
また、上記本発明の電着塗料回収システムにおいて、流量調整部は、第1の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量V1と第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量V2との比V1:V2が、1:2〜2:1となるように調整することができる。
また、上記本発明の電着塗料回収システムにおいて、流量調整部は、V1:V2が1:1となるように調整することが好ましい。
また、上記本発明の電着塗料回収システムは、流量調整部は、電着槽に最も近い水洗槽の水洗後の水のNaイオン濃度が30ppm以下となるように、第1の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量および第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量を調整することができる。
また、上記本発明の電着塗料回収システムは、最終段の水洗槽内の水洗後の水の電気伝導度を計測する計測部を備えることができ、流量調整部は、計測部によって計測された電気伝導度に基づいて、第1の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量および第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量を自動的に調整することができる。
また、逆浸透膜は、ゼータ電位が正である濾過膜であることが好ましい。
本発明の電着塗料回収方法は、被塗装物の電着塗装が行われる電着槽と、電着塗装後の被塗装物の水洗が段階的に行われる少なくとも2つの水洗槽と、限外濾過膜または精密濾過膜からなり、電着槽内の電着塗料を含む電着溶液の濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、最終段の水洗槽と電着槽とに供給する第1の濾過膜とを用い、最終段の水洗槽から水洗後の水が電着槽側の水洗槽および電着槽に順に供給される電着塗料回収方法であって、電着槽内の電着溶液および水洗槽内の水洗後の水のいずれか一方を限外濾過または精密濾過した濾過水を、逆浸透膜からなる第2の濾過膜によって濾過し、その濾過によって得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、最終段の水洗槽と電着槽および最終段の水洗槽以外の水洗槽の何れかに供給し、第1の濾過膜によって濾過された濾液および第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量をそれぞれ調整することを特徴とする。
また、上記本発明の電着塗料回収方法においては、限外濾過膜又は精密濾過膜からなる第3の濾過膜を用い、少なくとも2つの水洗槽のいずれかの水洗漕内の水洗後の水を濾過し、その濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、第2の濾過膜と最終段の水洗槽よりも電着槽側の水洗槽に供給することができる。
また、上記本発明の電着塗料回収方法においては、第1の濾過膜は、電着溶液の濾過により得られた濾液を第2の濾過膜にも供給するようにできる。
また、上記本発明の電着塗料回収方法において、第1の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量V1と第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量V2との比V1:V2が、1:2〜2:1となるように調整することができる。
また、上記本発明の電着塗料回収方法において、V1:V2は1:1となるように調整することが好ましい。
また、上記本発明の電着塗料回収方法において、電着槽に最も近い水洗槽の水洗後の水のNaイオン濃度が30ppm以下となるように、第1の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量および第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量を調整することができる。
また、上記本発明の電着塗料回収方法において、最終段の水洗槽内の水洗後の水の電気伝導度を計測し、その計測した電気伝導度に基づいて、第1の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量および第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量を自動的に調整することができる。
また、上記本発明の電着塗料回収方法において、第2の濾過膜は、ゼータ電位が正である濾過膜であることが好ましい。
本発明の電着塗料回収システムおよび方法によれば、電着槽内の電着塗料を含む電着溶液を濾過する第1の濾過膜に加えて、電着槽内の電着溶液または水洗槽内の水洗後の水を限外濾過または精密濾過した濾液が供給される、逆浸透膜からなる第2の濾過膜を有する。
そして、第1の濾過膜による濾過によって得られた濾液に加えて、第2の濾過膜による濾過によって得られた濾液が最終段の水洗槽に供給される。このように限外濾過または精密濾過した濾液をさらに逆浸透膜によって濾過し、その濾液を最終段の水洗槽に供給することによって、最終段の水洗水を増やすことができるとともに、未電着塗料を減らすことができる。よって、従来の電着塗料回収システムに比べ、塗料の回収率を大幅に増加させることができ、これにより、最終水洗工程の洗浄用の純水およびその排水を削減することができる。
さらに、第2の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量および第1の濾過膜によって濾過された濾液の最終段の水洗槽への供給量を調整するようにしたので、電着槽内の電着溶液のNaイオン濃度の上昇を抑制することができ、電着塗装の品質を向上させることができる。
具体的には、逆浸透膜からなる第2の濾過膜による濾過を行うことによってNaイオン濃度の高い濃縮液が電着槽または水洗槽に戻され、電着槽にNaイオン濃度が蓄積されることになるが、その蓄積されたNaイオンを含む電着溶液を第1の濾過膜によって濾過する際、Naイオンを濾液側に逃すことができるので、電着槽内の電着溶液のNaイオン濃度の上昇を抑制することができる。そして、Naイオン濃度が低減された第2の濾過膜の濾液の最終段の水洗槽への供給量と、電着槽内の電着溶液のNaイオンを含んだ第1の濾過膜の濾液の最終段の水洗槽への供給量とを調整することによって、システム全体でのNaイオン濃度の上昇を抑制することができる。
本発明の電着塗料回収システムの第1の実施形態の概略構成を示す図 第1〜第3の濾過膜装置の構成を示す模式図 本発明の電着塗料回収システムの第2の実施形態の概略構成を示す図 第2の実施形態の電着塗料回収システムにおいて、第1の濾過膜装置の濾液の最終段の水洗槽への供給量と第2の濾過膜装置の濾液の最終段の水洗槽への供給量とを自動的に調整する場合の概略構成を示す図 第1の実施形態の電着塗料回収システムにおいて、第1の濾過膜装置の濾液の最終段の水洗槽への供給量V1と第2の濾過膜装置の濾液の最終段の水洗槽への供給量V2との比が、1:1の場合の各部の流量およびNaイオン濃度をそれぞれ示す図 第2の実施形態の電着塗料回収システムにおいて、第1の濾過膜装置の濾液の最終段の水洗槽への供給量V1と第2の濾過膜装置の濾液の最終段の水洗槽への供給量V2との比が、1:1の場合の各部の流量およびNaイオン濃度をそれぞれ示す図 従来の電着塗料回収システムの一例を示す図 従来の電着塗料回収システムの一例を示す図
以下、本発明の電着塗料回収システムおよび方法の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の電着塗料回収システム1の概略構成を示す模式図である。
本実施形態の電着塗料回収システム1は、図1に示すように、電着槽10と、第1の水洗槽11と、第2の水洗槽12と、第3の水洗槽13と、第4の水洗槽14と、第5の水洗槽15と、第1の濾過膜装置16と、第2の濾過膜装置18と、第3の濾過膜装置17とを備えている。
電着槽10は、車の車体、電機製品および建材などといった被塗装物の電着塗装が行われる槽である。電着槽10内には、エポキシ系樹脂および顔料などからなる電着塗料と溶剤、有機酸および純水などとを含むカチオン電着溶液が収容されている。
第1の水洗槽11、第2の水洗槽12および第3の水洗槽13は、膜濾過濾液多段回収水洗工程を行うためのものである。第1の水洗槽11および第3の水洗槽13は、スプレー型の水洗槽であり、第2の水洗槽12は、ディップ型の水洗槽である。スプレー型の水洗槽とは、被塗装物に水洗水をスプレーすることによって被塗装物の水洗を行うタイプの水洗槽である。一方、ディップ型の水洗槽は、スプレー型の水洗槽よりも水洗水の滞留量が多く、被塗装物を完全に水洗水中に浸漬することによって被塗装物の水洗を行うタイプの水洗槽である。
第4の水洗槽14および第5の水洗槽15は、最終水洗工程を行うためのものである。第4の水洗槽14は、ディップ型の水洗槽であり、第5の水洗槽15は、スプレー型の水洗槽である。
第1の濾過膜装置16は、限外濾過膜または精密濾過膜(第1の濾過膜に相当する)を備えたものである。限外濾過膜とは、平均孔径が0.001μm〜0.01μm程度の濾過膜であり、精密濾過膜とは、平均孔径が0.01μm〜10μm程度の濾過膜である。なお、限外濾過膜および精密濾過膜の平均孔径は、以下のようにして計測される。
まず、限外濾過膜または精密濾過膜を長さ方向に垂直な断面で切断する。走査型電子顕微鏡を用いて上記断面を極力多数の細孔の形状が明確に確認できる程度の倍率で撮影する。次に、電子顕微鏡画像のコピーの上に透明シートを重ね、黒いペン等を用いて細孔部分を黒く塗り潰し、透明シートを白紙にコピーすることにより、細孔部分は黒、非細孔部分は白と明確に区別する。その後、市販の画像解析ソフトを利用して任意に選んだ細孔100個の孔径を求め、その相加平均値を出すことで平均孔径を算出する。画像解析ソフトは例えば三谷商事株式会社から販売されているソフトウェア“WinRoof”を用いることができる。なお、孔径とは、細孔の円周上における任意の点から、該任意の点に対向する位置にある細孔の円周上の点とを結んだ距離を指す。
第1の濾過膜装置16は、電着槽10内の電着溶液を濾過するものであり、流路20を介して電着槽10から第1の濾過膜装置16に電着溶液が供給される。第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水は、流路21を介して膜濾過濾液多段回収水洗工程の最終段である第3の水洗槽13に送水され、膜濾過濾液多段回収水洗工程の水洗水として用いられる。一方、第1の濾過膜装置16において膜を透過しなかった濃縮液は、流路22を介して電着槽10に戻される。
図2は、第1の濾過膜装置16の具体的な構成を示す模式図である。図2に示すように、第1の濾過膜装置16は、限外濾過膜または精密濾過膜を有する中空糸膜モジュール16aと、中空糸膜モジュール16aに対して原水(電着溶液)を供給するためのポンプ16bと、中空糸膜モジュール16aによって濾過された濾過水が一旦貯留されるタンク16cとを備えている。タンク16cに貯留された濾過水は、流路21に設けられたポンプ35によって吸引されて流路21に供給される。
第3の濾過膜装置17も、限外濾過膜または精密濾過膜(第3の濾過膜に相当する)を備えたものである。第3の濾過膜装置17は、第2の水洗槽12内の水洗水を濾過するものであり、流路23を介して第2の水洗槽12から第3の濾過膜装置17に水洗水が供給される。そして、第3の濾過膜装置17によって濾過された濾過水は、流路24を介して後段に接続された第2の濾過膜装置18に供給される。なお、本実施形態においては、第3の濾過膜装置17および流路24が、供給系に相当するものである。
一方、第3の濾過膜装置17において膜を透過しなかった濃縮液は、流路25を介して、第2の水洗槽12よりも電着槽10側に設けられた第1の水洗槽11に戻される。なお、本実施形態においては、第3の濾過膜装置17の濃縮液を第1の水洗槽11に戻すようにしたが、電着槽10に戻すようにしてもよい。さらに、本実施形態においては、第3の濾過膜装置17に対して第2の水洗槽12の水洗水を被濾過水として供給するようにしたが、第2の水洗槽12以外の水洗水を被濾過水として供給するようにしてもよい。すなわち、第1の水洗槽11の水洗水または第3の水洗槽13の水洗水を第3の濾過膜装置17に供給するようにしてもよい。
第3の濾過膜装置17も、図2に示した第1の濾過膜装置16の構成と同様であり、限外濾過膜または精密濾過膜を有する中空糸膜モジュールと、中空糸膜モジュールに対して原水を供給するためのポンプと、中空糸膜モジュールによって濾過された濾過水が一旦貯留されるタンクとを備えている。そして、タンクに貯留された濾過水は、第3の濾過膜装置17が有するポンプによって吸引されて流路24に供給される。
第2の濾過膜装置18は、逆浸透膜(第2の濾過膜に相当する)を備えたものである。逆浸透膜(RO(Reverse Osmosis)膜)とは、NF(Nano filtration)膜よりも小さい平均孔径を有するものであり、塩排除率90%以上の膜である。
第2の濾過膜装置18は、上述したように流路24を介して第3の濾過膜装置17の濾過水が供給されるものである。第2の濾過膜装置18は、第3の濾過膜装置17の濾過水からさらにNaイオンを含む夾雑イオンを除去するものである。そして、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水は、流路26を介して膜濾過濾液多段回収水洗工程の最終段である第3の水洗槽13に送水され、膜濾過濾液多段回収水洗工程の水洗水として用いられる。一方、第2の濾過膜装置18において膜を透過しなかった濃縮液は、流路27を介して第2の水洗槽12に戻される。なお、本実施形態においては、第2の濾過膜装置18の濃縮液を第2の水洗槽12に戻すようにしたが、電着槽10または第1の水洗槽11に戻すようにしてもよい。
なお、第2の濾過膜装置18は、中空糸モジュールの膜の種類が逆浸透膜であること以外は、図2に示した第1の濾過膜装置16の構成と同様であり、逆浸透膜を有する中空糸膜モジュールと、中空糸膜モジュールに対して原水を供給するためのポンプと、中空糸膜モジュールによって濾過された濾過水が一旦貯留されるタンクとを備えている。そして、タンクに貯留された濾過水は、流路26に設けられたポンプ36によって吸引されて流路26に供給される。
そして、上記のような構成の電着塗料回収システム1においては、被塗装物がコンベア(図示省略)に装着されて、電着槽10に漬けて電着塗装された後、膜濾過濾液多段回収水洗工程の第1の水洗槽11、第2の水洗槽12および第3の水洗槽13へと順に搬送されて水洗される。次いで、被塗装物は、最終水洗工程の第4の水洗槽14および第5の水洗槽15へと順に搬送されて水洗される。
膜濾過濾液多段回収水洗工程の水洗水は第3の水洗槽13から第2の水洗槽12および第1の水洗槽11へと順繰りにオーバーフローし、各水洗槽で水洗水として用いられた後、さらに第1の水洗槽11から電着槽10にオーバーフローし、未電着塗料が回収される。
最終水洗工程の第4の水洗槽14には水洗水として純水または浄水(工水)が流路40から供給され、第5の水洗槽15には純水または浄水(工水)が流路41から供給され、洗浄される。第5の水洗槽15に供給された純水は第4の水洗槽14にオーバーフローし、第4の水洗槽14に供給された浄水とともに流路42から排出される。
また、電着塗料回収システム1は、上述したような膜濾過濾液多段回収水洗工程において、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量と、第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量とを調整する流量調整部30を備えている。
流量調整部30は、第1の濾過膜装置16に接続された流路21に設けられた第1の弁機構31および第1の流量計32と、第2の濾過膜装置18に接続された流路26に設けられた第2の弁機構33および第2の流量計34とを備えている。第1の弁機構31および第1の流量計32によって、第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量が調整され、第2の弁機構33および第2の流量計34によって、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量が調整される。濾過水の供給量の調整は、自動で行うようにしてもよいし、手動で行うようにしてもよい。
上記第1の実施形態の電着塗料回収システム1によれば、電着槽10内の電着塗料を含む電着溶液を濾過する第1の濾過膜装置16に加えて、第2の水洗槽12内の水洗後の水を濾過する第3の濾過膜装置17を有し、第3の濾過膜装置17による濾過によって得られた濾液が逆浸透膜からなる第2の濾過膜装置18に供給される。
そして、第1の濾過膜装置16による濾過によって得られた濾液に加えて、第2の濾過膜装置18による濾過によって得られた濾液が最終段の第3の水洗槽13に供給される。このように第3の濾過膜装置17によって濾過した濾液をさらに逆浸透膜からなる第2の濾過膜装置18によって濾過し、その濾液を最終段の第3の水洗槽13に供給することによって、最終段の水洗水を増やすことができるとともに、未電着塗料を減らすことができ、これにより塗料の回収率をさらに向上させることができる。
さらに、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾液の最終段の第3の水洗槽13への供給量および第1の濾過膜装置16によって濾過された濾液の最終段の第3の水洗槽13への供給量を調整するようにしたので、電着槽内の電着溶液のNaイオン濃度の上昇を抑制することができ、電着塗装の品質を悪化させないようにできる。
具体的には、逆浸透膜からなる第2の濾過膜装置18による濾過を行うことによってNaイオン濃度の高い濃縮液が第2の水洗槽12に戻され、これにより電着槽10にNaイオン濃度が蓄積されることになるが、その蓄積されたNaイオンを含む電着溶液を第1の濾過膜装置16によって濾過する際、Naイオンを濾液側に逃すことができるので、電着槽10内の電着溶液のNaイオン濃度の上昇を抑制することができる。そして、Naイオン濃度が低減された第2の濾過膜装置18の濾液の第3の水洗槽13への供給量と、電着槽10内の電着溶液のNaイオンを含んだ第1の濾過膜装置16の濾液の第3の水洗槽13への供給量とを調整することによって、システム全体でのNaイオン濃度の上昇を抑制することができる。
また、流量調整部30は、第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量V1と、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量V2とが、V1:V2=1:2〜2:1となるように調整されることが望ましい。より好ましくは、V1:V2=1:1である。このように第1の濾過膜装置16の濾過水の供給量V1と、第2の濾過膜装置18の濾過水の供給量V2との比率を制御することによって、塗装品質を悪化させるNaイオンの蓄積を30ppm以下にすることができ、かつ塗料回収率を97.2%以上にすることができる。
次に、本発明の電着塗料回収システムおよび方法の第2の実施形態について説明する。図3は、本実施形態の電着塗料回収システム2の概略構成を示す模式図である。
第2の実施形態の電着塗料回収システム2は、第1の実施形態の電着塗料回収システム2の第3の濾過膜装置17を設けることなく、第1の濾過膜装置16が、第3の濾過膜装置17として兼用して用いられるものである。その他の構成については、第1の実施形態の電着塗料回収システム1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
第1の濾過膜装置16は、第1の実施形態と同様の構成であり、限外濾過膜または精密濾過膜を備えたものである。第1の濾過膜装置16は、電着槽10内の電着溶液を濾過するものであり、流路20を介して電着槽10から第1の濾過膜装置16に電着溶液が供給される。そして、本実施形態の第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水は、流路50および流路51を介して膜濾過濾液多段回収水洗工程の最終段である第3の水洗槽13に送水されるとともに、流路52を介して第2の濾過膜装置18に供給される。なお、本実施形態においては、第1の濾過膜装置16および流路52が、供給系に相当するものである。
第1の濾過膜装置16において膜を透過しなかった濃縮液は、流路22を介して電着槽10に戻される。流路51上には、第1の濾過膜装置16のタンクに貯留された濾過水を吸引するためのポンプ35が設けられている。
第2の濾過膜装置18は、第1の実施形態と同様の構成であり、逆浸透膜を備えたものである。第2の濾過膜装置18は、上述したように流路52を介して第1の濾過膜装置16の濾過水が供給されるものである。第2の濾過膜装置18は、第1の濾過膜装置16の濾過水からさらにNaイオンを含む夾雑イオンを除去するものである。そして、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水は、流路26を介して膜濾過濾液多段回収水洗工程の最終段である第3の水洗槽13に送水され、膜濾過濾液多段回収水洗工程の水洗水として用いられる。一方、第2の濾過膜装置18において膜を透過しなかった濃縮液は、流路27を介して第2の水洗槽12に戻される。なお、本実施形態においては、第2の濾過膜装置18の濃縮液を第2の水洗槽12に戻すようにしたが、電着槽10または第1の水洗槽11に戻すようにしてもよい。
また、第2の濾過膜装置18のタンクに貯留された濾過水は、第1の実施形態と同様に、流路26に設けられたポンプ36によって吸引されて流路26に供給される。
また、第2の実施形態の電着塗料回収システム2は、第1の実施形態の電着塗料回収システム1と同様に、膜濾過濾液多段回収水洗工程において、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量と、第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量とを調整する流量調整部30を備えている。流量調整部30の構成は、第1の実施形態と同様である。
上記第2の実施形態の電着塗料回収システム2によれば、電着槽10内の電着塗料を含む電着溶液を濾過する第1の濾過膜装置16に加えて、第1の濾過膜装置16の濾液を濾過する逆浸透膜からなる第2の濾過膜装置18を有する。
そして、第1の濾過膜装置16による濾過によって得られた濾液に加えて、第2の濾過膜装置18による濾過によって得られた濾液が最終段の第3の水洗槽13に供給される。このように第1の濾過膜装置16によって濾過した濾液をさらに逆浸透膜からなる第2の濾過膜装置18によって濾過し、その濾液を最終段の第3の水洗槽13に供給することによって、最終段の水洗水を増やすことができるとともに、未電着塗料の減らすことができ、これにより塗料の回収率をさらに向上させることができる。
さらに、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾液の最終段の第3の水洗槽13への供給量および第1の濾過膜装置16によって濾過された濾液の最終段の第3の水洗槽13への供給量を調整するようにしたので、電着槽内の電着溶液のNaイオン濃度の上昇を抑制することができ、電着塗装の品質を維持させることができる。
具体的には、逆浸透膜からなる第2の濾過膜装置18による濾過を行うことによってNaイオン濃度の高い濃縮液が第2の水洗槽12に戻され、これにより電着槽10にNaイオン濃度が蓄積されることになるが、その蓄積されたNaイオンを含む電着溶液を第1の濾過膜装置16によって濾過する際、Naイオンを濾液側に逃すことができるので、電着槽10内の電着溶液のNaイオン濃度の上昇を抑制することができる。そして、Naイオン濃度が低減された第2の濾過膜装置18の濾液の第3の水洗槽13への供給量と、電着槽10内の電着溶液のNaイオンを含んだ第1の濾過膜装置16の濾液の第3の水洗槽13への供給量とを調整することによって、システム全体でのNaイオン濃度の上昇を抑制することができる。
第2の実施形態の流量調整部30も、第1の実施形態と同様に、第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量V1と、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量V2とが、V1:V2=1:2〜2:1となるように調整されることが望ましい。より好ましくは、V1:V2=1:1である。第2の実施形態において、このように第1の濾過膜装置16の濾過水の供給量V1と、第2の濾過膜装置18の濾過水の供給量V2との比率を制御することによって、電着槽10のNaイオンの蓄積を30ppm以下にすることができ、かつ塗料回収率を97.2%以上にすることができる。
なお、上記第1および第2の実施形態においては、流量調整部30が、第1の濾過膜装置16の濾過水の第3の水洗槽13への供給量V1と、第2の濾過膜装置18の濾過水の第3の水洗槽13への供給量V2との比率を調整することによって、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度が30ppm以下となるようにしたが、Naイオン濃度を計測し、その測定値に基づいて、第1の濾過膜装置16の濾過水の第3の水洗槽13への供給量V1と第2の濾過膜装置18の濾過水の第3の水洗槽13への供給量V2とを自動的に調整することによって、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度が30ppm以下となるようにしてもよい。図4は、第2の実施形態の電着塗料回収システム2において、供給量V1と供給量V2とを自動調整するようにした場合の概略構成を示す図である。
具体的には、図4に示すように、第3の水洗槽13内の水洗水の電気伝導度を計測する計測部60と、計測部60によって計測された電気伝導度に基づいて、第1の弁機構31および第2の弁機構33を制御する流量制御部37とを設けるようにしてもよい。
計測部60は、上述したように第3の水洗槽13内の水洗水の電気伝導度を計測するものであり、Naイオン濃度を直接計測するものではないが、Naイオン濃度と電気伝導度とは相関があるので、電気伝導度を計測することによって、間接的にNaイオン濃度を計測することができる。
流量制御部37は、上述したように第1の弁機構31および第2の弁機構33を制御することによって、供給量V1および供給量V2を自動調整するものである。具体的には、流量制御部37は、計測部60によって計測されて電気伝導度の変化量に応じて、供給量V1および供給量V2を自動調整することによって、第3の水洗槽13内の水洗水のNaイオン濃度を所定の閾値範囲内に抑え、これにより電着槽10内の電着溶液のNaイオン濃度を30ppm以下に維持するものである。なお、電気伝導度の変化量と供給量V1および供給量V2の調整量との関係については、予め実験などによって求めて設定するようにすればよい。
なお、図4は、第2の実施形態の電着塗料回収システム2に対して計測部60および流量制御部37を設けるようにしたが、第1の実施形態の電着塗料回収システム1に対して計測部60および流量制御部37を設けるようにしてもよい。
また、上記第1および第2の実施形態においては、第2の濾過膜装置18の濾過膜として逆浸透膜を用いるようにしたが、この逆浸透膜としては、ゼータ電位が正であるものを用いることが好ましい。ゼータ電位が正である逆浸透膜を用いることによって、第1の実施形態の第3の濾過膜装置17または第2の実施形態の第1の濾過膜装置16の濾液中に含まれる樹脂成分等が逆浸透膜に付着するのを抑制することができる。たとえば、電着塗料として、pH(potential hydrogen)が5.0〜6.0のカチオン性の塗料を使用した場合、pHが5.0〜6.0の場合にゼータ電位が正である逆浸透膜を使用することによって、電着塗料の逆浸透膜への付着を抑制することができ、これにより電着塗料の回収率を向上させることができるとともに、逆浸透膜の目詰まりを防止することができる。
ゼータ電位は、ゼータ電位測定装置(Anton Paar社製、EKA(Electro Kinetic Analyzer))によって計測することができる。具体的には、ゼータ電位の測定は、まず、逆浸透膜の中空糸を適当な長さに切り、直径20mm,長さ50mmの円筒形のセルに詰め込む。そして、そのセルの両端に電極をセットし、セル内を塩化カリウム溶液に満たし、そのセルにゼータ電位測定装置により電場をかけることによって測定することができる。
なお、より好ましくはカチオン性の逆浸透膜である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。
以下、上記第1の実施形態の電着塗料回収システム1による膜濾過濾液多段回収水洗工程の実施例について説明する。表1は、第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量V1と、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量V2とが、V1:V2=1:1の場合と、V1:V2=1:1.5の場合と、V1:V2=1:2.0の場合、V1:V2=1.5:1の場合と、V1:V2=2:1の場合の実施例を示すものである。なお、第1の濾過膜装置16および第3の濾過膜装置17の中空糸モジュールとしてKCV3010(旭化成社製)を用い、第2の濾過膜装置18の中空糸モジュールとしてRE4040BLF(ウンジンケミカル社製)を用いた。
具体的には、表1においては、上述した各比率で膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合の第1〜第3の膜濾過装置16,18,17における原水の流量およびNaイオン濃度と濾過水の流量およびNaイオン濃度と濃縮液の流量およびNaイオン濃度と、電着槽10内の電着溶液のNaイオン濃度と、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度と、第2の水洗槽12内の水洗水のNaイオン濃度と、第3の水洗槽13内のNaイオン濃度とを示している。なお、表1の各表のタイトル行を除き1行目から3行目までが、Naイオン濃度(ppm)を示しており、4行目から6行目までが、原水、濾液および濃縮液の流量(L/min)を示している。
また、図5は、表1におけるV1:V2=1:1の場合の各部の流量およびNaイオン濃度をそれぞれ示したものである。
表1に示すNaイオン濃度は、複数の被塗装物を表1に示す流量で複数回洗浄した場合における各洗浄後のNaイオン濃度の平均値である。
また、表1に示す「前処理」は、電着槽10に被塗装物が投入される前に、被塗装物に対して施される処理であり、この「前処理」としては、被塗装物の表面に付着した油分を除去する脱脂工程と電着塗料を被塗装物に付着させるために被塗装物の表面処理をする化成工程とがある。そして、上述した脱脂工程で脱脂剤として添加されるNaOHまたはNa塩が、被塗装物に付着して電着槽10に持ち込まれる。表1に示す「前処理」における「原水流量」と「原水」のNaイオン濃度は、電着槽10に被塗装物が投入される際に、被塗装物に付着して電着槽10内に持ち込まれるNaOHまたはNa塩を含む液体の流量とその液体のNaイオン濃度の平均値である。表1に示す実施例では、被塗装物に付着して電着槽10に持ち込まれる液体の流量の平均値は10L/minであり、そのNaイオン濃度の平均値は6ppmであり、Naイオン濃度の最大値は10ppmであった。なお、被塗装物に付着して電着槽10に持ち込まれる液体のNaイオン濃度の平均値は、電着槽10内の電着溶液のNaイオン濃度以下である。
また、表1に示す「最終洗浄工程」における流量とNaイオン濃度は、第3の水洗槽13から最終洗浄工程の第4の水洗槽14に被塗装物が投入される際に、第4の水洗槽14内に被塗装物とともに持ち込まれる水洗水の流量とNaイオン濃度の平均値である。表1に示す実施例では、最終洗浄工程に持ち込まれる水洗水の流量の平均値は10L/minであり、Naイオン濃度の平均値は6ppmであった。
そして、表1および図5に示す各流量で、V1:V2=1:1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度が最も高くなり、Naイオン濃度の平均値は10ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は16ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。
ここで、本実施例におけるNaイオン濃度の測定方法について説明する。
まず、塗料および顔料が含まれる電着溶液または水洗水については、遠心分離を行い、その上澄み液をサンプルとした。遠心分離は、15000rpmで20分間行った。また、顔料の含まれていない水洗水については、遠心分離を使用することなく、そのままサンプルとした。20ccのポリエチレン製の瓶にサンプルを入れ、Naイオン標準液の検量線に入るように純水で希釈した。
上述したように作成したサンプル50mlに60%の硝酸を2.5ml加え、ホットプレートにて150℃で加熱分解を行った。その後、放冷後に50mlに定容し、試験溶液とした。
そして、ICP(Inductively Coupled Plasma)(誘導結合プラズマ)発光分光分析法を用いてNaイオン濃度の測定を行った。測定装置としては、パーキンエルマー社製のOptima 5300 DVを用いた。測定波長は589.592nm、出力は1300kw、フィードガスはアルゴンガスを用い、プラズマ観測方向はラジアル方向とした。試験溶液を測定し、Naイオン濃度が検量線以上の場合は検量線の範囲に入るよう希釈して再測定を行った。
表1に戻り、V1:V2=1:1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程および最終水洗工程行った場合、塗料回収率は98%であった。塗料回収率は、下式により算出した。下式のNV(Non-Volatile)(塗料加熱残分)は、JISK5601−1−2によって測定した値である。
塗料回収率={1−(第3の水洗槽13のNV/電着槽10のNV)}×100
また、表1に示すように、V1:V2=1:1.5に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は11ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は18ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。また、塗料回収率は98.5%であった。
また、表1に示すように、V1:V2=1:2.0に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は18ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は29ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。また、塗料回収率は99%であった。
また、表1に示すように、V1:V2=1.5:1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は8.7ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は14ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。また、塗料回収率は97.7%であった。
また、表1に示すように、V1:V2=2:1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は7.2ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は12ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。また、塗料回収率は97.2%であった。
表1に示す実施例の結果から、V1:V2=1:2〜2:1とした場合、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができ、かつ塗料回収率を97.2%以上にすることができた。
次に、表2は、比較例を示すものであり、V1:V2=1:0の場合と、V1:V2=1:2.1の場合の各部の流量およびNaイオン濃度を示している。なお、表2に示す「前処理」および「最終洗浄工程」の「原水流量」および「原水」のNaイオン濃度の意味は、上述した実施例と同様である。また、Naイオン濃度とNVの測定方法も実施例と同様である。
表2に示すように、V1:V2=1:0に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、すなわち第1の濾過膜装置16の濾過水のみを第3の水洗槽13に供給した場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は6.2ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は10ppmであった。すなわち、Naイオン濃度は、30ppm以下に維持することができた。しかしながら、第2の濾過膜装置18による未電着塗料の回収効果を得ることができないので、塗料回収率は95.4%となり、実施例と比較すると非常に悪い値となった。
また、表2に示すように、V1:V2=1:2.1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、すなわち、第2の濾過膜装置18の濾液の供給量を第1の濾過膜装置16の濾液の供給量の2倍以上とした場合、Naイオンを含む濃縮液の戻し量も増え、これにより第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は20ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は34ppmであった。すなわち、継続して洗浄を行った場合、電着槽10のNaイオン濃度は、30ppmを超えることがわかった。ただし、塗料回収率は99.5%であった。
以下、上記第2の実施形態の電着塗料回収システム2による膜濾過濾液多段回収水洗工程の実施例について説明する。表3は、第1の濾過膜装置16によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量V1と、第2の濾過膜装置18によって濾過された濾過水の第3の水洗槽13への供給量V2とが、V1:V2=1:1の場合と、V1:V2=1:1.5の場合と、V1:V2=1:2.0の場合、V1:V2=1.5:1の場合と、V1:V2=2:1の場合の実施例を示すものである。なお、第1の濾過膜装置16の中空糸モジュールとしてKCV3010(旭化成社製)を用い、第2の濾過膜装置18の中空糸モジュールとしてRE4040BLF(ウンジンケミカル社製)を用いた。
表3においては、上述した各比率で膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合の第1および第2の膜濾過装置16,18における原水の流量およびNaイオン濃度と濾過水の流量およびNaイオン濃度と濃縮液の流量およびNaイオン濃度と、流路51における濾過水の流量およびNaイオン濃度と、電着槽10内の電着溶液のNaイオン濃度と、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度と、第2の水洗槽12内の水洗水のNaイオン濃度と、第3の水洗槽13内のNaイオン濃度とを示している。
また、図6は、表3におけるV1:V2=1:1の場合の各部の流量およびNaイオン濃度をそれぞれ示したものである。
表3に示すNaイオン濃度は、第1の実施形態と同様に、複数の被塗装物を表1に示す流量で洗浄した場合における各洗浄後のNaイオン濃度の平均値である。なお、表3に示す「前処理」および「最終洗浄工程」の流量およびNaイオン濃度の意味も、第1の実施形態の実施例と同様である。また、Naイオン濃度とNVの測定方法も、第1の実施形態の実施例と同様である。
そして、表3および図6に示す各流量で、V1:V2=1:1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度が最も高くなり、Naイオン濃度の平均値は10ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は16ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。
また、表3に示すように、V1:V2=1:1.5に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は11ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は18ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。また、塗料回収率は98.5%であった。
また、表3に示すように、V1:V2=1:2.0に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は18ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は29ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。また、塗料回収率は99%であった。
また、表3に示すように、V1:V2=1.5:1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は8.7ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は14ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。また、塗料回収率は97.7%であった。
また、表3に示すように、V1:V2=2:1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は7.2ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は12ppmであった。すなわち、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができた。また、塗料回収率は97.2%であった。
表3に示す実施例の結果から、第1の実施形態の電着塗料回収システム2においても、V1:V2=1:2〜2:1とした場合、電着槽10のNaイオン濃度を30ppm以下に維持することができ、かつ塗料回収率を97.2%以上にすることができた。
次に、表4は、比較例を示すものであり、V1:V2=1:0の場合と、V1:V2=1:2.1の場合の各部の流量およびNaイオン濃度を示している。なお、表4に示す「前処理」および「最終洗浄工程」の流量およびNaイオン濃度の意味も、上述した実施例と同様である。また、Naイオン濃度とNVの測定方法も実施例と同様である。
表4に示すように、V1:V2=1:0に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、すなわち流路51側の濾過水のみを第3の水洗槽13に供給した場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は6.2ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合でも、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は10ppmであった。すなわち、Naイオン濃度は、30ppm以下に維持することができた。しかしながら、第2の濾過膜装置18による未電着塗料の回収効果を得ることができないので、塗料回収率は95.4%となり、実施例と比較すると非常に悪い値となった。
また、表4に示すように、V1:V2=1:2.1に調整して膜濾過濾液多段回収水洗工程を行った場合、すなわち、第2の濾過膜装置18の濾液の供給量を第1の濾過膜装置16の濾液の供給量の2倍以上とした場合、Naイオンを含む濃縮液の戻し量も増え、これにより第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の平均値は20ppmであった。また、前処理から持ち込まれる化成液のNaイオン濃度が、最大値で10ppmである場合、第1の水洗槽11内の水洗水のNaイオン濃度の最大値は34ppmであった。すなわち、継続して洗浄を行った場合、電着槽10のNaイオン濃度は、30ppmを超えることがわかった。ただし、塗料回収率は99.5%であった。

Claims (16)

  1. 被塗装物の電着塗装が行われる電着槽と、
    電着塗装後の被塗装物の水洗が段階的に行われる少なくとも2つの水洗槽と、
    限外濾過膜または精密濾過膜からなり、前記電着槽内の電着塗料を含む電着溶液の濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、最終段の前記水洗槽と前記電着槽とに供給する第1の濾過膜と、
    前記電着槽内の前記電着溶液および前記水洗槽内の水洗後の水のいずれか一方を限外濾過または精密濾過した濾過水を供給する供給系と、
    逆浸透膜からなり、前記供給系から供給される前記濾過水の濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、前記最終段の水洗槽と前記電着槽および前記最終段の水洗槽以外の水洗槽の何れかとに供給する第2の濾過膜と、
    前記第1の濾過膜によって濾過された濾液および前記第2の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量をそれぞれ調整する流量調整部とを備え、
    前記最終段の水洗槽から水洗後の水が前記電着槽側の水洗槽および前記電着槽に順に供給されることを特徴とする電着塗料回収システム。
  2. 前記供給系は、限外濾過膜又は精密濾過膜からなり、前記少なくとも2つの水洗槽のいずれかの水洗漕内の水洗後の水の濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、前記供給系を介して前記第2の濾過膜と前記最終段の水洗槽よりも前記電着槽側の水洗槽に供給する第3の濾過膜を有することを特徴とする請求項1記載の電着塗料回収システム。
  3. 前記第1の濾過膜は、前記電着溶液の濾過により得られた濾液を、前記供給系を介して前記第2の濾過膜にも供給することを特徴とする請求項1記載の電着塗料回収システム。
  4. 前記流量調整部が、前記第1の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量V1と前記第2の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量V2との比V1:V2が、1:2〜2:1となるように調整する請求項1から3いずれか1項記載の電着塗料回収システム。
  5. 前記流量調整部が、前記V1:V2が1:1となるように調整する請求項4記載の電着塗料回収システム。
  6. 前記流量調整部が、前記電着槽に最も近い前記水洗槽の水洗後の水のNaイオン濃度が30ppm以下となるように、前記第1の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量および前記第2の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量を調整する請求項1から5いずれか1項記載の電着塗料回収システム。
  7. 前記最終段の水洗槽内の水洗後の水の電気伝導度を計測する計測部を備え、
    前記流量調整部が、前記計測部によって計測された電気伝導度に基づいて、前記第1の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量および前記第2の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量を自動的に調整する請求項6記載の電着塗料回収システム。
  8. 前記第2の濾過膜が、ゼータ電位が正である濾過膜である請求項1から7いずれか1項記載の電着塗料回収システム。
  9. 被塗装物の電着塗装が行われる電着槽と、電着塗装後の被塗装物の水洗が段階的に行われる少なくとも2つの水洗槽と、限外濾過膜または精密濾過膜からなり、前記電着槽内の電着塗料を含む電着溶液の濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、最終段の前記水洗槽と前記電着槽とに供給する第1の濾過膜とを用い、前記最終段の水洗槽から水洗後の水が前記電着槽側の水洗槽および前記電着槽に順に供給される電着塗料回収方法であって、
    前記電着槽内の前記電着溶液および前記水洗槽内の水洗後の水のいずれか一方を限外濾過または精密濾過した濾過水を、逆浸透膜からなる第2の濾過膜によって濾過し、
    該濾過によって得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、前記最終段の水洗槽と前記電着槽および前記最終段の水洗槽以外の水洗槽の何れかに供給し、
    前記第1の濾過膜によって濾過された濾液および前記第2の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量をそれぞれ調整することを特徴とする電着塗料回収方法。
  10. 限外濾過膜又は精密濾過膜からなる第3の濾過膜を用い、前記少なくとも2つの水洗槽のいずれかの水洗漕内の水洗後の水を濾過し、該濾過により得られた濾液と濃縮液とをそれぞれ、前記第2の濾過膜と前記最終段の水洗槽よりも前記電着槽側の水洗槽に供給することを特徴とする請求項9記載の電着塗料回収方法。
  11. 前記第1の濾過膜は、前記電着溶液の濾過により得られた濾液を前記第2の濾過膜にも供給することを特徴とする請求項9記載の電着塗料回収方法。
  12. 前記第1の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量V1と前記第2の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量V2との比V1:V2が、1:2〜2:1となるように調整する請求項9から11いずれか1項記載の電着塗料回収方法。
  13. 前記V1:V2が1:1となるように調整する請求項12記載の電着塗料回収方法。
  14. 前記電着槽に最も近い前記水洗槽の水洗後の水のNaイオン濃度が30ppm以下となるように、前記第1の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量および前記第2の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量を調整する請求項9から13いずれか1項記載の電着塗料回収方法。
  15. 前記最終段の水洗槽内の水洗後の水の電気伝導度を計測し、
    該計測した電気伝導度に基づいて、前記第1の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量および前記第2の濾過膜によって濾過された濾液の前記最終段の水洗槽への供給量を自動的に調整する請求項14記載の電着塗料回収方法。
  16. 前記第2の濾過膜が、ゼータ電位が正である濾過膜である請求項9から15いずれか1項記載の電着塗料回収方法。
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