JP2017012990A - 吸水剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の吸水剤よりも一層通液性に優れ、かつ、加圧下での吸水倍率が高く、更には高い吸収性能を有する吸水剤を提供する。【解決手段】ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする吸水剤であって、上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の表面に、当該吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.01重量部〜10重量部のゴム弾性を有する微粒子が存在し、かつ、FHAが15g/g以上である吸水剤。【選択図】なし

Description

本発明は吸水剤及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、加圧下での吸水倍率と通液性とを高いレベルで両立することができ、水性液の吸収性能にも優れる吸水剤及びその製造方法に関する。
紙オムツ、生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の吸収性物品の分野では、体液を吸収させることを目的として吸水剤が幅広く利用されている。近年、これらの吸収性物品においては、吸水剤をより高濃度に用いて薄型化する傾向があるため、吸水剤にはとりわけ高い通液性が要求されており、その要求は年々高まってきている。
吸水剤の通液性を向上させる手法としては、多価金属塩、カチオン性ポリマー、無機微粒子などを添加剤として使用する方法がこれまでに開発されている。
しかし、これらの手法はすべて、通液性を改善することができる一方で、加圧下での吸収能力を損なうという欠点を持ち合わせており、理想的とは言い難いものであった。すなわち、近年の薄型化された吸収性物品における吸収体では、通液性に優れるだけでなく、「装着時により重い荷重がかかっても十分吸収能力を発揮できるような高荷重下(例えば50g/cm)での優れた吸水倍率(以下、「加圧下吸水倍率」と称する場合がある。)」が高いことも求められており、通液性を向上させるだけでは不十分である。
上記欠点を改良するための技術としては、例えば特許文献1に、吸水性樹脂と、シリカ等の微粒子とを含む吸水性樹脂組成物が開示されており、加圧下吸収倍率の低下を抑制しつつ通液性を向上させうる旨が記載されている。
また、吸水性樹脂に他の物質を配合することによって吸水性樹脂の物性を改良する他の試みもなされている。
例えば特許文献2には、吸水性樹脂の表面を、粒径5μm以下のポリウレタン系等のポリマー微粒子で処理し、該表面に該ポリマー微粒子がまぶされた状態にすることが開示されている。特許文献2には、これによって、吸水性樹脂が表面架橋されているか否かに関わらず、無加圧吸収量の低下が改善され、加圧吸収量が向上することが開示されている。
特許文献3には、ゴム状物質及び高吸水性樹脂を含有する吸水性樹脂組成物が、吸水膨潤速度が速く、吸水膨潤倍率が高く、かつ、一部が水と接触しても全体が膨潤する吸水性樹脂組成物であることが開示され、光ファイバーケーブルの接続部における浸水センサーの吸水膨潤材として好適であることが開示されている。
また、特許文献4には、微小フィラーが吸水性樹脂に内蔵された吸水剤が開示されており、該吸水剤は、拡散吸収速度及び初期加圧吸収量が改良されたものであることが開示されている。
特開平11−286611号公報(1999年10月19日公開) 特開平11−290682号公報(1999年10月26日公開) 特開平2−276840号公報(1990年11月13日公開) 特開2000−109714号公報(2000年4月18日公開)
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、通液性に優れ、かつ、加圧下での吸水倍率の高い吸水剤を提供する上で、未だ十分な技術とは言えないという問題点がある。すなわち、後述する比較例に示すように、特許文献1に開示の吸水剤は、比較的高い加圧下吸収倍率を示すものの、通液性の指標である食塩流れ誘導性(SFC)は、実施例と比較して大幅に低い値を示している。
つまり、吸水剤に対し、より高い通液性を有することへの要求が高まっている現在では、特許文献1に開示の吸水剤では不十分であると言える。しかし、特許文献1に開示の吸水剤よりも一層通液性に優れ、かつ、加圧下での吸水倍率の高い吸水剤は提供されていないのが現状である。
また、特許文献2〜4に開示の技術は、吸水性樹脂の物性を改良する技術ではあるが、通液性に優れ、かつ、加圧下での吸水倍率の高い吸水剤を提供するものではない。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来の吸水剤よりも一層通液性に優れ、かつ、加圧下での吸水倍率が高く、更には高い吸収性能を有する吸水剤を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者は鋭意検討し、ゴム弾性を有する微粒子を所定量含有する吸水剤を得ることによって、通液性に優れ、かつ、加圧下での吸水倍率の高い吸水剤を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る吸水剤は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする吸水剤であって、上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の表面に、当該ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.01重量部〜10重量部のゴム弾性を有する微粒子が存在し、かつ、FHA(高さ20cmでの固定された高さ吸収値)が15g/g以上であることを特徴としている。
上記構成によれば、上記吸水性樹脂粒子同士の凝集を効果的に防止することができるため、吸水性樹脂粒子の通液性を向上させることができると共に、表面架橋処理によって向上した上記吸水性樹脂粒子の加圧下吸水倍率を保つことができる。これは、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在する上記微粒子が適度なゴム弾性を有し、吸水時のゲルの膨潤挙動を阻害しないため得ることができる効果である。
また、FHAが15g/g以上であるため、本発明に係る吸水剤は、高い通液性を有していながら水性液の吸収能力も高いと言える。
以上のことから、上記構成によれば、従来の吸水剤よりも通液性に優れ、水性液の吸収能力が高く、かつ、加圧下での吸水倍率の高い吸水剤を容易に提供することができる。
本発明に係る吸水剤の製造方法は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子と、ゴム弾性を有する微粒子とを混合する工程を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、上記吸水性樹脂粒子の表面に上記微粒子を存在させることができるため、通液性に優れ、水性液の吸収能力が高く、かつ、加圧下での吸水倍率の高い吸水剤を効率的に製造することができる。
本発明に係る吸水剤は、通液性に優れ、水性液の吸収能力が高く、かつ、加圧下での吸水倍率が高い、これまでに存在しなかった吸水剤を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る吸水剤の製造方法は、通液性に優れ、水性液の吸収能力が高く、かつ、加圧下での吸水倍率の高い吸水剤を効率的に製造することができるという効果を奏する。
以下、本発明に係る吸水剤及びその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された特許文献及び非特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔1〕用語の定義
まず、本明細書にて用いる用語の主なものについて、その定義を説明する。
(1−1)「吸水性樹脂」、「吸水性樹脂粉末」、「吸水性樹脂粒子」及び「吸水剤」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性かつ水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、下記の物性を満たすものをいう。即ち、水膨潤性としてERT441.2−02で規定されるCRC(遠心分離機保持容量)が5g/g以上であり、かつ、水不溶性としてERT470.2−02で規定されるExt(水可溶分)が50重量%以下である、という物性を満たす高分子ゲル化剤を指す。
上記吸水性樹脂は、その用途及び目的に応じた設計が可能であり、特に限定されないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。当該吸水性樹脂は、全量が架橋重合体である形態に限定されず、上記物性(CRC、Ext)を満たす範囲内で、添加剤等を含んだ組成物であってもよい。
上記吸水性樹脂は、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体、乾燥後の乾燥重合体、粉砕後の粉砕重合体、表面架橋前の吸水性樹脂である吸水性樹脂粉末等)を指す場合もあり、表面架橋後の吸水性樹脂である吸水性樹脂粒子を含め、これら全てを包括して「吸水性樹脂」と総称する。
なお、本明細書では、特定の状態にある吸水性樹脂について、その状態にあることを明確にするため、下記の文言を用いて区別する。具体的には、表面架橋前の吸水性樹脂を「吸水性樹脂粉末」、表面架橋後の吸水性樹脂を「吸水性樹脂粒子」、最終製品としての吸水性樹脂を「吸水剤」と称する。
更に詳細には、本発明における「吸水性樹脂粉末」とは、重合、ゲル粉砕、乾燥、粉砕、場合により分級及び調合の各製造工程を経て得られる粒子状の吸水性樹脂を指す。また、本発明における「吸水性樹脂粒子」とは、上記吸水性樹脂粉末を表面架橋して得られる吸水性樹脂を指す。つまり、「吸水性樹脂粉末」と「吸水性樹脂粒子」とは、表面架橋の有無によって区別される。
本発明における「吸水性樹脂」の形状としては特に限定されず、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状、粉末状等、任意の形状を選択することができるが、得られる吸水剤の粒度や含水率を好適なものとする観点から、粒子状の吸水性樹脂とすることが好ましい。
本発明における「吸水剤」とは、吸水性樹脂を主成分とする水性液の吸収ゲル化剤を意味し、粒子状のものを特に粒子状吸水剤という。なお、「粒子状」とは、粒子の形態を有することを意味し、粒子とは、測定可能な大きさを持つ、固体又は液体の粒状小物体(JIS工業用語大辞典第4版、2002頁)をいう。
本発明における「吸水剤」とは、上記吸水性樹脂粒子に対して各種の添加剤(例えば、通液性向上剤)を添加した後の吸水性樹脂を、好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上含んだ最終製品としての吸水性樹脂を指す。また、吸水性樹脂の含有量の上限値は100重量%であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下である。
なお、上記「吸水剤」に対して、キレート剤、還元剤、酸化防止剤、着色防止剤等をそれぞれ好ましくは10重量%以下、より好ましくは0.1〜1重量%含有させた組成物についても、本発明では「吸水剤」と称する。
上記「水性液」とは、水に限らず、尿、血液、汗、糞、廃液、湿気、蒸気、氷、水と有機溶媒及び/又は無機溶媒との混合物、雨水、地下水等であってもよく、水を含めば特定に制限されるものではない。好ましくは、尿、経血、汗、その他の体液を挙げることができる。
(1−2)「EDANA」及び「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Assoiations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recommended Test Metods)の略称である。なお、本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)に準じて物性を測定する。
(1−2−1)「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下での吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.20gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させた後、遠心分離機(250G)で3分間、水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
(1−2−2)「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorbency Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下での吸水倍率(以下、「加圧下吸水倍率」と称する)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.90gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(0.3psi)の荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;;g/g)のことをいう。なお、本願実施例では、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更して測定している。また、ERT442.2−02では、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的にはAAPと同一内容である。
(1−2−3)「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」とは、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後、水溶液に溶解した物質の量(単位;重量%)のことをいう。水可溶分の測定には、pH滴定が用いられる。
(1−2−4)「PSD」(ERT420.2−02)
「PSD」とは、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される吸水性樹脂の粒度分布を意味する。また、本発明の吸水剤は、D50(重量平均粒子径)やσζ(粒度分布の対数標準偏差)でも評価される。
(1−3)「SFC」
本発明における「SFC」とは、Saline Flow Conductivity(食塩水流れ誘導性)の略称であり、2.07kPa荷重下での吸水性樹脂に対する0.69重量%塩化ナトリウム水溶液の通液性(単位;×10−7・cm・s・g−1)を意味する。SFCが大きい吸水性樹脂ほど、高い通液性を有することになる。なお、SFCは、米国特許第5669894号に記載されるSFC試験方法に準拠して測定される。
(1−4)「FHA」
本発明における「FHA」とは、Fixed Height Absorption(固定された高さ吸収値)の略称であり、吸水性樹脂が静水圧に抗して水性液を吸い上げる能力の指標(単位;g/g)である。なお、本願実施例では、上記固定された高さを20cmとした。また、FHAは、米国特許出願公開第2005/0003191号に記載されるFHA試験方法に準拠して測定される。
(1−5)「Vortex」
本発明における「Vortex」とは、2gの吸水性樹脂が50gの0.9重量%塩化ナトリウム水溶液を吸水するのに要する時間(単位;秒)を意味する。Vortexが小さい吸水性樹脂ほど、高い吸水能力を有することになる。なお、Vortexは、JIS K7224に記載される「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」に準拠して測定される。
(1−6)「FSR」
本発明における「FSR」とは、Free Swell Rate(自由膨潤速度)の略称であり、1gの吸水性樹脂が20gの0.9重量%塩化ナトリウム水溶液を吸水するのに要する時間(単位;g/(g・sec))を意味する。FSRが大きい吸水性樹脂ほど、高い吸水能力を有することになる。なお、FSRは、国際公開第2009/016055号に記載されるFSR試験方法に準拠して測定される。
(1−7)その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、重量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、更に特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」を意味する。「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」、「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
〔2〕吸水剤
本発明に係る吸水剤は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする吸水剤であって、上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の表面に、当該ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.01重量部〜10重量部のゴム弾性を有する微粒子が存在し、かつ、FHA(高さ20cmでの固定された高さ吸収値)が15g/g以上である、という吸水剤である。
本発明に係る吸水剤は、粒子状であることが好ましい。以下、本項では、本発明に係る吸水剤の必須成分である、ゴム弾性を有する微粒子、及び、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を中心に説明する。
(2−1)ゴム弾性を有する微粒子
本明細書において「ゴム弾性」とは、ゴム状態の高分子物質に観測される大きな弾性変形挙動を言い、「ゴム弾性を有する微粒子」とは、ゴム弾性を有する有機質の微粒子状物質を言う。また、「ゴム弾性を有する」とは、該微粒子が、少なくとも室温(20〜25℃)でゴム弾性を示すことを言う。
上記微粒子は、吸水性樹脂粒子の表面に均一に存在するため、その平均粒子径として好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下であればよい。また、当該平均粒子径の下限として好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。上記平均粒子径は、レーザー回折散乱法や沈降法によって測定することができる。
また、上記微粒子の粒度分布としては、好ましくは0.01μm〜50μm、より好ましくは0.05μm〜30μm、更に好ましくは0.1μm〜20μmの範囲内であればよい。上記粒度分布は、本発明に係る吸水剤を水で飽和膨潤させた後、膨潤したゲルを目開き50μmの金網で多量の水を用いて濾過し、濾液中に含まれる微粒子について、遠心沈降型粒度分布測定装置(例えば、島津製作所製SA−CP3型)を用いて測定することができる。
上記微粒子の含有量は、上記吸水性樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下の範囲内で適宜設定される。
また、上記微粒子の含有量は、上記吸水性樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは0.1重量部以上の範囲内で適宜設定される。
上記微粒子の含有量が上記吸水性樹脂粒子100重量部に対して10重量部を超えると、吸水性樹脂粒子の表面に存在できない微粒子が増加し、ダストの原因となるため好ましくない。また、上記微粒子の含有量が0.01重量部より少ないと、吸水性樹脂粒子の表面が微粒子で十分に覆われないため、通液性向上に対する効果が得られない場合がある。
上記微粒子は、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在する。これによって、吸水性樹脂粒子の通液性及び加圧下吸収倍率を、共に高い状態に保つことができる。
上記「吸水性樹脂粒子の表面」とは、通常、上記吸水性樹脂粒子における、厚さが数十μm以下の表層部分、又は、全体の厚さの1/10以下の表層部分を意味する。「表面に存在する」とは、電子顕微鏡等によって吸水性樹脂粒子を観察した場合に、上記微粒子が吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部を覆った状態にあることをいう。上記微粒子は、吸水性樹脂粒子の表面に均一に分散し、かつ、上記表面全体を覆っていることが好ましい。
上記微粒子は、吸水性樹脂粒子との間で、静電引力、分散力、水素結合等の、分子間の弱い結合を形成していてもよいが、共有結合を形成していないことが好ましい。上記微粒子が上記吸水性樹脂粒子の表面に存在することは、吸水剤の表面洗浄や研磨を行うことで容易に特定することができる。また、上記微粒子は、本発明に係る吸水剤を水又は塩水で飽和膨潤させた後、溶液中での撹拌等の操作によって上記微粒子を上記吸水剤から分離させ、膨潤したゲルを目開き50μmの金網で多量の水を用いて濾過し、濾液中に含まれる微粒子をTG−DTA(熱重量測定−示唆熱分析装置)等で分析することにより定量することができる。
上記微粒子は、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム及び天然ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含むことが好ましい。2種以上用いる場合は、各物質を任意の割合で組み合わせて用いることができる。
これらの物質は、吸水性樹脂粒子への分散性に優れるため、吸水性樹脂粒子同士の凝集を防止することができる。そのため、吸水性樹脂粒子の通液性を向上させ、表面架橋処理によって向上した上記吸水性樹脂粒子の加圧下吸収倍率を保つ上で好ましく用いることができる。
エチレンプロピレンジエンゴムは、エチレンとプロピレンとの共重合体であるエチレン-プロピレンゴムに、少量の第3成分を導入し、主鎖中に二重結合を持たせたものである。代表的な第3成分としては、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどがあるが、これらに限定されるものではない。エチレンプロピレンジエンゴムを用いる場合、1種類のみ用いてもよいし、例えば異なる第3成分を有する複数のエチレンプロピレンジエンゴムのように、複数種を用いてもよい。
クロロプレンゴムは、クロロプレンの重合によって得られる合成ゴムである。硫黄変性タイプ、非硫黄変性タイプ、特殊タイプの3種類があるが、いずれであってもよく、併用してもよい。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルの重合、又は、アクリル酸エステルを主体とする共重合により得ることのできるゴム状弾性体の総称である。アクリル酸エステルとしてはエチルアクリレート又はブチルアクリレートが主に用いられるが、これに限られるものではない。また、共重合体には、2−クロロエチルビニルエーテルとアクリル酸エステルとの共重合体と、アクリロニトリルとアクリル酸エステルとの共重合体とがあるが、いずれであってもよく、併用してもよい。
ブチルゴムは、イソブチレンとイソプレンとの共重合体である。ブチルゴムについても、種類は特に限定されるものではない。例えば、「他のジエン系ゴムとの相溶性が乏しい」というブチルゴムの欠点を改良した、ハロゲン化ブチルゴム等を用いてもよい。
ウレタンゴムとしては、ポリエーテルウレタンゴムを用いてもよいし、ポリエステルウレタンゴムを用いてもよく、両者を併用してもよい。
スチレンゴム(スチレン−ブタジエンゴム)はスチレンとブタジエンとの共重合体であり、50℃で乳化重合させたホットラバーと、5℃で重合させたコールドラバーとがあるが、いずれであってもよく、併用してもよい。
ブタジエンゴムは、ブタジエンの重合体であり、天然ゴムやスチレンゴムとブレンドして用いられることが多いが、これに限られるものではなく、単独で用いてもよいし、他の種類のゴムと併用してもよい。
シリコーンゴムは、主鎖がオルガノシロキサン結合(SiRO)からなる合成ゴムであり、ポリ(ジメチルシロキサン)であるメチルシリコーンゴム、ジメチルシロキサンと、ビニルメチルシロキサンとを繰り返し単位とするビニル・メチルシリコーンゴム、ジメチルシロキサンと、フェニルメチルシロキサンとを繰り返し単位とするフェニル・メチルシリコーンゴム等があるが、いずれを用いてもよく、併用してもよい。
フッ素ゴムには、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)等があるが、いずれを用いてもよく、併用してもよい。
上記群より選ばれる物質としては、耐熱性に優れ、かつ、化学的にも安定であるため、シリコーンゴムを特に好適に用いることができる。シリコーンゴムとしては、例えば、球状シリコーンゴムパウダーの表面をシリコーンレジンで被覆した球状粉末であるシリコーン複合パウダーKMP−600、KMP−605(信越化学工業(株)製)等を用いることができる。
上記微粒子は、上記物質のみからなっていてもよいし、本発明の効果を損なわない限り、他の成分を含有していてもよい。上記他の成分としては、例えばポリオキシエチレン等を挙げることができ、上記他の成分の含有量としては、上記微粒子100重量部に対して10重量部未満とすることが好ましい。
上記微粒子を製造する方法は特に限定されるものではないが、例えば懸濁重合のような方法によって製造することができる。また、上記シリコーン複合パウダーKMP−600のような市販品を用いてもよい。
なお、本発明においては、上記微粒子の熱分解温度が、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは180℃以上、特に好ましくは200℃以上を示す物質から、上記微粒子を適宜選択すればよい。上記熱分解温度は、TG−DTA(熱重量測定−示唆熱分析装置)で測定することができる。
(2−2)ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子
本明細書において、「ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分としてアクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む架橋重合体であって、表面架橋された架橋重合体を意味する。
具体的には、内部架橋剤を除く単量体として、アクリル酸(塩)を好ましくは30〜100モル%含み、表面架橋された重合体をいう。上記アクリル酸(塩)の含有量は、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%、最も好ましくは実質100モル%であればよい。
本発明に係る吸水剤は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分として含有する。当該「主成分」とは、吸水剤において最も含有率が大きい成分のことである。本発明に係る吸水剤において、主成分であるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の含有量の下限値は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上であればよい。また、上限値は好ましくは100重量%であり、より好ましくは99重量%以下、更に好ましくは98重量%以下であればよい。
本発明に係る吸水剤は、上記主成分及び上記ゴム弾性を有する微粒子以外に、例えば、通液性向上剤、キレート剤、還元剤、酸化防止剤、着色防止剤等をそれぞれ好ましくは10重量%以下、より好ましくは0.1〜1重量%含有していてもよい。上記吸水剤における上記微粒子の含有量については既に説明したとおりである。
次に、本発明に係る吸水剤の製造方法について説明する。
〔3〕吸水剤の製造方法
(3−1)単量体水溶液の作製工程
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を作製する工程である。上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が重合反応に供される単量体全体(但し内部架橋剤は除く)に対して、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)であることをいう。なお、最終製品として得られる吸水剤の吸収性能が低下しない範囲内で単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では単量体水溶液について説明を行う。
(単量体)
本発明では、吸水剤の吸収性能及び生産性の観点から、単量体としてアクリル酸及び/又はアクリル酸塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を用いることが好ましい。
上記アクリル酸として、公知のアクリル酸が使用される。当該公知のアクリル酸は、接触気相酸化法で得られるガス状のアクリル酸を水等の溶媒で捕集し、その後、蒸留や晶析等で精製して得られるものであり、重合禁止剤や不純物等の成分が微量含まれる。
当該重合禁止剤としては特に限定されないが、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp−メトキシフェノール類が使用される。当該メトキシフェノール類のアクリル酸中での含有量(濃度)は、アクリル酸の重合性や吸水剤の色調等の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10ppm〜160ppm、更に好ましくは20ppm〜100ppmの範囲内で適宜設定される。
また、当該不純物としては特に限定されないが、酢酸やプロピオン酸、フルフラール等の有機化合物以外に、例えば、米国特許出願公開第2008/0161512号等に記載された化合物も本発明に適用される。
上記アクリル酸塩として、上述したアクリル酸を下記塩基性化合物で中和したものが使用される。当該アクリル酸塩は、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよく、吸水剤の製造プラント内でアクリル酸を中和して得られるものでもよい。
(塩基性化合物)
本発明において「塩基性化合物」とは、塩基性を示す化合物を指し、具体的には水酸化ナトリウム等が該当する。なお、市販の水酸化ナトリウムには、亜鉛、鉛、鉄等の重金属等がppmオーダーで含まれており、厳密には塩基性組成物ということもできる。本発明では、当該塩基性組成物についても塩基性化合物の範疇に入るものとして扱う。
上記塩基性化合物として具体的には、アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。中でも、吸水剤の吸収性能の観点から、強塩基性を示す化合物が選択される。即ち、好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムが使用される。なお、当該塩基性化合物は、取扱性の観点から、好ましくは水溶液とされる。
(中和)
上記アクリル酸塩として吸水剤の製造プラント内でアクリル酸を中和したものを使用する場合、その中和を行う時機としては以下の(1)〜(3)が挙げられる。即ち、(1)アクリル酸に対する中和(重合前)、(2)アクリル酸の架橋重合中での中和(重合中)、(3)アクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)がある。本発明では、これら(1)〜(3)の何れかを選択又は併用することができる。また、これらの中和は連続式でもバッチ式でもよく特に限定されないが、吸水剤の生産効率の観点から、連続式が好ましい。
本発明における中和率は、単量体の酸基に対して、0モル%〜100モル%、好ましくは20モル%〜100モル%、より好ましくは50モル%〜99モル%、更に好ましくは60モル%〜90モル%の範囲内で適宜設定される。
中和率を当該範囲内とすることで、吸水剤の吸収性能の低下を抑制することができる。当該中和率の範囲は、上述した重合前、重合中、重合後の何れの中和においても適用される。また、最終製品の吸水剤についても同様に適用される。なお、中和装置や中和温度、滞留時間等の中和条件については、例えば、国際公開第2009/123197号等に記載された条件が本発明に適用される。
(他の単量体)
本発明においては、上述したアクリル酸(塩)以外の単量体(以下、「他の単量体」と称する)を必要に応じてアクリル酸(塩)と併用することができる。
当該他の単量体として、例えば、米国特許出願公開第2005/0215734号等に記載された単量体(アクリル酸は除く)が挙げられる。当該他の単量体には、水溶性又は疎水性の不飽和単量体が含まれる。他の単量体を併用する場合、その使用量は単量体全体(但し内部架橋剤は除く)に対して、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下の範囲内で適宜設定される。
(内部架橋剤)
本発明で使用される内部架橋剤として、例えば、米国特許第6241928号等に記載された内部架橋剤が適用される。これらの中から反応性等を考慮して、1種又は2種以上の内部架橋剤が選択される。また、吸水剤の吸収性能の観点から、好ましくは重合性不飽和基を2以上有する化合物、より好ましくは下記乾燥温度(後述する(3−4)に示す)で分解性を有する化合物、更に好ましくは(ポリ)アルキレングルコール構造単位を有する重合性不飽和基を2以上有する化合物が選択される。
上記重合性不飽和基として、好ましくはアリル基又は(メタ)アクリレート基、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位として、好ましくはポリエチレングリコールであり、n数(繰り返し単位の数)として、好ましくは1〜100、より好ましくは6〜50である。よって、本発明で使用される内部架橋剤としては、好ましくは(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート又は(ポリ)アルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート、より好ましくは(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
上記内部架橋剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.001モル%〜5モル%、より好ましくは0.005モル%〜3モル%の範囲内で適宜設定される。内部架橋剤の使用量を当該範囲内とすることで、所望する吸収性能を有する吸水剤が得られる。逆に当該範囲外では、ゲル強度の低下に伴う水可溶分の増加や吸水倍率の低下が認められるため、好ましくない。
本発明において、上記内部架橋剤を単量体水溶液の作製時に予め添加しておき、重合反応と同時に架橋反応(架橋重合)させる方法が好ましく採用される。しかしながら本手法に限らず、内部架橋剤を添加せずに重合を行い、その重合中又は重合後に内部架橋剤を添加して架橋する方法を採用してもよい。また、これらの手法を併用することもできる。
(その他、単量体水溶液に添加される物質)
本発明において、吸水剤の吸収性能の観点から、下記の物質を上述した単量体水溶液の作製時や架橋重合中、架橋重合後の何れか1箇所以上で添加することができる。当該物質としては特に限定されないが、例えば、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、炭酸塩、アゾ化合物、気泡等の発泡剤、界面活性剤、キレート剤、連鎖移動剤等の化合物が挙げられる。
上記親水性高分子の添加量は、上記単量体水溶液に対して、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下(下限は0重量%)の範囲内で適宜設定される。また、上記化合物の添加量は、上記単量体水溶液に対して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下(下限は0重量%)の範囲内で適宜設定される。
なお、上記親水性高分子として水溶性樹脂又は吸水性樹脂を使用する場合、グラフト重合体又は吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉−アクリル酸重合体、PVA−アクリル酸重合体等)が得られるが、これらの重合体や吸水樹脂組成物も本発明の範疇とする。
(単量体成分の濃度)
本発明において、上述した各物質を目的に応じて種々選択し、上記範囲内を満たす所定量を混合することによって、単量体水溶液が作製される。即ち、上記アクリル酸(塩)を主成分とする単量体は、好ましくは水溶液又は水と親水性溶媒との混合溶媒に溶解させた状態で、より好ましくは水溶液で使用される。なお、上記単量体水溶液における単量体成分の濃度は特に限定されないが、吸水剤の吸収性能の観点から、好ましくは10重量%〜80重量%、より好ましくは20重量%〜75重量%、更に好ましくは30重量%〜70重量%の範囲内で適宜設定される。
上記単量体成分の濃度は下記(式1)から算出される値であり、(式1)中、単量体水溶液の重量には、グラフト成分や吸水性樹脂、逆相懸濁重合での疎水性有機溶媒は含まれない。
Figure 2017012990
(3−2)重合工程
本工程は、上記単量体水溶液の作製工程で得られた単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
(重合開始剤)
本発明で使用される重合開始剤として、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤が挙げられる。例えば、米国特許第7265190号等に記載された重合開始剤が適用される。これらの中から重合形態等を考慮して、1種又は2種以上の重合開始剤が選択される。また、重合開始剤の取扱性や吸水剤の吸収性能の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が選択される。
上記重合開始剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.001モル%〜1モル%、より好ましくは0.001モル%〜0.5モル%の範囲内で適宜設定される。また、上記還元剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.0001モル%〜0.02モル%の範囲内で適宜設定される。重合開始剤及び還元剤の使用量を当該範囲内とすることで、所望する吸収性能を有する吸水剤が得られる。
また、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって、本発明の重合反応を開始させてもよい。また、上記重合開始剤と併用してもよい。
(重合形態)
本発明で適用される重合形態は特に限定されないが、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、噴霧重合、液滴重合、バルク重合、沈殿重合等が挙げられる。これらの中から重合の制御性や吸水剤の吸収性能等を考慮して、好ましくは水溶液重合又は逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、更に好ましくは連続水溶液重合が選択される。連続水溶液重合として、具体的には米国特許第4893999号等に記載された連続ベルト重合や、米国特許第6987151号等に記載された連続ニーダー重合が挙げられる。これらの連続水溶液重合によって、吸水剤を高い生産性で製造することができる。
また、上記連続水溶液重合の好ましい形態として、本発明では「高温開始重合」や「高濃度重合」、「発泡重合」等が挙げられる。これらの重合形態はそれぞれ単独で行うこともできるし、2以上を併用することもできる。なお、「高温開始重合」とは、重合開始時の単量体水溶液の温度を好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上(上限は単量体水溶液の沸点)とする重合形態のことを指す。「高濃度重合」とは、重合開始時の単量体水溶液の濃度を好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上(上限は飽和濃度)とする重合形態のことを指す。「発泡重合」とは、単量体水溶液に気泡(特に下記不活性ガス)を分散させて重合を行う形態のことを指す。
上記の各重合形態は、空気雰囲気下でも実施可能であるが、吸水剤の着色防止の観点から、好ましくは窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下(例えば、酸素濃度が1容積%以下)で実施する。なお、単量体水溶液中の溶存酸素についても、好ましくは不活性ガスで十分に置換(例えば、溶存酸素量が1mg/L未満)しておく。
本発明では、上記各重合形態の重合中に固形分濃度を上昇させてもよい。当該固形分濃度は下記(式2)から算出される値であり、(式2)中、単量体水溶液の固形分濃度は下記(式3)から算出される値であり、重合系内の成分は単量体水溶液、グラフト成分、吸水性樹脂、その他の固形分を指し、逆相懸濁重合等で使用される疎水性有機溶媒は含まれない。なお、当該固形分上昇度は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上の範囲内で適宜設定される。
Figure 2017012990
Figure 2017012990
本発明は、1ラインあたりの生産量が大きい実機相当の製造プラントにも好ましく適用される。当該生産量としては特に限定されないが、好ましくは0.5t/hr以上、より好ましくは1t/hr以上、更に好ましくは3t/hr以上、特に好ましくは5t/hr以上の範囲内で適宜設定される。
(3−3)ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルをゲル粉砕して、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。当該「ゲル粉砕」とは、ニーダー、ミートチョッパー、カッターミル等のゲル粉砕機を用いて含水ゲルを粒子状にすることをいう。ゲル粉砕の実施形態や条件等については、例えば、国際工程第2011/126079号等に記載された内容が本発明に適用される。
なお、重合形態としてニーダー重合が選択される場合、重合工程とゲル粉砕工程とが同時に実施されていることになる。また、逆相懸濁重合や液滴重合等、粒子状含水ゲルが重合過程で得られる場合には、ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
したがって、上記重合工程で得られた含水ゲルは、そのままの形状で又はゲル粉砕による粒子形状として、次工程である乾燥工程に供される。上記粒子状含水ゲルの重量平均粒子径(D50)(湿式篩分級で規定)は、乾燥効率の観点から、好ましくは0.1mm〜50mm、より好ましくは0.2mm〜10mm、更に好ましくは0.5mm〜5mmの範囲内で適宜設定される。
(3−4)乾燥工程
本工程は、上記重合工程で得られる含水ゲル、又は、上記ゲル粉砕工程で得られる粒子状含水ゲルを所望する範囲の樹脂固形分まで乾燥させて、乾燥重合体を得る工程である。当該「樹脂固形分」とは、乾燥減量(試料1gを180℃で3時間乾燥した際の重量変化)から算出される値であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%〜99重量%、更に好ましくは90重量%〜98重量%、特に好ましくは92重量%〜97重量%の範囲内で適宜設定される。
本発明での乾燥方法としては特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、好ましくは熱風乾燥、より好ましくは通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥が選択される。
本工程での乾燥温度は特に限定されないが、乾燥効率や吸水剤の色調の観点から、好ましくは100℃〜250℃、より好ましくは120〜230℃、更に好ましくは150〜200℃の範囲内で適宜設定される。また、乾燥時間は、好ましくは10分間〜120分間、より好ましくは20分間〜90分間、更に好ましくは30分間〜60分間の範囲内で適宜設定される。
当該範囲内の乾燥温度及び乾燥時間とすることで、吸水剤内部のポリマー鎖を変化させることができ、ダメージを低減することもできるため、水可溶分の上昇を抑えた高物性の吸水剤が得られる。即ち、当該範囲内の乾燥温度及び乾燥時間とすることで、吸水剤のCRCやExtを所望する範囲とすることができる。なお、当該乾燥温度は、通常、熱媒の温度で規定される(例えば、熱風乾燥の場合は熱風の温度で規定)が、マイクロ波乾燥等の熱媒温度では規定できない乾燥の場合には、粒子状含水ゲルの温度で規定する。また、当該乾燥温度は一定温度でも、乾燥途中で適宜変更してもよい。
上記乾燥温度や乾燥時間以外の乾燥条件については、粒子状含水ゲルの含水率や乾燥工程への供給量、目的とする樹脂固形分等に応じて適宜設定すればよい。バンド乾燥を選択する場合には、例えば、国際公開第2006/100300号等に記載される条件が本発明に適用される。
(3−5)粉砕工程、分級工程
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所望する範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末を得る工程である。なお、当該粉砕工程は、粉砕対象である乾燥重合体が乾燥工程を経ている点で上記(3−3)ゲル粉砕工程と異なる。また、「吸水性樹脂粉末」は表面架橋を施す前の吸水性樹脂を意味する。
上記粉砕工程で使用される機器(粉砕機)としては特に限定されないが、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機や、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられる。中でも、粒度分布の制御のし易さから、好ましくはロールミルが選択される。
上記分級工程での粒度調整は特に限定されないが、好ましくはJIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。中でも、分級効率の観点から、好ましくは篩分級が選択される。なお、最終製品の吸水剤のみならず、表面架橋前の吸水剤樹脂粉末や、表面架橋後の吸水性樹脂粒子についても、下記(4−5)に記載した粒度を満たすように、本工程(粉砕工程、分級工程)が行われる。また、当該粒度は、本工程(粉砕工程、分級工程)以外に、重合工程(特に逆相懸濁重合や液滴重合)や造粒工程、微粉回収工程でも適宜調整することができる。
(3−6)表面架橋工程
本工程は、上述した各工程を経て得られた吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から内部に数10μmまでの部分)に、架橋密度の高い部分を更に設ける工程であり、混合工程、熱処理工程及び冷却工程から構成されている。当該表面架橋工程において、吸水性樹脂粉末の表面でラジカル架橋やモノマー重合、表面架橋剤との架橋反応等が行われることで、表面架橋された吸水性樹脂(以下、「吸水性樹脂粒子」と称する)が得られる。
(3−6−1)混合工程
本工程は、吸水性樹脂粉末と、表面架橋剤を含む溶液(以下、「表面架橋剤溶液」と称する)とを混合装置内で混合して、加湿混合物を得る工程である。
(表面架橋剤)
本発明で使用される表面架橋剤として、例えば、米国特許第7183456号等に記載された表面架橋剤が適用される。これらの中から反応性等を考慮して、1種又は2種以上の表面架橋剤が選択される。また、表面架橋剤の取扱性や吸水剤の吸収性能の観点から、好ましくはカルボキシル基と反応する官能基を2以上する化合物であって、共有結合が形成される有機化合物が選択される。具体的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物、多価アミン化合物とハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、アルキレンカーボネート化合物、多価グリシジル化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。
上記表面架橋剤の使用量(複数使用の場合はその合計量)は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.001重量部〜10重量部、より好ましくは0.005重量部〜5重量部の範囲内で適宜設定される。表面架橋剤の使用量を当該範囲内とすることで、吸水性樹脂粉末の表面層に最適な架橋構造を形成することができ、高物性の吸水剤が得られる。
上記表面架橋剤は、水溶液として吸水性樹脂粉末に添加することが好ましい。この場合、水の使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜20重量部、より好ましくは0.3重量部〜15重量部、更に好ましくは0.5重量部〜10重量部の範囲内で適宜設定される。水の使用量を当該範囲内とすることで、表面架橋剤溶液の取扱性が向上し、吸水性樹脂粉末に対して表面架橋剤を均等に混合することができる。
(混合方法)
上記吸水性樹脂粉末と表面架橋剤溶液との混合方法については、特に限定されないが、予め表面架橋剤溶液を作製しておき、当該溶液を吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧又は滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が選択される。
上記混合を行う混合装置としては特に限定されないが、吸水性樹脂粉末と表面架橋剤とを均一かつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。当該混合装置として好ましくは高速攪拌型混合機、より好ましくは高速攪拌式連続混合機が挙げられる。具体的には、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーディスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー等が選択される。
上記混合を行う際、本工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度としては、表面架橋剤溶液との混合性や加湿混合物の凝集性等を考慮して、好ましくは35℃〜80℃、より好ましくは35℃〜70℃、更に好ましくは35℃〜60℃の範囲内で適宜設定される。また、混合時間は、好ましくは1秒間〜1時間、より好ましくは5秒間〜10分間の範囲内で適宜設定される。
(3−6−2)熱処理工程
本工程は、上記混合工程で得られた加湿混合物を熱処理して、表面架橋された吸水性樹脂(以下、「吸水性樹脂粒子」と称する)を得る工程である。
(熱処理方法)
上記加湿混合物を加熱する方法は特に限定されず、当該加湿混合物を静置状態で加熱してもよく、攪拌等の混合手段を用いて加熱してもよい。加湿混合物全体に均等に加熱できるという観点から、攪拌混合下で加熱することが好ましい。なお、本工程で使用される装置として、好ましくはパドルドライヤー、マルチフィンプロセッサー、タワードドライヤー等が挙げられる。
本工程における加熱温度は、使用される表面架橋剤の種類や量、目的とする吸水剤の吸収性能等に応じて設定すればよく特に限定されないが、熱媒温度として好ましくは150℃〜250℃、より好ましくは180℃〜210℃の範囲内で適宜設定すればよい。また、加熱時間についても特に限定されないが、好ましくは1分間〜2時間の範囲内で適宜設定すればよい。なお、加熱温度と加熱時間との組み合わせとしては、180℃で0.1時間〜1.5時間、200℃で0.1時間〜1時間等が挙げられる。
(3−6−3)冷却工程
本工程は、上記熱処理工程後に、必要に応じて設定される任意の工程である。本工程において、表面架橋反応中の吸水性樹脂粒子が強制冷却され、表面架橋反応が速やかに終了される。
(冷却方法)
上記吸水性樹脂粒子を冷却する方法は特に限定されず、当該吸水性樹脂粒子を静置状態で冷却してもよく、攪拌等の混合手段を用いて冷却してもよい。吸水性樹脂粒子を全体に均等に、速やかに冷却できるという観点から、攪拌混合下で冷却することが好ましい。なお、本工程で使用される装置として、好ましくはパドルドライヤー、マルチフィンプロセッサー、タワードドライヤー等が挙げられる。
本工程における冷却温度は、熱処理温度や目的とする吸水剤の吸収性能等に応じて設定すればよく特に限定されないが、冷媒温度として好ましくは40℃〜100℃、より好ましくは40℃〜90℃、更に好ましくは40℃〜70℃の範囲内で適宜設定すればよい。
(3−7)添加工程
本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、上記(2−1)に記載したゴム弾性を有する微粒子を添加して、吸水剤を得る工程である。即ち、本工程が、本発明に係る吸水剤の製造方法としての、上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子と上記ゴム弾性を有する微粒子とを混合する工程に該当する。なお、添加順序は特に限定されるものではなく、例えば、上記ゴム弾性を有する微粒子に、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子を添加してもよい。
上記混合については特に限定されないが、例えば、上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子と上記ゴム弾性を有する微粒子とを公知の方法で混合する方法や、上記吸水性樹脂粉末と上記ゴム弾性を有する微粒子とを混合した後に表面架橋を行うことによって、結果的に、上記吸水性樹脂粒子と上記微粒子とが混合されたものとする方法等が挙げられる。
なお、本発明では、上記吸水性樹脂粒子と上記ゴム弾性を有する微粒子とに、さらに下記の多価金属塩を混合することもできる。例えば、ゴム弾性を有する微粒子を添加する際に、下記の多価金属塩を追加添加することもできる。
(多価金属塩)
本発明に係る吸水剤は、多価金属塩を更に含有することが好ましい。当該多価金属塩は吸水性樹脂の通液性を改良する効果を有しており、更に高いSFCが達成される。
上記多価金属塩を構成する多価金属カチオン元素として、好ましくは典型金属及び族番号が4〜11の遷移金属から選ばれる1以上の金属元素、より好ましくはMg,Ca,Ti,Zr,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Pd,Cu,Zn,Cd,及びAlからなる群より選ばれる1以上の金属元素、更に好ましくはMg,Ca,Zn,及びAlからなる群より選ばれる1以上の金属元素、特に好ましくはAl元素である。また、カウンターアニオンとしては有機又は無機の何れでもよく、特に限定されない。
したがって、多価金属塩として具体的には、乳酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等の水溶性アルミニウム塩;塩化カルシウム、硝酸マグネシウム等の水溶性アルカリ土類金属塩;硫酸銅、塩化コバルト等の遷移金属塩等が挙げられる。これらの中でアルミニウム化合物が好ましく、中でも硫酸アルミニウムがより好ましく、硫酸アルミニウム14〜18水塩等の含水結晶の粉末が更に好ましい。
なお、上記「水溶性」とは、25℃の水100gに好ましくは1g以上、より好ましくは10g以上溶解することを意味する。
また、有機酸の多価金属塩を用いる場合、好ましいアニオンとしては安息香酸、吉草酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸、サリチル酸等が挙げられる。これらの中で酒石酸塩、乳酸塩が好ましく、乳酸アルミニウム、乳酸カルシウム等の乳酸塩がより好ましい。
上記多価金属塩は、上記吸水性樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは0.001重量部〜1重量部、より好ましくは0.005重量部〜0.5重量部、更に好ましくは0.01重量部〜0.2重量部、特に好ましくは0.02重量部〜0.1重量部の範囲内を添加すればよい。
なお、上記多価金属塩の添加方法については特に限定されないが、例えば、上記表面架橋剤溶液に当該多価金属塩を追加して、吸水性樹脂粉末に添加する方法、当該多価金属塩の水溶液を別途作製して、吸水性樹脂樹脂粒子に添加する方法等が挙げられる。
(3−8)その他の工程
上述した工程以外に、必要に応じて、整粒、微粉除去、造粒、微粉リサイクル、除鉄等の工程を設けてもよい。また、輸送、貯蔵、梱包、保管等の工程から選ばれる少なくとも1の工程を更に含むこともできる。具体的には、上記(3−7)に示す工程で、本発明に係る吸水剤が得られるが、その吸水剤を目開き850μmのJIS標準篩を用いて整粒した後、貯蔵、梱包の各工程を経て、最終製品として、ペーパーバック等に梱包された吸水剤を得る工程等を挙げることができる。
なお、上記「整粒」工程には、表面架橋工程以降の微粉除去工程や、吸水性樹脂が凝集して所望の大きさを超える場合に粉砕、分級を行う工程が含まれる。また、上記「微粉リサイクル」工程には、微粉をそのまま添加する形態や、大きな含水ゲルとして粒子状吸水剤の製造工程の何れかの工程に添加する工程が含まれる。
〔4〕吸水剤の物性
(4−1)FHA(高さ20cmでの固定された高さ吸収値)
本発明に係る吸水剤のFHAは15g/g以上であり、好ましくは18g/g以上、より好ましくは20g/g以上、更に好ましくは22g/g以上、特に好ましくは24g/g以上を示せばよい。上限値は高いほど好ましいが、他の物性(例えばSFC)とのバランスを考慮して、好ましくは40g/g以下、より好ましくは35g/g以下、更に好ましくは30g/g以下を示せばよい。したがって、上記FHAの好ましい範囲としては、上記上下限の範囲内で適宜選択すればよい。
上記範囲内のFHAとすることで、通液性に優れ、かつ、加圧下での吸水能力が向上するのみならず、水性液の吸収能力も向上した吸水剤となるため、薄型の紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として非常に好適なものとなる。
(4−2)AAP(加圧下吸水倍率)
本発明に係る吸水剤のAAPは、好ましくは15g/g以上、より好ましくは18g/g以上、更に好ましくは20g/g以上、特に好ましくは23g/g以上を示せばよい。上限値は高いほど好ましいが、他の物性(例えばSFC)とのバランスを考慮して、好ましくは40g/g以下、より好ましくは35g/g以下、更に好ましくは30g/g以下を示せばよい。したがって、上記AAPの好ましい範囲としては、上記上下限の範囲内で適宜選択すればよい。
従来の吸水剤は、通液性を向上させることができる一方で、加圧下での吸水能力が損なわれるという欠点を有していた。一方、本発明に係る吸水剤は、後述する実施例に示すように、通液性が大幅に改善されていると共に、15g/g以上という比較的高いAAPを示すことが明らかとなっている。つまり、本発明に係る吸水剤は、通液性を向上させても高いAAPを保つことができるという、優れた特性を示す吸水剤である。
(4−3)SFC(食塩水流れ誘導性)
本発明に係る吸水剤のSFCは、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは50以上、特に好ましくは70以上、最も好ましくは90以上を示せばよい。上限値は高いほど好ましいが、他の物性(例えばCRC)とのバランスを考慮して、好ましくは200以下、より好ましくは150以下を示せばよい。したがって、上記AAPの好ましい範囲としては、上記上下限の範囲内で適宜選択すればよい。なお、SFCの単位は(×10−7・cm・s・g−1)である。
本発明に係る吸水剤は、後述する実施例に示すように、いずれもSFCが10×10−7・cm・s・g−1以上となっており、かつ、前述のように15g/g以上という比較的高いAAPを示すことが明らかとなっている。
(4−4)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明に係る吸水剤のCRCは、通常5g/g以上、好ましくは10g/g以上、より好ましくは20g/g以上、更に好ましくは25g/g以上、特に好ましくは27g/g以上を示せばよい。上限値は高いほど好ましいが、他の物性(例えばSFC)とのバランスを考慮して、好ましくは50g/g以下、より好ましくは45g/g以下、更に好ましくは40g/g以下を示せばよい。したがって、上記CRCの好ましい範囲としては、上記上下限の範囲内で適宜選択すればよい。
本発明に係る吸水剤は、上記範囲内のCRCとすることで、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として好ましく使用される。なお、CRCは、上記内部架橋剤や表面架橋剤の種類及び/又は量を適宜選択すること等で制御することができる。
(4−5)粒度
本発明に係る吸水剤の粒度(PSD(粒度分布)、D50(重量平均粒子径)、σζ(粒度分布の対数標準偏差))は、以下の範囲を示すことが好ましい。
PSDについては、本発明に係る吸水剤は、粒子径が150μm未満である粒子の割合が5重量%以下であることが好ましい。
つまり、本発明に係る吸水剤に占める、粒子径が150μm未満である粒子の割合は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。加えて、本発明に係る吸水剤に占める、粒子径が850μm以上である粒子の割合は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。なお、これらの粒子の割合の下限値としては、何れの場合でも少ないほど好ましく、0重量%が望まれるが、0.1重量%以上でもよい。
吸水剤の物性を向上させる観点からは、粒子径が150μm未満である粒子の割合及び粒子径が850μm以上である粒子の割合が少ないほど好ましいため、上記PSDが上述した範囲にあることが好ましいと言える。
なお、上記「粒子径が150μm未満である粒子の割合」とは、吸水剤に含有されている粒子であって、目開き150μmのJIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を通過することができる粒子の重量が吸水剤の重量に占める割合をいう。また、上記「粒子径が850μm以上である粒子の割合」とは、吸水剤に含有されている粒子であって、目開き850μmのJIS標準篩を通過することができない粒子の重量が吸水剤の重量に占める割合をいう。
また、本発明に係る吸水剤のD50(重量平均粒子径)は、好ましくは200μm〜600μm、より好ましくは250μm〜550μm、更に好ましくは350μm〜500μmを示せばよい。
更に、本発明に係る吸水剤のσζ(粒度分布の対数標準偏差)は、好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.25〜0.45、更に好ましくは0.30〜0.40を示せばよい。
(4−6)Ext(水可溶分)
本発明に係る吸水剤のExtは、通常50重量%以下、好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下、更に好ましくは15重量%以下、特に好ましくは12重量%以下、最も好ましくは10重量%以下を示せばよい。上記Extが50重量%を超える場合、得られる吸水剤のゲル強度が弱く、液透過性に劣ったものとなるおそれがある。また、かような吸水剤を吸収体に使用すると、吸収体に圧力が加わった際の液の戻り(リウェット)が少ない吸水剤を得ることができないおそれがあるため、好ましくない。なお、Extは、上述した内部架橋剤等の種類および/または量を適宜選択すること等で制御することができる。
(4−7)Vortex(吸水時間)
本発明に係る吸水剤のVortexは、好ましくは60秒以下、より好ましくは50秒以下、更に好ましくは40秒以下、特に好ましくは30秒以下、最も好ましくは25秒以下を示せばよい。下限値としては0秒超であればよく特に限定されないが、好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上を示せばよい。したがって、上記Vortexの好ましい範囲としては、上記上下限の範囲内で適宜選択すればよい。
上記範囲内のVortexとすることで、液の取込性が十分となり、本発明に係る吸水剤を吸収性物品の吸収体に使用した際、吸収性物品の使用者に対して不快感を与えにくいため、好ましい。
(4−8)FSR(自由膨潤速度)
本発明に係る吸水剤のFSRは、好ましくは0.20g/(g・sec)以上、より好ましくは0.25g/(g・sec)以上、更に好ましくは0.30g/(g・sec)以上、特に好ましくは0.34g/(g・sec)以上、最も好ましくは0.36g/(g・sec)以上を示せばよい。上限値としては1.00g/(g・sec)以下であればよい。したがって、上記FSRの好ましい範囲としては、上記上下限の範囲内で適宜選択すればよい。
上記範囲内のFSRとすることで、液の取込性が十分となり、本発明に係る吸水剤を吸収性物品の吸収体に使用した際、吸収性物品の使用者に対して不快感を与えにくいため、好ましい。
以上のように、本発明に係る吸水剤は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とし、上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の表面に、ゴム弾性を有する微粒子が所定量存在する。そのため、これまで実現不可能であった、通液性及び加圧下吸水倍率を何れも高いレベルで示すことができる。さらに、本発明に係る吸水剤は水性液の吸収能力に優れた吸水剤である。
つまり、本発明に係る吸水剤は、水性液の取り込み性及び拡散性に優れ、吸液後に荷重がかかった際の液の戻り(Re-wet)が少なく、かつ、水性液の吸収能力に優れる。
それゆえ、本発明に係る吸水剤は、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パット等の吸収性物品をはじめ、土木、農園芸等の、水性液の吸収を必要とする各種産業分野においても好適に用いることができる。特に、本発明に係る吸水剤は、上述の優れた特性により、吸収性物品の薄型化の要求に十分応え得るものとなっているため、非常に有用性が高いと言える。
なお、本発明は以下の発明を包含する。
〔1〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする吸水剤であって、上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の表面に、当該ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.01重量部〜10重量部のゴム弾性を有する微粒子が存在し、かつ、FHA(高さ20cmでの固定された高さ吸収値)が15g/g以上である、吸水剤。
〔2〕上記ゴム弾性を有する微粒子が、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム及び天然ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含む、〔1〕に記載の吸水剤。
〔3〕上記ゴム弾性を有する微粒子の平均粒子径が0.01μm〜20μmである、〔1〕又は〔2〕に記載の吸水剤。
〔4〕多価金属塩を更に含有する、〔1〕〜〔3〕の何れか1つに記載の吸水剤。
〔5〕AAP(加圧下吸水倍率)が15g/g以上である、〔1〕〜〔4〕の何れか1つに記載の吸水剤。
〔6〕SFC(食塩水流れ誘導性)が10×10−7・cm・s・g−1以上である、〔1〕〜〔5〕の何れか1つに記載の吸水剤。
〔7〕粒子径が150μm未満である粒子の割合が5重量%以下である、〔1〕〜〔6〕の何れか1つに記載の吸水剤。
〔8〕上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の含有量が70重量%以上100重量%以下である、〔1〕〜〔7〕の何れか1つに記載の吸水剤。
〔9〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子と、ゴム弾性を有する微粒子とを混合する工程を含む、吸水剤の製造方法。
〔10〕多価金属塩を更に混合する工程を含む、〔9〕に記載の吸水剤の製造方法。
〔11〕上記吸水剤のSFC(食塩水流れ誘導性)が10×10−7・cm・s・g−1以上である、〔9〕又は〔10〕に記載の吸水剤の製造方法。
〔12〕上記吸水剤のFHA(高さ20cmでの固定された高さ吸収値)が15以上である、〔9〕〜〔11〕の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
以下、実施例に従って本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されて解釈されるものではない。また、本発明の特許請求の範囲又は実施例に記載の諸物性は、以下の(1)〜(8)に記載の測定法に従って、室温(23±2℃)、湿度50±10RH%の条件下にて算出した。
なお、特に断りのない限り、各実施例での各工程は実質常圧(大気圧の5%以内、更に好ましくは1%以内)にて行い、同一工程では意図的な加圧又は減圧による圧力変化を加えずに実施した。また、以下、吸水性樹脂の物性測定について記載しているが、測定対象が吸水性樹脂粉末、吸水性樹脂粒子、吸水剤の場合には、それぞれに読み替えて適用する。
(1)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明に係る吸水剤のCRCは、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
(2)AAP(加圧下吸水倍率)
本発明に係る吸水剤のAAPは、EDANA法(ERT442.2−02)に準拠して測定した。ただし、本発明においては、荷重条件を4.83kPa(約0.7psi)に変更して、吸水剤のAAP(加圧下吸水倍率)を算出した。
(3)Ext(水可溶分)
本発明に係る吸水剤のExtは、EDANA法(ERT470.2−02)に準拠して測定した。
(4)PSD(粒度分布)
本発明に係る吸水剤のPSDは、EDANA法(ERT420.2−02)に準拠して測定した。なお、本発明に係る吸水剤のD50(重量平均粒子径)及びσζ(粒度分布の対数標準偏差)については、米国特許第7638570号に記載された「(3)Mass−Average Particle Diameter(D50) and Logarithmic Standard Deviation(σζ) of Particle Diameter Distribution」に準拠して測定した。
(5)SFC(食塩流れ誘導性)
本発明に係る吸水剤のSFCは、米国特許第5669894号に記載された測定方法に準拠して測定した。
(6)FHA(高さ20cmでの固定された高さ吸収値)
本発明に係る吸水剤のFHAは、米国特許出願公開第2005/0003191号に記載された測定方法に準拠して測定した。
(7)Vortex(ボルテックス法による吸水時間)
本発明に係る吸水剤のVortexは、JIS K7224に記載された「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」に準拠して測定した。
(8)FSR(自由膨潤速度)
本発明に係る吸水剤のFSRは、国際公開第2009/016055号に記載された測定方法に準拠して測定した。
[製造例1]
容量2Lのポリプロピレン製容器に、アクリル酸421.7g、内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)1.8g、キレート剤として1.0重量%ジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム水溶液11.3g、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液140.4g及びイオン交換水395.3gを投入して混合した。当該液は、溶解熱及び中和熱によって液温が上昇する傾向にあったため、攪拌しながら冷却した。
液温が38℃となった時点で、40℃に調温した48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液211.9gを更に加え、混合することによって中和した。このとき、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を混合し始めた直後は、析出物が観察されたが、次第に溶解し、透明な溶液となった。
続いて、上記溶液を攪拌しながら、4.0重量%の過硫酸ナトリウム水溶液17.6gを加えた後、直ちにステンレス製バット型容器(底面340×340mm、高さ25mm、内面;テフロン(登録商標)コーティング)に大気解放系で投入した。当該投入から55秒後に、重合反応が開始した。なお、上記ステンレス製バット型容器は、ホットプレート((株)井内盛栄堂;NEO HOTPLATE HI-1000)上で表面温度が50℃となるように、予め加熱しておいた。
上記重合反応は、水蒸気を発生しながら上方に向かって四方八方に膨脹発泡して進行し、その後、バット型容器よりも若干大きなサイズまで収縮した。重合反応の開始から3分間経過後に、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を取り出した。
上記重合反応で得られた含水ゲルをミートチョッパー(レマコム(株);HL-3225N/プレート孔径:10.0mm)を用いてゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得た。
上記ゲル粉砕で得られた粒子状含水ゲルを目開き300μm(50メッシュ)のステンレス製金網上に広げて載せ、190℃で30分間、熱風乾燥を行った。続いて、当該乾燥工程で得られた乾燥重合体をロールミル((有)井ノ口技研;WML型ロール粉砕機)を用いて粉砕した後、目開き850μm及び目開き150μmのJIS標準篩を用いて分級した。上記の操作によって、吸水性樹脂粉末(1)を得た。
上記吸水性樹脂粉末(1)100重量部に、炭酸エチレン0.4重量部、プロピレングリコール0.6重量部及びイオン交換水2.5重量部からなる表面架橋剤溶液3.5重量部を添加して、均一に混合した。その後、得られた加湿混合物を205℃で40分程度、加熱処理して表面架橋した。加熱処理後、全量が目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。上記操作によって、吸水性樹脂粒子(1)を得た。
[実施例1]
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)100重量部と、ゴム弾性を有する微粒子であるKMP−605(信越化学工業(株))0.3重量部とを混合した。
上記混合は、具体的には、80℃に加温された上記吸水性樹脂粒子(1)30gと上記微粒子(KMP−605)0.09gとを容量225mlのマヨネーズ瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋製機(株))で3分間、振とうさせることで行った。
続いて、上記ペイントシェーカーによる振とう後の混合物に対して、下記多価金属塩水溶液(1)1.0重量部をシリンジを用いて滴下しながら、スパチュラで1分間混合した。
なお、上記多価金属塩水溶液(1)は、50重量%の硫酸アルミニウム水溶液100重量部、60重量%の乳酸ナトリウム水溶液30重量部及びプロピレングリコール0.3重量部から構成される水溶液である。
上記多価金属塩水溶液(1)の添加・混合後、80℃のオーブン内に30分間静置させて、乾燥した。その後、全量が目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕を行った。上記操作によって、吸水剤(1)を得た。
なお、吸水剤(1)のD50(重量平均粒子径)は390μm、σζ(粒度分布の対数標準偏差)は0.39、粒子径150μm未満の粒子の割合は0.5重量%、Ext(水可溶分)は9重量%、Vortex(吸水時間)は39秒、FSR(自由膨潤速度)は0.32g/(g・sec)であった。
[実施例2]
実施例1において、微粒子(KMP−605)の添加量を0.3重量部から0.5重量部(具体的には0.09gから0.15g)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、吸水剤(2)を得た。
[実施例3]
実施例1において、ゴム弾性を有する微粒子をKMP−600(信越化学工業(株))に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、吸水剤(3)を得た。
[比較例1]
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)100重量部に対して、実施例1で作製した多価金属塩水溶液(1)1.0重量部を添加して混合した。その後、80℃のオーブン内に30分間静置させて、乾燥した。その後、全量が目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕を行った。上記操作によって、比較吸水剤(1)を得た。
[比較例2]
比較例1において、多価金属塩水溶液(1)の添加量を1.0重量部から2.0重量部に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って、比較吸水剤(2)を得た。
[比較例3]
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)100重量部と無機系シリカ微粒子であるシーホスターKE−P100((株)日本触媒)0.3重量部とを混合した。上記操作によって、比較吸水剤(3)を得た。
[比較例4]
比較例3において、シリカ微粒子(シーホスターKE−P100)の添加量を0.3重量部から1.0重量部に変更した以外は、比較例3と同様の操作を行って、比較吸水剤(4)を得た。
[比較例5]
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)100重量部と無機系シリカ微粒子であるアエロジル200(日本アエロジル(株))0.3重量部とを混合した。上記操作によって、比較吸水剤(5)を得た。
[比較例6]
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)100重量部と無機系シリカ微粒子であるシーホスターKE−P100((株)日本触媒)0.3重量部とを混合した。
上記混合は、具体的には、上記吸水性樹脂粒子(1)30gと上記シリカ微粒子(シーホスターKE−P100)0.09gとを容量225mlのマヨネーズ瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋製機(株))で3分間、振とうさせることで行った。
続いて、上記ペイントシェーカーによる振とう後の混合物に対して、実施例1で得られた多価金属塩水溶液(1)1.0重量部をシリンジを用いて滴下しながら、スパチュラで1分間混合した。
上記多価金属塩水溶液(1)の添加・混合後、80℃のオーブン内に30分間静置させて、乾燥した。その後、全量が目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕を行った。上記操作によって、比較吸水剤(6)を得た。
[比較例7]
比較例6において、シリカ微粒子をアエロジル200(日本アエロジル(株))に変更した以外は、比較例6と同様の操作を行って、比較吸水剤(7)を得た。
[比較例8]
比較例6において、無機系シリカ微粒子であるシーホスターKE−P100((株)日本触媒)0.3重量部を、ウレタンエマルジョンであるスーパーフレックス500M(第一工業製薬(株))2.2重量部(固形分としては1.0重量部)に変更した以外は、比較例6と同様の操作を行って、比較吸水剤(8)を得た。
[物性の測定結果]
上記実施例1〜3で得られた吸水剤(1)〜(3)、及び、比較例1〜8で得られた比較吸水剤(1)〜(8)について、CRC、AAP、SFC及びFHAを測定した。結果を表1に示す。表1には、参照用として、吸水性樹脂粒子(1)の物性も併せて示した。
Figure 2017012990
(まとめ)
参照用として挙げた吸水性樹脂粒子(1)の物性を鑑みると、実施例1〜3(吸水剤(1)〜(3))では、加圧下吸水倍率(AAP)について比較的高い値が保持されると共に、食塩水流れ誘導性(SFC)が大幅に改善されていることがわかる。
一方、比較例1及び比較例2では、従来からSFCの改善に効果があることが知られている多価金属塩水溶液を用いても、実施例ほどSFCの改善効果は得られなかった。また、比較例2のように、過剰量の多価金属塩水溶液を添加することで、むしろAAPの低下が見られることがわかる。無機系シリカ粒子を用いた比較例3〜5においても、比較例1、2と同様の現象が見られる。また、多価金属塩水溶液と無機系シリカ粒子とを併用した比較例6及び比較例7においても、実施例ほどのSFCの改善効果は得られないことが分かる。さらに、多価金属塩水溶液と、加圧吸収量を向上させることが知られているウレタンエマルジョンとを併用した比較例8においては、AAPおよびSFCの改善効果は見られず、FHAは非常に低い値を示した。
以上の結果から、本発明に係る吸水剤は、通液性に優れ、かつ、加圧下吸収倍率が高い吸水性樹脂組成物を提供することを目的として特許文献1で提供された比較吸水剤(3)、(4)よりも、通液性と加圧下吸収倍率とをより高いレベルで両立することができることが分かる。
したがって、本発明に係る吸水剤は、近年需要が高まっている薄型化された吸収性物品において求められる特性であるものの、従来の吸水剤では十分に達成できていなかった高い通液性及び高い加圧下吸収倍率を、従来よりも飛躍的に高いレベルで実現できる吸水剤であると言える。
本発明は、例えば、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パット等の吸収性物品に用いられる吸水剤及びその製造方法に好適に利用することができる。

Claims (12)

  1. ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を主成分とする吸水剤であって、
    上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の表面に、当該ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.01重量部〜10重量部のゴム弾性を有する微粒子が存在し、かつ、
    FHA(高さ20cmでの固定された高さ吸収値)が15g/g以上である、吸水剤。
  2. 上記ゴム弾性を有する微粒子が、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム及び天然ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を含む、請求項1に記載の吸水剤。
  3. 上記ゴム弾性を有する微粒子の平均粒子径が0.01μm〜20μmである、請求項1又は2に記載の吸水剤。
  4. 多価金属塩を更に含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸水剤。
  5. AAP(加圧下吸水倍率)が15g/g以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸水剤。
  6. SFC(食塩水流れ誘導性)が10×10−7・cm・s・g−1以上である、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸水剤。
  7. 粒子径が150μm未満である粒子の割合が5重量%以下である、請求項1〜6の何れか1項に記載の吸水剤。
  8. 上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子の含有量が70重量%以上100重量%以下である、請求項1〜7の何れか1項に記載の吸水剤。
  9. ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子と、ゴム弾性を有する微粒子とを混合する工程を含む、吸水剤の製造方法。
  10. 多価金属塩を更に混合する工程を含む、請求項9に記載の吸水剤の製造方法。
  11. 上記吸水剤のSFC(食塩水流れ誘導性)が10×10−7・cm・s・g−1以上である、請求項9又は10に記載の吸水剤の製造方法。
  12. 上記吸水剤のFHA(高さ20cmでの固定された高さ吸収値)が15以上である、請求項9〜11の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
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