JP2017012167A - 油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
油脂中に乳化剤を安定的に溶解してなる、食品改質剤として好適な油脂組成物であって、水と混合した場合のみならず、塩分等を含む調味液と混合した際にも、緩やかな撹拌で容易に乳化分散して水中油型の乳化液を形成することができ、且つ、かかる乳化液が高温下においても優れた乳化安定性を示す油脂組成物を提供する。
【解決手段】
食用油脂を70.0〜96.5質量%、ジグリセリンモノラウレートを0.5〜10.0質量%、及びジグリセリンモノオレートを3.0〜20.0質量%含有し、該ジグリセリンモノラウレートの含有量と該ジグリセリンモノオレートの含有量が下記数式を満たす、油脂組成物。
[ジグリセリンモノオレートの含有量]×2≧[ジグリセリンモノラウレートの含有量]
【選択図】なし
Description
上記蒸し工程により、麺線表面の澱粉が糊化(α化)し、麺線外層が強化されるため、その後の乾燥工程における麺線のひび割れ等を防止することができる。また、上記蒸し工程により澱粉が膨潤するため、最終製品である即席麺の湯戻り時間を短縮することができる。したがって、上記蒸し工程は即席麺の製造において必須の工程とされている。
一方、上記蒸し工程による麺線表面の糊化により、麺線同士が結着する現象も生じる。麺線同士が結着するとその後の成形工程において成形不良が生じやすくなる。また、得られる即席麺は結着部分が湯戻りしにくく、食感が不均一となる。
このように、上記蒸し工程は即席麺の品質に大きく影響する。
例えば特許文献1には、エステル化率が20%以下で、かつ、HLBが8〜12のポリグリセリン脂肪酸エステルと大豆レシチンを含有する茹で・蒸し麺類用油脂組成物が記載され、この油脂組成物を茹でた中華麺やうどんに噴霧等することにより、麺線のほぐれ性を向上させたことが記載されている。
また、いわゆる炊き込みご飯等を作る際には、炊飯時の水に醤油やダシが加えられる。したがって、調味液中に容易に乳化分散でき、且つこの乳化分散状態が高温下においても安定な油脂組成物は、米飯のほぐれ性改善用途において汎用性が高く、実用性に優れたものとなる。
また本発明は、上記油脂組成物の油脂を油相として有する水中油型乳化組成物の提供に関する。
また本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物を用いた食品の提供に関する。
さらに本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物を用いた即席麺ないし米飯の製造方法の提供に関する。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
[ジグリセリンモノオレートの含有量]×2≧[ジグリセリンモノラウレートの含有量]
また本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物を用いた食品を提供するものである。
また本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に前記食用油脂を付着させることを含む、即席麺の製造方法を提供するものである。
さらに本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物の存在下で炊飯することを含む、米飯の製造方法を提供するものである。
本発明において、成分含有量は、特に断りのない限り質量基準である。
本発明に用いる食用油脂は、植物性油脂であることが好ましい。当該植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油、及びこれらのエステル交換油もしくは分別油から選ばれる1種又は2種以上の油脂が挙げられ、大豆油、菜種油、及びコーン油から選ばれる油脂が好ましい。
[DGMOの含有量]×2≧[DGMLの含有量] (I)
本発明の油脂組成物中、DGMLの含有量とDGMOの含有量とが上記数式(I)を満たすことにより、DGMOが、DGMLを油脂中に溶解するための可溶化剤として効果的に機能することができ、食用油脂中へのDGMLの溶解安定性をより高めることができる。乳化組成物の耐塩・耐熱性を高める観点から、DGMLの含有量(質量%)とDGMOの含有量(質量%)は下記数式(II)を満たすことが好ましい。
[DGMOの含有量]≧[DGMLの含有量]×2 (II)
本発明の油脂組成物がレシチンを含有する場合、本発明の油脂組成物中のレシチンの含有量は0.5〜3.0質量%が好ましく、1.0〜2.0質量%がより好ましい。
例えば、即席麺の製造において、蒸し工程後の麺線表面に付着させることにより、麺線同士の結着を抑制し、ほぐれ性に優れた即席麺を得ることができる。また、本発明の油脂組成物を調味液中に乳化分散させて乳化液を調製し、当該乳化液を麺線表面に噴霧することにより、麺線のほぐれ性を効果的に改善しながら麺線に所望の味付けをすることができる。しかも、本発明の油脂組成物を用いれば、上記の麺線表面への乳化液の噴霧を、高温下においても安定して実施できる。すなわち本発明の油脂組成物は即席麺等の工業的生産に好ましく適用できる。
本発明の乳化組成物は、本発明の油脂組成物の油脂を油相(分散相)として有する。本発明の乳化組成物を構成する水相(連続相)は、水又は水性液である。当該水相は塩分(食塩)等を含有する調味液であってもよい。本発明の乳化組成物は、水相が塩分を含む場合であっても優れた乳化安定性を示す。そのため、本発明の乳化組成物を食品に付着させることにより、水相が有する塩分等の調味成分により食品に所望の味付けをすることができ、且つ、油相の作用によって食品のほぐれ性、食感、風味、外観等を改質することができる。
本発明の食品は、各種食品の通常の製造工程において、本発明の油脂組成物ないし乳化組成物を配合することで得ることができる。なかでも、本発明の食品は、当該食品の製造工程において、食品表面に本発明の油脂組成物ないし乳化組成物を付着させ、当該付着液を食品に浸透させ、あるいは食品表面になじませた形態が好ましい。本発明の食品が即席麺あるいは米飯である場合を例にとって、その生産方法の一例を説明する。
蒸し工程後の麺線と本発明の油脂組成物又は乳化組成物とを接触させる際には、当該麺線100質量部に対し、食用油脂が0.01〜0.8質量部付着するように接触させることが好ましく、0.05〜0.5質量部付着するように接触させることがさらに好ましい。
食用油脂を70.0〜96.5質量%、DGMLを0.5〜10.0質量%、及びDGMOを3.0〜20.0質量%含有し、該DGMLの含有量と該DGMOの含有量が下記数式を満たす、油脂組成物。
[DGMOの含有量]×2≧[DGMLの含有量]
前記食用油脂が、好ましくは20℃において液状の油脂であり、より好ましくは5℃において液状の油脂である、前記<1>に記載の油脂組成物。
<3>
前記食用油脂が、好ましくは植物性油脂であり、より好ましくは大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油、及びこれらのエステル交換油もしくは分別油から選ばれる1種又は2種以上の油脂であり、さらに好ましくは大豆油、菜種油、及びコーン油から選ばれる1種又は2種以上の油脂である、前記<1>又は<2>に記載の油脂組成物。
<4>
前記油脂組成物中、食用油脂の含有量が、好ましくは75.0質量%以上であり、より好ましくは80.0質量%以上であり、さらに好ましくは85.0質量%以上であり、さらに好ましくは87.0質量%以上であり、さらに好ましくは90.0質量%以上である、前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<5>
前記油脂組成物中、食用油脂の含有量が、好ましくは96.0質量%未満であり、より好ましくは95.5質量%以下であり、さらに好ましくは95.0質量%以下であり、さらに好ましくは94.5質量%以下である、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<6>
前記油脂組成物中、食用油脂の含有量が、好ましくは75.0〜96.5質量%であり、より好ましくは80.0〜96.5質量%であり、さらに好ましくは80.0質量%以上96.0質量%未満であり、さらに好ましくは85.0〜95.5質量%であり、さらに好ましくは85.0〜95.0質量%であり、さらに好ましくは87.0〜94.5質量%であり、さらに好ましくは90.0〜94.5質量%である、前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
前記油脂組成物中、DGMLの含有量が、好ましくは0.8質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上である、前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<8>
前記油脂組成物中、DGMLの含有量が、好ましくは8.0質量%以下であり、より好ましくは6.0質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以下であり、さらに好ましくは4.0質量%以下であり、さらに好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以下である、前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<9>
前記油脂組成物中、DGMLの含有量が、好ましくは0.5〜8.0質量%であり、より好ましくは0.5〜6.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5.0質量%であり、さらに好ましくは0.8〜4.0質量%であり、さらに好ましくは0.8〜3.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜2.0質量%である、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
前記油脂組成物中、DGMOの含有量が、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、さらに好ましくは8.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である、前記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<11>
前記油脂組成物中、DGMOの含有量が、好ましくは3.0〜15.0質量%であり、より好ましくは3.0〜10.0質量%であり、さらに好ましくは3.0〜8.0質量%であり、さらに好ましくは3.0〜6.0質量%である、前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
前記油脂組成物中の、DGMLの含有量(質量%)とDGMOの含有量(質量%)が、好ましくは下記数式を満たす、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
[DGMOの含有量]≧[DGMLの含有量]×2
前記油脂組成物が、好ましくはレシチンを含有する、前記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<14>
前記油脂組成物中、レシチンの含有量が、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上である、前記<13>に記載の油脂組成物。
<15>
前記油脂組成物中、レシチンの含有量が、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以下である、前記<13>又は<14>に記載の油脂組成物。
<16>
前記油脂組成物中、レシチンの含有量が、好ましくは0.5〜3.0質量%であり、より好ましくは1.0〜2.0質量%である、前記<13>〜<15>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
前記油脂組成物が、好ましくは食品の改質剤であり、より好ましくは食品の結着抑制剤である、前記<1>〜<16>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<18>
前記食品が、好ましくは即席麺、米飯、チルド麺、調理麺、スナック菓子、麺スナック菓子又は揚げ菓子である、前記<17>に記載の油脂組成物。
<19>
前記即席麺、チルド麺及び調理麺が、好ましくは中華麺、うどん、そば、パスタ又はフォーである、前記<18>に記載の油脂組成物。
前記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の油脂組成物の油脂を油相として有する水中油型乳化組成物。
<21>
前記水中油型乳化組成物中、水相に対する油相の量比が、質量比で、好ましくは水相/油相=99.5/0.5〜90/10であり、より好ましくは水相/油相=99/1〜95/5である、前記<20>に記載の水中油型乳化組成物。
<22>
前記水中油型乳化組成物の水相が、好ましくは調味液である、前記<20>又は<21>に記載の水中油型乳化組成物。
<23>
前記調味液が、好ましくは食塩を含む、前記<22>に記載の水中油型乳化組成物。
<24>
前記調味液が、好ましくは醤油、味噌、魚醤、砂糖、ショ糖、液糖、果糖、みりん、甘味料、畜肉エキス、魚介エキス、野菜エキス、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、アミノ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、色素及び香辛料から選ばれる成分を含む、前記<23>に記載の水中油型乳化組成物。
<25>
前記調味液中の食塩の含有量が、好ましくは0.2〜20質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である、<23>又は<24>に記載の水中油型乳化組成物。
前記水中油型乳化組成物が、好ましくは食品の改質剤であり、より好ましくは食品の結着抑制剤である、前記<20>〜<25>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<27>
前記食品が、好ましくは即席麺、米飯、チルド麺、調理麺、スナック菓子、麺スナック菓子又は揚げ菓子である、<26>に記載の水中油型乳化組成物。
<28>
前記即席麺、チルド麺及び調理麺が、好ましくは中華麺、うどん、そば、パスタ又はフォーである、前記<27>に記載の水中油型乳化組成物。
前記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の油脂組成物、又は、前記<20>〜<28>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物を用いた食品。
<30>
前記食品が、好ましくは即席麺、米飯、チルド麺、調理麺、スナック菓子、麺スナック菓子又は揚げ菓子である、前記<29>に記載の食品。
<31>
前記即席麺、チルド麺及び調理麺が、好ましくは中華麺、うどん、そば、パスタ又はフォーである、前記<30>に記載の食品。
前記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の油脂組成物、又は、前記<20>〜<28>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に前記食用油脂を付着させることを含む、即席麺の製造方法。
<33>
前記油脂組成物又は前記水中油型乳化組成物と、前記蒸し工程後の麺線との接触が、前記油脂組成物中又は前記乳化組成物中に麺線を浸漬するか、又は、前記油脂組成物又は前記乳化組成物を麺線表面に噴霧することにより行われる、前記<32>に記載の即席麺の製造方法。
<34>
前記油脂組成物又は前記水中油型乳化組成物と、前記蒸し工程後の麺線との接触を、前記麺線100質量部に対し、前記食用油脂が0.01〜0.8質量部付着するように行う、前記<32>又は<33>に記載の即席麺の製造方法。
前記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の油脂組成物、又は、前記<20>〜<28>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物の存在下で炊飯することを含む、米飯の製造方法。
<36>
生米100質量部に対し、食用油脂が0.1〜5質量部となるように、炊飯時の水あるいは調味液中に前記油脂組成物又は前記水中油型乳化組成物を添加し、炊飯することを含む、前記<35>に記載の米飯の製造方法。
食用油脂としては、
ナタネ油(商品名:菜種サラダ油(S)、日清オイリオ社製)、
コーン油(商品名:コーン油(S)、日清オイリオ社製)
を用いた。
DGMO(商品名:サンソフトQ−17D、太陽化学社製、HLB7.5)、
DGML(商品名:サンソフトQ−12D、太陽化学社製、HLB8.5)、
ジグリセリンセスキオレート(商品名:サンソフトQ−17B、太陽化学社製、HLB6.5)、
トリグリセリンモノステアレート(商品名:SYグリスターMS−3S、阪本薬品工業社製、HLB8.4)、
テトラグリセリンモノオレート(商品名:SYグリスターMO−3S、阪本薬品工業社製、HLB8.8)、
ペンタグリセリントリオレート(商品名:サンソフトA173E、太陽化学社製、HLB7.0)、
ペンタグリセリントリミリステート(商品名:サンソフトA143E、太陽化学社製、HLB8.0)、
ヘキサグリセリントリステアレート(商品名:SYグリスターTS−5S、阪本薬品工業社製、HLB7.4)、
テトラグリセリンモノラウレート(商品名:SYグリスターMS−310、阪本薬品工業社製、HLB10.3)、
ペンタグリセリンモノラウレート(商品名:サンソフトA−121E、太陽化学社製、HLB14.0)、
ペンタグリセリンモノステアレート(商品名:サンソフトA−181E、太陽化学社製、HLB13.0)、
ヘキサグリセリンモノラウレート(商品名:SYグリスターML−500、阪本薬品工業社製、HLB13.5)、
ヘキサグリセリンモノオレート(商品名:SYグリスターMO−5S、阪本薬品工業社製、HLB11.6)、
ヘキサグリセリンモノステアレート(商品名:SYグリスターMS−5S、阪本薬品工業社製、HLB12.0)、
デカグリセリンモノラウレート(商品名:リョートーポリグリエステルL−7D、三菱化学フーズ社製、HLB15.5)、
デカグリセリンモノオレート(商品名:SYグリスターMO−7S、阪本薬品工業社製、HLB12.9)、
デカグリセリンモノステアレート(商品名:サンソフトQ−18S、太陽化学社製、HLB11.6)
を用いた。
Yelkin−TS(商品名、Archer Daniels Midland Company社製)
を用いた。
上記調製例1で調製した各油脂組成物を室温まで冷却し、油脂組成物の風味について5名の専門パネルの各々が、後述の評価基準に従って風味を評価した。風味の評価基準を以下に示す。5名の専門パネルの評価結果はすべて同じとなった。
(風味の評価基準)
A:乳化剤の異味を感じない。
B:乳化剤の異味を感じる。
上記調製例1で調製した各油脂組成物を室温まで冷却し、各油脂組成物につき、50mLづつ、5本の瓶(底面φ4.0cm、高さ7.5cm)に分注して密封した。20℃で1週間静置した後、外観を目視観察し、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
(乳化剤の溶解安定性評価基準)
A:5つの瓶すべてにおいて沈殿が生じなかった。
B:1つ以上の瓶で沈殿が生じた。
上記調製例1で調製した各油脂組成物1gに対し、純水49.0gを混合して5分間、緩やかに撹拌し、水中油型に乳化分散させた。次いで80℃のウォーターバス中で1時間、緩やかに撹拌を続けた。その後、室温に戻して20分間静置し、乳化状態を目視観察し、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。なお、各油脂組成物について、同じ試験を5回実施したが、いずれも同じ評価結果となった。この試験では評価4を合格とした。
(評価基準)
4:全体が均質に白濁しており、均一な乳化分散状態である。
3:表面にクリーミング層が生じている。クリーミング層以外の部分は均質に白濁しており、光が透過しない状態である。
2:表面にクリーミング層が生じている。クリーミング層以外の部分は均質に白濁しているが、白濁の度合がやや薄く、光が透過する状態である。
1:油水が分離しており、全体が透明である。
上記調製例1で調製した各油脂組成物1gに対し、10質量%食塩水49.0gを混合して5分間、緩やかに撹拌し、水中油型に乳化分散させた。次いで60℃のウォーターバス中で1時間、緩やかに撹拌を続けた。その後、室温に戻して20分間静置し、乳化状態を目視観察し、上記試験例3と同じ評価基準により評価した。結果を下表に示す。なお、各油脂組成物について、同じ試験を5回実施したが、いずれも同じ評価結果となった。この試験では評価2以上を合格とした。
また、油脂組成物が乳化剤としてDGMLのみを含有する場合には、油脂組成物の保存中に沈殿が生じ、実用性に劣るものであった(比較例7及び8)。ここで、油脂組成物がDGMOを含有しない場合であっても、DGMLの含有量を所定のレベルまで減らすことにより、油脂組成物の保存安定性は高まるが、この場合には、水中油型乳化組成物を形成した際の乳化安定性に劣る結果となった(比較例6)。
また、油脂組成物がDGMOとDGMLの両乳化剤を含有する場合でも、DGMOの含有量が本発明で規定するよりも少ないと、塩分を含む水性液中に乳化分散させた際に、高温下において乳化形態を安定的に維持することができず(比較例9、10、16〜18)、逆にDGMOの含有量が本発明で規定するよりも多い場合にも、水中に乳化分散させた際に、高温下において乳化形態を安定的に維持することができなかった(比較例14)。
また、油脂組成物中のDGMOの含有量とDGMLの含有量が、本発明で規定する関係を満たさない場合には、油脂組成物の保存中に沈殿が生じ、実用性に劣る結果となった(比較例11及び12)。
また、油脂組成物がDGMOとDGMLの両乳化剤を含有する場合でも、DGMLの含有量が本発明で規定するよりも少なかったり多かったりすると、水中に乳化分散させた際に、高温下において乳化形態を安定的に維持することができなかった(比較例13、15)。
また、DGMLの含有量を本発明で規定する範囲内とした上で、DGMOに代えて他の乳化剤を配合した油脂組成物は、油脂組成物の保存中に沈殿が生じて実用性に劣る結果となったり(比較例20〜24)、乳化安定性に劣る結果となったりした(比較例19)。
また、DGMOの含有量を本発明で規定する範囲内とした上で、DGMLに代えて他の乳化剤を配合した油脂組成物は、油脂組成物の保存中に沈殿が生じ、実用性に劣る結果となった(比較例25〜42)。
生米(新潟産コシヒカリ、平成26年産)600gを洗米後、20℃の水に1.5時間浸漬し、ざるに上げて水切りした。この浸漬米700gに水700gを加え、更に、ナタネ油6g、又は、実施例2、実施例10、実施例22、比較例4もしくは比較例10の油脂組成物6gを加えて軽くかき混ぜた後、電気炊飯器により炊飯した。
炊き上がった米飯をバットに広げてしゃもじで約1分間ほぐし、室温で30分間静置することで粗熱をとって試験用米飯とした。
上記調製例2において、ナタネ油6g又は油脂組成物6gに代えて、ナタネ油6g又は油脂組成物6gにβカロテン(DSMニュートリションジャパン社製)を0.1質量%濃度となるように混合したものを使用し、βカロテンの色の広がり度合に基づき、ナタネ油及び油脂組成物の米飯に対する分散性を、下記評価基準により評価した。
(米飯に対する分散性評価基準)
A:米飯全体が均質に着色している(米飯全体に油脂がなじんでいる)。
B:米飯がほぼ均一に着色している。
C:着色が偏っている(米飯のところどころに油脂が偏在している)。
上記調製例2で得られた試験用米飯について、ほぐれ性を下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
(ほぐれ性の評価基準)
A:全体的に米粒同士の結着が抑えられてほぐし易い。
B:全体的にほぐし易いがやや塊がある。
C:全体として米粒同士の結着が強くほぐし難い。
上記調製例2で得られた試験用米飯を15℃で2時間保存したもの、及び15℃で24時間保存したものを食し、下記評価基準により味を評価した。結果を下表に示す。
(味の評価基準)
A:油脂由来の油っぽさを感じない。
B:油っぽさを感じる。
上記調製例2で得られた試験用米飯を15℃で2時間保存したもの、及び15℃で24時間保存したものについて、外観を目視観察し、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
(外観の評価基準)
A:米飯全体にツヤがある。
B:米飯全体にツヤがない。
生めん(商品名:細麺、麺心屋社製)を沸騰水中で1分間茹でた後、湯切りし、イオン交換水で麺の表面のぬめりを除去した。得られた麺の20gを、実施例2、実施例8、実施例10、実施例14、実施例22、比較例4又は比較例10の油脂組成物の含有量が2.0質量%になるように水で希釈して得た、水中油型の乳化液である希釈液(ほぐし液)30mL中に、30秒間浸漬した。次いで麺を取り出し、麺に付着した過剰の希釈液をエアーブローで除去し、カップに入れた。同様にして、希釈液に浸漬後、過剰の希釈液を除去した麺の入ったカップを9個用意した(合計10カップ)。各カップに入った麺について、当該カップに入れてから10分間静置後に、麺線10本を1本ずつ引き上げた。引き上げた合計100本(10本×10カップ)の麺線について、各々の麺線のほぐれ性を下記評価基準により評価した。この評価結果に基づき下記式からほぐれ率を算出した。結果を表7に示す。
A:麺線が切断されずに一本ずつ引き上げられる
B:麺線を引き上げた際に、麺線が切断されてしまう、又は、麺線に結着してからまった麺塊が浮上する
水35質量部に食塩1.5質量部、粉末かん水(オリエンタル酵母工業社製)0.4質量部を溶解し、かんすい水を調製した。このかん水を小麦粉100質量部に加え、15分間混合してそぼろ状の麺生地とした。
製麺ロールを用い、ロール間隙4.5mm、3.0mm、2.0mmの順に圧延し、次いで麺帯をさらに製麺ロールで圧延し、約1.25mm厚の麺帯とした。その後、切刃♯18角を用いて麺線(幅1.25mm)に切り出し、さらにこの麺線を長さ約30cmに切り、生中華麺を得た。得られた生中華麺を、蒸し器を用いて3分間蒸し、蒸し中華麺を得た。蒸し中華めん80gを、上述したほぐし液のうち、実施例22の乳化組成物を用いたほぐし液100mLに浸漬し、金網上で直径10cmの円柱状に成型した。次いで余分なほぐし液をエアブローにて除去した後、熱風乾燥器を用いて水分が10%程度になるように乾燥し、即席中華麺を調製した。
調製した即席中華麺を沸騰水で4分間湯戻しした。湯戻した麺は、箸を用いて麺を2〜3回ほぐすだけで、麺全体が素早く簡単にほぐれた。
Claims (11)
- 食用油脂を70.0〜96.5質量%、ジグリセリンモノラウレートを0.5〜10.0質量%、及びジグリセリンモノオレートを3.0〜20.0質量%含有し、該ジグリセリンモノラウレートの含有量と該ジグリセリンモノオレートの含有量が下記数式を満たす、油脂組成物。
[ジグリセリンモノオレートの含有量]×2≧[ジグリセリンモノラウレートの含有量] - 前記油脂組成物中、前記食用油脂の含有量が85.0〜96.5質量%、前記ジグリセリンモノラウレートの含有量が0.5〜5.0質量%、前記ジグリセリンモノオレートの含有量が3.0〜10.0質量%であり、該ジグリセリンモノラウレートの含有量と該ジグリセリンモノオレートの含有量が下記数式を満たす、請求項1に記載の油脂組成物。
[ジグリセリンモノオレートの含有量]≧[ジグリセリンモノラウレートの含有量]×2 - 前記油脂組成物がレシチンを0.5〜3.0質量%含有する、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
- 食品の結着抑制剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂組成物の油脂を油相として有する水中油型乳化組成物。
- 前記水中油型乳化組成物を構成する水相が塩分を含有する、請求項5に記載の水中油型乳化組成物。
- 食品の結着抑制剤である、請求項5又は6に記載の水中油型乳化組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂組成物又は請求項5〜7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物を用いた食品。
- 前記食品が即席麺又は米飯である、請求項8に記載の食品。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂組成物又は請求項5〜7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に前記食用油脂を付着させることを含む、即席麺の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂組成物又は請求項5〜7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物の存在下で炊飯することを含む、米飯の製造方法。
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