以下に、本発明の実施の形態にかかる太陽電池および太陽電池の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、以下の説明および添付図面の内容は、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
実施の形態1.
図1、図2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池の受光面側と裏面側の素子電極の形状を示す平面図であり、素子裏面の金属箔を除いた素子単体を示している。図3は、実施の形態1の太陽電池の裏面側に用いられる金属箔の形状を示す平面図である。図4は、実施の形態1の太陽電池の裏面側の構成を示す平面図であり、図2の太陽電池の裏面側に図3に示される金属箔が接続された状態を示している。図5、図6は、実施の形態1にかかる図1、図4に示される太陽電池を直列に接続してストリングとした構成を示す平面図であり、それぞれ受光面側と裏面側を示している。図7は、実施の形態1の太陽電池の断面図であり、図1中のA−B断面に相当する図である。図8は、実施の形態1の太陽電池の断面図であり、図5と図6中のC−D断面に相当する図である。図9は、実施の形態1の太陽電池の断面図であり、図5と図6中のE−F断面に相当する図である。図10(a)および図10(b)は、実施の形態1の太陽電池の構造を示す要部拡大説明図である。図11は、実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。図12および図13は、本実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法を示すフローチャート図である。図14は、本実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法を示す図であり、太陽電池の素子電極にはんだ層を形成する工程を示す断面模式図である。図15は、図14のはんだ浴中の一部分に形成される噴流を示す断面模式図である。実施の形態1の太陽電池100は、両面にパッシベーション膜を形成した太陽電池において、裏面電極を、パッシベーション膜に形成した開口hを溶融アルミニウムと接触させることにより酸化膜の形成を抑制して一塊のアルミニウムあるいはアルミニウム合金として形成するとともに、半導体基板110としてのn型単結晶シリコン基板内でp型ドーパントとして作用させる。得られたアルミニウム電極は、他の合金箔と溶着させることが可能であるため、モジュール形成に際しては合金箔と溶着することにより素子間接続体とし、これをはんだ接合あるいは溶接によって隣接する素子と接続していくことによりストリングが形成される。また、パッシベーション膜の開口hに対して位置合わせすることなくアルミニウムからなる裏面電極125を形成することができる。ここでは素子間接続体130は、図6に示すように、太陽電池100の裏面100B側から、隣接する太陽電池100の受光面100A側に伸びる素子間接続部131と、裏面100B側全面を覆うアルミ箔からなる本体部132とで構成される。本体部132は、半導体基板110上に形成される裏面電極125に直接接合され、裏面110B全面を覆う。素子間接続部131は、本体部132の裏面側に接続され、隣接する太陽電池100の受光面100A側の受光面電極115とをつなぐ。なお、本実施の形態では、受光面電極115は、グリッド電極112とバス電極113とで構成される。また裏面電極125は、実際は裏面点状電極122Dで構成される。
以下において素子電極とは、太陽電池を形成する半導体基板すなわちシリコン基板上に形成される受光面電極および裏面電極をいうものとする。
実施の形態1の太陽電池100は、裏面100B全体が、パッシベーション膜121と、裏面100B全体にわたって分布する裏面電極125とのいずれかで覆われている。裏面電極125は、図7に断面図を示すように、全面に点状に分布して配列された裏面点状電極122Dを備えている。裏面点状電極122Dは、パッシベーション膜121に形成した開口hから溶融アルミニウム浴に接触させて形成した一塊のアルミニウムで構成されている。ここで一塊とは、各点状電極が多数の粒子から構成されておらず、溶融アルミニウムが硬化して形成され、内部に空孔、樹脂、あるいはアルミニウムの酸化膜をほとんど含有しない一体のアルミニウムをいうものとする。線状電極の場合は各線状電極の一つの線分が全て一体となっていることが好ましいが、各線状電極の少なくともどこか一部分で素子間接続体と電気的導通が取れればいいため、各線状電極がその1%程度以上の長さにわたって一塊になっている部分を有していれば良い。
これに対し、一般的なアルミペーストは多数の数十ミクロン以下の微細なアルミ粒子からなるため、アルミペーストから形成された電極はアルミ粒子が多数焼結された多孔体となり、各粒子の表面のよび粒子間の穴の部分にはアルミニウムの酸化物あるいは樹脂の残渣を含有する。このうち、アルミニウムの酸化物については各点状電極の内部に多少含まれていてもフッ化水素酸水溶液などのエッチング液で除去することもできるが、特に樹脂あるいは加熱後の樹脂の残渣が残っていると除去も困難であり、点状電極と素子間接続体の金属との溶着を阻害してしまうという問題が生じる。
また、実施の形態1の太陽電池100は、図3に示す金属箔で構成された素子間接続体130の本体部132を有し、裏面100Bには、図4に示すように、本体部132が接合されている。図6に示すように、素子間接続体130は素子間接続部131と本体部132とで構成され、本体部132は、裏面電極125に接続固定され、裏面電極125の背面を覆う。具体的には、本体部132は、図7に示すように、裏面点状電極122Dと接続され、背面全体を覆う。
実施の形態1の太陽電池100は、図1および図2に示すように、平面形状が略矩形の半導体基板110で構成されている。本実施の形態では、p型拡散層を形成しpn接合を形成したn型単結晶シリコン基板101を、半導体基板110とする。ここで略矩形とは、互いに垂直となる2組の平行な辺を有する四角形形状を意味する。特に、シリコン単結晶を用いた太陽電池では、円柱の単結晶インゴットから矩形の基板を形成する際に、円形から矩形に切り落とされて無駄となる部分を減らすために、図1に示すように角の一部が切り落とされた形状の基板が使用されることが多い。図1に示す形状も略矩形のなかに含まれる。図1では、正方形の角の一部が切り落とされた形状の例を示したが、これを半分に割るなどして略長方形形状になったものを用いてもよい。半導体基板110は、pn接合を有し、厚さが例えば0.05mm以上0.5mm以下の薄板状である。半導体基板110の形成材料として、例えば1Ωcm以上30Ωcm程度のn型単結晶シリコン基板あるいはp型単結晶シリコン基板を用い、片方の面にボロンがドープされ、もう一方の面にリンがドープされたものを、太陽電池基板を構成する半導体基板110として使用することができる。なお、実施の形態1では、n型単結晶シリコン基板を用いたが、p型単結晶シリコン基板、n型多結晶シリコン基板、p型多結晶シリコン基板を用いても良いことはいうまでもない。
太陽電池100の受光面100Aおよび裏面100Bには、少なくとも素子電極と半導体基板110との接触部および半導体基板110の端部を除く全面にわたって窒化シリコン膜からなるパッシベーション膜111,121が形成されており、半導体基板110表面における電子および正孔の再結合を低減できるようになっている。パッシベーション膜111,121としては、40nm以上の厚みのアモルファスシリコン窒化膜単体、もしくは、酸化シリコン膜とアモルファスシリコン窒化膜との積層膜、もしくは、アルミナとアモルファスシリコン窒化膜との積層膜、などを用いることができる。
実施の形態1では、太陽電池100の受光面100Aに形成される素子電極である受光面電極115は、図1に示すように複数の平行な細い線状の受光面グリッド電極112と、受光面グリッド電極112と交差部をもち直交する4本の受光面バス電極113とで構成される。受光面バス電極113は、受光面バス電極113による電極影を低減するとともに受光面グリッド電極112の集電距離を小さくするために例えば2本から5本とすることができる。
実施の形態1の受光面グリッド電極112は、光キャリア生成により生じる電荷を半導体基板110から取り出すとともに集電する電極であり、各々が適当な間隔をおいて配設される。受光面グリッド電極112の幅および離間間隔は、受光面100A側の半導体基板110の表面のシート抵抗などによっても異なるが、例えば0.5mm以上2.5mm以下の周期で受光面バス電極113の延在方向とは直交する方向に平行に配列され、各線の幅を0.01mm以上0.2mm以下で構成することができる。受光面グリッド電極112の電極の長さとしては、半導体基板110と同程度とすることができ、厚みとしては5μmから50μm程度とすることができる。受光面バス電極113は、一方の極性をもつ受光面グリッド電極112と接続され、受光面グリッド電極112で集電した電流を太陽電池100の外部に取り出すバス電極として機能する。受光面バス電極113については、受光面グリッド電極112と別工程で形成されることもあるが、受光面グリッド電極112と同一工程で形成されることが多い。
なお、受光面グリッド電極112は、アルミニウムAl、銀Ag、銅Cu、ニッケルNi、錫Snを主に含んだ金属材料及びその積層体からなることが望ましい。実施の形態1の太陽電池100においては、受光面グリッド電極112には、ガラスフリットと銀が含まれており、ガラスフリットによって半導体基板110と受光面グリッド電極112との間の接続強度を保持し、銀によって導電性を確保している。
以上のようにして受光面グリッド電極112で集電された電流は、受光面バス電極113を介して素子の外部に取り出され、電力として利用される。なお、太陽電池モジュールを作成する際に導線などによって受光面グリッド電極112の各線分間を接続する場合は、受光面バス電極113はひとつながりになっていなくてもよく、不連続な島状の形状であったり、まったくつながってなくてもよい。
また、受光面バス電極113には、ガラスフリットが含まれなくてもよいが、本実施の形態においては、主に銀からなり微量のガラスフリットを含有した電極を用いる。フリットとは、一般に原料調合物を溶融してガラス化した後、水急冷あるいはロール急冷で適当な粒度に破砕したものをいうが、本実施の形態では焼結助剤、つまり焼結工程において、パッシベーション膜中に浸透し十分に下地層まで到達し得るものとする。例えば、このようなガラスフリットとしては、鉛、ボロン、ビスマス、シリコンなどの酸化物から構成されるものを用いることができる。
太陽電池100の裏面100B側の素子電極すなわち裏面電極125の形状を図2に示す。図のように、半導体基板110の裏面側には、他方の極性の電極として溶融アルミを硬化して形成したアルミニウム層からなる裏面点状電極122Dが半導体基板110およびパッシベーション膜121に当接して形成されている。本実施の形態においてはこれらの裏面点状電極122Dによって裏面電極125が構成され、各々の点状電極が半導体基板110のパッシベーション膜121の開口を通じて半導体基板110と導通する。本実施の形態においては、このパッシベーション膜121の開口は約30μm程度の直径の円形状とし、のちに図11中のhで示される。実施の形態1の裏面点状電極122Dは、光キャリア生成により生じる電荷を半導体基板110から取り出す電極であり、各々が適当な間隔をおいて配設される。
裏面点状電極122Dは、図7に示すように、裏面点状電極122Dのパターンは、n型単結晶シリコン基板からなる半導体基板110の表面のシート抵抗によっても異なるが、例えば0.2mm以上2mm以下程度の間隔で互いに等間隔の距離だけ隔てて形成することができる。裏面点状電極122Dの大きさとしては、電極の形成方法によって異なるが、例えば直径50μm、厚み20μm、などとすることができる。
なお、ここでは、半導体基板110と裏面電極125との接触面の形状および裏面電極125自身の形状として複数の点状電極が離間してなる群として構成される場合を示しているが、必ずしも点状である必要はなく、例えば細い線状などの別の形状であっても良い。
これらの裏面点状電極122Dの素材としては、アルミニウムおよびアルミ合金およびそれらの積層体を用いることができるが、本実施の形態では、溶融アルミを硬化したものが用いられる。詳細については、図11の工程断面図とともに後述するが、半導体基板110の裏面100B側に形成されたパッシベーション膜121に開口hを形成した後、半導体基板110を溶融アルミ上を通過させることで、開口h内に選択的にアルミニウム層からなる裏面点状電極122Dが形成される。裏面点状電極122Dの最外部には酸化膜が形成されていない状態で、モジュール化する際に素子間接続体130を構成する金属箔からなる本体部132と接続するために適した状態に配置される。例えば、はんだを用いて素子電極と素子間接続体130の本体部132を接続する場合は、接続に先立ち裏面点状電極122Dの表面酸化膜をエッチング除去する。また、裏面100B側の素子電極である裏面点状電極122Dの素材としてはアルミニウムが用いられるが、アルミニウムに対してはんだ付けを容易にするため、このような裏面点状電極122Dなどの裏面電極125の最外部には、モジュール化する際にタブ線などの素子間接続体あるいは裏面側全体を覆う図3および図4に示した金属箔からなる本体部132と接続するために適した材料を配置してもよい。例えば、金属箔からなる本体部132と裏面点状電極122Dとをはんだを用いて接続する場合は、はんだ付けが容易な銅、錫、銀などの電気めっき層を金属箔からなる本体部132あるいは裏面点状電極122D上に形成してもよい。
通例の太陽電池では、裏面電極として主にスクリーン印刷によって形成されるガラスフリットとアルミニウムを含むペーストからなる電極材料が用いられる。ペーストでは、アルミニウムはスクリーン版のメッシュサイズよりも十分に小さい粒子が用いられ、印刷用に粘度調整するための有機物を含む。このため、焼成によりアルミニウム粒子の表面が酸化され、アルミニウム粒子の粒径よりも大きい断面を取った場合、どの断面においても酸化アルミニウム膜が存在するためにはんだ付けあるいはろう付けすることが困難であった。そこで、本実施の形態においては、裏面側のアルミ電極としてガラスフリットを含まない、サイズの大きなアルミニウムが各裏面点状電極122Dごとに形成される。裏面点状電極122Dの各点のアルミニウムのサイズとしては、例えば直径50μmの円状、厚みとして20μm程度とすることができる。上記の大きさと厚みのため、半導体基板110への接合時の高温およびその後に酸化膜が形成された場合にも、機械的な研磨あるいは薬液エッチングにより容易に表面の酸化膜を除去するだけで酸化膜のないアルミ面を表面に出すことができる。このようにして、真空蒸着を用いることなく、各素子電極それぞれを内部および表面に酸化膜あるいは有機物などをほとんど含有しないアルミニウムとすることができるため、電気メッキ、はんだ、ろう付けなどでほかの金属と接続を取ることに利用することができる。なお、酸化膜除去から他の金属との接合工程までは、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で実施するのが望ましい。また、本実施の形態では素子間接続体の本体部132と裏面点状電極122Dの接続にアルミを溶融させたろう付けを用いているが、はんだ付けがで接続する場合には、この裏面側素子電極の表面を錫でメッキした構造などとしてもよく、この場合は素子間接続体の本体部132と裏面点状電極122Dとのはんだ付けが容易になる。
実施の形態1の太陽電池100においては、太陽電池100から素子間接続体130を通じて電流を取りだすにあたり受光面100A側の受光面バス電極113の表面がはんだによって覆われ、はんだを通じて素子間接続体と接続される構造とし、受光面グリッド電極112についてははんだで覆われていない。
実施の形態1の太陽電池100は、図3に示される素子間接続体の本体部132としての金属箔を、太陽電池を構成する半導体基板110の裏面側に有している。本体部132は、半導体基板110の外縁部と同程度の大きさを有しており、裏面100B側の素子電極である裏面点状電極122Dと接続されて、その平面図は図4のようになる。本体部132を装着した状態の太陽電池100の受光面100Aと裏面100Bが、図1と図4の太陽電池となり、そこから本体部132を取り除いた裏面100Bの平面図が図2となっている。
本体部132は、例えば銅、アルミニウムなどの金属箔の平板で構成されており、製造方法によっては裏面側の素子電極である裏面点状電極122Dに用いる材料よりも高融点であることが好ましい。本体部132は、例えば金属箔を打ち抜き加工することによって作成することができる。金属箔は金属の箔単体のみでなく、例えばガラスあるいはポリイミドフィルム上に蒸着された金属膜などの金属薄膜が裏面電極と同じパターン形状に接続されてなる膜あるいは箔などを用いても良い。本実施の形態においては、裏面側のアルミニウム電極としてガラスフリットを含まない、半導体基板とおおよそ同サイズの大きなアルミニウム片が用いられる。素子間接続体の素子間接続部と接続する領域でアルミニウム酸化物がなるべく形成されていない領域が確保できるように、ひとつづきのアルミ箔からなり、厚みとして10μm程度以上であることが好ましい。このようなサイズ、厚みのため、抵抗を低減できるとともに高温により表面が酸化されても内部に純粋なアルミニウムが残り、機械的な研磨を施すことにより容易に、はんだあるいはロウによりほかの金属と接続を取る広さ全体にわたってアルミ箔の表面に酸化膜がない構造とすることができる。この素子間接続体の本体部132の表面は、錫でメッキした構造などとしてもよい。以上の構成により、素子間接続体の素子間接続部131とアルミ箔からなる本体部132とをはんだなどの接続体で直接接続することができる。
裏面電極125は、溶融アルミに半導体基板を接触させることにより形成したものに限定されることなく、アルミニウムリボンなどバルク状態のアルミニウムなど、粒子ではなく少なくともパッシベーション膜121の開口hよりも大きい一塊のアルミニウムを半導体基板に当接させて溶融させた後硬化させたものでもよい。このように、半導体基板と電気的に接続されるひとつながりの各裏面電極が少なくともパッシベーション膜121の開口hよりも大きいアルミニウムの連続体部分を有することが望ましい。以上の構成により素子上裏面に形成される裏面電極125と素子間接続体の本体部132とを直接融着あるいははんだ付け、ろう付けすることができるようになる。
なお、金属箔からなる本体部132は、半導体基板110を透過して太陽電池100裏面100B側に到達した光を反射する機能を有する。このため、金属箔からなる本体部132に用いる材料は、面内方向の抵抗が低く、太陽電池側表面の光反射率が高いことが望ましい。また、実施の形態1の太陽電池において、素子電極とは、受光面電極115と裏面電極125をいうものとする。受光面電極115は、受光面グリッド電極112と受光面バス電極113とで構成される。裏面電極125は、裏面点状電極122Dで構成され、半導体基板110上に形成される電極を指すものとし、金属箔からなる本体部132は含まないものとする。本体部132は図6に示すように、素子間接続部131とともに素子間接続体130を構成する。
以上の太陽電池100を、図5および図6に示すように、素子間接続部131と本体部132とからなる素子間接続体130およびストリング間接続体136を用いて接続する。図5は、太陽電池100の受光面100A側、図6は、裏面100B側を示す。複数のストリングが直列に接続されたストリング列を作成することができ、ストリング列の受光面100A側にガラスならびにエチレンビニルアセテート、裏面100B側にエチレンビニルアセテートならびにポリフッ化ビニルもしくはポリエチレンテレフタラートなどの裏面保護材を接着することによって太陽電池モジュールを作成することができる。これらの素子間接続体130の素子間接続部131およびストリング間接続体136、ストリング端の導線137として、はんだで被覆された扁平状の銅線を用いることができる。
図7は、図1、図4、図5、図6のA−Bの線分部に相当する断面模式図である。図2にも、裏面の素子電極パターンである裏面点状電極122Dと図7との位置関係を示すためにA-Bの線分を記載しているが図2においては金属箔からなる本体部132を透過して図示しているため、本体部132は記載していない。図7に示すように、半導体基板110は、受光面電極115および裏面電極125との接続部以外は、受光面100Aと裏面100B側の基板表面とがパッシベーション膜111,121によって覆われている。素子電極である受光面電極115および裏面電極125は、パッシベーション膜111,121の開口hを通して半導体基板110と接触し、半導体基板110と素子電極とのコンタクト部を形成している。
パッシベーション膜111,121としては、前述したようにシリコン窒化物、シリコン酸化物、酸化アルミニウム、あるいはそれらの積層物を使用することができ、受光面100A側と裏面100B側とで異なるものを用いてもよい。裏面100B側の素子電極である裏面点状電極122D表面は直接金属箔からなる本体部132と接続され、裏面点状電極122Dと金属箔からなる本体部132とが電気的に導通している。裏面点状電極122D部分を介して半導体基板110と電気接続体の本体部132とが電気的に接続される一方で、それ以外の部分においては半導体基板110と電気接続体の本体部132とは直接は接触しない。この、直接接触しないという点については、図7においては本体部132が半導体基板110と離間して記載しているが、パッシベーション膜によって半導体基板とは絶縁されるため、必ずしも本体部132とパッシベーション膜表面とは空間的に離間している必要はなく、電気接続体の本体部132の一部あるいは全体がパッシベーション膜と接触あるいは接着していてもよい。以上のような第1電気接続体141としては、金属箔からなる素子間接続部131が銅を主成分とする材料である場合は例えば約3.5%の銀を含む錫−銀はんだなどの導電材料を用いることができる。金属箔からなる本体部132は、図7に示すようにしわあるいはたるみをもっていてもよい。なお、図9に示すように素子間接続体130の素子間接続部131の一方の端が第1電気接続体141によって、他端は第2電気接続体133によって覆われているが、図2、図5および図6においては、記載を省略している。図1においては、モジュール化によって受光面100A側の受光面バス電極113も素子間接続部131の表面に形成された第1電気接続体141によって覆われる。
図5および図6に示されるストリングの、素子間接続体130の素子間接続部131を通り受光面バス電極113と直交する方向であるC−Dの線分部で切断した断面の模式図を図8に示す。C−D断面は、受光面バス電極113を通る断面を示している。図8中の太陽電池100の受光面100A側では素子間接続体130の素子間接続部131は第1電気接続体141によって受光面電極115と接続されており、実施の形態1では受光面バス電極113と接続されている。太陽電池100の裏面100B側においては、素子間接続部131は第2電気接続体133によって金属箔からなる本体部132と接続され、本体部132および第2電気接続体133および裏面点状電極122Dを通じて半導体基板110と導通している。なお、本体部132および第2電気接続体133との間の接続に電気接続体を必ずしも用いなくてもよく、例えばレーザー溶接あるいは、スポット溶接などの接続法によって接続してもよいが、この場合でも半導体基板以外の部分に局所的な熱がかかるのみで、半導体基板自身は高温にならないので半導体基板の電気特性の劣化は生じない。
図5および図6に示されるストリングの受光面バス電極113を通る断面である、図5および図6のE−Fの線分部に相当する断面模式図を図9に示す。E−F断面において、太陽電池100の受光面100A側は受光面バス電極113と素子間接続部131の一端とが第1電気接続体141によって接続され、素子間接続部131の他端が隣の太陽電池100の裏面100B側において金属箔からなる本体部132と第2電気接続体133を通して接続され、素子間が導通される。本体部132は裏面側の裏面点状電極122Dとは直接接続される。本実施の形態においては、第1電気接続体141および第2電気接続体133を同一のはんだ材料で構成している。
実施の形態1では、図10(a)に、図8における部分Qの要部拡大断面図を示すように、溶融アルミの硬化物からなる裏面点状電極122Dと、半導体基板110内にアルミニウムの拡散によって形成される高濃度p型ドープ層123とが形成されている。ここで、裏面点状電極122Dは、アルミニウムシリコン合金となっている領域もあり、半導体基板110との良好なコンタクトを構成する。裏面点状電極122Dを構成するアルミニウム層の外表面には大気中で酸化されることにより形成されるアルミ酸化膜122Sが存在するが、アルミ酸化膜122Sは裏面点状電極122D内部には形成されず、裏面点状電極122D表面だけに形成されるため、表面の酸化膜を除去することによりはんだ付けあるいはろう付けし易い構造となる。
裏面電極125と素子間接続体の本体部132との間に第1電気接続体141および第2電気接続体133は、形成されていてもよいが、本実施の形態1では第1電気接続体141あるいは第2電気接続体133がなく、裏面点状電極122Dと本体部132とは直接接続される。
以上のように金属箔からなる本体部132が、素子電極と第1電気接続体141によって接続しない場合は、金属箔にしわをもたせて半導体基板110に接続することによって、金属箔からなる本体部132と半導体基板110としてのn型単結晶シリコン基板との熱膨張率の差による太陽電池100の反りを抑制できるという利点がある。また、金属箔からなる本体部132と、素子間接続部131とは必ずしも別々に構成されていなくてもよく、素子間接続部131と、本体部132とが一枚の金属箔で形成され、素子間接続体を構成していてもよい。
本実施の形態では第1電気接続体141と第2電気接続体133で同一のはんだ材料として、錫と銀とを含む鉛を用い、素子間接続体の本体部132を構成する金属箔としてアルミ箔、裏面点状電極122Dとして溶融アルミの硬化物を用いているが、実際には焼成工程で半導体基板110表面と反応し、シリコンアルミ合金となっている。実施の形態1の太陽電池100では、約12%のシリコンを含むシリコンアルミ合金となっている。
本実施の形態では第1電気接続体141と第2電気接続体133とで同一のはんだ材料を用いているが、異なるはんだ材料あるいはロウ材を用いてもよい。このように異なる材料を使用するにあたっては、後ではんだ付けするものの融点のほうが先にはんだ付けあるいはろう付けするものの融点よりも低い方が好ましい。
接続方法として、例えば、パッシベーション膜に開口を有する半導体基板110をあらかじめアルミ溶融槽に浸漬して裏面点状電極122Dを形成したのちにスクリーン印刷によって受光面100A側に銀ペーストを図1に示した受光面の電極形状に形成する。以下では本体部132を構成する金属箔としてアルミ箔を用いるものとする。そして半導体基板110の裏面側にアルミ箔からなる本体部132を乗せた状態で、700℃から900℃で加熱し、スクリーン印刷した電極を焼成するとともに裏面点状電極122Dを溶融してアルミ箔からなる本体部132と融着させ、かつ、アルミニウムとシリコンからなる第2電気接続体133でアルミ箔からなる本体部132と、素子間接続部131とを第2電気接続体133を介して同時に接続する。本実施の形態では本体部132と素子の裏面電極125を融着によって接続しているが、はんだ付けを用いてもよい。この場合は、各点の裏面点状電極122Dがそれぞれ素子間接続体132と接続するようにするのが難しい可能性があり、この場合は実施の形態2のように素子電極の形状を線形状とし、素子間接続体が各線の少なくとも一部分と接続できるようにするとよい。この後、アルミニウム用のフラックスおよびはんだを用いて第2電気接続体133と受光面バス電極113との間を比較的低融点のはんだで接続することができる。
第2電気接続体133と第1電気接続体141との組み合わせとしては、例えばアルミと銀の合金と、錫と銀とを含む鉛、などの導電材料を用いることができる。これらのはんだ付けの際にはそれぞれ異なるフラックスを使用してもよい。なお、太陽電池100の半導体基板110と金属箔からなる本体部132との間には、エチレンビニルアセテートあるいはシリコーンなどの樹脂を充填してもよい。
一般的に、電極と半導体との界面のみならず半導体基板の表面が大気あるいはモジュール封止材に露出した状態では、半導体表面に存在する欠陥を通じて再結合損失が生じてしまうため、半導体表面の再結合速度を低下させるパッシベーション膜で覆うことが、光電変換効率の向上には必要である。そこで、光電変換効率を高めるために太陽電池の裏面側の電極面積を狭くし、それ以外の領域をパッシベーション膜で覆うことが一般的に行われる。上記従来の太陽電池においては、受光面側のみならず裏面側においても電極が半導体基板面内全体に広く分布する構造となっている。
このように半導体基板面内全体に電極が広く分布する構造であるのは、太陽電池の面内方向の導電性を確保するとともに、電極と半導体基板との接触部分による再結合損失をなるべく低減するために、基板全体を覆わないように電極をある程度の間隔で離間させる必要が有るためである。太陽電池に用いられる半導体基板は金属よりも導電率が例えば5桁程度も低いため、上記構造においては電極がない部分では電流が素子内を流れて電極部分まで到達するまでに素子の厚みに加えて素子電極までの半導体基板自身の抵抗が加わり、基板内での抵抗損失が大きくなる。従って、低抵抗化の観点からは素子電極間の距離を狭めることが好ましい。一方で、半導体と金属が接触する部分ではキャリアの再結合速度が大きいため、素子電極と半導体との接触面積は小さい方がよく、従って、半導体内の再結合速度の点からは裏面側においても素子電極間の距離が狭いほうが好ましい。これらの抵抗、再結合速度の観点から光電変換効率の最大化のためには、素子電極間隔および電極と半導体との接触面積は適正値を持つように調整する必要がある。
半導体と電極金属とが接触する部分を、裏面電極側の、金属が接触していない半導体表面に比べて高濃度ドーピングすることによって半導体基板と電極との界面あるいは界面近傍の実効的な再結合速度を低下させるとともに電極と半導体基板との間の接触抵抗を低減することができる。このため、半導体の内部でp型のドーパントとして働くとともに良導体であるアルミニウムを電極として使用することにより、電極に隣接する部分の半導体内を自己整合的にp型として再結合を抑制することができる。従って、太陽電池の光電変換効率を向上させることができるという利点があった。
しかしながら、アルミニウムは表面が容易に酸化されるため、はんだ付けが容易ではないという問題がある。特に従来のスクリーン印刷と焼成によって形成されるアルミニウム電極は微細なアルミ粒子の塊を焼成により焼き付けているため、図10(b)に要部拡大断面図を示すようにどの断面をとってもアルミニウム粒子122Pの粒径の周期で表面にアルミ酸化膜122Sが出てきてしまい、はんだ付け、ろう付けが非常に難しい状態であった。
上記断面は、例えば非特許文献1で見ることができ、アルミニウムの粒形としては数μmから20μm程度であるため、溶融した金属を金属に接続する溶融めっきを電気接続に用いることが難しかった。これに対し、本実施の形態では、半導体基板と電気的に接続されるひとつながりの各裏面電極が少なくともパッシベーション膜121の開口hよりも大きいアルミニウムの連続体部分を有するため、図10(a)に要部拡大断面図を示すようにアルミニウムの連続体部分ではアルミ酸化膜122Sは裏面点状電極122Dを構成するアルミニウム層の外表面だけに形成され、電極内部には形成されないため、表面の酸化膜を除去することによりはんだ付けあるいはろう付けをし易い構造となる。このため、接続点の材料同士の濡れ性が必要となるはんだ付け、ろう付けを利用してアルミニウム電極と金属箔あるいは素子間接続体とを接続することができ、裏面側の素子間接続体までの集電にアルミニウムを使用することができるという利点を有する。従来の太陽電池においては、裏面側の電極材料としてアルミニウムを使用したとしても、少なくとも一部にははんだ付け用の素子電極として、焼成しても酸化の進行が少ない銀を裏面側に使用する必要がある。このため、銀が半導体との界面で光生成キャリアの再結合を増大させる原因となっていた。これに対し、実施の形態1の太陽電池では従来の素子間接続線のはんだ付けに必要不可欠であった銀電極を用いなくてよいため、省資源性、コストおよび光電変換効率に優れた太陽電池を得ることができる。また、実施の形態1の太陽電池の製造方法によれば、ドーパントとして作用するアルミニウムを金属箔とのろう付けに使用できるため、銀電極形成工程および素子電極と箔とのはんだ付け工程を省略することにより太陽電池の製造工程を簡略化するとともに省資源化、低コスト化することができるという利点を有する。
なお、金属箔からなる本体部132は素子面内の集電抵抗を下げる機能を有するとともに、半導体の光吸収率が低いために吸収しきれずに素子を透過する光を反射することにより、半導体基板へ光を再入射させて光の利用効率を高めることによって、太陽電池の光電変換効率を高めるという機能を有する。例えば、200μm程度の厚みのシリコンが太陽電池の半導体基板の場合、主に900nm以上1300nm以下の波長の光の一部が吸収しきれずに素子を透過する。これに対し、金属箔として銅あるいはアルミニウムを使用すると900nm以上1300nm以下の波長の光を反射し、太陽電池の光電変換効率、ひいては発電出力が向上することが知られている。
(製造方法)
次に、実施の形態1の太陽電池100の製造方法の一例について説明する。図11(a)から図11(i)は、実施の形態1の太陽電池の製造方法を模式的に示す工程断面図、図12および図13は、同工程を示すフローチャートである。
まず、半導体基板110の出発材料として数百μm厚のn型単結晶シリコン基板101を用意し、ステップS10で、基板洗浄を行う。p型単結晶シリコン基板は、溶融したシリコンを冷却固化してできたインゴットをワイヤーソーでスライスして製造するため、表面にスライス時のダメージが残っている。そこで、ダメージ層除去工程を実施する。ダメージ層除去工程は、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に、70℃以上90℃以下程度の温度で、n型単結晶シリコン基板を数分又は数十分程度浸漬させ、シリコン基板表面をエッチングする工程である。水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、1wt%以上50wt%以下とするのが望ましい。ダメージ層除去工程は、水酸化ナトリウム水溶液の他、水酸化カリウム(KOH)水溶液、水酸化ナトリウム水溶液および水酸化カリウム水溶液の混合液などのアルカリ性水溶液、或いはフッ酸と硝酸の混合液などのエッチング液を用いてもよい。
上記エッチングする工程では、単結晶インゴットをスライスするときに生じたn型単結晶シリコン基板表面の機械加工変質層および汚れを取り除くため、およそ5μmから20μm程度、基板表面をエッチングする。
エッチング後、ステップS20で、テクスチャー形成工程を実施する。テクスチャー形成工程は、n型単結晶シリコン基板101表面にテクスチャー構造と呼ばれる凹凸部を形成する工程である。テクスチャー構造とするのは、入射光の多重反射を利用した光閉じ込め技術であり、太陽電池の性能を高めるために行われる。上記テクスチャー構造を得るために、湿式エッチングによる方法、或いは機械的な方法でグルーブ加工する方法、ドライエッチングによる方法などの化学的除去法を実施する。湿式エッチングによる方法としては例えば、ダメージ層除去工程で用いたのと同様のアルカリ性水溶液に1wt%から30wt%のイソプロピルアルコールを添加した溶液、或いは炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液などを用いた工程がある。また、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)などのドライエッチングプロセスでn型単結晶シリコン基板の表面に1μm以上3μm以下の深さのテクスチャーを形成してもよい。
上記方法により、図11(a)に示すようにテクスチャー構造を有するn型単結晶シリコン基板101を得ることができる。なお、ここではピラミッド状の凹凸部が均一に形成されている。図面では、特徴を顕在化させるために、凹凸の大きさを拡大した表現となっている。
次に、図11(b)に示すように、ステップS30で、テクスチャー構造を有するn型単結晶シリコン基板101を、高温の熱酸化炉に入れオキシ塩化リン(POCl3)を拡散させる拡散処理を行う。当該拡散工程では、例えばオキシ塩化リンガス中で気相拡散法により温度750℃以上900℃以下で時間10分から60分の処理のなされたn型単結晶シリコン基板熱処理を行い、n型単結晶シリコン基板の表面にn型拡散層102を形成することでFront Surface Field(FSF)とよばれる内部電界領域を形成する。
次に、ステップS40を実施し、n型拡散層102を形成する時に生じるガラスを主成分とするボロンガラスをフッ酸水溶液で除去する。具体的には、n型単結晶シリコン基板101をエッチング液の液面部分に保持しながら水平移動し、n型単結晶シリコン基板101の下側の面にフッ硝酸溶液を接触させることにより、上記拡散工程で両面に形成されたn型拡散層102のうち、一方の面のn型拡散層102を除去する。ボロンガラスは、拡散工程で生成され、不純物としてのボロンを含有する、不純物含有膜である。ステップS40は不純物含有膜除去ステップである。
次いで、図11(c)に示すように、ステップS50で、片面エッチャー装置を用いて、n型単結晶シリコン基板101の裏面110B側の片面をフッ酸と硝酸の混合液でウェットエッチングし、裏面110Bのn型拡散層102を除去し、裏面の拡散層除去を行う。具体的には、シリコン基板をエッチング液の液面部分に保持しながら水平移動し、半導体基板の下側の面にフッ硝酸溶液を接触させることにより、上記拡散工程で両面に形成されたリンドープ層からなるn型拡散層102のうち、一方の面のn型拡散層102を除去する。さらに、本実施の形態においては、フッ硝酸を用いて等方的にシリコンをエッチングするため、裏面側にはテクスチャーがなくなり、平坦となる。このようなエッチングにはアルカリ溶液を用いてもよく、また低圧CF4ガス雰囲気下などで高周波放電させることにより生じるプラズマガスを用いても良い。
さらに、図11(d)に示すように、ステップS60で、受光面100A側に高濃度ドープ層103を形成する。受光面側電極と同じパターンで開口されたマスクを通してリンイオンをシリコン基板上にイオン注入することにより、受光面側電極形成領域直下のn型単結晶シリコン基板101の表面に、リンドープ面の他の部分よりもより高濃度のリンドープ領域である高濃度ドープ層103が形成される。この領域では表面でn型不純物であるリンの濃度が高く、受光面側電極との接触抵抗を低減することができる。このような電極と接触する部分への選択的な高濃度ドーピングは、非受光面側の電極形成領域にも適用することによって光電変換効率を向上させることができ、低濃度領域と高濃度領域にそれぞれボロンとアルミを用いてもよい。なお、本発明ではリンのドーピングにイオン注入を用いているが、不純物ドーピングの方法については、リンソース雰囲気で加熱する方法などの気相拡散を用いることもできる。
次いで、n型単結晶シリコン基板101表面を洗浄する。洗浄は、塩酸過水(HPM)、硫酸過水(SPM)、硫酸(H2SO4)、硝酸、過酸化水素水(H2O2)、オゾン(O3)水、フッ酸、もしくはこれら酸などの混合液、あるいはこれら酸などの組み合わせ、繰り返しによって、行うことができる。次いで、エッチングしてリンドープ層を除去した裏面100Bの全体に、イオン注入機によって電場中で加速したボロンイオンをn型単結晶シリコン基板101に打ち込み、ボロンドープによるp型拡散層102pを形成して太陽電池素子の裏面側にpn接合を形成する。この場合、この太陽電池素子は、裏面側にエミッタを有するバックエミッタ型の素子となるが、本発明は必ずしもバックエミッタ型太陽電池に限られるものではなく、p型シリコン側にアルミ電極を有する太陽電池素子に適用することができる。
そして、ステップS70で、基板を酸素雰囲気中で800℃以上1100℃以下程度に加熱することにより、基板表面全体に2から30nm程度の厚さの酸化シリコン膜を形成する。
この後、パッシベーション膜形成ステップS80を実施する。化学蒸気堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いて、n型単結晶シリコン基板101の受光面101Aと裏面101Bとに窒化シリコン膜を設けて、パッシベーションを行うとともに、反射防止膜を形成する。この結果、素子の断面は、図11(e)に示す構造となる。図中では、この時形成した酸化シリコン膜とシリコン窒化膜とを合わせてパッシベーション膜111,121としている。パッシベーション膜としては、シリコンの導電型に合わせてアルミナと窒化シリコン膜との積層膜あるいは、シリコン窒化膜単体を用いてもよい。受光面側では酸化シリコン膜によってパッシベーション効果が十分に得られており、窒化シリコン膜はパッシベーション膜としても作用するが反射防止膜として有効に作用する。一方裏面側では酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とによってパッシベーション膜121として作用している。図1から図10(a)および(b)の説明では、受光面側のn型拡散層102の外層の膜、裏面側の外層の膜すべてをそれぞれパッシベーション膜111,121としている。
次に、ステップS90で、n型単結晶シリコン基板101の裏面101B外縁部の表面を除去してpn分離を行う。このようなウェハ表面の除去方法としては、図示はしないが、シリコン基板の外縁にレーザーを照射して局所的にリンドープ層であるn型拡散層102を除去して幅10μm、深さ2μmから40μm程度の分離溝を形成する。以上のように、シリコン基板の外縁に沿ってp型拡散層102pが無い部分が形成され、受光面側のn型拡散層である高濃度ドープ層103と裏面側表面との間が高抵抗となるため、後に形成する受光面側電極と裏面側電極との間の短絡を防ぐことができる。このようなpn分離としてはレーザー以外にも、半導体基板端面へのサンドブラストあるいは腐食性ガスを用いたプラズマエッチングを用いて、半導体基板側端面あるいは受光面に形成されたドープ層を、基板を一周するように部分的に除去しても良い。
そして、電極形成ステップで、電極を形成する。以下電極形成ステップについて図13のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。
ステップ90までの工程でpn接合の形成されたn型単結晶シリコン基板101すなわち半導体基板110に対し、図11(f)に示すように、パッシベーション膜の開口ステップS101でレーザー照射により開口hを形成する。
n型単結晶シリコン基板101あるいはパッシベーション膜121が吸収する波長のレーザーを用いて、図11(g)に示すように、裏面点状電極122Dを形成する部分のパッシベーション膜を除去する。裏面点状電極122Dを形成する部分にレーザーを照射することにより、局所的にパッシベーション膜が無い開口hが形成される。局所的にパッシベーション膜121を開口された半導体基板110を、希釈されたフッ化水素酸水溶液中に浸漬してパッシベーション膜121が開口された部分の酸化膜を除去する。
半導体基板110を、図14に示すように、溶融アルミ浴200への浸漬ステップS102を実施する。ステップS102では、窒素雰囲気中で570℃以上700℃以下に加熱されて溶融した溶融アルミ202が入った金属溶融槽201に半導体基板110の裏面110B側片面だけ浸漬する。この際、図11(h)に示すように局所的にパッシベーション膜121が無い部分である開口hではn型単結晶シリコン基板101がアルミニウムと反応してアルミシリコン合金が裏面点状電極122Dとして自己整合的に形成される。このときあるいは後の電極焼成時に、半導体基板110のシリコン内にアルミニウム層が拡散し、図10(a)に要部拡大図を示したように、半導体基板内にアルミシリコン合金と高濃度p型ドープ層123とが形成される。このとき、レーザーによって形成されたダメージ領域は除去される。なお、裏面のレーザー開口hの間隔が狭い場合は裏面に形成されるアルミニウム合金電極間がつながって点状にならない場合もある。また、溶融アルミの温度および、基板と浴との接触時間によってもアルミニウム合金電極が膜状となり、点状にならない場合もある。
n型単結晶シリコン基板101のシリコンとアルミニウムとの反応が進みすぎて、半導体基板からシリコンが抜けてしまう量が多く、半導体基板の合金部が大きくなりすぎる場合は、金属溶融浴中の溶融アルミをアルミニウムシリコン合金とし、シリコン濃度を上げてもよい。
また、半導体基板への熱ダメージを低減するために、図15に示すようなアルミ噴流部203をつくり、半導体基板全体を溶融アルミに浸漬しないようにして裏面点状電極122Dを形成してもよい。また、溶融アルミなどの金属溶融液を固定して半導体基板を移動させる方式以外にも、半導体基板の上に金属融液を供給する方法を用いてもよい。
次に、図11(i)に示すように、受光面電極印刷ステップS103で、リン拡散で形成した高濃度ドープ層103の表面に市販のガラスフリットを含有する銀ペーストをスクリーン印刷し、図1の受光面100A側の受光面グリッド電極112を形成する。この受光面グリッド電極112の印刷の際に各裏面電極間の高さの違いが問題になる場合は、事前に裏面電極125を研磨して裏面電極の高さが均一になるようにしても良い。
この後、裏面電極の表面除去ステップS104を実施する。裏面点状電極122Dの全表面を平板なヤスリなどの研磨材で研磨し、各点状電極の高さをそろえるとともに最表面に形成された酸化膜を除去する。
そしてアルミ箔を素子上に載置するステップS105を実施する。上記ステップでは、受光面グリッド電極112のペーストパターンの形成された半導体基板110の裏面110B側を上に向けて半導体基板110の裏面110B側にアルミ箔からなる素子間接続体の本体部132を載置する。
そして電極焼成とアルミ箔接続ステップS106を実施する。上記ステップでは、半導体基板110、印刷された電極ペースト、裏面点状電極122D、アルミ箔からなる本体部132を同時にフラッシュランプなどを用いた急速加熱(RTA:Rapid Thermal Anealing)法により、溶剤を蒸発、燃焼させるとともに、さらに700℃から900℃程度まで加熱する。このとき受光面電極部ではガラスフリットによる受光面側のパッシベーション膜111の浸食を行い、図11(j)に示すように、n型単結晶シリコン基板101と受光面グリッド電極112との間の電気的接続が行われ、同時に裏面点状電極122Dと本体部132との接続を達成する。この時裏面点状電極122Dから半導体基板110のシリコン内にアルミニウム層がさらに拡散される。
また、焼成する際の高温の雰囲気としては受光面100A側の銀ペーストにも依るが不活性ガス雰囲気としてもよい。また、裏面点状電極122Dが溶融するように、上記の受光面電極を焼成するための電極焼成温度はアルミニウムとシリコンの合金の溶融温度よりも高くする必要がある。このようにして太陽電池100の裏面点状電極122Dとアルミ箔からなる本体部132とを接続することで、受光面100A側が図1、裏面100B側が図4に示される太陽電池100を製造することができる。
次に、アルミ箔表面切削ステップS107を実施する。アルミ箔で形成されている本体部132は、受光面グリッド電極112の焼成時に表面が酸化されているので、素子間接続体の素子間接続部131と接続する部分をヤスリなどの研磨材で表面を削り、表面の酸化膜を除去する。
本実施の形態の素子間接続体の本体部132を構成するアルミ箔は、その厚みとしては、50μmとする。数十μm以上の厚みがあれば、150mm程度の大きさの本体部132のアルミ箔を自重で切れたりすることなく単体として扱うことができる。これに対し、蒸着などによって現実的に形成され得る数十ナノメートル以上1μm以下の程度の厚みの金属膜の場合、強度が十分でないため、自重などにより簡単に切れてしまい、また、高温加熱時に形成され得る酸化膜を機械的に除去することができないという問題がある。また、蒸着はバッチ式の工程であるため時間とコストがかかるという問題もあったが箔を用いることにより解決される。
本実施の形態の素子間接続体の素子間接続部131を構成する銅箔は、その厚みとしては、約0.2mmとする。素子間接続体の素子間接続部131は、本体部132に比べて基板の平面方向の面積が小さいため、厚みが必要になる一方で、厚すぎるとシリコン基板が割れやすくなる。素子間接続部131の表面には、一端には第1電気接続体141と他端には第2電気接続体133が形成されている。
第1電気接続体141と第2電気接続体133の材料としては同一のものを用いることができ、本実施の形態においては銀と錫を含む鉛はんだを用いる。アルミ箔からなる本体部132が接続された半導体基板110をホットプレートに載せて第1電気接続体141が溶融する温度まで加熱し、本体部132の表面に超音波をあてながら本体部132の表面の酸化膜を破壊しながら、素子間接続体の素子間接続部131を接続する部分をはんだで被覆する。酸化膜の除去については、本体部132の表面に超音波をあてるかわりに、機械的に表面を削りながらはんだを供給してもよく、あるいは、ハロゲンを含有するフラックスなどをアルミ箔に部分的に用いることもできる。
最後に、素子に接続された素子間接続体と素子間接続部131とをはんだ付けするステップS108を実施する。アルミ箔からなる本体部132の酸化膜を除去した部分とはんだで被覆された平角銅線とを加熱してはんだ付けして、本体部132と素子間接続部131とを接続する。この裏面側の接続の際に、受光面バス電極113に別の素子間接続部131を接触させておくことにより、加熱時に同時に裏面側素子間接続体の本体部132および受光面バス電極113に対して素子間接続部131を接続することができる。
これを隣接する素子との間で繰り返していくことにより、図5および図6に示した太陽電池100が直列に接続されたストリングを作成することができる。なお、第1電気接続体141と第2電気接続体133とで異なる金属を用いてもよい。
このようにして太陽電池ストリングが完成する。太陽電池ストリングをガラス基板および樹脂シートにより封止し、太陽電池モジュールが完成する。
上記方法で形成された太陽電池は、裏面電極が溶融アルミの硬化された、内部に酸化膜をもたない一塊の連続したアルミニウムまたはアルミニウム合金膜であり、裏面電極直下にアルミニウム拡散領域からなる高濃度のp型ドープ層を有しているため、接触抵抗が低く、裏面電極部での再結合が低減され、かつ、はんだ付けが可能で、生産性に優れた太陽電池を得ることができる。
実施の形態2.
図16は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池の裏面側の素子電極の形状を示す平面図であり、素子裏面の金属箔を除いた素子単体を示している。実施の形態2の太陽電池100Sは、裏面の素子電極の形状が実施の形態1の太陽電池と異なっており、図16に示すように、裏面点状電極122Dに代えて、裏面側の素子電極パターンは多数の細線からなる裏面線状電極122Lとしている。
なお、裏面点状電極122Dの各島状電極の数が多い場合、必ずしも全ての島状電極とアルミ箔からなる本体部132とが接続されない場合があるが、実施の形態2の構成では、裏面線状電極122Lを構成しているため、素子間接続体との接続が容易となる。本体部132に合わせて裏面線状電極122Lの形状、大きさ、間隔、高さを調整する必要がある。
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3にかかる太陽電池の裏面側の素子電極の形状を示す平面図であり、素子裏面の金属箔を除いた素子単体を示している。実施の形態3の太陽電池100Pは、裏面の素子電極の形状が実施の形態1および2の太陽電池と異なっており、図17に示すように、裏面点状電極122Dに代えて、裏面側の素子電極パターンは多数の細線からなる裏面グリッド電極122Gとしている。
なお、裏面点状電極122Dの各島状電極の数が多い場合、必ずしも全ての島状電極とアルミ箔からなる本体部132とが接続されない場合があるが、実施の形態3の構成では、裏面グリッド電極122Gを構成しているため、素子間接続体との接続が容易となる。本体部132に合わせて裏面グリッド電極122Gの形状、大きさ、間隔、高さを調整する必要がある。
裏面側の素子間接続体にあたる部分には半導体基板110上に素子電極がない構造となっている。両面にパッシベーション膜111,121を形成した太陽電池上に形成される素子電極である受光面電極115および裏面電極125を形成したものである点では実施の形態1の太陽電池と各構成要素は上述した素子構造と同様である。
前記実施の形態では、半導体基板としてn型単結晶シリコン基板を用いた太陽電池への、アルミニウム電極を形成する方法について説明したが、シリコンに限定されることなく、シリコン以外、ひいては太陽電池以外の半導体デバイスなどにも、実施の形態1の電極形成方法を適用することができる。
また、上述した説明では、単結晶シリコン基板を用いた場合を説明したが、多結晶シリコン基板などの半導体基板を用いた太陽電池にも適用することができる。
また、半導体基板内部の受光面と裏面の不純物拡散層および半導体基板自身の半導体の導電型はどのような組み合わせを用いてもよい。なお、アルミニウムドープ層はp型面に形成される必要があるため、その場合の電極パターンにおいても金属箔がない表面の電極パターンは、図1のようにひとつながりになるようにする必要がある。例えば、n型の基板を用いてエミッタ側であるボロンドープ層側を受光面側にしてもよいが、その場合は、実施の形態1のストリング全体の表と裏を裏返した構成となる。具体的には、素子電極についてはリンドープ層がある側を図2のものに、ボロンドープ面側を図1のものに入れ替え、溶融アルミによって形成される電極が受光面側になる。この場合、少なくとも受光面バス電極113部分に溶融アルミを使用し、はんだで素子間接続体と接続するなどとすることができる。素子間接続体の本体部132はなくてもよく、ある場合は少なくとも太陽電池の受光面をさえぎらないように受光面バス電極113と同程度の幅で各受光面バス電極ごとに接続される。素子間接続体の本体部132がない場合は、受光面バス電極113を錫などの被覆材で被覆したうえで素子間接続体の素子間接続部131とはんだなどの接続材により接続される。これ以外の部分は実施の形態1,2と同様でよい。また、p型基板で受光面側にエミッタがある素子の場合は拡散層内の導電型を変えるだけで、それ以外の構成は実施の形態1,2と同様でよい。
上記方法によれば、パッシベーション膜の開口においてのみ、アルミニウムの融液をシリコンと反応させることができるので、位置合わせを行うことなく太陽電池の裏面電極を形成することができる。
また、片面にだけアルミ融液を接触させるため受光面側には余分なアルミニウム層が形成されないため、太陽電池の実効的な受光面積を減らすことがないという利点を有する。
また、裏面電極および裏面全体に金属アルミを配置することができるため、従来の有機物が焼成された成分を含む印刷電極に比べて高い反射率を保つことができ、この結果、素子透過光の反射効率を高めて、発電出力を高くすることができるという利点を有する。
また、位置合わせを行うことなく太陽電池の裏面電極を自己整合的に形成することで、裏面の素子電極が形成される面積を小さくできるため、太陽電池を透過した光のうち裏面の素子電極によって吸収される光の量を低減し、金属箔からなる本体部132で反射して再度太陽電池の裏側から半導体基板へ入射させることにより発電に寄与させることができ、光電変換効率を向上させることができるという利点を有する。
また、本願の製造方法によればドーパントとして作用するアルミニウムを金属箔からなる本体部との接続に使用できるため、素子間接続体をはんだ付けするための銀電極形成工程を省くことにより太陽電池の製造工程を簡略化することができるという利点を有する。
また、素子電極がアルミニウムのみで形成される場合、アルミニウムに対するはんだ付けは困難であるため素子間接続体を接続することが困難であった。特に従来のスクリーン印刷によって形成されるアルミニウム電極は微細なアルミ粒子の塊を焼成により焼き付けているため、どの断面をとっても表面にアルミ酸化膜が出てきてはんだ付けが困難であった。これに対し、実施の形態の方法では、アルミ酸化物を電極内部に含まないようにすることができ、アルミニウムを半導体基板との接続に使用できるため、接続点の材料同士の濡れ性が必要となるはんだ付けあるいはろう付けを利用してこのアルミニウム電極と素子間接続体とを接続することができるようになるという利点を有する。また、アルミニウムの蒸着膜では、厚みを増大するのに時間がかかるため、製膜膜厚が薄くなってしまう結果、電気抵抗が大きく、また、100m以下の膜厚では大気中の水分による酸化などによって全てアルミニウムの酸化膜となってしまうという問題もあった。また、電極アルミニウムの形成量が少ないためアルミニウムの拡散量が少なく、電極部分のFSFが十分に形成されないという問題もあった。
実施の形態1の太陽電池の製造方法は、溶融アルミを用いた裏面電極の形成を実現することで、従来の太陽電池の課題であった、集電抵抗の低減と、キャリアの再結合を抑制し光電変換効率を向上するという2点を、裏面電極の観点で解決することができるものである。従来、素子電極の形成には、スクリーン印刷のメッシュ開口よりも小さい粒子径のアルミニウムを用いることが多く、樹脂などのバインダーと一緒に焼成されることにより、アルミニウム粒子の表面には酸化アルミニウムあるいは樹脂の残渣が形成される。このため、酸化アルミニウム膜あるいは樹脂の残渣の存在により、はんだ接合性が悪い。また、アルミニウムを素子電極として使用する場合でも、アルミニウム電極には、はんだ付けが困難であるため複数の素子間を接続するのが困難であり、焼成によって酸化されにくい銀がアルミニウム電極と共に素子電極として用いられる必要があった。
また、焼成時にアルミニウム電極がパッシベーション膜を浸食して半導体基板と接触する場合、パッシベーション膜の浸食とアルミニウムのドーパントとしての作用とを両立させるのは困難である。つまり、焼成工程で、パッシベーション膜を侵食して、半導体層とコンタクトの得られたアルミニウムは、シリコン中でのアルミニウムのドーピング層が十分に形成されないことが多く、そのまま電極を使用した場合、アルミ電極とシリコン基板との界面での再結合を低減することが困難であった。
これらの要因により、従来の太陽電池素子では太陽電池の生涯発電量が低下するという問題があった。
特許文献1の方法では、レーザーの照射点によって金属とシリコン基板との間の反応性が異なり、また、局所的な熱ダメージが半導体基板内および金属箔に残る部分があるという問題があった。これに対して実施の形態の方法ではレーザー照射後にアルミニウムがダメージ領域のシリコンを溶解するため、ダメージ領域を除去することができ、界面特性に優れ接触抵抗の低い電極を形成することができる。また、RTAで半導体基板全体を加熱して素子間接続体を接続することで、本体部を構成する金属箔についても全体が加熱されるため開口部近辺の局所的な歪が生じにくい。
特許文献2の構造では、裏面側素子電極と金属箔との間の接触抵抗を安定的に低く保てないという問題があった。導電性接着剤を用いる場合は、導通を取るために圧力が必要であり、素子電極の剥離と光電変換効率の低下、素子の破損が生じる可能性があった。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。