JP2017008277A - 1液型のエポキシ樹脂組成物及びそれを用いて絶縁処理された電気電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐クラック性、ハンドリング性に優れ、絶縁性、耐熱性に優れた1液型のエポキシ樹脂組成物、及びこの1液型のエポキシ樹脂組成物を用いて絶縁処理された電気電子部品を提供する。
【解決手段】 (A)エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)イミダゾール又はその誘導体が包接された包接体、(D)シリカ、及び(E)架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子を含有し、(C)成分の包接体中のイミダゾール又はその誘導体が、(B)成分100質量部に対して0.01〜5質量部で、(E)成分の架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子が、(D)成分のシリカを除いた樹脂成分中に0.002〜0.03質量%となるように含まれる1液型のエポキシ樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、1液型のエポキシ樹脂組成物及びこれらを用いて絶縁処理された電気電子部品に関する。
従来、エポキシ樹脂組成物は、優れた電気特性、機械特性、耐熱性、耐クラック性及び絶縁性を有するために、電気絶縁用、特に絶縁保護、高電圧特性(耐アーク性、耐トラッキング性)、耐熱性、耐クラック性等の向上を目的として、例えば、酸無水物硬化型エポキシ樹脂や、アミン系硬化型エポキシ樹脂に多量の充填剤および難燃剤等を含んだエポキシ樹脂組成物が用いられている。
また、近年電気機器の小型軽量化および搭載される部品が多種複雑化する傾向にあり、特にその要求用途から放熱性の向上を目的にアルミダイキャストやアルミフレームなどのケース材料が採用されつつある。これらアルミ材の特徴は、物質的に安定であり、放熱性、耐化学薬品性に優れるが、反面、熱衝撃に対し注型対象物から剥離するという課題がある。
また、機器の信頼性向上に伴う部品の熱衝撃性向上の要求に対し、特に高電圧電気機器においては、ケース材料の受ける熱衝撃に対し、従来のエポキシ樹脂組成物では柔軟性が不充分で、部品界面の剥離やそれに伴うクラックなどの問題が発生しており、耐クラック性を有するエポキシ樹脂組成物が要求されるようになってきている。
さらに、近年電気機器の小型軽量化に伴い、モールド部分に掛かる電気的負荷が大きくなってきており、高負荷時に発生する熱に耐えうる性能が要求され、ガラス転移点温度の向上が求められるようになってきている。
この課題を解決するために、エポキシ樹脂組成物として、可とう性エポキシを添加する(特許文献1)、ゴム成分を添加する(特許文献2,3)、エポキシを変性する(特許文献4,5)等の手法が提案されているが、ガラス転移点温度の低下や線膨張係数の増加などの課題があり、更にはエポキシ組成物を混合、注型する際のハンドリング性等に課題があるため、特に注型材として用いる場合に適用が難しい状況にある。
特開平5−140270号公報 特開平5−295237号公報 特開平5−339472号公報 特許2902356号公報 特許2911157号公報
本発明は、このような従来技術の問題を解決し、耐クラック性、ハンドリング性に優れ、しかも、絶縁性、耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物を用いて絶縁処理された電気電子部品を提供するものである。
本発明は、次のものに関する。
1.(A)エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)イミダゾール又はその誘導体が包接された包接体、(D)シリカ、及び(E)架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子を含有し、(C)成分の包接体中のイミダゾール又はその誘導体が、(B)成分の100質量部に対して0.01〜5質量部で、(E)成分の架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子が、(D)成分のシリカを除いた樹脂成分中に0.002〜0.03質量%となるように含まれる1液型のエポキシ樹脂組成物。
2.(E)成分の架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子が、シロキサン-メタクリル酸エステル共重合体である上記1に記載の1液型のエポキシ樹脂組成物。
3.(E)成分の架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子の平均粒子径が、0.01〜1.0μmである上記1又は2に記載の1液型のエポキシ樹脂組成物。
4.(D)成分のシリカの平均粒子径が、0.1〜30μmの球状シリカである上記1〜3のいずれかに記載の1液型のエポキシ樹脂組成物。
5.上記1〜4のいずれかに記載の1液型のエポキシ樹脂組成物を用いて絶縁処理された電気電子部品。
本発明の1液型のエポキシ樹脂組成物は、低粘度での注型作業性が可能でありハンドリング性に優れ、電気・電子制御装置のケース内充てん材として有用であり、硬化させて耐クラック性、絶縁性、耐熱性に優れたエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。これを用いて絶縁処理された電気電子部品を得ることができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。まず、本発明に係る1液型のエポキシ樹脂組成物の各成分について説明する。
<(A)成分:エポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる(A)エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくもと2個のエポキシ基を有する化合物が用いられるが、エポキシ当量が100〜4000g/eqであり、エポキシ当量が150〜1000g/eqのものが好ましく、エポキシ当量が170〜500g/eqのものがより好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、セバチン酸、ドデカンニ酸等のポリカルボン酸のポリグリシジルエステル、ポリブタジエンのポリエポキシ化物、ひまし油のポリエポキシ化物が用いられる。これらの樹脂としては、特に制限はないが、常温(20℃)から50℃で液状のものが好ましく、市販品としてはエピコート828(三菱化学株式会社製商品名)、GY−260(チバガイギー社製商品名)、jER834(三菱化学株式会社製商品名)などが挙げられる。これらは併用して用いることができる。
また、エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型等のエポキシ樹脂、テトラグリシジル化合物等の3官能以上のエポキシ化合物と併用する事ができ、更にはポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等の反応性希釈剤となる低分子量エポキシ樹脂も熱特性の許容される範囲で併用することができる。
また、本発明に用いるエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を1個だけ有するエポキシ化合物を含んでいてもよい。このようなエポキシ化合物は、エポキシ樹脂全量に対して0〜40質量%の範囲で使用することが好ましく、0〜20質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。このようなエポキシ化合物としては、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等がある。また、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物を使用することもできる。
<(B)成分:酸無水物>
本発明に用いられる(B)成分の酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサビドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フクル酸、ドデセニル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸等の二塩基酸無水物や、ポリアゼライン酸ポリ無水物等のポリ塩基酸無水物等が挙げられる。一般に、エポキシ樹脂の硬化剤として知られている酸無水物を使用することができる。市販品としてはHN−2000(日立化成株式会社製商品名)、リカシッドMH−700G(新日本理化株式会社製)、B−650(DIC株式会社製、商品名)等が挙げられる。これらは併用して用いることができる。
酸無水物の使用量は、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基1当量当たり0.3〜3.0モルとされ、0.5〜2.0モルが好ましく0.8〜1.3モルの範囲が更に好ましい。
<(C)成分:イミダゾール又はその誘導体が包接された包接体>
本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物は、シリカを混合する際の摩擦、熱に対しても安定性を付与するようにする為、硬化促進剤として使用されるイミダゾール又はその誘導体が包接された包接体を用いる。
イミダゾール及びその誘導体の包接体は、イミダゾール及びその誘導体のゲスト化合物がホスト化合物により包接され、包接体となっている。この包接体は、加熱によりゲスト化合物とホスト化合物に分離し、ゲスト化合物であるイミダゾール又はその誘導体が硬化促進剤として作用する。ここでいうイミダゾール及びその誘導体としては、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチルー4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾールが挙げられる。
また、これらイミダゾール又はその誘導体を包接する化合物(ホスト化合物)としては、テトラキスフェノール系化合物、テトラキスカルボキシフェニル系化合物、イソフタル酸(ベンゼン−1,3−ジカルボン酸)化合物(ただし、5位にアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、水酸基等の置換基を有する)等が挙げられる。
テトラキスフェノール系化合物としては、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、この化合物のベンゼン環に結合している水素をアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ハロゲン、水酸基等で置換した化合物がある。アルキル基及びアルコキシ基は、炭素数が1〜6のものが好ましい。
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのベンゼン環に結合している水素(ヒドロキシ基が結合しているベンゼン環の炭素の隣の炭素に結合している水素が特に好ましい)をアルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、ハロゲン、水酸基等で置換した化合物としては、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス[(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル]エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン等がある。
このような包接体の市販品としてはNISSOCURE TIC−188(日本曹達株式会社製商品名)等が挙げられる。
テトラキスカルボキシフェニル系化合物としては、1,1,2,2−テトラキス(3又は4−カルボキシフェニル)エタン、この化合物のベンゼン環に結合している水素(カルボキシル基が結合しているベンゼン環の炭素の隣の炭素に結合している水素が特に好ましい)をアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ハロゲン、水酸基等で置換した化合物がある。さらに、これらの化合物のアルキルエステル化合物、アルカリ金属塩がある。アルキル基及びアルコキシ基は、炭素数が1〜6のものが好ましい。
上記テトラキスカルボキシフェニル系化合物の具体例としては、1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン及び1,1,2,2−テトラキス(3−カルボキシフェニル)エタン以外に、テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタンテトラメチルエステル、テトラキス(3,5−ジメチル−4−カルボキシフェニル)エタン、テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタンテトラメチルエステル、テトラキス(3,5−ジメチル−4−カルボキシフェニル)エタンテトラベンジルエステル、テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタンテトラナトリウム塩、テトラキス(3−カルボキシ−4,5−ジメチルフェニル)エタン、テトラキス(3−カルボキシフェニル)エタンテトラエチルエステル、テトラキス(3,5−ジメチル−4−カルボキシフェニル)エタンテトラベンジルエステル、テトラキス(3−カルボキシフェニル)エタンテトラナトリウム塩等がある。
イソフタル酸(ベンゼン−1,3−ジカルボン酸)化合物(ただし、5位にアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、水酸基等の置換基を有する)における5位置換基のアルキル基又はアルコキシ基としては、炭素数1〜6のものが好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等があり、アルコキシ基としては、これらのアルキル基に対応したアルキルオキシ基がある。アルキル基としては、また、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基等がある。
上記イソフタル酸(ベンゼン−1,3−ジカルボン酸)化合物として、具体的には、5−t−ブチルイソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸等がある。
(C)成分の添加量(イミダゾール又はその誘導体量で)は、(B)成分の酸無水物100質量部当たり0.01〜5.0質量部が好ましく、0.02〜3.5質量部がより好ましい。イミダゾール又はその誘導体が少なすぎると硬化性が低下し、得られる樹脂のガラス転移温度が低下し、耐熱性が低下する傾向にあり、多すぎると充分な保管安定性が得られない。
<(D)成分:シリカ>
本発明に用いられるシリカとしては、耐クラック性の観点から球状シリカが望ましい。シリカの種類としては、溶融シリカが特に望ましい。
シリカは、その平均粒子径が大きくなりすぎると、沈降し易くなる為ハンドリング性が悪くなる傾向があるため、30μm以下であることが好ましい。また、平均粒子径が小さすぎると、樹脂組成物のチキソ性が上昇し、注入性が低下する傾向があるため、0.1μm以上であることが好ましい。
平均粒子径0.1μm以上、30μm以下の球状シリカの市販品としては、S−COX31(新日鉄住金マテリアルズ株式会社(マイクロカンパニー)商品名)、アドマファインSO−25R(株式会社アドマテックス商品名)、FB−5SDC(株式会社デンカ商品名)等が挙げられる。
シリカの配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して5〜500質量部であることが好ましく、10〜300質量部であることがより好ましく、120〜250質量部が更に好ましい。シリカの配合量が少なすぎると、硬化物にしたときの線膨張係数に悪影響を及ぼす傾向があり、逆に多すぎると粘度が上がり、作業性、特に注型作業性が低下する傾向がある。
平均粒子径は、粒径を階級、体積を度数とし、度数の累積で表記された積算分布において、積算分布が50%となる粒径(体積平均粒子径)を意味する。粒子の粒径を測定する方法としては、例えば、動的光散乱、小角X線散乱等の装置を用い一括して多数の粒子を測定する方法が挙げられる。
<(E)成分:架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子>
本発明で架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子を用いることにより、ゴム微粒子同士の融着が起こりにくくなり、硬化物の物性低下や成形時の含浸不良が起こりにくくなるため好ましい。架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子が、シロキサン-メタクリル酸エステル共重合体であると好ましい。耐衝撃性の改良効果が大きく、少ない配合量で効果を得やすいため好適である。なお、靭性を向上させるための材質としては、熱可塑性樹脂やゴムなどが考えられるが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とゴムの組合せは著しく高粘度となりハンドリング性が低下するため、ゴム微粒子を用いる必要がある。一方で異種基材(機材)間の熱膨張差に起因するクラックが問題となる。異種基材間の熱膨張差によって発生するひずみを吸収するにはゴム弾性を示す材料を配合する事が有効である。
本発明に用いることができる架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子の平均粒子径は、0.01〜1.0μmであることが好ましく、0.05〜0.5μmがより好ましい。平均粒子径が0.05〜0.5μmの範囲であれば、注入性が良好となり、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇やチキソトロピー性の発現を抑える事が出来るため好ましい。さらに、0.5μm以下であれば各基材間への含浸不良が起こりにくくなるので好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子を(D)成分のシリカを除いた樹脂成分中に0.002〜0.03質量%含んでいることが必要であり、0.003〜0.025質量部含んでいることがより好ましく、配合量が0.02〜0.025質量%であればさらに好ましい。配合量が0.002〜0.03質量%であれば、十分な耐衝撃性が得られ、エポキシ樹脂組成物の粘度が適度な値となる。
ゴム微粒子は、十分な耐衝撃性が得るために、樹脂内に均一に分散されている事が好ましい。この様な架橋ゴム微粒子分散エポキシ樹脂又はコアシェル型ゴム微粒子分散エポキシ樹脂としては、BPF307、BPA328(株式会社日本触媒製)、MX−960(株式会社カネカ)などの市販品が挙げられる。
また、本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてシラン系、アルミ系あるいはチタン系等のカップリング剤を適宜添加することができる。エポキシ樹脂組成物にカップリング剤を添加することにより、樹脂成分と接着基材(機材)との界面の濡れ性を向上させ、接着性を向上させることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾリンシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアジンシラン等のアミノシラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロルシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類が挙げられる。
また、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルバイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等が挙げられる。
また、アルミネートカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
カップリング剤を使用するとき、その配合量は、ハンドリング性の観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部が特に望ましい。カップリング剤が多すぎると、反応速度に影響を及ぼして硬化性が悪くなることがある。また、カップリング剤が少なすぎると、それを添加することの効果(接着性の向上)が見込めなくなる。
また、シリコーン剤等の消泡剤などを適宜配合することができる。消泡剤を使用するとき、その配合量は、ハンドリング性の観点から、0.01〜3質量部が特に望ましい。消泡剤が多すぎると、硬化後の硬化物表面に成分がブリードアウトして外観が悪くなることがある。また、消泡剤が少なすぎると、それを添加することによる効果(消泡の効果)が見込めなくなる。
また、本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物には、さらに、必要に応じて、赤リン、ヘキサブロモベンゼン、三酸化アンチモン等の難燃剤、ベンガラ、酸化第二鉄、カーボン、チタンホワイト等の着色剤などを配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は特に注型成形用として有用であり、これを用いて電気・電子制御装置を絶縁処理するには、予熱脱泡し(好ましくは30〜70℃で予熱し、好ましくは1Torr以下の減圧で脱泡)、この後、適宜に電気・電子制御装置が搭載されたケース又は金型に注入し、好ましくは60〜170℃(より好ましくは80〜160℃)で1〜8時間、加熱硬化させればよく、また、金型を用いた場合には硬化後、金型から取り外せばよい。
本発明の絶縁処理法の対象となる電気・電子制御機器としては、例えば、プラスチック又は金属製のケース又は金型内に部品を収納したトランス、フライバックトランス、ネオントランス、イグニッションコイル、又はこれらのケースレスタイプのトランスなどが挙げられる。このような電気・電子制御装置の製造に本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物を用いれば、耐熱性、耐クラック性に優れた電気・電子制御装置の製造が可能となる。
本発明の1液型のエポキシ樹脂組成物は粘度が低く抑えられるため作業性に優れ、電気・電子制御装置を容易に製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
表1に示す配合組成及び配合量で各成分を配合し、実施例1〜3及び比較例1、2の1液型のエポキシ樹脂組成物を調製した。
なお、表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
(A)成分のエポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂:jER834(三菱化学株式会社商品名、エポキシ当量:255g/eq)
(B)成分の酸無水物:3or4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸:HN−2000(日立化成株式会社商品名、中和当量:83.0)
(C)成分のイミダゾール又はその誘導体が包接された包接体:イミダゾール包接体:NISSOCURE TIC−188〔日本曹達株式会社商品名;ゲスト化合物として2−フェニル−4メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール;ホスト化合物として1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン〕(イミダゾール又はその誘導体含有量:48.6質量%)
(D)成分のシリカ:球状シリカ:COX−31(新日鉄住金マテリアルズ株式会社(マイクロカンパニー)商品名、平均粒径10μm)
(E)成分の架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子:コアシェル型ゴム微粒子分散エポキシ樹脂:カネエースMX−960(株式会社カネカ商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(243g/eq)中にシロキサン-メタクリル酸エステル共重合体のゴム粒子(コアシェル型架橋ゴム粒子)25質量%含有)
(その他)
・シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:KBM−403(信越化学工業株式会社商品名)
・消泡剤:シリコーン消泡剤:KS603(信越化学工業株式会社商品名)
(1液型のエポキシ樹脂組成物の作製方法)
予め60℃に加温したビスフェノールA型エポキシ樹脂、3or4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸及び各種使用材料を表1に示した配合量で配合した後、ヤマト科学株式会社製ラボスターラ(LAB−STIRRER、LR500B)を使用して800回転/分で10分間攪拌・混合して、1液型のエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物について、以下の測定・試験を行った。測定・試験結果を表1に示した。
(25℃粘度の測定)
実施例1〜3及び比較例1〜2の1液型のエポキシ樹脂組成物を用いて、25℃における初期粘度を、B型粘度計を用いて測定した。その測定結果を表1に示した。この値が5Pa・s以下であれば作業性が良好と言える。
(ガラス転移点温度)
各組成物は離型処理した金属シャーレ(直径60、20mm高)に注型し、1torrで5分脱泡した。その後、180℃の環境下で4時間静置し、硬化物を得た。これを縦3mm、横3mm、高さ3mmの大きさに切断、研磨して試験片とした。この試験片を株式会社リガク製の熱機械分析装置(TMA8310)を用い、30〜200℃の温度範囲で測定しガラス転移温度を求めた。この値が150℃以上であると、電機電子部品とした時の耐熱性が優れる。
(耐クラック性)
各組成物は離型処理した金属シャーレ(直径60、20mm高)にCワッシャー(外径23mm、内径13mm)を中央に静置した状態で注型し、1torrで5分脱泡した。その後、180℃の環境下で4時間静置し、試験片を得た。この試験片は、エスペック株式会社製の冷熱衝撃装置(TSA−71L−1)を用い、−40℃、1時間〜150℃、1時間によるヒートサイクルを300サイクル行い、耐クラック性を評価した。試験片にクラック発生が無ければ「○」として評価し、クラック発生した場合を「×」として評価した。クラックの発生が無ければ電機電子部品とした時の耐ヒートサイクル性に優れる。
Figure 2017008277
(E)成分の配合量を(D)成分のシリカを除いた樹脂成分中に0.002〜0.03質量%とした実施例1〜3は、粘度が低く、耐熱性があり、耐クラック性に優れる。一方、(E)成分の配合量が0.002質量%未満の比較例1は、耐クラック性で劣り、(E)成分の配合量が0.03質量%を超える比較例3は、粘度が高くなり細かな隙間やコイル等への含浸性が悪くなる。

Claims (5)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)イミダゾール又はその誘導体が包接された包接体、(D)シリカ、及び(E)架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子を含有し、(C)成分の包接体中のイミダゾール又はその誘導体が、(B)成分100質量部に対して0.01〜5質量部で、(E)成分の架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子が、(D)成分のシリカを除いた樹脂成分中に0.002〜0.03質量%となるように含まれる1液型のエポキシ樹脂組成物。
  2. (E)成分の架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子が、シロキサン-メタクリル酸エステル共重合体である請求項1に記載の1液型のエポキシ樹脂組成物。
  3. (E)成分の架橋ゴム微粒子又はコアシェル型ゴム微粒子の平均粒子径が、0.01〜1.0μmである請求項1又は請求項2に記載の1液型のエポキシ樹脂組成物。
  4. (D)成分のシリカの平均粒子径が、0.1〜30μmの球状シリカである請求項1〜3のいずれかに記載の1液型のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の1液型のエポキシ樹脂組成物を用いて絶縁処理された電気電子部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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