以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限られるものではない。
図1は、本実施形態に係る後処理装置を含む画像形成システムを示す概略構成図である。図1に示す画像形成システム1は、画像形成装置Aと、画像形成装置Aにより画像形成された用紙Sに対して後処理を行う後処理装置Bとから構成されている。
画像形成装置Aは、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することにより用紙Sに対してフルカラーの画像を形成するタンデム型カラー式のものであって、上部に自動原稿搬送装置と走査露光装置とからなる画像読取装置2を有し、下部に画像形成部3と複数の給紙トレイ4とを有して構成される。
画像読取装置2は、自動原稿搬送装置の原稿トレイ上に載置された原稿を搬送部により搬送し、原稿の片面又は両面の画像を走査露光し、画像情報を読み取るものである。また、画像読取装置2は、コンタクトガラスに載置された原稿の画像情報についても読み取る構成となっている。
画像形成部3は、複数の給紙トレイ4から用紙Sの供給を受けるものであり、画像読取装置2により読み取られた画像情報、又は、PC等から送信された画像情報に基づいて、用紙Sに画像形成を行うものである。
この画像形成部3は、画像転写部3aと、定着部3bとから構成されている。画像転写部3aは、帯電、露光及び現像を行う電子写真プロセスにより、感光体上にトナー像を形成しこの画像を用紙Sに転写するものである。定着部3bは、加熱ローラーと加圧ローラーとで用紙Sを搬送するニップ部を形成し、用紙Sを搬送しつつ加熱・加圧してトナーを溶融して、画像転写部3aにより用紙Sに転写された画像を用紙Sに定着させるものである。
さらに、画像形成装置Aは、定着部3bの下流側から、画像転写部3aの上流側につながる反転経路5を備えている。反転経路5は、用紙Sの表裏を反転させたうえで、再度画像転写部3aに再搬送するための経路である。この反転経路5により、用紙Sに対する表裏の画像形成が可能となっている。
本実施形態に係る後処理装置Bは、少なくとも加湿機能と、カール矯正機能とを備えるものである。なお、図示を省略するが、後処理装置Bは、上記機能の他、パンチ機能や折り機能等を備えていてもよい。この後処理装置Bは、図1に示すように、加湿機能部10と、カール矯正機能部(カール矯正手段)20と、各種経路R1〜R3と、排紙トレイ30と、制御部(制御手段)40とを備えている。
第1経路R1は、画像形成装置Aからの用紙Sを受け入れると共に、受け入れた用紙Sを加湿機能部10に搬送する経路である。第2経路R2は、加湿機能部10とカール矯正機能部20とを接続する経路であり、加湿機能部10から排出された用紙Sをカール矯正機能部20まで導くものである。第3経路R3は、カール矯正機能部20から排出された用紙Sを排紙トレイ30まで導く経路である。
図2は、図1に示した加湿機能部10の構成図である。図2に示すように、加湿機能部10は、概略的に、第1加湿部(加湿手段)11と、第2加湿部(第2加湿手段)12と、切替ゲート13とから構成されている。
第1加湿部11は、搬送される用紙Sを、界面活性剤を有する水分によって加湿するものである。第2加湿部12は、搬送される用紙Sを、界面活性剤を有しない水分によって加湿するものである。切替ゲート13は、搬送されてきた用紙Sを第1加湿部11に導くか、第2加湿部12に導くかを決定するための切替機構である。
なお、界面活性剤としては、例えば、フッ素系不活性液体及び液体状のフッ素を主成分とする溶液の少なくとも1つである。ここで、液体状のフッ素を主成分とする溶液とは、四級アンモニウム塩を主成分とする溶液、又はハイドロフルオロエーテル構造を主成分とする溶液が挙げられる。
以下、第1加湿部11と、第2加湿部12との詳細構成について説明するが、これらは加湿に用いる水分に界面活性剤を含むか否かが異なるのみで、基本的に同じ構成を有しているため、第1加湿部11の詳細のみを説明し、第2加湿部12の詳細説明については省略するものとする。
図3は、図2に示した第1加湿部11の詳細を示す構成図である。図3に示すように、第1加湿部11は、用紙Sを挟持搬送するための一対の給水ローラー(一対のローラー)11a,11bを備えている。また、第1加湿部11は、一対の給水ローラー11a,11bの双方に界面活性剤を有する水分を付与する一対の付与ローラー(付与手段)11c,11dを備えている。
一対の付与ローラー11c,11dそれぞれは、その一部が界面活性剤を有する水に浸された状態となっており、且つ、一対の給水ローラー11a,11bに接するように配置されている。このため、一対の付与ローラー11c,11dは、その回転に伴って、界面活性剤を有する水分を一対の給水ローラー11a,11bに付与することとなる。そして、一対の給水ローラー11a,11bは、用紙Sを挟持搬送する過程において、付与ローラー11c,11dから付与された界面活性剤を有する水分により用紙Sを加湿することとなる。
なお、付与ローラー11c,11dは、対をなすものに限られない。すなわち、1つだけの付与ローラーにより、いずれか一方のみの給水ローラー11a,11bに界面活性剤を有する水分を付与する構成であってもよい。また、付与ローラー11c,11dに限らず、可能であれば、給水ローラー11a,11bに対して界面活性剤を有する水分を吹き付けたり滴下したりするなど、他の構成により、給水ローラー11a,11bに対して界面活性剤を有する水分を付与してもよい。
さらに、図3に示すように、第1加湿部11は、給水ローラー押圧ばね11eと、カム機構11fとを備えている。給水ローラー押圧ばね11eは、一対の給水ローラー11a,11bに対してこれらが互いに近づく方向に付勢するバネ部材である。カム機構11fは、一対の給水ローラー11a,11bの回転軸AXと同軸上に配置される2つのカム部材11gから構成されており、これらの2つのカム部材11gは、用紙Sの搬送路を挟んで対称となるように配置されている。これらカム部材11gは、上記回転軸AXを中心に回転可能に支持されており、回転軸AXに対して半径の長さが異なるように勾玉形状とされている。このため、これらのカム部材11gが共に回転して、回転軸AX間に長経部分が位置するようになると、給水ローラー押圧ばね11eの付勢力に抗して一対の給水ローラー11a,11bを離間させる方向に力を作用させる。このようなカム機構11fによって一対の給水ローラー11a,11bのニップ圧を変更可能となっている。そして、ニップ圧の変更によって、用紙Sに対する、界面活性剤を有する水分の塗布量(加湿時使用量)を調整可能となっている。
特に、カム部材11gの最も長経となる部位rlが回転軸AX間に位置した場合、一対の給水ローラー11a,11bは離間することとなる。このため、一対の給水ローラー11a,11bが離間した場合には、用紙Sは、第1加湿部11による加湿が行われることなく、後段のカール矯正機能部20に搬送されることとなる。
なお、上記において、一対の付与ローラー11c,11dは、一対の給水ローラー11a,11bの接離に追従して動作するようになっていることはいうまでもない。
図4は、図1に示したカール矯正機能部20の詳細構成図である。図4に示すように、カール矯正機能部20は、第1デカール部21と、第2デカール部22と、第3デカール部23とを備えている。
第1デカール部21は、一対のローラー21a,21bと、ベルト21cと、押圧ローラー21dと、切替ゲート21eとを備えている。一対のローラー21a,21bにはベルト21cが張架され、ベルト21cには押圧ローラー21dが接触している。押圧ローラー21dは図示のように、一対のローラー21a,21b間の中間位置でベルト21cを押圧し、ベルト21cを屈曲させている。この結果、一対のローラー21a,21bと、ベルト21cと、押圧ローラー21dとにより用紙Sを図の右方向に曲げる搬送路H1が形成されている。第1搬送路H1にガイドされた用紙Sはカールが矯正される。
切替ゲート21eは、用紙Sを第1搬送路H1又は第2搬送路H2のいずれかに搬送するための切替機構であり、実線の位置で用紙Sを第1搬送路H1にガイドし、破線の位置では用紙Sを搬送路H2にガイドする。第2搬送路H2にガイドされた用紙Sは緩い曲率の第2搬送路H2を搬送されるので、カール矯正されることはない。
第2デカール部22についても第1デカール部21と同様に、一対のローラー22a,22bと、ベルト22cと、押圧ローラー22dとを備え、これらによって用紙Sを図の左方向に曲げる搬送路H3が形成されている。さらに、第2デカール部22についても、切替ゲート22eとを備えており、切替ゲート22eの切替によって、用紙Sを第3搬送路H3又は第4搬送路H4のいずれかに搬送するようになっている。第3搬送路H3にガイドされた用紙Sはカールが矯正される。第4搬送路H4にガイドされた用紙Sは緩い曲率の第4搬送路H4を搬送されるので、カール矯正されることはない。
第3デカール部23は、複数のローラー23a〜23hと、複数のベルト23i,23jとによって構成されている。詳細に第1ベルト23iは、第1〜第4ローラー23a〜23dに張架され、第2ベルト23jは、第5〜第7ローラー23e〜23gに張架されている。
第1ベルト23iと第2ベルト23jとは接触しており、これらの間が用紙Sの搬送路となっている。なお、第8ローラー23hは、第3デカール部23に用紙Sを導入するためのローラーである。これらベルト23i,23jの接触部位は、第3、第4及び第7ローラー23c,23d,23gの配置によって、蛇行するようにされている。さらに、第3、及び第4ローラー23c,23dは、第1ベルト23iとの接触状態から退避可能となっている(破線参照)。
このため、第3デカール部23は、第3、及び第4ローラー23c,23dが退避していない実線位置にある場合に、蛇行する部位によって微小なカールを矯正し、第3、及び第4ローラー23c,23dが退避する破線位置にある場合に、カール矯正を行わないこととなる。
ここで、図4に示したカール矯正機能部20においてカール矯正を適切に行うためには、用紙Sに対して適切な水分が塗布されている必要がある。また、用紙Sの除電についても、適切な水分が必要となる。ここで、用紙Sには、普通紙やコート紙などの種々の種類のものがあると共に、印字率等によっても除電の必要性等が変わってくる。さらに、用紙Sに対して過剰な加湿を行ってしまうと、用紙Sの先端部等にうねりが発生してしまう。
図5は、用紙Sのカール量と加湿量との相関を示すグラフであり、紙種の相違によるカール矯正力を示している。例えば加湿量0.9%(加湿量は後述の含水量と異なる値である)における金菱紙のカール量が15mmであったとする。このような金菱紙に対して、加湿量を1.3%とするとカール量は7mmとなり、加湿量を1.8%とするとカール量は8mmとなり、加湿量を2.8%とするとカール量は9mmとなる。
また、例えば加湿量1.0%におけるキンマリ紙のカール量が12mmであったとする。このようなキンマリ紙に対して、加湿量を1.6%とするとカール量は5mmとなり、加湿量を2.1%とするとカール量は4mmとなり、加湿量を3.1%とするとカール量は7mmとなる。
さらに、例えば加湿量0.9%におけるBIO紙のカール量が8mmであったとする。このようなBIO紙に対して、加湿量を1.4%とするとカール量は4mmとなり、加湿量を1.9%とするとカール量は3mmとなり、加湿量を2.9%とするとカール量は5mmとなる。
さらには、例えば加湿量1.0%におけるJ紙のカール量が5mmであったとする。このようなJ紙に対して、加湿量を1.5%とするとカール量は3mmとなり、加湿量を2.0%とするとカール量は3mmとなり、加湿量を3.0%とするとカール量は4mmとなる。
これらを総合すると、用紙Sの加湿量は1.5%以上とすれば、カール量を好適に抑えるといえる。また、加湿量が2.5%を超えると、用紙Sの先端部にうねりが生じる。このように、うねりを生じさせることなくカール矯正を適切に行うためには、用紙Sに対して適切な量の水分が含まれている必要がある。
しかし、用紙Sには、普通紙やコート紙などの種々の種類のものがあり、特にコート紙については水分を弾く傾向にあり、用紙Sに水分が浸透し難い傾向にある。
さらに、上記したように、用紙Sの印字率等によっても除電の必要性等が変わってくることから、適切な水分量の範囲(加湿量で1.5%以上2.5%以下)で塗布する水分量を調整する必要もある。
本実施形態において後処理装置Bの制御部40は、上記の種々の状態を判断し、適切な水分塗布を行うようになっている。以下、制御部40について詳細に説明する。
本実施形態に係る後処理装置Bの制御部40は、第1加湿部11による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送するか、第2加湿部12による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送するか、第1加湿部11及び第2加湿部12による加湿を行わない未加湿状態の用紙Sをカール矯正機能部20に搬送するかを決定する制御処理を実行するものである。
このとき、制御部40は、用紙Sの印字率、坪量、紙種、用紙環境、及び表裏印刷であるか否かに基づいて、上記制御処理を実行する。用紙Sの印字率は、用紙Sの帯電度合いやカール量に影響があるものである。また、坪量は用紙Sの厚さにも影響ある値であり、厚さはカール量に影響がある。紙種は、用紙Sの濡れ性に影響がある値であり、例えばコート紙は水分を弾く傾向にある。用紙環境は、例えば用紙Sが置かれる湿度や温度であり、湿度が高い環境においては帯電度合いが低くなる傾向にあり、温度が高い場合も湿度が高い場合が多く、帯電度合いが低くなる傾向にある。また、表裏印刷であるか否かは、用紙Sの帯電度合いやカール量に影響がある。よって、制御部40は、これらに基づいて制御処理することで、用紙Sにうねりを生じさせることなく、除電やカール矯正に応じた適切な加湿状態とする。
なお、制御部40は、用紙Sの印字率、坪量、紙種、用紙環境、及び表裏印刷であるか否かの全てに基づいて、上記制御処理を実行する場合に限らず、いずれか1つ以上に基づいて、上記制御処理を実行してもよい。
さらに、制御部40は、制御処理において、第1加湿部11又は第2加湿部12による加湿を行ったうえで、カール矯正機能部20に用紙Sを搬送すると決定した場合、加湿部11,12による水分の加湿時における使用量を、用紙Sの印字率、坪量、紙種、用紙環境、及び表裏印刷であるか否かの少なくとも1つに基づいて調整する。
例えば制御部40は、上記カム機構11fを制御してニップ圧を調整することによって、第1加湿部11の水分の加湿時における使用量を調整する。また、制御部40は、第2加湿部12の水分の加湿時使用量についても同様にカム機構を制御して調整する。
さらに、制御部40は、制御処理において第1加湿部11及び第2加湿部12による加湿を行わない未加湿状態の用紙Sをカール矯正機能部20に搬送すると決定した場合、第1加湿部11のカム機構11fを制御する。これにより、制御部40は、第1加湿部11の一対の給水ローラー11a,11b間を離間させ、用紙Sに水分を塗布することなくカール矯正機能部20に搬送することを可能とする。
次に、制御部40による制御処理の詳細の一例を説明する。図6は、制御部40による制御の一例を示す図である。図6に示す例において制御部40は、用紙Sの帯電が強いか弱いかを、用紙Sの印字率及び用紙環境から判断し、用紙Sのカール量が大きいか小さいかを、用紙Sの紙種、坪量、印字率、表裏印刷か否か、及び目方向から判断する。なお、用紙Sの目方向は、用紙Sの流れ目のことである。用紙Sは、縦横に繊維の配列の状態が異なっており、目方向によってカール度合いが異なる傾向にある。
まず、後処理装置Bの制御部40は、画像形成装置Aの制御部6から上記情報を取得する。そして、制御部40は、紙種がコート紙か普通紙かを判断する。また、制御部40は、用紙Sの印字率及び用紙環境の情報から、用紙Sの帯電が強いか弱いかを判断する。さらに、制御部40は、用紙Sの紙種、坪量、印字率、表裏印刷か否か、及び目方向から、用紙Sのカール量が大きいか小さいかを判断する。
そして、制御部40は、紙種がコート紙であると判断した場合、第1加湿部11による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送すると決定する。また、制御部40は、紙種が普通紙であり、帯電が強くカール量が小さい場合、帯電が弱くカール量が大きい場合、又は帯電が強くカール量が大きい場合に、第2加湿部12による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送すると決定する。
さらに、制御部40は、紙種が普通紙であり、帯電が弱くカール量が小さい場合、第1加湿部11及び第2加湿部12による加湿を行わない未加湿状態の用紙Sをカール矯正機能部20に搬送すると決定する。
なお、制御処理は上記に限らず、例えば制御部40は以下のようにして制御処理を行うようにしてもよい。図7は、制御部40による制御の他の例を示す図である。図7に示すように、制御部40は、用紙環境、表裏印刷か否か、紙種、坪量、及び印字率の情報を画像形成装置Aから入力し、これらの情報に基づいて、制御処理を実行する。なお、図7において「塗布経路通紙有無」の「有」とは、第1加湿部11による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送すると決定することを示し、「無」とは、第2加湿部12による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送すると決定すること、又は、第1加湿部11及び第2加湿部12による加湿を行わない未加湿状態の用紙Sをカール矯正機能部20に搬送すると決定することを示している。
図7に示すように、低温低湿(例えば温度10℃以下湿度20%以下)及び常温常湿(例えば温度20℃湿度50%)の状況下において、制御部40は、片面印刷の非コート紙(普通紙や上質紙等)について「無」と判断する。このとき、制御部40は、坪量及び印字率に拘わらず「無」と判断する。
一方、制御部40は、片面印刷のコート紙(グロスコート紙やキャストコート紙等)について「有」と判断する。このとき、制御部40は、坪量及び印字率に拘わらず「有」と判断する。また、制御部40は、両面印刷について「有」と判断する。このとき、制御部40は、紙種、坪量及び印字率に拘わらず「有」と判断する。
さらに、高温高湿(例えば温度30℃以上湿度70%以上)の状況下において、制御部40は、非コート紙(普通紙や上質紙等)について「無」と判断する。このとき、制御部40は、両面印刷か否か、坪量及び印字率に拘わらず「無」と判断する。
一方、制御部40は、コート紙(グロスコート紙やキャストコート紙等)について「有」と判断する。このとき、制御部40は、両面印刷か否か、坪量及び印字率に拘わらず「無」と判断する。
さらに、制御部40は、上記に限らず、例えば以下のように判断してもよい。例えば制御部40は、非コート紙について「無」と判断するが、非コート紙であっても印字率が50%を超える場合、又は坪量が128gsmを超える場合には「有」と判断するようにしてもよい。
また、制御部40は、片面印刷の用紙Sについて「無」と判断するが、用紙Sがコート紙且つ坪量が128gsmを超える場合には「有」と判断するようにしてもよい。
加えて、制御部40は、高湿度(湿度70%以上)環境下において「無」と判断するが、印字率が50%を超える場合、又は坪量が128gsmを超える場合には「有」と判断するようにしてもよい。
以上のように、制御部40は、各種条件を総合的に判断して、第1加湿部11による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送する等を決定する。
さらに、本実施形態において一対の給水ローラー11a,11b(付与ローラー11c,11dによって界面活性剤を有する水分を付与されるローラー)の表面粗さは、15μm以上30μm以下であり、好ましくは20μm以上30μm以下である。なお、ここでの表面粗さは、給水ローラー11a,11bの表面からランダムに抜き取った各部分におけるそれぞれの十点平均粗さである。
図8は、給水ローラー11a,11bの粗さと用紙Sの含水率等との相関を示す表である。なお、図8に示す例においては、四級アンモニウム塩を主成分とする界面活性剤を用いて、第1加湿部11に普通紙、上質紙、グロスコート紙、及びキャストコート紙を通紙して加湿したときの含水率(%)(用紙Sの重量に対する界面活性剤を有する水分の重量)、及びうねりの発生の有無を示している。また、図8に示す例では、カム機構11fが所定の状態に固定されているものとする。
図8に示すように、普通紙は、開封直後(1000枚等がパッケージされている状態から開封された直後)において含水率が4.9%であり、所定時間放置された加湿直前において含水率が3.6%であるとする。このような普通紙に対して、表面粗さ15μm、20μm、25μm、30μm、及び35μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、それぞれ3.8%、4.4%、6.0%、7.0%及び8.0%となった。
また、上質紙は、開封直後において含水率が5.0%であり、所定時間放置された加湿直前において含水率が3.8%であるとする。このような上質紙に対して、表面粗さ15μm、20μm、25μm、30μm、及び35μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、それぞれ4.0%、4.4%、5.2%、5.8%及び6.4%となった。
グロスコート紙は、開封直後において含水率が6.3%であり、所定時間放置された加湿直前において含水率が4.5%であるとする。このようなグロスコート紙に対して、表面粗さ15μm、20μm、25μm、30μm、及び35μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、それぞれ4.5%、4.9%、5.5%、6.0%及び6.4%となった。
キャストコート紙は、開封直後において含水率が5.8%であり、所定時間放置された加湿直前において含水率が4.3%であるとする。このようなキャストコート紙に対して、表面粗さ15μm、20μm、25μm、30μm、及び35μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、それぞれ4.3%、4.3%、5.0%、5.5%及び5.9%となった。
以上より、含水率の増加を考慮すると、給水ローラー11a,11bの表面粗さは少なくとも15μmあれば、特定の用紙Sで好適に界面活性剤を含む水分を塗布可能であり、より好ましくは20μm以上であれば、多くの種類の用紙Sで好適に界面活性剤を含む水分を塗布することができる。
なお、上記の殆どの場合においても、用紙Sにうねりは生じなかったが、表面粗さ35μmの給水ローラー11a,11bにて普通紙に加湿を行った場合には、用紙Sにうねりが生じてしまった。よって、表面粗さ35μmではうねりという不具合が生じ得てしまう。
以上を総合すると、給水ローラー11a,11bの表面粗さは15μm以上30μm以下であり、より好ましくは20μm以上30μm以下である。
次に、本実施形態に係る後処理装置Bによる第1加湿部11の加湿による各効果を説明する。用紙Sは適切に加湿することにより、好適にカール矯正を行うことができる他、除電効果があることも知られている。
図9は、静電貼り付きを示す表である。なお、図9に示す例においては、図8に示す例と同様に、四級アンモニウム塩を主成分とする界面活性剤を用いて、第1加湿部11に普通紙、上質紙、グロスコート紙、及びキャストコート紙を通紙して加湿したときの含水率(%)及び静電貼り付き(N)を示している。また、図9に示す例では、カム機構11fが所定の状態に固定されているものとする。
静電貼り付き(N)は、重なった複数枚の用紙Sの上から二番目の用紙Sを抑え、一番上の用紙Sをテンションゲージで引いたときに、一番上の用紙Sが動いたときの荷重を測定することで得た結果を示しており、図9における「無」とは荷重が測定できない程小さい値であったことを示している。なお、図9では、1番上及び2番目に上の用紙Sは、表面が文字印刷され裏面が写真印刷され、3番目に上の用紙Sは、両面が文字印刷されている。
図9に示すように、普通紙は、開封直後において含水率が4.9%であり、所定時間放置された場合において含水率が3.6%であるとする。このような普通紙の静電貼り付きは「無」であった。また、所定時間放置された普通紙に表面粗さ20μm及び25μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、それぞれ4.4%、及び6.0%であり、静電貼り付きは「無」であった。
また、上質紙は、開封直後において含水率が5.0%であり、所定時間放置された場合において含水率が3.8%であるとする。このような上質紙の静電貼り付きは「2〜3N」であった。また、所定時間放置された上質紙に表面粗さ20μm及び25μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、それぞれ4.4%、及び5.2%であり、静電貼り付きはそれぞれ「0.5N以下」及び「無」であった。
グロスコート紙は、開封直後において含水率が6.3%であり、所定時間放置された場合において含水率が4.5%であるとする。このようなグロスコート紙の静電貼り付きは「3〜6N」であった。また、所定時間放置されたグロスコート紙に表面粗さ20μm及び25μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、それぞれ4.9%、及び5.5%であり、静電貼り付きはそれぞれ「1N以下」及び「無」であった。
キャストコート紙は、開封直後において含水率が5.8%であり、所定時間放置された場合において含水率が4.3%であるとする。このようなキャストコート紙の静電貼り付きは「3〜6N」であった。また、所定時間放置されたキャストコート紙に表面粗さ20μm及び25μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、それぞれ4.3%、及び5.0%であり、静電貼り付きはそれぞれ「1N以下」及び「0.5N以下」であった。
以上のように、本実施形態に係る後処理装置Bでは、非コート紙の除電効果があることはもとより、コート紙に対しても適切な除電効果があることがわかった。なお、図9に示す例では、1番上及び2番目に上の用紙Sについて表面が文字印刷され裏面が写真印刷され、3番目に上の用紙Sについて両面が文字印刷されている。しかし、全て両面が写真印刷される場合や印字率に変化がある場合(図示を省略する)についても、実験により上記除電効果があることがわかった。
ここで、上記の除電効果については、除電後の搬送経路において用紙Sが搬送ローラー等に貼り付いてしまうことの防止にもつながる。特に、除電後の搬送経路における摩擦によって再帯電することもあるため、上記の加湿機能部10における除電によって、搬送ローラー等への貼り付きを好適に抑えることができる。
さらに、用紙Sが適切に加湿されることにより、スミア及び光沢すじの防止効果、用紙改質効果(リンス効果)、並びに用紙抗菌効果についてもあることがわかった。
図10は、スミア及び光沢すじの防止効果を示す表である。なお、図10に示す例においては、図8に示す例と同様に、四級アンモニウム塩を主成分とする界面活性剤を用いて、第1加湿部11に普通紙、上質紙、グロスコート紙、及びキャストコート紙を通紙して加湿したときの含水率(%)並びにスミア及び光沢すじの有無を示している。また、図10に示す例では、カム機構11fが所定の状態に固定されているものとする。
さらに、図10において「有」は肉眼にてはっきりと確認できる程度にスミアや光沢すじが発生したことを示し、「軽微」は肉眼で注視することにより確認できる程度にスミアや光沢すじが発生したことを示し、「無」は肉眼でスミアや光沢すじが確認できなった状態を示している。
図10に示すように、普通紙は、開封直後において含水率が4.9%であり、所定時間放置された場合において含水率が3.6%であるとする。このような普通紙においてスミアは「有」であり光沢すじは「無」であった。また、所定時間放置された普通紙に表面粗さ20μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、4.4%であり、スミアは「軽微」であり光沢すじは「無」であった。さらに、所定時間放置された普通紙に表面粗さ25μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、6.0%であり、スミアは「無」であり光沢すじは「無」であった。
また、上質紙は、開封直後において含水率が5.0%であり、所定時間放置された場合において含水率が3.8%であるとする。このような上質紙においてスミアは「軽微」であり光沢すじは「無」であった。また、所定時間放置された上質紙に表面粗さ20μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、4.4%であり、スミアは「無」であり光沢すじは「無」であった。さらに、所定時間放置された上質紙に表面粗さ25μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、5.2%であり、スミアは「無」であり光沢すじは「無」であった。
グロスコート紙は、開封直後において含水率が6.3%であり、所定時間放置された場合において含水率が4.5%であるとする。このようなグロスコート紙においてスミアは「軽微」であり光沢すじは「軽微」であった。また、所定時間放置されたグロスコート紙に表面粗さ20μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、4.9%であり、スミアは「無」であり光沢すじは「軽微」であった。さらに、所定時間放置されたグロスコート紙に表面粗さ25μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、5.5%であり、スミアは「無」であり光沢すじは「無」であった。
キャストコート紙は、開封直後において含水率が5.8%であり、所定時間放置された場合において含水率が4.3%であるとする。このようなキャストコート紙においてスミアは「無」であり光沢すじは「有」であった。また、所定時間放置されたキャストコート紙に表面粗さ20μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、4.3%であり、スミアは「無」であり光沢すじは「有」であった。さらに、所定時間放置されたキャストコート紙に表面粗さ25μmの給水ローラー11a,11bにて加湿を行ったとすると含水率は、5.0%であり、スミアは「無」であり光沢すじは「軽微」であった。
以上のように、本実施形態に係る後処理装置Bでは、非コート紙及びコート紙の双方においてスミア及び光沢すじの軽減効果があることがわかった。
図11は、各紙種におけるスミア発生実験の結果を示すグラフであり、(a)は紙種がグロスコート紙であるときのグラフであり、(b)は紙種がマットコート紙であるときのグラフであり、(c)は紙種がカラー紙であるときのグラフであり、(d)は紙種が普通紙であるときのグラフである。実線は第1加湿部11による加湿を行ったときの結果を示しており、破線は加湿しなかったときの結果を示している。
なお、スミア発生実験では、網点画像を形成した用紙Sに対して高負荷(垂直荷重が0.49N/cm2で往復50回の擦り運動)を掛けた擦り評価を行い、評価部材(同種の印刷用紙(但し画像形成されていないもの))に付着したトナー量を付着前後のΔLとして比較を行った。評価部材に付着したトナー量のΔLについてはLAB測色計による計測にて得た。
図11(a)の破線に示すように、グロスコート紙に対して加湿しなかった場合、網点率が30%以上においてΔLの値がいずれも1.0を下回るものの、ΔLの値が網点率10%で約3.6であり、網点率20%で約6.9となってしまう。これに対して、実線に示すように、グロスコート紙に対して第1加湿部11による加湿を行った場合、網点率10%ではΔLの値が約2.2となるものの、網点率20%以上ではΔLの値がいずれも1.0を下回る。
また、図11(b)の破線に示すように、マットコート紙に対して加湿しなかった場合、網点率が10%及び30%以上においてΔLの値がいずれも1.0を下回るものの、ΔLの値が網点率20%で約1.5となってしまう。これに対して、実線に示すように、マットコート紙に対して第1加湿部11による加湿を行った場合、網点率10%以上においてΔLの値がいずれも1.0を下回る。
さらに、図11(c)の破線に示すように、カラー紙に対して加湿しなかった場合、網点率が10%〜40%においてΔLの値がいずれも2.0を上回り、網点率50%〜80%においてもΔLの値がいずれも1.0を上回る。これに対して、実線に示すように、カラー紙に対して第1加湿部11による加湿を行った場合、網点率10%以上においてΔLの値がいずれも1.0を僅かに上回る程度あるか又は下回る。
加えて、図11(d)の破線に示すように、普通紙に対して加湿しなかった場合、網点率が20%、及び40%〜60%においてΔLの値がいずれも1.0弱となる。これに対して、実線に示すように、普通紙に対して第1加湿部11による加湿を行った場合、網点率10%以上においてΔLの値がいずれも0.6以下となる。
以上のように、スミア発生実験を行った結果からも、本実施形態に係る後処理装置Bでは、スミアの軽減効果があることがわかった。
図12は、用紙改質効果を示す表である。界面活性剤は親油性が高いため、トナー中のワックスに付着し、そこで保水効果を発現する。これにより、用紙Sの風合いをしなやかに保つ効果(用紙改質効果、すなわちリンス効果)を確認した。
なお、図12に示す例においては、図8に示す例と同様に、四級アンモニウム塩を主成分とする界面活性剤を用いて、第1加湿部11及び第2加湿部12に普通紙、上質紙、グロスコート紙、及びキャストコート紙を通紙して加湿したときの含水率(%)を示している。また、図12に示す例では、第1加湿部11及び第2加湿部12のカム機構11fが所定の状態に固定されているものとする。さらに、第1加湿部11及び第2加湿部12の給水ローラー11a,11bの表面粗さは25μmである。
図12に示すように、普通紙は、開封直後において含水率が4.9%であり、所定時間放置された場合において印刷を施さない白紙の含水率が3.4%であり、全面にベタ印刷を施したベタ用紙の含水率が3.6%であるとする。このような普通紙において第2加湿部12による加湿を行った場合、白紙の含水率が6.7%であり、ベタ用紙の含水率が6.0%であった。さらに、このような普通紙において第1加湿部11による加湿を行った場合、白紙の含水率が6.8%であり、ベタ用紙の含水率が6.0%であった。
また、上質紙は、開封直後において含水率が5.0%であり、所定時間放置された場合において印刷を施さない白紙の含水率が3.7%であり、全面にベタ印刷を施したベタ用紙の含水率が3.8%であるとする。このような上質紙において第2加湿部12による加湿を行った場合、白紙の含水率が6.0%であり、ベタ用紙の含水率が5.0%であった。さらに、このような上質紙において第1加湿部11による加湿を行った場合、白紙の含水率が6.0%であり、ベタ用紙の含水率が5.2%であった。
グロスコート紙は、開封直後において含水率が6.3%であり、所定時間放置された場合において印刷を施さない白紙の含水率が4.5%であり、全面にベタ印刷を施したベタ用紙の含水率が4.5%であるとする。このようなグロスコート紙において第2加湿部12による加湿を行った場合、白紙の含水率が5.9%であり、ベタ用紙の含水率が4.6%であった。さらに、このようなグロスコート紙において第1加湿部11による加湿を行った場合、白紙の含水率が6.1%であり、ベタ用紙の含水率が5.5%であった。
キャストコート紙は、開封直後において含水率が5.8%であり、所定時間放置された場合において印刷を施さない白紙の含水率が4.3%であり、全面にベタ印刷を施したベタ用紙の含水率が4.3%であるとする。このようなキャストコート紙において第2加湿部12による加湿を行った場合、白紙の含水率が5.6%であり、ベタ用紙の含水率が4.4%であった。さらに、このようなキャストコート紙において第1加湿部11による加湿を行った場合、白紙の含水率が5.8%であり、ベタ用紙の含水率が5.0%であった。
以上の図12に示す結果からすると、水のみではベタ用紙の含水率の上昇度が低いが、界面活性剤を有する水分ではベタ用紙の含水率の上昇度が高いことがわかる。ここで、用紙Sは、印字率が高いほどトナー層(樹脂層)の影響で腰が硬くなることが知られているため、界面活性剤を有する水分によって加湿を行うことにより、印字率が高い用紙Sを改質できることがわかった。
さらに、図示を省略するが、加湿する水分に、ヒノキチオールをアルコールに分散した溶液、又は、銀イオン若しくはポリリジン等を水に分散させた溶液を入れることにより、用紙Sの抗菌効果を高めることができる。ここで、用紙Sが書籍やカタログ等に用いられる場合には、多くの人に触れられる機会があるため、抗菌効果を高めることがより有用であるといえる。
図13は、本実施形態に係る後処理装置Bの処理内容を示すフローチャートである。図13に示すように、まず、後処理装置Bの制御部40は、紙種及び印字率等の情報を取得する(S1)。このとき、制御部40は、画像形成装置Aの制御部から情報を取得する。
次に、制御部40は、第1加湿部11による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送するか、第2加湿部12による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送するか、第1加湿部11及び第2加湿部12の双方による加湿を行わない未加湿状態の用紙Sをカール矯正機能部20に搬送するかを決定する制御処理を実行する(S2)。このとき、制御部40は、ステップS1にて取得した情報に基づいて、第1加湿部11による加湿が適切か、第2加湿部12による加湿が適切か、加湿しないことが適切かを判断する。
その後、制御部40は、加湿時使用量を決定する(S3)。これにより、第1加湿部11による加湿時使用量又は第2加湿部12による加湿時使用量が決定する。なお、加湿しない場合には、この処理は省略される。また、この処理において制御部40は、ステップS1にて取得した情報に基づいて、加湿時使用量を決定する。
その後、図13に示す処理は終了する。なお、図13に示す処理は、後処理装置Bに用紙Sが搬送される毎に繰り返し実行される。
このようにして、本実施形態に係る後処理装置Bによれば、界面活性剤を有する水分による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙を搬送するか、界面活性剤を有しない水分による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙を搬送するか、加湿を行わない未加湿状態の用紙をカール矯正機能部20に搬送するかを決定する制御処理を実行するため、コート紙のような用紙Sに対しては、第1加湿部11によって除電やカール矯正が不充分とならないように加湿を行うことができ、印字率が高い普通紙のような用紙Sに対しては、第2加湿部12によって除電やカール矯正が不充分とならず、用紙先端部にうねりが生じない加湿を行うことができ、印字率が低い普通紙のような用紙Sに対して未加湿状態としカール矯正機能部20に搬送すること等によって、カール矯正が不充分とならず且つ用紙先端部のうねりを防止することができる。従って、除電やカール矯正が不充分となってしまう事態や、用紙先端部のうねりを防止することが可能な後処理装置Bを提供することができる。
また、制御部40は、用紙Sの印字率、坪量、紙種、用紙環境、及び表裏印刷であるか否かの少なくとも1つに基づいて上記の制御処理を実行する。ここで、用紙Sの印字率は、用紙Sの帯電度合いやカール量に影響があるものである。また、坪量は用紙Sの厚さにも影響ある値であり、厚さはカール量に影響がある。紙種は、用紙Sの濡れ性に影響がある値であり、例えばコート紙は水分を弾く傾向にある。用紙環境は、例えば用紙Sが置かれる湿度や温度であり、湿度が高い環境においては帯電度合いが低くなる傾向にあり、温度が高い場合も湿度が高い場合が多く、帯電度合いが低くなる傾向にある。また、表裏印刷であるか否かは、用紙Sの帯電度合いやカール量に影響がある。よって、これらの少なくとも1つに基づいて制御処理することで、用紙Sにうねりを生じさせることなく、除電やカール矯正の必要性に応じた適切な加湿状態とすることが可能となり、除電やカール矯正が不充分となってしまう事態や、用紙先端部のうねりを防止することができる。
また、第1加湿部11による界面活性剤を有する水分の加湿時使用量を、用紙Sの印字率、坪量、紙種、用紙環境、及び表裏印刷であるか否かの少なくとも1つに基づいて調整するため、界面活性剤を有する水分の加湿時使用量を、用紙Sの帯電度合い、カール量、及び濡れ性(すなわち紙種)等に基づいて調整することが可能となり、用紙Sにうねりを生じさせることなく、除電やカール矯正に応じた適切な加湿状態とすることが可能となり、除電やカール矯正が不充分となってしまう事態や、用紙先端部のうねりを防止することができる。
また、カム機構11fを制御することによって一対の給水ローラー11a,11bのニップ圧を調整して加湿時使用量を調整するため、一対の給水ローラー11a,11b間を通紙される用紙Sの挟持度合いを調整して加湿使用料を調整でき、用紙Sを適切な加湿状態とすることができる。
また、カム機構11fを制御することによって一対の給水ローラー11a,11b間を離間させることで、未加湿状態の用紙Sをカール矯正機能部20に搬送するため、未加湿状態の用紙をカール矯正機能部20に搬送するための専用の搬送路を設けなくともよく、未加湿状態の用紙Sの搬送路と、界面活性剤を有する水分にて加湿を行う用紙Sの搬送路とを共通化することができる。
また、界面活性剤を有する水分を付与される給水ローラー11a,11bの表面粗さは15μm以上30μm以下であるため、用紙Sを好適に加湿でき、且つ加湿しすぎによるうねりの発生も防止できる。
特に、界面活性剤を有する水分を付与される給水ローラー11a,11bの表面粗さを20μm以上30μm以下とすることにより、用紙Sをより一層好適に加湿でき、且つ加湿しすぎによるうねりの発生も防止できる。
以上、本発明に係る画像形成装置を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能であれば各実施形態に記載の技術を組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態において、第1加湿部11及び第2加湿部12は、ローラー対を配置可能な箇所であれば、図1及び図2に示した位置に限られることなく、他の位置に配置されてもよい。さらに、第1加湿部11及び第2加湿部12に、用紙Sのにおいを軽減させる溶液を入れるようにしてもよい。
加えて、本実施形態では第1加湿部11のカム機構11fを制御して、一対の給水ローラー11a,11bを離間させることにより、用紙Sの加湿を行わない経路を確保しているが、これに限らず、用紙Sの加湿を行わない専用の経路を設け、切替ゲートを制御して専用の経路に用紙Sを搬送するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態において後処理装置Bは、画像形成装置Aの後段に接続されるものに限らず、画像形成装置Aに接続されず画像形成後の用紙Sに単独で後処理を行うオフラインフィニッシャーに適用されてもよい。この場合、オフラインフィニッシャーには、用紙Sの印字率、坪量、紙種、用紙環境、及び表裏印刷の情報を取得する手段を備える必要がある。具体的にオフラインフィニッシャーは、用紙Sの表裏の画像情報を読み取るスキャナを備え、スキャナからの情報に基づいて印字率及び表裏印刷を判断する。また、オフラインフィニッシャーは、周囲湿度を検出する湿度センサを備え、湿度センサからの情報に基づいて用紙環境(湿度状態)を判断する。さらに、オフラインフィニッシャーは、スキャナからの照射光に対する反射光の強度から、紙種(コート紙か非コート紙か)を判断する。加えて、オフラインフィニッシャーは、後処理する複数枚の用紙Sを載置するトレイと、トレイに載置された複数枚の用紙Sの総重量を検出する重量センサと、トレイ上の用紙Sの載置枚数を推定するためのセンサとを備え、各センサの信号から坪量を判断する。
また、上記実施形態において後処理装置Bは、第1加湿部11及び第2加湿部12を備え、界面活性剤を有する水分による加湿と、界面活性剤を有しない水分による加湿との双方を行うことができる構成となっているが、これに限らず、第2加湿部12を備えることなく第1加湿部11のみを備えていてもよい。この場合、制御部40は、第1加湿部11による加湿を行ったうえでカール矯正機能部20に用紙Sを搬送するか、第1加湿部11による加湿を行わない未加湿状態の用紙をカール矯正機能部20に搬送するかを決定する制御処理を実行することとなる。