JP2017006134A - 容器詰緑色野菜含有飲料及びその製造方法、並びに容器詰緑色野菜含有飲料における色合い劣化抑制方法 - Google Patents

容器詰緑色野菜含有飲料及びその製造方法、並びに容器詰緑色野菜含有飲料における色合い劣化抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】野菜本来の風味及び色合いの両立した容器詰緑色野菜含有飲料の提供。
【解決手段】流通温度帯がチルド帯であり、pHが4.6乃至6.5であり、表色系L*a*b*における−a/b値が0.1以上であり、含有する緑色野菜がその破砕前に加熱されていないものである容器詰緑色野菜含有飲料、又は流通温度帯がチルド帯であり、pHが4.6乃至6.5であり、製造から7日後の−a/b値が0.13〜0.21、若しくは製造から4日後の−a/b値が0.17〜0.26である容器詰緑色野菜含有飲料。前記容器詰緑色野菜含有飲料において、金属イオン及びその塩、並びに着色料が無添加であることが好ましい。緑色野菜はその破砕後殺菌前まで加熱されていないものが好ましく、小松菜であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明が関係するのは、容器詰緑色野菜含有飲料及びその製造方法、並びに容器詰緑色
野菜含有飲料における色合い劣化抑制方法である。
近年増えているのは、フレッシュジュースの店頭販売である。そのようなサービスを提
供しているのは、フレッシュジューススタンドである。フレッシュジューススタンドでは
、野菜及び果物の搾汁が行われるのは、客の面前である。当該搾汁は、即時提供される。
つまり、フレッシュジューススタンドが訴求するのは、搾汁の新鮮さである。
新鮮さが訴求されているのは、前述のフレッシュジュースだけではなく、容器詰野菜含
有飲料においても同様である。もっとも、容器詰野菜含有飲料の新鮮さは、フレッシュジ
ュースの新鮮さには程遠い。その原因は、容器詰野菜含有飲料における加熱時間の長さで
ある(例えば、濃縮や殺菌等)。
容器詰緑色野菜含有飲料が直面している課題の一つは、見た目におけるフレッシュ感で
あり、具体的には、色合いである。特にかけ離れているのは、緑色野菜の緑色である。緑
色野菜の緑色の由来は、周知のとおり、クロロフィルである。クロロフィルが分解しやす
いpH領域は、酸性である。また、クロロフィルの退色に影響するのは、熱である。
容器詰緑色野菜含有飲料において、見た目におけるフレッシュ感を実現する方法の1つ
は、食品添加物であり、例示すると、金属イオン(特許文献1)や色素(特許文献2)で
ある。他の実現方法は、pH調整であり、それによって、中性(特許文献3)又はアルカ
リ性(特許文献4)にすることである。そのような中性又はアルカリ性の飲料で必要なの
は、加熱殺菌であり、その程度もより強いものとなる。
特開2008−086269号公報 特開2002−119265号公報 特開2014−54201号公報 特開昭59−224674号公報
本発明が解決しようする課題は、容器詰緑色野菜含有飲料における野菜本来の風味及び
色合いの両立である。
本願の発明者らが鋭意検討して見出したのは、容器詰緑色野菜含有飲料のpHが所定の
範囲内であれば、野菜本来の風味及び色合いが両立できることである。このような知見に
基づいて本願発明者が完成した発明は、次のとおりである。
本発明に係る容器詰緑色野菜含有飲料は、その−a/b値が0.1以上であり、かつ、
pHが4.6乃至6.5である。
本発明が提供できるのは、容器詰緑色野菜含有飲料であって、野菜本来の新鮮な風味及
び色合いが両立したものである。
容器詰緑色野菜含有飲料の色合いの経時変化を示す関係図
<容器詰緑色野菜含有飲料>
本発明に係る容器詰緑色野菜含有飲料(以下、「本飲料」という。)とは、飲料であっ
て、その原材料が少なくとも緑色野菜であり、かつ、容器充填されるものである。緑色野
菜に含まれる色素は、少なくとも、クロロフィルである。容器を例示すると、PET、缶
、紙等である。また、本飲料の内容物は、殺菌されている。さらに、容器詰緑色野菜含有
飲料を流通させる温度帯は、好ましくは、いわゆるチルド(冷蔵)帯である。具体的には
、チルド帯とは、10℃以下であって、凍結しない温度帯である。これに対して、従来の
飲料の流通温度帯は、20乃至30度程度である。また、本飲料の賞味期間は、従来の容
器詰緑色野菜含有飲料の比して短く、具体的には、製造日から11日以内である。
<pH調整>
本飲料の性質は、低酸性である。そのような低酸性飲料が呈するのは、適度な酸味であ
る。低酸性とは、pH4.6〜6.5である。pHを調整する手段は、食品又は食品添加
物の使用である。pHを下げる方法を例示すると、酸性食品(例えば、レモン果汁等)の
配合、やpH調整剤(例えば、クエン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウ
ム等)の添加等である。pHを上げる方法を例示すると、pH調整剤(例えば、炭酸カリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナト
リウム等)の添加である。
<色合い>
本飲料が呈するのは、緑色野菜の自然な緑色である。色合いを一般的に表すは、L*a
*b*(エル・スター、エー・スター、ビー・スター)表色系である。L*a*b*表色
系の指標は、明度(L*値)、色度(色相及び色彩)(a*値、b*値)である。各値を
測定する機器は、市販されている。本発明が採用する指標は、色度である。緑色の評価指
標は、−a*/b*値(本明細書中及び特許請求の範囲では、「−a*/b*」値を単に
「−a/b」とする。)である。緑色野菜の自然な緑色が呈される条件は、−a/b値が
0.1以上である。その裏付けは、後述するとおり、目視による官能評価結果(表1)で
ある。
<原材料>
本飲料が含有するのは、緑色野菜である。緑色野菜が少なくとも含有するのは、クロロ
フィルである。緑色野菜を例示すると、大麦若葉、クレソン、ホウレンソウ、ケール、プ
チヴェール、小松菜、明日葉、キャベツ、メキャベツ、ハクサイ、チンゲンサイ、ダイコ
ンの葉、ミズナ、ブロッコリー、サラダナ、ワサビ、カラシナ、セロリ、パセリ、アスパ
ラガス、ピーマン、キュウリ、ズッキーニ等である。これらの緑色野菜の加工形態は、本
飲料の新鮮な風味が損なわれなければ、不問であり、例えば、固形状、搾汁液でもよく、
これらのうち1又は2以上を組み合わせてもよい。
本飲料が含有するのは、緑色野菜であるが、これに混合しうるものは、飲料一般で使用
される野菜及び果実である。混合可能な野菜を例示すると、トマト、ニンジン、タマネギ
、カブ、パプリカ、ダイコン、カボチャ、ゴボウ、モヤシ等である。混合可能な果実を例
示すると、柑橘類(ミカン、夏ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、
イヨカン、ハッサク、直七、ユズ、カボス等)、いちご、クランベリー、ラズベリー、ブ
ルーベリー、カシス、ブラックベリー、パッションフルーツ、パパイヤ、マンゴー、メロ
ン、スイカ、バナナ等である。これらの加工形態は、本飲料の自然な緑色及び新鮮な風味
が損なわれなければ、不問であり、例えば、固形状、搾汁液、さらには市販の濃縮汁やペ
ースト等であってもよく、こらのうち1又は2以上を組み合わせてもよい。
<本飲料の製造方法>
本飲料の製造方法を構成するのは、破砕工程、搾汁工程、調合工程、殺菌工程、充填工
程及び冷却工程である。これらの工程の一般的な説明のために本願明細書が取り込むのは
、最新果汁・果実飲料辞典(社団法人日本果汁協会監修)の内容である。本実施の形態に
特有な事項の説明は、以下のとおりである。
破砕工程では、緑色野菜を破砕又は摩砕される。本実施の形態で破砕される野菜は、少
なくとも、緑色野菜であり、より具体的には、小松菜である。緑色野菜の加工で一般的に
実施される処理方法は、破砕前の加熱である。例示すると、熱水中でのブランチング、あ
るいは蒸気加熱である。しかし、本製法では、破砕工程前に、緑色野菜(例えば、小松菜
)は、加熱されない。非加熱の理由は、熱による緑色劣化の防止であり、クロロフィルの
分解防止である。本製法では、緑色野菜以外の原料の破砕は、省略されてもよい。
調合工程では、当該搾汁が混合撹拌され、それで得られるのは、調合液である。本製造
方法が排除しないのは、各食品添加物の添加である。食品添加物を例示すると、香料、着
色料、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤、栄養強化剤等である。もっとも、これ
らの物質は、本来の風味を実現する観点から、添加しないことが好ましい。また、色合い
を保持するための添加物(例えば、金属イオン及びその塩)も添加しないことが好ましい
殺菌工程では、調合液が殺菌される。殺菌方法は、様々であるが、その一例は、加熱で
ある。殺菌条件が従うのは、各種規格(社内規格、業界規格等)であるが、従来の容器詰
緑色野菜含有飲料の加熱条件よりも緩やかでよい。破砕物は、緑色保持の観点から殺菌さ
れるまで、5度乃至35度である(いわゆる非加熱処理)。
充填工程では、殺菌された調合液が容器詰される。その後、容器は、密封される。容器
を例示すると、プラスチックカップ、金属缶、紙容器、ペットボトル、ビン等である。紙
容器が含むのは、紙容器であってその内部を保護する手段が金属箔やプラスチックフィル
ム等であるが、これに限らない。
冷却工程では、殺菌された調合液又は密封された容器が冷却される。本発明において排
除しないのは、殺菌工程前における冷却工程である。冷却されるのは、破砕物、搾汁、又
は調合液である。冷却方法を例示すると、冷媒を用いた熱交換である。
本実施例において、本飲料を具現化したのは、実施例1及び2である。言うまでもなく
、これらの実施例によって、本発明に係る特許請求の範囲は限定されない。
<実施例1>
実施例1において配合したのは、小松菜(Brix=2.0)、ニンジン透明濃縮汁(
Brix=60)、リンゴピューレ(Brix=30)、リンゴ透明濃縮汁(Brix=
70)である。各原料を配合した量は、表1のとおりである。なお、小松菜はミキサーに
よる破砕処理を行い、破砕前から他の原料との混合に至るまでは非加熱の状態で処理を行
った。各原料を混合した後、加水及び均一化し、炭酸ナトリウム水溶液でpHを4.6に
調整した。その後、フィルムに充填し、沸騰湯浴中で2分間加熱処理を行った。加熱後は
、氷水で十分に冷却した。以上の手順で得られた飲料について、色合い測定を行った。色
合いの経時変化を確認するため、試料を200g容PETボトルに充填し、10℃にて1
1日間保管した。
<実施例2>
実施例2は、炭酸ナトリウムでpHを5.0に調整した以外は、実施例1のものと同様
である。
<比較例1>
比較例1は、小松菜を沸騰水中で2分間ブランチングした後に破砕処理を行ったこと、
炭酸ナトリウム水溶液でpHを4.2に調整したこと以外は実施例1と同様である。
<比較例2>
比較例2は、炭酸ナトリウム水溶液でpHを4.6に調整したこと以外は比較例1と同
様である。
<比較例3>
比較例3は、炭酸ナトリウム水溶液でpHを5.0に調整したこと以外は比較例1と同
様である。
<色合いの測定方法>
色合いを測定した分析機器、及び測定条件次のとおりである。各試料は30mmの専用
シャーレに入れ、測定を実施した。
(分析機器) 分光測色計 CM−3500d型(コニカミノルタ製)
(測定条件) 正反射処理:SCE
測定方法:反射率測定
測定径:30mm
光源:D65
視野:10°
表色系:L*a*b*
<各試料の測定結果及び官能評価結果>
表1が示すのは、各試料の配合量、色合い測定結果及び官能評価結果である。実施例1
及び2、並びに比較例1乃至3について風味、及び目視による官能評価を行った。当該評
価は、3名のパネルによるものであり、具体的な評価基準は、次のとおりである。
風味について:
○:野菜本来の新鮮な風味が保持されている
×:野菜本来の新鮮な風味が損なわれている
色合いについて:
○:緑色野菜の自然な緑色が保持されている
×:褐色が強く、緑色野菜らしい色とはいえない
参考として、小松菜を破砕処理したものの色合いを測定したところ、−a/b値は0.
81であった。このことから、−a/b値が高いほど、緑色野菜の自然な緑色が表れてい
ることが理解できる。
<考察>
官能評価結果を鑑みた場合、実施例1及び2においては、風味は製造から11日後の段
階においても緑色野菜である小松菜特有の新鮮な風味を呈しており、また、色合いは製造
後11日間、10℃にて保管した場合においても、緑色野菜特有の自然な緑色が保持され
ている結果となった。一方で、比較例1乃至3においては、いずれも緑色野菜である小松
菜の新鮮な風味は損なわれており、野菜本来の風味が活かされた品質ではなかった。また
、図1が示すとおり、色合いについては、製造からの経時的な変化による褐変の進行度合
いが強く、製造から4日後の段階で緑色野菜らしい色とは判断できないものとなっていた
以上の評価結果を考察すると、緑色野菜の非加熱処理を行った場合、野菜本来の新鮮な
風味が保持され、かつ、緑色野菜の自然な緑色が保持されるのは色合い−a/b値が0.
1以上の場合であることが分かった。これにより、緑色野菜を非加熱状態で処理すること
は、野菜本来の新鮮な風味を保持するとともに、退色抑制効果が得られることが分かった
なお、製品の陳列棚における光の影響を考慮し、8,000ルクスの光照射で虐待試験
を行った。試験品は実施例2と同じである。10℃で保管し、0日、4日、7日、10日
経過時点の−a/bを測定した。結果は、0.50、0.17、0.04、0.01であ
った。この結果より、光照射による退色は、比較例1乃至3に比べ緩やかであった。した
がって、本発明の条件においては光による退色の影響は僅少であった。
本発明が有用な分野は、野菜飲料である。

Claims (8)

  1. 容器詰緑色野菜含有飲料であって、
    その流通温度帯は、チルド帯であり、
    そのpHは、4.6乃至6.5であり、かつ
    その−a/b値は、0.1以上であり、
    それが含有する緑色野菜は、その破砕前に加熱されていないものである、
    もの。
  2. 容器詰緑色野菜含有飲料であって、
    その流通温度帯は、チルド帯であり、
    そのpHは、4.6乃至6.5であり、かつ、
    その製造から7日後の−a/b値は、0.13乃至0.21 である、
    もの。
  3. 容器詰緑色野菜含有飲料であって、
    その流通温度帯は、チルド帯であり、
    そのpHは、4.6乃至6.5であり、かつ、
    その製造から4日後の−a/b値は、0.17乃至0.26である、
    もの。
  4. 請求項1乃至3の何れかの飲料であって、
    緑色の由来は、クロロフィルである、
    もの。
  5. 請求項1乃至4の何れかの飲料であって、
    金属イオン及びその塩、並びに着色料が無添加である、
    もの。
  6. 請求項2乃至5の何れかの飲料であって、
    それが含有する緑色野菜は、その破砕前に加熱されていないものである、
    もの。
  7. 請求項1乃至6の何れかの飲料であって、
    それが含有する緑色野菜は、その破砕後殺菌前まで加熱されていないものである、
    もの。
  8. 請求項1、6、7の何れかの飲料であって、
    前記緑色野菜は、小松菜である、
    もの。
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