以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、本実施の形態における撮影遊戯機の外観を示す斜視図である。撮影遊戯機は全体として、複数のユーザが入り込むことが可能な略直方体形状の箱型の装置である。撮影遊戯機は、おおまかに撮影エリアA及び編集エリアBに分けることができ、夫々のエリアA,Bに複数の機器が設けられて構成される。
撮影エリアAには、事前接客部1及び撮影部2に係る機器が設けられている。事前接客部1は撮影エリアAの外側に向けて設けられているコイン投入口、タッチパネル式ディスプレイ及びスピーカ等を含んで構成されており、ユーザの撮影前のコインの投入、名前の登録等の操作を受け付ける。撮影部2は、撮影エリアA内部の壁面に内側に向けて設置されているカメラ21、ディスプレイ22、照明装置群23、及びスピーカ24(図2参照)を含んで構成されており、ユーザに撮影ガイドを表示し、音声で案内しながら複数回に分けて画像を撮影し、撮影された画像を編集部へ出力する処理を行なう。
編集エリアBには、第1編集部3a、第2編集部3b(図2参照)及び印刷部4に係る機器が設けられている。第1編集部3aは編集エリアBの中央部に操作画面表示用のマルチタッチパネル式のディスプレイ30aをユーザが操作しやすい高さに露出させた装置を含んで構成されている。第1編集部3aは更にスピーカ33a及び照明装置、並びにディスプレイ30a用のタッチペン31a,32a(図2参照)を備えている。第1編集部3aは、ユーザを撮影した撮影画像に基づく画像への落書き操作をディスプレイ30a及びタッチペン31a,32aにて受け付け、受け付けられた操作に対応する画像処理を実行する。第2編集部3bは第1編集部3a同様に構成され、第1編集部3aと背中合わせの位置に設けられている。印刷部4は、編集エリアBの第1編集部3a、第2編集部3bを含む装置の筐体内に設けられるプリンタを含んで構成され、画像処理後の画像が印刷された写真シールシートを筐体の表面に設けられている吐出口から吐き出す。
図2は、本実施の形態における撮影遊戯機の構成を示すブロック図である。撮影遊戯機は、撮影エリアA及び編集エリアBにおけるユーザから視認可能な範囲に上述の事前接客部1、撮影部2、第1編集部3a、第2編集部3b及び印刷部4を備えているほか、撮影エリアA内の壁面に隠された箇所、又は編集エリアBの装置の筐体内部等に、通信部5と制御機構とを備えている。
通信部5は、インターネット等の外部ネットワークに接続して撮影された画像を含むデータの送受信を実現する。通信部5は制御機構に接続されており、制御機構は通信部5を介して外部ネットワーク上のサーバ装置と通信し、データの送受信を行なうことが可能である。本実施の形態における撮影遊戯機では、通信部5が撮影によって得られた画像データを撮影遊戯機のメーカが管理するサーバ装置へ送信する。これによりユーザはサーバ装置から自身の撮影画像を、所謂スマートフォン、タブレット端末、PC(Personal Computer )等の情報端末装置によってダウンロードし、情報端末装置内の記憶装置に記憶させることが可能である。
制御機構は、上述した各ハードウェアを制御するPCと、各ハードウェアが接続されているバス100を含む制御基板と、各ハードウェアに電力を供給する図示しない電源部とにより構成される。PCは1つのPCで構成されてもよいが、処理を円滑化するために、事前接客部1を制御するPC、撮影部2を制御するPC、第1編集部3aを制御するPC、第2編集部3bを制御するPC、並びに印刷部4及び通信部5を制御するPC、のように制御対象毎に異なるPCを用いてもよい。なお以下の説明では、印刷部4における処理の前段階となる合成画像の作成処理について主に説明する。このため、仮想的に第1PCと第2PCとに分別して説明する。第1PCは、事前接客部1及び撮影部2における処理を制御する制御部6に対応する。第2PCは、撮影部2により得られた画像に対する所定の加工処理、第1編集部3a及び第2編集部3bによる編集の受け付け、及び、これらに基づく合成を含む画像処理を制御し、印刷部4における印刷出力、並びに通信部5からのデータ送信を指示する画像処理部7に対応する。
制御部6は、第1PCに備えられたCPU(Central Processing Unit )60と、メモリ61と、HDD(Hard Disk Drive)62と、キャプチャ・クロマキーボード63とを含む。メモリ61はDRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSDRAM(Synchronous DRAM)等のRAMを用い、HDD62に替えてフラッシュメモリ、又はSSD(Solid State Drive )等の他の不揮発性記憶装置を用いてもよい。
CPU60は、HDD62に記憶されている制御プログラム6Pを読み出し、メモリ61に各種情報を読み書きしながら前記制御プログラム6Pを実行することにより、以下の各機能を実現する。
CPU60は、事前接客部1のコイン投入口にて所定料金の投入を受け付けた場合に事前接客部1から出力される制御信号を入力し、タッチパネル式のディスプレイに操作画面を出力させ、スピーカから案内音声を出力させる。また、CPU60は、事前接客部1のディスプレイに表示されている操作画面上の操作に対応する情報を事前接客部1から入力する。具体的にはCPU60は、タッチパネル式のディスプレイ上の操作により、ユーザの名前、通信部5からの送信先アドレスに係る情報等を入力する。
CPU60は、撮影部2にてカメラ21から得られるモニタ用の映像信号をキャプチャ・クロマキーボード63が入力するように制御し、キャプチャ・クロマキーボード63から映像信号に含まれる各フレームの画像データを取得し、取得したフレームの画像データに基づいてライブ画面用の画像の映像信号を作成し、作成した画像信号をディスプレイ22へ出力する。またCPU60は、撮影開始及び案内をユーザに通知するための撮影ガイドの画像信号をディスプレイ22へ出力し、音声信号をスピーカ24へ出力する。
CPU60は、撮影部2のカメラ21による撮影と照明装置群23によるフラッシュ点灯とを同期させて撮影を行なう。なおCPU60は、カメラ21による撮影を複数回実行する。CPU60は、撮影により得られる画像の複数の画像データをカメラ21から取得し、夫々を区別できるように識別情報を付与してHDD62に記憶すると共に、複製して画像処理部7へ出力する。
HDD62は、CPU60が参照する各種情報を記憶する。HDD62は、CPU60が実行する制御プログラム6Pを予め記憶している。HDD62は、制御プログラム6Pのほかに、事前接客部1のディスプレイ及び撮影部2のディスプレイ22に表示する画像及びフォントデータ、事前接客部1のスピーカ及び撮影部2のスピーカ24から出力させる音声及び音楽等のデータを予め記憶している。また、HDD62には、撮影部2における写真撮影で得られる画像データが記憶される。
キャプチャ・クロマキーボード63は、キャプチャ機能及びクロマキー機能を有する回路基板である。キャプチャ・クロマキーボード63は、映像信号から毎秒30(29.97)枚のフレームの画像データを取得して静止画像として出力するキャプチャ機能を有する。またキャプチャ・クロマキーボード63は、静止画像から一定の範囲で所定の色調及び明度を有すると判断される画素を抽出し、抽出した画素に対してα値(透明度)を設定することにより一部の色を透明化して出力するクロマキー機能を有する。キャプチャ・クロマキーボード63は、カメラ21からのモニタ用の映像信号から順次フレームをキャプチャし、キャプチャして得られた静止画像に必要に応じてクロマキー処理を実行し、内蔵するメモリに書き込む。CPU60は、キャプチャ・クロマキーボード63内蔵のメモリから静止画像を順次読み出して、撮影部2のディスプレイ22に表示するライブ画面用の画像の画像信号を作成する。
画像処理部7は、第2PCに備えられたCPU70と、メモリ71と、HDD72と、グラフィックボード73とを備える。メモリ71は、DRAM又はSDRAM等のRAMを用いる。
CPU70は、HDD72に記憶されている画像処理プログラム7Pを読み出し、メモリ71に各種情報を読み書きしながら前記画像処理プログラム7Pに基づく画像処理を実行する。またCPU70は、制御部6から出力された画像データを、付与されている識別情報と共にメモリ71又はHDD72に記憶し、該画像データを基に加工処理を行なう。加工処理には、画像中の人物の顔を小顔にする加工、顔の頬部分の色味を明るくする(チーク)加工、髪に艶を出す加工、髪色を明るくする加工、目を大きくする加工、体のラインを細く見せるための加工、脚を長く見えるようにする加工等、種々の加工が含まれる。なおこれらの加工処理の内の一部では、加工具合の強弱(多少)を複数の段階に分けて実行する。CPU70は、加工の種類毎に段階数分だけ複製した画像データをメモリ71又はHDD72に記憶し、各画像データに夫々の段階で加工処理を実行し、加工後の複数の画像データをメモリ71又はHDD72に記憶する。
更にCPU70は、メモリ71又はHDD72に記憶してある撮影により得られた上述の加工処理前及び加工処理後の複数の画像データに基づき、第1編集部3a又は第2編集部3bにて落書き操作を受け付ける。CPU70は、落書き操作として受け付けた操作の内容に応じて、合成画像データを作成する処理を実行する。CPU70は、作成された合成画像データに基づき画像を写真シールシートに印刷出力する処理、合成画像データ又は合成処理前の画像データを通信部5から外部サーバ装置へ送信する処理を実行する。
なおHDD72は、CPU70が参照する各種情報を記憶する。HDD72は、CPU70が実行する画像処理プログラム7Pを予め記憶している。またHDD72は、合成用の素材である文字、フォントデータ、背景画像、及び前景画像等のデータを予め記憶している。また、HDD72は、受け付けた編集に基づく画像処理により得られた画像データ、合成後の画像の画像データが記憶される。
グラフィックボード73は、入力した画像データ及び描画命令に基づいて画像を描画し、描画した画像の画像データを出力するハードウェアである。CPU70は、制御部6から取得して記憶した画像データに対する画像処理を、グラフィックボード73を用いて行なう。具体的には、CPU70は画像データと、目的の画像を得るための描画命令とをグラフィックボード73に与えて処理を行なわせ、描画処理によって得られた画像の画像データをグラフィックボード73内蔵のメモリから入力する。描画処理には、拡縮、回転、移動、クロマキー機能、トリミング機能、α化機能、明度又は色調等の調整機能、フィルタ機能、合成機能等が含まれる。
図3は、本実施の形態の撮影遊戯機にて実行される全体処理の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、事前接客部1のタッチパネル式のディスプレイにおける操作及びコイン投入を制御部6のCPU60によって検知した場合に開始される。
CPU60は、事前接客部1のディスプレイにて、ユーザの名前の入力、撮影モード、又は出力されるシートデザインの選択等を受け付ける(ステップS101)。CPU60は、撮影エリアAの空き状況を確認した上で、空いている場合に移動を促す案内画面を事前接客部1のディスプレイに表示させると共に、案内音声を出力させる(ステップS102)。
CPU60は、撮影エリアA内にて撮影部2のディスプレイ22に、ステップS101で選択された撮影モード又はシートデザインに応じた撮影内容の案内画面を表示させ、案内音声及びBGMをスピーカ24から出力させる(ステップS103)。このとき、CPU60は、カメラ21からの映像信号に基づくライブ画面と共に撮影開始までのカウントダウンを示す文字又は画像をディスプレイ22に表示させ、カウントダウンの音声をスピーカ24に出力させる。
CPU60は、ステップS101で選択された撮影モード又はシートデザインに応じて、撮影部2のカメラ21及び照明装置群23を制御して複数回の撮影を実行し(ステップS104)、複数回の撮影により得られる画像データを相互に識別することが可能にHDD62に記憶する(ステップS105)。ステップS104における各回の撮影では、ステップS101で選択された撮影モード又はシートデザインに応じて、顔のアップの撮影及び全身の撮影を区別する。このときアップなのか全身なのか等に応じて適切なカメラ21の傾き、画角、照明の明暗で撮影が実行されるように制御するとよい。
撮影が完了するとCPU60は、編集エリアBの空き状況を確認した上で、空いている場合に編集エリアBの第1編集部3a及び第2編集部3bの何れかへの移動を促す案内画面をディスプレイ22に表示させると共に、案内音声をスピーカ24から出力させ(ステップS106)、撮影エリアAにおける処理を終了する。
次に画像処理部7における処理に移行する。画像処理部7のCPU70は、制御部6によりHDD62に記憶された画像データを取得する(ステップS107)。CPU70は、取得した複数の画像データ毎に、所定の画像処理を実行する(ステップS108)。ここで所定の画像処理とは例えば以下のような処理である。CPU70はステップS108において、得られた複数の画像データに基づく画像から夫々、人物被写体を特定し、特定された人物被写体のマスク画像を作成し、人物被写体が適切に納まるようにトリミングを実行し、抽出した1又は複数の人物被写体領域毎に、顔認識技術に基づいて顔領域(輪郭)、並びに顔領域内の目、鼻、及び口の領域を特定し、特定された領域に基づいて顔を小顔にする加工、顔の頬部分の色味を明るくする(チーク)加工、髪に艶を出す加工、髪色を明るくする加工、目を大きくする加工、体のラインを細く見せるための加工、脚を長く見せる加工等の加工処理を実行する。
CPU70は、ステップS108の画像処理後、次の落書き操作画面を第1編集部3aのディスプレイ30aに表示させると共に、案内音声及び音楽をスピーカ33aから出力させる(ステップS109)。CPU70は、落書きを実行するか否かについてユーザの選択を受け付ける(ステップS110)。このとき、落書き操作画面には、落書きがどのように合成されるかを示すプレビューを含む画面が表示される。後述する処理によっては、落書きにて受け付けた文字追加、スタンプ画像の貼り付け等とミスマッチになる可能性があるため、ユーザに確認することが必要になる。ステップS110にて落書きの実行が選択された場合、ディスプレイ30a及びタッチペン31aにて落書き操作を受け付ける。
CPU70は、撮影により得られた画像データに基づくステップS108の画像処理後の画像に基づいて、ステップS101で選択されたシートデザインに応じた画像作成処理を実行する(ステップS111)。CPU70は、ステップS109にて落書き操作が行なわれた場合には、落書き操作で受け付けた文字又は画像を合成した場合の写真シールシートのプレビュー画面をディスプレイ30aに表示させる(ステップS112)。
CPU70は、印刷部4のプリンタが使用中でないか否かを確認した上で、使用中でない場合に印刷部4のプリンタにて写真シールシートの印刷出力を開始させる(ステップS113)。印刷出力処理が行なわれている間に、CPU70は、撮影された複数の画像の内、情報端末装置から入手可能とする画像の選択、画像データのアクセス先の選択等の操作をディスプレイ30aにて受け付ける(ステップS114)。CPU70は、受け付けた操作に応じて選択された画像の画像データを外部サーバ装置へ送信する(ステップS115)。なおステップS115では従来、上述の処理で落書き操作を受け付けた場合、落書きの文字又は画像を合成する前の画像の画像データを送信する構成としてきた。しかしながら、ステップS113で落書きの文字又は画像を合成しない画像を印刷出力し、ステップS115にて落書きの文字又は画像を合成した画像の画像データを送信するようにしてもよい。ディスプレイ30aに印刷部4の前への移動を促す案内画面を表示させると共に、案内音声を出力させて(ステップS116)、処理を終了する。
図4は、画像処理部7にて実行される画像作成処理の手順の一例を示すフローチャートである。図4のフローチャートに示す処理手順は、図3のフローチャートにおけるステップS111の詳細に対応する。
CPU70は、選択されているシートデザインがパターンAであるか否かを判断する(ステップS201)。ステップS201にてパターンAであると判別された場合(S201:YES)、CPU70は、複数回の撮影により得られた複数の画像(人物被写体領域)に対して、彩度を低下させるフィルタ処理を実行し(ステップS202)、処理後の画像を全て並べるように配置させる(ステップS203)。CPU70は、配置された複数の画像上を覆うように、複数の画像に亘る文字、図形又は模様を含み、且つ背景が所定の色味を有して半透明化されている画像を重畳させ(ステップS204)、図3のステップS112へ処理を戻す。
なおステップS204では、元の画像に半透明画像を重畳させるように処理したが、これに代替して、色調を変更させるフィルタ処理を行なってもよい。詳細には、CPU70は、ステップS203で配置された画像に対して全体に同一の色調変更処理(セピア、モノトーン、所謂トイカメラ、アンティーク等、元の画素値に基づいて各画素値を再演算するフィルタ処理)を行なってから、複数の画像に亘って文字、図形又は模様を含み、且つ背景が透明化されてある画像を重畳させるように画像を作成してもよい。
ステップS201にてパターンAでないと判断された場合(S201:NO)、CPU70は、選択されているシートデザインがパターンBであるか否かを判断する(ステップS205)。ステップS205にてパターンBであると判断された場合(S205:YES)、CPU70は、複数回の撮影により得られた複数の画像の全てに対して複製を複数作成し(ステップS206)、作成した複製を、画像の縦横比を維持したまま大きさを異なる縮小率で縮小する(ステップS207)。縮小した複製を同一のフィルタ処理(例えば近傍8画素平均)によりぼかし処理を施し(ステップS208)、元の複数の画像と、異なる縮小率で縮小させた複数の複製とを、所定の矩形状の枠内に、元の複数の画像が最も前面に出力されるように配置し(ステップS209)、縮小させた複数の複製上には所定の半透明画像を重畳させ(ステップS210)、処理を図3のステップS112へ戻す。
ステップS205にてパターンBでないと判断された場合(S205:NO)、CPU70は、選択されているシートデザインがパターンCであるか否かを判断する(ステップS211)。ステップ211にてパターンCであると判断された場合(S211:YES)、CPU70は、複数回の撮影により得られた複数の画像の内、特定の画像を歪曲させ(ステップS212)、他の画像と共に所定の矩形状の枠内に配置し(ステップS213)、処理を図3のステップS112へ戻す。
なおステップS212,S213における処理では、CPU70は、複数の画像内の特定の複数の点を、各々予め設定されている座標に貼り付けるようにすることで歪曲及び回転縮小を実現する。例えば、矩形状の画像の四隅を、四つ角が直角でない四角形の四隅に合わせるようにして画像を歪曲させる。又は矩形状の画像内の複数の点を、円形内の各点に合わせるようにして球状に見えるように歪曲させるようにしてもよい。左右又は上下反転させるようにしてもよい。なお取得される画像データに基づく画像は矩形には限られない(トリミングされている場合あり)から、画像内の複数の点を基準として各点の移動先の位置を指定することで自由な歪曲を行なうようにしてもよい。
またステップS212,S213の処理では、奥行き及び立体感をより現実的に表すために、遠近法を考慮して画像を歪曲させるようにしてもよい。
ステップS211にてパターンCでないと判断された場合(S211:NO)、その他のパターンであると判別されるのでCPU70は、複数回の撮影により得られた複数の画像を夫々、回転、縮小、又は自由な形状に切り出すなど加工し(ステップS214)、所定の矩形状の枠内に配置する(ステップS215)。これにより画像作成処理は終了し、CPU70は処理を図3のステップS112へ戻す。
図4のフローチャートで説明した各パターンA,B,Cにて作成される画像について具体的に図面を参照して説明する。図5は、本実施の形態における撮影遊戯機によって得られる写真シールシートの一例を示す説明図である。図5に示す一例は、図4のフローチャートにおいて、パターンAのシートデザインに応じてステップS202〜S204の処理によって作成される画像である。図5に示すように、撮影により得られた複数の画像が並べられ、彩度を下げる処理が行なわれてから、全体に亘ってハッチングに示すように背景が半透明の画像が重畳されている。これにより撮影により得られた画像における人物被写体に対応する画像の鮮明さは低下している。しかしながら、その分だけ人物被写体の映りの良し悪しの印象が薄くなり、しかも人物被写体の雰囲気は残っているから、全体として人物被写体がデザインの中に溶け込んでいる。更に図5に示すように、人物被写体を各含む複数の画像上に亘って不透明の英字(文字)及び図形が重畳されている。これにより、映りの良し悪しの印象は更に薄くなり、写真シールシート全体としてのデザインの中に人物被写体の画像が更に溶け込む。これにより、シールシートのデザインの印象が強まっている。
図5に示した例は、複数の画像を並べた画像に対して色調を変更するフィルタ加工を実際に施し、その上に英字及び図形を重畳するようにしても同様に得られる。色調を変更するフィルタ加工は例えば所謂セピア、モノトーン、トイカメラ、アンティーク等と呼ばれるフィルタ処理である。
図5に示したように、パターンAでは、複数の画像全面に亘って彩度を下げ、色調を不鮮明の方向へ変更するような画質変更が行なわれ、更に、複数の画像に亘る文字又は図形の画像が重畳されて画像が作成される。図5に示した例は謂わば、デザインが前面に主として表現され、ユーザを撮影した人物画像は背景化され、主であるデザインに対して補の関係にある。これによって逆に、1つの写真シールシートとしての完成度が高まり、更に英字及び図形から想起されるストーリー性の印象が強まり、これによって写真シールシートのデザイン性が高められ、ユーザ満足度の向上が図られる。
なお図5に示した例では、1つの写真シールシート全体に複数の画像を敷き詰めるようにして並べ、複数の画像に亘る英字及び図形を重畳させた。しかしながら、複数の画像の配置はこれに限られない。例えば、複数の画像を所定の間隔を開けて配置する構成としてもよいし、写真シールシート内で上部及び下部に分けるようにして配置するようにしてもよい。更に、複数の画像の内の一部又は全部を回転させて配置するようにしてもよい。複数の画像夫々は矩形画像であることにも限定されるべきではない。複数の画像は、写真シールシートとしてのデザインの世界観に影響を与えない範囲で自由に配置されてよい。
図6及び図7は、本実施の形態における撮影遊戯機によって得られる写真シールシートの他の一例を示す説明図である。図6及び図7に示す一例は、図4のフローチャートにおいてパターンBのシートデザインに応じてステップS206〜S210の処理によって作成される画像である。図6及び図7に示すように、撮影により得られた複数の画像全ての複製が作成され、それらが異なる縮小率で縮小された上で、複製にはぼかし処理が施されている。図6及び図7に示すように、より高い縮小率で縮小されたぼかし処理後の複製が奥になり、複製元の画像が前面となるように配置されていることで、写真シールシートにこれまでにない立体感、奥行き感が生じている。更に、最も縮小された複製には所定の半透明画像が重畳されて更に不鮮明になっており、背景画像に溶け込んでいる印象を与える。このように、最も前面に表されている画像と同一の画像(複製)がぼかされて背景画像に溶け込むことで、全体として人物画像がデザインの中に溶け込む。この効果は背景画像がイラストではなく実写系(図6及び図7では線図で表されている)のものである場合、特に顕著である。また図6及び図7の例では、写真シールシート内の背景画像が占める割合が高いので、特に図7に示すように背景画像に季節感を表現する画像(雪の結晶など)を配置する自由度が高まり、写真シールシート全体としてのデザイン及びそのストーリー性の印象を強めることが可能になる。
なお図6及び図7に示した例では、ぼかし処理の程度によって立体感又は奥行き感が表現されているが、これに限られない。たとえばぼかし処理に代替して、上述のパターンAについて示したような色調変更処理の強度を、縮小率が高い画像ほど強くかけるようにしても、立体感又は奥行き感を表現することが可能である。更に、他の画像処理(フィルタ)の強度を縮小率に応じて変更して施すことによっても、奥行き感を表現することが可能である。
図8〜図13は、本実施の形態における撮影遊戯機によって得られる写真シールシートの他の一例を示す説明図である。図8〜図13に示す一例は、図4のフローチャートにおいてパターンCのシートデザインに応じてステップS212〜S213の処理によって作成される画像である。図8〜図13のいずれにおいても、非矩形状に歪曲された画像が配置されている。
図8及び図9に示す例では、画像が背景のイラスト内に自然に嵌め込まれるように歪曲されて配置されている。図8の例ではスマートフォンの画面の壁紙画像として画像が嵌め込まれており、図9の例では、アルバムの1ページの中の1枚の写真として画像が嵌め込まれている。図8及び図9の例ではいずれも、スマートフォンの画面又はアルバムのページから人物画像が飛び出しているような表現がなされている。また図8及び図9では、写真シールシートの背景画像が占める割合が高いので、写真シールシート全体としてのデザイン及びそのストーリー性の印象を強めるイラスト等を表現し、更に撮影により得られたユーザ自身の人物画像がそのイラスト内に溶け込み、ユーザがイラストで表現される世界観に入り込んだように表現される。これにより、1つの写真シールシートでストーリー性を強く感じさせることが可能になる。
また図10及び図11でも、背景画像の中にユーザを撮影した人物画像が嵌め込まれている。図10では、屋外の空からユーザを撮影した写真が降ってくるような様子が表現され、被写体であるユーザ自身が、背景画像内のオフィスビルの窓から降ってくる写真を眺めている様子が表現されている。図11では、ユーザの全身を撮影した画像が中央に配置されており、その画像を左右反転させて更に台形状に歪曲させた鏡像が隣に配置されている。背景として室内を表した画像又はイラストが配置されており、これによってユーザがミラーに映っている様子が表されている。
図8〜図11に示したように、ユーザを被写体として撮影した画像が背景内に自然に嵌め込まれるように歪曲されて配置されることで、ユーザが写真シールシートの世界観に入り込んだように表現される。これにより、1つの写真シールシートでストーリー性を強く感じさせることが可能になる。
図12及び図13では、撮影により得られた画像を各面に有する箱及び立方体が表現されている。図12では、箱の内面に貼り付けられるようにして画像が歪曲されて配置されている。図13では、複数の立方体の各面に貼り付けられるようにして画像が歪曲されて配置されている。撮影により得られた画像を立体の面に貼り付けるように歪曲させることで、立体感が生まれており、斬新なデザインが表現され、画像データとしては得られ難いデザイン性が高い1つの写真シールシートを実現することが可能になる。
図8〜図12の例では、画像の歪曲の例として主に、矩形画像を台形(等脚台形を含む)の画像へと変形させる例を示しているが、図9に示したように対辺が円弧状となった瓦形状への変形のほか、菱形、平行四辺形等への変形であっても歪曲となる。図8又は図9に示すように、スマートフォン、テレビジョン、PC等における表示面、本又は雑誌等の印刷物の紙面、壁面又は多面体などの表面、鏡等の鏡面など、上下又は左右に傾いた面に画像が映し出されている又は貼り付けられているように見えるような変形でも歪曲である。三次元的に奥行き方向へ回転させて二次元的に射影した結果も歪曲して見える。矩形画像を変形させる場合、変形後の画像の内角の少なくとも2つが90度でなければよい。なおこの場合、変形後にトリミングがなされて結果的に矩形画像として見えるとしても、元の画像が上述に示したような変形によって歪曲されているのであれば歪曲となる。
また図12及び図13に示す例では、矩形画像を箱内の各面又は立方体に貼り付けるようにして複数の画像が配置されているがこれに限られない。例えば、球面又は曲面上に歪曲されて配置されてもよいし、多角体の面上に配置されてもよく、これらの立体感を生じさせるような配置によって斬新さを表現することが可能である。
更に、図5〜図13に示したパターンA,B,Cに分けられている歪曲又は変質は、写真シールシートのデザインの世界観に影響しない範囲で適宜組み合わせて実現されてよい。
このように、画質を不鮮明な方向に変質させること及び歪曲を許容することによって背景画像又は前景画像等の素材、又はレイアウトとの間で世界観の乖離が埋められ、撮影遊戯機で設定されている演出通りの印象を与える写真シールシートを実現できる。演出通りの出力が可能であるから、写真シールシートのデザイン性をより高め、シートの価値を高めて写真シールシートが出力されること自体の喜びを増加させ、ユーザ満足度の向上を図ることが可能になる。
なお、上述のように開示された本実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。