JP2017004149A - 物流シミュレーションを用いたワークの滞留の根本原因分析方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このように、鋳片を幾つかの処理工程を経て、製品として納期内に出荷するためには、鋳造〜処理工程間の物流を含めた製造ラインの最適な設備設計や工程管理が重要である。このような製造ラインの最適な設計や既存の製造ラインの効率的な操業のために、製造ラインにおける鋳片の物流を分析し検討することが必要である。
例えば、特許文献1には、熱間圧延工場の各工程について、製造条件等から処理開始・終了時刻をシミュレートする熱間圧延工場の物流シミュレーション装置が開示されている。まず、ミルペーシン部で各圧延装置(粗圧延機、仕上圧延機、コイラ、その他)の処理時間を計算し、加熱炉燃焼制御部でスラブの装入・抽出の温度と時刻、加熱炉の温度等操業条件を計算する。そして、これらの計算結果に基づき、事象駆動型シミュレータでシミュレーションし、稼働率、置き場の滞留状況を出力するというものである。
そのワークの流れ方を分析し検討する際には、例えば、特許文献1の技術を用いて、ワークの滞留発生状況をシミュレーションすることが考えられる。
本発明にかかる物流シミュレーションを用いたワークの滞留の根本原因分析方法は、ワークに対して所定の処理を行う複数の処理設備を有し且つ前記複数の処理設備が1つの経路で連続的に繋がっている製造ラインにおいて、前記ワークの搬送状況をシミュレーションすることにより、前記ワークが滞留する根本的な原因を分析する方法であって、前記処理設備に対する処理条件と設備条件との少なくとも1つを付与した上で、通常操業状態での前記製造ラインのシミュレーションを行った際に、前記製造ライン上にワークの滞留が発生した場合、前記ワークの滞留の「根本原因」となる前記処理設備又は前記処理設備の状態を分析することを特徴とする。
好ましくは、前記ワークの滞留の「根本原因」を分析するに際しては、第1の工程として、前記シミュレーションにおいて、前記製造ラインを複数のゾーンに区分けした上で、以下の(1−1)〜(1−3)の処理を行うことで、前記ワークに対してステイタスを設定し、第2の工程として、前記ワークに対して設定された(1−1)〜(1−3)のステイタスを基に、以下の(2−1)〜(2−3)の処理を行うことで、前記ワークの滞留の「根本原因」を決定するとよい。
(1−2)前記製造ラインにおいて、一のゾーンの下流側1つ先のゾーンが処理設備とされ、且つ前記処理設備が所定の処理を行っていて、一のゾーンに存在するワークを前記処理設備に進めることができない場合、一のゾーンに存在するワークに「滞留中(作業待ち)」というステイタスを設定する。
(2−1)前記一のゾーンに存在するワークのステイタスが「滞留中(先行材あり)」である場合、前記一のゾーンの下流側のゾーンに向かって順次探索を行い、「滞留中(先行材あり)」以外のステイタスになっているワークが存在するゾーンを検出し、前記検出されたゾーンに存在するワークのステイタスが「滞留中(作業待ち)」の場合には、前記一のゾーンに存在するワークの滞留の根本原因を「滞留中(作業待ち)」とする。
好ましくは、前記ワークの滞留の「根本原因」、前記「根本原因」に起因する各ワークの滞留時間、前記「根本原因」に起因する処理設備でのワークの滞留数量の少なくとも1つ以上を、前記製造ラインのオペレータが目視可能な表示モニタに表示するとよい。
本発明のワーク13の滞留の根本原因分析方法は、様々なワーク13を処理する複数の処理工程を有すると共に、各ワーク13が順番に処理工程に導入され処理されてゆく製造ライン2(シーケンシャル処理を行うライン)に適用可能なものであり、製造ライン2内において様々な製品を製造・搬送するに際し、その物流過程に伴う製品の搬送作業を円滑に行うために、通常操業において発生するワーク13の滞留原因を物流シミュレーションを用いて短時間に且つ正しく分析・検討して、その製造ライン2の設計(処理設備3の新設、既存の処理設備3の設備的変更、処理条件の変更、及び物流の変更など)に反映するものである。
以下、本実施形態におけるワーク13の滞留の根本原因分析方法について、説明する。適用される製造ライン2としては、製鉄所内における連続鋳造設備1、すなわち連続鋳造機4及びその下流側に配設された付帯処理設備(下流側付帯処理設備)を例に挙げる。
第1冷却帯5では、鋳片13の鋼種に応じて適切な冷却条件が設定されており、その適切な冷却条件によって鋳片13が均一に冷却される。
冷却された鋳片13は、第1冷却帯5の下流側に位置するクロップ切断装置6に搬送される。
第2冷却帯7では、搬送された鋳片13をその鋼種に応じて事前に設定された第2の温度域まで第1冷却帯とは異なる冷却条件で冷却する。このように複数の処理工程を経た鋳片13は、パレットエリア8に搬送される。
このように、本実施形態に用いられる連続鋳造設備1は、連続鋳造機4→第1冷却帯5→クロップ切断装置6→第2冷却帯7→パレットエリア8の順に連続的に搬送しつつ生産を進め、ユーザごとに異なる鋳片13を製造してゆくものである。
連続鋳造設備1内にて鋳片13の滞留が発生してしまうと、その滞留箇所を起点に上工程から流れてくる鋳片13が大量に堰き止められるようになり、過度の滞留を生じさせてしまう虞がある。それ故、鋳片13の生産を停滞させる、すなわち鋳片13の生産効率を低下させてしまう。
以下、本実施形態の鋳片13(ワーク13)の滞留の根本原因分析方法を、図を基に説明する。
好ましくは、本実施形態の滞留の根本原因分析方法においては、探索された「根本原因」に起因する、各鋳片13の滞留時間、及び処理設備3での鋳片13の滞留数量を算出するとよい。
このプログラム(物流シミュレーションプログラム)においては、製造ライン2が仮想的に構築されており、連続鋳造機4、第1冷却帯5、クロップ切断装置6、第2冷却帯7、パレットエリア8の処理設備3が設定されている。コンピュータ10上に仮想的に構築された処理設備3においては、鋳片13に対する各種処理が実施される時間などがシミュレートされるようになっている。加えて、各処理設備3を繋ぐ搬送ラインが設けられており、この搬送ラインは複数のゾーン(例えば、ゾーンa〜ゾーンj)に区分けされ、各ゾーンに対する鋳片13の通過時刻などがシミュレートされる。なお、処理設備3も1つのゾーンとして設定される。
まず、鋳片13の滞留の「根本原因」を探索するに際しては、第1の工程として、シミュレーションにおいて、製造ライン2を複数のゾーンに区分けした上で、以下の(1−1)〜(1−3)の処理を行うことで、鋳片13に対してステイタスを設定する。
例えば、図1、2に示すように、連続鋳造機4(ゾーンa)から搬出され且つゾーンcに移送された鋳片(N)13が、本来であればゾーンdへ移送可能にも拘わらず、ゾーンdに鋳片(N+1)13が存在したままであって進むことができない場合、鋳片(N)13に「滞留中(先行材あり)」というステイタスを設定する。
具体的には、処理設備3が第1冷却帯で冷却を行っている場合は「滞留中(第1冷却待ち)」と設定され、処理設備3が第2冷却帯で処理を行っている場合は「滞留中(第2冷却待ち)」と設定され、処理設備3がクロップ切断処理を行っている場合は「滞留中(クロップ切断作業待ち)」と設定される。なお、「作業待ち」というステイタスに関しては、「滞留中(パレット待ち)」、設備がある処理を行うための段取りを行っている「滞留中(段取り待ち)」、設備に対する修理が行われている「滞留中(修理待ち)」などもある。
具体的には、第1冷却帯で処理が行われている場合は「処理中(第1冷却帯作業中)」と設定され、第2冷却帯で処理が行われている場合は「処理中(第2冷却帯作業中)」と設定され、クロップ切断処理が行われている場合は「処理中(クロップ切断作業中)」と設定される。なお、「処理中」というステイタスに関しては、ゾーン間を搬送中の鋳片13に対しても、「搬送中」というステイタスが設定される。
以上のように、本発明の鋳片(ワーク)13の滞留の根本原因分析方法においては、まず、物流シミュレーションにおいて、処理設備3の条件の変更(例えば、ある処理設備3を使用するか否か、使用する場合、処理設備3の処理条件の設定)を行ったり、鋳片13の搬送速度の変更などを行い、鋳片13の搬送状況や、滞留状況などをシミュレートする。
具体的には、物流シミュレーションプログラムにおいて、連続鋳造機4、第1冷却帯5、クロップ切断装置6、第2冷却帯7、パレットエリア8などの処理設備3において、鋳片13に対する処理が実施される時間などがシミュレートされる。また、鋳片13が各処理設備3間(製造ライン2)を搬送される状況、例えば、各ゾーンに対する鋳片13の通過時刻などがシミュレートされる。
具体的には、根本滞留原因を推定する第2の工程として、鋳片13に対して設定された(1−1)〜(1−3)のステイタスを基に、以下の(2−1)〜(2−3)の処理を行うことで、鋳片13の滞留の「根本原因」を決定する。
その際に、鋳片(N)13が位置するゾーンの下流側を参照し、1つ先に位置する鋳片13(先行する鋳片(N−1)13)のステイタスを参照する。この鋳片(N−1)13のステイタスが「滞留中(先行材あり)」の場合、さらに1つ先の鋳片13(鋳片(N−2)13)のステイタスを参照する。
図2に示すように、例えば、鋳片(N−1)13、鋳片(N−2)13のステイタスが「滞留中(先行材あり)」であって、鋳片(N−3)13のステイタスが「滞留中(クロップ切断作業待ち)」の場合、鋳片(N)13の根本滞留原因は、クロップ処理装置における作業が立て込んでいて、鋳片(N)13の作業待ちが発生していると推定する。
(2−3)一のゾーンに存在する鋳片13のステイタスが「滞留中(作業待ち)」である場合には、一のゾーンに存在する鋳片13の滞留の根本原因を「滞留中(作業待ち)」とする。
例えば、図1において、鋳片(N−3)13に滞留が発生し、その鋳片(N−3)13はその1つ先のクロップ切断装置6においてクロップ切断処理が行われているのを待っている状況であるとする。その場合、鋳片(N−3)13は「滞留中(クロップ切断作業待ち)」というステイタスが紐付けられており、ひいては、鋳片(Nー3)13の根本滞留原因は「滞留中(クロップ切断作業待ち)」となる。
次に、本実施形態のワーク13の滞留の根本原因分析方法の作動態様について、詳細に説明する。
図2に示すように、物流シミュレーションを行った結果、連続鋳造設備1内のあるゾーンで鋳片13が滞留したと分析されると、そのステイタスを基にして得られた根本滞留原因が表示モニタ11に表示されるようになる。
図2に示すように、例えば表示モニタ11に「クロップ切断作業待ち」、「第1冷却作業待ち」、「第2冷却作業待ち」、「パレット待ち」のそれぞれの根本滞留原因が表示されている場合、そのうちで最も過度に滞留しているものから参照して、例えば、設備設計へ反映してゆく。
以上述べたように、本発明の鋳片13(ワーク)の滞留の根本原因分析方法は、鋳片13の滞留の根本原因を、物流シミュレーションを行っている過程でリアルタイムに表示し、かつ、滞留原因毎の頻度を自動集計してコンピュータ10などに保存する。さらに、本発明においては、連続鋳造設備1内において、ある鋳片13が滞留している状態においても、そのさらに先行するワーク13の滞留の根本原因を探索することで、トリガーとなる根本滞留原因を特定することができる。このように探索することで、鋳片13の根本滞留原因を容易に分析することができる。
も適用することが可能である。
2 製造ライン
3 処理設備
4 連続鋳造機
5 第1冷却帯
6 クロップ切断装置
7 第2冷却帯
8 パレットエリア
9 パレット
10 コンピュータ
11 表示モニタ(表示器)
12 オペレータ
13 鋳片(ワーク)
Claims (4)
- ワークに対して所定の処理を行う複数の処理設備を有し且つ前記複数の処理設備が1つの経路で連続的に繋がっている製造ラインにおいて、前記ワークの搬送状況をシミュレーションすることにより、前記ワークが滞留する根本的な原因を分析する方法であって、
前記処理設備に対する処理条件と設備条件との少なくとも1つを付与した上で、通常操業状態での前記製造ラインのシミュレーションを行った際に、前記製造ライン上にワークの滞留が発生した場合、
前記ワークの滞留の「根本原因」となる前記処理設備又は前記処理設備の状態を分析する
ことを特徴とする物流シミュレーションを用いたワークの滞留の根本原因分析方法。 - 前記分析された「根本原因」に起因する、各ワークの滞留時間、及び前記処理設備でのワークの滞留数量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の物流シミュレーションを用いたワークの滞留の根本原因分析方法。 - 前記ワークの滞留の「根本原因」を分析するに際しては、
第1の工程として、前記シミュレーションにおいて、前記製造ラインを複数のゾーンに区分けした上で、以下の(1−1)〜(1−3)の処理を行うことで、前記ワークに対してステイタスを設定し、
第2の工程として、前記ワークに対して設定された(1−1)〜(1−3)のステイタスを基に、以下の(2−1)〜(2−3)の処理を行うことで、前記ワークの滞留の「根本原因」を決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の物流シミュレーションを用いたワークの滞留の根本原因分析方法。
(1−1)前記製造ラインにおいて、一のゾーンと前記一のゾーンの下流側1つ先のゾーンとにそれぞれワークが存在していて、前記一のゾーンに存在するワークを前記下流側1つ先のゾーンに進めることができない場合、前記一のゾーンに存在するワークに「滞留中(先行材あり)」というステイタスを設定する。
(1−2)前記製造ラインにおいて、一のゾーンの下流側1つ先のゾーンが処理設備とされ、且つ前記処理設備が所定の処理を行っていて、一のゾーンに存在するワークを前記処理設備に進めることができない場合、一のゾーンに存在するワークに「滞留中(作業待ち)」というステイタスを設定する。
(1−3)前記ゾーン又は処理設備に位置するワークに対して所定の処理が行われている場合、当該ゾーン又は処理設備に存在するワークに「処理中」というステイタスを設定する。
(2−1)前記一のゾーンに存在するワークのステイタスが「滞留中(先行材あり)」である場合、前記一のゾーンの下流側のゾーンに向かって順次探索を行い、「滞留中(先行材あり)」以外のステイタスになっているワークが存在するゾーンを検出し、前記検出されたゾーンに存在するワークのステイタスが「滞留中(作業待ち)」の場合には、前記一のゾーンに存在するワークの滞留の根本原因を「滞留中(作業待ち)」とする。
(2−2)前記一のゾーンに存在するワークのステイタスが「滞留中(先行材あり)」である場合、前記一のゾーンの下流側のゾーンに向かって順次探索を行い、「滞留中(先行材あり)」以外のステイタスになっているワークが存在するゾーンを検出し、前記検出されたゾーンに存在するワークのステイタスが「処理中」の場合には、前記一のゾーンに存在するワークの滞留の根本原因を「処理中」とする。
(2−3)前記一のゾーンに存在するワークのステイタスが「滞留中(作業待ち)」である場合には、前記一のゾーンに存在するワークの滞留の根本原因を「滞留中(作業待ち)」とする。 - 前記ワークの滞留の「根本原因」、前記「根本原因」に起因する各ワークの滞留時間、前記「根本原因」に起因する処理設備でのワークの滞留数量の少なくとも1つ以上を、前記製造ラインのオペレータが目視可能な表示モニタに表示する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の物流シミュレーションを用いたワークの滞留の根本原因分析方法。
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