JP2017002532A - 岩盤への杭打設装置および工法 - Google Patents

岩盤への杭打設装置および工法 Download PDF

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Abstract

【課題】打設杭の打撃により破砕された破砕岩を噴射水で排除しながら杭を打設する際に、噴射水を噴射する導入パイプの先端ノズルの土砂による目詰まりを防止できる岩盤への杭打設装置および工法を提供する。【解決手段】振動杭打設機により打設される杭6に導入パイプ4を隣接配置し、杭6の先端を振動杭打設機により岩盤Rに打ち付けて岩盤Rを破砕し、破砕した岩石を導入パイプ4の先端に設けられた先端ノズル5から噴射する水Wで排除しながら岩盤R中に杭6を打ち込む際に、杭6に先端ノズル5の噴射口5aを塞ぐカバー体2を取り付け、カバー体2により先端ノズル5の噴射口5aを塞いだ状態で岩盤Rの上方に存在する土砂層Sに杭6を打設し、岩盤Rに杭6を打設する際には先端ノズル5をカバー体2から取り外した状態にして、先端ノズル5から水Wを噴射し、破砕岩を排除する。【選択図】図4

Description

本発明は、岩盤への杭打設装置および工法に関し、さらに詳しくは、打設杭の打撃により破砕された破砕岩を噴射水で排除しながら杭を打設する際に、噴射水を噴射する導入パイプの先端ノズルの土砂による目詰まりを防止できる岩盤への杭打設装置および工法に関するものである。
従来、硬土盤や岩盤に対して鋼矢板や鋼管矢板などの杭を打設する施工が行われている。この施工において杭をバイブロハンマー等で打設すると杭で破砕された破砕岩が杭の先端と岩盤の間でクッション材となり、打撃エネルギーが岩盤に十分に伝わらない。これに起因して、岩盤を容易に破砕することができず、杭の打設に要する時間が長くなるという問題があった。そこで、杭に高水圧ポンプに接続された導入パイプを設け、杭によって破砕された破砕岩を導入パイプの先端に設けられたノズルから噴射する噴射水により洗浄除去するいわゆるガン・パイル工法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
ガン・パイル工法では、杭が岩盤に到達するまでの土砂層を打設している間は先端ノズルから噴射水を噴射させずに杭の打設作業を行う。そのため、土砂層に直接接触する位置に配置された先端ノズルには土砂が詰まって、杭が岩盤に達した時には先端ノズルから水が噴射できないという不具合が生じるリスクがあった。先端ノズルに目詰まりが生じるとノズル交換のために余分な時間やコストが必要となる。そのため、土砂による先端ノズルの目詰まりを防止できる手段が要望されている。
特開2004−124505号公報
本発明の目的は、打設杭の打撃により破砕された破砕岩を噴射水で排除しながら杭を打設する際に、噴射水を噴射する導入パイプの先端ノズルの土砂による目詰まりを防止できる岩盤への杭打設装置および工法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の岩盤への杭打設装置は、振動杭打設機により打設される杭に隣接配置される導入パイプと、この導入パイプに水を供給する水供給部と、この水供給部から供給された水を前記杭の下端側に向けて、前記導入パイプの先端から噴射する先端ノズルとを備えた岩盤への杭打設装置において、前記杭に取り付けられて前記先端ノズルの噴射口を塞ぐカバー体を有し、このカバー体と前記先端ノズルとを着脱自在な構成にしたことを特徴とする。
本発明の岩盤への杭打設工法は、振動杭打設機により打設される杭に導入パイプを隣接配置し、前記杭の先端を振動杭打設機により岩盤に打ち付けて岩盤を破砕し、破砕した岩石を前記導入パイプの先端に設けられた先端ノズルから噴射する水で排除しながら岩盤中に前記杭を打ち込む岩盤への杭打設工法において、前記杭に前記先端ノズルの噴射口を塞ぐカバー体を取り付け、前記カバー体により前記先端ノズルの噴射口を塞いだ状態で岩盤の上方に存在する土砂層に前記杭を打設し、前記岩盤に前記杭を打設する際には前記先端ノズルを前記カバー体から取り外した状態にして、前記先端ノズルから水を噴射することを特徴とする。
本発明によれば、岩盤の上方に存在する土砂層に前記杭を打設する場合には、前記先端ノズルの前記噴射口を前記カバー体で塞ぐことにより、噴射口が土砂によって目詰まりすることを防止できる。さらに杭を打ち込んで岩盤に打設する場合には、先端ノズルをカバー体から取り外して噴射口から水を噴射できるので、噴射した水によって破砕岩を除去しつつ効率よく杭を打設することができる。
前記先端ノズルを前記杭の長手方向に移動させることにより、前記カバー体と先端ノズルとを着脱自在な構成にすることもできる。地上から先端ノズルを杭の長手方向に移動させることは土砂の抵抗が小さいので比較的容易である。したがって、この構成にすると、確実に先端ノズルをカバー体から取り外し易くなる。
前記先端ノズルを前記杭の横方向に移動させることにより、前記カバー体と先端ノズルとを着脱自在な構成にすることもできる。この構成にすると、カバー体から取り外した先端ノズルから噴射する水がカバー体に衝突することを回避できる。そのため、先端ノズルから噴射する水による破砕岩の洗浄除去能力を高く維持することができる。
前記カバー体の前記噴射口との対向面を前記杭の長手方向に対して傾斜させ、前記噴射口から噴射した水を前記対向面の傾斜に沿って下側に流す構成にすることもできる。この構成にすると、カバー体から取り外した先端ノズルから噴射する水がカバー体に衝突した場合においても水の勢いが低減され難い。そのため、先端ノズルから噴射する水による破砕岩の洗浄除去能力を高く維持することができる。
前記先端ノズルが前記杭の長手方向に対して傾斜した傾斜面を備えた凹部を有し、この傾斜面に前記噴射口が設けられ、噴射口から噴射した水を杭の長手方向に対して傾斜させて下側に流す構成にすることもできる。この構成にすると、先端ノズルをカバー体に対して杭の長手方向に沿って上方向に移動させた状態で噴射口から水を噴射した場合にカバー体に噴射水が衝突し難くなる。したがって、噴射口から噴射した水がより確実に杭の下端部に到達し、破砕岩を排除し易くなる。
本発明の岩盤への杭打設装置を用いて土砂層に杭を打設する状況を縦断面視で例示する説明図である。 図1の杭の先端部周辺を拡大した説明図である。 図3(a)は土砂層に杭を打設する場合、図3(b)は岩盤に杭を打設する場合の先端ノズルの位置を横断面視で例示する説明図である。 図1の杭打設装置を用いて岩盤に杭を打設する状況を杭の先端部周辺を拡大して縦断面視で例示する説明図である。 杭がH型鋼である場合の実施形態であり、図5(a)は土砂層に杭を打設する場合、図5(b)は岩盤に杭を打設する場合の先端ノズルの位置を横断面視で例示する説明図である。 カバー体および先端ノズルの変形例を示し、図6(a)はカバー体によって先端ノズルの噴射口が塞がれた状態、図6(b)はカバー体から先端ノズルが取り外された状態を図6(a)のA矢視で例示する説明図である。 杭打設装置の別の実施形態を用いて土砂層に杭を打設する状況を杭の先端部周辺を拡大して縦断面視で例示する説明図である。 図7の杭打設装置を用いて岩盤に杭を打設する状況を杭の先端部周辺を拡大して縦断面視で例示する説明図である。 カバー体および先端ノズルの別の変形例を示し、図9(a)はカバー体によって先端ノズルの噴射口が塞がれた状態、図9(b)はカバー体から先端ノズルが取り外された状態を例示する説明図である。
以下、本発明の岩盤への杭打設装置を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1〜3に示す本発明の岩盤への杭打設装置1(以下、杭打設装置1という)は、クレーン9から吊り下げられた振動杭打機8が発振する振動を利用して杭6を岩盤に打設する際に使用される。この実施形態では、杭6として鋼管を用い、振動杭打機8としてバイブロハンマーを用いている。
杭打設装置1は、杭6に隣接配置される導入パイプ4と、導入パイプ4の後端に直接的にまたは別の配管3aを介して間接的に接続される水供給部3と、導入パイプ4の先端に設けられた先端ノズル5と、杭6に取り付けられるカバー体2とを有している。さらに、この実施形態では、打設中の導入パイプ4の振れを抑制する振れ留め金具7が設けられている。
導入パイプ4は、例えばステンレス鋼や一般炭素鋼等の金属や樹脂で形成される。導入パイプ4は、適宜複数の部材を繋ぎ合わせて構成される。導入パイプ4は、杭6の長手方向に延在し、杭6の内側面に沿わせて配置するとよい。
導入パイプ4は、杭6に対して着脱可能な機構で取り付けられる。杭6に対する固定を解除する際には、導入パイプ4は先端ノズル5とともに、杭6の長手方向または杭6の横方向(左右前後方向)に移動可能にする。導入パイプ4は、例えば、杭6の上方でワイヤーやチェーン等の吊り金具で杭6に取り付けられる。
1本の杭6に対して単数または複数本の導入パイプ4が配置される。複数本の導入パイプ4を杭6に配置する場合には、横断面視で杭6の中心軸を中心にした円の周方向に等間隔で配置するとよい。この実施形態では、2本の導入パイプ4を用いており、杭6の内側面に沿って互いの導入パイプ4が対向配置されている。
水供給部3は、導入パイプ4に水Wを供給する。水供給部3は例えば、水Wを収容するタンクと、その水Wを導入パイプ4に送るポンプとで構成される。この実施形態では、水供給部3と導入パイプ4とは配管3aを介して間接的に接続されている。
先端ノズル5には噴射口5aが形成されていて、導入パイプ4に供給された水Wは噴射口5aから噴射される。この先端ノズル5には、単数または複数の噴射口5aが形成される。水Wの噴射方向は、杭6の下端側に向いていて、杭6の長手方向に対して平行、或いは傾斜した向きに設定される。この実施形態では、先端ノズル5の下面部に噴射口5aが設けられている。
カバー体2には、先端ノズル5が着脱可能になっている。カバー体2は、先端ノズル5が装着された際に噴射口5aを塞ぐ部材であり、例えば、金属や樹脂で形成される。カバー体2は、先端ノズル5の噴射口5aを有する面だけを塞ぐ構成にすることも、例えば上端を開口した有底筒状にして、先端ノズル5の噴射口5aを有する面と共にその他の面を覆う構成にすることもできる。
この実施形態では、カバー体2を先端ノズル5の噴射口5aがある下面部と共に側面部を覆う構成にしている。より詳しくは、先端ノズル5の外周径寸法と略同一の内周径寸法の円筒状の金属製のカバー体2を用いている。そして、このカバー体2はそれぞれの先端ノズル5が配置される杭6の内側面に溶接により接合されている。この実施形態のカバー体2は、例えば、パイプを切り出し、切り出したパイプの一方の開口を塞ぐ底板を溶接等で接合することで簡易に形成することができる。
カバー体2は、例えば、カバー体2の下端から杭6の下端までの上下距離Hが3cm〜15cmになるように配置するとよい。
振れ留め金具7は、導入パイプ4を杭6の内側面とで挟むようにして配置される金具である。杭6の内側面と振れ留め金具7とで形成される空隙が導入パイプ4が杭6の横方向に移動できる範囲となる。振れ留め金具7は、杭6の長手方向の複数箇所に設けることができる。この実施形態では、振れ留め金具7を杭6の内側面に沿って2ヶ所に対向配置し、溶接により接合している。
次に、この杭打設装置1を用いて上方に土砂層Sが存在する岩盤Rに杭6を打設する方法を以下に説明する。
土砂層Sに杭6を打設する際には図2に例示するように、カバー体2の上側の開口から先端ノズル5を挿入してカバー体2に先端ノズル5を取り付ける。これにより、噴射口5aがカバー体2によって塞がれた状態にする。即ち、図3(a)の状態になっている。導入パイプ4は杭6の内周面に沿わせて固定する。杭6に対して導入パイプ4を固定するのは、杭6を打設する際の振動によりカバー体2から先端ノズル5が外れることを防ぐためである。
この状態で振動杭打設機8を稼働させることにより、杭6を振動させて土砂層Sに杭6を打設する。土砂層Sに杭6を打設する際には、噴射口5aから水Wを噴射することなく杭6に加えられる振動杭打設機8の振動のみで打設作業を行う。噴射口5aがカバー体2によって塞がれたまま杭6が土砂層Sを掘削していくことになる。したがって、噴射口5aに土砂が混入する可能性は極めて低い。
杭6の下端が岩盤Rに到達して岩盤Rの打設作業に移行する際には、杭6と導入パイプ4との固定を解除し、導入パイプ4を杭6に対して自由な状態、例えば杭6の長手方向または杭6の横方向に移動可能な状態にする。そして、導入パイプ4を移動させて、カバー体2から先端ノズル5を取り外し、噴射口5aがカバー体2によって塞がれない状態にする。即ち、図3(b)の状態にする。
そして、水供給部3によって導入パイプ4に水Wを供給し、図4に例示するように、先端ノズル5の噴射口5aから杭6の下端側に向けて水Wを噴射する。岩盤Rへの杭6の打設も土砂層Sと同様に振動杭打設機8を稼働させることで杭6を振動させ岩盤Rに打撃を加える。この打撃により、杭6の下端部と衝突した部分の岩盤Rが破砕される。
岩盤Rが破砕されることで杭6の下端部と岩盤Rの間には破砕岩が生じるが、この破砕岩は杭6が反力により岩盤Rから離反した際に、先端ノズル5から噴射される水Wにより杭6の下端部から排除される。これにより、杭6が続いて岩盤Rを打撃する時には杭6の下端部と岩盤Rとの間には緩衝作用を及ぼす破砕岩がない状態になる。先端ノズル5には水Wの噴射により逆噴射力が作用するが、導入パイプ4は杭6に固定されていないので、杭6にはこの逆噴射力が作用しない。そのため、杭6の打撃エネルギーが減殺されずに杭6の下端が岩盤Rを直接かつ有効に打撃することが可能となり、岩盤Rを容易に破砕することができる。杭6の打撃による岩盤Rの破砕と、先端ノズル5から噴射される水Wによる破砕岩の排除を繰り返し、岩盤Rへの杭6の打設作業を進める。
このように本発明によれば、岩盤Rの上方に存在する土砂層Sに杭6を打設する場合には、先端ノズル5の噴射口5aをカバー体2で塞ぐことにより、噴射口5aが土砂によって目詰まりすることを防止できる。さらに杭6を打ち込んで岩盤Rに打設する場合には、先端ノズル5をカバー体2から取り外して噴射口5aから水Wを噴射できるので、効率よく杭6を打設することができる。
この実施形態では、カバー体2を先端ノズル5の噴射口5aを有する面と共にその他の面を覆う構成にしているので、カバー体2と先端ノズル5との間に土砂が入り難い。そのため、噴射口5aが土砂によって目詰まりすることを防止するのに有利である。
ところで、地上から先端ノズル5を杭6の長手方向に移動させることは土砂の抵抗が小さいので比較的容易である。したがって、この実施形態のように、先端ノズル5を杭6の長手方向に移動させることにより、カバー体2と先端ノズル5とを着脱自在な構成にすると、確実に先端ノズル5をカバー体2から取り外し易くなる。
この実施形態では、カバー体2から先端ノズル5を取り外した後に噴射口5aから水Wを噴射しているが、先端ノズル5がカバー体2に取り付けられた状態で噴射口5aから水Wを噴射することもできる。先端ノズル5がカバー体2に入った状態で噴射口5aから水Wを噴射するとカバー体2に衝突した水Wの反力により先端ノズル5はカバー体2から離れる方向(図2では上方向)に移動しようとする。そのため、先端ノズル5をカバー体2から取り外し難い場合には、噴射口5aから水Wを噴射させながら取り外し作業を行なうとよい。
カバー体2の真上に先端ノズル5を配置した状態で噴射口5aから水Wを噴射すると、カバー体2に衝突して噴射した水Wの勢いが低減される可能性がある。そのため、噴射口5aから噴射する水Wがカバー体2に衝突しない位置まで先端ノズル5を杭6の横方向に移動させて水Wを噴射するとよい。さらにカバー体2の下端よりも杭6の下端に近い位置まで先端ノズル5を移動させて水Wを噴射するとより確実に破砕岩を排除することができる。
この実施形態では、振れ留め金具7を設けることで導入パイプ4(先端ノズル5)が杭6の内側面に沿って周方向に移動できる構成にしている。そのため、噴射口5aから噴射した水Wがより確実に杭6の下端部に到達し、より確実に破砕岩を排除することができる。
図5に例示する杭打設装置1の実施形態は、杭6がH型鋼であること以外は図1〜4で例示した実施形態と同様の構成である。
杭6がH型鋼の場合には例えば、図5(a)に示すようにウエッブ6aと平行に配置した振れ留め金具7の両端をそれぞれのフランジ6b、6cに接合する。そして、振れ留め金具7とウエッブ6aとの間に形成された空隙に導入パイプ4を挿通させる。この実施形態では、ウエッブ6aを挟んで一対の振れ留め金具7が設けられていて、カバー体2はウエッブ6aとフランジ6b、6cとが交差する隅部に配置されている。
この杭打設装置1を用いて岩盤Rに杭6を打設する方法は図1〜4で例示した実施形態と同様である。
図6に例示する先端ノズル5は、先端部分が円錐台形状になっていて、この円錐台の側面部分(傾斜面)の周方向に間隔をあけた複数箇所に噴射口5aが設けられている。水Wの噴射方向は、杭6の下端側に向いて傾斜した向きに設定されている。
この実施形態のカバー体2は、先端ノズル5の外周径寸法と略同一の内周径寸法の金属パイプの一方の開口をプレスし、閉じた状態にすることで形成される。先端ノズル5をカバー体2に取り付けると先端ノズル5の円錐台形状の先端部分と側面部がカバー体2に覆われて、噴射口5aが露出しない構成になっている。
この実施形態の先端ノズル5とカバー体2は図1〜4で例示した実施形態と同様の方法で用いることができる。
この実施形態の先端ノズル5によれば、水Wが斜め下向きに導入パイプ4の軸心を中心にして放射状に噴射される。そのため、先端ノズル5をカバー体2に対して杭6の長手方向に沿って上方向に移動させた状態で噴射口5aから水Wを噴射した場合にカバー体2に噴射水Wが衝突し難くなっている。したがって、噴射口5aから噴射した水Wがより確実に杭6の下端部に到達し、破砕岩を排除し易くなる。
この実施形態のカバー体2は、既存のパイプ部材に簡易な加工を加えるだけで形成することができるため加工時間および製造コストの観点で有利である。また、このカバー体2は、下端側が尖った形状なので杭6が打設された際に、土砂等から受ける抵抗が小さくなる。そのため、カバー体2の受ける抵抗に起因する杭6の打撃エネルギーの低減を抑制するのに有利である。
図7、8に例示する杭打設装置1の別の実施形態は、図1〜4で例示した実施形態とカバー体2と先端ノズル5の構成が異なる。その他の構成は図1〜4で例示した実施形態と同様である。
この実施形態では、カバー体2の噴射口5aとの対向面を杭6の長手方向に対して傾斜させ、噴射口5aから噴射した水Wを対向面の傾斜に沿って下側に流す構成にしている。具体的には、板状の部材を杭6の周方向の一方に下降する傾斜面となるように杭6の内側面に溶接で接合することによりカバー体2を形成している。この実施形態では、さらにカバー体2の上面部に緩衝マット2aを設けている。緩衝マット2aは弾性を有する部材で構成することが望ましく、例えば、ゴムや樹脂等で形成される。
この実施形態の先端ノズル5は、噴射口5aを有する下面部をカバー体2の傾斜面と同様の角度の傾斜面になるように形成されている。
この杭打設装置1を用いて岩盤Rに杭6を打設する方法は図1〜4で例示した実施形態とほぼ同様の方法で行なう。そのため、ここでは図1〜4で例示した実施形態と異なる点である先端ノズル5とカバー体2との取り付け方および取り外し方について説明する。
この実施形態では、図7に例示するように、先端ノズル5の噴射口5aを有する下面部をカバー体2の上面部に当接させることにより噴射口5aを塞ぐ。詳しくは、先端ノズル5をカバー体2の上面部に設けられた緩衝マット2aに押し付け、噴射口5aを有する下面部と緩衝マット2aを密着させる。そして、杭6に対して導入パイプ4を固定する。
カバー体2から先端ノズル5を取り外す際には、導入パイプ4と杭6との固定を解除した後に先端ノズル5を杭6の長手方向に沿って上方移動させることでカバー体2から先端ノズル5を取り外す。
この実施形態では、図8に例示するように、カバー体2が噴射口5aとの対向面を杭6の長手方向に対して傾斜させ、噴射口5aから噴射した水Wを対向面の傾斜に沿って下側に流す構成になっているので、噴射口5aから噴射する水Wがカバー体2に衝突した場合においても水Wの勢いが低減され難い。そのため、先端ノズル5から噴射する水Wによる破砕岩の洗浄除去能力を高く維持することができる。
この実施形態では、先端ノズル5の噴射口5aを有する下面部をカバー体2の傾斜面と同じ角度の傾斜面に形成しているので、噴射口5aとカバー体2との間に隙間が生じ難い。そのため、噴射口5aが土砂によって目詰まりすることを防止するのに有利になる。尚、先端ノズル5の噴射口5aを有する下面部が、カバー体2の傾斜面と多少異なる角度に形成されてもよい。
緩衝マット2aを設けることは任意であるが、設けることによりカバー体2と先端ノズル5の噴射口5aを有する下面部をより密に当接することができる。そのため、噴射口5aを有する下面部とカバー体2との間に隙間が生じ難く、噴射口5aが土砂によって目詰まりすることを防止するのに有利になる。また、杭6の振動による衝撃を緩衝マット2aが緩衝するため、カバー体2と先端ノズル5とがずれたり、カバー体2と先端ノズル5との衝突により先端ノズル5が破損するリスクは低くなる。
この実施形態では、カバー体2に先端ノズル5が当接している状態で噴射口5aから水Wを噴射することにより先端ノズル5をカバー体2に対して横方向へ移動させることもできる。カバー体2に先端ノズル5が当接している状態で噴射口5aから水Wを噴射すると、傾斜面のカバー体2に水Wが衝突し、先端ノズル5にはカバー体2の傾斜面に対向する反力が生じる。そのため、噴射した水Wの反力により先端ノズル5はカバー体2に対して杭6の横方向(図7では左方向)へ移動することになる。したがって、噴射した水Wを利用して先端ノズル5をカバー体2に対して杭6の横方向へ移動させることもできる。
図9に例示する先端ノズル5は、杭6の長手方向に対して傾斜する傾斜面5bを備えた凹部を有し、傾斜面5bに噴射口5aが設けられている。水Wの噴射方向は、杭6の下端側に向いていて、傾斜した向きに設定されている。
カバー体2は、先端ノズル5の傾斜面5bと略同一斜面角度の傾斜面2bを備えた凸部を有し、先端ノズル5の凹部にカバー体2の凸部が嵌合することで噴射口5aが塞がれる構成になっている。
この杭打設装置1を用いて岩盤Rに杭6を打設する方法は図1〜4で例示した実施形態とほぼ同様の方法で行なう。そのため、ここでは図1〜4で例示した実施形態と異なる点である先端ノズル5とカバー体2との取り付け方および取り外し方について説明する。
この実施形態では、先端ノズル5の噴射口5aを有する傾斜面5bとカバー体2の傾斜面2bとを当接させるように先端ノズル5をカバー体2に取り付け、噴射口5aを塞ぐ。具体的には、先端ノズル5の傾斜面5bを備えた凹部とカバー体2の傾斜面2bを備えた凸部とを嵌合させる。そして、杭6に対して導入パイプ4を固定する。
カバー体2から先端ノズル5を取り外す際には、導入パイプ4と杭6との固定を解除した後に先端ノズル5を杭6の長手方向上方向に移動させて、先端ノズル5の傾斜面5bを備えた凹部とカバー体2の傾斜面2bを備えた凸部との嵌合を解除する。
この実施形態では、先端ノズル5が杭6の長手方向に対して傾斜した傾斜面5bを備えた凹部を有し、この傾斜面5bに噴射口5aが設けられ、噴射口5aから噴射した水Wを杭6の長手方向に対して傾斜させて下側に流す構成している。そのため、先端ノズル5をカバー体2に対して杭6の長手方向に沿って上方向に移動させた状態で噴射口5aから水Wを噴射した場合にカバー体2に噴射水Wが衝突し難くなっている。したがって、噴射口5aから噴射した水Wがより確実に杭6の下端部に到達し、破砕岩を排除し易くなる。
また、カバー体2は凸部で形成されていて側壁も有しないため、噴射口5aから噴射する水Wがカバー体2に衝突した場合においても水Wの勢いが低減され難い。そのため、噴射口5aから噴射する水Wによる破砕岩の洗浄除去能力を高く維持することができる。
この実施形態では、先端ノズル5の凹部とカバー体2の凸部とを嵌合させる構成にしているので先端ノズル5をカバー体2に安定して固定することができる。尚、先端ノズル5の傾斜面5bを備えた凹部とカバー体2の傾斜面2bを備えた凸部は、必ずしも略同一形状である必要はなく、先端ノズル5をカバー体2に取り付けた際に噴射口5aが露出しない構成であればよい。例えば、先端ノズル5に円錐状の凹部を設けた場合に、カバー体2の凸部を円錐台形状に形成することもできる。
尚、上記で例示した種々の杭打設装置1は、杭6が鋼管である場合に限らず、例えば、H型鋼や鋼矢板等様々な形状の杭6に対して採用することができる。また、先端ノズル5の形状や噴射口5aの位置等の構成は上記で例示した実施形態に限定されず、様々な組み合わせで採用することができる。
1 杭打設装置
2 カバー体
2a 緩衝マット
2b 傾斜面
3 水供給部
3a 配管
4 導入パイプ
5 先端ノズル
5a 噴射口
5b 傾斜面
6 杭
6a ウエッブ
6b、6c フランジ
7 振れ留め金具
8 振動杭打設機
9 クレーン
S 土砂層
R 岩盤
W 水(噴射水)

Claims (10)

  1. 振動杭打設機により打設される杭に隣接配置される導入パイプと、この導入パイプに水を供給する水供給部と、この水供給部から供給された水を前記杭の下端側に向けて、前記導入パイプの先端から噴射する先端ノズルとを備えた岩盤への杭打設装置において、
    前記杭に取り付けられて前記先端ノズルの噴射口を塞ぐカバー体を有し、このカバー体と前記先端ノズルとを着脱自在な構成にしたことを特徴とする岩盤への杭打設装置。
  2. 前記先端ノズルを前記杭の長手方向に移動させることにより、前記カバー体と前記先端ノズルとを着脱自在な構成にした請求項1に記載の岩盤への杭打設装置。
  3. 前記先端ノズルを前記杭の横方向に移動させることにより、前記カバー体と前記先端ノズルとを着脱自在な構成にした請求項1に記載の岩盤への杭打設装置。
  4. 前記カバー体の前記噴射口との対向面を前記杭の長手方向に対して傾斜させ、前記噴射口から噴射した水を前記対向面の傾斜に沿って下側に流す構成にした請求項2に記載の岩盤への杭打設装置。
  5. 前記先端ノズルが前記杭の長手方向に対して傾斜した傾斜面を備えた凹部を有し、この傾斜面に前記噴射口が設けられ、前記噴射口から噴射した水を前記杭の長手方向に対して傾斜させて下側に流す構成にした請求項1〜4のいずれかに記載の岩盤への杭打設装置。
  6. 振動杭打設機により打設される杭に導入パイプを隣接配置し、前記杭の先端を振動杭打設機により岩盤に打ち付けて岩盤を破砕し、破砕した岩石を前記導入パイプの先端に設けられた先端ノズルから噴射する水で排除しながら岩盤中に前記杭を打ち込む岩盤への杭打設工法において、
    前記杭に前記先端ノズルの噴射口を塞ぐカバー体を取り付け、前記カバー体により前記先端ノズルの噴射口を塞いだ状態で岩盤の上方に存在する土砂層に前記杭を打設し、前記岩盤に前記杭を打設する際には前記先端ノズルを前記カバー体から取り外した状態にして、前記先端ノズルから水を噴射することを特徴とする岩盤への杭打設工法。
  7. 前記先端ノズルを前記杭の長手方向に移動させることにより、前記カバー体から取り外す請求項6に記載の岩盤への杭打設工法。
  8. 前記先端ノズルを前記杭の横方向に移動させることにより、前記カバー体から取り外す請求項6に記載の岩盤への杭打設工法。
  9. 前記カバー体の前記噴射口との対向面を前記杭の長手方向に対して傾斜させておき、前記噴射口から噴射した水を前記対向面の傾斜に沿って下側に流す請求項7に記載の岩盤への杭打設工法。
  10. 前記先端ノズルを、前記杭の長手方向に対して傾斜面を備えた凹部を有してこの傾斜面に前記噴射口を設けた構成にしておき、前記噴射口から噴射した水を前記杭の長手方向に対して傾斜させて下側に流す請求項6〜9のいずれかに記載の岩盤への杭打設工法。
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