JP2017001467A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents

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寛之 中曽
鈴木 賢一
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賢一 鈴木
隆志 横沢
Takashi Yokozawa
隆志 横沢
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Abstract

【課題】本発明は、制限された制動力下で停車中における車両の安全性の向上が図れる車両用ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車両のブレーキ操作力又はブレーキ操作量にしたがい制動用モータ5を駆動し、ブレーキ操作力又はブレーキ操作量に応じた車両の制動力を発生させる制動力発生装置19と、制動力により車両が停車したとき、車両の停車に必要な制動力以上の制動力を発生させないように制限する制動力制限部21とを備えた車両用ブレーキ装置であって、停車した車両が変位すること、もしくは車両が変位しようとすることを検出する車両挙動検出部7と、車両挙動検出部が停車した車両が変位すること、もしくは車両が変位しようとすることを検出したとき、制動力制限部による制動力の制限をキャンセルするキャンセル部27と備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、制動用モータを駆動して制動力を発生させる車両用ブレーキ装置に関する。
電気自動車やハイブリッド車など電動自動車(車両)のブレーキ装置は、エンジンの負圧利用が期待できないため、バイワイヤー式のブレーキ装置が用いられる。同ブレーキ装置は、車両のブレーキ操作力又はブレーキ操作量(ブレーキペダルのストローク量)をセンサで検出し、その検出信号により制動用モータを駆動して、同検出信号に応じた制動力を発生させる。
ところで、停車した車両は、通常、ブレーキペダル操作時のブレーキ操作力又はブレーキ操作量に応じた制動力が車輪に加わり続ける。しかし、車両を停止させ続けるのに必要な制動力はそれよりも小さくてすむことが多い。
そこで、バイワイヤー式のブレーキ装置では、特許文献1に示されるように車両の停車時、ブレーキ操作力又はブレーキ操作量に応じた制動力を、車両の停車を続けるのに必要な制動力となるように制限する技術が提案されている。
特開平11−165620号
ところが、停車車両の制動力に制限を加えるブレーキ装置の制御は、制動用モータの効率的な運転やモータ作動音の低減が図れるものの、反面、停車中の車両が動き始めやすくなる問題がある。例えば坂道で車両が停車中、同じ場所で乗車が行われ、乗員数が増え、車両総重量が増加するような場合、運転者がブレーキペダルを踏み込んでいるのに、車両が動き始める(変位)、といったことが生じることがある。
そこで、本発明の目的は、制限された制動力下で停車中における車両の安全性の向上が図れる車両用ブレーキ装置を提供する。
本発明の態様は、車両のブレーキ操作力又はブレーキ操作量にしたがい制動用モータを駆動し、ブレーキ操作力又はブレーキ操作量に応じた車両の制動力を発生させる制動力発生装置と、制動力により車両が停車したとき、車両の停車に必要な制動力以上の制動力を発生させないよう制限する制動力制限部とを備えた車両用ブレーキ装置であって、停車した車両が変位すること、もしくは変位しようとすることを検出する車両挙動検出部と、車両挙動検出部が前記停車した車両が変位すること、もしくは車両が変位しようとすることを検出したとき、制動力制限部による制動力の制限をキャンセルするキャンセル部とを備えるものとした。
本発明によれば、車両が、例えば坂道において車両の停車に必要な制動力されて停車しているとき、当該車両が変位、もしくは当該車両が変位しようとした場合には、上記制動力の制限がキャンセルされ、車両が十分な制動力である、ブレーキ操作力もしくはブレーキ踏込量に応じた制動用モータの駆動で発生する制動力で停止される。
したがって、停車車両は動き始めることはなく、制限された制動力下で停車中の車両の安全性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態の車両用ブレーキ装置の概略構成を示すブロック図。 同ブレーキ装置で行われる制御を示すフローチャート。 同車両制御における各パラメータのタイムチャート。
以下、本発明を図1から図3に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は車両、例えば電動自動車に搭載された車両用ブレーキ装置の概略構成を示している。この車両用ブレーキ装置の主要部を説明すると、図1中1は、電動自動車(以下、た単に車両という)の前輪あるいは後輪、もしくその両方に制動力を与えるブレーキ部を示す。このブレーキ部1は、例えばディスクロータ1aとブレーキパッド(図示しない)を内蔵したキャリパ1bとを有し、液圧によりディスクロータ1aのディスク面にブレーキパッドを押圧可能としたディスク式ブレーキ部で構成される。ちなみにブレーキパッドは、液圧をブレーキパッドに伝えるピストン部(図示しない)を有している。
ブレーキ部1のピストン部(ブレーキパッド)は、液圧発生用の液圧アクチュエータ3を介して、制動用モータ5(例えばサーボモータ)が接続されている。これにより、例えば制動用モータ5が正回転すると、液圧アクチュエータ3からピストン部までに充填されている液(例えば油)が加圧され、ブレーキパッドがディスクロータ1aのディスク面へ押し付けられ、逆回転すると、ブレーキパッドがディスクロータ1aのディスク面から離れる。
図1中7は、制動用モータ5を制御するECU(例えばマイクロコンピュータから構成)である。ECU7には、車両の例えばブレーキペダル(図示しない)の踏込み量であるブレーキストローク量を検出するブレーキペダルストロークセンサ9、車速となる前輪(あるいは後輪)の車輪速を検出する車輪速センサ11、例えば車両の傾きである車両前後の傾斜角を検出する傾斜角センサ13が接続されている。
ECU7は、ブレーキペダルストローク量にしたがい運転者の要求する要求液圧(制動力)を算出するドライバ要求液圧算出部15と、算出された要求液圧に応じて制動用モータ5の駆動を制御する制動用モータ制御部17とを有している。これにより、ブレーキペダルストローク量に応じた制動力を発生させる制動力発生装置19を構成している。
またECU7には、ブレーキペダル操作による車両停車時、上記制動力発生装置19から発生する駆動力を、車両の停車に必要な制動力に制限する制動力制限部21が設けられている。制動力制限部21は、停車状態を保つのに必要な停車時必要液圧を算出する停車時必要液圧算出部23と制動力制限機能部25とを有して構成される。
このうち停車時必要液圧算出部23は、例えば予め設定されている車両の総車体重量(積載荷重を含む)と、傾斜角センサ13から出力される車両停車時の傾斜角とに基づき、車両を停車し続けるのに必要な液圧(制動力)を算出する機能でなる。また制動力制限機能部25は、車両がドライバ要求圧で停止された車両停止時において、上記ブレーキペダルストローク量に応じて算出されたドライバ要求の液圧(制動力)と、上記算出された停車に必要な液圧(制動力)とを対比する機能と、当該対比によりドライバ要求液圧が停車必要液圧よりも大きいときは停車必要液圧を選び、当該停車必要液圧よりも大きな液圧が加わったとしても制動用モータ5の駆動を停止させる機能とでなる。
これにより、車両停車時は、停車に必要な制動力以上の制動力を発生させないようにしている。ちなみに、ドライバ要求液圧が停車必要液圧を下回るときは、ドライバ要求液圧を選び、当該停車必要液圧まで液圧が発生するよう制動用モータ5を駆動する。
さらにECU7には、この制限された制動力で停車中の車両が動き始める(変位)のを防ぐ機能が講じられている。同機能は、制限キャンセル機能部27(キャンセル部に相当)を設けて構成される。この制限キャンセル機能部27は、車輪速センサ11での検出により、例えば、坂道で停車している車両が動いた(変位)か否かを判定する判定機能(車両挙動検出部に相当)と、車両が動いたものと判定したとき、制動力制限部21で実行している停車必要液圧(制動力)をキャンセルして、ドライバ要求液圧(制動力)による制動に戻す機能、具体的には停車時に入力されたブレーキペダルストローク量に応じたドライバ要求液圧に復帰するよう制動用モータ5を駆動する復帰機能(キャンセル部に相当)とを有して構成される。つまり、車両が動き始めると(変位)、即、制動力の制限をキャンセルして、強大な制動力で車両が止められるようにしている。ちなみに、制動力制限機能部25、制限キャンセル機能部27は、制動用モータ制御部17に設けられる。
つぎに、このバイワイヤー式の車両用ブレーキ装置の作用を、図2に示されるフローチャートおよび図3に示されるタイムチャートを参照して説明する。
例えば走行中の車両を停止させるべく、運転者がブレーキペダル(図示しない)を踏み込むとする。すると、このときのブレーキペダルのペダルストロークがブレーキペダルストロークセンサ9で検出される(ステップS1)。続いてドライバ要求液圧算出部15により、ブレーキペダルストローク量にしたがい、運転者の要求する要求液圧(制動力)が算出される(ステップS3)。そして、算出された要求液圧に応じて制動用モータ5が駆動される(ステップS5)。これにより、要求液圧にしたがった液圧が制動力として、ブレーキ部1のブレーキパッド(図示しない)へ伝わり、同ブレーキパッドをディスクロータ1aのディスク面に押圧させる。
これにより、車両には制動力が加わり、図3に示されるように車速は次第に低下し、車両は路上に停車する。
この車両の停車が、車輪速センサ11からの車輪速度信号により確認されると(ステップS7)、制動用モータ5の作動ができるだけ抑えられるよう、制動力を、ブレーキペダルストローク量に基づき定められる制動力から、それより小さい、車両を停車し続けるのに必要なだけの制動力に移行する。
具体的には、車両の停車が確認されると、停車時必要液圧算出部23は、予め設定されている車両の総車体重量値(ここでは一定の値)と、傾斜角センサ13から出力される車両停車時の車両の傾斜角情報とに基づき、車両を停車し続けるのに必要な液圧(制動力)を算出する(ステップS9)。制動力制限機能部25は、ブレーキペダルストローク量に応じて算出されたドライバ要求の液圧と、算出された停車に必要な液圧とを対比する。ドライバ要求液圧が停車必要液圧よりも大きいときは、制動用モータ5の作動が抑えられると判定して、停車必要液圧を選択し、当該液圧が発生されるよう制動用モータ5の駆動を制御して、停車に必要なだけの制動力を発生させる(ステップS11)。これにより、車両は、図3の液圧の線図中に示されるように、制動用モータ5の作動を抑えるために定めた制動力、すなわち停車時必要液圧で発生する制動力によって停止し続けられる。図3中の符号a1〜a3は、車両停車中、一旦、ブレーキペダルを緩めたときをそれぞれ示していて、a1〜a3のようなドライバ要求液圧が停車必要液圧よりも大きい場合は、停車必要液圧を制動力として用いる。ちなみに、ドライバ要求液圧が停車必要液圧より小さい場合には、ドライバ要求液圧を制動力として用いる。つまり、制動液圧が停車必要液圧に達して停車が維持される場合には、それ以上、ブレーキペダルを踏み込んだとしても制動用モータ5の無駄な駆動が抑制されるようにしてあるので、車室内へのモータ音の伝達が抑制され、快適性が確保される。
このとき例えば車両停止が坂道の途中で行われ、当該停車場所で乗車が行われ、乗員数が増え、車両の車両総重量が増加し、車両が動き始めたとする。これは、図3中の符号P1のように運転者がブレーキペダルを踏み込んでいるにも関わらず、車両が動き始めることを指す(変位)。
すると、ECU7は、車輪速センサ11の車輪速度信号から車両が変位したと判定し(ステップS13)、実行されている制動力の制限をキャンセルする(ステップS15)。このキャンセルにより、停車必要液圧を制動力とした車両の制動から、図3中の符号P2に示されるブレーキペダルストローク量に応じたドライバ要求液圧を制動力とした制動に復帰する。
これにより、車両は、再びブレーキストローク量に応じた液圧で発生する制動力で制動される(ステップS17)。つまり、車両はドライバ要求液圧で停止される。このドライバ要求液圧による制動により、車両は強大な制動力で停止され続け、以後、車両が動き始めるのを阻止する。
図3中のP3は、停車必要液圧からドライバ要求液圧に増圧するため、制動用モータ5を正回転方向に駆動する状況を示している。
もちろん、図1に示されるように乗員重量を検出する乗員重量センサ31を用いて、ECU7により、増加する乗員重量を加算し、加算される総重量と総車体重量値との偏差具合から、車両が動き始めようとするときを検出したり、加算された総重量値と車両の傾斜角とに基づき車両の停車に必要な液圧(制動力)を算出するようにしても構わない。
以上説明したように停車車両は、制限された制動力で停止していても、車両が動き始める挙動が検出されると、制動力の制限をキャンセルする機能が実行されるので、無用に車両が動き始めることはない。
それ故、制限された制動力下で停車していた車両の安全性は担保されるので、車両の安全性の向上を図ることができる。しかも、停車車両が動き始める挙動の検出は、車輪速センサからの車輪速度信号(車速)に基づき行うので、簡単な制御ですむ。
なお、上述した一実施形態における各構成および組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であることはいうまでもない。また本発明は、上述した一実施形態によって限定されることはなく、「特許請求の範囲」によってのみ限定されることはいうまでもない。
例えば上述した一実施形態に、制限された制動力下で停車した車両においてモータの無駄な駆動を抑制し得る制御を付加してもよい。具体的には、長い時間、停車し続けるとき、制限制動力、すなわち停車時必要液圧による制動を解除しないことが挙げられる。この場合、図1中の二点鎖線に示されるように停車時間をカウントするタイマー部35を設け、さらに図2中のステップS13のNO判定の後に、「停車時間が所定時間以上経過したか否か」の判定処理を設けて、車両が停車してからの停車時間が、所定時間、例えば10分間を経過したら、制動力は停車時必要液圧を選択し続けるようにする。
このようにすると、車両を長い時間停車させる場合、ドライバが無意識にブレーキペダルを強く踏み込んで液圧が停車時必要液圧よりも上昇したとき、モータの駆動が抑制され得るから、無駄なモータ駆動は抑えられる。その結果、車室内へのモータ音の伝達が抑制され、長い時間の停車の際にも快適性が確保される。しかも、モータの過負荷駆動が引き起こすECUの温度上昇抑制にも繋がるため、ECUの耐久性を向上させることもできる。
また一実施形態は、ブレーキ操作量であるブレーキペダルストローク量にしたがい制動用モータを駆動する例を挙げたが、これに限らず、ブレーキ操作力にしたがい制動用モータを駆動するブレーキ装置に本発明を適用してもよい。さらに一実施形態は、制動用モータから出力される制動力を液圧を介してブレーキパッドに伝えるブレーキ装置を例に挙げたが、これに限らず、制動用モータから出力される制動力をギヤ機構を介してブレーキパッドに伝えるブレーキ装置に本発明を適用しても構わない。
5 制動用モータ
7 ECU(車両挙動検出部)
19 制動力発生装置
21 制動力制限部
27 制限キャンセル機能部(キャンセル部)

Claims (3)

  1. 車両のブレーキ操作力又はブレーキ操作量にしたがい制動用モータを駆動し、前記ブレーキ操作力又はブレーキ操作量に応じた車両の制動力を発生させる制動力発生装置と、前記制動力により車両が停車したとき、前記車両の停車に必要な制動力以上の制動力を発生させないよう制限する制動力制限部とを備えた車両用ブレーキ装置であって、
    前記停車した車両が変位すること、もしくは変位しようとすることを検出する車両挙動検出部と、
    前記車両挙動検出部が前記停車した車両が変位すること、もしくは車両が変位しようとすることを検出したとき、前記制動力制限部による制動力の制限をキャンセルするキャンセル部と
    を備えることを特徴とする車両用ブレーキ装置。
  2. 前記制動力制限部は、前記車両の停車状態を保つのに必要な停車時必要液圧を算出するとともに、ブレーキペダルストローク量に応じて算出されたドライバ要求液圧と前記停車時必要液圧とを対比して、前記ドライバ要求液圧が前記停車必要液圧よりも大きいときは、当該停車必要液圧よりも大きな液圧が加わったとしても、前記制動力発生装置によって前記制動用モータの駆動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。
  3. 前記キャンセル部は、さらに前記車両の停車時間が所定時間を経過したとき、前記制動力制限部による制動力の制限をキャンセルしないものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ブレーキ装置。
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