JP2017001417A - インホイール型サスペンション装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、従来のインホイール型サスペンション装置では、弾性要素の上端部が車両後方に傾斜している。すなわち、弾性要素の変形方向は、タイヤ接地点から斜め後方に向かう方向に設定されている。
そのため、サスペンション部材が上下方向にストロークする際、タイヤ接地点から上向きに生じる接地反力線に対し、バネ反力線はタイヤ接地点から斜め後方に向かう方向になってしまい、接地反力線とバネ反力線とが全く異なる方向となる。そのため、ホイールセンタ高さにおいて、接地反力線が通過する位置とバネ反力線が通過する位置が大きく離れてしまい、この位置ずれによって摺動軸にこじりモーメントが作用してしまうという問題が生じていた。
このインホイール型サスペンション装置において、サスペンション部材を、車輪支持部材に設けられた少なくとも1本以上の摺動軸に対し摺動可能に連結すると共に、車輪支持部材とサスペンション部材との間に弾性要素を配置する。
そして、この弾性要素を、ホイールセンタよりも車両前側位置に配置された第1弾性部材と、ホイールセンタよりも車両後側位置に配置された第2弾性部材と、によって構成する。
これにより、平均的なバネ反力線と接地反力線とを近接させることができ、そのずれによって摺動軸に作用するこじりモーメントを抑制して、フリクションを低減させることができる。
まず、構成を説明する。
実施例1におけるインホイール型サスペンション装置の構成を、「全体構成」、「弾性要素の詳細構成」、「サスペンション部材と摺動軸の連結構成」に分けて説明する。
図1は、実施例1のインホイール型サスペンション装置が適用された左後輪(従動輪)を車両内側の斜め後方から視た斜視図を示し、図2は、サスペンション構成要素を示す。以下、図1及び図2に基づき、全体構成を説明する。なお、図1は、向かって右が車両前方となる。
ここで、単にサスペンション装置ではなく、「インホイール型サスペンション装置」という理由は、上記サスペンション構成要素の少なくとも一部がタイヤ4を装着するホイール9内に配置された構成であることによる。
この車輪支持部材1の上側プレート1bには、図2に示すように、摺動軸3を構成する平行配置の主摺動軸3a及び副摺動軸3bの上端部が固定され、下側プレート1cには、主摺動軸3a及び副摺動軸3bの上端部が固定される。
そして、主摺動軸受けパイプ2cは、サスペンション部材2の車輪連結部であり、車輪支持部材1に固定された主摺動軸3aに対し摺動可能に連結される。また、副摺動軸受けパイプ2eは、サスペンション部材2の車輪連結部であり、車輪支持部材1に固定された副摺動軸3bに対し摺動可能に連結される。すなわち、車輪支持部材1とサスペンション部材2とは、摺動軸3を介して連結される。
一方、前側車体支持ブラケット2a及び後側車体支持ブラケット2bは、車両前後方向に並んで配置されると共に、いずれも主摺動軸受けパイプ2cから車両内側に向かって延在され、車体側の端部に弾性ブッシュ6が設けられている。さらに、前側車体支持ブラケット2aには副摺動軸受けパイプ2eが連結されている。また、弾性要素支持ブラケット2dは、主摺動軸受けパイプ2cの上端部から車両前後方向に突出形成されている。
つまり、サスペンション部材2は、全体として一体に動作し、かつ、運動自由度として主摺動軸3a及び副摺動軸3bに沿った上下運動に規制される。
前記第1弾性ブッシュ6aは、ホイールセンタ7より上方位置に配置され、第2,第3弾性ブッシュ6b,6cは、ホイールセンタ7より下方位置に配置されている。
図3Aは、実施例1のサスペンション構成要素の配置を車両内側から見たときの模式図であり、図3Bは、車両上方から見たときの模式図である。以下、図3A,図3Bに基づき、弾性要素の詳細構成を説明する。
そのため、車両を側面視した際、第1,第2スプリング51,52は、主摺動軸3aを挟んで車両前後方向に並んで配置される。また、第1スプリング51は、ホイールセンタ7よりも車両前側位置であって、副摺動軸3bよりも車両後側位置、つまりホイールセンタ7と副摺動軸3bとの間に配置される。第2スプリング52は、ホイールセンタ7よりも車両後側位置に配置される。この結果、図3Bに示すように、車両前方側から副摺動軸3b→第1スプリング51→ホイールセンタ7→主摺動軸3a→第2スプリング52の順に並ぶこととなる。
なお、主摺動軸3aと第1,第2スプリング51,52との車幅方向の位置は一致し、副摺動軸3bは、これらよりも車両内側に入り込んでいる。
L1:L2 = 1/K1:1/K2 …(1)
K1×L1 = K2×L2 …(2)
図4は、実施例1のインホイール型サスペンション装置におけるサスペンション部材と摺動軸の連結部分の構造を示し、図5は、主摺動軸と副摺動軸の取り付けとタイヤとの位置関係を簡略に示す。以下、図4及び図5に基づき、実施例1のサスペンション部材と摺動軸の連結構成を説明する。
すなわち、サスペンション部材2と副摺動軸3bの連結構成は、副摺動軸3bの軸中心CLから順に、滑りブッシュ11→弾性体ブッシュ12→副摺動軸受けパイプ2eを同軸配置で設けた構成としている。
まず、実施例1の作用を説明するにあたり、本発明の背景技術と課題を説明する。
近年、エネルギー資源の効率的活用の観点から電気自動車に対する期待が高まっている。しかし、電気自動車は、航続距離がユーザーの期待に対して短く、満充電での航続距離を延長することが必要となっている。そして、航続距離を延長するためには、限られたスペースにできるだけ多くのバッテリを搭載することが一つの解決手段として有望視されており、サスペンション装置の省スペース化が重要な技術課題となっている。
このインホイール型サスペンション装置は、車輪を支持する車輪支持部材と、この車輪支持部材に連結されると共に車体に取り付けられるサスペンション部材と、を備え、サスペンション部材の少なくとも一部が、前記車輪のホイール内に配置されている。
さらに、このようなインホイール型サスペンション装置として、車輪を上下ストロークさせるため、サスペンション部材を車輪支持部材に設けられた摺動軸に摺動可能に連結すると共に、車輪支持部材とサスペンション部材との間に弾性要素及び/又は減衰要素とを備えたものが考えられる。
一方、車輪支持部材の摺動軸にサスペンション部材を摺動可能に連結したインホイール型サスペンション装置では、タイヤは摺動軸に沿って上下ストロークすることができる。また、弾性要素を摺動軸に対して傾斜して配置することで、省スペースを実現することができる。
然るに、サスペンション部品の加工精度や組み付け精度により、その平行度を保つことは容易ではない。また、接地荷重、タイヤ横力、制動力等が作用した場合には、ホイール周りにこじられるような外力が作用するため、それぞれの摺動軸にこじりモーメントが作用して二軸間の距離が変化する、或いは、摺動軸が曲げ変形して二軸間の傾斜角度にずれが生じる、といったことが発生する。
そして、このような結果、サスペンション部材の上下ストローク時のフリクションが増大するといった問題が発生する。なお、本発明では、上記二軸間距離の変化や傾斜角度変化をミスアライメントと呼ぶ。
車両が路面に接地すると、接地点から上向きに作用する接地反力がタイヤに入力する。この接地反力の作用方向(接地反力線)は、図6に示すように、路面に対して直交する方向(鉛直方向)となり、ホイールセンタを通過する。これに対し、サスペンション部材を弾性支持する弾性要素は、変形方向に沿ったバネ反力を生じる。つまり、サスペンション部材に入力するバネ反力の作用方向(バネ反力線)は、弾性要素の変形方向に沿った方向となる。
そして、この接地反力線とバネ反力線とがずれている場合、このずれ量に応じたモーメントがホイールセンタ周りに発生する。このモーメントは、車輪支持部材を車軸周りに回転させ、車体側からサスペンション部材を介して支持されている摺動軸(実施例1では主に主摺動軸3a)をこじるモーメント(こじりモーメント)となる。
これは、接地反力がホイールセンタを介して車体支持部材に入力されるためである。この結果、車両側方から見たときのホイールセンタ高さにおいて、バネ反力線が通過する位置と、接地反力線が通過する位置(ホイールセンタ位置)との位置ずれが小さくなるほど、こじりモーメントが小さくなることがわかる。
一方、タイヤ4に作用する接地反力は、タイヤ4の接地点4aから上向きに生じ、この接地反力の作用方向(接地反力線56)はホイールセンタ7を通過する。
まず、実施例1の摺動軸のミスアライメント吸収作用を説明するにあたり、タイヤ4からの入力と主摺動軸3a、副摺動軸3bの変形形態について、図10〜図13を用いて説明する。
一方、サスペンション部材2は、車体取付部材8に支持されており、接地荷重反力の影響を受けることはない。そのため、各摺動軸3a,3bは、サスペンション部材2の主摺動軸受けパイプ2c又は副摺動軸受けパイプ2eによって中間部の変位が規制されて、上端部が車体内側方向に変位し、下端部が車体外側方向に変位して「S字」に曲げられた状態になる。
一方、サスペンション部材2はタイヤ横力の影響を受けることはない。このため、各摺動軸3a,3bは、サスペンション部材2の主摺動軸受けパイプ2c又は副摺動軸受けパイプ2eによって中間部の変位が規制されて、上端部が車体外側方向に変位し、下端部が車体内側方向に変位して「逆S字」に曲げられた状態になる。
一方、サスペンション部材2は制動力の影響を受けることはない。このため、各摺動軸3a,3bは、サスペンション部材2の主摺動軸受けパイプ2c又は副摺動軸受けパイプ2eによって中間部の変位が規制されて、上端部が車両前方に変位し、下端部が車両後方に変位して「S字」に曲げられた状態になる。
一方、図14Bには、摺動軸の上下端部が同じ方向に変位して「くの字」に曲げられた状態、つまり図13に示す状態を拡大して模式的に示す。このような変形は他方の摺動軸(主摺動軸)との軸間距離にずれ(軸間距離ずれ)を生じる要因となっている。
このように、入力が小さい方の副摺動軸3bにおいて変位吸収機能を実現させることで、摺動動作を支配するのは入力の大きい主摺動軸3aであり、軸の傾きや変形に対しては入力が小さい副摺動軸3bが追従する構造となる。そうすることにより、サスペンション装置として必要以上に剛性の低下を招くことなく、両摺動軸3a,3b間の傾きや軸間距離の変化を吸収することができる。
その結果、常用走行中、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持し、正常な摺動動作を可能にする。
その結果、常用走行中、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持し、正常な摺動動作を可能にする。
このように、変位吸収機構として、弾性変形する弾性体ブッシュ12を使用することにより、常用走行中のサスペンション上下運動に伴い、ミスアライメント等による軽微な副摺動軸3bの傾きや主摺動軸3aとの軸間距離の変化を吸収することができる。その結果、常用走行中のサスペンション上下運動に伴う摺動方向の作動を維持する効果があり、正常な摺動動作を可能にする。
インホイール型サスペンション装置において、実施例1のように、サスペンション部材2を弾性支持する弾性部材を、ホイールセンタ7を挟んで配置された2本のコイルスプリングで構成した場合、以下の式(3)、(4)が成り立つ。
M1 = K1×L1 …(3)
M2 = K2×L2 …(4)
なお、K1:第1スプリング51のバネ定数
K2:第2スプリング52のバネ定数
L1:ホイールセンタ7から第1スプリング51までの車両前後方向距離
L2:ホイールセンタ7から第2スプリング52までの車両前後方向距離
M1:第1スプリング51のバネ反力がホイールセンタ周りに生じさせるモーメント
M2:第2スプリング52のバネ反力がホイールセンタ周りに生じさせるモーメント
M = M1+M2
= K1×L1 + K2×L2 = ゼロ …(5)
そのため、第1スプリング51によるこじりモーメントと、第2スプリング52によるこじりモーメントとが打ち消されて、ホイールセンタ周りに生じるモーメントを低減することができる。つまり、2本のコイルスプリング(第1スプリング51、第2スプリング52)におけるバネ定数K1,K2が異なる場合であっても、ホイールセンタ周りに生じるこじりモーメントを小さくすることが可能となる。また、コイルスプリングの個体差や他の部品との干渉等が問題になる場合であっても、ホイールセンタ周りに生じるこじりモーメントを小さくすることができる。
そして、この結果、摺動軸3(ここでは、特に主摺動軸3a)に作用するこじりモーメントを抑制し、フリクションの低減を図ることができる。
ここで、摺動軸が1本の場合では、タイヤに制動力や旋回横力が生じたときにサスペンション部材が摺動軸周りに回転変位してしまうことを防止するため、摺動軸を矩形断面にする等の方策が必要となる。この場合、加工精度の問題や、矩形断面の摺動軸表面に対してサスペンション部材が片当たりする等の問題により、フリクションの増大を招くおそれがある。
なお、主摺動軸3aと副摺動軸3bの軸間距離を大きくするほど、各摺動軸3a,3bが支持するモーメントを低減することができる。
そのため、このホイールセンタ周りに生じたモーメントは、比較的近くに配置された主摺動軸3aに主に作用することになり、副摺動軸3bに作用するこじりモーメントを低減することが可能となる。この結果、副摺動軸3bの負担を軽減し、副摺動軸3bの軸径を細くする等の部品の軽減化が可能となる。
実施例1のインホイール型サスペンション装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
サスペンション部材2を、車輪支持部材1に設けられた少なくとも1本以上の摺動軸3に対し摺動可能に連結すると共に、車輪支持部材1とサスペンション部材2との間に弾性要素5を配置し、
弾性要素5は、ホイールセンタ7よりも車両前側位置に配置された第1弾性部材(第1スプリング51)と、ホイールセンタ7よりも車両後側位置に配置された第2弾性部材(第2スプリング52)と、を有する構成とした。
これにより、サスペンション部材2が上下方向にストロークする際に摺動軸3に作用するこじりモーメントを抑制し、フリクションを低減させることができる。
これにより、(1)の効果に加え、2本の弾性部材(第1スプリング51、第2スプリング52)におけるバネ定数K1,K2が異なる場合であっても、ホイールセンタ周りに生じるこじりモーメントを小さくし、摺動軸3に作用するこじりモーメントを抑制して、フリクションをさらに低減させることができる。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、車輪支持部材1に対するサスペンション部材2の回転変位を防止して、サスペンション部材2の片当たりを生じにくくし、フリクションの増大を抑制することができる。
これにより、(3)の効果に加え、主摺動軸3aを副摺動軸3bよりもホイールセンタ7の近くに配置することができ、副摺動軸3bに作用するこじりモーメントを低減することが可能となって、副摺動軸3bの軸径を細くする等の部品の軽減化ができる。
これにより、(3)又は(4)の効果に加え、摺動作動時における軸傾きのばらつきや軸間距離の変化を、変位吸収機構(弾性体ブッシュ12)による弾性変形にて許容し、フリクションの増加を抑えた摺動動作を維持することができる。
実施例2は、変位吸収機構として、摺動軸のずれ変位方向へのスライド動作を許容するスライドガイド構造を設けた例である。
図18は、実施例2のサスペンション部材と副摺動軸の連結部分の構造(スライド構造)を示し、図19は、スライド構造を示す斜視図である。以下、図18及び図19に基づき、実施例2のサスペンション部材と摺動軸の連結構成を説明する。
なお、副摺動軸3bのスライド方向(図19の矢印B方向)は、条件や要求に応じて自由に決めることができるが、実施例2では、ほぼ車幅方向に一致させた方向としている。
実施例2では、副摺動軸3bに対しておよそ直角方向に作動するスライド構造を変位吸収機構とし、サスペンション部材2の前側車体支持ブラケット2aと、副摺動軸3bとの間に介装した。
その結果、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な動作を可能にする。
このようにスライド方向について規定したことにより、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合、図19に示すように、可動するスライド方向(B方向)と、拘束するスライド阻止方向(C方向)とを分離できる。すなわち、必要とされる条件で両摺動軸3a,3b間の傾き差異や軸間距離の変化等がある場合は、可動するスライド方向で吸収し、そうでない場合は、スライド阻止方向で剛性を確保することができる。
その結果、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な動作を可能にすることができる。
実施例2のインホイール型サスペンション装置にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
このため、(5)の効果に加え、副摺動軸3bのずれ変位に対しスライド動作によりこれを吸収することで、サスペンション上下運動に伴う副摺動軸3bの摺動作動を滑らかに行うことができる。
実施例3は、変位吸収機構として、摺動軸の傾斜方向への傾き動作を許容する相対回転構造を設けた例である。
図20は、実施例3のサスペンション部材と副摺動軸の連結部分の構造(相対回転構造)を示す。以下、図20に基づき、実施例3のサスペンション部材と摺動軸の連結構成を説明する。
ここで、ボール部31は、滑りブッシュ11の外側に嵌着した円筒部31aと、円筒部31aの外周面から半球状に膨出した球面部31bと、を有する。ボール支持部32は、副摺動軸受けパイプ2eの内側に嵌着した支持部本体32aと、支持部本体32aの内側に形成された球内面32bと、有する。そして、ボール部31の球面部31bがボール支持部32の球内面32bに対して球面接触することで、副摺動軸3bは前側車体支持ブラケット2aに支持された副摺動軸受けパイプ2eに対し、360°方向に傾斜可能となっている。
実施例3では、ボール部31とボール支持部32を備えた相対回転構造30を変位吸収機構とし、サスペンション部材2の前側車体支持ブラケット2aと、副摺動軸3bとの間に介装した。
実施例3のインホイール型サスペンション装置にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
このため、(5)の効果に加え、副摺動軸3bの軸傾斜角度がずれた場合に、副摺動軸3bの周囲の面圧が部分的に高くなることを回避し、摩擦抵抗の増大を防止してサスペンションとしてのフリクションの増大を抑えることができる。
実施例4は、変位吸収機構として、スライド構造と相対回転構造の併用機構を用いた例である。
図22は、実施例4のサスペンション部材と副摺動軸の連結部分の構造(スライド構造+相対回転構造)を示す。以下、図22に基づき、実施例4のサスペンション部材と摺動軸の連結構成を説明する。
実施例4では、変位吸収機構として、サスペンション部材2と副摺動軸3bの間に有するスライド構造と相対回転構造30とを併せ持つ構造を用いた構成としている。
このように、2種類の変位吸収機構を併用する構造としたことにより、突起乗り越し等での路面からの入力が進行方向から斜めにずれて発生した場合、2本の摺動軸(主摺動軸3a,副摺動軸3b)の軸傾きや軸間距離の変化の増加が見込まれる。すなわち、スライド構造のスライド動作によるずれ変位の吸収作用と、相対回転構造30の回転動作による傾斜変位の吸収作用と、によって、ずれ変位量が大きくても十分にこれを吸収することができる。
この結果、突起乗り越し等での進行方向から斜めにずれた路面入力によって軸傾斜ずれや軸間距離ずれが同時に生じた場合であっても、サスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な動作を可能にする。これにより、フリクション低減効果をさらに高めることができる。
そのため、バウンド側(弾性要素5の縮み側)及びリバウンド側(弾性要素5の伸び側)でのサスペンション部材2の摺動ストロークを十分に確保することが必要になっている。
このため、主摺動軸3aに沿ったサスペンション部材2の摺動ストローク量を維持するためには、副摺動軸3bに連結された副摺動軸受けパイプ2eの高さ位置を、主摺動軸受けパイプ2cの上端2αと下端2βとの間の高さ領域H内に収まるように設定しなければならない。
そのため、主摺動軸3aに沿って設定されたサスペンション部材2のストローク量を維持することができ、サスペンション部材2の十分なストロークを保証することができる。
実施例4のインホイール型サスペンション装置にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
このため、(5)の効果に加え、吸収したい摺動軸のずれ方向が斜め方向を含むとき、或いは、特定のずれ変位量が大きいとき、スライド動作と回転動作によるずれ変位吸収作用によって、充分にこれを吸収することができる。
しかしながら、これに限らず、図24Aに示すように、L1=L2としてもよいし、図24Bに示すように、L1>L2としてもよい。いずれの場合であっても、上述の式(1)が成立するように第1,第2スプリング51,52のバネ定数K1,K2を設定することで、式(2)が成立する。これにより、第1,第2スプリング51,52のバネ反力がホイールセンタ周りに生じさせるモーメントM1,M2の和を常にゼロにすることができ、ホイールセンタ周りに生じるモーメントを低減することができる。
1 車輪支持部材
2 サスペンション部材
2a 前側車体支持ブラケット
2b 後側車体支持ブラケット
2c 主摺動軸受けパイプ
2d 弾性要素支持ブラケット
2e 副摺動軸受けパイプ
3 摺動軸
3a 主摺動軸(第1摺動軸部)
3b 副摺動軸(第2摺動軸部)
4 タイヤ
5 弾性要素
51 第1スプリング(第1弾性部材)
52 第2スプリング(第2弾性部材)
6 弾性ブッシュ
7 ホイールセンタ
8 車体取付部材
9 ホイール
10 減衰要素
11 滑りブッシュ(滑り軸受け部)
12 弾性体ブッシュ(変位吸収機構)
14 スライドプレート(変位吸収機構)
15 スライドガイド(変位吸収機構)
30 相対回転構造(変位吸収機構)
Claims (8)
- タイヤを装着するホイールに設けられた車輪支持部材に一端が連結され、他端が車体に弾性支持されるサスペンション部材を有し、サスペンション構成要素の少なくとも一部が前記ホイール内に配置されたインホイール型サスペンション装置において、
前記サスペンション部材を、前記車輪支持部材に設けられた少なくとも1本以上の摺動軸に対し摺動可能に連結すると共に、前記車輪支持部材と前記サスペンション部材との間に弾性要素を配置し、
前記弾性要素は、ホイールセンタよりも車両前側位置に配置された第1弾性部材と、前記ホイールセンタよりも車両後側位置に配置された第2弾性部材と、を有する
ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。 - 請求項1に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
前記ホイールセンタから前記第1弾性部材までの距離と、前記ホイールセンタから前記第2弾性部材までの距離との比を、前記第1弾性部材のばね定数の逆数と、前記第2弾性部材のばね定数の逆数との比にほぼ一致させる
ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。 - 請求項1又は請求項2に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
前記摺動軸として、車両前後方向に並ぶ第1摺動軸部と第2摺動軸部と、を有する
ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。 - 請求項3に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
前記第1摺動軸部を、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材との間に配置し、前記第2摺動軸部を、前記第1弾性部材よりも車両前側位置に配置する
ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。 - 請求項3又は請求項4に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
前記サスペンション部材と前記第1摺動軸部の連結部分と、前記サスペンション部材と前記第2摺動軸部の連結部分との少なくとも一方に、前記摺動軸のずれ変位を吸収する変位吸収機構を有する
ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。 - 請求項5に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
前記変位吸収機構は、前記サスペンション部材と前記摺動軸との間に介装され、前記摺動軸に対しておよそ直角方向に作動するスライド構造である
ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。 - 請求項5に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
前記変位吸収機構は、前記サスペンション部材と前記摺動軸との間に介装され、前記摺動軸に対して傾斜方向に作動する相対回転構造である
ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。 - 請求項5に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
前記変位吸収機構は、前記サスペンション部材と前記摺動軸との間に介装され、前記摺動軸に対しておよそ直角方向に作動するスライド構造と、前記摺動軸に対して傾斜方向に作動する相対回転構造とを併せ持つ構造である
ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
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