JP2017001293A - タイヤ加硫用ブラダー - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ製造時におけるタイヤとブラダーとの離型性に優れるタイヤ加硫用ブラダーを提供する。【解決手段】タイヤ加硫金型内に挿入された未加硫タイヤの内側に配置され、未加硫タイヤを内側からタイヤ加硫金型の内壁に向かって押圧する膨縮自在の弾性材料からなるタイヤ加硫用ブラダー1において、未加硫タイヤと接する表面に融点が185℃以上の熱可塑性樹脂を少なくとも1種類含むと共に、該熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層3を配置する。【選択図】図1

Description

本発明はタイヤ加硫用ブラダーに関し、更に詳しくは、タイヤ製造時におけるタイヤとブラダーとの離型性に優れるタイヤ加硫用ブラダーに関する。
一般に空気入りタイヤの加硫成形は、未加硫タイヤを加硫金型に挿入し、その未加硫タイヤの内腔に挿入したゴム袋状のブラダー内にスチーム等の加熱加圧媒体を圧入して膨張させることにより、未加硫タイヤの外面を加硫金型の内面に押圧しながら加硫を行なう。このとき用いられるタイヤ加硫用ブラダーは、一般にブチルゴムにより形成されるため、未加硫タイヤの内周面に配置されたハロゲン化ブチルゴム等からなるインナーライナーとの間に加硫接着性を有する。このため、加硫後に空気入りタイヤからブラダーを収縮させて取り出すときの離型性が悪く、タイヤ内周面のインナーライナーを損傷すること等が問題になっている。
この対策として、未加硫タイヤの内周面やブラダーの外表面に無機粉体(グリーンインサイドペイント:GIP)や各種シリコーン等の離型剤を塗布したり、これら離型剤を含む層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。しかしながら、離型剤を塗布しただけでは離型性能が長続きしないため、加硫成形の度に離型剤を塗布しなければならず、作業性や作業環境への影響が問題になっていた。また、離型剤の層を形成した場合であっても、加硫工程でブラダーが膨張と収縮を繰り返すことにより、離型剤の層に損傷や剥離が生じてしまうため、離型性能を充分に長続きさせることができないという問題があった。
特許第4307507号公報 特許第3316034号公報
本発明の目的は、タイヤ製造時におけるタイヤとブラダーとの離型性に優れるタイヤ加硫用ブラダーを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のタイヤ加硫用ブラダーは、タイヤ加硫金型内に挿入された未加硫タイヤの内側に配置され、前記未加硫タイヤを内側から前記タイヤ加硫金型の内壁に向かって押圧する膨縮自在の弾性材料からなるタイヤ加硫用ブラダーであって、前記未加硫タイヤと接する表面に、融点が185℃以上の熱可塑性樹脂を少なくとも1種類含むと共に、該熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層を配置したことを特徴とする。
本発明のタイヤ加硫用ブラダーでは、上述のように、ブラダー表面に特定の熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層を配置しているので、加硫時にはインナーライナーとの間に加硫接着性を有さないフィルム層がインナーライナーと接することになるので、タイヤとブラダーとの離型性を高めることができる。このとき、フィルム層は熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物から構成されているので、加硫時の高温に対して耐熱性を有すると共に、加硫工程におけるブラダーの膨張と収縮の繰り返しに追従することができる。
本発明では、熱可塑性樹脂が少なくとも1種類のナイロンを含むことが好ましい。これにより、フィルム層の耐熱性を高めて、加硫時の高温下であっても、優れた離型性を発揮することができる。
本発明では、ゴム粒子が、臭素化イソブチレン‐パラメチルスチレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン‐αオレフィン共重合体、スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体、酸無水物変性スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体のうち少なくとも1種類を含むことが好ましい。これらゴム粒子のいずれかを含むことで、ブラダー表面に設けられるフィルム層として適切な柔軟性を得ると共に、優れた耐熱性を得ることができ、タイヤとブラダーとの離型性を高めるには有利になる。
本発明では、ゴム粒子の配合量が熱可塑性エラストマー組成物の全量に対して35重量%〜70重量%であることが好ましい。このようにゴム粒子の配合量を適切な範囲に設定することで、フィルム層の柔軟性や耐熱性が良好になるので、タイヤとブラダーとの離型性を高めるには有利になる。
本発明では、弾性材料がブチル系ゴムおよび下記一般式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含むゴム組成物であることが好ましい。このような弾性材料を用いることで、ブラダーを構成する弾性材料とフィルム層との接着が良好になり、タイヤとブラダーとの離型性を高めるには有利になる。
Figure 2017001293
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は、水素、ヒドロキシル基または炭素原子数が1〜12個のアルキル基である。)
このとき、上述の縮合物がゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜20質量部配合されることが好ましい。これにより、ブラダー本体とフィルム層との接着が更に良好になり、タイヤとブラダーとの離型性を高めるには有利になる。
更に、縮合物がノボラック型縮合物である場合、ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して0.25質量部〜200質量部のメチレンドナーが配合され、前記縮合物の配合量に対する前記メチレンドナーの比率が0.5〜10であることが好ましい。これにより、ブラダー本体とフィルム層との接着が良好になり、タイヤとブラダーとの離型性を高めるには有利になる。
本発明では、フィルム層の厚さが10μm以上300μm以下であることが好ましい。このようにフィルム層の厚さを設定することで、耐熱性や加硫工程におけるブラダーの膨張と収縮の繰り返しに対する追従性が良好になり、タイヤとブラダーとの離型性を高めるには有利になる。
本発明のタイヤ加硫用ブラダーが用いられる加硫装置の基本的な構造を模式 的に示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明のタイヤ加硫用ブラダー1は、袋状に構成され、図1に例示するように、加硫金型10内に挿入された未加硫タイヤTの内腔に挿入され、内部にスチーム等の加熱加圧媒体Mが圧入され膨張させられることにより、未加硫タイヤTの外面を加硫金型10の内面に押圧し、加硫を行なうものである。尚、図1の加硫金型10は、タイヤのサイドウォール部を成形するための下側サイドプレート11及び上側サイドプレート12と、タイヤのビード部を成形するための下側ビードリング13及び上側ビードリング14と、タイヤのトレッド部を成形するための複数のセクター15を備えている。
本発明のタイヤ加硫用ブラダー1は、後述のように、その表面に特定のフィルム層3を有するものであるが、その基本的な構造は上述の図1の構造に限定されない。
図1に例示するように、本発明のタイヤ加硫用ブラダー1は、ベースゴム層2の外周面側にフィルム層3を積層して構成される。ベースゴム層2は、タイヤ加硫工程において膨張と収縮を繰り返すことができるように伸縮自在の弾性材料から構成される。一方、フィルム層3は、融点が185℃以上の熱可塑性樹脂を少なくとも1種類含むと共に、この熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物で構成される。
このように、フィルム層3が上述の熱可塑性エラストマー組成物で構成されるため、本発明のタイヤ加硫用ブラダー1は、従来のブラダーのようにインナーライナーを構成するゴム組成物(例えば、ハロゲン化ブチルゴム)との間に加硫接着性を有さず、インナーライナーとの離型性に優れる。従って、タイヤとブラダーとの離型性を高めることができる。また、上述の熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層3は、加硫時の高温に対して充分な耐熱性を有すると共に、加硫工程におけるブラダーの膨張と収縮の繰り返しに充分に追従することができるので、損傷や剥離が生じ難く、優れた離型性能を長く持続することができる。
フィルム層3に用いられる融点が185℃以上の熱可塑性樹脂としては、例えば、各種ナイロンを例示することができる。具体的には、ナイロン6(融点:225℃)、ナイロン66(融点:265℃)、ナイロン11(融点:187℃)、ナイロン610(融点:225℃)、ナイロン612(融点:220℃)、ナイロン46(融点:290℃)、ナイロン6T(融点:310℃)、ナイロン9T(融点:308℃)、共重合ナイロン6.66(融点:195℃)、ナイロンMXD6(融点:243℃)等を用いることができ、これらのうち少なくとも1種類を含むとよい。このように融点が充分に高い各種ナイロンを用いることで、フィルム層の耐熱性を高めて、加硫時の高温下であっても、優れた離型性を発揮することが可能になる。
フィルム層3に用いられるゴム粒子としては、例えば、臭素化イソブチレン‐パラメチルスチレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン‐αオレフィン共重合体、スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体、酸無水物変性スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体を例示することができ、これらのうち少なくとも1種類を含むことが好ましい。これらゴム粒子のいずれかを含むことで、タイヤ加硫用ブラダー1の表層として適度な柔軟性を得ると共に、優れた耐熱性を得ることができ、タイヤとブラダーとの離型性を高めるには有利になる。
フィルム層3において、ゴム粒子の配合量はフィルム層3を構成する熱可塑性エラストマー組成物の全量に対して35重量%〜70重量%であることが好ましい。このようにゴム粒子の配合量を設定することで、フィルム層の柔軟性や耐熱性が良好になるので、タイヤとブラダーとの離型性を高めるには有利になる。このとき、ゴム粒子の配合量が熱可塑性エラストマー組成物の全量の35重量%よりも少ないと、ゴム粒子分が不足して、充分な柔軟性を得ることが難しくなる。ゴム粒子の配合量が熱可塑性エラストマー組成物の全量の70重量%よりも多いと、熱可塑性エラストマー組成物中に占めるゴム粒子の割合が多くなり過ぎて、タイヤ加硫用ブラダー1の表層に用いられるフィルムとしての適切な性質を得ることが難しくなる。
フィルム層3は、タイヤ加硫用ブラダー1の表層においてブラダー本体(ベースゴム層2)の本来の機能を阻害しないように、例えば厚さを10μm以上300μm以下にすることが好ましい。このとき、フィルム層3の厚さが10μmよりも小さいと、フィルム層3が薄くなり過ぎて、フィルム層3が破損し易くなる。また、フィルム層3の製造が難しくなる。フィルム層3の厚さが300μmよりも大きいと、フィルム層3が厚くなり過ぎて、加硫工程においてタイヤ加硫用ブラダー1が膨張し難くなる。
ベースゴム層2は、例えばゴム組成物により構成される。具体的には、ブチル系ゴムおよび下記一般式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含むゴム組成物であるが好ましい。このような素材を用いることで、ベースゴム層2とフィルム層3との接着が良好になり、タイヤとブラダーとの離型性を高める、その優れた離型性能を保つには有利になる。
Figure 2017001293
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は、水素、ヒドロキシル基または炭素原子数が1〜12個のアルキル基である。)
このとき、ベースゴム層2とフィルム層3との接着性をより向上するために、ベースゴム層2を構成するゴム組成物中における前述の縮合物の配合量を、ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜20質量部にすることが好ましい。このとき、ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対する上述の縮合物の配合量が0.5質量部よりも少ないと、フィルム層3との接着性が不足する懸念がある。上述の縮合物の配合量が20質量部よりも多いと、ゴム組成物の硬度が高くなりブラダー1が膨張し難くなる。
この縮合物としては、レゾール型縮合物やノボラック型縮合物を例示することができる。レゾール型縮合物としては、例えば、レゾール型フェノール系樹脂(アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体)を用いることができる。ノボラック型縮合物としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂(変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体)を用いることができる。レゾール型縮合物を用いた場合、自己反応性があるためメチレンドナーの添加が不要という利点がある。また、ノボラック型縮合物を用いた場合、反応制御が容易であり、メチレンドナーの添加量により接着性も制御できるという利点がある。特に、反応制御の観点から、ノボラック型縮合物を用いることが好ましい。
尚、ノボラック型縮合物を用いる場合は、メチレンドナーを配合することが必要となる。メチレンドナーとしては、例えば、変性エーテル化メチロールメラミン、ヘキサメチレンテトラミン、ペンタメチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、メチロールメラミン、エーテル化メチロールメラミン、エステル化メチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサキス(エトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、N,N′,N″−トリメチル−N,N′,N″−トリメチロールメラミン、N,N′,N″−トリメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N′−ビス(メトキシメチル)メラミン、N,N′,N″−トリブチル−N,N′,N″−トリメチロールメラミン、パラホルムアルデヒド等を用いることができる。なかでも、ホルムアルデヒドの放出温度の観点から、変性エーテル化メチロールメラミンが好ましい。このとき、ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して0.25質量部〜200質量部のメチレンドナーを配合し、ノボラック型縮合物の配合量に対するメチレンドナーの配合量の比率が0.5〜10になるようにすることが好ましい。このとき、ゴム成分100質量部に対するメチレンドナーの配合量が0.25質量部よりも少ないと、フィルム層3との接着性が不足する懸念がある。メチレンドナーの配合量が200質量部よりも多いと、ゴム組成物の硬度が高くなりブラダー1が膨張し難くなる。また、ノボラック型縮合物の配合量に対するメチレンドナーの配合量の比率が0.5よりも小さいと、フィルム層3との接着性が不足する懸念がある。ノボラック型縮合物の配合量に対するメチレンドナーの配合量の比率が10よりも大きいと、ゴム組成物の硬度が高くなりブラダー1が膨張し難くなる。
上述のように、本発明では、ブラダーの表面に設けた特定の熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層3により優れた離型性を長期に亘って発揮することができるので、従来のブラダーにおいて一般に用いられる離型剤(グリーンインサイドペイント:GIP)等を用いことなく加硫工程を行うことが可能になる。
<ベースゴム層を構成するゴム組成物の調製>
表1に示す原料のうち、フェノール樹脂、メチレンドナー、硫黄、および加硫促進剤を除く原料を1.8LのB型バンバリーミキサー(神戸製鋼社製)を用いて5分間混合した後、この混合物にフェノール樹脂、メチレンドナー、硫黄、および加硫促進剤をオープンロール(関西ロール社製)で4分間混合して、ブラダー用ゴム組成物1〜3を調製した。
Figure 2017001293
表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
−IIR:ブチルゴム、ランクセスラバー社製BUTYL301
−CR:クロロプレンゴム、昭和電工社製ショウプレンW
−CB、カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN220
−オイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
−酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
−縮合物1:レゾール型フェノール系樹脂(アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体)、日立化成工業社製ヒタノール2501Y
−縮合物2:ノボラック型フェノール系樹脂(変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体)、田岡化学工業社製スミカノール620
−メチレンドナー:変性エーテル化メチロールメラミン、田岡化学工業社製スミカノール507AP
−ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
−硫黄:細井化学工業社製油処理イオウ
−加硫促進剤1:大内新興化学工業社製ノクセラーDM‐P
−加硫促進剤2:大内新興化学工業社製ノクセラーTT‐P
<フィルム層を構成する熱可塑性エラストマー組成物の調製>
表2に示す原料のうち、Br‐IPMSを予めゴムペレタイザー(森山製作所社製)によりペレット状に加工し、そのペレット状のBr‐IPMSと熱可塑性樹脂、酸変性エラストマー、SIPS、架橋剤、および酸化防止剤を、表2に示す配合比率で、二軸混練押出機(日本製鋼所社製)に投入して、所定の温度(熱可塑性エラストマー組成物1〜4および6〜9は250℃、熱可塑性エラストマー組成物5は265℃)にて3分間混練し、混練物を押出機から連続的にストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断することによりペレット状の熱可塑性エラストマー組成物1〜9を調整した。
Figure 2017001293
表2において使用した原材料の種類を下記に示す。
−Br‐IPMS:臭素化イソブチレン‐p‐メチルスチレン共重合体ゴム、エクソンモービル・ケミカル社製Exxpro MDX89‐4
−酸変性エラストマー1:マレイン酸変性エチレン‐プロピレン共重合体、三井化学社製タフマーMP0610
−酸変性エラストマー2:マレイン酸変性エチレン‐ブテン共重合体、三井化学社製タフマーMH7010
−SIBS:スチレン‐イソブチレン‐スチレン共重合体、カネカ社製SIBSTAR 073T
−酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
−ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
−老化防止剤:フレキシス社製サントフレックス6PPD
−熱可塑性樹脂1:ナイロン6、宇部興産社製UBEナイロン1013B(融点:225℃)
−熱可塑性樹脂2:ナイロン66、東レ社製アミランCM3001‐N(融点:265℃)
−熱可塑性樹脂3:ナイロン610、東レ社製アミランCM2001(融点:225℃)
−熱可塑性樹脂4:ナイロン11、アルケマ社製BMNO(融点:187℃)
−熱可塑性樹脂5:ナイロン12、アルケマ社製AESN TL(融点:178℃)
−熱可塑性樹脂6:ポリプロピレン、プライムポリマー社製E‐333GV(融点:146℃)
<熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムの成形>
得られた熱可塑性エラストマー組成物1〜9をそれぞれ、400mm幅Tダイ押出成型装置(プラ技研社製)を用いて、所定の温度(熱可塑性エラストマー組成物1〜4および6〜9は250℃、熱可塑性エラストマー組成物5は265℃)にてフィルム状に押出し、フィルムを成形した。なお成形したフィルムの厚みは表3、4に示した。
<タイヤ加硫用ブラダーの作成>
上記方法により得られた熱可塑性エラストマー組成物1〜9からなるフィルムのいずれかをブラダー加硫用金型内に配置し、そこにブラダー用ゴム組成物1〜3のいずれかを流入させて、180℃の温度にて60分間加熱することによって加硫し、表面に熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層が配置されたタイヤ加硫用ブラダーを作製した。ここで、熱可塑性エラストマー組成物1〜9とブラダー用ゴム組成物1〜3との組み合わせは、表3〜4に示す実施例1〜15および比較例1〜6のように設定した。尚、比較例3,6は熱可塑性エラストマー組成物9の融点が低過ぎるため、フィルム層がブラダー製造時に溶融してしまい適切なタイヤ加硫用ブラダーを作成することができなかったが、そのまま後述のタイヤ加硫評価に用いた。
作成した21種類のタイヤ加硫用ブラダーを用いて、未加硫タイヤを加硫するに当たり、下記に示す方法により離型性と耐久性の評価を行った。
離型性
定法に従いタイヤサイズ195/65R15の未加硫タイヤを成形し、未加硫タイヤの内面に離型剤を塗布することなく、実施例1〜15および比較例1〜6のタイヤ加硫用ブラダーを用いて、180℃、2.3MPaの条件で15分間、前述の未加硫タイヤの加硫成型を行った。加硫後にブラダー表面およびタイヤ内面を観察し、離型不良による故障の有無を確認した。評価結果は、ブラダーおよびタイヤ内面に離型不良による故障が生じなかった場合を「○」、僅かな離型不良による故障が生じたがタイヤの製造が可能である場合を「△」、離型不良による故障が発生し常用に耐えられない場合を「×」とする3段階で評価した。
耐久性
上述の離型性の試験と同様の方法で、各タイヤ加硫用ブラダーにつき50本の未加硫タイヤの加硫成型を行い、ブラダー表面のフィルム層に故障が生じるまでの加硫本数を測定した。評価結果は、50本の加硫が終わるまでブラダー表面のフィルム層に故障が生じなかった場合を「○」、10本〜49本の間にブラダー表面のフィルム層に故障が生じた場合を「△」、10本よりも前にブラダー表面のフィルム層に故障が生じた場合を「×」とする3段階で評価した。
Figure 2017001293
Figure 2017001293
表3、4から明らかなように、タイヤ加硫用ブラダーの表面に耐熱性の高い熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層を配置した実施例1〜15では、離型剤を塗布することなくタイヤの加硫成型を行うことが可能であった。特に実施例1、4〜6、9、12〜14は、僅かな損傷も生じない非常に優れた離型性を有し、且つ、多量の未加硫タイヤを加硫してもブラダーに故障が生じず、長期に亘って優れた離型性を発揮することができた。
一方、ブラダー表面に熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層を配置しない通常のブラダーである比較例1,4では、タイヤとブラダーが密着し、正常なタイヤを加硫成型することができなかった。融点の低い熱可塑性樹脂を使用した熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層を用いた比較例2〜3および5〜6は、フィルム層が破損、溶融し、正常なタイヤを加硫成型することができなかった。
1 タイヤ加硫用ブラダー
2 ベースゴム層
3 フィルム層
10 加硫金型
11 下側サイドプレート
12 上側サイドプレート
13 下側ビードリング
14 上側ビードリング
15 セクター
T 未加硫タイヤ
M 加熱加圧媒体

Claims (8)

  1. タイヤ加硫金型内に挿入された未加硫タイヤの内側に配置され、前記未加硫タイヤを内側から前記タイヤ加硫金型の内壁に向かって押圧する膨縮自在の弾性材料からなるタイヤ加硫用ブラダーであって、
    前記未加硫タイヤと接する表面に、融点が185℃以上の熱可塑性樹脂を少なくとも1種類含むと共に、該熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層を配置したことを特徴とするタイヤ加硫用ブラダー。
  2. 前記熱可塑性樹脂が少なくとも1種類のナイロンを含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  3. 前記ゴム粒子が、臭素化イソブチレン‐パラメチルスチレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン‐αオレフィン共重合体、スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体、酸無水物変性スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体のうち少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  4. 前記ゴム粒子の配合量が前記熱可塑性エラストマー組成物の全量に対して35重量%〜70重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  5. 前記弾性材料がブチル系ゴムおよび下記一般式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含むゴム組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダー。
    Figure 2017001293
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5は、水素、ヒドロキシル基または炭素原子数が1〜12個のアルキル基である。)
  6. 前記縮合物が前記ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜20質量部配合されたことを特徴とする請求項5に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  7. 前記縮合物がノボラック型縮合物であると共に、前記ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して0.25質量部〜200質量部のメチレンドナーが配合され、前記縮合物の配合量に対する前記メチレンドナーの比率が0.5〜10であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
  8. 前記フィルム層の厚さが10μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダー。
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