JP2018104574A - 動的架橋物の製造方法、及びタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法 - Google Patents

動的架橋物の製造方法、及びタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018104574A
JP2018104574A JP2016253144A JP2016253144A JP2018104574A JP 2018104574 A JP2018104574 A JP 2018104574A JP 2016253144 A JP2016253144 A JP 2016253144A JP 2016253144 A JP2016253144 A JP 2016253144A JP 2018104574 A JP2018104574 A JP 2018104574A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
thermoplastic resin
producing
pellets
resin powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016253144A
Other languages
English (en)
Inventor
竜也 遠藤
Tatsuya Endo
竜也 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire and Rubber Co Ltd filed Critical Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority to JP2016253144A priority Critical patent/JP2018104574A/ja
Publication of JP2018104574A publication Critical patent/JP2018104574A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】製造工程においてゴムペレットの凝着を抑制しつつ、得られた動的架橋物に異物が発生するのを抑制した動的架橋物の製造方法、及びこれを用いてなるタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂を連続相とし、ゴム成分を分散相とする動的架橋物の製造方法であって、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂粉末が表面に付着したゴムペレットを得る工程と、熱可塑性樹脂粉末が表面に付着したゴムペレットを溶融混練する工程とを有する、動的架橋物の製造方法とする。【選択図】図1

Description

本発明は、動的架橋物の製造方法、及びその動的架橋物を用いたタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法に関するものである。
空気入りタイヤの内側面には、タイヤの空気圧を一定に保持するために空気透過抑制層としてインナーライナーが設けられている。インナーライナーは、一般に、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴムなどの気体が透過しにくいゴム層で構成されているが、タイヤの軽量化のため、薄肉化が可能な樹脂フィルムの使用が検討されている。
このような樹脂フィルムとしては、ゴム成分と熱可塑性樹脂とを溶融混練し、動的架橋させることにより得られ、熱可塑性樹脂を連続相(マトリックス相)とし、ゴム成分を分散相(ドメイン相)とした海島構造を有する動的架橋物(Thermoplastic Vulcanizates;TPV)が用いられている。熱可塑性樹脂とゴム成分を動的架橋する際には、例えば二軸押出機が用いられる。二軸押出機にゴム成分としてゴムペレットを投入する際、ゴムペレット同士が凝着するのを抑制するために、ゴムペレット表面へのタルクやシリカなどの添加が行われている。しかしながら、タルクやシリカなどを添加すると溶融混練し動的架橋する際に、タルクやシリカが凝集し異物の核となって、動的架橋物にピンホールや亀裂が発生する要因となる。
特許文献1の段落0002にも、動的架橋物を構成するゴム成分中にカーボンブラック等の充填材を含有していると、カーボンブラックが欠陥として作用し、耐久性を低下させてしまう旨が記載されている。
特許第5663956号
本発明は、以上の点に鑑み、製造工程においてゴムペレットの凝着を抑制しつつ、得られた動的架橋物に異物が発生するのを抑制した動的架橋物の製造方法、及びこれを用いたタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る動的架橋物の製造方法は、熱可塑性樹脂を連続相とし、ゴム成分を分散相とする動的架橋物の製造方法であって、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂粉末が表面に付着したゴムペレットを得る工程と、熱可塑性樹脂粉末が表面に付着したゴムペレットを溶融混練する工程とを有するものとする。
上記ゴムペレットは、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂粉末とゴム成分との混合物からなるものとすることができる。
本発明に係る動的架橋物の製造方法は、熱可塑性樹脂を連続相とし、ゴム成分を分散相とする動的架橋物の製造方法であって、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂粉末とゴム成分との混合物からなるゴムペレットを得る工程と、ゴムペレットを溶融混練する工程とを有するものとする。
上記製造方法は、ゴムペレットを溶融混練する工程において、連続相となる1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を添加するものとすることができる。
上記ゴムペレット中の熱可塑性樹脂粉末の配合量は、ゴムペレット中のゴム成分100質量部に対し、30質量部以上であるものとすることができる。
上記熱可塑性樹脂粉末は、連続相となる熱可塑性樹脂と同じ種類の樹脂からなるものとすることができる。
本発明に係るタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法は、上記の製造方法により得られた動的架橋物を用いて耐空気透過性フィルムを作製する工程を有するものとする。
本発明の製造方法によれば、製造工程においてゴムペレットの凝着を抑制しつつ、得られた動的架橋物に異物が発生するのを抑制し、タイヤ用耐空気透過性フィルムに好適に用いることができる動的架橋物を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの断面図である。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
一実施形態に係る動的架橋物の製造方法は、熱可塑性樹脂を連続相(マトリックス相)とし、ゴム成分を分散相(ドメイン相)とした海島構造を持つ動的架橋物の製造方法であって、熱可塑性樹脂粉末が表面に付着したゴムペレットを得る工程と、熱可塑性樹脂粉末が表面に付着したゴムペレットを用いて、熱可塑性樹脂とゴム成分とを溶融混練する工程とを有するものである。
分散相を構成するゴム成分としては、一般に架橋(加硫)して使用される各種ゴムが用いられ、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、水素化スチレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴム及びその水素添加ゴム; エチレンプロピレンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム、マレイン酸変性エチレンブチレンゴム、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)などのオレフィン系ゴム; ハロゲン化ブチルゴム(例えば、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR))、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンなどの含ハロゲンゴム; その他、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリスルフィドゴムなどが挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐空気透過性の観点から、ブチルゴム(IIR)などのハロゲン化ブチルゴムであることが好ましく、耐疲労性の観点からブタジエンゴムであることが好ましく、TPVの加工性の観点からスチレンブタジエンゴムであることが好ましい。
連続相を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体などのポリアミド系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポチエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド酸/ポリブチレートテレフタレート共重合体などのポリエステル系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体などのポリニトリル系樹脂;酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース系樹脂;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)などのフッ素系樹脂;芳香族ポリイミド(PI)などのイミド系樹脂が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
熱可塑性樹脂粉末としては、上記連続相を構成する熱可塑性樹脂と同様の樹脂を使用することができ、その中でも融点が100〜250℃の熱可塑性樹脂からなるものであることが好ましい。連続相を構成する樹脂と、熱可塑性樹脂粉末を構成する樹脂とは異なる種類の樹脂であってもよいが、同じ種類の樹脂であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径としては、特に限定されないが、10μm〜500μmであることが好ましく、20μm〜400μmであることがより好ましく、20μm〜300μmであることがさらに好ましい。ここで、本明細書において、「熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱法から求められる平均粒子径(50%積算値の粒径)である。
本実施形態のように、熱可塑性樹脂粉末をゴムペレットの表面に付着させることにより、動的架橋を行う混練機、例えば二軸押出機に投入する際に、ペレット同士が凝着するのを抑制することができる。また、熱可塑性樹脂粉末は溶融混練する際に溶融し連続相と一体となるため、得られた動的架橋物に異物が発生するのを抑制することができる。
他の一実施形態に係る動的架橋物の製造方法は、熱可塑性樹脂を連続相とし、ゴム成分を分散相とした海島構造を持つ動的架橋物の製造方法であって、熱可塑性樹脂粉末とゴム成分との混合物からなるゴムペレットを得る工程と、得られたゴムペレットを溶融混練する工程とを有するものである。
このように熱可塑性樹脂粉末とゴム成分との混合物からなるゴムペレットを用いることによっても、ゴムペレット表面に熱可塑性樹脂粉末が表出し、ペレット同士の凝着を抑制することができる。また、熱可塑性樹脂粉末は溶融混練する際に溶融し連続相と一体となるため、得られた動的架橋物に異物が発生するのを抑制することができる。
本実施形態においては、上記第1の実施形態で使用するのと同様の熱可塑性樹脂粉末を使用することができる。すなわち、熱可塑性樹脂粉末を構成する樹脂の種類や好ましい平均粒子径の範囲は上記と同じである。
ゴムペレット中に熱可塑性樹脂粉末を配合する場合、その配合量は、特に限定されないが、ゴムペレット中のゴム成分100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましく、30〜100質量部であることがより好ましく、50〜100質量部であることがさらに好ましい。分散相として用いるゴム成分がフローし易い成分である場合、二軸押出機などにゴム成分を投入するのが困難となるが、ゴムペレット中の熱可塑性樹脂粉末の配合量が30質量部以上であることにより、フロー性を改善することができる。
熱可塑性樹脂粉末が配合されたゴムペレットは、公知のゴムペレットの製法に準じて製造することができる。すなわち、例えばバンバリーミキサーなどの混練機を用いてゴム成分と熱可塑性樹脂粉末を混練し、得られたゴム組成物をロールにてゴムシート化し、押出機で押し出した後、ペレタイザーを用いてゴムペレットを作製することができる。
熱可塑性樹脂粉末が配合されたゴムペレットの表面に、第1の実施形態のように熱可塑性樹脂粉末を付着させることもでき、その場合、配合する熱可塑性樹脂粉末と付着させる熱可塑性樹脂粉末は異なる種類の樹脂からなるものであってもよいが、同じ樹脂であることが好ましい。
本発明の製造方法における、上記熱可塑性樹脂とゴム成分との配合比(充填剤などの配合剤を除いたポリマー成分としての比率)は、熱可塑性樹脂の種類によっても変わり、特に限定されないが、質量比(熱可塑性樹脂/ゴム成分)で、通常は90/10〜30/70程度が好ましく、より好ましくは70/30〜40/60である。なお、ゴムペレット表面に付着させる熱可塑性樹脂粉末の量は微量であるため無視することができるが、熱可塑性樹脂粉末とゴム成分とを混合してなるゴムペレットを用いる場合、熱可塑性樹脂粉末の配合量も考慮する。すなわち、熱可塑性樹脂粉末の配合量と連続相を構成する熱可塑性樹脂との合計量とゴム成分との配合比が上記範囲内であることが好ましい。
分散相を構成するゴム成分には、架橋剤、亜鉛華、ステアリン酸、充填剤、軟化剤、老化防止剤など、ゴム組成物に一般に配合される各種配合剤を適宜添加することができる。すなわち、ゴム成分は、ゴムポリマーに各種配合剤を添加したゴム組成物からなるものであってもよい。
ゴム成分を動的架橋するための架橋剤としては、硫黄や硫黄含有化合物等などの加硫剤、加硫促進剤の他、フェノール系樹脂などが挙げられる。耐熱性の点からは、フェノール系樹脂を用いることが好ましい。フェノール系樹脂としては、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる樹脂が挙げられ、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合体又は臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合体であることがより好ましい。
架橋剤の配合量は、ゴム成分を適切に架橋できれば特に限定されず、その種類によっても異なるが、目安としては、ゴム成分(充填剤などの配合剤を除いたポリマーとしての量)100質量部に対して、0.1〜10質量部程度である。
なお、架橋剤としての硫黄は必須ではなく、架橋系としては、加硫促進剤やフェノール系樹脂のみを配合してもよい。本実施形態に係る動的架橋物をタイヤ用耐空気透過性フィルムとして用いる場合、被貼り合わせ部材であるゴム部材やゴム層の加硫成形時に共架橋させることが好ましいが、硫黄を配合すると、耐空気透過性フィルムを作製する際の温度によりゴム成分の架橋が進みすぎてしまい、上記のような共架橋が難しくなるためである。
なお、上記ゴム成分に任意に添加される各種配合剤は、予めゴム成分に添加していてもよく、あるいはまた、熱可塑性樹脂とゴム成分の溶融混練中に添加してもよい。特に、加硫促進剤などの加硫系の添加剤は、ゴム成分がなるべく架橋されないように、溶融混練の最終段階で添加することが好ましい。上記溶融混練の段階で動的架橋してもよいが、ゴム成分が架橋されすぎると、被貼り付け部材の加硫成形時に上記のように共架橋させることが難しくなるので、ゴム成分があまり架橋されないように加熱時間及び温度を設定することが好ましい。
本実施形態に係る動的架橋物は、熱可塑性樹脂とゴム成分とともに、相溶化剤を混合してなるものであってもよい。相溶化剤の配合により、熱可塑性樹脂とゴム成分との界面張力を低下させて、海島構造の分散相を細粒化することができる。相溶化剤としては、一実施形態として、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(即ち、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、及び/又は、エチレン−グリシジルアクリレート共重合体)を用いてもよい。該相溶化剤の配合量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂とゴム成分(充填剤などの配合剤を除いたポリマーとしての量)の合計量100質量部に対して0.5〜10質量部とすることができる。
また本実施形態に係る動的架橋物を、タイヤ用耐空気透過性フィルムに適用する場合、接着剤としてレゾルシン系ホルムアルデヒド縮合体を含有させてもよい。該接着剤は、タイヤにおいて耐空気透過性フィルムと隣接するゴム部材との接着性を向上させるために配合されるものである。レゾルシン系ホルムアルデヒド縮合体としては、レゾルシンを少なくとも一部に含むフェノール類化合物と、ホルムアルデヒドとが縮合して得られた化合物が用いられる。好ましくは、レゾルシン−アルキルフェノール−ホルムアルデヒド共縮合体または改質レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂を用いることである。改質レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂としては、骨格をなすフェノール化合物の少なくとも一部に不飽和基含有モノマーが結合して、アリールアルキル基(アラルキル基)の側鎖またはグラフト状のポリマー鎖などを形成したもの、または、不飽和基含有モノマーの重合物もしくはこれとレゾルシンとの共重合物などが混在するものなどが挙げられる。また、部分的にホルムアルデヒド以外のアルデヒド化合物を含むものであってもよい。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、インデン、及びビニルトルエンから選ばれた少なくとも1つ(特に好ましくはスチレン)を、レゾルシン及びホルムアルデヒドと共存させて得られた反応生成物であってもよく、また、ブチルアルデヒドまたはその他のアルデヒドを、少量混合して得られた反応生成物であってもよい。レゾルシン系ホルムアルデヒド縮合体の配合量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂とゴム成分(充填剤などの配合剤を除いたポリマーとしての量)の合計量100質量部に対して1〜10質量部とすることができる。
実施形態に係る動的架橋物は、熱可塑性樹脂とゴム成分を架橋剤とともに溶融混練し、該架橋剤でゴムを動的架橋させることで得ることができる。このようにゴム成分を動的架橋させることにより、分散相の粒子サイズを小さくして柔軟性を向上することができる。架橋剤などの添加剤は、上記混練中に添加してもよく、混練前に予め混合しておいてもよい。混練に使用する混練機としては、特に限定されず、例えば、二軸押出機、スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられる。
一実施形態として、ゴム成分に架橋剤を添加してゴムマスターバッチのペレットを作製し、該ペレットを、熱可塑性樹脂、及び相溶化剤とともに混練機に投入し、溶融混練して動的架橋することにより動的架橋物のペレットを得てもよい。また、熱可塑性樹脂、ゴム成分、架橋剤、及び相溶化剤を事前混合せずに混練機に投入し、溶融混練して動的架橋することにより動的架橋物のペレットを得てもよい。上記接着剤は、ゴム成分と同時に添加してもよく、動的架橋前でも後でもよいが、架橋剤としてのフェノール系樹脂を添加する場合、接着剤は動的架橋後に添加することが好ましい。
このようにして得られた動的架橋物のペレットをフィルム化することにより、本発明の実施形態に係る耐空気透過性フィルムが得られる。フィルム化する方法は特に限定されず、例えば押し出し成形やカレンダー成形など、通常の熱可塑性樹脂をフィルム化する方法を用いることができる。
耐空気透過性フィルムの厚さは、用途によるので特に限定されないが、例えばタイヤ用途の場合、0.02〜1.0mmとすることができ、好ましくは0.05〜0.5mmであり、より好ましくは0.1〜0.3mmである。
耐空気透過性フィルムの空気透過性も、用途によるので特に限定されないが、タイヤ用途の場合、JIS K7126−1「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて測定した値が、少なくともブチルゴムやハロゲン化ブチルゴムなどのゴム層で構成されたインナーライナーと同程度の耐空気透過性であることが好ましく、5×1013fm/Pa・s以下であることがより好ましく、0.1×1013〜4×1013fm/Pa・sであることがさらに好ましく、0.1×1013〜1.0×1013fm/Pa・sであることが特に好ましい。従来のゴム層で構成されたインナーライナーに代えて、耐空気透過性フィルムを用いることによりインナーライナーの薄肉化によるタイヤの軽量化を図ることができる。
本実施形態に係る耐空気透過性フィルムは、例えば、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどの重荷重用タイヤを含む各種の自動車用タイヤ、また自転車を含む二輪車用タイヤなど、各種の空気入りタイヤに適用することができる。
図1は、一実施形態に係る空気入りタイヤ1の断面図である。図示するように、空気入りタイヤ1は、リム組みされる一対のビード部2と、該ビード部2からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部3と、該一対のサイドウォール部3間に設けられた路面に接地するトレッド部4とから構成される。一対のビード部2には、それぞれリング状のビードコア5が埋設されている。有機繊維コードを用いたカーカスプライ6が、ビードコア5の周りを折り返して係止されるとともに、左右のビード部2間に架け渡して設けられている。また、カーカスプライ6のトレッド部4における外周側には、スチールコードやアラミド繊維などの剛直なタイヤコードを用いた2枚のベルトプライからなるベルト7が設けられている。
カーカスプライ6の内側にはタイヤ内面の全体にわたってインナーライナー8が設けられている。本実施形態では、このインナーライナー8として上記耐空気透過性フィルムが用いられている。インナーライナー8は、図1中の拡大図に示すように、タイヤ内面側のゴム層であるカーカスプライ6の内面に貼り合わされており、より詳細には、カーカスプライ6のコードを被覆するトッピングゴム層の内面に貼り合わされている。
本実施形態に係る耐空気透過性フィルムを用いた空気入りタイヤの製造方法としては、例えば、耐空気透過性フィルムをインナーライナーとして用いて、成形ドラムの外周にインナーライナーを筒状に装着し、その上にカーカスプライを貼り付け、更にベルト、トレッドゴム及びサイドウォールゴムなどの各タイヤ部材を貼り重ね、インフレートすることによりグリーンタイヤ(未加硫タイヤ)が作製され、該グリーンタイヤをモールド内で加硫成形することにより、空気入りタイヤが得られる。なお、図1に示す例では、耐空気透過性フィルムをカーカスプライの内面側に設けたが、タイヤ内部からの空気の透過を防止して、タイヤの空気圧を保持することができる態様、即ち内圧保持のための空気透過抑制層として設けられるものであれば、例えば、カーカスプライの外面側などの種々の位置に設けることができ、特に限定されない。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
比較例1は、表1に示す配合(質量部)に従い、バンバリーミキサーを用いて、ブタジエンゴム(BR)と、架橋剤を混練した(排出温度=80℃)。得られたゴム組成物をロールにてゴムシート化し、押出機で押し出した後、ペレタイザーを用いてゴムペレットを作製した。得られたゴムペレットは、ペレット同士が凝着し、動的架橋物を作製することができなかった。
実施例1は、表1に示す配合(質量部)に従い、バンバリーミキサーを用いて、ブタジエンゴム(BR)と、架橋剤を混練した(排出温度=80℃)。得られたゴム組成物をロールにてゴムシート化し、押出機で押し出した後、ペレタイザーを用いてゴムペレットを作製すると同時にゴムペレット表面に熱可塑性樹脂粉末(樹脂粉末2)を吹き付けた。その後、熱可塑性樹脂と相溶化剤を乾式混合したものと、過剰に付着した粉末をふるいにて払い落としたゴムペレットとを、220℃の温度で二軸押出機(プラスチック工業研究所)を用いて溶融混練し、動的架橋させ、動的架橋物のペレットを得た。得られたペレットを、単軸押出機を用いて幅14cm、厚さ0.2mmに成型し、フィルムのサンプルを得た。
実施例2〜7では、ゴムペレット作製の際にブタジエンゴムと架橋剤に加えて、熱可塑性樹脂粉末(樹脂粉末2)を表1に示した割合でそれぞれ配合した以外は実施例1と同様にして得たゴムペレットを用いて熱可塑性樹脂と溶融混練して、動的架橋物のペレットを得て、さらにフィルムのサンプルを得た。また実施例8〜11では、実施例2と同様にしてゴムペレットを作製したが、ゴムペレットの表面への樹脂粉末2の吹き付けは行わなかった。そのようなゴムペレットを用いた以外は実施例2と同様にして、熱可塑性樹脂と溶融混練して動的架橋物のペレットを得て、さらにフィルムのサンプルを得た。
また、比較例2〜4及び実施例12,13では、表2に示すように、タルク、シリカ、カーボンブラック、樹脂粉末1,3をそれぞれ吹き付けた後、過剰に付着した粉末をふるいにて払い落としたゴムペレットを用いた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂と溶融混練して動的架橋物のペレットを得て、さらにフィルムのサンプルを得た。
表1及び表2中の各成分の詳細は以下の通りである。
・BR:宇部興産(株)製「BR150B」
・樹脂粉末1:ナイロン6/66、東レ(株)製「アミラン CM6041XF」、平均粒子径=250μm
・樹脂粉末2:ナイロン6/66、東レ(株)製「アミラン CM6041XF」、平均粒子径=100μm
・樹脂粉末3:ナイロン6/66、東レ(株)製「アミラン CM6041XF」、平均粒子径=25μm
・熱可塑性樹脂:ナイロン6/66、東レ(株)製「アミラン CM6041XF」
・架橋剤:田岡化学工業(株)製「タッキロール250−III」
・相溶化剤:住友化学(株)製「ボンドファーストE」
・タルク:日本タルク(株)製「タルクSW」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップルシールAQ」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
得られた各ゴムペレットについてタック性及びフロー性(但し、比較例1及び実施例1〜11のみ)を評価し、得られた動的架橋物からなる各サンプルについて異物の有無を評価した。結果を表1及び2に示す。各評価方法は次の通りである。
・ペレットのタック性:得られたゴムペレットをロールによって厚さ2mmのシートとし、2枚のシートとPICMAタックテスター2を用いて、圧着荷重100g、圧着速度200mm/min、引き剥がし速度300mm/min、圧着時間10秒間の条件で試験を行い、荷重をn=5で読み取り中央値を測定した。比較例1の値を100とした指数で表示した。数値が小さいほどタック性(粘着性)が低く優れていることを示す。なお、ゴムペレット表面への樹脂粉末やタルク、シリカ、カーボンブラックの吹き付けは、ゴムペレットをシート化した直後に行った。
・ペレットのフロー性:1cm大のゴムペレットに10gの荷重を1時間かけた後、ペレットの粒径を測定し、最大長が1.5cm以上であるものを「×」とし、最大長が1.5cm未満であるものを「○」とした。
・異物の有無:得られたサンプルを単軸押出機で幅14cm、厚さ0.1mmにした後、得られたシートを1m用意し、異物があるか否かを目視で確認した。1つでも異物が確認された場合は「有」とし、まったく異物が確認されなかった場合は「無」と表示した。なお、比較例1,2では、ゴムペレットの凝着により、動的架橋物を作製することができなかったため、「−」と表示した。
Figure 2018104574
Figure 2018104574
結果は、表1,2に示す通りであり、ゴムペレット表面に樹脂粉末を付着させた実施例1〜7、12及び13は、比較例1と比較して、ペレットのタック性が低減し、動的架橋物に異物も確認されなかった。
また、比較例1と実施例8〜11との対比から分かるように、ゴムペレット中に熱可塑性樹脂粉末を配合した場合も、ペレットのタック性が低減し、動的架橋物に異物も確認されなかった。
さらに、比較例1と実施例8〜11との対比、実施例1〜3と実施例4〜7との対比より、ゴム成分100質量部に対して熱可塑性樹脂粉末の配合量が30質量部以上であるペレットを用いた場合、ペレットの耐フロー性に優れることが分かる。
本発明の動的架橋物は、耐空気透過性フィルムとして、乗用車、ライトトラック、バス等の各種タイヤのインナーライナーに用いることができる。
1・・・空気入りタイヤ
2・・・ビード
3・・・サイドウォール
4・・・トレッド
5・・・ビードコア
6・・・カーカス
7・・・ベルト
8・・・インナーライナー

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂を連続相とし、ゴム成分を分散相とする動的架橋物の製造方法であって、
    1種又は2種以上の熱可塑性樹脂粉末が表面に付着したゴムペレットを得る工程と、
    前記熱可塑性樹脂粉末が表面に付着したゴムペレットを溶融混練する工程とを有する、動的架橋物の製造方法。
  2. 前記ゴムペレットが、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂粉末とゴム成分との混合物からなることを特徴とする、請求項1に記載の動的架橋物の製造方法。
  3. 熱可塑性樹脂を連続相とし、ゴム成分を分散相とする動的架橋物の製造方法であって、
    1種又は2種以上の熱可塑性樹脂粉末とゴム成分との混合物からなるゴムペレットを得る工程と、
    前記ゴムペレットを溶融混練する工程とを有する、動的架橋物の製造方法。
  4. 前記ゴムペレットを溶融混練する工程において、連続相となる1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を添加する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の動的架橋物の製造方法。
  5. 前記ゴムペレット中の熱可塑性樹脂粉末の配合量が、ゴムペレット中のゴム成分100質量部に対し、30質量部以上である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の動的架橋物の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂粉末が、連続相となる熱可塑性樹脂と同じ種類の樹脂からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の動的架橋物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られた動的架橋物を用いて耐空気透過性フィルムを作製する工程を有する、タイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法。

JP2016253144A 2016-12-27 2016-12-27 動的架橋物の製造方法、及びタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法 Pending JP2018104574A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016253144A JP2018104574A (ja) 2016-12-27 2016-12-27 動的架橋物の製造方法、及びタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016253144A JP2018104574A (ja) 2016-12-27 2016-12-27 動的架橋物の製造方法、及びタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018104574A true JP2018104574A (ja) 2018-07-05

Family

ID=62786756

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016253144A Pending JP2018104574A (ja) 2016-12-27 2016-12-27 動的架橋物の製造方法、及びタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018104574A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5071204B2 (ja) 空気入りタイヤ
WO2013186827A1 (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂部材とゴム部材との加硫接着体及びその製造方法
KR100297536B1 (ko) 공기 주입 타이어 및 이의 제조방법
JP2015116803A (ja) フィルムとゴム組成物との積層体、及びそれを含むタイヤ
JP2000160024A (ja) ガスバリヤー性に優れた熱可塑性エラストマー組成物およびそれを使用した積層体
CN1744998A (zh) 具有改进的耐久性的充气轮胎
JP6062622B2 (ja) タイヤ層及びそれに接着されたdvaバリア層を有する空気入りタイヤ及びその製造法
JPH11240108A (ja) 積層体およびこれを使用したタイヤ
JPH1025375A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びこれを使用した空気入りタイヤ、ホース
JP5873291B2 (ja) タイ層を有する空気入りタイヤ及びその製造法
US8546478B2 (en) Thermoplastic elastomer composition and method for producing the same
JP5939734B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP3126321B2 (ja) 空気入りタイヤ
WO2011152101A1 (ja) 粘接着剤組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2006315339A (ja) 熱可塑性エラストマーフィルム
JP4968177B2 (ja) 空気入りタイヤの製造方法
JP6676366B2 (ja) 耐空気透過性フィルム及び空気入りタイヤの製造方法
JP6996902B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、タイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法
JP6076776B2 (ja) タイヤ
JPH1036571A (ja) 機能性熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
JP2018104574A (ja) 動的架橋物の製造方法、及びタイヤ用耐空気透過性フィルムの製造方法
JP6909097B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物、タイヤ用耐空気透過性フィルム、及びこれを用いた空気入りタイヤ
JP6694079B2 (ja) タイヤ用耐空気透過性フィルム
JP2018104575A (ja) 動的架橋物、及びタイヤ用耐空気透過性フィルム
JP6813352B2 (ja) ポリアミド系樹脂部材とゴム部材との加硫接着体及びその製造方法