JP2017000662A - マイクロニードル、マイクロニードルの製造方法、および、マイクロニードルの使用方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上記マイクロニードルの他の態様によれば、脆弱部は切り込みであるため、突起部の材料や、マイクロニードルの製造条件を変更しなくても、切り込みの幅や深さ等といったパラメーターを変更することで、脆弱部の脆弱性を調整することができる。
上記マイクロニードルの他の態様によれば、脆弱部は、脆弱部を除く部分よりも脆い材料から構成されるため、脆弱部を構成する材料の選択等によって、脆弱部に適切な脆さを付与することができる。なお、脆弱部を除く部分よりも脆い材料は、材料の組成自体が脆弱部を除く部分とは異なる、および、材料の組成が脆弱部を除く部分と同じであるが物性値が異なるものを含む。
上記マイクロニードルの他の態様によれば、脆弱部の少なくとも一部には、突起部の内部に位置する空孔が形成されているため、突起部そのものの製造条件の調整によって脆弱部の脆さを変えることができる。
上記マイクロニードルの他の態様によれば、突起部は、生体内で加水分解されて生体に吸収される生体吸収性の材料から構成されるため、例えば、突起部が皮膚内に保持された状態で脆弱部を起点として突起部が折られても、折られた突起部は生体内で分解および吸収される。そのため、例えば、投与剤が貫通孔内に充填された突起部を皮膚に刺したまま折り、その後、一定の期間にわたり皮膚に突起部を保持させるといった用途にも、マイクロニードルを使用することができる。この用途においては、突起部から投与剤を皮膚に徐々に投与することができる。
図1〜図7を参照して、本発明のマイクロニードルを具体化した第1実施形態について説明する。
図1を参照して、マイクロニードル10の構成について説明する。マイクロニードル10は、基体の一例である中空状に形成された筒部11と、皮膚に穿孔するための突起部12とを備えている。突起部12は、筒部11に接続された基端部20を有し、筒部11の支持面14から突き出ている。突起部12には貫通孔13が形成され、貫通孔13は、突起部12の延びる方向である延在方向に沿って突起部12を貫通している。
図2および図3を参照して、マイクロニードル10の詳細な構成を説明する。
図2に示すように、突起部12は、略円柱状に形成され、支持面14に固定された基端部20に対して反対側となる先端部21に傾斜面22を有する。傾斜面22は、先端部21の端面であって、延在方向に対して斜めに交差する平坦面である。傾斜面22は、円柱部分の横断面の中心を通り突起部12の延在方向と平行な線を軸線X1とするとき、軸線X1に対して斜めに交差する。傾斜面22上の点は、図2中の右方向に位置する点ほど基端部20に近い。また、傾斜面22は、先端部21のうち基端部20から最も離れた位置にある突起部先端23から軸線X1を挟んだその反対側に向かうに連れ、基端部20側に位置するように傾斜している。
図4〜図7を参照して、マイクロニードル10の作用について説明する。
図4に示されるように、マイクロニードル10は、注射筒50の外筒51に設けられた筒先53に取り付けられる。そして、筒部11の支持面14(図1参照)が被投与者の皮膚に押し付けられることによって、マイクロニードル10の突起部12が皮膚を刺す。さらに、突起部12が皮膚を刺した状態で、押子52がマイクロニードル10側へ向けて押し込まれる。突起部12を皮膚に刺すときの適切な穿刺荷重は、例えば、5Nから100N程度の範囲に含まれる大きさである。また、穿刺の速度は、例えば、手技で行われるときの速度である0.01mm/s以上、バネなどの動力源による補助のもとで行われるときの速度である1000mm/s以下の範囲に含まれる大きさである。押子52が押し込まれることによって、外筒51内の投与剤Lがマイクロニードル10の筒部11内に供給される。筒部11内に供給された投与剤Lは、さらに突起部12の貫通孔13に供給され、貫通孔13の開口を介して皮膚内に投与される。突起部12は、皮膚の表面に対してほぼ垂直に皮膚を刺してもよいし(図5参照)、皮膚の表面に対して斜めに皮膚を刺してもよい。
(1)脆弱部30は、延在方向における突起部12の中間位置よりも基端部20側、すなわち、突起部12の基端部20と全長H1の半分の高さ位置との間に位置する。また、脆弱部30は、脆弱部30を含み延在方向と直交する面内においては、脆弱部30を含む第1部と、脆弱部30を含まず第1部と対向する第2部とに突起部12を二分する、すなわち、突起部12の周方向において180度の範囲内に収まるように形成される。
次に図8〜図11を参照して、マイクロニードルを具体化した第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態のマイクロニードルは、第1実施形態のマイクロニードルの脆弱部を変更した構成であるため、同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
次に、図10〜図12を参照して、マイクロニードル10の製造方法について説明する。なお、以下では、マイクロニードル10の製造方法の一例として、射出成形法を用いる方法を説明する。
(6)脆弱部31は成形時に生じた樹脂の合流部を含むため、脆弱部31の位置や大きさの調整は、樹脂の速度や、樹脂を異なるゲートから供給するタイミングなどといった条件の変更により可能となるため、脆弱部を形成するために既存の金型の構造を有効利用することができる。
図13、および、図14を参照して、マイクロニードルを具体化した第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態のマイクロニードルは、第1実施形態のマイクロニードルの突起部の先端、および、脆弱部を変更した構成であるため、同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
(7)脆弱部32は、脆弱部32を除く部分よりも脆い材料から構成されるため、脆弱部32の材料の選択等によって、脆弱部32の脆さを調整することができる。
次に、マイクロニードルを具体化した第4実施形態を説明する。なお、第4実施形態のマイクロニードルは、第1実施形態のマイクロニードルの脆弱部を変更した構成であって、第3実施形態の突起部の形状と同じであるため、同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
(8)脆弱部33は、突起部12の内部に形成された空孔からなるため、突起部12の形状や成形に用いる金型を変更しなくても、製造条件の変更により、脆弱部の脆さを調整することができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・筒部11の形状は、上記各実施形態に記載された形状以外であってもよい。例えば、小径部16を筒部11の周方向の一箇所、または、複数箇所に設けてもよい。また、筒部11の軸方向の複数箇所に小径部16を設けてもよい。筒部11は、支持面14を先端、その反対側の端を基端とするとき、基端から先端までにわたって円柱形状であってもよいし、円錐形状であってもよい。また、筒部11は円柱形状および円錐形状以外の形状、例えば、角柱形状や角錐形状であってもよいし、円柱形状、円錐形状、角柱形状、および、角錐形状の2つ以上を組み合わせた形状であってもよい。
・突起部12は、軸線X1に対して対称な形状や、先端に傾斜面を有さない形状であってもよく、例えば、単なる円柱状、楕円柱状、四角柱状、さらには、刃状であってもよい。この態様であっても、脆弱部を含む第1部と、脆弱部を含まず第1部と対向する第2部とに突起部が二分される構成であれば、第1部から第2部に向けた方向である破壊方向において突起部の耐荷重性を下げることができる。また、脆弱部側は、突起部12が皮膚を刺す際に加えられる軸線X1と交差する方向の荷重に耐えることが可能な耐荷重性を有する。そのため、全周において脆弱部を設けるよりも皮膚穿刺時に破壊しにくくなる。
・上記各実施形態における脆弱部の構成は、1つ以上の他の実施形態における静寂部の構成と組み合わせることも可能である。例えば、第1実施形態の脆弱部に形成された切り込みが、第2実施形態から第4実施形態の各脆弱部に形成されてもよく、第2実施形態の脆弱部に含まれるウェルドラインが、第3実施形態や第4実施形態の各脆弱部に形成されてもよい。また、例えば、第1実施形態の脆弱部に形成された切り込みと、第2実施形態の脆弱部に形成されたウェルドラインとが、第3実施形態の脆弱部や第4実施形態の脆弱部に形成されてもよい。また、脆弱部がウェルドラインを含む構成においては、そのウェルドラインが貫通孔13と接するように位置してもよい。
次に、マイクロニードルの実施例1〜4について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
切り込みを有する突起部を備えるマイクロニードルを作成した。射出成形用の金型として、突起部用金型、筒部用金型、および、貫通孔用のコアピンが組み込まれたモールドベースを準備した。突起部用金型は、突起部先端が外周面上にあり傾斜面を有する突起部(第1実施形態と同様)であって、突起部の長手方向の寸法が0.8mmとなるように設計した。筒部用金型は、突起部を支持する支持面が円形となるように設計し、ゲート口を二箇所に設けた。コアピンの先端部は、直径が100μmである円柱形状とした。
[実施例2]
ウェルドラインを含む脆弱部を備えたマイクロニードルを作成した。射出成形用の金型として、突起部用金型、筒部用金型、および、貫通孔用のコアピンが組み込まれたモールドベースを準備した。突起部用金型、筒部用金型、およびコアピンは、ゲートが1つであること以外は、実施例1と同じ構成のものを用いた。
材料組成が異なる物質からなるマイクロニードルを作成した。射出成形用の金型として、突起部用金型、筒部用金型、および、貫通孔用のコアピンが組み込まれたモールドベースを準備した。突起部用金型、筒部用金型、およびコアピンは、実施例1と同じ構成のものを用いた。
内部に空隙を有するマイクロニードルを作成した。射出成形用の金型として、突起部用金型、筒部用金型、および、貫通孔用のコアピンが組み込まれたモールドベースを準備した。突起部用金型、およびコアピンは、実施例1と同じ構成のものを用いた。筒部用金型にはゲート口を1つ設けた。
実施例1〜4で成形されたマイクロニードルに対し、突起部が破壊される直前の最大耐荷重を測定することで、耐荷重性を評価した。最大耐荷重の測定は、突起部のうち基端から高さ方向に0.4mmの位置を、先端幅0.2mmの金属棒を用いて突起部の軸線と交差する複数の方向から押し込み、ロードセル(日本計測システム社製、製品名MAX−1KN)を用いて測定した。
Claims (9)
- 基体と、
前記基体に接続された基端部を有して前記基体から突き出た突起部であって、脆弱部を含むと共に、前記突起部の延在方向に前記突起部を貫通する貫通孔が形成された前記突起部とを備え、
前記脆弱部は、前記延在方向における前記突起部の中間位置よりも前記基端部側に位置し、かつ、前記脆弱部を含み前記延在方向と直交する面内においては、前記脆弱部を含む第1部と、前記脆弱部を含まず前記第1部と対向する第2部とに前記突起部が二分され、前記第1部から前記第2部に向けた方向が破壊方向であり、
前記突起部は、前記破壊方向の荷重によって前記突起部が折れるときに前記脆弱部が前記突起部の破壊の起点となるように構成されている
マイクロニードル。 - 前記突起部は、前記基端部とは反対側の端部である先端部を有し、
前記先端部は、前記延在方向に対して斜めに交差する平坦面である傾斜面を端面として有し、
前記傾斜面上の点は、前記破壊方向に位置する点ほど前記基端部に近く、
前記第2部は、前記第1部に対し前記破壊方向に位置する
請求項1に記載のマイクロニードル。 - 前記脆弱部は、前記突起部の外周面から前記突起部内に向かって形成された切り込みである
請求項1又は2に記載のマイクロニードル。 - 前記突起部は、樹脂製の第1突起部分と、樹脂製の第2突起部分とから構成され、
前記脆弱部は、前記第1突起部分と前記第2突起部分との境界を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロニードル。 - 前記脆弱部の少なくとも一部は、前記突起部のうち前記脆弱部を除く部分よりも脆い材料から構成されている
請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロニードル。 - 前記脆弱部の少なくとも一部には、前記突起部の内部に位置する空孔が形成されている
請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロニードル。 - 前記突起部は、生体吸収性の材料から構成されている
請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロニードル。 - 基体と、
前記基体に接続された基端部を有し前記基体から突き出た突起部であって、脆弱部を含むと共に、前記突起部の延在方向に前記突起部を貫通する貫通孔が形成された前記突起部と、
を備えるマイクロニードルを製造する方法であって、
前記マイクロニードルを製造するための金型に樹脂を射出し、それによって、樹脂製の第1突起部分と樹脂製の第2突起部分とから構成された前記突起部を形成し、かつ、前記脆弱部の少なくとも一部を前記第1突起部分と前記第2突起部分との境界とすることであって、
前記脆弱部を含み前記延在方向と直交する面内においては、前記第1突起部分と前記第2突起部分とに前記突起部が二分され、かつ、前記延在方向における前記突起部の中間位置よりも前記基端部側に前記脆弱部が位置するように、前記金型に前記樹脂を射出することを含むこと
を特徴とするマイクロニードルの製造方法。 - 基体と、
前記基体に接続された基端部を有して前記基体から突き出た突起部であって、脆弱部を含むと共に、前記突起部の延在方向に前記突起部を貫通する貫通孔が形成された前記突起部と、
を備えるマイクロニードルの使用方法であって、
前記脆弱部は、前記延在方向における前記突起部の中間位置よりも前記基端部側に位置し、かつ、前記脆弱部を含み前記延在方向と直交する面内においては、前記脆弱部を含む第1部と、前記脆弱部を含まず前記第1部と対向する第2部とに前記突起部が二分され、
前記第1部から前記第2部に向けた方向が破壊方向であり、
前記貫通孔を通じて皮膚に投与剤を投与すること、
前記突起部に前記破壊方向の荷重を加え、それによって、前記脆弱部を破壊の起点として前記突起部を折ることを含むこと
を特徴とするマイクロニードルの使用方法。
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