本発明は、エフリン−Aリガンド(またはEFNA)、例えばEFNA4に結合する抗体−薬物コンジュゲートを提供する。本発明は、EFNA4抗体、リンカー、および薬物を用いてコンジュゲートを調製するためのプロセスも提供する。本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、EFNA4発現を特徴とする過剰増殖障害の診断、予防、および/または処置において用いられることができる組成物、例えば医薬品の調製および製造に関して有用である。本発明の一部の側面において、開示される抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍開始細胞(TIC)の頻度を低減することができ、それは腫瘍永続化細胞(TPC)および高増殖性腫瘍始原細胞(Tprog)を包含する。
I.EFNAの生理学
PCT国際公開第2012/118547号は、全ての細胞表面受容体−リガンド相互作用と同様に、エフリン受容体(EPH)のエフリンリガンド(EFN)による会合は、最終的に結果として細胞内シグナル伝達カスケードの活性化をもたらすことを記載している。受容体−リガンド相互作用は、同じ細胞の表面上の分子間(シス相互作用)で起こり得るが、一般に、シス相互作用はシグナル伝達カスケードの誘発につながらない、またはシス相互作用は実際には(例えば別々の細胞上の受容体およびリガンドの間の)トランス相互作用により開始されたシグナル伝達カスケードに拮抗し得ると考えられている。EPH−EFNトランス相互作用の一側面は、受容体−リガンド会合における2種類のシグナル伝達カスケード−EPHを発現している細胞における順方向シグナル伝達カスケード、およびEFNを発現している細胞における逆方向シグナル伝達カスケードの誘発に関する能力である。2つの別々のシグナル伝達カスケードの活性化は、EPHおよびEFNが動物の胚発生において協調するように進化してきた細胞選別および細胞配置プロセスを反映している可能性がある。
EPH−EFNシグナル伝達は、細胞骨格の動態を制御し、異なるタイプの細胞間の接着および反発相互作用の調節をもたらす細胞シグナル伝達経路を頻繁に活性化する。一般に、EPHおよびEFNタンパク質は、胚形成の間に、成体の組織で観察されるレベルに対してはるかに高いレベルで存在するが、成体における継続した低レベル発現は、分化している細胞の陰窩中の組織幹細胞におけるそれらの源から腸管腔に面する絨毛の表面におけるそれらの最終的な位置への移動から生じる十分に定められた構造を有する成人の腸のような組織の正常な機能におけるこれらの分子に関する役割を反映している可能性がある。EPHは肝細胞癌において最初に同定され、そしてEPHおよびEFN発現は典型的には成体では限られているため、ヒトの癌におけるEFNおよび/またはEPHの発現の再活性化は、癌細胞の脱分化および/またはこれらの癌細胞の周囲の正常な組織に浸潤して原発腫瘍の部位から遠い位置へと移動する能力につながっている可能性がある。他の研究は、EPH−EFN相互作用は、血管新生における役割も有することを示唆してきた。
非リンパ系組織におけるEPH−EFN相互作用は、インテグリンおよび細胞骨格の再配置により細胞間の接着または反発力を生成することにより細胞相互作用を制御するという発見と一致して、リンパ細胞上にあるEPHおよびEFN分子は、細胞外マトリックス構成要素への細胞接着、走化性および細胞移動を媒介することが示されている。例えば、EFNA1(EPHA2受容体に結合し、例えばGenbank受け入れ番号NM_004428におけるようなアミノ酸配列を含む)の一次CD4およびCD8 T細胞上での会合は、細胞移動を刺激し、走化性を増進することが分かっている。EFNA1と同様に、EFNA4は、一次CD4 T細胞上で発現されているが、EPH−EFN相互作用の乱雑性のため、EFNA4の会合がこれらの細胞において類似の作用を有するのかどうかは不明である。しかし、成熟したヒトBリンパ球がEFNA4を発現しており、活性化においてそれを分泌することが、実証されている。さらに、EFNA4は、あらゆる他のEFNまたはEPH分子とは異なり、慢性リンパ性白血病(CLL)患者のB細胞上でも、またはそれによっても一貫して発現されている。興味深いことに、EFNA4イソ型の発現は、Q−PCRにより測定された際に、障害の臨床徴候と相関している可能性がある。また、EFNA4の増大した発現を有することが既知であるCLL患者からのB細胞は、健康な人からのB細胞と比較して、経内皮移動能力における欠陥を示した。明らかに、EFNA4の会合は、CLL細胞の細胞外マトリックス分子に接着する能力を低減し、それらのCCL1に対する走化性反応を低減した。一緒に、これらの報告は、BおよびT細胞の輸送(trafficking)におけるEFNA4に関する役割を示唆しており、上記で論じられた細胞内シグナル伝達データと組み合わせて見た場合、EFNA、特にEFNA4を、抗癌療法の開発のための非常に興味深い標的にしている。
加えて、EFNA4の発現は、様々な癌幹細胞集団において高められている。バルク腫瘍(bulk tumor)におけるいくつかのEPHA受容体の同時上方制御と合わせて、これは、EFNA4に媒介されるリガンド−受容体相互作用が、腫瘍増殖、血管新生および/または腫瘍転移につながる細胞シグナル伝達カスケードを誘発し得るという可能性を高めている。特定の理論により束縛されることを望むわけでは一切ないが、本発明のEFNA4抗体およびEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも部分的に、腫瘍開始細胞(TIC)の頻度を低減もしくは排除し、それにより伝統的な標準治療(SOC)療法計画(例えばドキソルビシンおよびイリノテカン)とは異なる様式で腫瘍の伝播もしくは生存を妨げることによるか、または免疫療法的シグナル伝達もしくはEFNA4発現細胞を殺すことができるペイロード(payload)の送達によるかのどちらかで作用すると信じられる。実施例8および9を参照。
代表的なEFNA4タンパク質オルソログは、ヒト(NP_005218、NP_872631またはNP_872632)、マウス(NP_031936)、チンパンジー(XP_001153095、XP_001152971、XP_524893、およびXP_001152916)およびラット(NP_001101162)を含むが、それらに限定されない。転写されるヒトEFNA4遺伝子は、染色体1からの最低でも5817bpを含む。
3種類のヒトEFNA4 mRNA転写産物バリアントおよびコードされるタンパク質が、表1において示されており、そのそれぞれは、転写されるRNAのオルタナティブスプライシングから生じる:(1)201アミノ酸のプロタンパク質(NP_005218;EFNA4イソ型a;SEQ ID NO:2)をコードする1276塩基対のバリアント(NM_005227;EFNA4転写産物バリアント1;SEQ ID NO:1);(2)207アミノ酸のプロタンパク質(NP_872631;EFNA4イソ型b;SEQ ID NO:3)をコードする1110塩基対のバリアント(NM_182689;EFNA4転写産物バリアント2);および(3)193アミノ酸のプロタンパク質(NP_872632;EFNA4イソ型c;SEQ ID NO:4)をコードする1111塩基対のバリアント(NM_182690;EFNA4転写産物バリアント3)
ヒトEFNA4タンパク質のそれぞれは、タンパク質の成熟形態(すなわち長さ168〜182aa)を提供するために切り落とされる、SEQ ID NO:2のアミノ酸1〜25を含む、予測されるシグナルまたはリーダー配列を含むことは、理解されるであろう。このシグナルペプチドは、そのポリペプチドを、細胞表面/分泌経路へと標的化する。シグナルペプチド、リーダーペプチドとも呼ばれる用語“シグナル配列”は、タンパク質が分泌される(細胞膜を通過する)ことを可能にするタンパク質のN末端にある約15〜30アミノ酸の区間を指す。シグナル配列は、タンパク質が分泌される際に除去される。結果としてタンパク質コード配列に作用するmRNAのオルタナティブスプライシングにより、タンパク質のイソ型は、細胞により異なるように処理される。イソ型aは、膜に局在し、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合により細胞表面にアンカーされているが、イソ型bおよびcは、GPIアンカーシグナル配列を欠いており、従って細胞により分泌されることが予想される。ヒトEFNA4の3種類のタンパク質イソ型のアラインメントが、図1において示されている。前に示されたように、別途直接的な言及または文脈的な必要性により示されない限り、用語EFNA4は、ヒトEFNA4のイソ型aおよび免疫反応均等物に向けられているものとする。さらに、その用語は、それに抗体または免疫反応断片が特異的に結合することができるエピトープを含有するEFNA4の天然またはバリアント形態の誘導体または断片も指し得ることは、理解されるであろう。
II.EFNA4抗体−薬物コンジュゲート
本発明は、式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲートを提供し、式中、(a)Abは、EFNA4に結合する抗体、またはその抗原結合断片であり、そして(b)L−Dは、リンカー−薬物部分であり、ここでLはリンカーであり、そしてDは薬物である。Eph受容体シグナル伝達を阻害するために開発されたTKIとは対照的に、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)、例えば抗EFNA4 ADCは、特異的な表面分子およびそれらを発現している細胞を、それらのシグナル伝達機能にかかわらず、その分子が効率的に内在化する限り、標的とすることができる。そのような抗体−薬物コンジュゲートを調製および製造する方法、ならびにその同じ物の臨床適用における使用も、提供される。“抗体−薬物コンジュゲート”または“ADC”は、EFNA4に結合する抗体誘導体を含む抗体またはその抗原結合断片を指し、本明細書において下記でさらに記載されるように、薬物、例えば細胞毒性、細胞増殖抑制、および/または療法剤にコンジュゲートされている。例えば、細胞毒性剤は、細胞毒性剤の腫瘍(例えばEFNA4発現腫瘍)への標的化された局所送達のために、本明細書で記載されるように抗EFNA4抗体に連結またはコンジュゲートされることができる。
本明細書で用いられる際、用語“EFNA4”は、バリアント、イソ型、ホモログ、オルソログおよびパラログを含む。EFNA4は、当該技術において、エフリン−A4、エフリン−A4リガンド、EPH−関連受容体チロシンキナーゼリガンド4、Eph関連キナーゼ4のリガンド、EFL4、EPLG4およびLERK4としても知られている。本発明の一部の側面において、抗体および抗体−薬物コンジュゲートは、ヒト以外の種からのEFNA4、例えばマウス、ラット、または霊長類のEFNA4、ならびにEFNA4の異なる形態(例えばグリコシル化されたEFNA4)と交差反応する。他の側面において、抗体および抗体−薬物コンジュゲートは、ヒトEFNA4に完全に特異的であることができ、種または他のタイプの交差反応性を示さない可能性がある。本明細書で用いられる際、用語EFNA4は、別途文脈的に指示されない限り、天然存在のヒトEFNA4を指す。従って、“EFNA4抗体”、“抗EFNA4抗体”、“エフリン−A4抗体”もしくは“エフリン−A4リガンド抗体”または他の類似の名称は、EFNA4型リガンドもしくはイソ型、またはその断片もしくは誘導体と会合する、結合する、または反応する(本明細書で定義されるような)あらゆる抗体を意味する。さらに、“EFNA4抗体−薬物コンジュゲート”、“抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲート”、“エフリン−A4抗体−薬物コンジュゲート”または“エフリン−A4リガンド抗体−薬物コンジュゲート”は、EFNA4型リガンドもしくはイソ型、またはその断片もしくは誘導体と会合する、結合する、または反応する(本明細書で定義されるような)あらゆる抗体−薬物コンジュゲートまたはADCを意味する。
“リンカー(L)”は、抗体の薬物への直接または間接的連結を記載する。リンカーの抗体への結合は、様々な方法で、例えば表面のリジン、酸化された炭水化物への還元カップリングにより、そして鎖間ジスルフィド結合を還元することにより遊離したシステイン残基により成し遂げられることができる。ヒドラゾン連結、ジスルフィド連結、およびペプチドベースの連結を含む様々なADC連結系が、当該技術で既知である。
“薬物(D)”は、生物学的活性または検出可能な活性を有するあらゆる物質、例えば、療法剤、検出可能な標識、結合剤等、およびインビボで代謝されて有効薬剤になるプロドラッグである。薬物、ペイロードおよび化合物という用語は、互換的に用いられている。
“L−D”は、リンカー(L)に連結された薬物(D)の結果生じるリンカー−薬物部分である。
本発明と関連して用いられている追加の科学用語および技術用語は、本明細書で別途示されない限り、当業者により一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、別途文脈により要求されない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数を含むものとする。一般に、本明細書で記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションと関連して用いられている命名法およびその技法は、当該技術で周知であり、一般的に用いられている命名法および技法である。
本発明の特定の側面において、式Ab−(L−D)のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:13として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:27として示されている軽鎖可変領域を含む抗体(Ab)、またはその抗原結合断片;ならびに(b)リンカー−薬物部分(L−D)を含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーは4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)であり、かつここでその薬物はN−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジド(CM)である。本発明の他の側面において、式Ab−(L−D)のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:39として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:53として示されている軽鎖可変領域を有する抗体(Ab)、またはその抗原結合断片;ならびに(b)リンカー−薬物部分(L−D)を含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーは4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)であり、かつここでその薬物はN−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジド(CM)である。
本発明の特定の側面において、式Ab−(L−D)のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:25として示されている重鎖およびSEQ ID NO:37として示されている軽鎖を含む抗体(Ab)、またはその抗原結合断片;ならびに(b)リンカー−薬物部分(L−D)を含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーは4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)であり、かつここでその薬物はN−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジド(CM)である。本発明の他の側面において、式Ab−(L−D)のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:51として示されている重鎖およびSEQ ID NO:63として示されている軽鎖を有する抗体(Ab)、またはその抗原結合断片;ならびに(b)リンカー−薬物部分(L−D)を含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーは4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)であり、かつここでその薬物はN−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジド(CM)である。
本発明はさらに、最適化された平均DARおよび狭いDAR分布を有する抗体−薬物コンジュゲートを提供する。下記の節IIC薬物におけるさらなる記載を参照。平均DARおよびDAR分布は、ADCの臨床有効性への作用、特にADCの効力および潜在的な毒性の両方への作用を有する可能性があり、ADCの特性、例えば安定性および凝集への重要な作用を有する可能性がある。
抗体あたりのコンジュゲートした薬物分子の数を示すDAR(薬物対抗体比)または薬物装填(drug loading)は、1〜12であることができる。複数の抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、平均DARにより特性付けられることができる。DARおよび平均DARは、様々な従来の手段、例えば紫外線分光法、質量分析、ELISAアッセイ、放射測定法、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、電気泳動およびHPLCにより決定されることができる。
DAR分布は、ADCの組成物、バッチ、および/または配合物中に存在し得る様々なADC種のパーセントまたは割合(例えばDAR1〜12)を提供する。ADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、当該技術で既知の方法、例えばキャピラリー等電点分画法(cIEF)により決定されることができる。ADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、一般にDAR1〜12を有する広い範囲のADC種を含有する広いDAR分布を有する高度に不均質な混合物として特性付けられることができる。ADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、一般に特定のDAR、例えばDAR3〜5を有する狭い範囲のADC種を含有する狭いDAR分布を有する高度に均質な混合物として特性付けられることができる。
本発明の特定の側面において、本明細書で開示される向上したコンジュゲーションおよび精製条件は、約3〜5の範囲、好ましくは約4の最適化された平均DAR、および狭いDAR分布、例えば、(最も望ましい)3〜5のDARを有する種が総抗EFNA4 ADCの少なくとも60%、または少なくとも70%、または約70%〜80%、または好ましくは約75%〜80%を構成する、より低い不均質性を有する抗EFNA4 ADCを提供する。図9参照。
本発明の特定の側面において、コンジュゲーションおよび精製の間に、疎水性がより大きくより早いクリアランスを示し、より高い毒性に寄与して療法指数(TI)を低下させる可能性のある、高いDAR(DAR>5)を有するADCを排除することが有益である。本発明の他の側面において、有効性にほとんど寄与しないが、標的抗原、例えばEFNA4に関してADCと競合し得る未コンジュゲート抗体の量の増大を提供し、より低いTIをもたらす、低いDAR(DAR<2)を有するADCを排除することが有益である。本発明の別の側面において、高いDAR(DAR>5)を有するADCおよび低いDAR(DAR<2)を有するADCを排除することが有益である。
本発明の特定の側面において、コンジュゲーション反応混合物の調製において用いられるCM対huE22比は、最適化されたDARを有する抗EFNA4 ADCを生成し、より高いDARの種を排除するために、より高い比率と比較して、4〜5対1であることができる。
本発明の他の側面において、例えばリンカー−薬物部分の混合している渦の中央部分中への添加により部分的に達成されるような、高度な撹拌および激しい混合が、リンカー−薬物部分(AcBut−CM)の添加の間に実施され、それは、低い量の未コンジュゲート抗体の達成において役に立ち、それは先行する方法を超える向上である。
本発明の他の側面において、反応のインキュベーション時間は、少ない凝集体を提供し、抗EFNA4 ADCの安定性を増大させるために、60〜90分間と比較して、2〜5分間に低減することができる。本発明の別の側面において、反応混合物中のエタノール(EtOH)の量は、少ない凝集体を提供し、抗EFNA4 ADCの安定性を増大させるために、9%と比較して、6〜8%まで低減することができる。
本発明の特定の側面において、精製の間に、溶離勾配は、抗EFNA4 ADCに関する狭いDAR分布を提供するように最適化されることができる。
本発明の特定の側面において、精製された抗EFNA4 ADCには未コンジュゲート抗体(遊離の抗体)が存在しないことができる(図6参照)。本発明の他の側面において、精製された抗EFNA4 ADCは、単量体性ADCであることができ、凝集体および2量体は存在しない(図7参照)。本発明の他の側面において、精製された抗EFNA4 ADCには、遊離の薬物が存在しないことができる(図8参照)。本発明のさらなる側面において、精製された抗EFNA4 ADCは、単量体性ADCであることができ、遊離の薬物が存在しないことができる。
IIA.EFNA4抗体
本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの調製に関して、抗体、またはその抗原結合断片は、EFNA4に特異的に結合するあらゆる抗体、またはその抗原結合断片であることができる。本発明の抗体は、PCT国際公開第2012/118547号においてさらに開示され、特性付けられており、それは参照により本明細書にそのまま援用される。抗体、またはその抗原結合断片は、EFNA抗体−薬物コンジュゲートの調製における使用のために、単離、精製、または誘導体化されることができる。
“抗体”または“Ab”は、特異的な標的または抗原、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等に、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1個の抗原認識部位を通して認識および結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で用いられる際、用語“抗体”は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、所与の抗原(例えばEFNA4)に特異的に結合する能力を保持している完全な抗体の“抗原結合断片”(または部分)、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、Fc等、単離された相補性決定領域(CDR)、二特異性抗体、ヘテロコンジュゲート(heteroconjugate)抗体、その変異体、抗体を有する融合タンパク質、またはその抗原結合断片(例えばドメイン抗体)、単鎖(ScFv)および単一ドメイン抗体(例えばサメおよびラクダ抗体)、マキシボディ(maxibodies)、ミニボディ(minibodies)、細胞内抗体、ダイアボディ(diabodies)、トリアボディ(triabodies)、テトラボディ(tetrabodies)、v−NARおよびビス−ScFv(例えば、Holliger and Hudson, 2005, Nature Biotechnology 23(9): 1126-1136を参照)、ヒト化抗体、キメラ抗体、ならびに抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合的に修飾された抗体を含む要求される特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のあらゆる他の改変された形態を含むがそれらに限定されないあらゆるタイプの抗体を包含することができる。抗体は、マウス、ラット、ヒト、または(キメラまたはヒト化抗体を含む)あらゆる他の由来であることができる。本発明の一部の側面において、開示されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの抗体、またはその抗原結合断片は、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくは組み換えヒト抗体、またはそのEFNA4結合断片である。
標的または抗原(例えばEFNA4タンパク質)に“特異的に結合する”または“優先的に結合する”(本明細書において互換的に用いられている)抗体、抗体−薬物コンジュゲート、またはポリペプチドは、当該技術で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または優先的な結合を決定するための方法も、当該技術で周知である。分子は、それが、特定の細胞または物質と、それが代わりの細胞または物質と反応または会合するよりも頻繁に、より急速に、より大きな持続時間で、および/またはより大きな親和性で反応または会合する場合、“特異的結合”または“優先的結合”を示すと言われる。抗体は、それが、それが他の物質に結合するよりも大きい親和性、結合力で、より容易に、および/またはより大きな持続時間で結合する場合、標的または抗原に“特異的に結合する”または“優先的に結合する”。例えば、EFNA4エピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、このエピトープに、それが他のEFNA4エピトープまたは非EFNA4エピトープに結合するよりも大きい親和性、結合力で、より容易に、および/またはより大きな持続時間で結合する抗体である。
用語“結合親和性”または“KD”は、本明細書で用いられる際、特定の抗原−抗体相互作用の平衡解離定数を指すことが意図されている。KDは、会合の速度(または“オン速度”もしくは“ka”)に対する解離の速度(“オフ速度”または“kd”とも呼ばれる)の比率である。従って、KDは、kd/kaと等しく、モル濃度(M)として表される。KDがより小さいほど、結合親和性はより強いことになる。従って、1μMのKDは、1nMのKDと比較して弱い結合親和性を示す。抗体に関するKD値は、当該技術で十分に確立された方法を用いて決定されることができる。抗体のKDを決定するための1つの方法は、表面プラズモン共鳴を用いる、典型的にはバイオセンサーシステム、例えばBiacore(登録商標)システムを用いることによる。
開示されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの特異的結合は、多数の異なる抗原を有する不均質な試料中のヒトEFNA4抗原に対する抗体の優先的結合を指す。典型的には、特異的結合は、結合親和性が、少なくとも約10−9M以上、少なくとも約10−11M以上、または少なくとも約10−12M以上を含め、少なくとも約10−7M以上、例えば少なくとも約10−8M以上である場合に起こる。例えば、本発明の抗体のヒトEFNA4抗原に対する特異的結合は、少なくとも約1×10−7M〜約1×10−12Mの範囲の、例えば約1×10−8M〜約1×10−12Mの範囲内、または約1×10−8M〜約1×10−11Mの範囲内、または約1×10−8M〜約1×10−10Mの範囲内、または約1×10−9M〜約1×10−10Mの範囲内の結合を含む。特異的結合は、EFNA4抗体、またはその抗原結合断片の、その抗体の対象への投与後のEFNA4発現細胞への選択的標的化も指す。
本明細書で用いられる際、“エピトープ”は、免疫グロブリンもしくはT細胞受容体に特異的に結合することができる、または他の方法で分子と相互作用することができるあらゆるタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は、一般に、化学的に活性な表面の分子、例えばアミノ酸または炭水化物または糖側鎖の群化(groupings)からなり、一般に特異的な三次元構造の特徴ならびに特異的な電荷の特徴を有する。エピトープは、‘線状’または‘立体構造的’であることができる。線状エピトープでは、タンパク質および相互作用する分子(例えば抗体)の間の相互作用の点の全部が、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って線状に存在する。立体構造的エピトープでは、相互作用の点は、互いに隔てられているタンパク質上のアミノ酸残基にわたって存在する。一度抗原上の望ましいエピトープが決定されたら、そのエピトープに対する抗体を、例えば本発明において記載される技法を用いて生成することが可能である。あるいは、発見プロセスの間に、抗体の生成および特性付けが、望ましいエピトープに関する情報を明らかにする可能性がある。次いで、この情報から、同じエピトープへの結合に関して抗体を競合的にスクリーニングすることが可能である。これを達成するためのアプローチは、互いに競合的に結合する抗体(すなわちその抗体は、その抗原への結合に関して競合する)を見付けるための交差競合試験を実施することである。抗体をそれらの交差競合に基づいて‘棚入れする(binning)’ための高スループットプロセスが、PCT国際公開第03/48731号において記載されている。本明細書で用いられる際、用語‘棚入れする’は、抗体をそれらの抗原結合特徴および互いとの競合に基づいてグループ分けするための方法を指す。
しかし、EFNA4に特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば他の種からのEFNA4分子(すなわちオルソログ)に対する、またはEFNA4の1より多くのイソ型との交差反応性を有し得る。“単離された抗体”は、本明細書で用いられる際、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない(例えば、EFNA4に特異的に結合する単離された抗体は、EFNA4以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。さらに、単離された抗体は、他の細胞性物質および/または化学物質を実質的に含まないことができる。この定義を読むことにより、例えば、第1標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2標的に特異的または優先的に結合する可能性もしない可能性もあることも、理解される。従って、“特異的結合”または“優先的結合”は、排他的結合を必ずしも必要としない(が、それは排他的結合を含むことができる)。一般に、結合への言及は、優先的結合を意味するが、必ず意味するわけではない。
本発明の一部の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:13として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:27として示されている軽鎖可変領域;または(b)SEQ ID NO:39として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:53として示されている軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片と、ヒトEFNA4への結合に関して競合する、および/または同じエピトープに結合する抗体を含む。
用語“競合する”は、本明細書で抗体に関して用いられる際、第1抗体、またはその抗原結合断片が、エピトープに、第1抗体のその同族のエピトープとの結合の結果が、第2抗体の存在下で、第2抗体の非存在下での第1抗体の結合と比較して検出可能であるほどに低下するように、第2抗体、またはその抗原結合断片の結合に十分に類似した様式で結合することを意味する。しかし、第2抗体のそのエピトープへの結合への結合も、第1抗体の存在下で検出可能であるほどに低下するという代替(alternative)は、必ずしも当てはまらない可能性がある。すなわち、第1抗体は、第2抗体のそのエピトープへの結合を、第2抗体が第1抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻害することなく阻害することができる。しかし、それぞれの抗体が、他方の抗体のその同族のエピトープまたはリガンドとの結合を、同程度、より大きい程度、またはより低い程度までのいずれであれ、検出可能であるほどに阻害する場合、その抗体は、それらのそれぞれのエピトープ(単数または複数)の結合に関して互いと“交差競合する”と言われる。競合する、および交差競合する抗体は、両方とも本発明に包含される。そのような競合または交差競合が起こる機序(例えば立体障害、立体構造変化、または共通のエピトープもしくはその一部への結合)にかかわらず、当業者は、本明細書で提供される教示に基づいて、そのような競合する、および/または交差競合する抗体は、本明細書で開示される方法に包含され、そのために有用であり得ることを理解するであろう。
天然または天然存在抗体、および天然免疫グロブリンは、典型的には、2個の同一の軽(L)鎖および2個の同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ4量体糖タンパク質である。それぞれの軽鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合により重鎖に連結されているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンのイソ型の重鎖の間で異なる。それぞれの重鎖および軽鎖は、規則的に間隔の空いた鎖内ジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は、一方の末端において可変ドメイン(VH)、続いていくつかの定常ドメインを有する。それぞれの軽鎖は、一方の末端において可変ドメイン(VL)およびその他方の末端において定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1定常ドメインと並んでおり、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並んでいる。特定のアミノ酸残基が、軽鎖および重鎖可変ドメインの間の接触面を形成していると信じられている。用語“可変”は、可変ドメインの特定の位置が、抗体間で配列において大規模に異なっていることを指す。
抗体および上記で特筆した抗体ドメインは、“ポリペプチド”、“オリゴペプチド”、“ペプチド”および“タンパク質”、すなわち、あらゆる長さの、好ましくは比較的短い(例えば10〜100アミノ酸)アミノ酸の鎖として記載されることができる。その鎖は、線状または分枝状であることができ、それは、修飾されたアミノ酸を含むことができ、および/または非アミノ酸により遮られることができる。その用語は、天然に、または介入により修飾されているアミノ酸鎖も包含する;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、またはあらゆる他の操作もしくは修飾、例えば標識構成要素とのコンジュゲーション。例えば、1個以上のアミノ酸の類似体(例えば非天然アミノ酸等が含まれる)、ならびに当該技術で既知の他の修飾を含有するポリペプチドも、その定義内に含まれる。そのポリペプチドは、単一の鎖または会合した鎖として存在し得る。アミノ酸は、本明細書において、それらの一般的に知られている3文字記号により、またはIUPAC−IUB Biochemicalにより推奨される1文字記号により(どちらでもよい)言及されることができる。
抗体の“定常領域”は、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指し、単独または組み合わせのどちらでもよい。キメラおよびヒト化EFNA4抗体の定常領域は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、それらのあらゆるイソ型(例えば、IgGのIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4イソ型)、ならびにそれらの下位クラスおよび変異版のいずれか1つの定常領域に由来することができる。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てられることができる。免疫グロブリンの5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、下位クラス(イソ型)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けられることができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体配置は、周知である。
定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関わらないが、様々なエフェクター機能、例えばFc受容体(FcR)結合、抗体の抗体依存性細胞傷害への参加、オプソニン化、補体依存性細胞傷害の開始、およびマスト細胞の脱顆粒を示す。当該技術で既知であるように、用語“Fc領域”は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用いられる。“Fc領域”は、天然配列のFc領域またはバリアントのFc領域であることができる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常は、位置Cys226におけるアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端まで及ぶように定義される。Fc領域における残基の番号付けは、Kabat(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版、国立衛生研究所公衆衛生局、メリーランド州ベセスダ、1991)におけるような、EU指針の番号付けである。免疫グロブリンのFc領域は、一般に2つの定常領域CH2およびCH3を有する。
当該技術で用いられる際、“Fc受容体”および“FcR”は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するFcR(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIII下位クラスの受容体を、これらの受容体の対立遺伝子変異型およびオルタナティブスプライシングされた形態を含めて含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(“活性化受容体”)およびFcγRIIB(“阻害受容体”)を含み、それは、主にその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。FcRは、Ravetch and Kinet, Ann. Rev. Immunol., 9:457-92, 1991; Capel et al., Immunomethods, 4:25-34, 1994;およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med., 126:330-41, 1995において総説されている。“FcR”は、新生児型受容体FcRnも含み、それは、母親のIgGの胎児への移動の原因である(Guyer et al., J. Immunol., 117:587-593 (1976);およびKim et al., European J. Immunol., 24:2429-2434 (1994))。
本発明の一部の側面において、開示されるEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの抗体、またはその抗原結合断片は、IgG1重鎖定常領域、例えばSEQ ID NO:25として示されているhuE22重鎖またはSEQ ID NO:51として示されているhuE47重鎖を含む。他の側面において、開示されるEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの抗体、またはその抗原結合断片は、カッパ軽鎖定常領域、例えばSEQ ID NO:37として示されているhuE22軽鎖またはSEQ ID NO:63として示されているhuE47軽鎖を含む。本発明の特定の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、IgG1重鎖定常領域およびカッパ軽鎖定常領域、例えばSEQ ID NO:25として示されている重鎖およびSEQ ID NO:37として示されている軽鎖、または別の例としてSEQ ID NO:51として示されている重鎖およびSEQ ID NO:63として示されている軽鎖を含むことができる。
抗体の“可変領域”は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指し、それは単独または組み合わせのどちらでもよい。当該技術で既知であるように、重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ超可変領域としても知られている3個の相補性決定領域(CDR)により連結された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。それぞれの鎖中のCDRは、FRにより近接して一緒に保持されており、他の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している。CDRを決定するための少なくとも2つの技法が存在する:(1)異種間の配列の変動性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, (第5版, 1991, 国立衛生研究所、メリーランド州ベセスダ));および(2)抗原−抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-Lazikani et al., J. Molec. Biol. 273:927-948 (1997))。本明細書で用いられる際、CDRは、どちらかのアプローチにより、または両方のアプローチの組み合わせにより定められたCDRを指すことができる。
可変領域のCDRは、Kabat、Chothiaの定義、KabatおよびChothia両方の蓄積、VBASE2、AbM、接触、および/または立体構造的定義または当該技術で周知のあらゆるCDR決定の方法に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基である。抗体のCDRは、Kabatらにより最初に定義された超可変領域として同定されることができる。例えば、Kabat et al., 1992, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版、NIH公衆衛生局、ワシントンD.Cを参照。CDRの位置は、Chothiaらにより最初に記載された構造的ループ構造として同定されることもできる。例えば、Chothia et al., Nature 342:877-883, (1989)を参照。CDRの位置は、VBASE2データベースの分析から得られることもできる。(例えばRetter et al., Nucleic Acids Res. 33(データベース特集号):D671-D674, 2005およびhttp://www.vbase2.org/を参照)。
CDR同定への他のアプローチは、KabatおよびChothiaの間の折衷案であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(現在Accelrys(登録商標))を用いて得られる“AbM定義”、またはMacCallum et al., J. Mol. Biol., 262:732-745, (1996)において述べられている観察された抗原接触に基づくCDRの“接触定義”を含む。本明細書においてCDRの“立体構造的定義”と呼ばれる別のアプローチでは、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー的寄与をする残基として同定されることができる。例えば、Makabe et al., Journal of Biological Chemistry, 283:1156-1166, 2008を参照。さらに他のCDR境界の定義は、上記のアプローチの1つに厳密には従わない可能性があるが、それでもなおKabatCDRの少なくとも一部と重複するであろうが、それらは、特定の残基もしくは残基の群またはさらにはCDR全体が抗原結合に著しくは影響をおよぼさないという予測または実験的発見を考慮して、短く、または長くなっている可能性がある。本明細書で用いられる際、CDRは、アプローチの組み合わせを含め、当該技術で既知のあらゆるアプローチにより定められたCDRを指すことができる。本明細書で用いられる方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定められたCDRを利用することができる。本明細書で記載されるEFNA4抗体−薬物コンジュゲートに関して、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、VBASE2、AbM、接触、および/または立体構造的定義のいずれに従って定められてもよい。
本発明の他の側面において、EFNA4抗体、またはその抗原結合断片は、抗体の1個以上のCDR(単数または複数)(例えば1個、2個、3個、4個、5個、または6個全部のCDR)を含む。
本発明に関して、下記の表2において示されているCDR(SEQ ID NO:5〜64)は、KabatおよびChothiaアプローチを用いて得られ、図2において示されているCDRは、VBASE2データベースの分析から得られた。従って、全てのそのような命名法により定められたCDRを有する抗体は、本発明の範囲内に明確に含まれる。より広く言えば、用語“可変領域CDRアミノ酸残基”は、上記で述べられたようなあらゆる配列または構造ベースの方法を用いて同定されるようなCDR中のアミノ酸を含む。
本発明の一部の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、huE22抗体のCDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:15、19、および23として示されている3個のCDRを有する。本発明の一部の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含み、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:29、33、および35として示されている3個のCDRを有する。本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:15、19、および23として示されている3個のCDRを有する重鎖可変領域;ならびに(b)SEQ ID NO:29、33、および35として示されている3個のCDRを有する軽鎖可変領域を含む抗体、またはその抗原結合断片を含むこともできる。
本発明のさらに他の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、Chothiaに従って定められた、またはVBASE2データベースの分析から得られた1個以上のhuE22 CDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhuE22 CDR(表2参照)またはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhuE22 CDR(図2参照)を含む。別の例として、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhuE22 CDR(表2参照)またはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhuE22 CDR(図2参照)を含む。本発明の一部の側面において、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)Chothiaに従って定められた3個のhuE22 CDR(表2参照)を有する重鎖可変領域;および(b)Chothiaに従って定められた3個のhuE22 CDR(表2参照)を有する軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。本発明の一部の側面において、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhuE22 CDR(図2参照)を含む重鎖可変領域;および(b)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhuE22 CDR(図2参照)を含む軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。
本発明の他の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、huE47抗体のCDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:41、45、および49として示されている3個のCDRを含む。本発明の一部の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含み、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:55、59、および61として示されている3個のCDRを含む。本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:41、45、および49として示されている3個のCDRを有する重鎖可変領域;ならびに(b)SEQ ID NO:55、59、および61として示されている3個のCDRを有する軽鎖可変領域を含むこともできる。
本発明のさらに他の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、Chothiaに従って定められた、またはVBASE2データベースの分析から得られた1個以上のhuE47 CDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhuE47 CDR(表2参照)またはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhuE47 CDR(図2参照)を含む。別の例として、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhuE47 CDR(表2参照)またはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhuE47 CDR(図2参照)を含む。本発明の別の側面において、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)Chothiaに従って定められた3個のhuE47 CDR(表2参照)を含む重鎖可変領域;および(b)Chothiaに従って定められた3個のhuE47 CDR(表2参照)を含む軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。本発明の一部の側面において、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、(a)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhuE47 CDR(図2参照)を有する重鎖可変領域;および(b)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhuE47 CDR(図2参照)を有する軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。
本発明の一部の側面において、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを調製するために用いられる抗体は、モノクローナル抗体であろう。用語“モノクローナル抗体”または“mAb”は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、微量存在し得る可能な自然発生変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して向けられている。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられている。修飾語“モノクローナル”は、抗体の実質的に均質な集団から得られたものとしての抗体の性質を示し、いずれかの特定の方法によるその抗体の生成を必要するものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って用いられるべきモノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature 256:495-497により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製されることができ、または例えば米国特許第4,816,567号において記載されている組み換えDNA法により作製されることもできる。モノクローナル抗体は、例えばMcCafferty et al., Nature 348:552-554, 1990において記載された技法を用いて生成されたファージライブラリーから単離されることもできる。
本発明の一部の側面において、本発明の抗体−薬物コンジュゲートを調製するために用いられる抗体は、一価、すなわち分子あたり1個の抗原結合部位を有するであろう(例えばIgGまたはFab)。一部の場合において、一価抗体は、1個より多くの抗原結合部位を有し得るが、その結合部位は異なる抗原からのものである。本発明の一部の側面において、本発明の抗体−薬物コンジュゲートの抗体、またはその抗原結合断片は、“二価抗体”、すなわち分子あたり2個の抗原結合部位を有する抗体(例えばIgG)を含み得る。一部の場合において、2個の結合部位は、同じ抗原特異性を有する。あるいは、二価抗体は、二特異性であることができる。“二特異性”、“二重特異性”または“二機能性”抗体は、2個の異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗体である。二特異性抗体の2個の抗原結合部位は、2つの異なるエピトープに結合し、それは同じタンパク質標的上にある可能性も異なるタンパク質標的上にある可能性もある。
用語“キメラ抗体”は、可変領域配列の一部または全部が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指すことが意図されている。
本明細書で用いられる際、“ヒト化”または“CDR移植”抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合部分配列)である非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、受容抗体の1個以上の相補性決定領域(CDR)からの残基が、望ましい特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(供与抗体)、例えばマウス、ラット、またはウサギの1個以上のCDRからの残基により置き換えられているヒト免疫グロブリン(受容抗体)である。
一部の場合において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基により置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、受容抗体中にも導入されるCDRまたはフレームワーク配列中にも存在しないが抗体の性能をさらに改良および最適化するために含められる残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質的に全部を含むと考えられ、ここで、CDR領域の全部または実質的に全部は、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域の全部または実質的に全部は、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含むであろう。本発明の一部の側面において、抗体は、PCT国際公開第99/58572号において記載されているように改変されたFc領域を有する。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に関して変更されていることができる1個以上のCDR(CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、またはCDR H3)を有し、それは、元の抗体からの1個以上のCDR“に由来する”1個以上のCDRとも呼ばれる。
ヒト化は、本質的に、Winterおよび共同研究者らの方法(Jones et al. Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al. Nature 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al. Science 239:1534-1536 (1988))に従って、齧歯類または変異体齧歯類CDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置き換えることにより実施されることができる。米国特許第5,225,539号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,859,205号も参照;それは参照により本明細書にそのまま援用される。一部の場合において、ヒト免疫グロブリンの1個以上の可変領域のフレームワーク領域内の残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられる(例えば、米国特許第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;および第6,180,370号を参照)。さらに、ヒト化抗体は、受容抗体中にも供与抗体中にもない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体の性能をさらに改良するため(例えば所望の親和性を得るため)に行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質的に全部を含むと考えられ、ここで、超可変領域の全部または実質的に全部は、非ヒト免疫グロブリンの超可変領域に対応し、フレームワーク領域の全部または実質的に全部は、ヒト免疫グロブリン配列のフレームワーク領域である。ヒト化抗体は、場合により、免疫グロブリンの定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含むであろう。さらなる詳細に関しては、Jones et al. Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al. Nature 332:323-327(1988);およびPresta Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照;それは参照により本明細書にそのまま援用される。従って、そのような“ヒト化”抗体は、完全なヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が非ヒト種からの対応する配列により置き換えられている抗体を含むことができる。実際、ヒト化抗体は、典型的には、一部のCDR残基およびおそらく一部のフレームワーク残基が、齧歯類抗体中の類似の部位からの残基により置き換えられているヒト抗体である。例えば、米国特許第5,225,539号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,859,205号を参照。予め決定された抗原に関する向上した親和性を有するヒト化抗体およびヒト化抗体を生成するための技法が開示されている、米国特許第6,180,370号、およびPCT国際公開第01/27160号も参照。
“組み換えヒト抗体”または“完全ヒト抗体”は、ヒトにより産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する、および/または当業者に既知の、もしくは本明細書で開示されるヒト抗体を作製するための技法のいずれかを用いて作製された抗体を指す。ヒト抗体のこの定義は、少なくとも1個のヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1種類のヒト軽鎖ポリペプチドを有する抗体を含む。1つのそのような例は、マウスの軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを有する抗体である。ヒト抗体は、当該技術で既知の様々な技法を用いて生成されることができる。例えば、ヒト抗体は、ファージライブラリーから選択され、ここで、そのファージライブラリーは、ヒト抗体を発現している(Vaughan et al., Nature Biotechnology, 14:309-314, (1996); Sheets et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 95:6157-6162, (1998); Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381-388, (1992); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597, (1991))。ヒト抗体は、ヒトの免疫グロブリン座位が内在性座位の代わりに遺伝子導入されている動物、例えば内在性の免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されているマウスの免疫処置により作製されることもできる。このアプローチは、米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;および第5,661,016号において記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対して向けられた抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化することにより調製されることができる(そのようなBリンパ球は、個人から、もしくはcDNAの単一細胞クローニングから回収されることができ、またはインビトロで免疫されていることもできる)。例えば、Cole et al. Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77, (1985); Boerner et al., J. Immunol., 147 (1):86-95, (1991);および米国特許第5,750,373号を参照。
本発明の抗体は、当該技術で周知の技法、例えば組み換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術もしくはそのような技術の組み合わせまたは当該技術で容易に知られている他の技術を用いて生成されることができる(例えば、Jayasena, S.D., Clin. Chem., 45: 1628-50 (1999)およびFellouse, F.A., et al, J. MoI. Biol., 373(4):924-40 (2007)を参照)。追加の手引きが、Sambrook J. & Russell D. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(2000); Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, John & Sons, Inc. (2002); Harlow and Lane Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(1998);およびColigan et al., Short Protocols in Protein Science, Wiley, John & Sons, Inc. (2003)において見付けられることができる。代表的な方法は、本明細書における下記の実施例1〜3においても記載されている。
一般に、ハイブリドーマ細胞株の産生に関して、宿主動物の免疫処置の経路およびスケジュールは、一般に抗体刺激および産生に関する確立された従来の技法と一致する。ヒトを含むあらゆる哺乳類の対象またはそれからの抗体産生細胞は、ヒトを含む哺乳類およびハイブリドーマの細胞株の生成のための基礎の役目を果たすために操作されることができることが意図されている。典型的には、宿主動物は、本明細書で記載されるようなものを含むある量の免疫原を、腹腔内に、筋内に、経口で、皮下に、足底内に、および/または皮内に接種される。
ハイブリドーマは、リンパ球および不死化された骨髄腫細胞から、Kohler, B. and Milstein, C., Nature 256:495-497, 1975の一般的な体細胞ハイブリッド形成技法、またはBuck, D. W., et al., In Vitro, 18:377-381, 1982により修正されたような体細胞ハイブリッド形成技法を用いて調製されることができる。X63−Ag8.653およびソーク研究所細胞流通センター(米国カリフォルニア州サンディエゴ)からの骨髄腫株を含むがそれらに限定されない利用可能な骨髄腫株が、ハイブリッド形成において用いられることができる。一般に、その技法は、骨髄腫細胞およびリンパ系細胞を、融合剤、例えばポリエチレングリコールを用いて、または当業者に周知の電気的手段により融合させることを含む。融合後、細胞を融合媒体から分離し、ハイブリッド形成しなかった親細胞を排除するために、選択増殖媒体、例えばヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)媒体中で増殖させる。血清を補われた、または補われていない本明細書で記載された媒体の全てが、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために用いられることができる。細胞融合技法に対する別の代替案として、EBV不死化B細胞が、本発明のEFNA4モノクローナル抗体を生成するために用いられることができる。ハイブリドーマは、所望であれば、拡張およびサブクローニングされ、上清が従来の免疫アッセイ手順(例えば放射免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ、または蛍光免疫アッセイ)により抗免疫原活性に関してアッセイされる。抗体の源として用いられることができるハイブリドーマは、EFNA4に特異的なモノクローナル抗体、またはその一部を産生する親ハイブリドーマの全ての派生物、子孫細胞を包含する。
そのような抗体を産生するハイブリドーマは、既知の手順を用いてインビトロまたはインビボで増殖させることができる。モノクローナル抗体は、所望であれば、培地または体液から、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過により単離されることができる。望まれない活性は、存在する場合、例えば、調製物を固相に結合した免疫原から作られた吸着剤上を流し、所望の抗体を免疫原から溶離する、または遊離させることにより除去されることができる。免疫される予定の種において免疫原性であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシンインヒビターに、二官能性薬剤または誘導体化剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通したコンジュゲーション)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を通したコンジュゲーション)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR1N=C=NR(式中、RおよびR1は異なるアルキル基である)を用いてコンジュゲートさせたヒトEFNA4または標的アミノ酸配列を含有する断片を用いた宿主動物の免疫処置は、抗体(例えばモノクローナル抗体)の集団をもたらし得る。
所望であれば、対象のEFNA4抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)は、配列決定されることができ、次いでそのポリヌクレオチド配列は、発現または増殖のためにベクター中にクローニングされることができる。対象の抗体をコードしている配列は、宿主細胞においてベクター中で維持されることができ、次いで宿主細胞は拡張され、将来の使用のために凍結されることができる。細胞培養における組み換えモノクローナル抗体の生成は、当該技術で既知の手段による抗体遺伝子のB細胞からのクローニングにより実施されることができる。例えば、Tiller et al., J. Immunol. Methods 329:112-124, 2008; U.S.Patent No. 7,314,622を参照。
“宿主細胞”は、ポリヌクレオチド挿入物の組み込みのためのベクター(単数または複数)のための受容者であることができる、または受容者であった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、その子孫は、天然、偶発的、または故意の変異のため、必ずしも元の親細胞と(形態において、またはゲノムDNA補体(complement)において)完全に同一ではない可能性がある。宿主細胞は、インビボで本発明のポリヌクレオチド(単数または複数)をトランスフェクションされた細胞を含む。
用語“ベクター”は、宿主細胞において対象の1以上の遺伝子(単数または複数)または配列(単数または複数)を送達する、好ましくは発現することができるコンストラクトを意味する。ベクターの例は、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、陽イオン性凝縮剤と会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、および特定の真核細胞、例えばプロデューサー細胞を含むが、それらに限定されない。
用語“発現制御配列”は、核酸の転写を方向付ける核酸配列を意味する。発現制御配列は、プロモーター、例えば構成的もしくは誘導性プロモーター、またはエンハンサーであることができる。発現制御配列は、転写されるべき核酸配列に作動的に(operably)連結されている。
あるいは、ポリヌクレオチド配列は、抗体を“ヒト化する”ための、または抗体の親和性もしくは他の特徴を向上させるための遺伝子操作のために用いられることができる。例えば、定常領域は、抗体がヒトにおける臨床試験および処置において用いられる場合、免疫応答を避けるために、ヒトの定常領域により近く似るように操作されることができる。EFNA4に対するより大きな親和性およびEFNA4の阻害におけるより大きな有効性を得るために、抗体配列を遺伝子操作することが望ましい可能性がある。
モノクローナル抗体をヒト化するために用いられることができる4つの一般的な工程が存在する:(1)出発する抗体の軽鎖および重鎖可変ドメインのヌクレオチド配列および予測されるアミノ酸配列を決定する、(2)ヒト化抗体を設計する、すなわち、どの抗体フレームワーク領域をヒト化プロセスの間に用いるかを決定する、(3)実際のヒト化方法論/技法、ならびに(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現。例えば、米国特許第4,816,567号;第5,807,715号;第5,866,692号;第6,331,415号;第5,530,101号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,585,089号;および第6,180,370号を参照。
ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)のベニヤリング(veneering)、移植、短縮されたCDRの移植、特異性決定領域(SDR)の移植、および下記で記載されるようなフランケンシュタイン組み立て(Frankenstein assembly)を含む様々な方法のいずれか1つを用いて調製されることができる。ヒト化抗体は、1以上の変化がCDR中に導入されている超ヒト化抗体(superhumanized antibodies)も含む。例えば、ヒトの残基が、CDRにおいて非ヒト残基の代わりに用いられることができる。これらの一般的なアプローチは、あらゆる所望の配列の抗EFNA4抗体を生成するために標準的な変異誘発および合成技法と組み合わせられることができる。
ベニヤリングは、齧歯類または他の非ヒト抗体中の免疫原性である可能性のあるアミノ酸配列を、その抗体の溶媒が接近し得る外側をヒトのアミノ酸配列で再表面形成する(resurfacing)ことにより低減する概念に基づいている。従って、ベニヤリングされた抗体は、未改変の非ヒト抗体よりもヒト細胞に対して異質ではないように見える。Padlan (1991) Mol. Immunol. 28:489-98を参照。非ヒト抗体は、ヒト抗体のフレームワーク領域中の同じ位置の残基とは異なる非ヒト抗体中の露出した外側のフレームワーク領域残基を同定し、同定された残基をヒト抗体中のこれらの同じ位置を典型的に占めているアミノ酸で置き換えることによりベニヤリングされる。
CDRの移植は、受容抗体(例えば所望のフレームワーク残基を有するヒト抗体または他の抗体)の1個以上のCDRを供与抗体(例えば非ヒト抗体)のCDRで置き換えることにより実施される。受容抗体は、候補受容抗体および供与抗体の間のフレームワーク残基の類似性に基づいて選択されることができる。例えば、フランケンシュタインアプローチに従って、ヒトのフレームワーク領域は、関連する非ヒト抗体のそれぞれのフレームワーク領域に対する実質的な配列相同性を有するものとして同定され、非ヒト抗体のCDRが、異なるヒトフレームワーク領域の複合物上に移植される。やはり本発明の抗体の調製のために有用である関連する方法が、米国特許出願公開第2003/0040606号において記載されている。
短縮されたCDRの移植は、関連するアプローチである。短縮されたCDRは、特異性決定残基および隣接するアミノ酸を含み、それは軽鎖中の27d〜34位、50〜55位および89〜96位、ならびに重鎖中の31〜35b位、50〜58位、および95〜101位((Kabat et al. (1987)の番号付けの慣習)の特異性決定残基および隣接するアミノ酸を含む。(Padlan et al. (1995) FASEB J. 9: 133-9)を参照。特異性決定残基(SDR)の移植は、抗体結合部位の結合特異性および親和性が、相補性決定領域(CDR)のそれぞれの内部の最も高度に可変性の残基により決定されるという理解を前提としている。抗体−抗原複合体の三次元構造の分析は、入手可能なアミノ酸配列データの分析と合わせて、CDR内のそれぞれの位置において生じるアミノ酸残基の構造的相違に基づいて配列の変動性をモデル化する(model)ために用いられることができる。SDRは、接触残基からなる最小限の免疫原性ポリペプチド配列として同定される。Padlan et al. (1995) FASEB J. 9: 133-139を参照。
一般に、ヒトの受容フレームワークは、それらが供与抗体のフレームワーク領域に実質的に類似している、またはそれが可変領域サブファミリーのコンセンサス配列に最も類似していることに基づいて選択される。移植後に、フレームワーク領域中への非ヒト残基の導入を含む追加の変更が、抗体の結合、機能性、コドン使用率、発現レベル等を最適化するために、供与および/または受容配列中になされることができる。例えば、PCT国際公開第91/09967号を参照。
CDRの重鎖可変フレームワーク領域上への移植に関して、有用なフレームワーク配列は、DP−21(VH7)、DP−54(VH3−07)、DP−47(VH3−23)、DP−53(VH−74)、DP−49(VH3−30)、DP−48(VH3−13)、DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)に由来することができる。CDRの軽鎖可変フレームワーク領域上への移植に関して、有用なフレームワーク配列は、DPK24下位群IV生殖細胞系列クローン、Will下位群(DPK23、DPK22、DPK20、DPK21)、またはVκI下位群生殖細胞系列クローン(DPK9、DPK1、O2、DPK7)に由来することができる。
抗原結合断片または抗体断片は、抗体のタンパク質分解もしくは他の分解により、上記のような組み換え的方法(すなわち単一のポリペプチドまたは融合ポリペプチド)により、または化学合成により生成されることができる。抗体のポリペプチド、特に約50アミノ酸までのより短いポリペプチドは、化学合成により好都合に作製される。化学合成の方法は、当該技術で既知であり、商業的に入手可能である。例えば、抗体または抗体断片は、固相法を用いる自動化されたポリペプチド合成装置により生成されることができるであろう。米国特許第5,807,715号;第4,816,567号;および第6,331,415号も参照。
本発明の他の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、huE5、huE15、huE22、もしくはhuE47重鎖および/または軽鎖可変領域、またはhuE5、huE15、huE22、もしくはhuE47重鎖もしくは軽鎖可変領域に実質的に類似した可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。
ポリペプチドに適用される際、用語“実質的同一性”または“実質的類似性”は、2つのアミノ酸配列が、例えばプログラムGAPまたはBESTFITにより、プログラムに供給されているような初期設定のギャップウェイトを用いて最適に整列させた場合に、少なくとも70%、75%または80%の配列の同一性、好ましくは少なくとも90%または95%の配列の同一性、より好ましくは少なくとも97%、98%または99%の配列同一性を共有することを意味する。一部の実質的に類似のアミノ酸配列において、同一ではない残基の位置は、保存的アミノ酸置換により異なっている。
実質的に類似のポリペプチドは、1個以上の残基が機能的に類似の残基で保存的に置換されている保存的に置換されたバリアントも含む。保存的置換の例は、ある非極性(疎水性)残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンの、別の非極性(疎水性)残基に関する置換;ある極性(親水性)残基の別の極性(親水性)残基に関する置換、例えばアルギニンおよびリジン間、グルタミンおよびアスパラギン間、グリシンおよびセリン間での置換;ある塩基性残基、例えばリジン、アルギニンもしくはヒスチジンの別の塩基性残基に関する置換;またはある酸性残基、例えばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸の別の酸性残基に関する置換を含む。
2つのタンパク質が実質的に同一であることのさらなる指標は、それらが全体の三次元構造を共有していること、または生物学的機能性均等物であることである。
本発明の一部の側面において、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:13およびSEQ ID NO:39のいずれか1つとして示されている重鎖可変領域および/またはSEQ ID NO:7、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:27およびSEQ ID NO:53のいずれか1つとして示されている軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含む、EFNA4に結合する抗体−薬物コンジュゲート。例えば、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、SEQ ID NO:13に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域およびSEQ ID NO:27に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片;またはSEQ ID NO:13として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:27として示されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片を含むことができる。別の例として、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、SEQ ID NO:39に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域およびSEQ ID NO:53に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片;またはSEQ ID NO:39として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:53として示されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片を含むことができる。
本発明のEFNA4抗体を発現させるために、VHおよびVL領域をコードするDNA断片が、まず上記の方法のいずれかを用いて得られることができる。当該技術で既知であるように、“ポリヌクレオチド”、“核酸/ヌクレオチド”、および“オリゴヌクレオチド”は、本明細書において互換的に用いられており、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態(デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのどちらでもよい)、その類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼにより鎖中に組み込まれることができるあらゆる基質を含む。ポリヌクレオチドは、あらゆる三次元構造を有することができ、既知または未知のあらゆる機能を実施することができる。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、DNA、cDNA、ゲノムDNA、組み換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、あらゆる配列の単離されたDNA、あらゆる配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、天然存在ポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、組み換えポリヌクレオチド、またはそれらのあらゆる組み合わせであることができる。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体を含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、鎖の組み立ての前または後に与えられることができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素により遮られることができる。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば標識構成要素とのコンジュゲーションによりさらに改変されることができる。他のタイプの改変は、例えば、“キャップ”、天然存在ヌクレオチドの1個以上の類似体による置換、ヌクレオチド間改変、例えば非荷電連結(例えばメチルホスホネート類、ホスホトリエステル類、ホスホルアミデート類、カルバメート類等)による、および荷電した連結(例えばホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類等)による改変、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリL−リジン等)のようなペンダント部分を含有する改変、インターカレーター(例えばアクリジン、ソラレン等)による改変、キレーター(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属等)を含有する改変、アルキル化剤を含有する改変、改変された連結(例えばアルファアノマー核酸等)による改変、ならびにポリヌクレオチド(単数または複数)の非改変形態を含む。さらに、糖中に通常存在するヒドロキシル基のいずれも、例えばホスホネート基、ホスフェート基により置き換えられる、標準的な保護基により保護される、もしくは追加のヌクレオチドへの追加の連結を用意するために活性化されることができ、または固体支持体にコンジュゲートされることもできる。5’および3’末端OHは、リン酸化されていることができ、またはアミンもしくは1〜20炭素原子の有機性キャッピング基部分により置換されていることもできる。他のヒドロキシルも、標準的な保護基に誘導体化されることができる。ポリヌクレオチドは、当該技術で一般的に知られているリボースまたはデオキシリボース糖の類似形態、例えば2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、アルファまたはベータアノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース類、非環式類似体および脱塩基ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドを含有することもできる。1個以上のホスホジエステル結合が、代替の連結基により置き換えられることができる。これらの代替連結基は、ホスフェートがP(O)S(“チオエート”)、P(S)S(“ジチオエート”)、(O)NR2(“アミデート”)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(“ホルムアセタール(formacetal)”)により置き換えられている特徴を含むが、それに限定されず、ここでそれぞれのRまたはR’は、独立してH、または場合によりエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルキルを含有する置換もしくは非置換アルキル(1〜20C)である。ポリヌクレオチド中の全部の結合が同一である必要はない。先行する記載は、RNAおよびDNAを含む本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
抗EFNA4抗体重鎖および軽鎖可変領域をコードする代表的なDNAは、SEQ ID NO:6(huE5 VH DNA)、8(huE5 VL DNA)、10(huE15 VH DNA)、12(huE15 VL DNA)、14(huE22 VH DNA)、28(huE22 VL DNA)、40(huE47 VH DNA)、および54(huE47 VL DNA)として示されている。抗EFNA抗体重鎖および軽鎖をコードする代表的なDNAは、SEQ ID NO:26(huE22 HC)、SEQ ID NO:28(huE22 LC)、SEQ ID NO:52(huE47 HC)、およびSEQ ID NO:64(huE47 LC)として示されている。本明細書の下記の表2を参照。huE5およびhuE15抗体のCDRは、表2において下線により示されている。huE22およびhuE47抗体のCDRは、表2において(KabatまたはChothiaにより定められた)、または図2において(VBASE2データベースの分析から得られた)、別々の配列および配列識別子として示されている。
様々な改変、例えば変異、置換、欠失、および/または付加が、当業者に既知の標準的な方法を用いてhuE5、huE15、huE22、およびhuE47 DNA配列中に導入されることもできる。例えば、変異誘発、例えば、変異したヌクレオチドが、PCR産物が所望の変異を含有するようにPCRプライマー中に組み込まれる、PCRに媒介される変異誘発、または部位特異的変異誘発が、標準的な方法を用いて実施されることができる。
従って、本出願の開示に基づいて、当業者は、huE5、huE15、huE22、およびhuE47 DNAに実質的に類似したDNAの配列を容易に認識するであろう。用語“実質的類似性”または“実質的配列類似性”は、核酸またはその断片に言及する場合、適切なヌクレオチド挿入または欠失を用いて別の核酸(またはその相補鎖)と最適に整列させた際に、あらゆる周知の配列同一性のアルゴリズム、例えばFASTA、BLASTまたはGapにより測定した場合にヌクレオチド塩基の少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%においてヌクレオチド配列同一性が存在することを意味する。
核酸配列の文脈における用語“パーセント配列同一性”は、最大一致に関して整列させた際に同じである2つの配列中の残基を意味する。配列同一性の比較の長さは、一続きの少なくとも約9ヌクレオチド、通常は少なくとも約18ヌクレオチド、より通常には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約36、48またはより多くのヌクレオチドにわたることができる。ヌクレオチド配列同一性を測定するために用いられることができる、当該技術で既知のいくつかの異なるアルゴリズムが存在する。例えば、ポリヌクレオチド配列は、FASTA、GapまたはBestfitを用いて比較されることができ、それはWisconsinパッケージバージョン10.0、Genetics Computer Group(GCG)、ウィスコンシン州マディソン中のプログラムである。例えばプログラムFASTA2およびFASTA3を含むFASTAは、クエリー配列および検索配列の間の最高の重複の領域のアラインメントおよびパーセント配列同一性を提供する(Pearson, Methods Enzymol. 183:63-98 (1990); Pearson, Methods MoI. Biol. 132:185-219 (2000); Pearson, Methods Enzymol. 266:227-258 (1996); Pearson, J. MoI. Biol. 276:71-84 (1998);それは参照により本明細書にそのまま援用される)。別途明記されない限り、個々のプログラムまたはアルゴリズムに関する初期設定のパラメーターが用いられる。例えば、核酸配列間のパーセント配列同一性は、FASTAをその初期設定のパラメーター(6のワードサイズおよびスコア行列に関してNOPAM因子(NOPAM factor))と共に用いて、またはGapをGCGバージョン6.1において提供されているようなその初期設定のパラメーターと共に用いて決定されることができ、それは参照により本明細書にそのまま援用される。
2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらなる指標は、その核酸によりコードされるタンパク質が実質的に同一であること、全体的な三次元構造を共有していること、または生物学的機能的均等物であることである。これらの用語は、本明細書において下記でさらに定義される。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸分子は、対応するタンパク質が実質的に同一である場合、なお実質的に同一である。これは、例えば、2つのヌクレオチド配列が遺伝子コードにより許容されるような保存的に置換されたバリアントを含む場合に起こり得る。
保存的に置換されたバリアントは、縮重コドン置換を有する核酸配列であり、ここで、1以上の選択された(または全部の)コドンが、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換される。Batzer et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:5081; Ohtsuka et al. (1985) J. Biol. Chem. 260:2605-2608;およびRossolini et al. (1994) Mol. Cell Probes 8:91-98を参照。
例えば、なされることができる1つのタイプの置換は、化学的に反応性であり得る抗体中の1個以上のシステインを、別の残基、例えば(限定ではなく)アラニンまたはセリンに変更することである。例えば、非カノニカル(non−canonical)システインの置換が存在することができる。その置換は、抗体の可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中で、または定常領域中でなされることができる。別の例として、そのシステインは、カノニカルであることができる。
抗体は、例えば重鎖および/または軽鎖の可変ドメインにおいて、例えば抗体の結合特性を変化させるために改変されることもできる。例えば、CDR領域の1個以上において、その抗体のEFNA4に関するKDを増大もしくは低下させるために、koffを増大もしくは低下させるために、またはその抗体の結合特異性を変化させるために、変異がなされることができる。部位特異的変異誘発における技法は、当該技術で周知である。例えば、Sambrook et al.およびAusubel et al.(上記)を参照。
改変または変異は、EFNA4抗体の半減期を増大させるためにフレームワーク領域または定常領域においてなされることもできる。例えば、PCT国際公開第00/09560号を参照。フレームワーク領域または定常領域中の変異は、抗体の免疫原性を変化させるために、別の分子への共有結合的もしくは非共有結合的結合のための部位を提供するために、または補体結合、FcR結合および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害のような特性を変化させるためになされることもできる。本発明によれば、単一の抗体は、可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域のあらゆる1個以上において、または定常領域において変異を有することができる。
“生殖細胞系列化(germlining)”として知られるプロセスにおいて、VHおよびVL配列中の特定のアミノ酸を、生殖細胞系列のVHおよびVL配列中に天然に存在するアミノ酸と一致するように変異させることができる。特に、VHおよびVL配列中のフレームワーク領域のアミノ酸配列を、その抗体が投与される際の免疫原性の危険性を低減するために、生殖細胞系列の配列と一致するように変異させることができる。本明細書で用いられる際、用語“生殖細胞系列”は、抗体遺伝子および遺伝子断片の、それらが親から子に生殖細胞を介して渡された際のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を指す。この生殖細胞系列配列は、B細胞成熟の過程の間に組み替えおよび超変異事象により変化している成熟B細胞中の抗体をコードしているヌクレオチド配列とは区別される。特定の生殖細胞系列を“利用する”抗体は、生殖細胞系列のヌクレオチド配列と、またはそれが指定するアミノ酸配列と最も近く整列するヌクレオチドまたはアミノ酸配列を有する。そのような抗体は、しばしば、生殖細胞系列の配列と比較して変異している。ヒトVHおよびVL遺伝子に関する生殖細胞系列DNA配列は、当該技術で既知である(例えば、“Vbase”ヒト生殖細胞系列配列データベースを参照;Kabat, E. A., et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, 米国保健福祉省、NIH公開番号91-3242; Tomlinson et al., J. Mol. Biol. 227:776-798, 1992;およびCox et al., Eur. J. Immunol. 24:827-836, 1994も参照)。
なされることができる別のタイプのアミノ酸置換は、抗体中の潜在的なタンパク質分解部位を除去するためのものである。そのような部位は、抗体の可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中または定常領域中に存在し得る。システイン残基の置換およびタンパク質分解部位の除去は、抗体生成物における不均質性の危険性を低下させ、従ってその均質性を増大させることができる。別のタイプのアミノ酸置換は、潜在的な脱アミド部位を形成するアスパラギン−グリシン対を、その残基の一方または両方を変更することにより排除することである。別の例において、本発明のEFNA4抗体の重鎖のC末端リジンは、切断されることができる。本発明の様々な側面において、EFNA4抗体の重鎖および軽鎖は、場合によりシグナル配列を含むことができる。
一度本発明のVHおよびVL区間をコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片は、標準的な組み換えDNA技法により、例えば可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子に、Fab断片遺伝子に、またはscFv遺伝子に変換するためにさらに操作されることができる。これらの操作において、VLまたはVHをコードするDNA断片は、別のタンパク質、例えば抗体定常領域または柔軟なリンカーをコードする別のDNA断片に、作動的に連結される。用語“作動的に連結される”は、この文脈において用いられる際、2個のDNA断片が、その2個のDNA断片によりコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるようにつながれることを意味することが意図されている。
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHをコードするDNAを重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする別のDNA分子に作動的に連結することにより、完全長重鎖遺伝子に変換されることができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術で既知であり(例えば、Kabat, E. A., et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, 米国保健福祉省、NIH公開番号91-3242を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅により得られることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であることができるが、最も好ましくは、IgG1またはIgG2定常領域である。IgG定常領域配列は、異なる個体間で生じることが知られている様々なアレルまたはアロタイプ、例えばGm(1)、Gm(2)、Gm(3)、およびGm(17)のいずれであることもできる。これらのアロタイプは、IgG1定常領域中の自然発生アミノ酸置換に相当する。Fab断片重鎖遺伝子に関して、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動的に連結されることができる。CH1重鎖定常領域は、重鎖遺伝子のいずれに由来することもできる。
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLをコードするDNAを軽鎖定常領域であるCLをコードする別のDNA分子に作動的に連結することにより、完全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換されることができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術で既知であり(例えば、Kabat, E. A., et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, 米国保健福祉省、NIH公開番号91-3242を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅により得られることができる。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であることができる。カッパ定常領域は、異なる個体間で生じることが知られている様々なアレル、例えばInv(1)、Inv(2)、およびInv(3)のいずれであることもできる。ラムダ定常領域は、3つのラムダ遺伝子のいずれに由来することもできる。
scFv遺伝子を作製するために、VHおよびVLをコードするDNA断片は、柔軟なリンカーをコードする別の断片に、VHおよびVL配列が連続した一本鎖のタンパク質として発現されることができ、VLおよびVH領域が柔軟なリンカーにより繋がれるように、作動的に連結される(例えば、Bird et al., 1988, Science 242:423-426; Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., 1990, Nature 348:552-554を参照)。一本鎖抗体は、単一のVHおよびVLのみが用いられる場合は一価、2つのVHおよびVLが用いられる場合は二価、または2つより多くのVHおよびVLが用いられる場合は多価であることができる。EFNA4に、および別の分子に特異的に結合する二特異性または多価抗体が生成されることができる。
本発明の別の側面において、別のポリペプチドに連結された本発明のEFNA4抗体の全部または一部を含む融合抗体またはイムノアドヘシンが、作製されることができる。別の側面において、EFNA4抗体の可変ドメインのみが、ポリペプチドに連結される。別の側面において、EFNA4抗体のVHドメインが、第1ポリペプチドに連結され、一方でEFNA4抗体のVLドメインが、第1ポリペプチドと会合する第2ポリペプチドに、VHおよびVLドメインが互いと相互作用して抗原結合部位を形成することができるような様式で、連結される。別の側面において、VHドメインは、VHおよびVLドメインが互いと相互作用することができるように、リンカーによりVLドメインから分離されている。次いで、VH−リンカー−VL抗体は、対象のポリペプチドに連結される。加えて、2個(またはより多く)の一本鎖抗体が互いに連結されている融合抗体が、作製されることができる。これは、単一のポリペプチド鎖上に二価または多価抗体を作製したい場合、または二特異性抗体を作製したい場合に有用である。
他の改変された抗体が、EFNA4抗体をコードする核酸分子を用いて調製されることができる。例えば、“カッパボディ(Kappa bodies)”(Ill et al., Protein Eng. 10:949-57, 1997)、“ミニボディ”(Martin et al., EMBO J., 13:5303-9, 1994)、“ダイアボディ”(Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448, 1993)、または“ジャヌシン(Janusins)”(Traunecker et al., EMBO J. 10:3655-3659, 1991およびTraunecker et al., Int. J. Cancer (補遺) 7:51-52, 1992)は、本明細書の教示に従って、標準的な分子生物学の技法を用いて調製されることができる。
二特異性抗体または抗原結合断片は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含む様々な方法により生成されることができる。例えば、Songsivilai & Lachmann, Clin. Exp. Immunol. 79:315-321, 1990, Kostelny et al., J. Immunol. 148:1547-1553, 1992を参照。加えて、二特異性抗体は、“ダイアボディ”または“ジャヌシン”として形成されることができる。本発明の一部の側面において、二特異性抗体は、EFNA4の2つの異なるエピトープに結合する。他の側面において、上記の改変された抗体は、本明細書で提供されるEFNA4抗体からの可変ドメインまたはCDR領域の1個以上を用いて調製される。
抗体−薬物コンジュゲートの調製における使用に関して、本明細書で記載されるEFNA4抗体は、実質的に純粋である、すなわち少なくとも50%純粋である(すなわち汚染物質を含まない)、より好ましくは少なくとも90%純粋である、より好ましくは少なくとも95%純粋である、さらにもっと好ましくは少なくとも98%純粋である、最も好ましくは少なくとも99%純粋であることができる。
表2は、本発明のヒト化坑EFNA4抗体のアミノ酸(タンパク質)配列および関係する核酸(DNA)配列を提供する。Kabatにより定められるようなhuE5 VH、huE5 VL、huE15 VH、およびhuE15 VLのCDRは、下線が付けられている。Kabatにより、およびChothiaにより定められるようなhuE22 VH、huE22 VL、huE47 VH、およびhuE47 VLのCDRは、別々の配列として示されている。
II.B.リンカー
本発明の抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、薬物を抗EFNA4抗体に連結またはコンジュゲートするためのリンカーを用いて調製されることができる。本発明の特定の側面において、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートのリンカーは、4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を含むが、それに限定されない。
リンカー分子は、安定(切断不能)または加水分解可能(切断可能)であることができ、それによりそれは細胞侵入後に放出される。薬物が抗体から切断される主な機序は、リソソームの酸性pHにおける加水分解(ヒドラゾン類、アセタール類、およびシス−アコニテート様アミド類)、リソソーム酵素(カテプシンおよび他のリソソーム酵素)によるペプチド切断、およびジスルフィドの還元を含む。切断に関するこれらの様々な機序の結果として、薬物を抗体に連結する機序も広く異なり、あらゆる適切なリンカーが用いられることができる。
適切なコンジュゲーション手順の一例は、ヒドラジドおよび他の求核種の、抗体上に天然に存在する炭水化物の酸化により生成されるアルデヒドへのコンジュゲーションに頼っている。ヒドラゾンを含有するコンジュゲートは、所望の薬物放出特性を提供する導入されたカルボニル基を用いて作製されることができる。コンジュゲートは、一方の末端にジスルフィド、中央にアルキル鎖、そして他方の末端にヒドラジン誘導体を有するリンカーを用いて作製されることもできる。アントラサイクリン類は、この技術を用いて抗体にコンジュゲートさせることができる細胞毒素の一例である。
ヒドラゾン類以外の官能基を含有するリンカーは、リソソームの酸性環境中で切断される可能性を有する。例えば、コンジュゲートは、細胞内で切断可能であるヒドラゾン以外の部位、例えばエステル、アミド、および/またはアセタール/ケタールを含有するチオール反応性リンカーから作られることができる。カンプトテシンは、これらのリンカーを用いてコンジュゲートさせることができる1つの細胞毒性剤である。5〜7員環ケトンから作製され、細胞毒性剤に結合した酸素の一方および抗体の結合のためのリンカーに結合した酸素の他方を有するケタールも、用いられることができる。アントラサイクリン類は、これらのリンカーと共に用いられるための適切な細胞毒素の一例でもある。
pH感受性リンカーのクラスの別の例は、シス−アコニテート類であり、それは、アミド結合に並列されたカルボン酸を有する。カルボン酸は、酸性リソソームにおけるアミド加水分解を加速する。いくつかの他のタイプの構造により類似のタイプの加水分解速度の加速を達成するリンカーも、用いられることができる。メイタンシノイド類は、C−9において結合したリンカーとコンジュゲートされることができる細胞毒素の一例である。
薬物コンジュゲートに関する別の可能性のある放出法は、リソソーム酵素によるペプチドの酵素的加水分解である。一例において、ペプチドは、アミド結合を介してパラ−アミノベンジルアルコールに結合し、次いでカルバメートまたはカーボネートが、ベンジルアルコールおよび細胞毒性剤の間で作られる。ペプチドの切断は、アミノベンジルカルバメートまたはカーボネートの崩壊、または自己破壊(self−immolation)をもたらす。この戦略を用いて例示される細胞毒性剤は、アントラサイクリン類、タキサン類、マイトマイシンC、およびオーリスタチン類を含む。一例において、フェノールも、カルバメートの代わりにリンカーの崩壊により放出されることができる。別のバリエーションにおいて、ジスルフィド還元が、パラ−メルカプトベンジルカルバメートまたはカーボネートの崩壊を開始するために用いられる。
抗体にコンジュゲートした細胞毒性剤の多くは、水中での可溶性を、たとえあるとしてもほとんど有さず、それは、コンジュゲートの凝集のため、コンジュゲートへの薬物装填を制限し得る。これを克服するための1つのアプローチは、リンカーに可溶性の基を付加することである。抗体に結合したPEG二酸、チオール−酸、またはマレイミド−酸、ジペプチドスペーサー、およびアントラサイクリンまたはデュオカルマイシン類似体のアミンに対するアミド結合を有するリンカーを含む、PEGおよびジペプチドからなるリンカーを用いて作製されたコンジュゲートが、用いられることができる。別の例は、細胞毒性剤に結合したPEG含有リンカージスルフィドおよび抗体に結合したアミドを用いて調製されたコンジュゲートである。PEG基を組み込むアプローチは、薬物装填における凝集および制限の克服において有益である可能性がある。
本発明の一部の側面において、本発明の抗体−薬物コンジュゲートの調製のためのリンカーは、次の式を有するリンカーを含み:
(CO−Alk1−Sp1−Ar−Sp2−Alk2−C(Z1)=Q−Sp)
式中、
Alk1およびAlk2は、独立して結合または分枝状もしくは分枝していない(C1〜C10)アルキレン鎖であり;
Sp1は、結合、−S−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−NR’−、−N(CH2CH2)2N−、または−X−Ar’−Y−(CH2)n−Zであり、ここでX、Y、およびZは、独立して結合、−NR’−、−S−、または−O−であり、ただし、n=0である場合、YおよびZの少なくとも一方は結合でなければならず、Ar’は、場合により(C1〜C5)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、または3個の基で置換された1,2−、1,3−、または1,4−フェニレンであり、ただし、Alk’が結合である場合、Sp1は結合であり;
nは、0〜5の整数であり;
R’は、場合により−OH、(C1〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、(C1〜C3)ジアルキルアミノ、または(C1〜C3)トリアルキルアンモニウム−A−の1または2個の基により置換された分枝状または分枝していない(C1〜C5)鎖であり、ここでA−は、塩を完成する薬学的に許容可能な陰イオンであり;
Arは、場合により(C1〜C6)アルキル、(C1〜C5)アルコキシ、(C1〜C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、もしくは−S(CH2)nCONHR’の1、2、もしくは3個の基で置換された1,2−、1,3−、もしくは1,4−フェニレン(ここでnおよびR’は、本明細書において前に定義された通りである)、または1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,6−、もしくは2,7−ナフチリデンもしくは
であり、それぞれのナフチリデンもしくはフェノチアジンは、場合により(C1〜C6)アルキル、(C1〜C5)アルコキシ、(C1〜C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、もしくは−S(CH2)nCONHR’の1、2、3、もしくは4個の基で置換されており、ここでnおよびR’は、上記で定義された通りであり、ただし、Arがフェノチアジンである場合、Sp1は窒素のみに連結された結合であり;
Sp2は、結合、−S−、または−O−であり、ただし、Alk2が結合である場合、Sp2は結合であり、
Z1は、H、場合により(C1〜C5)アルキル、(C1〜C5)アルコキシ、(C1〜C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−ONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、または3個の基で置換された(C1〜C5)アルキル、またはフェニルであり、ここでnおよびR’は、上記で定義された通りであり;
Spは、直鎖もしくは分枝鎖の二価もしくは三価(C1〜C18)基、二価もしくは三価アリールもしくはヘテロアリール基、二価もしくは三価(C3〜C18)シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル基、二価もしくは三価アリール−もしくはヘテロアリール−アリール(C1〜C18)基、二価もしくは三価シクロアルキル−もしくはヘテロシクロアルキル−アルキル(C1〜C18)基、または二価もしくは三価(C2〜C18)不飽和アルキル基であり、ここでヘテロアリールは、好ましくはフリル、チエニル、N−メチルピロリル、ピリジニル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル、キノリル、イソキノリル、N−メチルカルバゾイル、アミノクルマリニル(aminocourmarinyl)、またはフェナジニルであり、ここでSpが三価の基である場合、Spはさらに低級(C1〜C5)ジアルキルアミノ、低級(C1〜C5)アルコキシ、ヒドロキシ、または低級(C1〜C5)アルキルチオ基により置換されていることができ;そして
Qは、=NHNCO−、=NHNCS−、=NHNCONH−、=NHNCSNH−、または=NHO−である。
好ましくは、Alk1は、分枝状または分枝していない(C1〜C10)アルキレン鎖であり;Sp’は、結合、−S−、−O−、−CONH−、−NHCO−、または−NR’であり、ここで、R’は、本明細書において前に定義された通りであり、ただし、Alk’が結合である場合、Sp1は結合であり;
Arは、場合により(C1〜C6)アルキル、(C1〜C5)アルコキシ、(C1〜C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、もしくは−S(CH2)nCONHR’の1、2、もしくは3個の基で置換された1,2−、1,3−、もしくは1,4−フェニレンであり、ここでnおよびR’は、本明細書において前に定義された通りであり、またはArは、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,6−、もしくは2,7−ナフチリデンであり、それぞれが場合により(C1〜C6)アルキル、(C1〜C5)アルコキシ、(C1〜C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、もしくは−S(CH2)nCONHR’の1、2、3、もしくは4個の基で置換されている。
Z1は、場合により(C1〜C5)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、もしくは3個の基で置換された(C1〜C5)アルキル、またはフェニルであり;Alk2およびSp2は、一緒に結合であり;そしてSpおよびQは、すぐ上で定義された通りである。
参照により本明細書にそのまま援用される米国特許第5,773,001号は、カリケアマイシン類から調製された求核性薬物、特にヒドラジド類および関連する求核種と共に用いられることができるリンカーを開示している。これらのリンカーは、薬物およびリンカーの間で形成される結合が加水分解可能である際によりよい活性が得られる場合に特に有用である。これらのリンカーは、(1)抗体との反応のための基(例えばカルボン酸)、および(2)薬物との反応のためのカルボニル基(例えばアルデヒドまたはケトン)を含む2個の官能基を含有する。カルボニル基は、薬物上のヒドラジド基と反応してヒドラゾン結合を形成することができる。この結合は、切断可能、加水分解可能であり、標的細胞への結合後の療法剤のコンジュゲートからの遊離を可能にする。本発明の一部の側面において、用いられる加水分解可能なリンカーは、4−(4−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)である。本発明の他の側面において、抗体−薬物コンジュゲートは、(3−アセチルフェニル)酢酸(AcPAc)または4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(アミド)をリンカー分子として用いて調製されることができる。
N−ヒドロキシスクシンイミド(OSu)エステル類または他の比較可能なほどに活性化されたエステル類は、活性化された加水分解可能なリンカー−薬物部分を生成するために用いられることができる。他の適切な活性化エステル類の例は、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)、スルホ−NHS(スルホン化NHS)、PFP(ペンタフルオロフェニル)、TFP(テトラフルオロフェニル)、およびDNP(ジニトロフェニル)を含む。
本発明の一部の側面において、抗体−薬物コンジュゲートは、カリケアマイシンまたはその誘導体、AcButリンカーおよび本発明の抗EFNA4抗体を反応させることにより調製される。例えば、米国特許第5,773,001号を参照。AcButリンカーは、循環中で実質的に安定であるコンジュゲートを生成し、インビトロでヒト血漿中で37℃においてアッセイされた際に1日あたりカリケアマイシンの推定2%を遊離する。そのコンジュゲートは、酸性リソソーム中でカリケアマイシンを遊離する。
本発明の一部の側面において、AcBut−CM部分は、当該技術で、例えばPCT国際公開第08/147765号および米国特許第8,273,862号において記載されている方法およびプロセスを用いて生成されることができ、それは参照により本明細書にそのまま援用される。
本発明の一部の側面において、AcBut−CM部分は、米国仮出願第61/899,682号において記載されているような向上した合成プロセスを用いて生成されることができ、それは参照により本明細書にそのまま援用される。リンカー中間体(化合物10)を合成するための方法は、次のように記載される:
スキーム1において、化合物1および化合物2を、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(Bu4NF)中で反応させる。塩化カルシウム二水和物の水中における溶液を添加し、下方の水相を撹拌後に除去する。上方の油相にメタノールおよび3等量の水中NaOHを添加する。反応混合物を、中間体エステル3の完全な消費が観察されるまで撹拌する。反応を15℃まで冷却し、2−メチルテトラヒドロフランを添加した後、水を添加する。濃HClをゆっくりと添加し、反応を15〜30℃の範囲で維持する。酸4が、有機層から得られる。
スキーム2において、化合物4に、適切な有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)およびアゾール活性化剤、例えばカルボニルジイミダゾール(CDI)を装填し、中間体5を形成する。他のアゾール活性化剤、例えばチオカルボニルジイミダゾール;カルボニルビス−ピラゾール、ここでそれぞれのピラゾールは場合により1〜3個の(C1〜C6)アルキル基で置換されている;カルボニルビス−1,2,3−トリアゾール;カルボニルビス−ベンゾトリアゾール、およびカルボニルビス−1,2,4−トリアゾールが用いられることができ、それは、それにより化合物5に類似しているがイミダゾリル以外の異なるアゾール部分を含む中間体化合物を形成するであろう。中間体5を、ヒドラジン、好ましくはヒドラジンの水性の源、例えばヒドラジン一水和物と反応させ、中間体6が得られる。中間体6は、PCT国際公開第08/147765号において記載されており、それは参照により本明細書にそのまま援用される。
スキーム3において、中間体6を、中間体7と、不活性(非反応性)溶媒(例えばメタノール(MeOH))中で、場合により酸性触媒(例えば酢酸(HOAc))を用いて反応させると、中間体8が得られる。
スキーム4において、中間体8を、強酸、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)を場合により加熱下で用いることにより脱保護し、中間体9を形成する。他の強酸、例えば硫酸が、トリフルオロ酢酸の代わりに用いられることができる。
スキーム5において、中間体9を、リンカー中間体10に変換する。中間体9は、当該技術で、例えば米国特許第8,273,862号において記載されているように、リンカー中間体10に変換されることができ、それは参照により本明細書にそのまま援用される。しかし、好ましくは、スキーム5において示されているように、中間体9を、第3級アミン塩基、例えばトリエチルアミン(TEA)と、そしてトリメチルアセチルクロリド(PivCl)と、不活性溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下で反応させる。続いて、N−ヒドロキシスクシンイミド(OSu)を導入してリンカー中間体10を提供する。
本明細書で上記で記載されたリンカー中間体10を合成するためのプロセスは、本明細書で上記で記載されたプロセスは塩化メチレンの使用およびそれに伴って行われる安全対策を回避し、リンカー中間体10のよりよい収量を提供するため、PCT国際公開第08/147765号において、および米国特許第8,273,862号において記載されているプロセスを上回る向上を提供する。
リンカー中間体10の合成に続いて、リンカー中間体10を、先行技術において、例えば米国特許第8,273,862号において記載されているように、カリケアマイシン分子にコンジュゲートさせることができる。しかし、好ましくは、リンカー中間体10は、カルボジイミドの存在下でカリケアマイシンと組み合わせられ、それは結果として得られるカリケアマイシン誘導体の収量を向上させる。用いられることができるカルボジイミド類の例は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC);N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC);N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC);N−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−メチルモルホリン−4−イウム−4−イル)エチル]カルボジイミド トシレート;N−シクロヘキシル−N’−[4−(ジエチルメチルアンモニオ)シクロヘキシル]カルボジイミド トシレート;N,N’−ビス(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル]カルボジイミド;およびN−ベンジル−N’−イソプロピルカルボジイミドを含むが、それらに限定されない。
リンカー中間体10のカリケアマイシンへのコンジュゲーションの結果得られるカリケアマイシン誘導体は、モノクローナル抗体(例えば抗EFNA4抗体)との反応の前に精製および単離されることができる。精製および単離は、以前に米国特許第8,273,862号において記載されているように行われることができる。または、精製は、逆相高性能液体クロマトグラフィー精製プロトコルを用いることにより行われることができる。10の精製のための逆相高性能液体クロマトグラフィー精製プロトコルは、水性および有機性混合物を含む相による溶離を含むことができ、その相は、約4〜約6のpHの範囲である。例えば、55% 20mM酢酸ナトリウム、pH5および45%アセトニトリルからなる移動相は、逆相高性能液体クロマトグラフィー精製のために用いられることができる水性/有機性移動相である。逆相高性能液体クロマトグラフィー精製プロトコルを用いた精製の後に、固相抽出プロトコルが行われることができる。
本発明の他の側面において、リンカーは、ジペプチドリンカー、例えばバリン−シトルリン(val−cit)、フェニルアラニン−リジン(phe−lys)リンカー、またはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)リンカーであることができる。別の側面において、リンカーは、スルホスクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート(smcc)である。スルホ−smccコンジュゲーションは、スルフヒドリル類(チオール類、−SH)と反応するマレイミド基を介して起こり、一方でそのスルホ−NHSエステルは、(リジンおよびタンパク質またはペプチドのN末端にあるような)第1級アミンに対して反応性である。さらに、そのリンカーは、マレイミドカプロイル(mc)であることができる。
放射性同位体のコンジュゲーションに有用な代表的なリンカーは、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)−イソチオシアネート、スクシンイミジル 6−ヒドラジニウム ニコチネート塩酸塩(SHNH)、およびヘキサメチルプロピレンアミンオキシム(HMPAO)を含む(Bakker et al. (1990) J. Nucl. Med. 31: 1501-1509, Chattopadhyay et al. (2001) Nucl. Med. Biol. 28: 741-744, Dewanjee et al. (1994) J. Nucl. Med. 35: 1054-63, Krenning et al. (1989) Lancet 1: 242-244, Sagiuchi et al. (2001) Ann. Nucl. Med. 15: 267-270;米国特許第6,024,938号)。あるいは、標的化分子は、放射性同位体が直接それに結合し得るように誘導体化されることができる(Yoo et al. (1997) J. Nucl. Med. 38: 294-300)。ヨウ素化法も、当該技術で既知であり、代表的なプロトコルは、例えばKrenning et al. (1989) Lancet 1:242-244において、およびBakker et al. (1990) J. Nucl. Med. 31:1501-1509において見付けられることができる。
II.C. 薬物
開示されるEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの調製において有用な薬物は、生物学的または検出可能な活性を有するあらゆる物質、例えば療法剤、検出可能な標識、結合剤等、およびインビボで代謝されて有効薬剤になるプロドラッグを含む。薬物は、薬物誘導体であることもでき、ここで、薬物は、本発明の抗体とのコンジュゲーションを可能にするように官能化されている。開示される方法によれば、薬物は、式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲートを調製するために用いられ、式中、(a)Abは、EFNA4に結合する抗体、またはその抗原結合断片であり、そして(b)L−Dは、リンカー−薬物部分であり、ここでLはリンカーであり、そしてDは薬物である。抗体あたりにコンジュゲートしている薬物(D)分子の数を示す薬物対抗体比(DAR)または薬物装填は、DAR1〜12であることができる。従って、本発明の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、1のDAR、2のDAR、3のDAR、4のDAR、5のDAR、6のDAR、7のDAR、8のDAR、9のDAR、10のDAR、11のDARまたは12のDARを有することができる。従って、本発明の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、1個の薬物分子、または2個の薬物分子、または3個の薬物分子、または4個の薬物分子、または5個の薬物分子、または6個の薬物分子、または7個の薬物分子、または8個の薬物分子、または9個の薬物分子、または10個の薬物分子、または11個の薬物分子、または12個の薬物分子を含むことができる。DARは、様々な従来の手段、例えばUV分光法、質量分析、ELISAアッセイ、放射測定法、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、電気泳動およびHPLCにより決定されることができる。
式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲート(ADC)の組成物、バッチおよび/または配合物は、DAR1〜12の、様々な数の薬物分子とコンジュゲートした複数の抗体を含むことができる。
本発明の特定の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、約1〜約12の範囲の平均DAR、例えば約2〜約4の範囲の平均DAR、または約3〜約5の範囲の平均DAR、または約4〜約6の範囲の平均DAR、または約5〜約7の範囲の平均DAR、または約6〜約8の範囲の平均DAR、または約7〜約9の範囲の平均DAR、または約8〜約10の範囲の平均DAR、または約9〜約11の範囲の平均DARにより特性付けられることができる。一部の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、約1の平均DAR、または約2の平均DAR、約3の平均DAR、または約4の平均DAR、または約5の平均DAR、または約6の平均DAR、または約7の平均DAR、または約8の平均DAR、または約9の平均DAR、または約10の平均DAR、または約11の平均DARを有することができる。前記の平均DARの範囲において用いられる際、用語“約”は、+/−0.5%を意味する。
さらに、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、好ましい範囲の平均DAR、例えば約3〜約5の範囲の平均DAR、約3〜約4の範囲の平均DAR、または約4〜約5の範囲の平均DARにより特性付けられることができる。さらに、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、好ましい範囲の平均DAR、例えば3〜5の範囲の平均DAR、3〜4の範囲の平均DAR、または4〜5の範囲の平均DARにより特性付けられることができる。
本発明の一部の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、約3.0の平均DAR、または3.0の平均DAR、または3.1の平均DAR、または3.2の平均DAR、または3.3の平均DAR、または3.4の平均DAR、または3.5の平均DAR、または3.6の平均DAR、または3.7の平均DAR、または3.8の平均DAR、または3.9の平均DARにより特性付けられることができる。本発明の別の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、約4.0の平均DAR、または4.0の平均DAR、または4.1の平均DAR、または4.2の平均DAR、または4.3の平均DAR、または4.4の平均DAR、または4.5の平均DAR、または4.6の平均DAR、または4.7の平均DAR、または4.8の平均DAR、または4.9の平均DAR、または5.0の平均DARにより特性付けられることができる。
本発明の別の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、12以下の平均DAR、11以下の平均DAR、10以下の平均DAR、9以下の平均DAR、8以下の平均DAR、7以下の平均DAR、6以下の平均DAR、5以下の平均DAR、4以下の平均DAR、3以下の平均DAR、2以下の平均DAR、または1以下の平均DARにより特性付けられることができる。
本発明の他の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、11.5以下の平均DAR、10.5以下の平均DAR、9.5以下の平均DAR、8.5以下の平均DAR、7.5以下の平均DAR、6.5以下の平均DAR、5.5以下の平均DAR、4.5以下の平均DAR、3.5以下の平均DAR、2.5以下の平均DAR、1.5以下の平均DARにより特性付けられることができる。
式Ab−(L−D)のADCの組成物、バッチ、および/または配合物は、DAR分布により特性付けられることができる。DAR分布は、ADCの組成物、バッチ、および/または配合物中に存在し得る様々なADC種のパーセントまたは割合(例えばDAR1〜12)を提供する。ADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、当該技術で既知の方法、例えばキャピラリー等電点分画法(cIEF)により決定されることができる。
本発明の一側面において、式Ab−(L−D)のADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、一般にDAR1〜12を有する広い範囲のADC種を含有する広いDAR分布を有する高度に不均質なADCの混合物として特性付けられることができる。
本発明の別の側面において、ADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、一般に特定のDAR、例えばDAR3〜5を有する狭い範囲のADC種を含有する狭いDAR分布を有する高度に均質な混合物として特性付けられることができる。
本発明の特定の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、3〜5のDARを有する少なくとも50%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも55%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも60%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも65%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも70%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも75%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも80%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも85%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも90%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する少なくとも95%の抗体−薬物コンジュゲートを有することにより特性付けられることができる。
本発明の別の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、3〜5のDARを有する50%〜60%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する60%〜70%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する70%〜80%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する80%〜90%の抗体−薬物コンジュゲート、または3〜5のDARを有する90%〜100%の抗体−薬物コンジュゲートを有することにより特性付けられることができる。本発明の別の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、3〜5のDARを有する約50%、または約55%、または約60%、または約65%、または約70%、または約75%、または約80%、または約85%、または約90%、または約95%、または約100%の抗体−薬物コンジュゲートを有することにより特性付けられることができる。
例えば、療法剤は、癌細胞または活性化された免疫細胞に対して細胞毒性、細胞増殖抑制性、および/または免疫調節性作用を及ぼす薬剤である。療法剤の例は、細胞毒性剤、化学療法剤、細胞増殖抑制剤、および免疫調節剤を含む。化学療法剤は、癌の処置において有用な化合物である。
療法剤は、それを必要とする対象において障害を処置または予防するために用いられることができる組成物である。本発明において有用な療法剤は、抗癌剤、すなわちEFNA4発現細胞、例えば乳癌、例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC);卵巣癌;結腸直腸癌;白血病、例えば慢性リンパ性白血病(CLL);肝臓癌、例えば肝細胞癌(HCC);ならびに肺癌、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌(SCLC)からの癌細胞において抗癌活性を有する薬剤を含む。
代表的な療法剤は、細胞毒素、細胞毒性剤、および細胞増殖抑制剤を含む。細胞毒性作用は、標的細胞(単数または複数)の枯渇、排除および/または殺傷を指す。細胞毒性剤は、細胞に対して細胞毒性および/または細胞増殖抑制作用を有する薬剤を指す。細胞増殖抑制作用は、細胞増殖の阻害を指す。細胞増殖抑制剤は、細胞に対して細胞増殖抑制作用を有し、それにより細胞の特定の部分集合の増殖および/または拡張を阻害する薬剤を指す。
追加の代表的な療法剤は、放射性同位体、化学療法剤、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、アポトーシス促進剤、および細胞溶解性酵素(例えばRNアーゼ)を含む。薬剤は、療法的核酸、例えば免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、またはアポトーシス促進剤をコードする遺伝子を含むこともできる。これらの薬物の記述語は、互いに排他的ではなく、従って療法剤は、上記の用語の1以上を用いて記載されることができる。例えば、選択される放射性同位体は、細胞毒素でもある。療法剤は、上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩類、酸、または誘導体として調製されることができる。一般に、放射性同位体を薬物として有するコンジュゲートは、放射性免疫コンジュゲートと呼ばれ、化学療法剤を薬物として有するコンジュゲートは、化学免疫コンジュゲートと呼ばれる。
細胞毒性剤の例は、アントラサイクリン、オーリスタチン、CC−1065、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN−38、チューブリシン(tubulysin)、ヘミアステリン、およびそれらの立体異性体、同配体、類似体または誘導体を含むが、それらに限定されない。植物毒素、他の生理活性タンパク質、酵素(すなわちADEPT)、放射性同位体、光増感剤(すなわち光力学療法のためのもの)が用いられることもできる。
アントラサイクリン類は、細菌ストレプトマイセスに由来し、広い範囲の癌、例えば白血病、リンパ腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、および肺癌を処置するために用いられてきた。典型的なアントラサイクリン類は、ダウノルビシン、ドキソルビシン(すなわちアドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、およびミトキサントロンを含むが、それらに限定されない。
ドラスタチン類ならびにそれらのペプチド性類似体および誘導体であるオーリスタチン類は、抗癌および抗真菌活性を有することが示されている非常に強力な有糸分裂阻害剤である。例えば、米国特許第5,663,149号およびPettit et al., Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965, (1998)を参照。典型的なドラスタチン類およびオーリスタチン類は、ドラスタチン10、オーリスタチンE、オーリスタチンEB(AEB)、オーリスタチンEFP(AEFP)、MMAD(モノメチルオーリスタチンDまたはモノメチルドラスタチン10)、MMAF(モノメチルオーリスタチンFまたはN−メチルバリン−バリン−ドライソロイイン−ドラプロリン−フェニルアラニン)、MMAE(モノメチルオーリスタチンEまたはN−メチルバリン−バリン−ドライソロイイン−ドラプロリン−ノルエフェドリン)、5−ベンゾイル吉草酸−AEエステル(AEVB)および他の新規のものを含むが、それらに限定されない。
本発明の一部の側面において、参照により本明細書にそのまま援用されるPCT国際公開第2013/072813号において記載されているオーリスタチン類およびそれらのオーリスタチン類を製造する方法が、本明細書において用いられる。
例えば、次の構造を有するオーリスタチン0101(2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−{[(1S)−2−フェニル−1−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド):
加えて、次の構造を有するオーリスタチン8261(2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド):
デュオカルマイシンおよびCC−1065は、細胞毒性効力を有するDNAアルキル化剤である。Boger and Johnson, PNAS 92:3642-3649, 1995を参照。典型的なドラスタチン類およびオーリスタチン類は、(+)−デュオカルマイシンAおよび(+)−デュオカルマイシンSA、ならびに(+)−CC−1065を含むが、それらに限定されない。
エンジイン類は、9および10員環またはコンジュゲートした三重−二重−三重結合の環系の存在のどちらかにより特性付けられる抗腫瘍細菌製品のクラスである。典型的なエンジイン類は、カリケアマイシン、エスペラミシン、およびダイネミシンを含むが、それらに限定されない。カリケアマイシンは、土壌生物ミクロモノスポラ・エキノスポラ亜種カリケンシス(Micromonospora echinospora ssp. calichensis)からの天然生成物として最初に単離されたエンジイン系抗生物質であり(Zein et al. Science 27;240(4856):1198-1201, 1988);それは標的細胞において二本鎖DNAの破断を生成し、続いてアポトーシスを誘導する(Zein et al. Science 27;240(4856):1198-1201, 1988; Nicolaou et al. Chem. Biol. Sep;1(1):57-66, 1994; Prokop et al. Oncogene 22:9107-9120, 2003)。
本発明の一部の側面において、細胞毒性剤は、抗生物質、例えばカリケアマイシン(LL−E33288錯体とも呼ばれる)、例えばβ−カリケアマイシン、γ−カリケアマイシンまたはN−アセチル−γ−カリケアマイシン(ガンマ−カリケアマイシン(γ1))である。本発明における使用に適したカリケアマイシン類の例は、例えば、米国特許第4,671,958号、第4,970,198号、第5,053,394号、第5,037,651号、第5,079,233号および第5,108,912号において開示されており、それは参照により本明細書にそのまま援用される。これらの化合物は、適切なチオール類と反応してジスルフィドを形成し、同時に官能基、例えばヒドラジドまたはカリケアマイシンを抗EFNA4抗体にコンジュゲートさせるために有用である他の官能基を導入することができるメチルトリスルフィドを含有する。カリケアマイシンのジスルフィド類似体、例えば米国特許第5,606,040号および第5,770,710号において記載されている類似体が用いられることもでき、それは参照により本明細書にそのまま援用される。本発明の一部の側面において、ジスルフィド類似体は、N−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジド(以下“CM”)である。
ゲルダナマイシンは、Hsp90(熱ショックタンパク質90)に結合するベンゾキノンアンサマイシン系抗生物質であり、抗腫瘍薬として用いられてきた。典型的なゲルダナマイシン類は、17−AAG(17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン)および17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン)を含むが、それらに限定されない。
メイタンシン類またはそれらの誘導体であるメイタンシノイド類は、有糸分裂の間に微小管の形成をチューブリンの重合の阻害により阻害することにより、細胞の増殖を阻害する。Remillard et al., Science 189:1002-1005, 1975を参照。典型的なメイタンシン類およびメイタンシノイド類は、メルタンシン(DM1)およびその誘導体ならびにアンサミトシンを含むが、それらに限定されない。
タキサン類は、抗チューブリン剤または有糸分裂阻害剤として作用する。典型的なタキサン類は、パクリタキセル(例えばTAXOL(登録商標))およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
ビンカアルカロイド類も、抗チューブリン剤である。典型的なビンカアルカロイド類は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンを含むが、それらに限定されない。
本発明の一部の側面において、薬剤は、免疫調節剤である。免疫調節剤の例は、ガンシクロビル、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、グルココルチコイドおよびその類似体、サイトカイン類、キサンチン類、幹細胞増殖因子、リンホトキシン類、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、インターロイキン類(例えば、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、およびIL−21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン類(例えば、インターフェロン−α、−βおよび−γ)、“S1因子”と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリスロポエチンおよびトロンボポエチン、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
本発明において有用な免疫調節剤は、腫瘍に対するホルモンの作用を遮断する抗ホルモン薬、およびサイトカイン産生を抑制し、自己抗原の発現を下方制御し、またはMHC抗原を覆い隠す免疫抑制剤も含む。代表的な抗ホルモン薬は、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール類、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン(keoxifene)、LY 117018、オナプリストン、およびトレミフェンを含む抗エストロゲン薬;ならびに抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;ならびに抗副腎剤(anti−adrenal agents)を含む。代表的な免疫抑制剤は、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン類、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHC断片に関する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、ステロイド類、例えば糖質コルチコステロイド類、サイトカインまたはサイトカイン受容体拮抗薬(例えば、抗インターフェロン抗体、抗IL10抗体、抗TNFα抗体、抗IL2抗体)、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞受容体、T細胞受容体断片、およびT細胞受容体抗体を含む。
本発明の一部の側面において、薬物は、毒素、ホルモン、酵素、および増殖因子を含むがそれらに限定されない療法的タンパク質である。
毒素タンパク質(またはポリペプチド)の例は、ジフテリア(例えばジフテリアA鎖)、シュードモナス属の外毒素および内毒素、リシン(例えばリシンA鎖)、アブリン(例えばアブリンA鎖)、モデッシン(例えばモデッシンA鎖)、アルファ−サルシン、アレウリテス・フォルディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、スタフィロコッカス属の腸毒素A、ヨウシュヤマゴボウの抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア(diphtherin)毒素、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、モモルディカ・カランティア(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス阻害剤、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、トリコテセン類、阻害剤シスチンノット(ICK)ペプチド(例えばセラトトキシン類(ceratotoxins))、ならびにコノトキシン(例えばKIIIAまたはSmIIIa)を含むが、それらに限定されない。
ホルモンの例は、エストロゲン類、アンドロゲン類、プロゲスチン類およびコルチコステロイド類を含むが、それらに限定されない。
本発明の一部の側面において、細胞毒性薬剤は、リポソームまたは生体適合性ポリマーを用いて作られることができる。本明細書で記載されるような抗EFNA4抗体は、血清半減期および生理活性を増大させるために、および/またはインビボでの半減期を延長するために、生体適合性ポリマーにコンジュゲートさせることができる。生体適合性ポリマーの例は、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体および双性イオン含有生体適合性ポリマー(例えばホスホリルコリン含有ポリマー)を含む。
本発明の一部の側面において、薬物は、オリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
本発明において有用な追加の薬物は、血管形成を阻害する抗血管新生剤、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、VEGF阻害剤、bFGF阻害剤、ステロイドスルファターゼ阻害剤(例えば2−メトキシエストラジオールビス−スルファメート(2−MeOE2bisMATE))、インターロイキン−24、トロンボスポンジン、メタロスポンジンタンパク質、クラスIインターフェロン類、インターロイキン12、プロタミン、アンジオスタチン、ラミニン、エンドスタチン、およびプロラクチン断片を含む。
抗増殖剤およびアポトーシス促進剤は、PPAR−ガンマの活性化物質(例えばシクロペンテノンプロスタグランジン類(cyPG))、レチノイド類、トリテルペノイド類(例えばシクロアルタン、ルパン、ウルサン、オレアナン、フリーデラン(friedelane)、ダンマラン、ククルビタシン、およびリモノイドトリテルペノイド類)、EGF受容体(例えばHER4)の阻害剤、ラパマイシン、CALCITRIOL(登録商標)(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD))、アロマターゼ阻害剤(FEMARA(登録商標)(レトロゾン(letrozone)))、テロメラーゼ阻害剤、鉄キレート剤(例えば3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(トリアピン))、アポプチン(ニワトリ貧血ウイルスからのウイルスタンパク質3−VP3)、Bcl−2およびBcl−X(L)の阻害剤、TNF−アルファ、FASリガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL/Apo2L)、TNF−アルファ/FASリガンド/TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL/Apo2L)シグナル伝達の活性化物質、ならびにPI3K−Akt生存経路シグナル伝達の阻害剤(例えばUCN−01およびゲルダナマイシン)を含む。
代表的な化学療法剤は、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート類、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン類、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ;エチレンイミン類およびメチルアメラミン類(methylamelamines)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミンを含む);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン類、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルチノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ぺプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−EU;アンドロゲン類、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(Ara−C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ニュージャージー州プリンストンのBristol−Myers Squibb Oncology)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、フランス、アントニーのRhone−Poulenc Rorer);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン類;ならびにカペシタビンを含む。
本発明に従って用いられることができる追加の療法剤は、光力学療法のための光増感剤、例えば参照により本明細書にそのまま援用される米国公開第20020197262号および米国特許第5,952,329号;温熱療法のための磁性粒子、例えば参照により本明細書にそのまま援用される米国公開第20030032995号;結合剤、例えばペプチド、リガンド、細胞接着リガンド等、ならびにより活性な細胞毒性遊離薬物に変換されることができるプロドラッグ、例えばホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは置換フェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグを含む。
抗EFNA4抗体を用いる診断法に関して、薬物は、EFNA4発現細胞の存在をインビトロまたはインビボで検出するために用いられる検出可能な標識を含むことができる。インビボで検出可能である放射性同位体、例えばシンチグラフィー、磁気共鳴画像化、または超音波を用いて検出可能であるそれらの標識は、臨床診断適用において用いられることができる。有用なシンチグラフィー標識は、陽電子放出体およびγ放出体を含む。磁気共鳴画像化のための代表的な造影剤は、常磁性または超常磁性イオン(例えば、鉄、銅、マンガン、クロム、エルビウム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびガドリニウム)、酸化鉄粒子、および水溶性造影剤である。超音波検出に関して、ガスまたは液体が、多孔性の無機粒子中に捕捉されることができ、それは微小な泡の造影剤として放出される。インビトロ検出に関して、有用な検出可能な標識は、蛍光体、検出可能なエピトープまたは結合剤、および放射性標識を含む。
従って、本発明の一部の側面において、薬物は、画像化剤(例えば蛍光体またはPET(陽電子放射断層撮影)標識、SPECT(単一光子放射コンピューター断層撮影)標識)、またはMRI(磁気共鳴画像化)標識である。
用語“標識”は、本明細書で用いられる際、“標識された”抗体を生成するように抗体に直接または間接的にコンジュゲートされている検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体が検出可能であることができ(例えば放射性同位体標識または蛍光標識)、または、酵素標識の場合、検出可能である基質化合物または組成物の化学変化を触媒することができる。検出可能な標識の役目を果たすことができる放射性核種は、例えばI−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、およびPd−109を含む。標識は、検出不能な実体、例えば毒素であることもできるであろう。
蛍光体の例は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば5−FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば5−FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えばAlexa 350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば5−TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、およびスルホローダミン(SR)(例えばSR101)を含むが、それらに限定されない。
療法用または診断用放射性同位体または他の標識(例えばPETまたはSPECT標識)が、本明細書で記載されるような抗EFNA4抗体へのコンジュゲーションのために薬剤中に組み込まれることができる。同位体は、抗体に直接、例えば抗体中に存在するシステイン残基において結合させることができ、または抗体および放射性同位体の結合を媒介するためにキレーターが用いられることができる。放射線療法に適した放射性同位体は、α−放出体、β−放出体、およびオージェ電子を含むが、それらに限定されない。診断適用に関して、有用な放射性同位体は、陽電子放出体およびγ−放出体を含む。本発明の抗EFNA4抗体は、さらに、抗体の検出または療法作用を促進するために、例えば抗体のチロシン残基上でヨウ素化されることができる。
放射性同位体または他の標識の例は、3H、11C、13N、14C、15N、15O、35S、18F、32P、33P、47Sc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、76Br、77Br、86Y、89Zr、90Y、94Tc、95Ru、97Ru、99Tc、103Ru、105Rh、105Ru、107Hg、109Pd、111Ag、111In、113In、121Te、122Te、123I、124I、125I、125Te、126I、131I、131In、133I、142Pr、143Pr、153Pb、153Sm、161Tb、165Tm、166Dy、166H、167Tm、168Tm、169Yb、177Lu、186Re、188Re、189Re、197Pt、198Au、199Au、201Tl、203Hg、211At、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、224Ac、および225Acを含むが、それらに限定されない。
II.D.EFNA4抗体−薬物コンジュゲートを調製する方法
本発明の抗体−薬物コンジュゲートを調製するための方法も、提供される。例えば、本明細書で開示されるようなEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを生成するためのプロセスは、(a)リンカーを薬物部分に連結し;(b)そのリンカー−薬物部分を抗体にコンジュゲートさせ;そして(c)その抗体−薬物コンジュゲートを精製することを含むことができる。
一例において、式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲートは、(a)リンカー−薬物部分(例えばAcBut−CM)を抗EFNA4抗体またはその抗原結合断片に添加し、ここで抗体の濃度は、1〜25mg/mlの範囲であることができ、リンカー−薬物部分は、約1〜15対1の抗EFNA4抗体の範囲のモル比であり;(b)リンカー−薬物部分および抗EFNA4抗体を、非求核性、タンパク質適合性の約7〜9の範囲のpHを有する緩衝溶液中でインキュベートして単量体性抗体−薬物コンジュゲートを生成し、ここで、その溶液は、さらに(i)適切な有機性共溶媒、および(ii)少なくとも1種類のC6〜C18カルボン酸またはその塩を有する添加剤を含有し、ここで、そのインキュベーションは、約0℃〜約45℃の範囲の温度で、約1分間〜約24時間の範囲の期間の間実施され;そして(c)工程(b)において生成されたコンジュゲートに、DAR1〜12を有する抗体−薬物コンジュゲートを分離するためのクロマトグラフィー分離プロセスを施すことにより調製されることができ;未コンジュゲート抗EFNA4抗体、リンカー−薬物部分、および凝集したコンジュゲートからの10%未満の低コンジュゲート率(low conjugated fraction)(LCF)を提供する。
本発明の一部の側面において、リンカー−薬物部分が、抗EFNA4抗体に添加され、ここで、抗体は約.01〜約1mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約1〜約2mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約2〜約3mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約3〜約4mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約4〜約5mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約5〜約6mg/の濃度を有し、またはここで抗体は約6〜約7mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約7〜約8mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約8〜約9mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約9〜約10mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約10〜約11mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約11〜約12mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約12〜約13mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約13〜約14mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約14〜約15mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約15〜約16mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約16〜約17mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約17〜約18mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約18〜約19mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約19〜約20mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約20〜約21mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約21〜約22mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約22〜約23mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約23〜約24mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約24〜約25mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は約10mg/mlの濃度を有し、またはここで抗体は10mg/ml未満の濃度を有する。前記の抗体の範囲で用いられる場合、用語“約”は、+/−0.5mg/mlを意味する。
本発明の一部の側面において、リンカー−薬物部分が、抗EFNA4抗体に添加され、ここで、リンカー−薬物部分対抗EFNA4抗体は、2〜3対1のモル比、または3〜4対1のモル比、または4〜5対1のモル比、または5〜6対1のモル比、または6〜7対1のモル比、または7〜8対1のモル比、または8〜9対1のモル比、または9〜10対1のモル比、または10〜11対1のモル比、または11〜12対1のモル比、または12〜13対1のモル比、または13〜14対1のモル比、または14〜15対1のモル比である。本発明の一部の側面において、リンカー−薬物部分は、抗EFNA4抗体に、約4〜4.5対1のモル比で添加され、それにより望ましくないより高いDARの抗体−薬物コンジュゲートを減少させる。例えば、リンカー−薬物部分は、抗EFNA4抗体に、約4〜4.5対1のモル比で添加される。未コンジュゲート抗体、低いDARおよび高いDARの抗体−薬物コンジュゲートを低減するために、リンカー−薬物部分対抗体の他の範囲が用いられることもできる。
本発明の一部の側面において、リンカー−薬物部分が、抗EFNA4抗体に添加され、ここで薬物は抗EFNA4抗体の約2重量%〜約3重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の約3重量%〜約4重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の約4重量%〜約5重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の約5重量%〜約6重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の約6重量%〜約7重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の約7重量%〜約8重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の約重量8%〜約9重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の約9重量%〜約10重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の約10重量%〜約11重量%である。前記のリンカー−薬物部分対抗体(重量により5)の範囲で用いられる場合、用語“約”は、+/−0.5%を意味する。
本発明の一部の側面において、リンカー−薬物部分が、抗EFNA4抗体に添加され、ここで薬物は抗EFNA4抗体の2重量%〜3重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の3重量%〜4重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の4重量%〜5重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の5重量%〜6重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の6重量%〜7重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の7重量%〜8重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の8重量%〜9重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の9重量%〜10重量%であり、またはここで薬物は抗EFNA4抗体の10重量%〜11%重量%である。
本発明の一部の側面において、上記の工程(b)(ii)において記載されているインキュベーションは、約0℃〜約5℃の範囲の温度で、または約0℃〜約4℃の範囲の温度で、または約5℃〜約10℃の範囲の温度で、または約10℃〜約15℃の範囲の温度で、または約15℃〜約20℃の範囲の温度で、または約20℃〜約25℃の範囲の温度で、または約25℃〜約30℃の範囲の温度で、または約30℃〜約35℃の範囲の温度で、または約35℃〜約40℃の範囲の温度で、または約40℃〜約45℃の範囲の温度で実施される。前記の温度範囲で用いられる際、用語“約”は、+/−1℃を意味する。
本発明の一部の側面において、上記の工程(b)(ii)において記載されているインキュベーションを、コンジュゲーション反応の少なくとも約50%の完了、例えば少なくとも約60%の完了、少なくとも約70%の完了、少なくとも約80%の完了、少なくとも約90%の完了、少なくとも約95%の完了、または少なくとも約99%の完了のために十分な時間の間進行させる。従って、反応を、少なくとも約1分間〜約5分間進行させることができる。より長い時間も、コンジュゲートの凝集が受け入れられるレベルのままである限り、許容可能である。本発明の一部の側面において、反応は、約1分間でほぼ完了しており、その短い期間は、先行する方法を越える向上である。
本発明の一部の側面において、上記の工程(c)において、上記の工程(b)の抗体−薬物コンジュゲートは、約1〜約12の範囲の平均DAR、例えば約2〜約4の範囲の平均DAR、または約3〜約5の範囲の平均DAR、または約4〜約6の範囲の平均DAR、または約5〜約7の範囲の平均DAR、または約6〜約8の範囲の平均DAR、または約7〜約9の範囲の平均DAR、または約8〜約10の範囲の平均DAR、または約9〜約11の範囲の平均DARを有する抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチおよび/または配合物を選択するためのクロマトグラフィー分離プロセスを施される。一部の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチおよび/または配合物は、約1の平均DAR、または約2の平均DAR、約3の平均DAR、または約4の平均DAR、または約5の平均DAR、または約6の平均DAR、または約7の平均DAR、または約8の平均DAR、または約9の平均DAR、または約10の平均DAR、または約11の平均DARを有することができる。前記の平均DARの範囲で用いられる際、用語“約”は、+/−0.5%を意味する。
一部の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチおよび/または配合物は、約3〜約5の範囲の平均DAR、約3〜約4の範囲の平均DAR、または約4〜約5の範囲の平均DARを有することができる。
一部の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチおよび/または配合物は、3〜5の範囲の平均DAR、3〜4の範囲の平均DAR、または4〜5の範囲の平均DARを有することができる。
一部の側面において、抗体−薬物コンジュゲートは、約3.0の平均DAR、または3.0の平均DAR、または3.1の平均DAR、または3.2の平均DAR、または3.3の平均DAR、または3.4の平均DAR、または3.5の平均DAR、または3.6の平均DAR、または3.7の平均DAR、または3.8の平均DAR、または3.9の平均DARを有する。本発明の別の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチおよび/または配合物は、約4.0の平均DAR、または4.0の平均DAR、または4の平均DAR、または4.1の平均DAR、または4.2の平均DAR、または4.3の平均DAR、または4.4の平均DAR、または4.5の平均DAR、または4.6の平均DAR、または4.7の平均DAR、または4.8の平均DAR、または4.9の平均DAR、または5.0の平均DARにより特性付けられることができる。
本発明の別の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチおよび/または配合物は、12以下の平均DAR、11以下の平均DAR、10以下の平均DAR、9以下の平均DAR、8以下の平均DAR、7以下の平均DAR、6以下の平均DAR、5以下の平均DAR、4以下の平均DAR、3以下の平均DAR、2以下の平均DAR、または1以下の平均DARにより特性付けられることができる。
本発明の他の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチおよび/または配合物は、11.5以下の平均DAR、10.5以下の平均DAR、9.5以下の平均DAR、8.5以下の平均DAR、7.5以下の平均DAR、6.5以下の平均DAR、5.5以下の平均DAR、4.5以下の平均DAR、3.5以下の平均DAR、2.5以下の平均DAR、1.5以下の平均DARにより特性付けられることができる。
本発明の一部の側面において、上記の工程(c)において、上記の工程(b)の抗体−薬物コンジュゲートは、薬物の重量により約2%〜約10%の範囲の装填、例えば薬物の重量により約2%〜約4%の範囲の装填、または薬物の重量により約3%〜約5%の範囲の装填、または薬物の重量により約4%〜約6%の範囲の装填、または薬物の重量により約5%〜約7%の範囲の装填、または薬物の重量により約6%〜約8%の範囲の装填、または薬物の重量により約7%〜約9%の範囲の装填、または薬物の重量により約8%〜約10%の範囲の装填を有する抗体−薬物コンジュゲートを選択するためのクロマトグラフィー選択プロセスを施される。前記の薬物装填の範囲で用いられる際、用語“約”は、+/−0.5%を意味する。
本発明の一部の側面において、上記の工程(c)において、上記の工程(b)の抗体−薬物コンジュゲートは、約10%未満、例えば10%未満、または約9%未満、または9%未満、または約8%未満、または8%未満、または約7%未満、または7%未満、または約6%未満、または6%未満、または約5%未満、または5%未満、または約4%未満、または4%未満、または約3%未満、または3%未満、または約2%未満、または2%未満、または約1%未満、または1%未満、または0%の低コンジュゲート率(LCF)を有する抗体−薬物コンジュゲートを選択するために、クロマトグラフィー分離を施される。本発明の一部の側面において、0%より上のLCFが意図されているが、10%未満が望ましい。LCFの前記の記載において、用語“約”は、示された百分率の+/−0.5%を意味する。本発明の一部の側面において、例えばリンカー−薬物部分の混合している渦の中央部分中への添加により部分的に達成されるような、高度な撹拌および激しい混合が、リンカー−薬物部分の添加の間に実施され、それは低未コンジュゲート率の達成において役に立ち、それは先行する方法を超える向上である。
本発明の文脈において、モノマー性抗体−薬物コンジュゲートは、抗体の著しい凝集を伴わずにあらゆる数の薬物分子に連結またはコンジュゲートされた単一の抗体を指す。未コンジュゲート抗体または著しく低いコンジュゲートの(under−conjugated)抗体を有する所与の集団中の抗体の百分率は、低コンジュゲート率と呼ばれる。凝集した形態とは対照的なコンジュゲートの単量体形態は、重要な療法的価値を有し、LCFの最小化および凝集の実質的な低減は、LCFがより高度にコンジュゲートした比率(more highly conjugated fraction)(HCF)と競合するのを防ぐことにより、結果として抗体出発物質の療法的に意味のある方式での利用をもたらす。
カリケアマイシン類を含む多くの薬物の疎水性の性質は、結果として抗体−薬物コンジュゲートの凝集をもたらし得る。より高い薬物コンジュゲート(低減したLCF)および減少した凝集を有する単量体性抗体−薬物コンジュゲートを製造するために、コンジュゲーション反応は、(i)共溶媒としてのエタノールおよび(ii)少なくとも1種類のC6〜C18カルボン酸またはその塩を有する添加剤を含有する非求核性、タンパク質適合性の緩衝溶液中で実施されることができる。他のタンパク質適合性有機性共溶媒、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、DMFおよびDMSOが用いられることもできる。有機性共溶媒の一部または全部は、薬物をコンジュゲーション混合物中に移すために用いられる。有用なC6〜C18カルボン酸は、デカン酸、オクタン酸もしくはカプリル酸、またはその塩類を含む。本発明の一側面において、カルボン酸は、デカン酸、または対応する塩類、例えばデカン酸ナトリウムである。少なくとも1種類のC6〜C18カルボン酸またはその塩を有する添加剤の代表的な量は、20mM〜100mM、例えば30mM〜90mM、または約40mM〜80mM、または約40mM〜50mMの範囲である。C6〜C18カルボン酸またはその塩の濃度は、150〜300mMまで増大することができ、共溶媒の濃度は1〜10%まで下げられることができる。N−ヒドロキシスクシンイミド(OSu)エステルまたは他の比較可能なほどに活性化されたエステルを用いた抗体−薬物コンジュゲートの調製のための有用な緩衝剤は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)およびN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES緩衝剤)を含む。コンジュゲーション反応において用いられる緩衝溶液は、遊離のアミンおよび求核種を実質的に欠いているべきである。別のアプローチとして、コンジュゲーション反応は、t−ブタノールを含有し、追加の添加剤を含まない、非求核性、タンパク質適合性の緩衝溶液中で実施されることができる。例えば、米国特許第5,712,374号および第5,714,586号を参照、それは参照により本明細書にそのまま援用される。コンジュゲーションのための追加の方法およびカリケアマイシン含有コンジュゲートは、米国特許第5,739,116号および第5,877,296号において記載されており、それは参照により本明細書にそのまま援用される。
コンジュゲートの形成に関する最適な反応条件は、温度、pH、リンカー−カリケアマイシン部分の入力、および添加剤の濃度のような反応変数の変動により経験的に決定されることができる。他の薬物のコンジュゲーションに適した条件は、当業者により、過度の実験操作なしで決定されることができる。
抗体−薬物コンジュゲートを調製するための他の方法は、様々な刊行物において記載されてきた。例えば、化学修飾が、抗体において、リジン側鎖のアミンにより、またはコンジュゲーション反応が起こるために鎖間ジスルフィド結合を還元することにより活性化されたシステインのスルフヒドリル基により(どちらでもよい)なされることができる。例えば、Tanaka et al., FEBS Letters 579:2092-2096, 2005およびGentle et al., Bioconjugate Chem. 15:658-663, 2004を参照。定められた化学量論を有する特定の薬物コンジュゲーションに関する抗体の特定の部位において操作された反応性システイン残基も、記載されてきた。例えば、Junutula et al., Nature Biotechnology, 26:925-932, 2008を参照。トランスグルタミナーゼおよびアミン(例えば反応性アミンを有する、またはそれに結合した細胞毒性剤)の存在下でのポリペプチド操作により反応性にされたアシル供与体グルタミン含有タグまたは内在性のグルタミン(すなわち、アシル供与体として共有結合を形成する能力)を用いたコンジュゲーションも、PCT国際公開第2012/059882号において記載されている。
抗体−薬物コンジュゲートあたりの薬物分子の数をさらに増大させるために、薬物は、直鎖または分枝状ポリエチレングリコールポリマーおよびモノマーを含むポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートされることができる。PEG単量体は、式:−(CH2CH2O)−のものである。薬物および/またはペプチド類似体は、PEGに直接または間接的に、すなわち適切なスペーサー基、例えば糖類を通して結合していることができる。PEG−抗体−薬物組成物は、インビボでの薬物安定性および標的部位への送達を促進するために、追加の親油性および/または親水性部分を含んでいることもできる。PEG含有組成物を調製するための代表的な方法は、取り分け米国特許第6,461,603号;第6,309,633号;および第5,648,095号において見付けられることができる。
例えば、抗体−カリケアマイシンコンジュゲート中のカリケアマイシンの量を増大させるために、抗体は、カリケアマイシンとのコンジュゲーションの前に、例えばPEG−SPA、PEG−SBA、またはPEG−ビス−マレイミドを用いてPEGにコンジュゲートされる。PEGを用いて調製された抗体−薬物コンジュゲートは、標的抗原に関する低減した結合親和性を示す可能性があるが、なお増大した薬物装填の結果として有効である。
コンジュゲーションの後、上記の工程(c)のクロマトグラフィー分離において、コンジュゲートは、従来法により、未コンジュゲート反応物および/またはコンジュゲートの凝集形態から分離されることができる。これは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、限外濾過/透析濾過、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、クロマトフォーカシング(CF)HPLC、FPLC、またはSephacryl S−200クロマトグラフィーのようなプロセスを含むことができる。クロマトグラフィー分離は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって成し遂げられることもでき、それは、(1)LCF含有率ならびに凝集体を効率的に低減する能力;(2)大きい反応量への適応;および(3)生成物の最小限の希釈を含む、SECを越えるいくつかの利点を与える。適切なHIC媒体は、Phenyl Sepharose 6 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Butyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Octyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Toyopearl Ether−650Mクロマトグラフィー媒体、Macro−Prep methyl HIC媒体またはMacro−Prep t−Butyl HIC媒体を含む。
本発明の一部の側面において、クロマトグラフィー分離は、Butyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体を用いて実施される。実施例6において記載されるようなカスタマイズされた勾配を用いる場合、カラムに結合したままであるより高いDARの種が除去され、それは先行する方法を越える向上である。
一部の側面において、精製プロセスは、濃縮および配合のための、遠心分離細胞除去工程、場合によりプロテインA親和性捕捉工程、続いて1つまたは2つの直交する(orthogonal)クロマトグラフィー仕上げ工程、ウイルス濾過工程、および接線流濾過工程を含むことができる。
典型的な抗EFNA4−AcBut−CM抗体−薬物コンジュゲートの調製は、1モルの抗体あたり3〜5モルのCM、例えば抗体あたり3〜4モルのCM、または抗体あたり4〜5モルのCMを含有する、優勢に(約95%)コンジュゲートした抗体を含有する。インビボ研究において、薬物装填に関するこのモル範囲で調製されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、最小限の毒性を伴って非常に有効である。
EFNA4−AcBut−CM抗体−薬物コンジュゲートは、実験室規模(10〜200mg)において再現性よく調製されてきた。pg CM/mgモノクローナル抗体として表されるDARまたは薬物装填は、CM濃度(μg/mL)を抗体濃度(mg/mL)で割ることにより決定される。これらの値は、280nm(抗体)および310nm(カリケアマイシン)におけるコンジュゲート溶液のUV吸光度を測定することにより決定される。これは平均薬物装填であること、および実際の薬物装填はその平均薬物装填の値を中心とした準ガウス分布であること、すなわち抗体の一部は平均よりも高く装填されており、抗体の一部は平均よりも低く装填されていることを特筆することは、重要である。既知の抗体−カリケアマイシンコンジュゲート(例えばCMC−676およびCMC−544)と比較した場合、DAR分布が非常に狭く、(最も望ましい)3〜5DARの種が全体の約75%を構成する。未コンジュゲート抗体(低コンジュゲート率またはLCF)は、分析的HIC−HPLC(疎水性相互作用高性能液体クロマトグラフィー)を用いて測定されることができる。この値は、抗体上のCM分布の尺度であり、一般に投与されるCMの量に影響を及ぼさない。ELISAを用いて測定され得る未コンジュゲートCMは、抗体にコンジュゲートしていないCMの量を指し、総CMのパーセントとして表される。薬物装填アッセイは、未コンジュゲートCMおよびコンジュゲートしたCMを識別しない。未コンジュゲートCMの量は、薬物装填アッセイを用いる場合は検出不能であるか無視できるほどであり、従ってこれらのアッセイはコンジュゲートしたCMの量を有効に測定する。
ヒト化EFNA4−AcBut−CM抗体−薬物コンジュゲートの放出および安定性試験に関してアッセイするために、分析法が用いられることができる。コンジュゲートは、同一性(IEF)、強度(総タンパク質および総CM装填)、純度(未コンジュゲートCm、低コンジュゲート抗体、凝集体含有量および還元型SDS−PAGE)、および免疫親和性(抗原結合ELISA)に関して評価されることができる。当業者に既知の追加のアッセイが用いられることができる。これらのアッセイを用いて、バッチ間の一致性が商業的製造において維持されることができる。
III.EFNA抗体−薬物コンジュゲートの特性付けのための機能的アッセイ
本発明はさらに、EFNA結合活性、細胞表面上に存在するEFNA4抗原への結合後の細胞内在化、および対象中のEFNA4発現細胞に対する標的化を含む、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの活性を特性付けるためのインビトロおよびインビボのアッセイを開示する。本発明の一部の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、抗体またはその抗原結合断片の側面を中和する、または枯渇させることにより特性付けられる。本発明の一部の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、代替の薬物の有効性の欠如と比較した場合の特定の薬物の予想外の有効性により特性付けられる。本発明の一部の側面において、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、その薬物と同じ作用様式を有する標準治療の療法剤より性能が優れていることとして特性付けられる。
EFNA4抗体−薬物コンジュゲートのEFNA4抗原または他のEFNA抗原への結合を検出するための技法は、当該技術で既知であり、例えばBIACORE(登録商標)アッセイを含む。追加の代表的な技法は、遠心分離、親和性クロマトグラフィーおよび他の免疫化学的方法を含む。例えば、Manson (1992) Immunochemical Protocols, Humana Press, 米国ニュージャージー州トトワ; Ishikawa (1999) Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassay, Elsevier, アムステルダム/ニューヨークを参照。抗原結合アッセイは、単離されたEFNA4抗原またはEFNA4発現細胞を用いて実施されることができる。
EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの結合特異性は、結合エピトープの定義、すなわち、抗原結合に参加する非隣接残基を含む残基の同定、および/または抗原結合に影響を及ぼす残基の定義によりさらに記載されることができる。
EFNA発現細胞によるEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの内在化は、EFNA発現細胞の表面に結合した抗体またはコンジュゲートの量を時間の経過にわたって観察することによりアッセイされることができる。選択されたEFNAリガンドまたはそれらのイソ型は、可溶性形態で存在することができ、少なくとも一部のEFNA4は、おそらく細胞表面と会合したままであり、それにより本明細書で開示される抗体の内在化を可能にする。従って、本発明の抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、EFNA4を発現する細胞により内在化されることができる。例えば、腫瘍開始細胞の表面上のEFNA4に結合する抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍開始細胞により内在化されることができる。
EFNA4抗体の内在化は、細胞がEFNA4抗体およびサポリン毒素にコンジュゲートしている二次抗体Fab断片と共にインキュベートされる機能的アッセイを用いて評価されることができる。次いで、細胞の生存度が、あらゆる適切な方法により、抗体内在化を示す細胞性細胞毒性を用いて測定される。実施例5を参照。
本発明の一部の側面において、開示されるEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの抗体、またはその抗原結合断片は、最も広い意味で用いられる際の“拮抗薬”、すなわち、本明細書で開示される天然の標的の生物学的活性またはその転写もしくは翻訳を部分的にまたは完全に遮断、阻害、または中和するあらゆる分子である。用語“阻害する”または“中和する”は、本明細書で本発明の抗体の生理活性に関して用いられる際、生物学的活性を含むがそれに限定されない阻害されているものの例えば進行または重症度に実質的に拮抗する、それを禁じる(prohibit)、予防する、抑制する、遅くする、混乱させる、排除する、停止する、低減する、または逆行させる抗体の能力を意味する。例えば、本発明の一部の側面において、抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、抗体−薬物コンジュゲートの内在化の際に細胞の殺傷を促進する。
より詳細には、中和抗体または中和性拮抗薬という用語は、EFNAリガンドに結合し、またはそれと相互作用し、リガンドのその結合パートナー(例えばEPHA受容体)への結合または会合を妨げ、それにより、そうでなければ分子の相互作用の結果もたらされていたであろう生物学的応答を阻止する抗体または拮抗薬を指す。EFNA4に関して、中和抗体または拮抗薬は、好ましくはEFNA4のEPHA4に結合する能力を少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%またはより大きく減少させるであろう。この減少した活性は、当該技術で認められている技法を直接用いて測定されることができ、またはそのような低減がEPHA4受容体活性に対して有するであろう影響により測定されることもできることは、理解されるであろう。
本発明の他の側面において、本発明の抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、枯渇化抗体(depleting antibodies)であることができる。枯渇化抗体という用語は、細胞表面上またはその付近のEFNA4に結合して、またはそれと会合して、(例えば補体依存性細胞傷害または抗体依存性細胞性細胞傷害により)細胞の死または排除を誘導、促進する、または引き起こす抗体を指す。好ましくは、枯渇化抗体は、定められた細胞集団中の腫瘍永続化細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%を除去する、排除する、または殺すことができるであろう。
機能的アッセイは、抗体−薬物コンジュゲートの抗癌活性、例えば、既存の癌細胞を破壊する能力、または癌細胞の増殖を遅くする、もしくは妨げる能力を評価するための方法も含む。本発明の抗体−薬物コンジュゲートにより標的化される癌は、癌腫ならびに造血器悪性疾患、例えば白血病およびリンパ腫を含め、対象中のあらゆる組織の原発および転移腫瘍および癌腫の両方を含む。
増殖阻害活性を有するEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、EFNA4発現細胞を排除する、またはEFNA発現癌細胞の増殖を予防もしくは低減することができる。細胞増殖阻害の迅速なインビトロ評価のための代表的な方法は、Jones et al. (2001) J. Immunol. Methods 254:85-98において記載されている。
EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、核DNA分解、核分解および凝縮、膜の完全性の喪失、および食作用により特性付けられる細胞死、例えばプログラム細胞死を誘導する能力を含むこともできる。細胞を評価するための代表的なアッセイは、Hoves et al. (2003) Methods 31:127-34; Peng et al. (2002) Chin. Med. Sci. J. 17:17-21; Yasuhara et al. (2003) J. Histochem. Cytochem. 51:873-885において記載されている。
例えば、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの細胞毒性をインビトロで評価するため、EFNA4発現癌細胞および対照細胞をEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの存在下で培養し、別に遊離薬物と共に培養する。それぞれの薬剤の細胞毒性は、ED50(ng/ml)として報告され、それは、未処理の対照と比較して細胞培養物の50%低減を引き起こすコンジュゲートとしてまたは遊離薬物として与えられた薬物の量である。培養物中の細胞の数は、薬物暴露後に生体染色色素(MTS)を用いて決定される。
EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの細胞毒性をインビボで評価するため、NOD/SCIDマウスにおいて様々な癌細胞の皮下注射により腫瘍が用意される。EFNA4抗体−薬物コンジュゲートおよび対照化合物は、例えば週2回2週間(q4dx4)の腹腔内注射により腫瘍を有するマウスに投与されることができる。測定可能な療法成績は、腫瘍細胞増殖の阻害を含む。実施例8参照。
さらに、本発明は、腫瘍開始細胞(TIC)を含む腫瘍細胞および/または関係する新生物の増殖、伝播または生存を、例えば抗EFNA4抗体または投与および送達の方法に応じて、選択された経路を作動させる、もしくはそれに拮抗する、または特定の細胞を排除することを含む様々な機序により、枯渇させる、静める、中和する、排除する、または阻害することができるEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを提供する。実施例9参照。
本明細書で用いられる際、腫瘍開始細胞(TIC)という用語は、腫瘍永続化細胞(TPC;すなわち、癌幹細胞またはCSC)および高増殖性腫瘍始原細胞(TProg)の両方を包含し、それは共に、一般にバルク腫瘍または塊の独特の亜集団(すなわち0.1〜40%)を含む。本開示の目的に関して、腫瘍永続化細胞および癌幹細胞という用語は均等であり、本明細書において互換的に用いられることができる。逆に、TPCは、それらが腫瘍内に存在する腫瘍細胞の組成を完全に再現し、少数の分離された細胞の累代移植(マウスを通した2回以上の継代)により実証されるような無限の自己再生能力を有することができる点で、TProgとは異なる。本明細書で用いられる際、用語“腫瘍開始細胞”は、様々な血液悪性疾患の癌幹細胞も指し、それは腫瘍自体によっては特性付けられない。
本発明は、腫瘍開始細胞(TIC)、および特に腫瘍永続化細胞(TPC)を標的とし、それにより新生物性障害および過剰増殖性障害の処置、管理または予防を促進するEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを提供する。より具体的には、特定の腫瘍細胞亜集団は、EFNA4を発現し、おそらく癌幹細胞の自己再生および細胞生存に重要なモルフォゲンシグナル伝達の局所的な協調を修正する。従って、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、対象への投与の際にTICの頻度を低減するために用いられることができる。腫瘍開始細胞の頻度における低減は、a)腫瘍開始細胞の排除、枯渇、高感度化、沈静化(silencing)もしくは阻害;b)腫瘍開始細胞の増殖、拡張もしくは再発を制御すること;c)腫瘍開始細胞の開始、伝播、維持、もしくは増殖を阻止すること;またはd)他の方法により、腫瘍形成細胞の生存、再生および/または転移を妨げることの結果として起こり得る。本発明の一部の側面において、腫瘍開始細胞の頻度における低減は、1以上の生理的経路における変化の結果として起こる。経路における変化は、腫瘍開始細胞の低減もしくは排除によるものであれ、またはそれらの可能性を改変すること(例えば誘導された分化、ニッチの混乱(niche disruption))もしくは腫瘍環境もしくは他の細胞に作用を及ぼすそれらの能力に他の方法で干渉することによるものであれ、今度は、腫瘍形成、腫瘍維持および/または転移および再発を阻害することにより、EFNA4関連障害のより有効な処置を可能にする。
腫瘍開始細胞の頻度におけるそのような低減を評価するために用いられることができる方法の中には、インビトロまたはインビボ(どちらでもよい)での限界希釈分析、好ましくは続いてポアソン分布統計を用いた数え上げまたはインビボもしくはインビボではなく腫瘍を生成する能力のような予め定められた決定的事象の頻度を評価することがある。周知のフローサイトメトリーまたは免疫組織化学的手段により頻度の値の低減を決定することも可能である。全ての前記の方法に関して、例えばDylla et al., PLoS ONE 3(6):e2428, 20082およびHoey et al, Cell Stem Cell 5:168-177, 2009を参照、そのそれぞれは、参照により本明細書にそのまま援用される。腫瘍開始細胞の頻度を計算するために用いられることができる、本発明と適合可能な他の方法は、定量化可能なフローサイトメトリーの技法および免疫組織化学染色手順を含む。代表的な方法は、実施例9において記載されている。
上記で言及された方法のいずれかを用いて、次いで、本明細書の教示に従って、開示されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートにより提供されるTIC(またはその中のTPC)の頻度の低減を定量化することが可能である。一部の例において、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、TICの頻度を、(排除、誘導された分化、ニッチの混乱、沈静化等を含む上記で特筆された様々な機序により)10%、15%、20%、25%、30%またはさらには35%低減することができる。本発明の他の側面において、TICの頻度における低減は、約40%、45%、50%、55%、60%または65%であることができる。本発明の特定の側面において、開示された化合物は、TICの頻度を70%、75%、80%、85%、90%またはさらに95%低減することができる。TICの頻度のあらゆる低減は、おそらく結果として新生物の腫瘍形成性、持続性、再発、侵攻性における対応する低減をもたらすことは、理解されるであろう。
集まりつつある証拠が、腫瘍の成長、療法への抵抗性、および障害の再燃がTPCにより制御されているという仮説を支持している。TPCの頻度は、腫瘍型において、または同じ腫瘍型を有する患者間で、障害の病期および/または腫瘍内の分化の程度の産物として異なり得る。TPCは、特定のタイプの癌を有する患者間でそれらの発現においてしばしば重複する細胞表面マーカーのパネル(panels)を用いて同定および富化され得る。TPCは、累代移植の際に腫瘍を開始するそれらの機能的能力により最もよく定められ、一方で非腫瘍形成(NTG)細胞は、これらの能力を欠いている。それらの独特の腫瘍開始能力に富む固形腫瘍細胞は、最初に乳癌において同定された;しかし、乳癌はある範囲の悪性病変を含む。現在までに、科学コミュニティは、特定のEPCの同一性を特定の障害の亜型と関連付けることができておらず、それは群をまたいだ、および群内の両方での矛盾した結果の基礎となっている可能性があり、臨床に対する橋渡しの失敗の可能性を増大させている可能性もある。
本発明は、TPCの富化を向上させる新規の細胞表面マーカーの組み合わせを提供する。特定の側面において、本発明は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)TPCの富化を促進する新規の細胞表面マーカーの組み合わせを提供する。本発明はさらに、TNBC中の新規のTPC関連療法標的としてのEFNA4の同定を提供し;その発現レベルは、他の乳癌亜型および正常組織中よりも有意に高い。
EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの薬物動態が、様々な動物において評価されることができ、未コンジュゲートカリケアマイシンの薬物動態と比較されることができる。例えば、これは、メスのNOD/SCIDマウス、オスのSprague−Dawleyラット、およびメスのカニクイザルにおける一回の静脈内大量瞬時投与後に行われることができる。EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの薬物動態は、一般に様々な種における低いクリアランス、低い分布の値、および長い見かけの終末相半減期により特性付けられる。未コンジュゲートカリケアマイシン誘導体の血清濃度は、定量化限界未満であることが予想される。1回量毒性範囲試験におけるこれらのコンジュゲートに関する毒性プロフィールは、比較可能な用量における他の抗体−カリケアマイシンコンジュゲートに関して得られる毒性プロフィールと類似していることが予想される。
“アポトーシスを誘導する”抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡大、細胞断片化、および/または膜小胞(アポトーシス小体と呼ばれる)の形成により決定されるようなプログラム細胞死を誘導する。細胞は、腫瘍細胞、例えば乳房、卵巣、結腸直腸、肝臓、および肺腫瘍細胞である。様々な方法が、アポトーシスと関係する細胞事象を評価するために利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)の転位置は、アネキシン結合により測定されることができ;DNAの断片化は、DNAのラダリングにより評価されることができ;そしてDNAの断片化に伴う核/クロマチンの凝縮は、低二倍体細胞におけるあらゆる増大により評価されることができる。
本明細書で用いられる際、“抗体依存性細胞媒介性細胞傷害”または“ADCC”は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす、細胞に媒介される反応を指す。対象の分子のADCC活性は、インビトロADCCアッセイ、例えば米国特許第5,500,362号または第5,821,337号において記載されているインビトロADCCアッセイを用いて評価されることができる。そのようなアッセイに関する有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびNK細胞を含む。あるいは、または加えて、対象の分子のADCC活性は、インビボで、例えば動物モデル、例えばClynes et al., PNAS (USA), 95:652-656 (1998)において開示されている動物モデルにおいて評価されることができる。
“補体依存性細胞傷害”または“CDC”は、補体の存在下での標的の溶解を指す。補体活性化経路は、補体系の第1成分(C1q)の同族抗原と複合体形成した分子(例えば抗体)への結合により開始される。補体活性化を評価するため、例えばGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods, 202: 163-171 (1997)において記載されているようなCDCアッセイが実施されることができる。
“ヒトエフェクター細胞”は、1以上のFcRを発現し、エフェクター機能を発揮する白血球である。その細胞は、FcγRIIIを発現し、抗原依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能を実行することができる。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、好酸球、および好中球を含むが、それらに限定されず、PBMCおよびNK細胞が好ましい。ADCC活性を有する抗体は、典型的にはIgG1またはIgG3イソ型のものである。そのようなADCC媒介性抗体は、非ADCC抗体からの可変領域または可変領域断片をIgG1もしくはIgG3イソ型の定常領域に対して操作することにより作製されることもできる。
IV.EFNA抗体−薬物コンジュゲートの使用
本発明の抗体および抗体−薬物コンジュゲートは、療法処置法および診断処置法を含むがそれらに限定されない様々な適用において有用である。
IV.A.インビトロ適用
本発明は、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートを用いるインビトロの方法を提供する。例えば、開示される抗体は、単独または細胞毒性薬剤もしくは他の薬物との組み合わせのどちらにおいても、EFNA陽性癌細胞に特異的に結合してそのような細胞を細胞試料から枯渇させるために用いられることができる。EFNA発現細胞をEFNA4抗体−薬物コンジュゲートと接触させることにより、アポトーシスおよび/または細胞増殖の阻害を誘導するための方法も、提供される。代表的なインビトロの方法は、本明細書において上記で“EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの特性付けのための機能的アッセイ”の見出しの下で記載されている。
本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、それらのEFNA4抗原に特異的に結合する能力に基づくインビトロでのEFNA陽性細胞の検出においても有用性を有する。EFNA発現細胞を検出するための方法は、以下の工程を含むことができる:(a)細胞を有する生物学的試料を調製し;(b)EFNA4抗体−薬物コンジュゲートをその生物学的試料とインビトロで接触させ、ここでその薬物は検出可能な標識であり;そして(c)EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの結合を検出する。
本明細書で開示されるEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍試料中の腫瘍開始細胞の頻度を低減するためにも有用である。例えば、その方法は、以下の工程:インビトロで腫瘍細胞集団(ここで、その集団は、腫瘍開始細胞および腫瘍開始細胞以外の腫瘍細胞を含む)をEFNA4抗体−薬物コンジュゲートと接触させ;それにより、その細胞集団中の腫瘍開始細胞の百分率が低減する;を含むことができる。本明細書で用いられる際、用語“腫瘍開始細胞”は、様々な血液悪性疾患の癌幹細胞も指し、それは腫瘍自体によって特性付けられない。代表的な腫瘍試料は、腫瘍細胞を含有するあらゆる生物学的試料または臨床試料、例えば、組織試料、生検、血液試料、血漿、唾液、尿、精液等を含む。代表的な方法は、実施例9において記載される。
IV.B.療法的適用
EFNA4関連障害は、乳癌、例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC);卵巣癌;結腸直腸癌;白血病、例えば慢性リンパ性白血病(CLL);肝臓癌、例えば肝細胞癌(HCC);ならびに肺癌、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌(SCLC)を含むが、それらに限定されない。
句“有効量”、“有効投与量”は、本明細書で用いられる際、あらゆる1以上の有益な、または所望の療法的結果を達成するために必要な薬物、化合物または医薬組成物の量を指す。予防的使用に関して、有益な結果または所望の結果は、障害の生化学的、組織学的および/または行動上の症状、障害の発現の間に存在するその合併症および中間的な病理学的表現型を含む、障害の危険性を排除もしくは低減すること、その重症度を低下させること、またはその開始を遅らせることを含む。療法的使用に関して、有益な結果または所望の結果は、患者の様々なEFNA4関連障害の1以上の症状の発生率の低減もしくは改善、障害を処置するために必要とされる他の薬物療法の用量の減少、別の薬物療法の作用の増進、および/またはEFNA4関連障害の進行の遅延のような臨床的結果を含む。
一側面において、本発明は、対象におけるEFNA4発現と関係する障害を処置するための方法を提供する。本発明は、対象におけるEFNA4発現と関係する障害を処置するための方法における使用のための、本明細書で記載されるような抗体−薬物コンジュゲートまたは医薬組成物も提供する。本発明はさらに、対象におけるEFNA4発現と関係する障害を処置するための医薬品の製造における、本明細書で記載されるような抗体−薬物コンジュゲートまたは医薬組成物の使用を提供する。
本発明の一部の側面において、対象におけるEFNA4発現と関係する障害を処置する方法は、それを必要とする対象に、本明細書で記載されるようなEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを有する有効量の組成物(例えば医薬組成物)を投与することを含む。EFNA4発現と関係する障害は、異常なEFNA4発現、変化した、または異所性EFNA4発現、EFNA4過剰発現、および増殖性障害(例えば癌)を含むが、それらに限定されない。
本発明の一側面において、障害は、以下の癌を含むがそれらに限定されない癌である:中皮腫、肝胆管(肝臓および胆管)、肝細胞癌、原発性または二次CNS腫瘍、原発性または二次脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部の癌、黒色腫、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、胃腸癌(胃癌、結腸直腸癌、および十二指腸癌)、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頚部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、慢性もしくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓もしくは尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキン性リンパ腫、脊椎軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または本明細書で開示された癌の1種類以上の組み合わせ。
本発明の特定の側面において、抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲートを用いた標的化に適した癌は、EFNA4を発現している原発癌および転移癌、例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)を含む乳癌;卵巣癌;結腸直腸癌;白血病、例えば慢性リンパ性白血病(CLL);肝臓癌、例えば肝細胞癌(HCC);ならびに肺癌、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌(SCLC)を含む。本発明の一部の側面において、EFNA4発現腫瘍を有する対象において腫瘍の成長または進行を阻害する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で記載されたようなEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを有する有効量の組成物を投与することを含む方法が提供される。本発明の他の側面において、対象においてEFNA4発現癌細胞の転移を阻害する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で記載されたようなEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを有する有効量の組成物を投与することを含む方法が提供される。本発明の他の側面において、対象においてEFNA4発現腫瘍の後退を誘導する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で記載されたようなEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを有する有効量の組成物を投与することを含む方法が提供される。他の側面において、本発明は、上記のような方法における使用のための、本明細書で記載されたような抗体−薬物コンジュゲートまたは医薬組成物を提供する。他の側面において、本発明は、上記の方法における使用のための医薬品の製造における、本明細書で記載されたような抗体−薬物コンジュゲートまたは医薬組成物の使用を提供する。
従って、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを用いて処置されるべき患者は、バルク腫瘍試料のmRNA(qPCR)およびEFNA4抗原の高められた発現を含むがそれらに限定されないバイオマーカー発現に基づいて選択されることができ、それは結果として、腫瘍の由来または組織学ではなく富化された標的発現に関して選択された患者集団をもたらす。標的発現は、細胞染色の強度と組み合わせられた細胞染色の数の関数として測定されることができる。例えば、EFNA4の高発現の分類は、免疫組織化学染色により試験された細胞の30%より多く(すなわち40%、50%または60%)が(1〜4の尺度における)3+のレベルでEFNA4に関して陽性である患者を含み、一方でEFNA4の中程度の発現は、細胞の20%より多くが1+〜2+で染色される患者を含むことができる。標的発現は、本明細書で記載されたような腫瘍開始細胞(TIC)上のEFNA発現を検出することにより測定されることもできる。
TNBCにおけるEFNA4の発現は、それが他の乳癌亜型および正常組織におけるよりも高いため、特異的である。一般に、EFNA4のより低い発現レベルを有する腫瘍は、低クローディンTNBCの分子署名を示し、それは、患者選択戦略に関するその分類の可能性のある解釈の妥当性(translational relevance)を示唆している。本発明は、EFNA4の増大した発現を有する患者の選択および本明細書で開示されたEFNA4 ADCを用いた患者の処置を提供する。さらに、乳癌、卵巣癌および肝細胞癌におけるEFNA4のコピー数の増加およびmRNAレベルの増加は、EFNA4の過剰発現に関する遺伝学的基礎を決定するために適切であり、患者選択戦略において用いられることができる。本発明はさらに、EFNA4のコピー数の増大を有する患者の選択および本明細書で開示されたEFNA4 ADCを用いた患者の処置を提供する。本発明はさらに、EFNA4のmRNAレベルの増大を有する患者の選択および本明細書で開示されたEFNA4 ADCを用いた患者の処置を提供する。
EFNA4の発現以外のバイオマーカーも、例えば多剤耐性(MDR)に基づく腫瘍の特性付けを含め、患者の選択のために用いられることができる。ヒトの癌のほぼ50%は、化学療法に完全に耐性であるか、または一過性にしか応答せず、その後それらはもはや一般的に用いられる抗癌薬による影響を受けないかのどちらかである。この現象はMDRと呼ばれ、一部の腫瘍型により生得的に発現され、一方で他の腫瘍型は化学療法処置への暴露後にMDRを獲得する。薬物排出ポンプであるP−糖タンパク質は、細胞毒性化学療法と関係するMDRの大部分を媒介している。癌患者の腫瘍標本中に存在するMDR機序の表現型および機能分析が、特定のMDRの機序(単数または複数)を特定の腫瘍型における化学療法への耐性と関連付けるために実施されることができる。
本発明は、TNBC TPCが、ESA+CD46+CD324+細胞間で著しく富化されているが、CD324−対応物においては富化されていないことを提供する。本発明はさらに、ESAおよび/またはCD46および/またはCD324の、本明細書で開示されるEFNA4 ADCを用いて患者を選択する、および患者を処置するためのマーカーとしての使用を提供する。本発明はさらに、ESAおよび/またはCD46および/またはCD324の、本明細書で開示されるEFNA4 ADCを用いてTNBCの患者を選択する、および患者を処置するためのマーカーとしての使用を提供する。
癌の成長または異常増殖は、より発達した癌の形態または障害の状態への細胞内の変化を示唆するいくつかの指標のいずれか1つを指す。癌細胞または非新生物性増殖性障害の細胞の増殖の阻害は、当該技術で既知の方法、例えば遅延した腫瘍成長および転移の阻害によりアッセイされることができる。癌の成長の阻害を測定するための他の指標は、癌細胞生存における減少、(例えば、コンピューター断層撮影(CT)、超音波検査、または他の画像化法を用いて決定されるような)腫瘍体積または形態における減少、腫瘍脈管系の破壊、遅延型過敏性皮膚試験における向上した性能、細胞傷害性Tリンパ球の活性における増大、および腫瘍特異的抗原のレベルにおける低下を含む。
開示された療法的方法の所望の結果は、一般に対照またはベースライン測定と比較した場合の定量化可能な尺度である。本明細書で用いられる際、相対的な用語、例えば“向上させる”、“増大させる”または“低減する”は、対照、例えば本明細書で記載された処置の開始前の同じ個人における測定、または本明細書で開示された処置の非存在下での対照の個人(または多数の対照の個人)における測定と比較した値を示す。代表的な対照の個人は、処置されている個人と同じ形態の過剰増殖性障害に苦しんでいる個人であって、(処置される個人および対照の個人における障害の病期が比較可能であることを確実にするために)処置されている個人とおおよそ同じ年齢である個人である。
療法に応答した変化または改善は、一般に統計的に有意である。本明細書で用いられる際、用語“有意性”または“有意な”は、2以上の実体間にランダムではない関係が存在する確率の統計分析に関する。関係が“有意”である、または“有意性”を有するか否かを決定するため、データの統計学的操作は“p値”であることができる。使用者に定義されたカットオフ点より下に入るp値は、有意とみなされる。0.1以下、0.05未満、0.01未満、0.005未満、または0.001未満のp値は、有意とみなされることができる。
本明細書において上記で見出し“III.EFNA抗体−薬物コンジュゲートの特性付けのための機能的アッセイ”の下で記載されたように、本発明は、腫瘍開始細胞を標的化するための方法も提供する。より詳細には、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍開始細胞を含め、腫瘍細胞の増殖、伝播または生存を、枯渇させる、静める、中和する、排除する、または阻害することができる。
従って、本明細書で開示されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍試料中の腫瘍開始細胞の頻度を低減するためにも有用である。例えば、その方法は、以下の工程:腫瘍細胞集団(ここで、その集団は、腫瘍開始細胞および腫瘍開始細胞以外の腫瘍細胞を含む)をEFNA4抗体−薬物コンジュゲートと接触させ;それにより、その細胞集団中の腫瘍開始細胞の百分率が低減する;を含むことができる。本明細書で用いられる際、用語“腫瘍開始細胞”は、様々な血液悪性疾患の癌幹細胞も指し、それは腫瘍自体によって特性付けられない。接触工程は、インビトロで実施されることもでき、ここで、本明細書において上記で記載されたように、腫瘍細胞集団が、生物学的試料中に含有される。あるいは、接触工程は、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの対象への投与後に起こるように、インビボで実施されることができる。
IV.C.インビボ検出および診断
別の側面において、EFNA4発現と関係する障害を検出、診断、および/またはモニターする方法が提供される。例えば、本明細書で記載されたようなEFNA4抗体は、検出可能部分、例えば画像化剤および酵素−基質標識で標識されることができる。本明細書で記載されたような抗体は、インビボ診断アッセイ、例えばインビボ画像化(例えばPETまたはSPECT)または染色試薬のために用いられることもできる。
EFNA4抗体−薬物コンジュゲートの対象への投与後(ここで薬物は検出可能標識である)および結合のために十分な時間の後、抗体により結合されたEFNA4発現細胞の生体内分布が可視化されることができる。開示された診断法は、処置法との組み合わせで用いられることができる。加えて、本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、検出および療法の二重の目的のために投与されることができる。
代表的な非侵襲性検出法は、シンチグラフィー(例えばSPECT(単一光子放射コンピューター断層撮影)、PET(陽電子放射断層撮影)、ガンマカメラ画像化、および直線形スキャン)、磁気共鳴画像化(例えば従来の磁気共鳴画像化、磁化移動画像化(MTI)、光子磁気共鳴分光法(MRS)、拡散強調画像化(DWI)および機能的MR画像化(fMRI))、および超音波を含む。
IV.D.形成
本発明はさらに、本明細書で開示されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートのいずれかおよび薬学的に許容可能なキャリヤーを含む医薬組成物を提供する。さらに、組成物は、1種類より多くのEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲート(例えば、EFNA4の異なるエピトープを認識するEFNA4抗体の混合物)を含むことができる。他の典型的な組成物は、EFNA4(例えばヒトEFNA4)の同じエピトープ(単数または複数)を認識する1種類より多くのEFNA4抗体もしくはEFNA4抗体−薬物コンジュゲート、または異なるエピトープに結合するEFNA4抗体もしくはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの異なる種を含む。
本発明において用いられる組成物は、凍結乾燥された配合物または水溶液の形態で、さらに薬学的に許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤を含むことができる(Remington: The Science and practice of Pharmacy 第21版, 2005, Lippincott Williams and Wilkins, 編者K. E. Hoover)。許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤は、その投与量および濃度において受容者に対して非毒性であり、緩衝剤、例えばホスフェート、シトレート、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストラン類を含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えばZn−タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含むことができる。“薬学的に許容可能な塩”は、本明細書で用いられる際、分子または高分子の薬学的に許容可能な有機または無機塩類を指す。薬学的に許容可能な賦形剤は、本明細書においてさらに記載される。
EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの様々な配合物が、投与のために用いられることができる。本発明の一部の側面において、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、ニートで(neat)投与されることができる。EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容可能な賦形剤は、様々な配合物中にあることができる。薬学的に許容可能な賦形剤は、当該技術で既知であり、薬理学的に有効な物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形態もしくは粘稠性を与える、または希釈剤の役目を果たすことができる。適切な賦形剤は、安定剤、湿潤および乳化剤、モル浸透圧濃度を変動させるための塩類、封入剤、緩衝剤、および皮膚浸透増進剤を含むが、それらに限定されない。非経口および非経口ではない薬物送達のための賦形剤ならびに配合物が、Remington, The Science and Practice of Pharmacy 第20版. Mack Publishing, 2000において述べられている。
本発明の一部の側面において、これらの薬剤は、(例えば腹腔内、静脈内、皮下、筋内等での)注射による投与のために配合されている。従って、これらの薬剤は、薬学的に許容可能なビヒクル、例えば生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液等と組み合わせられることができる。個々の投与計画、すなわち用量、タイミングおよび反復は、特定の個人およびその個人の病歴に依存するであろう。
本発明に従って用いられるEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの療法配合物は、所望の程度の純度を有する抗体を任意の薬学的に許容可能なキャリヤー、賦形剤または安定剤(Remington, The Science and Practice of Pharmacy 第21版 Mack Publishing, 2005)と、凍結乾燥された配合物または水溶液の形態で混合することにより、貯蔵のために調製される。許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量および濃度において受容者に非毒性であり、緩衝剤、例えばホスフェート、シトレート、および他の有機酸;塩類、例えば塩化ナトリウム;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストラン類を含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えばZn−タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含むことができる。
EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを含有するリポソームは、当該技術において既知の方法、例えばEppstein, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692, 1985; Hwang, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 77:4030-4034, 1980;および米国特許第4,485,045号および第4,544,545号において記載されている方法により調製される。増進された循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号において開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法により生成されることができる。リポソームは、定められた孔径のフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームを生成する。
有効成分は、コロイド状薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)において、またはマクロエマルジョンにおいて、例えばコアセルベーション技法により、または界面重合により調製されたマイクロカプセル(例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)中に捕捉されることもできる。そのような技法は、Remington, The Science and Practice of Pharmacy 第21版 Mack Publishing, 2005において開示されている。
持続放出製剤が調製されることができる。持続放出製剤の適切な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、そのマトリックスは、形作られた物、例えば薄膜またはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル類、ヒドロゲル類(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド類(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸および7エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射用マイクロスフェア)、スクロース酢酸イソブチル、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。
インビボ投与のために用いられる予定の配合物は、無菌でなければならない。これは、例えば滅菌濾過膜を通した濾過により容易に成し遂げられる。療法用EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲート組成物は、一般に、無菌のアクセスポートを有する容器、例えば皮下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に配置される。
本発明に従う組成物は、経口、非経口もしくは直腸投与、または吸入もしくはガス注入(insufflation)による投与のための単位剤形、例えば錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁液、または坐剤であることができる。
固体組成物、例えば錠剤を調製するため、主要な有効成分が、医薬用キャリヤー、例えば従来の打錠用成分、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガム、および他の医薬用希釈剤、例えば水と混合されて、本発明の化合物またはその非毒性の薬学的に許容可能な塩の均質な混合物を含有する固体前配合(preformulation)組成物を形成する。これらの前配合組成物が均質であると言及する場合、その組成物が等しく有効な単位剤形、例えば錠剤、丸剤およびカプセルにすぐに細分されることができるように、有効成分が組成物全体にわたって均等に分散していることが意味されている。次いで、この固体前配合組成物は、0.1〜約500mgの本発明の有効成分を含有する上記のタイプの単位剤形に細分される。新規組成物の錠剤または丸剤は、延長された作用の利点を与える剤形を提供するために、コートされるか、または他の方法で調合されることができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部投薬構成要素および外部投薬構成要素を含むことができ、後者は前者を覆う外膜の形態である。2つの構成要素は、胃における崩壊に耐える役目を果たし、内部の構成要素が完全な状態で十二指腸中へと通過することまたはその放出が遅延することを可能にする腸溶層により隔てられていることができる。様々な材料が、そのような腸溶層またはコーティングのために用いられることができ、そのような材料は、いくつかのポリマー性の酸ならびにポリマー性の酸のシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物を含む。
適切な表面活性剤は、特に非イオン性薬剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン類(例えばTween(商標)20、40、60、80または85)および他のソルビタン類(例えばSpan(商標)20、40、60、80または85)を含む。表面活性剤を含む組成物は、好都合には0.05〜5%の表面活性剤を含むと考えられ、それは0.1〜2.5%であることができる。他の成分、例えばマンニトールもしくは他の薬学的に許容可能なビヒクルが、必要に応じて添加されることができることは、理解されるであろう。
適切なエマルジョンは、商業的に入手可能な脂肪エマルジョン、例えばIntralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)を用いて調製されることができる。有効成分は、予め混合されたエマルジョン組成物中で溶解させることができ、あるいはそれは油(例えばダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油またはアーモンド油)中で溶解させることもでき、リン脂質(例えば卵リン脂質、ダイズリン脂質またはダイズレシチン)および水との混合の際にエマルジョンが形成される。エマルジョンの張性を調節するために、他の成分、例えばグリセロールまたはグルコースが添加されることができることは、理解されるであろう。適切なエマルジョンは、典型的には20%までの、例えば5〜20%の油を含有するであろう。脂肪エマルジョンは、0.1〜1.0μm、特に0.1〜0.5μmの脂肪液滴を含むことができ、5.5〜8.0の範囲のpHを有することができる。
エマルジョン組成物は、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートをINTRALIPID(商標)またはその構成要素(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混合することにより調製されたエマルジョン組成物であることができる。
吸入またはガス注入のための組成物は、薬学的に許容可能な水性もしくは有機性溶媒中の溶液および懸濁液、またはそれらの混合物、ならびに粉末を含む。液体または固体組成物は、上記で述べられたような適切な薬学的に許容可能な賦形剤を含有することができる。本発明の一部の側面において、組成物は、局所または全身作用のために、経口または経鼻呼吸経路により投与される。好ましくは無菌の薬学的に許容可能な溶媒中の組成物は、ガスの使用により噴霧されることができる。噴霧された溶液は、噴霧装置から直接呼吸されることができ、または噴霧装置は、フェイスマスク、テントもしくは断続的陽圧呼吸模擬装置に取り付けられることができる。溶液、懸濁液または粉末組成物は、好ましくは経口または経鼻で、配合物を適切な方法で送達する装置から投与されることができる。
本発明は、本方法における使用のためのキットも提供する。本発明のキットは、本明細書で記載されたようなEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートおよび本明細書で記載された本発明の方法のいずれかに従う使用のための説明書を含む1個以上の容器を含む。一般に、これらの説明書は、上記の療法処置のためのEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの投与の記載を含む。
本明細書で記載されたようなEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの使用に関する説明書は、一般に意図される処置に関する投与量、投与スケジュール、および投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルク包装(例えば多数回用量包装)または小単位用量であることができる。本発明のキット中に供給される説明書は、典型的にはラベルまたは添付文書(例えばキット中に含まれる紙シート)上に書かれた説明書であるが、機械で読み取り可能な説明書(例えば磁気または光学記憶ディスク上に保持された説明書)も許容可能である。
本発明のキットは、適切な包装中にある。適切な包装は、バイアル、ボトル、広口瓶、柔軟な包装(例えば密封されたマイラまたはプラスチックの袋)等を含むが、それらに限定されない。特定の装置、例えば吸入器、経鼻投与装置(例えばアトマイザー)またはミニポンプのような注入装置との組み合わせでの使用のための包装も、意図されている。キットは、無菌のアクセスポートを有することができる(例えば、その容器は、皮下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであることができる)。容器も、無菌のアクセスポートを有することができる(例えば、その容器は、皮下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであることができる)。組成物中の少なくとも1種類の有効薬剤は、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートである。容器は、さらに第2の薬学的に有効な薬剤を含むことができる。
キットは、場合により追加の構成要素、例えば緩衝剤および判断情報を提供することができる。通常は、キットは、容器およびその容器上のまたはその容器と関係するラベルまたは添付文書(単数または複数)を含む。
IV.E.用量および投与
インビトロおよびインビボ適用に関して、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、有効投与量で提供または投与される。臨床の状況では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、直接または間接的にのどちらかで予防的または療法的処置を成し遂げるために十分な量である。有効投与量は、1回以上の投与において投与されることができる。薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と合わせて達成される可能性があり、またはそうでない可能性もある。従って、“有効投与量”は、1種類以上の療法剤を投与する文脈において考えられることができ、単剤は、1種類以上の他の薬剤と合わせて望ましい結果が達成され得る、または達成される場合に、有効量で与えられていると考えられることができる。開示されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを用いたEFNA4陽性細胞の検出に関して、本発明の組成物の検出可能な量、すなわちコンジュゲートの存在がインビトロまたはインビボで決定され得るようなコンジュゲートの用量が、対象に投与される。
例えば、癌を有する対象に投与される場合、有効量は、癌細胞の細胞溶解、癌細胞の増殖の阻害、癌細胞のアポトーシスの誘導、癌細胞抗原の低減、遅延された腫瘍成長、および/または転移の阻害を含む抗癌活性を引き出すために十分な量を含む。腫瘍の縮小は、有効性に関する臨床代用マーカーとして十分に受け入れられている。有効性に関する別の十分に受け入れられているマーカーは、無増悪生存である。EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、一般に重要な有効性パラメーターにおける少なくとも25%の向上、例えば生存期間中央値、腫瘍進行までの時間、および全体的な奏効率における向上を示す。
EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、あらゆる適切な経路により個人に投与されることができる。当業者には、本明細書で記載される実施例は、限定的であることが意図されているのではなく、利用可能な技法を説明することが意図されていることは、理解されるべきである。従って、本発明の一部の側面において、EFNA4抗体またはEFNA4抗体コンジュゲートは、個人に、既知の方法に従って、例えば静脈内投与、例えば大量瞬時投与としての静脈内投与またはある期間にわたる連続注入による静脈内投与で、筋内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、経皮、皮下、関節内、舌下、滑液包内、ガス注入経由、髄腔内、経口、吸入または局所的経路により投与される。投与は、全身的、例えば静脈内投与、または局所的であることができる。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含む、液体配合物のための商業的に入手可能な噴霧器は、投与のために有用である。液体配合物は、直接噴霧されることができ、凍結乾燥された粉末は、再構成後に噴霧されることができる。あるいは、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、フルオロカーボン配合物および計量吸入器を用いてエアロゾル化されることができ、または凍結乾燥および製粉された粉末として吸入されることもできる。
本発明の一部の側面において、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、部位特異的または標的化された局所送達技法により投与される。部位特異的または標的化された局所送達技法の例は、EFNA4抗体もしくはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの様々な埋め込み式のデポー源、または局所送達カテーテル、例えば注入カテーテル、留置カテーテル、もしくは針カテーテル、人工移植片、外膜ラップ、シャントおよびステントもしくは他の埋め込み式の装置、部位特異的担体、直接注射、または直接適用を含む。例えば、PCT国際公開第2000/53211号および米国特許第5,981,568号を参照。
本明細書で記載されたようなEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、注射(例えば腹腔内、静脈内、皮下、筋内等)による投与を含め、あらゆる適切な方法を用いて投与されることができる。EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、本明細書で記載されたように、吸入により投与されることもできる。一般に、EFNA4抗体およびEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの投与に関して、最初の候補投与量は、約2mg/kgであることができる。本発明の目的に関して、典型的な一日投与量は、上記で言及された要因に応じて、約3μg/kg〜30μg/kg〜300μg/kg〜3mg/kg、30mg/kgまで、100mg/kgまたはより多い量までのいずれの範囲である可能性もある。例えば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、および約25mg/kgの投与量が用いられることができる。数日またはより長い期間にわたる反復投与に関して、障害に応じて、処置は、症状の所望の抑制が起こるまで、または例えば腫瘍成長/進行もしくは癌細胞の転移を阻害するもしくは遅延させるための十分な療法レベルが達成されるまで持続する。典型的な投与計画は、約2mg/kgのEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの初期用量を投与し、続いて約1mg/kgの毎週維持用量を投与すること、または続いて約1mg/kgの維持用量を隔週で投与することを含む。他の典型的な投与計画は、増大する容量(例えば1mg/kgの初期用量および毎週またはより長い期間での1以上のより高い容量への徐々の増大)を投与することを含む。他の投与計画も、従事者が達成することを望む薬物動態的減衰のパターンに応じて有用である可能性がある。例えば、本発明の一部の側面において、週に1〜4回の投与が意図されている。他の側面において、月1回または2ヶ月ごとに1回または3ヶ月ごとに1回、ならびに毎週、2週間ごとおよび3週間ごとに1回の投与が意図されている。この療法の進行は、従来の技法およびアッセイにより容易にモニターされることができる。投与計画(用いられるEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを含む)は、時間の経過に伴い変動することができる。
本発明の目的に関して、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの適切な投与量は、用いられるEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲート(またはその組成物)、処置されるべき症状のタイプおよび重症度、薬剤が療法的目的のために投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴および薬剤への応答、投与される薬剤に関する患者のクリアランス速度、ならびに主治医の裁量に依存するであろう。臨床医は、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートを、所望の結果を達成する投与量およびそれ以上に達するまで投与することができる。用量および/または頻度は、処置の過程にわたって変動することができるが、一定のままであることもできる。経験的な考慮すべき事柄、例えば半減期は、一般に投与量の決定に寄与するであろう。例えば、ヒト免疫系と適合可能である抗体、例えばヒト化抗体または完全なヒト抗体は、抗体の半減期を延長するためおよび抗体が受容者の免疫系により攻撃されるのを防ぐために用いられることができる。投与の頻度は、療法の過程にわたって決定および調節されることができ、一般に、症状の処置および/または抑制および/または改善および/または遅延、例えば腫瘍成長の阻害または遅延等に基づくが、必ずそうであるわけではない。あるいは、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの持続的連続放出配合物が、適切である可能性がある。持続放出を達成するための様々な配合物および装置が、当該技術で既知である。
本発明の一部の側面において、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートに関する投与量は、そのEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの1回以上の投与(単数または複数)を与えられてきた個人において経験的に決定されることができる。個人は、EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの増加する投与量を与えられる。有効性を評価するため、障害の指標が追跡されることができる。
本発明の方法に従うEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの投与は、例えば受容者の生理的障害、投与の目的が療法的か予防的か、および当業者に既知の他の要因に応じて連続的または断続的であることができる。EFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの投与は、予め選択された期間にわたって本質的に連続的であることができ、または一連の間隔の空いた用量におけることもできる。
IV.F.併用療法
本発明の一部の側面において、本明細書で記載される方法は、さらに対象を療法の追加の形態により処置する工程を含む。一部の側面において、療法の追加の形態は、化学療法、放射線、手術、ホルモン療法、および/または追加の免疫療法を含むがそれらに限定されない追加の抗癌療法である。
開示されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、最初の処置として、または従来の療法に非応答性である障害の処置のために投与されることができる。加えて、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、他の療法(例えば外科的切除、放射線、追加の抗癌薬等)との組み合わせで、それにより追加のもしくは増強された療法作用を引き出す、および/または一部の抗癌剤の肝細胞毒性を低減するために用いられることができる。本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、追加の薬剤と同時投与もしくは同時配合されることができ、または追加の薬剤とのあらゆる順序での連続投与のために配合されることができる。
併用療法に有用な代表的な薬剤は、本明細書において上記で副見出し“薬物”の下でEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの調製に有用であるものとして記載された薬物の全てを含む。本発明のEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、開示された抗EFNA抗体以外の抗EFNA抗体ならびに異なる抗原を標的とする抗体およびコンジュゲートを含め、他の療法用抗体および抗体−薬物コンジュゲートとの組み合わせで用いられることもできる。単独でまたは抗体−薬物コンジュゲートとして用いられることができる代表的な抗体は、抗5T4抗体(例えばA1、A2、およびA3)、抗CD19抗体、抗CD20抗体(例えばRITUXAN(登録商標)、ZEVALIN(登録商標)、BEXXAR(登録商標))、抗CD22抗体、抗CD33抗体(例えばMYLOTARG(登録商標))、抗CD33抗体−薬物コンジュゲート、抗ルイスY抗体(例えばHu3S193、Mthu3S193、AGmthu3S193)、抗HER−2抗体(例えばHERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、MDX−210、OMNITARG(登録商標)(ペルツズマブ、rhuMAb 2C4))、抗CD52抗体(例えばCAMPATH(登録商標))、抗EGFR抗体(例えばERBITUX(登録商標)(セツキシマブ)、ABX−EGF(パニツムマブ))、抗VEGF抗体(例えばAVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ))、抗DNA/ヒストン複合体抗体(例えばch−TNT−1/b)、抗CEA抗体(例えばCEA−Cide、YMB−1003)hLM609、抗CD47抗体(例えば6H9)、抗VEGFR2(またはキナーゼ挿入ドメイン含有受容体、KDR)抗体(例えばIMC−1C11)、抗Ep−CAM抗体(例えばING−1)、抗FAP抗体(例えばシブロツヅマブ)、抗DR4抗体(例えばTRAIL−R)、抗プロゲステロン受容体抗体(例えば2C5)、抗CA19.9抗体(例えばGIVAREX(登録商標))および抗フィブリン抗体(例えばMH−1)を含む。
開示されたEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、処置計画の一部として細胞毒性薬剤の1以上の組み合わせと一緒に投与されることもできる。この目的のための有用な細胞毒性製剤は、CHOPP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン);COP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);CAP−BOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン);m−BACOD(メトトレキセート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、およびロイコボリン);ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、シタラビン、ブレオマイシンおよびビンクリスチン);MACOP−B(メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン);MOPP(メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン);ABV(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン)と交互のMOPP(メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン)と交互のMOPP(メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ChIVPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジン、プレドニゾン);IMVP−16(イホスファミド、メトトレキセート、エトポシド);MIME(メチル−gag、イホスファミド、メトトレキセート、エトポシド);DHAP(デキサメタゾン、高用量シタラビンおよびシスプラチン);ESHAP(エトポシド、メチルプレドニゾロン、HDシタラビン、およびシスプラチン);CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾンおよびブレオマイシン);CAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビンおよびプレドニゾン);およびCVP−1(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン);DHAP(シスプラチン、高用量シタラビンおよびデキサメタゾン);CAP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン);PV(シスプラチン、ビンブラスチンまたはビンデシン);CE(カルボプラチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);MVP(マイトマイシン、ビンブラスチンまたはビンデシン、シスプラチン);PFL(シスプラチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン);IM(イホスファミド、マイトマイシン);IE(イホスファミド、エトポシド);IP(イホスファミド、シスプラチン);MIP(マイトマイシン、イホスファミド、シスプラチン);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);PIE(シスプラチン、イホスファミド、エトポシド);ビノレルビンおよびシスプラチン;カルボプラチンおよびパクリタキセル;CAV(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン);CAE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド);CAVE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);ならびにCMCcV(シクロホスファミド、メトトレキセート、ロムスチン、ビンクリスチン)を含む。
EFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、全身性抗癌薬、例えばエポチロン類(BMS−247550、Epo−906)、タキサン類の再配合物(Abraxane、Xyotax)、微小管阻害剤(MST−997、TTI−237)と、または標的化された細胞毒素、例えばCMD−193およびSGN−15との組み合わせで用いられることができる。追加の有用な抗癌剤は、TAXOTERE(登録商標)、TARCEVA(登録商標)、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン)、5−FU、AVASTIN(登録商標)ERBITUX(登録商標)、TROVAX(登録商標)、アナツモマブマフェナトキス(anatumomab mafenatox)、レトロゾール、ドセタキセル、およびアントラサイクリン類を含む。
併用療法に関して、EFNA4抗体−薬物コンジュゲートおよび/または1種類以上の追加の療法剤もしくは診断剤は、意図される療法または診断の性能に適したあらゆる時間フレーム内で投与される。従って、単剤は、実質的に同時に(すなわち、単一の配合物として、または数分もしくは数時間以内に)、またはあらゆる順序で連続的に投与されることができる。例えば、単剤処置は、互いに約1年以内、例えば約10、8、6、4、もしくは2ヶ月以内、または4、3、2もしくは1週間(単数または複数)以内、または約5、4、3、2もしくは1日(単数または複数)以内に施されることができる。第2の療法剤との組み合わせでのEFNA4抗体−薬物コンジュゲートの投与は、好ましくはどちらか単独での投与よりも大きい作用を引き出す。
本発明の一部の側面において、療法の追加の形態は、1種類以上の療法剤を、本明細書で記載されたようなEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートに加えて投与することを含む。その療法剤は、第2抗体(例えば抗VEGF抗体、抗HER2抗体、抗CD25抗体、および/または抗CD20抗体)、血管新性阻害剤、細胞毒性剤、抗炎症剤(例えばパクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、ドキソルビシン、プレドニゾン、マイトマイシン、プロゲステロン、タモキシフェン、またはフルオロウラシル)を含むが、それらに限定されない。
本発明の一部の側面において、1種類より多くのEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートが存在していることができる。少なくとも1種類、少なくとも2種類、少なくとも3種類、少なくとも4種類、少なくとも5種類の異なる、またはより多くのEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートが存在していることができる。一般に、これらのEFNA4抗体またはEFNA4抗体−薬物コンジュゲートは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有することができる。例えば、以下のEFNA4抗体の1種類以上が用いられることができる:EFNA4上のあるエピトープに向けられた第1EFNA4抗体およびEFNA4上の異なるエピトープに向けられた第2EFNA4抗体。
開示された併用療法は、相乗的療法作用、すなわち、それらの個々の作用または療法成績の合計よりも大きい作用を引き出すことができる。測定可能な療法成績は、本明細書において記載されている。例えば、相乗的療法作用は、単剤により引き出される療法作用または所与の組み合わせの単剤により引き出される療法作用の合計よりも少なくとも約2倍大きい、または少なくとも約5倍大きい、または少なくとも約10倍大きい、または少なくとも約20倍大きい、または少なくとも約50倍大きい、または少なくとも約100倍大きい作用であることができる。相乗的療法作用は、単剤により引き出される療法作用または所与の組み合わせの単剤により引き出される療法作用の合計と比較した少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%の、またはより大きい療法作用における増大として観察されることもできる。相乗作用は、それらが組み合わせで用いられた際に療法剤の低減した投与を可能にする作用でもある。
別途示されない限り、詳細な記載全体を通して用いられた際に、用語“約”は、用語“約”の後の値の+/−1%の値を意味する。
以下の実施例は、説明目的でのみ提供されており、本発明の範囲を限定することは一切意図されていない。実際、本明細書で示された、および記載された本発明に加えた本発明の様々な修正が、当業者には前記の記載から明らかになると考えられ、それは添付された特許請求の範囲内に入る。
実施例1
抗EFNA4抗体の生成
国際公開第2012/118547号において記載されているように、EFNA4マウス抗体は、hEFNA4−ECD−Fc、hEFNA4−ECD−His、EFNA4を過剰発現しているBALB/c 3T3細胞の全細胞または本明細書で述べられたように調製された血漿調製物を用いた接種により産生された(ECD−細胞外ドメイン)。免疫原は、全て商業的に入手可能な出発物質(例えば、組み換えヒトエフリン−A4 Fcキメラ、CF R&D systems #369−EA−200)および/または当業者に周知の技法を用いて調製された。
EFNA4マウス抗体は、メスのマウス(Balb/c、CD−I、FVB)をEFNA4抗原の様々な製剤を用いて免疫することにより生成された。免疫原は、FcコンストラクトもしくはHisタグ化ヒトEFNA4、107個のEFNA4を過剰発現している293細胞から抽出された膜画分、または表面上にヒトEFNA4を過剰発現している3T3細胞全体を含んでいた。マウスは、全ての注射に関して足蹠経路により免疫された。等量のTITERMAXまたはミョウバンアジュバントと共に乳化された10μgのEFNA4免疫原または1×106個の細胞もしくは細胞均等物が、免疫処置のために用いられた。免疫処置後にマウスは安楽死させられ、流入領域リンパ節(膝窩および鼠径部、肥大していた場合)が解剖され、抗体産生細胞のための源として用いられた。リンパ球は、組織粉砕機を用いたリンパ節の機械的破壊により放出された。
2つの融合プロトコルの一方を用いた。第1のプロトコルにおいて、Genetronic装置を用いた電気融合を実施し、続いてポリクローナルハイブリドーマを蒔いてスクリーニングし、続いてサブクローニングしてモノクローナルハイブリドーマを生成した。第2のプロトコルにおいて、BTX機器を用いた電気融合を実施し、続いてハイブリドーマライブラリーをバルクで増殖させ、ハイブリドーマの単一細胞沈着を行い、続いてクローンをスクリーニングした。
Genetronic装置融合プロトコル:融合を、B細胞の単一細胞懸濁液を(ATCC CRL−1580;Kearney et al、J. Immunol. 123: 1548-1550 (1979))から購入した非分泌性P3x63Ag8.653骨髄腫細胞と1:1の比率で混合することにより実施した。細胞混合物を、800gにおける遠心分離により穏やかにペレット化した。上清を完全に除去した後、細胞を2〜4mLのPronase溶液で2分間より長くない時間処理した。電気融合を、融合生成装置、モデルECM2001(Genetronic、Inc.)を用いて実施した。細胞を、平底マイクロタイタープレート中に2×104/ウェルで蒔き、続いて選択HAT培地(Sigma、CRL P−7185)中で2週間インキュベートした。次いで、個々のウェルを抗ヒトEFNA4モノクローナルIgG抗体に関してELISAおよびFACSによりスクリーニングした。
ELISAマイクロタイタープレートを、トランスフェクションされた293細胞からの精製された組み換えEFNA4 His融合タンパク質を用いて、炭酸緩衝液中で100ng/ウェルでコートした。プレートを4℃で一夜インキュベートし、次いで200μl/ウェルのPBS/Tween(0.05%)中3%BSAでブロッキングした。ハイブリドーマプレートからの上清をそれぞれのウェルに添加し、周囲温度で1〜2時間インキュベートした。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、次いでホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG(Fc断片特異的)(Jackson ImmunoResearch)と共に室温で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートをTMB基質(Thermo Scientific 34028)を用いて現像し、分光光度計によりOD 450において分析した。
陽性ウェルからのEFNA4分泌ハイブリドーマを、限界希釈法または単一細胞FACS選別により再スクリーニングおよびサブクローニングした。サブクローニングは、選択された抗原陽性ウェルに対して限界希釈プレーティングを用いて実施された。プレートを、単一コロニー増殖の存在に関して目視で調べ、次いで単一コロニーのウェルからの上清を上記の抗原特異的ELISAによりスクリーニングし、下記のようにFACSで確認した。結果として得られたクローン集団を拡張し、凍結媒体(90%FBS、10%DMSO)中で凍結保存し、液体窒素中で保管した。EFNA4で免疫したマウスからのこの融合は、上記のELISAプロトコルを用いてEFNA4に反応性のマウスモノクローナル抗体を生成した。
BTX機器融合プロトコル:B細胞の単一細胞懸濁液を、非分泌性P3x63Ag8.653骨髄腫細胞と1:1の比率で電気融合により融合させた。電気融合は、Hybrimune System、モデル47−0300(BTX Harvard Apparatus)を用いて実施された。融合した細胞を、アザセリン(Sigma #A9666)を補ったハイブリドーマ選択培地(15% Fetal Clone I血清(Hyclone)、10% BM Condimed(Roche Applied Sciences)、1mMピルビン酸ナトリウム、4mM L−グルタミン、100IUペニシリン−ストレプトマイシン、50μΜ 2−メルカプトエタノール、および100μΜヒポキサンチンを含有するDMEM(Cellgroカタログ番号15−017−CM)培地)中で再懸濁し、次いで4枚のT225フラスコに、フラスコあたり90mlの選択培地で蒔いた。次いでそのフラスコを、5%CO2および95%空気を含有する加湿した37℃のインキュベーター中に6〜7日間置く。
6〜7日間増殖させたら、そのライブラリーを48枚のFalcon 96ウェルU底プレート中に、Aria I細胞選別機を用いて、ウェルあたり1細胞で蒔く。簡潔には、15% Fetal Clone I血清(Hyclone)、10% BM−Condimed(Roche Applied Sciences)、1mMピルビン酸ナトリウム、4mM L−グルタミン、100 IUペニシリン−ストレプトマイシン、50μΜ 2−メルカプトエタノール、および100μΜヒポキサンチンを含有する培地を、48枚のFalcon 96ウェルU底プレート中に、ウェルあたり200ulで入れる。生存可能なハイブリドーマを、Aria I細胞選別機を用いて、ウェルあたり1細胞で配置し、10〜11日間培養し、上清をFACSまたはELISAによりEFNA4に関して反応性の抗体に関してアッセイする。
マウス免疫グロブリンを分泌している増殖陽性ハイブリドーマのウェルを、マウスEFNA4特異性に関して、上記のELISAアッセイと類似のELISAアッセイを用いてスクリーニングした。簡潔には、96ウェルプレート(VWR、610744)を、炭酸ナトリウム緩衝液中1μg/mLのマウスEFNA4−Hisで4℃において一夜コートした。プレートを洗浄し、2% FCS−PBSで37℃において1時間ブロッキングし、すぐに使用したか、または4℃で保った。未希釈のハイブリドーマ上清を、プレート上で室温において1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、1% BSA−PBS中で1:10,000希釈したHRP標識ヤギ抗マウスIgGを用いて室温で1時間プローブ処理する(probed)。次いでプレートを上記のように基質溶液と共にインキュベートし、OD450において読み取る。ヒトEFNA4に高い親和性で結合した典型的なマウス抗体E2、E5、E8、E15、E22、E31、E47、E60、E73、E76、E91およびE105のアミノ酸配列および関係する核酸配列(CDRに下線を引いた)が、国際公開第2012/118547号において提供されている。
本発明の様々なマウス抗EFNA4抗体の結合特徴を、表3において示す。その抗体は、ナノモル濃度範囲の比較的高い親和性を示し、EFNA4タンパク質上の少なくとも3つの異なるビン(bins)またはエピトープに結合する。ほとんどの抗EFNA4抗体は、ジスルフィド結合が完全である抗原とのみ反応し(NR)、一方でE22およびE91は、還元されていない抗原および還元された抗原の両方と反応した(NR/R)。E22およびE91は、それぞれ配列QRFTPFSLGFE(SEQ ID NO:137)およびRLLRGDAVVE(SEQ ID NO:138)を認識した。さらに、E5、E15、E91およびE105は、マウスのEFNA4と交差反応性であり、全ての抗体は、高度に類似したカニクイザルのEFNA4と交差反応した。抗体の中和する(すなわち受容体リガンド相互作用、特にEFNA4−EphA2相互作用を遮断する)、および/または内在化する能力も、細胞を殺す能力と共に提供される。
実施例2
抗EFNA4抗体のヒト化
国際公開第2012/118547号においてさらに記載されているように、実施例1からのマウス抗体の4種類を、相補性決定領域(CDR)移植を用いてヒト化した。重鎖および軽鎖に関するヒトのフレームワークを、機能性ヒト生殖細胞系列遺伝子に関する配列および構造類似性に基づいて選択した。構造類似性は、Chothia et al.(上記)において記載されているように、マウスのカノニカルCDR構造を同じカノニカル構造を有するヒトの候補に対して比較することにより評価された。
より詳細には、マウス抗体E5、E15、E22およびE47を、コンピューターに支援されたCDR移植法(Abysis Database、UCL Business Pic.)および標準的な分子工学技法を用いてヒト化し、ヒト化抗体E5、E15、E22およびE47(以下huE5、huE15、huE22およびhuE47)をそれぞれ生成した。可変領域のヒトのフレームワーク領域は、マウスのフレームワーク配列に対する最高の配列相同性およびそのカノニカル構造に基づいて選択された。分析の目的のため、CDRドメインのそれぞれに対するアミノ酸の割り当ては、Kabatらの番号付けに従う。いくつかのヒト化抗体バリアントを、最適なヒト化抗体を生成するために作製し、そのヒト化抗体は一般に、ヒトのフレームワーク領域を伴うマウスのハイブリドーマからの抗原結合相補性決定領域(CDR)を保持している。Biacoreシステムを用いて測定した際に、HuE15、huE22およびhuE47 mAbは、EFNA4抗原に、それらのマウスの対応物に対する親和性と類似の親和性で結合し、huE5は、わずかに低い親和性で結合した。
分子工学手順を、当該技術で認められている技法を用いて実施した。総mRNAを、ハイブリドーマから、製造業者のプロトコル(Trizol(登録商標)Plus RNA Purification System、Life Technologies)に従って抽出した。完全なマウスのレパートリーを標的とするように設計された32マウス特異的5’リーダー配列プライマーを含むプライマー混合物を、3’マウスCγ1プライマーとの組み合わせで用いて、抗体重鎖の可変領域を増幅および配列決定した。同様に、マウスカッパ定常領域に特異的な単一の逆方向プライマーと組み合わせられた、Vkマウスファミリーのそれぞれを増幅するように設計された32 5’Vkリーダー配列プライマー混合物を用いて、カッパ軽鎖を増幅および配列決定した。VHおよびVL転写産物を、100ngの総RNAから、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて増幅した。
それぞれのハイブリドーマに関して、合計8つのRT−PCR反応:Vカッパ軽鎖に関して4つおよびVガンマ重鎖(γ1)に関して4つを運転した。QIAGEN One Step RT−PCRキットを、増幅のために用いた(Qiagen,Inc.)。抽出されたPCR産物を、特異的V領域プライマーを用いて直接配列決定した。ヌクレオチド配列を、IMGTを用いて分析し、最高の配列相同性を有する生殖細胞系列のV、DおよびJ遺伝子のメンバーを同定した。得られた配列を、VBASE2データベース(Retter et al.、上記)の分析から、ならびにVHおよびVL遺伝子のマウス生殖細胞系列データベースに対するアラインメントにより得られたIgのVおよびJ領域の既知の生殖細胞系列DNA配列に対して比較した。
ヌクレオチド配列情報から、E5、E15、E22およびE47の重鎖および軽鎖のV、DおよびJ遺伝子区画に関するデータが得られた。その配列データに基づいて、抗体のIg VHおよびVK鎖のリーダー配列に特異的な新規のプライマーセットを、組み換えモノクローナル抗体のクローニングのために設計した。続いて、V−(D)−J配列を、マウスIgの生殖細胞系列配列とアラインメントした。
E5、E15、E22およびE47の重鎖および軽鎖遺伝子を同定し、その結果を下記の表4において要約する。
全ての4つのクローンからの得られた重鎖および軽鎖配列を、機能性ヒト可変領域配列に対してアラインメントし、相同性およびカノニカル構造に関して再調査した。重鎖および軽鎖の分析の結果を、下記で表5および6においてそれぞれ示す。
生殖細胞系列選択およびCDR移植プロセスは、一般にそれらの結合特性を保持している抗体を提供するようであり、コンストラクトのほとんどではマウスの残基を挿入する必要性はほとんどなかった。しかし、huE15において、抗体の特性を向上させるために重鎖の残基68を変異させてThr(T)からLys(K)に戻した。
huE5、huE15、huE22およびhuE47のアミノ酸配列および関係する核酸配列は、上記の表2において示されている。huE5、huE15、huE22およびhuE47に関するVH領域のアミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:5、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:13およびSEQ ID NO:39において示されており、対応する核酸配列は、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:14およびSEQ ID NO:40において示されている。huE5、huE15、huE22およびhuE47のカッパVL領域のアミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:7、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:27およびSEQ ID NO:53において示されており、対応する核酸配列は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:28およびSEQ ID NO:54において示されている。
実施例3
ヒト化坑EFNA4抗体の発現
抗EFNA4抗体huE5、huE15、huE22およびhuE47を、当該技術で認められている技法および国際公開第2012/118547号において記載されている技法を用いて発現させ、単離した。その目的のため、両方の重鎖の合成ヒト化可変DNA断片(Integrated DNA Technologies)を、ヒトIgGI発現ベクター中にクローニングした。可変軽鎖断片を、ヒトC−カッパ発現ベクター中にクローニングした。抗体を、重鎖および軽鎖のCHO細胞中への同時トランスフェクションにより発現させた。
より詳細には、抗体産生のために、マウスおよびヒト化可変遺伝子のPCR産物のヒト免疫グロブリン発現ベクター中への方向性クローニングを行った。Ig遺伝子特異的PCRにおいて用いられた全てのプライマーは、ヒトIgGIおよびIGK定常領域をそれぞれ含有する発現ベクター中への直接的なクローニングを可能にする制限部位(IgHに関してAgeIおよびXhoI、IgKに関してXmaIおよびDraIII)を含んでいた。簡潔には、PCR産物をQiaquick PCR精製キット(Qiagen,Inc.)を用いて精製し、続いてそれぞれAgeIおよびXhoI(IgH)、XmaIおよびDraIIIで消化した。消化したPCR産物を精製した後、発現ベクター中にライゲーションした。ライゲーション反応は、200UのT4−DNAリガーゼ(New England Biolabs)、7.5μLの消化および精製された遺伝子特異的PCR産物および25ngの線状ベクターDNAを含む10μLの総体積で実施された。コンピテント大腸菌DH10B細菌(Life Technologies)を、3μLのライゲーション産物を用いた42℃での熱ショックにより形質転換し、アンピシリンプレート(100μg/mL)上に蒔いた。次いで、VH領域のAgeI−EcoRI断片を、pEE6.4HuIgGI発現ベクターの同じ部位中に挿入し、一方で合成XmaI−DraIIIVK挿入断片を、それぞれのpEE12.4Hu−Kappa発現ベクターのXmaI−DraIII部位中にクローニングした。
ヒト化抗体を産生する細胞を、適切なプラスミドによるHEK293細胞の293fectinを用いたトランスフェクションにより生成した。プラスミドDNAを、QIAprep Spinカラム(Qiagen)を用いて精製した。ヒト胎児性腎臓(HEK)293T(ATCC番号CRL−1 1268)細胞を、150mmプレート(Falcon,Becton Dickinson)において、標準的な条件下で、10%熱非働化FCS、100μg/mLストレプトマイシン、100μg/mLペニシリンGを補ったダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(全てLife Technologiesからのもの)中で培養した。
一過性トランスフェクションのために、細胞を80%コンフルエントまで増殖させた。等量のIgHおよび対応するIgL鎖ベクターDNA(12.5μgのそれぞれのベクターDNA)を、1.5mLのopti−MEM中で、50μLのHEK293トランスフェクション試薬と混合した1.5mLのOpti−MEMに添加した。その混合物を、室温で30分間インキュベートし、培養プレートに均等に分布させた。上清をトランスフェクションの3日後に回収し、10%FBSを補った20mLの新しいDMEMで置き換え、トランスフェクションの6日後に再び回収した。培養上清から細胞破砕片を、800×gで10分間の遠心分離により取り除き、4℃で保管した。組み換えキメラおよびヒト化抗体を、プロテインGビーズ(GE Healthcare)を用いて精製した。
実施例4
抗EFNA4抗体の結合特性
国際公開第2012/118547号において記載されているように、本発明のE15、E22およびE47抗体の結合特性を表7において示す。
さらなる特性を、ELISAを用いて決定し、抗EFNA4抗体huE22およびhuE47のエフリン−A4(EFNA4)に対する結合特異性を、相同性のファミリーメンバーであるエフリン−A1(EFNA1)およびエフリン−A3(EFNA3)と共に分析した。抗体結合を、エフリン−A1−His、エフリン−A3−huFc、エフリン−A4−huFcおよびエフリン−A5−huFc(全てR&Dからのもの)をBioOne Microlon(Greiner)プレート上にPBS中で4℃において一夜コートしたものを用いた直接ELISAにより決定した。ビオチン標識されたhuE22およびhuE47を、そのプレート上で室温において2.5時間インキュベートし、ストレプトアビジンHRPを用いて、緩衝するヒトIgGシグナルの非存在下でビオチン標識抗体からのシグナルを現像した。図3Aにおいて示されているデータは、huE22はEFNA4に結合するがEFNA1、EFNA3またはEFNA5には結合しないことを示している。図3Bにおいて示されているデータは、huE47はEFNA4に結合するがEFNA1またはEFNA3には結合しないことを示している。
ヒト化抗EFNA4抗体huE22およびhuE47の結合を、EFNA4発現細胞に対してフローサイトメトリーにより評価した。接着細胞を、TrpLE Express(GIBCOカタログ番号12604−021)を用いて解離させ、細胞培養培地で中和し、計数した。細胞を、U底96ウェルプレート(BD Falconカタログ番号353077)中に、5×10e5細胞/100μL培地/ウェルで蒔いた。プレートを300×g、4℃で5分間遠心分離して細胞をペレット化し、上清を廃棄した。全ての試薬を後の工程のために氷上で維持した。それぞれのペレットを、100μLの、PBS中3%BSA中で10μg/mLの一次ヒト化抗EFNA4抗体(huE22またはhuE47)または陰性対照抗体中で再懸濁した。プレートを氷上で30分間インキュベートした。プレートを遠心分離し、細胞のペレットを200μLのPBS中3%BSA中で洗浄した。それぞれの細胞のペレットを、100μLの、PBS中3%BSA中で1:50希釈されていたR−フィコエリトリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG Fc断片(Jackson ImmunoResearchカタログ番号109−115−098)中で再懸濁した。プレートを氷上で30分間インキュベートした。プレートを遠心分離し、細胞のペレットを200μLのPBS中3%BSA中で洗浄した。それぞれのペレットを、100μLのPBS中3%BSA中で再懸濁し、250μLのPBS中3%BSAを含有する5mLポリカーボネートチューブ(BD Falconカタログ番号352054)に移した。試料を、試料あたり5μLの7AAD(B−D Pharmingenカタログ番号51−68981E)を生存度染色剤として用いて、フローサイトメトリーにより分析した。
抗体結合を、非常に低レベルのEFNA4を発現しているHEK293T親細胞およびヒトEFNA4の高発現を可能にするベクターによるHEK293Tの安定形質移入体であるHEK293T−EFNA4細胞に関して、上記の方法で測定した。表8は、EFNA4発現細胞株への抗体結合の平均チャンネル蛍光(MCF)を示す。huE22およびhuE47抗体は、HEK293T−EFNA4細胞(過剰発現細胞)に強く結合するが親HEK293T細胞には結合しないことにより、EFNA4標的に関する特異性を実証している。
内因性EFNA4発現癌細胞株:乳房細胞株BT−483、HCC202およびMX−1、慢性リンパ性白血病(CLL)細胞株MEC1およびマントル細胞リンパ腫(MCL)細胞株Z138を分析した。表9において示されているMCF値は、抗EFNA4抗体huE22およびhuE47の、その抗原の内因性発現を有する様々な癌細胞株に結合する能力を示している。
実施例5
抗EFNA4抗体の内在化およびインビトロ細胞毒性
huE22の内在化を、細胞を一次抗体およびサポリン毒素にコンジュゲートしている二次抗体(抗原結合断片、Fab)と共にインキュベートする機能的アッセイで評価した。細胞を96ウェルプレートに蒔き、一夜インキュベートし、次いで、それぞれサポリンコンジュゲート抗ヒトFab断片(Advanced Targeting Systemsカタログ番号IT−51)を1.5:1の二次:一次抗体のモル比で伴うhuE22またはヒトIgG1対照抗体の用量応答に4日間曝露した。次いで、細胞生存度を、MTSアッセイ(Promegaカタログ番号G5430)を用いて測定し、細胞生存度を未処理の細胞と比較して50%阻害する一次抗体濃度(IC50)を、GraphPad Prismソフトウェア上でのロジスティック非線形回帰により計算した。
細胞毒性は、一次抗体、例えばhuE22が標的細胞中に内在化し、サポリンコンジュゲートFab断片を細胞中に運び込む場合に達成される。表10において示されているように、huE22は、HEK293T親細胞と比べて約60倍の特異性でHEK293T−EFNA4細胞にサポリンに媒介される細胞毒性を与え、一方で対照一次抗体は、どちらの細胞株にも有意な細胞毒性を与えなかった。HEK293T親細胞において発現されているEFNA4の低いレベルは、huE22が対照抗体よりも低いIC50をもたらすことにつながった可能性がある。これらの結果は、huE22抗体が標的依存性の様式で細胞中に内在化したことを実証している。
実施例6
抗EFNA4−AcBut−CM抗体−薬物コンジュゲートのコンジュゲーションおよび精製
A.コンジュゲーション
本発明において、抗EFNA4抗体huE22およびhuE47を、図4Aにおいて示されているようなAcBut−N−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジド(AcBut−CM)OSuエステルにコンジュゲートさせ、図4Bにおいて示されているようなhuE22−AcBut−CM ADCおよびhuE47−AcBut−CM ADCを生成し、ここで、Xはあらゆる抗体、例えばhuE22およびhuE47であることができる。AcBut−CMは、抗EFNA4抗体に、リジン残基を介してコンジュゲートして、薬物対抗体比(DAR)の狭い分布を有する抗EFNA4−AcBut−CMを生成し、ここで、ADCの約70%〜80%は、3〜5のDARを有し、約3〜5の範囲の平均DARを有する。
huE22−AcBut−CMの生成のためのコンジュゲーション反応混合物は、10mg/ml以下の精製されたhuE22抗体およびAcBut−CM OSuエステルを、4〜4.5対1のモル比で含んでいた。高い撹拌が、AcBut−CMの混合している渦への添加の間に実施された。反応pHは8.3であり、他の反応構成要素の濃度は以下の通りであった:180mM HEPES緩衝液、41mMデカン酸ナトリウム、および8%(v/v)エタノール。反応は33℃で5分間実施された。コンジュゲーション反応が完了した後、反応混合物を、1.3体積のpH8.5に調節された1M K2HPO4を用いて、混合しながらゆっくりと希釈した。類似の反応混合物を、huE47−AcBut−CM ADCの生成のために用いた。
B.精製
精製するため、上記の希釈された反応混合物を、図5(上の線は280nm、下の線は310nm)において示されているように、2つのバッチで、5カラム体積(cv)の0.52Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)で予め平衡化したButyl Sepharose−4 Fast Flow HICカラム(GE Healthcare)上に装填した。カラム上に装填されたタンパク質は、3.5mg/mlベッド体積であった。流速は、試料装填を通して15ml/分であり、クロマトグラフィーの洗浄および溶離相の全体を通して22ml/分であった。この向上した勾配は、カラムに結合したより高いDARのADCを除去する。
装填の間の未結合の画分は、主に反応試薬および未コンジュゲート抗体のほとんどであり、それは廃棄された。次いで、カラムを0.3cvの0.52Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)で洗浄して全ての残っている試薬を除去した。次いで、1cvの0.52Mから0.4Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)への段階勾配を用いて、あらゆる緩く結合した未コンジュゲート抗体を、存在する場合は低装填抗EFNA4−ActBut−CMと共に溶離した。次いで、主な画分を、1cvの0.4Mから5mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)への段階勾配を用いて溶離して、勾配の終了付近で3〜5のDARを有するhuE22−AcBut−CMを提供した。より高いDARを有するhuE22−AcBut−CMコンジュゲートが存在する場合、その画分は、2cvの5mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)の勾配、次いで純粋な脱イオン水の溶離を用いて溶離された。脱イオン水での溶離後に結合したままであったより高いDARを有するあらゆるhuE22−AcBut−CMコンジュゲートは、2cvの20%エタノールを含有する10mM水酸化ナトリウムを用いて溶離された。
キャピラリー等電点分画法(cIEF;iCE280,ProteinSimple)を用いて、huE22−ActBut−CM ADCの精製されたバッチは、狭いDAR分布を有しており、ここでADCの約70%〜80%、好ましくは約75%〜80%は、3〜5のDARを有していた。例えば、図9は、huE22−ActBut−CM ADCの精製されたバッチが狭いDAR分布を有しており、ここでADCの約78%が3〜5のDARを有していることを示している。DARは、UV分光法により、280nmおよび310nmにおける吸光度を測定して決定される。
さらに、huE22−ActBut−CM ADCの精製されたバッチは、約3〜約5の範囲の平均DARを有していた。例えば、huE22−ActBut−CM ADCの精製されたバッチは、約4の平均DARを有し、より詳細には平均DARは約4.6であった。
この向上したコンジュゲーションおよび精製プロセスは、6未満である、一部の側面において3〜5の範囲のDARを有するADCを生成した。さらに、そのプロセスは、より狭い装填の分布、例えば製品内でのより低い不均質性を生成した。コンジュゲーションおよび精製プロセスに対する向上は、さらに以下のものを含んでいた:1)ActBut−CM対huE22比を4〜4.5対1まで低下させて、より低いDARを有するADCを生成し、2)ActBut−CMのhuE22への添加の間に高い撹拌を実施して、低い量の未コンジュゲート抗体(遊離抗体)を有するADCを生成し、3)インキュベーション時間を60〜90分間と比較して2〜5分間に低減して、少ない凝集体を提供し、そして4)エタノール量を6〜8%に低減して、少ない凝集体を提供する。
両方のバッチからの精製されたプールされたピークを、凍結状態での保管を促進するため、配合された緩衝液に対して2回透析した。配合された緩衝液の組成は、20mMトリス、7.5%スクロース、0.01%ポリソルベート80、10mM NaCl、pH8.0であった。精製されたhuE22−AcBut−CM ADCを、以下を用いて特性付けた:
−未コンジュゲート抗体の存在に関する疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC;TSKgel Butyl−NPR,Tosoh Bioscience,LLC)、図6において示されているように、遊離の抗体は精製されたhuE22−AcBut−CMにおいて検出されなかった;
−凝集体および2量体の存在に関するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC;Acquity UPLC BEH200 SEC,Waters)、図7において示されているように、100%単量体が存在し、凝集体または2量体は検出されなかった;
−遊離薬物の存在に関する逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC−RP;Zorbax 300SB−CN,Agilent)、図8において示されているように、遊離薬物は精製されたhuE22−AcBut−CMにおいて検出されなかった;および
−薬物分布プロフィールのためのキャピラリー等電点分画法(cIEF;iCE280,ProteinSimple)、図9において示されているように、3〜5の所望の狭いDAR分布は約78%であり、ごく微量のDAR7以上の種が存在し、DAR1および未コンジュゲート(DAR0)の種は検出されなかった。
類似の精製プロセスを、huE47−AcBut−CM ADCの生成に関して用いた。下記の図10および表11は、凍結融解サイクルの精製されたhuE22−AcBut−CM抗体−薬物コンジュゲートの安定性への作用を示す。多数回の凍結融解において有意な変化は観察されなかった。
図29は、4m/mおよび6m/mのCM対huE22 Abの比から生成された精製されたADC(2mg)に関する分析的HICの比較を示す(上の線は280nm、下の線は310nm)。4m/mのCM対huE22 Ab比は、4.3の平均DARを有するADCを生成し(上のパネル)、6m/mのCM対huE22 Ab比は、5.2の平均DARを有するADCを生成した(下のパネル)。4m/mを用いて生成されたADCは、低疎水性単量体として特性付けられる所望のADCのより高い収率および高疎水性凝集体として特性付けられる望ましくないADCのより低い収率を有していた。図30は、4m/m(上の線)および6m/m(下の線)のCM対huE22 Abの比率から生成された精製されたADCに関するさらなる分析的HICを示す。特に、6m/mを用いて生成されたADC(5.2DARの調製物)は、高疎水性種および凝集の増大した存在を有し、それは4m/m(4.3DARの調製物)で生成されたADCにおいてより低かった。
実施例7
抗EFNA4−AcBut−CM ADCのインビトロ結合および細胞毒性
A.結合アッセイ
ヒトおよびカニクイザルのEFNA4タンパク質に関するhuE22の結合定数を、BIAcore 2000(GE Healthcare)を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)により、精製を容易にするためにヒスチジンタグに融合させた組み換えEFNA4細胞外ドメインを用いて決定した。その結果は、ヒトおよびカニクイザルのEFNA4両方に関するhuE22の高い親和性を示した(表12参照)。カニクイザルのEFNA4タンパク質配列は、ヒトのEFNA4タンパク質配列に高度に相同性であり、全体で98%の同一性および細胞外ドメインにおいて98%の同一性を有する。対照的に、ラットの抗原へのhuE22の結合は検出されず、別個の研究において、マウスの抗原への結合は検出されなかった。ラットまたはマウスのEFNA4にhuE22が結合しないことは、おそらく定められたhuE22エピトープ内のラットおよびマウスのEFNA4配列中の保存されていない残基により説明される。
ヒトおよびカニクイザルのEFNA4に関するhuE22−AcBut−CM ADCの結合定数を、huE22と同じ結合アッセイで決定した。表12において示されているように、ADCおよび未コンジュゲートmAb(huE22)は、ヒトおよびカニクイザルの抗原両方に対して比較可能な結合定数を有していた。
huE22およびhuE22−AcBut−CM ADCの細胞結合および内在化を分析した。親HEK293T細胞(EFNA4陰性)および(高レベルのヒトEFNA4を発現するように操作された)HEK293T−EFNA4を用いた。huE22およびhuE22−AcBut−CM ADCは、EFNA4抗原を発現する細胞に対する特異的な結合を示した。さらに、未コンジュゲートhuE22およびhuE22−AcBut−CM ADCは、HEK293T−EFNA4細胞に対して比較可能な結合を示し、どちらの抗体も親HEK293T細胞には結合しなかった(表13参照)。表12(上記)におけるSPRの結果と合わせて、これらのデータは、生体コンジュゲーションプロセスはhuE22の結合特性を変化させなかったことを示している。
B.細胞毒性アッセイ
一度huE22−AcBut−CM ADCが細胞中に内在化したら、カリケアマイシンの遊離が細胞毒性を誘発する。内在化している抗体は、典型的には分解のためにリソソーム区画に移動する。直接的な細胞毒性アッセイを用いて、huE22−AcBut−CMの細胞毒性応答を分析した。HEK293T−EFNA4過剰発現細胞およびHEK193T親(EFNA4陰性)細胞を、透明な平底組織培養プレート(BD Falconカタログ番号353072)中に、ウェルあたり180μLの細胞培養培地あたり500細胞で蒔いた。細胞を、5%CO2インキュベーター中で37℃において一夜培養した。次の日に、huE22−AcBut−CMおよび陰性非結合性対照であるhIgG1−AcBut−CM ADCを、細胞に、1μg/mLから出発して細胞培養培地中での半対数(half−log)希釈を用いる10点濃度曲線として、3通りで(in triplicate)添加した。プレートを、37℃、5%CO2インキュベーター中で96時間インキュベートした。次いで、細胞生存度を、MTSアッセイ(Promega CellTiter 96水性非放射性細胞増殖アッセイ、カタログ番号G5430)を製造業者の説明書に従って用いて測定した。40μLの組み合わせたMTS試薬を、それぞれのウェルに添加した。プレートを、37℃、5%CO2インキュベーター中で1.5時間インキュベートした。表14において示されているように、細胞の生存度を未処理の細胞と比較して50%阻害する濃度(IC50)を、GraphPad Prismソフトウェア上でのロジスティック非線形回帰により計算した。図21は、様々な濃度のhuE22−AcBut−CM(白いひし形)またはhIgG−AcBut対照ADC(斜線付きの丸)に曝露されたHEK293T−EFNA4細胞を示し、細胞生存度を測定し、未処理の細胞の細胞生存度に対して標準化した。
表14および図21において示されるように、huE22−AcBut−CMは、インビトロでEFNA4標的発現細胞に対して用量依存性の細胞毒性応答を誘発し、細胞増殖を標的および濃度依存性の様式で阻害した。HEK293T−EFNA4細胞がhuE22−AcBut−CMに曝露された際、1ng/mL ADCの濃度は細胞増殖を50%阻害し(IC50)、対照的に、対照ADCは150倍より大きく活性が低かった。データは、huE22−AcBut−CMの強力かつ特異的な細胞毒性活性を実証している。対照ADCおよびhuE22−AcBut−CM ADCは、EFNA4発現を欠いているHEK293T親細胞に対しては細胞毒性を誘発せず、それは特異性および抗原依存性を実証した。
実施例8
抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲートのインビボ有効性
実施例6において記載されたコンジュゲーションおよび精製プロセスに従って調製された抗EFNA4 huE22−AcBut−CMおよびhuE47−AcBut−CMの作用を、ヒト腫瘍患者由来異種移植片(PDX)のインビボ成長においてさらに評価した。原発腫瘍切除試料を、臨床現場から、ヒト対象の保護に関する施設内審査委員会の承認に従って、そしてHIPAAの規制に従って入手した。
それぞれのモデルにおける標的EFNA4の発現を、2つの方法:mRNA抽出物を用いた逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)およびタンパク質抽出物を用いたELISAで測定した。表15は、腫瘍モデルのパネルにおけるEFNA4の標準化されたmRNAおよびタンパク質レベルを示す。EFNA4は、試験した全てのモデルで検出され、換言すれば、両方の測定結果は、腫瘍モデルMDA−MB−231からの測定結果を超えていた。
腫瘍断片は、氷上でHypothermasol(Biolife Solutions)中で保管および輸送され、成長因子の専売の混合物を含有するMatrigel(BD)中に埋め込まれ、切除の24時間以内にメスのNOD/SCIDマウスの乳腺脂肪体中に皮下移植された。マウスを、毎日健康状態に関して、そして腫瘍増殖に関して最初に目視検査により週2回モニターした。一度腫瘍が触知可能になったら、腫瘍体積の測定を始めて腫瘍成長を追跡し、細胞の倍加時間を概算した。腫瘍体積は、方程式V=(A*B2)/2を用いて概算され、ここでAは長軸であり、Bは短軸である。腫瘍が500mm3〜1,500mm3の体積に達した際に、それらを研究のためおよび再移植のために回収した。系統に応じて、機械的および/または化学的解離を用いて個々の細胞を継代のために分離することができる。生きた細胞を、実験を受けていない(naive)動物中に、動物あたり10,000〜50,000細胞で接種した。
有効性試験のため、腫瘍を継代試験から回収し、細胞を解離させて単一細胞懸濁液にした。調製物を、トリパンブルー排除試験を用いて生きた細胞に関して計数し、マウスあたり10,000〜50,000細胞をMatrigel中で接種した。PDXの差次的成長速度を説明するため、ランダム化における最小限の腫瘍体積の分散を許容するために少なくとも25%多い動物で開始した。腫瘍成長は、最初は触知可能性により追跡され、一度腫瘍体積が約30mm3に達したら測定を開始した。研究は、一度腫瘍を有するマウスのコホートが140〜180mm3に達したら腫瘍サイズに基づいてランダム化され;群は6〜10匹のマウスの範囲であった。動物に、腹腔内注射により、様々な用量レベルのADCを週2回2週間(Q4dx4)、1.5mg/kg(最大耐用量)のドキソルビシンを週1回2週間(Q7dx2)、または5mg/kgのシスプラチンを週1回2週間投与した。試験群を、IACUCプロトコルに従って屠殺の必要が示された際に個々のマウスまたは群全体の腫瘍の測定結果が1200mm3に達するまで追跡した。選択された投与試験に関して、薬物動態学的顎下採血を、2または6時間、36時間および72時間の時点で実施した。10μLの量の血液を、すぐにピペットで90μLのHBS−P(GE Healthcare)中に入れた。試料を分析の前に−80℃で保管した。それぞれの腫瘍の測定に関して、腫瘍体積±平均値の標準誤差(SEM)が提供された。GT=大きい腫瘍サイズにより終了した群。ND=SEMを用いた有意な測定を行うために十分な動物が残っていない。全ての試験は、PBSビヒクルおよび分析されているものと同じリンカー−ペイロードにコンジュゲートした非結合性hIgG1抗体を有し、比較可能な薬物対抗体比(DAR)およびDAR分布を有する対照抗体−薬物コンジュゲートを含んでいた。
A.乳癌
表16〜20および図11〜14は、様々なトリプルネガティブ乳癌(TNBC)PDX腫瘍モデルにおけるhuE22−AcBut−CMおよびhuE47−AcBut−CMの有効性を実証するデータを提供する。得られた結果は、huE22−AcBut−CMが、全てのTNBC PDXモデルにおいて、カリケアマイシン(DNA損傷剤)と類似の作用機序を有するドキソルビシン標準治療(SOC)による処置と比較して優秀な有効性を示したため、意外であった。
表16および図11は、Breast−5(BR5)トリプルネガティブ乳癌(TNBC)PDXにおけるhuE22−AcBut−CMの有効性を示す。80日より長い間の持続的な退縮が、0.27mg/kgのhuE22−AcBut−CMにより達成され、0.036mg/kgほどの低い容量レベルでも抗腫瘍活性を誘発した。対照的に、対照のADCもドキソルビシン標準治療(SOC)も、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。
表17および図12は、Breast−13(BR13)TNBC PDXにおけるhuE22−AcBut−CMおよびhuE47−AcBut−CMの有効性を示す。huE22−AcBut−CMに関して、0.27mg/kgの用量レベルは、90日間の退縮をもたらし、その後腫瘍は再度成長した。さらに、0.09mg/kgの用量レベルは、腫瘍成長を約40日間遅らせた。対照的に、対照のADCもドキソルビシンSOCも、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。
表18および図13は、TNBCのより感受性の低い腫瘍モデルであるBreast−22(BR22)PDXにおけるhuE22−AcBut−CMおよびhuE47−AcBut−CMの有効性を示す。huE22−AcBut−CMに関して、0.27mg/kgの用量レベルは、腫瘍成長を約40日間遅らせたが、完全な退縮は一切もたらさなかった。さらに、0.27mg/kgより下の用量レベルは、最小限の作用を有していた。対照のADCもドキソルビシンSOCも、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。
図19は、様々な微小管阻害剤(MTI)、例えばvc0101およびmc8261にコンジュゲートしたhuE15、huE22およびhuE47の、BR22 PDXにおける有効性を示す。そのデータは、MTI ADCは腫瘍成長に有意に影響を及ぼさなかったことを実証している。従って、huE22−AcBut−CMおよびhuE47−AcBut−CMが同じBR22 PDXモデルにおいて増大した有効性を示したのは意外であった。
表19および図14は、Breast−31(BR31)TNBC PDXにおけるhuE22−AcBut−CMの有効性を示す。0.27mg/kgの用量レベルは、約120日間の退縮をもたらし、その後その腫瘍は一部の動物において再度成長した。0.09mg/kgの用量レベルは、約50日間腫瘍を退縮させ、その後その腫瘍は再度成長した。対照的に、対照のADCもドキソルビシンSOCも、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。
図20は、MTI vc0101にコンジュゲートしたhuE15、huE22およびhuE47の、BR31 PDXにおける有効性を示す。そのデータは、MTI ADCは腫瘍成長に有意に影響を及ぼさなかったことを実証している。従って、huE22−AcBut−CMおよびhuE47−AcBut−CMが同じBR22 PDXモデルにおいて増大した有効性を示したのは意外であった。
表20は、Breast−56(BR56)TNBC PDXにおけるhuE22−AcBut−CMの有効性を示す。対照的に、対照のADCもドキソルビシンSOCも、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。
B.卵巣癌
表21および図15は、Ovarian−45(OV45)卵巣癌PDXにおけるhuE22−AcBut−CMの有効性を示す。0.27mg/kgにより、75日より長い間の持続的な退縮が達成された。退縮は、0.09mg/kgの用量レベルでも達成され、一部の動物において50日後に腫瘍が再成長した。0.036の用量レベルは、腫瘍成長を約25日間遅らせた。対照的に、対照のADCは、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。
表22および図16は、Ovarian−55(OV55)卵巣癌PDXにおけるhuE22−AcBut−CMの有効性を示す。腫瘍の退縮は、0.27および0.09mg/kgの用量レベルで達成され、0.036の用量レベルは、腫瘍成長におけるいくらかの遅延をもたらした。対照のADCは、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。
表23および図17は、卵巣癌のより感受性の低い腫瘍モデルであるOvarian−44(OV44)卵巣癌PDXにおけるhuE22−AcBut−CMの有効性を示す。0.27mg/kgの用量レベルは、腫瘍成長を約50日間遅らせたが、腫瘍を退縮させなかった。0.27mg/kgより下の用量レベルは、最小限の作用を有していた。対照のADCは、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。
表24および図18は、卵巣癌のより感受性の低いモデルであるOvarian−63(OV63)卵巣癌PDXにおけるhuE22−AcBut−CMの有効性を示す。一過性の腫瘍退縮が、0.27mg/kgにおいて達成され、腫瘍成長における遅延が、0.036および0.09mg/kgにおいて達成された。
表25は、Ovarian−39(OV39)卵巣癌PDXにおけるhuE22−AcBut−CMの有効性を示す。
C.小細胞肺癌(SCLC)および結腸直腸癌
いくつかの追加の有効性試験を、小細胞肺癌(SCLC)のモデルであるLU80およびLU86 PDX、ならびに結腸直腸癌(CRC)のモデルであるCR5 PDXにおいて実施し、データを表26〜28において示す。得られた結果は、huE22−AcBut−CMが、SCLCおよびCRC PDXモデルにおいて、カリケアマイシン(DNA損傷剤)と類似の作用機序を有するドキソルビシン標準治療(SOC)による処置と比較して優秀な有効性を示したため、意外であった。
huE22−AcBut−CMを用いた全てのインビボ有効性試験の結果を、表29および30において要約する。要約すると、huE22−AcBut−CMは、TNBC(非低クローディン(non−Claudin low))、卵巣癌、SCLCおよび結腸直腸癌のモデルにおいて腫瘍成長を強く阻害した。huE22−AcBut−CMは、試験した全ての場合(TNBCおよびSCLC)において、標準治療化学療法(SOC)より性能が優れていた。腫瘍の退縮は、初回投与時の大きさと比較した平均腫瘍体積の低減として定義された。
乳房および卵巣モデルにおいて、腫瘍の退縮は、投与後の平均腫瘍体積の低減として定義された。TGI=腫瘍成長阻害。%TGI=[1−(処置されたものの平均腫瘍体積)/(ビヒクルの平均腫瘍体積)]。腫瘍が退縮した場合、増殖停止時間(TTP)が、初回投与および平均腫瘍体積が退縮後に有意に増大した(再成長した)時点の間の日数であるように決定された。腫瘍が実験の過程の間に再成長しなかった場合、TTPは、初回投与および実験の終了の間の日数である。上記のように、全ての動物は、huE22−AcBut−CM ADCを週2回4サイクル、ドキソルビシンを1.5mg/kgで週1回2サイクル、またはシスプラチンを5mg/kgで週1回2サイクル投与された。ADC用量レベルは、抗体含有量に従ってmg/kgで列挙されている。動物は、それらが静脈内投与された144580を除く全ての試験において腹腔内投与された。
実施例9
腫瘍開始細胞(TIC)の低減
抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲート処置が腫瘍中の腫瘍開始細胞(TIC)頻度を低減したかどうかを決定するため、腫瘍を抗EFNA4抗体−薬物コンジュゲートであるhuE22−AcBut−CM、または対照hIgG抗体−薬物コンジュゲートである対照−AcBut−CMで前処理し、次いで前処理された分離された腫瘍からの生きたヒト腫瘍細胞を、限界希釈分析において、実験を受けていない動物中に移植した。huE22−AcBut−CMまたは対照−AcBut−CMで処理された腫瘍を有するマウスからの腫瘍を、最初の処置後(BR22に関して)12日目および(BR13に関して)21日目の時点で回収した。回収累代移植の日は、huE22−AcBut−CM曝露後にいつ腫瘍が退縮し始めたかに基づいて選択された。腫瘍を分離し、抗ヒトESA、抗マウスCD45、および抗マウスH2Kd抗体で染色した。処置群あたり3個の腫瘍をプールし、生きたヒト腫瘍細胞(ESA+)を、フローサイトメトリーにより選別した。
BR22に関して、8匹のマウスの群に、対照−AcBut−CMで処置された腫瘍から選別された400、100、50、または20個の腫瘍細胞を注射し、そして8匹のマウスの群に、huE22−AcBut−CMで処置された腫瘍から選別された390、90、40、または18個の腫瘍細胞を注射した。BR13に関して、10匹のマウスの群に、対照−AcBut−CMで処置された腫瘍から選別された400、100、60、または20個の腫瘍細胞を注射し、そして10匹のマウスの群に、huE22−AcBut−CMで処置された腫瘍から選別された380、160、50、または25個の腫瘍細胞を注射した。
受容マウス中の腫瘍を、毎週測定し、注射後21週の時点で、受容マウス中で200mm3を超えていた腫瘍を陽性として採点した。ポアソン分布統計を用いて、L−Calcソフトウェア(Stemcell Technologies、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー)により、移植後21週の時点で腫瘍を有する、および有しない受容マウスの注射された細胞の用量を用いて、それぞれの集団におけるTICの頻度を計算した。BR22およびBR13 PDXの両方に関して、そのデータは、標準的な腫瘍体積測定とは独立しているTIC頻度の第2エンドポイントを用いて、抗腫瘍有効性を実証している。そのデータはさらに、huE22−AcBut−CMはより侵攻性の/腫瘍形成性のTIC(またはCSC)を標的とすることを実証している。
BR22で処理された腫瘍中のTICの数は、表31において示されるように、対照−AcBut−CMで処理された腫瘍の55個の細胞中の1個のTICから、huE22−AcBut−CMで処理された腫瘍の147個の細胞中の1個のTICへと、約3倍低減した(両側検定においてp=0.019)。
同様に、BR13の処理された腫瘍中のTICの数は、表32において示されるように、対照−AcBut−CMで処理された腫瘍の75個の細胞中の1個のTICから、huE22−AcBut−CMで処理された腫瘍の270個の細胞中の1個のTICへと、約2.6倍低減した(p=0.0007)。要約すると、huE22−AcBut−CMで処理された腫瘍細胞を注射されたマウスは、類似の数の対照−AcBut−CMで処理された腫瘍細胞を注射されたマウスよりも一貫して少ない腫瘍を生成し、これは、huE22−AcBut−CM処置が腫瘍開始細胞(TIC)を低減したことを示している。
実施例10
血漿中の総huE22−AcBut−CMのインビトロ安定性
ADCを投与されたマウスにおける薬物動態試験からの血漿試料中の総ADCおよび総抗体の定量化を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法を用いて決定した。ELISAおよび液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC−MS/MS)法を用いて、ラットおよびサルにおける探索的毒性学試験からの、ならびにADCを用いたインビトロ血漿安定性試験における、総ADC、総抗体および未コンジュゲートペイロードも定量化した。
実施例6において記載されたコンジュゲーションおよび精製プロセスに従って調製されたhuE22−AcBut−CMのインビトロ安定性を、Sprague Dawleyラットおよびカニクイザルの血漿において総ADCおよび総抗体をELISAにより測定することにより決定した。huE22−AcBut−CMを、マウス、ラット、サル、およびヒト血漿中で1〜50μg/mLの濃度で37℃において168時間までインキュベートし、総ADCおよび総抗体(ヒト血漿を除く)をELISAを用いて決定した(表33および34を参照)。
huE22−AcBut−CMのラット、マウス、およびサル血漿中での37℃で168時間のインキュベーション後に残っている総抗体の平均(n=3)量は、緩衝液対照と類似しており、両方のインキュベーション濃度において種にわたって類似していた。huE22−AcBut−CMのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)w/1%ウシ血清アルブミン(BSA)中での37℃で168時間のインキュベーション後に残っている平均(n=3)総ADCおよび総抗体量は、1μg/mLインキュベーションに関してそれぞれ94.5%および90.5%ならびに50μg/mLインキュベーションに関してそれぞれ88.3および98.6%であり、これは、総ADCの血漿中での生物学的温度における最小限の熱分解の存在を示している。
総抗体濃度は、ヒト血漿中での総ADCのインキュベーションに関しては、ヒトIgGを含有するヒト血漿中でのヒトIgGに関するELISAの検出の限界により、決定されることができなかった。huE22−AcBut−CMのラット、マウス、サル、およびヒト血漿中での37℃で168時間のインキュベーション後に残っている総ADCの平均量は、緩衝液対照と類似しており、両方のインキュベーション濃度において種にわたって類似していた。NC=計算されなかった;SD=標準偏差。
実施例11
作用機序
huE22−AcBut−CMの作用機序を、それがカリケアマイシンの作用機序と一致していることを実証するために分析した。リン酸化されたヒストンバリアントH2A.X(y− H2A.X)は、DNA損傷の確立されたバイオマーカーである。そのアッセイを検証するため、癌細胞株を、未コンジュゲートAcBut−CMで処理し、y− H2A.Xマーカーは分離した焦点(foci)において細胞核中で明らかであり、それは典型的な染色パターンである。huE22−AcBut−CMによる処置は、結果としてインビトロおよびインビボの両方で標的細胞中のDNA二本鎖破断をもたらし、これは、カリケアマイシンADCの予想される作用機序と一致している。
HEK293T−EFNA4または親HEK293T細胞を、0.3μg/mLのhuE22−AcBut−CM、対照ADCまたは未コンジュゲートhuE22に4時間曝露した。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、1%Triton−X100で透過処理し、抗ヒストンy− H2A.X(Millipore #05−636)と共に1時間インキュベートし、洗浄し、AlexaFluor488コンジュゲート二次抗体と共に、およびDAPI核酸染色剤と共に30分間インキュベートし、次いで洗浄し、マウント媒体およびカバーガラスで保護した。細胞をZeiss LSM510共焦点顕微鏡を用いて可視化し、DNA損傷およびDNA含有量のy− H2A.Xバイオマーカーに関して分析した。
huE22−AcBut−CMへの曝露後、HEK293T−EFNA4細胞は、DNA損傷を示す分離したy− H2A.Xの焦点を示し;対照的に、対照ADCまたは未コンジュゲートhuE22による処理後は焦点は観察されなかった(画像は示していない)。さらに、huE22−AcBut−CMは、標的陰性HEK293T細胞において焦点を誘導しなかった。従って、huE22−AcBut−CMは、標的依存性およびカリケアマイシン依存性の様式でDNA損傷を生成し、これはADCの予想される作用機序と一致している。
類似の結果が、インビボでの薬力学研究において得られた。EFNA4発現性BR5 TNBC PDX腫瘍を有するマウスに、1用量の1mg/kg huE22−AcBut−CMを投与し、腫瘍を24、48および96時間後に回収した。腫瘍をホルマリン中で固定し、パラフィン(FFPE)中に包理した。切片を、2.4μg/mL抗huIgG(Cell Signaling #3443−1)および1.8mg/mL 抗γ−H2A.X(Cell Signaling 2577S)で染色し、スライドをAperio AT2上で走査した。デジタル画像分析のため、健康な生存可能な組織の領域を分類し、一方で壊死領域および無関係な組織を排除した。生存可能な領域内の個々の細胞を、使用者に定義されたパラメーター(例えば膜hIgG染色または細胞内y− H2A.X染色)に基づいて採点し、生存可能な領域中のマーカー陽性細胞の百分率を報告した。
図22において示されているように、抗hIgG1抗体による免疫組織化学(斜線付きの丸)は、投与後24時間の時点でのほぼ全ての腫瘍細胞および96時間の時点で腫瘍細胞の約半分の細胞膜の染色を示した。図22においてさらに示されているように、抗y−−H2A.X抗体による免疫組織化学(白いひし形)は、腫瘍細胞における核の染色を明らかにし;予想されたように、ピーク抗y−−H2A.X染色の時間は、ADCの内在化およびペイロードの遊離がカリケアマイシンがDNA損傷をもたらす前に起こるため、ピーク細胞結合の時間から遅れた。ダッシュ記号は、群あたりの中央値を示す。インビトロおよびインビボの研究を合わせて、抗EFNA4−AcBut−CM ADCに関する予想される作用機序を実証した。
カリケアマイシンにより生成されるDNA損傷は、アポトーシスを誘導し、それは最終的に細胞死をもたらす(Zein et al, 1988; Nicolaou et al, 1994; Prokop et al, 2003)。huE22−AcBut−CMを用いた処置後のアポトーシスは、アネキシンVを用いた染色により評価され、それは細胞表面上のホスファチジルセリンへの結合によりアポトーシス細胞に印を付ける(Koopman et al, 1994)。HEK293T−EFNA4または親HEK293Tを、huE22−AcBut−CM、対照ADCまたはhuE22 mAbで処理し、次いでアネキシンVおよび生存度染色剤7AADを用いて染色した。HEK293T−EFNA4細胞のhuE22−AcBut−CMによる処理は、結果として実質的に高いレベルのアポトーシス細胞をもたらし、一方で親HEK293T細胞の処理は、実質的に高いレベルのアポトーシス細胞をもたらさなかった(表35参照)。対照ADCもhuE22 mAbも、有意な程度までのアポトーシスを誘導しなかった。従って、huE22−AcBut−CMは、標的細胞において、標的およびカリケアマイシン依存性の様式でアポトーシスを誘導した。
実施例12
TNBC TPCの富化
19種類の乳房PDX腫瘍を収容するPDX腫瘍バンクが設立された。患者の病理報告、腫瘍の組織病理、およびPAM−50(+)パネルを用いたマイクロアレイサブクラスタリングに基づいて、これらのPDX腫瘍モデルの13種類は、TNBCを有する患者に由来することが確証され;その3種類は、低クローディン(CL)亜型であることが特性付けられた。乳房PDX腫瘍は、回収され、分離されて単一細胞懸濁液になり、フローサイトメトリーにより厳密なダブレット識別ゲート処理を用いて分析された。さらに、ヒトESA+腫瘍細胞が、CD46、CD324、CD24およびCD34発現に関してそれぞれ分析された。
乳癌における腫瘍永続化細胞(すなわち癌幹細胞)の境界を定めている(demarcate)と考えられている重要な細胞表面マーカーに関する注意深い表現型プロファイリングの際に、TNBCを有する患者由来のPDX腫瘍中の全ての細胞は、一様にその抗原を発現しており、従ってそれは乳癌のこの亜型においてTPCを同定するための有用性をほとんど保持していないことが明らかになった。フローサイトメトリーによる数百の細胞表面抗原の表現型プロファイリングは、BR22およびBR31 PDX腫瘍において、CD46およびCD324を含むいくつかの不均質に発現されている抗原を同定した。
予想されるTPC(すなわちESA+CD46+CD324+細胞)を、BR22 PDX腫瘍からFACSにより単離し、移植の前にフローサイトメトリーにより再分析した。娘腫瘍(単数または複数)を同様に分離し、分析して親腫瘍を反映する細胞不均質性を確証した。分離されたBR22およびBR31乳房PDX腫瘍から単離された50個のESA+CD46+CD324+(斜線付きの丸)またはESA+CD46+CD324−(白いひし形)細胞を移植された個々のマウスに関する腫瘍成長曲線が、それぞれ図23および24において示されている。CD46および/またはCD324の発現を有しないまたは有する単一細胞の単離および免疫無防備マウス中への移植を促進するためのこれらのマーカーの利用は、ESA+CD46+CD324+細胞は腫瘍を効率的に永続化してそれらの親腫瘍の表現型の不均質性を複製することができるが、それらのCD324−対応物はそれができないことを実証した。
完全に不均質な腫瘍が、50個ほどの少ない移植された細胞でも効率的に開始され、一方でCD324−亜集団内のTPCの頻度は、BD FACSAria上で単離される細胞の1%細胞不純物プロフィールの結果もたらされる予想される偽陽性期待値の誤差の範囲内であった(表36参照)。
CD324+細胞亜集団内の1:71の実証されたTPC頻度は、100個のCD324+細胞を移植されたマウスあたり平均1.4個の機能するTPCをもたらし、一方で1%の選別誤差率は、単離されたCD324−細胞内の平均0.014%のCD324+細胞の混入頻度をもたらすと考えられ、それは1.4%(0.2〜2.7%の範囲)の偽陽性頻度に換算される。
さらに、トランスクリプトーム全体の配列決定を、Illumina HiSeq 2000プラットフォーム(100×100bpペアエンド配列決定)を用いて、それぞれ低クローディンおよび非低クローディンTNBCならびに乳癌のルミナルB亜型を含む様々な亜型のいくつかの乳房PDX腫瘍モデルからの単離されたESA+CD46+CD324+TPCおよびESA+CD46+CD324−NTG細胞を用いて行った。トランスクリプトーム全体の配列決定を、正常な組織、例えば心臓、肝臓、腎臓、肺、結腸、皮膚、膵臓、および卵巣から得られたmRNAも用いて実施した。全ての試料に関する得られたfpkm(100万あたりのキロ塩基あたりの断片)値を、標準的な技法を用いて標準化し、次いで細胞表面にあるという注釈が付けられているタンパク質をコードする遺伝子に焦点を合わせるように選別した。この選別されたデータセットを入力として用いて、Bioconductor内のDESeq2パッケージを用いて、NTG細胞および正常組織の両方に対してTPCにおいて差次的に発現されている遺伝子を、それらの調整されたp値と共に同定した。特に、EFNA4は、p値を偽発見率に関して調整した後でさえも、NTG細胞および正常組織に対してTPCにおいて有意に高められていた。
実施例13
EFNA4発現はTNBC TPCにおいて高められている
実証されたTNBC TPCの富化をさらに進めるため、トランスクリプトーム全体の配列決定を、Illumina HiSeq 2000プラットフォーム(100×100bpペアエンド配列決定)を用いて、低クローディンおよび非低クローディンTNBCならびに乳癌のルミナルB亜型を含む様々な亜型のいくつかの乳房PDX腫瘍モデルからの単離されたESA+CD46+CD324+TPCおよびESA+CD46+CD324−NTG細胞を用いて実施した。
トランスクリプトーム全体の配列決定を、正常な組織のパネル、例えば心臓、肝臓、腎臓、肺、結腸、皮膚、膵臓、および卵巣から得られたmRNAも用いて実施した。全ての試料に関する得られたFPKM(100万あたりのキロ塩基あたりの断片)値を、標準的な技法を用いて標準化し、次いで細胞表面にあるという注釈が付けられているタンパク質をコードする遺伝子に焦点を合わせるように選別した。この選別されたデータセットを入力として用いて、Bioconductor内のDESeq2パッケージを用いて、NTG細胞および正常細胞の両方に対してTPCにおいて差次的に発現されている遺伝子を、それらの調整されたp値と共に同定した。特に、EFNA4は、p値を偽発見率に関して調整した後でさえも、NTG細胞および正常組織に対してTPCにおいて有意に高められていた。
加えて、様々な亜型(実施例12において記載された)を包含する19の乳房PDX腫瘍の間で、EFNA4のmRNA発現を、バルク乳房PDX腫瘍または正常な生命の維持に重要な器官においてマイクロアレイにより評価した。EFNA4のmRNA発現は、正常な乳房または評価されたあらゆる他の正常な組織よりも平均で2.6倍より大きく高く高められていた。
さらに、正常な隣接する乳房、TNBC、および非TNBC乳房腫瘍におけるEFNA4 mRNAの発現を、入手可能な癌ゲノムアトラス(TCGA)研究ネットワーク(Weinstein JN et al. Nature Genetics 45:1113-1120, 2013)のデータを用いて評価した。EFNA4発現は、一般にTNBCの非低クローディン亜型において他の乳癌亜型に対してより高かった。PAM(50)+遺伝子サインを292人の患者からの原発腫瘍標本から生成されたTCGAデータに適用した際、図25において示されているように、TNBC腫瘍(n=95)におけるEFNA4の高められた発現は、正常な隣接する乳房(n=108)および非TNBC亜型の乳房腫瘍(n=197)と比較して明らかなままであった。横線は中央値を示す。
乳癌および卵巣癌におけるEFNA4の過剰発現の遺伝学的基礎を分析した。図26は、TCGAおよびMETABRIC(Curtis, C et al. Nature Apr. 18; 486(7403):346-352, 2012)データセットからの乳房腫瘍試料におけるEFNA4のコピー数を示しており、図27は、卵巣腫瘍試料におけるEFNA4のコピー数を示している。白い四角は、25番目〜75番目の百分位数を表し、エラーバーは、10番目〜90番目の百分位数の境界を定めており、個々の点は、10番目の百分位数の下または90番目の百分位数の上に入る。正常なコピー数(n=2)は、破線により示されている。
一部の乳房腫瘍において、EFNA4の過剰発現は、コピー数の増大の結果である可能性がある(図26参照)。TCGA乳癌データセットにおいて、腫瘍試料の25.5%は、EFNA4の顕著なコピー数の増大(n≧2.5)を有し、一方で実質的なコピー数の喪失を有する試料はなかった。TNBC試料の部分集合は、EFNA4のコピー数の増大の比例した発生率を有していた。同じ傾向が、METABRIC乳癌データセットにおいて観察され、腫瘍試料の14.3%においてn≧2.5であった。さらに、EFNA4のmRNAレベルおよびDNAコピー数の間に強い相関があった(r=0.48;p<0.0001)。そのデータは、乳癌、特にTNBCにおけるEFNA4の過剰発現に関する可能性のある遺伝学的基礎を示唆している。
高められたEFNA4遺伝子発現がタンパク質における増大に変換されるか否かを決定するため、モノクローナル抗体のパネルを、伝統的な免疫処置およびハイブリドーマアプローチにより生成し、サンドイッチELISA対を同定した。17の正常器官、49の原発乳房腫瘍標本、および9のTNBC PDX腫瘍モデルからの組織タンパク質溶解物の分析は、結果として、EFNA4タンパク質レベルがTNBCにおいて正常な組織および乳癌の他の亜型に対して高められているだけでなく、発現はTNBCの非低クローディンサブクラスにおいて低クローディン部分集合に対してより高いという観察をもたらした。これらの結果は、バルク腫瘍レベルにおいてさえも、高められたEFNA4遺伝子発現はEFNA4タンパク質における意味のある増大に変換されることを確証している。
卵巣癌では、EFNA4のコピー数の増大(n≧2.5)が、TCGA試料の実質的な割合(22.2%)において観察され、一方で有意なコピー数の喪失の事例はなかった(図27参照)。EFNA4のmRNAレベルおよびDNAコピー数の間には強い相関があり(r=0.32;p<0.0001)、それは乳癌における観察に類似していた。乳癌におけるデータと合わせて、この観察は、腫瘍におけるEFNA4過剰発現に関する可能性のある遺伝学的基礎を示唆している。
乳癌および卵巣癌に加えて、肝臓癌は、高頻度のEFNA4のコピー数の増大を示した。図28は、3つのデータセット:Pfizer−ACRG(n=310)、Pfizer−Samsung(n=272)およびTCGA(n=212)からの肝細胞癌(HCC)腫瘍試料におけるEFNA4のコピー数を示す。全ての試料は三角形で表されており、横線は中央値を示す。正常なコピー数(n=2)は、破線により示されている。3つのデータセットにわたって一貫して、高頻度なEFNA4のコピー数の増大があるが、有意なコピー数の喪失はなく;ACRG、SamsungおよびTCGAのデータセットにおいて、それぞれ試料の68.4%、37.5%および29.7%が、n≧2.5を有していた。肝臓癌では、3つの独立したデータセットにおいて、EFNA4のmRNAレベルおよびDNAコピー数の間に強い相関があった:TCGAの相関係数=0.50(pは約0);ACRGの相関係数=0.56(pは約0)およびSamsungの相関係数=0.38(p=3E−09)。HCCにおけるEFNA4の増大は、限局性ではなく、むしろ染色体領域Chr1q21〜1q22の増幅の上で起こっており、それはELK4、MDM4およびPARP1も含んでいる。特に、EFNA4のmRNAの発現レベルは、HCCデータセットにおけるコピー数と強く相関しており、それは、EFNA4の増大を有する腫瘍が抗EFNA4 ADCによる処置により応答性である可能性があることを示唆した。
実施例14
エフリン−A4の結合特性
エフリン−A4のEph受容体に結合する特性を、さらに分析した。抗EFNA4抗体はエフリン−A4に結合し、一方でそのリガンドはそのEph受容体と会合しているため、これらの2つの高分子間の親和性を決定した。商業的に入手可能なEph受容体およびエフリン−A4の親和性を、BIAcore 2000(GE Healthcare)を用いる表面プラズモン共鳴により直接比較し、最も関連する受容体を決定した。抗ヒト抗体捕捉キットを用いて、組み換えEph受容体をCM5バイオセンサーチップ上に固定した。それぞれの抗原注入サイクルの前に、2μg/mLの濃度のEph受容体を表面上に、2分間の接触時間および5μL/分の流速で捕捉させた。捕捉された抗体のベースラインからの負荷(loading)は、150〜260応答単位で一定であった。受容体の捕捉および1分間のベースラインの後、単量体性ヒトエフリン−A4を、2分間の会合相の間に表面上を400、241、145、87、53、32、19および12nMの濃度で流し、続いて10μL/分の流速で2分間の解離相を行った。それぞれのサイクルの後、抗ヒト捕捉表面を、10μL/分で30秒間の接触時間の3M MgCl2で再生させた。
Biacoreのデータを、まず平衡における応答(Req)の平均値を計算することにより処理した。次いで、Reqを濃度(M)に対してプロットし、定常状態親和性当てはめを用いて親和性および理論上のRmaxを計算した。全ての場合において、少なくとも5つの異なる分析物濃度を用いてこの計算を行った。全てのデータ分析工程は、BiaEvaluation Software 3.1(GE Healthcare)において完了された。
エフリン−A4のEph受容体への結合からの生データおよびReq対濃度曲線(示されていない)は、最高の親和性を有する受容体はEphA2であり、最低の親和性を有する受容体はEphA10であることを決定した。表37は、エフリン−A4への結合に関して試験した9種類のEph受容体を、親和性が低下する順に示す。そのデータは、Eph受容体に関するエフリン−A4に対する親和性は全て本明細書で開示された抗EFNA4抗体よりも低いことを実証している。