JP2016539653A - 微小藻類のゲノム操作のためのCas9ヌクレアーゼプラットフォーム - Google Patents

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Abstract

本発明は、Cas9/CRISPR系を使用して微小藻類においてゲノム操作する方法に関する。特に、本発明は、微小藻類において、好ましくは安定な統合されたCas9微小藻類において細胞透過性ペプチドによりガイドRNAを送達する方法に関する。また本発明は、Cas9、スプリットCas9又はガイドRNAとCas9が融合した細胞透過性ペプチドとを含む、キット及び単離された細胞にも関する。また本発明は、本発明の方法により得られた単離された細胞にも関する。

Description

本発明は、Cas9/CRISPR系を使用して微小藻類においてゲノム操作する方法に関する。特に、本発明は、微小藻類において、好ましくは安定な統合されたCas9微小藻類において細胞透過性ペプチドによりガイドRNAを送達する方法に関する。また本発明は、Cas9、スプリットCas9又はガイドRNAとCas9が融合した細胞透過性ペプチドとを含む、キット及び単離された細胞にも関する。また本発明は、本発明の方法により得られた単離された細胞にも関する。
珪藻は、バイオテクノロジー目的、特に油の生産に関する多大な可能性を有する光合成微小藻類の主要な群の一つであるが、それらの普及は、遺伝子操作ツールの欠如によって妨げられている。実際に、珪藻のゲノムは現在配列決定されているが、それらの遺伝学的多様性を調査するための現段階で利用可能な遺伝学的ツールほとんどない。第1の難点として、珪藻は、恐らくそれら特有のシリカの細胞骨格を含む細胞壁のために、エレクトロポレーションを用いて形質転換することが未だに困難である。遺伝子銃による方法は最も一般的な技術であり続けているが、生存率が低くなる。これらの技術のどちらを使用しても、形質転換株は極めて低い頻度で存在し、そのため遺伝子編集に時間がかかる。別の難点として、選択的な培養培地への発現によって形質転換細胞に耐性を付与するのに利用可能な遺伝子がほとんどない。
これまで、遺伝子発現がモジュレートされた株の生成は、主として、ランダムな遺伝子過剰発現及びRNA干渉(RNAi)を使用した標的化された遺伝子サイレンシング系を使用してきた(Siaut、Heijdeら、2007; De Riso、Ranielloら、2009)。この数年で、正確なゲノム操作のための新しい効率的なツールは、植物及び哺乳動物細胞の分野で出現しており、例えばメガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ及びより最近ではRNAガイドCas9ヌクレアーゼがある。これが、微小藻類への正確なゲノム操作のための低頻度切断型エンドヌクレアーゼ(rare-cutting endonuclease)を使用するための通路を開いた。しかし発明者の知見によれば、珪藻において標的化された安定なゲノム改変を誘導することがこれまでに証明されたのはメガヌクレアーゼとTALEヌクレアーゼのみである(国際出願WO2012017329)。工業的な目的と安全性の理由で、藻類細胞において遺伝子編集を行う際に、藻類のゲノムに導入遺伝子を挿入しないことが有利であると予想される。エンドヌクレアーゼの一過性発現も、それらのゲノム中に外来遺伝子を包含すると予想される遺伝子改変藻類を環境に放出する危険を制限するのに有利であると予想される。したがって、微小藻類の最大の遺伝学的可能性を調査して利用するために、正確なゲノム操作のための新しい遺伝学的ツールがなお求められている。
本発明者らは、微小藻類において正確な遺伝子改変を誘導するための新しい方法としてCas9系を使用することを提唱する。本発明者らは、遺伝子銃による形質転換方法を使用して、Cas9タンパク質の安定な標的化された統合を行い、その対応するガイドRNAを微小藻類細胞にコトランスフェクトした。
このような形質転換方法は微小藻類において有効であることが証明されたにもかかわらず、10-8から10-6の間で構成される頻度の比較的弱い効率を示すようであり、したがってクローンを容易に検出するためのノウルセオトリシン(nourseothricin)又はフレオマイシンなどの抗生物質選択の導入を必要とする(De Riso、Ranielloら、2009)。このような形質転換方法の別の欠点は、形質転換後に微小藻類クローンを得るのに3から5週間の遅延が生じることである。最後に、この遺伝子銃による方法に関する主要な欠点は、細胞にとって有害な作用(細胞損傷又は汚染)をもたらす金属ビーズの藻類細胞への物理的な透過と関連する。
これらの点と、細胞壁欠損変異体の大部分において生物学的又は化学的なカーゴの送達が物理的及び機械的な方法に限定されているという事実を考慮すると(Azencott、Peterら、2007; Kilian、Benemannら、2011)、本発明者らは、本発明によって、藻類のゲノムを効率的に編集するために、細胞透過性ペプチド(CPP)、すなわち塩基性アミノ酸が豊富であり、細胞を透過することができるペプチドを使用することによって、Cas9/CRISPR複合体が藻類の細胞壁及び細胞膜を透過できるようにすることを提唱する。
WO2012/017329 米国特許第6,706,394号 米国特許第5,516,670号 US2013/0065314
Champagneら、Magnetophoresis for pathway engineering in green cells. Metabolic engineering V: Genome to Product、Engineering Conferences International Lake Tahoe CA、要旨76頁; 2004
本発明者らは、CRISPR/Cas9系に基づいて珪藻細胞を形質転換するための新しいゲノム操作方法を開発した。特に、本発明者らは、藻類細胞、好ましくはCas9ヌクレアーゼですでに形質転換された藻類細胞にCPP融合(CPP::ガイドRNA)を介してRNAガイドを送達することを提唱する。本発明は、標的化された多重的な遺伝子改変を容易に行うことができ、さらに、CPP::ガイドRNAをCas9細胞に付加して又は付加せずに、誘導性ヌクレアーゼ系を作り出すことができる点で特に興味深い可能性がある。また本発明者らは、Cas9タンパク質を、2つの別のスプリットCas9であるRuvC及びHNHドメインに分割することもでき、それにより標的核酸配列をガイドRNAと一緒に又は別々に処理できることも示した。このCas9スプリット系は、ゲノム標的化の誘導性の方法にとって特に好適であり、さらに、細胞内でのCas9過剰発現の起こり得る毒作用を回避するのに好適である。実際に、第1のスプリットCas9ドメインは、好ましくは前記スプリットドメインをコードする導入遺伝子で前記細胞を安定して形質転換することによって、細胞に導入することができる。次いで、2つのスプリット部分が細胞に再び集まって、機能的なCas9タンパク質が所望の時間で再編成されるように、Cas9の相補的スプリット部分を細胞に導入することができる。さらに、野生型Cas9と比較してスプリットCas9のサイズを低減させることにより、ベクター化、及び例えば細胞透過性ペプチドを使用することによる細胞への送達が容易になる。
また本発明者らは、Cas9タンパク質又はスプリットCas9とそのRNAガイドの両方をCPP融合を介してベクター化し、それによって、藻類における従来の形質転換方法の主要な欠点、例えば弱い形質転換効率、形質転換後のクローンを得るための長い遅延、及び細胞への金属ビーズ導入に起因する有害な作用を回避することも提唱する。
珪藻ゲノム内での特異的な遺伝子変異誘発及び遺伝子挿入が可能になる本方法を使用することによって、遺伝子改変された珪藻の生成は、安全性及び効能の観点で改善されると予想される。
本発明は、標的化された核酸切断から標的化された遺伝子レギュレーションに至る範囲の様々な用途のための、特にCRISPR/Cas系に基づき珪藻をゲノム操作する方法に関する。本方法は、RNAガイドCas9ヌクレアーゼに基づき開発されたゲノム操作CRISPR適応免疫系ツールから派生したものである(Gasiunas、Barrangouら、2012; Jinek、Chylinskiら、2012)。
特定の実施形態において、本発明は、cas9/CRISPRを使用して珪藻をゲノム操作する方法であって、
(a)珪藻中のPAMモチーフを任意選択で含む標的核酸配列を選択する工程、
(b)標的核酸配列に相補的な配列を含むガイドRNAを用意する工程、
(c)Cas9タンパク質を用意する工程、
(d)細胞中でCas9が標的核酸配列をプロセシングするように、前記ガイドRNAと前記Cas9とを細胞に導入する工程
を含む、方法に関する。
用語「プロセシング」は、本明細書で使用される場合、配列が、単にCas9の結合によって改変されているとみなされることを意味する。使用されるCas9に応じて、標的核酸配列内で様々なプロセシングされた事象を誘導することができる。非限定的な例として、Cas9は、切断、ニック導入事象を誘導することができ、又は目的の遺伝子の特異的な活性化、抑制又はサイレンシングを起こすことができる。本発明の方法によって、あらゆる標的核酸配列をプロセシングすることができる。標的核酸配列(又はDNA標的)は、染色体、エピソーム、細胞小器官ゲノム、例えばミトコンドリア若しくは葉緑体ゲノム、又は例えば感染ウイルスゲノム、プラスミド、エピソーム、トランスポゾンなどの遺伝物質本体とは独立して存在することができる遺伝物質中に存在していてもよい。標的核酸配列は、遺伝子のコード配列内に、例えばリーダー配列、トレーラー配列若しくはイントロンなどの転写された非コード配列内に、又はコード配列の上流若しくは下流のいずれかの非転写配列内にあってもよい。核酸標的配列は、前記標的の1つの鎖の5'から3'の配列によって定義される。
Cas9
Cas9は、Csn1(COG3513-配列番号1)とも名付けられており、crRNAの生物発生と侵入するDNAの破壊の両方に関与する大きなタンパク質である。Cas9は、S.サーモフィラス(S. thermophilus)(Sapranauskas、Gasiunasら、2011)、リステリア・イノキュア(listeria innocua)(Gasiunas、Barrangouら、2012; Jinek、Chylinskiら、2012)及びS.ピオゲネス(S. Pyogenes)(Deltcheva、Chylinskiら、2011)などの様々な細菌種で説明されている。大きなCas9タンパク質(>1200アミノ酸)は、2つの予測のヌクレアーゼドメイン、すなわちタンパク質の中央に配置されているHNH(McrA様)ヌクレアーゼドメイン及びスプリットRuvC様ヌクレアーゼドメイン(RNアーゼHフォールド)(Haft、Selengutら、2005; Makarova、Grishinら、2006)を含有する。
またCas9は、標的核酸配列をプロセシングすることが可能な操作されたエンドヌクレアーゼ又はCas9の相同体も意味する。特定の実施形態において、Cas9は、核酸標的配列における切断を誘導することができ、この切断は、二本鎖の破断又は一本鎖の破断のいずれかに相当し得る。Cas9バリアントは、自然界には通常存在せず、タンパク質工学又はランダム変異誘発により得られるCas9エンドヌクレアーゼであり得る。本発明に係るCas9バリアントは、例えば、変異、すなわちS.ピオゲネスのCas9エンドヌクレアーゼのアミノ酸配列(配列番号1)における少なくとも1つの残基の欠失、又は挿入若しくは置換により得ることができる。本発明の構成の態様において、このようなCas9バリアントは機能的なままであり、すなわちこれらは、標的核酸配列をプロセシングする能力を保持している。またCas9バリアントは、S.ピオゲネスのCas9のアミノ酸配列(配列番号1)内における少なくとも1つの残基の欠失、又は挿入若しくは置換を含み得るS.ピオゲネスのCas9の相同体であってもよい。最終的なコンストラクトが望ましい活性、特にガイドRNA又は核酸標的配列と結合する能力を有するという条件で、最終的なコンストラクトに到達するために、欠失、挿入、及び置換のあらゆる組合せがなされてもよい。
RuvC/RNアーゼHモチーフは、RNAとDNAの両方に作用する広範囲な核酸分解機能を示すタンパク質を包含する(RNアーゼH、RuvC、DNAトランスポゼース及びレトロウイルスインテグラーゼ並びにアルゴノートタンパク質のPIWIドメイン)。本発明において、Cas9タンパク質のRuvC触媒ドメインは、配列モチーフ: D-[I/L]-G-X-X-S-X-G-W-A{式中Xは、天然の20種のアミノ酸のいずれか1つを表し、[I/L]は、イソロイシン又はロイシンを表す}(配列番号2)で特徴付けることができる。他の観点で、本発明は、少なくともD-[I/L]-G-X-X-S-X-G-W-A配列{式中Xは、天然の20種のアミノ酸のいずれか1つを表し、[I/L]は、イソロイシン又はロイシンを表す}(配列番号2)を含むCas9バリアントに関する。
HNHモチーフは、コリシン、制限酵素及びホーミングエンドヌクレアーゼなどの二本鎖DNAに作用する多くのヌクレアーゼに特徴的である。ドメインHNH(SMART番号: SM00507、SCOP命名法:HNHファミリー)は、様々な結合及び切断機能を行う多様なDNA結合タンパク質に付随する(Gorbalenya 1994; Shub、Goodrich-Blairら、1994)。このようなタンパク質のいくつかは、明確な機能を有さない仮説的又は推定上のタンパク質である。公知の機能を有するものは、多様な細胞プロセス、例えば細菌毒性、グループI及びIIイントロン及びインテインにおけるホーミング機能、組換え、発生的に制御されたDNA再編成、ファージのパッケージング、並びに制限エンドヌクレアーゼ活性などに関与する(Dalgaard、Klarら、1997)。これらのタンパク質は、ウイルス、古細菌、真正細菌、及び真核生物で見出されている。興味深いことに、LAGLI-DADG及びGIY-YIGモチーフと同様に、HNHモチーフはしばしば、インテイン、グループI及びグループIIイントロンのような自己増殖エレメントのエンドヌクレアーゼドメインと連結している(Gorbalenya 1994; Dalgaard、Klarら、1997)。HNHドメインは、保存されたHis(アミノ末端)及びHis/Asp/Glu(カルボキシ末端)残基を両側にいくらかの距離で有する保存されたAsp/His残基の存在によって特徴付けることができる。これらのタンパク質のうち相当数が、中央のAsp/His残基のどちらかの側にCX2Cモチーフも有する可能性がある。HNHモチーフは、構造的に、各側にαへリックスを有するねじれたβ鎖の中央のヘアピンのように見える(Kleanthous、Kuhlmannら、1999)。本発明において、HNHモチーフは、配列モチーフ: Y-X-X-D-H-X-X-P-X-S-X-X-X-D-X-S(式中Xは、天然の20種のアミノ酸のいずれか1つを表す)(配列番号3)によって特徴付けることができる。本発明は、少なくともY-X-X-D-H-X-X-P-X-S-X-X-X-D-X-S配列(式中Xは、天然の20種のアミノ酸のいずれか1つを表す)(配列番号3)を含むCas9バリアントに関する。
スプリットCas9系
これまでのRuvC及びHNHドメインの特徴付けが、Cas9タンパク質を操作してスプリットCas9タンパク質を作り出すことに本発明者らを駆り立ててきた。驚くべきことに、本発明者らは、これらの2つのスプリットCas9は、核酸標的と一緒に又は別々に処理できることを示した。この観察が、スプリットCas9タンパク質を使用した新しいCas9系の開発を可能にしている。各スプリットCas9ドメインは、別々に調製及び使用することができる。したがって、このスプリット系は、ベクター化、すなわち珪藻における送達方法に関する数々の利点をもたらすことから、Cas9全体より短いタンパク質の送達が可能になり、さらに、所望の時間で藻類におけるゲノム操作を誘導するのに特に好適であることから、統合されたCas9ヌクレアーゼの起こり得る毒性が制限される。
「スプリットCas9」は、本明細書において、RuvC又はHNHドメインのいずれかを含むが、これらのドメインの両方は含まない、Cas9タンパク質又はCas9バリアントの短縮又はトランケートされた形態を意味する。このような「スプリットCas9」は、ガイドRNAとは独立して使用してもよいし、又は相補的な様式で使用してもよく、例えば、1つのスプリットCas9がRuvCドメインを提供し、別のスプリットCas9がHNHドメインを提供することが挙げられる。RuvC及び/又はNHNドメインのいずれかを一緒に有する異なるスプリットCas9を使用してもよい。
RuvCドメインは、一般的に、少なくともアミノ酸配列D-[I/L]-G-X-X-S-X-G-W-A{式中Xは、天然の20種のアミノ酸のいずれか1つを表し、[I/L]は、イソロイシン又はロイシンを表す}(配列番号2)を含む。HNHドメインは、一般的に、少なくともアミノ酸配列Y-X-X-D-H-X-X-P-X-S-X-X-X-D-X-S配列{式中Xは、天然の20種のアミノ酸のいずれか1つを表す}(配列番号3)を含む。より好ましくは、RuvCドメインを含む前記スプリットドメインは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。HNHドメインを含む前記スプリットドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態において、前記HNHドメインは、より優れたコザックコンセンサス配列を有するように配列番号53におけるバリンで変異させた第1のアミノ酸のロイシンを含む。
各Cas9スプリットドメインは、異なるCas9相同体から誘導することもできるし、又は同じCas9から誘導することもできる。
特に、ゲノムを操作する前記方法は、
(a)細胞中のPAMモチーフを任意選択で含む標的核酸配列を選択する工程、
(b)標的核酸配列に相補的な配列を含むガイドRNAを用意する工程、
(c)少なくとも1つのスプリットCas9ドメインを用意する工程、
(d)細胞中でスプリットCas9ドメインが標的核酸配列をプロセシングするように、ガイドRNAと前記スプリットCas9ドメインとを細胞に導入する工程
を含む。
前記Cas9スプリットドメイン(RuvC及びHNHドメイン)は、細胞中で前記スプリットCas9ドメインが標的核酸配列をプロセシングするように、細胞に同時又は逐次的に導入することができる。前記Cas9スプリットドメイン及びガイドRNAは、後述するように、細胞透過性ペプチドを使用することによって細胞に導入することができる。この方法は、遺伝子改変されていない藻類を生成するのに特に好適である。
Cas9スプリット系は、ゲノム標的化の誘導性の方法にとって特に好適である。好ましい実施形態において、発現中、細胞のゲノム内にCas9が統合されることによるCas9過剰発現の起こり得る毒作用を回避するために、スプリットCas9ドメインは、好ましくは前記スプリットドメインをコードする導入遺伝子で前記細胞を安定して形質転換することによって、細胞に導入される。次いで、2つのスプリット部分が細胞に再び集まって、機能的なCas9タンパク質が所望の時間で再編成されるように、Cas9の相補的スプリット部分が細胞に導入される。前記スプリットCas9は、同じCas9タンパク質から誘導することもできるし、又は異なるCas9バリアント、特に上述したようなRuvC及びHNHドメインから誘導することもできる。
本発明の別の態様において、1つのみのスプリットCas9ドメインが、前記細胞に導入される。実際、驚くべきことに本発明者らは、上述したようなRuvCモチーフを含むスプリットCas9ドメインは、HNHモチーフを含むスプリットドメインとは独立して標的核酸配列を切断することが可能であることを示した。ガイドRNAは、標的核酸配列に結合するのにHNHドメインの存在を必要とせず、RuvCスプリットドメインと結合するのに十分な安定性を有する。好ましい実施形態において、前記スプリットCas9ドメインは単独で、前記標的核酸配列にニック導入することが可能である。
他の特定の実施形態において、存在し得る内因性RuvC及び/又はHNH触媒ドメインは、藻類のゲノムによってコードされていてもよい。したがって、内因性RuvC及び/又はHNN発現は、ガイドRNAの存在下で標的核酸配列をプロセシングすることが可能である。本発明の方法は、PAMモチーフを任意選択で含む標的核酸配列を選択する工程、標的核酸配列に相補的な配列を含むガイドRNAを用意する工程、任意選択でスプリットCas9ドメインを用意する工程、及び任意選択で前記スプリットCas9ドメインと共に、前記相補核酸を細胞に導入して、標的核酸配列をプロセシングする工程を含んでいてもよい。
各スプリットドメインは、N末端及び/又はC末端において少なくとも1つの活性ドメインに融合されていてもよく、前記活性ドメインは、ヌクレアーゼ(例えばエンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼ)、ポリメラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、アセチラーゼ、デアセチラーゼ(desacetylase)、トポイソメラーゼ、インテグラーゼ、トランスポゼース、リガーゼ、ヘリカーゼ、リコンビナーゼ、転写活性化因子(例えばVP64、VP16)、転写阻害剤(例えばKRAB)、DNA末端プロセシング酵素(例えばTrex2、Tdt)、レポーター分子(例えば蛍光タンパク質、lacZ、ルシフェラーゼ)からなる群から選択することができる。
HNHドメインは、標的二本鎖DNAの1つの鎖のニック導入に関与し、RuvC様RNアーゼHフォールドドメインは、二本鎖核酸標的の他の鎖(PAMモチーフを含む)のニック導入に関与する(Jinek、Chylinskiら、2012)。しかしながら、野生型Cas9において、これらの2つのドメインは、PAMのすぐ隣における同じ標的配列内の侵入DNA(プロトスペーサー)の平滑の切断を引き起こす(Jinek、Chylinskiら、2012)。Cas9は、ニッカーゼであってもよく、異なる標的配列内でニック事象を誘導する。非限定的な例として、Cas9又はスプリットCas9は、異なる標的配列内でニック事象を誘導するために、HNH又はRuvC様ドメインのいずれかの触媒残基に変異を含んでいてもよい。非限定的な例として、Cas9タンパク質の触媒残基は、配列番号1のアミノ酸D10、D31、H840、H868、N882及びN891、又はCasファミリーメンバーの相同体にCLUSTALW方法を使用して並べられた位置に対応する残基である。これらの残基はいずれも、他のあらゆるアミノ酸で、好ましくはアラニン残基で置き換えることができる。触媒残基における変異は、cas9の触媒ドメインの少なくとも1つの不活性化を誘導する別のアミノ酸での置換又はアミノ酸の欠失若しくは付加のいずれかを意味する。(Sapranauskas、Gasiunasら、2011; Jinek、Chylinskiら、2012を参照)。特定の実施形態において、Cas9又はスプリットCas9は、上記の変異の1つ又は数種を含んでいてもよい。他の特定の実施形態において、スプリットCas9は、2つのRuvC及びHNH触媒ドメインの1つのみを含む。本発明において、異なる種のCas9、Cas9相同体、操作されたCas9及びそれらの機能的なバリアントを使用することができる。本発明は、目的の遺伝子配列における核酸切断を行うための、このようなCas9又はスプリットCas9バリアントの使用を想定している。前記Cas9又はスプリットCas9バリアントは、異なる種のCas9、Cas9相同体、操作されたCas9及びそれらの機能的なバリアントと、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。好ましくは、前記Cas9バリアントは、配列番号1と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
本発明の別の態様において、Cas9又はスプリットCas9は、エンドヌクレアーゼ活性がない。結果得られたCas9又はスプリットCas9は、標的核酸配列の相補配列を含むように設計されたガイドRNAと共発現される。エンドヌクレアーゼ活性がないCas9の発現は、目的の遺伝子の特異的なサイレンシングをもたらす。この系は、CRISPR干渉(CRISPRi)と名付けられている(Qi、Larsonら、2013)。サイレンシングは、目的の遺伝子が機能性タンパク質の形態で発現されないことを意味する。サイレンシングは、転写又は翻訳工程で起こる可能性がある。本発明によれば、サイレンシングは、転写を直接ブロックすることによって、より具体的には転写の伸長をブロックすることによって、又はあらゆるプロモーター内の主要なシス作用性モチーフを標的化し、それらの同源のトランス作用性転写因子の連結を空間配置的にブロックすることによって起こる可能性がある。エンドヌクレアーゼ活性がないCas9は、機能しないHNH及びRuvCドメインの両方を含む。特に、Cas9又はスプリットCas9ポリペプチドは、RuvC様及びHNHドメインの両方の触媒残基において不活性化する変異を含む。例えば、Cas9切断活性に必要な触媒残基は、配列番号1のD10、D31、H840、H865、H868、N882及びN891、又はCasファミリーメンバーの相同体にCLUSTALW方法を使用して並べられた位置であり得る。HNH又はRuvCモチーフに含まれる残基は、上記の段落で説明された残基であり得る。これらの残基のいずれかは、他のアミノ酸のいずれか1つによって、好ましくはアラニン残基によって置き換えることができる。触媒残基における変異は、別のアミノ酸による置換、又はcas9の触媒ドメインの少なくとも1つの不活性化を誘導するアミノ酸の欠失若しくは付加のいずれかを意味する。
他の特定の実施形態において、Cas9又は各スプリットドメインは、N末端及び/又はC末端において少なくとも1つの活性ドメインに融合されていてもよい。前記活性ドメインは、ヌクレアーゼ(例えばエンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼ)、ポリメラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、アセチラーゼ、デアセチラーゼ、トポイソメラーゼ、インテグラーゼ、トランスポゼース、リガーゼ、ヘリカーゼ、リコンビナーゼ、転写活性化因子(例えばVP64、VP16)、転写阻害剤(例えばKRAB)、DNA末端プロセシング酵素(例えばTrex2、Tdt)、レポーター分子(例えば蛍光タンパク質、lacZ、ルシフェラーゼ)からなる群から選択することができる。
PAMモチーフ
本発明におけるあらゆる存在し得る選択された標的核酸配列は、プロトスペーサー隣接モチーフ又はプロトスペーサー会合モチーフ(PAM)と名付けられたその3'末端に特異的な配列を有していてもよい。PAMは、標的化された核酸配列中に存在するが、それを標的化するように生産されたcrRNAには存在しない。好ましくは、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)は、リーダーの遠位端におけるプロトスペーサーからすぐに、又はその近くで始まる2から5ヌクレオチドに相当する可能性がある。PAMの配列及び位置は、系によって様々である。PAMモチーフは、非限定的な例として、例えば、NNAGAA、NAG、NGG、NGGNG、AWG、CC、CC、CCN、TCN、TTCであり得る(shah SA、RNA biology 2013)。異なるタイプII系は、相違するPAM必要条件を有する。例えば、S.ピオゲネス系は、NGG配列(式中Nは、あらゆるヌクレオチドであり得る)を必要とする。S.サーモフィラスのタイプII系は、NGGNG(Horvath及びBarrangou 2010)及びNNAGAAW(Deveau、Barrangouら、2008)を必要とするが、異なるS.ミュータンス(S. mutant)系は、NGG又はNAARに耐性を有する(van der Ploeg 2009)。PAMは、プロトスペーサーに隣接する領域に限定されず、プロトスペーサーの一部であってもよい(Mojica、Diez-Villasenorら、2009)。特定の実施形態において、Cas9タンパク質は、いかなるPAMモチーフも認識しないように、又は非天然のPAMモチーフを認識するように操作されてもよい。このケースにおいて、選択された標的配列は、あらゆる組合せのアミノ酸を含むより小さい又はより大きいPAMモチーフを含んでいてもよい。好ましい実施形態において、選択された標的配列は、本発明に係るCas9バリアントによって認識される少なくとも3、好ましくは、4、より好ましくは5ヌクレオチドを含むPAMモチーフを含む。
ガイドRNA
本発明の方法は、操作されたガイドRNAを用意する工程を含む。ガイドRNAは、相補配列を含む核酸配列に対応する。好ましくは、前記ガイドRNAは、crRNA及びtracrRNAに相当し、crRNA及びtracrRNAは別々に使用されてもよいし、又は一緒に融合されていてもよい。
天然のタイプIIのCRISPR系において、CRISPR標的化RNA(crRNA)の標的配列は、プロトスペーサーとして公知のDNA配列から転写される。プロトスペーサーは、CRISPRアレイと呼ばれるグループで細菌ゲノムにおいてクラスター化されている。プロトスペーサーは、短い回文構造の反復によって分離された公知の外来DNAの短い配列(約20bp)であり、将来遭遇するものに対する記録のように存在し続ける。crRNAを作り出すために、CRISPRアレイを転写し、RNAをプロセシングして、反復間の個々の認識配列を分離する。スペーサーを含有するCRISPR遺伝子座は、長いプレcrRNA中に転写される。CRISPRアレイ転写物(プレcrRNA)の個々のcrRNAへのプロセシングは、回文構造の反復に相補的な配列を有するトランス活性化crRNA(tracrRNA)の存在に依存する。tracrRNAがプレcrRNAのスペーサーを分離する反復領域にハイブリダイズすると、内因性RNアーゼIIIによってdsRNA切断が開始し、それに続いて各スペーサー内でのCas9による第2の切断事象が起こり、tracrRNA及びCas9に連結されたままの成熟crRNAsが産生され、Cas9-tracrRNA:crRNA複合体が形成される。tracrRNAを含む操作されたcrRNAは、選択された核酸配列を標的化すること、RNアーゼIII及びcrRNAプロセシングの必要性をなくすことが一般的に可能である(Jinek、Chylinskiら、2012)。
本発明において、crRNAは、標的核酸配列を標的化すること、好ましくは標的核酸配列を切断することが可能になるように、標的核酸の一部に相補的な配列を含むように操作される。特定の実施形態において、crRNAは、標的核酸配列に相補的な5から50ヌクレオチド、好ましくは12ヌクレオチドの配列を含む。さらに特定の実施形態において、crRNAは、少なくとも30ヌクレオチドの配列であって、標的核酸配列に相補的な少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは12ヌクレオチドを含む、配列である。
別の態様において、crRNAは、標的核酸に相補的なより大きい配列を含むように操作されてもよい。実際に、本発明者らは、RuvCスプリットCas9ドメインは、ガイドRNAのみで標的核酸配列を切断することが可能であることを示した。したがって、ガイドRNAは、HNHスプリットCas9ドメインの非存在下で標的核酸配列と結合することができる。crRNAは、HNHスプリットドメイン結合の安定性作用を有する必要がなくともDNA-RNA二重鎖間でのアニーリングを増加させるために、より大きい相補配列、好ましくは20bpより多くの相補配列を含むように設計することができる。したがって、crRNAは、20bpより大きい標的核酸配列への相補配列を含んでいてもよい。このようなcrRNAは、Cas9活性の特異性を増加させる。
またcrRNAは、標的化効率を改善するために、相補配列に続いて5'末端に4〜10ヌクレオチドを含んでいてもよい(Cong、Ranら、2013; Mali、Yangら、2013)。好ましい実施形態において、crRNAの相補配列の後に、3'末端において反復配列又は3'伸長配列と名付けられた核酸配列が続く。
数々のcrRNAと、両方の遺伝子を標的化した2種の異なる遺伝子に対する別個の相補領域との共発現は、同時に使用することができる。したがって、特定の実施形態において、crRNAは、異なる標的核酸配列を同時に認識するように操作されてもよい。このケースにおいて、同じcrRNAは、異なる標的核酸配列の一部に相補的な少なくとも2つの別個の配列を含む。好ましい実施形態において、前記相補配列は、反復配列で分離される。
本発明に係るcrRNAはまた、その2次構造の安定性及び/又はそのCas9に対する結合親和性が増加するように改変されてもよい。特定の実施形態において、crRNAは、2',3'-環状ホスフェートを含んでいてもよい。2',3'-環状ホスフェート末端は、多くの細胞プロセス、すなわちtRNAスプライシング、数々のリボヌクレアーゼによるエンドヌクレアーゼ切断、RNAリボザイムによる自己切断、並びに折り畳まれていないタンパク質の小胞体への蓄積及び酸化的ストレスなどの様々な細胞ストレスへの応答に関与するようである(Schutz、Hesselberthら、2010)。本発明者らは、2',3'-環状ホスフェートは、crRNAの安定性又はそのCas9に対する親和性/特異性を強化するという仮説を立てた。したがって、本発明は、2',3'-環状ホスフェートを含む改変されたcrRNA、及び改変されたcrRNAを使用したCRISPR/cas系に基づくゲノム操作のための方法に関する(Jinek、Chylinskiら、2012; Cong、Ranら、2013; Mali、Yangら、2013)。
ガイドRNAはまた、トランス活性化CRISPR RNA(TracrRNA)を含んでいてもよい。本発明に係るトランス活性化CRISPR RNAは、crRNAの3'伸長配列の少なくともの一部と塩基対を形成して、ガイドRNA(gRNA)とも称されるtracrRNA:crRNAを形成することが可能なアンチリピート配列(anti-repeat sequence)を特徴とする。TracrRNAは、crRNAの領域に相補的な配列を含む。tracrRNA-crRNA複合体を模擬したヘアピンを形成するcrRNA及びtracrRNAの融合体を含むガイドRNA(Jinek、Chylinskiら、2012; Cong、Ranら、2013; Mali、Yangら、2013)は、Cas9エンドヌクレアーゼが介在する標的核酸の切断を支援するために使用することができる。ガイドRNAは、好ましくは反復配列で分離された2つの標的核酸配列の一部に相補的な2つの別個の配列を含んでいてもよい。
特定の実施形態において、本発明に係るCas9は、通常は非相同末端結合(NHEJ)を介して修復される標的核酸配列における切断事象の結果生じる遺伝学的改変を誘導することができる。NHEJは、少なくとも2種の異なるプロセスを含む。メカニズムは、2つのDNA末端の残りの部分を直接の再ライゲーションを介して(Critchlow及びJackson 1998)又はいわゆるマイクロホモロジー介在末端結合によって(Ma、Kimら、2003)再結合させることを含む。非相同末端結合(NHEJ)を介した修復はしばしば小挿入又は欠失を引き起こし、特異的な遺伝子ノックアウトを作り出すのに使用することができる。「切断事象」は、二本鎖の破断又は一本鎖の破断事象を意図している。前記改変は、遺伝物質の欠失、遺伝物質におけるヌクレオチドの挿入、又はヌクレオチドの欠失と挿入の両方の組合せであり得る。
また本発明は、標的核酸配列を改変するための方法であって、宿主細胞に追加の触媒ドメインを発現する工程をさらに含む、方法にも関する。より好ましい実施形態において、本発明は、変異誘発を増加させる方法であって、前記追加の触媒ドメインがDNA末端プロセシング酵素である、方法に関する。DNA末端プロセシング酵素の非限定的な例としては、5-3'エキソヌクレアーゼ、3-5'エキソヌクレアーゼ、5-3'アルカリ性エキソヌクレアーゼ、5'フラップエンドヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、ホスファターゼ(hosphatase)、ヒドロラーゼ及び鋳型非依存性DNAポリメラーゼが挙げられる。このような触媒ドメインの非限定的な例は、hExoI(EXO1_HUMAN)、酵母ExoI(EXO1_YEAST)、大腸菌(E.coli)ExoI、ヒトTREX2、マウスTREX1、ヒトTREX1、ウシTREX1、ラットTREX1、TdT(末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ)ヒトDNA2、酵母DNA2(DNA2_YEAST)からなる群から選択されるタンパク質ドメイン又はタンパク質ドメインの触媒活性誘導体で構成される。好ましい実施形態において、前記追加の触媒ドメインは、3'-5'-エキソヌクレアーゼ活性を有し、より好ましい実施形態において、前記追加の触媒ドメインは、TREXエキソヌクレアーゼ活性、より好ましくはTREX2活性を有する。別の好ましい実施形態において、前記触媒ドメインは、単鎖TREXポリペプチドによってコードされる。前記追加の触媒ドメインは、任意選択でペプチドリンカーにより本発明に係るヌクレアーゼ融合タンパク質又はキメラタンパク質に融合されていてもよい。
エンドヌクレアーゼによる破断は、相同組換えの速度を高めることが公知である。それゆえに、別の好ましい実施形態において、本発明は、核酸標的配列中で標的化される相同な遺伝子を誘導するための方法であって、標的核酸配列の少なくとも一部に相同な配列を含む外因性核酸を、標的核酸配列と外因性核酸との間で相同組換えが起こるように細胞に提供することをさらに含む、方法に関する。
特定の実施形態において、前記外因性核酸は、それぞれ標的核酸配列の5'及び3'領域に相同な第1及び第2の部分を含む。これらの実施形態において、前記外因性核酸はまた、標的核酸配列の5'及び3'領域と相同性がない、第1の部分と第2の部分との間に位置する第3の部分も含む。標的核酸配列の切断後、相同組換え事象は、標的核酸配列と外因性核酸との間で促進される。好ましくは、ドナーマトリックス内で、少なくとも50bp、好ましくは100bpより多く、より好ましくは200bpより多くの相同配列が使用される。それゆえに、相同配列は、好ましくは200bpから6000bp、より好ましくは1000bpから2000bpである。実際に、共通の核酸相同性は、破断部位の上流及び下流の両側にある領域に配置され、導入しようとする核酸配列は、2つのアームの間に配置されるはずである。
破断事象が起こった標的核酸配列の位置に応じて、このような外因性核酸は、例えば外因性核酸が前記遺伝子のオープンリーディングフレーム内に配置される場合、遺伝子をノックアウトするのに使用することができ、又は新しい配列又は目的の遺伝子を導入するのに使用することができる。このような外因性核酸を使用することによる配列の挿入を使用して、前記遺伝子の修正又は置き換えによって、標的化された既存の遺伝子を改変することができ(非限定的な例として、対立遺伝子交換)、又は前記標的化された遺伝子の修正又は置き換えによって、標的化された遺伝子の発現をアップ又はダウンレギュレートすることができる(非限定的な例として、プロモーター交換)。
選択マーカー
特定の実施形態において、本発明に係る標的核酸配列は、形質転換した藻類を選択するための毒性基質に対する耐性を付与する選択可能マーカー遺伝子である。本発明に係る選択可能マーカーは、不要なエレメントを排除するのに役立つ。特に、選択可能マーカー遺伝子は、毒性基質を含む培地に対する感受性を付与する内因性遺伝子である。したがって、選択可能マーカー遺伝子の不活性化は、毒性基質を含む培地に対する耐性を付与する。これらのマーカーはしばしば、特定の条件下で毒性であるか、又は別の方法で複製に対して阻害性である。その結果として、不活性化された選択可能マーカー遺伝子を含む細胞を選択することが可能である。また細胞の選択は、特定の代謝産物に対して栄養要求性株の使用を介して達成することもできる。非限定的な例として、アミノ酸合成又は炭素源代謝に必要な遺伝子における点変異又は欠失を使用して、必要な栄養素を含まない培地で成長させたときに株を選択することができる。ほとんどの場合、選択には既定「最小」培地が必要である。富栄養培地で使用することができる、大腸菌(E. coli)由来のthyA及びdapA〜Eなどの選択的な栄養要求性マーカーが多数ある。
非限定的な例として、前記選択可能マーカーは、テトラサイクリンに対する耐性を付与するが親油性成分、例えばフザリン酸及びキナルジン酸(quinalic acid)に対する感受性は付与しないtetAR遺伝子(Bochner、Huangら1980; Maloy及びNunn 1981)、スクロースを細菌にとって有害なレバンに変換するレバンスクラーゼをコードするsacB枯草菌(b. subtilis)遺伝子(Steinmetz、Le Coqら1983; Gay、Le Coqら1985)、ストレプトマイシンのリボソームサブユニットタンパク質(S12)標的をコードするrpsL遺伝子(Dean 1981)、細菌ジャイレースの強力な毒物である細胞傷害性タンパク質(cell-killing protein)をコードするccdB(Bernard、Gabantら1994)、細菌をフェニルアラニン類似体のp-クロロフェニルアラニンに対して感受性にするPhe-tRNAシンセターゼのアルファサブユニットをコードするPheS(Kast 1994)、トリメトプリム及び関連化合物に対する感受性を付与するチミジンシンセターゼをコードするthya遺伝子(Stacey及びSimson 1965)、細菌をt-o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシドに対して感受性にするラクトースパーミアーゼをコードするlacY(Murphy、Stewartら1995)、フルオロアセタミドを毒性化合物のフルオロアセテートに変換するタンパク質をコードするamiE遺伝子(Collier、Spenceら2001)、mazF遺伝子、チミジンキナーゼ、ピリミジンヌクレオチドのデノボ合成及び細胞死をもたらす毒性化合物の5-フルオロウラシルへの5-フルオロオロチン酸(5-FOA)の変換に関与するタンパク質をコードするウリジン5'-一リン酸シンターゼ遺伝子(UMPS)(Sakaguchi、Nakajimaら2011)、塩素酸塩に対する感受性を付与するタンパク質をコードする硝酸レダクターゼ遺伝子(Daboussi、Djeballiら1989)、インドール類似体の5-フルオロインドール(5-FI)を毒性のトリプトファン類似体である5-フルオロトリプトファンに変換するトリプトファンシンターゼ遺伝子(Rohr、Sarkarら2004; Falciatore、Merendinoら2005)であり得る。本発明によれば、前記選択可能マーカーは、上述した様々な遺伝子の相同配列であってもよい。ここでタンパク質間又はDNA配列間の相同性は、共通の祖先の観点から規定される。2つのDNAセグメントが、分種化事象(オーソログ)又は重複事象(パラログ)のどちらかの理由で共通の祖先を有する可能性がある。好ましい実施形態において、前記細胞は、藻類細胞、より好ましくは珪藻であり、前記選択可能マーカー遺伝子は、UMPS又は硝酸レダクターゼ遺伝子である。
送達方法
本発明の方法は、ガイドRNA(crRNA、tracrRNa、又は融合ガイドRNA)、スプリットCas9、Cas9、外因性核酸、DNA末端プロセシング酵素などの目的の分子を細胞に導入する工程を含む。ガイドRNA、スプリットCas9、Cas9、外因性核酸、DNA末端プロセシング酵素又は目的の他の分子は、ポリヌクレオチド、好ましくはRNA又はポリペプチドをコードするベクターに含まれる導入遺伝子を細胞に導入した結果として細胞中でインサイチュで合成されてもよい。その代わりに、目的の分子は、細胞の外部で産生され、次いで細胞に導入されてもよい。
前記ポリヌクレオチドは、例えば、これらに限定されないが、エレクトロポレーション、磁気泳動によって細胞に導入することができる。後者は、磁気泳動プロセスとミクロサイズの直線状の磁石のナノテクノロジーによる製作とを使用する核酸導入技術であり(Kuehnleら、米国特許第6,706,394号; 2004; Kuehnleら、米国特許第5,516,670号; 1996)、これは、淡水性のクラミドモナス属(Chlamydomonas)における有効な葉緑体工学に適していることを証明しており、プラスチドの形質転換効率を、現況技術の遺伝子銃と比べて2桁改善した(Champagneら、Magnetophoresis for pathway engineering in green cells. Metabolic engineering V: Genome to Product、Engineering Conferences International Lake Tahoe CA、要旨76頁; 2004)。細胞を形質転換させるのに使用できる別の技術は、プロトプラストのポリエチレングリコール処理である(Maliga 2004)。様々な実施形態において、形質転換方法は、細胞への核酸の導入を可視化又は定量化するための1つ又は複数の方法と組み合わせることができる。またタンパク質トランスフェクションのための市販の適切な混合物も、藻類にタンパク質を導入するのに使用することができる。より広範には、細胞又は細胞内区画の内部への薬剤/化学物質及び分子(タンパク質)の送達を可能にするための当業界において公知のあらゆる手段、非限定的な例として、リポソーム送達手段、高分子担体、化学的な担体、リポプレックス、ポリプレックス、デンドリマー、ナノ粒子、エマルジョン、天然エンドサイトーシス又は食作用経路などを使用することができる。直接の導入、例えば目的とするタンパク質の細胞中のマイクロインジェクションを検討することができる。より好ましい実施形態において、前記形質転換コンストラクトは、パーティクルインフローガン照射法(particle inflow gun bombardment)又はエレクトロポレーションによって宿主細胞に導入される。
細胞透過性ペプチドの送達方法
好ましい実施形態において、前記目的の分子、例えばガイドRNA、スプリットCas9、Cas9、外因性核酸、DNA末端プロセシング酵素及び目的の他の分子(カーゴ分子と名付けられる)は、細胞透過性ペプチド(CPP)を使用することによって細胞に導入することができる。特に、本方法は、細胞透過性ペプチド及び目的の分子(カーゴ分子と名付けられる)を含む組成物を調製する工程、及び該組成物を珪藻と接触させる工程を含んでいてもよい。前記カーゴ分子は、細胞透過性ペプチドと混合されていてもよい。前記CPP、好ましくはCPPのN末端又はC末端はまた、カーゴ分子と連結されていてもよい。この連結は、共有結合であってもよいし、又は非共有結合であってもよい。CPPは、2つの主要なクラス、すなわちカーゴとの化学結合を必要とする第1のクラスと、安定な非共有結合による複合体の形成を含む第2のクラスとにさらに分割することができる。共有結合したCPPは、化学的架橋(例えばジスルフィド結合)によって、又はクローニングとそれに続くCPP融合タンパク質の発現によって、カーゴ分子との共有結合のコンジュゲートを形成する。好ましい実施形態において、前記CPPは、チオールで改変されたカーゴ分子がCPPとジスルフィド結合を形成するように、ピリジルジスルフィド基を有する。前記ジスルフィド結合は、特に細胞質などの還元性の環境で切断される可能性がある。非共有結合したCPPは、優先的には、両親媒性ペプチドであり、例えば非共有結合の静電及び疎水性相互作用を介してカーゴ分子と安定な複合体を形成できるpep-1及びMPGなどである。
CPPの定義は絶えず進化しているが、CPPは、一般的に、受容体とは無関係の方式で細胞膜を通過して極性親水性生体分子を輸送することが可能な、タンパク質又はキメラ配列のいずれかから誘導された35アミノ酸未満の短いペプチドと説明されている。CPPは、カチオン性ペプチド、疎水性配列を有するペプチド、両親媒性ペプチド、プロリンリッチで抗微生物性の配列を有するペプチド、及びキメラ又は2部構成のペプチド(Pooga及びLangel 2005)であり得る。特定の実施形態において、カチオン性CPPは、複数の塩基性基を有するカチオン性CPP(例えば、アルギニン及び/又はリシン)を含み得る。好ましくは、CCPは両親媒性であり、正味の正電荷を有する。CPPは、生体膜を通過して、細胞膜を通過して細胞質に入る様々な生体分子の運動を開始させ、それらの細胞内の経路決定を改善することができ、それによって標的との相互作用が促進される。CPPの例としては、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)によるウイルス複製に必要な101アミノ酸のタンパク質である核内転写活性化因子タンパク質であるTat、ショウジョウバエ属(Drosophilia)におけるホメオタンパク質のアンテナペディアの第3へリックスに相当するペネトラチン、カポジ線維芽細胞増殖因子(FGF)シグナルペプチド配列、インテグリンβ3シグナルペプチド配列;グアニンリッチな分子輸送体、MPG、pep-1、スイートアローペプチド(sweet arrow peptide)、デルマセプチン、トランスポータン、pVEC、ヒトカルシトニン、マウスプリオンタンパク質(mPrPr)、ポリアルギニンペプチドArgs配列、単純疱疹ウイルス由来のVP22タンパク質、抗菌性ペプチドBuforin I及びSynB(US2013/0065314を参照)を挙げることができる。CPPの新しいバリアントは、異なる導入ドメインを併せ持つことができる。
好ましい実施形態において、前記CPPは、共有結合又は非共有結合でカチオン性又はリポソームポリマー、例えばポリエチレンイミン(PEI)に融合していてもよい。別の好ましい実施形態において、カーゴ分子の送達を容易にするために、細胞壁又は細胞膜の透過性を増加させることができる。細胞壁又は膜透過性は、例えば微小藻類細胞を包む細胞外マトリックスを分解する多糖リアーゼ又はオリゴ糖リアーゼを使用することにより増加させることができる。前記リアーゼは、ヘパリナーゼ、ヘパリチナーゼ(heparatinase)、コンドロイチナーゼ、ヒアルロニダーゼ、グルクロニダーゼ(glucuronase)、エンドH、PNGアーゼ、エキソ-α-D-マンノシダーゼであり得る。また、藻類の膜又は細胞壁の完全性を弱くするために、前記藻類に30℃又は60℃で細胞の温水処理を実行することもできる。別の好ましい実施形態において、クロロキン薬物は、分子、特にエンドソームの小胞からサイトゾルに取り込まれたCPP融合カーゴ分子の放出を改善するのに使用することができる。
特定の実施形態において、前記細胞透過性ペプチドは、レポーターマーカーに連結され(すなわち、融合され、共有結合又は非共有結合で結合され)、形質転換細胞が選択される。レポーターマーカーは、その転写が検出可能であるか、及び/又は同様に検出可能なタンパク質を発現するレポーターマーカーであり、そのどちらもアッセイすることができる。容易に検出可能なタンパク質の例としては、β-ガラクトシダーゼ、蛍光タンパク質(例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色、シアン、黄色蛍光タンパク質、フルオレセイン、フィコエリトリン)、化学発光タンパク質、放射線同位体、タグマーカー(例えばHA、FLAG、フルオレセインタグ)、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータラクタマーゼ、アルカリホスファターゼ及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、同様に酵素又はタンパク質、すなわち栄養分の生合成に関与する選択可能マーカー、例えばLeu2、His3、Trp1、Lys2、Ade2及びUra3が挙げられる。
単離された細胞
別の態様において、本発明は、上述した方法により得ることができる、又は得られた単離された細胞に関する。特に、本発明は、Cas9又はスプリットCas9を含む細胞、好ましくは藻類細胞に関する。他の特定の実施形態において、本発明は、ガイドRNA、Cas9又はスプリットCas9に融合した細胞透過性ペプチドを含む単離された細胞に関する。
本発明の構成において、「藻類」又は「藻類細胞」は、本発明のヌクレアーゼを使用する選択方法のための宿主として使用することができる藻類の様々な種を指す。藻類の大部分は、主として根、葉及び高等植物に特徴的な他の器官の欠如によって一体化される光独立栄養生物である。用語「藻類」は、これらに限定されないが、数種の真核生物門、例えば、紅藻植物門(Rhodophyta)(紅藻類)、緑藻植物門(Chlorophyta)(緑藻類)、褐藻植物門(Phaeophyta)(褐藻類)、珪藻植物門(Bacillariophyta)(珪藻類)、ユースティグマトフィタ門(Eustigmatophyta)及び渦鞭毛藻類など、加えて原核生物門である青緑色細菌門(Cyanobacteria)(青緑藻)で構成される。用語「藻類」は、例えば、アンフォラ属(Amphora)、アナベナ属(Anabaena)、アンキストロデスムス属(Anikstrodesmus)、ボツリオコッカス属(Botryococcus)、キートケロス属(Chaetoceros)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、クロレラ属(Chlorella)、クロロコックム属(Chlorococcum)、キクロテラ属(Cyclotella)、シリンドロテカ属(Cylindrotheca)、ドナリエラ属(Dunaliella)、エミリアナ属(Emiliana)、ユーグレナ属(Euglena)、ヘマトコッカス属(Hematococcus)、イソクリシス属(Isochrysis)、モノクリシス属(Monochrysis)、モノラフィディウム属(Monoraphidium)、ナノクロリス属(Nannochloris)、ナノクロロプシス属(Nannnochloropsis)、ナビクラ属(Navicula)、ネフロクロリス属(Nephrochloris)、ネフロセルミス属(Nephroselmis)、ニッチア属(Nitzschia)、ノデュラリア属(Nodularia)、ネンジュモ属(Nostoc)、オクロモナス属(Oochromonas)、オーシスティス属(Oocystis)、オシラトリア属(Oscillatoria)、パブロバ属(Pavlova)、フェオダクチラム属(Phaeodactylum)、プラチモナス(Playtmonas)、プレウロクリシス属(Pleurochrysis)、アマノリ属(Porhyra)、シュードアナベナ属(Pseudoanabaena)、ピラミモナス属(Pyramimonas)、スティココッカス属(Stichococcus)、シネココッカス属(Synechococcus)、シネコシスティス属(Synechocystis)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、タラシオシラ属(Thalassiosira)、及びトリコデスミウム属(Trichodesmium)から選択される藻類を包含する。
より好ましい実施形態において、藻類は、珪藻である。珪藻は、それらのナノメートル規模で互いに変化する非晶質シリカの細胞壁の種特異的な形態学によって識別される単細胞の光合成生物である。珪藻としては、非限定的な例として、フェオダクチラム属、フラジラリオプシス属(Fragilariopsis)、タラシオシラ属(Thalassiosira)、コシノディスカス属(Coscinodiscus)、アラキノイジスクスム属(Arachnoidiscusm)、アスター・オムファルス(Aster omphalus)、ナビクラ属、キートケロス属、コレトロン属(Chorethron)、シリンドロテカ・フシフォルミス、キクロテラ属、ラムプリスカス属(Lampriscus)、ギロシグマ属(Gyrosigma)、アクナンテス属(Achnanthes)、コッコネイス属(Cocconeis)、ニッチア属、アンフォラ属、シゾチトリウム属(Schizochytrium)及びオドンテラ属(Odontella)が挙げられる。より好ましい実施形態において、本発明に係る珪藻は、タラシオシラ・シュードナナ種又はフェオダクチラム・トリコルヌタム種由来である。
キット
本発明の別の態様は、藻類細胞選択のためのキットであって、標的核酸配列を認識するように特異的に操作された、カーゴ分子、好ましくはCas9、スプリットCas9又はガイドRNAに融合した細胞透過性ペプチドを含む、キットである。本キットは、上述したような選択方法を実行するのに必要な1つ又は数種の成分をさらに含んでいてもよい。
定義
上記の記載において、広範囲にわたり多数の用語が使用されている。以下の定義は、本発明の実施形態の理解を容易にするために提供される。
ポリペプチド配列中のアミノ酸残基は、本明細書では1文字コードに従って指定され、例えば、Qは、Gln又はグルタミン残基を意味し、Rは、Arg又はアルギニン残基を意味し、Dは、Asp又はアスパラギン酸残基を意味する。
アミノ酸置換は、1つのアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置き換えることを意味し、例えば、ペプチド配列中でアルギニン残基をグルタミン残基で置き換えることは、アミノ酸置換である。
ヌクレオチドは、以下のように指定される。1文字コードは、ヌクレオシドの塩基を指定するために使用され、aは、アデニンであり、tは、チミンであり、cは、シトシンであり、gは、グアニンである。変性ヌクレオチドの場合、rは、g又はa(プリンヌクレオチド)を表し、kは、g又はtを表し、sは、g又はcを表し、wは、a又はtを表し、mは、a又はcを表し、yは、t又はc(ピリミジンヌクレオチド)を表し、dは、g、a又はtを表し、vは、g、a又はcを表し、bは、g、t又はcを表し、hは、a、t又はcを表し、nは、g、a、t又はcを表す。
本明細書で使用される場合、「核酸」又は「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド及び/又はポリヌクレオチド、例えばデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成したフラグメント、並びにライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、及びエキソヌクレアーゼ作用のいずれかによって生成したフラグメントを指す。核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド(例えばDNA及びRNA)、若しくは天然に存在するヌクレオチドの類似体(例えば、天然に存在するヌクレオチドのエナンチオマーの形態)である単量体、又は両方の組合せで構成されていてもよい。改変されたヌクレオチドは、糖部分及び/又はピリミジン若しくはプリン塩基部分に変更を有していてもよい。糖の改変としては、例えば、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基のハロゲン、アルキル基、アミン、及びアジド基での置き換えが挙げられ、又は糖は、エーテル又はエステルとして官能化されてもよい。さらに、糖部分の全体が、空間配置的及び電子的に類似した構造、例えばアザ糖及び炭素環式の糖類似体で置き換えられていてもよい。塩基部分における改変の例としては、アルキル化プリン及びピリミジン、アシル化プリン若しくはピリミジン、又は他の周知の複素環式の置換基が挙げられる。核酸の単量体は、ホスホジエステル結合又はこのような連結に類似したものによって連結されていてもよい。核酸は、一本鎖又は二本鎖のどちらであってもよい。
「相補配列」は、標準的な低いストリンジェントな条件下でポリヌクレオチドの別の一部(例えばそれぞれ標的核酸配列又はcrRNA)にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドの配列の一部(例えばcrRNa又はtracRNAの一部)を意味する。このような条件は、例えば、25%ホルムアミド、4×SSC、50mMのNaH2PO4/Na2HPO4緩衝液; pH7.0、5×デンハルト、1mMのEDTA、1mg/mlのDNA+20から200ng/mlの試験しようとするプローブ(およそ20〜200ng/ml))を含有する緩衝液を使用することによって、室温で2時間であり得る。これはまた、配列内の相補的な塩基の数と文献に示されているような室温におけるG-C含量とを使用するハイブリダイゼーションの標準的な計算によって予測することもできる。優先的には、配列は、鎖間のワトソン-クリック塩基対形成、すなわちアデニン及びチミン(A-T)ヌクレオチド間並びにグアニン及びシトシン(G-C)ヌクレオチド間における固有の塩基対形成によって決まる2つの核酸鎖間の相補性に従って互いに相補的である。正確な塩基対形成は、ワトソン-クリック塩基対形成と同等であり、標準的なヌクレオシドと改変されたヌクレオシドとの間の塩基対形成、及び改変されたヌクレオシド間の塩基対形成を包含し、ここで改変されたヌクレオシドが、ワトソン-クリックの対形成に従って適切な標準的なヌクレオシドを置換することが可能である。一本鎖オリゴヌクレオチドの相補配列は、反応条件下で2つの一本鎖オリゴヌクレオチド間で特異的及び安定なハイブリダイゼーションを支援するあらゆる長さであってもよい。相補配列は、一般的に、2つのハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド間の、3bpより多く、好ましくは5bpより多く、好ましくは10bpより多くにわたる部分的な二本鎖オーバーラップを許容する。相補配列は、有利には、オフターゲットの組換え又はドナーマトリックス全体を含まない(すなわち1つのみのオリゴヌクレオチドの)組換えを回避するために、ゲノム中のいずれの配列にも相同ではないように選択される。
「核酸相同配列」は、配列間で相同組換えが起こるのに十分な程度の別の核酸配列との同一性を有する核酸配列であって、より具体的には少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは98%の同一性を有する、核酸配列を意味する。「同一性」は、2つの核酸分子又はポリペプチド間の配列同一性を指す。同一性は、比較目的で並べることができる各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較された配列中の位置が同じ塩基で占められている場合、その分子は、その位置において同一である。核酸又はアミノ酸配列間の類似性又は同一性の程度は、核酸配列に共通する位置における同一な又はマッチしたヌクレオチドの数と相関関係にある。2つの配列間の同一性を計算するのに、様々なアライメントアルゴリズム及び/又はプログラムを使用することができ、そのようなものとして、GCG配列分析パッケージ(University of Wisconsin、Madison、Wis.)の一部として利用可能なFASTA、又はBLASTなどがあり、これらは例えばデフォルト設定で使用することができる。
- 「同一性」は、2つの核酸分子又はポリペプチド間の配列同一性を指す。同一性は、比較目的で並べることができる各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較された配列中の位置が同じ塩基で占められている場合、その分子は、その位置において同一である。核酸又はアミノ酸配列間の類似性又は同一性の程度は、核酸配列に共通する位置における同一な又はマッチしたヌクレオチドの数と相関関係にある。2つの配列間の同一性を計算するのに、様々なアライメントアルゴリズム及び/又はプログラムを使用することができ、そのようなものとして、GCG配列分析パッケージ(University of Wisconsin、Madison、Wis.)の一部として利用可能なFASTA、又はBLASTなどがあり、これらは例えばデフォルト設定で使用することができる。
用語「ベクター(単数)」又は「ベクター(複数)」は、それらに連結されている別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を指す。本発明において「ベクター」としては、これらに限定されないが、ウイルスベクター、プラスミド、RNAベクター、又は染色体、非染色体、半合成若しくは合成核酸からなっていてもよい直鎖状若しくは環状DNA若しくはRNA分子が挙げられる。好ましいベクターは、それらに連結されている核酸の自律複製が可能なもの(エピソームベクター)及び/又は発現が可能なもの(発現ベクター)である。膨大な数の好適なベクターが当業者に公知であり、市販されている。ウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えばアデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、マイナス鎖RNAウイルス、例えばオルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病及び水疱性口内炎ウイルスウイルス)、パラミクソウイルス(例えば麻疹及びセンダイ)、プラス鎖RNAウイルス、例えばピコルナウイルス及びアルファウイルス、並びに二本鎖DNAウイルス、例えばアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純疱疹ウイルス1型及び2型、エプスタイン-バーウイルス、サイトメガロウイルス)、並びにポックスウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘及びカナリア痘瘡)などが挙げられる。他のウイルスとしては、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス、及び肝炎ウイルスが挙げられる。レトロウイルスの例としては、トリ白血病肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、スプーマウイルス(Coffin, J. M.、Retroviridae: The viruses and their replication, In Fundamental Virology、第3版、B. N. Fieldsら編、Lippincott-Raven Publishers、Philadelphia、1996)が挙げられる。
本発明を一般的に説明したが、所定の具体的な例を参照することによってさらなる理解を達成することができ、このような例は、本明細書において単に例示のために示されたに過ぎず、特に他の規定がない限り限定することを意図しない。
本発明を一般的に説明したが、ある種の具体的な実施例を参照することによりさらなる理解を達成することができるが、このような実施例は、単に例示のために本明細書で示され、特に他の規定がない限り限定することを意図しない。
(参考文献)
Figure 2016539653
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Claims (22)

  1. 珪藻をゲノム操作する方法であって、
    (a)PAMモチーフを任意選択で含む標的核酸配列を選択する工程、
    (b)Cas9又は少なくとも1つのスプリットCas9を用意する工程、
    (c)標的核酸に相補的な配列を含む少なくとも1つのガイドRNAを用意する工程、
    (d)Cas9又はスプリットCas9が前記標的核酸配列をプロセシングするように、前記Cas9又はスプリットCas9と少なくとも1つのガイドRNAとを前記珪藻に導入する工程
    を含む、方法。
  2. 前記Cas9又はスプリットCas9が、前記標的核酸配列を切断することが可能である、請求項1に記載の方法。
  3. 標的核酸配列の領域に相同な少なくとも1つの配列を含む外因性核酸を、標的核酸配列と外因性核酸との間で相同組換えが起こるように前記珪藻に導入する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記Cas9又はスプリットCas9が、珪藻のゲノム内に安定して統合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記Cas9又はスプリットCas9が、細胞透過性ペプチドに融合され、前記Cas9又はスプリットCas9が、前記珪藻を前記融合した分子と接触させることによって前記珪藻に導入される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ガイドRNAが、細胞透過性ペプチドに融合され、前記ガイドRNAが、前記珪藻を融合ガイドRNA:細胞透過性ペプチドと接触させることによって前記珪藻に導入される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 細胞透過性ペプチドを含む珪藻を選択する工程をさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記細胞透過性ペプチドが、レポーターマーカー、例えば蛍光タンパク質又はタグマーカーに融合されている、請求項7に記載の方法。
  9. 前記細胞透過性ペプチドが、前記Cas9、スプリットCas9又はガイドRNAに共有結合で融合されている、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記細胞透過性ペプチドが、前記Cas9、スプリットCas9又はガイドRNAにジスルフィド結合で融合されている、請求項9に記載の方法。
  11. 前記細胞透過性ペプチドが、前記Cas9、スプリットCas9又はガイドRNAに非共有結合で融合されている、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記細胞透過性ペプチドが、ペネトラチン、TAT、ポリアルギニンペプチド、pVEC、MPG、トランスポータン、グアニジウムリッチな分子輸送体からなる群から選択される、請求項5から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記細胞透過性ペプチドが、カチオン性又はリポソームポリマーに融合されている、請求項5から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記珪藻を多糖又はオリゴ糖リアーゼと接触させる工程をさらに含む、請求項5から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記珪藻を30℃又は60℃で処理する工程をさらに含む、請求項5から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 珪藻をクロロキン薬物で処理する工程をさらに含む、請求項5から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記標的核酸配列が、選択可能マーカー遺伝子である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記珪藻が、タラシオシラ・シュードナナ又はフェオダクチラム・トリコルヌタム(Phaeodactylum tricornutum)である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 請求項1から18のいずれか一項に記載の方法により得られた珪藻細胞。
  20. ゲノム内に統合されたCas9導入遺伝子を含む珪藻細胞。
  21. ガイドRNA又はCas9に融合した細胞透過性ペプチドを含む珪藻細胞。
  22. ガイドRNA又はCas9に融合した細胞透過性ペプチドを含むキット。
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