JP2016535814A - 非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤を使用した重合によって得ることができる過酸化物硬化性フルオロポリマー - Google Patents

非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤を使用した重合によって得ることができる過酸化物硬化性フルオロポリマー Download PDF

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Abstract

フッ化ビニリデン(VDF)と、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエテン(TFE)、ペルフルオロビニルエーテル(PAVE)、ペルフルオロアリルエーテル(PAAVE)、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの過フッ素化モノマーとに由来する繰り返し単位を有する硬化性フルオロポリマーを作製する方法が記載される。本方法は、モノマーを、1つ以上の反応開始剤と、ヨウ素、臭素、又はそれらの組み合わせから選択される1個以上のハロゲンを含有する1つ以上の連鎖移動剤と、1つ以上の非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤とを含有する水性媒体中で、ラジカル反応で重合させることを含む。重合は、フッ素化乳化剤を添加することなく実行される。かかる方法によって得ることができる硬化性フルオロポリマー及びこの硬化性フルオロポリマーの硬化によって得ることができる硬化フルオロポリマー、並びにそれらの適用も提供される。

Description

本開示は、硬化性フルオロポリマーを作製する方法、かかる方法によって得られるフルオロポリマー、及びそれらの適用に関する。
フルオロエラストマーは、熱安定性であり、広範囲の化学試薬に耐性を示し、Oリング及びガスケット等のシーリング材に広範に使用されている。それらはまた、ホース及び配管を作製するために、またはホース及び管の内側用のバリア材として使用される。典型的には、フルオロエラストマーは、例えば、燃焼機関の構成要素、燃料管理システム、並びに油及びガスの保管及び輸送機器、油及びガスの圧縮又は減圧機器、並びに化学処理設備のシーラント、バリア、又は弁の構成要素等の燃料又は潤滑剤に対する耐性が必要とされる用途に使用される。
フルオロエラストマーは、典型的には、硬化性フルオロポリマーの硬化(架橋)によって得られる。十分な架橋を達成するために、硬化性フルオロポリマーは、硬化部位を含有し、この硬化部位は、好適な架橋剤の存在下で架橋反応を受け得る反応性基である。商業的に幅広く使用されている硬化系は、過酸化物を有するか又は作成する適切な硬化化合物を使用した過酸化物硬化反応に基づいており、この硬化化合物は、次いで、フリーラジカルを発生させると考えられている。過酸化物硬化系における使用に好適なフルオロポリマー(過酸化物硬化性フルオロエラストマー)は、臭素及び/又はヨウ素原子を含む反応部位を含有する。臭素又はヨウ素原子がフリーラジカル過酸化物硬化反応に取り込まれ、それによってフルオロポリマー分子を架橋させ、三次元網目構造を形成させると一般に考えられている。
高品質の過酸化物硬化性フルオロポリマーは、フッ素化乳化剤を使用した水性乳化重合によって最も好都合に調製される。最適なフッ素化乳化剤は、過フッ素化カルボン酸、典型的には、ペルフルオロオクタン酸とされている。フッ素化乳化剤の存在は、短い実行時間での高収率(高ポリマー含有量又は固形分含量)のポリマーの調製を可能にする。
しかしながら、ほとんどのフルオロポリマー製造業者は、ペルフルオロオクタン酸などの過フッ素化乳化剤の使用を徐々に廃止することに同意している。したがって、高品質のフルオロエラストマーを、例えば、部分フッ素化乳化剤を使用して、経済的な方法で生成する代替方法が必要とされている。
欧州特許出願第EP 260 112 26 A1号では、いかなるフッ素化界面活性剤も使用することなく重合によって得ることができる過酸化物硬化性フルオロエラストマーが記載されている。
しかしながら、フッ素化乳化剤を使用することなく、依然としてヨウ素又は臭素硬化部位末端基を高度に組み込むフルオロエラストマーを作製するための方法を提供する必要性が存在する。これは、過酸化物硬化性フルオロポリマーが多数のヨウ素末端基を有することが望ましく、それがポリマーの硬化率を増加させることができ、硬化されたポリマーの好ましい機械的特性ももたらし得るためである。末端硬化部位基は、硬化反応においてより容易に利用することができ、多数の硬化部位末端基は、ポリマーの硬化を促進することができる。
一態様では、フッ化ビニリデン(VDF)と、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエテン(TFE)、ペルフルオロビニルエーテル(PAVE)、ペルフルオロアリルエーテル(PAAVE)、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの過フッ素化モノマーとに由来する繰り返し単位を含む硬化性フルオロポリマーを作製する方法であって、該モノマーを、1つ以上の反応開始剤と、ヨウ素、臭素、又はそれらの組み合わせから選択される1個以上のハロゲンを含有する1つ以上の連鎖移動剤と、少なくとも2個の隣接するヒドロキシル基を有する少なくとも1個のポリヒドロキシ単位及び4〜40個の炭素原子を含有する少なくとも1個の長鎖単位を含有する1つ以上の非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤と、を含有する水性媒体中で、ラジカル反応で重合させることを含み、該重合は、フッ素化乳化剤を添加することなく実行される、方法が提供される。
別の態様では、非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤と、約20〜約80のムーニー粘度(ML1+10、121℃)、少なくとも10、好ましくは少なくとも15のCFCHI/−CFCHOH基比を有する硬化性フルオロポリマーと、を含む組成物であって、該硬化性フルオロポリマーは、該ポリマーの総重量に基づいて、約0.1〜約0.6重量%のヨウ素を含有し、該硬化性ポリマーは、フッ化ビニリデン(VDF)と、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエテン(TFE)、ペルフルオロビニルエーテル(PAVE)、ペルフルオロアリルエーテル(PAAVE)、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの過フッ素化モノマーとに由来する繰り返し単位を含み、該非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤は、少なくとも2個の隣接するヒドロキシル基を有する少なくとも1個のポリヒドロキシ単位及び4〜40個の炭素原子を含有する少なくとも1個の長鎖単位を含有し、該組成物は、フッ素化乳化剤を含まない、組成物が提供される。
本開示のあらゆる実施形態を詳細に説明することに先立ち、本開示は、その用途において以下の説明に記載される構成の詳細及び構成要素の配設に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、種々の態様で実践又は実行することができる。また、本明細書で使用される専門語句及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定として見なされるべきではないことが理解されるべきである。「含む(including)」、「含有する」、「備える・含む(comprising)」、又は「有する」の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの等価物、並びに更なる項目を包含することを意味する。「からなる」の使用は、限定的であり、その後に列挙される項目及びそれらの等価物を包含するが、更なる項目は包含しないことを意味する。
「a」又は「an」の使用は、「1つ以上」を包含することを意味する。本明細書において記載されるいかなる数値範囲も、その範囲の下限値から上限値までの全ての値を含むものとする。例えば、1%〜50%の濃度範囲は、略記であり、例えば、2%、40%、10%、30%、1.5%、3.9%等の1%と50%との間の値を明示的に開示することを意図する。
本明細書の上記及び下記において使用されるとき、用語「コポリマー」は、明示的に記載されていない他のモノマー(コモノマー)に由来する他の繰り返し単位が存在する選択肢を除外せず、記載されるモノマー(コモノマー)に由来する繰り返し単位を含むポリマーを意味する。用語「ビポリマー」は、2つのみのコモノマーの存在を示すために使用される。他のコモノマーは、明確に示される場合にのみ存在してもよい。用語「ターポリマー」は、3つのみのコモノマーの存在を示すために使用される。他のコモノマーは、明確に示される場合にのみ存在してもよい。同様に、用語「クアドポリマー」は、4つのみのコモノマーの存在を示すために使用される。他のコモノマーは、明確に示される場合にのみ存在してもよい。
本明細書の上記及び下記において使用されるとき、ポリマーの「末端基」という用語は、ポリマー主鎖の末端位にある基に関して使用される。
硬化性及び硬化フルオロポリマー
本明細書に提供される硬化性及び硬化フルオロポリマーは、部分フッ素化主鎖を有する。フルオロポリマーは、(ポリマーの総重量に基づいて)好ましくは少なくとも30重量%のフッ素、より好ましくは少なくとも50重量%のフッ素、最も好ましくは少なくとも60重量%のフッ素、典型的には60〜75重量%のフッ素を含有する。フッ素含有量は、コモノマー及びそれらの量を適宜に選択することによって達成され得る。
フルオロポリマーは、硬化されて(架橋されて)いても、硬化されていなく(架橋されていなく)てもよいが、硬化性であり得る。典型的には、硬化性及び硬化フルオロポリマーは、非晶質である。典型的には、フルオロエラストマーは、融解ピークを有しない。一般に、それらは、20℃未満、好ましくは−20℃未満、より好ましくは−30℃未満、最も好ましくは−35℃未満のガラス転移温度(Tg)、例えば、−40℃〜20℃、又は−50℃〜20℃、又は−55℃〜−20℃のTgを有する。
コモノマー:
本明細書に提供されるフルオロポリマーは、コポリマーであり、典型的には、1,1−ジフルオロエテン(フッ化ビニリデン、VDF)と少なくとも1つの過フッ素化コモノマーとに由来する繰り返し単位を含有する。少なくとも1つの過フッ素化コモノマーとしては、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエテン(TFE)、少なくとも1つの過フッ素化アルキルビニルエーテル(PAVE)、少なくとも1つの過フッ素化アルキルアリルエーテル(PAAE)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。過フッ素化ビニル及びアリルエーテルは、典型的には、式
−O−(CF−CF=CF
に従う一般構造を有し、式中、nは、1(アリルエーテル)又は0(ビニルエーテル)であり、Rfは、1個又は2個以上の酸素原子の割り込みがあってもなくてもよいペルフルオロアルキル残基を表す。かかるエーテルの例としては、限定されるものではないが、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)、ペルフルオロ(n−プロピルビニル)エーテル(PPVE−1)、ペルフルオロ−2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−2−メトキシ−エチルビニルエーテル、CF−(CF−O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−CF−O−CF=CF、及びそれらのアリルエーテル同族体が挙げられる。
これらのモノマーは、上述の硬化性フルオロポリマー、例えば、20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを発生させる量で使用される。
一実施形態では、フルオロポリマーは、約14〜80重量%のVDF単位を含有する。
一実施形態では、フルオロポリマーは、VDF及びHFPに由来する繰り返し単位を含有する。かかるポリマーは、約14〜約80重量%のVDF及び18〜66重量%のHFP、及び0〜68%、例えば、約5〜約45重量%又は約19〜55重量%の、上述の過フッ素化アリル又はビニルエーテルから選択される1つ以上の更なる過フッ素化モノマーを含有してもよい。重量パーセントは、ポリマーの総重量に基づいており、量は、合計で100重量%になるように選択される。特定の実施形態では、フルオロポリマーは、VDF及びHFPのビポリマーであるが、任意に、後述の硬化部位モノマー及び/又は改質剤を更に含有してもよい。
別の実施形態では、ポリマーは、VDF、TFE、HFP、並びに任意に、例えば、上述の過フッ素化アリル及びビニルエーテル等の1つ以上の更なる過フッ素化コモノマーに由来する繰り返し単位を含有する。かかる実施形態の典型的な例としては、最大約60重量%のTFE、約10〜約80重量%のVDF、及び約10〜約66重量%のHFP、並びに約19〜約68重量%、例えば約5〜約45重量%の、上述の過フッ素化アリル及びビニルエーテルを含む1つ以上の更なる過フッ素化コモノマーを含有するポリマーが挙げられる。重量パーセントは、ポリマーの総重量に基づいており、量は、合計で100重量%になるように選択される。この実施形態の特定の例では、フルオロポリマーは、VDF、TFE、及びHFPのターポリマーであるが、任意に、後述の硬化部位モノマー及び/又は改質剤を更に含有してもよい。
別の実施形態では、フルオロポリマーは、VDF、TFE、及び1つ以上の更なる過フッ素化コモノマーに由来する繰り返し単位を含んだ。更なる過フッ素化コモノマーの例としては、上述の過フッ素化アリル又はビニルエーテルが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、フルオロポリマーは、上述のものであり、それらの組み合わせを含む、約14〜80重量%のVDF、約18〜約66重量%のHFP、及び約19〜68重量%のPAAE又はPAVEを含有してもよい。重量パーセントは、ポリマーの総重量に基づいており、量は、合計で100重量%になるように選択される。特定の実施形態では、フルオロポリマーは、TFE、VDF、及びPAVE又はPAAEのターポリマーであるが、任意に、後述の硬化部位モノマー及び/又は改質剤を更に含有してもよく、任意に、更なるPAVE又はPAAE又はそれらの組み合わせを含有してもよい。特に好ましいPAVEは、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)である。
上述の更なる過フッ素化コモノマーの代わりに、又はそれに加えて、フルオロエラストマーはまた、非フッ素化オレフィン(「非フッ素化コモノマー」)に由来する単位を含有してもよい。例としては、2〜8個の炭素原子を含有するオレフィンが挙げられ、限定されるものではないが、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エテン(E)、及びプロペン(P)が挙げられる。フルオロエラストマー中の非フッ素化コモノマーの量は、存在する場合、一般に0超〜最大20重量%、好ましくは5〜10重量%である。
他の代表的なコモノマーの組み合わせとしては、テトラフルオロエテンとエテンとフッ化ビニリデン、テトラフルオロエテンとプロペンとフッ化ビニリデン、及びテトラフルオロエテンとヘキサフルオロプロペンとエテンを含むか又はそれらかなるポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。非ハロゲン化コモノマーの代わりに、例えば、トリクロロフルオロエテン等の塩素化フルオロモノマーが使用されてもよい。これらのモノマーは、上述の硬化性フルオロポリマー、例えば、20℃未満のTgを有するフルオロポリマーを作成する量で使用される。
改質剤:
本明細書に提供されるフルオロポリマーは、少なくとも1つの過フッ素化ビスオレフィンエーテルに由来する単位を更に含有してもよい。これらのエーテルは、フルオロエラストマーの機械的特性及び硬化挙動に良好に影響を与えるポリマー構造を作成すると考えられている。これは、特にビスオレフィンエーテルが少量で使用される場合に、ポリマー主鎖中に分枝を発生させることによって達成され得る。したがって、これらのビスオレフィンエーテルは、本明細書において「改質剤」とも称される。好適な過フッ素化ビスオレフィンエーテルとしては、一般式
CF=CF−(CF−O−(Rf)−O−(CF−CF=CF
により表されるものが挙げられ、式中、n及びmは互いに独立して、1又は0のいずれかであり、Rfは、最大30個の炭素原子を含む、1個以上の酸素原子の割り込みがあってもよい過フッ素化の、直鎖又は分枝鎖、環状又は非環状、脂肪族又は芳香族の炭化水素残基を表す。特定の好適な過フッ素化ビスオレフィンエーテルは、式
CF=CF−O−(CF−O−CF=CF
により表わされるジ−ビニルエーテルであり、式中、nは、1〜10、好ましくは2〜6の整数である。
更なる具体的な例としては、一般式
CF=CF−(CF−O−(CF−O−(CF−CF=CF
に従うビスオレフィンエーテルが挙げられ、式中、n及びmは独立して、1又は0であり、pは1〜10又は2〜6の整数である。
更に好適な過フッ素化ビスオレフィンエーテルは、式
CF=CF−(CF−O−(RafO)(RbfO)−(CF−CF=CF
により表わされ得、式中、Raf及びRbfは、1〜10個の炭素原子、具体的には2〜6個の炭素原子の異なる直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキレン基であり、それは1個以上の酸素原子の割り込みがあってもなくてもよい。Raf及び/又はRbfはまた、過フッ素化フェニル又は置換フェニル基であってもよく、nは、1〜10の整数であり、mは、0〜10の整数であり、好ましくは、mは、0である。p及びqは互いに独立して、1又は0である。かかる改質剤は、当該技術分野において既知の方法で調製することができ、例えば、Anles Ltd(St.Petersburg,Russia)より市販されている。好ましくは、改質剤は、少量で、例えば、上述のコモノマーのうちのいずれかよりも少ない量で使用され、存在する。より好ましくは、改質剤は、フルオロポリマーの総重量に基づいて、0超〜最大1.4%、例えば、約0.1%〜約1.2又は約0.3%〜約0.8重量%の量で存在する。幾つかの実施形態では、フルオロポリマーは、上述のいずれの改質剤も含有しない。
ハロゲン硬化部位
本明細書に提供される硬化性フルオロポリマーは、少なくとも1つの硬化部位を末端基として更に含む。好適な硬化部位は、過酸化物硬化反応に関与することができるハロゲン原子である。過酸化物硬化反応に関与することができるハロゲンは、臭素又はヨウ素であり得る。好ましくは、ハロゲンは、ヨウ素である。好ましい実施形態では、硬化性フルオロポリマーは、I及び/又はBr末端基、例えば、−CFI及び/又は−CFCHBr基、好ましくは−CHI基を含有する。−CFCHI及び/又は−CFCHBr基に加えて、フルオロポリマーはまた、−CFCHCFCHI基を含有してもよい。典型的には、本開示による硬化性フルオロポリマーは、少なくとも10、好ましくは15、より好ましくは少なくとも18、又は例えば、20〜50若しくは25〜40の−CFCHI/−CFCHOH基比を有する。
上述の硬化部位末端基は、重合において少なくとも1個のI又はBr原子を含有する連鎖移動剤を使用することによって導入され得る。I含有連鎖移動剤がポリマー中にI硬化部位末端基を導入し、Br含有連鎖移動剤がBr硬化部位末端基を導入することが理解される。かかるI及び/又はBrを含有する連鎖移動剤は、以下により詳細に記載される。あるいは、又はそれに加えて、後述のハロゲン化酸化還元系を使用して、ヨウ素及び/又は臭素末端基を導入することができる。
しかしながら、更なるI又はBr硬化部位が硬化性フルオロポリマー中にも存在し得る。末端位にある硬化部位(即ち、I又はBr末端基)に加えて、I又はBr硬化部位はまた、ポリマー鎖に沿って分布していてもよい。これもまた、I又はBrを含有する連鎖移動剤を使用することによって達成され得る。あるいは、ポリマー主鎖中の硬化部位は、好適な硬化部位モノマーを使用することによって導入されることができるが、これは必要ではない場合もある。実際、一実施形態では、硬化性フルオロポリマーは、いずれの硬化部位モノマーも含有しない。硬化部位モノマーは、硬化部位として作用し得る1個以上の官能基を含有するモノマーである。硬化部位コモノマーとしては、例えば、
(a)ブロモ又はヨード−(ペル)フルオロアルキル−(ペル)フルオロビニルエーテル(例えば、式
ZRf−O−CX=CXを有するものを含み、式中、各Xは、同一又は異なっていてもよく、H又はFを表し、Zは、Br又はIであり、Rfは、C1〜C12(ペル)フルオロアルキレンであり、塩素及び/又はエーテル酸素原子を任意に含有する。好適な例としては、ZCF−O−CF=CF、ZCFCF−O−CF=CF、ZCFCFCF−O−CF=CF、CFCFZCF−O−CF=CFが挙げられ、式中、Zは、Br又はIを表す)、及び
(b)ブロモ又はヨードペルフルオロオレフィン(例えば、式
Z’−(Rf)r−CX=CXを有するもの等であり、式中、各Xは独立して、H又はFを表し、Z’は、Br又はIであり、Rfは、C〜C12ペルフルオロアルキレンであり、任意に、塩素原子を含有し、rは、0又は1である。
例としては、ブロモ若しくはヨード−トリフルオロエテン、4−ブロモ−ペルフルオロブテン−1、4−ヨード−ペルフルオロブテン−1、又はブロモ若しくはヨード−フルオロオレフィン、例えば、1−ヨード,2,2−ジフルロロエテン(difluroroethene)、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエテン、4−ヨード−3,3,4,4,−テトラフルオロブテン−1、及び4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1等、6−ヨード−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロヘキセン−1が挙げられる)、
(c)非フッ素化ブロモ及びヨード−オレフィン、例えば、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、4−ブロモ−1−ブテン、及び4−ヨード−1−ブテン等が挙げられる。
上記のヨウ素含有化合物の中で、Brを含まない化合物が好ましい。
典型的には、フルオロポリマー中に含有されるヨウ素、臭素、又はこれらの組み合わせの量は、フルオロポリマーの総重量に対して0.001〜5重量%、好ましくは、0.01〜2.5重量%、又は0.1〜1重量%若しくは0.2〜0.6重量%である。一実施形態では、硬化性フルオロポリマーは、フルオロポリマーの総重量に基づいて、0.001〜5%、好ましくは0.01〜2.5%、又は0.1〜1%、より好ましくは0.2〜0.6重量%のヨウ素を含有する。本開示の一実施形態では、硬化性フルオロポリマーは、ヨウ素含有硬化部位モノマー及びヨウ素末端基を含有する。
上述のI及び/又はBr硬化部位に加えて、硬化性フルオロポリマーは、任意に、ニトリル含有硬化部位を更に含有してもよい。ニトリル含有硬化部位の存在は必要ではない場合があり、幾つかの実施形態では、硬化性フルオロポリマーは、いずれのニトリル基含有硬化部位も含有しない。
ニトリル含有硬化部位は、他の硬化系、例えば、限定されるものではないが、ビスフェノール硬化系又はトリアジン硬化系に対して反応性であってもよい。かかる更なる硬化部位の例としては、ニトリル、例えば、ニトリル含有モノマーからポリマーに導入されるニトリルが挙げられる。使用され得るニトリル含有モノマーの例は、式CF=CF−CF−O−Rf−CN、CF=CFO(CFCN、CF=CFO[CFCF(CF)O](CFOCF(CF)CN、CF=CF[OCFCF(CF)]O(CFCNに対応し、式中、rは、2〜12の整数を表し、pは、0〜4の整数を表し、kは、1又は2を表し、vは、0〜6の整数を表し、uは、1〜6の整数を表し、Rfは、ペルフルオロアルキレン又は二価ペルフルオロエーテル基である。ニトリル含有フッ素化モノマーの具体的な例としては、ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)、CF=CFO(CFCN、及びCF=CFO(CFOCF(CF)CNが挙げられる。
本開示による硬化性フルオロポリマーは、過酸化物硬化性である。それらは、過酸化物硬化系によって硬化されて、良好な機械的特性を有する硬化フルオロポリマーをもたらすことができる。幾つかの実施形態では、硬化フルオロポリマーは、次の特性のうちの少なくとも1つ又は全てを有する。
(i)少なくとも100%、好ましくは少なくとも150%、又は更には少なくとも200%の破断点伸び、
(ii)少なくとも12又は少なくとも15MPa、好ましくは少なくとも18MPaの引張強度、
(iii)少なくとも30、好ましくは少なくとも40のショアA硬度。
典型的な実施形態では、少なくとも12又は少なくとも15MPaの引張強度、少なくとも40のショアA硬度、及び少なくとも160%の破断点伸びを有する。本開示の特定の実施形態では、硬化性フルオロポリマーは、典型的には、1〜150、好ましくは2〜100、より好ましくは10〜60のムーニー粘度(ML1+10、121℃)を有する。ムーニー粘度は、例えば、ASTM D−1646により決定され得る。
フルオロエラストマーは、単峰性若しくは二峰性又は多峰性の分子量分布(weight distribution)を有し得る。フルオロエラストマーは、コアシェル構造を有しても、有しなくてもよい。
硬化性フルオロポリマーを作製する方法
本開示に関連して使用するためのフッ素化ポリマーは、フルオロポリマーを作製するための既知の重合法に従って調製することができる。典型的な重合は、ラジカル開始剤を含むラジカル重合である。重合法としては、限定されるものではないが、乳化重合、懸濁重合、及び溶媒重合が挙げられる。しかしながら、好ましい重合法である水性乳化重合によって利用することができることが、本明細書に提供されるポリマーにとって特に有利な点である。本明細書に提供される方法の更なる有利点は、フッ素化乳化剤の添加を必要としないことである。それらはまた、例えば、飽和フッ素化ポリオキシアルキレン又はフッ素化炭化水素などの不活性フッ素化添加剤の存在も必要としない。したがって、重合は、かかる添加剤の不在下で実行されてもよい。典型的には、硬化性フルオロポリマーは、水相中で重合プロセスによって、好ましくは、後述の非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤の存在下で水性乳化重合によって調製される。水性重合は、硬化部位モノマー及び改質剤(存在が所望される場合)を含むコモノマーを、後述の1つ以上の反応開始剤及び1つ以上の非フッ素化乳化剤を含有する水性媒体中で反応させることを含む。重合は、硬化部位としてポリマーに導入されるヨウ素又は臭素原子を含有する1つ以上の連鎖移動剤及び/又は後述の酸化還元系の存在下で実行されてもよい。
同様に、例えば、緩衝剤、抗酸化剤、更なるモノマー及び他の硬化部位モノマー、並びに例えば、限定されるものではないが、エーテル、アルコール、及びエステル等の他の非ハロゲン化連鎖移動剤等の補助剤も存在してもよい。
本開示の硬化性フルオロポリマーを作製するために、重合は、典型的にはポリマーを水相中で安定させるか、又は重合を所望の速度で進行させるために添加されるフッ素化乳化剤を添加することなく実行することができる本開示の硬化性フルオロポリマーを作製するために、重合は、当該技術分野においてマイクロエマルションと呼ばれる乳剤を調製するために(特に乳化剤と組み合わせて)使用され得る、フッ素化又は過フッ素化ポリオキシアルキレン等の不活性フッ素化化合物を添加することなく実行することもできる。マイクロエマルションは、重合を開始するための反応媒体として当該技術分野において使用される。
反応開始剤
反応開始剤として、フルオロポリマーの重合用の標準的な開始剤、具体的には、水性乳化重合用の標準的な開始剤が使用されてもよい。典型的には、開始剤は、反応条件下で分解してフリーラジカルを生成する化合物である。例として過酸化化合物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な例としては、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸カリウム、スルフィン酸カリウム若しくはアンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの用途では有害であり得る金属含有物の発生を回避するために、アルカリ塩の代わりにアンモニウム塩が使用されてもよい。一般に、開始剤は、コモノマーの総量に基づいて、約0.001〜約0.01重量%の範囲で使用されてもよい。酸化還元開始剤は、好ましくは、触媒(例えば、重金属イオン、例えば、銅イオン及び/又は鉄イオン等)と組み合わせて使用される。酸化還元開始剤系も使用されてもよく、限定されるものではないが、ペルオキソ二硫酸塩及び重亜硫酸塩の組み合わせが挙げられる。
非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤
本明細書に提供されるポリヒドロキシ界面活性剤は、連結基を介して非極性長鎖単位に連結する、極性の実体(polar entity)を提供するポリヒドロキシ単位を有する。連結基は、化学単位又は化学結合であってもよい。ポリヒドロキシ単位は、非環状又は環状であってもよい。乳化剤は、複数の環状又は非環状ポリヒドロキシ単位を含んでもよい。ポリヒドロキシ単位は、少なくとも2個のヒドロキシル基(−OH基)を有する。好ましくは、ポリヒドロキシ単位は、場合により環状環又は非環状鎖に直接連結した、少なくとも2個の隣接するヒドロキシル基を含有する。乳化剤は、典型的には、フッ素化されていない。一般に、それらは非芳香族である。好ましくは、それらは非イオン性である。好ましい実施形態では、それらは、非フッ素化、非芳香族、飽和、及び非イオン性である。
長鎖単位は、4〜40個の炭素原子を含有してもよい。典型的には、それは炭化水素鎖に基づく。それは、典型的には、炭化水素又は(ポリ)オキシ炭化水素鎖、即ち、酸素原子による割り込みが1回又は2回以上ある炭化水素鎖を含有するか、又はそれらからなる。典型的には、長鎖単位は、アルキル鎖又は(ポリ)オキシアルキ(alky)鎖、即ち、酸素原子による割り込みが1回又は2回以上あり、カテナリーエーテル機能を提供するアルキル鎖である。長鎖単位は、直鎖、分枝鎖、又は環状であってもよいが、好ましくは非環状である。
非環状ポリヒドロキシ単位を有する乳化剤:
本開示の1つの典型的な実施形態では、本開示によるポリヒドロキシ乳化剤は、非環状である少なくとも1個のポリヒドロキシ単位を含有する。かかる実施形態の例としては、一般式(I)
R1−Li−R2 (I)
により表される化合物が挙げられ、式中、R1は、長鎖単位を表し、Liは、連結基を表し、R2は、非環状ポリヒドロキシ単位を表す。
R1は、4〜26個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖脂肪族残基であり、この脂肪族残基の炭素鎖は、任意に、1個以上のカテナリー酸素(エーテル)原子の割り込みがあってもよく、R1は、好ましくは非環状である。R1は、アルキル又はアルケニル基であってもよく、炭素鎖は、任意に、エーテル又はポリエーテル残基を形成するような1個又は2個以上のカテナリー酸素原子の割り込みがあってもよい。任意に、アルキル又はアルケニル基はまた、アルコキシ又はポリオキシアルキル基によって置換されてもよく、かつ更にそれらによって置換されてもよい。
Liは、1個以上の窒素原子を含有する連結基(例えば、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、又はホスホアミド基を含有する連結基)、リン酸エステル基、ホスホン酸エステル基、硫酸エステル基、スルホン酸エステル基、又はカルボン酸エステル基から選択される。好ましくは、Liは、1個以上の窒素原子を含有する連結基を表す。
R2は、脂肪族残基の炭素鎖に直接結合した少なくとも2個の、好ましくは隣接する、ヒドロキシル基(−OH基)を有する非環状脂肪族ポリヒドロキシル化基を表す。好ましくは、ポリヒドロキシル化基R2は、4〜36個の炭素原子を含有する。ヒドロキシル基に加えて、ポリヒドロキシル化基R2はまた、他の置換基、例えば、アルコキシ又はポリオキシアルキル置換基などを含有してもよいが、好ましくは、基R2は、ヒドロキシル基以外の置換基を含有しない。R2は、直鎖又は分枝鎖であってもよい。R2は、好ましくは、式−(CHOH)n−の単位を含有し、式中、nは、2〜最大8以下の整数である。
非環状の実施形態による幾つかの例では、ポリヒドロキシ乳化剤は、窒素含有界面活性剤であり、式(II)
R1−Li−R2’−CHOH (II)
により表され得、式中、R1は、式(I)に関して上記に定義され、
R2’は、非環状ポリヒドロキシル化脂肪族基である。R2’は、非環状であってもよく、直鎖又は分枝鎖であり、3〜20個の炭素原子を含有してもよく、炭素鎖に直接結合した少なくとも2個の、好ましくは隣接する、ヒドロキシル基を有し、この鎖は更に、エーテル又はポリエーテル官能性を導入するような1個又は2個以上のカテナリー酸素原子の割り込みがあってもよい。好ましくは、R2’は、単位−(CHOH)−を含有し、式中、nは、2〜最大8以下の整数である。
Liは、1個以上の窒素原子を含む連結基を表す。好ましくは、Liは、アミノ(−N(R)−)基、又はアミド(−(C=O)N(R)−)基を表し、式中、Rは、水素又は(直鎖又は分枝鎖)アルキル残基を表し、アルキル残基は、任意に、1個以上のカテナリー酸素原子(エーテル原子)によって置換されてもよい。
上述の非環状ポリヒドロキシ乳化剤は、例えば、参照により本明細書に援用されるConnorsらの米国特許第5,380,891号に記載されるように、グリコアミン(ポリヒドロキシ単位を提供する)を官能化アルキル又はアルケニル(長鎖単位を提供する)と反応させることによって好都合に得ることができる。グリコアミンは、アミノ官能化開環糖であるグリコアミンをもたらす還元糖の還元アミノ化によって得ることができる。例えば、グルコース(図1)は、この方法で対応するグリコアミン(又はグルカミン、図2)に変換され得る。
Figure 2016535814
Figure 2016535814
グリコアミンは、グリカミン(glycamine)のアミン基と反応するように官能化されたアルキル(又はアルケニル)と反応して、アルキル(又はアルケニル)鎖を糖由来のポリヒキシドロキシ(polyhxydroxy)鎖に連結する窒素含有連結基を形成する。官能化アルキル(又はアルケニル)の典型的な官能基としては、酸基、無水物基を含むエステル基、及び酸ハロゲン化物基が挙げられるが、これらに限定されない。好適な官能化アルキル(又はアルケニル)の例としては、脂肪酸又は脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、式(I)及び(II)中の残基R1は、脂肪酸R’COOHの炭化水素部R’に対応することができる。脂肪酸としては、飽和及び不飽和脂肪酸が挙げられる。飽和脂肪酸の例としては、限定されるものではないが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、及びセロチン酸が挙げられる。不飽和脂肪酸の例としては、限定されるものではないが、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノレン酸、リノライジン酸(linolaidic acid)、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸が挙げられる。R1はまた、官能化脂肪族残基の残基R’’Xに対応することもでき、式中、Xは、グリコアミンと反応して連結基を形成する官能基であり、R’’は、例えば、(ポリ)エトキシレート又は(ポリ)プロポキシレート残基又はそれらの組み合わせ等の1個以上のカテナリー酸素原子を含有するアルキル又はアルケニル残基を表し得る。
糖の還元アミノ化では、糖は、典型的には、還元条件下で、例えば、水素の存在下で、任意に、当該技術分野において既知であるように、例えば、ラネーニッケル等の触媒の存在下で、アンモニア又はアルキルアミン又はアルキルオキシ又はポリオキシアルキルアミン(RNH、式中、Rは、H又はアルキル、アルキルオキシ、若しくはポリオキシアルキル基を表す)と反応する。典型的な例は、参照により本明細書に援用される米国特許5,380,891号に記載されている。グリコアミンを調製するために上述の反応に使用され得る好ましい糖としては、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、及びキシロース、並びにグリセルアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、高級デキストロースコーンシロップ、高級フルクトースコーンシロップ、高級マルトースコーンシロップも原材料として使用され得るが、グリコアミンの混合物をもたらす。
本開示の好ましい実施形態では、ポリヒドロキシ界面活性剤は、アミドポリヒドロキシドである。それらは、一般式(III)
−C(=O)−N(R)−Z (III)
により表され得、式中、Rは、H、又は1〜8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分枝鎖脂肪族残基であり、好ましくは、Rは、H、又はC〜Cのヒドロカルビル若しくはヒドロキシヒドロカルビルであり、この脂肪族残基の炭素鎖は、任意に、1個又は2個以上のカテナリー酸素(エーテル)原子の割り込みがあってもよい。Rは、直鎖又は分枝鎖であってもよい。好適なヒドロキシヒドロカルビル基の例としては、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2ヒドロックスブチル(hydroxbutyl)、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、Rは、アルキル基、より好ましくは、メチル、エチル、ブチル、及びイソブチルから選択されるアルキル基を表す。
式(III)中のRは、式(I)のR1として定義される通りである。一般に、Rは、5〜31個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖脂肪族残基、好ましくはC〜C31ヒドロカルビル部分を表す。幾つかの実施形態では、Rは、直鎖C〜C20アルキル又はアルケニル残基、好ましくはC〜C19アルキル又はアルケニル部分、好ましくは直鎖C〜C17アルキル又はアルケニル部分、より好ましくは直鎖C11〜C19アルキル又はアルケニル部分を表す。典型的には、Rは、脂肪酸RCOOHの炭化水素部Rであってもよい。脂肪酸としては、飽和及び不飽和脂肪酸が挙げられる。脂肪酸としては、飽和及び不飽和脂肪酸が挙げられる。飽和脂肪酸の例としては、限定されるものではないが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、及びセロチン酸が挙げられる。不飽和脂肪酸の例としては、限定されるものではないが、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノレン酸、リノライジン酸(linolaidic acid)、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸が挙げられる。Rはまた、例えば、エトキシレート又はプロポキシレート残基又はそれらの組み合わせ等の、1個以上のカテナリー酸素原子を含有する上述のアルキル残基も表し得る。
式(III)中、Zは、炭素鎖に直接結合した少なくとも2個又は少なくとも3個のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシルヒドロカルビル部分を表す。Zは、非環状であり、直鎖であり得るが、分枝鎖であってもよい。Zはまた、ヒドロキシル基に加えて、アルコキシ又はポリオキシアルキル基を含有してもよいが、好ましくは、ヒドロキシル基のみを含有する。Zは、例えば、還元アミノ化反応に供されて開環アミノ官能化糖を生成する還元糖等のグリカミン由来であり得る。還元糖の例としては、それらの組み合わせを含む、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、及びグリセルアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、高級デキストロースコーンシロップ、高級フルクトースコーンシロップ、高級マルトースコーンシロップもまた、原材料として使用され得るが、それらはグリコアミンの混合物をもたらす。
好ましい実施形態では、Zは、一般式−(CHOH)−、より好ましくは−(CHOH)−CHOHにより表される非環状単位を含有し、式中、nは、2〜最大8以下の整数を表す。特定の例としては、Zが、
−CH−(CHOH)−CHOH、
−CH(CHOH)−(CHOH)n−1−CHOH、及び
−CH−(CHOH)−(CHOR’’)−(CHOH)−CHOH、
からなる非環状基から選択される実施形態が挙げられ、式中、nは、1〜最大8以下、好ましくは最大5以下の整数であり、m及びoは、整数であり、0を含み、mとoの和は、n−2に等しく、R’’は、同一又は異なるアルコキシ、ポリオキシルアルキル、及び(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、又は(ポリ)ヒドロキシポリオキシアルキル残基から選択される置換基を表す。具体的な例としては、1−デオキシグルシチル、2−デオキシグルシチル、2−デオキシフルシチル、1−デオキシマルチチル、1−デオキシラシチル、1−デオキシガラシチル、1−デオキシマンニチル、1−デオキシマルトトリオチチル、2,3−ジヒドロキシプロピル(グリセルアルデヒド由来)等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、Zは、グリシチルであり、より好ましくは、Zは、
−CH−(CHOH)−CH−OHである。
幾つかの実施形態では、ポリヒドロキシドは、例えば、米国特許第5,380,891号に記載されるように、N−アルキルグルカミン(例えば、N−メチルアミン)及び脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルの反応の反応生成物である。
本開示の別の実施形態によると、ポリヒドロキシ界面活性剤は、複数のポリヒドロキシ界面活性剤のブレンドとして存在する。
環状ポリヒドロキシ単位を有するポリヒドロキシ乳化剤:
本開示の別の実施形態では、ポリヒドロキシ乳化剤は、少なくとも1個の環状ポリヒドロキシ単位を含有する。かかる乳化剤は、糖系であってもよい。糖系乳化剤は、典型的には、少なくとも1個の長鎖単位を含有するように変性されている糖に基づく。環状乳化剤の長鎖単位は、非環状であってもよく、直鎖又は分枝鎖であってもよい。典型的な実施形態では、長鎖単位は、4〜26個の炭素原子、例えば、8〜22個又は10〜16個の炭素原子を含有する。鎖は、O(酸素)及びN(窒素)原子を含むが、好ましくは、カテナリー酸素原子であるカテナリーヘテロ原子の割り込みが1回又は2回以上あってもよく、エーテル又はポリエーテル残基を形成し得る。長鎖単位は、典型的には、アルキル鎖を含み、これは、任意に、1個以上のカテナリーヘテロ原子、好ましくは酸素原子を含有してもよく、任意に、アルコキシ又はポリオキシアルキル置換基を含む置換基を含有してもよい。長鎖単位は、直接又は連結基を介してポリオール単位に結合し得る。連結基の例としては、エーテル、エステル、又はアミド基、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
典型的な実施形態では、長鎖単位が結合している環状ポリオール単位は、5個の炭素原子の少なくとも1個の六員環、及び上述の1個のヘテロ原子、好ましくは、酸素原子を含有する。別の典型的な実施形態では、長鎖単位が結合している環状ポリオール単位は、4個の炭素原子の少なくとも1個の五員環、及び上述の1個のヘテロ原子、好ましくは酸素原子を含有する。好ましい実施形態では、ポリオール単位は、炭素環原子に結合した少なくとも2個又は少なくとも3個の隣接するヒドロキシ基(−OH基)を更に含有する。環状ポリオール単位は、最も好都合には糖であり、乳化剤は、糖系乳化剤である。糖系乳化剤は、1個の環状ポリオール(糖)単位又は複数の環状ポリオール(糖)単位を含有してもよい。本開示の本実施形態による糖系乳化剤は、典型的には、長鎖単位を含有するように変性されている糖であり、この糖は、糖系乳化剤のポリオール単位を形成する。幾つかの実施形態では、糖は、エーテル、エステル、又はアミド結合が長鎖残基と糖部分との間に作成されるように、糖の炭素環原子に結合しているヒドロキシ基の水素原子のうちの1個又は2個以上が長鎖残基によって置換されているという点で変性されている。
糖系乳化剤は、2個以上の環状ポリオール単位を含んでもよく、これらの単位は、同一又は異なっていてもよい。ポリオールは、典型的には、六員環、典型的にはピラノース環(5個の炭素原子及び1個の酸素原子の六員環)を含む。好適な糖系乳化剤としては、アルキルグリコシド(モノグリコシド及びポリグリコシドを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。グリコシドは、非糖単位を含有するように変性される糖分子である。例えば、アルキルグリコシドは、アルキル単位を含有するように変性される糖である。グリコシドの糖部分の例としては、単糖類及び多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。単糖類としては、ペントース及びヘキソースが挙げられる。単糖類の典型例としては、リボース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、アラビノース、キシロースが挙げられる。多糖類は、同じ又は異なる単糖類の糖単位を2〜10個、好ましくは2〜4個含有するオリゴマーを含み、例えば、サッカロース、マルトース、ラクトース、ラフィノース、及びイソマルトースが挙げられるが、これらに限定されないオリゴ糖が挙げられる。
糖系乳化剤の具体的な例としては、アルキルグルコシドが挙げられるが、これらに限定されない。アルキルグルコシドとしては、モノグルコシド(即ち、アルキル基を含有するように変性された単一のグルコース部分を有する分子)、ジグルコシド(即ち、2個のグルコース部分を有する分子)、及びポリグルコシド(即ち、2個以上のグルコース部分、典型的には最大4個、又は更には最大10個のグルコース単位を有する分子)が挙げられる。
グリコシドは、グルコース単位のみを含有してもよいが(この場合、グリコシドはグルコシドと称される)、他の糖の単位を含有することもできる。糖部分は、ピラノースとして、又はピラノースの組み合わせ又はピラノースとフラノースの組み合わせとして存在することができる。糖部分はまた、フラノース又はフラノエス(furanoese)のみの組み合わせ(フラノースは、4個の炭素環原子及び1個の酸素環原子五員環である)及びそれらの混合物(例えば、限定されるものではないが、グルコピラノシド、グルコフラノシド、ジ−グルコピラノシド、ジ−フラノシド、グルコピラノシド−グルコフラノシド等)として存在してもよい。好ましくは、グリコシドは、アルキルグルコシドである。アルキルグルコシドは、上述の長鎖単位として、単一の、複数の、同一の、かつ異なるアルキル残基を含有してもよい。アルキル残基としては、少なくとも6個の炭素原子、好ましくは少なくとも8個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖の非環状残基が挙げられる。典型的な実施形態では、アルキル鎖は、6〜26個、又は8〜16個の炭素原子を含有する。アルキル鎖は、置換されてもよく、この場合、置換基としては、例えば、ハロゲン(フッ化物以外)又はカテナリー(エーテル)酸素原子が挙げられ、例えば、長鎖部分は、(ポリ)オキシアルキルであってもよい。アルキル鎖は、好ましくは置換されていない。グルコシドは、モノ、ジ、又はポリグルコシドであってもよい(即ち、1個、2個、又は少なくとも2個のグルコース単位、好ましくは1〜4個のグルコース単位を含有してもよい)。
図3は、(ポリ)グリコシドの典型的な例を表し、式中、mは、1〜最大10の整数を表し、好ましくは、mは、1、2、3、又は4を表し、Rは、上述の長鎖単位を表す。例えば、Rは、上述のように、直鎖又は分枝鎖のアルキル、オキシアルキ(oxyalky)、ポリオキシアルキル鎖を表し得る。図3に表される糖単位は、グルコースであり、この化合物は、グルコシドとも称され得る。Rがアルキル基を表す場合、図3に表される化合物は、アルキル(ポリ)グルコシドである。上述のように、グルコースの代わりに、他の糖又は他の糖とグルコースの組み合わせを使用することもできる。
Figure 2016535814
本開示の具体的な実施形態によると、糖系乳化剤は、糖系乳化剤のブレンドとして存在してもよい。ブレンドは、異なる鎖長の糖系乳化剤を含有してもよく、即ち、糖系乳化剤は、異なる鎖長の集団を有する少なくとも二峰性の組成物である。例えば、第1の集団は、6〜10個の炭素原子を有する鎖を含有してもよく、第2の集団は、10〜18個の炭素原子の鎖を含有する。このような多峰性組成物は、適切な糖系乳化剤をブレンドすることによって調製することができる。ブレンドの例としては、a)約20〜50重量%の集団(6〜10個の炭素原子の鎖長を有する糖系乳化剤を含有する集団)と、b)20〜50重量%の集団(10〜18個の炭素原子の鎖長を有する糖系乳化剤を含有する集団)とを含有するブレンドが挙げられる。
糖系乳化剤は、市販されている。糖系乳化剤の合成は、例えば、D.Geetha and R.Tyagi,Tenside Surf.Det.49(2012)5、417〜427ページに記載されている。
上述の非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤は、重合前に反応混合物に添加されてもよい。典型的な量としては、生成されるポリマーの総量に基づいて、約0.0001〜2重量%が挙げられる。幾つかの実施形態では、非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤は、生成されるポリマーの量に基づいて、約0.01〜約0.1重量%の量で使用されてもよい。他の実施形態では、非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤の量は、生成されるポリマーの量に基づいて、約0.0001〜約0.001重量パーセントである。かかる低量の非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤が、ポリマー中へのヨウ素の良好な組み込み及び好ましい−CHI/−CHOH比、例えば、少なくとも15又は少なくとも18の比を達成することが、本開示の有利点である。多量の非フッ素化乳化剤は、ヨウ素の組み込み速度又は鎖終結を遅延させ、低分子量のフルオロポリマーをもたらす場合がある。
本明細書に記載される非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤は、重合過程にわたって、好ましくは、非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤の総量の一部が事前充填された後に、断続的又は連続的に添加されることもできる。望ましくは、非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤の総量は、2重量%を超えるべきではない。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤の量は、生成されるポリマーの量に基づいて、0.2重量%を超えない。生成されるポリマーの量は、重合に供給される全てのモノマーの和である。
I及び/又はBr含有連鎖移動剤
好ましくは、本開示による重合は、ヨウ素及び/又は臭素原子を含有する少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA)の存在下で実行される。連鎖移動剤は、成長するポリマー鎖と反応し、連鎖成長を停止させることができる化合物である。好適な連鎖移動剤の例としては、式RPを有するものが挙げられ、式中、Pは、Br又はI、好ましくはIであり、Rは、1〜12個の炭素原子を有するx価のアルキル又はアルキレンラジカルであり、これは任意に、塩素原子を含有してもよいが、好ましくはフッ素原子を含有する。好ましくは、Rは、Rfであり、Rfは、x価の(ペル)フルオロアルキル又は(ペル)フルオロアルキレンラジカルである。好ましくは、R(Rfも)は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。典型的には、xは、1又は2である。具体的な例としては、CFBr、Br(CFBr、Br(CFBr、CFClBr、CFCFBrCFBrが挙げられる。連鎖移動剤を導入する硬化部位末端基のまた更なる例としては、α−ωジヨードアルカン、α−ωジヨードフルオロアルカン、α−ωジヨードペルフルオロアルカン、及びそれらのヨードブロモ同族体又はブロモ等価物が挙げられる。α−ωは、ヨウ素又は臭素原子が分枝の末端位にあることを示す。かかる化合物は、一般式X−R−Yにより表され得、式中、X及びYは互いに独立して、I又はBrであり、好ましくは、X及びYは、いずれもIである。Rは、アルキレン単位、好ましくは直鎖アルキレン単位、例えば、−(CH−等、又はペルフルオロアルキレン単位、好ましくは直鎖単位、例えば、−(CF−等を表し、式中、nは、1以上12以下の整数である。具体的な例としては、ジ−ヨードメタン、α−ωジ−ブロモメタン、α−ωジヨードブタン、α−ωジヨードプロパン、α−ωジヨードペンタン、及びα−ωジヨードヘキサン、1,2−ジヨードペルフルオロエタンが挙げられる。
典型的には、上述のI−又はBr−CTAは、重合に使用されるコモノマーの総量に基づいて、約0.001〜5重量%、好ましくは約0.1〜約0.5重量%の量で使用されてもよい。好ましくは、CTAの総量は、事前充填されてもよく、即ち、重合前に重合系に添加されてもよい。好ましくは、CTAの総量は、重合の開始から(即ち、開始剤が活性化された瞬間から)0.5時間以内に充填される。本開示の一実施形態では、CTAは、乳化された形態で添加される。例えば、CTAの5〜30重量%の水性乳剤は、水性CTA組成物を界面活性剤の存在下で剪断力に供することによって調製され得る。かかる剪断力は、ホモジナイザー又は超音波照射を使用することによって供給されてもよい。好適な界面活性剤としては、上述の非フッ素化乳化剤が挙げられるが、好適な他の非フッ素化乳化剤を使用することもできる。5〜30重量%のCTAを有し、200〜1000nmの平均粒径(Z平均)を有する水性CTA乳剤が得られ得る。かかる乳剤は、12時間を超えて、例えば、最大24時間又は48時間、安定であり得る。
上述のハロゲン化連鎖移動剤に加えて、又はその代替案として、I及び/又はBr原子は、好適なハロゲン化酸化還元開始剤系を使用することによって末端基として導入され得る。有用なハロゲン化酸化還元開始剤系の例としては、ラジカル開始剤及びハロゲン化(I及びBr)塩が挙げられ、限定されるものではないが、X(CFSOM等であり、式中、n=1〜10である(XがBr又はIである場合)。Mは、例えば、Na等の一価金属を表す。また更に、開始及び/又は重合は、金属又はアンモニウムハロゲン化物等のハロゲン化物塩の存在下で行われてもよく、ハロゲン化物は、例えば、臭化カリウム、臭化アンモニウム、及びヨウ化カリウム又はナトリウムを含む、I及びBrから選択されて、対応するハロゲン化物をフッ素化ポリマーの末端炭素原子に導入する。
本開示の好ましい実施形態では、連鎖移動剤は、連鎖移動剤を含有するヨウ素であり、末端基は、ヨウ素末端基である。
硬化部位モノマー(CSM)
上述のCSMを含有する硬化部位モノマーヨウ素及び/又は臭素は、未希釈形態で、又はあるいはモノマーで希釈されて、又は上述の非フッ素化乳化剤若しくは他の乳化剤を使用して乳化された形態で、重合過程中に断続的に添加されてもよい。CSMはまた、エアロゾルとしてケトル中に導入されるか、又は微細液滴としてケトル中に噴霧され得る。典型的なCSMの量としては、使用されるコモノマーの総量に基づいて、約0.001〜5重量%、好ましくは約0.1〜約0.5重量%の量が挙げられる。
コモノマー及び改質剤
上述のコモノマーは、上述の量で使用されてもよい。それらは、連続的に又はバッチ式で添加されてもよい。
上述の改質剤は、存在する場合、重合中に添加されてもよい。それらは、上述の量で、例えば、例えば、コモノマーの総重量に基づいて、0超〜最大1.4%、例えば、約0.1%〜約0.8%又は約0.3%〜約0.6重量%の量で添加されてもよい。
重合温度は、典型的には、約40℃〜約150℃、好ましくは、約50℃以上〜約100℃以下の範囲である。当該技術分野において標準的であるように、反応及びワークアップは、金属汚染を回避するように、例えば、精製水を使用することによって、望ましくは、重合又はワークアップでのイオン性材料に金属又はアルカリ金属カチオンではなくアンモニウムカチオンを使用することによって実行される。重合は、連続的に又はバッチ式で実行されてもよい。重合は、多峰性又は単峰性ポリマー集団を発生させるように実行されてもよい。重合は、コアシェル粒子を発生させるように、又はコアシェル粒子を発生させないように実行されてもよい。コアシェル粒子を発生させるために、典型的には、シード重合が第1の工程として行われ、コアを発生させる。シェルは、別個の工程にてコア上で重合される。
本明細書に提供される方法は、本明細書に記載されるそれぞれのヨウ素及び/又は臭素含有連鎖移動剤からのヨウ素又は臭素硬化部位末端基の組み込みの増加をもたらすことが見出された。これは、高いヨウ素末端基/水酸化物末端基比から見ることができる。例えば、本明細書に記載される方法によって得られる硬化性フルオロポリマー中の−CHI基/−CHOH基比は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、又は少なくとも30であり得る。このことは、過酸化物硬化性フルオロポリマーにとって多数のヨウ素末端基を有することが望ましくそれがポリマーの硬化速度を増加させ、例えば、圧縮永久歪み等の硬化ポリマーの好ましい機械的特性ももたらし得るという理由から、有利である。末端硬化部位基は、硬化反応においてより容易に利用することができ、多数の硬化部位末端基は、ポリマーの硬化を促進することができる。水性媒体中のラジカル開始剤の使用は、−CHOH末端基等の極性末端基の作成をもたらす。I又はBr含有連鎖移動剤は、特にVDF等の部分フッ素化モノマーが使用される場合に、−CHI末端基をもたらす。したがって、−CHI/−CHOH末端基比は、所与のポリマーに関するポリマーへのヨウ素の組み込みを示す。
高い−CHI/−CHOH比を有する過酸化物硬化性フルオロポリマーが発生し得ることが、本開示の方法の有利点である。本開示の別の有利点は、かなり小さい粒径を有する過酸化物硬化性フルオロポリマーが発生し得ることである。極性ヒドロキシル末端基の数が減少することにより、ポリマーは、フルオロポリマーが大粒子として存在する場合、水性媒体中での安定性がより低くなり、水性媒体中で凝固する傾向がより高くなる。小粒子を有する過酸化物硬化性フルオロポリマーを、本開示の方法を使用することによって得ることができる。例えば、約20〜約300nm、又は約50〜250nmの粒径(Z平均)を有するフルオロポリマー分散液を、本明細書に記載される方法によって発生させることができる。かかるフルオロポリマー分散液は、かなり安定であり、重合を実行させて高分子量のフルオロポリマーを作成する。例えば、本開示の好ましい実施形態では、30超、又は更には50超のムーニー粘度(ML1+10、121℃)、例えば、30〜100又は50〜90又は60〜80のムーニー粘度を有する過酸化物硬化性フルオロポリマーを得ることができる。
フルオロエラストマー組成物
上述の方法によって得ることができる硬化性フルオロポリマーを使用して、フルオロエラストマー組成物を作製することができる。結果として得られる水性分散液は、典型的には、例えば凝固によって発生するフルオロエラストマーを単離するように処理され、凝固は、剪断力を増加させることによって、静置することによって、又は塩析することによって機械的に行われ得る。その後、単離されたフルオロポリマーは、(希釈)水で数回洗浄され、乾燥されてもよい。エラストマーは、1つ以上の硬化剤と混合されて、フルオロエラストマー組成物をもたらす。典型的には、フルオロエラストマー組成物は、固形組成物である。典型的には、それらは、硬化性フルオロポリマー及び1つ以上の過酸化物硬化系を含有する。過酸化物硬化系は、典型的には、有機過酸化物を包含する。過酸化物は、活性化されると、フッ素化ポリマーを硬化させ、架橋(硬化)フルオロポリマーを形成する。好適な有機過酸化物は、硬化温度でフリーラジカルを発生させるものである。50℃を超える温度で分解するジアルキル過酸化物又はビス(ジアルキル過酸化物)が特に好ましい。多くの場合、ペルオキシ酸素原子に結合した第三級炭素原子を有するジ−第三級ブチルペルオキシドを使用することが好ましい。この種のペルオキシドの中で最も有用なものは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ブチルペルオキシ)ヘキシン−3及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ブチルペルオキシ)ヘキサンである。他の過酸化物は、過酸化ジクミル、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸第三級ブチル、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−ジイソプロピルベンゼン)、及びジ[1,3−ジメチル−3−(t−ブチルペルオキシ)−ブチル]カーボネート等の化合物から選択することができるが、これらに限定されない。一般に、フルオロポリマー100部当たり約1〜5部の過酸化物を使用してもよい。
硬化剤は、担体、例えば、シリカ含有担体上に存在してもよい。過酸化物硬化系はまた、1つ以上の助剤を含んでもよい。典型的には、助剤としては、過酸化物と協働して有用な硬化を提供することのできる多価不飽和化合物が挙げられる。これらの助剤は、フルオロポリマー100部当たり0.1〜10部、好ましくはフルオロポリマー100部当たり2〜5部の量で添加されてもよい。有用な助剤の例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリ(メチルアリル)イソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスフェート、(N,N’)−ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホルアミド、(N,N,N,N)−テトラアルキルテトラフタルアミド、(N,N,N’,N−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリル−フタレート、及びトリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレートが挙げられる。トリアリルイソシアヌレートが特に有用である。
硬化性フルオロエラストマー組成物は、酸受容体を更に含有してもよい。かかる酸受容体は、無機受容体又は無機及び有機酸受容体のブレンドであり得る。
無機酸受容体の例としては、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、二塩基性亜リン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。有機酸受容体としては、エポキシ、ステアリン酸ナトリウム、及びシュウ酸マグネシウムが挙げられる。特に好適な酸受容体としては、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛が挙げられる。酸受容体の混合物も同様に使用してもよい。酸受容体の量は、一般に、使用する酸受容体の特性により異なる。典型的には、使用する酸受容体の量は、フッ素化ポリマー100部当たり0.5〜5部である。
硬化性フルオロエラストマー組成物は、安定剤、可塑剤、潤滑剤、充填剤などの更なる添加剤、及び典型的にはフルオロポリマー化合において利用される加工助剤を含有することができるが、但し、それらが意図された使用条件に適切な安定性を有することを条件とする。添加剤の特定の例としては、カーボンブラック、グラファイト、煤等の炭素粒子が挙げられる。
硬化性フルオロエラストマー組成物は、従来のゴム加工設備内で、フッ素化ポリマー、過酸化物硬化組成物、及び任意に、添加剤を混合して、固形混合物、即ち、当該技術分野において「化合物」とも称される、更なる成分を含有する固形ポリマーを提供することによって調製されてもよい。これらの成分を混合して他の成分を含有するかかる固形ポリマー組成物を生成するこのプロセスは、典型的には、「化合」と呼ばれる。かかる設備としては、ラバーミル、バンバリーミキサ等の密閉式ミキサ、及び混合押出成形機が挙げられる。混合中の混合物の温度は、典型的には、約120℃を超えて上昇しない。混合中、構成成分及び添加剤は、結果として得られるフッ素化ポリマー「化合物」又はポリマーシート全体に均一に分布される。その後、「化合物」は、押出されるか、又は成形型、例えば、空洞若しくはトランスファー成形型内でプレスされ、成形型内で硬化されるか、又はオーブンに移送された後に、オーブン硬化され得る。代替の実施形態では、硬化は、オートクレーブ内で行われ得る。硬化は、典型的には、硬化性フルオロエラストマー組成物を熱処理することによって達成される。熱処理は、硬化フルオロエラストマーを作成するのに有効な温度及び有効な時間行われる。最適条件は、フルオロエラストマーを機械的及び物理的特性に関して調べることによって試験することができる。典型的には、硬化は、120℃超又は150℃超の温度で実行される。典型的な硬化条件としては、160℃〜210℃又は160℃〜190℃の温度での硬化が挙げられる。典型的な硬化期間としては、3〜90分が挙げられる。硬化は、好ましくは、加圧下で行われる。例えば、1〜10Mpa(10〜100bar)の圧力が印加されてもよい。硬化プロセスが完全に完了するのを確実にするために、後硬化サイクルが適用されてもよい。後硬化は、170℃〜250℃の温度で1〜24時間の期間行われてもよい。
本明細書に提供される硬化性フルオロポリマーは、典型的には、180℃で1分未満の硬化開始期間(onset of cure)(Ts2)を有してもよい。
上述の方法は、良好な機械的特性を有する硬化フルオロポルミャー(fluoropolmyers)の提供を可能にする。硬化フルオロエラストマーは、本明細書に記載される硬化性フルオロポリマーと過酸化物硬化系の反応生成物である。かかる架橋ポリマーは、硬化過酸化物系の存在下で硬化性フルオロポリマーを硬化させることによって得ることができる。結果として得られる硬化フルオロエラストマーは、良好な機械的特性を有することができ、これは、次の特性のうちの1つ以上又は全てを有し得ることを意味する。
(i)少なくとも100%、好ましくは少なくとも150%、又は更には少なくとも200%の破断点伸び、
(ii)少なくとも12又は少なくとも15MPa、好ましくは少なくとも18MPaの引張強度、
(iii)少なくとも30、好ましくは少なくとも40のショアA硬度。
典型的な実施形態では、少なくとも12又は少なくとも15MPaの引張強度、少なくとも40のショアA硬度、及び少なくとも160%の破断点伸びを有する。
硬化性及び硬化フルオロエラストマーを使用して、成形物品を調製することができる。かかる物品は、硬化性フルオロエラストマー組成物を提供し、かつ充填剤、顔料、可塑剤、潤滑剤等などの更なる成分をこの硬化性組成物に添加することによって調製され得る。典型的な充填剤としては、例えば、シリカ含有材料、又はカーボンブラック、グラファイト、煤等などのカーボン粒子が挙げられる。組成物の成形物品への成形は、例えば、成形された成形型内で組成物を硬化することによって、又は当該技術分野において既知の手段によって、例えば、打抜き切断、切断等によって硬化組成物を成形することによって実行されてもよい。
成形物品としては、例えば、配管、パイプ、ホース、シール、ストッパー、ガスケット、平面シール、Oリング等が挙げられる。これらの物品は、燃焼機関内の構成要素、燃焼機関によって駆動される自動車、軸封若しくはそれらの構成要素、シール若しくはバリア材料、又は化学処理装置、特に油及びガス加工、例えば、保管及び輸送容器の連結装置として、圧縮若しくは減圧機器又は弁の構成要素として使用されてもよい。
本開示は、以下の実施例及び特定の実施形態の一覧によって更に説明される。これらの実施例及び実施形態は、例示目的のみのために提供され、本発明をこれらに限定するようには意図されていない。特に指定のない限り、本明細書の上記及び下記において提供される重量パーセントは、最終ポリマー、又は場合によってはポリマー組成物において、いずれの場合にも合計で100重量パーセントになる。成分の割合が本明細書の上記及び下記においてモル%で示される場合、全成分の和は、合計で最大100モルとなると理解される。
実施例及び試験方法
I−含有量:
ヨウ素含有量を、Enviroscience(Dusseldorf/Germany)製のASC−240 S自動試料採取器、Enviroscience AQF−2100 F燃焼装置ユニット(ソフトウェア:「NSX−2100、version 1.9.8」、Mitsubishi Chemical Analytech Co.,LTD.)、Enviroscience GA−210ガス吸収装置、及びMetrohm「881 compac IC pro」液体クロマトグラフィー分析装置(ソフトウェア:Metrohm「Magic IC Net 2.3」)を使用して、元素分析によって決定した。
−CFCHI/−CFCHOH比:
[−CFCH−I]/[−CFCH−OH]の末端基濃度比を、Bruker Avance 400(400MHz)機器を用いて記録したH核磁気共鳴(NMR)スペクトルから評価した。ポリマーを、アセトン−d中に、典型的には50mg/mLの濃度で溶解させ、通常1回の測定当たり3000スキャンを適用した。化学シフトδ(デルタ)を、テトラメチルシラン(TMS)を基準として使用して、百万分率の物理的単位で報告する。ヨウ素含有ポリマーは、通常、H NMRスペクトルにおいて良好に分解された信号を示す。4.10≧δ≧3.65ppmの範囲の化学シフトにおける信号は、−R−CF−CH−I末端基のプロトンに起因するものである。−R−CF−CH−I基のプロトンの各信号は、(15〜19Hzでの)F−H結合のため、トリプレットに分かれ、それらの化学シフトδは、最後から2番目のモノマー単位Rに依存する。−CF−CH−CF−CH−I末端基(VDF−VDF−I末端基)内のトリプレットは、最も突出した信号の1つである。これは、概ねδ 3.87±0.05ppm(δref)を中心とする。−CF−CH−OH末端基内の2つのメチレンプロトンのトリプレットは、δrefの右側0.08ppm+/−0.01ppmの位置に位置する(即ち、δ=δref−0.08ppm+/−0.01ppm)。この信号を、その結合定数(F−H、約13Hz)によって更に特定することができる。
次に、−R−CF−CH−I基の信号を、δrefの左側0.20ppmで始まり、最大でδrefの右側0.07ppmまでの領域から統合する(即ち、δ=δref+0.20ppm〜δref−0.07ppm。例えば、δrefが3.90ppmにある場合、4.1ppmから始まり、最大で3.83ppmまでの領域の信号が統合される)。この領域(ACH2I)は、−CFCHI末端基の濃度を表す。
−CFCHOH末端基の量を、−CF−CH−OHトリプレット(ACH2OH)の中央信号の領域を統合することによって決定する。トリプレットの中央信号の周りの2つのサテライト信号の領域は、−CFCHI末端基からの信号と(部分的に)重複する場合があるため、統合には含まれない。したがって、トリプレットの主要信号の統合は、−CFCHOHメチレンプロトンの信号の領域の半分のみをもたらす。したがって、[−CFCH−I]/[−CFCH−OH]末端基比を、以下のように算出する。
CH2I/2 ACH2OH
ガラス転移温度(Tg):
Tgを、例えば、TA Instruments Q200変調DSCを使用する示差走査熱量計によって測定することができる。測定条件は、加熱速度2〜3℃/分で−150℃〜50℃であった。振幅変調は、60秒間中、毎分+/−1℃であった。
平均粒径:
重合したポリマー粒子の平均粒径を、Malvern Autosizer 2cを使用してISO 13321に従って電子光散乱によって決定した。平均粒径を、Z平均として表す。
固形分含量:
固形分含量(フルオロポリマー含有量)を、ISO 12086に従って重量測定法で決定した。不揮発性塩の補正は行わなかった。
プレス硬化及び硬化特性:
150×150×2.0mmの大きさの試料シートを、約10MPa(100bar)で15分間、180℃でプレスすることによって調製し、物理的特性を決定することができる。後硬化:
プレス硬化した試料シートを、180℃で2時間、空気中で熱に曝露してもよい。これらの試料を、試験前に室温に戻す。硬化特性を、Monsanto Rheometerを使用して(ASTM D5289−93aに従って180℃で)測定することができ、最低トルク(ML)、最大トルク(MH)、及びデルタトルク(これはMHとMLとの差である)を報告する。トルク値を、インチ−ポンドで報告する。同様に、MLでのtg[デルタ]及びMHでのtg[デルタ]も報告する。更に、Ts2(ML上に2単位だけトルクを増加させるのに必要な時間)、Tc50(デルタトルクの50%だけMLを上回ってトルクを増加させるのに必要な時間)、及びTc90(デルタトルクの90%だけMLを上回ってトルクを増加させるのに必要な時間)等の硬化速度を示すパラメータを報告し、これらを全て分単位で報告する。
硬度:
試料の硬度を、A2型Shore Durometerを用いてASTM D 2240−85方法Aに従って測定することができる。ショアAスケール上の点単位で報告する。
引裂強度:
トラウザー引裂強度を、DIN 53507に従って決定することができる。kN/m単位で報告する。破断点引張強度、破断点伸び、及び100%伸びにおける弾性率を、Instron(商標)機械試験機を使用して、1kNのロードセルでDIN 53504(S2 DIE)に従って決定することができる。全ての試験を、200mm/分の一定のクロスヘッド変位速度で実行する。
ボタンの圧縮永久歪み:
硬化性組成物を、プレス硬化し、後硬化して、0.24インチ(6mm)の厚さを有するボタンを形成する。ボタン試料の圧縮永久歪みを、ASTM 395方法Bに従って測定する。結果を、永久歪みの百分率で報告し、25%たわみで測定する。
乳剤実験:
α−ωジヨードペルフルオロアルカンを含有する配合物の乳化特性をスクリーニングするために、10.0gのジヨードペルフルオロブタン連鎖移動剤及び38.66gの蒸留水を含有する4つの試料を調製した。実施例C1では、乳化剤は添加せず、実施例C2では、1.66gの部分フッ素化ポリエーテル酸(フッ素化乳化剤)を添加し、実施例C3では、1.66gのHOSTAPUR SAS 30(第二級スルホン酸アルキル)を添加した。基準例R1では、1.66gのGLUCOPON 600 CSUP(アルキルポリグリコシド)を添加した。混合物を、超音波処理に1分間供し、混合物の粒径を決定した。C1では、乳剤が形成しなかった。C2では、乳剤は、1397nmの粒径(Z平均)を有し、C3では、乳剤は、560nmの粒径を有した。R1では、乳剤は、229nmの粒径を有し、72時間超安定したままであった。
これらの乳剤実験は、本明細書に記載される非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤の周囲条件での乳化力を示す。
(実施例1)
非晶質TFE9.9/PMVE19.8/VDF70.3ターポリマーを、インペラ攪拌器システムを備えた総容量48.5Lの重合ケトル中で、以下の手順に従って調製した。酸素を含まないケトルを、28.0lの脱イオン水、3.2gのNa、5.0gのGlucopon 600 CS UPの50%水溶液(Sigma Aldrichから入手可能)、及び5gの1,4−ジヨードペルフルオロブタンで充填した。次に、ケトルを80℃に加熱し、攪拌システムを240rpmに設定し、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)を710kPa(7.1bar)絶対圧、フッ化ビニリデン(VDF)を1510kPa(15.1bar)絶対圧、及びテトラフルオロエチレン(TFE)を1700kPa(17.0bar)絶対反応圧で充填した。重合を、400mLの2.0%水性過硫酸アンモニウム(APS)溶液の添加によって開始した。反応を、導入期間後に開始する。以下では、80℃の反応温度を維持し、TFE、VDF、及びPMVEを0.729のPMVE(kg)/VDF(kg)供給比及び0.221のTFE(kg)/VDF(kg)供給比で気相中に供給することによって、1700kPa(17.0bar)の絶対反応圧を維持した。250gのVDFの供給に達すると、100gのPPVE−3と35gの1,4−ジヨードペルフルオロブタンの150gのブレンドを、エアロゾルノズルを使用して反応器の上部からゆっくりと供給した。ブレンドの供給を、965gのVDFの供給に達したときに完了した。別の5mLの2.0%水性過硫酸アンモニウム(APS)溶液を、反応時間の毎60分後に反応器内に添加した。VDF、TFE、及びPMVEのモノマー供給は、3750gのVDFの総供給に達するまで続けた(365分後)。次に、モノマー弁を閉じ、残りのモノマーを1180kPa(11.8bars)の圧力に下がるまで反応させ、これは30分を要した。反応器を換気し、Nで3サイクルにおいて洗い流した。20.6%の固形分含量及び95nmのz平均直径(動的光散乱による)を有するラテックス粒子を有する結果として得られたポリマー分散液を、反応器の底部から除去した。3000mLの分散液を凍結し、冷蔵庫内で一晩−18℃で凝固させた。解凍後、スポンジ様の生ゴムを、激しく攪拌しながら脱イオン水で5回洗浄し、次に130℃で12時間、オーブン内で乾燥させた。結果として得られたポリマーは、以下の表1に列挙される物理的特性を有した。
Figure 2016535814
基準実施例1:フッ素化乳化剤を用いた調製
実施例1の重合を、上述の条件と同じ条件下で繰り返した。唯一の例外として、Glucopon 600 CS UP界面活性剤を、30重量%の界面活性剤を有する水溶液中に存在する230gの部分フッ素化乳化剤CF−O−(CF−O−CFCHCOONHに置き換えた。モノマー供給期間は、410分を要し、20.5重量%の固形分含量及び117nmの平均粒径を有するポリマー分散液が得られた。結果として得られたポリマーは、以下の表2に示される特性を有した。
Figure 2016535814
この基準実施例と実施例1との比較は、ポリヒドロキシ乳化剤を用いた重合が、結果として得られるポリマーの特性に関して、フッ素化乳化剤を用いた重合に匹敵することを示している。
基準実施例2:(乳化剤を用いない調製)
実施例1の重合を、上述の条件と同じ条件下で繰り返した。唯一の例外として、界面活性剤はここでは全く使用しなかった。反応は535分を要し、14重量%の固形分含量及び482nmの平均粒径を有するポリマー分散液が得られた。結果として得られたポリマーは、以下の表1に列挙される以下の物理的特徴を示した。
Figure 2016535814
(実施例2)
フルオロエラストマー組成物を、100部の実施例1のフッ素化ポリマー、30部のMT 990(充填剤)、1部の酸受容体(ZnO)、2.5部のTrigonox 101−50D(有機過酸化物、AKZO製)、4.3部のLuvomaxx TAIC DL 70(シリカ担体上の70%トリアリル−イソシアヌレート、Lehmann & Voss製)、及び0.8部のStruktol WS 280(オルガノシリコーン系加工助剤、Schill+Seilacher製)を混合することによって、2本ロールミル上で作製することができる。硬化性組成物を、本明細書に記載される条件に従ってプレス硬化及び後硬化することができる。
特定の実施形態の一覧:
実施形態1フッ化ビニリデン(VDF)と、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエテン(TFE)、ペルフルオロビニルエーテル(PAVE)、ペルフルオロアリルエーテル(PAAVE)、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの過フッ素化モノマーとに由来する繰り返し単位を含む硬化性フルオロポリマーを作製する方法であって、前記モノマーを、1つ以上の反応開始剤と、ヨウ素、臭素、又はそれらの組み合わせから選択される1個以上のハロゲンを含有する1つ以上の連鎖移動剤と、少なくとも2個の隣接するヒドロキシル基を有する少なくとも1個のポリヒドロキシ単位及び4〜40個の炭素原子を含有する少なくとも1個の長鎖単位を含有する1つ以上の非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤と、を含有する水性媒体で、ラジカル反応で重合させることを含み、前記重合が、フッ素化乳化剤を添加することなく実行される、方法。
実施形態2前記少なくとも1個のポリドロキシ(polyhdroxy)単位が、環状である、実施形態1に記載の方法。
実施形態3前記少なくとも1個のポリヒドロキシ単位が、環状であり、少なくとも1個の六員環又は少なくとも1個の五員環を含有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態4前記ポリヒドロキシ乳化剤が、アルキルグリコシド及びアルキルポリグリコシドから選択される、実施形態1に記載の方法。
実施形態5前記ポリヒドロキシ乳化剤が、式
Figure 2016535814
に従う(ポリ)グルコシドであり、式中、mが、1〜10の整数を表し、Rが、長鎖単位を表す、実施形態1に記載の方法。
実施形態6 Rが、1個以上の(エーテル)酸素原子の割り込みがあってもよく、2〜26個、好ましくは8〜22個の炭素原子を含有する炭化水素鎖を表す、実施形態5に記載の方法。
実施形態7前記少なくとも1個のポリヒドロキシ単位が、非環状である、実施形態1に記載の方法。
実施形態8前記少なくとも1つの非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤が、一般式(III)
−C(=O)−N(R)−Z (III)
により表され、式中、Rが、H、又は1〜8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分枝鎖脂肪族残基であり、好ましくは、Rが、H、又はC〜Cのヒドロカルビル若しくはヒドロキシヒドロカルビルであり、前記脂肪族残基の炭素鎖が、任意に、1個又は2個以上のカテナリー酸素(エーテル)原子の割り込みがあってもよく、Rが、5〜31個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖脂肪族残基、好ましくはC〜C31ヒドロカルビル部分を表し、Zが、前記炭素鎖に直接結合した少なくとも2個又は少なくとも3個のヒドロキシ基を有する非環状ポリヒドロキシヒドロカルビル部分を表す、実施形態1に記載の方法。
実施形態9 Zが、一般式−(CHOH)−、より好ましくは−(CHOH)−CHOHにより表される非環状単位を含有し、式中、nが、2〜最大8以下の整数を表す、実施形態8に記載の方法。
実施形態10前記重合が、一般式
CF=CF−(CF−O−(Rf)−O−(CF−CF=CF
により表される過フッ素化ビスオレフィンエーテルから選択される、モノマーの総量に基づいて最大1.0重量%の改質剤の存在下で実行され、式中、n及びmが互いに独立して、1又は0のいずれかであり、Rfが、最大30個の炭素原子を含む、1個以上の酸素原子の割り込みがあってもよい過フッ素化の、直鎖又は分枝鎖、環状又は非環状、脂肪族又は芳香族の炭化水素残基を表す、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11前記連鎖移動剤が、ポリヨードアルカン、ポリヨードフルオロアルカン、又はポリヨードペルフルオロアルカンから選択される、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12前記連鎖移動剤が、1〜12個の炭素原子を有する、α−ωジヨードアルカン、α−ωジヨードフルオロアルカン、及びα−ωジヨードペルフルオロアルカンから選択される、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13前記重合が、ヨウ素含有硬化部位モノマーの存在下で実行される、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14前記硬化性ポリマーが、14〜80重量%のVDFを含有する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15前記硬化性フルオロポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、約0.1〜約0.6重量%のヨウ素を含有する、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16前記硬化性フルオロポリマーが、少なくとも15の−CFCHI/−CFCHOH基比を有する、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。
実施形態17前記硬化性フルオロポリマーが、15〜50、又は25〜45の−CFCHI/−CFCHOH基比を有する、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18前記硬化性フルオロポリマーが、水性分散液中に存在し、約20〜約300nmのZ平均粒径を有する、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19前記硬化性フルオロポリマーが、約20〜約80のムーニー粘度(ML1+10、121℃)を有する、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20実施形態1〜19のいずれか1つに記載の方法によって得ることができる、硬化性フルオロポリマー。
実施形態21水性分散液の形態である、実施形態20に記載の硬化性フルオロポリマー。
実施形態22過酸化物硬化剤の存在下での実施形態20に記載のポリマーの硬化によって得られる、硬化フルオロポリマー。
実施形態23実施形態20に記載のフルオロポリマーの硬化によって得ることができる硬化フルオロポリマーを含有する、物品。
実施形態24非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤と、約20〜約80のムーニー粘度(ML1+10、121℃)、少なくとも15、又は15〜50の−CFCHI/−CFCHOH基比を有する硬化性フルオロポリマーと、を含む組成物であって、前記硬化性フルオロポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、約0.1〜約0.6重量%のヨウ素を含有し、前記硬化性ポリマーが、フッ化ビニリデン(VDF)と、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエテン(TFE)、ペルフルオロビニルエーテル(PAVE)、ペルフルオロアリルエーテル(PAAVE)、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの過フッ素化モノマーとに由来する繰り返し単位を含み、前記1つ以上の非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤が、少なくとも2個の隣接するヒドロキシル基を有する少なくとも1個のポリヒドロキシ単位及び4〜40個の炭素原子を含有する少なくとも1個の長鎖単位を含有し、前記組成物が、フッ素化乳化剤を含まない、組成物。
実施形態25前記ポリマーが、14〜80重量%のフッ化ビニリデンコモノマーを含有する、実施形態24に記載の組成物。
実施形態26前記非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤が、実施形態2〜9のいずれか1つに定義される通りである、実施形態24又は25に記載の組成物。

Claims (15)

  1. フッ化ビニリデン(VDF)と、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエテン(TFE)、ペルフルオロビニルエーテル(PAVE)、ペルフルオロアリルエーテル(PAAVE)、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの過フッ素化モノマーとに由来する繰り返し単位を含む硬化性フルオロポリマーを作製する方法であって、前記モノマーを、1つ以上の反応開始剤と、ヨウ素、臭素、又はそれらの組み合わせから選択される1個以上のハロゲンを含有する1つ以上の連鎖移動剤と、少なくとも2個の隣接するヒドロキシル基を有する少なくとも1個のポリヒドロキシ単位及び4〜40個の炭素原子を含有する少なくとも1個の長鎖単位を含有する1つ以上の非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤と、を含有する水性媒体中で、ラジカル反応で重合させることを含み、前記重合が、フッ素化乳化剤を添加することなく実行される、方法。
  2. 前記少なくとも1個のポリヒドロキシ単位が、環状であり、六員環及び/又は五員環を含有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリヒドロキシ乳化剤が、アルキル(ポリ)グリコシド、アルキオキシ(alkyoxy)(ポリ)グリコシド、ポリオキシアルキル(ポリ)グリコシド、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ポリヒドロキシ乳化剤が、一般式
    Figure 2016535814
    に従うアルキルグルコシドから選択され、式中、mが、1〜10の整数を表し、Rが、1個以上の酸素原子の割り込みがあってもよいアルキル鎖を表す、請求項1に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1個のポリヒドロキシ単位が、非環状である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つの非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤が、一般式(III)
    −C(=O)−N(R)−Z (III)
    により表され、式中、Rが、H、又は1〜8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分枝鎖脂肪族残基であり、好ましくは、Rが、H、又はC〜Cのヒドロカルビル若しくはヒドロキシヒドロカルビルであり、前記脂肪族残基の炭素鎖が、任意に、1個又は2個以上のカテナリー酸素(エーテル)原子の割り込みがあってもよく、Rが、5〜31個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖脂肪族残基を表し、Zが、前記炭素鎖に直接結合した少なくとも2個のヒドロキシ基を有する非環状ポリヒドロキシヒドロカルビル部分を表す、請求項5に記載の方法。
  7. Zが、一般式
    −(CHOH)−により表される非環状単位を含有し、式中、nが、2〜最大8以下の整数を表す、請求項6に記載の方法。
  8. 前記連鎖移動剤が、1〜12個の炭素原子を有する、α−ωジヨードアルカン、α−ωジヨードフルオロアルカン、及びα−ωジヨードペルフルオロアルカンから選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記重合が、ヨウ素含有硬化部位モノマーの存在下で実行される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記硬化性ポリマーが、14〜80重量%のフッ化ビニリデンコモノマーを含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記硬化性フルオロポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、約0.1〜約0.6重量%のヨウ素を含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記硬化性フルオロポリマーが、少なくとも10の−CFCHI/−CFCHOH基比を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記硬化性フルオロポリマーが、水性分散液中に存在し、約20〜約300nmのZ平均粒径を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記硬化性フルオロポリマーが、約20〜約80のムーニー粘度(ML1+10、121℃)を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤と、約20〜約80のムーニー粘度(ML1+10、121℃)、少なくとも10の−CFCHI/−CFCHOH基比を有する硬化性フルオロポリマーと、を含む組成物であって、前記硬化性フルオロポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、約0.1〜約0.6重量%のヨウ素を含有し、前記硬化性ポリマーが、フッ化ビニリデン(VDF)と、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエテン(TFE)、ペルフルオロビニルエーテル(PAVE)、ペルフルオロアリルエーテル(PAAVE)、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの過フッ素化モノマーとに由来する繰り返し単位を含み、前記非フッ素化脂肪族ポリヒドロキシ乳化剤が、少なくとも2個の隣接するヒドロキシル基を有する少なくとも1個のポリヒドロキシ単位及び4〜40個の炭素原子を含有する少なくとも1個の長鎖単位を含有し、前記組成物が、フッ素化乳化剤を含まない、組成物。
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